プリント配線基板装置
【課題】表面実装部品の本体の真下にダミーパターンを設けて、セルフアライメント作用による半田付け不良をなくしたプリント配線基板装置を提供する。
【解決手段】本体8の裏面9を含む平面14から突出した複数のリード4が1列に配列されたリード群が、互いに平行な本体8の側面に沿って2列形成された表面実装部品3と、リード群に対応する複数のパッド6からなる2列のパッド群が形成されると共に、2列のパッド群の間にダミーパターン11が形成されたプリント配線基板2を備えたプリント配線基板装置1において、ダミーパターン11の膜厚を、回路パターンの膜厚15と同一にし、表面実装部品3の裏面9と対向するダミーパターン11に、表面実装部品3の裏面9と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジスト12を形成した。
【解決手段】本体8の裏面9を含む平面14から突出した複数のリード4が1列に配列されたリード群が、互いに平行な本体8の側面に沿って2列形成された表面実装部品3と、リード群に対応する複数のパッド6からなる2列のパッド群が形成されると共に、2列のパッド群の間にダミーパターン11が形成されたプリント配線基板2を備えたプリント配線基板装置1において、ダミーパターン11の膜厚を、回路パターンの膜厚15と同一にし、表面実装部品3の裏面9と対向するダミーパターン11に、表面実装部品3の裏面9と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジスト12を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板(ベアボード)にSOJ(Small Outline J-leaded)等の形状の表面実装部品を実装(半田付け)したプリント配線基板装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、SOP(Small Outline Package)、SOJ等の形状の表面実装部品をプリント配線基板に実装したプリント配線基板装置が各種の電気製品に使用されている。
【0003】
ここで、SOPとは、対向する2辺からリード(端子)をガルウイング状に伸ばしたもので、小型のプラスチックモールドのパッケージを備えた電子部品(表面実装部品)をいう。QFP(Quad Flat Package)の2辺にのみリードを持つ形状ともいえる。SOIC(Small Outline Integrated Circuit)と呼ぶこともある。SOPの薄いパッケージ形状のものを特にTSOP(Thin SOP)と呼ぶ。また、SOJとは、リードをSOPとは逆に内側にJ型に曲げたパッケージを備えた電子部品をいう。
【0004】
これらの表面実装部品は、クリーム半田印刷機によりプリント配線基板の表面に形成されたパッドにクリーム半田が塗布された後、電子部品実装機により当該パッドに印刷されたクリーム半田上に表面実装部品のリードが載せられ、リフロー炉の中でクリーム半田が溶融された後、当該クリーム半田が冷却固化されることによりプリント配線基板への実装が完了する。
【0005】
かかる一連の工程の中で、プリント配線基板と表面実装部品をリフロー炉によって加熱し、クリーム半田を溶融させるとき、クリーム半田はリード(部品側電極)とパッド(基板側電極)に接触しつつ溶融するものの、その表面張力によって略球形状に変形する傾向がある。このため、クリーム半田の変形に伴って、表面実装部品は、リードとパッドとが最短距離で対面する位置に変位し、リードとパッドとが正対する正規の搭載位置に移動する(セルフアライメント作用)。
【0006】
かかるセルフアライメント作用を利用したプリント配線基板装置の製造に関する技術は多数提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−014964号公報
【特許文献2】特開平08−172257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年の表面実装部品の小型・軽量化、並びにこれに伴うリードの微小・狭ピッチ化およびプリント配線基板のパッドの微小・狭ピッチ化により、前記したセルフアライメント作用が半田付け不良を誘発する原因の一つになってきた。
【0009】
つまり、複数のリードが一列に整列したリード群が互いに平行な本体の側面に沿って2列形成されたSOP、SOJ等の表面実装部品は、電子部品実装機により設計値通りに位置決めされてパッドに印刷されたクリーム半田上に置かれたとしても、溶融したクリーム半田の表面張力という外力によって斜めに半田付けされる場合がある。これは、全てのパッドに対して、全く同じ量、全く同じ相対位置にクリーム半田を印刷できないことが原因の一つとして挙げられる。
【0010】
このように、表面実装部品が斜めになった状態で溶融したクリーム半田が冷却固化すると、長手方向の端部のリードが半田付けされていない、半田付け状態が悪いといった電気的な導通不良等の問題が発生する。
