説明

プリント配線板の製造方法及びプリント配線板

【課題】特殊な設備を導入することなく、微細な回路形成を行うことが可能なプリント配線板を低コストで、且つ、高歩留まりで製造するためのプリント配線板の製造方法及び、このような方法で製造されたプリント配線板を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するため、絶縁層を介して、接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成された銅箔層と、導体層とを積層した構成を備える積層体を形成し、銅箔層側からブラインドビアを形成し、銅箔層上に無電解銅めっき層を形成し、当該絶縁層上に設けられる銅層の合計厚さが15μm以下となるように、電解銅めっき層を形成すると共に、ブラインドビアの充填めっきを完了し、厚さが15μm以下のエッチングレジスト層を形成し、エッチング処理を施し、配線パターンを形成する方法を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、層間接続方式としてフィルドビアを採用したプリント配線板の製造方法及びプリント配線板に関し、特に、サブトラクティブ法により配線パターンが形成されるプリント配線板の製造方法及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(以下、「半導体素子」と称する。)は、近年、益々、高速化、多機能化している。このような半導体素子の高速化、多機能化に付随して、半導体素子の端子間ピッチは益々狭くなる傾向にある。このため、半導体素子が搭載されるプリント配線板であるパッケージ基板等(以下、「パッケージ基板等」と称する。)には、半導体素子の端子間の狭ピッチ化に伴い、より微細な配線パターンが求められている。
【0003】
ところで、パッケージ基板等では、半導体素子が搭載される外層回路(表層回路)と内層回路とは、ブラインドビアホール(非貫通孔)やスルーホール(貫通孔)により層間接続が行われる。例えば、特許文献1には、パッケージ基板等を製造する方法として、内層回路を形成した内層基板の上に、絶縁層と外層となる銅箔とを積層し、層間接続のための非貫通孔と貫通孔とを形成し、非貫通孔内、貫通孔内、および外層の銅箔上に無電解銅めっき層と電気銅めっき層とを形成し、非貫通孔及び貫通孔により外層と内層との層間接続を行う方法が記載されている。このとき、非貫通孔内には、無電解銅めっきと電気銅めっきとにより、孔内部を充填したフィルドビアが形成されている。また、貫通孔の内壁上には、無電解銅めっき層と電解銅めっき層とからなる所定の厚みの銅めっき層が形成されている。そして、サブトラクティブ法により、外層回路が形成される。一方、現在、市場で流通しているパッケージ基板等には、半導体素子の端子間の狭ピッチ化に対応するために、外層回路には、例えば、配線パターンのピッチ幅が40μm以下、ライン/スペース(以下、L/S)が20μm/20μm以下の微細な配線パターンが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−239188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1では、層間接続を確実なものとするために、貫通孔の内壁上に約35μmの厚みの銅めっき層を形成している。この場合、銅箔層の表面にも約35μmの厚みの銅めっき層が形成されることになる。従って、特許文献1に記載の方法を用いて、サブトラクティブ法で、L/S=20μm/20μ以下の微細な配線パターンを形成することは非常に困難となる。当該銅層の厚みが厚すぎるためである。
【0006】
また、特許文献1に記載の方法では、粗化処理を施した銅箔を使用している。仮に、特許文献1に記載の銅層を、更に、ハーフエッチングにより厚みを削減した場合であっても、粗化処理部分を完全に溶解するためにはオーバーエッチングを必要とするため、L/S=20μm/20μ以下の微細な配線パターンを形成することは困難である。
【0007】
さらに、特許文献1に記載の方法では、銅箔をハーフエッチングした後、銅めっきを行い、さらに銅めっき層形成後にハーフエッチングを施している。このようにハーフエッチングの回数が増加し、エッチング除去する際の銅層の厚みが増加するにつれて、銅層厚みの面内バラツキも大きくなり、設計通りのパターン形成が行えず、回路の形成精度の低下を招く。
【0008】
一方、サブトラクティブ法により、この様な微細なレベルの回路形成を行う方法として、バキュームエッチング、異方性エッチング等が知られているが、いずれの方法も特殊な設備やエッチング液の管理等が必要になってしまう。
【0009】
また、セミアディティブ法を適用すれば、このような微細な回路形成を行うことが可能である。しかしながら、セミアディティブ法は、サブトラクティブ法と比して、一般に製造コストが高くなり、歩留まりも低くなる。また、セミアディティブ法により、配線パターンを形成すると共に、例えば、層間接続を行うためのブラインド孔を電解銅めっきで充填するとすれば、20μm以上のめっき厚が必要になる。
【0010】
