説明

プラズマ発生装置

【課題】 高周波放電型のプラズマ発生装置において、アンテナカバーの溶断を速やかに検出することができるようにする。
【解決手段】 このプラズマ発生装置10は、プラズマ生成容器12内に設けられていて高周波を放射するアンテナ26と、プラズマ生成容器12内のアンテナ26全体を覆うものであって絶縁物から成るアンテナカバー42とを備えている。更に、アンテナ26とプラズマ生成容器12との間の直流電圧VD を測定する直流電圧測定器60と、それで測定した直流電圧VD を基準値VR と比較して、前者の絶対値が後者の絶対値よりも大きいときに警報信号SW を出力する比較器80とを備えている。アンテナカバー42が溶断すると、その溶断箇所44でプラズマ20がアンテナ26に接触して、アンテナ26にはプラズマポテンシャルに相当する直流電圧VD が発生するので、上記警報信号SW が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、基板にイオンビームを照射してイオン注入等の処理を施すイオンビーム照射装置においてイオンビーム照射の際の基板表面の帯電(チャージアップ)を抑制すること等に用いられる高周波放電型のプラズマ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような基板表面の帯電抑制に用いられる高周波放電型のプラズマ発生装置の一例として、特許文献1には、プラズマ生成容器内で高周波放電によってガスを電離させてプラズマを生成して、当該プラズマをプラズマ放出孔を通して外部に放出する装置であって、プラズマ生成容器内に設けられていて高周波を放射するアンテナと、プラズマ生成容器内のアンテナ全体を覆うものであって絶縁物から成るアンテナカバーとを備えているプラズマ発生装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−324511号公報(段落0031−0038、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記アンテナカバーは、プラズマによるスパッタリングによってアンテナからそれを構成する金属粒子が放出されてプラズマを汚染すること(即ち金属汚染)が発生するのを防止することが主目的で設けられている。
【0005】
ところが、上記のようなプラズマ発生装置を長時間(例えば数百時間〜数千時間程度)運転すると、アンテナカバーが部分的に溶断して、その溶断箇所でアンテナが露出してプラズマに曝されて、金属汚染が発生する場合があることが分かった。
【0006】
その原因としては、プラズマ生成容器内でアンテナに沿って高周波の定在波が生じ、その腹の部分で電界が最大になって、プラズマ中の電子およびイオンがアンテナに向けて強く加速されて、それらによるスパッタリングによって、上記のように長時間運転すると、アンテナカバーが部分的に削られて溶断が生じるものと推測される。
【0007】
そのようなアンテナカバーの溶断が発生しても、従来のプラズマ発生装置ではそれを検出する手段を有していないので、そのままプラズマ発生装置の運転を続けると、知らない内に金属汚染が発生しているということが起こる。それが起こると、例えば当該プラズマ発生装置を用いた上記のようなイオンビーム照射装置においては、基板への金属汚染も発生する。
【0008】
そこでこの発明は、高周波放電型のプラズマ発生装置において、アンテナカバーの溶断を速やかに検出することができるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る第1のプラズマ発生装置は、プラズマ生成容器内で高周波放電によってガスを電離させてプラズマを生成して、当該プラズマをプラズマ放出孔を通して外部に放出する装置であって、プラズマ生成容器内に設けられていて高周波を放射するアンテナと、プラズマ生成容器内のアンテナ全体を覆うものであって絶縁物から成るアンテナカバーとを備えているプラズマ発生装置において、前記アンテナと前記プラズマ生成容器との間の直流電圧を測定する直流電圧測定器と、前記直流電圧測定器で測定した直流電圧を所定の基準値と比較して、前者の絶対値が後者の絶対値よりも大きいときに警報信号を出力する比較器とを備えていることを特徴としている。
【0010】
この第1のプラズマ発生装置においては、アンテナカバーが溶断すると、その溶断箇所でプラズマがアンテナに接触して、アンテナにはプラズマポテンシャルに相当する直流電圧が発生する。アンテナカバーが正常時には、そのような直流電圧は発生しない。従って、上記直流電圧測定器と比較器とによって、アンテナカバーの溶断を速やかに検出して、警報信号を出力することができる。
