プリント配線基板、半導体装置、プリント配線基板の製造方法及び半導体装置の製造方法
【課題】1次接合時にかける荷重によって発生するバンプの沈み込みを防止することが可能な、キャリアを有した可撓性のあるプリント配線基板、該プリント配線基板の製造方法、該プリント配線基板を用いて製造された半導体装置、及び該半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線基板1は、配線パターン11の表面には、半導体チップと電気的に接続する電子デバイス接続電極として、スズ−銀合金からなるフリップチップ接合するためのバンプ10が形成されている。配線パターン11のバンプ10が形成されている面とは反対面に接する面の所望の位置には、厚さ約50μmの凹み防止部13が形成されている。所望の位置とは、バンプ10に対応する位置を少なくとも含む領域である。
【解決手段】プリント配線基板1は、配線パターン11の表面には、半導体チップと電気的に接続する電子デバイス接続電極として、スズ−銀合金からなるフリップチップ接合するためのバンプ10が形成されている。配線パターン11のバンプ10が形成されている面とは反対面に接する面の所望の位置には、厚さ約50μmの凹み防止部13が形成されている。所望の位置とは、バンプ10に対応する位置を少なくとも含む領域である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、半導体装置、プリント配線基板の製造方法及び半導体装置の製造方法に関するものである。特に、キャリアを有した可撓性のあるプリント配線基板、該プリント配線基板の製造方法、該プリント配線基板を用いて製造された半導体装置、及び該半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルカメラ、液晶ディスプレイに代表される電子機器においては、小型化、薄肉化、高機能化の要請から、これら電子機器に搭載される半導体チップ等の電子デバイスを実装する基板として可撓性を有するフレキシブルプリント配線基板が用いられている。
【0003】
従来、フレキシブルプリント配線基板としては、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー、アラミド、ガラスエポキシ、ポリエステル等の絶縁フィルムの両面に銅箔層が積層されたものを基材として用いて製造されたプリント配線基板が知られている。このプリント配線基板は、絶縁フィルムの両面の銅箔層間を電気的に導通するために一方の銅箔層から他方の銅箔層に貫通する孔を形成するとともに、この孔の側面に銅めっきを施し、両銅箔層にエッチング処理を行うことにより所望の導体パターンを形成している(特許文献1参照)。
【0004】
また、微細な線幅や線間ピッチの配線から成る配線パターン(導体パターン)、いわゆるファインパターンを実現するためには、厚さ9μm以下の銅箔が要望されるが、このような薄い銅箔は機械的強度が弱く、銅箔切れを起こすこともあるため、キャリアとしての金属箔の片面に剥離層を介して極薄銅箔層を直接電着させたキャリア付き極薄銅箔を使用して形成したプリント配線基板が知られている。このプリント配線基板は、ガラスエポキシ基材にキャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔層の表面を重ね合わせて熱圧着し、剥離層を介してキャリア箔を剥離・除去して極薄銅箔層の剥離層との接合側を露出させた後に、スルーホールの穿設及びスルーホールめっきが順次行われ、次いで、極薄銅箔層にエッチング処理を行って所望の線幅と所望の線間ピッチを備えた導体パターンを形成している(特許文献2参照)。
【0005】
また、上記特許文献のように、フィルム基材としてポリイミド、液晶ポリマー、アラミド、ガラスエポキシ、ポリエステル等を用いたプリント配線基板を電子デバイス(半導体チップ)に実装(1次接合)した半導体装置とマザーボードとの半田接合部(2次接合部)にクラックが発生することがあった。そこで、2次接合部の信頼性を高めるために、ヤング率の小さい(軟らかい)エポキシ等を絶縁層として使用したプリント配線基板も考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−134956号公報
【特許文献2】特開2004−169181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ヤング率の小さい(軟らかい)絶縁層を使用したプリント配線基板に半導体チップを実装するとき、半導体チップのスタッド(基板接続電極)とプリント配線基板のバンプ(電子デバイス接続電極)との接合部(1次接合部)において、プリント配線基板の絶縁層が軟らかいために、プリント配線基板のバンプが凹むように変形して該絶縁層に沈み込んで、バンプが沈み込んだ位置のプリント配線基板の絶縁層が薄くなってしまったり、半導体チップとプリント配線基板との間を封止した封止用絶縁層が薄くなってしまったりしていた。そのため、絶縁信頼性が得られる絶縁層の厚み及び封止用絶縁層の厚みを確保することができないという問題があった。特に、スタッドが金の場合、スタッドの高さを均一にするため、1次接合時に荷重をかけてスタッドを変形させるため、上記問題が顕著に発生していた。
【0008】
そこで、本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプの沈み込みを防止することが可能な、キャリアを有した可撓性のあるプリント配線基板、該プリント配線基板の製造方法、該プリント配線基板を用いて製造された半導体装置、及び該半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板は、電気回路を構成する配線パターンと、前記配線パターンの表面の所定位置に形成された、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極と、前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上の前記電子デバイス接続電極に対応する位置を少なくとも含むように設けられた凹み防止部と、前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上であって、当該面上の前記凹み防止部の無い位置に形成された絶縁層と、前記絶縁層の表面の所定位置に形成された、外部電極と接続するための外部接続電極と、前記絶縁層の所定位置に厚み方向に貫通する孔と前記孔の側面及び底面に設けられた導電性の層とを有し、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアと、を備え、前記凹み防止部は、前記絶縁層よりもヤング率が大きいことを特徴とする。
尚、ビアの導電性の層が設けられている孔の底面とは、孔の開口端を外周とする該孔を塞ぐ平面のことである。
【0010】
本発明の第2の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板において、前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1または2の態様にかかるプリント配線基板において、前記絶縁層が、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至3のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記凹み防止部が、ポリイミドまたは金属であることを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至4のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記凹み防止部は、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記プリント配線基板の前記外部接続電極側の表面に、導電性を有した金属からなるキャリア層が更に設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第7の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板において、前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板において、前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様にかかる半導体装置は、プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とが接合して形成された半導体装置であって、前記プリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板であることを特徴とする半導体装置。
【0018】
本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、(a1)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、凹み防止部を形成する工程と、(b1)前記キャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、(c1)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、前記凹み防止部よりもヤング率の小さい絶縁層を形成する工程と、(d1)前記工程(c1)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、かつ、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、(e1)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d1)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記凹み防止部が、ポリイミドであることを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、(a2)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、(b2)前記キャリア層の表面の前記外部接続電極のない位置及び前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、(c2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記絶縁層の前記外部接続電極側の表面における所定位置が底面となる、凹み防止部を形成するための凹み防止部形成用孔を形成する工程と、(d2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、(e2)前記絶縁層の表面、前記工程(c2)によって形成された前記凹み防止部形成用孔の側面、前記凹み防止部形成用孔の底面、前記工程(d2)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と当該配線パターンとを電気的に接続するビアを形成し、同時に、表面が前記配線パターンの一部となり、かつ、前記金属下地層及び前記金属層によって前記凹み防止部形成用孔が埋められた前記凹み防止部を形成する工程と、(f)前記凹み防止部の表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、(a3)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、(b3)前記キャリア層の表面の所定位置に、金属ナノペーストから金属ナノ粒子を焼結させてなる凹み防止部を形成する工程と、(c3)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、(d3)前記工程(c3)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、(e3)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d3)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第5の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至4のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする。
【0023】
本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記絶縁層が、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする。
【0024】
本発明の第7の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至6のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする。
【0025】
本発明の第8の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至6のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする。
【0026】
本発明の第9の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至8のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、(g)前記キャリア層を除去する工程を、前記工程(f)の後に更に備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明の第1の態様にかかる半導体装置の製造方法は、プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、(h1)前記電子デバイスと、上記の本発明の第1乃至8のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程と、(i)前記キャリア層を除去する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の態様にかかる半導体装置の製造方法は、プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、(h2)前記電子デバイスと、上記の本発明の第9の態様にかかるプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプの沈み込みを凹み防止部によって防止し、絶縁信頼性が得られる絶縁層の厚み及び封止用絶縁層の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層の厚み及び封止用絶縁層の厚みを確保しながらスタッドとバンプとを接合させるために、スタッド、バンプ、絶縁層、封止用絶縁層等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板に半導体チップを実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の変形例を模式的に示した断面図である。
【図3】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法を示す図である。
【図4】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法を示す図3の続きの図である。
【図5】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法を示す図4の続きの図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を模式的に示した断面図であり、(b)はその変形例を模式的に示した断面図である。
【図7】図6の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法を示す図である。
【図8】図6の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法を示す図7の続きの図である。
【図9】図6の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法を示す図8の続きの図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を模式的に示した断面図であり、(b)はその変形例を模式的に示した断面図である。
【図11】図10の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法を示す図である。
【図12】図10の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法を示す図11の続きの図である。
【図13】図10の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法を示す図12の続きの図である。
【図14】図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置30を模式的に示した断面図である。
【図15】図14に示した本発明の実施形態に係る半導体装置30の製造方法を示す図である。
