説明

プリント配線基板積層体およびその製造方法

【課題】複数のプリント配線基板に容易に挿通して組み付けることが出来ると共に、接続端子を精度良く位置決めして、高い信頼性をもって半田付けすることの出来る、新規な構造のプリント配線基板積層体を提供する。
【解決手段】複数のプリント配線基板12a,12bの何れのスルーホール14,14にも遊挿される断面をもって接続端子16を形成すると共に、接続端子16の一方の端部18aに係止突部22を形成して、積層方向で最外側の前記プリント配線基板12aの前記スルーホール14に前記係止突部22を係止させることで前記接続端子16の挿入端位置を規定する一方、前記接続端子16における前記スルーホール14,14への内挿位置の少なくとも一つに、前記スルーホール14の内周面34に向かって突出するセンタリング用突起28を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリント配線基板間を接続端子を用いて接続したプリント配線基板積層体に関する。また、本発明はプリント配線基板積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の電装系には各種電子機器が採用されており、そこにおいて効率的な電力供給や信号授受を行うために、複数のプリント配線基板が使用されている。このような複数のプリント配線基板は、例えば、特開平9−63668号公報(特許文献1)に記載のとおり、互いに離隔して平行に配置されており、夫々のスルーホールに両端部が挿通されて半田付けされるピン状の接続端子により相互に接続されている。
【0003】
ところで、このような接続端子においては、(i)複数のプリント配線基板の各スルーホールに対して容易に挿通して組み付けられること、(ii)半田付けに際してプリント配線基板に対する接続端子の位置決めを精度良く行なえること、(iii)半田付けを高い信頼性をもって確実に行なえること、が重要とされる。
【0004】
ところが、特許文献1に記載の従来技術では、接続端子の端部をプリント配線基板のスルーホールに圧入固定しなければならず、圧入のために特別な装置が必要で作業も面倒であるという問題があった。しかも、かかる圧入に際してスルーホール内や基板の銅箔回路の剥がれが生じるおそれがあり、充分な接続信頼性を得難いという問題もあった。
【0005】
なお、特許文献1には、接続端子の一方の端部をスルーホールに圧入すると共に、他方の端部を別のプリント配線基板のスルーホールに対して隙間をもって遊挿する構造も開示されている。しかし、接続端子の一方の端部を圧入する以上、上述の圧入構造に伴う問題が発生することは言うまでもなく、それに加えて、接続端子の他方の端部の遊挿部位において、スルーホールとの隙間が大きくなると、複数のプリント配線基板の位置決め精度が悪くなるという問題が発生し易く、また、スルーホール内に接続端子が偏心位置することで、大きな隙間寸法が偏在してスルーホールへの半田上がりが安定せずに半田付けの信頼性も確保し難いという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−63668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、(i)複数のプリント配線基板の各スルーホールに対して容易に挿通して組み付けられること、(ii)半田付けに際してプリント配線基板に対する接続端子の位置決めを精度良く行なえること、(iii)半田付けを高い信頼性をもって確実に行なえること、といった要求を何れも達成し得る、新規な構造のプリント配線基板積層体を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、そのような接続端子を用いたプリント配線基板積層体の新規な製造方法を提供することも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
プリント配線基板積層体に関する本発明の第一の態様は、互いに離隔して平行に配置された複数のプリント配線基板が、夫々に設けられたスルーホールに対して挿通されて半田付けされた接続端子により、相互に接続されているプリント配線基板積層体であって、前記複数のプリント配線基板の何れに設けられた前記スルーホールに対しても遊挿される断面を有する線材端子によって前記接続端子が形成されていると共に、該接続端子の長さ方向一方の端部に係止突部が一体形成されており、長さ方向他方の端部側から前記接続端子が前記複数のプリント配線基板の夫々の前記スルーホールに挿通されて、積層方向の一方の最外側に配された前記プリント配線基板の前記スルーホールの外方開口縁部に対して前記係止突部が係止されることで前記接続端子の挿入端位置が規定されている一方、前記接続端子における前記複数のプリント配線基板の前記各スルーホールへの内挿位置の少なくとも一つには前記スルーホールの内周面に向かって突出するセンタリング用突起が一体形成されていることを、特徴とする。
【0010】
このような構造とされたプリント配線基板積層体によれば、接続端子が複数のプリント配線基板の何れのスルーホールにも遊挿されている。従って、圧入のように特別な機械を要することなくスルーホールに挿通出来ると共に、挿通に際して基板やスルーホール内の銅箔回路を損傷するおそれが少ない。従って、(i)接続端子を複数のプリント配線基板の各スルーホールに対して容易に挿通して組み付けることが出来る。更に、積層された複数のプリント基板に対して、接続端子を最外側のプリント基板から一度に挿通出来ることから、優れた組立作業性を得ることが出来る。
【0011】
また、接続端子に形成された係止突部をプリント基板に係止させることによって、接続端子を挿入方向で位置決めすることが出来る。且つ、接続端子に形成されたセンタリング用突起がスルーホール内でスルーホールの内周面に接触することによって、接続端子を挿入方向に直交する方向で、スルーホール内においてセンタリングすることが出来る。これにより、接続端子を遊挿状態でプリント基板に容易に挿通しながらも、(ii)半田付けに際して、プリント配線基板に対する接続端子の位置を、接続端子の挿入方向およびこれに直交する方向の何れの方向でも精度良く位置決めすることが出来る。
