説明

プリンタ、管理サーバ、消耗品カートリッジ、画像出力システム、画像出力方法、および画像出力プログラム

【課題】使用する各種消耗品の製造ロットごとの特質を把握し、その把握した特質に基づき所定の補正処理をおこなうことで写真出力する画質を一定に保持する。
【解決手段】カートリッジ220には、その中に収納されている消耗品の製造ロット番号が記憶された無線タグ221が取り付けられている。無線タグ221から送信された消耗品の製造ロット番号は、リーダ208で読み取られる。リーダ208で読み取られた製造ロット番号は、補正値算出部212へ送られる。補正値算出部212が取得した製造ロット番号に対応する品質情報を格納部213から読み出し、その情報に基づいて一定の品質の印刷処理をおこなうための補正値を算出する。その後、制御部211でその補正値に基づいてプリンタジョブの修正をおこない、修正されたプリンタジョブを実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線タグを利用して印刷用紙、インクなどの消耗品の製造ロット特有の品質の違いによって生じる画質変動を回避するプリンタ、管理サーバ、消耗品カートリッジ、画像出力システム、画像出力方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置などでは、良好な印刷処理をおこなうために、使用するインクやロール、記録用紙などの消耗品の状態(残量など)の管理が不可欠である。そこで、印刷装置で使用される各種消耗品の状態を把握できる技術がいくつか提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−321751号公報
【特許文献2】特開2003−326741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置のインクは同じ種類のものであっても、製造ロットごとに微妙に品質が異なる。このため、同じ図案の印刷処理であっても異なる製造ロットのインクを用いた場合には印刷画像の品質が異なるという問題がある。このような問題を解決するためには、各製造ロットごとに生じるインクの品質の違いを把握し、その把握した品質情報に基づいて印刷装置の補正処理(たとえば、インクの出量の調整など)ができるようにするとよい。
【0005】
しかしながら、上記各特許文献などに開示されている従来技術では、インクなど各種消耗品の状態の把握はできるものの、把握した状態に基づいてインクの出量を調整したりする印刷装置の補正処理をおこなうことはできなかった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、使用する各種消耗品の製造ロットごとの特質を把握し、その把握した特質に基づき所定の補正処理をおこなうことで画像(たとえば写真など)出力される画質を一定に保持することが可能なプリンタ、管理サーバ、消耗品カートリッジ、画像出力システム、画像出力方法、および画像出力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるプリンタは、画像出力をおこなうプリンタエンジンと、着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取る読み取り手段と、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納手段と、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を前記格納手段から取得し、前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出手段と、前記補正値算出手段が算出した補正値を用いて前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報から補正値を算出し、この補正値を用いて消耗品の製造ロットごとに生じる品質差を補正することにより、画像出力される画質を一定に保持することが可能になる。
【0009】
また、この発明のプリンタでは、前記補正値算出手段が算出した補正値を、ネットワークを介して接続される管理サーバへ送信することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質を補正するための補正値を管理サーバで一括して管理することが可能になる。
【0011】
また、この発明のプリンタでは、前記制御手段は、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する前記格納手段から取得した消耗品の製造ロットの品質情報と、実行済みのプリンタジョブとを勘案し、当該製造ロットの消耗品の残量を算出し、算出された残量に関する情報をネットワークを介して接続される管理サーバへ送信することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、管理サーバで当該製造ロットの消耗品の残量を把握することが容易になる。
【0013】
また、この発明の管理サーバでは、前記補正値または前記残量に関する情報を前記ネットワークを介して受信することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質を補正するための補正値を一括して管理することが可能になる。また、製造ロットの消耗品の残量を把握することが可能となり、消耗品の交換や補充などのタイミングを容易に知ることができるようになる。
【0015】
また、この発明の消耗品カートリッジは、画像出力をおこなうプリンタエンジンを備えたプリンタに着脱可能に設けられた消耗品カートリッジであって、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグを備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を容易にプリンタに知らしめることができる。
【0017】
