説明

プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整する方法、プリントヘッド及び画像形成装置

【課題】記録濃度と発光強度の関係についての客観的な基準を用いて、プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整し、白スジ及び黒スジを解消する。
【解決手段】直線状に配列された複数のLEDを有する複数のチップを、1列になるように配列した基板を備えるプリントヘッドにおいて、隣接する第1及び第2チップで、第2チップのLEDに最も近い第1チップのLEDを第1LED、第1LEDに隣接する第1チップのLEDを第2LED、第1チップのLEDに最も近い第2チップのLEDを第3LED、第3LEDに隣接する第2チップのLEDを第4LEDとするとき、第1LEDと第3LEDとの間隔が所定の範囲内にない場合、各LEDによる発光強度の分布を用いて第1LED及び第3LEDの発光強度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整する方法、プリントヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年画像形成装置の高画質化及び高生産性の要求が高まっている。その対策として、電子写真方式の複写機や画像形成装置においては、例えば駆動ローラや感光ドラムといった可動部の動作精度や、各部品の寸法精度や組み付け精度等の向上が考えられる。
【0003】
これらの対策の中で、プリントヘッドの結像位置の精度ついて着目する。結像位置のずれとしてはレンズから焦点までの距離のずれと、感光ドラム上での焦点位置のずれがあり、ここでは後者について考える。感光ドラム上での結合位置がずれると、ハーフトーンで記録する場合に記録されたその部分に白スジ、黒スジが現れ、さらにカラーで記録するとき、色ごとに複数のプリントヘッドを備えていれば、色むらが生じる。
【0004】
このような問題の対策として、例えば、特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−183202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、ハーフトーンで記録したときに白スジ、黒スジが現れた部分について、LEDに流す電流を調整することでその部分の発光強度を調整している。
【0007】
しかし、この文献において、白スジ、黒スジと発光強度の関係についての客観的な基準は用いられていない。したがって、発光強度の調整はLED、ロッドレンズの種類、またはLEDの実装間隔等の設計仕様が変更されると、その都度、記録状態を確認し、データを収集する必要が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、記録濃度と発光強度の関係についての客観的な基準を用いて、プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整し、白スジ及び黒スジを解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明によれば、一方向に沿って所定の間隔で直線状に配列された複数のLEDをそれぞれ有する複数のチップを、前記複数のチップに含まれる全てのLEDが前記方向に沿って1列になるように配列した基板を備えるプリントヘッドにおける前記LEDの発光強度を調整する方法であって、互いに隣接する第1チップ及び第2チップのLEDのうち、前記第2チップのLEDに最も近い前記第1チップのLEDを第1LEDとし、前記第1LEDに隣接する前記第1チップのLEDを第2LEDとし、前記第1チップのLEDに最も近い前記第2チップのLEDを第3LEDとし、前記第3LEDに隣接する前記第2チップのLEDを第4LEDとするとき、前記第1LEDと前記第3LEDとの前記方向における間隔のデータを取得する第1工程と、前記間隔が所定の範囲内にない場合、前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する第2工程と、を含み、前記第2工程は、少なくとも前記第1乃至第4LEDによる発光強度の前記方向における位置に対する分布を示し、前記第1乃至第4LEDのそれぞれに対応する4つの極大値を持つ曲線と、前記4つの極大値の何れよりも小さい第1発光強度を示す第1直線と、前記4つの極大値のうちの隣接する極大値の間に位置する3つの極小値の何れよりも大きく、前記第1発光強度よりも小さい第2発光強度を示す第2直線とによって囲まれる領域のうち、前記第1LEDに対応する極大値における