【0011】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、表面実装部品の本体の真下にダミーパターンを設け、このダミーパターンに表面実装部品の裏面と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジストを形成するという簡単な構成により、セルフアライメント作用に起因した半田付け不良を無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明)
第1発明に係は、本体の裏面を含む平面から突出した複数のリードが1列に配列されたリード群が、互いに平行な本体の側面に沿って2列形成された表面実装部品と、リード群に対応する複数のパッドからなる2列のパッド群が形成されると共に、2列の該パッド群の間に、パッドを含む配線パターンと電気的に導通していないダミーパターンが形成されたプリント配線基板を有し、リード群を構成する個々のリードが、パッド群を構成する個々のパッドに半田付けされたプリント配線基板装置に関するものである。
【0013】
そして、ダミーパターンの膜厚は、配線パターンの膜厚と同一であり、表面実装部品の裏面と対向するダミーパターンに、表面実装部品の裏面と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジストを形成したことを特徴とする。
【0014】
ここで、配線パターンとは、プリント配線基板(ベアボード)上に実装(固定)された表面実装部品と、当該プリント配線基板および/または他のプリント配線基板等に実装(固定)された他の表面実装部品を含む電子部品等を電気的に接続するパターン(パッドを含む)をいう。
【0015】
これに対し、ダミーパターンとは、配線パターンのような電子部品間の電気的接続(結線)を目的とするものではなく、配線パターンと電気的に導通していないプリント配線基板上に付加的に形成された絵柄または模様のパターンをいう。
【0016】
また、ソルダーレジストとは、プリント配線基板の表面を覆い、半田による被覆や電子部品を実装する際、配線パターンの表面に不必要な半田の付着を防止する保護コーティング材のことをいう。また、ソルダーレジストは、永久保護マスクとして、プリント配線基板の配線パターンを湿度やほこり等から保護すると同時に、電気的トラブルから配線パターンを守る絶縁体機能があり、耐薬品性、耐熱性に優れ、半田付けをする際の高熱や金めっきにも耐えられる保護皮膜である。
【0017】
ソルダーレジストの形成方法は一般的に活性エネルギー線を、マスクパターンを介して照射することによりパターンを形成するフォトリソグラフィー法が用いられている。マスクパターンを使用することにより、半田の不必要な部分を選択することができる。
【0018】
前記した構成により、表面実装部品の裏面は、リフロー炉等の加熱炉における半田付けの前後を通してダミーパターンに形成されたソルダーレジストと接触しているので、クリーム半田の溶融により生じる表面張力の影響を受けて大きく位置を変えることが無い。
【0019】
また、ダミーパターンには、ソルダーレジストが形成されているので、当該ダミーパターンに近接して設けられたパッド群との間で半田ブリッジが生じることが無い。さらに、表面実装部品の裏面とダミーパターンがソルダーレジストを介して接触しているので、表面実装部品の熱をダミーパターンにより放熱することができる。
【0020】
(第2発明)
第2発明のプリント配線基板装置は、第1発明において、ダミーパターンがアース(グランド)に接続(連結)されたものである。
【0021】
かかる構成により、前記した第1発明の効果を奏することができるのみならず、ダミーパターンに伝わった熱をアースに逃がすことができるので、放熱効果をより大きくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、溶融した半田の表面張力により表面実装部品が動くこと(セルフアライメント作用)に基づく半田付け不良を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】プリント配線基板装置の平面図である(実施例1)
【図2】プリント配線基板装置の断面図である(実施例1)
【図3】表面実装部品の平面図である(実施例1)
【図4】表面実装部品の断面図である(実施例1)
【図5】プリント配線基板の平面図である(実施例1)
【図6】プリント配線基板の断面図である(実施例1)
【図7】プリント配線基板の断面図である
【図8】プリント配線基板装置の平面図である(実施例2)
【図9】プリント配線基板装置の平面図である(実施例2)
【図10】プリント配線基板装置の平面図である(実施例3)
【図11】プリント配線基板装置の断面図である(実施例3)
【図12】プリント配線基板装置の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
