説明

プラズマ発生電極及びその製造方法、並びにプラズマ反応器

本発明のプラズマ発生電極1は、互いに対向する二つ以上の板状の単位電極2を備え、単位電極2相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極1であって、互いに対向する単位電極2のうちの少なくとも一方が、少なくとも一方の表面に複数の凹溝5及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体3と、セラミック誘電体3の内部に配設された導電膜4とを有してなり、単位電極2相互間に電圧を印加した際に、セラミック誘電体3の表面と、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部の側面とによって構成されるエッジ部分9に、エッジ部分9近傍以外の単位電極2相互間に発生するプラズマよりも密度の高い高密度なプラズマを発生させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生電極及びその製造方法、並びにプラズマ反応器に関する。さらに詳しくは、エネルギー状態の高い高密度なプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極及びその製造方法、並びにプラズマ反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
二枚の両端を固定された電極間に誘電体を配置し高電圧の交流、あるいは周期パルス電圧をかけることにより、無声放電が発生し、これによりできるプラズマ場では活性種、ラジカル、イオンが生成され、気体の反応、分解を促進することが知られており、これをエンジン排気ガスや各種の焼却炉排気ガスに含まれる有害成分の除去に利用できることが知られている。
【0003】
例えば、エンジン排気ガスや各種の焼却炉排気ガスを、プラズマ場内を通過させることによって、このエンジン排気ガスや各種の焼却炉排気ガス中に含まれる、例えば、窒素酸化物(NOx)、カーボン微粒子(PM:Particulate Matter)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)等を処理する、プラズマ発生電極を備えたプラズマ反応器等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載されたプラズマ反応器の製造方法には、排気ガスに含まれる有害物質の滞留時間を増加させてプラズマ反応を活性化させるために、誘電体の表面に凹凸面を形成することが記載されている。
【特許文献1】特開2003−286829号公報
【発明の開示】
【0005】
しかしながら、この特許文献1には、誘電体の表面に凸状の突起が点在するように形成されたプラズマ反応器についての記載しかされておらず、さらに、このような凸状の突起を形成したとしても、実際には、排気ガスの滞留時間にあまり変化はなく、プラズマ反応の活性には、ほとんど効果を得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、エネルギー状態の高い高密度なプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極及びその製造方法、並びにプラズマ反応器を提供する。
【0007】
本発明は、以下のプラズマ発生電極及びその製造方法、並びにプラズマ反応器を提供するものである。
【0008】
[1]互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極であって、互いに対向する前記単位電極のうちの少なくとも一方が、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有してなり、前記単位電極相互間に電圧を印加した際に、前記セラミック誘電体の表面と、複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の側面とによって構成されるエッジ部分近傍に、前記エッジ部分近傍以外の前記単位電極相互間に発生するプラズマよりも密度の高いプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0009】
[2]複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が、前記セラミック誘電体の表面を平面とした面積の20〜80%に相当する領域に形成されてなる前記[1]に記載のプラズマ発生電極。
【0010】
[3]複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の、前記セラミック誘電体の表面から複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の底部までのそれぞれの深さが、3〜200μmである前記[1]又は[2]に記載のプラズマ発生電極。
【0011】
[4]複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の、前記セラミック誘電体の表面から複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の底部までのそれぞれの深さが、前記セラミック誘電体の厚さの平均値の1/3以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のプラズマ発生電極。
【0012】
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のプラズマ発生電極と、所定の成分を含むガスの流路(ガス流路)を内部に有するケース体とを備え、前記ガスが前記ケース体の前記ガス流路に導入されたときに、前記プラズマ発生電極で発生したプラズマにより前記ガスに含まれる前記所定の成分が反応することが可能なプラズマ反応器(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0013】
[6]前記プラズマ発生電極に電圧を印加するためのパルス電源をさらに備えた前記[5]に記載のプラズマ反応器。
【0014】
[7]前記パルス電源が、その内部に少なくとも一つのSIサイリスタを有する前記[6]に記載のプラズマ反応器。
【0015】
[8]互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた前記単位電極前駆体の少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法。(以下、「第三の発明」ということがある)。
【0016】
[9]互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するとともに、他方の表面に導電膜を配設して凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法(以下、「第四の発明」ということがある)。
【0017】
[10]互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた前記単位電極前駆体を焼成した後にその少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法(以下、「第五の発明」ということがある)。
【0018】
