説明

プリント配線基板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線基板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法

【課題】ブリッジの発生が起こることが無く絶縁信頼性に優れた、プリント配線基板(マザーボード、半導体チップ搭載基板、多層配線基板)と半導体パッケージ及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】銅配線1と銅配線の間に絶縁物3が形成され、前記銅配線1間の絶縁物3の一部が除去されて銅配線1の一部が露出し、前記露出した銅配線の表面にニッケルめっき皮膜4、金めっき皮膜6の順序、あるいはニッケルめっき皮膜4、パラジウムめっき皮膜5、金めっき皮膜6の順序で形成した構造からなる銅配線を有するプリント配線基板、前記プリント配線基板の一方の表面には半導体チップ接続端子が、他方の表面には外部接続端子が形成されている半導体チップ搭載基板及び半導体チップ搭載基板と、前記半導体チップ搭載基板に搭載された半導体チップと、前記半導体チップを封止する樹脂から構成される半導体パッケージ及びそれらの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線基板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報化社会の発展は目覚しく、民生機器ではパソコン、携帯電話などの小型化、軽量化、高性能化、高機能化が進められ、産業用機器としては無線基地局、光通信装置、サーバ、ルータなどのネットワーク関連機器など、大型、小型を問わず、同じように機能の向上が求められている。また、情報伝達量の増加に伴い、年々扱う信号の高周波化が進む傾向にあり、高速処理および高速伝送技術の開発が進められている。
【0003】
実装関係についてみると、CPU、DSPや各種のメモリなどのLSIの高速化、高機能化と共に、新たな高密度実装技術としてシステムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)などの開発が盛んに行われている。このために、半導体チップ搭載基板やマザーボードも、高周波化、高密度配線化、高機能化に対応するために、ビルドアップ方式の多層配線基板が使用されるようになってきた。
【0004】
電子機器メーカ各社は、製品の小型・薄型・軽量化を実現するために競って高密度実装に取り組み、パッケージの多ピン狭ピッチ化の急速な技術進歩がなされ、プリント配線板への実装は従来のQFP(Quad Flat Package)からエリア表面実装のBGA(Ball Grid Array)/CSP(Chip Size Package)実装へと進化した。半導体チップと半導体実装基板との接続方法は金ワイヤボンディングが一般的であり、基板側の端子には金ワイヤの接着層である金めっきが必要である。半導体チップの高速化、高集積化に伴い、基板の配線が微細化してきており、従来の電気めっきでの導体配線の引き回し等が困難なため、独立パターンへのめっきが可能な無電解めっきへの要求が強まっている。
【0005】
しかしながら、銅配線へ無電解ニッケル/金めっきを行った場合、無電解ニッケルめっき工程において、銅の配線部のみならず、その周辺の樹脂部にも無電解ニッケルめっきが析出する「ブリッジ」という現象が発生し、配線のショート不良の原因となる。そのため、無電解ニッケルめっき後において、銅配線間の絶縁信頼性を確保することが重要である。この特性を満足するため、従来の方法として、下記に示した方法が行われてきた。
【0006】
無電解ニッケル前処理工程の直前に、チオ硫酸塩を含んだ溶液に基材を浸漬することにより「ブリッジ」を防止する方法(特許文献1)がある。また銅配線形成後にOプラズマを施した後に、水洗工程を追加することによって、「ブリッジ」を防止する方法(特許文献2)がある。
【特許文献1】特許第3387507号公報
【特許文献2】特開平11−40951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体チップの高速化、高集積化に伴い、基板の配線が微細化してきており、表面に比較的薄いめっき層を形成しておき、その上にめっきレジストを形成して、電気めっきで配線を必要な厚さに形成し、めっきレジストを剥離後に、比較的薄いめっき層をソフトエッチングで除去するというセミアディティブ法が使用され始め、配線幅/配線間隔(以下、L/Sという。)=35μm/35μmレベルの微細配線を有する製品が量産化されてきている。前記無電解ニッケル前処理工程の直前に、チオ硫酸塩を含んだ溶液に基材を浸漬する方法、前記銅配線形成後にOプラズマを施した後に、水洗工程を行う方法のいずれの方法においても、ブリッジ抑制効果が弱く、無電解ニッケルめっきの異常析出が発生する問題がある。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善するためになされたものであり、ブリッジの発生が起こることが無く絶縁信頼性に優れた、プリント配線基板(例えばマザーボード、多層配線基板)、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線基板の製造方法、及び半導体チップ搭載基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のプリント配線基板の製造方法は、複数の銅配線間に絶縁物を形成する工程と、前記絶縁物を形成した後、前記複数の銅配線上に、ニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成するか又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成する工程とを含む。
【0010】
ここで、ニッケルめっき皮膜を形成した後、ニッケルめっき皮膜上に金めっき皮膜を形成してもよい。また、ニッケルめっき皮膜を形成した後、ニッケルめっき皮膜上に、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜を順に形成してもよい。
【0011】
本発明のプリント配線基板の製造方法では、絶縁物が銅配線間に配置された状態でニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜、又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を形成するので、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上したプリント配線板を製造することができる。ブリッジが発生し難い理由は、例えば以下のように考えられる。
【0012】
複数の銅配線間に例えばCu、Cr、Pd等の金属残渣が存在していると、当該金属残渣を核としてニッケルの異常析出が生じることが考えられる。これに対して本発明のプリント配線基板の製造方法では、このような金属残渣が絶縁物によって覆われるため、ニッケルの異常析出に起因するブリッジの発生を抑制できる。
【0013】
また、ニッケルめっきを行う際に、複数の銅配線間においてめっき液の攪拌効率が悪いために例えば水素ガスが溜まることによって、ニッケルの異常析出が生じることも考えられる。これに対して本発明のプリント配線基板の製造方法では、絶縁物によって銅配線間に水素ガスが溜まり難くなっているので、ニッケルの異常析出に起因するブリッジの発生を抑制できる。
【0014】
また、前記絶縁物を形成する工程は、前記複数の銅配線を覆う絶縁物を形成するステップと、前記複数の銅配線の一部が露出するように前記絶縁物の一部を除去するステップとを含むことが好ましい。これにより、複数の銅配線間に絶縁物を容易に形成することができる。
【0015】
また、前記絶縁物の一部を除去する際には、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス及び機械研磨によるプロセスのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。これにより、絶縁物の一部を簡便に除去することができる。
【0016】
また、前記ドライエッチングプロセスでは、異方性エッチングを行うことが好ましい。この場合、銅配線の側面上に絶縁物が残存し易くなる。
【0017】
また、前記ウェットエッチングプロセスでは、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、及び硝酸のうち少なくとも1種類以上を含む溶液を用いることが好ましい。この場合、絶縁物のエッチング速度が大きくなるので、絶縁物の一部を短時間で除去することができる。
【0018】
また、前記機械研磨によるプロセスでは、バフロール、サンドペーパー及びサンドブラストのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。これにより、絶縁物の一部を簡便に除去することができる。
【0019】
また、前記絶縁物が、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とすることが好ましい。これにより、絶縁物を簡便に形成することができる。
【0020】
本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法では、本発明のプリント配線基板の製造方法によって製造されたプリント配線基板の一方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子であり、前記プリント配線基板の他方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、外部接続端子である。
【0021】
本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法では、上述した本発明のプリント配線基板の製造方法を用いている。このため、得られる半導体チップ搭載基板において、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0022】
本発明のプリント配線基板は、複数の銅配線と、前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜、又は前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜と、前記複数の銅配線間に配置された絶縁物とを備える。
【0023】
ここで、ニッケルめっき皮膜上に金めっき皮膜が設けられていてもよい。また、ニッケルめっき皮膜と金めっき皮膜との間にパラジウムめっき皮膜が設けられていてもよい。
【0024】
本発明のプリント配線基板では、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0025】
また、前記絶縁物が、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とすることが好ましい。これにより、絶縁物を簡便に形成することができる。
【0026】
本発明の半導体チップ搭載基板は、本発明のプリント配線基板を備え、前記プリント配線基板の一方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子であり、前記プリント配線基板の他方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、外部接続端子である。
【0027】
本発明の半導体チップ搭載基板は、上記プリント配線基板を備える。このため、本発明の半導体チップ搭載基板では、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0028】
本発明の半導体パッケージは、本発明の半導体チップ搭載基板と、前記半導体チップ搭載基板に搭載された前記半導体チップとを備える。
【0029】
本発明の半導体パッケージは、上記半導体チップ搭載基板を備える。このため、本発明の半導体パッケージでは、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【0030】
また、上記目的を達成するために、銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成し、前記銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させ、その露出させた銅配線の上にニッケルめっき皮膜、金めっき皮膜の順序、あるいはニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜の順序でこれらを形成することを基本とし、本発明は例えば次のように構成される。
【0031】
(1)銅配線と銅配線の間に絶縁物が形成され、前記銅配線間の絶縁物の一部が除去されて銅配線の一部が露出し、前記露出した銅配線の表面にニッケルめっき皮膜、金めっき皮膜の順序、あるいはニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜の順序で形成した構造からなる銅配線を有するプリント配線基板。
(2)前記銅配線間絶縁物の一部の除去が、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは機械研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより行われたことを特徴とする(1)に記載のプリント配線基板。
【0032】
(3)前記ドライエッチングプロセスが、異方性エッチングプロセスであることを特徴とする(2)に記載のプリント配線基板。
(4)前記ウェットエッチングプロセスが、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸の酸化剤を少なくとも1種類以上含んだ溶液により処理を行うことを特徴とする(2)に記載のプリント配線基板。
