説明

プリント回路基板アセンブリ

本実施例で単層基板(2)からなるDC−DC変換器であるPCBアセンブリ(1)は、高熱発生部品(3)を形成する電力半導体デバイスと、熱放散部品(4)を形成する磁性材料からなる様々なコアを実装している。熱伝導性結合材料(6)の抵抗路が、各熱発生部品(3)の上または下に配設されて、1つの熱放散部品(4)の中に突入しかつその他の側方に延出している。ある実施例では、熱発生部品(3)が熱放散部品(3)の中に収容される。別のPCBアセンブリでは、それ自体が熱発生部品(3)又は熱放散部品(4)のみを担持する追加のプラグインPCBが設けられる。後者の場合、熱発生部品(3)は前記PCBアセンブリ上に追加のプラグインPCBの下側に実装される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、異なる熱的属性を有する、即ちその動作範囲に亘って相対的に異なる熱発生及び熱放散特性を有する複数の部品からなるタイプのプリント回路基板(PCB)アセンブリに関する。更に、本発明は特に、DC−DCまたはAC−DC電力変換器であるかどうかに拘わらず、電力変換に用いるためのPCBの提供を目的とする。
【0002】
【背景技術】
現在製造されている電力変換製品の大部分は、PCB上のスルーホール実装部品を用いており、主要な電力放散部品の熱管理は、個々のデバイスまたはデバイスの組について小さいヒートシンクを用いることにより、または熱伝導性の機械的アセンブリを用いてこのような熱放散部品を外部のヒートシンクに結合することにより行なわれている。この構成技術は、最新の自動製造技術に適合しないものであり、電力消費部品及びそのヒートシンク構造が占める容積が比較的大きいことから、容積効率の関係で効率的ではない。
【0003】
市販されている多くの中型DC−DC電力変換器(一般に最大100W)において使用されているより最近の手法では、巻線がパワーデバイスと一緒に単一の多層プリント回路基板内に組み込まれている。このような統合型プレーナ磁気構造を用いたDC−DC変換器はPhilips社またはSynqor Inc.社により製造されており、その後者の会社はこのような変換器をPowerQorTMの商標を付して販売している。このような多層プリント回路基板を金属構造に結合するターミナルの一般的な例が米国特許明細書第5973923号(Jiparu)及び第5990776号(Jiparu)に記載されている。この単一基板構造技術は、このような中電力DC−DC変換器について非常に実用的であり、本発明の一つの要素は、このようなモジュール内及びその実装構造における熱管理を改善するための技術にある。これらのモジュールは最近まで、その上にヒートシンクを実装することができるベースプレートに主要熱放散部品をぴったりと熱結合した密閉構造を好んで用いている。多くの場合、熱伝導性材料内でのポッティングを用いることができるが、この方法は費用が高くつき、環境問題を起こす虞があり、やり直しができず、かつバリア層を用いた場合でさえ部品に応力を作用させる虞がある。最近は、高い動作効率が得られかつ外部のヒートシンク無しで動作する半導体デバイスの使用に助けられて、単一基板のオープンフレーム構造を使用することが実際上好まれ始めている。この方法によって、モジュール内部及びその環境への熱管理がより重要になっている。
【0004】
しかしながら、単一基板構造を用いる方法は中電力変換器の場合に、特に入力AC波形の低電圧部分においてエネルギーを蓄えなければならない電解コンデンサのような品目によって最小高さを有効に決定しなければならないAC−DC変換器の場合には、余分な面積が必要である。その結果、このような単一基板多層法を用いた変換器は、当然ながら電解コンデンサまたは類似のかさばる部品によって課される高さの制限内に適合させるために幾つかの低電力サブモジュールを積層する場合を除いて、容積効率が悪くなる。しかしながら、この方法は、各モジュール内に交換ステージを複写する必要があるので、追加の費用を要し、かつ全電力変換モジュールの部分として変換器サブモジュールの積層体に関連する熱管理の問題に加えて、サブモジュールの実装及び接続に関連する費用が生じる。
【0005】
例えば電力変換器の部分を形成するPCBにおけるいずれか特定の部品の熱発生は、電力変換器モジュールの動作条件によって変化する。一般に、伝導損失が優位な部品は特定の範囲内で低い入力電圧においてより多くの熱を発生するのに対して、切換損失または磁芯の損失が優位である部品は、高い入力電圧においてより大きい損失を発生する。従って、特定の部品の熱的属性、容量または性質について言及する場合の「熱発生」及び「熱放散」の用語並びに同様にこのような用語の高低という条件は、絶対的な熱発生または熱放散特性または能力を言うものではなく、単にその実際の特定の条件における特性に言及しているに過ぎない。部品の熱放散特性は、その固有の物理的構成に大きく依存する。従って、露出面を有する大きくかさばった金属部品は、それより小さい小型部品で低伝導性材料のものより多くの熱を放散させる。