[11]互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に、その膜厚方向に貫通した複数の空隙部が形成された導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた前記単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に、前記導電膜の複数の前記空隙部の形状に対応した複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法(以下、「第六の発明」ということがある)。
【0019】
本発明のプラズマ発生電極及びプラズマ反応器は、対向する単位電極相互間に、エネルギー状態の高い高密度なプラズマを発生させることができる。また、本発明のプラズマ発生電極の製造方法は、簡便かつ低コストに上述したプラズマ発生電極を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図3(a)】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例における凹溝を拡大した拡大図である。
【図3(b)】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例における凹溝を拡大した拡大図である。
【図3(c)】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例における凹溝を拡大した拡大図である。
【図3(d)】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例における凹溝を拡大した拡大図である。
【図4】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図9】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図10】本発明(第二の発明)のプラズマ反応器の一の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0021】
1…プラズマ発生電極、2…単位電極、3…セラミック誘電体、4…導電膜、5…凹溝、6…凹部、7…保持部材、9…エッジ部分、10…空隙部、11…通電部、12…ケース体、13…ガス流路、20…プラズマ反応器、21…表面(セラミック誘電体の表面)、22…側面(凹溝及び/又は凹部の側面)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のプラズマ発生電極及びその製造方法、並びにプラズマ反応器の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0023】
図1は、本発明のプラズマ発生電極の一の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2は、本発明のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態のプラズマ発生電極1は、互いに対向する二つ以上の板状の単位電極2を備え、単位電極2相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極1であって、互いに対向する単位電極2のうちの少なくとも一方が、少なくとも一方の表面に複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6が形成された板状のセラミック誘電体3と、セラミック誘電体3の内部に配設された導電膜4とを有してなり、単位電極2相互間に電圧を印加した際に、セラミック誘電体3の表面21と、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の側面22とによって構成されるエッジ部分9に、エッジ部分9近傍以外の単位電極2相互間に発生するプラズマよりも密度の高い高密度なプラズマを発生させることが可能なものである。図1示すプラズマ発生電極1は、セラミック誘電体3の両方の表面21に複数の凹溝5が形成されたものであり、図2に示すプラズマ発生電極1は、セラミック誘電体3の両方の表面21に複数の凹部6が形成されたものである。なお、本実施の形態のプラズマ発生電極1は、上述したエッジ部分9近傍に、高密度のプラズマを発生させるものであるため、このエッジ部分9は、単位電極2相互間に電圧を印加した際に放電集中が起こる程度に鋭く構成されている。
【0024】
単位電極2相互間に所定の電圧を印加すると、対向する単位電極2を構成するそれぞれのセラミック誘電体3の間に放電が起こり、プラズマが発生する。図1に示すプラズマ発生電極1は、セラミック誘電体3の表面21と、複数の凹溝5の側面22とによって構成されるエッジ部分9近傍に、放電集中が起こるため、エッジ部分9近傍以外の単位電極2相互間、例えば、セラミック誘電体3の表面21近傍に発生するプラズマよりも高密度のプラズマを発生させることができる。このように、本実施の形態のプラズマ発生電極1によれば、より低エネルギーで高い密度のプラズマを発生させることができる。また、図2に示すプラズマ発生電極1にように、互いに対向する単位電極2を構成するセラミック誘電体3の表面21に複数の凹部6が形成されている場合にも同様である。本実施の形態のプラズマ発生電極1は、所定の成分を含むガスを反応させるプラズマ反応器、例えば、燃焼排気ガスに含まれる煤や一酸化窒素等を処理する排気ガス処理装置や、空気等に含まれる酸素を反応させてオゾンを精製するオゾナイザ等に用いることができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の形状については特に限定されることはなく、例えば、図1に示すように、セラミック誘電体3の表面21に、略平行な複数の凹溝5が形成されたものであってもよく、図2に示すように、セラミック誘電体3の表面21に、規則的に複数の凹部6が形成されたものであってもよい。なお、図2においては、凹部6の開口部の形状が四角形で、それぞれが等間隔に形成されているプラズマ発生電極1を示しているが、開口部の形状や、その間隔等については特に限定されることはなく、例えば、凹部6の開口部の形状は四角形以外の多角形であってもよく、また、円形や楕円形等の形状であってもよい。
【0026】
また、図1及び図2においては、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の側面22がセラミック誘電体3の表面21に対して垂直になるように構成された複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6を示しているが、本実施の形態のプラズマ発生電極1における凹溝5や凹部6の形状についてはこれに限定されることはなく、例えば、図3(a)〜図3(d)に示すように、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の側面22が、セラミック誘電体3の表面21に対して所定の角度を有するように構成されていてもよい。具体的には、図3(a)及び図3(b)示すように、セラミック誘電体3の表面21に垂直な断面における凹溝5(凹部6)の形状が台形となるように構成されたものであってもよいし、図3(c)示すように、凹溝5(凹部6)の側面22が一方の方向に傾いて構成されたものであってもよい。また、図3(d)に示すように、凹溝5(凹部6)の底面が二以上の平面から構成されたものであってもよい。ここで、図3(a)〜図3(d)は、本発明(第一の発明)のプラズマ発生電極の一の実施の形態の他の例における凹溝を拡大した拡大図である。なお、図3(a)〜図3(d)において、図1及び図2に示す各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