(5)前記機械研磨によるプロセスが、バフロール、サンドペーパー、サンドブラストを用いることによることを特徴とする(2)に記載のプリント配線基板。
【0033】
(6)前記絶縁物は、熱硬化性の有機絶縁材料が主成分であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のプリント配線基板。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のプリント配線基板であって、前記プリント配線基板の一方の表面には半導体チップ接続端子が、他方の表面には外部接続端子が形成されていることを特徴とする半導体チップ搭載基板。
(8)銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成する工程、前記銅配線間の絶縁物の一部を除去し銅配線の一部を露出する工程、前記露出した銅配線の表面にニッケルめっき皮膜、金めっき皮膜の順序、あるいはニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜の順序で形成する工程からなるプリント配線基板の製造方法。
【0034】
(9)前記銅配線間絶縁物の一部の除去工程が、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは機械研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスであることを特徴とする(8)に記載のプリント配線基板の製造方法。
(10)前記ドライエッチングプロセスが、異方性エッチングプロセスであることを特徴とする(9)に記載のプリント配線基板の製造方法。
(11)前記ウェットエッチングプロセスが、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸の酸化剤を少なくとも1種類以上含んだ溶液により処理を行うことを特徴とする(9)に記載のプリント配線基板の製造方法。
【0035】
(12)前記機械研磨によるプロセスが、バフロール、サンドペーパー、サンドブラストを用いることによることを特徴とする(9)に記載のプリント配線基板の製造方法。
(13)前記絶縁物は、熱硬化性の有機絶縁材料が主成分であることを特徴とする(8)〜(12)のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
(14)(8)〜(13)のいずれかに記載のプリント配線基板であって、前記プリント配線基板の一方の表面には半導体チップ接続端子を、他方の表面には外部接続端子を形成する工程をさらに有することを特徴とする半導体チップ搭載基板の製造方法。
(15)(7)に記載の半導体チップ搭載基板または(14)に記載の半導体チップ搭載基板の製造方法で製造された半導体チップ搭載基板と、前記半導体チップ搭載基板に搭載された半導体チップと、前記半導体チップを封止する樹脂から構成される半導体パッケージ。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ブリッジの発生が起こることが無く絶縁信頼性に優れた、プリント配線基板、半導体チップ搭載基板、半導体パッケージ、プリント配線基板の製造方法及び半導体チップ搭載基板の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。ここでは、主として半導体チップ搭載基板について説明するが、銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成する方法、前記銅配線間の絶縁物の一部を除去し銅配線の一部を露出する方法、配線表面処理方法や層間絶縁層(ビルドアップ層)形成方法等は多層配線基板でも同様に行うことができる。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0038】
(プリント配線基板の製造方法)
以下、実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について説明する。本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、複数の銅配線間に絶縁物を形成する工程と、その絶縁物を形成した後、その複数の銅配線上に、ニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成するか又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成する工程とを含む。絶縁物を形成する工程は、複数の銅配線を覆う絶縁物を形成するステップと、その複数の銅配線の一部が露出するように絶縁物の一部を除去するステップとを含むことが好ましい。
【0039】
(絶縁物)
絶縁物としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できる。特に熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0040】
複数の銅配線を覆う絶縁物を形成するステップは、例えば以下のように実施される。
【0041】
(絶縁物塗布および硬化方法)
絶縁物の塗布は、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置を用いた基板上への塗布、スプレー噴霧による基板上への塗布が可能であり、これらの方法に限定されるものではない。熱硬化性樹脂を使用する場合は、絶縁物を塗布した後、硬化するのが通常の方法であるが、真空状態に置いた後もしくは真空状態において硬化することがより好ましい。
【0042】
絶縁物の形成は、塗布→乾燥の工程を数回繰り返すことも可能である。絶縁物を塗布した後に半硬化し、ラミネート法等によりキャリアフィルムまたは銅箔を貼り合わせ、プレスにより硬化することも可能である。キャリアフィルムまたは銅箔の貼り合わせは、真空ロールラミネート法であることが好ましく、さらに、真空プレスで硬化することがより好ましい。
【0043】
また、未硬化または半硬化の絶縁物をキャリアフィルムまたは銅箔の片面に塗布したものを、ラミネート法等により基板に貼り合わせ、絶縁物を基板へ接着することが可能である。キャリアフィルムとしては、耐熱性の点からポリイミドフィルムが好ましく、特に、表面に銅が蒸着もしくはスパッタにより形成されているポリイミドフィルムが好ましい。また、銅箔については、シャイニー面側と絶縁物とを接触させることが好ましく、また、防錆金属の無いものがより好ましい。
【0044】
絶縁物の一部を除去するステップは、例えば以下のように実施される。
【0045】
(絶縁物除去プロセス)
銅配線間の絶縁物の一部を除去する方法として、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは機械研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより除去することが可能で、これらのプロセスは適宜組み合わせて行うことがより好ましい。絶縁物の一部を除去する際には、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス及び機械研磨によるプロセスのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0046】
(ドライエッチングプロセス)
銅配線間の絶縁物の一部を除去するためのドライプロセスとしては、プラズマエッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、反応性イオンビームエッチング(RIBE)法、大気圧プラズマエッチング法であればよい。特に好ましくは、異方性エッチング法である。すなわち、ドライエッチングプロセスでは、異方性エッチングを行うことが好ましい。プラズマエッチング法に用いる装置としては、バレル型、平行平板型、ダウンフロー型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンエッチング(RIE)法に用いる装置としては、平行平板型、マグネトロン型、2周波型、ECR型、へリコン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。反応性イオンビームエッチング(RIBE)法に用いる装置としては、ECR型、カウフマン型、ICP型装置などがあり、特に限定はしない。いずれもエッチングガスを適宜選択することが可能で、無機ガス、有機化合物蒸気あるいはこれらの混合物のいずれでも用いることができる。
【0047】
無機ガスとしては、たとえば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、N、NO、NO、CO、CO、NH、SO、Cl、フレオンガス(CF、CH、C、C、CHF、CHなど)、あるいはこれらの混合ガス、およびこれらのガスへOあるいはOを混入した混合ガス等が挙げられる。なかでもArは安定した樹脂表面を得ることができるので、より好ましいガスである。また、有機化合物蒸気は特に限定されるものではないが、例えば、有機珪素化合物、アクリル酸等の不飽和化合物、有機窒素化合物、有機フッ素化合物、一般有機溶媒などが挙げられる。Arガス中に、適当な蒸気圧になるように適量の有機化合物蒸気を混合することも好ましく用いられる。
【0048】
(ウェットエッチングプロセス)
銅配線間の絶縁物の一部を除去するためのウェットエッチングプロセスとしては、アルカリ性の溶液あるいは酸化剤を含有する溶液さらにはそれらを組み合わせた溶液により処理する方法があげられ、絶縁物を1μm以上エッチングする溶液による処理であればよい。特に、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を少なくとも一種類以上含んだ溶液がより好ましい。すなわち、ウェットエッチングでは、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸(過酸化水素と硫酸とを含む溶液)、及び硝酸のうち少なくとも1種類以上を含む溶液を用いることが好ましい。アルカリ性の溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有した化合物を少なくとも一種以上含んだ溶液を用いることが可能で、さらに錯化剤を含んだ溶液であることが好ましい。
【0049】
(機械研磨によるプロセス)
機械研磨によるプロセスとして、バフロール、サンドペーパー、サンドブラスト等を用いるプロセスが可能で、機械的な研磨であればよく特に限定はしなくてもよい。機械研磨によるプロセスでは、バフロール、サンドペーパー及びサンドブラストのうち少なくとも1つを用いることが好ましい。機械研磨を行った後の銅配線の表面粗さが、Raで1.5μm未満であることが好ましく、さらに1.0μm未満であることが好ましく、またさらに0.4μm未満であることがより好ましい。機械研磨を行い、銅配線の上部が露出した後に、化学研磨を行うことがより好ましい。この化学研磨液としては、硝酸−硫酸−塩酸系研磨液、硝酸−硫酸−塩酸−クロム酸系研磨液、硝酸系研磨液、リン酸系研磨液、クロム酸系研磨液、硫酸系研磨液、過酸化水素酸系研磨液、硫酸・過酸化水素系研磨液、塩化銅系研磨液、塩化鉄系研磨液、過硫酸アンモニア系研磨液、アンモニア・アルカリ系研磨液などを使用することができる。
【0050】
(ニッケルめっき皮膜)
ニッケルめっき皮膜とは、Ni−P、Ni−P−Cu、Ni−B、Ni−P−B−Wなどのニッケル合金や純Niであり、ニッケルを含んでいればよく、合金の種類は特に限定しない。また、ニッケルまたはニッケルを含んだ合金の皮膜は電気めっきにより形成してもよく、無電解めっきで形成することがより好ましい。ニッケルめっき皮膜の厚みは、0.5μm〜10μmまでであることが好ましい。0.5μm未満であると、加熱処理後のワイヤボンディングの成功率が低下する傾向がある。また、上限は、L/Sによって決定されるが、10μmまでとするのが好ましい。
【0051】
(パラジウムめっき皮膜)
パラジウムめっき皮膜は、置換パラジウムめっきまたは無電解パラジウムめっきあるいはそれらを組み合わせて形成したものでよい。また、パラジウム皮膜は電気めっきにより形成してもよい。パラジウムめっき皮膜の厚さは、0.05μm〜2μmであることが好ましい。0.05μm未満であると、加熱処理後のワイヤボンディングの成功率が低下する傾向がある。また、上限は、ほとんど経済的な理由によってのみ制限され、通常は2μmまでとするのが好ましい。
【0052】
(金めっき皮膜)
金めっき皮膜は、置換金めっきまたは置換金めっきを行った後に無電解金めっきを行い形成したものでよい。また、金めっき皮膜は、電気めっきにより形成してもよい。金めっき皮膜の厚さは、0.04μm〜2μmであることが好ましい。0.04μm未満であると、加熱処理後のワイヤボンディングの成功率が低下する傾向がある。また、上限は、ほとんど経済的な理由によってのみ制限され、通常は2μmまでとするのが好ましい。
【0053】
(プリント配線基板)
(銅配線と銅配線の間に絶縁物が形成され、前記銅配線間の絶縁物の一部を除去して形成
した絶縁物の構造)
銅配線と銅配線の間に絶縁物が形成され、前記銅配線間の絶縁物の一部を除去して形成した絶縁物の構造は、特に問わないが、図1(b)、図2(b)、図3(b)、図4(c)に示した様な構造であることが好ましい。
【0054】
実施形態に係るプリント配線基板は、図1(c)、図2(c)、図3(c)、図4(d)に示されるように、複数の銅配線1と、複数の銅配線1上に順に設けられたニッケルめっき皮膜4、パラジウムめっき皮膜5及び金めっき皮膜6と、複数の銅配線1間に配置された絶縁物3とを備える。銅配線1はコア基板2上に設けられている。また、ニッケルめっき皮膜4上にはパラジウムめっき皮膜5が設けられていることが好ましく、パラジウムめっき皮膜5上には金めっき皮膜6が設けられていることが好ましい。このようなプリント配線基板では、銅配線1間にブリッジが発生し難く、銅配線1間の絶縁性が向上する。