【0012】
そして、センタリング用突起で接続端子をスルーホールの中央に位置決めすることによって、スルーホールと接続端子との大きな隙間寸法の偏在を軽減して、半田上がりを安定化することが出来る。それと共に、各端子がスルーホールに対して精度良くセンタリングされることによって、複数の接続端子間のピッチを精度良く揃えることが出来て、端子間の絶縁性も向上することが出来る。その結果、(iii)半田付けを高い信頼性をもって確実に行なうことが出来る。
【0013】
プリント配線基板積層体に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記係止突部が、前記接続端子の周上で部分的に突出しているものである。
【0014】
このようにすれば、係止突部の寸法を小さくすることが出来る。これにより、例えば係止突部の大きさをプリント基板上に表面実装される他の電気部品のリード部の大きさに近づけて、他の電気部品と共にリフローハンダ付けで一括してプリント配線基板に固定することも可能となし得る。また、係止突部が全周に亘って形成されている場合のように、係止突部でスルーホールの開口を全周に亘って塞ぐおそれが回避されることから、半田上がりをより確実にすることも出来る。
【0015】
プリント配線基板積層体に関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記係止突部が、前記接続端子の周上で等間隔に且つ突出高さを同じにして複数形成されているものである。
【0016】
本態様によれば、接続端子がプリント配線基板に対して周上で等間隔に係止されることから、係止箇所が接続端子の周上で偏在することに起因する接続端子のプリント配線基板に対するがたつきや傾きを軽減することが出来て、より優れた位置決め精度を得ることが出来る。また、後述するように、係止突部をスルーホールに挿通してセンタリング用突起としても用いる場合には、より優れたセンタリング精度を得ることが出来る。
【0017】
プリント配線基板積層体に関する本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記接続端子の前記センタリング用突起が、積層方向の少なくとも一方の最外側に配された前記プリント配線基板の前記スルーホールへの内挿位置に形成されているものである。
【0018】
本態様によれば、最外側のプリント配線基板のスルーホールにセンタリング用突起が位置されることから、センタリング用突起のスルーホール内での位置決め状態の目視確認を容易にすることが出来る。また、接続端子を最外側のプリント配線基板のスルーホール内でセンタリングすることによって、センタリング用突起による接続端子のプリント配線基板に対する位置決め精度を有利に向上することが出来る。なお、本態様において特に好適には、積層方向の両方の最外側に配されたプリント配線基板の各スルーホールへの内挿位置に対して、それぞれ、センタリング用突起が設けられる。このようにすれば、接続端子の複数のプリント配線基板に対する位置決め精度をより向上することが出来る。
【0019】
プリント配線基板積層体に関する本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記接続端子の前記係止突部が、該接続端子の前記プリント配線基板に対する挿通方向の前方側から後方側に向かって次第に突出高さが大きくなるテーパ−形状とされているものである。
【0020】
このようにすれば、テーパー形状とされた傾斜面の途中をスルーホールの外方開口縁部に係止させて、係止突部の一部をスルーホールへの内挿状態でスルーホールの内周面に向けて突出させることによって、係止突部をセンタリング用突起としても用いることが出来る。
【0021】
プリント配線基板積層体に関する本発明の第六の態様は、前記第一〜第五の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記接続端子を形成する前記線材端子が、全表面に亘って導電性金属のめっき層が被着された金属線材を所定長さで切断した切断線材を用いて得られると共に、前記係止突部および前記センタリング用突起が前記切断線材を鍛圧により塑性変形させることで形成されているものである。
【0022】
このようにすれば、係止突部およびセンタリング用突起を接続端子に容易に一体形成することが出来る。また、係止突部およびセンタリング用突起を鍛圧により形成することで、係止突部やセンタリング用突起にも金属線材の表面に被着されためっき層を残すことが出来ることから、半田濡れ性を確保することが出来て、良好な半田上がりを実現することが出来る。
【0023】
プリント配線基板積層体の製造方法に関する本発明は、互いに離隔して平行に配置された少なくとも二つのプリント配線基板が、夫々に設けられたスルーホールに対して挿通されて半田付けされた接続端子により、相互に接続されているプリント配線基板積層体の製造方法であって、前記複数のプリント配線基板の何れに設けられた前記スルーホールに対しても遊挿される断面の線材端子によって形成されており、長さ方向一方の端部に係止突部が一体形成されていると共に、前記複数のプリント配線基板の前記各スルーホールへの内挿位置の少なくとも一つにセンタリング用突起が一体形成されている前記接続端子を準備する工程と、前記複数のプリント配線基板の全てを互いに離隔して平行に配置した状態で、位置決め冶具によって固定的に支持する工程と、前記位置決め冶具で支持された前記複数のプリント配線基板における夫々の前記スルーホールに対して、前記接続端子を前記係止突部と反対側の端部から挿通させることにより、積層方向の一方の最外側に配された前記プリント配線基板の前記スルーホールの外方開口縁部に対する該係止突部の係止によって規定された挿入端に該接続端子を挿入位置させると共に、該接続端子における前記センタリング用突起を何れかの該プリント配線基板のスルーホールの内周面に向かって突出位置させる工程と、前記接続端子を、前記複数のプリント配線基板の各スルーホールへの挿通部位において各前記プリント配線基板に対して半田付けする工程とを、含むことを特徴とする。
