説明

プラズマ誘導バーチャルタービン翼形部後縁延長部

【課題】タービン翼形部、特にタービン翼形部後縁の空気力学に関する。
【解決手段】本後縁渦流低減システムは、翼長方向に延びるガスタービンエンジン翼形部39と、翼形部の後縁TEの周りの後縁領域89内で翼長方向に延びる1以上のプラズマ発生器とを含む。プラズマ発生器2は、第1及び第2の複数のプラズマ発生器をそれぞれ翼形部の正圧及び負圧側面46,48上に位置させた状態で、翼形部の外壁上に取付けることができる。プラズマ発生器は、外壁の外側高温表面の溝内に配置された誘電体によって分離された内側及び外側電極を含むことができる。プラズマ発生器は、翼形部の後端部に設置することができ、内側電極は、後縁基部34と同一平面になるようにすることができる。本システムを作動させる方法は、1以上のプラズマ発生器を定常状態又は非定常モードで電力供給する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン翼形部、特にタービン翼形部後縁の空気力学に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なターボファン型ガスタービンエンジンは一般的に、前方ファン及びブースタ又は低圧圧縮機と、中間コアエンジンと、ファン及びブースタ又は低圧圧縮機に動力を供給する低圧タービンとを含む。コアエンジンは、直列流れ関係で、高圧圧縮機と、燃焼器と、高圧タービンとを含む。コアエンジンの高圧圧縮機及び高圧タービンは、高圧シャフトによって連結される。高圧圧縮機からの高圧空気は、燃焼器内で燃料と混合されかつ点火されて非常に高温の高エネルギーガス流を形成する。ガス流は、高圧タービンを通って流れて、該高圧タービン及び高圧シャフトを回転可能に駆動し、高圧シャフトはつぎに、高圧圧縮機を回転可能に駆動する。
【0003】
高圧タービンを出たガス流は、第2の又は低圧タービンを通って膨張する。低圧タービンは、低圧シャフトを介してファン及びブースタを回転可能に駆動する。低圧シャフトは、高圧ロータを貫通して延びる。発生推力の大部分は、ファンによって生成される。船舶用又は産業用ガスタービンエンジンは、発電機、船用プロペラ、ポンプ及びその他の装置に動力を供給する低圧タービンを有するが、ターボプロップエンジンは、低圧タービンを使用して、通常はギアボックスを介してプロペラに動力を供給する。
【0004】
高圧及び低圧タービンは、半径方向内側及び外側バンド間で半径方向に延びる少なくとも1つの円周方向に間隔を置いて配置された翼形部又はベーンの列を含む少なくとも1つのタービンノズルを有する。ベーンは通常、中空であり、圧縮機からの冷却空気で冷却される外壁を有する。冷却されるタービンベーンの外壁上を流れる高温ガスは、ベーン外壁の高温外側表面及び高温ガスがその上を通過する内側及び外側バンドの端部壁高温表面に沿った流れ境界層及び温度境界層を生成する。高圧及び低圧タービンはまた、タービンブレードプラットフォームから半径方向外向きに延びる円周方向に間隔を置いて配置された翼形部を含む少なくとも1つのタービンロータブレード列を有する。ステータベーン及びロータブレードを含む高圧タービン翼形部は一般的に、内部対流冷却と外部フィルム冷却とを必要とする。これらの翼形部は一般的に、冷却空気通路、ピン及びタービュレータのような内部冷却形状部を含むように鋳造される。従って、タービン翼形部は通常、圧縮機翼形部よりも厚い。幾つかのタービン翼形部の後縁は、約30〜50ミルまで薄くなるようにテーパ状にされる。高温ガスがタービン翼形部上を流れる時に、後縁の厚さによって引き起こされる圧力勾配により、後縁基部において渦流発生が生じる。この渦流発生は、時に遮断効果と呼ばれることもある望ましくない圧力損失を引き起こす。機械的制約条件及び鋳造上の制約条件により、この後縁の厚さは、物理的にさらに薄くすることができない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0005545A1号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0104807A1号公報
【特許文献3】米国特許第5,181,379号公報
【特許文献4】米国特許第5,233,828号公報
【特許文献5】米国特許第5,241,827号公報
【特許文献6】米国特許第5,337,568号公報
【特許文献7】米国特許第5,419,681号公報
【特許文献8】米国特許第5,465,572号公報
【特許文献9】米国特許第5,503,529号公報
【特許文献10】米国特許第5,651,662号公報
【特許文献11】米国特許第5,660,525号公報
【特許文献12】米国特許第5,747,769号公報
【特許文献13】米国特許第6,619,030号公報
【特許文献14】米国特許第6,655,149号公報
【特許文献15】米国特許第6,708,482号公報
【特許文献16】米国特許第6,732,502号公報
【特許文献17】米国特許第6,761,956号公報
