プリンタ
【課題】印刷媒体の後端の誤検出を防止しつつ、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え印刷精度の高いプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタは、印刷媒体を搬送する搬送ローラと、搬送される媒体に印刷処理を施す印刷ヘッドと、印刷ヘッドの上流側に配置された反射型センサと、反射型センサを制御するセンサ制御回路と、反射型センサの出力電圧に基づいて印刷ヘッドによる媒体への印刷開始および終了を制御する制御部と、を備えている。制御部のCPUは、反射型センサの出力電圧が初期閾値を越えたときに媒体の先端を検出し、先端を検出した直後に、閾値を、初期閾値から変更閾値に変更して反射型センサの出力電圧が変更閾値を越えたときに媒体の後端を検出する。初期閾値は変更閾値より反射型センサの飽和電圧側(1.0V)に、変更閾値は初期閾値より媒体の非検出電圧側(2.7V)に設定されている。
【解決手段】プリンタは、印刷媒体を搬送する搬送ローラと、搬送される媒体に印刷処理を施す印刷ヘッドと、印刷ヘッドの上流側に配置された反射型センサと、反射型センサを制御するセンサ制御回路と、反射型センサの出力電圧に基づいて印刷ヘッドによる媒体への印刷開始および終了を制御する制御部と、を備えている。制御部のCPUは、反射型センサの出力電圧が初期閾値を越えたときに媒体の先端を検出し、先端を検出した直後に、閾値を、初期閾値から変更閾値に変更して反射型センサの出力電圧が変更閾値を越えたときに媒体の後端を検出する。初期閾値は変更閾値より反射型センサの飽和電圧側(1.0V)に、変更閾値は初期閾値より媒体の非検出電圧側(2.7V)に設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに係り、特に、反射型センサの出力電圧と予め定められた閾値とを比較し、該比較結果に基づいて印刷媒体の印刷開始および終了を制御するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の印刷媒体に印刷処理を施すプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、様々な種類(材質)のプレートやシートに対して印刷可能なプリンタが開示されている。このプリンタで印刷処理を行う際は、印刷媒体の有無を検出する反射型センサで印刷媒体の搬送方向先端を検出して印刷媒体に印刷を行う。
【0003】
反射型センサは、発光素子(例えば、LED)と受光素子(例えば、フォトトランジスタ)とで構成されており、発光素子からの光が、搬送される印刷媒体で反射しその反射光を受光素子で検知して印刷媒体の搬送方向先端が検出される。
【0004】
このような機能を発揮させるため、一般に、図9に示すようなセンサ制御回路が用いられている。このセンサ制御回路では、LEDのアノード側は+5V(程度)の定電圧電源に接続されており、カソード側はトランジスタ等のスイッチ素子に接続されている。スイッチ素子はOPアンプ、DAコンバータを介してマイクロコンピュータMCに接続されている。このため、マイクロコンピュータMCからデジタル電圧を出力することでLEDを発光させることができる。一方、フォトトランジスタのコレクタ側は抵抗を介して+3.3V(程度)の定電圧電源に接続されており、エミッタ側はグランド(GND)に接続されている。フォトトランジスタのコレクタの出力電圧(図9の電圧測定点参照)はADコンバータを介してマイクロコンピュータMCに取り込まれる。フォトトランジスタに反射光が入力されると、コレクタ側からエミッタ側に電流が流れ定電圧電源に接続された抵抗の両端に電圧が生じ電圧測定点での電圧が下がるため、電圧測定点での電圧(反射型センサの出力電圧)が予め設定された閾値を越えたときに印刷媒体(プレートP参照)の搬送方向先端を検出することができる。
【0005】
ところが、印刷媒体の種類によっては(例えば、印刷媒体がアクリルプレートやコピー用紙の場合と透明プレートやミラーの場合では)、反射型センサによる印刷媒体の先端検出位置がばらついてしまい、その結果、正確な位置での印刷開始を行うことができない。
【0006】
図10(A)、(B)は、図9に示したプレートPをそれぞれアクリルプレート、ミラーとし、図9の電圧測定点での電圧変化を示したものである。図10(A)に示すように、アクリルプレートは表面凹凸により拡散反射成分がミラーより大きいため、センサ光路軸中心の手前で反射型センサが反応(出力電圧が低下)し始める。一方、図10(B)に示すように、ミラーは拡散反射が小さくほぼ鏡面反射のみのため、センサ光路軸中心で反射型センサが反応し始める。図10(A)、(B)を比較すると、先端検出に時間差が生じている。このように、反射型センサの出力電圧に対する閾値を反射型センサによる印刷媒体の非検出電圧(+3.3V)に近いハイレベル側の電圧に設定すると、印刷媒体の種類によって先端検出の位置ずれが生じてしまう。そこで、図11(A)、(B)に示すように、反射型センサの出力電圧に対する閾値を反射型センサの飽和電圧(0V)に近いローレベル側の電圧に設定すると、印刷媒体の種類が異なる場合でも先端検出の位置のばらつきが少なくなり、印刷精度が向上する。
【0007】
なお、上記では反射型センサの受光素子の例として3.3V系のフォトトランジスタを示したが、他に、例えば1.8V系、5V系、12V系等のフォトトランジスタも広く用いられている。また、印刷媒体の種類に応じて反射型センサの出力電圧に対する閾値を変更する技術は特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−137471号公報
【特許文献2】特開2007−003734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のプリンタで印刷媒体に多色印刷を行う場合は、一色目(例えば、黒色)の印刷が終了した後にインクリボンを取り替えて再度印刷済のプレートPを供給して二色目(例えば、赤色)の印刷を行う。また、既に印刷済のプレートPに同色または異色で追加して印刷する場合もある。このような場合に、図11(A)、(B)に示したように閾値がローレベル側の電圧に設定されていると、例えば、黒色で印刷済の部分は反射率が低いため反射型センサの出力電圧が閾値を越えてしまう(図12参照)。プリンタとしては、印刷媒体の先端検出を行った後に反射型センサの出力電圧が再び閾値を越えたときに印刷媒体の後端として誤検出してしまうため途中で印刷処理が終了してしまう。従って、閾値をローレベル側の電圧に設定すると、印刷媒体の先端検出を精度よく行えても、後端検出で誤検出を起こしてしまう、という問題がある。
【0010】
本発明は上記事案に鑑み、印刷媒体の後端の誤検出を防止しつつ、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え印刷精度の高いプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送される印刷媒体に印刷処理を施す印刷手段と、前記印刷手段の上流側に配置された反射型センサと、前記反射型センサを制御するセンサ制御回路と、前記反射型センサの出力電圧と予め定められた閾値とを比較し、該比較結果に基づいて前記印刷手段による前記印刷媒体への印刷開始および終了を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記反射型センサの出力電圧が第1の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向先端を検出し、前記印刷媒体の搬送方向先端を検出した直後に、閾値を、前記第1の閾値から第2の閾値に変更して前記反射型センサの出力電圧が前記第2の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向後端を検出し、前記第1の閾値は前記第2の閾値より前記反射型センサの飽和電圧側の電圧値に設定され、前記第2の閾値は前記第1の閾値より前記反射型センサの印刷媒体の非検出電圧側の電圧値に設定された、ことを特徴とする。
【0012】
本発明において、センサ制御回路の電圧レンジを100%(Nボルト)としたときに、第1の閾値は反射型センサの飽和電圧から40%(N×0.4ボルト)以内の電圧値に設定されており、第2の閾値は反射型センサによる印刷媒体の非検出電圧から35%(N×0.35ボルト)以内の電圧値に設定されていてもよい。このとき、第1の閾値と第2の閾値との電圧差が電圧レンジ(Nボルト)の25%(N×0.25ボルト)以上であることが好ましい。また、第2の閾値は第1の閾値より電圧値を大きく設定するようにしてもよい。さらに、反射型センサの出力電圧は反射型センサを構成するフォトトランジスタのコレクタの電圧であり、コレクタは抵抗を介して定電圧電源に接続されているようにしてもよい。また、印刷媒体はプレート状媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の閾値は第2の閾値より反射型センサの飽和電圧側の電圧値に設定されているので、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑えることができるとともに、印刷媒体の先端検出の直後に第1の閾値から第2の閾値に変更されるため、印刷済部分が通過しても反射型センサの出力電圧が閾値を越えないので、印刷媒体の後端の誤検出を防止することできる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用可能な実施形態のプリンタの概略正面図である。
【図2】実施形態のプリンタの印刷部近傍の拡大正面図である。
【図3】実施形態のプリンタの操作パネルの拡大図である。
【図4】印刷媒体の厚さを検出するときの動作状態を示す部分正面図であり、(A)は印刷媒体がプレートの場合、(B)は印刷媒体がラベルシートの場合を示す。
【図5】実施形態のプリンタのマイクロコンピュータのCPUが実行する印刷ルーチンのフローチャートである。
