説明

プリント回路基板、集積回路上の回路及び送信ラインの終端方法

【課題】送信ラインの正確なオンチップ終端の提供。
【解決手段】外部基準抵抗22に関係する抵抗値を有するオンチップ抵抗を使用して送信ラインの終端をネットワーク内に構成するようにする。終端抵抗ネットワーク50は、その抵抗値がオンチップ基準抵抗ネットワーク42の抵抗値に対して所定の関係を呈するように構成される。1つの実施例では、各終端抵抗ネットワークの抵抗地は実質的に各送信ラインの特性インピーダンスと同一である。

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、高速データ送信に関し、特に送信ラインの終端システム及び方法に関する。
【0002】高速データラインの使用が広く普及しつつある。送信速度が1Gbps以上のものもしばしば存在する。高速データ送信速度では、データラインはいくつかの点で送信ラインとして動作し、送信ライン効果が送信信号の呼出信号及び歪みをもたらす。送信ライン効果は、送信ラインの受信端に送信ラインの特性インピーダンスと等価な抵抗の終端抵抗を配置することにより最小化でき、それによりインピーダンスが送信ラインと終端抵抗をマッチング(整合)させる。
【0003】受信機が半導体装置である時、送信ラインのインピーダンスマッチングにはいくつかの問題がある。例えば、いくつかの問題は、受信する半導体装置の外部に終端抵抗を使用することにより生じる。外部終端抵抗を使用する時、一般的には個別の抵抗が各送信ライン毎に必要である。これらの抵抗は、回路基板上に大きな面積を占めるので、PCB(プリント回路基板)を複雑にする。更に、PCB上に取り付けられた終端抵抗は、抵抗と受信半導体装置の間の終端されていない送信ラインスタブに起因する送信ライン効果を防ぐことはできない。
【0004】他の問題は、送信ラインをオンチップ抵抗を使用して終端する時に生じる。半導体装置の製造におけるプロセスの変動は、例えば±30%までの抵抗器の抵抗値の変動をもたらす。この変動する抵抗値は、不適切な終端値をもたらす。更に、内部終端抵抗をオンチップして含ませると、抵抗値を変えるのは難しくなる。
【0005】本発明は、送信ラインの正確なオンチップ終端を提供する方法及び装置を提供する。本発明の1つの実施例は、第1の基準抵抗と集積回路とを有し、この集積回路は抵抗ネットワークと制御回路とを有する。抵抗ネットワークの構成は、制御回路で制御でき、抵抗ネットワークの抵抗値は基準抵抗の抵抗値に関係する。
【0006】別の実施例は、第1の基準抵抗と、抵抗ネットワーク及び制御回路を備える集積回路と、前記集積回路に接続された送信ラインとを備える。抵抗ネットワークは、前記送信ラインを横断する終端抵抗を提供し、前記抵抗ネットワークの構成は、前記制御回路により、前記抵抗ネットワークの抵抗値が前記基準抵抗の抵抗値に関係するように制御可能である。本発明の別の実施例では、集積回路は、基準抵抗ネットワークと、基準抵抗ネットワーク制御回路とを備える。基準抵抗ネットワークの構成は、基準抵抗制御回路により、基準抵抗ネットワークの抵抗値が基準抵抗の抵抗値に関係するように制御可能である。抵抗ネットワークの構成は、制御回路により、抵抗ネットワークの抵抗値が基準抵抗ネットワークの抵抗値に関係するように制御可能である。更に、外部基準抵抗の抵抗値は、抵抗ネットワークの抵抗値が実質的に送信ラインの特性インピーダンスと同一であるように選択される。
【0007】本発明の別の実施例は、集積回路上の終端抵抗ネットワークの構成を、終端抵抗ネットワークの抵抗値がプリント回路基板上に位置する基準抵抗の抵抗値に関係するように制御することを含む。本発明の別の実施例は、集積回路上の終端抵抗ネットワークの構成を、基準抵抗ネットワークの抵抗値がプリント回路基板上に位置する基準抵抗の抵抗値に関係するように制御することを含む。更に、終端基準抵抗ネットワークは、終端抵抗ネットワークの抵抗値が基準抵抗ネットワークの抵抗値に関係するように、構成される。構成するステップは、終端抵抗ネットワークが実質的に基準抵抗ネットワークと同一の構成を有するようにする。別の実施例は、終端抵抗ネットワークの抵抗値が実質的に送信ラインの特性インピーダンスと同一であるように選択される基準抵抗の抵抗値を含む。