【特許文献18】米国特許第6,991,430号公報
【特許文献19】米国特許第7,008,179号公報
【特許文献20】米国特許第7,094,027号公報
【非特許文献1】"Overview of Plasma Flow Control: Concepts, Optimization, and Applications", Thomas C. Corke and Martiqua L. Post, 43rd AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit, 10-13 January 2005, Reno, Nevada, AOAA 2005-563, 15 pages
【非特許文献2】"Plasma Control of Boundary Layer Using Low-Temperature Non-Equilibrium Plasma of Gas Discharge", D. F. Opaits, D. V. Roupassov, S. M. Starikovskaia, A. Yu. Starikovskii, I. N. Zavialov, and S. G. Saddoughi, 43rd AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit, 10-13 January 2005, Reno, Nevada, AIAA 2005-1180, 6 pages
【非特許文献3】"Demonstration of Separation Delay With Glow-Discharge Plasma Actuators", Lennart S. Hultgren and David E. Ashpis, 41st AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit, 6-9 January 2003, Reno, Nevada, AIAA 2003-1025, 10 pages
【非特許文献4】"Unsteady Plasma Actuators for Separation Control of Low-Pressure Turbine Blades", Junhui Huang, Thomas C. Corke and Flint O. Thomas, AIAA Journal, Vol. 44, No. 7, July 2006, pages 1477-1487
【非特許文献5】"Control of Separation in Turbine Boundary Layers", R. B. Rivir, R. Sondergaard, J. P. Bons, and N. Yurchenko, 2nd AIAA Flow control conference, 28 June - 1 July 2004, Portland, Oregon, 16 pages
【非特許文献6】"Plasma Flow Control Optimized Airfoil", Thomas C. Corke, Benjamin Mertz, and Mehul P. Patel, 44th AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit, 9-12 January 2006, Reno, Nevada, AIAA 2006-1208, 13 pages
【非特許文献7】"Control of Transitional and Turbulent Flows Using Plasma-Based Actuators", Miguel R. Visbal, Datta V.Gaitonde, and subrata Roy, 36th AIAA Fluid Dynamics Conference and Exhibit, 5-8 June 2006, San Francisco, California, AIAA 2006-3230, 22 pages
【非特許文献8】"AC And Pulsed Plasma Flow Control", R. Rivir, A. White, C. Carter, B. Ganguly, J. Jacob, A. Forelines, and J. Crafton, 42nd AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit, 5-8 January 2004, Reno, Nevada, AIAA 2004-847, 9 pages
【非特許文献9】"Effects of Plasma Induced Velocity On Boundary Layer Flow", Brian D. Balcer, Milton D. Franke, and Richard B. Rivir, 44th AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit, 9-12 January 2006, Reno, Nevada, AIAA 2006-875, 12 pages
