プリント配線板、そのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、およびその電気回路モジュールの製造方法
【課題】プリント配線板同士の接続を低温で行うことができるプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びに電気回路モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板1は、絶縁基板10と、この絶縁基板10の表面に設けられている複数の接続端子31とを備えている。通電により昇温する導電体40が接続端子31に対応する位置に設けられ、かつ導電体40には2つの通電用ランド52が接続されている。
【解決手段】プリント配線板1は、絶縁基板10と、この絶縁基板10の表面に設けられている複数の接続端子31とを備えている。通電により昇温する導電体40が接続端子31に対応する位置に設けられ、かつ導電体40には2つの通電用ランド52が接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他のプリント配線板の被接続端子に接続される接続端子を備えたプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びにその電気回路モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板同士を異方性接着フィルムにより接続する方法として、特許文献1の記載の技術が知られている。すなわち、一方のプリント配線板の接続端子と、他方のプリント配線板の被接続端子とを互いに向かい合わせるとともに接続端子と被接続端子との間に異方性接着フィルムを配置した上で両プリント配線板を重ね合わせ、シリコンシートを介してヒートツールを押し当てる。これにより接続端子部分を加熱および加圧して、両者を接続させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−312070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリント配線板同士の接続工程の時間短縮のため、ヒートツールの温度を高く設定することがある。しかし、この場合、プリント配線板同士の接続を短時間で完了させることができるものの、ヒートツールの過温に起因してヒートツール側に配置されるプリント配線板またはシリコンシートが変形することがある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリント配線板同士の接続を低温で行うことができるプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びに電気回路モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、絶縁基板と、この絶縁基板に設けられた複数の接続端子とを備えているプリント配線板において、通電により昇温する導電体が前記接続端子に対応する位置に設けられ、前記導電体には少なくとも2つの通電用ランドが接続されていることを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、通電により導電体を昇温させることにより、接続端子の周辺を加熱することができる。すなわち、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを接続するとき、ヒートツールによる加熱および圧着に加えて、通電による加熱を行うことができるため、ヒートツールの設定温度を低くすることができる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板において、前記導電体は前記絶縁基板の内部に形成されていることを要旨とする。
この発明によれば、接続端子が設けられた場所と反対側の場所に導電体を設ける場合に比べて、導電体を接続端子に近い位置に設けることができるため、接続端子を迅速に加熱することができる。
【0009】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは導通部を介して接続されていることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、通電用ランドと接続端子とが同じ面に形成されているため、被接続端子を端子部に押し付ける方向と同じ方向から、通電用ランドに通電のためのプローブピンを押し当てることができる。
【0011】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、前記絶縁基板には、前記通電用ランドに達する貫通孔が設けられていることを要旨とする。
【0012】
通電用ランドと導電体とが異なる層に形成する場合、通電用ランドと導電体とをブラインドビアまたはスルーホール等の層間接続体により接続する必要がある。しかし、層間接続体の断面積が十分な大きさとされていないとき大電流の通電により断線することがある。これに対して、上記構成では、通電用ランドと導電体と同じ層に形成する。これにより、層間接続体を介さずに導電体に大電流を流すことができるため、上記大電流の通電による断線の発生を抑制することができる。
【0013】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、かつ前記通電用ランドは前記絶縁基板の側面から突出するものとして形成されていることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、導電用ランドを絶縁基板の側面に形成するため、導電用ランドをプリント配線板の表面および裏面に形成する場合と比べて、プリント配線板の表面および裏面の電子部品等の実装面積を大きくすることができる。
【0015】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面と反対側の面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは、導通部を介して接続されていることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、接続端子が形成されている面と反対側の面に通電用ランドを設けているため、接続端子が形成されている面に通電用ランドを設ける場合と比べて、接続端子が形成されている面の実装面積を大きくすることができる。
【0017】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板において、前記導電体および前記通電用ランドは前記接続端子が設けられている面と反対側の面に設けられていることを要旨とする。本発明によれば、導電体は絶縁基板の内部ではなく表面に設ける構成としているため、プリント配線板の製造工程を簡略化することができる。
【0018】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリント配線板において、前記各接続端子は互いに平行に並べられ、前記導電体は、前記各接続端子に対向する第1直線部とこれら第1直線部を互いに接続する第1接続部とにより構成され、前記第1直線部と前記第1接続部とは直列に接続されていることを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを異方性導電フィルムを介して接続するとき、接続端子とこれに対向する第1直線部とが互いに押し合うため、接続端子と被接続端子との間の異方性導電フィルム内の導電粒子を強く接触させることができる。これにより、接続端子と被接続端子との間の抵抗を小さくすることができる。
【0020】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板において、前記各接続端子は互いに平行に並べられ、前記導電体は、前記各接続端子に直交しかつ前記複数の接続端子にわたる第2直線部とこの第2直線部を互いに接続する第2接続部とにより構成され、前記第2直線部と前記第2接続部とは直列に接続されていることを要旨とする。
【0021】
この発明によれば、接続端子と導電体の第2直線部とが互いに直交している。このため、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを異方性導電フィルムを介して接続するとき、加熱および加圧により各接続端子の下側が押圧されるが、接続端子に直交する第2直線部によりこれらの圧力が分散され、各接続端子に加わる圧力が均一化される。これにより、接続端子毎の接着強度のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0022】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板において、前記接続端子に前記通電用ランドが接続され、前記接続端子自体を前記導電体とすることを要旨とする。
【0023】
この発明によれば、接続端子自体を加熱することができるため、間接的に加熱する場合と比べて、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを迅速に接続することができる。
【0024】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のプリント配線板において、前記接続端子のうち他の端子よりも熱容量の大きい接続端子に前記通電用ランドを設けていることを要旨とする。
【0025】
接続端子のうち接地用接続端子または電力供給用接続端子は他の接続端子に比べて幅広の導電パターンに形成されている。幅広の接続端子は熱容量が大きいため、異方性導電フィルムを介してプリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを加熱および加圧したとき当該接続端子が十分に昇温されず、当該接続端子の接着強度が他の接続端子の接着強度よりも低くなることがある。この点、上記構成によれば、当該接続端子を通電加熱することができるため、間接的加熱手段だけで加熱する場合と比べ、接続端子を短時間で昇温することができる。
【0026】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールである。
プリント配線板が変形すると、接続部分に歪が生じ、内部応力が増大する。内部応力が大きいとき、長期使用における接続部分の劣化にともなって接続部分が断線するおそれがある。この点、上記変形が抑制されるため、接続部分で断線する可能性の低い電気回路モジュールとすることができる。
【0027】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、前記通電用ランドにヒートシンクが接続されていることを要旨とする。
【0028】
プリント配線板に発熱する電子部品が搭載されている場合、導電パターンを通じて熱が伝達されるため、接続端子と被接続端子との接続部分の温度が上昇することがある。温度上昇が長時間維持されるとき、接続端子と被接続端子との接続部分の強度が低下して、接続不良が生じるおそれがある。この点、上記発明によれば、当該接続部分に伝達された熱が導電体を介してヒートシンクに伝達されて放熱されるため、当該接続部分の強度が低下することが抑制される。
【0029】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、前記通電用ランドが接地されていることを要旨とする。
【0030】
電気回路モジュールが電磁波の発生源の近くに配置される場合、導電パターンを介してノイズが電子部品に入力される。このノイズに起因して電子部品が誤動作するおそれがある。この点、上記発明では、通電用ランドを接地して導電体を電磁シールドとして機能させるため、電気回路モジュールに発生するノイズを低減することができる。
【0031】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた第1電気回路モジュールと、前記プリント配線板に接続される被接続プリント配線板を用いた第2電気回路モジュールとが接続された電気回路モジュールの製造方法であって、前記プリント配線板の接続端子と、この接続端子に対応する前記被接続プリント配線板の被接続端子とを対向させるとともに、前記接続端子と前記被接続端子との間に異方性導電フィルムを配置する工程と、前記接続端子と前記被接続端子とを加熱装置により加熱するとともに前記通電用ランドを通じて前記導電体に通電し、かつ前記プリント配線板と前記被接続プリント配線板とを加圧し、前記接続端子と前記被接続端子とを接続する工程とを含むことを要旨とする。
【0032】
この発明では、プリント配線板の接続端子と被接続プリント配線板の被接続端子とを異方性導電フィルムを介して接続するとき、接続端子と被接続端子とを加熱装置により加熱するとともに通電用ランドを通じて導電体に通電する。これにより、接続端子と被接続端子とを迅速に接続することができる。
【0033】
(16)請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の電気回路モジュールにおいて、前記接続端子と前記被接続端子とを前記加熱装置により加熱および加圧する前に、前記導電体への通電を開始することを要旨とする。
【0034】
通電開始から導電体が所定温度に達するまでには所定の時間を要する。仮に、通電開始と加熱装置による加熱および加圧とを同じタイミングで行った場合、加熱装置による加圧の開始時において接続端子および被接続端子の加熱が不十分になることもある。この点、上記発明では、接続端子と被接続端子とを加熱装置により加熱および加圧する前に導電体への通電を開始するため、十分に接続端子および被接続端子の加熱した状態で、加熱装置により加圧および加熱することができるため、加熱装置とプリント配線板との接触時間を短くすることできる。
【0035】
(17)請求項17に記載の発明は、請求項15または16に記載の電気回路モジュールの製造方法において、通電による前記導電体の温度を前記絶縁基板の耐熱温度よりも低くすることを要旨とする。
【0036】
