説明

プリント配線板、プリント回路板、およびプリント回路板の接合部検査方法

【課題】本発明の目的は、プリント配線板のパッドと回路部品のパッドとの間の接合部の状態をより詳しく電気的に調べることができるプリント配線板を提供することにある。
【解決手段】プリント配線板11は、パッド15を備えた回路部品12が実装される。プリント配線板11は、導電性接合部材25を介して回路部品12のパッド15に電気的に接続されるパッド21を備える。このパッド21は、その外周縁部の一部31,32,33,34が該パッド21の他の部分35から電気的に独立するように分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッドを備えた回路部品が実装されるプリント配線板、パッドを備えた回路部品が実装されたプリント回路板、およびそのプリント回路板の接合部検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放熱性の向上や電波対策としてのグランド接続強化のため比較的大きなパッドをその底面部に備える回路部品がある。このような回路部品が実装されるプリント配線板には、その回路部品のパッドに半田を介して電気的に接続されるパッドが設けられる。プリント回路板の製造工程においては、回路部品のパッドとプリント配線板のパッドとの間の接続状態の検査が必要となるが、パッドが回路部品の底面部に設けられているために外観から調べることは困難である。
【0003】
特許文献1には、パッドの接合状態を電気的に検査できるプリント配線板が開示されている。このプリント配線板は、回路部品の一つの電極に対応した位置に、電気的に独立した二つのランドを設けてある。この二つのランドの間の抵抗を測定することで、半田接合部の半田未溶融不良を電気的に検査することができる。
【特許文献1】特開2002−43711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路部品なかには、パッドの所定以上の面積が半田接続されることを要求するものがある。このような回路部品のパッドの接続確認では、その電気的接続の有無に加えて、必要な接続面積が確保されているかを調べる必要がある。上記特許文献1に記載のプリント配線板は、半田接合部の半田未溶融不良の検出を目的としたものであり、半田接続面積を調べるものではない。
【0005】
半田はその表面張力により集まろうとするため、半田の供給量が少なければパッドの中央部のみが半田接続される場合が生じる。このような場合でも特許文献1に記載のプリント配線板によれば独立した二以上のパッドが互いに電気的に接続されてしまうので、必要な接続面積が確保されているかを調べることができない。
【0006】
本発明の目的は、プリント配線板のパッドと回路部品のパッドとの間の接合部の状態をより詳しく電気的に調べることができるプリント配線板およびプリント回路板、並びにプリント回路板の接合部検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係るプリント配線板は、パッドを備えた回路部品が実装されるプリント配線板であって、導電性接合部材を介して上記回路部品のパッドに電気的に接続されるパッドを備える。このパッドは、その外周縁部の一部が該パッドの他の部分から電気的に独立するように分割されている。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係るプリント回路板は、パッドを備える回路部品と、導電性接合部材を介して上記回路部品のパッドに電気的に接続されるパッドを備え上記回路部品が実装されるプリント配線板とを具備する。上記プリント配線板のパッドは、その外周縁部の一部が該パッドの他の部分から電気的に独立するように分割されている。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係るプリント回路板の接合部検査方法は、パッドを有するプリント配線板であって、上記パッドの外周縁部の一部が該パッドの他の部分から分割され、その分割された部分がそのパッドの他の部分から電気的に独立するプリント配線板を準備し、上記パッドに導電性接合部材を介して回路部品のパッドを電気的に接続し、上記パッドの分割された部分と上記導電性接合部材との間の電気的な接続状態を調べる。
【発明の効果】
【0010】
これらの構成によれば、プリント配線板のパッドと回路部品のパッドとの間の接合部の状態をより詳しく電気的に調べることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を、ポータブルコンピュータおよびポータブルコンピュータに搭載されるプリント回路板に適用した図面に基づいて説明する。
図1は、ポータブルコンピュータ1の全体を示す。ポータブルコンピュータ1は、電子機器の一例である。ポータブルコンピュータ1は、本体2と、この本体2に対して開閉可能に支持された表示ユニット3とを備える。本体2は、箱状に形成された筐体4を有する。筐体4は、HDD(hard disk drive)5を収容している。HDD5は、装置本体7と、この装置本体7を制御する制御回路基板としてのプリント回路板8とを有する。
【0012】
次に、図2ないし図5を参照して本発明の第1の実施形態に係るプリント回路板8について詳しく説明する。