また、この発明の画像出力システムは、ネットワークを介して接続されたプリンタと管理サーバとから構成される画像出力システムであって、前記プリンタは、画像出力をおこなうプリンタエンジンと、着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取る読み取り手段と、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納手段と、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を前記格納手段から取得し、前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出手段と、前記補正値算出手段が算出した補正値を用いて前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させる制御手段と、を含み構成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報から補正値を算出し、この補正値を用いて消耗品の製造ロットごとに生じる品質差を補正することにより、画像出力される画質を一定に保持することが可能になる。
【0019】
また、この発明の画像出力システムでは、前記補正値算出手段が算出した補正値が、前記ネットワークを介して前記管理サーバに送信されることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質を補正するための補正値を管理サーバで一括して管理することが可能になる。
【0021】
また、この発明にかかる画像出力システムでは、前記制御手段が、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する前記格納手段から取得した消耗品の製造ロットの品質情報と、実行済みのプリンタジョブとを勘案し、当該製造ロットの消耗品の残量を把握し、これを前記ネットワークを介して前記管理サーバへ送信することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、管理サーバで当該製造ロットの消耗品の残量を把握することが容易になる。
【0023】
また、この発明にかかる画像出力システムは、ネットワークを介して接続されたプリンタと管理サーバとプリントサーバとから構成される画像出力システムであって、前記プリンタは、画像出力をおこなうプリンタエンジンと、着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取る読み取り手段と、を含み構成され、前記管理サーバまたは前記プリントサーバは、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納手段と、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を前記格納手段から取得し、前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出手段と、前記補正値算出手段が算出した補正値を用いて前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させる制御手段と、を含み構成されていることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、プリンタの補正処理に対する負荷を軽減することができる。
【0025】
また、この発明にかかる画像出力システムでは、前記管理サーバが、画像出力システム全体を管理するとともに、前記プリントサーバの制御を管理し、前記プリントサーバは、前記プリンタの制御を管理することを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、画像出力システム全体を効率的に管理することができる。
【0027】
また、この発明にかかる画像出力方法は、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を取得する品質情報取得工程と、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を取得する製造ロット判別情報取得工程と、前記製造ロット判別情報取得工程で取得された前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する前記品質情報取得工程で取得された消耗品の当該製造ロットの品質情報を取得し、この品質情報から所定の品質の画像出力を実行するための補正値を算出する補正値算出工程と、前記補正値算出工程で算出された補正値を用いて、所定の品質の画像出力を実行する出力工程と、を含むことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報から補正値を算出し、この補正値を用いて消耗品の製造ロットごとに生じる品質差を補正することにより、画像出力される画質を一定に保持することが可能になる。
【0029】
また、この発明にかかる画像出力プログラムは、前記画像出力方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、前記画像出力方法をコンピュータに実行させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタ、管理サーバ、消耗品カートリッジ、画像出力システム、画像出力方法、および画像出力プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。ここでは、画像出力の一例として写真出力について説明する。ただし、この発明は、写真出力に限定されるものではない。
【0032】
(写真出力システムの概略構成)
図1は、この発明による写真出力システムの概略構成を示す図である。この写真出力システムは、プリンタ110と管理サーバ120とプリントサーバ130がネットワーク100を介して接続されて構成される。プリンタ110は、管理サーバ120またはプリントサーバ130からの駆動制御命令によって動作する。
【0033】
また、管理サーバ120は、画像出力システム全体を管理するとともに、複数設けられたプリントサーバ130の制御を管理し、各プリントサーバ130は、プリンタ110の制御を管理するようにしてもよい。このように構成することによって、画像出力システム全体を効率的に管理することができる。これらのシステム構成については、システムの特徴や規模に応じて適宜変更することができる。なお、管理サーバ120およびプリントサーバには、一般的なパーソナルコンピュータなどを用いることができる。
【0034】
(プリンタの機能的構成)
図2は、プリンタ110の機能的構成を示すブロック図である。プリンタ110は、ネットワークI/F(インタフェース)201、コントロールパネル202、コントロールパネルI/F203、プリンタ制御部204、プリンタI/F205、プリンタエンジン206、アンテナ207、およびリーダ(読み取り部)208を含み構成される。また、プリンタ制御部204は、制御部211、補正値算出部212、格納部213、および展開部214を含み構成される。