導電体に温度を絶縁基板の耐熱温度よりも高くすると、導電体と絶縁基板との間で剥離が生じるおそれがある。この点、上記発明によれば、絶縁基板の耐熱温度よりも導電体の温度を低くするため、導電体と絶縁基板との間の剥離を抑制することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、プリント配線板同士の接続を低温で行うことができるプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びにその電気回路モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態のプリント配線板について、平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のプリント配線板について、図1のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態のプリント配線板について、導電体のパターン構造を示す平面図。
【図4】同実施形態のプリント配線板の製造方法について、圧着方法を示す断面図。
【図5】同実施形態のプリント配線板について、導通部の第1変形例の断面図。
【図6】同実施形態のプリント配線板について、導通部の第2変形例の断面図。
【図7】同実施形態のプリント配線板について、導通部の第3変形例の断面図。
【図8】同実施形態のプリント配線板について、端子部の変形例の断面図。
【図9】同実施形態のプリント配線板について、導電体のパターン構造の変形例を示す平面図。
【図10】本発明の第2実施形態のプリント配線板について、その平面構造を示す平面図。
【図11】本発明の第3実施形態の電気回路モジュールについて、その平面構造を示す平面図。
【図12】本発明の第4実施形態の電気回路モジュールについて、その平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
図1〜図9を参照して、プリント配線板について説明する。
図1に示すように、プリント配線板1は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面に形成された導電パターン20と、端子部30と、導電体40(図2参照)と、端子部30を補強する第1補強板11および第2補強板12(図2参照)と、導電体40に電流を流すための導通部50とを備えている。
【0040】
図2を参照して、プリント配線板1の断面構造を説明する。
プリント配線板1は、導電層を4層に積層された構造とされている。各導電層は絶縁層により隔離されている。以降の説明では、プリント配線板1において端子部30が形成される側を上側とし、その反対側を下側とする。絶縁基板10において上側の面を表面とし、その反対側の面を裏面とする。また、上から順に、導電層を第1導電層2A、第2導電層2B、第3導電層2C、第4導電層2Dとする。絶縁層を第1絶縁層3A、第2絶縁層3B、第3絶縁層3Cとする。なお、第1絶縁層3Aと、第2絶縁層3Bと、第3絶縁層3Cとにより構成される基板が絶縁基板10に対応する。
【0041】
第1絶縁層3Aの上には、第1導電層2Aとしての導電パターン20が設けられている。導電パターン20は互いに平行かつ等ピッチで配置された複数の導電線から構成されている。これら導電線の先端には接続端子31が設けられている。これら接続端子31は端子部30を構成する。
【0042】
上記導電パターン20は、端子部30およびランド部を除いてソルダレジスト13に覆われている。第1絶縁層3Aと第2絶縁層3Bとの間であって端子部30に対応する位置には、第2導電層2Bとしての導電体40が形成されている。第2絶縁層3Bと第3絶縁層3Cとの間には、第3導電層2Cとしての第1補強板11が形成されている。第3絶縁層3Cには第4導電層2Dとしての第2補強板12が形成されている。第1補強板11および第2補強板12は、端子部30に対応する位置に設けられ、第1補強板11および第2補強板12の大きさは端子部30と略同じ大きさとされている。第2補強板12はソルダレジスト14に覆われている。
【0043】
導電パターン20、導電体40、第1補強板11、第2補強板12、および導通部50は、いずれもの銅めっきまたは無電解銅めっきにより形成されている。例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等により形成される。絶縁層はエポキシ樹脂により形成される。端子部30には下側から順にニッケルめっき層および金めっき層が形成されている。
【0044】
導通部50はプリント配線板1に2つ設けられている。一方の導通部50は端子部30の一方端よりも外側の位置に、他方の導通部50は端子部30の他方端よりも外側の位置に設けられている。導通部50は、プリント配線板1を貫通する主導通部51と、第1導電層2Aとしての通電用ランド52と、導電体40に接続されている第1内層ランド53と、第4導電層2Dとしての外層ランド54とを備えている。主導通部51はプリント配線板1を貫通するスルーホールにより形成されている。主導通部51は上記各ランドを貫く。
【0045】
図3を参照して、導電体40のパターン構造を説明する。
導電体40は、各接続端子31に対向する第1直線部41とこれら第1直線部41を互いに接続する第1接続部42とにより構成されている。
【0046】
各第1直線部41は互いに平行かつ横一列に配列されている。横方向に隣り合う第1直線部41の間に第1接続部42が配置されている。第1接続部42は第1直線部41の端に配置されている。隣り合う第1接続部42は第1直線部41を間にして対向するように配置されている。すなわち、第1直線部41と第1接続部42とは直列に接続されて、一本の導電線となっている。導電体40の両端には第1内層ランド53に接続されている。
【0047】
図4を参照して、上記プリント配線板1の端子部30と他のプリント配線板(被接続プリント配線板)の被端子部110とを接続する方法を説明する。ここでは、他のプリント配線板としてフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC基板100」)を例に挙げて説明する。
【0048】
プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とは、接続装置200を用いて互いに接続される。接続装置200は、端子部30および被端子部110を加熱するヒートツール210と、導電体40に通電する通電装置220とを備えている。
【0049】
通電装置220は、定電流を供給する定電流電源221と、通電時間を制御する制御装置222と、定電流電源221のアノード側に接続されている第1プローブピン223と、カソード側に接続されている第2プローブピン224とを備えている。制御装置222は、第1プローブピン223および第2プローブピン224が通電用ランド52に接触したときから設定時間にわたって導電体40に電流を流す。すなわち、設定時間を経過したとき導電体40への通電が停止される。これにより、予め設定された設定時間以上、導電体40が通電されることが抑制される。
【0050】
次に、プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110を接続する方法について説明する。
端子部30が上方を向くようにしてプリント配線板1をステージに固定する。そして、端子部30の上に異方性導電フィルム130を配置する。さらに、この異方性導電フィルム130の上にFPC基板100の被端子部110を配置する。このとき、接続端子31と被接続端子120とが互いに対向するように、プリント配線板1に対してFPC基板100は位置決めされる。例えば、ステージに予め設置した位置決めピンに、プリント配線板1の位置決め用孔およびFPC基板100の位置決め用孔を嵌め込むことにより、両基板が位置決めされる。
【0051】
次に、プリント配線板1とFPC基板100とが位置決めされた状態で、FPC基板100の上にシリコンシート250を敷き、シリコンシート250を介してヒートツール210をFPC基板100に押し付ける。そして、ヒートツール210をシリコンシート250に接触させると同時に、第1プローブピン223を一方の通電用ランド52に、第2プローブピン224を他方の通電用ランド52に接触させる。その後、さらにヒートツール210を押し下げて、端子部30と被端子部110とを圧着させる。すなわち、ヒートツール210により端子部30と被端子部110とを加熱および圧着すると同時に、通電用ランド52を加熱する。その後、ヒートツール210による押し付けの開始すなわち導電体40の通電開始から設定時間経過後、ヒートツール210を押し上げる。以上の操作により、端子部30と被端子部110との接続が完了する。
【0052】
次に、上記接続方法による作用効果を説明する。
プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを異方性導電フィルム130により接続するためには、異方性導電フィルム130を規定温度以上に加熱する必要がある。この規定温度は100℃以上であり、プリント配線板1およびFPC基板100の耐熱温度と略同じか、または耐熱温度以上である。ヒートツール210の設定温度TAは、シリコンシート250、FPC基板100、プリント配線板1等への熱の放散を考慮して、規定温度よりも高い温度に設定される。ヒートツール210の設定温度TAがFPC基板100またはシリコンシート250の耐熱温度よりも高い場合、FPC基板100またはシリコンシート250が変形する。特に、FPC基板100が薄いときはこの変形が生じやすい。
【0053】
そこで、本実施形態では、異方性導電フィルム130に対して、上下の両方向から加熱する。具体的には、ヒートツール210により、シリコンシート250およびFPC基板100を介して上方向から異方性導電フィルム130を加熱するとともに、導電体40の通電により下方向から異方性導電フィルム130を加熱する。すなわち、異方性導電フィルム130を加熱するための熱経路を上方と下方とに分散させている。これにより、両熱源の温度を低下させることができる。この接続方法によれば、従来の接続方法に比べてヒートツール210の設定温度TAを低くすることができ、これにより、FPC基板100またはシリコンシート250が変形することを抑制することができる。
【0054】
なお、ヒートツール210の設定温度TAを従来の接続方法と同様の温度に設定することができるときは、ヒートツール210の設定温度TAを高い温度に維持し、かつ導電体40に通電することにより、端子部30と被端子部110との接着時間を短縮することができる。
【0055】
次に、上記実施形態の実施品について説明する。
実施品は次のような構成とした。
厚さ600μmのFR−4基板を用い、導電層が4層のプリント配線板1を形成した。各層の銅箔の厚さを18μmとした。接続端子31の長さを5mm、接続端子31の幅を0.1mmとした。そして、接続端子31の間隔を0.1mmとして200個配列して端子部30を形成した。接続端子31の表面は金めっきとした。導電体40は第2導電層2Bとして形成し、各接続端子31に対応するように第1直線部41を形成した。すなわち、パターン幅を0.1mmとし、第1直線部41の長さを5mmとし、第1直線部41の間隔を0.1mmとした。通電用ランド52の大きさは5mm×5mmとした。導電体40のパターン構造は図3と同様の形態とした。
【0056】
FPC基板100としては、厚さ25μmのポリイミドフィルムに、厚さ18μmの銅箔の導電パターン20を形成し、さらに導電パターン20をポリイミドフィルムで覆ったものを用いた。被端子部110の構造はプリント配線板1の端子部30の構造と同様の構造とした。被接続端子120の表面は金めっきとした。
【0057】
実施品と比較するための比較品は、導電体40が形成されていない点以外は、実施品のプリント配線板1の構造と同じ構造とした。なお、実施品の導電体40が形成されている部分には、導電体40に代えてグランド層を形成した。すなわち、実施例の端子部30周辺の熱容量と比較例の端子部30周辺の熱容量とが略同じとなるようにした。
【0058】
実施品および比較品の接着条件は次のようになった。
なお、接着条件とは、ヒートツール210により加圧してから3秒以内に、端子部30と被端子部110との接着が完了する条件である。ここで接着の完了を次のように定義する。すなわち、異方性導電フィルム130の温度が150℃に到達することをもって接着の完了とする。異方性導電フィルム130の温度については、端子部30と被端子部110の間に異方性導電フィルム130とともに熱電対を挟み込むことにより測定した。
(結果)
(A)実施品の接着条件:
・通電電流量を1500mA、かつ通電時間を3秒。
・ヒートツール210の設定温度TAは、185℃。
(B)比較品の接着条件:
・ヒートツール210の設定温度TAは、250℃。
【0059】
さらに、実施品および比較品について、プリント配線板1とFPC基板100とを接続した電気回路モジュールの信頼性試験を行い、両者を比較した。具体的には、両者について、高温高湿(85℃・85%)で1000時間放置した。その後、実施品および比較品の各電気回路モジュールについて、端子部30と被端子部110との間の接着強度を測定した。この結果、接着強度の値が略同じであった。
【0060】
このように本実施形態のプリント配線板1によれば、プリント配線板1とFPC基板100とを接続するときのヒートツール210の設定温度TAを従来よりも低く設定することができる。また、このプリント配線板1を用いて形成された電気回路モジュールは、耐熱性および耐湿性について、従来のプリント配線板を用いて形成された電気回路モジュールと同等の性能を有する。
【0061】
図5〜図7を参照して、プリント配線板1の導通部50の変形例について説明する。
図5に第1変形例を示す。
導通部60は、導電体40に接続されている第2内層ランド61(通電用ランド52)と、第1絶縁層3Aを貫通して第2内層ランド61に達する貫通孔62とを備えている。第2内層ランド61が通電用ランド52として機能する。第2内層ランド61は、第1プローブピン223または第2プローブピン224が接触する大きさとされている。第2内層ランド61の表面にはニッケルめっき層と金めっき層とが積層されている。また、貫通孔62は、第1プローブピン223または第2プローブピン224が挿通される大きさに形成されている。