【0055】
以下、図1〜図4を参照しながら、実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について詳細に説明する。
【0056】
(銅配線間の絶縁物の一部を除去する方法)
図1を用いて、銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成し、銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる第1の方法を説明する。
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスを、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置もしくはスプレー噴霧により銅配線上に塗布し、硬化し、図1(a)に示したような断面形状の絶縁物を形成する。これにより、複数の銅配線を覆う絶縁物を形成する。この際、銅配線上部の絶縁物の皮膜の厚みが銅配線間の樹脂上の絶縁物の厚みよりも十分に薄くなるように絶縁物の粘度、塗布回数を適宜選択することが好ましい。次に、異方性エッチング法により、図1(b)に示したように銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる。これにより、複数の銅配線の一部が露出するように絶縁物の一部を除去する。
【0057】
図2を用いて、銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成し、銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる第2の方法を説明する。
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスを、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置もしくはスプレー噴霧により銅配線上に塗布し、半硬化する。次に、ロールラミネート法によりキャリアフィルムまたは銅箔を貼り合わせ、プレスにより硬化し、図2(a)に示したような銅配線上部の絶縁物の皮膜の厚みが銅配線間の樹脂上の絶縁物よりも十分に薄い断面形状の絶縁物を形成する。これにより、複数の銅配線を覆う絶縁物を形成する。
【0058】
キャリアフィルムの張り合わせは、真空ロールラミネート法であることが好ましく、さらに、真空プレスにより硬化することがより好ましい。キャリアフィルムとしては、耐熱性の点からポリイミドフィルムが好ましく、特に、表面に銅が蒸着もしくはスパッタにより形成されているポリイミドフィルムが好ましい。また、銅箔については、シャイニー面側と絶縁物とを接触させることが好ましく、また、防錆金属の無いものがより好ましい。次に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスまたはそれらを組み合わせたプロセスにより、図2(b)に示したように銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる。これにより、複数の銅配線の一部が露出するように絶縁物の一部を除去する。
【0059】
図3を用いて、銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成し、銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる第3の方法を説明する。
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスを、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置もしくはスプレー噴霧により銅配線上に塗布するか、未硬化または半硬化の絶縁物をキャリアフィルムまたは銅箔の片面に塗布したものを、ロールラミネート法により基板に貼り合わせ、絶縁物を基板へ接着することによって、図3(a)に示したような断面形状の絶縁物を形成する。これにより、複数の銅配線を覆う絶縁物を形成する。次に、バフロール、サンドペーパー、サンドブラスト等の機械的な研磨によるプロセスによって、絶縁物を研磨し、最終的に銅配線の上部と銅配線間の樹脂の一部を研磨し、図3(b)に示したように銅配線の一部を露出させる。これにより、複数の銅配線の一部が露出するように絶縁物の一部を除去する。
【0060】
図4を用いて、銅配線と銅配線の間に絶縁物を形成し、銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる第4の方法を説明する。
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスを、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置もしくはスプレー噴霧により銅配線上に塗布するか、未硬化または半硬化の絶縁物をキャリアフィルムまたは銅箔の片面に塗布したものを、ロールラミネート法により基板に貼り合わせ、絶縁物を基板へ接着することによって、図4(a)に示したような断面形状の絶縁物を形成する。これにより、複数の銅配線を覆う絶縁物を形成する。
【0061】
次に、バフロール、サンドペーパー、サンドブラスト等の機械的な研磨によるプロセスによって、絶縁物を研磨し、銅配線の上部に1μm〜30μmの膜厚、好ましくは1μm〜20μmの膜厚、より好ましくは1μm〜10μmの膜厚を形成することによって、最終的に図4(b)に示したような断面形状となるように絶縁物を研磨する。次に、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスまたはそれらを組み合わせたプロセスにより、図4(c)に示したように、銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出させる。これにより、複数の銅配線の一部が露出するように絶縁物の一部を除去する。
【0062】
(銅配線間の絶縁物の一部が除去されて露出した銅配線表面に形成するめっき皮膜)
銅配線間の絶縁物の一部が除去されて露出した銅配線表面に形成するめっき皮膜としては、ニッケルめっき皮膜、金めっき皮膜の順序、あるいはニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜、金めっき皮膜の順序で形成することが可能で、形状は特に問わないが、図1(c)、図2(c)、図3(c)、図4(d)に示した様な形状であることが好ましい。これにより、複数の銅配線上にニッケルめっき皮膜等を形成する。
【0063】
(絶縁物形成前の銅配線表面の前処理)
絶縁物形成前の銅配線表面の処理として、銅配線表面の凹凸形成処理、Si−O−Siの形成処理、カップリング剤処理、光触媒粒子付与処理、密着性改良剤処理、腐食抑制剤処理等の処理を行うことが可能である。
【0064】
(銅配線表面の凹凸形成法)
銅配線表面の凹凸の形成方法としては、酸性溶液を用いる方法、アルカリ性溶液を用いる方法、酸化剤または還元剤を有する処理液を用いる方法がある。
【0065】
(酸性溶液)
酸性溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、蟻酸、塩化第二銅、硫酸第二鉄などの鉄化合物、アルカリ金属塩化物、過硫酸アンモニウムなどから選ばれる化合物、またはこれらを組み合わせた水溶液、または、クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸などの酸性の6価クロムを含む水溶液で処理してもよい。これらの処理液の濃度および処理時間については、表面粗さがRaで0.01μm〜0.4μmとなるように適宜条件を選択して用いることが好ましい。
【0066】
(アルカリ性溶液)
アルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物溶液が使用でき、また、これらの溶液は、有機酸、キレート剤等を加えて用いることも可能である。これらの処理液の濃度および処理時間については、表面粗さがRaで0.01μm〜0.4μmとなるように適宜条件を選択して用いることが好ましい。
【0067】
(酸化剤または還元剤を有する処理液)
酸化剤を含む水溶液に銅配線を浸漬し、銅表面に酸化銅皮膜を形成し、次いで、還元処理により酸化銅皮膜を還元し、銅配線表面に微細な凹凸形状を形成しても良い。その場合、前記酸性もしくはアルカリ性溶液を用いて処理を行った後に、組み合わせて処理を行うことが可能であり、表面粗さがRaで0.01μm〜0.4μmとなるように処理をすればよい。前記酸化剤を含む水溶液としては、亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤が使用でき、更にOH陰イオン源およびリン酸三ナトリウムなどの緩衝剤を含むものが好ましい。
【0068】
また、還元処理を行う水溶液としては、pH9.0から13.5に調整したアルカリ性溶液中にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、芳香族アルデヒド化合物を添加した水溶液、または次亜リン酸および次亜リン酸塩などを含んだ水溶液が使用できる。
また、これらの処理の前処理として、溶剤、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を用いて配線表面の清浄化を行う脱脂処理を行うことが好ましい。脱脂処理は、アルカリ性および酸性の水溶液を用いればよく、特に限定はしないが、前記の酸性水溶液またはアルカリ性水溶液であることが好ましい。さらに1〜5Nの硫酸水溶液で配線表面を洗浄することが好ましい。脱脂処理及び硫酸洗浄は適宜組み合わせて行っても良い。
【0069】
(Si−O−Siの形成)
Si−O−Si結合を有する化合物としては、シリカガラス、ラダー構造を含む化合物
などが好ましい。
【0070】
(シリカガラス)
シリカガラス(SiO)は、厚さが0.002μm〜5μm、好ましくは0.005μm〜1μm、またさらに0.01μm〜0.2μmであることがより好ましい。シリカガラスの厚みが5.0μm以上では、バイアホール形成工程のレーザー等によるビア加工が困難となる傾向にあり、0.002μmより薄くなると、シリカガラス層の形成が困難になる傾向にある。
【0071】
(ラダー構造を含む化合物)
ラダー構造を含む化合物は、一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物であって、式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基、疎水性基から選ばれるものでよい。反応性基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、メルカプト基、チオール基、オキサゾリン基、環状エステル基、環状エーテル基、イソシアネ−ト基、酸無水物基、エステル基、アミノ基、ホルミル基、カルボニル基、ビニル基、ヒドロキシ置換シリル基、アルコキシ置換シリル基、ハロゲン置換シリル基等があげられる。
【0072】
親水性基としては、多糖基、ポリエーテル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホニウム塩基、複素環基、アミノ基、これらの塩およびエステル等があげられる。疎水性基としては、炭素数が1〜60の脂肪族炭化水素基、炭素数が6〜60の芳香族炭化水素基、複素環基およびポリシロキサン残渣から選択された化合物等があげられる。これらの中で、反応性基であることが最も好ましい。
【0073】
【化1】


(式中、Rはそれぞれが単独に、水素原子、反応性基、親水性基または疎水性基から選択されたもの)
【0074】
(カップリング剤)
銅配線表面の処理として、カップリング剤を含む溶液を用いて処理を行うことが可能である。更に、前記のSi−O−Si結合を有する化合物を銅配線表面に形成した後、カップリング剤を含む溶液を用いて処理を行うことが可能である。前記カップリング剤の含有量は、溶液全体に対して、0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.1重量%〜1.0重量%がさらに好ましい。カップリング剤を用いることによって、銅配線と絶縁物との密着強度が向上できる。
【0075】
使用するカップリング剤はシラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤が挙げられ、中でもシラン系カップリング剤が好ましく、例えば、シラン系カップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イミダゾール基、ビニル基、またはメタクリル基等の官能基を分子中に有し、これらのシラン系カップリング剤の少なくとも1種もしくは2種以上の混合物を含有する溶液を使用することができる。シラン系カップリング剤溶液の調整に使用される溶媒は、水或いはアルコール、ケトン類等を用いることが可能である。また、カップリング剤の加水分解を促進するために、少量の酢酸や塩酸等の酸を添加することもできる。
【0076】
前記カップリング剤の含有量は、溶液全体に対して、0.01重量%〜5重量%が好ましく、0.1重量%〜1.0重量%がさらに好ましい。カップリング剤による処理は、前記のように調整したカップリング剤溶液に浸漬、スプレー噴霧、塗布等の方法により処理を行うことができる。前記のシラン系カップリング剤で処理した基板は、自然乾燥、加熱乾燥、または真空乾燥により乾燥を行うが、使用するカップリング剤の種類によって、乾燥前に水洗または超音波洗浄を行うことも可能である。
【0077】
(光触媒粒子)