【0024】
本発明に関するプリント配線基板積層体の製造方法によれば、複数のプリント配線基板を位置決め冶具で予め精度良く位置決めしておいて、それら複数のプリント配線基板の各スルーホールに対して、接続端子を積層方向の最外側から一度に挿通することが出来る。そして、予め全ての基板に接続端子を挿通した後に半田付けすることから、例えば、何れかのプリント配線基板に接続端子を半田付け固定した後に、プリント配線基板に固定された多数の接続端子に対して、残りのプリント配線基板を挿通する場合のように、端子間ピッチのバラツキ等に起因して挿通作業が困難となるおそれを回避することが出来る。これにより、組付作業の簡素化を図ることが出来る。また、接続端子が各スルーホールに対して遊挿されることから、プリント配線基板を損傷するおそれも小さい。更に、複数のプリント配線基板に挿通された接続端子の挿入端位置が係止突部で規定されると共に、センタリング用突起で接続端子がスルーホール内でセンタリングされることにより、接続端子を複数のプリント配線基板に対して精度良く効率的に位置決めすることが可能となり、接続端子のプリント配線基板への半田付けを安定的に行なうことが出来る。これにより、複数の接続端子間のピッチも精度良く揃えることが出来て、端子間絶縁性も安定的に確保することが出来る。
【発明の効果】
【0025】
本発明に従う構造とされたプリント配線基板積層体によれば、プリント配線基板間の接続端子を各スルーホールに対して遊挿するようにした。これにより、各スルーホールに容易に挿通することが出来ると共に、挿通に際するプリント配線基板や銅箔回路の損傷のおそれを軽減することが出来る。更に、係止突部で接続端子の挿入端位置を規定すると共に、センタリング用突起で接続端子をスルーホール内でセンタリング出来ることにより、半田付けに際してプリント配線基板に対する接続端子の位置決めを精度良く行なうことが出来る。その結果、端子間ピッチも精度良く揃えることが出来て、端子間絶縁性も容易且つ安定的に確保することが出来る。加えて、接続端子をスルーホール内で精度良く位置決めすることによって、スルーホールと接続端子の間の大きな隙間の周上での偏在を抑えて半田上がりを安定化することによって、半田付けを高い信頼性をもって確実に行なうことが出来る。
【0026】
また、本発明に従うプリント配線基板積層体の製造方法によれば、冶具で積層配置された複数のプリント配線基板の各スルーホールに対して、接続端子を遊挿することによって、プリント配線基板や銅箔回路の損傷のおそれを軽減することが出来る。更に、積層された複数のプリント配線基板に対して、積層方向の最外側のプリント配線基板から接続端子を一度に挿通して、接続端子を予め全てのプリント配線基板に挿通した状態で半田付けすることによって、優れた組付作業性を得ることが出来る。そして、係止突部で接続端子の挿入端位置を規定すると共に、センタリング用突起で接続端子をスルーホール内でセンタリングすることによって、接続端子を各プリント配線基板に対して容易に且つ精度良く位置決めすることが出来て、接続端子の半田付けの信頼性が向上されると共に、端子間ピッチも精度良く揃えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのプリント配線基板積層体の側面図。
【図2】図1に示したプリント配線基板積層体に用いられる接続端子の側面図。
【図3】図2に示した接続端子の図2とは異なる側面図。
【図4】図2に示した接続端子のプリント配線基板への挿通状態を説明するための説明図であって、図5におけるIV−IV断面に相当する断面説明図。
【図5】図4におけるA矢視図に相当する説明図。
【図6】本発明に従うプリント配線基板積層体の製造方法を説明するための一部断面説明図。
【図7】本発明の第二の実施形態としてのプリント配線基板積層体に用いられる接続端子の側面図。
【図8】図7に示した接続端子のプリント配線基板への挿通状態を説明するための断面説明図。
【図9】本発明の第三の実施形態としてのプリント配線基板積層体を説明するための一部断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としてのプリント配線基板積層体10を示す。プリント配線基板積層体10は、第一のプリント配線基板12aと、第二のプリント配線基板12bが、互いに離隔して平行に配置されていると共に、これら第一および第二のプリント配線基板12a,12bのそれぞれのスルーホール14に、接続端子16の両端部18a,18bが挿通されて半田付けされた構造とされている。第一および第二のプリント配線基板12a,12bには、それぞれ、複数のスルーホール14が一直線上に並んで形成されており、両プリント配線基板12a,12bの積層方向(図1中、上下方向)で同一直線上に配設された一対のスルーホール14,14に接続端子16が挿通されている。これにより、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bは、複数の接続端子16で互いに接続されている。
【0030】