【図6】図5に示す印刷ルーチンのセット処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図5に示す印刷ルーチンの印刷処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとったときの実施形態のプリンタの反射型センサの出力電圧、閾値および先後端検出の関係を示す説明図である。
【図9】反射型センサを制御するセンサ制御回路の回路図である。
【図10】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとったときの反射型センサの出力電圧、閾値および先端検出の関係を示す説明図であり、(A)は印刷媒体をアクリルプレートとした場合、(B)は印刷媒体をミラーとした場合を示す。
【図11】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとり、図10に示した閾値をローレベル側に変更したときの反射型センサの出力電圧、閾値および先端検出の関係を示す説明図であり、(A)は印刷媒体をアクリルプレートとした場合、(B)は印刷媒体をミラーとした場合を示す。
【図12】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとったときの反射型センサの出力電圧、閾値および先後端検出の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(構成)
以下に本発明の実施の形態を、図に基づいて詳細に説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態のプリンタ1は厚さ0.5mm程度から3mm程度のプレートPのような比較的厚みのある材質の印刷媒体と、ロール状に巻回されたラベルシートSや軟質塩化ビニールシートのような比較的柔らか薄い材質の印刷媒体を印刷するサーマル方式のプリンタである。
【0016】
プリンタ1には印刷前にプレートPやラベルシートSの印刷面をクリーニングする粘着性を有するシリコンゴム等のクリーニングローラ2と、このクリーニングローラ2の粘着性を維持するためその表面に付着したゴミを定期的に除去するクリーニング部3が設けられている。クリーニング部3は、クリーニングシートを引き出し可能に収容する収容カセット4と、装着された収納カセット4のクリーニングシートをクリーニングローラ2に搬送するクリーニングシート搬送ローラ5を有している。
【0017】
クリーニングローラ2はプリンタ本体に対して揺動自在に設けられた揺動杆8に回動自在に設けられており、この揺動杆8はモータ9と不図示の歯車列とカム10によって軸8aを中心に揺動され、クリーニングローラ2を上下方向に移動させている。なお、図2に示すクリーニングローラ2の位置は後述するプレート類給送条件での印刷媒体搬送前の状態であり、プレートP等の印刷媒体が搬送されると下方の搬送ローラ11に向けて移動し、クリーニングローラ2のクリーニングを行う場合には上方のクリーニングシート搬送ローラ5に向けて移動する。
【0018】
クリーニングローラ2に対向する搬送ローラ11と、その下流側(図2中左側)に位置するプラテンローラ12およびもう一方の搬送ローラ13はプレートPなどの印刷媒体を図2の左方向に搬送するもので、図示しないステッピングモータや歯車列による駆動部により正逆回転駆動される。なお、上流側の搬送ローラ11にはクリーニングローラ2が対に、下流側の搬送ローラ13にはピンチローラ14が対となり印刷媒体を押し挟むようになっている。
【0019】
ピンチローラ14はプリンタ本体に対して軸15aを中心に揺動自在に設けられた揺動杆15に回動自在に設けられており、この揺動杆15は中間カム部16とスライドプレート17を介して揺動杆8と連結され、この揺動杆8に連動しそのピンチローラ14を上下方向に移動させている。この揺動杆8と揺動杆15と中間カム部16とスライドプレート17の関係は、クリーニングローラ2とピンチローラ14をそれぞれ搬送ローラ11と搬送ローラ13に対して等間隔に移動するように構成されている。
【0020】
このため、クリーニングローラ2が上下に移動するとピンチローラ14も同じように上下動し、さらにモータ9の駆動によりカム10を回転させると、クリーニングローラ2とピンチローラ14は連動して上下に移動する。なお、揺動杆8と揺動杆15のそれぞれ一端部に備えられるスプリング8b、15bはクリーニングローラ2とピンチローラ14をそれぞれ搬送ローラ11と搬送ローラ13に向けて付勢するものである。
【0021】
上述した、搬送ローラ11、プラテンローラ12、搬送ローラ13およびピンチローラ14はそれぞれ金属軸部の表面にCR(クロロプレン)ゴムやEPDM(エチレンプロピレン)等のゴム材を巻いて搬送力を上げたものである。
【0022】
サーマル方式の印刷ヘッド20は、プラテンローラ12に対向しプラテンローラ12に接離方向に移動可能に構成されている。すなわち、印刷ヘッド20の上端(ヘッドの上下方向反対側端)平面(図2参照)には図示を省略したカムが当接しており、このカムが図示を省略したモータの駆動力で回動することにより印刷ヘッド20がプラテンローラ12から離間した退避位置とプラテンローラ12に圧接する圧接位置との間で移動する。印刷中はプラテンローラ12に圧接しインクリボン21を介して印刷媒体に不図示のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する。)等の上位機器より転送されてきた印刷データを印刷するものである。なお、インクリボン21はリボンカセット22に収容されており、リボンカセット22はプリンタ本体内に着脱可能に装着されている。
【0023】
図1および図3に示すように、プリンタ1は操作パネル23を備えている。図3に示すように、操作パネル23は、メニュー切り替えボタン24、25と、メニュー選択(エンター)ボタン26と、メニューキャンセル/排出ボタン27と、オペレータ(操作者)へプリンタ1の状態や操作メニューを表示するLCD等の表示部28と、上位機器のパソコンとのオンライン/オフライン切替えキー29を有している。
【0024】
図1に示すように、プリンタ1はラベルシートS等を切断するための切断装置30を有している。切断装置30は、固定刃と移動刃からなるカッタ31とこれを駆動するモータおよび歯車列(共に不図示)を内部に備えており、その動作は後述する制御部50で制御される。
【0025】
搬送ローラ11とクリーニングローラ2の上流側(図中右方向)の搬送路の下部側には、主にオペレータによって印刷媒体がプリンタ1にセットされたことを検出する媒体検出センサ40(反射型センサ)が配置されている。また、印刷部(印刷部20、プラテンローラ12)の上流側かつ搬送ローラ11とクリーニングローラ2の下流側の搬送路の上部側には、搬送される印刷媒体の先端位置および後端位置を検出する反射型センサ41が配置されている。これらの媒体検出センサ40および反射型センサ41は搬送路の幅方向のほぼ中央にそれぞれ配設されている。さらに、スライドプレート17のほぼ中央部の突起17aにはスライドボリューム方式のリニアセンサ42が係合しており、リニアセンサ42はスライドプレート17の移動量をクリーニングローラ2と搬送ローラ11の間隔として検出する。
【0026】
また、プリンタ1には制御部50および図示しない電源部が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータ、EEPROM等の不揮発性メモリ、タイマIC、ADコンバータ等の基準電源を生成する基準電圧部、並びに、上述したモータ類、センサ類、操作パネル23、印刷ヘッド20および上位機器のパソコンと接続するためのインターフェースを含んで構成されている。なお、図9に示したセンサ制御回路は本実施形態(の反射型センサ41)でも採用されているが、ADコンバータはマイクロコンピュータに内蔵されている。電源部は商業電力からモータ類等の駆動電源を生成するもので、図9に示した+3.3V電源、+5V電源もこの電源部により生成される。
【0027】
(動作)
次に、プリンタ1の作動についてフローチャートに従って説明する。以下では、説明を簡単にするために、印刷媒体をブランク(未印刷)のアクリルプレートとし、黒色と赤色との二色印刷を行う場合を例示する。なお、プリンタ1にはオペレータにより黒色インクリボンを有するリボンカセット22が装着されているものとする。
【0028】
プリンタ1に電源が投入されると、先ず、ROMに格納されたプログラムやプログラムデータ等のRAMへの展開、各機構部のホームポジションへの移動、EEPROM等の不揮発性メモリから印刷条件初期値の読み取りを行う初期設定処理が行われる。このとき読み出される条件として、操作パネル23で設定され不揮発性メモリに記憶されているプレート類かシート類かの給送条件が読み出される。このような初期設定処理を経て、マイクロコンピュータのCPUにより図5に示す印刷ルーチンが実行される。
【0029】
印刷ルーチンでは、読み出された給送条件に基づいてプレート類かシート類かの判断が行われ(S102)、ここでプレートの設定がされていればモータ9の駆動によりカム10が回転しクリーニングローラ2と搬送ローラ11間の距離を所定間隔(例えば、4mm)に設定する(S104)(図2に示す状態)。なお、シート類の設定であれば搬送ローラ11と接触する位置にクリーニングローラ2を移動させる(S106)。この移動によって比較的硬質であるためセットが行いやすいプレート類と、柔らかく更に巻き癖があるためセットしにくいシート類とをそれぞれ容易に反射型センサ41が検出する位置までセットできるようにしている。なお、この条件は操作パネル23を操作することで簡単に変更可能である。
【0030】