尚、各実施例で用いられる図面において配線パターン、ダミーパターンおよびソルダーレジストを太く図示したが、説明を分かりやすくするためである。実際には、配線パターンおよびダミーパターンは、幅寸法が100ミクロン〜200ミクロン程度、厚さ(膜厚)が20ミクロン〜40ミクロン程度である。また、配線パターン上に一般に形成されるソルダーレジストの厚みは、5ミクロン〜50ミクロン程度である。これらの数字は、一例として示したものに過ぎず、本発明がこれらの数字により限定して解釈されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明に係る第1実施例を、図1乃至図6を用いて説明する。
図1はプリント配線基板装置1の平面図であり、図2は図1のA−A断面図、図3は図1に示した表面実装部品3の平面図、図4は図3のB−B断面図、図5は図1に示したプリント配線基板2の平面図、図6は図5のC−C断面図である。尚、説明を分かりやすくするため、図1においてソルダーレジスト16および半田フィレット22の図示、図5においてソルダーレジスト12および16の図示を省略している。
【0026】
(プリント配線基板装置)
図1および図2に示すように、本発明に係るプリント配線基板装置1は、プリント配線基板(ベアボード)2と、当該プリント配線基板2の表面に形成されたパッド6にリード4が半田付けされた表面実装部品3とを備えたものである。本発明の特徴を明確にするため、表面実装部品3と、プリント配線基板2のそれぞれについて以下に説明する。
【0027】
(表面実装部品)
本発明で対象とする表面実装部品3は、図3および図4に示すように、SOJ、SOP等の本体8の裏面9を含む平面14から突出した複数のリード4が1列に配列されたリード群5が、互いに平行な本体8の側面10に沿って2列形成されたものである。
【0028】
より詳細に説明すると、図3に示すように、表面実装部品3の紙面右側に着目すると、4個のリード4が本体8の右側の側面10に沿って直線状に一列に整列した右側のリード群5を構成している。一方、表面実装部品3の紙面左側に着目すると、4個のリード4が本体8の左側の側面10に沿って直線状に一列に整列した左側のリード群5を構成している。そして、紙面右側の側面10と紙面左側の側面10は互いに平行であるから、これら右側のリード群5と左側のリード群5は互いに平行の関係にある。
【0029】
また、図4に示すように、表面実装部品3のリード4は、本体8の裏面9を含む平面14から紙面下方に突出している。本実施例1においては、かかる表面実装部品3の一例として、図3および図4に示したSOJを取り上げて説明する。
【0030】
(プリント配線基板)
本発明が対象とするプリント配線基板2は、図5および図6に示すように、前記した表面実装部品3のリード群5に対応する複数のパッド6からなる2列のパッド群7が形成されると共に、当該2列のパッド群7の間に、パッド6を含む配線パターン15と電気的に導通していないダミーパターン11が形成されたものである。
【0031】
より詳細に説明すると、図5に示すように、プリント配線基板2の紙面右側に着目すると、4個のパッド6が直線状に一列に整列した右側のパッド群7を構成している。これら右側のパッド群7は、前記した右側のリード群5に対応して設けられている。すなわち、右側のパッド群7を構成する個々のパッド6は、前記した右側のリード群5を構成する個々のリード4を半田付けできる位置および大きさで設けられている。
【0032】
同様に、プリント配線基板2の紙面左側に着目すると、4個のパッド6が直線状に一列に整列した左側のパッド群7を構成している。これら左側のパッド群7は、前記した左側のリード群5に対応して設けられている。すなわち、左側のパッド群7を構成する個々のパッド6は、前記した左側のリード群5を構成する個々のリード4を半田付けできる位置および大きさで設けられている。
【0033】
これら右側のパッド群7と左側のパッド群7によって、プリント配線基板2には、2列のパッド群7が構成されている。そして、この2列のパッド群7の間には、左右のパッド群7からそれぞれWの距離離れた位置に、左右のパッド群7を構成するパッド6を含む配線パターン15と電気的に導通していないダミーパターン11が形成されている。これら配線パターン15を構成する銅箔等の金属の膜厚Tと、ダミーパターン11を構成する銅箔等の金属の膜厚Sは等しい厚さ(T=S)で設定されている。
【0034】
このダミーパターン11は、少なくとも表面実装部品3の裏面9と対向する位置に形成され、かつ、その表面(上面)には、図2および図6に示すように、表面実装部品3の裏面9と接触するように膜厚Uが設定されたソルダーレジスト12が形成されていることが必要である。すなわち、パッド6を除く配線パターン15等の表面に形成されたソルダーレジスト16の厚さ(V)にかかわらず、本発明の作用効果を奏するために、図6および図7に示すように、ダミーパターン11には特別に膜厚(U)が設定されたソルダーレジスト12を設ける必要がある。