【0006】
設計がより効率的なものになるにつれて、部品が動作する動作温度がより重要になる。上述した多くの方法及び米国特許明細書第5075821号(Donnel)に記載されるような例えばヒートシンクの使用のような技術の多くは、高熱を発生する能力を有する部品の幾つかから熱を放散させる必要を認めているが、これまで、それが従来の磁気部品であるか最適温度におけるプレーナ型磁気部品であるかに拘わらず、磁気部品を動作させる必要性について十分な注意が払われていない。実際、磁気部品に使用されているフェライト材料の多くは、約100℃で動作が最適化される場合が多く、従って一般的な周囲温度および空気の流れの条件下では、磁気部品は理想的な温度で動作していない。従来技術の電力変換モジュールの多くは、半導体電力部品を十分に冷却させ得るが、残念ながら磁気部品を最適温度で動作させるようになっていない。
【0007】
本発明は、従来技術に関するこれら及び他の問題を解消することを目的とし、特に改善されたPCBの構造及び特に電力変換部品について使用するためのPCBの改善された構造を提供し、かつさらにそのようなPCBについて使用するための有効な磁気部品を提供することを目的とする。
【0008】
【発明の開示】
本発明によれば、異なる熱的属性を有する、即ちその動作範囲に亘って異なる相対熱発生及び熱放散特性を有する複数の部品からなる型式のプリント回路基板(PCB)アセンブリであって、少なくとも一つの高熱発生部品が高熱放散部品と熱的に連結されていることを特徴とするPCBアセンブリが提供される。
【0009】
このようにして、特に電力変換ユニットにおいて有効であり得るPCBの熱特性または発生の動的な管理が行なわれる。前記PCBは、高熱発生部品からの熱を放散させるために使用することができる例えばヒートシンクまたはその類似物にもはや依存しないが、高熱放散部品の熱放散特性を利用する。
【0010】
好ましくは、前記部品が、例えば前記部品の1つまたは双方と直接接触することができる熱伝導性結合材料によって熱的に連結される。このような熱伝導性結合材料は、少なくとも1つの前記部品内に収容することができる。この利点は、更に熱放散が行なわれることであることがわかる。
【0011】
前記熱伝導性結合材料は、前記基板上に追加の抵抗路または追加のパッドを形成することができ、前記基板の一方の面に一方の部品をかつ他方の面に他方の部品を置いてサーマルビアを形成することができる。これらは、電気信号の伝導に使用されるものの上を横切ってかつその上に、例えば銅からなる追加の熱伝導性抵抗路またはパッドとなる。更に、特に電気的絶縁材料であるコンフォーマブル熱伝導性材料は幾つかの部品特に非プレーナ面について有用である。実際、導電体は、ある場合に必要以上に大きくして、その熱放散特性を利用することができる。
【0012】
理想的には、前記部品がそれらの間に最小の空隙をもって物理的に近接し、かつ本発明のある実施例では、前記熱発生部品が少なくとも部分的に前記熱放散部品内に収容される。これに代えて、前記熱放散部品は熱発生部品の上に実装することができ、その熱放散部品は磁気部品とすることができる。磁気部品の大きな利点は、現に熱を受け入れかつ加熱されていながら、フェライト方法の最適熱動作条件を可能にすることであることが分かる。
【0013】
本発明のある実施例では、前記磁気部品が、前記PCBに実装するためのプラグイン足を担持する別個の表面実装磁気PCBである。この表面実装PCBは多層回路基板とすることができる。この後者の表面実装PCBは、前記PCB上の前記表面実装PCBの下の電力半導体電力変換器の一部分を形成することができる。
【0014】
この後者の実施例では、コンフォーマブル熱伝導性材料の層が表面実装PCBの底面と電力半導体との間の空間を充填していると好都合である。
【0015】
前記熱放散部品が2つ以上の熱発生部品と熱的に連結され、または実際には2つ以上の熱発生部品が2つ以上の熱放散部品と熱的に連結されていると理想的であることが分かる。前記熱発生部品及び熱放散部品が前記PCBの動作範囲に亘って異なる熱的属性を有する場合に、熱的に連結するための部品の選択は、前記PCBの動作範囲に亘って最適の熱伝達が行なわれるように選択する。従って、2つの異なる熱発生部品が一方の熱放散部品に結合され、この熱放散部品が、実際には前記PCBの動作の全範囲に亘って、その後での熱放散のために伝達される熱の量においてなんら大きな変動を受けないようにすることが可能である。