図2および図3に、接続端子16を示す。接続端子16は、長さ方向(図2および図3中、上下方向)で一方の端部18bから第一および第二のプリント配線基板12a,12bの各スルーホール14に挿通されるようになっており、一方の端部18b側(図2および図3中、下側)が挿通方向の前方側、他方の端部18a側(図2および図3中、上側)が挿通方向の後方側とされる。接続端子16は、切断線材20を用いて形成された線材端子とされている。切断線材20は、銅や鉄等の導電性金属材料の母材の全表面に亘って、錫や金等の導電性金属材料からなるめっき層が被着された金属線材が所定長さで切断されて形成されている。これにより、金属製の条材打ち抜いて形成する場合に比して、歩留りが向上されている。切断線材20の断面形状は、正方形や長方形等の矩形状、楕円を含む円形状や、その他任意の多角形状が適宜に採用可能である。本実施形態における切断線材20は、先細テーパ形状とされた長さ方向(図2および図3中、上下方向)両端縁部や後述する係止突部22およびセンタリング用突起28の形成部分を除く略全長に亘って、一定の正方形断面形状を有している。
【0031】
さらに、後述する図4や図5からも明らかなように、第一および第二のプリント配線基板12a,12bのスルーホール14は一定の円形断面をもって貫設されており、切断線材20は、スルーホール14の内径寸法よりも僅かに小さな対角線長を有する正方形断面とされることによって、第一および第二のプリント配線基板12a,12bの何れのスルーホール14に対しても遊挿可能とされている。
【0032】
接続端子16の長さ方向(図2中、上下方向)の一方の端部18aにおいて、第一のプリント配線基板12aのスルーホール14に内挿される位置には、一対の係止突部22、22が一体形成されている。これら係止突部22、22は互いに同形状とされている。係止突部22は、接続端子16の軸直角方向(図2中、左右方向)の外方に突出する突部とされており、接続端子16のプリント配線基板12a,12bに対する挿通方向の前方(図2中、下方)側から後方側(図2中、上方)に向かって、次第に突出高さが大きくなる傾斜面24を有するテーパ形状とされている。なお、傾斜面24は、挿通方向の前方端縁部25において、接続端子16の側面26a(又は26b)に接続されている。これにより、係止突部22は、側面26a(又は26b)から段差無く次第に突出するテーパ形状とされており、スルーホール14への挿通に際する前方端縁部25の引っ掛かりのおそれが軽減されている。また、傾斜面24の幅寸法(図3中、左右方向寸法)は側面26a(又は側面26b)の幅寸法(図3中、左右方向寸法)よりも小さくされており、係止突部22は、接続端子16の周上で部分的に突出されている。従って、係止突部22は、側面26a,26bと異なる側の側面26c、26dから窪んで形成されており、側面26a,26bの幅方向(図3中、左右方向)で係止突部22の両側には、窪み部29,29がそれぞれ形成されている。
【0033】
このような係止突部22の一対が、接続端子16の正方形断面において一対の対辺を構成する側面26a,26b上にそれぞれ形成されている。これにより、一対の係止突部22,22は、接続端子16の周上で等間隔に、且つ突出高さを同じにして形成されている。なお、一対の係止突部22,22の前方端縁部25,25によって形成される、接続端子16の長さ方向に直交する方向の幅寸法:w1は、接続端子16の正方形断面の一辺の長さ寸法と等しくされて、スルーホール14の内径寸法よりも小さくされる一方、係止突部22,22の挿通方向の後端縁部(図2中、上端縁部)によって形成される幅寸法:w2は、スルーホール14の内径寸法よりも僅かに大きく、より好適には、スルーホール14のランド27(図4参照)の外径寸法よりも小さくされている。
【0034】
また、接続端子16の長さ方向(図2中、上下方向)の他方の端部18bにおいて、第二のプリント配線基板12bのスルーホール14に内挿される位置には、一対のセンタリング用突起28、28が一体形成されている。これらセンタリング用突起28,28は互いに同形状とされている。センタリング用突起28は、接続端子16の軸直角方向(図2中、左右方向)の外方に突出する突部とされている。なお、センタリング用突起28における挿通方向の両端部(図3中、上下両端部)は、挿通方向で側面26a(又は側面26b)からの突出寸法が次第に大きく(又は小さく)なるテーパ面30とされており、スルーホール14への挿通がより容易にされていると共に、スルーホール14を損傷するおそれが軽減されている。また、センタリング用突起28の幅寸法(図3中、左右方向寸法)は、側面26a(又は側面26b)の幅寸法(図3中、左右方向寸法)よりも小さくされており、センタリング用突起28は、接続端子16の周上で部分的に突出されている。これにより、センタリング突起28についても、係止突部22と同様に、側面26a,26bの幅方向の両側に、窪み部31,31がそれぞれ形成されている。
【0035】
このようなセンタリング用突起28の一対は、係止突部22,22と共に、接続端子16の側面26a,26b上にそれぞれ形成されている。これにより、一対のセンタリング用突起28,28が、接続端子16の周上で等間隔に、且つ突出高さを同じにして形成されている。なお、一対のセンタリング用突起28,28によって形成される接続端子16の長さ方向に直交する方向の幅寸法:w3は、スルーホール14の内径寸法よりも小さくされる。
【0036】
これら係止突部22およびセンタリング用突起28は、好適には、切断線材20が長さ方向で部分的に一度のプレス或いは複数回のタタキ加工等によって鍛圧されて塑性変形されることによって、切断線材20に一体形成される。この鍛圧は、例えば、切断線材20を軸直角方向両側から挟むようにして、側面26c,26dのそれぞれにダイスを押し付けて切断線材20を部分的に潰して、部分的に軸直角方向の突出部分を形成することによって行なわれる。このようにすれば、切断線材20の全周面に被着されためっき層を係止突部22およびセンタリング用突起28にも残すことが出来て、半田濡れ性を確保することが出来る。
【0037】
