説明

プリント基板のレジスト除去方法及び装置

【課題】 ホットメルトインクにより形成されたレジストを、有害な廃液を発生させず、環境を悪化させないで、簡略な装置により簡易且つ安価に除去できるプリント基板のレジスト除去方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 レジスト除去装置1は、温水Wを噴射するノズル部2、プリント基板Pを支持しするプリント基板支持機構3、ノズル部2から噴射された温水Wを受ける温水受け部4と、レジストが回収された後の温水Wを再循環させる循環パイプ9、再循環された温水Wから微細な異物を排除するフィルター6、温水Wを噴射するために加圧するポンプ7、再循環された温水Wを加熱する加熱器8を備えて構成され、レジスト回収装置5の温水受け部4で洗浄後の温水Wからレジストを回収し、レジスト除去に用いた温水を再利用する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント基板のレジスト除去方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりプリント基板上の配線パターンを形成するには、図14に示すようにまず、絶縁体から成る基材の表面に全面に貼着された銅箔等の導電体にレジストとしてドライフィルムを接着したりレジスト剤を塗布し、これとは別にネガ又はポジ写真により所望の配線のマスクを作製する。そしてこのマスクでレジストを覆い露光すると露光された部分のみが硬化又は軟化するので、現像をすれば不要な部分のレジストが現像により除去されレジストパターンが形成される。これをマスクとして酸液などのエッチング液でエッチング処理を行うと、レジストパターンにより保護されていない部分の銅箔が溶解され、レジストパターンで覆われた銅箔の部分が配線として形成される。その後不要になったレジストパターンが完全に除去され、所定の回路が形成される。しかし、この写真によりマスクを作製してプリント基板の配線パターンを形成する作業は煩雑である。そのため、例えば、特開平6−228774号公報に記載されているように、図15に示すようなレジスト剤をインクジェットヘッドによりプリント基板に吐出して配線パターンに対応するレジストパターンを描画し、これをエッチングし、レジストを除去することによりプリント基板の配線パターンを形成するようなレジストパターン形成方法方法が提案されている。この方法であれば、煩雑な写真によるマスク形成などの工程が不要で、単純な工程でプリント基板の配線パターンを形成できる。そして、従来の方法も、またインクジェットヘッドを用いてレジストパターンを形成する方法も、不要になったレジストパターンの除去は一般的に溶剤などで行われていたが、廃液により作業環境や自然環境を害するという問題を生じていた。そこで例えば、特開平9−82622号公報に記載されているレジスト除去装置のように表面に粘着テープを貼付け剥離することによってレジストを除去する方法が考案された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面に粘着テープを貼付け剥離することによってレジストを除去する方法は、手順が複雑であり、そのため装置が複雑になり且つ高価になるという問題があった。また、粘着テープの消耗が著しいため、ランニングコストも高くなるという問題もあった。
【0004】この発明は上記課題を解決するものであり、ホットメルトインクにより形成されたレジストを有害な廃液を発生させず環境を悪化させないで、簡略な装置により簡易且つ安価に行えるプリント基板のレジスト除去方法及び装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、請求項1に係る発明のプリント基板のレジスト除去方法では、60℃以上100℃以下で柔軟になるホットメルトインクを吐出するインクジェットヘッドにより配線パターンに対応するレジストパターンが描画され、エッチングされたプリント基板に対して、60℃以上100℃以下に加熱した温水を前記プリント基板のレジスト付着面に噴射することにより前記プリント基板上のレジスト除去することを特徴とする。
【0006】この構成に係るプリント基板のレジスト除去方法では、ホットメルトインクを用いることにより極めて容易にレジストパターンが形成されたプリント基板において、レジスト除去を、有害な廃液を発生させず、環境を悪化させないで、簡略な装置により簡易且つ安価に行える。
【0007】請求項2に係る発明のプリント基板のレジスト除去装置では、60℃以上100℃以下で柔軟になるホットメルトインクにより配線パターンに対応するレジストパターンが描画され、エッチングされたプリント基板に対して、60℃以上100℃以下に加熱した温水を前記プリント基板のレジスト付着面に噴射する噴射手段により前記プリント基板上のレジスト除去するレジスト除去手段を備えたことを特徴とする。
【0008】この構成に係るプリント基板のレジスト除去装置では、ホットメルトインクを用いることにより極めて容易にレジストパターンが形成されたプリント基板に付着したレジストを、簡略な装置により、有害な廃液を発生させず環境を悪化させないでレジスト除去が簡易且つ安価に行える。
【0009】請求項3に係る発明のプリント基板のレジスト除去装置では、請求項2に記載のプリント基板のレジスト除去装置の構成に加え、レジスト除去に用いた前記温水を回収する温水回収容器と、当該温水回収容器に回収された温水から除去されたレジストを浮遊させて温水から分離させ、前記レジストを付着させることにより回収する付着手段とを有するレジスト回収手段を備えたことを特徴とする。
【0010】この構成に係るプリント基板のレジスト除去装置では、付着手段を備え、レジスト除去に用いた温水を回収する温水回収容器からレジストを付着させることにより除去されたレジストであるホットメルトインクを回収することができ、同時にレジスト除去に用いた温水も再利用可能とすることができる。
【0011】請求項4に係る発明のプリント基板のレジスト除去装置では、請求項3に記載のプリント基板のレジスト除去装置の構成に加え、前記温水回収容器から前記噴射手段に温水を循環させる循環手段と、当該循環手段に設けられ温水を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】この構成に係るプリント基板のレジスト除去装置では、加熱手段により回収された温水を再び加熱し、この温水を循環手段により温水回収容器から噴射手段に温水を循環させることができるため、温水を廃棄することなく効率よく再利用ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るプリント基板のレジスト除去装置を好ましい1の実施の形態により、添付図面を参照して説明する。図1は、プリント基板のレジスト除去装置(以下適宜レジスト除去装置と略記する。)1の構成を示す斜視図である。レジスト除去装置1は、温水Wを噴射するノズル部2、プリント基板Pを支持しするプリント基板支持機構3、ノズル部2から噴射された温水Wを受ける温水受け部4と、洗浄後の温水Wからレジストを回収するレジスト回収装置5、レジストが回収された後の温水Wを再循環させる循環パイプ9、再循環された温水Wから微細な異物を排除するフィルター6、温水Wを噴射するために加圧するポンプ7、再循環された温水Wを加熱する加熱器8を備えて構成される。