前記記載のSi−O−Si結合を有する化合物が形成された後、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも一種類の元素を有する層状酸化物である光触媒粒子を塗布することも可能である。これらの触媒の中で、無害であり、なおかつ化学的安定性にも優れるTiOが最も好ましい。TiOとしては、アナタ−ゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用することが可能である。
【0078】
一般式(1)で表されるラダー構造を含む化合物においては、前記の光触媒粒子を混合して塗布することも可能である。また、前記の光触媒粒子を前記シランカップリング剤による処理の前、後、若しくは前後、さらにはシランカップリング剤中に混合して用いることも可能である。光触媒粒子を塗布し、乾燥した後、必要に応じて熱処理、さらには光照射することが可能である。光照射の種類としては、紫外光、可視光、赤外光が使用できるが、紫外光を用いるのが最も好ましい。
【0079】
(密着性改良剤)
密着性改良剤としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料が主成分であることが好ましい。密着性改良剤としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が使用できる。
【0080】
(腐食抑制剤)
銅配線表面の少なくとも一部に、腐食抑制剤を塗布することが可能であり、前記腐食抑制剤は、S含有有機化合物またはN含有有機化合物を少なくとも1種以上含んでいるものであればよい。ここでいう腐食抑制剤を具体的にあげると、メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基のようなイオウ原子を含有する化合物もしくは、分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物であり、前記記載の酸性溶液またはアルカリ性溶液またはカップリング剤溶液に加えて用いることも可能であり、カップリング剤を含む溶液による処理の前または後に、前記腐食抑制剤を含む溶液を用いて処理を行うことが可能である。
【0081】
(メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基のようなイオウ原子を含有する化合
物)
メルカプト基、スルフィド基、又はジスルフィド基のようなイオウ原子を含有する化合物としては、脂肪族チオール(HS−(CH−R(但し、式中、nは1から23までの整数、Rは一価の有機基、水素基またはハロゲン原子を表す)で表される構造を有し、Rはアミノ基、アミド基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基のいずれかであることが好ましいが、これに限定したものではなく、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素基、チオアルキル基、チオール基、置換されていても良いフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、複素環などが挙げられる。
【0082】
また、R中のアミノ基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基は、1個あればよく、好ましくは1個以上、他に上記のアルキル基等の置換基を有していても良い。式中、nが1から23までの整数で示される化合物を用いることが好ましく、さらに、nが4から15までの整数で示される化合物がより好ましく、またさらにnが6から12までの整数で示される化合物であることが特に好ましい。これらの化合物としては、チアゾール誘導体(チアゾール、2−アミノチアゾール、2−アミノチアゾール−4−カルボン酸、アミノチオフェン、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾロール、2,3−ジヒドロイミダゾ〔2,1−b〕ベンゾチアゾール−6−アミン、2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノ酢酸エチル、2−メチルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メチルチアゾール等)、チアジアゾール誘導体(1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチル−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,5−メカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−メチルメルカプト−5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール、2−(エチルアミノ)−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール等)、メルカプト安息香酸、メルカプトナフトール、メルカプトフェノール、4−メルカプトビフェニル、メルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオウラシル、3−チオウラゾール、2−チオウラミル、4−チオウラミル、2−メルカプトキノリン、チオギ酸、1−チオクマリン、チオクモチアゾン、チオクレゾール、チオサリチル酸、チオチアヌル酸、チオナフトール、チオトレン、チオナフテン、チオナフテンカルボン酸、チオナフテンキノン、チオバルビツル酸、チオヒドロキノン、チオフェノール、チオフェン、チオフタリド、チオフテン、チオールチオン炭酸、チオルチドン、チオールヒスチジン、3−カルボキシプロピルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、2−アミノプロピオン酸、ジチオジグリコール酸、D−システイン、ジ−t−ブチルジスルフィド、チオシアン、チオシアン酸等があげられる。
【0083】
(分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種
以上含む化合物)
分子内に−N=またはN=Nまたは−NHを含むN含有有機化合物を少なくとも1種以上含む化合物として好ましい化合物は、トリアゾール誘導体(1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3−オキシ−1,2,4−トリアゾール、アミノウラゾール等)、テトラゾール誘導体(テトラゾリル、テトラゾリルヒドラジン、1H−1,2,3,4−テトラゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−エチル−1,4−ジヒドロキシ5H−テトラゾール−5−オン、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、テトラゾールメルカプタン等)、オキサゾール誘導体(オキサゾール、オキサゾリル、オキサゾリン、ベンゾオキサゾール、3−アミノ−5−メチルイソオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−アミノオキサゾリン、2−アミノベンゾオキサゾール等)、オキサジアゾール誘導体(1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾロン−5、1,3,4−オキサジアゾロン−5等)、オキサトリアゾール誘導体(1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール等)、プリン誘導体(プリン、2−アミノ−6−ヒドロキシ−8−メルカプトプリン、2−アミノ−6−メチルメルカプトプリン、2−メルカプトアデニン、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトプリン、尿酸、グアニン、アデニン、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン等)、イミダゾール誘導体(イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、4−アミノ−5−イミダゾールカルボン酸アミド、ヒスチジン等)、インダゾール誘導体(インダゾール、3−インダゾロン、インダゾロール等)、ピリジン誘導体(2−メルカプトピリジン、アミノピリジン等)、ピリミジン誘導体(2−メルカプトピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メチルピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−メルカプト−1H−ピラゾロ〔3,4−d〕ピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン等)、チオ尿素誘導体(チオ尿素、エチレンチオ尿素、2−チオバルビツール酸等)、アミノ酸(グリシン、アラニン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン等)、1,3,4−チオオキサジアゾロン−5、チオクマゾン、2−チオクマリン、チオサッカリン、チオヒダントイン、チオピリン、γ−チオピリン、グアナジン、グアナゾール、グアナミン、オキサジン、オキサジアジン、メラミン、2,4,6−トリアミノフェノール、トリアミノベンゼン、アミノインドール、アミノキノリン、アミノチオフェノール、アミノピラゾール等があげられる。
【0084】
(腐食抑制剤の溶液)
腐食抑制剤を含む溶液の調整には、水および有機溶媒を使用することができる。有機溶媒の種類は、特に限定はしないが、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジアリルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素などを用いることができ、これらの溶媒を1種類ないし2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0085】
(腐食抑制剤溶液の濃度および処理時間)
腐食抑制剤溶液の濃度は、0.1〜5000ppmの濃度が好ましい。さらに、0.5〜3000ppmがより好ましく、またさらに1〜1000ppmであることが特に好ましい。腐食抑制剤の濃度が0.1ppm未満では、マイグレーション抑制効果が十分でなく、また銅配線と絶縁物との十分な密着強度を得ることもできない傾向にある。腐食抑制剤の濃度が5000ppmを超えると、マイグレーション抑制効果は得られるが、銅配線と絶縁物との十分な密着強度を得ることができない傾向にある。銅配線表面を、腐食抑制剤を含んだ溶液により処理する時間については特に限定はせず、腐食抑制剤の種類および濃度に応じて適宜変化させることが好ましい。
【0086】
(半導体チップ搭載基板)
図5に、本発明の半導体チップ搭載基板の一実施例(片面ビルドアップ層2層)の断面模式図を示した。ここでは、ビルドアップ層を片面にのみ形成した実施形態で説明するが、必要に応じて図12に示すようにビルドアップ層は両面に形成しても良い。
【0087】
図5に示される半導体チップ搭載基板では、半導体チップが搭載される側の絶縁層であるコア基板100上に、半導体チップ接続端子及び第1の層間接続端子101を含む第1の配線106aが形成される。コア基板100の他方の側には、第2の層間接続端子103を含む第2の配線106bが形成され、第1の層間接続端子101と第2の層間接続端子103は、コア基板100の第1の層間接続用IVH(インタースティシャルバイアホール)102を介して電気的に接続される。コア基板100の第2の配線106b側には、ビルドアップ層104が形成され、ビルドアップ層104上には第3の層間接続端子を含む第3の配線106cが形成され、第2の層間接続端子103と第3の層間接続端子は、第2の層間接続用IVH108を介して電気的に接続される。配線106aの間に絶縁物を形成して、銅配線間の絶縁物の一部を除去して銅配線の一部を露出し、最終的に絶縁物110が形成される。
【0088】
図5に示される半導体チップ搭載基板は、実施形態に係るプリント配線基板を備える。そのプリント配線基板の一方の面上に設けられた複数の銅配線は、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子である。第1の配線106aは、銅配線及び半導体チップ接続端子を含む。プリント配線基板の他方の面上に設けられた複数の銅配線は、外部接続端子107である。この半導体チップ搭載基板では、配線106a間にブリッジが発生し難く、配線106a間の絶縁性が向上する。
【0089】
ビルドアップ層104が複数形成される場合は、同様の構造を積層し、最外層のビルドアップ層104上には、マザーボードと接続される外部接続端子107が形成される。外部接続端子107は、第3の層間接続用IVH105によって第3の配線106cに電気的に接続される。配線の形状や各々の接続端子の配置等は特に制限されず、搭載する半導体チップや目的とする半導体パッケージを製造するために、適宜設計可能である。また、半導体チップ接続端子と第1の層間接続端子101等を共用することも可能である。更に、最外層には、必要に応じてソルダレジスト等の絶縁被覆109を設けることもできる。
【0090】
(コア基板)
コア基板100の材質は特に問わないが、有機基材、セラミック基材、シリコン基材、ガラス基材などが使用できる。熱膨張係数や絶縁性を考慮すると、セラミックや、ガラスを用いることが好ましい。ガラスのうち非感光性ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス(成分例:SiO 65〜75wt%、Al 0.5〜4wt%、CaO 5〜15wt%、MgO 0.5〜4wt%、NaO 10〜20wt%)、ホウ珪酸ガラス(成分例:SiO 65〜80wt%、B 5〜25wt%、Al 1〜5wt%、CaO 5〜8wt%、MgO 0.5〜2wt%、NaO 6〜14wt%、KO 1〜6wt%)等が挙げられる。また、感光性ガラスとしては、LiO−SiO系結晶化ガラスに感光剤として金イオン及び銀イオンを含むものが挙げられる。