また、特に限定されることはないが、図1に示すように、セラミック誘電体3の表面21に複数の凹溝5が形成されている場合には、その凹溝5の幅が、10〜5000μmであることが好ましい。凹溝5の幅が10μm未満であると、効果を得るために膨大な数の凹溝を形成することになり、低コストで作製できない恐れがある。また、凹溝5の幅が5000μmを超えると、セラミック誘電体3の表面21の面積(セラミック誘電体3の表面21を平面とした場合の面積)に対して、凹溝5のエッジ部分9の割合が少なくなり、高密度なプラズマが発生する割合も減少し十分な効果を得ることができない恐れがある。
【0028】
また、同様に、図2に示すように、セラミック誘電体3の表面21に複数の凹部6が形成されている場合には、一つの凹部6の開口面積が、100〜1×108μm2であることが好ましい。凹部6の開口面積が100μm2未満であると、効果を得るために膨大な数の凹部を形成することになり、低コストで作製できない恐れがある。また、凹部6の開口面積が1×108μm2を超えると、セラミック誘電体3の表面21の面積(セラミック誘電体3の表面21を平面とした場合の面積)に対して、凹部6のエッジ部分9の割合が少なくなり、高密度なプラズマが発生する割合も減少し十分な効果を得ることができない恐れがある。
【0029】
また、図1及び図2に示すように、本実施の形態のプラズマ発生電極1は、上述したエッジ部分9近傍に、高密度のプラズマを発生させるものであるため、このエッジ部分9は、単位電極2相互間に電圧を印加した際に放電集中が起こる程度に鋭く構成されていなければならない。このため、セラミック誘電体3の表面21に垂直な断面における、セラミック誘電体3の表面21と、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の側面22とによって構成されるエッジ部分9の角度は、45〜135度であることが好ましく、80〜100度であることがさらに好ましい。また、エッジ部分9が面取りされている場合には、セラミック誘電体3の表面21と複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の側面22とを延長することによって想定される角度が、45〜135度であることが好ましく、80〜100度であることがさらに好ましい。さらに、例えば、エッジ部分9が曲率を有するようにR取りされている場合には、R取り部分の曲率半径が1μm〜100mmであることが好ましく、また、例えば、エッジ部分9の先端部が平面となるようにC取りされている場合には、C取りの幅、即ち、C取りされた表面における、セラミック誘電体3の表面21と複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の側面22との距離が、1μm〜10mmであることが好ましい。このように構成することによって、エッジ部分9近傍に効果的に放電集中を起こさせることが可能となり、高密度のプラズマを有効に発生させることができる。
【0030】
また、複数の凹溝5を形成する間隔についても特に限定されることはなく、例えば、図4に示すように、凹溝5を形成する間隔を不均一にしてもよい。また、図5に示すように、凹溝5の幅を比較的狭く、かつ間隔を空けるように形成してもよいし、図6に示すように、凹溝5の幅が比較的広くなるように形成してもよい。図4〜図6において、図1に示したプラズマ発生電極1と同様に構成されている各要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図1及び図2に示すような本実施の形態のプラズマ発生電極1においては、複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6が、セラミック誘電体3の表面21を平面とした面積の20〜80%に相当する領域に形成されてなることが好ましい。セラミック誘電体3の表面21を平面とした面積の20%未満又は80%を超える領域に凹溝5及び/又は凹部6が形成されていると、セラミック誘電体3の表面21に占める凹溝5及び/又は凹部6のエッジ部分9の割合が小さくなり、上述したエッジ部分9近傍に発生する高密度なプラズマの発生領域が減少してしまう。
【0032】
また、図1に示すように、セラミック誘電体3の表面から凹溝5の底面までの深さについては、全ての凹溝5が同じ深さとなるように形成されていてもよいし、図7に示すように、それぞれの凹溝5毎に異なる深さとなるように形成されていてもよい。また、図示は省略するが、それぞれのセラミック誘電体毎に、凹溝の深さが異なるように構成してもよい。同様に、図2に示すように、セラミック誘電体3の表面21に凹部6が形成されている場合についても、単位電極2の表面から凹部6の底面までの深さについては、全ての凹部6が同じ深さとなるように形成されていてもよいし、異なる深さとなるように形成されていてもよい。
【0033】
また、セラミック誘電体3の表面21に形成する凹溝5の形成方向についても特に限定されることはなく、図1に示すように、プラズマを発生する空間が貫通する方向、例えば、単位電極2相互間に発生したプラズマに排気ガス等の流体を通過させて用いる場合には、その流体の流れ方向に沿って凹溝5が形成されていてもよいし、図8に示すように、プラズマを発生する空間が貫通する方向と交差する方向に沿って凹溝5が形成されていてもよい。図8において、図1に示したプラズマ発生電極1と同様に構成されている各要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
また、図1又は図2に示すように、本実施の形態のプラズマ発生電極1においては、セラミック誘電体3の表面21から複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の底部までのそれぞれの深さが、3〜200μmであることが好ましい。凹溝5及び/又は凹部6の深さが3μm未満であると、セラミック誘電体3の表面21が平坦な場合との差が少なくなり、上述したエッジ部分9近傍に高密度なプラズマを発生させるという効果が十分に得られないことがある。また、凹溝5及び/又は凹部6の深さが200μmを超えると、セラミック誘電体3の機械的強度が低下して、破損等を生じる恐れがある。
【0035】
また、本実施の形態のプラズマ発生電極1においては、単位電極2を構成するセラミック誘電体3の表面21から複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6の底部までのそれぞれの深さが、セラミック誘電体3の厚さの平均値の1/3以下であることが好ましい。セラミック誘電体3の厚さの平均値の1/3を超えると、セラミック誘電体3の機械的強度が低下して、破損等を生じる恐れがある。上述したセラミック誘電体3の厚さの平均値は、例えば、セラミック誘電体3の全体積の値を、セラミック誘電体3の一方の表面、具体的には、セラミック誘電体3の表面21のうち最長の辺と二番目に長い辺で構成される表面を平面とした場合の面積で除算することによって算出することができる。また、セラミック誘電体3の内部に配設された導電膜4の体積は、セラミック誘電体3の体積に対して十分に小さいために、上述したセラミック誘電体3の全体積を求める際には、単位電極2の全体積を近似的に用いることも可能である。
【0036】