図2に示すように、プリント回路板8は、プリント配線板11と、このプリント配線板11に実装される回路部品12とを備える。回路部品12の一例は、QFP(quad flat package)タイプの半導体パッケージである。なお説明のため図2ではプリント配線板11のソルダーレジストは省略している。図2に示すように、回路部品12は、その底面部12aにパッド15(以下、ICパッド15と称する)を有する。
【0013】
図3は、回路部品12の底面部12aを示す。ICパッド15は、四角形状に形成されている。ICパッド15は、例えば放熱性の向上や電波対策のためのグランド接続強化などを目的とし、底面部12aのなかで比較的大きな面積を有する。ICパッド15は、例えばグランド接続用のパッドとして、あるいは電源供給用のパッドとして用いられる。なお本実施形態ではグランド接続用のICパッド15を取り上げて説明する。ICパッド15の大きさの一例は、約5mm×5mmである。回路部品12の四辺には、リードとよばれる複数の接続端子16が設けられている。
【0014】
図4は、プリント配線板11の平面図である。なお図4では説明のため導体部分にハッチングを施している。プリント配線板11は、回路部品12が搭載される領域に、第1のパッド21(以下、第1の基板パッド21と称する)と、複数の第2のパッド22(以下、第2の基板パッド22と称する)とを有する。第1の基板パッド21は、回路部品12のICパッド15に対応するように配置され、ICパッド15と略同じ大きさの四角形状に形成されている。
【0015】
第2の基板パッド22は、回路部品12の接続端子16に対応するように配置されている。図2に示すように、第1の基板パッド21は、半田25を介して回路部品12のICパッド15に電気的に接続される。第2の基板パッド22は、半田25を介して回路部品12の接続端子16に電気的に接続される。半田25は、本発明でいう導電性接合部材の一例である。
【0016】
図4に示すように、本実施形態に係る第1の基板パッド21は、その外周縁部に位置する四つのコーナー部31,32,33,34が中央部35から分割されている。すなわち第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34は、中央部35との間に隙間を空け、中央部35から電気的に独立している。また第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34は、互いに電気的に独立している。第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34のそれぞれ一例は、約0.2mm×0.2mm〜0.5mm×0.5mmの四角形状に形成されている。第1の基板パッド21の中央部35は、プリント配線板11の内部のグランドに電気的に接続されている。
【0017】
プリント配線板11には、さらに第1ないし第4のランド41,42,43,44が設けられている。第1のランド41は、配線45を介してパッド21の第1のコーナー部31に電気的に接続されている。同様に、第2ないし第4のランド42,43,44は、配線45を介してそれぞれ対応する第2ないし第4のコーナー部32,33,34に電気的に接続されている。
【0018】
次に、プリント回路板8の製造方法の一例について説明する。
図5に示すように、第1および第2の基板パッド21,22を設けられたプリント配線板11と、ICパッド15が設けられた回路部品12とを準備する。次にプリント配線板11の第1および第2の基板パッド21,22に、例えばスクリーン印刷により半田25を塗布する。半田25は、例えば第1の基板パッド21の中央部35、および第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の全てに印刷される。半田25が付着されたプリント配線板11に回路部品12を搭載し、リフロー処理を行うことで半田25を溶融させる。半田25がプリント配線板11の第1の基板パッド21と回路部品12のICパッド15との間、および第2の基板パッド22と接続端子16との間に融着することで、第1の基板パッド21はICパッド15に電気的に接続されるとともに、第2の基板パッド22は接続端子16に電気的に接続される。
【0019】
次に、プリント配線板11の第1の基板パッド21と回路部品12のICパッド15との接合部50の状態の検査方法の一例を図6ないし図8を参照して説明する。
この接合部50の検査は、第1の基板パッド21の第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の全部または一部と半田25との間の電気的な接続状態を調べることで行われる。この電気的な接続状態を調べる方法には種々のやり方があるが、例えば第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の互いの間の導通状態を調べることでコーナー部31,32,33,34と半田25との間の電気的な接続状態を検出することができる。
【0020】
詳しくは、図4に示すように第1および第2の端子53,54を有するテスター55を準備し、第1の端子53をプリント配線板11の第1のランド41に電気的に接続するとともに、第2の端子54を第2のランド42に電気的に接続させる。テスター55を用いて第1のランド41と第2のランド42との間の電気抵抗を測定する。
【0021】