【図16】図6に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置130を模式的に示した断面図である。
【図17】図16に示した本発明の実施形態に係る半導体装置130の製造方法を示す図である。
【図18】図10に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置230を模式的に示した断面図である。
【図19】図18に示した本発明の実施形態に係る半導体装置230の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリント配線基板の一例を模式的に示した断面図である。
【0032】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るプリント配線基板1は、配線パターン11の表面に、半導体チップ31と電気的に接続する電子デバイス接続電極として、スズ−銀合金からなる、フリップチップ接合するためのバンプ10が形成されている。また、配線パターン11のバンプ10が形成されている面とは反対の面上であって、バンプ10に対応する位置を少なくとも含む位置に、厚さ約50μmの凹み防止部13が形成されている。
【0033】
凹み防止部13は、ポリイミドからなるドライフィルムを用いて形成されているが、これに限定されず、凹み防止部13のヤング率が後述の絶縁層7のヤング率よりも大きくなるものであればよい。また、凹み防止部13の厚さも、約50μmに限定されるものではない。また、凹み防止部13は、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることが好ましい。150℃でのヤング率が0.2GPa以下である凹み防止部によって、半導体チップ31(図14参照)とプリント配線基板1との接続部(1次接合部)における接合寿命と接続信頼性を向上させることができる。
【0034】
配線パターン11のバンプ10が形成されている面とは反対の面の凹み防止部13が形成されていない位置には、厚さ約50μmの絶縁層7が形成されている。この絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドを使用することが好ましい。これは、半導体チップ31(図14参照)をプリント配線基板1に実装した半導体装置30(図14参照)とマザーボード(図示せず)とを接合(2次接合)するとき、半導体チップ31とマザーボードとの線膨張係数の差による熱歪みが起因となって発生する応力(2次接合部の近傍にかかる応力)を、軟らかい絶縁層7によって吸収して緩和するためである。また、絶縁層7の厚さは約50μmに限定されず、絶縁層7の誘電率との関係で、絶縁信頼性を確保できる厚さであれば良い。
【0035】
絶縁層7の表面の所定位置に、外部接続電極6が形成されている。外部接続電極6としては、金属で形成されていれば良い。尚、図1では、絶縁層7の側面と凹み防止部13の側面との間、及び、外部接続電極6の側面と凹み防止部13の側面との間にレジスト14が形成されている場合を例に示している。
【0036】
絶縁層7の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通するように形成されたビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面及び絶縁層7の表面に、金属下地層9を介して金属層8が形成されている。金属層8は、絶縁層7の表面及び凹み防止部13の表面に所望の配線パターン11を形成するとともに、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12を形成する。金属下地層9は、ニッケルクロム合金からなり、約0.003μm以上0.01μm以下の厚さを有しており、金属層8は、銅からなり、約8μmの厚さを有している。なお、金属層8は、約8μmに限定されず適宜設計可能である。また、ビア12の直径は約60μmである。尚、ビア12の直径は約60μmに限定されず、外部接続電極6である電極パッドの直径よりもより小さい方が好ましい。
【0037】
次に、図1に示したプリント配線基板1の変形例について説明する。図2は、図1の本発明の第1の実施形態に係るプリント配線基板1の変形例を模式的に示した断面図である。図1に示したプリント配線基板1と図2に示すプリント配線基板1aとの相違点は、プリント配線基板1aの外部接続電極6側の表面に、即ち、外部接続電極6の絶縁層7とは反対の表面、凹み防止部13の配線パターン11とは反対の表面及びレジスト14の絶縁層7とは反対の表面に、導電性を有した金属からなるキャリア層5を、更に有している点である。
【0038】
図2においては、キャリア層として、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を例に挙げている。また、金属箔に剥離層を介して金属極薄箔が接着されたピーラブル金属箔を用いて、金属箔をキャリア層として使用し、外部接続電極6が形成される位置以外のピーラブル金属箔の金属極薄箔を除去することによって、金属極薄箔からなる外部接続電極6を形成するようにしても良い。金属箔としては、42アロイ箔、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、チタン合金箔、銅合金箔等が使用可能である。また、金属極薄箔としては、極薄銅箔、極薄ニッケル箔等が使用可能である。
【0039】
また、キャリア層として、シリコン等から形成される半導体チップ(電子デバイス)31(図14参照)をプリント配線基板1aに実装(1次接合)するときに、シリコンと金属箔との線膨張係数の差による熱歪みを防止するために、シリコンと線膨張係数の近い42アロイを、キャリア層5に用いることが好ましい。
【0040】
次に、本発明の実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について説明する。
図1に示した本実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法の一例について、図3乃至図5を参照して説明する。尚、本実施形態に係るプリント配線基板1は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、配線パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により製造される場合を例に挙げて説明する。また、図3乃至図5は、後述のステップ1乃至ステップ12の工程により、プリント配線基板1aが製造される。
【0041】
まず、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を用意し、ピーラブル銅箔5の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔5を送り出し搬送するローラに係止するための穴15をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ1:S1)。
【0042】
次に、ピーラブル銅箔5の表面に厚さ50μmのポリイミドからなるフォトドライフィルムをラミネートし、凹み防止部13に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、凹み防止部13が形成される位置以外のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ2:S2)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、凹み防止部13が形成される。尚、上記ステップ2の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(a1)を構成する。また、凹み防止部13は、後のステップ11の工程によって形成されるバンプ10に対応する位置を含むように設けられている。尚、凹み防止部13としては、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることが好ましい。
【0043】
次に、ピーラブル銅箔5の表面、並びに、凹み防止部13の表面及び側面に厚さ25μmのフォトドライフィルムをラミネートする(ステップ3:S3)。そして、外部接続電極6に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、外部接続電極6が形成される位置25のフォトドライフィルム及び凹み防止部13の表面のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ4:S4)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、レジスト14が形成される。
【0044】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面(銅箔2側の面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム16をラミネートし、その後、電気めっきにより、金およびニッケルをめっきする(ステップ5:S5)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、外部接続電極6が形成される。尚、このステップ5の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(b1)を構成する。
【0045】
次に、ピーラブル銅箔5の裏面から保護用ドライフィルム16を剥離し、外部接続電極6及びレジスト14の表面に厚さ50μmの軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートし、加熱キュアの処理を行って、シート状の絶縁性樹脂を硬化させる(ステップ6:S6)。これにより、外部接続電極6の表面、及び、レジスト14を介した凹み防止部13が形成されていない極薄銅箔4の表面に、絶縁層7が形成される。尚、このステップ6の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(c1)を構成する。尚、絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドからなるシート状の絶縁性樹脂を使用することが好ましい。
【0046】
次に、ビア形成用孔12aの形成を行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面に保護用ドライフィルム17をラミネートし、外部接続電極6の所定表面領域6aが底面となるように、UVレーザを用いて、絶縁層7の外部接続電極6側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する直径約60μmのビア形成用孔12aを絶縁層7に形成し、ビア形成用孔12aの形成によって発生したスミアを除去する(ステップ7:S7)。尚、上記ステップ7の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(d1)を構成する。
【0047】
次に、ビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面、凹み防止部13の表面及び絶縁層7の表面に、ニッケルクロム合金および銅をスパッタリングして、金属下地層9を形成する(ステップ8:S8)。その後、金属下地層9の表面に、ドライフィルム18をラミネートし、ビア12及び所望の配線パターン11に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム18を露光、現像する(ステップ9:S9)。なお、金属下地層9はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0048】
次に、電気めっきにより、金属層8となる銅をめっきし、金属下地層9の表面に形成されたドライフィルム18を除去し、さらに、ドライフィルム18が除去された位置において凹み防止部13の表面に形成されている金属下地層9を除去する(ステップ10:S10)。これにより、絶縁層7の表面及び凹み防止部13の表面に所望の配線パターン11が形成され、更に、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12が形成される。尚、上記ステップ8からステップ10までの工程は、特許請求の範囲に記載の工程(e1)を構成する。
【0049】
次に、金属層8および凹み防止部13の表面、並びに、絶縁層7(ステップ10の終了時に絶縁層7が表面に露出している部分であって、図5においては表示されていない)の表面にドライフィルム19をラミネートし、バンプ10を形成する位置に対応するパターンのマスクをして、このドライフィルム19を露光、現像するとともに、ステップ7でピーラブル銅箔5の裏面にラミネートした保護用ドライフィルム17を露光、現像し、ドライフィルム19が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ11:S11)。これにより、バンプ10が形成される。尚、ステップ11の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(f)を構成する。
【0050】
次に、ドライフィルム19および保護用ドライフィルム17を剥離し除去する(ステップ12:S12)。これにより、図2に示したプリント配線基板1aが形成される。
最後に、キャリア層5を、外部接続電極6、レジスト14及び凹み防止部13から銅箔2を剥離層とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することにより、ピーラブル銅箔5を除去する(ステップ13:S13)。これにより、図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1が形成される。尚、ステップ13の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(g)を構成する。
【0051】
尚、本実施形態においては、外部接続電極6はピーラブル銅箔5の表面に形成されているが、ピーラブル金属箔の所定箇所の極薄金属箔を除去して、即ち、ピーラブル金属箔の所望の位置の極薄金属箔を残すことにより、極薄金属箔からなる外部接続電極6を形成しても良い。
【0052】
以上より、本実施形態に係るプリント配線基板1によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプ10の絶縁層7への沈み込みを、凹み防止部13によって防止することができる。これにより、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33(図14参照)の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33の厚みを確保しながらスタッド32(図14参照)とバンプ10とを接合させるために、スタッド32、バンプ10、絶縁層7、封止用絶縁層33等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部13によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板1に半導体チップ31を実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【0053】
次に、本発明の実施形態に係るプリント配線基板1とは別のプリント配線基板の一例について、図6乃至図13を参照して説明する。
【0054】
まず、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100及びその製造方法を説明する。図6(a)は、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を模式的に示した断面図であり、図6(b)は、プリント配線基板100の変形例であるプリント配線基板100aを模式的に示した断面図である。
【0055】
図6(a)に示すように、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100と、図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1との相違点は、プリント配線基板1の凹み防止部13がポリイミドからなるドライフィルムを用いて形成されているのに対して、プリント配線基板100の凹み防止部113は、絶縁層7を貫通するように形成された凹み防止部形成用孔113aの側面に金属下地層9を介して金属層8が形成され、この金属下地層9及び金属層8が凹み防止部形成用孔113aを埋め尽くすことにより形成される点である。尚、凹み防止部113は、バンプ10に対応する位置に形成される。また、レジスト14は、絶縁層7と極薄銅箔4との間に形成されている。また、図2に示したプリント配線基板1aと図6(b)に示すプリント配線基板100aとの相違点も、上述した図1に示したプリント配線基板1と図6(a)に示すプリント配線基板100との相違点と同様である。
【0056】
次に、図6(a)に示した本実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法の一例について、図7乃至図9を参照して説明する。尚、本実施形態に係るプリント配線基板100は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、配線パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により製造される場合を例に挙げて説明する。また、図7乃至図9は、後述のステップ101乃至ステップ110の工程により、プリント配線基板100aが製造される。
