説明

プリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法

【課題】 導通不良のない、かつ導通抵抗の低い良好なプリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法を提供する。
【解決手段】 配線パターンを形成したプリント基板を複数枚、積層して、積層基板間の配線パターン相互を導電性樹脂を印刷、充填したビアホールによって相互接続する構成において、導電性樹脂を印刷、充填の後、第1段階目の導電性樹脂の熱硬化処理を導電性樹脂材料の標準加工条件より10〜20%低い温度で実行し、さらに、第2段階目の導電性樹脂の熱硬化処理を標準加工条件のもとで行なう処理としたことにより、導電性樹脂内の有機溶剤が十分取り除かれ、かつ、導電性樹脂内の導電粒子の凝集度合いが高められ、導通不良のない、かつ導通抵抗の低い良好な多層基板が得ることを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法に関する。さらに詳細には、絶縁シートを積層して形成する多層プリント配線基板において導通不良の発生を防止し、リフローソルダリングによる実装も可能としたプリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種電子機器の小型化、高機能化に伴い、電子機器を構成する電子部品の高密度実装構成が多方面で使用されている。その1つの態様として、多層基板構成、すなわち配線パターンを形成した基板を絶縁シートを介して積層させる構成がある。
【0003】異なる層間に位置する配線パターン同士の接続には、絶縁層にビアホール(VIA HOLE)を形成してビアホールに金属メッキを施して導電接続する構成や、あるいは、ビアホール中に導電性樹脂材料を印刷、充填して導電接続する方法が知られている。特に、ビアホール中に導電性樹脂材料を印刷、充填して導電接続する方法は、加工の容易性、低コストであることから広く用いられている。
【0004】例えば、特開昭64−89586号には、ビアホールによる異なる層に形成された配線パターン間の接続構成として、図1に示すような構成が開示されている。図1はビアホール部分の断面構成を示す図である。図1の構成について説明する。下層の絶縁シート101の上面には配線パターン102が形成されており、さらにその上段に上層の絶縁シート103が接合され、絶縁シート103の上面に配線パターン104が形成されている。
【0005】上層の絶縁シート103の一部に穴、すなわちビアホール105が形成され、2層の絶縁シートの接合後にビアホール105内に導電性樹脂材料106を印刷、充填して、さらに導電性樹脂材料106を熱硬化処理することにより、上層の配線パターン104と下層の配線パターン102との導電性樹脂を介した接続構成を形成している。
【0006】特開平7−106755号においては、ビアホール内に充填した導電性樹脂の熱硬化処理の際に、導電性樹脂の表面が先行して硬化し、内部の有機溶剤が残留して膨れや破裂等が発生して、導通不良を起こすことを防止する処理方法として、ビアホールに充填した導電性樹脂の熱硬化処理を3段階以上に分けて実行し、樹脂内に残留する有機溶剤のガス抜きを効果的に行なう多層回路基板製造方法を開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】導電性樹脂材料は、導電性粒子と熱硬化性樹脂との混合体であり、熱硬化処理により、熱硬化性樹脂の収縮が発生して導電性粒子の密度が高まり、導通抵抗を低下させて良好な導通性を持つビアホールが形成できる。しかしながら、特開昭64−89586は、導電性樹脂材料の熱硬化処理を一度の処理で行なう構成であるため、樹脂表面においては、先行して樹脂収縮が発生し、内部では十分な収縮が行われないという自体が起こり得る。その結果、ビアホールとしての導通抵抗値が高くなるという問題が発生する。
【0008】パターン同士の接続抵抗値は低いほうが望ましい。特に、プリント配線板として周波数の高い信号を伝送しようとする場合、抵抗値が高いと、信号がビアホールの接続部を通過する際に時定数などの影響により、波形歪が発生する等の問題が発生する。
【0009】特開平7−106755号は、樹脂内に含まれる有機溶剤を飛ばすために、3段階以上の熱処理ステップを持つ。しかし、導電性ペーストに含まれる有機溶剤は、スクリーン印刷による塗布作業中の乾燥、硬化を防ぐため、沸点の高いものが使用されており、従って有機溶剤をとばす処理には、高温での処理が必要となる。しかし、一気に高い温度で処理を実行すると表面の樹脂が硬化してしまい、内部に有機溶剤が残留することになる。これを防止するために3段階以上の熱処理を行なっている。特開平7−106755号の実施例によれば、130℃,1時間の熱処理を行ない、次に160℃で行なう処理を開示しているが、このような処理工程とすると、最初の130℃,1時間の熱処理の間にある程度の熱硬化制樹脂の縮合、硬化が発生し、その後の160℃での熱処理による樹脂縮合が弱められることになる。