前記位置を含む第1領域の面積をS1とし、前記第3LEDに対応する極大値における前記位置を含む第2領域の面積をS2とし、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域の面積をS3とするとき、3つの前記面積S1乃至S3が、|S1−S3|/S3≦0.05及び|S2−S3|/S3≦0.05の関係の双方を満たすように前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整することを特徴とする方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、一方向に沿って所定の間隔で直線状に配列された複数のLEDをそれぞれ有する複数のチップを、前記複数のチップに含まれる全てのLEDが前記方向に沿って1列になるように配列した基板を備えるプリントヘッドであって、互いに隣接する第1チップ及び第2チップのLEDのうち、前記第2チップのLEDに最も近い前記第1チップのLEDを第1LEDとし、前記第1LEDに隣接する前記第1チップのLEDを第2LEDとし、前記第1チップのLEDに最も近い前記第2チップのLEDを第3LEDとし、前記第3LEDに隣接する前記第2チップのLEDを第4LEDとするとき、前記第1LEDと前記第3LEDとの前記方向における間隔のデータを取得する第1取得手段と、前記間隔が所定の範囲内にない場合、前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する調整手段と、を含み、前記調整手段は、少なくとも前記第1乃至第4LEDによる発光強度の前記方向における位置に対する分布を示し、前記第1乃至第4LEDのそれぞれに対応する4つの極大値を持つ曲線と、前記4つの極大値の何れよりも小さい第1発光強度を示す第1直線と、前記4つの極大値のうちの隣接する極大値の間に位置する3つの極小値の何れよりも大きく、前記第1発光強度よりも小さい第2発光強度を示す第2直線とによって囲まれる領域のうち、前記第1LEDに対応する極大値における前記位置を含む第1領域の面積をS1とし、前記第3LEDに対応する極大値における前記位置を含む第2領域の面積をS2とし、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域の面積をS3とするとき、3つの前記面積S1乃至S3が、|S1−S3|/S3≦0.05及び|S2−S3|/S3≦0.05の関係の双方を満たすように前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整することを特徴とするプリントヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明によって、記録濃度と発光強度の関係についての客観的な基準を用いて、プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整し、白スジ及び黒スジを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を適用するための画像形成装置の構成の一例を示す図。
【図2】本発明の一実施形態を適用するための画像形成装置に搭載されたプリントヘッドと感光体を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態を適用するためのプリントヘッドの詳細を示す断面図。
【図4A】プリントヘッドの配線基板上のチップの配置の一例を示す図。
【図4B】プリントヘッドの配線基板上のチップの配置の一例を示す図。
【図5】プリントヘッドの各LED間の距離及び各LEDの発光強度を測定する装置の概略図。
【図6】プリントヘッドの各LEDに所定の電流を供給したときの発光強度の分布を示す図。
【図7】電流を調整した後の各LEDの発光強度を示す図。
【図8】各LEDの発光強度を等しくして重ね合わせたときの分布を示す図。
【図9】LEDの間隔Xの値に対する白スジ及び黒スジの度合いを示す図。
【図10】白スジ及び黒スジを解消するための補正を行った後の発光強度を示す図。
【図11】間隔Xの設計値Pからのずれに対するLEDの発光強度の補正量の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整する、本発明を適用できる好適な実施形態について、添付図面を参照しながら、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、既に説明した部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0014】