以上のことから、市場では、特殊な設備を導入することなく、半導体素子の端子間の狭ピッチ化に応じた微細な回路形成を低コストで、且つ、高歩留まりで製造することが可能なプリント配線板の製造方法及び、このような方法で製造されたプリント配線板が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明者は、鋭意研究を行った結果、本件発明に係るプリント配線板の製造方法及びプリント配線板に想到し、上記目的を達成するに到った。
【0012】
上記目的を達成するために、本件発明に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁層を介して、接着面(張り合わせ面)の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成された銅箔層と、導体層とを積層した構成を備える積層体を形成する積層体形成工程と、当該積層体に対して、当該銅箔層と絶縁層とを貫通し、前記導体層を底部とするブラインド孔を形成するブラインド孔形成工程と、当該銅箔層の表面及び当該ブラインド孔の内壁面上に無電解銅めっき層を形成する無電解銅めっき工程と、絶縁層上に設けられる銅層の合計厚さが15μm以下になるように、前記無電解銅めっき層の表面に電解銅めっき層を形成すると共に、当該電解銅めっき層の表面と同位置程度までブラインド孔を充填するパネルめっき工程と、当該銅層の表面に、厚さが15μm以下のエッチングレジスト層を形成するエッチングレジスト形成工程と、エッチングレジスト層形成後の銅層をエッチングし、配線パターンを形成するエッチング工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
本件発明に係るプリント配線板の製造方法では、前記無電解銅めっき工程において、前記無電解銅めっき後の前記銅箔層の層厚と前記無電解銅めっき層の層厚とを合計したときの厚さが3μm以下であることが好ましい。
【0014】
本件発明に係るプリント配線板の製造方法では、前記エッチング工程において形成する配線パターンがL/S=20μm/20μm以下であることが好ましい。
【0015】
本件発明に係るプリント配線板の製造方法では、前記積層体形成工程において、前記絶縁層を介して、前記無粗化銅箔と前記導体層とを積層する際に、前記無粗化銅箔の接着面に、前記絶縁層との接着性を確保するためのプライマ樹脂層を備えたプライマ樹脂層付銅箔を用いることが好ましい。
【0016】
本件発明に係るプリント配線板は、絶縁層を介して、銅層と、導体層とが、当該導体層を底部とするフィルドビアにより層間接続されたプリント配線板であって、当該銅層は接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成された銅箔層、無電解銅めっき層及び電解銅めっき層を順に積層した構成を備えるものであり、前記電解銅めっき層は、パネルめっき法により、絶縁層上に設けられる銅層の合計厚さ(D)が15μm以下になるように、前記無電解銅めっき層の表面に形成されたものであり、前記フィルドビアは、前記電解銅めっき層が形成されると共に、前記電解銅めっき層の表面と同位置程度まで電解銅めっきによる充填が完了したものであることを特徴とする。
【0017】
本件発明に係るプリント配線板では、前記銅層において、前記無粗化銅箔層の層厚と、前記無電解銅めっき層の層厚とを合計したときの厚さが3μm以下であることが好ましい。
【0018】
本件発明に係るプリント配線板では、前記銅層には、L/S=20μm/20μm以下の配線パターンが形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本件発明によれば、外層回路と内層回路との層間接続構造として、フィルドビアのみを採用することにより、スルーホールを用いて層間接続を行う場合に比して、ブラインドビアの内部の充填めっきを完了するまでに形成される電解銅めっき層の厚さを低減することができる。その結果、パネルめっき工程において、無電解銅めっき層の表面に電解銅めっき層を形成すると共に、当該電解銅めっき層の表面と同位置程度までブラインド孔を充填することができ、絶縁層上に15μm以下の薄い銅層を形成することができる。従って、無電解銅めっき層および電解銅めっき層形成後に、銅層の厚みを削減することなく、サブトラクティブ法により、L/S=20μm/20μm以下の微細な配線パターンを形成することが可能になる。
【0020】
また、本件発明では、接着面が極めて平滑な無粗化銅箔を用いて銅箔層を形成しているため、粗化処理部分を溶解するためのオーバーエッチングを行う必要がない。このため、オーバーエッチングを要する場合に比してトップ幅の減少を抑えることができ、より微細な配線パターンを形成することができる。
【0021】
さらに、本件発明では、厚さが5μm以下の極薄銅箔を用いて銅箔層を形成しているため、無電解銅めっき層形成前のハーフエッチング工程を不要にすることができる。また、本件発明では、絶縁層上に形成する銅層の合計厚さが15μm以下になるように電解銅めっき層を形成するため、電解銅めっき層形成後のハーフエッチング工程を不要にすることができる。従って、本件発明によれば、ハーフエッチングによる銅層の層厚の面内バラツキが大きくなるのを防止し、回路の形成精度を高く、得られる回路の信頼性を高くすることができる。
【0022】