【0062】
このような構造を採用することにより以下の作用効果がある。
通電用ランド52と導電体40と異なる層に形成する場合であれば、通電用ランド52と導電体40とをブラインドビアまたはスルーホール等の層間接続体により接続する必要がある。しかし、層間接続体の断面径が十分でないとき大電流の通電により断線する可能性がある。このため、通電用ランド52と導電体40とを複数の層間接続体により接続する。
【0063】
これに対して、上記構成では、通電用ランド52と導電体40と同じ層に形成している。これにより、層間接続体を介さずに導電体40に大電流を流すことができるため、上記大電流の通電による断線の発生は殆どない。このように導電通電による断線を考慮した構造を採用する必要性が低いため、プリント配線板1を比較的簡単な構造にすることができる。
【0064】
図6に第2変形例を示す。
導通部70は、第3絶縁層3Cの上に形成されている裏面ランド71と、導電体40に接続されている第3内層ランド73と、裏面ランド71と第3内層ランド73とを互いに接続する貫通接続部72とを備えている。
【0065】
裏面ランド71が通電用ランド52として機能する。裏面ランド71は、第1プローブピン223または第2プローブピン224が接触する大きさとされている。裏面ランド71の表面にはニッケルめっき層と金めっき層とが積層されている。
【0066】
このような構造を採用することにより以下の作用効果がある。
上記構造の場合、プリント配線板1の裏面側に通電用ランド52を設けている。このため、プリント配線板1の表面側に通電用ランド52を設ける場合に比べて、プリント配線板1の表面側の実装面積を大きくすることができる。
【0067】
図7に第3変形例を示す。
導通部80は導電体40と同じ層すなわち第2導電層2Bに設けられている。導通部80の端部は絶縁基板10の側面から突き出されている。導通部80の端部の突出形態(以下、「突出端部81」)は、プリント配線板1の側面をエッチングまたはデスミア等の処理を行うことにより形成される。この突出端部81が通電用ランド52として機能する。
【0068】
このような構造を採用することにより以下の作用効果がある。
両面実装プリント配線板の場合、表面側および裏面側ともに実装面積を確保したい場合がある。この点、上記構成によれば、プリント配線板1の表面側または裏面側に通電用ランド52を設ける場合に比べて、プリント配線板1の表面側および裏面側の実装面積を大きくすることができる。
【0069】
図8を参照して、端子部30の変形例について説明する。
この変形例のプリント配線板1では、導電体40Aおよび通電用ランド52Rがプリント配線板1の裏面側に形成されている。絶縁基板10の内部には補強板15が形成されている。
【0070】
プリント配線板1が薄い場合、内部に導電体40Aを形成することが困難となる。この点、上記構成では、導電体40Aおよび通電用ランド52Rをプリント配線板1の裏面側に設けるため、導電体40Aを容易に形成することができる。また、スルーホールまたはブラインドビア等の層間接続体を形成する必要もないため、プリント配線板1の製造工程を簡略化することができる。
【0071】
図9を参照して、導電体40Bのパターン構造の変形例を説明する。
導電体40のパターンの形態には制限はなく、種々の形態が考えられる。以下その一例を挙げる。
【0072】
導電体40Bは、各接続端子31に直交しかつ複数の接続端子31にわたる第2直線部43と、この第2直線部43を互いに接続する第2接続部44とにより構成されている。各第2直線部43は互いに平行かつ横一列に配列されている。横方向に隣り合う第2直線部43の間に第2接続部44が配置されている。第2接続部44は第2直線部43の端に配置されている。隣り合う第2接続部44が第2直線部43を間にして対向するように配置されている。すなわち、第2直線部43と第2接続部44とは直列に接続されて、一本の導電線となっている。導電体40Bの両端には第1内層ランド53に接続されている。
【0073】
この構成の作用は次の通りである。
接続端子31と被接続端子120とを異方性導電フィルム130を介して接続するとき、加熱および加圧により各接続端子31の下側が押圧される。このとき、上記構成によれば、接続端子31に直交する第2直線部43によりこれらの圧力が分散され、各接続端子31に加わる圧力が均一化される。このため、接続端子31毎の接着強度のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0074】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、導電体40が端子部30に対応する位置に設けられている。この構成によれば、通電により導電体40を昇温させることで接続端子31の周辺を加熱することができる。すなわち、端子部30と被端子部110とを異方性導電フィルム130を介して接続するとき、ヒートツール210による加熱および圧着に加えて、通電による加熱を行うことができるため、ヒートツール210の設定温度TAを低くすることができる。これにより、ヒートツール210の過温に起因して生じる当該ヒートツール210側にあるFPC基板100の変形およびシリコンシート250の変形を抑制することができる。
【0075】
(2)本実施形態では、導電体40が絶縁基板10の内部に形成されている。このため、プリント配線板1の裏面側に導電体40を設ける場合に比べて、導電体40を端子部30に近い位置に設けることができるため、端子部30を迅速に加熱することができる。
【0076】
(3)本実施形態では、通電用ランド52と接続端子31とが同じ面に形成されている。このため、被端子部110を端子部30に押し付ける方向と同じ方向から、通電用ランド52に通電のためのプローブピンを押し当てることができる。
【0077】
(4)本実施形態では、導電体40は、各接続端子31に対向する第1直線部41とこれら第1直線部41を互いに接続する第1接続部42とにより構成され、第1直線部41と第1接続部42とは直列に接続されている。この構成によれば、接続端子31と被接続端子120との間の抵抗を小さくすることができる。
【0078】
(5)本実施形態の導通部50の第1変形例では、図5に示すように、通電用ランド52としての第2内層ランド61を第2層に設け、かつこの第2内層ランド61通じる貫通孔62を形成している。この構成では、導電通電による断線を考慮した構造にする必要性が低いため、プリント配線板1を比較的簡単な構造にすることができる。
【0079】
(6)本実施形態の導通部50の第2変形例では、図6に示すように、通電用ランド52としての裏面ランド71をプリント配線板1の裏面側に設けている。この構成によれば、プリント配線板1の表面側に通電用ランド52を設ける場合と比べて、表面側の実装面積を大きくすることができる。
【0080】
(7)本実施形態の導通部50の第3変形例では、図7に示すように、通電用ランド52としての突出端部81を絶縁基板10の側面から突出するものとして形成している。この構成によれば、突出端部81(導電用ランド)を絶縁基板10の側面に形成するため、導電用ランドをプリント配線板1の表面および裏面に形成する場合と比べて、プリント配線板1の表面および裏面の電子部品等の実装面積を大きくすることができる。
【0081】
(8)本実施形態の導電体40の配置についての変形例では、図8に示すように、導電体40Aおよび通電用ランド52をプリント配線板1の裏面側に設けている。この構成によれば、プリント配線板1の製造工程を簡略化することができる。
【0082】
(9)本実施形態の導電体40のパターン構造の変形例では、図9に示すように、導電体40Bは、各接続端子31に直交しかつ複数の接続端子31にわたる第2直線部43とこの第2直線部43を互いに接続する第2接続部44とにより構成され、第2直線部43と第2接続部44とは直列に接続されている。この構成によれば、接続端子31毎の接着強度のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0083】
(10)本実施形態では、接続端子31と被接続端子120とをヒートツール210(加熱装置)により加熱するとともに通電用ランド52を通じて導電体40に通電して接続端子31と被接続端子120とを接続する。
【0084】
この構成では、プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを異方性導電フィルム130を介して接続するとき、端子部30と被端子部110とを2つの加熱手段により加熱するため、異方性導電フィルム130を所定温度にまで上昇させる時間を短縮することができる。これにより、端子部30と被端子部110とを迅速に接続することができる。
【0085】
(第2実施形態)
図10を参照して、本発明のプリント配線板の第2実施形態について説明する。
本実施形態のプリント配線板1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、導電体40に通電することにより、端子部30と被端子部110と異方性導電フィルム130を加熱するが、本実施形態では、通電により端子部30を直接加熱する。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0086】
プリント配線板1は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面に形成された導電パターン20と、端子部30と、この端子部30を補強する第1補強板11および第2補強板12と、所定の接続端子31に電流を流すための導通部90とを備えている。なお、第1補強板11および第2補強板12は、第1実施形態と同様に絶縁基板10の内部に設けられている。
【0087】
導電パターン20は、電力線である第1導電パターン21と、信号線である第2導電パターン22と、グランド線である第3導電パターン23に区別される。各種の導電パターン20は、第1導電パターン21、第2導電パターン22、第3導電パターン23の順に、平行に配線されている。すなわち、第1導電パターン21と第3導電パターン23は、導電パターン20の外側に形成されている。
【0088】
第1導電パターン21は、電力供給による発熱を抑制するために第2導電パターン22よりも幅広に形成されている。第3導電パターン23は、ノイズを低減するために第2導電パターン22よりも幅広に形成されている。
【0089】
第1導電パターン21の端部は3本の細線パターン21Bに分岐されている。すなわち、第1導電パターン21は主線パターン21Aと細線パターン21Bとを備えている。細線パターン21Bの先端には接続端子31が形成されている。第1導電パターン21の接続端子31の幅は、第2導電パターン22の端部に設けられている接続端子31の幅と同じである。第3導電パターン23も第1導電パターン21と同様の構造とされている。
【0090】
導通部90は、第1導電パターン21および第3導電パターン23のそれぞれに設けられている。いずれの導通部90も同じ構造をしているため、以下、第1導電パターン21に設けられている導通部90について説明する。
【0091】
導通部90は、第1導電パターン21の接続端子31に接続されている第1通電用ランド52Aと、第1導電パターン21の主線パターン21Aに接続されている第2通電用ランド52Bとを含む。第1通電用ランド52Aと第2通電用ランド52Bとの間に接続端子31が介在する。この構成により、第1導電パターン21の接続端子31の通電が可能とされる。すなわち、接続端子31が導電体40に相当する。
【0092】
次に、この種のプリント配線板1について、端子部30と被端子部110との接続方法について説明する。
この種のプリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを接続する場合は、上記接続装置200を用いて次のように行う。端子部30と被端子部110との間に異方性導電フィルム130を挟み込んだ状態で、ヒートツール210により端子部30と被端子部110とを圧着させるとき、第1通電用ランド52Aに第1プローブピン223を接触させ、第2通電用ランド52Bに第2プローブピン224を接触させる。これにより、ヒートツール210により端子部30と被端子部110とを加熱および圧着させると同時に、第1導電パターン21の接続端子31および第3導電パターン23の接続端子31を通電により加熱する。
【0093】
このような構造のプリント配線板1を用いて上記接続方法によりプリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを接続することにより、以下の作用効果を奏する。
【0094】
上記接続装置200によれば、ヒートツール210により端子部30および被端子部110が均等に加熱される。しかし、図10に示されるプリント配線板1の場合、第1導電パターン21および第3導電パターン23が第2導電パターン22よりも幅広であり熱容量が大きいため、第1導電パターン21および第3導電パターン23の接続端子31が他の接続端子31に比べて昇温しにくい。このため、端子部30と被端子部110との接続において、第2導電パターン22に対応する部分だけが異方性導電フィルム130を介して接続し、第1導電パターン21および第3導電パターン23に対応する部分が十分に接続されないことがあった。
【0095】
この点、本実施形態のプリント配線板1によれば、第1導電パターン21および第3導電パターン23が通電により加熱されるため、第1導電パターン21および第3導電パターン23の接続端子31が他の接続端子31に比べて温度上昇が低くなることが抑制される。これにより、プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110との接続において、第1導電パターン21および第3導電パターン23に対応する接続端子31が接続されないことを抑制することができる。
【0096】
本実施形態のプリント配線板1によれば、先の第1実施形態による前記(1)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(11)本実施形態では、接続端子31に第1通電用ランド52Aおよび第2通電用ランド52Bが接続され、接続端子31自体を導電体40とする。この構成によれば、接続端子31自体を加熱するため、間接的加熱手段だけで加熱する場合と比べて、接続端子31を短時間で昇温させることができる。すなわち、従来構造のプリント配線板と比較して、端子部30と被端子部110とを短時間で接続することができる。