次に、上位機器のパソコンからの印刷データ受信の確認(S108)と、媒体検出センサ40からの印刷媒体有無の確認(S110)と、印刷媒体がセットされたかの確認(S114)が継続的に行われ、オペレータによりセット部に印刷媒体としてプレートPがセットされると、媒体検出センサ40がこれを検出し印刷媒体のセット処理(S116)が実行される。なお、印刷媒体が既にセットされている場合、つまり媒体検出センサ40が媒体有りを検出する場合は、ステップ110で媒体有りと判断され、メニューキャンセル/排出ボタン27が押下されたかの確認(S112)と、データ受信の確認(S108)が継続的に行われる。なお、ステップ110で肯定判断の場合にメニューキャンセル/排出ボタン27が押下されたときは、図示しないステッピングモータを駆動し印刷媒体をプリンタ1から排出する(S140)。
【0031】
セット処理(S116)は、図6示すように、先ず図示しないステッピングモータの正転駆動により搬送ローラ11が回転し印刷媒体の搬送処理が行われる(S202)。これと同時に制御部50にてタイマICによるカウントが開始され(S204)、所定時間内に反射型センサ41が印刷媒体の先端を検出するまで搬送処理が行われる(S206、S208)。反射型センサ41が印刷媒体の先端を検出したら(S206)、印刷媒体を所定位置まで搬送して(S210)、セット処理は正常に終了する。ステップ210では、図示しないステッピングモータの(正転)駆動を停止させることにより印刷媒体の搬送を一旦停止し、図示しないステッピングモータを逆転駆動させて所定ステップ数逆搬送した後、図示しないステッピングモータの駆動を停止させることにより印刷媒体をセット位置に位置付ける。このような逆搬送を行うのは、印刷処理において頭出し(印刷媒体の先端検出、図7のS312参照)を行うためである。
【0032】
一方、所定時間の経過をタイマICから報知されたCPUはエラー処理を実行する。すなわち、印刷媒体の搬送を停止し(S212)、印刷媒体がプレートか否かを判断して(S214)、プレートの場合はモータ9の駆動によりカム10を回転させクリーニングローラ2を上方に移動させ(S216)、表示部28にエラー表示をさせて(S218)セット処理を終了し、プレートでない場合(例えば、ラベルシートの場合)は図示しないステッピングモータを逆転駆動させて印刷媒体をロールに巻き戻すように逆搬送し(S220)、ステップ216、218と同様に、クリーニングローラ2を上方に移動させ(S222)、表示部28にエラー表示をさせて(S224)セット処理を終了する。
【0033】
次に、図5のステップ118では、印刷媒体の厚さを検出するためモータ9の駆動によりカム10を回転させクリーニングローラ2を搬送ローラ11に向けて移動させる。ここでクリーニングローラ2の位置は給送条件がプレート類であったので、4mmの位置から下方に移動する。給送条件がシート類であればクリーニングローラ2を一旦4mmの位置まで上方に移動させ搬送ローラ11に向けて移動させる。クリーニングローラ2はプレートPに接触するまで移動するとその移動は停止する。図4(A)はこの状態を示しており、CPUはクリーニングローラ2の移動に伴い移動したスライドプレート17の位置をセンサ42より読み出し、これをクリーニングローラ2と搬送ローラ11間の距離に置き換え印刷媒体の厚みとして算出する(S118)。この距離はクリーニングローラ2と搬送ローラ11の表面ゴム材の弾性変形分を考慮したものである。なお、図4(B)はラベルシートSの厚みを検出する場合の状態を示している。
【0034】
続いてCPUは、算出された印刷媒体の厚さ(例えば、2mm)より、この厚さのプレートPの搬送に最適なローラ間となるように、モータ9を制御してクリーニングローラ2の位置を移動させ(S120)、続いてこの厚さのデータをRAMに保管して(S122)、再びパソコンからのデータ受信待ち状態となる(S108)。
【0035】
次に、印刷データが受信されると(S108)、このアクリルプレートや塩ビプレートやラベルテープなどの印刷媒体の種類と、印刷濃度と、印刷枚数と、印刷色に関する印刷データがRAMに保管され(S124)、再び印刷媒体の有無の判断がなされ(S126)、既に印刷媒体のセットが確認されているので印刷処理が実行される(S128)。なお、ここで印刷媒体がセットされていなければ、媒体がセットされるまで待つことになり(S130)、オペレータによって印刷媒体がセットされると、S116〜S122と同様の処理がS132〜S138で実行される。
【0036】
印刷処理(S128)は、図7に示すように、先程保管された印刷データの印刷媒体種類がRAMより読み出されシート類であるか判断される(S302)。ここで受信された印刷データの情報がシート類であれば、図5のステップ122またはステップ138にてRAMに保管された印刷媒体の厚み(ここでは2mm)が読み出され、0.6mm以上の厚みなのでセットされた印刷媒体をプレートPと判断し(S304)、切断装置30による切断処理を無効とし(S308)、続いて印刷媒体の搬送と印刷が実行される。
【0037】
なお、ラベルシートSのような0.6mm以下の印刷媒体がセットされている場合はステップ306にて0.6mm以下と判断される。ここで0.6mmの印刷媒体は殆どシート類であるが仮にプレートPであっても、この程度の薄さのプラスチックなら切断装置30のカッタ31が比較的大型のカッタであることもあり問題は生じない。なお、ステップ306、308の切断処理の有効、無効の結果は例えばデフォルト値でRAMに保管される。
【0038】
次に、図示しないステッピングモータを正転駆動させてセット処理でセット位置に位置付けられた印刷媒体の搬送を開始し(S310)、印刷媒体の搬送方向先端を検出したか否かを判断する(S312)。すなわち、CPUは反射型センサ41の出力電圧をマイクロコンピュータに内蔵されたADコンバータを介して所定時間毎に取り込み、取り込んだ電圧値が予め設定された閾値を越えているか否かを判断することにより、閾値を越えたときに印刷媒体の搬送方向先端を検出する。本例では、この閾値として、印刷媒体の非検出電圧(+3.3V、図9も参照)側よりも反射型センサ41の飽和電圧(0V)側に近い電圧値に設定されており、具体的には、図8に示すように、初期閾値(第1の閾値)として1.0Vに設定されている。取り込んだ電圧値が予め設定された閾値を越えたと判断すると(印刷媒体の搬送方向先端を検出すると)、CPUは、直ちに閾値を、反射型センサ41の飽和電圧(0V)側よりも印刷媒体の非検出電圧(+3.3V)側に近い電圧値の閾値に変更する(S314)。具体的には、図8に示すように、変更閾値(第2の閾値)として2.7Vの閾値に変更する。
【0039】
次いで、CPUは、図示を省略したモータを駆動し印刷ヘッド20の上端平面に当接している図示を省略したカムを回動させることで、印刷ヘッド20を退避位置から圧接位置に移動させ、印刷ヘッド20による印刷を開始させる(S316)。印刷ヘッド20は印刷データに従って搬送される印刷媒体に印刷処理を実行する。なお、印刷開始時点で、印刷ヘッド20(のヘッド部)はインクリボン21を介して印刷媒体の搬送方向先端に当接するように、印刷ヘッド20の下降速度、反射型センサ41の位置および搬送媒体の搬送速度等が設定されている。
【0040】
続いて、印刷媒体の搬送方向後端を検出したか否かを判断する(S318)。すなわち、CPUは反射型センサ41からADコンバータを介して取り込んだ電圧値が閾値(変更閾値:2.7V)を越えているか否かを判断することにより、閾値を越えたときに印刷媒体の搬送方向後端を検出する。図8に示すように、印刷媒体の搬送方向先端検出後、反射型センサ41の出力電圧は概ね1.2V〜0.2Vの間にある。このため、2.7Vの閾値を越えたときに、印刷媒体の搬送方向後端を検出することができる。なお、このように後端を検出するのは、長さが決まっている定型の印刷媒体の他に、長尺の(細長い)印刷媒体にも印刷処理を可能にさせるためである。
【0041】
印刷媒体の搬送方向後端を検出すると、印刷ヘッド20による印刷媒体への印刷処理は印刷データに従ってなおも続行されるが、印刷媒体の搬送方向後端が印刷ヘッド20(のヘッド部)に至るときに、CPUは、図示を省略したモータを駆動し印刷ヘッド20の上端平面に当接している図示を省略したカムを回動させることで、印刷ヘッド20を圧接位置から退避位置に移動させ、印刷ヘッド20による印刷を終了させる(S320)。次いで、閾値を変更閾値(2.7V)から初期閾値(1.0V)に戻す(S322)。
【0042】
次に、RAMを参照して切断が有効状態にセットされているか否かを判断し(S324)、肯定判断のときは印刷媒体の切断を行い(S326)、否定判断のときはステップ328に進む。本例では印刷媒体がプレートPのため、ステップ328に進む。ステップ328では、印刷媒体をプリンタ1から排出するために図示しないステッピングモータを所定ステップ数正転駆動させた後、停止させることにより印刷処理が終了する。
【0043】
以上により、黒色による一色目の印刷処理が終了する。オペレータは、黒色インクリボンを有するリボンカセット22に代えて赤色インクリボンを有するリボンカセット22を装着し、二色目の印刷を行うために、操作パネル23のメニュー切り替えボタン24、25およびメニュー選択(エンター)ボタン26を操作して、または、上位機器のパソコンから二色目の印刷であることを入力する。これにより、CPUは図5に示した印刷ルーチンのステップ108以下のステップを実行する。以下では、二色目の印刷動作について、ステップ108以下の説明を繰り返すことになるためその説明を省略するが、本発明に関連して図7のステップ318、314について簡単に説明する。
【0044】
二色目(赤色)の印刷を行う際に、印刷媒体には一色目(黒色)の印刷処理が施されている。本例では、コストや装置サイズの点で反射型センサ41がラインセンサではなく、印刷媒体の先端を精度よく検出するために閾値がローレベル側(初期閾値:1.0V)に設定されているため、二色目の印刷処理において、反射率の低い印刷済の黒色部分を、印刷媒体の後端と誤検出するおそれがある(図12参照)。このような誤検出を防止するために、印刷媒体の先端を検出直後に、閾値を、初期閾値の1.0Vから変更閾値の2.7Vに変更し(S314)、反射率の低い印刷済の黒色部分を印刷媒体の後端と誤検出することを防止している(S318)。
【0045】
(作用効果等)
次に、本実施形態のプリンタ1の作用効果等について説明する。