以上のことから、本件発明によれば、サブトラクティブ法により、特殊な設備等を導入することなく、L/S=20μm/20μ以下の微細な配線パターンを低コストで、且つ、歩留良く生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本件発明に係るプリント配線板の層構成を模式的に示す側面図である。
【図2】本件発明に係るプリント配線板の層構成及びブラインドビアの充填めっきの状態を示す光学金属顕微鏡写真である。
【図3】比較のためのプリント配線板の層構成及びブラインドビアの充填めっきの状態を示す光学金属顕微鏡写真である。
【図4】比較のためのプリント配線板の層構成及びブラインドビアの充填めっきの状態を示す光学金属顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るプリント配線板及びプリント配線板の製造方法についての実施の形態を順に説明する。
【0025】
1.プリント配線板
まず、本件発明に係るプリント配線板100について説明する。本件発明に係るプリント配線板100は、両面プリント配線板、或いは、導体パターンを3層以上有する多層プリント配線板である。本件発明に係るプリント配線板は、微細な配線パターンの形成が可能であるため、例えば、パッケージ基板、インターポーザ等と称される半導体素子搭載用のプリント配線板として好適に用いることができる。また、半導体素子搭載用のプリント配線板だけではなく、マザーボードや内層回路として用いてもよく、当該プリント配線板の用途に特に限定はない。また、以下において、図1に示す銅層10を構成する導体パターンと、導体層30を構成する導体パターンとを区別するために、銅層10を構成する導体パターンを配線パターン(図示略)と称し、導体層30を構成する導体パターンを回路パターン31と称する。
【0026】
まず、本件発明に係るプリント配線板100の構成を説明する。本件発明に係るプリント配線板100は、図1に示す通り、絶縁層20を介して、銅層10と導体層30とが、当該導体層30を底部とするフィルドビア40により層間接続された構成を有する。ここで、銅層10と導体層30とが層間接続されるとは、具体的には、銅層10を構成する配線パターンと、導体層30を構成する回線パターン31とが電気的に接続されることをいう。ここで、銅層10は、銅箔層11と、無電解銅めっき層12と、電解銅めっき層13とが順に積層された構成を有する。また、フィルドビア40は、導体層30を底部とし、銅層10と絶縁層20とを貫通する貫通孔(以下、ブラインド孔41という)の内壁面が無電解銅めっき層12により被覆されており、更に、ブラインド孔41の内部は、電解銅めっき層13の表面と同位置程度まで充填されている。ここで、「ブラインド孔41の内部は、電解銅めっき層13の表面と同位置程度まで充填されている」とは、ブラインド孔41の内部に充填された電解銅めっきの表面位置と、絶縁層20上に無電解銅めっき層12を介して形成された電解銅めっき層13の表面位置とが略一致し、両表面位置の深さ(厚さ)方向のズレが5μm以内であることをいう。本件発明に係るプリント配線板100は、主として、上記導体層30の下層に図示しない絶縁層20及び導体層を更に備えた多層プリント配線板100を例に挙げて説明するが、本件発明に係るプリント配線板100は両面プリント配線板であってもよいのは勿論である。以下、各層の構成及びフィルドビア40の構成について説明する。
【0027】
1−1 銅層
銅層10は、半導体素子が搭載される外層導体層であり、上述した通り、銅箔層11と、無電解銅めっき層12と、電解銅めっき層13とが順に積層された構成を有する。当該銅層10の合計厚さ(D)は、15μm以下に形成されている。ここで、銅層10の合計厚さ(D)とは、銅箔層11の層厚(D)と、無電解銅めっき層12の層厚(D)と、電解銅めっき層13の層厚(D)とを合計した合計厚さ(D=D+D+D)をいう。絶縁層20上に形成されたこれら各層から成る銅層10の合計厚さ(D)を15μm以下とすることにより、サブトラクティブ法によりピッチ幅40μm、或いは、配線パターンのライン/スペース幅(以下、L/S)が20μm/20μm以下の微細な配線パターンを形成することができる。微細な配線パターンを形成可能とするため、銅層10の合計厚さ(D)は、13μm以下であることが好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。後述する本件発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、銅層10の合計厚さ(D)を10μm以下にすることが可能であり、より微細な配線パターンの形成が可能である。但し、本件発明に係るプリント配線板100において、ピッチ幅40μm、或いは、L/S=20μm/20μmを超える配線パターンを形成してもよいのは勿論である。以下、銅層10を構成する各層について説明する。
【0028】
〈銅箔層〉
銅箔層11は、接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり、且つ、厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成されたものである。この無粗化銅箔を絶縁層20上に積層する際は、表面粗さ(Rzjis)が2μm以下の平滑な接着面を絶縁層20上に積層する。このように、平滑な接着面を有する無粗化銅箔を絶縁層20に積層することにより、粗化処理部分を完全に溶解するためのオーバーエッチングを不要にすることができ、トップ幅の減少を防止することができる。また、5μm以下の無粗化銅箔を用いることにより、ハーフエッチング工程を不要にすることができる。一方、5μmを超える厚さの銅箔を用いると、ハーフエッチング工程により、銅箔層11の厚みを削減する必要が生じる。この場合、銅箔層の面内バラツキが大きくなり、回路形成精度に影響を与えるため好ましくない。