【0097】
(12)本実施形態では、接続端子31のうち他の端子よりも熱容量の大きい接続端子31(電力線およびグランド線に接続されている接続端子31)に通電用ランド52を設けている。この構成によれば、当該接続端子31を通電加熱することができるため、接続端子31の接着強度が他の接続端子31の接着強度よりも低くなることを抑制することができる。これにより、接続強度のばらつきを小さくすることができる。
【0098】
(第3実施形態)
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態または第2実施形態で示したプリント配線板1を用いて組み立てられた電気回路モジュール300について、その通電用ランド52を利用したものについて説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0099】
図11に示す電気回路モジュール300は、電子部品510が搭載されたプリント配線板1と、このプリント配線板1に接続されたFPC基板100と、ヒートシンク310とを備えている。ヒートシンク310は複数のフィンを有している。通電用ランド52にシリコングリスを介して接続されている。電子部品510は動作により発熱するICである。例えば、LEDドライバ等がこの電子部品510に該当する。電子部品510はプリント配線板1の端子部30の近くに設けられている。
【0100】
このような構成の電気回路モジュール300の作用効果について説明する。
電子部品510が動作するとき、導電パターン20を介して端子部30に熱が伝達されるため、端子部30の温度が上昇する。温度上昇が長時間維持されると、端子部30と被端子部110との接続部分の強度が低下して、接続不良が生じるおそれがある。この点、上記構成によれば、端子部30に対応する部分には導電体40が設けられているため、熱が導電体40を通じてヒートシンク310に伝達されるため、端子部30と被端子部110との接続部分の温度上昇が抑制される。これにより、当該接続部分の強度が低下することが少なくなる。
【0101】
本実施形態の電気回路モジュール300によれば以下に示す効果を奏する。
(1)本実施形態では、電気回路モジュール300が第1実施形態または第2実施形態に示すプリント配線板1により構成されている。これにより、ヒートツール210の過温に起因して生じる当該FPC基板100の変形が抑制されるため、接続部分で断線する可能性の低い電気回路モジュール300とすることができる。
【0102】
(2)本実施形態では、通電用ランド52にヒートシンク310が接続されている。これにより、端子部30と被端子部110の接続部分に伝達された熱が導電体40を介してヒートシンク310に伝達されて放熱されるため、当該接続部分の強度が低下することが抑制される。
【0103】
(第4実施形態)
図12を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態または第2実施形態で示したプリント配線板1を用いて組み立てられた電気回路モジュール400について、その通電用ランド52を利用したものについて説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0104】
図12に示す電気回路モジュール400は、電子部品520が搭載されたプリント配線板1と、このプリント配線板1に接続されたFPC基板100とを備えている。電子部品520は高周波回路である。通電用ランド52はリード線410を介してグランド線420に接続されている。なお、このリード線410の配線は、プリント配線板1とFPC基板100との接続の後に行われる。
【0105】
このような構成の電気回路モジュール400の作用効果について説明する。
電気回路モジュール400が電磁波の発生源の近くに配置される場合、導電パターン20を介してノイズが電子部品520に入力される。このノイズに起因して電子部品520が誤動作するおそれがある。本実施形態の場合、導電体40を接地しているため導電体40が電磁シールドとして機能する。これにより、電子部品520の誤動作の発生を抑制することができる。
【0106】
本実施形態の電気回路モジュール400によれば、先の第3実施形態による前記(1)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(3)本実施形態では、通電用ランド52が接地されている。通電用ランド52を接地して導電体40を電磁シールドとして機能させるため、電気回路モジュール400に発生するノイズを低減することができる。
【0107】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施例についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0108】
・上記第1実施形態では、スルーホールにより各導電層のランドを接続しているが、ブラインドビアにより各層のランドを接続してもよい。この場合、通電用ランド52と第1内層ランド53とは複数のブラインドビアにより接続される。これは、導電体40に大電流の通電を行うことに起因してブラインドビアが断線することを抑制するためである。
【0109】
・上記第1実施形態では、導電体40に2つの通電用ランド52を接続しているが、通電用ランド52の個数を3個以上としてもよい。この構成の場合、プローブピンの配置を変更可能とすることができる。
【0110】
・上記第1実施形態では、端子部30と被端子部110とをヒートツール210により加熱および加圧すると同時に導電体40の通電を開始するが、これを、端子部30と被端子部110とをヒートツール210により加熱および加圧する前に、導電体40への通電を開始してもよい。
【0111】
通電開始から導電体40が所定温度に達するまでには所定の時間を要する。仮に、通電の開始とヒートツール210による加熱および加圧とを同じタイミングで行った場合、ヒートツール210による加圧の開始時において接続端子31および被接続端子120の加熱が不十分になることがある。この点、上記構成では、接続端子31と被接続端子120とをヒートツール210により加熱および加圧する前に導電体40への通電を開始するため、十分に接続端子31および被接続端子120の加熱した状態で、ヒートツール210により加圧および加熱することができる。
【0112】
・上記第1実施形態では、通電による導電体40の温度に制限を設けていないが、導電体40への通電による導電体40の温度を絶縁基板10の耐熱温度よりも低くしてもよい。導電体40に温度を絶縁基板10の耐熱温度よりも高くすると、導電体40と絶縁基板10との間で剥離が生じるおそれがある。この点、この構成によれば、絶縁基板10の耐熱温度よりも導電体40の温度を低くするため、導電体40と絶縁基板10との間の剥離を抑制することができる。
【0113】
・上記第2実施形態では、図10に示すように端子部30の外側の接続端子31に対して第1通電用ランド52Aおよび第2通電用ランド52Bを設けているが、他の端子に通電用ランド52を設けてもよい。この場合、接続端子31同士が短絡することがないように、個別に通電用ランド52を設ける。
【0114】
・上記第3実施形態では、フィンを備えたヒートシンク310を通電用ランド52に搭載しているが、ヒートシンク310に代えて、熱伝導度の高い基板を接続してもよい。この場合においても、第3実施形態に準じた効果を奏することができる。
【0115】
・上記第4実施形態では、通電用ランド52とグランド線420とを接続して接地しているが、これに代えて、接地された筐体に通電用ランド52を接続してもよい。この場合においても、第4実施形態に準じた効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0116】
1…プリント配線板、10…絶縁基板、11…第1補強板、12…第2補強板、13,14…ソルダレジスト、15…補強板、20…導電パターン、21…第1導電パターン、21A…主線パターン、21B…細線パターン、22…第2導電パターン、23…第3導電パターン、30…端子部、31…接続端子、40…導電体、40A…導電体、40B…導電体、41…第1直線部、42…第1接続部、43…第2直線部、44…第2接続部、50…導通部、51…主導通部、52…通電用ランド、52A…第1通電用ランド、52B…第2通電用ランド、52R…第2通電用ランド、53…第1内層ランド、54…外層ランド、60…導通部、61…第2内層ランド、62…貫通孔、70…導通部、71…裏面ランド、72…貫通接続部、73…第3内層ランド、80…導通部、81…突出端部、90…導通部、2A…第1導電層、2B…第2導電層、2C…第3導電層、2D…第4導電層、3A…第1絶縁層、3B…第2絶縁層、3C…第3絶縁層、3D…第4絶縁層、100…FPC基板、110…被端子部、120…被接続端子、130…異方性導電フィルム、200…接続装置、210…ヒートツール、220…通電装置、221…定電流電源、222…制御装置、223…第1プローブピン、224…第2プローブピン、250…シリコンシート、300…電気回路モジュール、310…ヒートシンク、400…電気回路モジュール、410…リード線、420…グランド線、510…電子部品、520…電子部品。
【技術分野】
【0001】
本発明は、他のプリント配線板の被接続端子に接続される接続端子を備えたプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びにその電気回路モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板同士を異方性接着フィルムにより接続する方法として、特許文献1の記載の技術が知られている。すなわち、一方のプリント配線板の接続端子と、他方のプリント配線板の被接続端子とを互いに向かい合わせるとともに接続端子と被接続端子との間に異方性接着フィルムを配置した上で両プリント配線板を重ね合わせ、シリコンシートを介してヒートツールを押し当てる。これにより接続端子部分を加熱および加圧して、両者を接続させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−312070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プリント配線板同士の接続工程の時間短縮のため、ヒートツールの温度を高く設定することがある。しかし、この場合、プリント配線板同士の接続を短時間で完了させることができるものの、ヒートツールの過温に起因してヒートツール側に配置されるプリント配線板またはシリコンシートが変形することがある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリント配線板同士の接続を低温で行うことができるプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びに電気回路モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、絶縁基板と、この絶縁基板に設けられた複数の接続端子とを備えているプリント配線板において、通電により昇温する導電体が前記接続端子に対応する位置に設けられ、前記導電体には少なくとも2つの通電用ランドが接続されていることを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、通電により導電体を昇温させることにより、接続端子の周辺を加熱することができる。すなわち、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを接続するとき、ヒートツールによる加熱および圧着に加えて、通電による加熱を行うことができるため、ヒートツールの設定温度を低くすることができる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板において、前記導電体は前記絶縁基板の内部に形成されていることを要旨とする。
この発明によれば、接続端子が設けられた場所と反対側の場所に導電体を設ける場合に比べて、導電体を接続端子に近い位置に設けることができるため、接続端子を迅速に加熱することができる。
【0009】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは導通部を介して接続されていることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、通電用ランドと接続端子とが同じ面に形成されているため、被接続端子を端子部に押し付ける方向と同じ方向から、通電用ランドに通電のためのプローブピンを押し当てることができる。
【0011】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、前記絶縁基板には、前記通電用ランドに達する貫通孔が設けられていることを要旨とする。
【0012】
通電用ランドと導電体とが異なる層に形成する場合、通電用ランドと導電体とをブラインドビアまたはスルーホール等の層間接続体により接続する必要がある。しかし、層間接続体の断面積が十分な大きさとされていないとき大電流の通電により断線することがある。これに対して、上記構成では、通電用ランドと導電体と同じ層に形成する。これにより、層間接続体を介さずに導電体に大電流を流すことができるため、上記大電流の通電による断線の発生を抑制することができる。
【0013】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、かつ前記通電用ランドは前記絶縁基板の側面から突出するものとして形成されていることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、導電用ランドを絶縁基板の側面に形成するため、導電用ランドをプリント配線板の表面および裏面に形成する場合と比べて、プリント配線板の表面および裏面の電子部品等の実装面積を大きくすることができる。
