説明

プリント配線基板用表面実装部品取外し装置及び該表面実装部品取外し装置を使用可能なプリント配線基板並びに該プリント配線基板の表面実装部品取外し方法

【課題】表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、当該表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することなく、表面実装部品を取外すことができるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置及びその対象とするプリント配線基板を提供する。
【解決手段】加熱用先端部11を備えてプリント配線基板用表面実装部品取外し装置1を構成すると共に、対象とするプリント配線基板5の表面実装部品6のハンダ付用パターン箔51に、プリント配線基板5の上面下面間を貫通する貫通孔52を形成し、プリント配線基板5の表面実装部品6の実装面とは反対側の面から、プリント配線基板5の貫通孔52に加熱用先端部11が挿入されると共に、該加熱用先端部11の先端面が、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させて該ハンダ7を加熱し、該ハンダ7を溶融させることにより、表面実装部品6を取外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装部品が実装されたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置、及び、該表面実装部品取外し装置を使用可能なプリント配線基板、並びに、該プリント配線基板の表面実装部品取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の電子機器は小型化の要請が強く、これに伴って、電子機器の内部に実装される部品の小型化も進んでおり、表面実装部品が考案され使用されている。この表面実装部品は、一般に、裏面に接続端子を備えており、この裏面に備えられた接続端子をプリント配線基板の表面に形成されたハンダ付用パターン箔にハンダ付して、プリント配線基板に実装される。
【0003】
このようにしてプリント配線基板に実装された表面実装部品を、修理等のためにプリント配線基板から取外す作業は、従来から、次のように行われていた。即ち、表面実装部品は上述したように、一般には、裏面に接続端子が備えられており、この接続端子がプリント配線基板の表面に形成されたハンダ付用パターン箔にハンダ付されている。従って、表面実装部品の接続端子とプリント配線基板のハンダ付用パターン箔との接着部分は、表面実装部品とプリント配線基板とで覆われて隠れている。そのため、この接着部分は、半田ごて等で直接触れることはできない。
【0004】
そこで、まず、一定の温度になるように管理されたバキュームノズルで表面実装部品を吸着すると共に、表面実装部品へ熱を伝導させる。そして、表面にバキュームノズルが接触している表面実装部品の裏面にある接続端子とプリント配線基板のハンダ付用パターン箔との接着部分のハンダを、この熱の伝導により溶融し、ハンダが完全に溶融したところでバキュームノズルを引き上げ、表面実装部品をプリント配線基板より取外していた。又、バキュームノズルからだけでは充分に表面実装部品を加熱できない場合は、プリント配線基板の表面実装部品の実装面とは反対側の面からも熱を加えて表面実装部品を取外していた。
【0005】
又、上記のような方法を用いた取外しを、容易に行うための装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、基板搭載部品取り外し装置であり、基板に実装された部品に加熱風を供給して、基板に搭載されている部品と基板との接着部分のハンダを溶融して、この部品を取外すものである。
【特許文献1】特開平5−191036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来例の取外し方法は、一定の温度のバキュームノズルで表面実装部品を吸着して表面実装部品へ熱を伝導させ、表面にバキュームノズルが接触している表面実装部品の裏面にある接続端子とプリント配線基板のハンダ付用パターン箔との接着部分のハンダを、この熱の伝導により溶融するものである。そのため、この接着部分に熱が伝わるのに時間がかかり、当該表面実装部品やその周辺の実装部品が不必要に加熱され、これらの表面実装部品やその周辺の実装部品が熱により劣化する恐れがあるという問題があった。
【0007】
この点は、特許文献1記載の基板搭載部品取り外し装置においても、例外ではなく、基板に実装された部品に加熱風を供給して、基板に搭載されている部品と基板との接着部分のハンダを溶融することから、上記と同様の問題がある。
【0008】
又、表面実装部品を実装しているプリント配線基板の実装面とは反対側の面からも熱を加えられるようにしておく必要があることから、この実装面とは反対側の面への表面実装部品の実装を極力避ける必要があった。又、やむを得ず反対側の面へ表面実装部品を実装した場合は、この反対側の面へ実装した表面実装部品を取外す必要がないにもかかわらず、実装面に実装した表面実装部品を取外すために、取外さなければならず、手間がかかるという問題があった。
【0009】
そこでこの発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外すのに、当該表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することなく、取外すことができるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置、及び、この該表面実装部品取外し装置を使用可能なプリント配線基板、並びに、このプリント配線基板の表面実装部品取外し方法を、提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
まず、本発明のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置について説明する。本発明の第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置は、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外す装置であって、発熱する加熱用先端部を備えている。このプリント配線基板用表面実装部品取外し装置により表面実装部品を取外すプリント配線基板は、実装された表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されている。
【0011】
このプリント配線基板から表面実装部品を取外すには、まず、プリント配線基板の表面実装部品が実装されている実装面の反対側の面から、プリント配線基板の貫通孔に、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の加熱用先端部を挿入する。そして、挿入したこの加熱用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて該ハンダを加熱し、該ハンダを溶融させることにより、表面実装部品を取外すことを特徴としている。
【0012】
上記第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置によれば、プリント配線基板の貫通孔に挿入した表面実装部品取外し装置の加熱用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて該ハンダを加熱し、該ハンダを溶融して表面実装部品を取外す仕組みを用いている。即ち、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを、直接加熱することにより溶融させている。
【0013】