【0029】
銅箔層11の層厚(D): ここで、本件発明において、銅箔層11の層厚(D)は特に規定しない。しかしながら、銅箔層11の層厚(D)と、無電解銅めっき層12の層厚(D)とを合計した厚さ(D+D)が3μm以下であることが好ましい。銅箔層11に無電解銅めっき層12を積層したときの厚み(D+D)が3μmを超える場合、銅層10の全厚み(D)を15μm以下に形成することが困難になる場合があるためである。このように極めて薄い無粗化銅箔を用いる場合、支持体(キャリア)が極薄無粗化銅箔の接着面の他面側に剥離可能に積層されたキャリア付無粗化銅箔を使用することが好ましい。キャリア付無粗化銅箔を用いることにより、絶縁層20上に無粗化銅箔を積層する際の取り扱い性が向上し、例えば、層厚が3μm以下の極薄銅箔についても好適に用いることができる
【0030】
プライマ樹脂層: また、当該銅箔層11と絶縁層20との良好な接着性を確保するために、上記積層体において、銅箔層11と絶縁層20との間にプライマ樹脂層を介在させることが好ましい。本件発明にいうプライマ樹脂層とは、絶縁性を有する樹脂組成物から成り、絶縁層20との良好な接着性を有する1μm〜5μmの厚さの層である。
ここで、プライマ樹脂層の形成方法としては、プライマ樹脂フィルムを用意して、絶縁層20上にプライマ樹脂フィルムを介して無粗化銅箔を積層し、熱間プレス加工等を行うことにより、絶縁層20と銅箔層11との間にプライマ樹脂層を形成することができる。当該方法に代えて、プライマ樹脂組成物を絶縁層20の表面に塗布してプライマ樹脂層を形成し、プライマ樹脂層上に銅箔を積層して、熱間プレス加工等を行う方法を採用してもよい。
しかしながら、無粗化銅箔の接着面にこれらの層が予め設けられたプライマ樹脂層付無粗化銅箔を用いることがより好ましい。プライマ樹脂層が予め無粗化銅箔の接着面に設けられていることにより、上記積層体を形成する際にこれらの層を形成するための工程を省くことができる。このようなプライマ樹脂層付無粗化銅箔として、例えば、三井金属鉱業株式会社製の「MultiFoil(登録商標)G(略称:MFG)」、日立化成工業株式会社製の「PF−E」等を用いることができる。これらのプライマ樹脂層付無粗化銅箔は、5μm以下の厚さの無粗化銅箔の接着面にプライマ樹脂層が設けられており、無粗化銅箔の接着面と反対側の面にはキャリアが設けられている。従って、無粗化銅箔の取り扱い性も良好であるほか、形成する銅箔層11の層厚(D)に応じて、適切な厚さの無粗化銅箔を選定することができる。
【0031】
〈無電解銅めっき層〉
無電解銅めっき層12は、銅箔層11の表面及び上記ブラインド孔41の内壁面に、無電解めっき法により形成された銅めっき層1である。ブラインド孔41の内壁面に無電解銅めっき層12を形成することにより、ブラインド孔41を電解銅めっきにより充填することが可能になる。当該無電解銅めっき層12自体の層厚(D)は特に規定しないが、上述した通り、上記銅箔層11の層厚(D)と、当該無電解銅めっき層12の層厚(D)とを合計したときの厚さ(D+D)が3μm以下になるように無電解銅めっき層12を形成することが好ましい。無電解銅めっき層12は、ブラインド孔41の内壁面に導通性を与える目的で設けられる層であるため、無電解銅めっき層の層厚(D)は、電解めっきの下地層として十分な厚みがあれば足り、0.5μm程度の厚みがあれば十分である。
【0032】
〈電解銅めっき層)
電解銅めっき層13は、絶縁層20上に設けられる銅層10の合計厚さ(D)が15μm以下となるように、無電解銅めっき層12上に形成された層である。また、当該電解銅めっき層13の形成とともに、ブラインド孔41の充填めっきが完了される。本件発明において、電解銅めっき層13自体の層厚(D)は特に規定していない。銅箔層11の層厚(D)と、無電解銅めっき層12の層厚(D)とに基づいて、銅層10の合計厚さ(D)が15μm以下になるように電解銅めっき層13を形成することで、上述した通り、サブトラクティブ法によりL/S=20μm/20μm以下の微細な配線パターンを形成することができるためである。
【0033】
ここで、「電解銅めっき層13は、絶縁層20上に設けられる銅層10の合計厚さ(D)が15μm以下となるように、無電解銅めっき層12上に形成された層である」とは、銅箔層11の層厚(D)と、無電解銅めっき層12の層厚(D)とを考慮した上で、無電解銅めっき層12の層厚(D)がD≦15−(D+D)以下になるように形成された電解銅めっき層13をいう。すなわち、本件発明に係る銅層10は、ハーフエッチング処理等により事後的に厚さが15μm以下になるように調整されたものではなく、電解銅めっき層13形成直後における銅層10の合計厚さ(D)が15μm以下となるように各層が形成されたことを意味する。ハーフエッチング処理等を不要にすることで、層厚の面内バラツキが大きくなるのを防止し、回路の形成精度を高く、得られる回路の信頼性を高くすることができ、歩留まりを向上することができる。