<画像形成装置の構成>
図1は、本実施形態による方法を適用するための画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【0015】
画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の4つの像形成ステーションを有している。なお、符号の中の数字の後に付されたa〜dはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒の像形成部に対応する。以降の説明ではa〜dの表記を省略する。なお、像形成ステーションの構成は、これに限られず、例えば、6色のカラーに対応していてもよいし、モノクロのみの対応であってもよい。
【0016】
画像形成装置は、感光体110、1次帯電器120、プリントヘッド130、現像器140、クリーナー160、1次転写ローラ153、中間転写ベルト151、中間転写ベルトクリーナー155、2次転写ローラ156、157、及び定着器170を具備する。感光体110は、例えば、感光ドラムである。
【0017】
ここで、感光体110は、像担持体として機能する。感光体110は、1次帯電器(1次帯電ローラ)120が印加する帯電高圧の作用により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
【0018】
プリントヘッド130は、一様に帯電された感光体110に向けて光Lを発光し、画像信号に応じた露光処理を行なう。これにより、感光体110上には、例えば、色成分像(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した静電潜像が形成される。
【0019】
現像器140は、現像剤(例えば、トナー)を担持する現像剤担持体として機能する。現像器140は、感光体110上に形成された静電潜像に現像剤を付着させる。これにより、感光体110に現像剤が現像される。
【0020】
一次転写ローラ(1次転写部)153は、中間転写ベルト151を挟んで、感光体110の対向位置に配置されている。感光体110上の静電潜像は、一次転写ローラ153に印加した静電気の作用により中間転写ベルト151に転写される。中間転写ベルト151は、感光体110から転写された像を2次転写ローラ156によって記録媒体180(例えば、用紙)上に転写する。これにより、記録媒体180上にトナー像が形成される。記録媒体180に転写されたトナー像は、定着器170によって定着される。これにより、記録媒体180上にカラー画像が形成される。
【0021】
感光体110上に残った転写残トナーは、クリーナー160によって回収され、中間転写ベルト151に残った転写残トナーは、中間転写ベルトクリーナー155によって回収される。
【0022】
<プリントヘッドの構成>
図2は、上記画像形成装置に搭載されたプリントヘッドと感光体を示す斜視図である。プリントヘッド130及び感光体110は図1における記録媒体180の搬送方向に直交する方向(z方向)を長手方向として画像形成装置に取り付けられている。すなわち、プリントヘッド130及び感光体110は主走査方向に延設される。
【0023】
図3は、プリントヘッドの詳細を示す断面図である。切断面は図2におけるxy平面とする。図に示す通り、プリントヘッド130は、発光体であるLED133を有するチップ132が実装され配線基板131と、ロッドレンズアレイ(例えば、セルフォック(登録商標)レンズアレイ)135を備えた筺体134を具備する。チップ132上のLED133から発光された光は、ロッドレンズアレイ135を通り、感光体110上の露光位置111で結像する。
【0024】
図4Aは、プリントヘッドの配線基板のチップの配置の一例を示す図である。チップ132上には、複数のLED133が、一方向(z方向)に沿って所定の間隔P(設計値)で直線状に配列されている。さらに、z方向に直線状に配列(直線配列)させるように、チップ132が配線基板131上に実装される。ここで拡大図を参照する。互いに隣接するチップをそれぞれ第1チップ、第2チップとする。また、第2チップのLEDに最も近い第1チップのLEDを第1LED、第1LEDに隣接する第1チップのLEDを第2LED、第1チップのLEDに最も近い第2チップのLEDを第3LEDとし、第3LEDに隣接する第2チップのLEDを第4LEDとする。第1LEDと第3LEDとの方向における間隔をXとする。なお、第1LEDと第2LED、及び第3LEDと第4LEDの間隔は上記の通りPである。チップ上にLEDを実装できる範囲は限られているため、この例では、図のようにz方向に沿った間隔Xは一般的に設計値Pよりも大きくなり、記録された部分に白スジが発生しやすくなる。なお、本実施形態の画像形成装置の解像度は1200dpiであり、P=21μmとなる。