【非特許文献10】"Flow Control Using Plasma Actuators and Linear / Annular Plasma Synthetic Jet Actuators", Arvind Santhanakrishan, Jamey D. Jacob, and Yildirim B. Suzen, 3rd AIAA Flow control Conference, 5-8 June 2006, San Francisco, California, AIAA 2006-3033, 31 pages
【非特許文献11】"Turbulent Drag Reduction by Surface Plasma through Spanwise Flow Oscillation", Timothy N. Jukes, Kwing-So Choi, Graham A. Johnson, and Simon J. Scott, 3rd AIAA Flow Control Conference, 5-8 June 2006, San Francisco, California, AIAA 2006-3693, 14 pages
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より良いタービン効率を達成するために、渦流発生によるこの望ましくない圧力損失を低減又は排除することができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後縁渦流低減システムは、その前縁及び後縁間で翼弦方向に延びかつ翼形部根元から翼形部先端まで翼長方向に外向きに延びるガスタービンエンジン翼形部を含む。翼形部は、前縁及び後縁間で翼弦方向延びる正圧及び負圧側面を含む。翼形部はさらに、後縁における後縁基部と、前記後縁の周りで延びかつ後縁基部を含む後縁領域とを含む。1つ又はそれ以上のプラズマ発生器が、後縁領域内において翼長方向に延びる。
【0007】
プラズマ発生器は、翼形部の外壁上に取付けることができる。それぞれ翼形部の正圧及び負圧側面上には、第1及び第2の複数のプラズマ発生器を取付けることができる。プラズマ発生器は、誘電体材料によって分離された内側及び外側電極を有することができ、誘電体材料は、翼形部の外壁の外側高温表面の溝内に配置することができる。電極に対して交流(AC)電源を接続して、電極に高電圧AC電位を供給する。プラズマ発生器はまた、後縁領域内において、後縁基部に隣接しかつ該後縁基部と同一平面になるように正圧側面及び/又は負圧側面に沿ってさらに後方つまり下流に配置することもできる。
【0008】
本システムは、半径方向内側及び外側バンド間で半径方向翼長方向に延びる翼形部を含む高圧タービンノズルベーンで使用することができる。本システムは、ブレードプラットフォーム上のブレード根元から半径方向外向きに延びる翼形部を含む高圧タービンロータブレードで使用することができる。
【0009】
本後縁渦流低減システムを作動させる1つの方法は、ガスタービンエンジン翼形部の後縁領域内において1つ又はそれ以上のプラズマ発生器に電力供給する段階を含む。プラズマ発生器は、定常状態又は非定常モードで作動させることができる。
【0010】
本発明の上述の態様及びその他の特徴は、添付の図面に関連させて行う以下の記述において説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すのは、エンジン中心軸線8の周りを囲んだ例示的なターボファンガスタービンエンジン10であり、このガスタービンエンジン10は、周囲空気14を受けるファン12と、ブースタ又は低圧圧縮機(LPC)16と、高圧圧縮機(HPC)18と、燃焼器20と、高圧タービン(HPT)22と、それにより燃焼ガスがエンジン10から排出される低圧タービン(LPT)24とを有する。HPT22は、HPC18に結合されて実質的に高圧ロータ29を形成する。低圧シャフト28は、LPT24をファン12及び低圧圧縮機16の両方に結合する。第2の又は低圧シャフト28は、第1の又は高圧ロータと同軸にかつ該高圧ロータの半径方向内側に少なくとも部分的に回転可能に配置される。主燃焼器20は、内側及び外側燃焼器ライナ74、76を含む。主燃焼器20は、HPC18によって加圧された空気14と燃料を混合して、タービンを通って下流に流れる燃焼ガスつまりガス流19を発生させるようにする。
【0012】