【0057】
まず、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を用意し、ピーラブル銅箔5の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔5を送り出し搬送するローラに係止するための穴15をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ101:S101)。
【0058】
次に、ピーラブル銅箔5の表面に厚さ25μmのフォトドライフィルムをラミネートし、外部接続電極6に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、外部接続電極6が形成される位置のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ102:S102)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、レジスト14が形成される。
【0059】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面(銅箔2側の面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム16をラミネートし、その後、電気めっきにより、金およびニッケルをめっきする(ステップ103:S103)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、外部接続電極6が形成される。尚、このステップ102及び103の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(a2)を構成する。
【0060】
次に、ピーラブル銅箔5の裏面から保護用ドライフィルム16を剥離し、外部接続電極6及びレジスト14の表面に厚さ50μmの軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートし、加熱キュアの処理を行って、シート状の絶縁性樹脂を硬化させる(ステップ104:S104)。これにより、外部接続電極6の表面、及び、レジスト14を介した外部接続電極6が形成されていない極薄銅箔4の表面に、絶縁層7が形成される。尚、このステップ104の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(b2)を構成する。尚、絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドからなるシート状の絶縁性樹脂を使用することが好ましい。
【0061】
次に、凹み防止部形成用孔113a及びビア形成用孔12aの形成を行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面に保護用ドライフィルム17をラミネートし、UVレーザを用いて、レジスト14の所定表面領域14aが底面となるように、絶縁層7のレジスト14側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する凹み防止部形成用孔113aを絶縁層7に形成するとともに、外部接続電極6の所定表面領域6aが底面となるように、絶縁層7の外部接続電極6側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する直径約60μmのビア形成用孔12aを絶縁層7に形成し、凹み防止部形成用孔113a及びビア形成用孔12aの形成によって発生したスミアを除去する(ステップ105:S105)。尚、このステップ105の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(c2)及び工程(d2)を構成する。また、凹み防止部形成用孔113aの開口部は、後述のステップ109の工程によって形成されるバンプ10に対応する位置を少なくとも含む部分表面領域である。
【0062】
次に、凹み防止部形成用孔113aの側面、凹み防止部形成用孔113aの底面、ビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面、及び絶縁層7の表面に、ニッケルクロム合金および銅をスパッタリングして、金属下地層9を形成する(ステップ106:S106)。その後、金属下地層9の表面に、ドライフィルム18をラミネートし、凹み防止部113、ビア12及び所望の配線パターン11に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム18を露光、現像する(ステップ107:S107)。なお、金属下地層9はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0063】
次に、電気めっきにより、金属層8となる銅をめっきし、金属下地層9の表面に形成されたドライフィルム18を除去し、さらに、ドライフィルム18が除去された位置において絶縁層7の表面に形成されている金属下地層9を除去する(ステップ108:S108)。これにより、絶縁層7の表面及び凹み防止部113の表面に所望の配線パターン11が形成されるとともに、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12が形成される。同時に、表面が配線パターン11の一部となり、かつ、金属下地層9及び金属層8からなる凹み防止部113も形成される。尚、上記ステップ106からステップ108までの工程は、特許請求の範囲に記載の工程(e2)を構成する。
【0064】
次に、金属層8および凹み防止部113の表面にドライフィルム19をラミネートし、バンプ10を形成する位置に対応するパターンのマスクをして、このドライフィルム19を露光、現像するとともに、ステップ105でピーラブル銅箔5の裏面にラミネートした保護用ドライフィルム17を露光、現像し、ドライフィルム19が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ109:S109)。これにより、バンプ10が形成される。尚、ステップ109の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(f)を構成する。
【0065】
次に、ドライフィルム19および保護用ドライフィルム17を剥離し除去する(ステップ110:S110)。これにより、図6(b)に示したプリント配線基板100aが形成される。
最後に、キャリア層5を、外部接続電極6及びレジスト14から銅箔2を剥離層とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することにより、ピーラブル銅箔5を除去する(ステップ111:S111)。これにより、図6(a)に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板100が形成される。尚、ステップ111の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(g)を構成する。
【0066】
尚、本実施形態においては、外部接続電極6はピーラブル銅箔5の表面に形成されているが、ピーラブル銅箔5の所定箇所の極薄銅箔4を除去して、即ち、ピーラブル銅箔5の所望の位置の極薄銅箔4を残すことにより、極薄銅箔4からなる外部接続電極6を形成しても良い。
【0067】
以上より、本実施形態に係るプリント配線基板100によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプ10の絶縁層7への沈み込みを、凹み防止部113によって防止することができる。これにより、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33(図16参照)の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33の厚みを確保しながらスタッド32(図16参照)とバンプ10とを接合させるために、スタッド32、バンプ10、絶縁層7、封止用絶縁層33等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部113によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板100に半導体チップ31を実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【0068】
次に、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200及びその製造方法を説明する。図10(a)は、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を模式的に示した断面図であり、図10(b)は、図10(a)の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の変形例であるプリント配線基板200aを模式的に示した断面図である。
【0069】
図10(a)に示すように、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200と、図1に示した上本発明の実施形態に係るプリント配線基板1との相違点は、プリント配線基板1の凹み防止部13がポリイミドからなるドライフィルムを用いて形成されているのに対して、プリント配線基板200の凹み防止部213は、金属ナノペースト(銅ナノペースト)から金属ナノ粒子(銅ナノ粒子)を焼結させて形成されている点である。尚、凹み防止部213は、バンプ10に対応する位置に形成される。また、レジスト14は、絶縁層7と極薄銅箔4との間に形成されている。また、図2に示したプリント配線基板1aと図10(b)に示すプリント配線基板200aとの相違点も、上述した図1に示したプリント配線基板1と図10(a)に示すプリント配線基板200との相違点と同様である。
【0070】
次に、図10(a)に示した本実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法の一例について、図11乃至図13を参照して説明する。尚、本実施形態に係るプリント配線基板200は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、配線パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により製造される場合を例に挙げて説明する。また、図11乃至図13は、後述のステップ201乃至ステップ211の工程により、プリント配線基板200aが製造される。
【0071】
まず、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を用意し、ピーラブル銅箔5の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔5を送り出し搬送するローラに係止するための穴15をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ201:S201)。
【0072】
次に、ピーラブル銅箔5の表面に厚さ25μmのフォトドライフィルムをラミネートし、外部接続電極6に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、外部接続電極6が形成される位置のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ202:S202)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、レジスト14が形成される。
【0073】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面(銅箔2側の面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム16をラミネートし、その後、電気めっきにより、金およびニッケルをめっきする(ステップ203:S203)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、外部接続電極6が形成される。尚、このステップ202及び203の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(a3)を構成する。
【0074】
次に、上記ステップ203までに形成された基板を、150〜200℃程度に加熱させた状態にして、レジスト14の所定の位置に、銅ナノペーストを、例えば、ジェット式のディスペンサで吹き付け、溶媒を蒸発させるとともに、銅ナノ粒子を焼結させる作業を繰り返し行うことで、所望の高さ(厚さ)の凹み防止部213を形成する(ステップ204:S204)。尚、このステップ204の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(b3)を構成する。また、レジスト14の所定の位置は、後のステップ210の工程によって形成されるバンプ10に対応する位置である。また、所望の高さ(厚さ)とは、後のステップ205の工程によって形成される絶縁層7の厚さと略同じである。
【0075】
次に、ピーラブル銅箔5の裏面から保護用ドライフィルム16を剥離し、外部接続電極6及びレジスト14の表面に厚さ50μmの軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートし、加熱キュアの処理を行って、シート状の絶縁性樹脂を硬化させる(ステップ205:S205)。これにより、外部接続電極6の表面、及び、レジスト14を介した外部接続電極6が形成されていない極薄銅箔4の表面に、絶縁層7が形成される。尚、このステップ205の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(c3)を構成する。尚、絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドからなるシート状の絶縁性樹脂を使用することが好ましい。
【0076】
次に、ビア形成用孔12aの形成を行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面に保護用ドライフィルム17をラミネートし、外部接続電極6の所定表面領域6aが底面となるように、UVレーザを用いて、絶縁層7の外部接続電極6側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する直径約60μmのビア形成用孔12aを絶縁層7に形成し、ビア形成用孔12aの形成によって発生したスミアを除去する(ステップ206:S206)。尚、上記ステップ206の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(d3)を構成する。
【0077】
次に、ビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面、凹み防止部213の表面、及び絶縁層7の表面に、ニッケルクロム合金および銅をスパッタリングして、金属下地層9を形成する(ステップ207:S207)。その後、金属下地層9の表面に、ドライフィルム18をラミネートし、ビア12及び所望の配線パターン11に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム18を露光、現像する(ステップ208:S208)。なお、金属下地層9はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0078】
次に、電気めっきにより、金属層8となる銅をめっきし、金属下地層9の表面に形成されたドライフィルム18を除去し、さらに、ドライフィルム18が除去された位置において絶縁層7の表面に形成されている金属下地層9を除去する(ステップ209:S209)。これにより、絶縁層7の表面及び凹み防止部213の表面に所望の配線パターン11が形成され、更に、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12が形成される。尚、上記ステップ207からステップ209までの工程は、特許請求の範囲に記載の工程(e3)を構成する。
【0079】
次に、金属層8および絶縁層7の表面にドライフィルム19をラミネートし、バンプ10を形成する位置に対応するパターンのマスクをして、このドライフィルム19を露光、現像するとともに、ステップ206でピーラブル銅箔5の裏面にラミネートした保護用ドライフィルム17を露光、現像し、ドライフィルム19が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ210:S210)。これにより、バンプ10が形成される。尚、ステップ210の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(f)を構成する。
【0080】
次に、ドライフィルム19および保護用ドライフィルム17を剥離し除去する(ステップ211:S211)。これにより、図10(b)に示したプリント配線基板200aが形成される。