【0035】
ネットワークI/F201は、プリンタ110とネットワーク100とのインタフェース制御をおこなう。コントロールパネル202は、プリンタ110に対する駆動命令や各種情報の入力をおこなう。コントロールパネルI/F203は、コントロールパネル202とプリンタ制御部204のインタフェース制御をおこなう。
【0036】
プリンタ制御部204の制御部211は、ネットワークI/F201を介して取得した管理サーバ120またはプリントサーバ130からのプリントジョブの処理や制御命令、コントロールパネル202からの駆動命令などを解析し、その解析結果を実行する。
【0037】
格納部213は、管理サーバ120またはプリントサーバ130からのプリントジョブを格納する。
【0038】
展開部214は、プリンタ制御言語を解釈し、イメージ展開する。プリンタI/F205は、プリンタ制御部204とプリンタエンジン206とのインタフェース制御をおこなう。
【0039】
プリンタエンジン206は、プリンタ制御部204から送られた展開画像をもとに、主に記録紙に所定の作像プロセス(たとえば、電子写真プロセス、インクジェットなど)により画像形成をおこなう。
【0040】
また、このプリンタ110で使用される印刷用紙やインクなどの消耗品は、カートリッジ220に収納されてプリンタエンジン206にセットされる。そして、カートリッジ220には、その中に収納されている消耗品の製造ロット番号が記憶された無線タグ221が取り付けられている。
【0041】
無線タグ221から送信された消耗品の製造ロット番号は、アンテナ207を介してリーダ208に読み取られる。リーダ208で読み取られた製造ロット番号は、プリンタ制御部204の補正値算出部212へ送られる。
【0042】
また、格納部213には、プリンタ110で使用する消耗品の製造ロットごとの各種品質情報(たとえば、インクの場合はインクの色、濃さ、容量などであり、用紙の場合は紙質、厚さ、枚数などである)が記憶されている。そこで、補正値算出部212は、取得した製造ロット番号に対応する品質情報を格納部213から読み出し、その情報に基づいて一定の品質の印刷処理をおこなうための補正値を算出する。
【0043】
その後、制御部211でその補正値に基づいてプリンタジョブの修正をおこない、修正されたプリンタジョブを実行させる。したがって、異なる製造ロットのインクを用いた場合などに生じる、写真出力の画質のばらつきを防止することができる。
【0044】
また、補正値算出部212で算出された消耗品の製造ロットごとの補正値は、ネットワークI/F201からネットワーク100を介して管理サーバ120またはプリントサーバ130へ送信される。このため、管理サーバ120またはプリントサーバ130側で製造ロットごとの補正値情報を一括管理することができる。
【0045】
また、制御部211は、格納部213に格納されている消耗品の製造ロットごとの情報を参照し、実行済みのプリンタジョブを勘案して、消耗品の残量を把握することができる。消耗品の種類を判別することもできる。
【0046】
さらに、取得した製造ロット番号と対応する消耗品の情報が格納部213に格納されていない場合に、制御部211が使用禁止の消耗品がプリンタエンジン206にセットされていることを感知するようにしておけば、模造品のインクや用紙などの使用が未然に防げる。
【0047】
また、制御部211が把握した消耗品の残量の情報を、ネットワークI/F201からネットワーク100を介して管理サーバ120またはプリントサーバ130へ送信すれば、管理サーバ120またはプリントサーバ130側で製造ロットごとに消耗品の残量を管理することが可能になる。
【0048】
なお、上記説明においては、プリンタ110単体にすべての補正機能を持たせるようにしたが、それには限定されず、たとえば、プリンタ110およびプリントサーバ130の両方を用いて補正機能を実現するようにしてもよい。この場合、たとえば、プリンタ110に持たせる機能としては、消耗品の製造ロット番号の読み取り機能だけとすることができる。そして、消耗品の残量管理などは、プリントサーバ130あるいは管理サーバ120の双方でおこなうようにするとよい。その際、プリントサーバ130と管理サーバ120との処理の分担は適宜設定するようにすればよい。
【0049】
このように、プリンタ110が、画像出力をおこなうプリンタエンジン206と、着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、プリンタエンジン206で使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取るリーダ208とを備え、一方、管理サーバ120またはプリントサーバ130が、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納部213と、リーダ208が読み取った消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を格納部213から取得し、プリンタエンジン206に所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出部212と、補正値算出部212が算出した補正値を用いてプリンタエンジン206に所定の品質を有する画像出力を実行させる制御部211とを備えているため、補正処理を実行する際のプリンタ110の負荷を軽減することができる。
【0050】
(プリンタ制御部のハードウェア構成)
図3は、プリンタ110の制御をおこなうためのプログラムを実行するプリンタ制御部204のハードウェア構成を示すブロック図である。このプリンタ制御部204は、CPU301、ROM302、RAM303、HDD(ハードディスクドライブ)304、HD(ハードディスク)305、FDD(フレキシブルディスクドライブ)306、および着脱可能な記録媒体の一例としてのFD(フレキシブルディスク)307を備えている。そして、上記各構成部はバス300によってそれぞれ接続されている。
【0051】
CPU301は、プリンタ110全体の制御を司る。ROM302は、基本入出力プログラムを記憶している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。HDD304は、CPU301の制御にしたがってHD305に対するデータのリード/ライトを制御する。HD305は、HDD304の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0052】