【0025】
この対策として、図4Bのような変形例がある。各チップをz方向に沿って、かつ隣り合うチップどうしを副走査方向(x方向)に交互にずらすように2列に、かつLED133がz方向に沿って1列になるように(第1LEDと第3LEDのz軸上の位置関係が入れ替わらないように)配置する。すなわち、配線基板131上でチップ132を千鳥状に配列(千鳥配列)させる。この変形例では、第2チップを更に第1チップ側に配置することができるため、図4Aに比べて間隔Xを小さくすることができる。しかし、この場合であっても、チップの実装位置のばらつきによるXの公差は生じる。XがPよりも大きくなると上記のように白スジが発生しやすくなり、XがPよりも小さくなるとグレースケール印刷等において黒スジが発生しやすくなる。
【0026】
<LEDの発光強度の調整方法>
プリントヘッド130におけるLEDの発光強度の調整方法について説明する。
【0027】
測定位置において目標となる強度Eで各LEDを発光させるために所定の電流Iを供給し、このときの各LEDの発光強度を測定する。図5は、プリントヘッド130の各LED間の距離及び各LEDの発光強度を測定する装置の概略図である。CCDカメラ500はz方向に移動しながら各位置でのプリントヘッド130からの発光強度を測定(スキャン)する。各位置ごとに測定された発光強度から、主走査方向(z方向)の分布が得られる。CCDカメラ500とプリントヘッド130の距離Lは、プリントヘッド130と感光体110の距離の設計値と等しい。すなわち実際の製品の状態に合わせて測定を行う。なお、発光強度は光源からの距離の2乗に反比例して減少することを加味して測定値からデータを作成するならば、距離Lはプリントヘッド130と感光体110より短くてもよいし長くてもよい。
【0028】
複数のLEDのうち1つに電流Iを供給し発光させた状態で、このLED単独での発光強度の分布を取得する。その他のLEDについても同様に電流Iを供給して個別の発光強度の分布を取得する。図6は、プリントヘッドの各LEDに所定の電流Iを供給したときの発光強度の分布を示す図である。ここで、各LEDの発光強度は目標となる強度Eに対して30〜40%のばらつきがあり、これはチップ製造時のばらつき等によるものである。
【0029】
得られた発光強度の分布から、各LEDの発光強度のばらつきが目標値Eに対して1%以内になるように、各LEDに供給する電流を調整する。図7は、電流を調整した後の各LEDの発光強度を示す図である。さらに、図8は、各LEDの発光強度を等しくして重ね合わせたときの分布を示す図である。
【0030】
ここで、第1LEDと第3LEDとのz方向における間隔のデータ(間隔X)を測定する。図9は、LEDの間隔Xの値に対する白スジ及び黒スジの度合いを示す図である。この図をもとに白スジ及び黒スジが目立たない範囲となるような間隔Xの公差範囲を決定する。本実施形態では、Xの範囲は16〜24μmである(上記の通りP=21μm)。間隔Xが、設計値Pの公差範囲内になければ、これらのLEDの発光強度を調整することで、各チップの実装位置のばらつきによって生じる白スジまたは黒スジを解消する。しかし、Xが設計値Pの公差範囲内にあって白スジや黒スジが発生する場合、LED133及びロッドレンズ135が傾いている等の要因があると考えられるため、再度実装する等の手直しが必要となる。なお、間隔Xは画像測定機等により測定する。
【0031】
図8に示した発光強度の分布を使用してLEDの発光強度の調整を行う。ここで、所定時間、LED133により感光体110を露光した場合、LEDからの発光強度がある値より大きければ、感光体110は十分に感光し(露光飽和領域に達し)、これ以上の発光強度で露光しても記録濃度は変化しない。ここで、感光体110を十分に感光させるための発光強度を第1発光強度E1とする。一方、LEDの光を感光体110に照射したとき、その光が小さいと感光体110は感光せず(未露光領域となり)、その部分は記録されない。この感光体110が感光するために必要な最低限の発光強度を第2発光強度E2とする。したがって、発光強度E2からE1までの間では発光強度(露光量)に応じて記録濃度が増加する露光濃度影響領域となる。また、図8にあるように、各LEDに対応する極大値はE1よりも大きく、隣接する極大値の間に位置する各極小値はE2よりも小さくなるように各LEDの発光強度は調整されている。
【0032】