最後に、キャリア層5を、外部接続電極6及びレジスト14から銅箔2を剥離層とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することにより、ピーラブル銅箔5を除去する(ステップ212:S212)。これにより、図10(a)に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板200が形成される。尚、ステップ212の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(g)を構成する。
【0081】
尚、本実施形態においては、外部接続電極6はピーラブル銅箔5の表面に形成されているが、ピーラブル銅箔5の所定箇所の極薄銅箔4を除去して、即ち、ピーラブル銅箔5の所望の位置の極薄銅箔4を残すことにより、極薄銅箔4からなる外部接続電極6を形成しても良い。
【0082】
以上より、本実施形態に係るプリント配線基板200によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプ10の絶縁層7への沈み込みを、凹み防止部213によって防止することができる。これにより、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33(図18参照)の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33の厚みを確保しながらスタッド32(図18参照)とバンプ10とを接合させるために、スタッド32、バンプ10、絶縁層7、封止用絶縁層33等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部213によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板200に半導体チップ31を実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【0083】
次に、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法についての一例を説明する。本発明の実施形態に係る半導体装置は、上記の本発明の実施形態に係るプリント配線基板に半導体チップが実装されて形成される半導体装置である。
【0084】
図14は、図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置30を模式的に示した断面図である。また、図15は、図14に示した本発明の実施形態に係る半導体装置30の製造方法を示す図である。
【0085】
図14に示すように、本発明の実施形態に係る半導体装置30は、半導体チップ31のスタッド32と、プリント配線基板1のバンプ10と、が接合(フリップチップ接合)して形成されている。また、半導体チップ31とプリント配線基板1との間に絶縁性樹脂が封止されて、封止用絶縁層33を形成している。尚、半導体チップ31のスタッド32は、例えば、Au、Cu、或いは高融点半田から形成されている。また、外部接続電極6に、マトリックス状に半田ボールを形成しても良い。
【0086】
図15に示すように、図14に示した本発明の実施形態に係る半導体装置30の製造方法は、図3乃至図5に示したプリント配線基板1の製造方法によって製造されたプリント配線基板1を使用して、プリント配線基板1の配線パターン11側の表面に、軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートすることにより封止用絶縁層33を形成する(ステップ21:S21)。ここでは、シート状の絶縁性樹脂をプリント配線基板1の表面にラミネートして、封止用絶縁層33を形成しているが、半導体チップ31のスタッド32側の表面にシート状の絶縁性樹脂をラミネートして、封止用絶縁層33を形成しても良い。また、アンダーフィルによって封止用絶縁層33を形成しても良い。
【0087】
最後に、半導体チップ31のスタッド32を、プリント配線基板1の表面の封止用絶縁層33を貫通して、バンプ10に達するように押圧し、それとともに加熱することにより、半導体チップ31のスタッド32とプリント配線基板1のバンプ10とを接合(フリップチップ接合)する(ステップ22:S22)。これにより、図14に示した本実施形態による半導体装置30が形成される。また、半導体チップ31とプリント配線基板1の配線パターン11とが電気的に接続される。また、更に、外部接続電極6に、マトリックス状に半田ボールを形成する工程を行っても良い。尚、ステップ21およびステップ22は、特許請求の範囲に記載の工程(h1)または工程(h2)を構成する。
【0088】
尚、上記の本発明の実施形態に係る半導体装置30の製法方法では、プリント配線基板1を用いているが、プリント配線基板1aを用いる場合は、上記のステップ22の後または前に、プリント配線基板1の銅箔2を剥離層3とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することによってピーラブル銅箔5を除去する工程を行う。この工程は特許請求の範囲に記載の工程(i)を構成する。
【0089】
また、複数の半導体チップ31がプリント配線基板1に接合されている場合は、上記のステップ22の後に、半導体チップ31毎の半導体装置30を形成するために、所定のダイシングラインに沿って切断する工程を行っても良い。
【0090】
図16は、図6(a)に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置130を模式的に示した断面図である。また、図17は、図16に示した本発明の実施形態に係る半導体装置130の製造方法を示す図である。図16及び図17の本発明の実施形態に係る半導体装置130及びその製造方法と、図14及び図15の本発明の実施形態に係る半導体装置30及びその製造方法との相違点は、プリント配線基板1の替わりにプリント配線基板100を用いた点である。
【0091】
また、図18は、図10(a)に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置230を模式的に示した断面図である。また、図19は、図18に示した本発明の実施形態に係る半導体装置230の製造方法を示す図である。図18及び図19の本発明の実施形態に係る半導体装置230及びその製造方法と、図14及び図15の本発明の実施形態に係る半導体装置30及びその製造方法との相違点は、プリント配線基板1の替わりにプリント配線基板200を用いた点である。
【0092】
以上より、本発明の実施形態に係る半導体装置30,130,230によれば、本発明の実施形態に係るプリント配線基板1,100,200と同様の効果がある。
【実施例】
【0093】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(半導体装置の作製)
図3乃至図5のプリント配線基板の製造方法により、下記の表1に示す絶縁層の材料と凹み防止部の材料とを用いてプリント配線基板を作製し、図15の半導体装置の製造方法により、実施例1乃至4にかかる半導体装置を作製した。また、図7乃至図9のプリント配線基板の製造方法により、下記の表1に示す、ヤング率を有する絶縁層の材料と凹み防止部の材料とを用いてプリント配線基板を作製し、図17の半導体装置の製造方法により、実施例5にかかる半導体装置を作製した。また、従来のプリント配線基板の製造方法により、下記の表1に示す絶縁層の材料を用いてプリント配線基板を作製し、図15の半導体装置の製造方法と同様な方法により、比較例1及び2にかかる半導体装置を作製した。
【0094】
尚、実施例1乃至5にかかる半導体装置の絶縁層及び凹み防止部の厚さは約50μmとし、比較例1及び2にかかる半導体装置の絶縁層の厚さは約50μmとした。
また、絶縁層Aは、味の素ファインテクノ(株)製ボンディングシートLE−S4であり、絶縁層Bは、旭化成(株)製フォトドライフィルムISA−04であり、凹み防止部Aは、日立化成工業(株)製フォトドライフィルムFR−7025であり、凹み防止部Bは、日立化成工業(株)製フォトドライフィルムFR−5525であり、凹み防止部Cは、東レ(株)製のガラス転移温度(Tg)が250℃のLPN−1500であり、凹み防止部Dは、銅である。
【0095】
(絶縁信頼性の評価)
作製された実施例1乃至5にかかる半導体装置、並びに、作製された比較例1及び2にかかる半導体装置において、バンプに対応する位置の近傍の絶縁層の厚さと、プリント配線基板と半導体チップの間の封止用絶縁層の厚さを測定した。絶縁層及び封止用絶縁層が、ともに12μm以上の厚さであった場合を絶縁信頼性がある(○)とし、絶縁層及び封止用絶縁層の少なくともどちらか一方が12μm未満の厚さであった場合を絶縁信頼性がない(×)とした。尚、12μmは、絶縁層及び封止用絶縁層の誘電率を考慮して、絶縁信頼性が確保できる厚さである。
【0096】
(TCT試験サイクル数)
作製された実施例1乃至5にかかる半導体装置、並びに、作製された比較例1及び2にかかる半導体装置について、−65℃で10分保持の状態から150℃で10分保持の状態とへと変化させる温度サイクル試験を実施し、半導体チップとプリント配線基板との半田接合部(1次接合部)にクラックが発生し、接続抵抗が初期値に比較して10%上昇するまでのサイクル数(回)を測定した。
【0097】
尚、凹み防止部A〜Dの150℃におけるヤング率は、150℃に設定したサーマルチャンバー中で、ストログラフ(引張圧縮試験機)を使用して測定した。
【0098】
【表1】
【0099】
表1に示すように、実施例1乃至5にかかる半導体装置は、絶縁層及び封止用絶縁層が、ともに12μm以上の厚さとなり、絶縁信頼性を確保できた。一方、比較例1及び2にかかる半導体装置は、絶縁層及び封止用絶縁層の少なくともどちらか一方が12μm未満の厚さとなり、絶縁信頼性を確保できなかった。更に、実施例1及び2にかかる半導体装置は、凹み防止部が150℃でのヤング率が0.2GPa以下であるため、TCT試験サイクル数が半導体装置に要求されるサイクル数(1000回)以上であった。
【符号の説明】
【0100】
1,100,200 : プリント配線基板
2 : 銅箔
4 : 極薄銅箔
5 : ピーラブル銅箔
6 : 外部接続電極
7 : 絶縁層
8 : 金属層
9 : 金属下地層
10 : バンプ
11 : 配線パターン
12 : ビア
12a : ビア形成用孔
13,113,213 : 凹み防止部
113a : 凹み防止部形成用孔
14 : レジスト
30,130,230 : 半導体装置
31 : 半導体チップ(電子デバイス)
32 : スタッド
33 : 封止用絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、半導体装置、プリント配線基板の製造方法及び半導体装置の製造方法に関するものである。特に、キャリアを有した可撓性のあるプリント配線基板、該プリント配線基板の製造方法、該プリント配線基板を用いて製造された半導体装置、及び該半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルカメラ、液晶ディスプレイに代表される電子機器においては、小型化、薄肉化、高機能化の要請から、これら電子機器に搭載される半導体チップ等の電子デバイスを実装する基板として可撓性を有するフレキシブルプリント配線基板が用いられている。
【0003】
従来、フレキシブルプリント配線基板としては、例えば、ポリイミド、液晶ポリマー、アラミド、ガラスエポキシ、ポリエステル等の絶縁フィルムの両面に銅箔層が積層されたものを基材として用いて製造されたプリント配線基板が知られている。このプリント配線基板は、絶縁フィルムの両面の銅箔層間を電気的に導通するために一方の銅箔層から他方の銅箔層に貫通する孔を形成するとともに、この孔の側面に銅めっきを施し、両銅箔層にエッチング処理を行うことにより所望の導体パターンを形成している(特許文献1参照)。
【0004】
また、微細な線幅や線間ピッチの配線から成る配線パターン(導体パターン)、いわゆるファインパターンを実現するためには、厚さ9μm以下の銅箔が要望されるが、このような薄い銅箔は機械的強度が弱く、銅箔切れを起こすこともあるため、キャリアとしての金属箔の片面に剥離層を介して極薄銅箔層を直接電着させたキャリア付き極薄銅箔を使用して形成したプリント配線基板が知られている。このプリント配線基板は、ガラスエポキシ基材にキャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔層の表面を重ね合わせて熱圧着し、剥離層を介してキャリア箔を剥離・除去して極薄銅箔層の剥離層との接合側を露出させた後に、スルーホールの穿設及びスルーホールめっきが順次行われ、次いで、極薄銅箔層にエッチング処理を行って所望の線幅と所望の線間ピッチを備えた導体パターンを形成している(特許文献2参照)。
【0005】
また、上記特許文献のように、フィルム基材としてポリイミド、液晶ポリマー、アラミド、ガラスエポキシ、ポリエステル等を用いたプリント配線基板を電子デバイス(半導体チップ)に実装(1次接合)した半導体装置とマザーボードとの半田接合部(2次接合部)にクラックが発生することがあった。そこで、2次接合部の信頼性を高めるために、ヤング率の小さい(軟らかい)エポキシ等を絶縁層として使用したプリント配線基板も考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−134956号公報
【特許文献2】特開2004−169181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ヤング率の小さい(軟らかい)絶縁層を使用したプリント配線基板に半導体チップを実装するとき、半導体チップのスタッド(基板接続電極)とプリント配線基板のバンプ(電子デバイス接続電極)との接合部(1次接合部)において、プリント配線基板の絶縁層が軟らかいために、プリント配線基板のバンプが凹むように変形して該絶縁層に沈み込んで、バンプが沈み込んだ位置のプリント配線基板の絶縁層が薄くなってしまったり、半導体チップとプリント配線基板との間を封止した封止用絶縁層が薄くなってしまったりしていた。そのため、絶縁信頼性が得られる絶縁層の厚み及び封止用絶縁層の厚みを確保することができないという問題があった。特に、スタッドが金の場合、スタッドの高さを均一にするため、1次接合時に荷重をかけてスタッドを変形させるため、上記問題が顕著に発生していた。
【0008】
そこで、本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプの沈み込みを防止することが可能な、キャリアを有した可撓性のあるプリント配線基板、該プリント配線基板の製造方法、該プリント配線基板を用いて製造された半導体装置、及び該半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板は、電気回路を構成する配線パターンと、前記配線パターンの表面の所定位置に形成された、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極と、前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上の前記電子デバイス接続電極に対応する位置を少なくとも含むように設けられた凹み防止部と、前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上であって、当該面上の前記凹み防止部の無い位置に形成された絶縁層と、前記絶縁層の表面の所定位置に形成された、外部電極と接続するための外部接続電極と、前記絶縁層の所定位置に厚み方向に貫通する孔と前記孔の側面及び底面に設けられた導電性の層とを有し、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアと、を備え、前記凹み防止部は、前記絶縁層よりもヤング率が大きいことを特徴とする。
尚、ビアの導電性の層が設けられている孔の底面とは、孔の開口端を外周とする該孔を塞ぐ平面のことである。
【0010】
本発明の第2の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板において、前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1または2の態様にかかるプリント配線基板において、前記絶縁層が、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至3のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記凹み防止部が、ポリイミドまたは金属であることを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至4のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記凹み防止部は、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板において、前記プリント配線基板の前記外部接続電極側の表面に、導電性を有した金属からなるキャリア層が更に設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第7の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板において、前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第8の態様にかかるプリント配線基板は、上記の本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板において、前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする。