従って、当該表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することなく、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを溶融して、当該表面実装部品を取外すことができる。そのため、取外す表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することを抑制できるので、これらの表面実装部品やその周辺の実装部品が劣化する恐れを解消することができる。
【0014】
又、表面実装部品を取外すのに、この表面実装部品を実装しているプリント配線基板の実装面とは異なる反対側の面から熱を加える必要がないため、この実装面の反対側の面への他の表面実装部品の実装を避ける必要がなくなる。従って、プリント配線基板に実装可能な表面実装部品の個数を増やすことができる。又、表面実装部品を取外すのに際して、この表面実装部品の実装面とは異なる反対側の面へ別の表面実装部品を実装している場合は、この実装している別の表面実装部品を取外す必要もなくなる。従って、表面実装部品を効率よく取外すことができる。
【0015】
上記の第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置において、加熱用先端部を上方へ付勢する付勢付与部を備えるようにしてもよい。この付勢付与部を備えた第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置は、プリント配線基板の貫通孔に挿入された加熱用先端部が、付勢付与部により上方へ付勢されて、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧する。そして、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが溶融すると、加熱用先端部が表面実装部品と共に上方に移動し、表面実装部品をプリント配線基板の実装位置から離間させて取外すものである。
【0016】
上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置によれば、加熱用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とが接着している部分のハンダに接触させて該ハンダを加熱するのみならず、付勢付与部により加熱用先端部が上方へ付勢されることにより、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧する。そのため、接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが溶融した際には、加熱用先端部は、表面実装部品を押し上げながら上方に移動する。従って、表面実装部品がプリント配線基板から離間するので、表面実装部品をプリント配線基板から容易に取外すことができる。
【0017】
本発明の第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置は、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外す装置であって、押圧用先端部と該押圧用先端部を上方へ付勢する付勢付与部とを備えている。このプリント配線基板用表面実装部品取外し装置により表面実装部品を取外すプリント配線基板は、実装された表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されている。
【0018】
このプリント配線基板から表面実装部品を取外すには、プリント配線基板の表面実装部品の実装面とは反対側の面から、押圧用先端部を挿入し、該押圧用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させると共に、付勢付与部により押圧用先端部が上方へ付勢されることにより、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧する。そして、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを、他の手段により加熱して溶融し、該ハンダが溶融すると、押圧用先端部が表面実装部品と共に上方に移動し、表面実装部品をプリント配線基板の実装位置から離間させて取外すのである。
【0019】
上記の第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置によれば、プリント配線基板の貫通孔に挿入して表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させた表面実装部品取外し装置の押圧用先端部が、付勢付与部により上方へ付勢されて、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧すると共に、他の手段により、接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを加熱して溶融する。そのため、このハンダが他の手段により溶融した際には、押圧用先端部は、表面実装部品を押し上げながら上方に移動する。従って、表面実装部品がプリント配線基板と離間されるので、表面実装部品をプリント配線基板から容易に取外すことができる。
【0020】
上記第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置において、他の手段として、上記第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いるのが好ましい。このようにすることにより、上記第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の有する機能と上記第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の有する機能とを併用することができ、プリント配線基板から表面実装部品を効率よく取外すことができる。
【0021】
次に、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いて表面実装部品を取外す本発明のプリント配線基板について説明する。このプリント配線基板は、表面実装部品が実装されるプリント配線基板である。そして、実装される表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されており、且つ、該ハンダ付用パターン箔に、上面下面間を貫通すると共に、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の加熱用先端部又は押圧用先端部が挿入可能な単又は複数の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0022】
上記のプリント配線基板を用いて表面実装部品を実装すると、この表面実装部品が実装された上記のプリント配線基板は、このプリント配線基板から、上述したプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いて表面実装部品を取外す際には、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置で説明したのと同様の作用、効果を発揮する。
【0023】
上記のプリント配線基板において、貫通孔をスルホールで形成するようにしてもよい。このようにすることにより、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の加熱用先端部又は押圧用先端部を挿入する貫通孔を、プリント配線基板における上面と下面との電気的接続用にも使用することができる。
【0024】