その結果、樹脂内の導電性粒子の凝集化が十分に行われずビアホールの導通抵抗が高くなってしまうという問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の側面は、配線パターンを有する回路基板を複数枚、積層した多層型のプリント配線基板において、異なる層の配線パターンを導電性材料を充填したビアホールによって接続する構成を有し、前記ビアホールには、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂材料の熱硬化処理によって形成された導電性樹脂が充填され、前記導電性樹脂は、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度より低い温度における第1段階目の熱硬化処理と、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度における加圧下での第2段階目の熱硬化処理とを順次実行して硬化させた導電性樹脂であることを特徴とするプリント配線基板にある。
【0011】さらに、本発明のプリント配線基板の一実施態様において、前記導電性樹脂材料は、不飽和ポリエステル系不織布、熱硬化性樹脂、および、導電性粒子としての銅粉または銀粉、またはカーボンの少なくともいずれかを含む構成であることを特徴とする。
【0012】さらに、本発明のプリント配線基板の一実施態様において、最上層の配線パターン上には保護膜が形成され、該保護膜は前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度における加圧下での第2段階目の熱硬化処理において熱圧着処理により前記最上層の配線パターン上に形成された保護膜であることを特徴とする。
【0013】さらに、本発明のプリント配線基板の一実施態様において、前記保護膜は、ポリイミド製のシート体であることを特徴とする。
【0014】さらに、本発明の第2の側面は、配線パターンを有する回路基板を複数枚、積層した多層型のプリント配線基板製造方法において、異なる層の配線パターンを接続孔としてのビアホールに導電性樹脂材料を印刷、充填するステップと、前記導電性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂の標準硬化温度より低い温度における第1段階目の熱硬化処理ステップと、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度における加圧下での第2段階目の熱硬化処理ステップと、を有することを特徴とするプリント配線基板製造方法にある。
【0015】さらに、本発明のプリント配線基板製造方法の一実施態様において、前記第1段階目の熱硬化処理ステップは、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度より10〜20%低い温度に設定して実行するステップであることを特徴とする。
【0016】さらに、本発明のプリント配線基板製造方法の一実施態様において、前記第1段階目の熱硬化処理ステップは、前記熱硬化性樹脂材料の架橋が始まる最低温度に対して約10〜20%低い温度で実行するステップであることを特徴とする。
【0017】さらに、本発明のプリント配線基板製造方法の一実施態様において、第2段階目の熱硬化処理ステップは、最上層の配線パターン上の保護膜の熱圧着処理を併せて実行するステップであることを特徴とする。
【0018】さらに、本発明のプリント配線基板製造方法の一実施態様において、前記第1段階目の熱硬化処理ステップは、約140℃において、約30〜45分の熱硬化処理として実行し、前記第2段階目の熱硬化処理ステップは、約40Kg/cm2の加圧下で、約160℃において、約30分の熱硬化処理として実行するステップであることを特徴とする。
【0019】さらに、本発明のプリント配線基板製造方法の一実施態様において、リフロー炉におけるリフローソルダリング処理ステップを有することを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明のプリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法によれば、ビアホールによる接続部において、導通抵抗を低く抑え、また、導電性樹脂に含まれる有機溶剤の除去が効率的に実行されるので、多層基板形成後、リフローソルダリング時等において、樹脂部の膨れ、破裂等の可能性の少ない良好な多層基板が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のプリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法の実施例について図面を参照して説明する。