図6に示すように第1の基板パッド21の第1および第2のコーナー部31,32が共に半田25に接続されていない場合、あるいは図7に示すように第1および第2のコーナー部31,32のいずれか一方のみが半田25に接続されている場合は、第1および第2のコーナー部31,32が互いに導通しておらず、第1のランド41と第2のランド42との間の電気抵抗は大きい。
【0022】
一方、図8に示すように第1および第2のコーナー部31,32が共に半田25に接続されていると、第1および第2のコーナー部31,32は、半田25およびICパッド15を介して互いに導通するので、第1のランド41と第2のランド42との間の電気抵抗は小さい。つまり、第1および第2のコーナー部31,32の間の導通状態を調べることで、第1および第2のコーナー部31,32と半田25との間の電気的な接続状態を調べることができる。第1および第2のコーナー部31,32と半田25との間の電気的な接続状態を調べることで、第1および第2のコーナー部31,32が半田25に接続されているか否かを検出することができる。
【0023】
同様に、テスター55を用いて第3のランド43と第4のランド44との間の電気抵抗を測定することで、第3および第4のコーナー部33,34と半田25との間の電気的な接続状態から、第3および第4のコーナー部33,34が半田25に接続されているか否かを検出することができる。このように第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の半田接続状態を検出し、例えば全てのコーナー部31,32,33,34が半田25に接続されていると検出された場合は、第1の基板パッド21の略全域およびICパッド15の略全域が半田25に接続されていると見做される。
【0024】
このような構成のプリント配線板11およびプリント回路板8、並びにプリント回路板8の検査方法によれば、プリント配線板11の基板パッド21と回路部品12のICパッド15との間の接合部50の状態をより詳しく電気的に調べることができる。
【0025】
半田25はその表面張力で集まろうとするため、半田25の供給量が少なかった場合は図6に示すようにICパッド15の中央部のみが半田25に接続される。この場合でも基板パッド21とICパッド15とは互いに電気的に接続されるが、例えばICパッド15の所定以上(例えば60%以上)の面積を半田接続すべきとの部品要求がある場合にその必要な接続面積を確保できていない場合がある。
【0026】
例えばプリント配線板11に対して回路部品12が傾いて搭載された場合、図7に示すようにICパッド15の一部のみが半田25に接続される。この場合も同様に基板パッド21とICパッド15とは互いに電気的に接続されるが、回路部品12に必要な接続面積を確保できていない場合がある。
【0027】
本実施形態に係るプリント配線板11によれば、基板パッド21とICパッド15との間の電気的な接続状態に加えて、回路部品12に必要な接続面積を確保できているかを電気的に調べることができる。すなわち、基板パッド21の第1および第2のコーナー部31,32の間の導通状態を調べることで、第1および第2のコーナー部31,32がそれぞれ半田25に接続されているか否かを知ることができる。
【0028】
同様に、第3および第4のコーナー部33,34の間の導通状態を調べることで、第3および第4のコーナー部33,34がそれぞれ半田25に接続されているのか否かを知ることができる。このように、第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の半田接続状態を調べることで、基板パッド21の外周縁部が半田25に接続されているかを調べることができる。基板パッド21の外周縁部の半田接続を確認することで、ICパッド15の略全域が半田25に接続されていると見做すことができる。
【0029】
例えば第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34が全て半田25に接続されていれば、少なくともICパッド15の60%以上の面積が半田接続されていると見做すことができる。これにより、ICパッド15の半田接続の程度、すなわち回路部品12に必要な接続面積を確保しているか否かを確認することができる。
【0030】
四角形状の基板パッド21のコーナーは、半田25に接続されにくい領域の一つである。本発明でいうパッド21の分割される部分がパッド21のコーナーに設けられていると、半田25の供給量不足をより確実に検出することができる。パッド21の二箇所以上が分割されていると、回路部品12の傾きなどによる接続不良を検出することができる。
【0031】
例えば四つのコーナー部31,32,33,34が中央部35から分割されていると、この四つのコーナー部31,32,33,34の半田接続を確認することで、基板パッド21の外周縁部の略全周が半田25に接続されていると見做すことができる。これにより、接合部50の検査精度が向上する。
【0032】
本実施形態で半田接続の検査が行われる基板パッド21は、グランドパッドとしての機能を有する。すなわち基板パッド21の外周縁部を利用することで、電気的に使用する基板パッド21の機能を維持しつつ、接合部50の状態を検出することができる。
【0033】