又、上記のプリント配線基板において、貫通孔を、複数形成し、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の加熱用先端部又は押圧用先端部が挿入される貫通孔以外の貫通孔を、放熱用貫通孔として用いるようにしてもよい。このようにすることにより、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いて行う表面実装部品の取外し作業の際、この作業中に発生する熱を効率よく逃がすことができ、取外す表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することを抑制できるので、これらの表面実装部品やその周辺の実装部品が劣化する恐れを解消することができる。
【0025】
又、上記のプリント配線基板において、表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔を、平面視矩形にすると共に、貫通孔を、該ハンダ付用パターン箔の四隅に形成するようにしてもよい。
【0026】
この場合に、貫通孔を、表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔の四隅のほか、中央にも形成し、四隅の貫通孔を、上記第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の加熱用先端部挿入用とし、中央の貫通孔を、上記第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の押圧用先端部挿入用とするようにしてもよい。
【0027】
このようにしたプリント配線基板を用いることにより、上記第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の有する機能と上記第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の有する機能とを併用することができるので、プリント配線基板から表面実装部品を効率よく取外すことができる。
【0028】
又、上記のプリント配線基板において、表面実装部品を実装する面と反対側の面にシールドケースを装着すると共に、該シールドケースには、プリント配線基板の貫通孔と対面する該シールドケースの部分に、開口部を形成するのが好ましい。このようにすることにより、上記のプリント配線基板にシールドケースを装着しても、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いるようにすることができる。
【0029】
又、上記のプリント配線基板において、上面と下面にそれぞれ表面実装部品を実装すると共に、上面と下面のいずれか一方に実装する表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔に形成される貫通孔を、上面と下面のいずれか他方に実装される他の表面実装部品で塞がれない位置に形成するのが好ましい。
【0030】
このようにすることにより、プリント配線基板の上面及び下面に取付可能な表面実装部品の個数を、上記のプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の使用を妨げることなく、増加することができる。
【0031】
次に、本発明のプリント配線基板用表面実装部品取外し方法について説明する。本発明の第1のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法は、発熱する加熱用先端部が備えられた表面実装部品取外し装置を用いて、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外す方法である。
【0032】
この第1のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法で用いられるプリント配線基板は、実装された表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されている。
【0033】
そして、この第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し方法では、表面実装部品の実装面とは反対側の面から、プリント配線基板の貫通孔に、表面実装部品取外し装置の加熱用先端部を挿入すると共に、該加熱用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて該ハンダを加熱し、該ハンダを溶融することにより、表面実装部品を取外すことを特徴としている。
【0034】
上記第1のプリント配線基板用表面実装部品取外し方法において、発熱する加熱用先端部のほか、該加熱用先端部を上方へ付勢する付勢付与部を備えた表面実装部品取外し装置を用いるようにしてもよい。
【0035】
この付勢付与部を備えたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いたプリント配線基板用表面実装部品取外し方法では、プリント配線基板の貫通孔に、表面実装部品取外し装置の加熱用先端部を挿入すると共に、該加熱用先端部が付勢付与部により上方へ付勢されることにより、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧する。
【0036】
そのため、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが溶融すると、加熱用先端部が表面実装部品と共に上方に移動し、表面実装部品をプリント配線基板の実装位置から離間させて取外すのである。
【0037】
本発明の第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し方法は、押圧用先端部と該押圧用先端部を上方へ付勢する付勢付与部とを備えた表面実装部品取外し装置を用いて、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外す方法である。
【0038】
この第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し方法で用いられるプリント配線基板は、実装された表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されている。
【0039】
そして、この第2のプリント配線基板用表面実装部品取外し方法では、プリント配線基板の表面実装部品の実装面とは反対側の面から、押圧用先端部を挿入し、該押圧用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させると共に、該押圧用先端部が付勢付与部により上方へ付勢されることにより、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧する。
【0040】
そのため、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが、上記の他の方法により溶融すると、押圧用先端部が表面実装部品と共に上方に移動し、表面実装部品をプリント配線基板の実装位置から離間させて取外すのである。
【0041】
上記第2のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法において、上記の他の方法として、上記の第1のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法を用いるようにしてもよい。
【0042】