【0011】
この発明に係る第2のプラズマ発生装置は、前記アンテナと前記プラズマ生成容器との間の直流抵抗を測定する直流抵抗測定器と、前記直流抵抗測定器で測定した直流抵抗を所定の基準値と比較して、前者が後者よりも小さいときに警報信号を出力する比較器とを備えていることを特徴としている。
【0012】
この第2のプラズマ発生装置においては、アンテナカバーが溶断すると、その溶断箇所でプラズマがアンテナに接触して、アンテナとプラズマ生成容器との間が、電気的には導体に近いプラズマによって電気的に導通するので、アンテナとプラズマ生成容器との間の直流抵抗は非常に小さくなる。アンテナカバーが正常時には、上記直流抵抗は非常に大きい。従って、上記直流抵抗測定器と比較器とによって、アンテナカバーの溶断を速やかに検出して、警報信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、上記のような直流電圧測定器と比較器とを備えているので、アンテナカバーの溶断を速やかに検出して、警報信号を出力することができる。その結果、アンテナがプラズマによってスパッタされることによる金属汚染の発生を未然に防止することが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、上記のような直流抵抗測定器と比較器とを備えているので、アンテナカバーの溶断を速やかに検出して、警報信号を出力することができる。その結果、アンテナがプラズマによってスパッタされることによる金属汚染の発生を未然に防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、この発明に係るプラズマ発生装置の一実施形態を示す断面図である。図2は、図1および図6の線A−Aに沿う断面図である。
【0016】
このプラズマ発生装置10は、真空容器8内において基板(例えば半導体基板)4にイオンビーム2を照射して、基板4にイオン注入等の処理を施すイオンビーム照射装置(この装置は、イオン注入を行う場合はイオン注入装置と呼ばれる)に用いられている場合の例である。プラズマ発生装置10は、基板4の上流側近傍に位置する真空容器8の外部に、絶縁物54を介して取り付けられている。
【0017】
この例では、イオンビーム2は、X方向(例えば水平方向)に電界または磁界によって往復走査される。基板4は、ホルダ6に保持されていて、X方向と交差するY方向(例えば垂直方向)に機械的に往復走査される。両走査の協働(ハイブリッドスキャン)によって、基板4の全面にイオンビーム2を均一性良く照射して均一性の良いイオン注入を行うことができる。
【0018】
その際、プラズマ発生装置10から放出したプラズマ20をイオンビーム2または基板4の近傍に供給して、プラズマ20中の電子を用いて、イオンビーム照射に伴う正電荷を中和して、基板4の表面の帯電を抑制することができる。
【0019】
プラズマ発生装置10は、この実施形態では、イオンビーム2の上記X方向の走査に対応することができるように、X方向に長く伸びた構造をしている。それによって、X方向の幅が広いプラズマ20を放出して、X方向に走査されるイオンビーム2付近にプラズマ20を万遍なく供給して、基板4の表面において帯電を万遍なく抑制することができる。
【0020】
このプラズマ発生装置は、X方向に沿って長く伸びた筒状(具体的には半円筒状)のプラズマ生成容器12を有している。このプラズマ生成容器12は、後述する磁石50による磁界52を乱さないために、非磁性体で構成されている。電極16も同様である。
【0021】
プラズマ生成容器12の一方(図1中の左側)の端面に、ガス導入管22が接続されており、そこからガス24がプラズマ生成容器12内に導入される。ガス24は、例えばキセノンガスである。
【0022】
プラズマ生成容器12は、その一部に、具体的にはその下側(イオンビーム2に面する側)の側面に、開口部14を有しており、そこに、プラズマ生成容器12内で生成されたプラズマ20を外部に取り出すプラズマ放出孔18を有する電極16が設けられている。プラズマ放出孔18は、この実施形態ではX方向に並設された複数の孔(例えば円形の孔または長円形の孔)であるが、X方向に伸びたスリットでも良い。電極16は、プラズマ生成容器12と電気的に接続されていてそれと同電位にある。
【0023】
開口部14および電極16を設ける代わりに、プラズマ生成容器12の上記側面に直接、上記プラズマ放出孔18を設けても良い。
【0024】