【0017】
本発明の第1の態様にかかる半導体装置は、プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とが接合して形成された半導体装置であって、前記プリント配線基板は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板であることを特徴とする半導体装置。
【0018】
本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、(a1)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、凹み防止部を形成する工程と、(b1)前記キャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、(c1)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、前記凹み防止部よりもヤング率の小さい絶縁層を形成する工程と、(d1)前記工程(c1)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、かつ、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、(e1)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d1)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1の態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記凹み防止部が、ポリイミドであることを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、(a2)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、(b2)前記キャリア層の表面の前記外部接続電極のない位置及び前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、(c2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記絶縁層の前記外部接続電極側の表面における所定位置が底面となる、凹み防止部を形成するための凹み防止部形成用孔を形成する工程と、(d2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、(e2)前記絶縁層の表面、前記工程(c2)によって形成された前記凹み防止部形成用孔の側面、前記凹み防止部形成用孔の底面、前記工程(d2)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と当該配線パターンとを電気的に接続するビアを形成し、同時に、表面が前記配線パターンの一部となり、かつ、前記金属下地層及び前記金属層によって前記凹み防止部形成用孔が埋められた前記凹み防止部を形成する工程と、(f)前記凹み防止部の表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、(a3)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、(b3)前記キャリア層の表面の所定位置に、金属ナノペーストから金属ナノ粒子を焼結させてなる凹み防止部を形成する工程と、(c3)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、(d3)前記工程(c3)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、(e3)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d3)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第5の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至4のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする。
【0023】
本発明の第6の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至5のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記絶縁層が、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする。
【0024】
本発明の第7の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至6のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする。
【0025】
本発明の第8の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至6のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする。
【0026】
本発明の第9の態様にかかるプリント配線基板の製造方法は、上記の本発明の第1乃至8のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法において、(g)前記キャリア層を除去する工程を、前記工程(f)の後に更に備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明の第1の態様にかかる半導体装置の製造方法は、プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、(h1)前記電子デバイスと、上記の本発明の第1乃至8のいずれか1つの態様にかかるプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程と、(i)前記キャリア層を除去する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0028】
本発明の第2の態様にかかる半導体装置の製造方法は、プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、(h2)前記電子デバイスと、上記の本発明の第9の態様にかかるプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプの沈み込みを凹み防止部によって防止し、絶縁信頼性が得られる絶縁層の厚み及び封止用絶縁層の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層の厚み及び封止用絶縁層の厚みを確保しながらスタッドとバンプとを接合させるために、スタッド、バンプ、絶縁層、封止用絶縁層等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板に半導体チップを実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の変形例を模式的に示した断面図である。
【図3】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法を示す図である。
【図4】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法を示す図3の続きの図である。
【図5】図1の本発明の実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法を示す図4の続きの図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を模式的に示した断面図であり、(b)はその変形例を模式的に示した断面図である。
【図7】図6の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法を示す図である。
【図8】図6の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法を示す図7の続きの図である。
【図9】図6の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法を示す図8の続きの図である。
【図10】(a)は本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を模式的に示した断面図であり、(b)はその変形例を模式的に示した断面図である。
【図11】図10の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法を示す図である。
【図12】図10の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法を示す図11の続きの図である。
【図13】図10の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法を示す図12の続きの図である。
【図14】図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置30を模式的に示した断面図である。
【図15】図14に示した本発明の実施形態に係る半導体装置30の製造方法を示す図である。
【図16】図6に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置130を模式的に示した断面図である。
【図17】図16に示した本発明の実施形態に係る半導体装置130の製造方法を示す図である。
【図18】図10に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置230を模式的に示した断面図である。
【図19】図18に示した本発明の実施形態に係る半導体装置230の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプリント配線基板の一例を模式的に示した断面図である。
【0032】
図1に示すように、本発明の実施形態に係るプリント配線基板1は、配線パターン11の表面に、半導体チップ31と電気的に接続する電子デバイス接続電極として、スズ−銀合金からなる、フリップチップ接合するためのバンプ10が形成されている。また、配線パターン11のバンプ10が形成されている面とは反対の面上であって、バンプ10に対応する位置を少なくとも含む位置に、厚さ約50μmの凹み防止部13が形成されている。
【0033】
凹み防止部13は、ポリイミドからなるドライフィルムを用いて形成されているが、これに限定されず、凹み防止部13のヤング率が後述の絶縁層7のヤング率よりも大きくなるものであればよい。また、凹み防止部13の厚さも、約50μmに限定されるものではない。また、凹み防止部13は、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることが好ましい。150℃でのヤング率が0.2GPa以下である凹み防止部によって、半導体チップ31(図14参照)とプリント配線基板1との接続部(1次接合部)における接合寿命と接続信頼性を向上させることができる。
【0034】
配線パターン11のバンプ10が形成されている面とは反対の面の凹み防止部13が形成されていない位置には、厚さ約50μmの絶縁層7が形成されている。この絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドを使用することが好ましい。これは、半導体チップ31(図14参照)をプリント配線基板1に実装した半導体装置30(図14参照)とマザーボード(図示せず)とを接合(2次接合)するとき、半導体チップ31とマザーボードとの線膨張係数の差による熱歪みが起因となって発生する応力(2次接合部の近傍にかかる応力)を、軟らかい絶縁層7によって吸収して緩和するためである。また、絶縁層7の厚さは約50μmに限定されず、絶縁層7の誘電率との関係で、絶縁信頼性を確保できる厚さであれば良い。
【0035】
絶縁層7の表面の所定位置に、外部接続電極6が形成されている。外部接続電極6としては、金属で形成されていれば良い。尚、図1では、絶縁層7の側面と凹み防止部13の側面との間、及び、外部接続電極6の側面と凹み防止部13の側面との間にレジスト14が形成されている場合を例に示している。
【0036】
絶縁層7の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通するように形成されたビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面及び絶縁層7の表面に、金属下地層9を介して金属層8が形成されている。金属層8は、絶縁層7の表面及び凹み防止部13の表面に所望の配線パターン11を形成するとともに、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12を形成する。金属下地層9は、ニッケルクロム合金からなり、約0.003μm以上0.01μm以下の厚さを有しており、金属層8は、銅からなり、約8μmの厚さを有している。なお、金属層8は、約8μmに限定されず適宜設計可能である。また、ビア12の直径は約60μmである。尚、ビア12の直径は約60μmに限定されず、外部接続電極6である電極パッドの直径よりもより小さい方が好ましい。
【0037】
次に、図1に示したプリント配線基板1の変形例について説明する。図2は、図1の本発明の第1の実施形態に係るプリント配線基板1の変形例を模式的に示した断面図である。図1に示したプリント配線基板1と図2に示すプリント配線基板1aとの相違点は、プリント配線基板1aの外部接続電極6側の表面に、即ち、外部接続電極6の絶縁層7とは反対の表面、凹み防止部13の配線パターン11とは反対の表面及びレジスト14の絶縁層7とは反対の表面に、導電性を有した金属からなるキャリア層5を、更に有している点である。
【0038】
図2においては、キャリア層として、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を例に挙げている。また、金属箔に剥離層を介して金属極薄箔が接着されたピーラブル金属箔を用いて、金属箔をキャリア層として使用し、外部接続電極6が形成される位置以外のピーラブル金属箔の金属極薄箔を除去することによって、金属極薄箔からなる外部接続電極6を形成するようにしても良い。金属箔としては、42アロイ箔、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、チタン合金箔、銅合金箔等が使用可能である。また、金属極薄箔としては、極薄銅箔、極薄ニッケル箔等が使用可能である。
【0039】
また、キャリア層として、シリコン等から形成される半導体チップ(電子デバイス)31(図14参照)をプリント配線基板1aに実装(1次接合)するときに、シリコンと金属箔との線膨張係数の差による熱歪みを防止するために、シリコンと線膨張係数の近い42アロイを、キャリア層5に用いることが好ましい。
【0040】
次に、本発明の実施形態に係るプリント配線基板の製造方法について説明する。
図1に示した本実施形態に係るプリント配線基板1の製造方法の一例について、図3乃至図5を参照して説明する。尚、本実施形態に係るプリント配線基板1は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、配線パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により製造される場合を例に挙げて説明する。また、図3乃至図5は、後述のステップ1乃至ステップ12の工程により、プリント配線基板1aが製造される。
【0041】
まず、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を用意し、ピーラブル銅箔5の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔5を送り出し搬送するローラに係止するための穴15をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ1:S1)。
【0042】
次に、ピーラブル銅箔5の表面に厚さ50μmのポリイミドからなるフォトドライフィルムをラミネートし、凹み防止部13に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、凹み防止部13が形成される位置以外のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ2:S2)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、凹み防止部13が形成される。尚、上記ステップ2の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(a1)を構成する。また、凹み防止部13は、後のステップ11の工程によって形成されるバンプ10に対応する位置を含むように設けられている。尚、凹み防止部13としては、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることが好ましい。
【0043】