【0035】
かかる構成により、表面実装部品3の裏面9は、リード4をパッド6に半田付けするための半田が溶融して表面張力を発生する前から、当該半田が冷却固化して表面張力が消滅した後に至るまで、ダミーパターン11に形成されたソルダーレジスト12と接触している。このため、表面実装部品3は、半田の溶融により生じる表面張力の影響を受けて大きく位置を変えることが無い。このため、セルフアライメント作用により、表面実装部品3が斜めに半田付けされ、表面実装部品3の端部に位置するリード4に半田付け不良が発生することが無い。
【0036】
尚、ダミーパターン11は、図5に示すように、複数(4個)のパッド6が列を成している方向(紙面上下方向)と平行な方向に、パッド群7を構成するパッド6の一端(紙面上方の第1のパッド6)から他端(紙面下方の第4のパッド6)に至る長さで構成されていることが望ましい。
【実施例2】
【0037】
本発明の他の実施例を図8を用いて説明する。
図8は、本発明に係るプリント配線基板装置19の平面図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施例2に係るプリント配線基板装置19の実施例1に係るプリント配線基板装置1との主な相違点は、図8に示すように、表面実装部品3の裏面9と対向する面に形成されたダミーパターン11を、表面実装部品3の裏面9と対向する面から引き出して延長し、ダミーパターン17とした点である。
【0039】
かかる構成により、前記した実施例1の効果を得ることができるのみならず、表面実装部品3から発生した熱をダミーパターン17により放熱することができる。尚、図示を省略しているが、延長したダミーパターン17をアース(グランド)に接続することにより、前記した放熱効果をさらに大きくすることができ、ノイズを吸収する作用効果も得られる。
【0040】
また、図9に示したように、ダミーパターン17をアースに接続する手段としては、プリント配線基板20が多層プリント配線基板であって、内層または裏面にペタパターンからなるグランド層を備えている場合は、スルーホール21によりかかるグランド層に接続する手段も採り得る。
【実施例3】
【0041】
本発明の他の実施例を図10および図11を用いて説明する。
図10は本発明に係るプリント配線基板装置23の平面図、図11は図10におけるD−D断面図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施例3に係るプリント配線基板装置23の実施例1に係るプリント配線基板装置1との主な相違点は、図10および図11に示すように、表面実装部品をSOJからSOPにした点である。すなわち、プリント配線基板24に対して、SOPタイプの表面実装部品25を半田付けした点である。
【0043】
かかる構成であっても実施例1と同一の効果が得られる。尚、言うまでもないが、本実施例3の表面実装部品においても、実施例2に記載した構成を採用することができる。
【0044】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0045】
例えば、前記した実施例においては、表面実装部品の本体8の裏面9と対向するプリント配線基板の面に形成されたダミーパターンを1本としたものを示したが、図12に示すように、複数であっても良い。
【0046】
また、前記した実施例においては、SOJおよびSOPタイプのパッケージを備えた表面実装部品を示したが、これらに限定されるものではなく、SOJおよびSOPのような形状をしたチップ部品(C(キャパシタンス)、R(抵抗)、L(インダクタンス)等のIC(集積回路)ではない受動部品)も本発明で用いる表面実装部品の対象にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、表面実装部品がプリント配線基板に実装されたプリント配線基板基板装置に適用される。
【符号の説明】
【0048】
1 プリント配線基板装置
2 プリント配線基板
3 表面実装部品
4 リード
5 リード群
6 パッド
7 パッド群
8 本体
9 裏面(本体8の裏面)
10 側面(本体8の側面)
11 ダミーパターン
12 ソルダーレジスト(ダミーパターンの表面)
14平面 (裏面8を含む平面)
15 配線パターン
16 ソルダーレジスト(配線用)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板(ベアボード)にSOJ(Small Outline J-leaded)等の形状の表面実装部品を実装(半田付け)したプリント配線基板装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、SOP(Small Outline Package)、SOJ等の形状の表面実装部品をプリント配線基板に実装したプリント配線基板装置が各種の電気製品に使用されている。
【0003】