【0008】本発明のシステムは、図1に示される。図1に示した例では、システムは送信装置10と受信装置12とを備える。送信装置と受信装置は、送信ライン14で接続されている。受信装置は、送信ラインを終端する終端ブロック18を有する。終端ブロックは、更に外部基準抵抗22に接続されている。
【0009】終端ブロックは、外部基準抵抗の抵抗値に関係する終端抵抗により、各送信ラインが終端されている。1つの実施例では、外部基準抵抗の値は、各送信ラインが送信ラインの特性インピーダンスに実質的に等しい終端抵抗値により終端されるように選択される。
【0010】終端ブロックの1つの実施例を図2に示す。終端ブロックは、送信ラインに渡って終端抵抗値を提供する。終端ブロックはいくつかの終端抵抗ブロック32を有する。各終端抵抗ブロックは、送信ラインとグランド面の組を横切って、すなわち、各種の実施例では差動送信ライン組を横切って接続される。
【0011】各終端抵抗ブロックの抵抗値は、抵抗値決定ブロック30が提供する信号により制御される。1つの実施例では、例えば、信号はバスにより提供される複数の信号である。このような実施例では、1つの例ではデジタル信号である信号は、抵抗値を制御するコードを形成する。これは、例えば、有限の抵抗値を制御する信号のそれぞれにより成される。いずれにしろ、信号は抵抗値を制御するビットパターンを形成する。別の実施例では、抵抗値を決定するように時間期間で変化する単一信号が使用される。抵抗値決定ブロックは、外部基準抵抗22の抵抗値を決定し、決定した抵抗値に関係する信号を出力する。
【0012】外部基準抵抗に接続される終端ブロック18は図3に示される。終端ブロックは、外部基準抵抗からの信号とオンチップ基準抵抗アレイ42からの信号を比較する比較器40を有する。従って、比較器は、オンチップ基準抵抗アレイ42に接続される入力と、オンチップ基準抵抗アレイと、グランドに接続される外部基準抵抗22が接続されるノード43に接続される入力を有する。比較器は、オンチップ基準抵抗アレイからの信号が外部基準抵抗からの信号より大きければ出力に第1の値の信号を提供する。逆の時には、第2の値の信号が比較器の出力に発生される。
【0013】比較器により発生された出力信号は、抵抗値制御ブロックの入力に入る。抵抗値制御ブロックは、オンチップ基準抵抗アレイにつながれる出力を有する。抵抗値制御ブロックは、比較器により提供される入力に応答してオンチップ基準抵抗アレイの抵抗値を制御する出力を発生する。
【0014】抵抗値制御ブロックは、比較器からの入力に応答してオンチップ基準抵抗アレイの抵抗値を制御する。比較器により提供された入力が外部基準抵抗の抵抗値とオンチップ基準抵抗アレイの抵抗値との間の関係が所望の関係より小さいことを示すならば、抵抗値制御ブロックはその出力に第1の値の信号を出力する。抵抗値制御ブロックは、比較器からの入力がこの所望の関係より大きければ、その出力に第2の値の信号を出力する。抵抗値制御ブロックは、アレイの抵抗値が外部基準抵抗の抵抗値に対して所定の関係になるまで、比較器のからの入力に応答して出力を発生し続ける。
【0015】1つの実施例では、オンチップ基準抵抗アレイは制御可能な可変抵抗を有する装置である。オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値は、抵抗値制御ブロックから出力される信号により制御される。
【0016】オンチップ基準抵抗アレイの1つの実施例は、図4に示される。オンチップ基準抵抗アレイは、スイッチング装置56により切り換え可能に組み合わされた複数の抵抗54で構成されるネットワークを有する。図4に示すように、複数の抵抗54は並列であり、第1ノードに接続されるそれぞれの抵抗は、スイッチング装置を介して第2ノードに接続される。