次に、ピーラブル銅箔5の表面、並びに、凹み防止部13の表面及び側面に厚さ25μmのフォトドライフィルムをラミネートする(ステップ3:S3)。そして、外部接続電極6に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、外部接続電極6が形成される位置25のフォトドライフィルム及び凹み防止部13の表面のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ4:S4)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、レジスト14が形成される。
【0044】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面(銅箔2側の面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム16をラミネートし、その後、電気めっきにより、金およびニッケルをめっきする(ステップ5:S5)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、外部接続電極6が形成される。尚、このステップ5の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(b1)を構成する。
【0045】
次に、ピーラブル銅箔5の裏面から保護用ドライフィルム16を剥離し、外部接続電極6及びレジスト14の表面に厚さ50μmの軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートし、加熱キュアの処理を行って、シート状の絶縁性樹脂を硬化させる(ステップ6:S6)。これにより、外部接続電極6の表面、及び、レジスト14を介した凹み防止部13が形成されていない極薄銅箔4の表面に、絶縁層7が形成される。尚、このステップ6の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(c1)を構成する。尚、絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドからなるシート状の絶縁性樹脂を使用することが好ましい。
【0046】
次に、ビア形成用孔12aの形成を行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面に保護用ドライフィルム17をラミネートし、外部接続電極6の所定表面領域6aが底面となるように、UVレーザを用いて、絶縁層7の外部接続電極6側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する直径約60μmのビア形成用孔12aを絶縁層7に形成し、ビア形成用孔12aの形成によって発生したスミアを除去する(ステップ7:S7)。尚、上記ステップ7の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(d1)を構成する。
【0047】
次に、ビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面、凹み防止部13の表面及び絶縁層7の表面に、ニッケルクロム合金および銅をスパッタリングして、金属下地層9を形成する(ステップ8:S8)。その後、金属下地層9の表面に、ドライフィルム18をラミネートし、ビア12及び所望の配線パターン11に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム18を露光、現像する(ステップ9:S9)。なお、金属下地層9はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0048】
次に、電気めっきにより、金属層8となる銅をめっきし、金属下地層9の表面に形成されたドライフィルム18を除去し、さらに、ドライフィルム18が除去された位置において凹み防止部13の表面に形成されている金属下地層9を除去する(ステップ10:S10)。これにより、絶縁層7の表面及び凹み防止部13の表面に所望の配線パターン11が形成され、更に、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12が形成される。尚、上記ステップ8からステップ10までの工程は、特許請求の範囲に記載の工程(e1)を構成する。
【0049】
次に、金属層8および凹み防止部13の表面、並びに、絶縁層7(ステップ10の終了時に絶縁層7が表面に露出している部分であって、図5においては表示されていない)の表面にドライフィルム19をラミネートし、バンプ10を形成する位置に対応するパターンのマスクをして、このドライフィルム19を露光、現像するとともに、ステップ7でピーラブル銅箔5の裏面にラミネートした保護用ドライフィルム17を露光、現像し、ドライフィルム19が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ11:S11)。これにより、バンプ10が形成される。尚、ステップ11の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(f)を構成する。
【0050】
次に、ドライフィルム19および保護用ドライフィルム17を剥離し除去する(ステップ12:S12)。これにより、図2に示したプリント配線基板1aが形成される。
最後に、キャリア層5を、外部接続電極6、レジスト14及び凹み防止部13から銅箔2を剥離層とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することにより、ピーラブル銅箔5を除去する(ステップ13:S13)。これにより、図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1が形成される。尚、ステップ13の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(g)を構成する。
【0051】
尚、本実施形態においては、外部接続電極6はピーラブル銅箔5の表面に形成されているが、ピーラブル金属箔の所定箇所の極薄金属箔を除去して、即ち、ピーラブル金属箔の所望の位置の極薄金属箔を残すことにより、極薄金属箔からなる外部接続電極6を形成しても良い。
【0052】
以上より、本実施形態に係るプリント配線基板1によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプ10の絶縁層7への沈み込みを、凹み防止部13によって防止することができる。これにより、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33(図14参照)の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33の厚みを確保しながらスタッド32(図14参照)とバンプ10とを接合させるために、スタッド32、バンプ10、絶縁層7、封止用絶縁層33等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部13によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板1に半導体チップ31を実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【0053】
次に、本発明の実施形態に係るプリント配線基板1とは別のプリント配線基板の一例について、図6乃至図13を参照して説明する。
【0054】
まず、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100及びその製造方法を説明する。図6(a)は、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を模式的に示した断面図であり、図6(b)は、プリント配線基板100の変形例であるプリント配線基板100aを模式的に示した断面図である。
【0055】
図6(a)に示すように、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100と、図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1との相違点は、プリント配線基板1の凹み防止部13がポリイミドからなるドライフィルムを用いて形成されているのに対して、プリント配線基板100の凹み防止部113は、絶縁層7を貫通するように形成された凹み防止部形成用孔113aの側面に金属下地層9を介して金属層8が形成され、この金属下地層9及び金属層8が凹み防止部形成用孔113aを埋め尽くすことにより形成される点である。尚、凹み防止部113は、バンプ10に対応する位置に形成される。また、レジスト14は、絶縁層7と極薄銅箔4との間に形成されている。また、図2に示したプリント配線基板1aと図6(b)に示すプリント配線基板100aとの相違点も、上述した図1に示したプリント配線基板1と図6(a)に示すプリント配線基板100との相違点と同様である。
【0056】
次に、図6(a)に示した本実施形態に係る別のプリント配線基板100の製造方法の一例について、図7乃至図9を参照して説明する。尚、本実施形態に係るプリント配線基板100は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、配線パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により製造される場合を例に挙げて説明する。また、図7乃至図9は、後述のステップ101乃至ステップ110の工程により、プリント配線基板100aが製造される。
【0057】
まず、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を用意し、ピーラブル銅箔5の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔5を送り出し搬送するローラに係止するための穴15をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ101:S101)。
【0058】
次に、ピーラブル銅箔5の表面に厚さ25μmのフォトドライフィルムをラミネートし、外部接続電極6に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、外部接続電極6が形成される位置のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ102:S102)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、レジスト14が形成される。
【0059】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面(銅箔2側の面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム16をラミネートし、その後、電気めっきにより、金およびニッケルをめっきする(ステップ103:S103)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、外部接続電極6が形成される。尚、このステップ102及び103の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(a2)を構成する。
【0060】
次に、ピーラブル銅箔5の裏面から保護用ドライフィルム16を剥離し、外部接続電極6及びレジスト14の表面に厚さ50μmの軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートし、加熱キュアの処理を行って、シート状の絶縁性樹脂を硬化させる(ステップ104:S104)。これにより、外部接続電極6の表面、及び、レジスト14を介した外部接続電極6が形成されていない極薄銅箔4の表面に、絶縁層7が形成される。尚、このステップ104の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(b2)を構成する。尚、絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドからなるシート状の絶縁性樹脂を使用することが好ましい。
【0061】
次に、凹み防止部形成用孔113a及びビア形成用孔12aの形成を行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面に保護用ドライフィルム17をラミネートし、UVレーザを用いて、レジスト14の所定表面領域14aが底面となるように、絶縁層7のレジスト14側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する凹み防止部形成用孔113aを絶縁層7に形成するとともに、外部接続電極6の所定表面領域6aが底面となるように、絶縁層7の外部接続電極6側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する直径約60μmのビア形成用孔12aを絶縁層7に形成し、凹み防止部形成用孔113a及びビア形成用孔12aの形成によって発生したスミアを除去する(ステップ105:S105)。尚、このステップ105の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(c2)及び工程(d2)を構成する。また、凹み防止部形成用孔113aの開口部は、後述のステップ109の工程によって形成されるバンプ10に対応する位置を少なくとも含む部分表面領域である。
【0062】
次に、凹み防止部形成用孔113aの側面、凹み防止部形成用孔113aの底面、ビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面、及び絶縁層7の表面に、ニッケルクロム合金および銅をスパッタリングして、金属下地層9を形成する(ステップ106:S106)。その後、金属下地層9の表面に、ドライフィルム18をラミネートし、凹み防止部113、ビア12及び所望の配線パターン11に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム18を露光、現像する(ステップ107:S107)。なお、金属下地層9はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0063】
次に、電気めっきにより、金属層8となる銅をめっきし、金属下地層9の表面に形成されたドライフィルム18を除去し、さらに、ドライフィルム18が除去された位置において絶縁層7の表面に形成されている金属下地層9を除去する(ステップ108:S108)。これにより、絶縁層7の表面及び凹み防止部113の表面に所望の配線パターン11が形成されるとともに、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12が形成される。同時に、表面が配線パターン11の一部となり、かつ、金属下地層9及び金属層8からなる凹み防止部113も形成される。尚、上記ステップ106からステップ108までの工程は、特許請求の範囲に記載の工程(e2)を構成する。
【0064】
次に、金属層8および凹み防止部113の表面にドライフィルム19をラミネートし、バンプ10を形成する位置に対応するパターンのマスクをして、このドライフィルム19を露光、現像するとともに、ステップ105でピーラブル銅箔5の裏面にラミネートした保護用ドライフィルム17を露光、現像し、ドライフィルム19が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ109:S109)。これにより、バンプ10が形成される。尚、ステップ109の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(f)を構成する。
【0065】
次に、ドライフィルム19および保護用ドライフィルム17を剥離し除去する(ステップ110:S110)。これにより、図6(b)に示したプリント配線基板100aが形成される。
最後に、キャリア層5を、外部接続電極6及びレジスト14から銅箔2を剥離層とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することにより、ピーラブル銅箔5を除去する(ステップ111:S111)。これにより、図6(a)に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板100が形成される。尚、ステップ111の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(g)を構成する。
【0066】
尚、本実施形態においては、外部接続電極6はピーラブル銅箔5の表面に形成されているが、ピーラブル銅箔5の所定箇所の極薄銅箔4を除去して、即ち、ピーラブル銅箔5の所望の位置の極薄銅箔4を残すことにより、極薄銅箔4からなる外部接続電極6を形成しても良い。
【0067】
以上より、本実施形態に係るプリント配線基板100によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプ10の絶縁層7への沈み込みを、凹み防止部113によって防止することができる。これにより、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33(図16参照)の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33の厚みを確保しながらスタッド32(図16参照)とバンプ10とを接合させるために、スタッド32、バンプ10、絶縁層7、封止用絶縁層33等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部113によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板100に半導体チップ31を実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【0068】