ここで、SOPとは、対向する2辺からリード(端子)をガルウイング状に伸ばしたもので、小型のプラスチックモールドのパッケージを備えた電子部品(表面実装部品)をいう。QFP(Quad Flat Package)の2辺にのみリードを持つ形状ともいえる。SOIC(Small Outline Integrated Circuit)と呼ぶこともある。SOPの薄いパッケージ形状のものを特にTSOP(Thin SOP)と呼ぶ。また、SOJとは、リードをSOPとは逆に内側にJ型に曲げたパッケージを備えた電子部品をいう。
【0004】
これらの表面実装部品は、クリーム半田印刷機によりプリント配線基板の表面に形成されたパッドにクリーム半田が塗布された後、電子部品実装機により当該パッドに印刷されたクリーム半田上に表面実装部品のリードが載せられ、リフロー炉の中でクリーム半田が溶融された後、当該クリーム半田が冷却固化されることによりプリント配線基板への実装が完了する。
【0005】
かかる一連の工程の中で、プリント配線基板と表面実装部品をリフロー炉によって加熱し、クリーム半田を溶融させるとき、クリーム半田はリード(部品側電極)とパッド(基板側電極)に接触しつつ溶融するものの、その表面張力によって略球形状に変形する傾向がある。このため、クリーム半田の変形に伴って、表面実装部品は、リードとパッドとが最短距離で対面する位置に変位し、リードとパッドとが正対する正規の搭載位置に移動する(セルフアライメント作用)。
【0006】
かかるセルフアライメント作用を利用したプリント配線基板装置の製造に関する技術は多数提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−014964号公報
【特許文献2】特開平08−172257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年の表面実装部品の小型・軽量化、並びにこれに伴うリードの微小・狭ピッチ化およびプリント配線基板のパッドの微小・狭ピッチ化により、前記したセルフアライメント作用が半田付け不良を誘発する原因の一つになってきた。
【0009】
つまり、複数のリードが一列に整列したリード群が互いに平行な本体の側面に沿って2列形成されたSOP、SOJ等の表面実装部品は、電子部品実装機により設計値通りに位置決めされてパッドに印刷されたクリーム半田上に置かれたとしても、溶融したクリーム半田の表面張力という外力によって斜めに半田付けされる場合がある。これは、全てのパッドに対して、全く同じ量、全く同じ相対位置にクリーム半田を印刷できないことが原因の一つとして挙げられる。
【0010】
このように、表面実装部品が斜めになった状態で溶融したクリーム半田が冷却固化すると、長手方向の端部のリードが半田付けされていない、半田付け状態が悪いといった電気的な導通不良等の問題が発生する。
【0011】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、表面実装部品の本体の真下にダミーパターンを設け、このダミーパターンに表面実装部品の裏面と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジストを形成するという簡単な構成により、セルフアライメント作用に起因した半田付け不良を無くすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明)
第1発明に係は、本体の裏面を含む平面から突出した複数のリードが1列に配列されたリード群が、互いに平行な本体の側面に沿って2列形成された表面実装部品と、リード群に対応する複数のパッドからなる2列のパッド群が形成されると共に、2列の該パッド群の間に、パッドを含む配線パターンと電気的に導通していないダミーパターンが形成されたプリント配線基板を有し、リード群を構成する個々のリードが、パッド群を構成する個々のパッドに半田付けされたプリント配線基板装置に関するものである。
【0013】
そして、ダミーパターンの膜厚は、配線パターンの膜厚と同一であり、表面実装部品の裏面と対向するダミーパターンに、表面実装部品の裏面と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジストを形成したことを特徴とする。
【0014】
ここで、配線パターンとは、プリント配線基板(ベアボード)上に実装(固定)された表面実装部品と、当該プリント配線基板および/または他のプリント配線基板等に実装(固定)された他の表面実装部品を含む電子部品等を電気的に接続するパターン(パッドを含む)をいう。
【0015】
これに対し、ダミーパターンとは、配線パターンのような電子部品間の電気的接続(結線)を目的とするものではなく、配線パターンと電気的に導通していないプリント配線基板上に付加的に形成された絵柄または模様のパターンをいう。
【0016】