このような構造とされた接続端子16は、互いに離隔して平行に配置された第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bのそれぞれに形成されて、積層方向で同一直線上に位置されたスルーホール14,14に対して挿通される。接続端子16は、係止突部22が形成された端部18aと反対側の端部18bを挿通方向の前方として、積層方向の一方の最外側に位置する第一のプリント配線基板12aに対して、積層方向の外側から、これら第一および第二のプリント配線基板12a,12bの各スルーホール14,14に挿通される。図4および図5に、接続端子16の第一および第二のプリント配線基板12a,12bへの挿通状態を示す。
【0038】
図4および図5に示すように、接続端子16は、係止突部22,22の挿通方向後端縁部の幅寸法:w2がスルーホール14の内径寸法より大きくされていることから、係止突部22,22が傾斜面24、24の途中で第一のプリント配線基板12aにおけるスルーホール14の外方開口縁部32に係止される。これにより、接続端子16の挿入端位置が規定されて、係止突部22、22が部分的に第一のプリント配線基板12aのスルーホール14への内挿状態で位置されると共に、センタリング用突起28,28が第二のプリント配線基板12bのスルーホール14への内挿状態で位置される。また、接続端子16は、係止突部22を除いて、第一のプリント配線基板12aのスルーホール14の内周面34、および第二のプリント配線基板12bのスルーホール14の内周面34の何れに対しても隙間を隔てた遊挿状態で挿通されている。そして、接続端子16の両端部18a,18bがそれぞれ、第一のプリント配線基板12aのスルーホール14および第二のプリント配線基板12bのスルーホール14に挿通された状態で半田36で固定されて、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bが、接続端子16を介して互いに電気的に接続されることにより、プリント配線基板積層体10が形成されている。
【0039】
このような構造とされたプリント配線基板積層体10によれば、接続端子16が第一のプリント配線基板12aおよび第二のプリント配線基板12bの何れのスルーホール14,14にも遊挿されることから、スルーホール14への挿通を容易に行なうことが出来ると共に、挿通に際してプリント配線基板12a,12bやこれらに形成された銅箔回路を損傷するおそれが少ない。
【0040】
そして、係止突部22,22をスルーホール14の外方開口縁部32に係止させることによって、接続端子16を挿入方向で容易に精度良く位置決めすることが出来る。それと共に、接続端子16の端部18bに形成されたセンタリング用突起28,28が、スルーホール14への内挿状態において、スルーホール14の内周面34に向けて突出されている。これにより、端部18bを第二のプリント配線基板12bに形成されたスルーホール14に対してセンタリングすることが出来、接続端子16を挿入方向に直交する方向で精度良く位置決めすることが出来る。
【0041】
特に本実施形態においては、端部18aに形成された係止突部22,22が、スルーホール14の外方開口縁部32に対して挿通方向の後端縁部付近で係止されることによって、係止突部22,22の略全体がスルーホール14に内挿されると共に、スルーホール14の内周面34に向けて突出されている。これにより、係止突部22もセンタリング用突起として利用することが可能とされており、端部18aの第一のプリント配線基板12aに形成されたスルーホール14に対するセンタリング効果も発揮されるようになっている。そして、係止突部22,22で一方の端部18aを積層方向の一方の最外側に配された第一のプリント配線基板12aに対してセンタリングすると共に、センタリング用突起28,28で他方の端部18bを積層方向の他方の最外側に配された第二のプリント配線基板12bに対してセンタリングして、接続端子16の両端部18a,18bをそれぞれセンタリングすることによって、より優れた位置決め精度を得ることが可能とされている。
【0042】
その結果、接続端子16を第一および第二のプリント配線基板12a,12bに対して遊挿状態で容易に挿通しつつ、半田付けに際して、これらプリント配線基板12a,12bに対して挿通方向および挿通方向に直交する方向の何れの方向にも精度良く位置決めすることが出来る。これにより、接続端子16とスルーホール14の内周面34との隙間の周方向の偏在を回避して、半田付けの信頼性を向上することが出来ると共に、複数の接続端子16の端子間ピッチも精度良く揃えることが出来て、端子間絶縁性を確保することが出来る。
【0043】
特に本実施形態においては、一対のセンタリング用突起28,28、および一対の係止突部22,22において、それぞれが互いに反対方向に等しい高さ寸法で突出されていることから、端部18bおよび端部18aをより精度良くセンタリングすることが出来る。更に、センタリング用突起28,28および係止突部22,22が接続端子16の周上で部分的に形成されていることから、接続端子16とスルーホール14の内周面34との隙間寸法をより有効に確保することが出来ると共に、スルーホール14の開口を塞ぐことを回避して開口寸法をより大きく確保することが出来て、半田上がりをより向上することが出来る。加えて、係止突部22およびセンタリング用突起28の両側に形成された窪み部29,31に半田36が入り込むことによって、より強固な固定力を得ることが出来る。また、係止突部22,22が挿通方向の後端縁部分でスルーホール14の外方開口縁部32に係止されて略全体がスルーホール14に内挿されていることから、係止突部22,22による接続端子16の軸直角方向の張り出しも抑えられており、端子間ピッチがより有利に確保されるようになっている。
【0044】