【0022】図2に本発明のプリント配線基板の製造方法の工程図を示す。ステップS21は、配線パターン201の形成された第1の絶縁シート202の上面に配線パターン203が形成され、かつ一部に穿孔された孔部、すなわちビアホール204を持つ第2の絶縁シート205を積層する。
【0023】次にステップS22では、積層した配線パターンを持つ絶縁シートを熱圧着する。熱圧着処理は、例えば約120〜150℃、約15〜40分、所定の圧力、例えば1平方cm当たり20〜30Kgの圧力をかけて実行する。これにより、積層した配線パターンを持つ2層のパターンが接合される。
【0024】次にステップS23において、ビアホール204内に導電性樹脂材料206をスクリーン印刷等で塗布、充填する。導電性樹脂材料206は、熱硬化制樹脂としてのフェノール樹脂、あるいはエポキシ樹脂を、例えば不飽和ポリエステル系不織布に含浸させ、さらに、導電性粒子として銅粉または銀粉、またはカーボンの少なくともいずれかを含み、これらを有機溶剤によって分散させた材料によって構成される。導電性樹脂材料206のビアホール204内への充填後、常温で約15分放置、レベリングを行なう。この間、塗布された導電性樹脂材料206は、下層側に徐々に沈み込んでいく。
【0025】次に、ステップS24で、導電性樹脂材料206に対する第1段階目の熱硬化処理を行なう。第1段階目の熱硬化処理は、導電性樹脂材料206の標準加工条件、すなわち導電性樹脂材料206に含まれる熱硬化性樹脂材料の架橋が始まる最低温度に対して約10〜20%低い温度で実行する。時間は、導電性樹脂材料206の標準加工条件として設定された時間とする。例えば導電性樹脂材料206に含まれる熱硬化性樹脂材料が不飽和ポリエステル系不織布であり、その標準加工条件が160℃,30分〜45分である場合には、本発明の処理における第1段階目の熱硬化処理は、160℃より約10%〜20%低い、約130〜145℃、好ましくは約140℃に設定して、約30分〜45分の熱処理を行なう。
【0026】この第1段階目の熱硬化処理の間に、ビアホール内に充填された導電性樹脂材料206に含まれる有機溶剤は、その大部分が揮発する。また、導電性樹脂材料206の表面は、完全な硬化には至らず、軽微に乾燥して多少の圧力を加えても崩れない状態となる。
【0027】次に、ステップS25において、第2の絶縁シート205の上面に形成された配線パターン203のさらに上面に保護膜207を積層して第2段階目の熱硬化処理を行なう。保護膜207としては、例えばポリイミド製のシートを使用する。この第2段階目の熱硬化処理条件は、導電性樹脂材料206の標準加工条件として設定された温度とする。また、保護膜207と配線パターン203とを密着させて接合するため、圧力を印加しながら第2段階目の熱硬化処理を行なう。第2段階目の熱硬化処理は、圧力、約40Kg/cm2を印加しながら約160℃に設定して、約30分、熱処理を行なう。
【0028】この圧力を印加しながらの熱硬化処理により、ビアホール内の導電性樹脂材料206は、加熱のみの処理の場合よりも、収縮率が高まり導電性粒子の密度が高まり、導電性粒子が密接に絡み合い安定な連鎖状態を形成させて硬化することになる。
【0029】次に、本発明のプリント配線基板のリフローソルダリングによる製造方法、およびその結果得られた多層基板の導通抵抗の計測結果について説明する。
【0030】図3に示すように、上層基板30、下層基板40にそれぞれ離間する配線パターン301,401を50個設けた基板を形成した。、上層基板30の配線パターン301の各々にはビアホール302が設けられている。このビアホール302に導電性樹脂材料をスクリーン印刷で印刷、充填する。導電性樹脂材料としては、銅ペースト:E−1000(三井金属塗料化学製)(標準加工条件:160℃,30分)を用いた。導電性樹脂材料の印刷、充填の後、常温で15分、放置、レベリングを行なった。
【0031】次に、第1段階目の熱硬化処理として、約140℃で、約30分の熱硬化処理を行なった。さらに、ポリイミド性の保護シート50を積層一体化する処理と併せて約160℃,約30分、圧力約40Kg/cm2で第2段階目の熱硬化処理を実行した。その後、この多層配線基板を、リフローソルダリングに用いるリフロー炉に投入した。リフロー炉の温度は、最大で約230℃,処理時間は10秒とした。
【0032】このようにして、製造された多層配線基板は、上層基板30、下層基板40にそれぞれ設けられた50個の配線パターン301,401がビアホールを介して直列に接続された構成を持つ。その断面構成の分解概略図を図4に示す。上層基板30の配線パターン301はビアホール302内の導電性樹脂500を介して下層基板40の配線パターン401に接続され、さらに隣接するビアホール302を介して上層基板30の別の配線パターン301に接続されており、すべての配線パターン301,401に交互に接続し、50個の配線パターンをビアホールを介して直列に接続した構成となっている。
【0033】導通試験は、このような50個の配線パターンをビアホールを介して直列接続した多層プリント配線基板を、加工条件を5種類設定して125点作成して行なった。