また、ソルダーレジストとは、プリント配線基板の表面を覆い、半田による被覆や電子部品を実装する際、配線パターンの表面に不必要な半田の付着を防止する保護コーティング材のことをいう。また、ソルダーレジストは、永久保護マスクとして、プリント配線基板の配線パターンを湿度やほこり等から保護すると同時に、電気的トラブルから配線パターンを守る絶縁体機能があり、耐薬品性、耐熱性に優れ、半田付けをする際の高熱や金めっきにも耐えられる保護皮膜である。
【0017】
ソルダーレジストの形成方法は一般的に活性エネルギー線を、マスクパターンを介して照射することによりパターンを形成するフォトリソグラフィー法が用いられている。マスクパターンを使用することにより、半田の不必要な部分を選択することができる。
【0018】
前記した構成により、表面実装部品の裏面は、リフロー炉等の加熱炉における半田付けの前後を通してダミーパターンに形成されたソルダーレジストと接触しているので、クリーム半田の溶融により生じる表面張力の影響を受けて大きく位置を変えることが無い。
【0019】
また、ダミーパターンには、ソルダーレジストが形成されているので、当該ダミーパターンに近接して設けられたパッド群との間で半田ブリッジが生じることが無い。さらに、表面実装部品の裏面とダミーパターンがソルダーレジストを介して接触しているので、表面実装部品の熱をダミーパターンにより放熱することができる。
【0020】
(第2発明)
第2発明のプリント配線基板装置は、第1発明において、ダミーパターンがアース(グランド)に接続(連結)されたものである。
【0021】
かかる構成により、前記した第1発明の効果を奏することができるのみならず、ダミーパターンに伝わった熱をアースに逃がすことができるので、放熱効果をより大きくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、溶融した半田の表面張力により表面実装部品が動くこと(セルフアライメント作用)に基づく半田付け不良を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】プリント配線基板装置の平面図である(実施例1)
【図2】プリント配線基板装置の断面図である(実施例1)
【図3】表面実装部品の平面図である(実施例1)
【図4】表面実装部品の断面図である(実施例1)
【図5】プリント配線基板の平面図である(実施例1)
【図6】プリント配線基板の断面図である(実施例1)
【図7】プリント配線基板の断面図である
【図8】プリント配線基板装置の平面図である(実施例2)
【図9】プリント配線基板装置の平面図である(実施例2)
【図10】プリント配線基板装置の平面図である(実施例3)
【図11】プリント配線基板装置の断面図である(実施例3)
【図12】プリント配線基板装置の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
尚、各実施例で用いられる図面において配線パターン、ダミーパターンおよびソルダーレジストを太く図示したが、説明を分かりやすくするためである。実際には、配線パターンおよびダミーパターンは、幅寸法が100ミクロン〜200ミクロン程度、厚さ(膜厚)が20ミクロン〜40ミクロン程度である。また、配線パターン上に一般に形成されるソルダーレジストの厚みは、5ミクロン〜50ミクロン程度である。これらの数字は、一例として示したものに過ぎず、本発明がこれらの数字により限定して解釈されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明に係る第1実施例を、図1乃至図6を用いて説明する。
図1はプリント配線基板装置1の平面図であり、図2は図1のA−A断面図、図3は図1に示した表面実装部品3の平面図、図4は図3のB−B断面図、図5は図1に示したプリント配線基板2の平面図、図6は図5のC−C断面図である。尚、説明を分かりやすくするため、図1においてソルダーレジスト16および半田フィレット22の図示、図5においてソルダーレジスト12および16の図示を省略している。
【0026】
(プリント配線基板装置)
図1および図2に示すように、本発明に係るプリント配線基板装置1は、プリント配線基板(ベアボード)2と、当該プリント配線基板2の表面に形成されたパッド6にリード4が半田付けされた表面実装部品3とを備えたものである。本発明の特徴を明確にするため、表面実装部品3と、プリント配線基板2のそれぞれについて以下に説明する。
【0027】
(表面実装部品)
本発明で対象とする表面実装部品3は、図3および図4に示すように、SOJ、SOP等の本体8の裏面9を含む平面14から突出した複数のリード4が1列に配列されたリード群5が、互いに平行な本体8の側面10に沿って2列形成されたものである。
【0028】
より詳細に説明すると、図3に示すように、表面実装部品3の紙面右側に着目すると、4個のリード4が本体8の右側の側面10に沿って直線状に一列に整列した右側のリード群5を構成している。一方、表面実装部品3の紙面左側に着目すると、4個のリード4が本体8の左側の側面10に沿って直線状に一列に整列した左側のリード群5を構成している。そして、紙面右側の側面10と紙面左側の側面10は互いに平行であるから、これら右側のリード群5と左側のリード群5は互いに平行の関係にある。