プラズマ生成容器12内に、その長手方向の軸に沿って、即ちX方向に沿って、真っ直ぐな棒状のアンテナ26が設けられている。このアンテナ26のプラズマ生成容器12内での長さは、プラズマ生成容器12内の軸方向の長さの例えば80%〜100%程度である。アンテナ26は、具体的には、プラズマ生成容器12の他方(図1中の右側)の端面からプラズマ生成容器12内に挿入されている。アンテナ26は、例えばタングステンから成る。アンテナ26とプラズマ生成容器12との間は、アンテナカバー42やその他の絶縁物(図示省略)によって電気的に絶縁されている。
【0025】
アンテナ26には、高周波電源30から、インピーダンス整合回路32および同軸ケーブル34を経由して、高周波28が供給される。高周波28は、例えば13.56MHz程度の高周波でも良いし、例えば2.45GHz程度のマイクロ波でも良い。即ちこの明細書では、高周波はマイクロ波を含む広い概念である。同軸ケーブル34の中心導体36はアンテナ26に、外周導体38はプラズマ生成容器12に、それぞれ電気的に接続されている。
【0026】
上記構成によって外部からアンテナ26に供給される高周波28を当該アンテナ26からプラズマ生成容器12内に放射して、プラズマ生成容器12内で高周波放電によって上記ガス24を電離させてプラズマ20を生成することができる。そしてこのプラズマ20を、上記プラズマ放出孔18を通して真空容器8内へ取り出すことができる。
【0027】
プラズマ生成容器12およびそれと同電位の電極16には、この実施形態のように、直流の引出し電源56によって、真空容器8の電位を基準にして負の引出し電圧VE を印加するようにしても良い。そのようにすれば、プラズマ放出孔18から電子が放出されやすくなり、ひいてはプラズマ20が放出されやすくなる。
【0028】
プラズマ生成容器12内に位置するアンテナ26の全体は、絶縁物から成るアンテナカバー42で覆われている。アンテナカバー42は、例えば石英から成る。これによって、プラズマ20によるスパッタリングによって、アンテナ26からそれを構成する金属粒子が放出されて金属汚染が発生するのを防止することができる。
【0029】
プラズマ生成容器12の内壁(即ち開口部14を除く内壁)も、この実施形態のように、絶縁物48で覆っておくのが好ましい。電極16を設けずにプラズマ放出孔18をプラズマ生成容器12の側面に設ける場合は、プラズマ放出孔18を除くプラズマ生成容器12の内壁を絶縁物48で覆っておくのが好ましい。それによって、プラズマ20によるスパッタリングによって、プラズマ生成容器12からそれを構成する金属粒子が放出されて金属汚染が発生するのを防止することができる。但し、この発明はアンテナカバー42の溶断検出に関するものであるので、この絶縁物48を設けることはこの発明に必須のものではない。
【0030】
プラズマ生成容器12の外部には、この実施形態のように、プラズマ生成容器12内に、プラズマ生成容器12の軸に沿う方向の磁界52を発生させる磁石50を設けておいても良い。この磁石50は、この例では、プラズマ生成容器12に沿う半円筒形をしている。この磁石50は、典型的には永久磁石である。この磁石50を設けておくと、それが発生する磁界52によって電子を捕捉して、プラズマ生成容器12内におけるプラズマ20の生成および維持を促進することができるので、より高密度のプラズマ20の発生が可能になる。
【0031】
アンテナ26とプラズマ生成容器12との間に、両者間の直流電圧VD を測定する直流電圧測定器60を接続している。アンテナ26、プラズマ生成容器12は、同軸ケーブル34の中心導体36、外周導体38とそれぞれ電気的に接続されているので、この中心導体36と外周導体38との間に直流電圧測定器60を接続しても良い。また、前述したようにプラズマ生成容器12と電極16とは互いに電気的に接続されていて同電位にあるので、電気的には両者は区別する必要はない。図6に示す実施形態においても同様である。
【0032】
直流電圧測定器60周りの電気回路の一例を図3に示す。図3中の接続点a、bは、図1中の接続点a、bとそれぞれ同じである。この直流電圧測定器60は、高周波を阻止し、直流を通過させるローパスフィルタ62と、このローパスフィルタ62を通過した直流電圧VD を測定してそれを表す信号を出力する直流電圧計66とを有している。このローパスフィルタ62の存在によって、直流電圧測定器60は高周波に対しては非常に大きいインピーダンスになるので、この直流電圧測定器60を設けても、プラズマ生成容器12内への高周波28の入力等に大きな影響はない。後述する直流抵抗測定器70を設ける場合も同様である。
【0033】
ローパスフィルタ62は、この例では、直流電圧計66に直列のコイル63と、直流電圧計66に並列のコンデンサ64とから成るが、この構成に限られるものではない。例えば、コンデンサ64は必ずしも設けなくても良い。後述する図7においても同様である。