【0034】これら5種類の加工条件は、前述の第1段階目の熱硬化処理条件を変更したものであり、その他の処理工程は同一とした。第1段階目の熱硬化処理条件の5種類は、以下のA〜Eに示す通りである。
【0035】
A:120℃,30分B:140℃,30分C:140℃,45分D:160℃,30分E:160℃,45分
【0036】これら5種類の加工条件で生成した多層配線基板の導通抵抗を加工処理の各ステップ、すなわち、1次熱硬化処理後、2次熱硬化処理後、リフローソルダリングによるソルダリング処理後の3ステップ時点で計測した結果を図5に示す。
【0037】図5から理解されるように、多層プリント配線基板の平均抵抗値は、リフロー後において、103mΩ〜167mΩであった。第1段階目の熱硬化処理条件を160℃,30分、および160℃,45分としたものは、第1段階目の熱硬化処理時点で、熱硬化が進行して、低い導通抵抗値に達している。一方、。第1段階目の熱硬化処理条件を120℃,30分としたものは第1段階目の熱硬化処理時点での導通抵抗値が高くなっている。第1段階目の熱硬化処理条件を140℃,30分、および140℃,45分としたものは、第1段階目の熱硬化処理時点で、その中間の導通抵抗値を示している。
【0038】しかし、2次熱硬化処理を実行すると、それぞれの導通抵抗値は低下する。これは、第2段階目の熱硬化処理として実行される160℃,30分、圧力40Kg/cm2の熱処理によって、導電性樹脂中の熱硬化性樹脂の縮合が進行し、導電性樹脂中の導電性粒子が緊密に絡み合うためである。図5から理解されるように、全てのサンプルにおいて、2次熱硬化処理後の導通抵抗値は、150mΩ〜153mΩとなり、第1段階目の熱硬化処理条件を160℃としたものと大差ない状態となる。
【0039】また、リフロー後の導通抵抗値は、第1段階目の熱硬化処理条件を120℃,30分としたもの、140℃,30分としたサンプルがもっとも低い導通抵抗値を示す結果となった。
【0040】図5に示す各サンプルの導通抵抗値は、導通不良を示したサンプルを排除した残りのサンプルの平均値に基づいて作成したものである。図6に、図5と同様の5種類の第1段階目の熱硬化処理条件を設定した多層基板のサンプルにおける導通不良発生率を計測したグラフを示す。
【0041】図6から理解されるように、第1段階目の熱硬化処理条件を120℃,30分としたものは、リフロー後に導通不良となるものが10%を超える。これは、第1段階目の熱硬化処理条件が低温で行われるため、導電性樹脂材料中に有機溶剤が多く残留し、リフロー時に残留した有機溶剤が突出するためであると考えられる。
【0042】また、第1段階目の熱硬化処理条件を160℃,30分、45分としたものは、2次熱硬化後に、ほぼ10%を超える導通不良が発生している。これは、第1段階目の熱硬化処理条件が高く、硬化の進行度合いが高くなり、第2段階目の熱硬化処理において熱処理と並行して行われる加圧処理によって硬化した樹脂にクラックが発生し、クラックを原因として導通不良が発生したものと判断される。
【0043】第1段階目の熱硬化処理条件を140℃,30分、45分としたサンプルには、導通不良を発生させたものはなかった。
【0044】このように、多層基板内に形成したビアホールの導電性樹脂の効果処理を2段階処理として、第1段階目の処理を導電性樹脂材料の標準加工条件より10〜20%低い温度で実行し、その後第2段階目の硬化処理を標準加工条件のもとで行なうことにより、導通不良のない、かつ導通抵抗の低い良好な多層基板が得られる。
【0045】以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のプリント配線基板、およびプリント配線基板製造方法によれば、配線パターンを形成したプリント基板を複数枚、積層して、積層基板間の配線パターン相互を導電性樹脂を印刷、充填したビアホールによって相互接続する構成において、導電性樹脂を印刷、充填の後の熱処理を、導電性樹脂材料の標準加工条件より10〜20%低い温度で実行する第1段階目の熱硬化処理、導電性樹脂の熱硬化処理を標準加工条件のもとで行なう第2段階目の処理の組合わせで実行することにより、導電性樹脂内の有機溶剤が十分取り除かれ、かつ、導電性樹脂内の導電粒子の凝集度合いが高められ、導通不良のない、かつ導通抵抗の低い良好な多層基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多層プリント基板のビアホールの構成を示す断面図である。
【図2】 本発明のプリント配線基板の製造ステップを示す図である。
【図3】 本発明のプリント配線基板の試験用配線構成について説明する図である。
【図4】 本発明のプリント配線基板の試験用配線構成について説明する断面図である。
【図5】 第1段階熱硬化条件を変化させて導通抵抗試験を行なった結果を示す図である。
【図6】 第1段階熱硬化条件を変化させて不良率測定試験を行なった結果を示す図である。
【符号の説明】