【0015】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のプリント配線板において、前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面と反対側の面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは、導通部を介して接続されていることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、接続端子が形成されている面と反対側の面に通電用ランドを設けているため、接続端子が形成されている面に通電用ランドを設ける場合と比べて、接続端子が形成されている面の実装面積を大きくすることができる。
【0017】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板において、前記導電体および前記通電用ランドは前記接続端子が設けられている面と反対側の面に設けられていることを要旨とする。本発明によれば、導電体は絶縁基板の内部ではなく表面に設ける構成としているため、プリント配線板の製造工程を簡略化することができる。
【0018】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリント配線板において、前記各接続端子は互いに平行に並べられ、前記導電体は、前記各接続端子に対向する第1直線部とこれら第1直線部を互いに接続する第1接続部とにより構成され、前記第1直線部と前記第1接続部とは直列に接続されていることを要旨とする。
【0019】
この発明によれば、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを異方性導電フィルムを介して接続するとき、接続端子とこれに対向する第1直線部とが互いに押し合うため、接続端子と被接続端子との間の異方性導電フィルム内の導電粒子を強く接触させることができる。これにより、接続端子と被接続端子との間の抵抗を小さくすることができる。
【0020】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板において、前記各接続端子は互いに平行に並べられ、前記導電体は、前記各接続端子に直交しかつ前記複数の接続端子にわたる第2直線部とこの第2直線部を互いに接続する第2接続部とにより構成され、前記第2直線部と前記第2接続部とは直列に接続されていることを要旨とする。
【0021】
この発明によれば、接続端子と導電体の第2直線部とが互いに直交している。このため、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを異方性導電フィルムを介して接続するとき、加熱および加圧により各接続端子の下側が押圧されるが、接続端子に直交する第2直線部によりこれらの圧力が分散され、各接続端子に加わる圧力が均一化される。これにより、接続端子毎の接着強度のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0022】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項1に記載のプリント配線板において、前記接続端子に前記通電用ランドが接続され、前記接続端子自体を前記導電体とすることを要旨とする。
【0023】
この発明によれば、接続端子自体を加熱することができるため、間接的に加熱する場合と比べて、プリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを迅速に接続することができる。
【0024】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のプリント配線板において、前記接続端子のうち他の端子よりも熱容量の大きい接続端子に前記通電用ランドを設けていることを要旨とする。
【0025】
接続端子のうち接地用接続端子または電力供給用接続端子は他の接続端子に比べて幅広の導電パターンに形成されている。幅広の接続端子は熱容量が大きいため、異方性導電フィルムを介してプリント配線板の接続端子と他のプリント配線板の被接続端子とを加熱および加圧したとき当該接続端子が十分に昇温されず、当該接続端子の接着強度が他の接続端子の接着強度よりも低くなることがある。この点、上記構成によれば、当該接続端子を通電加熱することができるため、間接的加熱手段だけで加熱する場合と比べ、接続端子を短時間で昇温することができる。
【0026】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールである。
プリント配線板が変形すると、接続部分に歪が生じ、内部応力が増大する。内部応力が大きいとき、長期使用における接続部分の劣化にともなって接続部分が断線するおそれがある。この点、上記変形が抑制されるため、接続部分で断線する可能性の低い電気回路モジュールとすることができる。
【0027】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、前記通電用ランドにヒートシンクが接続されていることを要旨とする。
【0028】
プリント配線板に発熱する電子部品が搭載されている場合、導電パターンを通じて熱が伝達されるため、接続端子と被接続端子との接続部分の温度が上昇することがある。温度上昇が長時間維持されるとき、接続端子と被接続端子との接続部分の強度が低下して、接続不良が生じるおそれがある。この点、上記発明によれば、当該接続部分に伝達された熱が導電体を介してヒートシンクに伝達されて放熱されるため、当該接続部分の強度が低下することが抑制される。
【0029】
(14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、前記通電用ランドが接地されていることを要旨とする。
【0030】
電気回路モジュールが電磁波の発生源の近くに配置される場合、導電パターンを介してノイズが電子部品に入力される。このノイズに起因して電子部品が誤動作するおそれがある。この点、上記発明では、通電用ランドを接地して導電体を電磁シールドとして機能させるため、電気回路モジュールに発生するノイズを低減することができる。
【0031】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた第1電気回路モジュールと、前記プリント配線板に接続される被接続プリント配線板を用いた第2電気回路モジュールとが接続された電気回路モジュールの製造方法であって、前記プリント配線板の接続端子と、この接続端子に対応する前記被接続プリント配線板の被接続端子とを対向させるとともに、前記接続端子と前記被接続端子との間に異方性導電フィルムを配置する工程と、前記接続端子と前記被接続端子とを加熱装置により加熱するとともに前記通電用ランドを通じて前記導電体に通電し、かつ前記プリント配線板と前記被接続プリント配線板とを加圧し、前記接続端子と前記被接続端子とを接続する工程とを含むことを要旨とする。
【0032】
この発明では、プリント配線板の接続端子と被接続プリント配線板の被接続端子とを異方性導電フィルムを介して接続するとき、接続端子と被接続端子とを加熱装置により加熱するとともに通電用ランドを通じて導電体に通電する。これにより、接続端子と被接続端子とを迅速に接続することができる。
【0033】
(16)請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の電気回路モジュールにおいて、前記接続端子と前記被接続端子とを前記加熱装置により加熱および加圧する前に、前記導電体への通電を開始することを要旨とする。
【0034】
通電開始から導電体が所定温度に達するまでには所定の時間を要する。仮に、通電開始と加熱装置による加熱および加圧とを同じタイミングで行った場合、加熱装置による加圧の開始時において接続端子および被接続端子の加熱が不十分になることもある。この点、上記発明では、接続端子と被接続端子とを加熱装置により加熱および加圧する前に導電体への通電を開始するため、十分に接続端子および被接続端子の加熱した状態で、加熱装置により加圧および加熱することができるため、加熱装置とプリント配線板との接触時間を短くすることできる。
【0035】
(17)請求項17に記載の発明は、請求項15または16に記載の電気回路モジュールの製造方法において、通電による前記導電体の温度を前記絶縁基板の耐熱温度よりも低くすることを要旨とする。
【0036】
導電体に温度を絶縁基板の耐熱温度よりも高くすると、導電体と絶縁基板との間で剥離が生じるおそれがある。この点、上記発明によれば、絶縁基板の耐熱温度よりも導電体の温度を低くするため、導電体と絶縁基板との間の剥離を抑制することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、プリント配線板同士の接続を低温で行うことができるプリント配線板、およびそのプリント配線板を用いた電気回路モジュール、並びにその電気回路モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態のプリント配線板について、平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のプリント配線板について、図1のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態のプリント配線板について、導電体のパターン構造を示す平面図。
【図4】同実施形態のプリント配線板の製造方法について、圧着方法を示す断面図。
【図5】同実施形態のプリント配線板について、導通部の第1変形例の断面図。
【図6】同実施形態のプリント配線板について、導通部の第2変形例の断面図。
【図7】同実施形態のプリント配線板について、導通部の第3変形例の断面図。
【図8】同実施形態のプリント配線板について、端子部の変形例の断面図。
【図9】同実施形態のプリント配線板について、導電体のパターン構造の変形例を示す平面図。
【図10】本発明の第2実施形態のプリント配線板について、その平面構造を示す平面図。
【図11】本発明の第3実施形態の電気回路モジュールについて、その平面構造を示す平面図。
【図12】本発明の第4実施形態の電気回路モジュールについて、その平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
図1〜図9を参照して、プリント配線板について説明する。
図1に示すように、プリント配線板1は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面に形成された導電パターン20と、端子部30と、導電体40(図2参照)と、端子部30を補強する第1補強板11および第2補強板12(図2参照)と、導電体40に電流を流すための導通部50とを備えている。
【0040】
図2を参照して、プリント配線板1の断面構造を説明する。
プリント配線板1は、導電層を4層に積層された構造とされている。各導電層は絶縁層により隔離されている。以降の説明では、プリント配線板1において端子部30が形成される側を上側とし、その反対側を下側とする。絶縁基板10において上側の面を表面とし、その反対側の面を裏面とする。また、上から順に、導電層を第1導電層2A、第2導電層2B、第3導電層2C、第4導電層2Dとする。絶縁層を第1絶縁層3A、第2絶縁層3B、第3絶縁層3Cとする。なお、第1絶縁層3Aと、第2絶縁層3Bと、第3絶縁層3Cとにより構成される基板が絶縁基板10に対応する。
【0041】
第1絶縁層3Aの上には、第1導電層2Aとしての導電パターン20が設けられている。導電パターン20は互いに平行かつ等ピッチで配置された複数の導電線から構成されている。これら導電線の先端には接続端子31が設けられている。これら接続端子31は端子部30を構成する。
【0042】
上記導電パターン20は、端子部30およびランド部を除いてソルダレジスト13に覆われている。第1絶縁層3Aと第2絶縁層3Bとの間であって端子部30に対応する位置には、第2導電層2Bとしての導電体40が形成されている。第2絶縁層3Bと第3絶縁層3Cとの間には、第3導電層2Cとしての第1補強板11が形成されている。第3絶縁層3Cには第4導電層2Dとしての第2補強板12が形成されている。第1補強板11および第2補強板12は、端子部30に対応する位置に設けられ、第1補強板11および第2補強板12の大きさは端子部30と略同じ大きさとされている。第2補強板12はソルダレジスト14に覆われている。
【0043】
導電パターン20、導電体40、第1補強板11、第2補強板12、および導通部50は、いずれもの銅めっきまたは無電解銅めっきにより形成されている。例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等により形成される。絶縁層はエポキシ樹脂により形成される。端子部30には下側から順にニッケルめっき層および金めっき層が形成されている。
【0044】
導通部50はプリント配線板1に2つ設けられている。一方の導通部50は端子部30の一方端よりも外側の位置に、他方の導通部50は端子部30の他方端よりも外側の位置に設けられている。導通部50は、プリント配線板1を貫通する主導通部51と、第1導電層2Aとしての通電用ランド52と、導電体40に接続されている第1内層ランド53と、第4導電層2Dとしての外層ランド54とを備えている。主導通部51はプリント配線板1を貫通するスルーホールにより形成されている。主導通部51は上記各ランドを貫く。
【0045】
図3を参照して、導電体40のパターン構造を説明する。
導電体40は、各接続端子31に対向する第1直線部41とこれら第1直線部41を互いに接続する第1接続部42とにより構成されている。
【0046】
各第1直線部41は互いに平行かつ横一列に配列されている。横方向に隣り合う第1直線部41の間に第1接続部42が配置されている。第1接続部42は第1直線部41の端に配置されている。隣り合う第1接続部42は第1直線部41を間にして対向するように配置されている。すなわち、第1直線部41と第1接続部42とは直列に接続されて、一本の導電線となっている。導電体40の両端には第1内層ランド53に接続されている。
【0047】