【0034】
〈フィルドビア)
フィルドビア40は、上述した通り、銅層10及び絶縁層20を貫通し、導体層30を構成する回路パターン31を底部とする非貫通孔であり、電解銅めっきにより、絶縁層20上に形成された電解銅めっき層13の表面と同位置程度まで充填されたものである。本件発明において、ブラインド孔41内の充填めっきは、絶縁層20上に設けられる銅層10の合計厚さが15μm以下となるように、前記無電解銅めっき層12の表面に電解銅めっき層13を形成すると共に完了されたものである。ブラインド孔41の孔径は、20μm〜120μm程度であることが好ましく、アスペクト比は、0.5〜1程度であることが好ましい。ブラインド孔41の孔径及びアスペクト比が上記範囲を逸脱すると、電解銅めっき層13を所定の厚さまで形成するまでの間に、電解銅めっき層の表面と同位置程度までブラインド孔41の充填を完了させにくくなる。その結果、絶縁層20上に形成する銅層10の合計厚さ(D)を厚くする必要性が生じる。
【0035】
本件発明では、絶縁層20上に形成される銅層10を15μm以下の層としているが、銅層10を構成する配線パターンと導体層30を構成する回路パターン31との間をブラインド孔41の孔内部に充填された電解銅めっきで電気的に接続する構成を採用しているため、銅層10と導体層30との間の層間接続を確実なものとすることができる。換言すれば、銅層10と導体層30との層間接続をフィルドビア40により行うことで、銅層10を構成する配線パターンと導体層30を構成する回路パターン31との間の電気的接続を確実にした上で、絶縁層20上に形成する銅層10の合計厚さ(D)を薄くすることが可能になる。これにより、サブトラクティブ法により回路を形成する場合でも、絶縁層20上に積層すべき銅層10の全厚みを薄くすることができるため、L/S=20μm/20μm以下の微細な配線パターンを形成することができる。
【0036】
1−2 絶縁層
次に、絶縁層20について説明する。本件発明において、絶縁層20を形成する材料について、特に規定はない。エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、BT樹脂、熱硬化性PPE樹脂等の絶縁性樹脂を主成分とするフィルム状の接着シート等を用いることができる。また、上記絶縁性樹脂をガラスクロスやアラミド樹脂の繊維からなる不織布等に含浸させたプリプレグ等を用いてもよい。さらに絶縁性樹脂は、無機フィラーを含むものであってもよい。無機フィラーを含むことにより、絶縁層20に剛性を与え、部品実装性を高めると共に、レーザーの加工性が向上する。また、導電層30上に、絶縁層20と、銅箔層11とを積層する際に、上記無粗化銅箔の接着面に樹脂層が予め設けられた樹脂付無粗化銅箔を用いてもよい。さらに、当該絶縁性樹脂を主成分とするワニス等を用いて、導体層30上にワニスを塗布して、塗布膜を形成し、乾燥、熱処理等の工程を経て形成されたものであってもよい。
【0037】
絶縁層20の層厚は、ブラインド孔41に充填めっきを行う観点から、形成する電解銅めっき層13の層厚(D)や、ブラインド孔41の孔径等に応じて定まる所定の範囲内であることが好ましい。具体的には、無電解銅めっき層12上に電解銅めっき層13の層厚(D)をD≦15−(D+D)の範囲で析出させるまでの間に、ブラインド孔41の充填めっきが完了可能な範囲の層厚であればよい。
【0038】
1−3 導体層
導体層30は、回路パターン31により構成された層であり、上述した通り、銅層10と層間接続される層である。例えば、回路パターン31が形成された、多層プリント配線板100の内層回路層が相当する。また、導体層30を構成する回路パターン31は、銅又は銅合金等の導電性材料を用いて形成されていればよく、その材料や層厚等について特に規定はない。なお、本件明細書においては、説明が複雑化することを防止するため、銅層10を構成する配線パターンと電気的に接続される部分を単に回路パターン31と称している。また、回路パターン31の形成方法や、回路パターン31のピッチ幅等についても、特に限定されるものではない。また、上述した通り、本件発明に係るプリント配線板100は、両面プリント配線板であってもよい。この場合、当該導体層30は、銅層10の他面側に形成された回路パターン31により構成された層に相当する。
【0039】
2. プリント配線板の製造方法
次に、本件発明に係るプリント配線板の製造方法について説明する。本件発明に係るプリント配線板の製造方法は、積層体形成工程と、ブラインド孔形成工程と、無電解銅めっき工程と、パネルめっき工程と、エッチングレジスト形成工程と、エッチング工程とを備えている。当該各工程を経ることにより、上述した本件発明に係るプリント配線板100を製造することができる。以下、工程順に説明する。
【0040】
2−1 積層体形成工程
本件発明に係る積層体形成工程は、導体層30と、絶縁層20と、接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成された銅箔層11とを積層した積層体を形成する工程である。ここでは、まず、導体層30が多層プリント配線板の内層回路層である場合について説明する。
【0041】