本実施の形態のプラズマ発生電極1に用いられるセラミック誘電体3は、誘電体として好適に用いることができるものであれば特に限定されることはないが、例えば、セラミック誘電体3が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、ムライト、コージェライト、マグネシウム−カルシウム−チタン系酸化物、バリウム−チタン−亜鉛系酸化物、及びバリウム−チタン系酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。このような化合物を含むことによって、耐熱衝撃性に優れたセラミック誘電体3を得ることができる。本実施の形態に用いられるセラミック誘電体3は、テープ状の未焼成セラミック成形体、例えば、セラミックグリーンシート等を用いて形成することができ、また、押出成形で得られたシートを用いても形成することができる。さらに、粉末乾式プレスで作製した平板を用いることも可能である。
【0037】
複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6を形成する具体的な方法については、第三〜第六の発明のプラズマ発生電極の製造方法について説明する際に具体的に説明するが、焼成して得られたセラミック誘電体3の表面を機械加工、例えば、スライシング加工、ダイシング加工、超音波ホーンによる加工等によって形成してもよいし、焼成する前のセラミックグリーンシート(未焼成セラミック成形体)の表面に、凹溝5や凹部6の形状に対応した押型等を用いて成形してもよい。また、パンチングによって複数の孔が穿孔されたセラミックグリーンシート(以下、パンチングセラミックグリーンシートということがある)と、単なる板状のセラミックグリーンシートとを積層することにより作製された、その表面に複数の凹部6が形成された一枚のセラミックグリーンシート(未焼成セラミック成形体)を用いることもできる。このようなパンチングセラミックグリーンシートを利用して複数の凹部6を形成する場合には、上述したように、予め、一枚以上の板状のセラミックグリーンシートと積層したものを用いてもよく、また、単なる板状のセラミックグリーンシートに導電膜4を配設し、この導電膜4を配設した表面とは反対側の表面に、上述したパンチングセラミックグリーンシートや、パンチングセラミックグリーンシートとさらに別の板状のセラミックグリーンシートを積層したセラミックグリーンシート等を積層したものを用いてもよい。さらに、導電膜4を覆うように二枚の板状のセラミックグリーンシートを積層し、導電膜4を配設した表面とは反対側の表面の少なくとも一方にパンチングセラミックグリーンシート等を積層したものを用いてもよい。また、図9に示すプラズマ発生電極1のように、セラミックグリーンシート(未焼成セラミック成形体)の表面に、導電膜4を、その膜厚方向に貫通した複数の空隙部10を形成するように配設し、配設した導電膜4の空隙部10にセラミックグリーンシート(未焼成セラミック成形体)を入り込ませて、空隙部10の形状に対応した凹部6を形成してもよい。図9においては、セラミック誘電体3の表面21に複数の凹部6が形成されたものを示しているが、複数の凹溝5(図1参照)を形成するように空隙部10を溝状に形成してもよい。さらに、このように構成することによって、導電膜4の空隙部10により凹溝5(図1参照)や凹部6を形成するだけでなく、空隙部10の外周部分に比較的強い放電を生じさせることが可能となり、このように構成された導電膜4を有することにより、均一かつ安定なプラズマを低電力で発生させることができる。
【0038】
なお、図1〜図9に示したプラズマ発生電極1については、板状のセラミック誘電体3の両方の表面21に複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6が形成されたものを示しているが、本実施の形態のプラズマ発生電極1においては、少なくとも一方の表面21に複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6が形成されていればよい。また、図1〜図9に示したプラズマ発生電極1については、互いに対向する単位電極2の両方が、少なくとも一方の表面21に複数の凹溝5及び/又は複数の凹部6が形成されたものであるが、図示は省略するが、本実施の形態のプラズマ発生電極においては、互いに対向する単位電極のうちの少なくとも一方が、その少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成されていればよい。このような場合には、対向する他方の単位電極としては、従来公知の金属板等の電極等を好適に用いることができる。
【0039】
また、図1〜図9に示すように、単位電極2を構成する導電膜4は、単位電極2相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なものであればよく、特に限定されることはないが、例えば、導電膜4が、タングステン、モリブデン、マンガン、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケル、鉄、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含むことが好ましい。
【0040】
また、導電膜4を配設する方法については特に限定されることはないが、セラミック誘電体3に塗工して形成し、配設することが好ましい。具体的な方法としては、例えば、スクリーン印刷、カレンダーロール、スプレー、静電塗装、ディップ、ナイフコータ、化学蒸着、物理蒸着等を好適例として挙げることができる。このような方法によれば、塗工後の導電膜4表面の平滑性に優れ、かつ厚さの薄い導電膜4を容易に形成することができる。また、導電膜4は、単位電極2の外部からの電圧を直接印加することができるように、その一部がセラミック誘電体3に覆われていない通電部11を有することが好ましい。
【0041】
図1〜図9に示すように、本実施の形態のプラズマ発生電極1を構成するそれぞれの単位電極2は、その少なくとも一方の端部を保持部材7によって保持されている。この保持部材7は、単位電極2相互間を所定間隔に隔てた状態で良好に保持することができるものであればよく、その材料等については特に限定されることはないが、例えば、保持部材7が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、窒化珪素、ジルコニア、ムライト、コージェライト、及び結晶化ガラスからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。また、保持部材7は、局所的な沿面放電の防止の観点から、電気絶縁性を有することが好ましい。
【0042】
次に、第三の発明のプラズマ発生電極の製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法は、互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の一方の表面に導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた導電膜配設セラミック成形体に、その導電膜を被覆するように他の未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた単位電極前駆体の少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、そのセラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、プラズマ発生電極を構成する対向する単位電極の少なくとも一方として配置する製造方法である。このように構成することによって、図1に示すような、高密度なプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極1を、簡便かつ安価に製造することができる。