【0016】
更に、本発明によれば、ベースのPCBに実装するためのプラグイン足を担持する別個の磁気部品表面実装PCBからなる前記ベースのPCBについて使用するための磁気部品が提供される。
【0017】
この後者の部品において、前記表面実装PCBは多層回路基板である。
【0018】
更に、本発明によれば、前記表面実装PCBが前記電力半導体の上に位置するように配置されると好ましい前記ベースPCB上のこれらの後者の磁気部品及び電力半導体部品の1つからなる電力変換器が提供される。
【0019】
この後者の電力変換器において、コンフォーマブル熱伝導性材料の層が前記表面実装PCBの底面と前記電力半導体との間の空間を充填していることが理想的である。
【0020】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、以下について添付図面を参照しつつ、その単なる実施例として記載される幾つかの実施態様から明確に理解することができる。
【0021】
初めに図1及び図2を参照すると、高熱発生部品3を形成する電力半導体要素が取り付けられ、かつ熱放散部品4を形成する様々な磁気材料コアが取り付けられた単一の層2を含むPCBアセンブリ1の形態のDC−DC電力変換器モジュールが示されている。熱発生部品3は、熱伝導性結合材料6の抵抗路によって熱放散部品4に熱的に結合されている。この実施態様では、抵抗路6は、実際に熱放散部品4の一つに突入しており、かつ各熱発生部品3の上または下に位置しているが、それらから電気的に絶縁されている。適切な絶縁性材料が用いられる。
【0022】
図3及び図4を参照すると、ベース部11及び突出部12を備えたヒートカプラが、全体として符号10を付して示されている。ベース部11はクランク形に曲げられており、このため適切な熱発生部品の上にそれには必ずしも接触させない形で配置するか、又は接触してもそれから絶縁させる形で配置することによってその熱発生部品に強く熱的に結合されるようになっている。次に、磁気デバイスのコア、例えば符号13を付してその断面が図示されているE字形状のコアのなかに、突出部12を突入させることができる。ヒートカプラ10は、金属をスタンピングした、例えば銅のストリップであり、熱発生部品3から熱放散部品4へ横向きに熱を伝達させ得る。
【0023】
ここで図5を参照されたい。この図では、前述の図面を参照して説明したものに類似した構成部品には同一の符号が付されている。この実施態様では、平坦なフェライト磁気コア17が取り付けられた別の磁気表面実装PCB16から形成された熱放散部品が、従来型の基板接続用足15によってPCB基板2に取り付けられている。熱インタフェースシート18は、磁気材料コア17とPCB2との間に介挿されている。サーマルビア19は、熱インタフェースシート18と、この場合は電力半導体要素である熱発生部品とを相互に結合している。サーマルビア19は、適切な熱伝導性結合材料で充填され、同様に熱インタフェースシート18もそのような材料から作られる。表面実装PCB16は多層プリント回路基板である。
【0024】
ここで図6及び図7を参照されたい。この図では、前述の図面を参照して説明したものに類似した構成部品には同一の符号が付されている。この実施態様では、その内部に熱発生部品3が収容される磁気コア20から形成された熱放散部品が示されている。高熱発生部品3が、高熱放散する部品即ち磁気コア20に熱的に結合されるのを確実にするために、ヒートコネクタ21も設けられる。
【0025】
ここで図8を参照されたい。この図では、前述の図面を参照して説明したものに類似した構成部品には同一の符号が付されている。この実施態様では、表面実装PCB16に、複数の熱発生部品3及び磁気コア17から形成された熱放散部品が取り付けられている。熱伝導性結合材料6の抵抗路から形成されたヒートコネクタも同様に設けられている。この表面実装PCB16は、ベースPCBを効果的に形成するPCBアセンブリ1に容易に取り付けることができ、かつメンテナンスが必要なときにそこから容易に取り外すことができる電力変換器の全体を効果的に構成し得る。
【0026】
ここで図9を参照されたい。磁気材料からなるコアの一方の面から他方の面への熱伝達は、磁気材料の合せ面をぴったりと整合させかつ適切な接着剤を用いることによって達成され得ることが明確に理解されよう。理解されるように、DCバイアス電流が流れるトランスとコイルの場合には、ギャップが必要となる。