次に、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200及びその製造方法を説明する。図10(a)は、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を模式的に示した断面図であり、図10(b)は、図10(a)の本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200の変形例であるプリント配線基板200aを模式的に示した断面図である。
【0069】
図10(a)に示すように、本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200と、図1に示した上本発明の実施形態に係るプリント配線基板1との相違点は、プリント配線基板1の凹み防止部13がポリイミドからなるドライフィルムを用いて形成されているのに対して、プリント配線基板200の凹み防止部213は、金属ナノペースト(銅ナノペースト)から金属ナノ粒子(銅ナノ粒子)を焼結させて形成されている点である。尚、凹み防止部213は、バンプ10に対応する位置に形成される。また、レジスト14は、絶縁層7と極薄銅箔4との間に形成されている。また、図2に示したプリント配線基板1aと図10(b)に示すプリント配線基板200aとの相違点も、上述した図1に示したプリント配線基板1と図10(a)に示すプリント配線基板200との相違点と同様である。
【0070】
次に、図10(a)に示した本実施形態に係る別のプリント配線基板200の製造方法の一例について、図11乃至図13を参照して説明する。尚、本実施形態に係るプリント配線基板200は、ロール状に巻いた長尺の基材を送り出し搬送させる過程で、配線パターンを形成し、再びロール状に巻き取るロールツーロール方式により製造される場合を例に挙げて説明する。また、図11乃至図13は、後述のステップ201乃至ステップ211の工程により、プリント配線基板200aが製造される。
【0071】
まず、金属箔である銅箔2に剥離層(図示せず)を介して金属極薄箔である極薄銅箔4が接着されたピーラブル銅箔5を用意し、ピーラブル銅箔5の短手方向両端部に、ピーラブル銅箔5を送り出し搬送するローラに係止するための穴15をパンチングにより所定間隔で開ける(ステップ201:S201)。
【0072】
次に、ピーラブル銅箔5の表面に厚さ25μmのフォトドライフィルムをラミネートし、外部接続電極6に対応するパターンのマスクをして、フォトドライフィルムを露光、現像することにより、外部接続電極6が形成される位置のフォトドライフィルムを除去し、さらにUVキュア、加熱キュアの処理を行うことによりフォトドライフィルムを完全に硬化させる(ステップ202:S202)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、レジスト14が形成される。
【0073】
次に、電気めっきを行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面(銅箔2側の面)に、めっきが付着しないように保護する保護用ドライフィルム16をラミネートし、その後、電気めっきにより、金およびニッケルをめっきする(ステップ203:S203)。これにより、ピーラブル銅箔5の表面に、外部接続電極6が形成される。尚、このステップ202及び203の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(a3)を構成する。
【0074】
次に、上記ステップ203までに形成された基板を、150〜200℃程度に加熱させた状態にして、レジスト14の所定の位置に、銅ナノペーストを、例えば、ジェット式のディスペンサで吹き付け、溶媒を蒸発させるとともに、銅ナノ粒子を焼結させる作業を繰り返し行うことで、所望の高さ(厚さ)の凹み防止部213を形成する(ステップ204:S204)。尚、このステップ204の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(b3)を構成する。また、レジスト14の所定の位置は、後のステップ210の工程によって形成されるバンプ10に対応する位置である。また、所望の高さ(厚さ)とは、後のステップ205の工程によって形成される絶縁層7の厚さと略同じである。
【0075】
次に、ピーラブル銅箔5の裏面から保護用ドライフィルム16を剥離し、外部接続電極6及びレジスト14の表面に厚さ50μmの軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートし、加熱キュアの処理を行って、シート状の絶縁性樹脂を硬化させる(ステップ205:S205)。これにより、外部接続電極6の表面、及び、レジスト14を介した外部接続電極6が形成されていない極薄銅箔4の表面に、絶縁層7が形成される。尚、このステップ205の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(c3)を構成する。尚、絶縁層7としては、ヤング率が1.0GPa未満の絶縁層であることが好ましく、例えば、エポキシ、フッ素樹脂、または、ポリフェニレンオキシサイドからなるシート状の絶縁性樹脂を使用することが好ましい。
【0076】
次に、ビア形成用孔12aの形成を行うに先立ち、ピーラブル銅箔5の裏面に保護用ドライフィルム17をラミネートし、外部接続電極6の所定表面領域6aが底面となるように、UVレーザを用いて、絶縁層7の外部接続電極6側とは反対の表面が開口し、かつ、絶縁層7を貫通する直径約60μmのビア形成用孔12aを絶縁層7に形成し、ビア形成用孔12aの形成によって発生したスミアを除去する(ステップ206:S206)。尚、上記ステップ206の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(d3)を構成する。
【0077】
次に、ビア形成用孔12aの側面、ビア形成用孔12aの底面、凹み防止部213の表面、及び絶縁層7の表面に、ニッケルクロム合金および銅をスパッタリングして、金属下地層9を形成する(ステップ207:S207)。その後、金属下地層9の表面に、ドライフィルム18をラミネートし、ビア12及び所望の配線パターン11に対応するパターンのマスクをして、ドライフィルム18を露光、現像する(ステップ208:S208)。なお、金属下地層9はスパッタリングに限らず、たとえば無電解めっきにより形成してもよい。
【0078】
次に、電気めっきにより、金属層8となる銅をめっきし、金属下地層9の表面に形成されたドライフィルム18を除去し、さらに、ドライフィルム18が除去された位置において絶縁層7の表面に形成されている金属下地層9を除去する(ステップ209:S209)。これにより、絶縁層7の表面及び凹み防止部213の表面に所望の配線パターン11が形成され、更に、配線パターン11と外部接続電極6とを電気的に接続するビア12が形成される。尚、上記ステップ207からステップ209までの工程は、特許請求の範囲に記載の工程(e3)を構成する。
【0079】
次に、金属層8および絶縁層7の表面にドライフィルム19をラミネートし、バンプ10を形成する位置に対応するパターンのマスクをして、このドライフィルム19を露光、現像するとともに、ステップ206でピーラブル銅箔5の裏面にラミネートした保護用ドライフィルム17を露光、現像し、ドライフィルム19が除去された位置に、電気めっきによりスズ−銀合金層を形成する(ステップ210:S210)。これにより、バンプ10が形成される。尚、ステップ210の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(f)を構成する。
【0080】
次に、ドライフィルム19および保護用ドライフィルム17を剥離し除去する(ステップ211:S211)。これにより、図10(b)に示したプリント配線基板200aが形成される。
最後に、キャリア層5を、外部接続電極6及びレジスト14から銅箔2を剥離層とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することにより、ピーラブル銅箔5を除去する(ステップ212:S212)。これにより、図10(a)に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板200が形成される。尚、ステップ212の工程は、特許請求の範囲に記載の工程(g)を構成する。
【0081】
尚、本実施形態においては、外部接続電極6はピーラブル銅箔5の表面に形成されているが、ピーラブル銅箔5の所定箇所の極薄銅箔4を除去して、即ち、ピーラブル銅箔5の所望の位置の極薄銅箔4を残すことにより、極薄銅箔4からなる外部接続電極6を形成しても良い。
【0082】
以上より、本実施形態に係るプリント配線基板200によれば、1次接合時にかける荷重によって発生するバンプ10の絶縁層7への沈み込みを、凹み防止部213によって防止することができる。これにより、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33(図18参照)の厚みを確保することができる。また、絶縁信頼性が得られる絶縁層7の厚み及び封止用絶縁層33の厚みを確保しながらスタッド32(図18参照)とバンプ10とを接合させるために、スタッド32、バンプ10、絶縁層7、封止用絶縁層33等の材料に基づいて調整される1次接合時にかける荷重の値範囲が、凹み防止部213によって広がるため、荷重の調整作業を容易に行うことができる。即ち、プリント配線基板200に半導体チップ31を実装する作業工程を作業効率よく、容易に行うことができる。
【0083】
次に、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法についての一例を説明する。本発明の実施形態に係る半導体装置は、上記の本発明の実施形態に係るプリント配線基板に半導体チップが実装されて形成される半導体装置である。
【0084】
図14は、図1に示した本発明の実施形態に係るプリント配線基板1を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置30を模式的に示した断面図である。また、図15は、図14に示した本発明の実施形態に係る半導体装置30の製造方法を示す図である。
【0085】
図14に示すように、本発明の実施形態に係る半導体装置30は、半導体チップ31のスタッド32と、プリント配線基板1のバンプ10と、が接合(フリップチップ接合)して形成されている。また、半導体チップ31とプリント配線基板1との間に絶縁性樹脂が封止されて、封止用絶縁層33を形成している。尚、半導体チップ31のスタッド32は、例えば、Au、Cu、或いは高融点半田から形成されている。また、外部接続電極6に、マトリックス状に半田ボールを形成しても良い。
【0086】
図15に示すように、図14に示した本発明の実施形態に係る半導体装置30の製造方法は、図3乃至図5に示したプリント配線基板1の製造方法によって製造されたプリント配線基板1を使用して、プリント配線基板1の配線パターン11側の表面に、軟らかい(ヤング率の小さい)シート状の絶縁性樹脂をラミネートすることにより封止用絶縁層33を形成する(ステップ21:S21)。ここでは、シート状の絶縁性樹脂をプリント配線基板1の表面にラミネートして、封止用絶縁層33を形成しているが、半導体チップ31のスタッド32側の表面にシート状の絶縁性樹脂をラミネートして、封止用絶縁層33を形成しても良い。また、アンダーフィルによって封止用絶縁層33を形成しても良い。
【0087】
最後に、半導体チップ31のスタッド32を、プリント配線基板1の表面の封止用絶縁層33を貫通して、バンプ10に達するように押圧し、それとともに加熱することにより、半導体チップ31のスタッド32とプリント配線基板1のバンプ10とを接合(フリップチップ接合)する(ステップ22:S22)。これにより、図14に示した本実施形態による半導体装置30が形成される。また、半導体チップ31とプリント配線基板1の配線パターン11とが電気的に接続される。また、更に、外部接続電極6に、マトリックス状に半田ボールを形成する工程を行っても良い。尚、ステップ21およびステップ22は、特許請求の範囲に記載の工程(h1)または工程(h2)を構成する。
【0088】
尚、上記の本発明の実施形態に係る半導体装置30の製法方法では、プリント配線基板1を用いているが、プリント配線基板1aを用いる場合は、上記のステップ22の後または前に、プリント配線基板1の銅箔2を剥離層3とともに極薄銅箔4から剥離し、極薄銅箔4をエッチングによって除去することによってピーラブル銅箔5を除去する工程を行う。この工程は特許請求の範囲に記載の工程(i)を構成する。
【0089】
また、複数の半導体チップ31がプリント配線基板1に接合されている場合は、上記のステップ22の後に、半導体チップ31毎の半導体装置30を形成するために、所定のダイシングラインに沿って切断する工程を行っても良い。
【0090】
図16は、図6(a)に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板100を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置130を模式的に示した断面図である。また、図17は、図16に示した本発明の実施形態に係る半導体装置130の製造方法を示す図である。図16及び図17の本発明の実施形態に係る半導体装置130及びその製造方法と、図14及び図15の本発明の実施形態に係る半導体装置30及びその製造方法との相違点は、プリント配線基板1の替わりにプリント配線基板100を用いた点である。
【0091】
また、図18は、図10(a)に示した本発明の実施形態に係る別のプリント配線基板200を用いた本発明の実施形態に係る半導体装置230を模式的に示した断面図である。また、図19は、図18に示した本発明の実施形態に係る半導体装置230の製造方法を示す図である。図18及び図19の本発明の実施形態に係る半導体装置230及びその製造方法と、図14及び図15の本発明の実施形態に係る半導体装置30及びその製造方法との相違点は、プリント配線基板1の替わりにプリント配線基板200を用いた点である。
【0092】
以上より、本発明の実施形態に係る半導体装置30,130,230によれば、本発明の実施形態に係るプリント配線基板1,100,200と同様の効果がある。
【実施例】
【0093】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(半導体装置の作製)
図3乃至図5のプリント配線基板の製造方法により、下記の表1に示す絶縁層の材料と凹み防止部の材料とを用いてプリント配線基板を作製し、図15の半導体装置の製造方法により、実施例1乃至4にかかる半導体装置を作製した。また、図7乃至図9のプリント配線基板の製造方法により、下記の表1に示す、ヤング率を有する絶縁層の材料と凹み防止部の材料とを用いてプリント配線基板を作製し、図17の半導体装置の製造方法により、実施例5にかかる半導体装置を作製した。また、従来のプリント配線基板の製造方法により、下記の表1に示す絶縁層の材料を用いてプリント配線基板を作製し、図15の半導体装置の製造方法と同様な方法により、比較例1及び2にかかる半導体装置を作製した。
【0094】
尚、実施例1乃至5にかかる半導体装置の絶縁層及び凹み防止部の厚さは約50μmとし、比較例1及び2にかかる半導体装置の絶縁層の厚さは約50μmとした。
また、絶縁層Aは、味の素ファインテクノ(株)製ボンディングシートLE−S4であり、絶縁層Bは、旭化成(株)製フォトドライフィルムISA−04であり、凹み防止部Aは、日立化成工業(株)製フォトドライフィルムFR−7025であり、凹み防止部Bは、日立化成工業(株)製フォトドライフィルムFR−5525であり、凹み防止部Cは、東レ(株)製のガラス転移温度(Tg)が250℃のLPN−1500であり、凹み防止部Dは、銅である。
【0095】
(絶縁信頼性の評価)
作製された実施例1乃至5にかかる半導体装置、並びに、作製された比較例1及び2にかかる半導体装置において、バンプに対応する位置の近傍の絶縁層の厚さと、プリント配線基板と半導体チップの間の封止用絶縁層の厚さを測定した。絶縁層及び封止用絶縁層が、ともに12μm以上の厚さであった場合を絶縁信頼性がある(○)とし、絶縁層及び封止用絶縁層の少なくともどちらか一方が12μm未満の厚さであった場合を絶縁信頼性がない(×)とした。尚、12μmは、絶縁層及び封止用絶縁層の誘電率を考慮して、絶縁信頼性が確保できる厚さである。
【0096】
(TCT試験サイクル数)
作製された実施例1乃至5にかかる半導体装置、並びに、作製された比較例1及び2にかかる半導体装置について、−65℃で10分保持の状態から150℃で10分保持の状態とへと変化させる温度サイクル試験を実施し、半導体チップとプリント配線基板との半田接合部(1次接合部)にクラックが発生し、接続抵抗が初期値に比較して10%上昇するまでのサイクル数(回)を測定した。
【0097】
尚、凹み防止部A〜Dの150℃におけるヤング率は、150℃に設定したサーマルチャンバー中で、ストログラフ(引張圧縮試験機)を使用して測定した。
【0098】
【表1】
【0099】