【0043】
以下、各工程毎に説明する。まず、プラズマ発生電極を構成するセラミック誘電体となる複数の未焼成セラミック成形体を形成する。この複数の未焼成セラミック成形体は、従来公知のセラミックグリーンシートを好適に用いることができる。具体的な方法としては、所定のセラミック粉末に適当なバインダ、焼結助剤、可塑剤、分散剤、有機溶媒等を配合してスラリーを調製する。上述したセラミック粉末としては、例えば、酸化アルミニウム、ムライト、コージェライト、窒化珪素、窒化アルミニウム等の粉末を好適に用いることができる。また、焼結助剤は、セラミック粉末100質量部に対して、3〜10質量部加えることが好ましく、可塑剤、分散剤及び有機溶媒については、従来公知のセラミックグリーンシートを形成するためのスラリーに使用されている可塑剤、分散剤及び有機溶媒を好適に用いることができる。なお、このスラリーはペースト状であってもよい。
【0044】
次に、得られたスラリーを、ドクターブレード法、カレンダー法、印刷法、リバースロールコータ法等の従来公知の手法に従って、所定の厚さとなるように成形して複数の未焼成セラミック成形体を形成する。このようにして形成された未焼成セラミック成形体は、切断、切削、打ち抜き、連通孔の形成等の加工を施したり、複数枚の未焼成セラミック成形体を積層した状態で熱圧着等によって一体的な積層物として用いてもよい。なお、この未焼成セラミック成形体は、導電膜を挟持した状態で二枚以上を積層し、焼成することによって一つのセラミック誘電体となるものであり、複数の未焼成セラミック成形体は、それぞれ略同じ大きさや厚さに形成してもよいし、異なる大きさや厚さに形成してもよい。
【0045】
一方、導電膜を形成するための導体ペーストを調製する。この導体ペーストは、例えば、モリブデン粉末にバインダ及びテルピネオール等の溶剤を加え、トリロールミルを用いて十分に混錬して得ることができる。なお、上述した未焼成セラミック成形体との密着性及び焼結性を向上させるべく、必要に応じて導体ペーストに添加剤を加えてもよい。
【0046】
このようにして得られた導体ペーストを、複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の表面に、例えば、スクリーン印刷等を用いて配設することにより所定の形状の導電膜を形成して、導電膜配設セラミック成形体を得る。なお、導電膜の配設方法については、カレンダーロール、スプレー、静電塗装、ディップ、ナイフコータ、化学蒸着、物理蒸着等の方法であってもよい。
【0047】
次に、導電膜配設セラミック成形体と、所定の未焼成セラミック成形体以外の他の未焼成セラミック成形体とを、導電膜配設セラミック成形体を構成する導電膜を覆うようにして積層し、導電膜を内部に配設した単位電極前駆体を得る。このように未焼成セラミック成形体を積層する際には、温度100℃、圧力10MPaで押圧しながら積層することが好ましい。
【0048】
次に、得られた単位電極前駆体の表面の少なくとも一方に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得る。具体的な方法としては、例えば、単位電極前駆体の少なくとも一方の表面に、凹溝や凹部の形状に対応した押型等を用いて形成することができる。また、パンチングによって複数の孔が穿孔された未焼成セラミック成形体を作製し、単位電極前駆体の少なくとも一方の表面に配設して凹部や凹溝を形成してもよいし、また、複数の孔が穿孔された未焼成セラミック成形体を単なる板状の未焼成セラミック成形体と積層して凹部を有する未焼成セラミック成形体し、これを単位電極前駆体の少なくとも一方の表面に配設してもよい。上述したように、複数の孔が穿孔された未焼成セラミック成形体を用いて複数の複数の凹溝や凹部を形成する際において、複数の孔を穿孔する方法等については特に限定されることはないが、例えば、特開2001−62784号公報に開示されているように、パンチングにより微細間隔aで微細径dの孔を複数穿孔する場合には、先に、微細間隔aの少なくとも二倍の間隔Aで微細径dの孔を含む少なくとも二つの孔を金型のパンチを用いて穿孔開始し、次いで、その穿孔開始したパンチを引き抜くことなく、その間隔Aの間において、穿孔済みの微細径dの孔に対して、少なくとも微細間隔aの間隔となるように穿孔する方法を好適に用いることができる。また、パンチングの際の打抜金型としては、特開2003−145494号公報に開示されているような、被加工材料を打ち抜くパンチ及びダイと、このパンチを案内するストリッパと、を有し、パンチを積層軸として、打ち抜いた被加工材料を積層する打抜同時積層加工に用いられる金型であって、パンチを含む上型とダイを含む下型とが離れているときにおいて、パンチとストリッパとの相対位置を変更可能とする調節手段Aと、及び、打ち抜き時におけるダイとストリッパとの隙間を変更可能とする調節手段Bと、を備える打抜同時積層用打抜金型を好適に用いることができる。このような穿孔方法や、打抜同時積層用打抜金型を用いることにより、容易に未焼成セラミック成形体に孔等を形成することが可能となり、凹溝や凹部を簡便に形成することができる。
【0049】
上述したように本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法においては、焼成前の単位電極前駆体を構成する比較的に柔らかい状態の未焼成セラミック成形体に加工を行うことから、凹溝及び/又は凹部の形成作業を簡便に行うことができる。なお、形成する凹溝及び/又は凹部の形状等については、第一の発明のプラズマ発生電極の実施の形態において説明した凹溝及び/又は凹部の形状等と同様に構成されていることが好ましい。
【0050】
このようにして、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して凹溝及び/又は凹部付き単位電極を形成する。この凹溝及び/又は凹部付き単位電極は、プラズマ発生電極を構成する単位電極の少なくとも一方となるものであり、上述した方法によってプラズマ発生電極に必要な枚数の凹溝及び/又は凹部付き単位電極を形成する。本実施の形態における焼成方法としては、例えば、一般的なセラミックを製造する際に行われる焼成方法を好適に用いることができる。
【0051】
また、別途、プラズマ発生電極を構成する単位電極を所定の間隔に保持するための保持部材を形成する。本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法においては、保持部材を形成する方法については特に限定されることはなく、例えば、ジルコニア粉末と有機バインダの混合粉体を金型プレス成形後、バインダ仮焼、本焼成し、必要に応じて研削加工により最終寸法仕上げを行うことによって保持部材を形成することができる。
【0052】
次に、互いに対向する単位電極のうちの少なくとも一方が、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極となるように、得られた保持部材で単位電極を所定の間隔に保持し、プラズマ発生電極を製造する。この際、互いに対向する単位電極の全てに凹溝及び/又は凹部付き単位電極を用いてもよいし、凹溝及び/又は凹部付き単位電極は対向する単位電極の一方のみとし、他方の電極は、従来公知の金属板等の電極を用いてもよい。以上のように構成することにより、図1に示すようなプラズマ発生電極1を簡便かつ低コストに製造することができる。
【0053】