【0017】他の実施例では、基準抵抗アレイは、直列に切り換え可能に接続された又は直列及び並列構成の組み合わせで切り換え可能に接続された抵抗のネットワークである。更に別の実施例では、オンチップ基準抵抗アレイは、トランジスタを線形範囲で使用して作られる。
【0018】抵抗値制御ブロックの出力は、終端抵抗ブロックへの入力としても提供される。各終端抵抗ブロックは、終端抵抗を形成するように、送信ラインとグランド面の組又は択一的な差動の組の間に接続される終端抵抗アレイ50を有する。
【0019】抵抗値制御ブロックは、終端抵抗アレイへの入力となる出力信号を発生することにより、終端抵抗アレイの抵抗値を制御する。これらの信号は、抵抗値制御ブロックの出力信号がオンチップ基準抵抗アレイの抵抗値を制御するのと同様の方法で終端抵抗アレイの抵抗値を制御する。
【0020】オンチップ基準抵抗アレイと終端抵抗アレイの抵抗値の間に既知の関係が存在するならば、終端抵抗アレイの抵抗値が所望の抵抗値を有することを保証するように外部基準抵抗の抵抗値が選択される。
【0021】終端抵抗アレイの抵抗値の1つの実施例は、図5に示される。終端抵抗アレイは、図4のオンチップ基準抵抗アレイと類似している。終端抵抗アレイは、スイッチング装置58に切り換え可能に組み合わされる複数の抵抗57で構成されるネットワークを有する。図5に示すように、複数の抵抗57は、送信ラインに接続される各々がスイッチング装置を介してグランド面に並列に接続される。スイッチは、終端抵抗アレイが提供する終端抵抗値を変化させる抵抗を通過する電流を制御する。
【0022】他の実施例では、終端抵抗アレイは、切り換え可能に直列に接続されるか又は切り換え可能に並列及び直列の構成の組み合わせで接続される抵抗のネットワークである。更に別の実施例では、オンチップ基準抵抗アレイは、トランジスタをその線形範囲で使用して作られる。
【0023】外部基準抵抗及び本発明の第1比較器とオンチップ基準抵抗アレイとを有する抵抗値終端ブロック30の一部を図6に示す。オンチップ基準抵抗アレイは、複数の抵抗60とスイッチング装置62を有する。1つの実施例では、各抵抗は、一方が共通ノード63に、他方がスイッチング装置に接続される。共通ノード63は、更に電源に接続される。更に、各スイッチング装置は一方が抵抗に他方が第2の共通ノード64に接続される。
【0024】抵抗ネットワークは、オンチップ基準抵抗アレイ内の抵抗により形成され、スイッチング装置はそこを通る電流を制御できる。1つの実施例では、抵抗は実質的に同じ抵抗値であり、抵抗ネットワークの抵抗値は、次の関係に従って決定できる。
【0025】RN=R/i但し、RNは抵抗ネットワークの抵抗値であり、iは抵抗ネットワークに含まれ、電流が流れる抵抗の個数であり、Rは抵抗ネットワーク内の各抵抗の抵抗値である。
【0026】抵抗ネットワークの抵抗値は、スイッチング装置を使用して制御される。スイッチング装置は、ネットワークから抵抗を除くことにより抵抗ネットワークの抵抗値を増加させる。スイッチング装置は、オンチップ基準抵抗アレイ内の抵抗のいくつかを電流が流れないようにすることでこれを達成する。スイッチング装置は、更に抵抗ネットワークに抵抗を付加することにより抵抗ネットワークの抵抗を減少させる。スイッチング装置は、それまでは電流が流れていなかったオンチップ基準抵抗アレイ内の抵抗に電流を流すことでこれを達成する。
【0027】抵抗ネットワークの最小抵抗値は、スイッチング装置がオンチップ基準抵抗アレイ内のすべての抵抗に電流を流すことを可能にする時に達成される。最大抵抗値は、スイッチング装置がオンチップ基準抵抗アレイ内のいかなる抵抗にも電流が流れないようにする時に達成される。
【0028】外部基準抵抗は、共通ノード64と共通グランドの間を接続する。共通ノード64は、比較器40の入力65にも接続される。このように、オンチップ基準抵抗アレイ及び外部基準抵抗は、比較器40の入力65における電圧分割器を形成する。抵抗R1 66及び抵抗R2 68は、比較器の第2入力69における電圧分割器を形成する。