上記の各プリント配線基板の表面実装部品取外し方法は、上述した各プリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いた表面実装部品の取外し方法と同様の作用、効果を有する。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、発熱する加熱用先端部を備えたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いて、プリント配線基板から表面実装部品を取外すことができる。この場合は、プリント配線基板の貫通孔に挿入した表面実装部品取外し装置の加熱用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて該ハンダを加熱し、該ハンダを溶融して表面実装部品を取外す仕組みを用いている。即ち、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを、直接加熱することにより溶融させている。
【0044】
従って、当該表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することなく、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを溶融して、当該表面実装部品を取外すことができる。そのため、取外す表面実装部品やその周辺の実装部品を不必要に加熱することを抑制できるので、これらの表面実装部品やその周辺の実装部品が劣化する恐れを解消することができる。
【0045】
又、表面実装部品を取外すのに、この表面実装部品を実装しているプリント配線基板の実装面とは異なる反対側の面から熱を加える必要がないため、この実装面の反対側の面への他の表面実装部品の実装を避ける必要がなくなる。従って、プリント配線基板に実装可能な表面実装部品の個数を増やすことができる。又、表面実装部品を取外すのに際して、この表面実装部品の実装面とは異なる反対側の面へ別の表面実装部品を実装している場合は、この実装している別の表面実装部品を取外す必要もなくなる。従って、表面実装部品を効率よく取外すことができる。
【0046】
又、本発明によれば、発熱する加熱用先端部のほか、該加熱用先端部を上方へ付勢する付勢付与部を備えたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置を用いて、プリント配線基板から表面実装部品を取外すことができる。この場合は、加熱用先端部の先端面を、表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とが接着している部分のハンダに接触させて該ハンダを加熱するのみならず、付勢付与部により加熱用先端部が上方へ付勢されることにより、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧する。そのため、接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが溶融した際には、加熱用先端部は、表面実装部品を押し上げながら上方に移動する。従って、表面実装部品がプリント配線基板から離間するので、表面実装部品をプリント配線基板から容易に取外すことができる。
【0047】
又、本発明によれば、押圧用先端部と該押圧用先端部を上方へ付勢する付勢付与部とを備えたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置と、表面実装部品の接続端子とプリント配線基板のハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを溶融する他の手段とを用いて、プリント配線基板から表面実装部品を取外すことができる。この場合は、プリント配線基板の貫通孔に挿入して表面実装部品の接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させた表面実装部品取外し装置の押圧用先端部が、付勢付与部により上方へ付勢されて、プリント配線基板に実装されている表面実装部品を下方から押圧すると共に、他の手段により、接続端子とハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを加熱して溶融する。そのため、このハンダが他の手段により溶融した際には、押圧用先端部は、表面実装部品を押し上げながら上方に移動する。従って、表面実装部品がプリント配線基板と離間されるので、表面実装部品をプリント配線基板から容易に取外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本実施の形態におけるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施の形態におけるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置は、修理等のために、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外すのに用いられる装置である。
【0049】
<実施の形態1>
図1(a)は、実施の形態1におけるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置1(以下、#1表面実装部品取外し装置1と称する)の上面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図、図2(a)は、プリント配線基板5の上面に表面実装部品6が実装された実装済プリント配線基板4の平面図、図2(b)は、図2(a)のB−B断面図、そして、図3は、実装済プリント配線基板4に対する#1表面実装部品取外し装置1の使用状態を示した断面図である。
【0050】
図1(a)、(b)において、#1表面実装部品取外し装置1は、金属製で円柱状の支柱14と、この支柱14よりも太い円柱状で断熱性の樹脂等で形成された握持部12とで構成されている。支柱14の上端部は、加熱用先端部11を構成しており、この内部には、ヒータ13が内蔵されている。又、支柱14の下端部は、握持部12に設けられた保持孔に、握持部12の上端から嵌入されて握持部12と一体に固定されている。上記のヒータ13は、図示されていない配線により、外部の電源に接続して、発熱させることができる。
【0051】
図2(a)、(b)において、実装済プリント配線基板4は、プリント配線基板5と表面実装部品6とで構成されている。表面実装部品6は、矩形状をしており、裏面に、平板状の薄い金属製の接続端子61を備えている。表面実装部品は、一般には、複数の接続端子を備えているが、本実施の形態では、上記の表面実装部品6は、説明の便宜上、表面実装部品6の裏面全体に一つの接続端子61が形成されているものとする。
【0052】
プリント配線基板5は、エポキシガラス等の樹脂で形成されており、上面には、ハンダ付用パターン箔51が形成されている。このハンダ付用パターン箔51は、表面実装部品6の接続端子61の表面形状と同じ形状で形成されており、その中央には、プリント配線基板5の上面下面間を貫通する、直径が、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11の直径よりも多少大きい貫通孔52が1個形成されている。そして、表面実装部品6は、このハンダ付用パターン箔51に表面実装部品6の接続端子61をハンダ7でハンダ付することにより、プリント配線基板5に実装される。従って、表面実装部品6が実装された状態のプリント配線基板5、即ち、実装済プリント配線基板4では、貫通孔52は、実装されている表面実装部品6の真下に位置している。
【0053】
次に、上記の#1表面実装部品取外し装置1を用いて、実装済プリント配線基板4から表面実装部品6を取外す方法について、図3を参照して説明する。まず、ヒータ13に通電して発熱させた#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を、実装済プリント配線基板4を構成するプリント配線基板5に実装された表面実装部品6の真下中央に位置する貫通孔52に、下方から挿入する。即ち、プリント配線基板5の表面実装部品6の実装面とは反対側の面から、貫通孔52に、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を挿入する。そして、この加熱用先端部11の先端面を、図3に示すように、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させてこのハンダ7を加熱する。すると、このハンダ7が溶融するので、完全に溶融した時点で、表面実装部品6をプリント配線基板5から引き離して表面実装部品6を取外す。