ICパッド15が基板パッド21に電気的に接続されていなくても、回路部品12は他のパスを通じてグランド接続される。したがって基板パッド21がグランドパッドであると、ICパッド15と基板パッド21との導通検査からICパッド15と基板パッド21との電気的接続を確認するのは困難である。一方、本実施形態に係るプリント配線板11によれば、コーナー部31,32,33,34同士の導通検査を行うことで、例え基板パッド21がグランドであってもICパッド15と基板パッド21との電気的接続を確認することができる。
【0034】
なお、本実施形態ではコーナー部31,32,33,34の互いの間の導通を確認したが、これに代えてコーナー部31,32,33,34と中央部35との間の導通状態を調べることで、基板パッド21のコーナー部31,32,33,34と半田25との間の電気的な接続状態を検出してもよい。例えば第1の基板パッド21がグランドパッドである場合には、コーナー部31,32,33,34と中央部35との導通状態の検出に代えて、プリント配線板11に設けられる他のグランドパッド57とコーナー部31,32,33,34との間の導通状態を検出してもよい(図4参照)。
【0035】
次に、プリント配線板11の第1の基板パッド21と回路部品12のICパッド15との接合部50の状態の検査方法の別の一例を図9および図10を参照して説明する。この別の検査方法によれば、コーナー部31,32,33,34の電位を調べることで、コーナー部31,32,33,34の半田接続状態が検出される。
【0036】
詳しくは図9に示すように、検査に用いられるテスター61の一例は、電源62と出力部63とを有し、電源62を出力部63に繋ぐ回路64にはプルアップ抵抗65が設けられている。この回路64の途中には、プリント配線板11の例えば第1のランド41に接続される端子が電気的に接続されている。この端子を第1のランド41に接続することで、回路64は基板パッド21の第1のコーナー部31に電気的に接続される。
【0037】
図9に示すように、第1のコーナー部31が半田25に接続されていない場合は、第1のコーナー部31は、グランドから断線されている。したがって、電源62から信号電流を流すと、その信号電流は出力部63へと流れ、出力部63にはHの入力がなされる。
【0038】
一方、図10に示すように第1のコーナー部31が半田25に接続されている場合は、第1のコーナー部31は、中央部35に導通してグランド接続されている。したがって、電源62から信号電流を流すと、その信号電流は第1のコーナー部31へと流れ、出力部63にはLの入力がなされる。すなわち出力部63への入力状態をみることで、第1のコーナー部31が半田25に接続されているか否かを調べることができる。同様に第2ないし第4のコーナー部32,33,34についても調べる。なおこの電源62および出力部63を含む回路は、テスター61に代えてプリント配線板11に設けてもよい。
【0039】
このように第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の電位を調べ、コーナー部31,32,33,34と中央部35との間の導通状態を調べることで、コーナー部31,32,33,34と半田25との間の電気的な接続状態を検出してもよい。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態に係るプリント回路板71、およびそのプリント回路板71の接合部検査方法について、図11および図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態に係るプリント回路板8と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
プリント回路板71は、プリント配線板72と、このプリント配線板72に実装される回路部品73とを有する。プリント配線板72は、第1および第2の基板パッド21,22を有する。図11では説明のため導体部分にハッチングを施している。図11に示すように、第2の基板パッド22は、パッドAとパッドBとを含む。パッドAは、例えば四つ設けられている。パッドAは、それぞれ近傍に位置する第1の基板パッド21のコーナー部31,32,33,34のいずれかに電気的に接続されている。パッドBは、例えばHDD5に接続されるインターフェイス74に電気的に接続されている。
【0042】
図12に示すように、回路部品73は、底面部12aに形成されたICパッド15と、接続端子16とを有する。接続端子16は、プリント配線板72のパッドAに電気的に接続される入力端子aと、パッドBに電気的に接続される出力端子bとを含む。回路部品73は、さらに判定部73aを有する。判定部73aは、入力端子aと出力端子bとに電気的に接続されている。入力端子aには、例えばプルアップされた電圧が供給されている。
【0043】
すなわち入力端子aが電気的に接続されたコーナー部31,32,33,34が中央部35に導通してグランド接続されていると、その入力端子aからは判定部73aにLの入力信号が入る。一方、コーナー部31,32,33,34が中央部35から断線されていると、その断線されたコーナー部31,32,33,34に電気的に接続された入力端子aから判定部73aにはHの信号が入る。
【0044】
判定部73aは、各入力端子aに加わる電位からコーナー部31,32,33,34が半田25に接続されているかを判定する。すなわち各入力端子aからの信号が全てLの場合は、四つのコーナー部31,32,33,34は全て半田25に接続されており、基板パッド21の略全域およびICパッド15の略全域が半田25に接続されていると判定する。一方、いずれかの入力端子aからの信号がHであれば、半田接続が不十分であるとの判定を行う。判定部73aの一例は、AND回路またはOR回路を含む論理回路である。