【0029】比較器40の出力は、その入力65と69における電圧の相対的な強度に基づいて発生される。図6に示した実施例では、比較器は、オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値の外部基準抵抗の抵抗値に対する比がR1とR2の抵抗値の比より大きいか又は小さいかを示す出力信号を発生する。
【0030】スイッチング装置62及びスイッチング装置を制御するのに使用される回路の1つの実施例は、図7に示される。この実施例では、オンチップ基準抵抗アレイは、並列に接続された類似の抵抗とトランジスタのいくつかの構成を備える。抵抗とトランジスタの各構成は、トランジスタ92,94の対と第2の抵抗96とに直列に接続された第1の抵抗90を有する。
【0031】トランジスタ92,94は、トランスミッションゲート(TG)を形成するように構成される。TGはnチャンネルMOSFET92とpチャンネルMOSFET94を並列に接続して作られ、そこでは各トランジスタのソースは他方のドレインに接続されている。TGは、信号を通過させるか通過させないCMOS回路設計に使用される。従って、TGは、有効化論理98により発生される信号に応答して抵抗90と96を通る電流を制御することにより、図6のスイッチング装置62の機能を実行する。
【0032】有効化論理は、TGを形成するトランジスタ92と94のゲートに接続される。有効化論理が「高」の時には、TGを電流が流れ、そうでなければTGは電流を流さない。有効化論理98への入力は、抵抗値制御ブロック42に接続される。有効化論理への適切な入力を提供することにより、抵抗値制御ブロックはオンチップ基準抵抗アレイ44内の抵抗ネットワークを形成できる。
【0033】好ましくは、TG構成はスイッチング装置を実現するのに使用されるが、それは簡単で一般的に一定の有効抵抗を有するからである。抵抗94を流れる電流量は、トランジスタのソース100とゲート102の間の電圧差により決められる。もし電圧差が電源電圧に比べて大きければ、多量の電流が流れる。もし電圧差が小さければ、電流が減少する。
【0034】TGは、それが接続される抵抗を通して流れる電流では実質的に変動しない有効抵抗値を維持する。これは、トランジスタ92のソース104がトランジスタ94のドレイン106に接続されているためである。トランジスタ94の有効抵抗値が増加するに従って、トランジスタ92のゲート108に対するソースの電圧は増加する。その結果、トランジスタ94を流れる電流の減少を補償するようにトランジスタ92をより多くの電流が流れる。トランジスタ94を流れる電流が増加すると逆のことが起きる。
【0035】トランジスタ92と94の組み合わせは、TGが接続される抵抗を通して流れる電流では実質的に変動しない有効抵抗値を有するようにする。他の実施例では、スイッチング装置は電流が流れるようにしている時に一般的に一定の抵抗値を呈し且つ電流を流さないようにできる異なるトランジスタ構成が、スイッチング装置を実現するのに使用される。
【0036】図8は、比較器40からの出力に応答してオンチップ基準抵抗アレイ44の抵抗値を制御する抵抗値制御ブロック42により使用されるプロセス109を示すフローチャートである。最初、抵抗値制御ブロックは、オンチップ基準抵抗アレイ内のスイッチング装置が第1の抵抗ネットワークを提供するように構成する出力を発生する。
【0037】次に、比較器は、外部基準抵抗の抵抗値に対する第1の抵抗ネットワークの抵抗値の比をR1とR2の抵抗値の所望の比と比較し、どちらの比が大きいかを示す出力を発生する。比較器は比較結果を使用して出力を発生する。
【0038】プロセスブロック110では、抵抗値制御ブロックは、比較器の出力を受け、比較器の出力に応答して第1の抵抗ネットワークをどのように調整すべきかを決める決定111を実行する。もし比較器からの出力が第1の抵抗ネットワークの抵抗値が大きすぎることを示しているならば、抵抗値制御ブロックはブロック112における処理を実行する。