【0054】
上記の実施の形態1では、まず、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を、プリント配線基板5の貫通孔52に下方から挿入している。そして、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11の先端面を表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させて該ハンダ7を加熱し、該ハンダ7を溶融して表面実装部品6を取外す仕組みを用いている。即ち、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7を、直接加熱することによりハンダ7を溶融させている。
【0055】
従って、当該表面実装部品6を不必要に加熱することなく、又、当該表面実装部品6の周辺に他の実装部品がある場合は、この他の実装部品も不必要に加熱することなく、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7を溶融して、当該表面実装部品6を取外すことができる。そのため、取外す表面実装部品6やその周辺の実装部品を不必要に加熱することを抑制できるので、これらの表面実装部品6やその周辺の実装部品が劣化する恐れを、解消することができる。
【0056】
又、表面実装部品6を取外すのに、この表面実装部品6を実装しているプリント配線基板5の実装面とは異なる反対側の面から熱を加える必要がないため、この実装面の反対側の面への他の表面実装部品の実装を避ける必要はなくなる。従って、プリント配線基板5に実装可能な表面実装部品の個数を増やすことができる。又、表面実装部品6を取外すのに際して、この表面実装部品6の実装面とは異なる反対側の面へ別の表面実装部品を実装している場合は、この実装している別の表面実装部品を取外す必要もなくなる。従って、表面実装部品6を効率よく取外すことができる。
【0057】
ところで、上記の実施の形態1では、プリント配線基板5のハンダ付用パターン箔51には、プリント配線基板5の上面下面間を貫通する貫通孔52が、1個だけ形成されているが、複数個形成するようにしてもよい。この場合、プリント配線基板5のハンダ付用パターン箔51を、平面視矩形にすると共に、貫通孔を、ハンダ付用パターン箔51の四隅に形成するようにしてもよい。
【0058】
この場合、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11は、いずれの貫通孔に挿入してもよく、この場合、#1表面実装部品取外し装置1を挿入しない貫通孔は、放熱用に使用することができる。このようにすると、上記の#1表面実装部品取外し装置1を用いて行う表面実装部品6の取外し作業の際、この作業中に発生する熱を効率よく逃がすことができ、取外す表面実装部品6やその周辺の実装部品を不必要に加熱することを、さらに抑制することができるので、これらの表面実装部品6やその周辺の実装部品が劣化する恐れを解消することができる。又、#1表面実装部品取外し装置1を複数個用いてこれらの貫通孔に挿入し、同時に使用するようにしてもよい。
【0059】
又、プリント配線基板5のハンダ付用パターン箔51に形成するプリント配線基板5の上面下面間を貫通する貫通孔52を、スルホールで形成するようにしてもよい。このようにすることにより、上記の#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を挿入する貫通孔52を、プリント配線基板5における上面と下面との電気的接続用にも使用することができる。
【0060】
又、上記の実施の形態1において、図4に示すように、上記のプリント配線基板5の上面と下面にそれぞれ表面実装部品6,6a,6aを実装する場合、上面と下面のいずれか一方に実装する表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔に形成される貫通孔を、上面と下面のいずれか他方に実装される他の表面実装部品で塞がれない位置に形成するのが好ましい。例えば、図4では、プリント配線基板5の上面に実装されている表面実装部品6用の貫通孔52は、プリント配線基板5の下面に実装されている表面実装部品6a,6aで塞がれず、又、プリント配線基板5の下面に実装されている表面実装部品6a,6a用の貫通孔52a,52aは、プリント配線基板5の上面に実装されている表面実装部品6で塞がれていない。このようにすることにより、プリント配線基板5の上面及び下面に取付け可能な表面実装部品6の個数を、上記の#1表面実装部品取外し装置1の使用を妨げることなく、増加することができる。
【0061】
又、上記の実施の形態1において、図5に示すように、上記のプリント配線基板5の表面実装部品6を実装する面と反対側の面にシールドケース8を装着する場合には、該シールドケース8に、プリント配線基板5の貫通孔52と対面する該シールドケース8の部分に、開口部81を形成する。このようにすることにより、シールドケース8をプリント配線基板5に装着しても、上記の#1表面実装部品取外し装置1を用いるようにすることができる。
【0062】
<実施の形態2>
図6(a)は、実施の形態2におけるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置2(以下、#2表面実装部品取外し装置2と称する)の上面図、図6(b)は、図6(a)のC−C断面図、図6(c)は、#2表面実装部品取外し装置2の使用状態における断面図、そして、図7は、実装済プリント配線基板4に対する#2表面実装部品取外し装置2の使用状態を示した断面図である。
【0063】
図6(a)、(b)において、#2表面実装部品取外し装置2は、金属製で円柱状であり、内部にヒータ23を内蔵した加熱用先端部21と、この加熱用先端部21よりも太い円柱状で断熱性の樹脂等で形成された握持部22と、上記の加熱用先端部21よりも細い丸棒状で金属製の軸24とで構成されている。軸24の上端には、加熱用先端部21の下端が、この加熱用先端部21と軸24との双方の中心軸を一致させて結合されている。又、中心軸24の下端部は、握持部22に設けられたスライド孔26に上方から挿入されており、中心軸24の下端部の先端には、ピストン25が連結されている。このピストン25は、握持部22の内部でスライド孔26の下端に連通して設けられたシリンダ27内に嵌挿されている。上記のヒータ23は、#1表面実装部品取外し装置1と同様、図示されていない配線により、外部の電源に接続して、発熱させることができる。
【0064】
上記の#2表面実装部品取外し装置2では、加熱用先端部21を上下に移動させると、これに合わせて、軸24が握持部22に設けられたスライド孔26内を上下にスライドして移動し、同時に、ピストン25がシリンダ27内を上下に移動する。ピストン25が移動する移動距離は、ピストン25が移動するシリンダ27の上端と下端間の距離である。従って、加熱用先端部21が移動する距離も、この移動距離である。又、軸24が握持部22の外に露出している部分に、バネ28が周設されており、このバネ28により、加熱用先端部21が上方に付勢されている。
【0065】