【0014】ノズル部2は、設置場所に固定された基台22から上方にガイドロッド23が突設される。ガイドロッド23は、平行な一対の金属製パイプからなるガイドロッド23a,23bにより構成される。このガイドロッド23には、ノズル昇降機構21が外嵌され、ガイドロッド23に案内されながらガイドロッド23を摺動して昇降可能に設けられる。また、ガイドロッド23の上端部には、上部ストッパ24が設けられ、ノズル昇降機構21がガイドロッド23から離脱しないように停止させる。
【0015】ここで、図2は、ノズル昇降機構21の構成の模式図である。ノズル昇降機構21は、昇降モータ214と、この昇降モータ214により駆動されガイドロッド23a,23bに当接し、これを挟持しながら回転する昇降ローラ212a,212bを備え、また昇降モータ214を駆動する昇降モータ駆動回路211と昇降モータ214の駆動力を昇降ローラに伝達するギヤ列からなる伝達手段213を備える。
【0016】ここで図5は、レジスト除去装置の機能を示すブロック図である。図5に示すようにコンピュータPCからの制御信号が昇降モータ駆動回路211に送られ、昇降モータ駆動回路211は、駆動モータ214を駆動する駆動信号を駆動モータ214に送出する。図2に示すように駆動された駆動モータ214は伝達手段213により駆動力が昇降ローラ212a,212bに伝達されて昇降ローラ212a,212bが所定方向に回転し、昇降ローラ212a,212bに挟持されたガイドロッド23a,23bが昇降ローラ212a,212bに対して相対的に移動し、もってノズル昇降機構21自体が上下に昇降する。そして、ノズル昇降機構21に一体に設けられた温水噴射ノズル25a,25bが上下に昇降される。
【0017】また、温水噴射ノズル25a,25bの基部は、温水Wが通過可能な中空パイプにより循環パイプ9d(図1参照)に連通されている。また、循環パイプ9dには、リリースバルブ27を介してドレンバルブ26が連通され、温水噴射ノズル25a,25bの目詰まりなどにより圧力が異常に高まると、圧力センサ28(図5参照)により、ポンプ7が停止するとともに、リリースバルブ27が働いて、ドレンパイプ26から温水Wを温水受け部4(図1参照)に排出する。
【0018】図3は図1のX−X部分の模式断面図を示す。温水噴射ノズル25a,25bは、内部が中空のパイプからなり、水平方向に平行に突設されている。温水噴射ノズル25a,25bの対向している面には噴射用のノズル孔251a,251bが所定間隔で複数穿設され、加熱器8を経由して加熱されポンプ7(図1参照)により加圧された温水Wが噴出する。
【0019】温水噴射ノズル25a,25bのそれぞれの間には、プリント基板支持機構3に支持されたプリント基板Pが配置される。温水噴射ノズル25a,25bのそれぞれの下部には、投光器30aと受光器30bから成るプリント基板位置センサ30が設けられる。図5に示すように、コンピュータPCからノズル昇降機構駆動回路211に制御信号が送出されると、ノズル昇降機構駆動回路211は、昇降モータに駆動信号を送出して駆動モータが回転され、温水噴射ノズル25a,25bがノズル昇降機構21により支持されて上方から下降される。投光器30aと受光器30bの間にプリント基板Pが来たときに投光器30aからの光線がプリント基板Pに遮られることにより、受光器30bによりプリント基板Pの位置が検知され、図示しない配線によりコンピュータPCに信号を送る。そうするとコンピュータPC側で、ポンプ駆動回路71に制御信号を送出し、ポンプ駆動回路71はポンプ7に駆動信号を送出して温水Wを加圧送出して温水噴射ノズル25a,25bのノズル孔251a,251bから温水Wを噴射してプリント基板Pを高温、高圧で洗浄する。
【0020】このようにして、温水噴射ノズル25a,25bは、ノズル昇降機構21により下方へ移動しながら、プリント基板Pの洗浄を行い、プリント基板Pの下端まで洗浄したら、洗浄を終了する。プリント基板Pの下端は、前述のプリント基板位置センサ30により検知されるが、プリント基板Pの下端まで洗浄するために所定時間洗浄の終了の時間が遅延される。このようにして、洗浄を終了する。もちろんこの動作を繰り返しても良い。
【0021】このとき、温水Wは、およそ60〜100℃の任意の温度に加熱器8により加熱されている。加熱器8は、セラミックヒータなどから成るヒータ82が配設され、ここを通過する温水Wを加熱する。加熱された温水Wは温水噴射ノズル25a,25b内部に配設された温度センサ29(図5参照)により温度が測定され、コンピュータPCは、設置温度に基づいて加熱器駆動回路81に制御信号を送出し、加熱器駆動回路81は、ヒータ82に駆動信号を送出して温水Wを加熱する。
【0022】ポンプ7は、温水噴射ノズル25a,25bから洗浄のための高圧の温水Wが噴出できるように移送できればよく、ロータリー型、レシプロ型の容積型や、噴流型等いずれのタイプの物であってもよく、例えば構造の簡易な渦巻き型のものが用いられる。また、フィルター6も、温水噴射ノズル25a,25bのノズル孔251a,251bの目詰まり等が生じない程度に異物がろ過できればよく、ここでは、周知の種々のフィルターが用いられる。
【0023】プリント基板Pの洗浄に用いられた温水Wは、プリント基板Pに噴射されて吹きつけられた後に下方に流下し、温水受け部4に回収される。温水受け部4は一方に排水部31を備え、周囲を矩形の側板4a,4b,4cと、矩形の底板4dに囲まれた概ね上方が開放した箱形の部材である。ここに一旦回収された温水Wは、先端側の幅の狭い台形状の側板31a,31bと底板31cにより先端が窄まった形状に形成された注ぎ口である排水部31から排水される。排水部31により流下する幅が規制され、温水受け部4の下方に配設されたレジスト回収装置5に流下する。
【0024】ここで、図4は、レジスト回収装置5の構成を示す模式図である。図4右手方向をここでは前方とする。レジスト回収装置5には、流下する温水Wを一時貯留する上方が開放した直方体の箱形の温水回収容器51が備えられる。その内部には、供給ローラ53が前述の排水部31の下方に配置され、また巻き取りローラ52が排水部31の前方の温水回収容器51の上方に設けられる、供給ローラ53と巻き取りローラ52はそれぞれ温水回収容器51の前後両端部に、略温水回収容器51の幅いっぱいに平行に且つ高低差付けて回転可能に軸支される。そして、付着手段である不織布55が供給ローラ53に巻回されて保持されており、その一端が巻き取りローラ52に固定されている。そして、巻き取りローラ52は、巻き取りモータ54により駆動される(図1参照)。コンピュータPCは、巻き取りモータ駆動回路59に制御信号を送出し、巻き取りモータ駆動回路59は、巻き取りモータ54に駆動信号を送出して巻き取りモータ59が図4において時計回り方向に回転する(図5参照)。巻き取りモータ59が回転すると、巻き取りローラ52が回転して、不織布55を巻き取る。
【0025】温水回収容器51には、底面近くに排出口56が設けられ、ポンプ7から温水Wが吸引されて排出される。また、所定の水面位置より上昇すると、オーバーフローパイプ57により、温水Wが排出される。また、所定の水面位置より低い場合は、図示しない水面センサで温水不足が検知されて、給水パイプ58より新たな水道水等が補給される。そのため、水面の位置は略一定に保たれる。
【0026】温水受け部4から、下方に配設されたレジスト回収装置5に流下する温水Wは、放熱効果の高い金属製の温水受け部4により、温度が下げられる。また、さらに、温水受け部4から、レジスト回収装置5に流下する間での落差により、大気により冷却され温水Wの温度が下げられる。また、比較的温度の下がった温水Wを還流して、排水部31で、洗浄後の比較的温度が高い温水Wと混合するように、冷水混合シャワーなどを設けて温度を下げたり、或いは冷却ファン61を設けて冷却高価を高めてもよい。なお、これらは、ホットメルトインクHIの温度に応じた粘度等により適宜採用されればよく、高温の状態でレジストが回収できれば必ずしも必要とするものではない。