【0046】
本実施形態のプリンタ1では、印刷媒体の先端を検出するための閾値がローレベル側に設定されている。すなわち、初期閾値が反射型センサ41の飽和電圧(0V)側に設定されており、この初期閾値は反射型センサ41の飽和電圧に近いことが好ましいため、本例では、図8に示すように、センサ制御回路の電圧レンジを100%(N=3.3V)としたときに、初期閾値は反射型センサ41の飽和電圧から40%以内(N×0.4=1.3V)以内の1.0Vに設定されている。このため、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え(図10、図11も参照)、印刷精度を高めることができる。なお、初期閾値は単純に反射型センサ41の飽和電圧に近ければ近いほどよいわけではなく、色付きプレートに印刷する場合(例えば、黒プレートに銀のインクリボンで印刷する場合)には、初期閾値が反射型センサ41の飽和電圧側に寄りすぎると、プレートPの先端検出ができなくなるため、本実施形態ではこのような点も踏まえて1.0Vに設定されている。
【0047】
また、本実施形態のプリンタ1では、印刷媒体の後端を検出するための閾値がハイレベル側に設定されている。すなわち、変更閾値が反射型センサ41による印刷媒体の非検出電圧(3.3V)側に設定されており、この変更閾値は反射型センサ41の非検出電圧に近いことが好ましいため、本例では、図8に示すように、センサ制御回路の電圧レンジを100%(N=3.3V)としたときに、変更閾値は反射型センサ41による印刷媒体の非検出電圧から35%(N−N×0.35=2.1V)以内の2.7Vに設定されている。また、1回の印刷処理中の印刷媒体の搬送方向先端を検出直後に、閾値を、初期閾値(1.0V)から変更閾値(2.7V)に変更している(S314)。このため、印刷媒体に印刷済の部分が反射型センサ41の位置を通過しても反射型センサ41の出力電圧は変更閾値を越えないので、印刷媒体の後端の誤検出を防止することができる。
【0048】
さらに、初期閾値と変更閾値との電圧差は一定電圧以上とすることが好ましい。すなわち、印刷媒体の先端検出後、反射型センサ41の出力電圧が印刷媒体の飽和電圧側で大きく変動しているため(図8参照)、この電圧差は0.8V以上とることが好ましい。本実施形態のプリンタ1では、センサ制御回路及びセンサのバラつきを考慮して、各閾値の電圧差をセンサ制御回路の電圧レンジ(N=3.3V)の25%(3.3×0.25=0.8V)以上に設定している。本実施形態のプリンタ1では、初期閾値(1.0V)と変更閾値(2.7V)との電圧差を1.7Vに設定したので、印刷媒体の飽和電圧側で電圧変動があっても、確実に印刷媒体の後端の誤検出を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態のプリンタ1では、印刷媒体の厚さを検出し(S118、S134)、印刷処理においてその厚さを考慮してカムにより印刷ヘッド20をプラテンローラ12との圧接位置に移動させることができるので(S316)、印刷媒体の厚さに拘わらず、印刷ヘッド20の、プラテンローラ12に支持された印刷媒体への圧力をほぼ一定とすることができる。このため、印刷品質を高めることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、印刷部としてサーマル式の印刷ヘッド20を例示したが、本発明はこれに限ることなく、例えば、インクジェット式の印刷部にも適用可能である。また、印刷媒体に平面のプレートPを例示したが、本発明はこれに制限されず、例えば、複数の小チップを纏めて1つのプレート状とした媒体にも適用可能である。
【0051】
また、本実施形態では、印刷媒体の頭出しを行うため(図7、S312)、セット処理で印刷媒体を逆搬送する(図6、S210)例を示したが、このような逆搬送をセット処理で行わず、図7のステップ310で印刷媒体を搬送する前に行ってもよい。さらに、本実施形態では、媒体検出センサ40で印刷媒体の有無を検知する例を示したが、印刷媒体を一旦搬送し反射型センサ41で印刷媒体(からの反射光)を検出することで印刷媒体の有無を検知するにより、媒体検出センサ40をなくするようにしてもよい。また、媒体検出センサ40は反射型センサに限らず、例えば、透過型センサとしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、図9に示したように、フォトトランジスタのコレクタ側を反射型センサの出力電圧とする例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、フォトトランジスタのエミッタ側を反射型センサの出力電圧とするようにしてもよい。この場合には、図8を始めとして、図10〜図12に示した(出力)電圧の波形は上下方向で逆となる。その際、飽和電圧は3.3V程度、非検出電圧は0V程度となり、上述した数式に当てはめて、初期閾値は2V〜3.3Vの範囲の例えば2.3V、変更閾値は0V〜1.2Vの範囲の例えば0.6Vに設定される。また、フォトトランジスタのエミッタ側を反射型センサの出力電圧とする場合に、図9の定電圧電源(+3.3V)とフォトトランジスタのコレクタ側との間に挿入されていた抵抗を、フォトトランジスタのエミッタ側とグランド(GND)の間に挿入し定電圧電源を直接フォトトランジスタのコレクタ側に接続するようにしてもよい。なお、後述するセンサ制御回路が3.3V以外のフォトトランジスタを用いた場合も同様に初期閾値と変更閾値を設定する。さらに、本実施形態では、タイマICにより計時する例を示したが(図6、S204、S208)、タイマICをなくしCPUが計時するようにしてもよい。
【0053】
以上では、反射型センサ41の飽和電圧を0V(理論値)として説明したが、実際にはフォトトランジスタの特性により0.2V程度である(図8の左側の縦軸も参照)。また、フォトトランジスタのエミッタ側を反射型センサの出力電圧とした場合には、同様にフォトトランジスタの特性により、センサ制御回路の電圧レンジの100%の電圧が3.1V程度となるが、これらの差異は僅かのため、説明を簡単にするためにすべて理論値に基づき説明した。
【0054】
また、反射型センサのフォトトランジスタは上述した3.3V系のものに限らず、例えば、1.8V、5V、12V系等のものを用いるようにしてもよい。例えば、(a)1.8V系のものを用いた場合には、初期閾値を0〜0.7Vの範囲の例えば0.5V、変更閾値を1.2〜1.8Vの範囲の例えば1.5V、閾値間の電圧差を0.4V以上に、(b)5V系のものを用いた場合には、初期閾値を0〜2.0Vの範囲の例えば1.5V、変更閾値を3.3〜5Vの範囲の例えば4V、閾値間の電圧差を1.2V以上に、(c)12V系のものを用いた場合には、初期閾値を0〜4.8Vの範囲の例えば3V、変更閾値を7.8〜12Vの範囲の例えば10V、閾値間の電圧差を3V以上にそれぞれ設定すればよい。また、反射型センサの発光素子、受光素子はLED、フォトトランジスタに限られるものではない。
【0055】
そして、本実施形態において各構成の形態および使用される材質や寸法或いは数値は、コストや相互の関係などによって変更されるべきもので本実施形態に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、さらに公知技術を組み合わせて変更可能である。特に変更閾値は、印刷媒体の先端を検出した後で後端を検出する前に、反射型センサの出力電圧が超えない値に設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明した通り、本発明は印刷媒体の後端の誤検出を防止しつつ、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え印刷精度の高いプリンタを提供するものであるため、プリンタの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0057】
1 プリンタ
9 モータ(搬送手段の一部)
11、13 搬送ローラ(搬送手段の一部)
20 印刷ヘッド(印刷手段の一部)
41 反射型センサ
50 制御部(制御手段)
P プレート(印刷媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに係り、特に、反射型センサの出力電圧と予め定められた閾値とを比較し、該比較結果に基づいて印刷媒体の印刷開始および終了を制御するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の印刷媒体に印刷処理を施すプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、様々な種類(材質)のプレートやシートに対して印刷可能なプリンタが開示されている。このプリンタで印刷処理を行う際は、印刷媒体の有無を検出する反射型センサで印刷媒体の搬送方向先端を検出して印刷媒体に印刷を行う。
【0003】
反射型センサは、発光素子(例えば、LED)と受光素子(例えば、フォトトランジスタ)とで構成されており、発光素子からの光が、搬送される印刷媒体で反射しその反射光を受光素子で検知して印刷媒体の搬送方向先端が検出される。
【0004】
このような機能を発揮させるため、一般に、図9に示すようなセンサ制御回路が用いられている。このセンサ制御回路では、LEDのアノード側は+5V(程度)の定電圧電源に接続されており、カソード側はトランジスタ等のスイッチ素子に接続されている。スイッチ素子はOPアンプ、DAコンバータを介してマイクロコンピュータMCに接続されている。このため、マイクロコンピュータMCからデジタル電圧を出力することでLEDを発光させることができる。一方、フォトトランジスタのコレクタ側は抵抗を介して+3.3V(程度)の定電圧電源に接続されており、エミッタ側はグランド(GND)に接続されている。フォトトランジスタのコレクタの出力電圧(図9の電圧測定点参照)はADコンバータを介してマイクロコンピュータMCに取り込まれる。フォトトランジスタに反射光が入力されると、コレクタ側からエミッタ側に電流が流れ定電圧電源に接続された抵抗の両端に電圧が生じ電圧測定点での電圧が下がるため、電圧測定点での電圧(反射型センサの出力電圧)が予め設定された閾値を越えたときに印刷媒体(プレートP参照)の搬送方向先端を検出することができる。