【0045】
判定部73aは、その判定結果を出力端子bおよびインターフェイス74を通じてプリント回路板71の外部に出力する。プリント回路板71の外部に送られる情報は、例えば全てのコーナー部31,32,33,34が半田接続されているとの情報、あるいは半田接続されていないコーナー部31,32,33,34が検出される場合はその該当するコーナー部31,32,33,34に関する情報を含む。
【0046】
このように回路部品73に判定機構を設けて、第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の電位を調べてもよい。これによりコーナー部31,32,33,34と中央部35との間の導通状態を調べ、コーナー部31,32,33,34と半田25との間の電気的な接続状態を検出することができる。
【0047】
このような構成のプリント配線板72およびプリント回路板71、並びにプリント回路板71の検査方法によれば、プリント配線板72の基板パッド21と回路部品73のICパッド15との間の接合部50の状態をより詳しく電気的に調べることができる。
【0048】
本実施形態に係るプリント配線板72によれば、基板パッド21とICパッド15との間の電気的な接続状態に加えて、回路部品73に必要な接続面積が確保されているかを調べることができる。すなわち、第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34に電気的に接続された入力端子aの電位を調べることで、第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34がそれぞれ半田25に接続されているか否かを知ることができる。
【0049】
このように、第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34の半田接続状態を調べることで、基板パッド21の外周縁部が半田25に接続されているかを調べることができる。基板パッド21の外周縁部の半田接続を確認することで、ICパッド15の略全域が半田25に接続されていると見做すことができる。本実施形態に係るプリント回路板71によれば、テスターを用いた導通検査が不要になるので、検査作業の時間短縮を行うことができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施形態に係るプリント回路板81、およびそのプリント回路板81の接合部検査方法について、図13を参照して説明する。なお第1および第2の実施形態に係るプリント回路板8,71と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図13では説明のため導体部分にハッチングを施している。プリント回路板81は、プリント配線板82と回路部品12とを有する。プリント配線板82の第1の基板パッド21では、第1および第3のコーナー部31,33のみが中央部35から分割されている。第1および第3のコーナー部31,33は、パッド21の互いに対角となるコーナーに設けられている。
【0052】
このような構成のプリント配線板82およびプリント回路板81、並びにプリント回路板81の検査方法によれば、プリント配線板82の基板パッド21と回路部品12のICパッド15との接合部50の状態をより詳しく電気的に調べることができる。すなわち、基板パッド21の第1および第3のコーナー部31,33の間の導通状態を調べることで、第1および第3のコーナー部31,33がそれぞれ半田25に接続されているか否かを知ることができる。
【0053】
第1および第3のコーナー部31,33の半田接続状態を調べることで、基板パッド21の外周縁部が半田25に接続されているかを調べることができる。基板パッド21の対角に位置する二つのコーナー部31,33の半田接続を確認することで、ICパッド15の略全域が半田25に接続されていると見做すことができる。
【0054】
なお、第1の実施形態と同様にテスター61によってコーナー部31,33の電位を検出してもよい。第2の実施形態と同様に第1および第3のコーナー部31,33に電気的に接続されるパッド21を形成し、判定部73aを有する回路部品73により接合部50の状態を検出してもよい。
【0055】
以上、第1ないし第3の実施形態に係るプリント配線板11,72,82およびプリント回路板8,71,81、並びにプリント回路板8,71,81の接合部50の検査方法について説明したが、本発明はもちろんこれらに限定されない。第1ないし第3の実施形態に係る各構成要素は、適宜組み合わせて適用することができる。
【0056】
なお、第1ないし第4のランド41,42,43,44を設ける代わりに第1ないし第4のコーナー部31,32,33,34に電気的に接続されるスルーホールを設け、プリント配線板11,72,82の裏側から電気検査を行ってもよい。本発明でいうパッドの分割される部分は、パッド21のコーナーに限定されず、外周縁部であればいずれの部分でもよい。パッド21の分割される部分が外周縁部に少なくとも一つあれば、例えば半田25の供給量不足による接合不良を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】第1の実施形態に係るプリント回路板の断面図。