【0091】
有機基板としては、ガラス布に樹脂を含浸させた材料を積層した基板や樹脂フィルムが使用できる。使用する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性の有機絶縁材料が好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0092】
これらの樹脂には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
コア基板100の厚さは、IVH形成性の点で100〜800μmであるのが好ましく、更に150〜500μmであるのがより好ましい。
【0093】
(ビルドアップ層)
層間絶縁層(ビルドアップ層)104は、絶縁材料からなり、絶縁材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できる。またビルドアップ層104は熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とするのが好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、シクロペンタジエンから合成した樹脂、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌラートを含む樹脂、芳香族ニトリルから合成した樹脂、3量化芳香族ジシアナミド樹脂、トリアリルトリメタリレートを含む樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、縮合多環芳香族を含む熱硬化性樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂等を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、液晶ポリマ等が挙げられる。
【0094】
絶縁材料には充填材を添加しても良い。充填材としては、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられる。
【0095】
(熱膨張係数)
半導体チップの熱膨張係数とコア基板100の熱膨張係数とが近似していて、かつコア基板100の熱膨張係数とビルドアップ層104の熱膨張係数とが近似していることが好ましいが、これに限定したものではない。さらに、半導体チップ、コア基板100、ビルドアップ層104の各々の熱膨張係数をα1、α2、α3(ppm/℃)としたとき、α1≦α2≦α3であることがより好ましい。
【0096】
具体的には、コア基板100の熱膨張係数α2は、好ましくは7〜13ppm/℃、更に好ましくは9〜11ppm/℃である。ビルドアップ層104の熱膨張係数α3は、好ましくは10〜40ppm/℃、更に好ましくは10〜20ppm/℃、特に好ましくは11〜17ppm/℃である。
【0097】
(ヤング率)
ビルドアップ層104のヤング率は、1〜5GPaであるのが熱ストレスに対する応力緩和の点で好ましい。ビルドアップ層104中の充填材は、ビルドアップ層104の熱膨張係数が10〜40ppm/℃、ヤング率が1〜5GPaになるように添加量を適宜調整して添加するのが好ましい。
【0098】
(半導体チップ搭載基板の製造方法)
以下、実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法について説明する。本実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法では、本実施形態に係るプリント配線基板の製造方法によって製造されたプリント配線基板の一方の面上に設けられた複数の銅配線は、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子である。また、そのプリント配線基板の他方の面上に設けられた複数の銅配線は、外部接続端子である。
【0099】
半導体チップ搭載基板は、以下の製造方法の組み合わせで製造することができる。製造工程の順番は、本発明の目的を逸脱しない範囲では、特に限定しない。
【0100】
(配線形成方法)
配線の形成方法としては、コア基板100表面またはビルドアップ層104上に金属箔を形成し、金属箔の不要な箇所をエッチングで除去する方法(サブトラクト法)、コア基板100表面またはビルドアップ層104上の必要な箇所にのみめっきにより配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板100表面またはビルドアップ層104上に薄い金属層(シード層)を形成し、その後、電解めっきで必要な配線を形成した後、薄い金属層をエッチングで除去する方法(セミアディティブ法)がある。
【0101】
(エッチングによる配線形成)
金属箔の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属箔をエッチング除去し、配線を形成することができる。例えば、金属箔として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の配線板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用できる。例えばレジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成したり、またエッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成する。化学エッチング液には、塩化第二銅と塩酸の溶液、塩化第二鉄溶液、硫酸と過酸化水素の溶液、過硫酸アンモニウム溶液など、通常の配線板に用いる化学エッチング液を用いることができる。
【0102】
(めっきによる配線形成)
また、配線は、コア基板100またはビルドアップ層104上の必要な箇所にのみ、めっきを行うことで形成することも可能であり、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。例えば、コア基板100に無電解めっき用触媒を付着させた後、めっきが行われない表面部分にめっきレジストを形成して、無電解めっき液に浸漬し、めっきレジストに覆われていない箇所にのみ、無電解めっきを行い配線を形成する。
【0103】
(セミアディティブ法による配線形成)
コア基板100表面またはビルドアップ層104上に、セミアディティブ法のシード層を形成する方法は、蒸着またはめっきによる方法と、金属箔を貼り合わせる方法がある。また同様の方法で、サブトラクト法の金属箔を形成することもできる。
【0104】
(蒸着またはめっきによるシード層の形成)
コア基板100表面またはビルドアップ層104上に蒸着またはめっきによってシード層を形成することができる。例えば、シード層として、スパッタリングにより下地金属と薄膜銅層を形成する場合、薄膜銅層を形成するために使用されるスパッタリング装置は、2極スパッタ、3極スパッタ、4極スパッタ、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等を用いることができる。スパッタに用いるターゲットは、密着を確保するために、例えばCr、Ni、Co、Pd、Zr、Ni/Cr、Ni/Cu等の金属を下地金属として用い、5〜50nmスパッタリングする。その後、銅をターゲットにして200〜500nmスパッタリングしてシード層を形成できる。
【0105】
また、コア基板100表面またはビルドアップ層104上にめっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成することもできる。
【0106】
(金属箔を貼り合わせる方法)
コア基板100またはビルドアップ層104に接着機能がある場合は、金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることによりシード層を形成することもできる。しかし、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などがある。例えば前者としてはキャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔があり、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去する。例えば後者としてはアルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などが使用でき、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付け、5μm以下になるように、エッチングにより均一に薄くし、シード層を形成してもかまわない。
【0107】
(セミアディティブによる配線形成)
前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、配線が形成できる。
【0108】
(配線の形状)
配線の形状は特に問わないが、少なくとも半導体チップが搭載される側には半導体チップ接続端子16(ワイヤボンド端子等)、その反対面にはマザーボードと電気的に接続される外部接続端子19(はんだボール等が搭載される箇所)及びそれらを繋ぐ展開配線20、層間接続端子等から構成される(図9及び図10参照)。また、配線の配置も特に問わないが、図9に示したように(内層配線、層間接続端子等は省略)、半導体チップ接続端子16より内側に外部接続端子19を形成したファン−インタイプや、図10に示したような半導体チップ接続端子16の外側に外部接続端子19を形成したファン−アウトタイプ、またはこれらを組み合わせたタイプでもよい。図9に、ファン−インタイプ半導体チップ搭載基板の平面図を、図10にファン−アウトタイプ半導体チップ搭載基板の平面図を示した。なお、半導体チップ接続端子16の形状は、ワイヤボンド接続やフリップチップ接続などが、可能であれば、特に問わない。また、ファン−アウト、ファン−インどちらのタイプでも、ワイヤボンド接続やフリップチップ接続などは、可能である。フリップチップ接続では、半導体パッケージ領域13にダイボンドフィルム接着領域14及び半導体チップ搭載領域15が設定される。ワイヤボンド接続では、半導体パッケージ領域13にダイボンドフィルム接着領域17及び半導体チップ搭載領域18が設定される。さらに必要に応じて、半導体チップと電気的に接続されないダミーパターン21(図10参照)を形成してもかまわない。ダミーパターン21の形状や配置も特には問わないが、半導体チップ搭載領域15又は18に均一に配置するのが好ましい。これによって、ダイボンド接着剤で半導体チップを搭載する際に、ボイドが発生しにくくなり、信頼性を向上できる。
【0109】
(バイアホール)
半導体チップ搭載基板は、複数の配線層を有してもよい。この場合、各層の配線を電気的に接続するためのバイアホールを設けることができる。バイアホールは、コア基板100またはビルドアップ層104に接続用の穴を設け、この穴を導電性ペーストやめっき等で充填し形成できる(図5参照)。穴の加工方法としては、パンチやドリルなどの機械加工、レーザ加工、薬液による化学エッチング加工、プラズマを用いたドライエッチング法などがある。
【0110】
また、ビルドアップ層104のバイアホール形成方法としては、予めビルドアップ層104に導電性ペーストやめっきなどで導電層を形成し、これをコア基板100にプレス等で積層する方法などもある。
【0111】
(絶縁被覆の形成)
半導体チップ搭載基板の外部接続端子側には絶縁被覆を形成することができる。パターン形成は、ワニス状の材料であれば印刷で行うことも可能であるが、より精度を確保するためには、感光性のソルダレジスト、カバーレイフィルム、フィルム状レジストを用いるのが好ましい。材質としては、エポキシ系、ポリイミド系、エポキシアクリレート系、フルオレン系の材料を用いることができる。
【0112】
このような絶縁被覆は硬化時の収縮があるため、片面だけに形成すると基板に大きな反りを生じやすい。そこで、必要に応じて半導体チップ搭載基板の両面に絶縁被覆を形成することもできる。さらに、反りは絶縁被覆の厚みによって変化するため、両面の絶縁被覆の厚みは、反りが発生しないように調整することがより好ましい。その場合、予備検討を行い、両面の絶縁被覆の厚みを決定することが好ましい。また、薄型の半導体パッケージとするには、絶縁被覆の厚みが50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましい。
【0113】
以下、図6を参照しながら、実施形態に係る半導体チップ搭載基板の製造方法について詳細に説明する。
このような半導体チップ搭載基板は、以下のような工程で製造することができる。図6(a)〜(i)に、本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法の実施形態の一例を断面模式図で示した。ただし、製造工程の順番は、本発明の目的を逸脱しない範囲では、特に限定しない。
【0114】
(工程a)
(工程a)は、図6(a)に示したようにコア基板100上に第1の配線106aを作製する工程である。
例えば片面に銅層が形成されたコア基板100に第1の配線106a形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄などのエッチング液を用いて配線106aを作製することができる。基板(コア基板100)上に銅層を作製するには、スパッタリング、蒸着、めっき等により薄膜を形成した後、電気銅めっきで膜厚を所望の厚みまでめっきすることにより、銅層を得ることができる。
【0115】
なお、第1の配線106aは、第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子(半導体チップと電気的に接続される部分)を含んでおり、微細配線の形成方法としてはセミアディティブ法を用いても良い。
【0116】
(工程b)