絶縁層20の形成に上記絶縁性樹脂を主成分とする接着シート、或いは、プリプレグを使用する場合、上記導体層30の上面に、当該接着シート、或いは、プリプレグと、上記無粗化銅箔とを積層して、熱間プレス加工、或いは真空ラミネート加工等を行うことにより、導体層30と無粗化銅箔とが絶縁層20に接着され、上記積層体を形成することができる。また、導体層30上に、絶縁性樹脂を主成分とするワニスを塗布して、塗布膜を形成し、乾燥、熱処理等の工程を経て絶縁層20を形成する場合、この絶縁層20上に上記無粗化銅箔を積層して、熱間プレス加工を行うことにより、上記積層体を形成することができる。但し、絶縁層と無粗化銅箔との積層方法について、特に限定はなく、適宜、適切な方法により行えばよい。
【0042】
また、当該プリント配線板100が両面プリント配線板である場合、公知の銅張積層板の製造方法を用いて、絶縁性基板の少なくとも一方の面に、接着面(張り合わせ面)の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を張り合わせて、他面側には適宜任意の銅箔を張り合わせることにより、絶縁層20を介して銅箔層11と導体層30とが積層した構成を有する上記積層体を形成することができる。その後、銅箔層11に配線パターンを形成する際に、導体層30についても同様の手法で回路パターン31を形成することができる。すなわち、公知の両面プリント配線板の製造方法を用いて、導体層30に回路パターン31を形成することができる。
【0043】
また、当該導体層30は、転写法により回路パターン31が形成されたものでもよい。この場合、例えば、ステンレス板などから成る支持体の上に電解銅めっき法により回路パターン31を形成、あるいは、特殊なシートなどから成る支持体に積層された銅箔をエッチングするなどして回路パターン31を形成したものであってもよい。この場合、支持体は、適宜、適切な段階で除去すればよい。
【0044】
上記いずれの方法を採用する場合であっても、絶縁層20と、銅箔層11との良好な密着性を得るために、上述した層厚が1μm〜5μmのプライマ樹脂層が無粗化銅箔の接着面に積層されたプライマ樹脂層付無粗化銅箔を用いることが好ましい。また、極薄無粗化銅箔を絶縁層20上に積層する際の取り扱い性を向上するため、キャリア付無粗化銅箔を用いることが好ましい。
【0045】
また、銅箔層11は、無電解銅めっき工程に到るまでの間に、その表面に対して各種の前処理(黒化処理、ソフトエッチング処理等)が施される。これらの前処理において、銅箔層11の厚みが微量に削減されることを考慮した上で、適宜、銅箔層11形成時に用いる無粗化銅箔の厚さを選定すればよい。
【0046】
2−2 ブラインド孔形成工程
次に、ブラインド孔形成工程について説明する。ブラインド孔形成工程は、上記積層体形成工程において形成された積層体に対して、銅箔層11側から、導体層30を底部とするブラインド孔41を形成する工程である。ブラインド孔41は、レーザー加工により形成する。このとき、必要に応じて、レーザーによるブラインド孔41の形成を容易にするため、孔開け前に銅箔層11に黒化処理を施してもよい。例えば、上記積層体の銅箔層11側から、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を照射することにより、銅箔層11及び絶縁層20を貫通し、導体層30に形成された回路パターン31を底部とするブラインド孔41を形成することができる。なお、次の無電解銅めっき工程に先立って、ブラインド孔41を形成した後、ブラインド孔41内に残留した樹脂スミアを除去するデスミア処理や、銅箔層11表面の酸化物を除去するソフトエッチング処理を行ってもよい。
【0047】
2−3 無電解銅めっき工程
無電解銅めっき工程は、絶縁層20上に積層された銅箔層11の表面及び上記ブラインド孔41の内壁面上に無電解銅めっき層12を形成する工程である。無電解銅めっき工程では、まず、前処理として、例えば、プリディップし、パラジウム(Pd)、すず(Sn)コロイド溶液からなるキャタリストで触媒(Pd−Sn)を銅箔層11の表面及びブラインド孔41の内壁面に付着させる。そして、アクセレータ液ですずを除去し、銅箔層11の表面及びブラインド孔41の内壁面に無電解銅めっきを行うためのパラジウムを核付けする。そして、ロシェル塩タイプの無電解銅めっき液、EDTAタイプの無電解銅めっき液等、公知の無電解銅めっき液を適宜調製し、銅箔層11の表面及びブラインド孔41の内壁面に無電解銅めっき層12を形成する。このときに析出させる無電解銅めっき層12の層厚(D)は上述した通りである。当該無電解銅めっき工程により、ブラインド孔41の内壁面に導通性を与えることができ、次工程である電解銅めっき法によるブラインド孔41の充填めっきが可能になる。
【0048】
2−4 パネルめっき工程
パネルめっき工程は、絶縁層20上に設けられる銅層10の合計厚さ(D)が15μm以下となるように、無電解銅めっき層12の表面に電解銅めっき層13を形成すると共に、当該電解銅めっき層13の表面と同位置程度までブラインド孔41の充填めっきを完了する工程である。ここで、絶縁層20上に設けられる銅層10の合計厚さ(D)とは、上述した通り、絶縁層20上に設けられる銅箔層11の層厚(D)と、この銅箔層11上に形成された無電解銅めっき層12の層厚(D)と、この無電解銅めっき層12上に形成される電解銅めっき層13の層厚(D)とを合計した銅層10の合計厚さ(D)を指す。従って、パネルめっき工程において、電解銅めっき層13の層厚(D)が、D≦15−(D+D)になるように電解銅めっきを無電解銅めっき層12上に析出させる。パネルめっき工程においては、電解銅めっき層13の層厚(D)が、D≦15−(D+D)になるように電解銅めっきを無電解銅めっき層12上に析出させると共に、ブラインド孔41の充填めっきを完了させる。