【0027】
図9は、通常はコンフォーマブル材料31である熱伝導性結合材料でギャップが充たされているような磁気材料30のコアを示している。この実施態様では、表面実装PCB16は、図示されているように、熱発生部品3の上に取り付けられている多層回路基板である。
【0028】
図10は、全体として符号40を付して示された別のPCBアセンブリを示す。この図では、前述の図面を参照して説明したものに類似した構成部品には同一の符号が付されている。この実施態様では、表面実装PCB16に、平坦なフェライト磁気コアが、熱発生部品3やPCB2の真上にくるように取り付けられている。
【0029】
熱発生部品及び熱放散部品は、必ずしも接触させなくても結合され得ることは理解されよう。良好な熱伝導結合を得るためには、図面に示すように、それらを単に同じ場所に一緒に配置するか、又は一方の中に他方を配置することだけで十分である。あらゆる形態の熱伝導性結合材料を用いても有益な効果があり、かつコンフォーマブル熱伝導材料は一様でない不規則な表面や部品を用いるような種々の実施例において用いることができるということは明らかである。コンフォーマブルで熱伝導性であるが電気的に絶縁性の材料の一例として、Bergquist Corporationの商標GapPadが付された製品が挙げられる。部品同士をぴったりと整合させること、及び部品を正しく選択することは非常に重要なことである。
【0030】
現在のフェライト材料は、約5Wm-1 K-1の熱伝導率を有する。2つのE22コアラーを用いた、一方の面の面積が320mm2であるプリント回路基板と全体が接触する面を有し、材料の厚さが2.5mmである、典型的な100W変換器モジュールにおいて、熱インピーダンスは面当たり約2K/Wである。約10Wの典型的な熱放散では、外部の熱放散表面への熱伝達媒質としてフェライト材料を用いることによって、比較的小型の電力半導体デバイスに対する非常に効果的な冷却を達成し得ることは明らかである。
【0031】
従来技術において示されているように、ベースプレートやヒートシンク等のような他のさまざまな形態の熱伝導手段が用いられ得るが、それらは本発明における必要不可欠な要素を形成しない。本発明の構造によって、磁気要素が電力半導体要素からの熱伝達のためのデバイスとなり得る。
【0032】
通常はAC入力を備えるもののような大型の変換器モジュールの場合には、実際上の高さが、例えば電解コンデンサのようなエネルギー蓄積要素によって決定される。電力変換モジュールによって占められ得る面積即ち「フットプリント」についての同様の制限も加わってくる。この場合、磁気要素が一個の多層基板構造内に一体化される構造に関する技術を用いることは、コストまたは体積効率の点からもはや有益ではなくなることがある。
【0033】
この場合、図10に示されているような、電力半導体要素が磁気コアの下に取り付けられるベースプリント回路基板を有することや、ボード内に熱を拡散かつ/またはボードの下側面に熱を伝達するためのサーマルビアを用いることは有益である。この基板における層の数は2層または4層であり得、平坦な磁気基板内巻線型の実施形態の場合に通常用いられるような層数の多い場合より著しく低コストである。次いで、プリント回路基板として実現される巻線を備えた高さの低い形態の磁気要素、またはウィンドウ領域を通過する高さの低い別形態の磁気要素が、そのモジュールにおけるベースプリント回路基板の上に取り付けられる。補整作業や試験を助けるため、図10に示されているようなプラグ・ソケット構造41を用いて着脱容易な磁気アセンブリを作ることは有益である。より小型の磁気アセンブリの場合、モジュールのベースプリント回路基板、及び幾つかの保持構造を備えた磁気アセンブリにおけるプリント回路基板の上にコネクタを用いることによって、十分な機械的固定が達成され得る。より大型の磁気構造の場合、そのようなコネクタ構造は、従来型の留め具によって強化され得る。
【0034】
高さの低い磁気構造が、ベースプリント回路基板の上に取り付けられる場合、その下の部品に対する相対的位置に関していくつかの選択が存在する。典型的に用いられる磁気材料の真下の位置する部品との間には、必要に応じて適切な遮蔽層及び/または電気的絶縁物(典型的には熱伝導性でコンフォーマブルな或いは圧縮可能な材料)の層をもって、密接な熱的結合が達成され得る。
【0035】
別形態では、磁気要素が、ベースプリント回路基板と同一の高さか、または高さの低い部品の上に位置しており、かつ電力半導体要素が、大抵の平坦な磁気材料型の実施形態で巻線がコアを超えて突出する場合に存在する空隙を充たすコネクタのより近傍に取り付けられ得る。この場合、上方向の熱伝達が生ずる機会として、磁気材料との熱的結合を達成するためのヒートスプレッダを使用する場合に加えて、材料による熱放散を達成するためにコネクタとケーブルを使用する場合が挙げられる。