【0005】
ところが、印刷媒体の種類によっては(例えば、印刷媒体がアクリルプレートやコピー用紙の場合と透明プレートやミラーの場合では)、反射型センサによる印刷媒体の先端検出位置がばらついてしまい、その結果、正確な位置での印刷開始を行うことができない。
【0006】
図10(A)、(B)は、図9に示したプレートPをそれぞれアクリルプレート、ミラーとし、図9の電圧測定点での電圧変化を示したものである。図10(A)に示すように、アクリルプレートは表面凹凸により拡散反射成分がミラーより大きいため、センサ光路軸中心の手前で反射型センサが反応(出力電圧が低下)し始める。一方、図10(B)に示すように、ミラーは拡散反射が小さくほぼ鏡面反射のみのため、センサ光路軸中心で反射型センサが反応し始める。図10(A)、(B)を比較すると、先端検出に時間差が生じている。このように、反射型センサの出力電圧に対する閾値を反射型センサによる印刷媒体の非検出電圧(+3.3V)に近いハイレベル側の電圧に設定すると、印刷媒体の種類によって先端検出の位置ずれが生じてしまう。そこで、図11(A)、(B)に示すように、反射型センサの出力電圧に対する閾値を反射型センサの飽和電圧(0V)に近いローレベル側の電圧に設定すると、印刷媒体の種類が異なる場合でも先端検出の位置のばらつきが少なくなり、印刷精度が向上する。
【0007】
なお、上記では反射型センサの受光素子の例として3.3V系のフォトトランジスタを示したが、他に、例えば1.8V系、5V系、12V系等のフォトトランジスタも広く用いられている。また、印刷媒体の種類に応じて反射型センサの出力電圧に対する閾値を変更する技術は特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−137471号公報
【特許文献2】特開2007−003734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のプリンタで印刷媒体に多色印刷を行う場合は、一色目(例えば、黒色)の印刷が終了した後にインクリボンを取り替えて再度印刷済のプレートPを供給して二色目(例えば、赤色)の印刷を行う。また、既に印刷済のプレートPに同色または異色で追加して印刷する場合もある。このような場合に、図11(A)、(B)に示したように閾値がローレベル側の電圧に設定されていると、例えば、黒色で印刷済の部分は反射率が低いため反射型センサの出力電圧が閾値を越えてしまう(図12参照)。プリンタとしては、印刷媒体の先端検出を行った後に反射型センサの出力電圧が再び閾値を越えたときに印刷媒体の後端として誤検出してしまうため途中で印刷処理が終了してしまう。従って、閾値をローレベル側の電圧に設定すると、印刷媒体の先端検出を精度よく行えても、後端検出で誤検出を起こしてしまう、という問題がある。
【0010】
本発明は上記事案に鑑み、印刷媒体の後端の誤検出を防止しつつ、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え印刷精度の高いプリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、印刷媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送される印刷媒体に印刷処理を施す印刷手段と、前記印刷手段の上流側に配置された反射型センサと、前記反射型センサを制御するセンサ制御回路と、前記反射型センサの出力電圧と予め定められた閾値とを比較し、該比較結果に基づいて前記印刷手段による前記印刷媒体への印刷開始および終了を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記反射型センサの出力電圧が第1の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向先端を検出し、前記印刷媒体の搬送方向先端を検出した直後に、閾値を、前記第1の閾値から第2の閾値に変更して前記反射型センサの出力電圧が前記第2の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向後端を検出し、前記第1の閾値は前記第2の閾値より前記反射型センサの飽和電圧側の電圧値に設定され、前記第2の閾値は前記第1の閾値より前記反射型センサの印刷媒体の非検出電圧側の電圧値に設定された、ことを特徴とする。
【0012】
本発明において、センサ制御回路の電圧レンジを100%(Nボルト)としたときに、第1の閾値は反射型センサの飽和電圧から40%(N×0.4ボルト)以内の電圧値に設定されており、第2の閾値は反射型センサによる印刷媒体の非検出電圧から35%(N×0.35ボルト)以内の電圧値に設定されていてもよい。このとき、第1の閾値と第2の閾値との電圧差が電圧レンジ(Nボルト)の25%(N×0.25ボルト)以上であることが好ましい。また、第2の閾値は第1の閾値より電圧値を大きく設定するようにしてもよい。さらに、反射型センサの出力電圧は反射型センサを構成するフォトトランジスタのコレクタの電圧であり、コレクタは抵抗を介して定電圧電源に接続されているようにしてもよい。また、印刷媒体はプレート状媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の閾値は第2の閾値より反射型センサの飽和電圧側の電圧値に設定されているので、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑えることができるとともに、印刷媒体の先端検出の直後に第1の閾値から第2の閾値に変更されるため、印刷済部分が通過しても反射型センサの出力電圧が閾値を越えないので、印刷媒体の後端の誤検出を防止することできる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用可能な実施形態のプリンタの概略正面図である。
【図2】実施形態のプリンタの印刷部近傍の拡大正面図である。
【図3】実施形態のプリンタの操作パネルの拡大図である。
【図4】印刷媒体の厚さを検出するときの動作状態を示す部分正面図であり、(A)は印刷媒体がプレートの場合、(B)は印刷媒体がラベルシートの場合を示す。
【図5】実施形態のプリンタのマイクロコンピュータのCPUが実行する印刷ルーチンのフローチャートである。
【図6】図5に示す印刷ルーチンのセット処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図5に示す印刷ルーチンの印刷処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとったときの実施形態のプリンタの反射型センサの出力電圧、閾値および先後端検出の関係を示す説明図である。
【図9】反射型センサを制御するセンサ制御回路の回路図である。
【図10】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとったときの反射型センサの出力電圧、閾値および先端検出の関係を示す説明図であり、(A)は印刷媒体をアクリルプレートとした場合、(B)は印刷媒体をミラーとした場合を示す。
【図11】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとり、図10に示した閾値をローレベル側に変更したときの反射型センサの出力電圧、閾値および先端検出の関係を示す説明図であり、(A)は印刷媒体をアクリルプレートとした場合、(B)は印刷媒体をミラーとした場合を示す。
【図12】縦軸に反射型センサの出力電圧、横軸に時間をとったときの反射型センサの出力電圧、閾値および先後端検出の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(構成)
以下に本発明の実施の形態を、図に基づいて詳細に説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態のプリンタ1は厚さ0.5mm程度から3mm程度のプレートPのような比較的厚みのある材質の印刷媒体と、ロール状に巻回されたラベルシートSや軟質塩化ビニールシートのような比較的柔らか薄い材質の印刷媒体を印刷するサーマル方式のプリンタである。
【0016】
プリンタ1には印刷前にプレートPやラベルシートSの印刷面をクリーニングする粘着性を有するシリコンゴム等のクリーニングローラ2と、このクリーニングローラ2の粘着性を維持するためその表面に付着したゴミを定期的に除去するクリーニング部3が設けられている。クリーニング部3は、クリーニングシートを引き出し可能に収容する収容カセット4と、装着された収納カセット4のクリーニングシートをクリーニングローラ2に搬送するクリーニングシート搬送ローラ5を有している。
【0017】
クリーニングローラ2はプリンタ本体に対して揺動自在に設けられた揺動杆8に回動自在に設けられており、この揺動杆8はモータ9と不図示の歯車列とカム10によって軸8aを中心に揺動され、クリーニングローラ2を上下方向に移動させている。なお、図2に示すクリーニングローラ2の位置は後述するプレート類給送条件での印刷媒体搬送前の状態であり、プレートP等の印刷媒体が搬送されると下方の搬送ローラ11に向けて移動し、クリーニングローラ2のクリーニングを行う場合には上方のクリーニングシート搬送ローラ5に向けて移動する。
【0018】
クリーニングローラ2に対向する搬送ローラ11と、その下流側(図2中左側)に位置するプラテンローラ12およびもう一方の搬送ローラ13はプレートPなどの印刷媒体を図2の左方向に搬送するもので、図示しないステッピングモータや歯車列による駆動部により正逆回転駆動される。なお、上流側の搬送ローラ11にはクリーニングローラ2が対に、下流側の搬送ローラ13にはピンチローラ14が対となり印刷媒体を押し挟むようになっている。
【0019】