図2〜図5に示すのは、高圧タービン22のタービンノズル30であり、燃焼器20から高温ガス流19がその中に吐出される。より一般的にはベーン組立体31とも呼ばれる、本明細書に示すタービンノズル30の例示的な実施形態は、円周方向に間隔を置いて配置されたベーン32の列33を含む。これらのベーン32は、それぞれ半径方向内側及び外側バンド38、49間で半径方向翼長方向SDに延びる翼形部39を有する。翼形部39の各々は、該翼形部の前縁LE及び後縁TE間で翼弦方向Cに延びかつ翼形部根元84から翼形部先端82まで翼長方向SDに半径方向外向きに延びる。後縁TEは、後縁基部34と呼ばれる後方つまり下流に面した表面を有する。本明細書に示すタービンノズル30の例示的な実施形態では、バンド及び翼形部は、典型的にはセグメント42当たり2つの翼形部32を備えた円周方向セグメント42として形成される。2つよりも多くのセグメントを設けることができ、これらのセグメントは一般的に、それらの間の従来型のスプラインシールによって互いに適切に接合された軸方向の分割線を有する
各翼形部39は、正圧側面46及び円周方向に対向する負圧側面48を有する外壁26を含み、これら側面は、それぞれ対向する前縁及び後縁LE、TE間で軸方向翼弦方向Cに延びる。翼形部39及び外壁26は、内側及び外側バンド38、40間で半径方向翼長方向SDに延びる。翼形部39の各々は、内側バンド38から外側バンド40まで延びる半径方向に測定した翼長Sを有する。高温燃焼ガス流19は、翼形部39間の流路50内を通って流れる。流路50は、内側及び外側バンド38、40のガス流19に対する内側高温表面52と、翼形部39の正圧及び負圧側面46、48に沿った外壁26の外側高温表面54とによって境界付けられる。高圧タービン22は、少なくとも1つの円周方向に間隔を置いて配置された高圧タービンブレード80列を含む。タービンブレード80の各々は、ブレードプラットフォーム86上の翼形部根元84から翼形部先端82まで半径方向外向きに延びるタービン翼形部39を有する。タービン翼形部39は、ブレードプラットフォーム86から翼形部先端82まで延びる半径方向に測定した翼長Sを有する。翼形部は、翼形部後縁TE全体にわたり後方つまり下流方向に面した翼形部後縁基部まで、後方つまり下流方向に薄くなるようにテーパ状になっている。
【0013】
圧縮機吐出空気45の一部分は、加圧冷却空気35をタービンノズル30に供給して、中空翼形部39並びに内側及び外側バンドを含む該タービンノズル30の様々な構成部品を冷却するようにするために使用される。冷却空気35はまた、高圧タービン22の回転可能なブレード先端82を囲む環状シュラウド72をフィルム冷却するためにも使用される。外壁26は、図1及び図2に示すように、高圧圧縮機18の下流端部にある最終高圧圧縮機段43からの圧縮機吐出空気45の一部分である加圧冷却空気35を使用することによってフィルム冷却される。その圧縮機吐出空気45の部分は、外側燃焼器ライナ76の周りを流れ、該外側燃焼器ライナ76の下流フランジ47内のライナ開口44を介して冷却空気プレナム56内に流入する。冷却空気プレナム56内に流入した圧縮機吐出空気45の部分は、冷却空気35として使用され、翼形部39の中空内部内に流入する。フィルム冷却開口49は、中空内部から壁26の外側高温表面54まで該壁26を横切ってほぼ下流方向Dに延びる。
【0014】
翼形部39の正圧及び負圧側面46、48に沿って流れるガス流19は、図6に示すように、後縁TEの厚さTによって生じる圧力勾配により、後縁基部34において渦流発生を引き起こす。この渦流発生により、望ましくない圧力損失が生じる。これらの損失は、時として遮断効果と呼ばれることもある。機械的制約条件及び鋳造上の制約条件によって、後縁の厚さをさらに薄くすることは物理的にできない。後縁渦流低減システム11は、後縁領域89内において翼形部39の正圧及び負圧側面46、48間の後縁基部34における渦流発生の強さを低減又は最小にするために使用される。後縁渦流低減システム11は、下流方向テーパ状プラズマ誘導バーチャル後縁延長部91を生成し、このプラズマ誘導バーチャル後縁延長部91が、より良好なタービン効率を達成するように有効後縁厚さを空気力学的に減少させる。
【0015】
図5及び図6を参照すると、本明細書に示す後縁渦流低減システム11の例示的な実施形態は、図5及び図6に示すように翼形部39の後縁領域89内において、後縁基部34に近接して正圧側面46及び/又は負圧側面48に沿ったほぼ翼長方向つまり半径方向に延びるプラズマ発生器2を有する。プラズマ発生器2はまた、図9及び図10に示すように、後縁領域89内において、後縁基部34に隣接しかつ該後縁基部34と同一平面になるように正圧側面46及び/又は負圧側面48に沿ってさらに後方つまり下流に配置することもできる。正圧及び負圧側面46、48の各々に沿って、1つ又はそれ以上のプラズマ発生器2を設けることができる。プラズマ発生器2は、翼形部39の翼長Sに沿ってある程度延びることができる。後縁領域89は、後縁基部34を含み、後縁基部34から翼形部39の周りで該翼形部39の正圧及び負圧側面46、48の小部分まで翼弦方向に延びる。
【0016】