(工程b)は、図6(b)に示したように、第1の層間接続端子101と、後述する第2の配線106bとを接続するための第1の層間接続用IVH102(バイアホール)を形成する工程である。
【0117】
バイアホールの形成は、コア基板100が非感光性基材の場合、レーザ光を用いることができる。非感光性基材としては、前述した非感光性ガラスなどが挙げられるが、これに限定したものではない。この場合、使用するレーザ光は限定されるものではなく、COレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができる。また、コア基板100が感光性基材の場合、バイアホール以外の領域をマスクし、バイアホール部に紫外光を照射する。なお感光性基材としては、前述した感光性ガラスなどが挙げられるが、これに限定したものではない。この場合、紫外光を照射後、熱処理とエッチングによりバイアホールを形成する。また、コア基板100が、有機溶剤等の薬液による化学エッチング加工が可能な基材の場合は、化学エッチングによってバイアホールを形成することもできる。形成されたバイアホールは層間を電気的に接続するために、導電性のペーストやめっきなどで充填して層間接続のための導電層を形成することができる。
【0118】
(工程c)
(工程c)は、図6(c)に示したように、コア基板100の第1の配線106aと反対側の面に第2の配線106bを形成する工程である。コア基板100の第1の配線106aと反対の面に(工程a)と同様に銅層を形成し、その銅層を必要な配線形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄等のエッチング液を用いて第2の配線106bを形成する。銅層の形成方法としては、(工程a)と同様にスパッタリング、蒸着、無電解めっきなどで銅薄膜を形成した後、電気銅めっきを用いて所望の厚みまで銅めっきすることにより銅層が得られる。
【0119】
なお、第2の配線106bは第2の層間接続端子103を含んでおり、微細配線の形成方法としてはセミアディティブ法を用いても良い。
【0120】
(工程d)
(工程d)は、図6(d)に示すように第2の配線106bを形成した面にビルドアップ層(層間絶縁層)104を形成する工程である。まず、第2の配線106b表面を、前記脱脂処理または硫酸洗浄を行う。酸性あるいはアルカリ性あるいは酸化剤を含む水溶液に浸漬し、銅配線表面のRa(平均粗さ)が0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。酸化剤を含む水溶液に浸漬した場合は、さらに、還元剤を含む水溶液に浸漬し、前記酸化銅皮膜を還元処理することによって、銅配線表面のRaが0.01〜0.4μmとなるように処理を行う。
【0121】
次に、コア基板100表面及び第2の配線106b表面に、ビルドアップ層104を形成する。ビルドアップ層104の絶縁材料としては、前記したように熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂が使用できるが、熱硬化性材料を主成分とするのが好ましい。ワニス状の材料の場合、印刷やスピンコートで、またはフィルム状の絶縁材料の場合、ラミネートやプレスなどの手法を用いてビルドアップ層104を得ることができる。絶縁材料が熱硬化性材料を含む場合は、さらに加熱硬化させることが望ましい。
【0122】
(工程e)
(工程e)は、図6(e)に示したように、ビルドアップ層104に第2の層間接続用のIVH(バイアホール)108を形成する工程であり、バイアホールの形成手段としては、一般的なレーザ穴あけ装置を使用することができる。レーザ穴あけ機で用いられるレーザの種類はCOレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いることができるが、COレーザが生産性及び穴品質の点で好ましい。また、IVH径が30μm未満の場合は、レーザ光を絞ることが可能なYAGレーザが適している。また、ビルドアップ層104が有機溶剤等の薬液による化学エッチング加工が可能な材料の場合は、化学エッチングによってバイアホールを形成することもできる。
【0123】
(工程f)
(工程f)は、図6(f)に示したように、前記第2のバイアホールが形成されたビルドアップ層104上に、第3の配線106cを形成する工程である。またL/S=35μm/35μm以下の微細な配線を形成するプロセスとしては、前記したセミアディティブ法が好ましい。ビルドアップ層104上に、蒸着またはめっきによる方法や金属箔を貼り合わせる方法などにより、シード層を形成する。前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、微細な配線106cが形成できる。
【0124】
(工程g)
(工程d)から(工程f)までを繰り返して、図6(g)に示すようにビルドアップ層104を2層以上作製してもよい。この場合、最外のビルドアップ層104に形成された層間接続端子が、外部接続端子107となる。
【0125】
(工程h)
(工程h)は、図6(h)に示したように配線106a間に絶縁物110を形成し、樹脂(絶縁物)の一部を除去して銅配線の一部を露出させる工程である。
【0126】
配線106a間に形成する絶縁物110は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスを硬化することにより形成が可能である。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスの塗布は、ロールコーター、スリットダイコーター、ディップコーター、スピンコーター、スクリーン印刷等の塗布装置を用いた基板上への塗布、スプレー噴霧による基板上への塗布が可能であり、これらの方法に限定されるものではない。熱硬化性樹脂に限定すると、塗布した後、硬化するのが通常の方法であるが、真空状態に置いた後に硬化することがより好ましい。
【0127】
絶縁物の形成は、塗布→乾燥の工程を数回繰り返すことによっても可能である。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはそれらの混合樹脂のワニスを塗布した後に半硬化し、ロールラミネート法によりキャリアフィルムまたは銅箔を貼り合わせ、プレスにより硬化することも可能である。キャリアフィルムまたは銅箔の貼り合わせは、真空ロールラミネート法であることが好ましく、さらに、真空プレスで硬化することがより好ましい。
【0128】
また、未硬化または半硬化の絶縁物をキャリアフィルムまたは銅箔の片面に塗布したものを、ラミネート法またはロールラミネート法により基板に貼り合わせ、絶縁物を基板へ接着することが可能である。キャリアフィルムとしては、耐熱性の点からポリイミドフィルムが好ましく、特に、表面に銅が蒸着もしくはスパッタにより形成されているポリイミドフィルムが好ましい。また、銅箔については、シャイニー面側と絶縁物とを接触させることが好ましく、また、防錆金属の無いものがより好ましい。
【0129】
樹脂(絶縁物)の一部を除去して銅配線の一部を露出させる方法として、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセスあるいは機械研磨によるプロセスの少なくともいずれかのプロセスにより形成することが可能で、これらのプロセスは適宜組み合わせて行うことがより好ましい。
【0130】
(工程i)
(工程i)は、図6(i)に示したように、半導体チップ接続端子及び外部接続端子107以外の配線等を保護するための絶縁被覆109を形成する工程である。絶縁被覆材としては、ソルダレジストが一般的に用いられ、熱硬化型や紫外線硬化型のものが使用できるが、レジスト形状を精度良く仕上げることができる紫外線硬化型のものが好ましい。
【0131】
(工程j)
(工程j)では、絶縁被覆109が形成された基板を水洗することが好ましい。
【0132】
(工程k)
(工程k)では、例えば無電解めっき法を用いて配線上にニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成する。また、配線上にニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成してもよい。
【0133】
(半導体チップ搭載基板の形状)
半導体チップ搭載基板22の形状は、特に問わないが、図11に示したようなフレーム形状にすることが好ましい。半導体チップ搭載基板22の形状をこのようにすることで、半導体パッケージの組立てを効率よく行うことができる。以下、好ましいフレーム形状について詳細に説明する。
【0134】
図11に示したように、半導体パッケージ領域13(1個の半導体パッケージとなる部分)を行及び列に各々複数個等間隔で格子状に配置したブロック23を形成する。さらに、このようなブロック23を複数個行及び列に形成する。図11では、2個のブロック23しか記載していないが、必要に応じて、ブロック23も格子状に配置してもよい。ここで、半導体パッケージ領域13間のスペース部の幅は、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。さらに、後に半導体パッケージを切断するときに使用するダイサーのブレード幅と同じにするのが最も好ましい。
【0135】
このように半導体パッケージ領域13を配置することで、半導体チップ搭載基板22の有効利用が可能になる。また、半導体チップ搭載基板22の端部には、位置決めマーク11等を形成することが好ましく、貫通穴によるピン穴であることがより好ましい。ピン穴の形状や配置は、形成方法や半導体パッケージの組立て装置に合うように選択すればよい。
【0136】
さらに、半導体パッケージ領域13間のスペース部やブロック23の外側には補強パターン24を形成することが好ましい。補強パターン24は、別途作製し半導体チップ搭載基板22と貼り合わせてもよいが、半導体パッケージ領域13に形成される配線と同時に形成された金属パターンであることが好ましく、さらに、その表面には、配線と同様のニッケル、金などのめっきを施すか、絶縁被覆をすることがより好ましい。補強パターン24が、このような金属の場合は、電解めっきの際のめっきリードとして利用することも可能である。また、ブロック23の外側には、ダイサーで切断する際の切断位置合わせマーク25を形成することが好ましい。このようにして、フレーム形状の半導体チップ搭載基板22を作製することができる。
【0137】
(半導体パッケージ)
図7に、本発明の半導体パッケージの実施形態の一例(フリップチップタイプ半導体パッケージ)を断面模式図で示す。図7に示される半導体パッケージは、上記半導体チップ搭載基板に、さらに半導体チップ111が搭載されているもので、半導体チップ111と半導体チップ接続端子とを接続バンプ112を用いてフリップチップ接続することによって電気的に接続して得ることができる。
【0138】
さらに、これらの半導体パッケージには、図示するように、半導体チップ111と半導体チップ搭載基板の間をアンダーフィル材113で封止することが好ましい。アンダーフィル材113の熱膨張係数は、半導体チップ111及びコア基板100の熱膨張係数と近似していることが好ましいがこれに限定したものではない。さらに好ましくは(半導体チップの熱膨張係数)(アンダーフィル材の熱膨張係数)≦(コア基板の熱膨張係数)である。さらに、半導体チップ111の搭載には異方導電性フィルム(ACF)や導電性粒子を含まない接着フィルム(NCF)を用いて行うこともできる。この場合は、アンダーフィル材113で封止する必要がないため、より好ましい。さらに、半導体チップ111を搭載する際に超音波を併用すれば、電気的な接続が低温でしかも短時間で行えるため特に好ましい。
【0139】
また、図8には、ワイヤボンドタイプ半導体パッケージの実施形態の断面図を示す。半導体チップ111の搭載には、一般のダイボンドペーストも使用できるが、ダイボンドフィルム117を用いるのがより好ましい。半導体チップ111と半導体チップ接続端子との電気的な接続は金ワイヤ115を用いたワイヤボンドで行うのが一般的である。半導体チップ111の封止は、半導体用封止樹脂116をトランスファモールドで行うことができる。その場合、半導体チップ111の少なくともフェース面を半導体用封止樹脂116で封止するが、封止領域は、必要な部分だけを封止しても良いが、図8のように半導体パッケージ領域全体を封止するのが、より好ましい。これは、半導体パッケージ領域を行及び列に複数個配列した半導体チップ搭載基板において、基板(半導体チップ搭載基板)と封止樹脂(半導体用封止樹脂116)を同時にダイサー等で切断する場合、特に有効な方法である。
【0140】
また、マザーボードとの電気的な接続を行うために、外部接続端子107(図5参照)には、例えば、はんだボール114を搭載することができる。はんだボール114には、共晶はんだやPbフリーはんだが用いられる。はんだボール114を外部接続端子107に固着する方法としては、Nリフロー装置を用いるのが一般的であるがこれに限定したものではない。
【0141】
半導体パッケージ領域を行及び列に複数個配列した半導体チップ搭載基板においては、最後に、ダイサー等を用いて個々の半導体パッケージに切断する。
図7及び図8に示される半導体パッケージは、実施形態に係る半導体チップ搭載基板と、その半導体チップ搭載基板に搭載された半導体チップ111とを備える。このような半導体パッケージでは、銅配線間にブリッジが発生し難く、銅配線間の絶縁性が向上する。
【実施例】
【0142】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
(工程a)
コア基板100として0.4mm厚のソーダガラス基板(熱膨張係数11ppm/℃)を用意し、片面にスパッタリングにより200nmの銅薄膜を形成した後、電気銅めっきで20μmの厚さまでめっきを行った。なおスパッタリングは、日本真空技術株式会社製装置型番MLH−6315を用いて、以下に示した条件1で行った。その後、第1の配線106aとなる部分にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングしてL/S=30μm/40μmレベルの銅配線を含む、第1の配線106a(第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子を含む)を形成した(図6(a)参照)。