【0036】
概要を前述したインタフェースにおける注意深い熱の管理を含む、磁気材料の対面熱伝導率を改善するための上述のような手段をとることができる。
【0037】
E64コアをE1構成にセットするものとし、かつ熱伝達がフェライトを通してのみ生ずる(即ち巻線ウインドウを通しての熱伝達が生じない)と仮定すると、対面熱抵抗は、フェライトの熱伝導率を約4Wm-1 K-1とすれば、3.7K/Wと計算される。この数字は、磁気ウインドウの熱の「ファイリング(filing)」が大きくなるほど、かつ磁気材料を改善するにつれ大きくなり得るが、多くの回路構成の場合において十分な冷却効果が達成できる数字である。
【0038】
本発明は、熱伝導性結合材料によって直接熱的な結合をなさしめる場合であれ、単に互いに近接させて配置することによって熱的な結合をなさしめる場合であれ、高熱発生部品が高熱放散部品に熱的に結合されることを確実にすることで、そのようなPCBの熱的性能を改善する比較的単純な方法を提供する。場合によっては、部品同士が接触していてもよい。追加の熱導電性抵抗路、パッド、サーマルビア等の何れかを用いてもよい。そして、本発明では、PCBを構成する層や抵抗路の数は限定されない。
【0039】
また、本発明による、ベースPCB上に取り付けるためのプラグイン足を備えた独立した磁気表面実装PCBを提供することが特に有益であることは理解されよう。多層回路基板は、多くの場合、平坦な磁性物質を提供するために用いられ、それを交換する必要がある場合、交換することに非常に困難を伴うことがある。熱放散部品及び熱発生部品の両方は、1個以上の他の部品と結合されかつ連結される。PCBの動作範囲全体にわたる最適な熱管理能力を確保されるように、PCBの動作範囲にわたって異なる熱的属性を有する熱発生部品及び熱放散部品が選択されることを確実にする必要があることが理解されよう。
【0040】
本発明により製造された電力変換器は、使用時に特に有益であることが理解されよう。
【0041】
本明細書において、用語「含む、包含する、からなる、から構成される」等の表現、及び用語「有する、備える、含められる、挙げられる」等の表現、全て交換可能なものと考えられ、何れもその語の最も広い意味で用いられているものと考えられたい。
【0042】
本発明は、上述の実施例に限定されず、特許請求の範囲の記載の範囲内で種々の形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
単一PCB基板構造のDC−DC電力変換器の平面図である。
【図2】
図1の矢印II−IIの方向における断面図である。
【図3】
E字形コアにおける本発明によるヒートカプラの平面図である。
【図4】
図3のヒートカプラの側面図である。
【図5】
ベースPCB上に実装された本発明による磁気部品表面実装PCBの断面図である。
【図6】
その上に電力半導体部品を実装したPCBの部分的な組立て状態を示す平面図である。
【図7】
その上に磁気部品を実装した断面を示す図6のPCBの断面図である。
【図8】
本発明による表面実装PCBの別の構成を示す図である。
【図9】
本発明による磁気部品を示す図である。
【図10】
本発明による表面実装PCBの別の構成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 異なる熱的属性を有する、即ちその動作範囲に亘って異なる相対熱発生及び熱放散特性を有する複数の部品(3、4)からなる型式のプリント回路基板(PCB)アセンブリ(1)であって、少なくとも一つの高熱発生部品(3)が高熱放散部品(4)と熱的に連結されていることを特徴とするPCBアセンブリ。
【請求項2】 前記部品(3、4)が熱伝導性結合材料(6)により熱的に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のPCB(1)。
【請求項3】 前記熱伝導性結合材料が一つの前記部品と直接接触していることを特徴とする請求項2に記載のPCB(1)。
【請求項4】 前記熱伝導性結合材料(6)が少なくとも一つの前記部品(3、4)内に収容されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のPCB(1)。