【図3】第1の実施形態に係る回路部品を底面側からみた平面図。
【図4】第1の実施形態に係るプリント配線板の平面図。
【図5】第1の実施形態に係るプリント回路板の製造工程を示す断面図。
【図6】第1の実施形態に係るプリント回路板の接合部検査を示す断面図。
【図7】第1の実施形態に係るプリント回路板の接合部検査を示す断面図。
【図8】第1の実施形態に係るプリント回路板の接合部検査を示す断面図。
【図9】第1の実施形態に係るプリント回路板の別方法による接合部検査を示す断面図。
【図10】第1の実施形態に係るプリント回路板の別方法による接合部検査を示す断面図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るプリント配線板の平面図。
【図12】第2の実施形態に係るプリント回路板の平面図。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るプリント配線板の平面図。
【符号の説明】
【0058】
1…ポータブルコンピュータ、8,71,81…プリント回路板、11,72,82…プリント配線板、12,73…回路部品、15…ICパッド、21,22…基板パッド、25…半田、31,32,33,34…コーナー部、35…中央部、a…入力端子、b…出力端子、73a…判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドを備えた回路部品が実装されるプリント配線板であって、
導電性接合部材を介して上記回路部品のパッドに電気的に接続されるパッドを備え、このパッドは、その外周縁部の一部が該パッドの他の部分から電気的に独立するように分割されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、
上記プリント配線板のパッドは、四角形状に形成され、上記分割される部分は、そのパッドのコーナー部に設けられることを特徴とするプリント配線板。
【請求項3】
請求項2に記載のプリント配線板において、
上記分割されるコーナー部は、そのパッドの互いに対角となる二つのコーナーにそれぞれ設けられることを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
請求項2に記載のプリント配線板において、
上記分割されるコーナー部は、そのパッドの四つのコーナーにそれぞれ設けられることを特徴とするプリント配線板。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板において、
上記プリント配線板のパッドは、グランドであることを特徴とするプリント配線板。
【請求項6】
パッドを備える回路部品と、
導電性接合部材を介して上記回路部品のパッドに電気的に接続されるパッドを備え、上記回路部品が実装されるプリント配線板と、を具備するプリント回路板であって、
上記プリント配線板のパッドは、その外周縁部の一部が該パッドの他の部分から電気的に独立するように分割されていることを特徴とするプリント回路板。
【請求項7】
請求項6に記載のプリント回路板において、
上記プリント配線板は、上記パッドの分割された部分に電気的に接続される他のパッドを有し、
上記回路部品は、上記他のパッドに電気的に接続される入力端子と、上記入力端子の電位から上記パッドの分割された部分が上記導電性接合部材に接続されているかを判定する判定部と、上記判定部の判定結果を出力する出力端子とを有することを特徴とするプリント回路板。
【請求項8】
パッドを有するプリント配線板であって、上記パッドの外周縁部の一部が該パッドの他の部分から分割され、その分割された部分がそのパッドの他の部分から電気的に独立するプリント配線板を準備し、
上記パッドに導電性接合部材を介して回路部品のパッドを電気的に接続し、
上記パッドの分割された部分と上記導電性接合部材との間の電気的な接続状態を調べることを特徴とするプリント回路板の接合部検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載のプリント回路板の接合部検査方法において、
上記パッドの分割された部分と上記導電性接合部材との間の電気的な接続状態は、上記パッドの分割された部分と上記パッドの残りの部分との間の導通状態を調べることで検出されることを特徴とするプリント回路板の接合部検査方法。
【請求項10】
請求項8に記載のプリント回路板の接合部検査方法において、
上記パッドは四角形状に形成されるとともに、上記パッドの分割される部分は、そのパッドの互いに対角となる二つのコーナーにそれぞれ設けられ、
上記パッドの分割された部分と上記導電性接合部材との間の電気的な接続状態は、上記パッドの分割された二つのコーナー部の間の導通状態を調べることで検出されることを特徴とするプリント回路板の接合部検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−166403(P2008−166403A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352643(P2006−352643)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】