【0027】また、温水受け部4から、下方に配設されたレジスト回収装置5に流下する温水Wは、レジストP3が比較的固化しやすい場合は、温水W1のように直接不織布に当たるように流下させ、レジストP3に付着させても良いし、或いは、レジストP3が比較的粘度が低く、不織布を溶融したレジストP3が通過してしまうような場合は、一旦比較的温度の低い温水Wと混合させてレジストP3の温度を下げてレジストP3を十分に固化させて、不織布55に付着させるようにしてもよい。いずれの流下点とするかは、ホットメルトインクHIの性質、作業温度等に合わせて回収効率の高いものを選択する。
【0028】次に、配線パターン形成装置101の構成について図面を参照しながらその概略を説明する。図6は、配線パターン形成装置101の概略を示す図である。図6で示すように、配線パターン形成装置101は、箱形に形成された本体110の上部に、前面側(図6においてY方向)が下がるように傾斜させた天板113が設けられ、天板113上には第1インクジェットヘッド143a、第2インクジェットヘッド143b(以下これらをまとめてインクジェットヘッド143という。)などを支持するキャリッジ141を備えたヘッド部104が、X軸駆動部102によりX軸方向(図6において矢印X方向及び反X方向)に変位可能に支持されている。また、このインクジェットヘッド143に対向して、プリント基板Pを載置する領域である描画エリア162と、描画エリア162の領域外に設けられテストピースTPを載置する検査エリア163とを備えたステージ106が、Y軸駆動部103によりY軸方向(図6において矢印Y方向及び反Y方向)に変位可能に支持されている。上記のように支持されたインクジェットヘッド143とステージ106とが相対的に2次元的に移動して、プリント基板P上でインクジェットヘッド143が主走査及び副走査を行いインクを吐出して配線パターンを形成する。さらに、キャリッジ141には、検査エリア163のテストピースTP上に形成されたテストパターンを認識する認識手段であるCCDカメラ142が備えられる。また、ステージ106のX方向側後部には、インクの吐出不良の場合の修復手段であるメンテナンス部107を備える。そして、本体110下部には、配線パターン形成装置101を制御する制御部(不図示)の制御板111が設けられ、配線パターン形成装置101とは別体に設けられた判断手段・制御手段であるコンピュータPCと、CCDカメラ142によるドット抜け検査や着弾位置計測画像の確認をする画像をモニタするモニタMが備えられ、配線パターン形成装置101とケーブルCbにより接続されている。
【0029】以下各部の構成を詳細に説明する。本体110は、全体が箱状で、その上部に天板113がおよそ47°程度傾斜した状態で設けられている。本体110内には、制御部(不図示)の操作パネルである制御盤111が前面に設けられる。また、プリント基板Pを吸着固定するための負圧を生起させる基板吸引ポンプ112が本体110内に設けられ、描画エリア162及び検査エリア163にパイプが接続されており、プリント基板P及びテストピースTPが負圧により固定される。
【0030】X軸駆動部2には、キャリッジ141を主走査方向であるX軸方向に案内しつつ摺動させる案内レールであるX軸ガイド125が設けられ、このX軸ガイド125に沿ってX軸リニアエンコーダ124が設けられている。X軸リニアエンコーダ124は、リニアスケールの4逓倍で5μmと5分割の専用IC(図示外)によりX軸方向のキャリッジ41位置を、1μmの精度で読み取り可能とする。キャリッジ141の下部には、X軸ボールねじ123が設けられ、ここに螺入されX軸駆動モータ121に駆動されて回転する雄ねじであるX軸駆動軸122の回転によりキャリッジ141がX軸方向あるいは反X軸方向に移動する。X軸駆動モータ121は、1回転2000ステップのACサーボモータからなり、また、X軸ボールねじ123は、リードピッチが2mmとなっており、キャリッジ141を、X軸リニアエンコーダ124と相俟って1μmオーダーで走査可能に構成される。
【0031】一方、Y軸駆動部103は、ステージ106を副走査方向であるY軸方向に案内しつつ摺動させる案内レールであるY軸ガイド135が設けられ、このY軸ガイド135に沿ってY軸リニアエンコーダ134が設けられている。Y軸リニアエンコーダ134は、リニアスケールの4逓倍で5μmと5分割の専用IC(図示外)によりY軸方向のステージ106の位置を、1μmの精度で読み取り可能とする。ステージ106の下部の基台164には、Y軸ボールねじ133が設けられ、ここに螺入されY軸駆動モータ131に駆動されて回転する雄ねじであるY軸駆動軸132の回転によりステージ106がY軸方向あるいは反Y軸方向に移動する。Y軸駆動モータ131は、1回転2000ステップのACサーボモータからなり、また、Y軸ボールねじ133は、リードピッチが2mmとなっており、ステージ106を、Y軸リニアエンコーダ134と相俟って、X軸方向の走査と同様に1μmオーダーで走査可能に構成される。以上のように構成されたX軸駆動部102及びY軸駆動部103により、ヘッド部104のインクジェットヘッド143は、描画エリア162のプリント基板Pに対して相対的に移動し描画のための主走査及び副走査を行う。
【0032】ステージ106は、Y軸ガイド135に案内されて摺動する基台164と、その上に設けられた矩形板状のステージプレート161を備える。ステージプレート161上にはプリント基板Pを載置する領域である描画エリア162が設けられ、前述の基板吸引ポンプ112によりプリント基板Pが吸着されて固定される。また、ステージプレート161上には、描画エリア162の領域外に設けられ、インクジェットヘッド143のインクの吐出検査のテストパターンを形成するためのプリント基板Pと同一素材の小片からなるテストピースTPを載置する検査エリア163が設けられている。テストピースTPも前述の基板吸引ポンプ112により吸着されて固定される。
【0033】ヘッド部104は、第1インクジェットヘッド143a及び第2インクジェットヘッド143bからなる一対のインクジェットヘッド143と、インクジェットヘッド143を支持して移動するキャリッジ141を備える。第1インクジェットヘッド143aと第2インクジェットヘッド143bとは同様の構成である。インクジェットヘッド143は、常温では固体で加熱すると溶融するホットメルトインク(以下適宜インクと省略する。)HIを使用し、ピエゾ素子149(図8参照)の駆動により必要に応じてオンディマンドでインクを吐出するインクジェット装置である。
【0034】キャリッジ141には、前方(図6Y方向)にCCDカメラ142が備えられ、さらにその前方下部に、第1支持部152aを介して第1インクジェットヘッド143a及び第2支持部152bを介して第2インクジェットヘッド143bがそれぞれ支持される。なお、第1支持部152a及び第2支持部152bは、第1インクジェットヘッド143a及び第2インクジェットヘッド143bを、パージ動作時などにプリント面に対するヘッド位置を変位させてメンテナンス部107のインク吸収ロール185に接離可能に構成されている。
【0035】図7は、ヘッド部104の機能の概略を示すブロック図である。ヘッド部104は、インクジェットヘッド143を備えたフロントエンドFEと、インクタンク主室171、インクタンク副室172を中心として構成されるバックエンドBEとから構成され、さらにこれらを制御する制御部154など、これらに付随するその他の部分と接続される。