【請求項5】 前記熱伝導性結合材料(6)が基板(2)上の抵抗路を形成することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項6】 前記熱伝導性結合材料(6)が基板(2)上のパッドを形成することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項7】 前記熱伝導性結合材料(6)が、一方の部品(3)が前記基板(2)の一方の面にありかつ他方の部品(4)が反対側の面にあって、サーマルビア(19)を形成することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項8】 前記熱伝導性結合材料(6)がコンフォーマブル熱伝導性材料であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項9】 前記部品(3、4)がそれらの間に最小のギャップをもって物理的に近接していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項10】 前記熱発生部品(3)が、少なくとも部分的に前記熱放散部品(4)内に収容されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項11】 前記熱放散部品(4)が前記熱発生部品(3)の上に実装されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項12】 前記熱放散部品(4)が磁気部品であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項13】 前記磁気部品が、前記基板(2)上に実装するためのプラグイン相互連結足(15)を担持する別個の磁気表面実装PCB(16)であることを特徴とする請求項12に記載のPCB(1)。
【請求項14】 前記表面実装PCB(16)が多層回路基板であることを特徴とする請求項13に記載のPCB(1)。
【請求項15】 前記表面実装PCB(16)が、前記基板(2)上の前記表面実装PCB(16)の下の電力半導体からなる電力変換器の一部分を構成することを特徴とする請求項13または14に記載のPCB(1)。
【請求項16】 コンフォーマブル熱伝導性材料からなる層(18)が、前記表面実装PCB(16)の底面と前記電力半導体との間の空間を充填していることを特徴とする請求項15に記載のPCB(1)。
【請求項17】 前記熱放散部品(4)が2つ以上の熱放散部品(3)と熱的に連結されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項18】 前記熱発生部品(3)が2つ以上の熱放散部品(4)と熱的に連結されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のPCB(1)。
【請求項19】 前記熱発生部品及び熱放散部品(3、4)が前記PCB(1)の動作範囲に亘って異なる熱的属性を有する場合に、熱的連結のための部品(3、4)の選択が前記PCB(1)の動作範囲に亘って最適の熱伝達が得られるように行われることを特徴とする請求項17または18に記載のPCB(1)。
【請求項20】 PCBアセンブリ(1)の基板(2)上に実装するためのプラグイン足を担持する別個の磁気部品表面実装PCB(16)からなる前記PCBアセンブリ(1)について使用するための磁気部品。
【請求項21】 前記表面実装PCB(16)が多層回路基板であることを特徴とする請求項20に記載の磁気部品。
【請求項22】 請求項20または21に記載の磁気部品と、前記PCBアセンブリ(1)上の電力半導体部品とを有する電力変換器。
【請求項23】 前記表面実装PCB(16)が前記電力半導体部品の上に配置されていることを特徴とする請求項22に記載の電力変換器。
【請求項24】 コンフォーマブル熱伝導性材料(6)の層が、前記表面実装PCB(16)の底面と前記電力半導体との間の空間に充填されていることを特徴とする請求項23に記載の電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2003−509872(P2003−509872A)
【公表日】平成15年3月11日(2003.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−524400(P2001−524400)
【出願日】平成12年9月13日(2000.9.13)
【国際出願番号】PCT/IE00/00106
【国際公開番号】WO01/020955
【国際公開日】平成13年3月22日(2001.3.22)
【出願人】
【氏名又は名称】コマージー・テクノロジーズ・リミテッド
【Fターム(参考)】