【0039】ブロック112の処理は、スイッチング装置に第1の抵抗ネットワーク内の抵抗の個数より1個多い抵抗を有する第2の抵抗ネットワークを作らせる。比較器からの出力が第1の抵抗ネットワークの抵抗値が小さすぎることを示している場合には、抵抗値制御ブロックはブロック113における処理を実行する。ブロック112の処理は、スイッチング装置に第1の抵抗ネットワーク内の抵抗の個数より1個少ない抵抗を有する第2の抵抗ネットワークを作らせる。
【0040】有効化論理98への入力を提供するように構成された抵抗値制御ブロック42の1つの実施例は、図9に示される。抵抗値制御ブロックは、メモリ要素115のアレイとして実現され、各メモリ要素の出力はオンチップ基準抵抗アレイの有効化論理に接続される。この方法で、メモリ要素に記憶された情報はオンチップ基準抵抗アレイの抵抗を流れる電流を制御し、従ってオンチップ基準抵抗アレイ内に形成された抵抗ネットワークの抵抗値を制御する。
【0041】1つの実施例では、メモリ要素内の情報は、デジタル形式で記憶され、論理「1」はオンチップ基準抵抗アレイ内の抵抗グループに電流を流し、論理「0」は電流を流さないようにする。
【0042】抵抗値制御ブロックは、各メモリ要素に接続される制御回路115も有する。制御回路は比較器の出力に応答して各メモリ要素に記憶された値を修正することが可能である。
【0043】抵抗値制御ブロックの実施例の1つでは、メモリ要素及び制御回路はシフトレジスタとして実現される。この構成で、各メモリ要素はシフトレジスタ内のビットに対応する。オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値は、初期化によりシフトレジスタ内のすべてのビットが論理「0」にされ、次に比較器の出力に応答して一方の端からレジスタにシフト論理「1」が他方から論理「0」が入力される。抵抗値制御ブロックをシフトレジスタとすることにより、実際には抵抗ネットワークに付加される抵抗やそこから除去される抵抗は無いにもかかわらず、比較器の出力に応じてオンチップ基準抵抗アレイ内の抵抗ネットワークに抵抗を付加したりそこから抵抗を除去することが可能になる。
【0044】シフトレジスタで実現された抵抗値制御ブロック42の実施例は、図10に示される。この実施例では、メモリ要素はN個のD型フリップフロップ116を使用して実現され、制御回路はN個の2入力マルチプレクサ118を使用して実現され、ここではNはオンチップ基準抵抗アレイ内の抵抗の個数である。各マルチプレクサはA入力120とB入力122の2入力を有する。マルチプレクサ124の出力Zはいつも比較器の出力により決定される。比較器の出力は、各マルチプレクサのS選択入力126に入力される。もしSが論理「0」であれば、A入力が出力Zとして選択され、そうでなければB入力が出力Zとして選択される。フリップフロップにクロック動作する度に、新しい値がD型フリップフロップ116に記憶される。記憶された値はその時のマルチプレクサの出力Zである。マルチプレクサのA入力とB入力とフリップフロップ128の出力Qの間の接続は、シフトレジスタを実現するように構成されており、それはレジスタの一方の端130から論理「1」をロードし、レジスタの他方の端132から論理「0」をロードする。この構成で、比較器出力の論理「1」はオンチップ基準抵抗アレイ44の抵抗値を減少させ、論理「0」はそれを増加させる。
【0045】図11は、シフトレジスタによる抵抗値制御ブロック42’の別の構成を示す。この構成は、差動論理を使用し且つ1出力でなく2出力を有する比較器40と使用するのに最適である。抵抗値制御ブロックは、N個のD型フリップフロップと2N個の2入力マルチプレクサ138を使用するように構成されており、ここではNはメモリ要素の個数である。1つの実施例では、Nは10である。しかし、他の実施例はNのどのような値を使用することもできる。Nの値はオンチップ基準抵抗アレイ内のスイッチング装置62の個数により決まる。外部基準抵抗に対する所定の抵抗値に一致させることができるオンチップ基準抵抗アレイの抵抗値の精度は、Nに応じて増加する。