次に、第四の発明のプラズマ発生電極の製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法は、互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するとともに、他方の表面に導電膜を配設して凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体に、その導電膜を被覆するように他の未焼成セラミック成形体を積層して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、そのセラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、プラズマ発生電極を構成する対向する単位電極の少なくとも一方として配置する製造方法である。
【0054】
本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法においては、上述した第三の発明の実施の形態と同様の方法によって、複数の未焼成セラミック成形体を得る。
【0055】
次に、得られた複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するとともに、他方の表面に導電膜を配設して凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体を得る。第三の発明の実施の形態においては、単位電極前駆体を得た後に、その少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するものであったが、本実施の形態においては、未焼成セラミック成形体を形成した状態で、その表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成する。複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成する方法については、第三の発明の実施の形態において説明した方法と同様の方法を用いることができ、例えば、凹溝や凹部の形状に対応した押型等を用いて形成してもよいし、また、パンチングによって複数の孔が穿孔された未焼成セラミック成形体を作製し、この複数の孔が穿孔された未焼成セラミック成形体を板状の未焼成セラミック成形体と積層して凹溝や凹部を形成してもよい。また導電膜についても第三の発明の実施の形態において説明した方法によって導体ペーストを調製し、同様の方法によって配設することができる。
【0056】
なお、複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成する工程と、導電膜を配設する工程については、どちらを先に行ってもよく、また、同時に行ってもよい。
【0057】
次に、このようにして得られた凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体に、この導電膜を被覆するように他の未焼成セラミック成形体を積層して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得る。他の未焼成セラミック成形体を積層する場合には、他の未焼成セラミック成形体を板状のまま使用して、一方の表面のみに凹溝及び/又は凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を形成してもよいし、他の未焼成セラミック成形体の積層する表面とは反対側の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成した凹溝及び/又は凹部付き未焼成セラミック成形体として積層し、その両方の表面に凹溝及び/又は凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を形成してもよい。
【0058】
このようにして凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得た以降の工程については、第三の発明の実施の形態と同様方法によってプラズマ発生電極を製造することができる。このように構成することによって、図1に示すようなプラズマ発生電極1を簡便かつ低コストに製造することができる。
【0059】
次に、第五の発明のプラズマ発生電極の製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法は、互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の一方の表面に導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた導電膜配設セラミック成形体に、導電膜を被覆するように他の未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた単位電極前駆体を焼成した後にその少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、セラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、プラズマ発生電極を構成する対向する単位電極の少なくとも一方として配置する製造方法である。このように構成することによって、図1に示すようなプラズマ発生電極1を簡便かつ低コストに得ることができる。前述した第三の発明の実施の形態の製造方法においては、単位電極前駆体を焼成する前に、複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するものであるが、本実施の形態の製造方法においては、単位電極前駆体を焼成した後に、その表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するものである。このように構成することによって、複数の凹溝及び/又は複数の凹部の形状の精度を向上させることができる。なお、複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成する方法としては、特に限定されることはないが、機械加工、例えば、スライシング加工、ダイシング加工、サンドブラスト加工、又は超音波ホーンによる加工等を好適例として挙げることができる。
【0060】
本実施の形態の製造方法においては、上述したように単位電極前駆体を焼成した後に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成する工程以外は、上述した第三の発明の実施の形態で説明した方法と同様の方法にて実現することが可能である。なお、形成する凹溝及び/又は凹部の形状等については、第一の発明のプラズマ発生電極の実施の形態において説明した凹溝及び/又は凹部の形状等と同様に構成されていることが好ましい。
【0061】
次に、第六の発明のプラズマ発生電極の製造方法の一の実施の形態について説明する。本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法は、互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の一方の表面に、その膜厚方向に貫通した複数の空隙部が形成された導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた導電膜配設セラミック成形体に、導電膜を被覆するように他の未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に、未焼成セラミック成形体に配設した導電膜の複数の空隙部の形状に対応した複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、セラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、プラズマ発生電極を構成する対向する単位電極の少なくとも一方として配置する製造方法である。このように構成することによって、図9に示したようなプラズマ発生電極1を簡便かつ低コストに製造することができる。