第1発光強度E1及び第2発光強度E2が決定され、次に、発光強度を示す曲線Cと、第1発光強度E1を示す第1直線L1と、第2発光強度E2を示す第2直線L2とによって囲まれる領域に基づいて白スジ及び黒スジが発生する条件を考える。この領域のうち、第1LEDに対応する極大値における位置を含む第1領域の面積をS1とする。第3LEDに対応する極大値における位置を含む第2領域の面積をS2とする。さらに、第1領域と第2領域の間に位置する第3領域の面積をS3とする。第1LED及び第3LEDの発光強度を調整することによりこれらの面積を調整する。
【0033】
図10は、白スジ及び黒スジを解消するための補正を行った後の発光強度を示す図である。理想的には図のようにS3=S1=S2であることが望ましいが、実際には、図9における白スジ及び黒スジが目立たない範囲とすればよく、S1及びS2がS3に対して所定の数値範囲となるように調整する。本実施形態では、S1及びS2がS3に対して±1%の範囲内になるように第1LED及び第3LEDの発光強度を調整する。すなわち、3つの領域の面積S1乃至S3が、|S1−S3|/S1≦0.01及び|S2−S3|/S2≦0.01の関係の双方を満たすように第1LED及び第3LEDの発光強度を調整する。なお、本実施形態では、第1LED及び第3LEDの発光量は等しくなるように調整する(S1=S2)。また、図10において、第1LED及び第3LEDに相当する発光強度のうち、上記の補正に係る部分(S1乃至S3)は、隣接するLEDによる影響を受けているが、さらに1つ隔てたLEDの影響はほとんど受けていない。したがって、重ね合わせる発光強度は第1乃至第4LEDによるものだけであってもよい。
【0034】
また、この許容される公差範囲は、要求する解像度やハーフトーンの鮮明度等によって異なり、予め選択して適正に設定しておくことが良い。例えば、上述の解像度1200dpiに比べ、低解像度である400dpi以下の場合にはハーフトーンの鮮明度の要求も下がり、S1及びS2はS3の95%以上105%以下でも白スジ及び黒スジの目立ちを許容できる場合がある。
【0035】
なお、本実施形態における発光強度の調整はプリントヘッドに搭載されたMPU等が行ってもよい。この場合MPUは、外部からの入力等により、第1LEDと第3LEDとの間隔Xを取得する第1取得手段、及び記録された媒体上の記録濃度を確認する等によってLEDの発光強度のばらつきを取得する第2取得手段となる。これらの取得したデータをもとに、MPUは第1LED及び第3LEDを含む各LEDの発光強度を調整する。
【0036】
<本実施形態の効果>
本実施形態では、発光強度を示す曲線と、第1及び第2発光強度を示す2つの直線とによって囲まれる領域S1(S2)と、S3との比によって白スジ及び黒スジの発生要件を特定し、これらの面積を調整するようにLEDの発光強度を調整している。したがって、本実施形態では、記録濃度と発光強度の関係についての客観的な基準を用いて、プリントヘッドにおけるLEDの発光強度を調整し、白スジ及び黒スジを解消することができる。 <他の実施形態>
LEDの指向性が決まっている場合、上記のように間隔Xを測定し、第1LED及び第3LEDの発光強度の補正量をデータとして蓄積していくことで、図11に示す、間隔Xの設計値Pからのずれに対するLEDの発光強度の補正量の関係が得られる。したがって、この実施形態によると、間隔Xを測定し、各LEDの発光強度を調整した後、図11のデータに基づいて第1LED及び第3LEDの発光強度を補正することで、上記実施形態と同様のことを行ったことになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って所定の間隔で直線状に配列された複数のLEDをそれぞれ有する複数のチップを、前記複数のチップに含まれる全てのLEDが前記方向に沿って1列になるように配列した基板を備えるプリントヘッドにおける前記LEDの発光強度を調整する方法であって、
互いに隣接する第1チップ及び第2チップのLEDのうち、前記第2チップのLEDに最も近い前記第1チップのLEDを第1LEDとし、前記第1LEDに隣接する前記第1チップのLEDを第2LEDとし、前記第1チップのLEDに最も近い前記第2チップのLEDを第3LEDとし、前記第3LEDに隣接する前記第2チップのLEDを第4LEDとするとき、前記第1LEDと前記第3LEDとの前記方向における間隔のデータを取得する第1工程と、
前記間隔が所定の範囲内にない場合、前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する第2工程と、
を含み、
前記第2工程は、
少なくとも前記第1乃至第4LEDによる発光強度の前記方向における位置に対する分布を示し、前記第1乃至第4LEDのそれぞれに対応する4つの極大値を持つ曲線と、