図4を参照して、上記プリント配線板1の端子部30と他のプリント配線板(被接続プリント配線板)の被端子部110とを接続する方法を説明する。ここでは、他のプリント配線板としてフレキシブルプリント配線板(以下、「FPC基板100」)を例に挙げて説明する。
【0048】
プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とは、接続装置200を用いて互いに接続される。接続装置200は、端子部30および被端子部110を加熱するヒートツール210と、導電体40に通電する通電装置220とを備えている。
【0049】
通電装置220は、定電流を供給する定電流電源221と、通電時間を制御する制御装置222と、定電流電源221のアノード側に接続されている第1プローブピン223と、カソード側に接続されている第2プローブピン224とを備えている。制御装置222は、第1プローブピン223および第2プローブピン224が通電用ランド52に接触したときから設定時間にわたって導電体40に電流を流す。すなわち、設定時間を経過したとき導電体40への通電が停止される。これにより、予め設定された設定時間以上、導電体40が通電されることが抑制される。
【0050】
次に、プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110を接続する方法について説明する。
端子部30が上方を向くようにしてプリント配線板1をステージに固定する。そして、端子部30の上に異方性導電フィルム130を配置する。さらに、この異方性導電フィルム130の上にFPC基板100の被端子部110を配置する。このとき、接続端子31と被接続端子120とが互いに対向するように、プリント配線板1に対してFPC基板100は位置決めされる。例えば、ステージに予め設置した位置決めピンに、プリント配線板1の位置決め用孔およびFPC基板100の位置決め用孔を嵌め込むことにより、両基板が位置決めされる。
【0051】
次に、プリント配線板1とFPC基板100とが位置決めされた状態で、FPC基板100の上にシリコンシート250を敷き、シリコンシート250を介してヒートツール210をFPC基板100に押し付ける。そして、ヒートツール210をシリコンシート250に接触させると同時に、第1プローブピン223を一方の通電用ランド52に、第2プローブピン224を他方の通電用ランド52に接触させる。その後、さらにヒートツール210を押し下げて、端子部30と被端子部110とを圧着させる。すなわち、ヒートツール210により端子部30と被端子部110とを加熱および圧着すると同時に、通電用ランド52を加熱する。その後、ヒートツール210による押し付けの開始すなわち導電体40の通電開始から設定時間経過後、ヒートツール210を押し上げる。以上の操作により、端子部30と被端子部110との接続が完了する。
【0052】
次に、上記接続方法による作用効果を説明する。
プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを異方性導電フィルム130により接続するためには、異方性導電フィルム130を規定温度以上に加熱する必要がある。この規定温度は100℃以上であり、プリント配線板1およびFPC基板100の耐熱温度と略同じか、または耐熱温度以上である。ヒートツール210の設定温度TAは、シリコンシート250、FPC基板100、プリント配線板1等への熱の放散を考慮して、規定温度よりも高い温度に設定される。ヒートツール210の設定温度TAがFPC基板100またはシリコンシート250の耐熱温度よりも高い場合、FPC基板100またはシリコンシート250が変形する。特に、FPC基板100が薄いときはこの変形が生じやすい。
【0053】
そこで、本実施形態では、異方性導電フィルム130に対して、上下の両方向から加熱する。具体的には、ヒートツール210により、シリコンシート250およびFPC基板100を介して上方向から異方性導電フィルム130を加熱するとともに、導電体40の通電により下方向から異方性導電フィルム130を加熱する。すなわち、異方性導電フィルム130を加熱するための熱経路を上方と下方とに分散させている。これにより、両熱源の温度を低下させることができる。この接続方法によれば、従来の接続方法に比べてヒートツール210の設定温度TAを低くすることができ、これにより、FPC基板100またはシリコンシート250が変形することを抑制することができる。
【0054】
なお、ヒートツール210の設定温度TAを従来の接続方法と同様の温度に設定することができるときは、ヒートツール210の設定温度TAを高い温度に維持し、かつ導電体40に通電することにより、端子部30と被端子部110との接着時間を短縮することができる。
【0055】
次に、上記実施形態の実施品について説明する。
実施品は次のような構成とした。
厚さ600μmのFR−4基板を用い、導電層が4層のプリント配線板1を形成した。各層の銅箔の厚さを18μmとした。接続端子31の長さを5mm、接続端子31の幅を0.1mmとした。そして、接続端子31の間隔を0.1mmとして200個配列して端子部30を形成した。接続端子31の表面は金めっきとした。導電体40は第2導電層2Bとして形成し、各接続端子31に対応するように第1直線部41を形成した。すなわち、パターン幅を0.1mmとし、第1直線部41の長さを5mmとし、第1直線部41の間隔を0.1mmとした。通電用ランド52の大きさは5mm×5mmとした。導電体40のパターン構造は図3と同様の形態とした。
【0056】
FPC基板100としては、厚さ25μmのポリイミドフィルムに、厚さ18μmの銅箔の導電パターン20を形成し、さらに導電パターン20をポリイミドフィルムで覆ったものを用いた。被端子部110の構造はプリント配線板1の端子部30の構造と同様の構造とした。被接続端子120の表面は金めっきとした。
【0057】
実施品と比較するための比較品は、導電体40が形成されていない点以外は、実施品のプリント配線板1の構造と同じ構造とした。なお、実施品の導電体40が形成されている部分には、導電体40に代えてグランド層を形成した。すなわち、実施例の端子部30周辺の熱容量と比較例の端子部30周辺の熱容量とが略同じとなるようにした。
【0058】
実施品および比較品の接着条件は次のようになった。
なお、接着条件とは、ヒートツール210により加圧してから3秒以内に、端子部30と被端子部110との接着が完了する条件である。ここで接着の完了を次のように定義する。すなわち、異方性導電フィルム130の温度が150℃に到達することをもって接着の完了とする。異方性導電フィルム130の温度については、端子部30と被端子部110の間に異方性導電フィルム130とともに熱電対を挟み込むことにより測定した。
(結果)
(A)実施品の接着条件:
・通電電流量を1500mA、かつ通電時間を3秒。
・ヒートツール210の設定温度TAは、185℃。
(B)比較品の接着条件:
・ヒートツール210の設定温度TAは、250℃。
【0059】
さらに、実施品および比較品について、プリント配線板1とFPC基板100とを接続した電気回路モジュールの信頼性試験を行い、両者を比較した。具体的には、両者について、高温高湿(85℃・85%)で1000時間放置した。その後、実施品および比較品の各電気回路モジュールについて、端子部30と被端子部110との間の接着強度を測定した。この結果、接着強度の値が略同じであった。
【0060】
このように本実施形態のプリント配線板1によれば、プリント配線板1とFPC基板100とを接続するときのヒートツール210の設定温度TAを従来よりも低く設定することができる。また、このプリント配線板1を用いて形成された電気回路モジュールは、耐熱性および耐湿性について、従来のプリント配線板を用いて形成された電気回路モジュールと同等の性能を有する。
【0061】
図5〜図7を参照して、プリント配線板1の導通部50の変形例について説明する。
図5に第1変形例を示す。
導通部60は、導電体40に接続されている第2内層ランド61(通電用ランド52)と、第1絶縁層3Aを貫通して第2内層ランド61に達する貫通孔62とを備えている。第2内層ランド61が通電用ランド52として機能する。第2内層ランド61は、第1プローブピン223または第2プローブピン224が接触する大きさとされている。第2内層ランド61の表面にはニッケルめっき層と金めっき層とが積層されている。また、貫通孔62は、第1プローブピン223または第2プローブピン224が挿通される大きさに形成されている。
【0062】
このような構造を採用することにより以下の作用効果がある。
通電用ランド52と導電体40と異なる層に形成する場合であれば、通電用ランド52と導電体40とをブラインドビアまたはスルーホール等の層間接続体により接続する必要がある。しかし、層間接続体の断面径が十分でないとき大電流の通電により断線する可能性がある。このため、通電用ランド52と導電体40とを複数の層間接続体により接続する。
【0063】
これに対して、上記構成では、通電用ランド52と導電体40と同じ層に形成している。これにより、層間接続体を介さずに導電体40に大電流を流すことができるため、上記大電流の通電による断線の発生は殆どない。このように導電通電による断線を考慮した構造を採用する必要性が低いため、プリント配線板1を比較的簡単な構造にすることができる。
【0064】
図6に第2変形例を示す。
導通部70は、第3絶縁層3Cの上に形成されている裏面ランド71と、導電体40に接続されている第3内層ランド73と、裏面ランド71と第3内層ランド73とを互いに接続する貫通接続部72とを備えている。
【0065】
裏面ランド71が通電用ランド52として機能する。裏面ランド71は、第1プローブピン223または第2プローブピン224が接触する大きさとされている。裏面ランド71の表面にはニッケルめっき層と金めっき層とが積層されている。
【0066】
このような構造を採用することにより以下の作用効果がある。
上記構造の場合、プリント配線板1の裏面側に通電用ランド52を設けている。このため、プリント配線板1の表面側に通電用ランド52を設ける場合に比べて、プリント配線板1の表面側の実装面積を大きくすることができる。
【0067】
図7に第3変形例を示す。
導通部80は導電体40と同じ層すなわち第2導電層2Bに設けられている。導通部80の端部は絶縁基板10の側面から突き出されている。導通部80の端部の突出形態(以下、「突出端部81」)は、プリント配線板1の側面をエッチングまたはデスミア等の処理を行うことにより形成される。この突出端部81が通電用ランド52として機能する。
【0068】
このような構造を採用することにより以下の作用効果がある。
両面実装プリント配線板の場合、表面側および裏面側ともに実装面積を確保したい場合がある。この点、上記構成によれば、プリント配線板1の表面側または裏面側に通電用ランド52を設ける場合に比べて、プリント配線板1の表面側および裏面側の実装面積を大きくすることができる。
【0069】
図8を参照して、端子部30の変形例について説明する。
この変形例のプリント配線板1では、導電体40Aおよび通電用ランド52Rがプリント配線板1の裏面側に形成されている。絶縁基板10の内部には補強板15が形成されている。
【0070】
プリント配線板1が薄い場合、内部に導電体40Aを形成することが困難となる。この点、上記構成では、導電体40Aおよび通電用ランド52Rをプリント配線板1の裏面側に設けるため、導電体40Aを容易に形成することができる。また、スルーホールまたはブラインドビア等の層間接続体を形成する必要もないため、プリント配線板1の製造工程を簡略化することができる。
【0071】
図9を参照して、導電体40Bのパターン構造の変形例を説明する。
導電体40のパターンの形態には制限はなく、種々の形態が考えられる。以下その一例を挙げる。
【0072】
導電体40Bは、各接続端子31に直交しかつ複数の接続端子31にわたる第2直線部43と、この第2直線部43を互いに接続する第2接続部44とにより構成されている。各第2直線部43は互いに平行かつ横一列に配列されている。横方向に隣り合う第2直線部43の間に第2接続部44が配置されている。第2接続部44は第2直線部43の端に配置されている。隣り合う第2接続部44が第2直線部43を間にして対向するように配置されている。すなわち、第2直線部43と第2接続部44とは直列に接続されて、一本の導電線となっている。導電体40Bの両端には第1内層ランド53に接続されている。
【0073】
この構成の作用は次の通りである。
接続端子31と被接続端子120とを異方性導電フィルム130を介して接続するとき、加熱および加圧により各接続端子31の下側が押圧される。このとき、上記構成によれば、接続端子31に直交する第2直線部43によりこれらの圧力が分散され、各接続端子31に加わる圧力が均一化される。このため、接続端子31毎の接着強度のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0074】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、導電体40が端子部30に対応する位置に設けられている。この構成によれば、通電により導電体40を昇温させることで接続端子31の周辺を加熱することができる。すなわち、端子部30と被端子部110とを異方性導電フィルム130を介して接続するとき、ヒートツール210による加熱および圧着に加えて、通電による加熱を行うことができるため、ヒートツール210の設定温度TAを低くすることができる。これにより、ヒートツール210の過温に起因して生じる当該ヒートツール210側にあるFPC基板100の変形およびシリコンシート250の変形を抑制することができる。
【0075】
(2)本実施形態では、導電体40が絶縁基板10の内部に形成されている。このため、プリント配線板1の裏面側に導電体40を設ける場合に比べて、導電体40を端子部30に近い位置に設けることができるため、端子部30を迅速に加熱することができる。
【0076】
(3)本実施形態では、通電用ランド52と接続端子31とが同じ面に形成されている。このため、被端子部110を端子部30に押し付ける方向と同じ方向から、通電用ランド52に通電のためのプローブピンを押し当てることができる。
【0077】