即ち、#2表面実装部品取外し装置2は、定常状態では、バネ28の付勢により、ピストン25がシリンダ27の上端に接している状態である。この状態で、図6(c)に示すように、加熱用先端部21の上面を固定された当接面9に当接させると共に、握持部22を上方へ上記の移動距離だけ移動させると、バネ28が縮んで、加熱用先端部21を上方に向かって定常状態におけるよりも強い力で付勢する。そこで、加熱用先端部21の上面を当接している固定された当接面9が可動状態となると、加熱用先端部21が、この当接面9を上方へ、図6(c)に示す矢印の方向に押し上げるようにして、上記の移動距離だけ移動する。
【0066】
次に、上記の#2表面実装部品取外し装置2を用いて、上述した実施の形態1で使用されているのと同じ実装済プリント配線基板4から、表面実装部品6を取外す方法について、図7を参照して説明する。まず、ヒータ23に通電して発熱させた#2表面実装部品取外し装置2の加熱用先端部21を、実装済プリント配線基板4を構成するプリント配線基板5に実装された表面実装部品6の真下に位置する貫通孔52に、下方から挿入する。即ち、プリント配線基板5の表面実装部品6の実装面とは反対側の面から、貫通孔52に、加熱用先端部21を挿入する。そして、この加熱用先端部21の先端面を、図7に示すように、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させると共に、#2表面実装部品取外し装置2の握持部22を、上方に向かって上記の移動距離だけ移動させる。
【0067】
すると、加熱用先端部21で発生される熱が、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に伝わり、このハンダ7を加熱すると同時に、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7が溶融するまでは、バネ38により加熱用先端部21が上方へ付勢され、付勢されたこの加熱用先端部21により、プリント配線基板5に実装されている表面実装部品6が接続端子61を介して下方から上方へ向かって押圧される。
【0068】
そして、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7が溶融すると、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51との結合が緩むので、加熱用先端部21は、表面実装部品6を上方に押し上げながら上方に移動する。そこで、表面実装部品6は、プリント配線基板5の実装位置から離間されてプリント配線基板5から取外される。
【0069】
上記の実施の形態2では、#2表面実装部品取外し装置2の加熱用先端部21の先端面を、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とが接着している部分のハンダ7に接触させると共に、#2表面実装部品取外し装置2の握持部22を、上方に向かって上記の移動距離だけ移動させている。そのため、接続端子61とハンダ付用パターン箔51とが接着している部分のハンダ7を加熱するのみならず、#2表面実装部品取外し装置2のバネ38により加熱用先端部21が上方へ付勢される。
【0070】
従って、接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7が加熱されている間、付勢された加熱用先端部21がプリント配線基板5に実装されている表面実装部品6を、該表面実装部品6の接続端子61を介して下方から押圧するので、接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7が溶融した際には、加熱用先端部21は、表面実装部品6を押し上げながら上方に移動する。従って、表面実装部品6がプリント配線基板5から離間するので、表面実装部品6をプリント配線基板5から容易に取外すことができる。
【0071】
<実施の形態3>
実施の形態3は、上述した実施の形態1で使用している#1表面実装部品取外し装置1と、以下に述べるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置3とを用いて、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、表面実装部品を取外すものである。図8(a)は、実施の形態3で用いられるプリント配線基板用表面実装部品取外し装置3(以下、#3表面実装部品取外し装置3と称する)の上面図、図8(b)は、図8(a)のD−D断面図、図9(a)は、実施の形態3で用いられるプリント配線基板5の上面に表面実装部品6が実装された実装済プリント配線基板4の平面図、図9(b)は、図9(a)のE−E断面図、そして、図10は、実装済プリント配線基板4に対する#1表面実装部品取外し装置1と、#3表面実装部品取外し装置3との使用状態を示した断面図である。
【0072】
図8(a)、(b)において、#3表面実装部品取外し装置3は、上述した実施の形態2で使用している#2表面実装部品取外し装置2とほとんど同じであり、#2表面実装部品取外し装置2と異なるのは、#2表面実装部品取外し装置2が備えているヒータ23を、#3表面実装部品取外し装置3は備えていない点のみである。そのため、#2表面実装部品取外し装置2の加熱用先端部21に相当する部分は、押圧用先端部31と称しているが、その他の部分は、#2表面実装部品取外し装置2と全く同じである。従って、#3表面実装部品取外し装置3が有する機能は、#2表面実装部品取外し装置2が有する機能から、加熱用先端部21の発熱機能を除いた全ての機能と同じである。
【0073】
図9(a)、(b)において、実施の形態3で用いられる実装済プリント配線基板40は、プリント配線基板50と表面実装部品6とで構成されており、実施の形態1及び実施の形態2で用いられている実装済プリント配線基板4とほとんど同じである。実装済プリント配線基板40が、実施の形態1及び実施の形態2で用いられている実装済プリント配線基板4と異なるのは、実装済プリント配線基板40に使用されているプリント配線基板50のハンダ付用パターン箔51に形成されている貫通孔が、5個である点である。
【0074】
この内、4個の貫通孔53は、プリント配線基板50における矩形状のハンダ付用パターン箔51の4隅に形成されており、1個の貫通孔53は、ハンダ付用パターン箔51の中央に形成されている。これらの貫通孔52、貫通孔53は、共に、その直径が、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11の直径や、#3表面実装部品取外し装置3の押圧用先端部31の直径よりも多少大きく形成されており、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11の先端や、#3表面実装部品取外し装置3の押圧用先端部31の先端を挿入することができる。
【0075】
次に、上記の#1表面実装部品取外し装置1と、#3表面実装部品取外し装置3とを用いて、実装済プリント配線基板40から表面実装部品6を取外す方法について、図10を参照して説明する。まず、ヒータ13に通電して発熱させた#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を、実装済プリント配線基板40を構成するプリント配線基板50に実装された表面実装部品6の真下4隅に位置する貫通孔53に、下方から挿入する。即ち、プリント配線基板50の表面実装部品6の実装面とは反対側の面から、貫通孔53に、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を挿入する。そして、この加熱用先端部11の先端面を、図10に示すように、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させてこのハンダ7を加熱する。
【0076】