なお、このような構造とされたプリント配線基板積層体10は、例えば、以下に示す製造方法に従って好適に製造される。先ず、上記接続端子16の複数と、第一のプリント配線基板12a,および第二のプリント配線基板12bをそれぞれ用意する。そして、図6に示すように、位置決め冶具40に、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bを、互いに離隔した状態で平行にセットして、第一のプリント配線基板12aのスルーホール14と、第二のプリント配線基板12bのスルーホール14が、プリント配線基板12a,12bの積層方向(図6中、上下方向)で同一直線上に位置するように位置合わせした状態で位置決め冶具40で固定的に支持する。なお、図6においては、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bの間に絶縁板41を介在させることによって、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bが互いに離隔状態とされている。但し、絶縁板41に代えて、位置決め冶具40を第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bの間に張り出させて介在させたり、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bの外形寸法を互いに異ならせて位置決め冶具40で支持することによって、位置決め冶具40を用いて両プリント配線基板12a,12bの離隔距離を保つようにする等しても良い。また、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bとの位置合わせは、図6に示すように、それぞれの外周縁部42,42を位置決め冶具40に接触させることによって行なっても良いし、これに代えて、或いは加えて、同じく図6に示すように、各プリント配線基板12a,12bのそれぞれにパイロット孔44を貫設して、これらパイロット孔44を位置決め冶具40に突設した位置決めロッド46に挿通することで位置合わせする等しても良い。
【0045】
次に、接続端子16を、係止突部22が形成された端部18aと反対側の端部18bを挿通方向の前方として、積層方向(図6中、上下方向)の最外側に位置する第一のプリント配線基板12aの表面48aから、第一のプリント配線基板12aのスルーホール14および第二のプリント配線基板12bのスルーホール14にそれぞれ挿通する。そして、係止突部22,22が第一のプリント配線基板12aのスルーホール14の外方開口縁部32に係止されることによって、接続端子16の挿入端が規定される。これにより、接続端子16の一方の端部18aが、積層方向の一方の最外側に位置する第一のプリント配線基板12aの表面48aから突出されると共に、他方の端部18bが、積層方向の他方の最外側に位置する第二のプリント配線基板12bの表面48bから突出される。それと共に、端部18bに設けられたセンタリング用突起28,28が第二のプリント配線基板12bのスルーホール14への内挿状態で内周面34に向けて突出位置される。接続端子16が複数用いられる場合には、全ての接続端子16を第一および第二のプリント配線基板12a,12bに挿通する。
【0046】
続いて、接続端子16の端部18aにおける第一のプリント配線基板12aのスルーホール14への挿通部位を、局所フローやロボットハンダ等で半田付けして、端部18aを第一のプリント配線基板12aに固定する。そして、全ての接続端子16の端部18aの半田付けが完了した後に、これら第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bを、絶縁板41を挟んだ互いの離隔状態を維持しつつ、位置決め冶具40から取り外して反転させて、他方の端部18bにおける第二のプリント配線基板12bのスルーホール14への挿通部位を、同じく局所フローやロボットハンダ等で第二のプリント配線基板12bに固定する。これにより、プリント配線基板積層体10を得ることが出来る。
【0047】
このような製造方法によれば、接続端子16を第一のプリント配線基板12aのスルーホール14と第二のプリント配線基板12bのスルーホール14に一度に挿通することが出来る。更に、接続端子16が何れのスルーホール14,14にも遊挿されることから、圧入のように特別な機械等を用いることなく容易に挿通出来ると共に、挿通に際してプリント配線基板12a,12bやこれらに形成された銅箔回路等を損傷するおそれも少ない。これにより、優れた組付作業性を得ることが出来ると共に、第一および第二のプリント配線基板12a,12bを支持する位置決め冶具40の簡素化を図ることも出来る。
【0048】
そして、第一のプリント配線基板12aおよび第二のプリント配線基板12bの両方に接続端子16を予め挿通した状態で半田付けすることから、例えば何れか一方のプリント配線基板に接続端子を半田付け固定した後に、プリント配線板に固定された多数の接続端子に対して他方のプリント配線基板を挿通する場合のように、各接続端子の傾き等に起因して他方のプリント配線基板への挿通が困難になるようなことも無く、多数の接続端子16の複数のプリント配線基板12a,12bへの挿通状態を容易に得ることが出来る。更に、接続端子16に形成された係止突部22,22とセンタリング用突起28,28で接続端子16をプリント配線基板12a,12bに精度良く位置決め出来ることから、半田付けの信頼性も向上されると共に、多数の接続端子16の端子間ピッチも容易に且つ精度良く揃えることが出来る。
【0049】
なお、本製造方法およびこれによって形成されるプリント配線基板積層体10において、複数の接続端子16の中心軸回りの周方向位置は、互いに揃えられていても良いし、互いに異ならされていても良い。また、本製造方法において、接続端子16が挿通された第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bの積層体を反転させることなく、第一のプリント配線基板12aから突出された接続端子16の端部18aをロボットハンダで半田付けすると共に、第二のプリント配線基板12bから突出された接続端子16の端部18bを局所フローで半田付けする等しても良い。
【0050】