FDD306は、CPU301の制御にしたがってFD307に対するデータのリード/ライトを制御する。FD307は、FDD306の制御で書き込まれたデータを記憶したり、FD307に記録されたデータを情報処理装置へ読み取らせたりする。着脱可能な記録媒体として、FD307のほか、CD−ROM(CD−R、CD−RW)、MO、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリーカードなどであってもよい。
【0053】
図2に示したプリンタ制御部204は、図3に記載された各機能を有しており、プリンタ制御部204に設けられたROM302、RAM303、HD305などに記録されたプログラムをCPU301が実行することによってプリンタ110の機能を実現する。なお、CPU301は、図2に示した制御部211および補正値算出部212の機能を実現する。ROM302、HDD304、HD305、FDD306、FD307は、図2に示した格納部213の機能を実現する。RAM303は、図2に示した展開部214の機能を実現する。
【0054】
次に、この発明にかかる写真出力方法を上記写真出力システムの構成を踏まえ、フローチャートを用いて説明する。
【0055】
(写真出力処理の手順)
図4は、この発明にかかる写真出力システムにより実行される写真出力の手順を示すフローチャートである。
【0056】
まず、制御部211が、プリンタ110で使用する製造ロットごとの消耗品の品質などの各種情報を取得し、これを格納部213に格納する(ステップS401)。格納部213に格納される製造ロットごとの消耗品の各種情報は、たとえば、インクの場合はインクの色、濃さ、容量などであり、用紙の場合は紙質、厚さ、枚数などである。また、消耗品の各種情報は、たとえば管理サーバ120やプリントサーバ130からネットワーク100を介してプリンタ110へ取り込まれる。
【0057】
それとともに、印刷用紙やインクなどの消耗品が収納されたカートリッジ220に取り付けられている無線タグ221から、使用する消耗品の製造ロット番号をアンテナ207を介してリーダ208が読み取り、読み取った製造ロット番号を補正値算出部212へ送る。これによって、使用する消耗品の製造ロット番号を取得する(ステップS402)。
【0058】
ステップS401の製造ロットごとの消耗品の品質情報の取得と、ステップS402の使用する消耗品の製造ロット番号の取得とは、この順序でおこなってもよく、また、逆の順序でおこなってもよい。すなわち、着脱された消耗品のロット番号が格納されている品質情報、すなわち、あらかじめ管理サーバ120またはプリントサーバ130から取得された品質情報のロット番号と異なる場合(すなわち新規ロットである場合)は、まず、使用する消耗品の製造ロット番号を取得し(ステップS402)、取得した製造ロット番号に対応する品質情報を管理サーバ120またはプリントサーバ130から取り込むようにしてもよい。
【0059】
このように、ステップS401と、ステップS402とを逆の順序でおこなうことによって、その都度、最新の情報が取得できるので、あらかじめ関連のない品質情報を格納部213に格納する必要がなく、その分、記憶容量が少なくて済む。
【0060】
次に、補正値算出部212が取得した製造ロット番号に対応する品質情報を格納部213から読み出し、その情報に基づいて一定の品質の印刷処理をおこなうための補正値を算出する(ステップS403)。
【0061】
なお、この工程で算出された補正値を、ネットワーク100を介して管理サーバ120またはプリントサーバ130へ送信すれば、消耗品の製造ロットごとに算出された補正値を管理サーバ120またはプリントサーバ130側で管理することが可能になる。その後、制御部211でその補正値に基づいてプリンタジョブの修正をおこない、修正したプリンタジョブを実行させる(ステップS404)。
【0062】
(消耗品の残量管理)
図5は、消耗品の残量管理をおこなうための手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、まず、制御部211が、プリンタ110で使用する製造ロットごとの消耗品の品質などの各種情報を取得し、これを格納部213に格納する(ステップS501)。それとともに、印刷用紙やインクなどの消耗品が収納されたカートリッジ220に取り付けられている無線タグ221から、使用する消耗品の製造ロット番号をアンテナ207を介してリーダ208が読み取り、読み取った製造ロット番号を制御部211へ送る。これによって、使用する消耗品の製造ロット番号を取得する(ステップS502)。
【0063】
なお、上述した図4と同様に、ステップS501の製造ロットごとの消耗品の品質情報の取得と、ステップS502の使用する消耗品の製造ロット番号の取得とは、この順序でおこなってもよく、また、逆の順序でおこなってもよい。
【0064】
制御部211は、格納部213に格納されている消耗品に製造ロットごとの情報を参照し、実行済みのプリンタジョブを勘案して、消耗品の残量を算定する(ステップS503)。制御部211は、算定した消耗品の残量に関する情報をネットワーク100を介して管理サーバ120またはプリントサーバ130へ送る(ステップS504)。
【0065】
以上説明したように、この発明の実施の形態にかかる写真出力システム、写真出力方法によれば、使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報から補正値を算出し、この補正値を用いて消耗品の製造ロットごとに生じる品質差を補正することにより、写真出力される画質を一定に保持することが可能になる。また、製造ロットごとの消耗品の残量を把握することも容易になる。
【0066】
なお、上記実施の形態で説明した写真出力方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】この発明による写真出力システムの概略構成を示す図。
【図2】プリンタの機能的構成を示すブロック図。
【図3】プリンタ制御部のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】写真出力の手順を示すフローチャート。
【図5】消耗品の残量管理をおこなうための手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