条件1
電流:3.5A
電圧:500V
アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:5nm/秒
【0143】
(工程b)
第1の配線106aが形成されたガラス基板の第1の配線106aと反対面から第1の層間接続端子101に到達するまで、レーザで穴径50μmのIVH穴を形成した。レーザにはYAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用し、周波数4kHz、ショット数50、マスク径0.4mmの条件でIVH穴の形成を行った。
【0144】
得られたIVHの穴に導電性ペーストMP−200V(日立化成工業株式会社製、商品名)を充填して、160℃30分で硬化し、ガラス基板の第1の層間接続端子101と電気的に接続された第1の層間接続用IVH(バイアホール)102を形成した(図6(b)参照)。
【0145】
(工程c)
(工程b)で形成された第1の層間接続用IVH(第1のバイアホール)102と電気的に接続するために、ガラス基板の、第1の配線106aと反対側の面にスパッタリングにより200nmの銅薄膜を形成した後、電気銅めっきで10μmの厚さまでめっきを行った。スパッタリングは、(工程a)と同様に行った。さらに、(工程a)と同様に第2の配線106bの形状にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用い、エッチングして第2の配線106b(第2の層間接続端子103を含む)を形成した(図6(c)参照)。
【0146】
(工程d)
(工程c)で形成した第2の配線106b側の面を、200ml/Lに調整した酸性脱脂液Z−200(ワールドメタル社製、商品名)に、液温50℃で2分間浸漬した後、液温50℃の水に2分間浸漬することにより湯洗し、さらに1分間水洗した。次いで、3.6Nの硫酸水溶液に1分間浸漬し、1分間水洗した。これらの工程を経た後、酢酸によりpH5に調整した水溶液を、γ−アミノプロピルトリエトキシシランA−1100(日本ユニカー株式会社製、商品名)の濃度が0.5重量%となるように調整した溶液に、25℃で1分間浸漬した。さらに水洗することなく、120℃にて3分間乾燥を行った。
【0147】
次に、層間絶縁層(ビルドアップ層)104を次のように形成した。すなわち、シアネ―トエステル系樹脂組成物の絶縁ワニスをスピンコート法により、条件1500rpmで、ガラス基板上に塗布し、厚み20μmの絶縁層を形成した後、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、15μmのビルドアップ層104を形成した(図6(d)参照)。
【0148】
(工程e)
ビルドアップ層104の表面から第2の層間接続用端子103に到達するまで、レーザで穴径50μmのIVH穴を形成した。レーザにはYAGレーザLAVIA−UV2000(住友重機械工業株式会社製、商品名)を使用し、周波数4kHz、ショット数20、マスク径0.4mmの条件でIVH穴の形成を行った(図6(e)参照)。
【0149】
(工程f)
第3の配線106c形成及び第2のバイアホール形成のために、スパッタリングにより、シード層となる下地金属Ni層20nmを形成し、さらに薄膜銅層200nmを形成した。スパッタリングは、日本真空技術株式会社製MLH−6315を用いて以下に示した条件2で行った。
【0150】
条件2
(ニッケル)
電流:5.0A
電流:350V
電圧アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:0.3nm/秒
(銅)
電流:3.5A
電圧:500V
アルゴン流量:35SCCM
圧力:5×10−3Torr(4.9×10−2Pa)
成膜速度:5nm/秒
【0151】
次に、めっきレジストPMER P−LA900PM(東京応化工業株式会社製、商品名)を用いスピンコート法で、シード層上に、膜厚20μmのめっきレジスト層を形成した。1000mJ/cmの条件で露光し、PMER現像液P−7Gを用いて23℃で6分間浸漬揺動し、L/S=10μm/10μmのレジストパターンを形成した。その後、硫酸銅めっき液を用いてパターン銅めっきを約5μm行った。めっきレジストの剥離は、メチルエチルケトンを用いて室温(25℃)で1分間浸漬し除去した。シード層のクイックエッチングには、CPE−700(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)の5倍希釈液を用いて、30℃で30秒間浸漬揺動することにより、これらをエッチング除去し、配線106cを形成した(図6(f)参照)。
【0152】
(工程g)
この後、(工程d)〜(工程f)までを再度繰り返し、ビルドアップ層104及び外部接続端子107を含む最外層の配線をさらに一層形成した(図6(g)参照)。
【0153】
(工程h)
次に、絶縁物110を次のように形成した(図6(h)参照)。すなわち、シアネ―トエステル系樹脂組成物の絶縁ワニスをスピンコート法により、条件2000rpmで、第1の配線106aが形成された面側に塗布し、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、図1(a)に示した断面形状の絶縁物を形成した。次に、以下に示した条件で、異方性エッチング法により銅配線間の絶縁物の一部を除去し、図1(b)に示したように銅配線の一部を露出させた。
装置名:反応性スパッタエッチング装置(ULVAC製 CSE−1110)
パワー:125W
ガスおよび流量:Ar 17.5SCCM,O 50SCCM
処理時間:10min
(工程i)
次に、絶縁被覆(ソルダーレジスト)109を形成した(図6(i)参照)。
【0154】
(工程j)
上記基板を、30g/Lの水酸化カリウム溶液に50℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。次に、脱脂液Z−200(株式会社ワールドメタル製、商品名)に50℃で3分間浸漬し、2分間水洗した。
【0155】
(工程k)
次に、100g/Lの過硫酸アンモニウム溶液に1分間浸漬し、2分間水洗し、100%の硫酸で1分間浸漬し、2分間水洗した。次に、めっき活性化処理液であるSA−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に25℃で5分間、浸漬処理し、2分間水洗した。次に、無電解ニッケルめっき液であるNIPS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に85℃で15分間浸漬処理した。次に、無電解パラジウムめっき液であるAPP(石原薬品株式会社製、商品名)に50℃で20分間浸漬処理した。次に、置換金めっきであるHGS−100(日立化成工業株式会社製、商品名)に85℃で10分間浸漬処理した。次に、無電解金めっき液であるHGS−2000(日立化成工業株式会社製、商品名)に65℃で40分間浸漬処理した。
【0156】
(工程j)〜(工程k)を行うことによって、第1の配線106a(第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子を含む)および外部接続端子107を含む最外層の配線に無電解ニッケルめっき皮膜(膜厚:5μm)、パラジウムめっき皮膜(膜厚:0.2μm)、金めっき皮膜(膜厚:0.4μm)を順次形成して、図5(1パッケージ分の断面図)、図9(1パッケージ分の平面図)、及び図11(半導体チップ搭載基板全体図)に示すようなファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板を作製した。
【0157】
(工程l)
前記(工程a)〜(工程k)により作製された半導体チップ搭載基板の半導体チップ搭載領域17に、ダイボンドフィルムDF−100(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、半導体チップ111(図8参照)を必要な数だけ搭載した。次に、ワイヤボンダUTC230(株式会社新川製、商品名)で、半導体チップ111上の端子と半導体チップ搭載基板の半導体チップ接続端子とを、直径25μmの金ワイヤ115で電気的に接続した。さらに、半導体チップを半導体用封止樹脂116であるCEL9200(日立化成工業株式会社製、商品名)を用いて、圧力10MPa、温度180℃、時間90秒で、図11に示した1ブロック23を一体にトランスファモールドした。次に、温度180℃のオーブンで5時間の熱処理を行い、封止樹脂及びダイボンドフィルムを完全硬化して、外部接続端子107に直径0.45mmの鉛・錫共晶はんだボール114をNリフロー装置で融着した。最後に、幅200μmのブレードを装着したダイサーで封止樹脂と半導体チップ搭載基板を同時に切断し、図8に示した半導体パッケージを作製した。
【0158】
(実施例2)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行った後、実施例1と同様に(工程h)で、シアネ―トエステル系樹脂組成物の絶縁ワニスをスピンコート法により、条件2000rpmで、第1の配線106aが形成された面側に塗布した後、160℃で10分間半硬化を行った。銅スパッタ膜厚0.25μm、ポリイミドフィルム厚12.5μmの銅スパッタポリイミドフィルムエッチャーフレックス(三井化学株式会社製、商品名)の銅側の面を前記半硬化した絶縁物と接触させて重ね合わせ、圧力1.0MPaで、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、図2(a)に示した断面形状の絶縁物を形成した。次に、以下に示した条件で、異方性エッチング法により銅配線間の絶縁物の一部を除去し、図2(b)に示したように銅配線の一部を露出させた。
装置名:反応性スパッタエッチング装置(ULVAC製 CSE−1110)
パワー:125W
ガスおよび流量:Ar 17.5SCCM,O 50SCCM
処理時間:2min
これ以降は、実施例1の(工程i)〜(工程l)と同様の工程を行い、ファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0159】
(実施例3)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行った後、以下の工程を行った。銅スパッタ膜厚0.25μm、ポリイミドフィルム厚12.5μmの銅スパッタポリイミドフィルムエッチャーフレックス(三井化学株式会社製、商品名)の銅側の面にシアネートエステル系樹脂組成物を半硬化した基材を、第1の配線106aが形成された面側と接触するように重ね合わせ、圧力3.0MPaで、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、銅スパッタポリイミドフィルムを剥離し、約25μmの膜厚の図3(a)に示した断面形状の絶縁物を形成した。
【0160】
次に、砥粒が酸化アルミニウムである1000番のバフ(角田ブラシ株式会社製、商品名)で、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値換算押圧10A、ラインスピード8m/分の条件で、研磨した(1回目の機械研磨)。次に、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値換算押圧2A、ラインスピード8m/分の条件で、研磨し(2回目の機械研磨)、銅配線間の絶縁物の一部を除去し、図3(b)に示したように銅配線の一部を露出させた。さらに、CuCl、HClおよびHの混合水溶液(水:90Vol%、CuCl:3Vol%、HCl:5Vol%、H:2Vol%)に25℃で30秒間浸漬し、化学研磨を行った。これ以降は、実施例1の(工程i)〜(工程l)と同様の工程を行い、ファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0161】
(実施例4)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行った後、以下の工程を行った。銅スパッタ膜厚0.25μm、ポリイミドフィルム厚12.5μmの銅スパッタポリイミドフィルムエッチャーフレックス(三井化学株式会社製、商品名)の銅側の面にシアネ―トエステル系樹脂組成物を半硬化した基材を、第1の配線106aが形成された面側と接触するように重ね合わせ、圧力3.0MPaで、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、銅スパッタポリイミドフィルムを剥離し、約25μmの膜厚の図4(a)に示した断面形状の絶縁物を形成した。
【0162】
次に、最終的に図4(b)に示した断面形状となるように、砥粒が酸化アルミニウムである1000番のバフ(角田ブラシ株式会社製、商品名)で、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値換算押圧10A、ラインスピード8m/分の条件で絶縁物を研磨した。次に、過マンガン酸塩による酸化力の大きな酸化剤を含有する溶液による処理を行った。処理には、デスミア処理システム(商品名:サーキュポジット200MLB、シプレイ・ファーイースト株式会社製)を用いて行った。具体的には、膨潤処理としてサーキュポジットMLBコンディショナ211およびサーキュポジットZの混合水溶液(水:70Vol%、コンディショナ211:20Vol%、サーキュポジットZ:10Vol%)により70℃で5分間浸漬処理した。
【0163】