【0062】
本実施の形態のプラズマ発生電極の製造方法においては、まず、前述した第三の発明の実施の形態と同様の方法にて、複数の未焼成セラミック成形体を作製する。
【0063】
次に、得られた複数の未焼成セラミック成形体のうち所定の未焼成セラミック成形体の一方の表面に、その膜厚方向に貫通する空隙部が複数形成された導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を作製する。導電膜は、スクリーン印刷、カレンダーロール、スプレー、静電塗装、ディップ、ナイフコータ、化学蒸着、物理蒸着等の方法によって配設することができる。このように導電膜に空隙部を形成した導電膜配設セラミック成形体と、他の未焼成セラミック成形体とを重ね合わせることにより、導電膜の空隙部を埋めるように未焼成セラミック成形体が成形され、単位電極前駆体の表面に、導電膜の空隙部の形状に対応した複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成することができる。これ以降の工程は、第三の発明のプラズマ発生電極の製造方法の実施の形態と同様の方法によって、単位電極前駆体を焼成することにより、図9に示すような、少なくとも一方の表面21に、導電膜4の複数の空隙部10の形状に対応した複数の凹溝及び/又は複数の凹部6(図8においては、複数の凹部6のみが形成されている)が形成された板状のセラミック誘電体3と、セラミック誘電体3の内部に配設された導電膜4とを有する単位電極2を備えたプラズマ発生電極を製造することができる。
【0064】
次に、第二の発明のプラズマ反応器の一の実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態のプラズマ反応器を構成を模式的に示す断面図である。図10に示すように、本実施の形態のプラズマ反応器20は、図1に示したような本発明のプラズマ発生電極の一の実施の形態(プラズマ発生電極1)と、所定の成分を含むガスの流路(ガス流路13)を内部に有するケース体12とを備え、このガスがケース体12のガス流路13に導入されたときに、プラズマ発生電極1によって発生したプラズマによりガスに含まれる所定の成分が反応することが可能なものである。本実施の形態のプラズマ反応器20においては、第一の発明の実施の形態のプラズマ発生電極1を備えてなることから、高密度なプラズマを発生させることが可能となり、例えば、このプラズマ反応器20を排気ガス処理装置として用いた場合には、高効率にかつ低エネルギーで排気ガスを処理することができる。
【0065】
本実施の形態のプラズマ反応器20を構成するケース体12の材料としては、特に制限はないが、例えば、優れた導電性を有するとともに、軽量かつ安価であり、熱膨張による変形の少ないフェライト系ステンレス等であることが好ましい。
【0066】
また、図示は省略するが、本実施の形態のプラズマ反応器においては、プラズマ発生電極に電圧を印加するための電源をさらに備えていてもよい。この電源については、プラズマを有効に発生させることができる電流を供給することが可能なものであれば、従来公知の電源を好適に用いることができる。また上述した電源としては、パルス電源であることが好ましく、この電源が、その内部に少なくとも一つのSIサイリスタを有することがさらに好ましい。このような電源を用いることによって、さらに効率よくプラズマを発生させることができる。
【0067】
また、本実施の形態のプラズマ反応器においては、上述したように電源を備えた構成とせずに、外部の電源から電流を供給するような構成としてもよい。
【0068】
プラズマ反応器を構成するプラズマ発生電極に供給する電流については、発生させるプラズマの強度によって適宜選択して決定することができる。例えば、プラズマ反応器を自動車の排気系中に設置する場合には、プラズマ発生電極に供給する電流が、電圧が1kV以上の直流電流、ピーク電圧が1kV以上かつ1秒あたりのパルス数が100以上(100Hz以上)であるパルス電流、ピーク電圧が1kV以上かつ周波数が100以上(100Hz以上)である交流電流、又はこれらのいずれか二つを重畳してなる電流であることが好ましい。このように構成することによって、効率よくプラズマを発生させることができる。
【0069】
また、自動車等のエンジンから排出されるガスが通過する排気形に本実施の形態のプラズマ反応器と触媒とを組合わせて配設することにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物等の有害物質をより有効に除去することができる。
【0070】
上述したように本実施の形態のプラズマ反応器とともに用いられる触媒としては、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ガリウム(Ga)等から選択させる一種又は二種以上の組合わせからなり、これらの金属を多孔質担体に担持して構成された触媒を好適に用いることができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
図11に示すような、表面に複数の凹溝5が形成された板状のセラミック誘電体3と、セラミック誘電体3の内部に配設された導電膜4とを有してなる単位電極2を備えたプラズマ発生電極1を作製し、このプラズマ発生電極1を、所定の成分を含むガスの流路を有するケース体の内部に配設してプラズマ反応器(実施例1)を製造した。本実施例に用いたプラズマ発生電極1は、1mmの厚さのセラミック誘電体3の両側に表面のそれぞれに、幅100μm、深さ100μmの凹溝5を、セラミック誘電体3の表面を平面とした面積の50%に相当する領域に形成した。なお、本実施例に用いられるプラズマ発生電極1を構成するセラミック誘電体3の厚さの平均値は0.9mmである。
【0073】
本実施例のプラズマ反応器に、ガス流量が1.0Nm3/minとなる条件で、プロパンガスバーナ燃焼排気ガスを通気したところ、排気ガスに含まれる一酸化窒素を、82体積%の割合で二酸化窒素に変換し、また、同様に排気ガスに含まれる煤を、58質量%の割合で除去(酸化処理)することができた。
【0074】
(比較例1)
その表面が平坦な、板状のセラミック誘電体と、セラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有してなる単位電極を備えたプラズマ発生電極を作製し、このプラズマ発生電極を、所定の成分を含むガスの流路を有するケース体の内部に配設してプラズマ反応器(比較例1)を製造した。比較例1に用いたプラズマ発生電極を構成するセラミック誘電体の厚さは、1mmである。
【0075】
実施例1と同様の方法で、プラズマ反応器の排気ガスを通気したところ、一酸化窒素は68体積%の割合で変換され、煤は41質量%の割合で除去することができたが、実施例1のプラズマ反応器と比較すると、共に低い値であり、排気ガスを処理するものとしては、十分なものではなかった。
【0076】
(比較例2)