ピンチローラ14はプリンタ本体に対して軸15aを中心に揺動自在に設けられた揺動杆15に回動自在に設けられており、この揺動杆15は中間カム部16とスライドプレート17を介して揺動杆8と連結され、この揺動杆8に連動しそのピンチローラ14を上下方向に移動させている。この揺動杆8と揺動杆15と中間カム部16とスライドプレート17の関係は、クリーニングローラ2とピンチローラ14をそれぞれ搬送ローラ11と搬送ローラ13に対して等間隔に移動するように構成されている。
【0020】
このため、クリーニングローラ2が上下に移動するとピンチローラ14も同じように上下動し、さらにモータ9の駆動によりカム10を回転させると、クリーニングローラ2とピンチローラ14は連動して上下に移動する。なお、揺動杆8と揺動杆15のそれぞれ一端部に備えられるスプリング8b、15bはクリーニングローラ2とピンチローラ14をそれぞれ搬送ローラ11と搬送ローラ13に向けて付勢するものである。
【0021】
上述した、搬送ローラ11、プラテンローラ12、搬送ローラ13およびピンチローラ14はそれぞれ金属軸部の表面にCR(クロロプレン)ゴムやEPDM(エチレンプロピレン)等のゴム材を巻いて搬送力を上げたものである。
【0022】
サーマル方式の印刷ヘッド20は、プラテンローラ12に対向しプラテンローラ12に接離方向に移動可能に構成されている。すなわち、印刷ヘッド20の上端(ヘッドの上下方向反対側端)平面(図2参照)には図示を省略したカムが当接しており、このカムが図示を省略したモータの駆動力で回動することにより印刷ヘッド20がプラテンローラ12から離間した退避位置とプラテンローラ12に圧接する圧接位置との間で移動する。印刷中はプラテンローラ12に圧接しインクリボン21を介して印刷媒体に不図示のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する。)等の上位機器より転送されてきた印刷データを印刷するものである。なお、インクリボン21はリボンカセット22に収容されており、リボンカセット22はプリンタ本体内に着脱可能に装着されている。
【0023】
図1および図3に示すように、プリンタ1は操作パネル23を備えている。図3に示すように、操作パネル23は、メニュー切り替えボタン24、25と、メニュー選択(エンター)ボタン26と、メニューキャンセル/排出ボタン27と、オペレータ(操作者)へプリンタ1の状態や操作メニューを表示するLCD等の表示部28と、上位機器のパソコンとのオンライン/オフライン切替えキー29を有している。
【0024】
図1に示すように、プリンタ1はラベルシートS等を切断するための切断装置30を有している。切断装置30は、固定刃と移動刃からなるカッタ31とこれを駆動するモータおよび歯車列(共に不図示)を内部に備えており、その動作は後述する制御部50で制御される。
【0025】
搬送ローラ11とクリーニングローラ2の上流側(図中右方向)の搬送路の下部側には、主にオペレータによって印刷媒体がプリンタ1にセットされたことを検出する媒体検出センサ40(反射型センサ)が配置されている。また、印刷部(印刷部20、プラテンローラ12)の上流側かつ搬送ローラ11とクリーニングローラ2の下流側の搬送路の上部側には、搬送される印刷媒体の先端位置および後端位置を検出する反射型センサ41が配置されている。これらの媒体検出センサ40および反射型センサ41は搬送路の幅方向のほぼ中央にそれぞれ配設されている。さらに、スライドプレート17のほぼ中央部の突起17aにはスライドボリューム方式のリニアセンサ42が係合しており、リニアセンサ42はスライドプレート17の移動量をクリーニングローラ2と搬送ローラ11の間隔として検出する。
【0026】
また、プリンタ1には制御部50および図示しない電源部が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータ、EEPROM等の不揮発性メモリ、タイマIC、ADコンバータ等の基準電源を生成する基準電圧部、並びに、上述したモータ類、センサ類、操作パネル23、印刷ヘッド20および上位機器のパソコンと接続するためのインターフェースを含んで構成されている。なお、図9に示したセンサ制御回路は本実施形態(の反射型センサ41)でも採用されているが、ADコンバータはマイクロコンピュータに内蔵されている。電源部は商業電力からモータ類等の駆動電源を生成するもので、図9に示した+3.3V電源、+5V電源もこの電源部により生成される。
【0027】
(動作)
次に、プリンタ1の作動についてフローチャートに従って説明する。以下では、説明を簡単にするために、印刷媒体をブランク(未印刷)のアクリルプレートとし、黒色と赤色との二色印刷を行う場合を例示する。なお、プリンタ1にはオペレータにより黒色インクリボンを有するリボンカセット22が装着されているものとする。
【0028】
プリンタ1に電源が投入されると、先ず、ROMに格納されたプログラムやプログラムデータ等のRAMへの展開、各機構部のホームポジションへの移動、EEPROM等の不揮発性メモリから印刷条件初期値の読み取りを行う初期設定処理が行われる。このとき読み出される条件として、操作パネル23で設定され不揮発性メモリに記憶されているプレート類かシート類かの給送条件が読み出される。このような初期設定処理を経て、マイクロコンピュータのCPUにより図5に示す印刷ルーチンが実行される。
【0029】
印刷ルーチンでは、読み出された給送条件に基づいてプレート類かシート類かの判断が行われ(S102)、ここでプレートの設定がされていればモータ9の駆動によりカム10が回転しクリーニングローラ2と搬送ローラ11間の距離を所定間隔(例えば、4mm)に設定する(S104)(図2に示す状態)。なお、シート類の設定であれば搬送ローラ11と接触する位置にクリーニングローラ2を移動させる(S106)。この移動によって比較的硬質であるためセットが行いやすいプレート類と、柔らかく更に巻き癖があるためセットしにくいシート類とをそれぞれ容易に反射型センサ41が検出する位置までセットできるようにしている。なお、この条件は操作パネル23を操作することで簡単に変更可能である。
【0030】
次に、上位機器のパソコンからの印刷データ受信の確認(S108)と、媒体検出センサ40からの印刷媒体有無の確認(S110)と、印刷媒体がセットされたかの確認(S114)が継続的に行われ、オペレータによりセット部に印刷媒体としてプレートPがセットされると、媒体検出センサ40がこれを検出し印刷媒体のセット処理(S116)が実行される。なお、印刷媒体が既にセットされている場合、つまり媒体検出センサ40が媒体有りを検出する場合は、ステップ110で媒体有りと判断され、メニューキャンセル/排出ボタン27が押下されたかの確認(S112)と、データ受信の確認(S108)が継続的に行われる。なお、ステップ110で肯定判断の場合にメニューキャンセル/排出ボタン27が押下されたときは、図示しないステッピングモータを駆動し印刷媒体をプリンタ1から排出する(S140)。
【0031】
セット処理(S116)は、図6示すように、先ず図示しないステッピングモータの正転駆動により搬送ローラ11が回転し印刷媒体の搬送処理が行われる(S202)。これと同時に制御部50にてタイマICによるカウントが開始され(S204)、所定時間内に反射型センサ41が印刷媒体の先端を検出するまで搬送処理が行われる(S206、S208)。反射型センサ41が印刷媒体の先端を検出したら(S206)、印刷媒体を所定位置まで搬送して(S210)、セット処理は正常に終了する。ステップ210では、図示しないステッピングモータの(正転)駆動を停止させることにより印刷媒体の搬送を一旦停止し、図示しないステッピングモータを逆転駆動させて所定ステップ数逆搬送した後、図示しないステッピングモータの駆動を停止させることにより印刷媒体をセット位置に位置付ける。このような逆搬送を行うのは、印刷処理において頭出し(印刷媒体の先端検出、図7のS312参照)を行うためである。
【0032】
一方、所定時間の経過をタイマICから報知されたCPUはエラー処理を実行する。すなわち、印刷媒体の搬送を停止し(S212)、印刷媒体がプレートか否かを判断して(S214)、プレートの場合はモータ9の駆動によりカム10を回転させクリーニングローラ2を上方に移動させ(S216)、表示部28にエラー表示をさせて(S218)セット処理を終了し、プレートでない場合(例えば、ラベルシートの場合)は図示しないステッピングモータを逆転駆動させて印刷媒体をロールに巻き戻すように逆搬送し(S220)、ステップ216、218と同様に、クリーニングローラ2を上方に移動させ(S222)、表示部28にエラー表示をさせて(S224)セット処理を終了する。
【0033】
次に、図5のステップ118では、印刷媒体の厚さを検出するためモータ9の駆動によりカム10を回転させクリーニングローラ2を搬送ローラ11に向けて移動させる。ここでクリーニングローラ2の位置は給送条件がプレート類であったので、4mmの位置から下方に移動する。給送条件がシート類であればクリーニングローラ2を一旦4mmの位置まで上方に移動させ搬送ローラ11に向けて移動させる。クリーニングローラ2はプレートPに接触するまで移動するとその移動は停止する。図4(A)はこの状態を示しており、CPUはクリーニングローラ2の移動に伴い移動したスライドプレート17の位置をセンサ42より読み出し、これをクリーニングローラ2と搬送ローラ11間の距離に置き換え印刷媒体の厚みとして算出する(S118)。この距離はクリーニングローラ2と搬送ローラ11の表面ゴム材の弾性変形分を考慮したものである。なお、図4(B)はラベルシートSの厚みを検出する場合の状態を示している。
【0034】
続いてCPUは、算出された印刷媒体の厚さ(例えば、2mm)より、この厚さのプレートPの搬送に最適なローラ間となるように、モータ9を制御してクリーニングローラ2の位置を移動させ(S120)、続いてこの厚さのデータをRAMに保管して(S122)、再びパソコンからのデータ受信待ち状態となる(S108)。
【0035】