【0046】図12は、終端抵抗アレイ50の1つの実施例を示す。アレイは入力バッファ20の端子を横断するように接続され、それは送信ライン14とグランド面の組又は差動の組に関係付けられる。終端抵抗アレイは、いくつかの抵抗152とスイッチング装置154を有する。各抵抗の一方の端は送信ラインに接続され、他方の端はスイッチング装置に接続される。スイッチング装置は、一方の端が抵抗に接続され、他方の端がグランド面に接続される。終端抵抗アレイの抵抗値の大きさは、スイッチング装置によって制御される。スイッチング装置154は、図6のスイッチング装置62がオンチップ基準抵抗アレイ46内に抵抗ネットワークを形成するのと同様の方法で、終端抵抗アレイ内に抵抗ネットワークを形成する。
【0047】スイッチング装置154の実施例は、図13に示される。この実施例では、終端抵抗アレイ50は抵抗とトランジスタの構成をいくつか有する。抵抗とトランジスタの各構成は、トランジスタ162と164で形成されたTGと直列である第1の抵抗160を有する。TGは第2の抵抗166に直列に接続される。
【0048】トランジスタ162と164は、トランジスタのゲートに接続される有効化論理168の入力に応答して、抵抗160と166に電流を流すことを可能にすることにより、図12のスイッチング装置154の機能を実行する。
【0049】有効化論理は、抵抗値制御ブロックからの出力により駆動される。有効化論理により提供される信号は、外部基準抵抗の抵抗値に対する所定の抵抗値を有する終端抵抗アレイを構成する。
【0050】本発明の終端ブロックのほかの実施例では、図14に示すように、デジタルフィルタ190が終端抵抗比較器ブロック30と終端抵抗値制御ブロック32の間に接続されている。フィルタはオンチップ基準抵抗アレイ44の振動に応じて終端抵抗アレイの抵抗値における望ましくない遷移を防止する。
【0051】抵抗値制御ブロック42は、オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値において振動を発生させる。オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値は一般的に外部基準抵抗22に対する所望の抵抗値を正確に有すようには構成されていないので、振動が起きる。従って、抵抗値制御ブロックは、オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値を2つの抵抗値RLとRGの間で振動させる。ここで、RLは外部基準抵抗22の抵抗値より小さく、RGは外部基準抵抗22の抵抗値より大きい。図7のオンチップ基準抵抗44と図10の抵抗値制御ブロック42の実施例では、RLとRGの値はR/iとR/(i−1)である。ここで、Rは抵抗92と94の抵抗値であり、iは抵抗値RLを有する抵抗ネットワークに含まれるオンチップ基準抵抗アレイ44の枝の個数である。
【0052】オンチップ基準抵抗アレイの抵抗値における振動に応答する終端抵抗アレイの抵抗値における振動は、デジタルフィルタにより制限される。他の実施例では、オンチップ基準抵抗アレイ44の抵抗値における振動の周波数は、第1比較器40へ入る際に伴うヒステリシスにより減少される。
【0053】他の実施例では、付加論理は、デジタルフィルタ190内に設けられ、オンチップ基準抵抗の値を監視するのに、すなわちオンチップ基準抵抗値を無効にするのに使用される。1つの実施例では、付加論理は、抵抗値制御ブロック42のメモリ要素に接続され、オンチップ基準抵抗の抵抗値の監視を可能にする。更に別の実施例では、付加論理は、オンチップ基準抵抗アレイ及び/又は抵抗値制御ブロック42の有効化論理に接続され、オンチップ基準抵抗46の抵抗値を制御できる入力を提供する。この方法では、付加論理は外部基準抵抗の値に独立に、終端抵抗値を制御できる。