【0036】ここで、図13は、第1インクジェットヘッド143aをノズル144面から見た模式図である。図13に示すように第1インクジェットヘッド143aのノズル144面は、大きく4つのインクジェットヘッドユニット145k,145c,145m,145y(以下これらをまとめてインクジェットヘッドユニット145という。)から構成されている。なお、各インクジェットヘッドユニット145k,145c,145m,145yは同一の構成であるが、このように複数のインクジェットヘッドユニット145を使用する場合は、それぞれの位置を順次副走査方向に、副走査1回分の送り量δYだけずらしてオフセットし、第1インクジェットヘッド143aを1回主走査させれば、4ライン分のプリントが可能になるため、配線パターンの形成に要する時間を短縮できる。なお、このようなオフセットを設けず、X軸方向に同一ライン上に並べ、重ねてインクを吐出し、プリント基板P上のインク厚を厚くする様な構成でもよい。また、第2インクジェットヘッド143bも同様に構成される。
【0037】図8は、図12におけるA−A部分におけるインクジェットヘッドユニット145の模式断面図である。図8に示すように、インクジェットヘッドユニット145は、最上部に酸化アルミニウム(Al)からなる矩形板状の第2ベース部151bが設けられ、その下部に、同様の大きさの板状部材であり、且つその主走査方向(X軸方向)を長手方向とするように細長に形成されたピエゾ素子149を積層して収納可能な下側に開放した凹部を有する第1ベース部151aが積層される。第1ベース部151aの凹部には、PZT(ジルコン酸鉛PbZrOとチタン酸鉛PbTiOの固溶体)から細長に形成され複数の素子が積層されてアクチュエータとして構成されたピエゾ素子149が収納され、第1ベース部151aの下部には、これを覆うように薄板上のアラミド樹脂からなるダイアフラム148が配設される。なお、ピエゾ素子149には、図示しない電圧印加手段が配され、駆動回路153(図7参照)から電圧が印加されると歪んでダイアフラム148を下方に押し出す。このダイアフラム148の下部には、キャビティ147が配設される。
【0038】キャビティ147には、導入路147aが、キャビティ147のX軸方向両端部近傍に平行且つ水平に1対配設される(図12参照)。導入路147aにはインクタンク主室171(図10参照)に連結され、インク供給パイプ176から供給されたインクHIを導入し貯留する。また導入路147aには、インクHIの温度の安定及びパージ動作時にインクタンク副室172(図10参照)にインクHIを還流させるためにインク還流パイプ177(図10参照)が連通されている。この1対の導入路147aからそれぞれ対向するように多数の加圧路147bが平行に延設され(図12参照)、ダイアフラム148を介してピエゾ素子149に接するようにポンピングチャンバーとして配置される。さらに各ノズル144に連通する導出路147cが形成されている。
【0039】ノズルプレート146は、ジルコニア(酸化ジルコニウム・ZrO)により、セラミックインジェクションモールドにより形成され、孔径が約40μmのノズル144が前述のように配置されて開口される。なお、ノズルプレート146を成型するとき、型への材料の流入が主走査方向に当たる方向から行われるので、各ノズル144の位置の誤差は、主走査方向に大きくなる傾向がある。
【0040】図12は、インクジェットヘッドユニット145の一部を拡大して見た底面図である。図12に示すように、加圧路147bは、両端に配設された導入路147aから、交互に多数対向するように設けられ、その先端部は下方に屈曲され導出路147cを形成し、ノズル144にインクHIを導出する。本実施の形態では、ノズル144の配置は、各インクジェットヘッドユニット145に副走査方向におよそ340μmの間隔で64個、これを幅およそ2mmで2列配置して計128個のノズルを有する。従って第1インクジェットヘッド143a及び第2インクジェットヘッド143bはそれぞれ512個のノズル144を有する。
【0041】次に、再び図7を参照して説明を続ける。コンピュータPCは、入力されたプリントすべき配線パターンをRAM(不図示)の入力バッファにビットマップデータで記憶し、このビットマップデータから、インクジェットヘッド143への転送順に合わせたプリント用のビットマップデータに事前に変換しておきRAM内の出力バッファに記憶しておく。X軸リニアエンコーダ124及びY軸リニアエンコーダ134(図6参照)から得た位置情報に従って、主走査及び副走査に同調させてプリント用ビットマップデータを駆動回路153に送り吐出制御を行う。駆動回路153は、所定のピエゾ素子149にパルス電圧を印加してアクチュエータであるピエゾ素子149を作動させて、ダイアフラム148を押し出し、キャビティ147の加圧路147bがポンピングチャンバーとして機能して、インクHIを加圧して導出路147cを経てノズル144からインクHIを射出させる(図8参照)。
【0042】バックエンドBEは、インク供給・インク循環、パージ、温度制御、インク貯留、インク液面検出の機能を有するオンヘッドインクタンク部である。ここで図10は、フロントエンドFE及びバックエンドBEの構造を示す模式図である。
【0043】まず、図10に示すように、プリント時は、インクタンク主室171及びインクタンク副室172との間にある隔壁開閉弁175が開放されており、インクタンク主室171及びインクタンク副室172に同じ液面レベルで溶融したインクHIが貯留されている。インクタンク主室171及びインクタンク副室172の下部には、タンクヒータ182が設けられる。またサーミスタにより構成されているインクセンサ178によりインクHIの温度が検出され、コンピュータPC(図6参照)によりタンクヒータ182が制御されてその温度が略一定に保たれる。インクタンク主室171の下部にはインクフィルター173が設けられ、ヘッド詰まりの原因となる固形物を回収する。インクタンク主室171に貯留されたインクHIはインク供給パイプ176を通ってフロントエンドFEに供給され、ノズル144から必要なインクHIが射出されインクHIが消費される。残りのインクHIは、インク還流パイプ177からバックエンドBEに還流する。フロントエンドFEにおいても、フロントヒータ183が設けられて、図示しない温度センサにより温度が検出されてインクHIを適温に維持する。このようにインク還流パイプ177からバックエンドBEに還流したインクHIは,インクタンク副室172の逆止弁174からインクタンク副室172に還流する。なお、逆止弁174は、インク還流パイプ177からインクタンク副室172向きには流入するがその反対向きには流入しない構造の弁である。
【0044】ここで、インクHIを消費して、インク量が5mlより減少して液面レベルが下がると、サーミスタであるインクセンサ178が、加熱溶融されたインクHIの液面より露出し、サーミスタの検出温度が低下する。この温度変化によりインクタンク主室171内の液面を検出し、コンピュータPCにより、インクHIの補充のメッセージをコンピュータPCの画面や、制御盤111(図12参照)により使用者に報知する。この報知により、使用者はインクHIの補充の必要性を知ることになる。インクの補充は、以下のように行う。インク溶融タンク180は、常温固体であるホットメルトインクHIの補充用のナゲットを投入する場所で、ここにインクHIの補充用のナゲットを投入する。そうすれば、固形のインクHIは、溶融ヒータ181により加熱されてインクHIが溶融し3mlの液体インクとなり、インクタンク副室172に流入されインクHIがHIレベルまで補充される。従って、インクHIの液面は、常に図10の5mlのLOWレベルと8mlのHIレベルとの間に維持される。