次に除去処理としてサーキュポジットMLBプロモータ213AおよびサーキュポジットMLBプロモータ213Bの混合水溶液(水:75Vol%、プロモータ213A:10Vol%、プロモータ213B:15Vol%)により70℃で10分間浸漬処理した。次に、中和処理としてサーキュポジットMLBニュートラライザ216−4(水:80Vol%、ニュートラライザ216−4:20Vol%)により40℃で5分間浸漬処理し、配線間の絶縁物の一部を除去し、図4(c)に示したように銅配線の一部を露出させた。これ以降は、実施例1の(工程i)〜(工程l)と同様の工程を行い、ファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0164】
(実施例5)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行った後、以下の工程を行った。銅スパッタ膜厚0.25μm、ポリイミドフィルム厚12.5μmの銅スパッタポリイミドフィルムエッチャーフレックス(三井化学株式会社製、商品名)の銅側の面にシアネ―トエステル系樹脂組成物を半硬化した基材を、第1の配線106aが形成された面側と接触するように重ね合わせ、圧力3.0MPaで、常温(25℃)から6℃/minの昇温速度で230℃まで加熱し、230℃で80分間保持することにより熱硬化し、銅スパッタポリイミドフィルムを剥離し、約25μmの膜厚の図4(a)に示した断面形状の絶縁物を形成した。
【0165】
次に、最終的に図4(b)に示した断面形状となるように、砥粒が酸化アルミニウムである1000番のバフ(角田ブラシ株式会社製、商品名)で、バフの回転数1200rpm、バフモーター電流値換算押圧10A、ラインスピード8m/分の条件で絶縁物を研磨した。次に、下に示した条件で、異方性エッチング法により配線間の絶縁物の一部を除去し、図4(c)に示したように銅配線の一部を露出させた。
装置名:反応性スパッタエッチング装置(ULVAC製 CSE−1110)
パワー:125W
ガスおよび流量:Ar 17.5SCCM,O 50SCCM
処理時間:15min
これ以降は、実施例1の(工程i)〜(工程l)と同様の工程を行い、ファン−インタイプBGA用半導体チップ搭載基板及び半導体パッケージを作製した。
【0166】
(比較例1)
実施例1に示した(工程h)以外の同様の工程を行った。
【0167】
(比較例2)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行い、次に(工程i)〜(工程j)を行った。次に、下記組成の処理液に30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した(工程k)〜(工程l)と同様の工程を行った。
チオ硫酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名):50g/L
pH:6
pH調整剤:クエン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0168】
(比較例3)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行い、次に(工程i)〜(工程j)を行った。次に、下記組成の処理液に30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した(工程k)〜(工程l)と同様の工程を行った。
チオ硫酸ナトリウム(関東化学株式会社製、商品名):30g/L
pH:9
pH調整剤:ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0169】
(比較例4)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行い、次に(工程i)〜(工程j)を行った。次に、下記組成の処理液に30℃で3分間浸漬し、50℃で1分間湯洗した後、5分間水洗した。続いて、実施例1に示した(工程k)〜(工程l)と同様の工程を行った。
チオ硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製、商品名):30g/L
pH:9
pH調整剤:ピロリン酸カリウム(関東化学株式会社製、商品名)
【0170】
(比較例5)
実施例1に示した(工程a)〜(工程g)を行った。第1の配線106a(第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子を含む)の面側にOプラズマエッチング処理を行い、流水中で5分間洗浄した。この処理を行った後、実施例1に示した(工程i)〜(工程l)を行った。
装置:Oプラズマアッシャー(日電アネルバ製 DEM−451M)
パワー:300W
ガスおよび流量:O 50SCCM
ガス圧:10Pa
自己バイアス:−700V
処理時間:15min
無電解めっき後の析出性および絶縁信頼性試験結果を表1に示した。
【0171】
(無電解めっき析出性)
第1の配線106a(第1の層間接続端子101及び半導体チップ接続端子を含む)および外部接続端子107を含む最外層の配線に無電解ニッケルめっき皮膜(膜厚:5μm)、パラジウムめっき皮膜(膜厚:0.2μm)、金めっき皮膜(膜厚:0.4μm)を順次形成した後の、無電解めっきの析出性を評価した(図5参照)。第1の配線106aの一部の半導体チップ接続端子16を上面から観察し、表1にブリッジの発生の無いものを○(図13参照)、半導体チップ接続端子16からの無電解めっきはみ出し27や、絶縁樹脂26上への無電解めっき異常析出28等のブリッジの発生の有るものを×(図14参照)として評価した。
【0172】
(絶縁信頼性試験)
実施例1〜5および比較例1〜5に記載した処理を施した半導体チップ搭載基板を用いて、絶縁信頼性試験を85℃、85%、DC20Vの条件下で1000時間試験した。また、絶縁抵抗は、アドバンテスト製R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを用いDC20Vを印加して測定した。表1に絶縁抵抗が1.0×10−7Ω以上のものを○、1.0×10−7Ω未満のものを×として評価した。
【0173】
【表1】

【0174】
表1から明らかなように、実施例1から5に係る半導体チップ搭載基板では、無電解めっきのブリッジの発生が無く、絶縁信頼性も極めて良好であった。それに対し、比較例1から5に示しされる比較例のものは、ブリッジが発生し、絶縁信頼性が不十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の一実施形態が適用される絶縁物および無電解めっき皮膜を被覆した銅配線の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態が適用される絶縁物および無電解めっき皮膜を被覆した銅配線の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用される絶縁物および無電解めっき皮膜を被覆した銅配線の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態が適用される絶縁物および無電解めっき皮膜を被覆した銅配線の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板の断面図である。
【図6】本発明の半導体チップ搭載基板の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図7】本発明の一実施形態が適用されるフリップチップタイプ半導体パッケージの断面図である。
【図8】本発明の一実施形態が適用されるワイヤボンドタイプ半導体パッケージの断面図である。
【図9】本発明の一実施形態が適用されるファン−インタイプ半導体チップ搭載基板の平面図である。
【図10】本発明の一実施形態が適用されるファン−アウトタイプ半導体チップ搭載基板の平面図である。
【図11】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板のフレーム形状を表す平面図である。
【図12】本発明の一実施形態が適用される半導体チップ搭載基板の断面図である。
【図13】無電解めっき後にブリッジの発生の無い、第1の配線106aの一部である半導体チップ接続端子の平面図である。
【図14】無電解めっき後にブリッジの発生の有る、第1の配線の一部である半導体チップ接続端子の平面図である。
【符号の説明】
【0176】
1 銅配線
2 コア基板
3 絶縁物
4 ニッケルめっき皮膜
5 パラジウムめっき皮膜
6 金めっき皮膜
11 位置決めマーク(位置合わせ用ガイド穴)
13 半導体パッケージ領域
14 ダイボンドフィルム接着領域(フリップチップタイプ)
15 半導体チップ搭載領域(フリップチップタイプ)
16 半導体チップ接続端子
17 ダイボンドフィルム接着領域(ワイヤボンドタイプ)
18 半導体チップ搭載領域(ワイヤボンドタイプ)
19 外部接続端子
20 展開配線
21 ダミーパターン
22 半導体チップ搭載基板
23 ブロック
24 補強パターン
25 切断位置合わせマーク
26 絶縁樹脂
27 無電解めっきはみ出し
28 無電解めっき異常析出
100 コア基板
101 第1の層間接続端子
102 第1の層間接続用IVH(バイアホール)
103 第2の層間接続端子
104 ビルドアップ層(層間絶縁層)
105 第3の層間接続用IVH(バイアホール)
106a 第1の配線
106b 第2の配線
106c 第3の配線
107 外部接続端子
108 第2の層間接続用IVH(バイアホール)
109 絶縁被覆(ソルダレジスト)
110 絶縁物
111 半導体チップ
112 接続バンプ
113 アンダーフィル材
114 はんだボール
115 金ワイヤ
116 半導体用封止樹脂
117 ダイボンドフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の銅配線間に絶縁物を形成する工程と、
前記絶縁物を形成した後、前記複数の銅配線上に、ニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成するか又はニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜を順に形成する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁物を形成する工程は、
前記複数の銅配線を覆う絶縁物を形成するステップと、
前記複数の銅配線の一部が露出するように前記絶縁物の一部を除去するステップと、
を含む、請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁物の一部を除去する際には、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス及び機械研磨によるプロセスのうち少なくとも1つを用いる、請求項2に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記ドライエッチングプロセスでは、異方性エッチングを行う、請求項3に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記ウェットエッチングプロセスでは、クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、及び硝酸のうち少なくとも1種類以上を含む溶液を用いる、請求項3に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記機械研磨によるプロセスでは、バフロール、サンドペーパー及びサンドブラストのうち少なくとも1つを用いる、請求項3に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁物が、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリント配線基板の製造方法によって製造されたプリント配線基板の一方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子であり、
前記プリント配線基板の他方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、外部接続端子である、半導体チップ搭載基板の製造方法。
【請求項9】
複数の銅配線と、
前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜及び金めっき皮膜、又は前記複数の銅配線上に順に設けられたニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜及び金めっき皮膜と、
前記複数の銅配線間に配置された絶縁物と、
を備える、プリント配線基板。
【請求項10】
前記絶縁物が、熱硬化性の有機絶縁材料を主成分とする、請求項9に記載のプリント配線基板。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のプリント配線基板を備え、
前記プリント配線基板の一方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、半導体チップに接続するための半導体チップ接続端子であり、
前記プリント配線基板の他方の面上に設けられた前記複数の銅配線が、外部接続端子である、半導体チップ搭載基板。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体チップ搭載基板と、
前記半導体チップ搭載基板に搭載された前記半導体チップと、
を備える、半導体パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−344920(P2006−344920A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228147(P2005−228147)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】