【0054】上記の図1の終端ブロック18の実施例は、デジタル回路を使用して実現される。上記と同様の方法がアナログ回路を使用して実現される別の実施例で使用できる。例えば、1つの実施例では、終端及び基準抵抗として使用される調整可能な抵抗値を提供するトランジスタと一緒に、アナログ信号が線形領域で動作するゲートとトランジスタに提供される。
【0055】上記の記載は本発明の多くの特別な実施例を含むが、これらは本発明の範囲を制限するものではなく、その1つの実施例の例に過ぎない。多くのほかの変形例が可能である。従って、本発明の範囲は説明した実施例により決定されるべきではなく、特許請求の範囲及びそれと等価なもので決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、送信システムの部品を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、終端ブロックの部品を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3は、比較器とオンチップ基準抵抗アレイと抵抗値制御ブロックとを有する抵抗値決定ブロック、及び終端抵抗アレイを有する終端抵抗ブロックを含む終端ブロックの部品を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、オンチップ基準抵抗アレイの実施例を示す半概略回路図である。
【図5】図5は、終端抵抗アレイの実施例を示す半概略回路図である。
【図6】図6は、オンチップ基準抵抗アレイと抵抗値決定ブロックの比較器と外部基準抵抗を示す半概略回路図である。
【図7】トランジスタを使用して実現したオンチップ基準抵抗アレイを示す半概略回路図である。
【図8】図8は、抵抗値制御ブロックにより、オンチップ基準抵抗アレイ内で抵抗ネットワークの構成を選択するのに使用されるステップを示すフロー図である。
【図9】図9は、抵抗制御ブロックを概略的に示すブロック図である。
【図10】図10は、D型フリップフロップと2入力マルチプレクサを使用して実現した抵抗制御ブロックを示す半概略回路図である。
【図11】図11は、差動論理比較器と使用するのに最適化した抵抗制御ブロックの他の実施例を示す半概略回路図である。
【図12】図12は、終端抵抗アレイを示す半概略回路図である。
【図13】図13は、トランジスタを使用して実現した終端抵抗アレイを示す半概略回路図である。
【図14】図14は、抵抗値決定ブロックと終端抵抗ブロックの間の信号をフィルタするデジタルフィルタを使用する終端ブロックを概略的に示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の基準抵抗と、抵抗ネットワーク、及び制御回路を備える集積回路とを備え、前記抵抗ネットワークの構成は、前記制御回路により、前記抵抗ネットワークの抵抗値が前記基準抵抗の抵抗値に関係するように制御可能であるプリント回路基板。
【請求項2】 第1の基準抵抗と、抵抗ネットワーク、及び制御回路を備える集積回路と、前記集積回路に接続された送信ラインとを備え、前記抵抗ネットワークは、前記送信ラインを横断する終端抵抗を提供し、前記抵抗ネットワークの構成は、前記制御回路により、前記抵抗ネットワークの抵抗値が前記基準抵抗の抵抗値に関係するように制御可能であるプリント回路基板。