100 ネットワーク、110 プリンタ、120 管理サーバ、201 ネットワークI/F、202 コントロールパネル、203 コントロールパネルI/F、204 プリンタ制御部、205 プリンタI/F、206 プリンタエンジン、207 アンテナ、208 リーダ、211 制御部、212 補正値算出部、213 格納部、214 展開部、220 カートリッジ、221 無線タグ、300 バス、301 CPU、302 ROM、303 RAM、304 HDD、305 HD、306 FDD、307 FD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力をおこなうプリンタエンジンと、
着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取る読み取り手段と、
使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を前記格納手段から取得し、前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値算出手段が算出した補正値を用いて前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記補正値算出手段が算出した補正値を、ネットワークを介して接続される管理サーバへ送信することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する前記格納手段から取得した消耗品の製造ロットの品質情報と、実行済みのプリンタジョブとを勘案し、当該製造ロットの消耗品の残量を算出し、算出された残量に関する情報をネットワークを介して接続される管理サーバへ送信することを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
請求項2に記載の補正値または請求項3に記載の残量に関する情報を前記ネットワークを介して受信することを特徴とする管理サーバ。
【請求項5】
画像出力をおこなうプリンタエンジンを備えたプリンタに着脱可能に設けられた消耗品カートリッジであって、
前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグを備えたことを特徴とする消耗品カートリッジ。
【請求項6】
ネットワークを介して接続されたプリンタと管理サーバとから構成される画像出力システムであって、
前記プリンタは、
画像出力をおこなうプリンタエンジンと、
着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取る読み取り手段と、
使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を前記格納手段から取得し、前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値算出手段が算出した補正値を用いて前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させる制御手段と、
を含み構成されていることを特徴とする画像出力システム。
【請求項7】
前記補正値算出手段が算出した補正値は、前記ネットワークを介して前記管理サーバに送信されることを特徴とする請求項6に記載の画像出力システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する前記格納手段から取得した消耗品の製造ロットの品質情報と、実行済みのプリンタジョブとを勘案し、当該製造ロットの消耗品の残量を把握し、これを前記ネットワークを介して前記管理サーバへ送信することを特徴とする請求項6または7に記載の画像出力システム。
【請求項9】
ネットワークを介して接続されたプリンタと管理サーバとプリントサーバとから構成される画像出力システムであって、
前記プリンタは、
画像出力をおこなうプリンタエンジンと、
着脱可能な消耗品カートリッジに備えられた、前記プリンタエンジンで使用される消耗品の製造ロットを判別する情報を送信する無線タグから送信された情報であって、前記消耗品の製造ロットを判別する情報を読み取る読み取り手段と、
を含み構成され、
前記管理サーバまたは前記プリントサーバは、
使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を格納する格納手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する消耗品の製造ロットの品質情報を前記格納手段から取得し、前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させるための補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値算出手段が算出した補正値を用いて前記プリンタエンジンに所定の品質を有する画像出力を実行させる制御手段と、
を含み構成されていることを特徴とする画像出力システム。
【請求項10】
前記管理サーバは、画像出力システム全体を管理するとともに、前記プリントサーバの制御を管理し、前記プリントサーバは、前記プリンタの制御を管理することを特徴とする請求項9に記載の画像出力システム。
【請求項11】
使用する消耗品の製造ロットごとの品質情報を取得する品質情報取得工程と、
前記消耗品の製造ロットを判別する情報を取得する製造ロット判別情報取得工程と、
前記製造ロット判別情報取得工程で取得された前記消耗品の製造ロットを判別する情報と対応する前記品質情報取得工程で取得された消耗品の当該製造ロットの品質情報を取得し、この品質情報から所定の品質の画像出力を実行するための補正値を算出する補正値算出工程と、
前記補正値算出工程で算出された補正値を用いて、所定の品質の画像出力を実行する出力工程と、
を含むことを特徴とする画像出力方法。
【請求項12】
請求項11に記載された方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画像出力プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−27199(P2006−27199A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212617(P2004−212617)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】