(4)本実施形態では、導電体40は、各接続端子31に対向する第1直線部41とこれら第1直線部41を互いに接続する第1接続部42とにより構成され、第1直線部41と第1接続部42とは直列に接続されている。この構成によれば、接続端子31と被接続端子120との間の抵抗を小さくすることができる。
【0078】
(5)本実施形態の導通部50の第1変形例では、図5に示すように、通電用ランド52としての第2内層ランド61を第2層に設け、かつこの第2内層ランド61通じる貫通孔62を形成している。この構成では、導電通電による断線を考慮した構造にする必要性が低いため、プリント配線板1を比較的簡単な構造にすることができる。
【0079】
(6)本実施形態の導通部50の第2変形例では、図6に示すように、通電用ランド52としての裏面ランド71をプリント配線板1の裏面側に設けている。この構成によれば、プリント配線板1の表面側に通電用ランド52を設ける場合と比べて、表面側の実装面積を大きくすることができる。
【0080】
(7)本実施形態の導通部50の第3変形例では、図7に示すように、通電用ランド52としての突出端部81を絶縁基板10の側面から突出するものとして形成している。この構成によれば、突出端部81(導電用ランド)を絶縁基板10の側面に形成するため、導電用ランドをプリント配線板1の表面および裏面に形成する場合と比べて、プリント配線板1の表面および裏面の電子部品等の実装面積を大きくすることができる。
【0081】
(8)本実施形態の導電体40の配置についての変形例では、図8に示すように、導電体40Aおよび通電用ランド52をプリント配線板1の裏面側に設けている。この構成によれば、プリント配線板1の製造工程を簡略化することができる。
【0082】
(9)本実施形態の導電体40のパターン構造の変形例では、図9に示すように、導電体40Bは、各接続端子31に直交しかつ複数の接続端子31にわたる第2直線部43とこの第2直線部43を互いに接続する第2接続部44とにより構成され、第2直線部43と第2接続部44とは直列に接続されている。この構成によれば、接続端子31毎の接着強度のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0083】
(10)本実施形態では、接続端子31と被接続端子120とをヒートツール210(加熱装置)により加熱するとともに通電用ランド52を通じて導電体40に通電して接続端子31と被接続端子120とを接続する。
【0084】
この構成では、プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを異方性導電フィルム130を介して接続するとき、端子部30と被端子部110とを2つの加熱手段により加熱するため、異方性導電フィルム130を所定温度にまで上昇させる時間を短縮することができる。これにより、端子部30と被端子部110とを迅速に接続することができる。
【0085】
(第2実施形態)
図10を参照して、本発明のプリント配線板の第2実施形態について説明する。
本実施形態のプリント配線板1は、第1実施形態の構成に対して次の変更を加えたものとなっている。すなわち、第1実施形態では、導電体40に通電することにより、端子部30と被端子部110と異方性導電フィルム130を加熱するが、本実施形態では、通電により端子部30を直接加熱する。以下、この変更にともない生じる前記第1実施形態の構成からの詳細な変更について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0086】
プリント配線板1は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面に形成された導電パターン20と、端子部30と、この端子部30を補強する第1補強板11および第2補強板12と、所定の接続端子31に電流を流すための導通部90とを備えている。なお、第1補強板11および第2補強板12は、第1実施形態と同様に絶縁基板10の内部に設けられている。
【0087】
導電パターン20は、電力線である第1導電パターン21と、信号線である第2導電パターン22と、グランド線である第3導電パターン23に区別される。各種の導電パターン20は、第1導電パターン21、第2導電パターン22、第3導電パターン23の順に、平行に配線されている。すなわち、第1導電パターン21と第3導電パターン23は、導電パターン20の外側に形成されている。
【0088】
第1導電パターン21は、電力供給による発熱を抑制するために第2導電パターン22よりも幅広に形成されている。第3導電パターン23は、ノイズを低減するために第2導電パターン22よりも幅広に形成されている。
【0089】
第1導電パターン21の端部は3本の細線パターン21Bに分岐されている。すなわち、第1導電パターン21は主線パターン21Aと細線パターン21Bとを備えている。細線パターン21Bの先端には接続端子31が形成されている。第1導電パターン21の接続端子31の幅は、第2導電パターン22の端部に設けられている接続端子31の幅と同じである。第3導電パターン23も第1導電パターン21と同様の構造とされている。
【0090】
導通部90は、第1導電パターン21および第3導電パターン23のそれぞれに設けられている。いずれの導通部90も同じ構造をしているため、以下、第1導電パターン21に設けられている導通部90について説明する。
【0091】
導通部90は、第1導電パターン21の接続端子31に接続されている第1通電用ランド52Aと、第1導電パターン21の主線パターン21Aに接続されている第2通電用ランド52Bとを含む。第1通電用ランド52Aと第2通電用ランド52Bとの間に接続端子31が介在する。この構成により、第1導電パターン21の接続端子31の通電が可能とされる。すなわち、接続端子31が導電体40に相当する。
【0092】
次に、この種のプリント配線板1について、端子部30と被端子部110との接続方法について説明する。
この種のプリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを接続する場合は、上記接続装置200を用いて次のように行う。端子部30と被端子部110との間に異方性導電フィルム130を挟み込んだ状態で、ヒートツール210により端子部30と被端子部110とを圧着させるとき、第1通電用ランド52Aに第1プローブピン223を接触させ、第2通電用ランド52Bに第2プローブピン224を接触させる。これにより、ヒートツール210により端子部30と被端子部110とを加熱および圧着させると同時に、第1導電パターン21の接続端子31および第3導電パターン23の接続端子31を通電により加熱する。
【0093】
このような構造のプリント配線板1を用いて上記接続方法によりプリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110とを接続することにより、以下の作用効果を奏する。
【0094】
上記接続装置200によれば、ヒートツール210により端子部30および被端子部110が均等に加熱される。しかし、図10に示されるプリント配線板1の場合、第1導電パターン21および第3導電パターン23が第2導電パターン22よりも幅広であり熱容量が大きいため、第1導電パターン21および第3導電パターン23の接続端子31が他の接続端子31に比べて昇温しにくい。このため、端子部30と被端子部110との接続において、第2導電パターン22に対応する部分だけが異方性導電フィルム130を介して接続し、第1導電パターン21および第3導電パターン23に対応する部分が十分に接続されないことがあった。
【0095】
この点、本実施形態のプリント配線板1によれば、第1導電パターン21および第3導電パターン23が通電により加熱されるため、第1導電パターン21および第3導電パターン23の接続端子31が他の接続端子31に比べて温度上昇が低くなることが抑制される。これにより、プリント配線板1の端子部30とFPC基板100の被端子部110との接続において、第1導電パターン21および第3導電パターン23に対応する接続端子31が接続されないことを抑制することができる。
【0096】
本実施形態のプリント配線板1によれば、先の第1実施形態による前記(1)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(11)本実施形態では、接続端子31に第1通電用ランド52Aおよび第2通電用ランド52Bが接続され、接続端子31自体を導電体40とする。この構成によれば、接続端子31自体を加熱するため、間接的加熱手段だけで加熱する場合と比べて、接続端子31を短時間で昇温させることができる。すなわち、従来構造のプリント配線板と比較して、端子部30と被端子部110とを短時間で接続することができる。
【0097】
(12)本実施形態では、接続端子31のうち他の端子よりも熱容量の大きい接続端子31(電力線およびグランド線に接続されている接続端子31)に通電用ランド52を設けている。この構成によれば、当該接続端子31を通電加熱することができるため、接続端子31の接着強度が他の接続端子31の接着強度よりも低くなることを抑制することができる。これにより、接続強度のばらつきを小さくすることができる。
【0098】
(第3実施形態)
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態または第2実施形態で示したプリント配線板1を用いて組み立てられた電気回路モジュール300について、その通電用ランド52を利用したものについて説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0099】
図11に示す電気回路モジュール300は、電子部品510が搭載されたプリント配線板1と、このプリント配線板1に接続されたFPC基板100と、ヒートシンク310とを備えている。ヒートシンク310は複数のフィンを有している。通電用ランド52にシリコングリスを介して接続されている。電子部品510は動作により発熱するICである。例えば、LEDドライバ等がこの電子部品510に該当する。電子部品510はプリント配線板1の端子部30の近くに設けられている。
【0100】
このような構成の電気回路モジュール300の作用効果について説明する。
電子部品510が動作するとき、導電パターン20を介して端子部30に熱が伝達されるため、端子部30の温度が上昇する。温度上昇が長時間維持されると、端子部30と被端子部110との接続部分の強度が低下して、接続不良が生じるおそれがある。この点、上記構成によれば、端子部30に対応する部分には導電体40が設けられているため、熱が導電体40を通じてヒートシンク310に伝達されるため、端子部30と被端子部110との接続部分の温度上昇が抑制される。これにより、当該接続部分の強度が低下することが少なくなる。
【0101】
本実施形態の電気回路モジュール300によれば以下に示す効果を奏する。
(1)本実施形態では、電気回路モジュール300が第1実施形態または第2実施形態に示すプリント配線板1により構成されている。これにより、ヒートツール210の過温に起因して生じる当該FPC基板100の変形が抑制されるため、接続部分で断線する可能性の低い電気回路モジュール300とすることができる。
【0102】
(2)本実施形態では、通電用ランド52にヒートシンク310が接続されている。これにより、端子部30と被端子部110の接続部分に伝達された熱が導電体40を介してヒートシンク310に伝達されて放熱されるため、当該接続部分の強度が低下することが抑制される。
【0103】
(第4実施形態)
図12を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態または第2実施形態で示したプリント配線板1を用いて組み立てられた電気回路モジュール400について、その通電用ランド52を利用したものについて説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0104】
図12に示す電気回路モジュール400は、電子部品520が搭載されたプリント配線板1と、このプリント配線板1に接続されたFPC基板100とを備えている。電子部品520は高周波回路である。通電用ランド52はリード線410を介してグランド線420に接続されている。なお、このリード線410の配線は、プリント配線板1とFPC基板100との接続の後に行われる。
【0105】
このような構成の電気回路モジュール400の作用効果について説明する。
電気回路モジュール400が電磁波の発生源の近くに配置される場合、導電パターン20を介してノイズが電子部品520に入力される。このノイズに起因して電子部品520が誤動作するおそれがある。本実施形態の場合、導電体40を接地しているため導電体40が電磁シールドとして機能する。これにより、電子部品520の誤動作の発生を抑制することができる。
【0106】
本実施形態の電気回路モジュール400によれば、先の第3実施形態による前記(1)の効果に加えて、さらに以下に示す効果を奏することができる。
(3)本実施形態では、通電用ランド52が接地されている。通電用ランド52を接地して導電体40を電磁シールドとして機能させるため、電気回路モジュール400に発生するノイズを低減することができる。
【0107】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施例についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0108】
・上記第1実施形態では、スルーホールにより各導電層のランドを接続しているが、ブラインドビアにより各層のランドを接続してもよい。この場合、通電用ランド52と第1内層ランド53とは複数のブラインドビアにより接続される。これは、導電体40に大電流の通電を行うことに起因してブラインドビアが断線することを抑制するためである。
【0109】
・上記第1実施形態では、導電体40に2つの通電用ランド52を接続しているが、通電用ランド52の個数を3個以上としてもよい。この構成の場合、プローブピンの配置を変更可能とすることができる。
【0110】
・上記第1実施形態では、端子部30と被端子部110とをヒートツール210により加熱および加圧すると同時に導電体40の通電を開始するが、これを、端子部30と被端子部110とをヒートツール210により加熱および加圧する前に、導電体40への通電を開始してもよい。