【0034】
再び図1を参照して、直流電圧測定器60で測定した直流電圧VD は比較器80に与えられる。比較器80は、当該直流電圧VD を所定の基準値(基準電圧)VR と比較して、前者VD の絶対値が後者VR の絶対値よりも大きいときに警報信号SW を出力する。
【0035】
アンテナカバー42が前述したような理由等で溶断すると、例えば図1に示す溶断箇所44で溶断が生じると、その溶断箇所44でプラズマ20がアンテナ26に接触して、アンテナ26にはプラズマの電位(プラズマポテンシャル)VP に相当する直流電圧VD が発生する(図3参照)。
【0036】
このプラズマポテンシャルVP の極性は、一般的な書籍には、単純な構造を前提にして、プラズマ生成容器を基準にして正であると書かれていることが多いけれども、このプラズマ発生装置10を用いた実験結果では、プラズマ生成容器12を基準にして負であった。その理由は究明していないけれども、磁界52に沿った電子の運動等が関係しているものと推測される。このプラズマポテンシャルVP に相当する直流電圧VD が直流電圧測定器60によって測定される。その測定結果の一例を図5に示す。図5中の高周波出力は、高周波電源30からの高周波28の出力であり、引出し電圧VE は引出し電源56の出力電圧である(図4においても同様)。この例では、−15V〜−45V程度の直流電圧VD が測定されている。
【0037】
一方、アンテナカバーが正常時は、即ち溶断箇所がない場合は、アンテナ26全体がアンテナカバー42で覆われているので、アンテナ26へのプラズマ20の接触はなく、アンテナ26に上記のような直流電圧VD は発生しない。即ち、直流電圧測定器60で測定する直流電圧VD は実質的に0Vである。その測定結果の一例を図4に示す。
【0038】
従って、上記基準値VR を、例えば−1V〜−5V程度に設定しておくことによって、アンテナカバー42に溶断箇所44が発生すると、直流電圧測定器60で測定する直流電圧VD が基準値VR よりも負側に大きくなるので、即ち直流電圧VD の絶対値が基準値VR の絶対値よりも大きくなるので、比較器80から警報信号SW が出力される。
【0039】
プラズマポテンシャルVP の極性は、プラズマ発生装置10の構造によって決まるが、正、負いずれであっても良く、その極性に合わせて基準値VR の極性を決めれば良い。例えば、プラズマポテンシャルVP が上記例とは反対に正である場合は、基準値VR も正の所定電圧にすれば良い。
【0040】
このプラズマ発生装置10によれば、上記のような直流電圧測定器60と比較器80とを備えているので、アンテナカバー42の溶断を速やかに検出して、警報信号SW を出力することができる。その結果、アンテナ26がプラズマ20によってスパッタされることによる金属汚染の発生を未然に防止することが可能になる。
【0041】
図6は、この発明に係るプラズマ発生装置の他の実施形態を示す断面図である。図1に示した実施形態との相違点を主体に説明すると、このプラズマ発生装置10は、アンテナ26とプラズマ生成容器12との間に、両者間の直流抵抗RD を測定する直流抵抗測定器70を接続している。
【0042】
直流抵抗測定器70周りの電気回路の一例を図7に示す。この直流抵抗測定器70は、上記ローパスフィルタ62と、このローパスフィルタ62を通過した直流によって直流抵抗RD を測定してそれを表す信号を出力する直流抵抗計68とを有している。
【0043】
直流抵抗測定器70で測定した直流抵抗RD は比較器82に与えられる。比較器82は、当該直流抵抗RD を所定の基準値(基準抵抗値)RR と比較して、前者RD が後者RR よりも小さいときに警報信号SW を出力する。
【0044】
アンテナカバー42が前述したような理由等で溶断すると、その溶断箇所44でプラズマ20がアンテナ26に接触して、アンテナ26と電極16すなわちプラズマ生成容器12との間が、電気的には導体に近いプラズマ20によって電気的に導通するので、アンテナ26とプラズマ生成容器12との間の直流抵抗RD は非常に小さくなる。即ち、図7中に二点鎖線で示すように、アンテナ26とプラズマ生成容器12との間が非常に小さい抵抗値の抵抗74で接続されたのと等価になる。このときの直流抵抗RD が直流抵抗測定器70によって測定される。この場合の直流抵抗RD は、例えば数Ω〜十数Ω程度以下になる。
【0045】