【請求項3】 当該プリント回路基板は、基準抵抗ネットワークと、基準抵抗ネットワーク制御回路とを更に備え、前記基準抵抗ネットワークの構成は、前記基準抵抗制御回路により、前記基準抵抗ネットワークの抵抗値が前記基準抵抗の抵抗値に関係するように制御可能であり、前記抵抗ネットワークの構成は、前記制御回路により、前記抵抗ネットワークの抵抗値が前記基準抵抗ネットワークの抵抗値に関係するように制御可能である請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】 前記外部基準抵抗の抵抗値は、前記抵抗ネットワークの抵抗値が実質的に前記送信ラインの特性インピーダンスと同一であるように選択される請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項5】 集積回路上の送信ラインを終端するための、外部基準抵抗に接続可能である回路であって、第1の構成可能な抵抗アレイと、比較器とを備え、前記比較器は、前記第1の構成可能な抵抗アレイが前記基準抵抗値に対して所定の関係の抵抗値を有する第1の抵抗ネットワークを形成するように構成するのに使用されるプリント回路基板。
【請求項6】 第2の構成可能な抵抗アレイを更に備え、前記第2の構成可能な抵抗アレイは、第2の抵抗ネットワークを形成するように構成され、前記第2の抵抗アレイの抵抗値は、前記第1の抵抗ネットワークの抵抗値に対して所定の関係である請求項5に記載の回路。
【請求項7】 前記第2の抵抗ネットワークは、前記送信ラインの終端抵抗を提供する請求項6に記載の回路。
【請求項8】 付加論理を更に備え、前記付加論理は、前記第1の抵抗ネットワークの抵抗値を決定するのに使用できる請求項6に記載の回路。
【請求項9】 前記付加論理は、前記第2の構成可能な抵抗アレイの構成を変えて第3の抵抗ネットワークを形成可能であり、前記第3の抵抗ネットワークは前記第1の抵抗ネットワークの抵抗値から独立な抵抗値を有する請求項8に記載の回路。
【請求項10】 送信ラインを終端するための集積回路上の回路であって、並列に接続された抵抗とトランジスタの複数の構成であって、各構成がアレイ抵抗とアレイスイッチング装置とを備える複数の構成と、前記スイッチング装置のそれぞれに接続されたアレイ有効化論理とを備える回路。
【請求項11】 前記スイッチング装置は、トランスミッションゲートを形成するように構成された1対のトランジスタである請求項10に記載の回路。
【請求項12】 前記アレイ有効化論理に接続される抵抗値制御ブロックと、2入力と出力を備える比較器とを更に備え、前記抵抗アレイは、前記入力の一方に接続され、前記出力は前記抵抗値制御ブロックに接続される請求項10に記載の回路。
【請求項13】 前記抵抗値制御ブロックは、複数のメモリ配置とシフト論理とを備えるシフトレジスタであり、前記アレイ有効化論理は、複数の入力を備え、前記シフトレジスタ内の各メモリ配置は前記アレイ有効化論理入力の1つに接続される請求項12に記載の回路。
【請求項14】 前記アレイ有効化論理は、デジタルフィルタを有する請求項12に記載の回路。
【請求項15】 プリント回路基板に取り付けられた集積回路で送信ラインを終端する方法であって、前記集積回路上の終端抵抗ネットワークを、前記終端抵抗ネットワークの抵抗値が前記プリント回路基板上に位置する基準抵抗の抵抗値に関係するように制御する方法。
【請求項16】 前記基準抵抗の抵抗値は、前記終端抵抗ネットワークの抵抗値が実質的に前記送信ラインの特性インピーダンスと同一であるように選択される請求項15に記載の方法。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図13】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【図14】
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【公開番号】特開2002−199030(P2002−199030A)
【公開日】平成14年7月12日(2002.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】有
【出願番号】特願2001−314262(P2001−314262)
【出願日】平成13年10月11日(2001.10.11)
【出願人】(592017655)ビテッセ セミコンダクター コーポレイション (5)
【氏名又は名称原語表記】VITESSE SEMICONDUCTOR CORPORATION
【Fターム(参考)】