次に、印刷データが受信されると(S108)、このアクリルプレートや塩ビプレートやラベルテープなどの印刷媒体の種類と、印刷濃度と、印刷枚数と、印刷色に関する印刷データがRAMに保管され(S124)、再び印刷媒体の有無の判断がなされ(S126)、既に印刷媒体のセットが確認されているので印刷処理が実行される(S128)。なお、ここで印刷媒体がセットされていなければ、媒体がセットされるまで待つことになり(S130)、オペレータによって印刷媒体がセットされると、S116〜S122と同様の処理がS132〜S138で実行される。
【0036】
印刷処理(S128)は、図7に示すように、先程保管された印刷データの印刷媒体種類がRAMより読み出されシート類であるか判断される(S302)。ここで受信された印刷データの情報がシート類であれば、図5のステップ122またはステップ138にてRAMに保管された印刷媒体の厚み(ここでは2mm)が読み出され、0.6mm以上の厚みなのでセットされた印刷媒体をプレートPと判断し(S304)、切断装置30による切断処理を無効とし(S308)、続いて印刷媒体の搬送と印刷が実行される。
【0037】
なお、ラベルシートSのような0.6mm以下の印刷媒体がセットされている場合はステップ306にて0.6mm以下と判断される。ここで0.6mmの印刷媒体は殆どシート類であるが仮にプレートPであっても、この程度の薄さのプラスチックなら切断装置30のカッタ31が比較的大型のカッタであることもあり問題は生じない。なお、ステップ306、308の切断処理の有効、無効の結果は例えばデフォルト値でRAMに保管される。
【0038】
次に、図示しないステッピングモータを正転駆動させてセット処理でセット位置に位置付けられた印刷媒体の搬送を開始し(S310)、印刷媒体の搬送方向先端を検出したか否かを判断する(S312)。すなわち、CPUは反射型センサ41の出力電圧をマイクロコンピュータに内蔵されたADコンバータを介して所定時間毎に取り込み、取り込んだ電圧値が予め設定された閾値を越えているか否かを判断することにより、閾値を越えたときに印刷媒体の搬送方向先端を検出する。本例では、この閾値として、印刷媒体の非検出電圧(+3.3V、図9も参照)側よりも反射型センサ41の飽和電圧(0V)側に近い電圧値に設定されており、具体的には、図8に示すように、初期閾値(第1の閾値)として1.0Vに設定されている。取り込んだ電圧値が予め設定された閾値を越えたと判断すると(印刷媒体の搬送方向先端を検出すると)、CPUは、直ちに閾値を、反射型センサ41の飽和電圧(0V)側よりも印刷媒体の非検出電圧(+3.3V)側に近い電圧値の閾値に変更する(S314)。具体的には、図8に示すように、変更閾値(第2の閾値)として2.7Vの閾値に変更する。
【0039】
次いで、CPUは、図示を省略したモータを駆動し印刷ヘッド20の上端平面に当接している図示を省略したカムを回動させることで、印刷ヘッド20を退避位置から圧接位置に移動させ、印刷ヘッド20による印刷を開始させる(S316)。印刷ヘッド20は印刷データに従って搬送される印刷媒体に印刷処理を実行する。なお、印刷開始時点で、印刷ヘッド20(のヘッド部)はインクリボン21を介して印刷媒体の搬送方向先端に当接するように、印刷ヘッド20の下降速度、反射型センサ41の位置および搬送媒体の搬送速度等が設定されている。
【0040】
続いて、印刷媒体の搬送方向後端を検出したか否かを判断する(S318)。すなわち、CPUは反射型センサ41からADコンバータを介して取り込んだ電圧値が閾値(変更閾値:2.7V)を越えているか否かを判断することにより、閾値を越えたときに印刷媒体の搬送方向後端を検出する。図8に示すように、印刷媒体の搬送方向先端検出後、反射型センサ41の出力電圧は概ね1.2V〜0.2Vの間にある。このため、2.7Vの閾値を越えたときに、印刷媒体の搬送方向後端を検出することができる。なお、このように後端を検出するのは、長さが決まっている定型の印刷媒体の他に、長尺の(細長い)印刷媒体にも印刷処理を可能にさせるためである。
【0041】
印刷媒体の搬送方向後端を検出すると、印刷ヘッド20による印刷媒体への印刷処理は印刷データに従ってなおも続行されるが、印刷媒体の搬送方向後端が印刷ヘッド20(のヘッド部)に至るときに、CPUは、図示を省略したモータを駆動し印刷ヘッド20の上端平面に当接している図示を省略したカムを回動させることで、印刷ヘッド20を圧接位置から退避位置に移動させ、印刷ヘッド20による印刷を終了させる(S320)。次いで、閾値を変更閾値(2.7V)から初期閾値(1.0V)に戻す(S322)。
【0042】
次に、RAMを参照して切断が有効状態にセットされているか否かを判断し(S324)、肯定判断のときは印刷媒体の切断を行い(S326)、否定判断のときはステップ328に進む。本例では印刷媒体がプレートPのため、ステップ328に進む。ステップ328では、印刷媒体をプリンタ1から排出するために図示しないステッピングモータを所定ステップ数正転駆動させた後、停止させることにより印刷処理が終了する。
【0043】
以上により、黒色による一色目の印刷処理が終了する。オペレータは、黒色インクリボンを有するリボンカセット22に代えて赤色インクリボンを有するリボンカセット22を装着し、二色目の印刷を行うために、操作パネル23のメニュー切り替えボタン24、25およびメニュー選択(エンター)ボタン26を操作して、または、上位機器のパソコンから二色目の印刷であることを入力する。これにより、CPUは図5に示した印刷ルーチンのステップ108以下のステップを実行する。以下では、二色目の印刷動作について、ステップ108以下の説明を繰り返すことになるためその説明を省略するが、本発明に関連して図7のステップ318、314について簡単に説明する。
【0044】
二色目(赤色)の印刷を行う際に、印刷媒体には一色目(黒色)の印刷処理が施されている。本例では、コストや装置サイズの点で反射型センサ41がラインセンサではなく、印刷媒体の先端を精度よく検出するために閾値がローレベル側(初期閾値:1.0V)に設定されているため、二色目の印刷処理において、反射率の低い印刷済の黒色部分を、印刷媒体の後端と誤検出するおそれがある(図12参照)。このような誤検出を防止するために、印刷媒体の先端を検出直後に、閾値を、初期閾値の1.0Vから変更閾値の2.7Vに変更し(S314)、反射率の低い印刷済の黒色部分を印刷媒体の後端と誤検出することを防止している(S318)。
【0045】
(作用効果等)
次に、本実施形態のプリンタ1の作用効果等について説明する。
【0046】
本実施形態のプリンタ1では、印刷媒体の先端を検出するための閾値がローレベル側に設定されている。すなわち、初期閾値が反射型センサ41の飽和電圧(0V)側に設定されており、この初期閾値は反射型センサ41の飽和電圧に近いことが好ましいため、本例では、図8に示すように、センサ制御回路の電圧レンジを100%(N=3.3V)としたときに、初期閾値は反射型センサ41の飽和電圧から40%以内(N×0.4=1.3V)以内の1.0Vに設定されている。このため、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え(図10、図11も参照)、印刷精度を高めることができる。なお、初期閾値は単純に反射型センサ41の飽和電圧に近ければ近いほどよいわけではなく、色付きプレートに印刷する場合(例えば、黒プレートに銀のインクリボンで印刷する場合)には、初期閾値が反射型センサ41の飽和電圧側に寄りすぎると、プレートPの先端検出ができなくなるため、本実施形態ではこのような点も踏まえて1.0Vに設定されている。
【0047】
また、本実施形態のプリンタ1では、印刷媒体の後端を検出するための閾値がハイレベル側に設定されている。すなわち、変更閾値が反射型センサ41による印刷媒体の非検出電圧(3.3V)側に設定されており、この変更閾値は反射型センサ41の非検出電圧に近いことが好ましいため、本例では、図8に示すように、センサ制御回路の電圧レンジを100%(N=3.3V)としたときに、変更閾値は反射型センサ41による印刷媒体の非検出電圧から35%(N−N×0.35=2.1V)以内の2.7Vに設定されている。また、1回の印刷処理中の印刷媒体の搬送方向先端を検出直後に、閾値を、初期閾値(1.0V)から変更閾値(2.7V)に変更している(S314)。このため、印刷媒体に印刷済の部分が反射型センサ41の位置を通過しても反射型センサ41の出力電圧は変更閾値を越えないので、印刷媒体の後端の誤検出を防止することができる。
【0048】
さらに、初期閾値と変更閾値との電圧差は一定電圧以上とすることが好ましい。すなわち、印刷媒体の先端検出後、反射型センサ41の出力電圧が印刷媒体の飽和電圧側で大きく変動しているため(図8参照)、この電圧差は0.8V以上とることが好ましい。本実施形態のプリンタ1では、センサ制御回路及びセンサのバラつきを考慮して、各閾値の電圧差をセンサ制御回路の電圧レンジ(N=3.3V)の25%(3.3×0.25=0.8V)以上に設定している。本実施形態のプリンタ1では、初期閾値(1.0V)と変更閾値(2.7V)との電圧差を1.7Vに設定したので、印刷媒体の飽和電圧側で電圧変動があっても、確実に印刷媒体の後端の誤検出を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態のプリンタ1では、印刷媒体の厚さを検出し(S118、S134)、印刷処理においてその厚さを考慮してカムにより印刷ヘッド20をプラテンローラ12との圧接位置に移動させることができるので(S316)、印刷媒体の厚さに拘わらず、印刷ヘッド20の、プラテンローラ12に支持された印刷媒体への圧力をほぼ一定とすることができる。このため、印刷品質を高めることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、印刷部としてサーマル式の印刷ヘッド20を例示したが、本発明はこれに限ることなく、例えば、インクジェット式の印刷部にも適用可能である。また、印刷媒体に平面のプレートPを例示したが、本発明はこれに制限されず、例えば、複数の小チップを纏めて1つのプレート状とした媒体にも適用可能である。