一方、アンテナカバーが正常時は、即ち溶断箇所がない場合は、アンテナ26全体がアンテナカバー42で覆われていて、プラズマ20を介しての上記のようなアンテナ26との導通はないので、アンテナ26は直流的には浮いており、直流抵抗測定器70で測定する直流抵抗RD は非常に大きい。即ち、アンテナ26とプラズマ生成容器12との間には、アンテナカバー42その他の絶縁物が存在し、その直流抵抗は非常に大きい。また、同軸ケーブル34、インピーダンス整合回路32および高周波電源30側の直流抵抗も、通常はインピーダンス整合回路32内に直列コンデンサを有していること等によって、非常に大きい。従ってこの場合の直流抵抗RD は、例えば数百kΩ〜数MΩ程度以上になる。
【0046】
従って、上記基準値RR を、例えば1kΩ〜5kΩ程度に設定しておくことによって、アンテナカバー42に溶断箇所44が発生すると、直流抵抗測定器70で測定する直流抵抗RD が基準値RR よりも小さくなるので、比較器82から警報信号SW が出力される。
【0047】
即ち、このプラズマ発生装置10によれば、上記のような直流抵抗測定器70と比較器82とを備えているので、アンテナカバー42の溶断を速やかに検出して、警報信号SW を出力することができる。その結果、アンテナ26がプラズマ20によってスパッタされることによる金属汚染の発生を未然に防止することが可能になる。
【0048】
なお、プラズマ発生装置10の各部の構造を上に詳述したけれども、その構造はあくまでも例であり、この発明は上に詳述した構造に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明に係るプラズマ発生装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1および図6の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】図1中の直流電圧測定器周りの電気回路の一例を示す図である。
【図4】アンテナカバーが正常時の直流電圧を測定した結果の一例を示す図である。
【図5】アンテナカバーが溶断時の直流電圧を測定した結果の一例を示す図である。
【図6】この発明に係るプラズマ発生装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】図6中の直流抵抗測定器周りの電気回路の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 プラズマ発生装置
12 プラズマ生成容器
18 プラズマ放出孔
20 プラズマ
24 ガス
26 アンテナ
28 高周波
42 アンテナカバー
44 溶断箇所
60 直流電圧測定器
70 直流抵抗測定器
80、82 比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ生成容器内で高周波放電によってガスを電離させてプラズマを生成して、当該プラズマをプラズマ放出孔を通して外部に放出する装置であって、プラズマ生成容器内に設けられていて高周波を放射するアンテナと、プラズマ生成容器内のアンテナ全体を覆うものであって絶縁物から成るアンテナカバーとを備えているプラズマ発生装置において、
前記アンテナと前記プラズマ生成容器との間の直流電圧を測定する直流電圧測定器と、
前記直流電圧測定器で測定した直流電圧を所定の基準値と比較して、前者の絶対値が後者の絶対値よりも大きいときに警報信号を出力する比較器とを備えていることを特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項2】
プラズマ生成容器内で高周波放電によってガスを電離させてプラズマを生成して、当該プラズマをプラズマ放出孔を通して外部に放出する装置であって、プラズマ生成容器内に設けられていて高周波を放射するアンテナと、プラズマ生成容器内のアンテナ全体を覆うものであって絶縁物から成るアンテナカバーとを備えているプラズマ発生装置において、
前記アンテナと前記プラズマ生成容器との間の直流抵抗を測定する直流抵抗測定器と、
前記直流抵抗測定器で測定した直流抵抗を所定の基準値と比較して、前者が後者よりも小さいときに警報信号を出力する比較器とを備えていることを特徴とするプラズマ発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−218286(P2008−218286A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56002(P2007−56002)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【特許番号】特許第4001185号(P4001185)
【特許公報発行日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】