次に、図7に、本発明の第二の実施形態としてのプリント配線基板積層体62(図8参照)に用いられる接続端子60を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付することにより、その説明を適宜に省略する。
【0051】
接続端子60の一方の端部18aには、一対の係止突部64,64が一体形成されている。これら係止突部64,64は互いに同様の構造とされており、接続端子60の正方形断面において対辺となる側面26a,26bから、接続端子60の軸直角方向(図7中、左右方向)に突出する略矩形板形状とされている。これにより、係止突部64の前方端縁部66は、接続端子60の軸直角方向に突出する平坦面とされている。そして、一対の係止突部64,64で形成される幅寸法:w4は、第一のプリント配線基板12aのスルーホール14の内径寸法よりも大きくされ、より好ましくは、スルーホール14のランド27の外径寸法よりも小さくされる。なお、係止突部64は、前記第一の実施形態における係止突部22と同様に、プレス加工等の鍛圧加工で形成されることが好ましい。また、他方の端部18bには、前記第一の実施形態と同様に、一対のセンタリング用突起28,28が一体形成されている。
【0052】
このような構造とされた接続端子60は、図8に示すように、互いに平行に離隔して配置された第一のプリント配線基板12aのスルーホール14および第二のプリント配線基板12bのスルーホール14に対して、第一および第二のプリント配線基板12a,12bの積層方向の外側(図8中、上側)から遊挿状態で挿通されて、両端部18a,18bがそれぞれ半田36で固定される。
【0053】
本実施形態における接続端子60によれば、係止突部64,64を第一のプリント配線基板12aにおけるスルーホール14の外方開口縁部32に係止させることによって、挿入端位置を規定して、挿入方向で位置決めすることが出来る。それと共に、センタリング用突起28,28を前記第一の実施形態と同様に、第二のプリント配線基板12bのスルーホール14への内挿状態で、スルーホール14の内周面34に向けて突出させることにより、接続端子60を挿入方向に直交する方向で位置決めすることが出来る。
【0054】
本実施形態から明らかなように、係止突部の具体的形状は限定されるものではない。特に本実施形態における係止突部64は、接続端子60の前方端縁部66がスルーホール14の外方開口縁部32に係止されることによって、係止突部64の全体がスルーホール14外に位置される。従って、係止突部64,64はセンタリング機能を発揮することはなく、本実施形態における接続端子60は、他方の端部18bに形成されたセンタリング用突起28,28でセンタリング機能が発揮される。このことから明らかなように、本発明におけるセンタリング用突起は、複数のプリント配線基板の各スルーホールへの内挿位置の少なくとも一つに形成されていれば良い。
【0055】
次に、図9に、本発明の第三の実施形態としてのプリント配線基板積層体70を示す。なお、図9においては、理解を容易とするために、後述する接続端子72を外形で示す。プリント配線基板積層体70は、第一のプリント配線基板12a、第二のプリント配線基板12b、および第三のプリント配線基板12cの3枚のプリント配線基板が、互いに離隔して平行に配設されている。なお、図9においては、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12bの間に、第三のプリント配線基板12cが配設されている。
【0056】
そして、これら第一〜第三のプリント配線基板12a〜12cの各スルーホール14,14,14に、接続端子72が挿通されている。接続端子72は、前記第一の実施形態における接続端子16において、第三のプリント配線基板12cのスルーホール14への内挿位置となる軸方向(図9中、上下方向)の略中央部分にも、一対のセンタリング用突起28,28が一体形成されたものである。
【0057】
このような構造とされた接続端子72が、第一〜第三のプリント配線基板12a〜12cの各スルーホール14,14,14に遊挿状態で挿通されている。これにより、接続端子72の端部18aに形成された係止突部22,22が第一のプリント配線基板12aのスルーホール14の外方開口縁部32に係止されて、接続端子72が挿通方向で位置決めされていると共に、端部18aが挿通方向に直交する方向で位置決めされている。一方、端部18bに形成されたセンタリング用突起28,28が第二のプリント配線基板12bのスルーホール14に内挿位置されることにより、端部18bが挿通方向に直交する方向で位置決めされていると共に、接続端子72の軸方向略中央部分に形成されたセンタリング用突起28,28が第三のプリント配線基板12cのスルーホール14に内挿位置されることにより、接続端子72の軸方向略中央部分を挿通方向に直交する方向で位置決めする。そして、接続端子72の両端部18a,18bが第一および第二のプリント配線基板12a,12bにそれぞれ半田付けされているのに加えて、接続端子72の軸方向略中央部分が、第三のプリント配線基板12cに半田付けされている。なお、接続端子72の第一〜第三のプリント配線基板12a〜12cへの半田付けは、例えば、接続端子72を第一のプリント配線基板12aに挿通して半田付けした後に、第二のプリント配線基板12bを挿通して半田付けし、その後に第三のプリント配線基板12cを半田付けすることによって行なわれる。これにより、プリント配線基板積層体70は、接続端子72を介して、第一〜第三のプリント配線基板12a〜12cが互いに電気的に接続された構造とされている。
【0058】