【0111】
通電開始から導電体40が所定温度に達するまでには所定の時間を要する。仮に、通電の開始とヒートツール210による加熱および加圧とを同じタイミングで行った場合、ヒートツール210による加圧の開始時において接続端子31および被接続端子120の加熱が不十分になることがある。この点、上記構成では、接続端子31と被接続端子120とをヒートツール210により加熱および加圧する前に導電体40への通電を開始するため、十分に接続端子31および被接続端子120の加熱した状態で、ヒートツール210により加圧および加熱することができる。
【0112】
・上記第1実施形態では、通電による導電体40の温度に制限を設けていないが、導電体40への通電による導電体40の温度を絶縁基板10の耐熱温度よりも低くしてもよい。導電体40に温度を絶縁基板10の耐熱温度よりも高くすると、導電体40と絶縁基板10との間で剥離が生じるおそれがある。この点、この構成によれば、絶縁基板10の耐熱温度よりも導電体40の温度を低くするため、導電体40と絶縁基板10との間の剥離を抑制することができる。
【0113】
・上記第2実施形態では、図10に示すように端子部30の外側の接続端子31に対して第1通電用ランド52Aおよび第2通電用ランド52Bを設けているが、他の端子に通電用ランド52を設けてもよい。この場合、接続端子31同士が短絡することがないように、個別に通電用ランド52を設ける。
【0114】
・上記第3実施形態では、フィンを備えたヒートシンク310を通電用ランド52に搭載しているが、ヒートシンク310に代えて、熱伝導度の高い基板を接続してもよい。この場合においても、第3実施形態に準じた効果を奏することができる。
【0115】
・上記第4実施形態では、通電用ランド52とグランド線420とを接続して接地しているが、これに代えて、接地された筐体に通電用ランド52を接続してもよい。この場合においても、第4実施形態に準じた効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0116】
1…プリント配線板、10…絶縁基板、11…第1補強板、12…第2補強板、13,14…ソルダレジスト、15…補強板、20…導電パターン、21…第1導電パターン、21A…主線パターン、21B…細線パターン、22…第2導電パターン、23…第3導電パターン、30…端子部、31…接続端子、40…導電体、40A…導電体、40B…導電体、41…第1直線部、42…第1接続部、43…第2直線部、44…第2接続部、50…導通部、51…主導通部、52…通電用ランド、52A…第1通電用ランド、52B…第2通電用ランド、52R…第2通電用ランド、53…第1内層ランド、54…外層ランド、60…導通部、61…第2内層ランド、62…貫通孔、70…導通部、71…裏面ランド、72…貫通接続部、73…第3内層ランド、80…導通部、81…突出端部、90…導通部、2A…第1導電層、2B…第2導電層、2C…第3導電層、2D…第4導電層、3A…第1絶縁層、3B…第2絶縁層、3C…第3絶縁層、3D…第4絶縁層、100…FPC基板、110…被端子部、120…被接続端子、130…異方性導電フィルム、200…接続装置、210…ヒートツール、220…通電装置、221…定電流電源、222…制御装置、223…第1プローブピン、224…第2プローブピン、250…シリコンシート、300…電気回路モジュール、310…ヒートシンク、400…電気回路モジュール、410…リード線、420…グランド線、510…電子部品、520…電子部品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、この絶縁基板に設けられた複数の接続端子とを備えているプリント配線板において、
通電により昇温する導電体が前記接続端子に対応する位置に設けられ、
前記導電体には少なくとも2つの通電用ランドが接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記導電体は前記絶縁基板の内部に形成されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項3】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは導通部を介して接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、
前記絶縁基板には、前記通電用ランドに達する貫通孔が設けられている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、かつ前記通電用ランドは前記絶縁基板の側面から突出するものとして形成されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項6】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面と反対側の面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは導通部を介して接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記導電体および前記通電用ランドは前記接続端子が設けられている面と反対側の面に設けられている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリント配線板において、
前記各接続端子は互いに平行に並べられ、
前記導電体は、前記各接続端子に対向する第1直線部とこれら第1直線部を互いに接続する第1接続部とにより構成され、前記第1直線部と前記第1接続部とは直列に接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板において、
前記各接続端子は互いに平行に並べられ、
前記導電体は、前記各接続端子に直交しかつ前記複数の接続端子にわたる第2直線部とこの第2直線部を互いに接続する第2接続部とにより構成され、前記第2直線部と前記第2接続部とは直列に接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項10】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記接続端子に前記通電用ランドが接続され、前記接続端子自体を前記導電体とする
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項11】
請求項10に記載のプリント配線板において、
前記接続端子のうち他の端子よりも熱容量の大きい接続端子に前記通電用ランドを設けている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュール。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、
前記通電用ランドにヒートシンクが接続されている
ことを特徴とする電気回路モジュール。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、
前記通電用ランドが接地されている
ことを特徴とする電気回路モジュール。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた第1電気回路モジュールと、前記プリント配線板に接続される被接続プリント配線板を用いた第2電気回路モジュールとが接続された電気回路モジュールの製造方法であって、
前記プリント配線板の接続端子と、この接続端子に対応する前記被接続プリント配線板の被接続端子とを対向させるとともに、前記接続端子と前記被接続端子との間に異方性導電フィルムを配置する工程と、
前記接続端子と前記被接続端子とを加熱装置により加熱するとともに前記通電用ランドを通じて前記導電体に通電し、かつ前記プリント配線板と前記被接続プリント配線板とを加圧し、前記接続端子と前記被接続端子とを接続する工程とを含む
ことを特徴とする電気回路モジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の電気回路モジュールにおいて、
前記接続端子と前記被接続端子とを前記加熱装置により加熱および加圧する前に、前記導電体への通電を開始する
ことを特徴とする電気回路モジュールの製造方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の電気回路モジュールの製造方法において、
通電による前記導電体の温度を前記絶縁基板の耐熱温度よりも低くする
ことを特徴とする電気回路モジュールの製造方法。
【請求項1】
絶縁基板と、この絶縁基板に設けられた複数の接続端子とを備えているプリント配線板において、
通電により昇温する導電体が前記接続端子に対応する位置に設けられ、
前記導電体には少なくとも2つの通電用ランドが接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記導電体は前記絶縁基板の内部に形成されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項3】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは導通部を介して接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、
前記絶縁基板には、前記通電用ランドに達する貫通孔が設けられている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは前記導電体と同じ層に設けられ、かつ前記通電用ランドは前記絶縁基板の側面から突出するものとして形成されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項6】
請求項2に記載のプリント配線板において、
前記通電用ランドは、前記接続端子が形成されている面と反対側の面に設けられ、かつ前記通電用ランドと前記導電体とは導通部を介して接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記導電体および前記通電用ランドは前記接続端子が設けられている面と反対側の面に設けられている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプリント配線板において、
前記各接続端子は互いに平行に並べられ、
前記導電体は、前記各接続端子に対向する第1直線部とこれら第1直線部を互いに接続する第1接続部とにより構成され、前記第1直線部と前記第1接続部とは直列に接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板において、
前記各接続端子は互いに平行に並べられ、
前記導電体は、前記各接続端子に直交しかつ前記複数の接続端子にわたる第2直線部とこの第2直線部を互いに接続する第2接続部とにより構成され、前記第2直線部と前記第2接続部とは直列に接続されている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項10】
請求項1に記載のプリント配線板において、
前記接続端子に前記通電用ランドが接続され、前記接続端子自体を前記導電体とする
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項11】
請求項10に記載のプリント配線板において、
前記接続端子のうち他の端子よりも熱容量の大きい接続端子に前記通電用ランドを設けている
ことを特徴とするプリント配線板。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュール。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、
前記通電用ランドにヒートシンクが接続されている
ことを特徴とする電気回路モジュール。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた電気回路モジュールであって、
前記通電用ランドが接地されている
ことを特徴とする電気回路モジュール。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のプリント配線板を用いた第1電気回路モジュールと、前記プリント配線板に接続される被接続プリント配線板を用いた第2電気回路モジュールとが接続された電気回路モジュールの製造方法であって、
前記プリント配線板の接続端子と、この接続端子に対応する前記被接続プリント配線板の被接続端子とを対向させるとともに、前記接続端子と前記被接続端子との間に異方性導電フィルムを配置する工程と、
前記接続端子と前記被接続端子とを加熱装置により加熱するとともに前記通電用ランドを通じて前記導電体に通電し、かつ前記プリント配線板と前記被接続プリント配線板とを加圧し、前記接続端子と前記被接続端子とを接続する工程とを含む
ことを特徴とする電気回路モジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の電気回路モジュールにおいて、
前記接続端子と前記被接続端子とを前記加熱装置により加熱および加圧する前に、前記導電体への通電を開始する
ことを特徴とする電気回路モジュールの製造方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の電気回路モジュールの製造方法において、
通電による前記導電体の温度を前記絶縁基板の耐熱温度よりも低くする
ことを特徴とする電気回路モジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−204804(P2012−204804A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70895(P2011−70895)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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