【0045】ここで、配線パターン形成装置101で使用するホットメルトインクHIについて説明する。ホットメルトインクHIは、ポリアミド樹脂、テルペン系樹脂、ワックスなどの熱溶融性固体を主体として、色材及び界面活性剤や各種添加剤を含む。
【0046】本実施の形態において用いるホットメルトポリアミド樹脂は、アミンと酸とを縮重合して得られるものであり、アミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミンなどを用いることができ、酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、無水トリメリット酸、ダイマー酸などを用いることができ、更に、アミンと酸とを両方有するものとして、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などがあり、これらを組み合わせることにより、所望の特性(アミン価、酸価)のポリアミド樹脂を調製することができる。本実施の形態において用いることができる市販のポリアミド樹脂の具体例としては、例えば下記を挙げることができる。トーマイド90、トーマイド92、トーマイド391、トーマイド394、トーマイド394N、トーマイド395、トーマイド397、トーマイド509、トーマイド535、トーマイド558、トーマイド560、トーマイド575、トーマイド1310、トーマイド1350(以上、富士化成社製)、ポリマイドS−40HA、ポリマイドS−40E、ポリマイドS−150、ポリマイドS−52、ポリマイドS−185、ポリマイドS−1510、ポリマイドS−1525、ポリマイドS−1635、ポリマイドS−1962、ポリマイドS−2007、ポリマイドS−2153(以上、三洋化成社製)、バーサミド335、バーサミド725、バーサミド744、バーサミド756、バーサミド930、バーサミド940(以上、ヘンケル白水社製)、などがある。本実施の形態においては、これらを単独で用いてもあるいは二種又はそれ以上の混合物で用いてもよい。
【0047】本実施の形態において、ポリアミド樹脂は、インクHIの全重量を基準にして、ポリアミド樹脂の合計が5〜50重量%の範囲になるような量で用いる。インクHI中のポリアミド樹脂の含有量が5重量%よりも少ないと、インクジェット記録方式で吐出させるのに十分な溶融粘度が得られないばかりでなく、またインクHIの透明性や印刷媒体への接着性も得られない。他方、インクHI中のポリアミド樹脂の含有量が50重量%よりも多くなると、インクHIの溶融粘度が高くなり過ぎるために、レジストパターンの形成に用いられるプリンターヘッドの作動温度での良好なインクHIの吐出が困難になるとともに、銅箔などに付着させた際、印字表面を手などで擦るとインクHIが銅箔などから剥がれるなどして、良好な印字品質を保持することができない。従って、ポリアミド樹脂は、その合計がインクHI中に10〜30重量%の範囲で含有されるのが好ましい。
【0048】本実施の形態において、ワックスとしては、融点50〜200℃を有し、熱に対して安定なものを用いる。具体的には、石油ワックス、望ましくはパラフィンワックスまたはマイクロクリスタリンワックスや、植物系ワックス、望ましくはキャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、またはホホバ固体ロウや、動物系ワックス、望ましくはミツロウ、ラノリンまたは鯨ロウや、鉱物系ワックス、望ましくはモンタンワックスや、合成炭化水素、望ましくはフィッシャートロプシュワックスまたはポリエチレンワックスや、水素化ワックス、望ましくは硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体や、変性ワックス、望ましくはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体や、高級脂肪酸など油脂系合成ワックス、望ましくはベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、またはラウリン酸や、ケトンワックス、望ましくはジステアリルケトンや、高級アルコール、望ましくはステアリルアルコール、またはベヘニルアルコールや、ヒドロキシステアリン酸、望ましくは12−ヒドロキシステアリン酸または12−ヒドロキシステアリン酸誘導体、脂肪酸アミドとしてラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸エステルアミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、ブラシジン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、ケトン、望ましくはステアロンまたはラウロンや、アミン、望ましくはドデシルアミン、ケトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンや、エステル、望ましくはステアリン酸メチル、ステアリン酸オクタデシル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、またはポリオキシエチレン脂肪酸エステルや、重合ワックス、望ましくはα−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスなどの従来公知のワックスのいずれかを特に限定することなく用いることができる。これらのワックス類は単独でもしくは二種以上を混合して用いることができる。
【0049】上記したワックスは、インクHIの全重量を基準にして、ワックスの合計が20〜90重量%の範囲になるような量で用いる。インクHI中のワックスの含有量が20重量%よりも少ないと、他の添加剤の特性が現れてくるためにインクHIの融点が高くなったり、インクジェットの吐出温度においてインクHIがシャープに溶けなくなる。また、含有量が90重量%よりも多いと、インクHIに透明性がなくなるとともに、溶融粘度が低くなりすぎて、インクジェット記録用のインクHIとして機能するのに十分な溶融粘度が得られなくなり、更にインクHIの付着性が低くなる。
【0050】本実施の形態において用いるテルペン系樹脂とは、ポリテルペンのことであり、代表的にはテルペン−フェノール共重合体、などがある。テルペン系樹脂の具体例としては、YSレジンPX1250、YSレジンPX1150、YSレジンPX1000、YSレジンTO125、YSレジンTO115、YSレジンTO105、クリアロンP125、クリアロンP115、クリアロンP105、クリアロンM115、クリアロンM105(ヤスハラケミカル社製)があり、テルペン−フェノール共重合体の具体例としては、YP−90L、YSポリスター2130、YSポリスター2115、YSポリスター2100、YSポリスターT145、YSポリスターT130、YSポリスターT115、YSポリスターT100(ヤスハラケミカル社製)、などを挙げることができる。本実施の形態においては、これらを単独で用いてもあるいは二種又はそれ以上の混合物で用いてもよい。