その表面に、凸状の突起を形成した板状のセラミック誘電体と、セラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有してなる単位電極を備えたプラズマ発生電極を作製し、このプラズマ発生電極を、所定の成分を含むガスの流路を有するケース体の内部に配設してプラズマ反応器(比較例1)を製造した。比較例2に用いたプラズマ発生電極を構成するセラミック誘電体の厚さは1mmであり、突起の高さは、100μmである。
【0077】
実施例1と同様の方法で、プラズマ反応器の排気ガスを通気したところ、一酸化窒素は70体積%の割合で変換され、煤は42質量%の割合で除去することができたが、実施例1のプラズマ反応器と比較すると、共に低い値であり、排気ガスを処理するものとしては、十分なものではなかった。
【0078】
(実施例2)
実施例1のプラズマ反応器の後流に触媒を配設し、NOx浄化性能を評価した。触媒は、市販のγ−Al23に白金(Pt)を5質量%含浸した触媒粉末をコーディエライト製のセラミックハニカム構造体に担持したものを用いた。この触媒の大きさは、直径1インチ(約2.54cm)、長さ60mmの円柱状である。また、セラミックハニカム構造体は400セルで、セルを区画する隔壁の厚さ(リブ厚)が4ミル(約0.1mm)である。なお、プラズマを発生させる条件、及び排気ガスの通気条件については、実施例1と同様である。
【0079】
その結果、排気ガスに含まれるNOが、排気ガスをプラズマ反応器と触媒とを通過した後にNOxとして80体積%浄化した。
【0080】
(比較例3)
比較例1のプラズマ反応器の後流に触媒を配設し、NOx浄化性能を評価した。触媒は、実施例2に用いた触媒を同様の触媒を用いた。また、プラズマを発生させる条件、及びガスの通気条件については、比較例1と同様である。
【0081】
比較例3においては、排気ガスに含まれるNOがNOxとして65体積%しか浄化しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のプラズマ発生電極及びプラズマ反応器は、エネルギー状態の高い高密度なプラズマを発生させることができることから、排気ガス等に含まれる所定の成分を処理する排気ガス処理装置等に好適に用いることができる。また、本発明のプラズマ発生電極の製造方法は、簡便かつ低コストに上述したプラズマ発生電極を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極であって、
互いに対向する前記単位電極のうちの少なくとも一方が、少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された導電膜とを有してなり、前記単位電極相互間に電圧を印加した際に、前記セラミック誘電体の表面と、複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の側面とによって構成されるエッジ部分近傍に、前記エッジ部分近傍以外の前記単位電極相互間に発生するプラズマよりも密度の高いプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極。
【請求項2】
複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が、前記セラミック誘電体の表面を平面とした面積の20〜80%に相当する領域に形成されてなる請求項1に記載のプラズマ発生電極。
【請求項3】
複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の、前記セラミック誘電体の表面から複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の底部までのそれぞれの深さが、3〜200μmである請求項1又は2に記載のプラズマ発生電極。
【請求項4】
複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の、前記セラミック誘電体の表面から複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部の底部までのそれぞれの深さが、前記セラミック誘電体の厚さの平均値の1/3以下である請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ発生電極。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ発生電極と、所定の成分を含むガスの流路(ガス流路)を内部に有するケース体とを備え、前記ガスが前記ケース体の前記ガス流路に導入されたときに、前記プラズマ発生電極で発生したプラズマにより前記ガスに含まれる前記所定の成分が反応することが可能なプラズマ反応器。
【請求項6】
前記プラズマ発生電極に電圧を印加するためのパルス電源をさらに備えた請求項5に記載のプラズマ反応器。
【請求項7】
前記パルス電源が、その内部に少なくとも一つのSIサイリスタを有する請求項6に記載のプラズマ反応器。
【請求項8】
互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた前記単位電極前駆体の少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法。
【請求項9】
互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成するとともに、他方の表面に導電膜を配設して凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法。
【請求項10】
互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた前記単位電極前駆体を焼成した後にその少なくとも一方の表面に複数の凹溝及び/又は複数の凹部を形成して、少なくとも一方の表面に複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法。
【請求項11】
互いに対向する二つ以上の板状の単位電極を備え、前記単位電極相互間に電圧を印加することによってプラズマを発生させることが可能なプラズマ発生電極の製造方法であって、セラミック原料を板状に成形して複数の未焼成セラミック成形体を得、得られた複数の前記未焼成セラミック成形体のうち所定の前記未焼成セラミック成形体の一方の表面に、その膜厚方向に貫通した複数の空隙部が形成された導電膜を配設して導電膜配設セラミック成形体を得、得られた前記導電膜配設セラミック成形体に、前記導電膜を被覆するように他の前記未焼成セラミック成形体を積層して板状の単位電極前駆体を得、得られた前記単位電極前駆体を焼成して、少なくとも一方の表面に、前記導電膜の複数の前記空隙部の形状に対応した複数の前記凹溝及び/又は複数の前記凹部が形成された板状のセラミック誘電体と、前記セラミック誘電体の内部に配設された前記導電膜とを有する凹溝及び/又は凹部付き単位電極を得、得られた前記凹溝及び/又は凹部付き単位電極を、前記単位電極の少なくとも一方として配置するプラズマ発生電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図3(d)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【国際公開番号】WO2005/055678
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516027(P2005−516027)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018287
【国際出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】