【0049】
パネルめっき工程では、フィリング性を高めた電解銅めっき液を用いて、パネルめっきを行う。本件発明では、パネルめっき工程において、ブラインド孔41の充填を行うとともに、絶縁層20上に無電解銅めっき層12を介して電解銅めっき層13を薄く形成する必要がある。従って、フィリング性の高い電解銅めっき液を採用することにより、電解銅めっき層13の層厚(D)が、D≦15−(D+D)になるまで銅めっき析出させると共に、図2に示すように電解銅めっき層13の表面と同位置程度までブラインド孔41を充填することができる。但し、図2は、光学金属顕微鏡を用いて本件発明に係るプリント配線板100の層構造の断面を撮影した写真である。図2示す積層体では、銅箔層11の層厚(D)は、1.5μmであり、無電解銅めっき層12の層厚(D)は、0.5μm程度であり、電解銅めっき層13の層厚(D)は10μmである。このとき銅箔層11は、プライマ樹脂層付銅箔(Rzjis=1.3μm)(三井金属鉱業株式会社製のMFG−MT)を用いて形成した。
【0050】
本件発明では、層間接続構造として、フィルドビア40のみを採用することにより、層間接続構造としてスルーホールを採用した場合、或いは、層間接続構造としてフィルドビアと共にスルーホールを併用する場合と比して、電解銅めっき液の均一電着性(スローイングパワー)を低下させ、フィリング性に特化した電解銅めっき液を採用することができる。これにより、電解銅めっき層13の層厚を薄く形成する場合であっても、ブラインド孔41を電解銅めっき層13の表面と少なくとも同位置程度まで充填を完了させることができる。これにより、銅層10と、導体層30との層間接続を確実なものとすると共に、絶縁層20上の銅層10を15μm以下に形成することができる。従って、電解銅めっき層13形成後のハーフエッチング工程を不要にすることができるため、ハーフエッチングにより生じる銅層10の層厚の面内バラツキが大きくなるのを防止し、回路の形成精度を高く、得られる回路の信頼性を高くすることができる。
【0051】
ここで、比較のために、図3に、通常のビアフィル用の電解銅めっき液により、無電解銅めっき層12上に電解銅めっき層13の層厚が10μmになるようにしてパネルめっき工程を行ったときのブラインド孔内の充填めっきの状態を示す。図3は、電解銅めっき液を変えた以外は、図2に示すプリント配線板100と同様にして製造されたものである。図3に示すように、通常のビアフィル用の電解銅めっき液を採用した場合は、ブラインド孔41の充填めっきが不十分であり、当該フィルドビアの上面は電解銅めっき層13の表面位置よりも大きく凹み、絶縁層20の上面位置にも達していないことが分かる。
【0052】
また、比較のために、図4に、通常のビアフィル用の電解銅めっき液を用いて、層間接続に問題の無い程度までブラインド孔41を充填したときの、電解銅めっき層13及びブラインド孔41に施された充填めっきの状態を示す。このとき、電解銅めっき層13の層厚は25μmであった。なお、図4に示すプリント配線板100では、銅箔層11を厚さが12μmの汎用の電解銅箔を用いて形成したものである。
【0053】
以上の様に、本件発明では、パネルめっき工程において、フィリング性を高めた電解銅めっき液を採用することにより、無電解銅めっき層12上に上述の範囲(D≦15−(D+D))で電解銅めっき層13を析出させると共に、当該電解銅めっき層13の表面と同位置程度までブラインド孔41の電解銅めっきによる充填を完了することができる。なお、電解銅めっき液として、例えば、硫酸銅めっき液が挙げられる。ここで、通常の電解銅めっき液では、スローイングパワーを得るために、硫酸銅及び硫酸に、電着反応を抑制するための高分子界面活性剤などが添加されている。しかしながら、本件発明では、スローイングパワーよりもフィリング性を重視するため、例えば、電着反応を抑制するための添加剤の添加量を減らし、電着速度を促進するための添加剤や、レベリング剤などのレベリング性を向上するための添加剤等のフィリング性を向上するための添加剤の量を増加させる等、電解銅めっき液の配合を調整することによりフィリング性を高めた電解銅めっき液を採用する。
【0054】
2−5 エッチングレジスト形成工程
エッチングレジスト形成工程は、以上の様にして形成された銅層10の表面に厚さが15μm以下のエッチングレジスト層を形成する工程である。銅層10の表面に形成するエッチングレジスト層の厚さが15μmを超えると、銅層10の厚みが15μm以下であっても、L/S=20μm/20μm以下の微細な配線パターンをエッチング処理により形成するのが困難になる。解像度が悪くなり、エッチング液の液回りが悪くなるためである。また、配線パターンを良好なエッチングファクターで形成するためには、エッチングレジスト層の厚さは10μm以下であることがより好ましい。
【0055】