【0051】本実施の形態において、テルペン系樹脂は、インクHIの全重量を基準にして、テルペン系樹脂の合計が1〜10重量%の範囲になるような量で用いる。インクHI中のテルペン系樹脂の含有量が1重量%よりも少ないと、インクHIが加熱溶融状態で変色しやすくなるなど、本実施の形態の十分な効果が発揮されず、また10重量%よりも多いと、インクHIの透明性が悪くなり、溶融粘度が増大するなど、インクHI本来の性能を発揮できなくなる。プリンタによる印字時の印字品質を考慮すると、インクHI中のテルペン系樹脂の含有量は2〜10重量%の範囲が好ましく、3〜8重量%の範囲が更に好ましい。この変色防止などの本実施の形態の効果は、特にテルペン−フェノール共重合体を用いた場合に顕著であった。
【0052】本実施の形態で使用する色材としては、従来から油性インク組成物に用いられている染料及び顔料のいずれでも使用可能である。顔料は、有機または無機を問わず印刷の技術分野で一般に用いられているものを用いることができる。具体的には、例えばカーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、などの従来公知の顔料を、一次粒子の大きさが10〜100nmの範囲のものであれば、特に限定することなく用いることができる。これらの顔料は、組み合わせて使用することも可能である。染料は、従来から油性インク組成物に用いられている染料のいずれでも使用可能であるが、アゾ染料、ジスアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、などの油溶性染料が好ましい。これらの染料は、組み合わせて使用することも可能である。本実施の形態では、色材として、染料及び顔料がともに使用可能であるが、熱安定性、他ビヒクルとの溶解性に優れた溶解性染料を使用するのが望ましい。これらの色材は、インクHIが十分な発色能力を有するためには、インクHI中に0.1〜10重量%含有するのが良く、プリンタにより印字する際の発色能力を考慮すると0.5〜8重量%含有するのが好ましく、更にプリンタ動作時の熱変化でインクHIから染料が析出しない、及び顔料が凝集しない保証として、1〜5重量%含有するのが一層好ましい。
【0053】上記した本実施の形態において用いるビヒクル、またその他のビヒクルや添加剤などを用いる場合には、それらはすべて常温において固体であるので、本実施の形態のホットメルト型固体インクからなるホットメルトインクHIを調製するにあたり、それらをすべて溶融温度よりも高い温度において溶融し、良く混合して均一に分散させることが必要であり、かかる目的を達成することができるならば、本実施の形態のホットメルト型固体インクからなるホットメルトインクHIを調製する手段は、何ら限定されず、任意の手段を用いてよい。
【0054】次に、本実施の形態のホットメルト型固体インクからなるホットメルトインクHIを製造する手順を説明する。本実施の形態において用いるビヒクルの各々を上記の割合で、またその他のビヒクルや添加剤などを用いる場合には、それらを本実施の形態のホットメルト型固体インクからなるホットメルトインクHIの性能を損なわない範囲内の割合で容器中に入れ、ビヒクルを用いる場合には添加剤などの溶融温度の内の最も高い溶融温度よりも高い温度、通常70〜250℃、好ましくは100〜200℃程度の温度において加熱溶融し、次いで色材を投入する。ビヒクルや添加剤などを用いる場合には全組成が溶融されたら、プロペラなどの攪拌手段を、均一な混合物を得るのに十分な回転速度及び時間、通常200〜10,000RPM、好ましくは500〜5,000RPMで、通常数十分〜数時間、好ましくは1〜2時間程回転させて混合物を十分に攪拌混合する。攪拌混合は、混合物を1滴スライドグラス上に取り、光学顕微鏡(200倍程度)にて凝集物がないことを確認するまで行う。攪拌混合を終了した後に、得られた混合物を溶融状態でろ過装置にかけてろ過を行い、不均一物質をろ別し、フィルターを通過した物質を最終のホットメルト型固体インクとして得る。
【0055】熱溶融時のインク粘度は、インクジェットの吐出不良や目づまりを防ぐために、100〜140℃において10〜60mPa・sであるのが好ましく、10〜40mPa・sであるのが一層好ましい。粘度がこの範囲よりも高過ぎる場合には、インクノズル内に圧力波などを発生させてもインクHIが流体としてではなく半固体として挙動するために、良好な量のインクHIが吐出されなかったり、全く吐出しなくなってしまう。また、粘度がこの範囲よりも低過ぎてもインクHIは良好に吐出されない。
【0056】以下に具体例を挙げる。
(実施例1)テルペン−フェノール共重合体としてYP−90L(ヤスハラケミカル社製)、ポリアミド樹脂としてバーサミド335(ヘンケル白水社製)、脂肪酸アミドとしてニッカアマイドS(ステアリン酸アミド:日本化成社製)及びワックスとしてケトンワックスT−1(花王石鹸社製)を下記の量で装置に投入し、温度130℃で加熱溶融し、次いでVALIFAST BLACK 3810(オリエント化学工業製)を加えた。これをディゾルバーにより1,000RPMで1時間程攪拌混合した。混合物を1滴スライドグラス上に取り、光学顕微鏡(200倍)にて凝集物がないことを確認した。得られた混合物を加熱ろ過装置(東洋ろ紙社製)により0.8μmのガラスファイバーフィルターGA200(東洋ろ紙社製)を使用してろ過を行い、フィルターを通過した混合物をホットメルト型固体インクとして得た。
【0057】
YP−90L・・・・・・・・・・・・・・・・5重量部バーサミド335・・・・・・・・・・・・・33重量部ニッカアマイドS・・・・・・・・・・・・・13重量部ケトンワックスT1・・・・・・・・・・・・46重量部VALIFAST BLACK 3810・・・3重量部
【0058】(実施例2)実施例1に記載したものと同じ成分を下記の量で用い、かつ実施例1に記載する手順と同じ手順に従って、ホットメルト型固形インクを得た。
【0059】
YP−90L・・・・・・・・・・・・・・・10重量部バーサミド335・・・・・・・・・・・・・32重量部ニッカアマイドS・・・・・・・・・・・・・16重量部ケトンワックスT1・・・・・・・・・・・・40重量部VALIFAST BLACK 3810・・・2重量部
【0060】実施例1及び実施例2で得られたホットメルト型固体インクをインクジェットプリンターに搭載し、印刷を行ったところ、ホットメルト型固体インクに要求される諸特性を満足するものであった。即ち、60〜100℃の間で温水によるレジスト除去が可能な程度まで粘度が低下し、プリンターヘッドの目詰まりがなく、記録紙上で良好な接着性を有し、鮮明な配線パターンが得られた。また、印刷媒体に印字した後に、印字面の裏面を擦ったり、印刷媒体に曲げ等の応力を加えて歪めた場合にも印刷媒体から剥離することなく、印刷媒体への十分な接着性を保持していた。
【0061】次に、パージ動作について説明する。図11は、パージ動作時におけるフロントエンドFE及びバックエンドBEの状態を示す模式図である。パージ動作は、配線パターンの形成の前や、ノズル144が詰まることによりインクHIの吐出に不良が生じた場合に、ノズル144からのインクHIの吐出を修復する動作である。
【0062】本実施の形態では、インクHIの廃棄量を最小限にするために、パージ動作は、バックエンドBEのインクタンクをインクタンク主室171とインクタンク副室172に分け、インクタンク主室171にピストンを備えた加圧ポンプ179により加圧する。このとき、インクタンク主室171とインクタンク副室172は隔壁開閉弁175が閉じられるので、加圧ポンプ179の圧力はインクタンク副室172には加わらず、インクタンク主室171に加圧された圧力は、インク供給パイプ176、導入路147a(図12参照)、インク還流パイプ177のインクHIを加圧し、インクタンク副室172にインクHIが循環させられる。そして、ポンピングチャンバーである加圧路147b及び導出路147c(図12参照)のオリフィス面までのインクHIは循環されずに加圧によりノズル144から排出される。このときにノズル144に詰まった粘度の高いインクHIなどが排出されインクHIの吐出が修復される。