同時に、#3表面実装部品取外し装置3の押圧用先端部31を、実装済プリント配線基板40を構成するプリント配線基板50に実装された表面実装部品6の真下中央に位置する貫通孔52に、下方から挿入する。即ち、プリント配線基板50の表面実装部品6の実装面とは反対側の面から、貫通孔52に、#3表面実装部品取外し装置3の押圧用先端部31を挿入する。そして、この押圧用先端部31の先端面を、図10に示すように、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させると共に、#3表面実装部品取外し装置3の握持部22を、上方に向かって上述した移動距離だけ移動させる。
【0077】
すると、#1表面実装部品取外し装置1では、加熱用先端部11で発生される熱が、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に伝わり、このハンダ7を加熱する。同時に、これらのハンダ7が溶融するまでは、#3表面実装部品取外し装置3では、バネ38により押圧用先端部31が上方へ付勢され、付勢されたこの押圧用先端部31により、プリント配線基板50に実装されている表面実装部品6が接続端子61を介して下方から上方へ向かって押圧される。
【0078】
そして、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7が溶融すると、表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51との結合が緩むので、#3表面実装部品取外し装置3の押圧用先端部31が、表面実装部品6を上方に押し上げながら上方に移動する。そこで、表面実装部品6は、プリント配線基板50の実装位置から離間されるので、表面実装部品6をプリント配線基板5から容易に取外すことができる。
【0079】
上記の実施の形態3では、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11を、プリント配線基板50の貫通孔52に下方から挿入している。そして、#1表面実装部品取外し装置1の加熱用先端部11の先端面を表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させて該ハンダ7を加熱している。同時に、#3表面実装部品取外し装置3の押圧用先端部31を、プリント配線基板50の貫通孔52に下方から挿入して、この押圧用先端部31の先端面を表面実装部品6の接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7に接触させている。そして、このハンダ7が溶融するまでは、押圧用先端部31が上方へ付勢されている。
【0080】
従って、付勢されたこの押圧用先端部31がプリント配線基板50に実装されている表面実装部品6を、この表面実装部品6の接続端子61を介して下方から押圧するので、接続端子61とハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7が溶融すると、押圧用先端部31は、表面実装部品6を押し上げながら上方に移動する。従って、表面実装部品6がプリント配線基板50と離間されるので、表面実装部品6をプリント配線基板50から容易に取外すことができる。
【0081】
上記の実施の形態3では、表面実装部品6の接続端子61とプリント配線基板50のハンダ付用パターン箔51とを接着しているハンダ7の溶融を、#1表面実装部品取外し装置1を用いて行っているが、これには限られず、#1表面実装部品取外し装置1に代えて、#2表面実装部品取外し装置2を用いるようにしてもよい。或いは、上記の#1表面実装部品取外し装置1や#2表面実装部品取外し装置2とは全く異なる別の他の装置を用いる方法で行うようにしてもよく、例えば、従来行われているような、熱風を、プリント配線基板50の表面実装部品6が実装されている部分に吹き付ける等の方法を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(a)は、実施の形態1における#1表面実装部品取外し装置の上面図、(b)は、(a)のA−A断面図である。
【図2】(a)は、実施の形態1における実装済プリント配線基板の平面図、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図3】実施の形態1における#1表面実装部品取外し装置の使用状態を示した断面図である。
【図4】実施の形態1における上面と下面に共に表面実装部品を実装した場合のプリント配線基板の平面図である。
【図5】実施の形態1におけるシールドケースを装着した場合のプリント配線基板の平面図である。
【図6】(a)は、実施の形態2における#2表面実装部品取外し装置の上面図、(b)は、(a)のC−C断面図、(c)は、#2表面実装部品取外し装置の使用状態における断面図である。
【図7】実施の形態2における#2表面実装部品取外し装置の使用状態を示した断面図である。
【図8】(a)は、実施の形態3における#3表面実装部品取外し装置の上面図、(b)は、(a)のD−D断面図である。
【図9】(a)は、実施の形態3における実装済プリント配線基板の平面図、(b)は、(a)のE−E断面図である。
【図10】実施の形態3における#1表面実装部品取外し装置及び#3表面実装部品取外し装置の使用状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 #1表面実装部品取外し装置
11 加熱用先端部
12 握持部
13 ヒータ
14 支柱
2 #2表面実装部品取外し装置
21 加熱用先端部
22 握持部
23 ヒータ
24 軸
25 ピストン
26 スライド孔
27 シリンダ
28 バネ
3 #3表面実装部品取外し装置
31 押圧用先端部
4 実装済プリント配線基板
40 実装済プリント配線基板
5 プリント配線基板
50 プリント配線基板
51 ハンダ付用パターン箔
52 貫通孔
52a 貫通孔
53 貫通孔
6 表面実装部品
6a 表面実装部品
61 接続端子
7 ハンダ
8 シールドケース
81 シールドケース用孔
9 当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、前記表面実装部品を取外す装置であって、発熱する加熱用先端部が備えられており、
前記プリント配線基板は、実装された前記表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、前記プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されており、
前記プリント配線基板の前記表面実装部品の実装面とは反対側の面から、前記プリント配線基板の前記貫通孔に前記加熱用先端部を挿入すると共に、該加熱用先端部の先端面を、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて該ハンダを加熱し、該ハンダが溶融することにより、前記表面実装部品が取外せることを特徴とするプリント配線基板用表面実装部品取外し装置。
【請求項2】
前記加熱用先端部を上方へ付勢する付勢付与部が備えられた請求項1記載の表面実装部品取外し装置であって、
前記プリント配線基板の前記貫通孔に挿入された前記加熱用先端部が、前記付勢付与部により上方へ付勢されて、前記プリント配線基板に実装されている前記表面実装部品を下方から押圧すると共に、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが溶融すると、前記加熱用先端部が前記表面実装部品と共に上方に移動し、前記表面実装部品を前記プリント配線基板の実装位置から離間させて取外すプリント配線基板用表面実装部品取外し装置。
【請求項3】
表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、前記表面実装部品を取外す装置であって、押圧用先端部と該押圧用先端部を上方へ付勢する付勢付与部とが備えられており、
前記プリント配線基板は、実装された前記表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、前記プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されており、