【0029】
また、図4に示すように、表面実装部品3のリード4は、本体8の裏面9を含む平面14から紙面下方に突出している。本実施例1においては、かかる表面実装部品3の一例として、図3および図4に示したSOJを取り上げて説明する。
【0030】
(プリント配線基板)
本発明が対象とするプリント配線基板2は、図5および図6に示すように、前記した表面実装部品3のリード群5に対応する複数のパッド6からなる2列のパッド群7が形成されると共に、当該2列のパッド群7の間に、パッド6を含む配線パターン15と電気的に導通していないダミーパターン11が形成されたものである。
【0031】
より詳細に説明すると、図5に示すように、プリント配線基板2の紙面右側に着目すると、4個のパッド6が直線状に一列に整列した右側のパッド群7を構成している。これら右側のパッド群7は、前記した右側のリード群5に対応して設けられている。すなわち、右側のパッド群7を構成する個々のパッド6は、前記した右側のリード群5を構成する個々のリード4を半田付けできる位置および大きさで設けられている。
【0032】
同様に、プリント配線基板2の紙面左側に着目すると、4個のパッド6が直線状に一列に整列した左側のパッド群7を構成している。これら左側のパッド群7は、前記した左側のリード群5に対応して設けられている。すなわち、左側のパッド群7を構成する個々のパッド6は、前記した左側のリード群5を構成する個々のリード4を半田付けできる位置および大きさで設けられている。
【0033】
これら右側のパッド群7と左側のパッド群7によって、プリント配線基板2には、2列のパッド群7が構成されている。そして、この2列のパッド群7の間には、左右のパッド群7からそれぞれWの距離離れた位置に、左右のパッド群7を構成するパッド6を含む配線パターン15と電気的に導通していないダミーパターン11が形成されている。これら配線パターン15を構成する銅箔等の金属の膜厚Tと、ダミーパターン11を構成する銅箔等の金属の膜厚Sは等しい厚さ(T=S)で設定されている。
【0034】
このダミーパターン11は、少なくとも表面実装部品3の裏面9と対向する位置に形成され、かつ、その表面(上面)には、図2および図6に示すように、表面実装部品3の裏面9と接触するように膜厚Uが設定されたソルダーレジスト12が形成されていることが必要である。すなわち、パッド6を除く配線パターン15等の表面に形成されたソルダーレジスト16の厚さ(V)にかかわらず、本発明の作用効果を奏するために、図6および図7に示すように、ダミーパターン11には特別に膜厚(U)が設定されたソルダーレジスト12を設ける必要がある。
【0035】
かかる構成により、表面実装部品3の裏面9は、リード4をパッド6に半田付けするための半田が溶融して表面張力を発生する前から、当該半田が冷却固化して表面張力が消滅した後に至るまで、ダミーパターン11に形成されたソルダーレジスト12と接触している。このため、表面実装部品3は、半田の溶融により生じる表面張力の影響を受けて大きく位置を変えることが無い。このため、セルフアライメント作用により、表面実装部品3が斜めに半田付けされ、表面実装部品3の端部に位置するリード4に半田付け不良が発生することが無い。
【0036】
尚、ダミーパターン11は、図5に示すように、複数(4個)のパッド6が列を成している方向(紙面上下方向)と平行な方向に、パッド群7を構成するパッド6の一端(紙面上方の第1のパッド6)から他端(紙面下方の第4のパッド6)に至る長さで構成されていることが望ましい。
【実施例2】
【0037】
本発明の他の実施例を図8を用いて説明する。
図8は、本発明に係るプリント配線基板装置19の平面図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施例2に係るプリント配線基板装置19の実施例1に係るプリント配線基板装置1との主な相違点は、図8に示すように、表面実装部品3の裏面9と対向する面に形成されたダミーパターン11を、表面実装部品3の裏面9と対向する面から引き出して延長し、ダミーパターン17とした点である。
【0039】
かかる構成により、前記した実施例1の効果を得ることができるのみならず、表面実装部品3から発生した熱をダミーパターン17により放熱することができる。尚、図示を省略しているが、延長したダミーパターン17をアース(グランド)に接続することにより、前記した放熱効果をさらに大きくすることができ、ノイズを吸収する作用効果も得られる。
【0040】
また、図9に示したように、ダミーパターン17をアースに接続する手段としては、プリント配線基板20が多層プリント配線基板であって、内層または裏面にペタパターンからなるグランド層を備えている場合は、スルーホール21によりかかるグランド層に接続する手段も採り得る。
【実施例3】