前記4つの極大値の何れよりも小さい第1発光強度を示す第1直線と、
前記4つの極大値のうちの隣接する極大値の間に位置する3つの極小値の何れよりも大きく、前記第1発光強度よりも小さい第2発光強度を示す第2直線とによって囲まれる領域のうち、
前記第1LEDに対応する極大値における前記位置を含む第1領域の面積をS1とし、前記第3LEDに対応する極大値における前記位置を含む第2領域の面積をS2とし、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域の面積をS3とするとき、
3つの前記面積S1乃至S3が、|S1−S3|/S3≦0.05及び|S2−S3|/S3≦0.05の関係の双方を満たすように前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のチップに配列された全てのLEDを個別に発光させて、前記LEDの発光強度のばらつきのデータを取得する第3工程と、
前記第3工程で取得されたデータが所定の範囲を超えるばらつきを含む場合に、前記ばらつきが前記所定の範囲内となるように、LEDの発光強度のそれぞれを調整する第4工程と、
をさらに含み、
前記第2工程では、前記第4工程が行われた後の少なくとも前記第1乃至第4LEDによる発光強度の分布を使用して前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一方向に沿って所定の間隔で直線状に配列された複数のLEDをそれぞれ有する複数のチップを、前記複数のチップに含まれる全てのLEDが前記方向に沿って1列になるように配列した基板を備えるプリントヘッドであって、
互いに隣接する第1チップ及び第2チップのLEDのうち、前記第2チップのLEDに最も近い前記第1チップのLEDを第1LEDとし、前記第1LEDに隣接する前記第1チップのLEDを第2LEDとし、前記第1チップのLEDに最も近い前記第2チップのLEDを第3LEDとし、前記第3LEDに隣接する前記第2チップのLEDを第4LEDとするとき、前記第1LEDと前記第3LEDとの前記方向における間隔のデータを取得する第1取得手段と、
前記間隔が所定の範囲内にない場合、前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する調整手段と、
を含み、
前記調整手段は、
少なくとも前記第1乃至第4LEDによる発光強度の前記方向における位置に対する分布を示し、前記第1乃至第4LEDのそれぞれに対応する4つの極大値を持つ曲線と、
前記4つの極大値の何れよりも小さい第1発光強度を示す第1直線と、
前記4つの極大値のうちの隣接する極大値の間に位置する3つの極小値の何れよりも大きく、前記第1発光強度よりも小さい第2発光強度を示す第2直線とによって囲まれる領域のうち、
前記第1LEDに対応する極大値における前記位置を含む第1領域の面積をS1とし、前記第3LEDに対応する極大値における前記位置を含む第2領域の面積をS2とし、前記第1領域と前記第2領域の間に位置する第3領域の面積をS3とするとき、3つの前記面積S1乃至S3が、|S1−S3|/S3≦0.05及び|S2−S3|/S3≦0.05の関係の双方を満たすように前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する
ことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項4】
前記複数のチップに配列された全てのLEDを個別に発光させたときの、前記LEDの発光強度のばらつきのデータを取得する第2取得手段をさらに備え、
前記調整手段は、
前記第2取得手段によって取得されたデータが所定の範囲を超えるばらつきを含む場合に、前記ばらつきが前記所定の範囲内となるように、LEDの発光強度のそれぞれを調整し、
該調整が行われた後の少なくとも前記第1乃至第4LEDによる発光強度の分布を使用して前記第1LED及び前記第3LEDの発光強度を調整する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
請求項3または4に記載のプリントヘッドを搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−91185(P2013−91185A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233249(P2011−233249)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】