【0051】
また、本実施形態では、印刷媒体の頭出しを行うため(図7、S312)、セット処理で印刷媒体を逆搬送する(図6、S210)例を示したが、このような逆搬送をセット処理で行わず、図7のステップ310で印刷媒体を搬送する前に行ってもよい。さらに、本実施形態では、媒体検出センサ40で印刷媒体の有無を検知する例を示したが、印刷媒体を一旦搬送し反射型センサ41で印刷媒体(からの反射光)を検出することで印刷媒体の有無を検知するにより、媒体検出センサ40をなくするようにしてもよい。また、媒体検出センサ40は反射型センサに限らず、例えば、透過型センサとしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、図9に示したように、フォトトランジスタのコレクタ側を反射型センサの出力電圧とする例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば、フォトトランジスタのエミッタ側を反射型センサの出力電圧とするようにしてもよい。この場合には、図8を始めとして、図10〜図12に示した(出力)電圧の波形は上下方向で逆となる。その際、飽和電圧は3.3V程度、非検出電圧は0V程度となり、上述した数式に当てはめて、初期閾値は2V〜3.3Vの範囲の例えば2.3V、変更閾値は0V〜1.2Vの範囲の例えば0.6Vに設定される。また、フォトトランジスタのエミッタ側を反射型センサの出力電圧とする場合に、図9の定電圧電源(+3.3V)とフォトトランジスタのコレクタ側との間に挿入されていた抵抗を、フォトトランジスタのエミッタ側とグランド(GND)の間に挿入し定電圧電源を直接フォトトランジスタのコレクタ側に接続するようにしてもよい。なお、後述するセンサ制御回路が3.3V以外のフォトトランジスタを用いた場合も同様に初期閾値と変更閾値を設定する。さらに、本実施形態では、タイマICにより計時する例を示したが(図6、S204、S208)、タイマICをなくしCPUが計時するようにしてもよい。
【0053】
以上では、反射型センサ41の飽和電圧を0V(理論値)として説明したが、実際にはフォトトランジスタの特性により0.2V程度である(図8の左側の縦軸も参照)。また、フォトトランジスタのエミッタ側を反射型センサの出力電圧とした場合には、同様にフォトトランジスタの特性により、センサ制御回路の電圧レンジの100%の電圧が3.1V程度となるが、これらの差異は僅かのため、説明を簡単にするためにすべて理論値に基づき説明した。
【0054】
また、反射型センサのフォトトランジスタは上述した3.3V系のものに限らず、例えば、1.8V、5V、12V系等のものを用いるようにしてもよい。例えば、(a)1.8V系のものを用いた場合には、初期閾値を0〜0.7Vの範囲の例えば0.5V、変更閾値を1.2〜1.8Vの範囲の例えば1.5V、閾値間の電圧差を0.4V以上に、(b)5V系のものを用いた場合には、初期閾値を0〜2.0Vの範囲の例えば1.5V、変更閾値を3.3〜5Vの範囲の例えば4V、閾値間の電圧差を1.2V以上に、(c)12V系のものを用いた場合には、初期閾値を0〜4.8Vの範囲の例えば3V、変更閾値を7.8〜12Vの範囲の例えば10V、閾値間の電圧差を3V以上にそれぞれ設定すればよい。また、反射型センサの発光素子、受光素子はLED、フォトトランジスタに限られるものではない。
【0055】
そして、本実施形態において各構成の形態および使用される材質や寸法或いは数値は、コストや相互の関係などによって変更されるべきもので本実施形態に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、さらに公知技術を組み合わせて変更可能である。特に変更閾値は、印刷媒体の先端を検出した後で後端を検出する前に、反射型センサの出力電圧が超えない値に設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明した通り、本発明は印刷媒体の後端の誤検出を防止しつつ、印刷媒体の種類による先端検出のばらつきを抑え印刷精度の高いプリンタを提供するものであるため、プリンタの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0057】
1 プリンタ
9 モータ(搬送手段の一部)
11、13 搬送ローラ(搬送手段の一部)
20 印刷ヘッド(印刷手段の一部)
41 反射型センサ
50 制御部(制御手段)
P プレート(印刷媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送される印刷媒体に印刷処理を施す印刷手段と、
前記印刷手段の上流側に配置された反射型センサと、
前記反射型センサを制御するセンサ制御回路と、
前記反射型センサの出力電圧と予め定められた閾値とを比較し、該比較結果に基づいて前記印刷手段による前記印刷媒体への印刷開始および終了を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記反射型センサの出力電圧が第1の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向先端を検出し、前記印刷媒体の搬送方向先端を検出した直後に、閾値を、前記第1の閾値から第2の閾値に変更して前記反射型センサの出力電圧が前記第2の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向後端を検出し、
前記第1の閾値は前記第2の閾値より前記反射型センサの飽和電圧側の電圧値に設定され、前記第2の閾値は前記第1の閾値より前記反射型センサの印刷媒体の非検出電圧側の電圧値に設定された、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記センサ制御回路の電圧レンジを100%(Nボルト)としたときに、前記第1の閾値は前記反射型センサの飽和電圧から40%(N×0.4ボルト)以内の電圧値に設定されており、前記第2の閾値は前記反射型センサによる印刷媒体の非検出電圧から35%(N×0.35ボルト)以内の電圧値に設定されたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1の閾値と前記第2の閾値との電圧差が前記電圧レンジ(Nボルト)の25%(N×0.25ボルト)以上であることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第2の閾値は前記第1の閾値より電圧値が大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記反射型センサの出力電圧は前記反射型センサを構成するフォトトランジスタのコレクタの電圧であり、前記コレクタは抵抗を介して定電圧電源に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記印刷媒体がプレート状媒体であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項1】
印刷媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送される印刷媒体に印刷処理を施す印刷手段と、
前記印刷手段の上流側に配置された反射型センサと、
前記反射型センサを制御するセンサ制御回路と、
前記反射型センサの出力電圧と予め定められた閾値とを比較し、該比較結果に基づいて前記印刷手段による前記印刷媒体への印刷開始および終了を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記反射型センサの出力電圧が第1の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向先端を検出し、前記印刷媒体の搬送方向先端を検出した直後に、閾値を、前記第1の閾値から第2の閾値に変更して前記反射型センサの出力電圧が前記第2の閾値を越えたときに前記印刷媒体の搬送方向後端を検出し、
前記第1の閾値は前記第2の閾値より前記反射型センサの飽和電圧側の電圧値に設定され、前記第2の閾値は前記第1の閾値より前記反射型センサの印刷媒体の非検出電圧側の電圧値に設定された、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記センサ制御回路の電圧レンジを100%(Nボルト)としたときに、前記第1の閾値は前記反射型センサの飽和電圧から40%(N×0.4ボルト)以内の電圧値に設定されており、前記第2の閾値は前記反射型センサによる印刷媒体の非検出電圧から35%(N×0.35ボルト)以内の電圧値に設定されたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第1の閾値と前記第2の閾値との電圧差が前記電圧レンジ(Nボルト)の25%(N×0.25ボルト)以上であることを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第2の閾値は前記第1の閾値より電圧値が大きいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記反射型センサの出力電圧は前記反射型センサを構成するフォトトランジスタのコレクタの電圧であり、前記コレクタは抵抗を介して定電圧電源に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記印刷媒体がプレート状媒体であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−95577(P2013−95577A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242422(P2011−242422)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
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