本実施形態から明らかなように、3枚以上のプリント配線基板を用いてプリント配線基板積層体を構成することも可能である。そして、プリント配線基板の枚数に応じて、接続端子における各プリント配線基板のスルーホールへの内挿位置に、それぞれセンタリング用突起を形成することも可能である。また、3枚以上のプリント配線基板を用いる場合には、長さの異なる接続端子を混在させて、複数のプリント配線基板から任意のプリント基板に選択的に接続する等しても良い。例えば、前記プリント配線基板積層体70(図9参照)において、前記接続端子72と共に、接続端子72よりも長さの短い接続端子を用意して、3枚のプリント配線基板12a〜12cのうち、第一のプリント配線基板12aと第二のプリント配線基板12cのみを接続したり、第二のプリント配線基板12cと第三のプリント配線基板12cのみを接続したりする等しても良い。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記第一の実施形態を例に説明すれば、前記実施形態においては、係止突部22とセンタリング用突起28が互いに同じ側面26a,26bから突出されていたが、センタリング用突起28を係止突部22と異なる側面26c,26dから突出させる等、係止突部とセンタリング用突起を接続端子の周上で互いに異なる位置に形成しても良い。また、係止突部の数や、センタリング用突起の数は限定されず、1つでも良いし、3つ以上の複数でも良い。更に、係止突部やセンタリング用突起を複数形成する場合には、必ずしも接続端子の周方向で等間隔を隔てて位置されている必要は無い。また、複数の係止突部や複数のセンタリング用突起の形状を互いに異ならせることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
10、62、70:プリント配線基板積層体、12a,b,c:プリント配線基板、14:スルーホール、16、60、72:接続端子、18a,b:端部、20:切断線材、22、64:係止突部、28:センタリング用突起、30:テーパ面、32:外方開口縁部、34:内周面、36:半田、40:位置決め冶具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔して平行に配置された複数のプリント配線基板が、夫々に設けられたスルーホールに対して挿通されて半田付けされた接続端子により、相互に接続されているプリント配線基板積層体であって、
前記複数のプリント配線基板の何れに設けられた前記スルーホールに対しても遊挿される断面を有する線材端子によって前記接続端子が形成されていると共に、該接続端子の長さ方向一方の端部に係止突部が一体形成されており、長さ方向他方の端部側から前記接続端子が前記複数のプリント配線基板の夫々の前記スルーホールに挿通されて、積層方向の一方の最外側に配された前記プリント配線基板の前記スルーホールの外方開口縁部に対して前記係止突部が係止されることで前記接続端子の挿入端位置が規定されている一方、前記接続端子における前記複数のプリント配線基板の前記各スルーホールへの内挿位置の少なくとも一つには前記スルーホールの内周面に向かって突出するセンタリング用突起が一体形成されていることを特徴とするプリント配線基板積層体。
【請求項2】
前記係止突部が、前記接続端子の周上で部分的に突出している請求項1に記載のプリント配線基板積層体。
【請求項3】
前記係止突部が、前記接続端子の周上で等間隔に且つ突出高さを同じにして複数形成されている請求項2に記載のプリント配線基板積層体。
【請求項4】
前記接続端子の前記センタリング用突起が、積層方向の少なくとも一方の最外側に配された前記プリント配線基板の前記スルーホールへの内挿位置に形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のプリント配線基板積層体。
【請求項5】
前記接続端子の前記係止突部が、該接続端子の前記プリント配線基板に対する挿通方向の前方側から後方側に向かって次第に突出高さが大きくなるテーパ−形状とされている請求項1〜4の何れか1項に記載のプリント配線基板積層体。
【請求項6】
前記接続端子を形成する前記線材端子が、全表面に亘って導電性金属のめっき層が被着された金属線材を所定長さで切断した切断線材を用いて得られると共に、前記係止突部および前記センタリング用突起が前記切断線材を鍛圧により塑性変形させることで形成されている請求項1〜5の何れか1項に記載のプリント配線基板積層体。
【請求項7】
互いに離隔して平行に配置された少なくとも二つのプリント配線基板が、夫々に設けられたスルーホールに対して挿通されて半田付けされた接続端子により、相互に接続されているプリント配線基板積層体の製造方法であって、
前記複数のプリント配線基板の何れに設けられた前記スルーホールに対しても遊挿される断面の線材端子によって形成されており、長さ方向一方の端部に係止突部が一体形成されていると共に、前記複数のプリント配線基板の前記各スルーホールへの内挿位置の少なくとも一つにセンタリング用突起が一体形成されている前記接続端子を準備する工程と、
前記複数のプリント配線基板の全てを互いに離隔して平行に配置した状態で、位置決め冶具によって固定的に支持する工程と、
前記位置決め冶具で支持された前記複数のプリント配線基板における夫々の前記スルーホールに対して、前記接続端子を前記係止突部と反対側の端部から挿通させることにより、積層方向の一方の最外側に配された前記プリント配線基板の前記スルーホールの外方開口縁部に対する該係止突部の係止によって規定された挿入端に該接続端子を挿入位置させると共に、該接続端子における前記センタリング用突起を何れかの該プリント配線基板のスルーホールの内周面に向かって突出位置させる工程と、
前記接続端子を、前記複数のプリント配線基板の各スルーホールへの挿通部位において各前記プリント配線基板に対して半田付けする工程と
を、含むことを特徴とするプリント配線基板積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−114158(P2011−114158A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269293(P2009−269293)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】