本明細書に示す後縁渦流低減システム11の例示的な実施形態では、1つのプラズマ発生器2が、後縁領域89内において翼形部39の正圧及び負圧側面46、48並びに後縁基部34の各々上に取付けられる。プラズマ発生器2は、弱電離(イオン化)した空気のプラズマ90を生成するように作動可能であり、イオン化空気のプラズマ90は、正圧側面及び/又は負圧側面から後縁基部34まで流動しかつ該後縁基部34から下流方向Dつまり後向きに延びる延長したテーパ状バーチャル後縁延長部91を形成する境界層流を誘導する。バーチャル後縁延長部91は、図6に示すように、後縁TEの厚さTによって生じる圧力勾配による後縁基部34における渦流発生を低減又は排除する。これにより、望ましくない圧力損失が低減又は排除される。バーチャル後縁延長部91は、より良好なタービン効率を達成するように有効後縁厚さを空気力学的に減少させる。
【0017】
図7を参照すると、プラズマ発生器2の各々は、誘電体材料5によって分離された内側及び外側電極3、4を含む。誘電体材料5は、後縁領域89内において、翼形部39の外壁26、具体的には該翼形部39の正圧及び負圧側面46、48並びに後縁基部34上の外側高温表面54の翼長方向に延びる溝6内に配置される。電極に対してAC電源100を接続して、電極に高電圧AC電位を供給する。AC振幅が十分に大きい場合には、ガス流19は、最大電位領域内でイオン化して、プラズマ90を形成する。上述したように、プラズマ発生器2はまた、図9及び図10に示すように、内側電極3が後縁基部34と同一平面になるように、後縁領域89内において正圧側面46及び/又は負圧側面48に沿ってさらに後方つまり下流に配置することもできる。
【0018】
プラズマ90は一般に、ガス流19に曝された外側電極4の端縁部102で始まり、外側電極4が突出しかつ誘電体材料5によって覆われた区域104にわたって広がる。正圧側面及び/又は負圧側面上のプラズマ発生器2が作動している時には、プラズマ90により、誘導境界層流70が正圧側面及び/又は負圧側面からの境界層流83から後縁基部34に流動しかつ該後縁基部34から下流方向Dつまり後向きに延びる延長したテーパ状バーチャル後縁延長部91を形成するようになる。
【0019】
プラズマ発生器2が作動停止されている時には、バーチャル後縁延長部91は消滅し、後縁基部34は、後縁領域89内における有効後縁となる。プラズマ発生器2は、定常状態又は非定常モードのいずれかで作動させることができる。プラズマ発生器2及びもしエンジンがそれを有する場合には能動的隙間制御システムを制御しかつそれらを作動させまた作動停止させるために、電子制御装置51を使用することができる。
【0020】
事例的方法で、本発明を説明してきた。使用した専門用語は、限定としてではなく説明の用語の性質としてのものであることを意図していることを理解されたい。本明細書では、本発明の好ましくかつ例示的な実施形態であると考えられものについて説明してきたが、本明細書の教示から当業者には本発明のその他の変更が明らかになる筈であり、従って、全てのそのような変更は本発明の技術思想及び技術的範囲内に属するものとして特許請求の範囲で保護されることが望まれる。
【0021】
従って、本特許によって保護されることを望むものは、特許請求の範囲に記載しかつ特定した発明である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エンジンの高圧タービンセクションのタービンベーン及びロータブレードに対して後縁渦流低減システムを示した航空機ガスタービンエンジンの例示的な実施形態の長手方向断面図。
【図2】図1に示すベーン及びブレードの拡大図。
【図3】図2に示すブレード及びプラズマ発生器の斜視図。
【図4】図2に示すベーン組立体のベーン及びプラズマ発生器の斜視図。
【図5】図2に示すベーン又はブレードの翼形部の後縁領域の斜視図。
【図6】図5に示す後縁領域の断面図。
【図7】図4に示すプラズマ発生器が電力供給状態になっている後縁渦流低減システムの概略図。
【図8】図4に示すプラズマ発生器が作動停止状態になっている後縁渦流低減システムの概略図。
【図9】プラズマ発生器が後縁の後方コーナ部に置かれかつ翼形部の後縁基部と部分的に同一面になっている、図5に示す後縁領域の断面図。
【図10】図9に示すプラズマ発生器が電力供給状態になっている後縁渦流低減システムの概略図。
【符号の説明】
【0023】
2 プラズマ発生器
3 内側電極
4 外側電極
5 誘電体材料
6 溝
8 エンジン中心軸線
10 ガスタービンエンジン
11 後縁渦流低減システム
12 ファン
14 周囲空気
16 ブースタ又は低圧圧縮機(LPC)
18 高圧圧縮機(HPC)
19 ガス流
20 燃焼器
22 高圧タービン(HPT)
24 低圧タービン(LPT)
26 外壁
28 低圧シャフト
29 高圧ロータ
30 タービンノズル
31 ベーン組立体
32 ベーン
33 列
34 後縁基部
35 冷却空気
38 内側バンド
39 翼形部
40 外側バンド
42 セグメント
43 高圧圧縮機段
44 ライナ開口
45 圧縮機吐出空気
46 正圧側面
47 下流フランジ
48 負圧側面
49 フィルム冷却開口