【0041】
本発明の他の実施例を図10および図11を用いて説明する。
図10は本発明に係るプリント配線基板装置23の平面図、図11は図10におけるD−D断面図である。尚、説明を分かりやすくするため、実施例1と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施例3に係るプリント配線基板装置23の実施例1に係るプリント配線基板装置1との主な相違点は、図10および図11に示すように、表面実装部品をSOJからSOPにした点である。すなわち、プリント配線基板24に対して、SOPタイプの表面実装部品25を半田付けした点である。
【0043】
かかる構成であっても実施例1と同一の効果が得られる。尚、言うまでもないが、本実施例3の表面実装部品においても、実施例2に記載した構成を採用することができる。
【0044】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0045】
例えば、前記した実施例においては、表面実装部品の本体8の裏面9と対向するプリント配線基板の面に形成されたダミーパターンを1本としたものを示したが、図12に示すように、複数であっても良い。
【0046】
また、前記した実施例においては、SOJおよびSOPタイプのパッケージを備えた表面実装部品を示したが、これらに限定されるものではなく、SOJおよびSOPのような形状をしたチップ部品(C(キャパシタンス)、R(抵抗)、L(インダクタンス)等のIC(集積回路)ではない受動部品)も本発明で用いる表面実装部品の対象にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、表面実装部品がプリント配線基板に実装されたプリント配線基板基板装置に適用される。
【符号の説明】
【0048】
1 プリント配線基板装置
2 プリント配線基板
3 表面実装部品
4 リード
5 リード群
6 パッド
7 パッド群
8 本体
9 裏面(本体8の裏面)
10 側面(本体8の側面)
11 ダミーパターン
12 ソルダーレジスト(ダミーパターンの表面)
14平面 (裏面8を含む平面)
15 配線パターン
16 ソルダーレジスト(配線用)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の裏面を含む平面から突出した複数のリードが1列に配列されたリード群が、互いに平行な前記本体の側面に沿って2列形成された表面実装部品と、
前記リード群に対応する複数のパッドからなる2列のパッド群が形成されると共に、2列の該パッド群の間に、前記パッドを含む配線パターンと電気的に導通していないダミーパターンが形成されたプリント配線基板を有し、
前記リード群を構成する個々の前記リードが、前記パッド群を構成する個々の前記パッドに半田付けされたプリント配線基板装置において、
前記ダミーパターンの膜厚は、前記回路パターンの膜厚と同一であり、
前記表面実装部品の裏面と対向する前記ダミーパターンに、前記表面実装部品の裏面と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジストが形成されたことを特徴とするプリント配線基板装置
【請求項2】
前記ダミーパターンがアースに接続された請求項1に記載のプリント配線基板装置
【請求項1】
本体の裏面を含む平面から突出した複数のリードが1列に配列されたリード群が、互いに平行な前記本体の側面に沿って2列形成された表面実装部品と、
前記リード群に対応する複数のパッドからなる2列のパッド群が形成されると共に、2列の該パッド群の間に、前記パッドを含む配線パターンと電気的に導通していないダミーパターンが形成されたプリント配線基板を有し、
前記リード群を構成する個々の前記リードが、前記パッド群を構成する個々の前記パッドに半田付けされたプリント配線基板装置において、
前記ダミーパターンの膜厚は、前記回路パターンの膜厚と同一であり、
前記表面実装部品の裏面と対向する前記ダミーパターンに、前記表面実装部品の裏面と接触するように膜厚が設定されたソルダーレジストが形成されたことを特徴とするプリント配線基板装置
【請求項2】
前記ダミーパターンがアースに接続された請求項1に記載のプリント配線基板装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−278121(P2009−278121A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−164126(P2009−164126)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164126(P2009−164126)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】
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