【0063】パージ動作によるノズル144から流出したインクHIがノズル144まわりに付着すると新たなインクHIの吐出を妨げ、また、装置の汚損のおそれがあるため、インクジェットヘッド143(図6参照)のノズル144面のワイプ動作を行う。ワイプ動作は移動するインク吸収ロール185にインクジェットヘッド143のノズル144面を押し当ててふき取る動作である。ここで、図9は、ワイプ動作を行うメンテナンス部107と、ヘッド部104の状態を示す模式図である。図9に示すように、インクジェットヘッド143のノズル44面は、メンテナンス部107の開口部から露出したインク吸収ロール185に当接されるようにインクジェットヘッド143がX軸駆動部102(図6参照)によりX軸方向に移動され、第1支持部152aあるいは第2支持部152bにより垂直に変位される。ここで、インク吸収ロール185は、供給リール186aから繰り出され、送りローラ187a,187b,187c,187dにより搬送され、巻取リール186bにより巻き取られるノズル144面に対して相対的に移動し、前述のパージ動作によりノズル144から流出したり、通常のインクHIの吐出時に付着したノズル144面のインクHIを、常に清浄なインク吸収ロール185によりふき取る。このとき、インクHIが外気により固まらないように、メンテナンスヒータ188により加熱して、インクHIの流動性を維持する。
【0064】次に、プリント基板Pの製造方法について説明する。まず、溶剤、触媒、硬化剤、エポキシ樹脂を混合したワニスを、ガラス繊維でできた布に含浸させ、熱風で乾燥後に所定の大きさに切断する。そして、この切断された布を必要な厚さになるまで積層し銅箔を載せてから加熱して、樹脂を溶融させながらプレス圧着して銅張積層板を形成する。
【0065】このように積層した銅張積層板の表面をバフ研磨して4〜5%の硫酸で酸洗いし、水洗後に乾燥させておく。
【0066】そして、この銅張積層板に前述のプリント基板の配線パターン形成装置101を用いて、配線パターンを形成する。以下図6を参照してレジストパターンの形成について説明する。ステージ106の上に設けられた検査エリアにテストピースTPを載置して、インクジェットヘッド143の所定の吐出検査を行い、必要に応じてパージ動作、ワイプ動作を行う。その後、描画エリア162に前述の銅張積層板から成るプリント基板Pを載置する。そして、コンピュータPCに予め入力された配線パターンのデータに基づいて、X軸駆動部102、Y軸駆動部103によりインクジェットヘッド143をプリント基板Pに対して相対的に移動させ、ホットメルトインクHIを吐出しながら配線パターンのプリントを行う。このようにしてホットメルトインクHIによりプリント基板P上にレジストパターンの形成をする。
【0067】次に、エッチングを行う。上記のようにして形成されたプリント基板P上のレジストは、プリント基板Pの基材P1上の銅箔P2に密着しており、かつエッチングに用いられる酸液に対して変化がないホットメルトインクHIから形成されている。そのため、ホットメルトインクHIによりレジストパターンが形成されたプリント基板Pに銅を浸食する酸液から成るエッチング液を吹きかけると、レジストパターンが形成されなかった部分の銅箔のみが浸食されて溶解し、レジストP3が形成された部分の銅箔P3のみがプリント基板P上に残る。
【0068】次に、レジストを除去する方法を説明する。レジストパターンを形成しているレジストP3は、前述のようにホットメルトインクHIにより構成されている。そのため、常温の水道水等では、溶解されずレジストを除去することができない。そのため、従来では溶剤などを用いて溶解させてレジストP3を除去していた。しかし、ホットメルトインクHIが溶解した溶液は、再利用することができず、かといってそのまま廃棄すれば環境汚染の原因になるため廃棄できず、焼却処分もまた、環境汚染の原因になりその処分は容易ではなく、処理のコストも高いものとなって、プリント基板Pの生産コストを押し上げる要因にもなっていた。
【0069】そこで、本発明は、60から100℃で柔軟になるホットメルトインクHIを用いることでこの問題を解決している。即ち、前述のようにホットメルトインクHIをレジストP3としてレジストパターンを一回の工程で作製してエッチングを行い銅箔P2により配線パターンを形成する。そして、このレジストパターンをホットメルトインクHIが柔軟になる温度まで加熱した温水Wにより高圧で噴射してレジストP3を除去するものである。
【0070】図3に示すように、温水噴射ノズル25a,25bのノズル孔251a,251bからプリント基板Pに、加熱器8によりホットメルトインクHIの融点等により60から100℃の所定の温度に加熱された温水Wを、ポンプ7により加圧して噴射させる。そうするとプリント基板P上に形成された銅箔P2による配線パターンと、その上に残留して付着しているレジストP3を加熱し、銅箔P2は、60〜100℃では、何ら変化しないが、レジストP3は柔軟になっているので、温水Wの水圧で容易に除去される。
【0071】なお、レジストP3を構成しているホットメルトインクHIの融点に対して、温水Wの温度が低くてもホットメルトインクHIは柔軟になるので、必ずしも温水Wの温度は、ホットメルトインクHIの融点より高い必要はなく、噴射された温水Wの水圧によりレジストP3が除去される程度の温度に加熱されていれば十分である。従って、ホットメルトインクHIの融点が100℃を超えるものであっても、本発明に係るレジスト除去装置1によりレジストP3の除去は可能である。
【0072】そして、このように温水Wによりプリント基板Pから除去されたレジストP3は、溶解又は柔軟に軟化して温水Wと共にレジスト回収装置5に流下される。以下図1及び図4を参照して説明する。この温水Wと共に流下されたレジストP3を構成していたホットメルトインクHIは、水溶性ではないので温水Wには溶解されない。また、比重が1より小さくなるように調製されているので、温水Wの水面に浮遊する。また、レジスト回収装置5の温水回収容器51に流下される過程で温水WをホットメルトインクHIの融点以下に冷却すればホットメルトインクHIは凝固して固化され、不織布55などから構成される目の細かい付着手段を通過させることによりホットメルトインクHIが付着手段に付着して回収される。或いは、融点以上である程度粘度が高く、且つ柔軟な状態であれば更に付着手段への付着が良好になり、効率的に回収ができ好ましい。
【0073】温水Wの冷却は、実施の形態で例示したように、比較的水温の低い温水Wを冷水混合シャワー60を用いて適温に冷却したり、或いは流下させる落差を大きくして冷却させたり、或いは冷却ファン61を用いて適温に冷却してもよい。なお、これらの冷却手段は、レジストP3であるホットメルトインクHIが付着手段に効率よく付着されれば必ずしも必須の構成ではなく、作業時の気温等により適宜用いればよいものである。
【0074】また、レジスト回収装置5に流下される位置は、図4に示すW1のように直接不織布55を通過させるような位置に流下させても、或いはW2のように一旦温水回収容器51内の温水Wと混合させてから、水面を浮遊するホットメルトインクHIを不織布55に付着させるような構成でもよく、ホットメルトインクHIの構成により適宜選択する。なお、不織布55は、温水回収容器51の幅いっぱいに構成されるのが好ましく、不織布55と温水回収容器51の壁面との間が開くと、浮遊しているホットメルトインクHIが図4の右側に移動し、付着布55に付着させにくくなる。そのため、図示しない部材でこの間隙を浮遊するホットメルトインクHIが移動しないようにすることが好ましい。