前記プリント配線基板の前記表面実装部品の実装面とは反対側の面から、前記押圧用先端部を挿入し、該押圧用先端部の先端面を、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させると共に、前記付勢付与部により前記押圧用先端部が上方へ付勢されて、前記プリント配線基板に実装されている前記表面実装部品を下方から押圧すると共に、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを、他の手段により加熱して溶融し、該ハンダが溶融すると、前記押圧用先端部が前記表面実装部品と共に上方に移動し、前記表面実装部品を前記プリント配線基板の実装位置から離間させて取外すことを特徴とするプリント配線基板用表面実装部品取外し装置。
【請求項4】
前記他の手段は、請求項1又は2記載の表面実装部品取外し装置である請求項3記載の表面実装部品取外し装置。
【請求項5】
表面実装部品が実装されるプリント配線基板であって、
実装される前記表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されており、且つ、該ハンダ付用パターン箔に、上面下面間を貫通すると共に、請求項1〜4のいずれか1項に記載されたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の前記加熱用先端部又は前記押圧用先端部が挿入可能な単又は複数の貫通孔が形成されていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項6】
前記貫通孔がスルホールで形成されている請求項5記載のプリント配線基板。
【請求項7】
前記貫通孔は、複数形成されており、請求項1〜4のいずれか1項に記載されたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の前記加熱用先端部又は前記押圧用先端部が挿入される前記貫通孔以外の前記貫通孔は、放熱用貫通孔として用いられる請求項5又は6記載のプリント配線基板。
【請求項8】
前記表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔は、平面視矩形であると共に、前記貫通孔は、該ハンダ付用パターン箔の四隅に形成されている請求項5〜7のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項9】
前記貫通孔は、前記表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔の四隅のほか、中央に形成されており、前記四隅の貫通孔は、請求項1又は2に記載されたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の前記加熱用先端部挿入用であり、前記中央の貫通孔は、請求項3又は4に記載されたプリント配線基板用表面実装部品取外し装置の前記押圧用先端部挿入用である請求項8記載のプリント配線基板。
【請求項10】
前記表面実装部品を実装する面と反対側の面にシールドケースが装着されていると共に、該シールドケースには、前記貫通孔と対面する該シールドケースの部分に開口部が形成されている請求項5〜9のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項11】
上面と下面にそれぞれ前記表面実装部品が実装されると共に、
前記上面と下面のいずれか一方に実装される前記表面実装部品の接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔に形成される前記貫通孔は、前記上面と下面のいずれか他方に実装される他の前記表面実装部品で塞がれない位置に形成されている請求項5〜10のいずれか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項12】
発熱する加熱用先端部が備えられた表面実装部品取外し装置を用いて、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、前記表面実装部品を取外す方法であって、
前記プリント配線基板は、実装された前記表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、前記プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されており、
前記表面実装部品の実装面とは反対側の面から、前記プリント配線基板の前記貫通孔に、前記表面実装部品取外し装置の前記加熱用先端部を挿入すると共に、該加熱用先端部の先端面を、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて該ハンダを加熱し、
該ハンダが溶融することにより、前記表面実装部品を取外すことを特徴とするプリント配線基板の表面実装部品取外し方法。
【請求項13】
発熱する前記加熱用先端部のほか、該加熱用先端部を上方へ付勢する付勢付与部が備えられた前記表面実装部品取外し装置を用いた請求項12記載のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法であって、
前記プリント配線基板の前記貫通孔に、前記表面実装部品取外し装置の前記加熱用先端部を挿入すると共に、前記表面実装部品取外し装置の前記付勢付与部により前記加熱用先端部が上方へ付勢されて、前記プリント配線基板に実装されている前記表面実装部品を下方から押圧し、
前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダが溶融すると、前記加熱用先端部が前記表面実装部品と共に上方に移動し、前記表面実装部品を前記プリント配線基板の実装位置から離間させて取外すプリント配線基板の表面実装部品取外し方法。
【請求項14】
押圧用先端部と該押圧用先端部を上方へ付勢する付勢付与部とが備えられた表面実装部品取外し装置を用いて、表面実装部品が実装されたプリント配線基板から、前記表面実装部品を取外す方法であって、
前記プリント配線基板は、実装された前記表面実装部品の接続端子が接面する表面のエリアに、該接続端子がハンダ付されるハンダ付用パターン箔が形成されていると共に、該ハンダ付用パターン箔に、前記プリント配線基板の上面下面間を貫通する貫通孔が形成されており、
前記プリント配線基板の前記表面実装部品の実装面とは反対側の面から、前記押圧用先端部を挿入すると共に、該押圧用先端部の先端面を、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダに接触させて、前記付勢付与部により前記押圧用先端部が上方へ付勢されて、前記プリント配線基板に実装されている前記表面実装部品を下方から押圧すると共に、前記表面実装部品の接続端子と前記ハンダ付用パターン箔とを接着しているハンダを、他の手段により加熱して溶融し、該ハンダが溶融すると、前記押圧用先端部が前記表面実装部品と共に上方に移動し、前記表面実装部品を前記プリント配線基板の実装位置から離間させて取外すことを特徴とするプリント配線基板の表面実装部品取外し方法。
【請求項15】
前記他の方法は、請求項12又は13記載のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法である請求項14記載のプリント配線基板の表面実装部品取外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−319265(P2006−319265A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142851(P2005−142851)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】