当該エッチングレジスト形成工程において、ドライフィルムを用いて外層回路に形成される配線パターンに応じてエッチングレジスト層を形成することができる。ドライフィルムを用いることにより、エッチングレジスト層を簡易に形成することができ、コストを低減することができる。但し、液状レジストを用いて当該エッチングレジスト層を形成してもよいのは勿論である。液状レジストを用いることにより、エッチングレジスト層の厚みを低減することができ、更に高精細な配線パターンの形成を行うことも可能であるが、新たな設備を必要とするため、ドライフィルムを用いることが好ましい。
【0056】
2−6 エッチング工程
エッチング工程では、上記銅層10に対してエッチング処理を施し、外層回路を成す配線パターンを形成する。このとき、銅層10を上述のように形成することにより、L/S=20μm/20μm以下の配線パターンを形成することが可能となる。但し、L/S=20μm/20μmを超える配線パターンの形成が可能であるのは勿論である。
【0057】
以上、説明したように、本件発明によれば、サブトラクティブ法により、特殊な設備等を導入することなく、L/S=20μm/20μ以下の微細な配線パターンを低コストで、且つ、歩留良く生産することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本件発明によれば、サブトラクティブ法により、特殊な設備等を導入することなく、L/S=20μm/20μ以下の微細な配線パターンを低コストで、且つ、歩留良く生産することができる。従って、半導体が搭載されるパッケージ基板等の軽薄短小化をより進行することができる。また、特殊な設備等を導入することなく、パッケージ基板の製造を行うことができるため、当該分野への新規参入が容易になり、技術の裾野を広げることができる。
【符号の説明】
【0059】
10・・・銅層
11・・・銅箔層
12・・・無電解銅めっき層
13・・・電解銅めっき層
20・・・絶縁層
30・・・導体層
100・・・プリント配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を介して、接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成された銅箔層と、導体層とを積層した構成を備える積層体を形成する積層体形成工程と、
当該積層体に対して、当該銅箔層と絶縁層とを貫通し、前記導体層を底部とするブラインド孔を形成するブラインド孔形成工程と、
当該銅箔層の表面及び当該ブラインド孔の内壁面上に無電解銅めっき層を形成する無電解銅めっき工程と、
絶縁層上に設けられる銅層の合計厚さが15μm以下になるように、前記無電解銅めっき層の表面に電解銅めっき層を形成すると共に、当該電解銅めっき層の表面と同位置程度までブラインド孔を充填するパネルめっき工程と、
当該銅層の表面に、厚さが15μm以下のエッチングレジスト層を形成するエッチングレジスト形成工程と、
エッチングレジスト層形成後の銅層をエッチングし、配線パターンを形成するエッチング工程と、
を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記無電解銅めっき工程において、前記無電解銅めっき後の前記無粗化銅箔層の層厚と前記無電解銅めっき層の層厚とを合計したときの厚さが3μm以下である請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング工程において形成する配線パターンがL/S=20μm/20μm以下である請求項1又は請求項2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記積層体形成工程において、前記絶縁層を介して、前記無粗化銅箔と前記導体層とを積層する際に、前記無粗化銅箔の接着面に、前記絶縁層との接着性を確保するためのプライマ樹脂層を備えたプライマ樹脂層付無粗化銅箔を用いる請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
絶縁層を介して、銅層と、導体層とが、当該導体層を底部とするフィルドビアにより層間接続されたプリント配線板であって、
当該銅層は接着面の表面粗さ(Rzjis)が2μm以下であり且つ厚さが5μm以下の無粗化銅箔を用いて形成された銅箔層、無電解銅めっき層及び電解銅めっき層を順に積層した構成を備えるものであり、
前記電解銅めっき層は、パネルめっき法により、絶縁層上に設けられる銅層の合計厚さ(D)が15μm以下になるように、前記無電解銅めっき層の表面に形成されたものであり、
前記フィルドビアは、前記電解銅めっき層が形成されると共に、前記電解銅めっき層の表面と同位置程度まで電解銅めっきによる充填が完了したものであることを特徴とするプリント配線板。
【請求項6】
前記銅層において、前記無粗化銅箔層の層厚と、前記無電解銅めっき層の層厚とを合計したときの厚さが3μm以下である請求項5に記載のプリント配線板。
【請求項7】
前記銅層に形成された配線パターンは、L/S=20μm/20μm以下である請求項5又は請求項6に記載のプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−38772(P2012−38772A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174676(P2010−174676)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】