【0075】また、付着手段は実施の形態では不織布55を例示したが、材質はパルプ、レーヨン等の他、種々の繊維、或いは金属メッシュなどでもよくレジストP3が回収できるかぎり種々選択できる。
【0076】そして、付着手段に付着させて回収したレジストP3は、再度加熱して溶解させることでホットメルトインクHIとして再利用が可能である。そして、レジスト除去に使用した温水Wは、レジストP3であるホットメルトインクHIが、温水Wを汚染することなく、再利用が可能になる。従って、ホットメルトインクHI及び洗浄水である温水Wのいずれも外部に流出させることもなく、環境を汚染する虞がなく、またコスト的にも極めて有利になる。
【0077】本実施の形態のプリント基板のレジスト除去装置1では、ホットメルトインクHIを用いることにより極めて容易にレジストパターンが形成されたプリント基板Pに付着したレジストP3を、簡略な装置により、有害な廃液を発生させず環境を悪化させないでレジスト除去が簡易且つ安価に行えるという効果がある。
【0078】さらにレジスト回収装置5を備え、付着手段である不織布55を備え、レジスト除去に用いた温水Wを回収する温水回収容器51からレジストを不織布55に付着させることにより除去されたレジストP3であるホットメルトインクHIを回収することができ、同時にレジスト除去に用いた温水Wも再利用可能とすることができるという効果がある。
【0079】さらに、加熱手段である加熱器8により回収された温水Wを再び加熱し、この温水Wを循環手段である循環パイプ9及びポンプ7により温水回収容器51から噴射手段であるノズル部2に温水Wを循環させることができるという効果がある。そのため、温水Wを廃棄することなく効率よく再利用ができるという効果を奏する
【0080】以上、一の実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0081】
【発明の効果】上記説明より明らかなように、請求項1に係る発明のプリント基板のレジスト除去方法によれば、ホットメルトインクを用いることにより極めて容易にレジストパターンが形成されたプリント基板において、レジスト除去を、有害な廃液を発生させず、環境を悪化させないで、簡略な装置により簡易且つ安価に行えるという効果がある。
【0082】また、請求項2に係る発明のプリント基板のレジスト除去装置では、ホットメルトインクを用いることにより極めて容易にレジストパターンが形成されたプリント基板に付着したレジストを、簡略な装置により、有害な廃液を発生させず環境を悪化させないでレジスト除去が簡易且つ安価に行えるという効果がある。
【0083】請求項3に係る発明のプリント基板のレジスト除去装置では、請求項2に記載のプリント基板のレジスト除去装置の効果に加え、付着手段を備え、レジスト除去に用いた温水を回収する温水回収容器からレジストを付着させることにより除去されたレジストであるホットメルトインクを回収することができ、同時にレジスト除去に用いた温水も再利用可能とすることができるという効果がある。
【0084】また、請求項4に係る発明のプリント基板のレジスト除去装置では、請求項3に記載のプリント基板のレジスト除去装置の効果に加え、加熱手段により回収された温水を再び加熱し、この温水を循環手段により温水回収容器から噴射手段に温水を循環させることができるという効果がある。そのため、温水を廃棄することなく効率よく再利用ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント基板のレジスト除去装置1の構成を示す斜視図である。
【図2】ノズル昇降機構21の構成の模式図である。
【図3】図1のX−X部分の模式断面図を示す。
【図4】レジスト回収装置5の構成を示す模式図である。
【図5】レジスト除去装置の機能を示すブロック図である。
【図6】配線パターン形成装置101の概略を示す図である。
【図7】ヘッド部104の機能の概略を示すブロック図である。
【図8】図12におけるA−A部分におけるインクジェットヘッドユニット145の模式断面図である。
【図9】ワイプ動作を行うメンテナンス部107と、ヘッド部104の状態を示す模式図である。
【図10】フロントエンドFE及びバックエンドBEの構造を示す模式図である。
【図11】パージ動作時におけるフロントエンドFE及びバックエンドBEの状態を示す模式図である。
【図12】インクジェットヘッドユニット145の一部を拡大して見た底面図である。
【図13】第1インクジェットヘッド143aをノズル144面から見た模式図である。
【図14】従来のプリント基板上の配線パターンを形成する手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明のプリント基板上の配線パターンを形成する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 プリント基板のレジスト除去装置
2 ノズル部
3a,3b プリント基板支持機構
4 温水受け部
5 レジスト回収装置
6 フィルター
7 ポンプ
8 加熱器
9a,9b,9c,9d 循環パイプ
25a,25b 温水噴射ノズル
55 不織布(付着手段)
P プリント基板
W 温水

【特許請求の範囲】
【請求項1】 60℃以上100℃以下で柔軟になるホットメルトインクを吐出するインクジェットヘッドにより配線パターンに対応するレジストパターンが描画され、エッチングされたプリント基板に対して、60℃以上100℃以下に加熱した温水を前記プリント基板のレジスト付着面に噴射することにより前記プリント基板上のレジスト除去することを特徴とするプリント基板のレジスト除去方法。
【請求項2】 60℃以上100℃以下で柔軟になるホットメルトインクにより配線パターンに対応するレジストパターンが描画され、エッチングされたプリント基板に対して、60℃以上100℃以下に加熱した温水を前記プリント基板のレジスト付着面に噴射する噴射手段により前記プリント基板上のレジスト除去するレジスト除去手段を備えたことを特徴とするプリント基板のレジスト除去装置。
【請求項3】 レジスト除去に用いた前記温水を回収する温水回収容器と、当該温水回収容器に回収された温水から除去されたレジストを浮遊させて温水から分離させ、前記レジストを付着させることにより回収する付着手段とを有するレジスト回収手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のプリント基板のレジスト除去装置。
【請求項4】 前記温水回収容器から前記噴射手段に温水を循環させる循環手段と、当該循環手段に設けられ温水を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載のプリント基板のレジスト除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図15】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2001−53419(P2001−53419A)
【公開日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−230121
【出願日】平成11年8月16日(1999.8.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】