表1に示すように、実施例1乃至5にかかる半導体装置は、絶縁層及び封止用絶縁層が、ともに12μm以上の厚さとなり、絶縁信頼性を確保できた。一方、比較例1及び2にかかる半導体装置は、絶縁層及び封止用絶縁層の少なくともどちらか一方が12μm未満の厚さとなり、絶縁信頼性を確保できなかった。更に、実施例1及び2にかかる半導体装置は、凹み防止部が150℃でのヤング率が0.2GPa以下であるため、TCT試験サイクル数が半導体装置に要求されるサイクル数(1000回)以上であった。
【符号の説明】
【0100】
1,100,200 : プリント配線基板
2 : 銅箔
4 : 極薄銅箔
5 : ピーラブル銅箔
6 : 外部接続電極
7 : 絶縁層
8 : 金属層
9 : 金属下地層
10 : バンプ
11 : 配線パターン
12 : ビア
12a : ビア形成用孔
13,113,213 : 凹み防止部
113a : 凹み防止部形成用孔
14 : レジスト
30,130,230 : 半導体装置
31 : 半導体チップ(電子デバイス)
32 : スタッド
33 : 封止用絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路を構成する配線パターンと、
前記配線パターンの表面の所定位置に形成された、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極と、
前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上の前記電子デバイス接続電極に対応する位置を少なくとも含むように設けられた凹み防止部と、
前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上であって、当該面上の前記凹み防止部の無い位置に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の表面の所定位置に形成された、外部電極と接続するための外部接続電極と、
前記絶縁層の所定位置に厚み方向に貫通する孔と前記孔の側面及び底面に設けられた導電性の層とを有し、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアと、
を備え、
前記凹み防止部は、前記絶縁層よりもヤング率が大きいことを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記絶縁層は、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記凹み防止部は、ポリイミドまたは金属であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項5】
前記凹み防止部は、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項6】
前記プリント配線基板の前記外部接続電極側の表面に、キャリア層が更に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項7】
前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板。
【請求項8】
前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板。
【請求項9】
プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とが接合して形成された半導体装置であって、
前記プリント配線基板は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線基板であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
(a1)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、凹み防止部を形成する工程と、
(b1)前記キャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、
(c1)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、前記凹み防止部よりもヤング率の小さい絶縁層を形成する工程と、
(d1)前記工程(c1)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、かつ、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、
(e1)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d1)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、
(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記凹み防止部は、ポリイミドであることを特徴とする請求項10に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項12】
(a2)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、
(b2)前記キャリア層の表面の前記外部接続電極のない位置及び前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、
(c2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記絶縁層の前記外部接続電極側の表面における所定位置が底面となる、凹み防止部を形成するための凹み防止部形成用孔を形成する工程と、
(d2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、
(e2)前記絶縁層の表面、前記工程(c2)によって形成された前記凹み防止部形成用孔の側面、前記凹み防止部形成用孔の底面、前記工程(d2)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と当該配線パターンとを電気的に接続するビアを形成し、同時に、表面が前記配線パターンの一部となり、かつ、前記金属下地層及び前記金属層によって前記凹み防止部形成用孔が埋められた前記凹み防止部を形成する工程と、
(f)前記凹み防止部の表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項13】
(a3)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、
(b3)前記キャリア層の表面の所定位置に、金属ナノペーストから金属ナノ粒子を焼結させてなる凹み防止部を形成する工程と、
(c3)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、
(d3)前記工程(c3)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、
(e3)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d3)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、
(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁層は、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項17】
前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項18】
(g)前記キャリア層を除去する工程を、前記工程(f)の後に更に備えていることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項19】
プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、
(h1)前記電子デバイスと、請求項10乃至17のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程と、
(i)前記キャリア層を除去する工程と、
を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、
(h2)前記電子デバイスと、請求項18に記載のプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
電気回路を構成する配線パターンと、
前記配線パターンの表面の所定位置に形成された、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極と、
前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上の前記電子デバイス接続電極に対応する位置を少なくとも含むように設けられた凹み防止部と、
前記配線パターンの前記電子デバイス接続電極側とは反対の面上であって、当該面上の前記凹み防止部の無い位置に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の表面の所定位置に形成された、外部電極と接続するための外部接続電極と、
前記絶縁層の所定位置に厚み方向に貫通する孔と前記孔の側面及び底面に設けられた導電性の層とを有し、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアと、
を備え、
前記凹み防止部は、前記絶縁層よりもヤング率が大きいことを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記絶縁層は、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記凹み防止部は、ポリイミドまたは金属であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項5】
前記凹み防止部は、150℃でのヤング率が0.2GPa以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項6】
前記プリント配線基板の前記外部接続電極側の表面に、キャリア層が更に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項7】
前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板。
【請求項8】
前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板。
【請求項9】
プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とが接合して形成された半導体装置であって、
前記プリント配線基板は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリント配線基板であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
(a1)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、凹み防止部を形成する工程と、
(b1)前記キャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、
(c1)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、前記凹み防止部よりもヤング率の小さい絶縁層を形成する工程と、
(d1)前記工程(c1)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、かつ、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、
(e1)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d1)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、
(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記凹み防止部は、ポリイミドであることを特徴とする請求項10に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項12】
(a2)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、
(b2)前記キャリア層の表面の前記外部接続電極のない位置及び前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、
(c2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記絶縁層の前記外部接続電極側の表面における所定位置が底面となる、凹み防止部を形成するための凹み防止部形成用孔を形成する工程と、
(d2)前記工程(b2)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、
(e2)前記絶縁層の表面、前記工程(c2)によって形成された前記凹み防止部形成用孔の側面、前記凹み防止部形成用孔の底面、前記工程(d2)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と当該配線パターンとを電気的に接続するビアを形成し、同時に、表面が前記配線パターンの一部となり、かつ、前記金属下地層及び前記金属層によって前記凹み防止部形成用孔が埋められた前記凹み防止部を形成する工程と、
(f)前記凹み防止部の表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項13】
(a3)導電性を有した金属からなるキャリア層の表面の所定位置に、外部電極と接続するための外部接続電極を形成する工程と、
(b3)前記キャリア層の表面の所定位置に、金属ナノペーストから金属ナノ粒子を焼結させてなる凹み防止部を形成する工程と、
(c3)前記キャリア層の表面の前記凹み防止部及び前記外部接続電極のない位置、並びに前記外部接続電極の表面に、絶縁層を形成する工程と、
(d3)前記工程(c3)によって形成された前記絶縁層に、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通し、前記外部接続電極の所定表面領域が底面となる、ビアを形成するためのビア形成用孔を形成する工程と、
(e3)前記絶縁層の表面、前記凹み防止部の表面、前記工程(d3)によって形成された前記ビア形成用孔の側面、及び前記ビア形成用孔の底面に金属下地層を形成した後に、前記金属下地層の表面に電気めっきにより金属層を形成し、所定箇所の前記金属下地層及び前記金属層を除去して前記絶縁層の表面及び前記凹み防止部の表面に所望の配線パターンを形成するとともに、前記外部接続電極と前記配線パターンとを電気的に接続するビアを形成する工程と、
(f)前記凹み防止部の上の前記配線パターンの表面であって、当該表面の所定位置に、電子デバイスと電気的に接続する電子デバイス接続電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁層は、ヤング率が1.0GPa未満であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁層は、エポキシ、フッ素樹脂、またはポリフェニレンオキシサイドであることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記キャリア層は、剥離層を介して互いに剥離可能に接続された金属箔と金属極薄箔とからなるピーラブル金属箔であることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項17】
前記キャリア層は、42アロイからなることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項18】
(g)前記キャリア層を除去する工程を、前記工程(f)の後に更に備えていることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項19】
プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、
(h1)前記電子デバイスと、請求項10乃至17のいずれか1項に記載のプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程と、
(i)前記キャリア層を除去する工程と、
を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
プリント配線基板と電気的に接続するための基板接続電極を有する電子デバイスと、前記プリント配線基板とを接合して形成する半導体装置の製造方法であって、
(h2)前記電子デバイスと、請求項18に記載のプリント配線基板の製造方法によって製造された前記プリント配線基板とを接合する工程を備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−89596(P2012−89596A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233295(P2010−233295)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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