50 流路
51 電子制御装置
52 内側高温表面
54 外側高温表面
56 冷却空気プレナム
70 誘導境界層流
72 環状シュラウド
74 内側燃焼器ライナ
76 外側燃焼器ライナ
80 タービンブレード
82 翼形部先端
83 境界層流
84 翼形部根元
86 ブレードプラットフォーム
89 後縁領域
90 プラズマ
91 バーチャル後縁延長部
100 AC電源
102 端縁部
104 区域
C 翼弦方向
D 下流方向
T 厚さ
S 翼長
SD 翼長方向
LE 前縁
TE 後縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その前縁(LE)及び後縁(TE)間で翼弦方向(C)に延びかつ翼形部根元(84)から翼形部先端(82)まで翼長方向(SD)に外向きに延びるガスタービンエンジン翼形部(39)を含み、
前記翼形部(39)が、前記前縁(LE)及び後縁(TE)間で翼弦方向(C)に延びる正圧及び負圧側面(46、48)と、前記後縁(TE)における後縁基部(34)と、前記後縁(TE)の周りで延びかつ前記後縁基部(34)を含む後縁領域(89)とを有し、
1つ以上のプラズマ発生器(2)が、前記後縁領域(89)内において前記正圧側面(46)及び/又は負圧側面(48)に沿って翼長方向(SD)に少なくともある程度延びる、
ことを特徴とする後縁渦流低減システム(11)。
【請求項2】
前記プラズマ発生器(2)が複数であり、前記翼形部(39)の外壁(26)上に取付けられ、
第1の複数のプラズマ発生器(2)が、前記翼形部(39)の正圧側面(46)上に位置し、
第2の複数のプラズマ発生器(2)が、前記翼形部(39)の負圧側面(48)上に位置する、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載のシステム(11)。
【請求項3】
前記プラズマ発生器(2)が複数であり、前記翼形部(39)の外壁(26)上に取付けられ、
第1のプラズマ発生器(2)が、前記翼形部(39)の正圧側面(46)上に位置し、
第2のプラズマ発生器(2)が、前記翼形部(39)の負圧側面(48)上に位置する、
ことをさらに特徴とする、請求項1記載のシステム(11)。
【請求項4】
前記プラズマ発生器(2)が、誘電体材料(5)によって分離された内側及び外側電極(3、4)を含むことをさらに特徴とする、請求項1記載のシステム(11)。
【請求項5】
前記プラズマ発生器(2)が、前記翼形部(39)の後端部に設置され、
前記内側電極(3)が、前記後縁基部(34)と同一平面になっていることをさらに特徴とする、請求項4記載のシステム(11)。
【請求項6】
前記誘電体材料(5)が、前記翼形部(39)の外壁(26)の外側高温表面(54)の溝(6)内に配置されることをさらに特徴とする、請求項4記載のシステム(11)。
【請求項7】
前記プラズマ発生器(2)が複数であり、
前記翼形部(39)の正圧側面(46)上に位置する第1の複数のプラズマ発生器(2)と、
前記翼形部(39)の負圧側面(48)上に位置する第2の複数のプラズマ発生器(2)と、
前記翼形部(39)の正圧側面(46)上に位置する第1のプラズマ発生器(2)と、
前記翼形部(39)の負圧側面(48)上に位置する第2のプラズマ発生器(2)と、
を含むことをさらに特徴とする、請求項6記載のシステム(11)。
【請求項8】
後縁渦流低減システム(11)を作動させる方法であって、
ガスタービンエンジン翼形部(39)の後縁領域(89)内において1つ又はそれ以上の翼長方向に延びるプラズマ発生器(2)に電力供給する段階、
を含み、ここで、
前記翼形部(39)が、該翼形部の前縁(LE)及び後縁(TE)間で翼弦方向(C)に延びかつ翼形部根元(84)から翼形部先端(82)まで翼長方向(SD)に外向きに延び、また前記前縁(LE)及び後縁(TE)間で翼弦方向(C)に延びる正圧及び負圧側面(46、48)と、前記後縁(TE)における後縁基部(34)とを含み、前記後縁領域(89)が、前記後縁(TE)の周りで延びかつ前記後縁基部(34)を含むようになっている、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記電力供給する段階が、誘電体材料(5)によって分離された前記プラズマ発生器(2)の内側及び外側電極(3、4)にAC電位を供給する段階を含むことをさらに特徴とする、請求項8記載の方法
【請求項10】
前記プラズマ発生器(2)を定常状態又は非定常モードで作動させる段階を含むことをさらに特徴とする、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−157225(P2008−157225A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322677(P2007−322677)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】