101 絶縁シート 102 配線パターン
103 絶縁シート 104 配線パターン
105 ビアホール 106 導電性樹脂
201 配線パターン 202 絶縁シート
203 配線パターン 204 ビアホール
205 絶縁シート 206 導電性樹脂材料
30 上層基板 301 配線パターン
302 ビアホール 40 下層基板
401 配線パターン 500 導電性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】配線パターンを有する回路基板を複数枚、積層した多層型のプリント配線基板において、異なる層の配線パターンを導電性材料を充填したビアホールによって接続する構成を有し、前記ビアホールには、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む導電性樹脂材料の熱硬化処理によって形成された導電性樹脂が充填され、前記導電性樹脂は、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度より低い温度における第1段階目の熱硬化処理と、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度における加圧下での第2段階目の熱硬化処理とを順次実行して硬化させた導電性樹脂であることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】前記導電性樹脂材料は、不飽和ポリエステル系不織布、熱硬化性樹脂、および、導電性粒子としての銅粉または銀粉、またはカーボンの少なくともいずれかを含む構成であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】前記多層型のプリント配線基板において、最上層の配線パターン上には保護膜が形成され、該保護膜は前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度における加圧下での第2段階目の熱硬化処理において熱圧着処理により前記最上層の配線パターン上に形成された保護膜であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板。
【請求項4】前記保護膜は、ポリイミド製のシート体であることを特徴とする請求項3に記載のプリント配線基板。
【請求項5】配線パターンを有する回路基板を複数枚、積層した多層型のプリント配線基板製造方法において、異なる層の配線パターンを接続孔としてのビアホールに導電性樹脂材料を印刷、充填するステップと、前記導電性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂の標準硬化温度より低い温度における第1段階目の熱硬化処理ステップと、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度における加圧下での第2段階目の熱硬化処理ステップと、を有することを特徴とするプリント配線基板製造方法。
【請求項6】前記第1段階目の熱硬化処理ステップは、前記熱硬化性樹脂の標準硬化温度より10〜20%低い温度に設定して実行するステップであることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線基板製造方法。
【請求項7】前記第1段階目の熱硬化処理ステップは、前記熱硬化性樹脂材料の架橋が始まる最低温度に対して約10〜20%低い温度で実行するステップであることを特徴とする請求項5に記載のプリント配線基板製造方法。
【請求項8】前記プリント配線基板製造方法において、第2段階目の熱硬化処理ステップは、最上層の配線パターン上の保護膜の熱圧着処理を併せて実行するステップであることを特徴とする請求項5乃至7いずれかに記載のプリント配線基板製造方法。
【請求項9】前記第1段階目の熱硬化処理ステップは、約140℃において、約30〜45分の熱硬化処理として実行し、前記第2段階目の熱硬化処理ステップは、約40Kg/cm2の加圧下で、約160℃において、約30分の熱硬化処理として実行するステップであることを特徴とする請求項5乃至8いずれかに記載のプリント配線基板製造方法。
【請求項10】前記プリント配線基板製造方法において、さらに、リフロー炉におけるリフローソルダリング処理ステップを有することを特徴とする請求項5乃至9いずれかに記載のプリント配線基板製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−345558(P2001−345558A)
【公開日】平成13年12月14日(2001.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−165943(P2000−165943)
【出願日】平成12年6月2日(2000.6.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】