説明

プリント配線板の製造方法

【課題】表面側と裏面側とを電気的に接続して両面間に大電流を流すことができるプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】第1突出部21と第1嵌合部23とを有する表面側回路パターン20を形成し、第2突出部41と第2嵌合部43とを有する裏面側回路パターン40を形成する。そして、第1突出部21および第2突出部41をプリプレグ30aの挿入穴31に対して異なる方向から挿入して対向させるとともに両嵌合部23,43を近接させる。そして、表面側回路パターン20の反絶縁層側および裏面側回路パターン40の反絶縁層側をプレスにより加圧することで両嵌合部23,43を液密的に嵌合させるとともに両突出部21,41を接触させた状態で両回路パターン20,40および絶縁層30を積層する。そして、第1突出部21および第2突出部41を電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車、ハイブリッド自動車の高出力モータの制御基板等の大電流対応基板に好適に用いることができるプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド自動車の高出力モータの制御基板等の大電流対応基板に好適に用いることができるプリント配線板に関する技術として、下記特許文献1に示すプリント配線基板の製造方法が知られている。このプリント配線基板の製造方法では、両面に配線パターンを形成するための銅箔がそれぞれ設けられた基材に対して貫通孔を設け、この貫通孔に導電性ペーストを充填・硬化することで当該導電性ペーストを介して両面の銅箔を電気的に接続して層間導通を取っている。
【0003】
また、下記特許文献2に示す多層積層配線板では、絶縁基板の表裏面間に電気的導通を確立するために貫通孔が形成されており、この貫通孔内に導電性金属片を存在させることにより、絶縁基板の表面に形成された配線パターンと裏面に形成された配線パターンとを電気的に接続している。この導電性金属片は、絶縁基板の表面に導電性金属箔を載置しポンチを用いて導電性金属箔と絶縁基板とを同時にパンチングすることで形成される貫通孔内の導電性金属箔により形成されている。
【0004】
また、下記特許文献3に示す配線基板の製造方法では、一方のリードフレームの配線パターンに層間接続部を形成するとともに、他方のリードフレームの配線パターンのうち上記層間接続部が接合される部分にはんだを印刷する。そして、層間接続部がはんだを介して他方の配線パターンの下面に接合するように、両リードフレームを重ね合わせて熱処理する。これにより、両リードフレームの配線パターンを層間接続部を介して電気的に相互接続して層間導通を取っている。
【0005】
また、下記特許文献3に示す配線基板の製造方法では、銅ボールの表面にはんだ層が被覆された構造の導電性ボールを用意し、一方のリードフレームの配線パターンの凹部に導電性ボールを配置した後に、熱処理することにより、導電性ボールのはんだ層を一方の配線パターンに接合させる。そして、導電性ボールが他方の配線パターンの下面に接合するように、両リードフレームを重ね合わせて熱処理する。これにより、両リードフレームの配線パターンを導電性ボールを介して電気的に相互接続して層間導通を取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−074640号公報
【特許文献2】特開2005−243911号公報
【特許文献3】特開2008−182163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の発明のように、層間導通を取るためにパターン以外の部材(導電性ペースト、金属片、はんだ、導電性ボールなど)を用意する必要があることから別工程が必要となり製造コスト低減の障害となる。また、銅製のパターン間の層間導通を取るために導電性ペースト等を使用すると、パターンよりも電気抵抗が大きいことから損失や発熱という問題も発生してしまう。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、表面側と裏面側とを電気的に接続して両面間に大電流を流すことができるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1のプリント配線板の製造方法では、表面側回路パターンおよび裏面側回路パターンを樹脂が含浸された絶縁層を介在させて製造されるプリント配線板の製造方法であって、有底筒状に突出する第1突出部とこの第1突出部の突出側外縁に沿い環状に設けられる第1嵌合部とを有する前記表面側回路パターンを形成する第1工程と、有底筒状に突出する第2突出部とこの第2突出部の突出側外縁に沿い環状に設けられて前記第1嵌合部に対して液密的に嵌合可能な第2嵌合部とを有する前記裏面側回路パターンを形成する第2工程と、前記第1突出部および前記第2突出部を前記絶縁層に設けられる挿入穴に対して異なる方向から挿入して対向させるとともに前記第1嵌合部および前記第2嵌合部を近接させる第3工程と、前記表面側回路パターンの反絶縁層側および前記裏面側回路パターンの反絶縁層側をプレスにより加圧することで前記第1嵌合部および前記第2嵌合部を液密的に嵌合させるとともに前記第1突出部および前記第2突出部を接触させた状態で前記両回路パターンおよび前記絶縁層を積層する第4工程と、前記第1突出部および前記第2突出部を電気的に接続する第5工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1工程は、前記第1突出部および前記第1嵌合部の成形を前記表面側回路パターンにおけるパターン成形と同時に行うことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第2工程は、前記第2突出部および前記第2嵌合部の成形を前記裏面側回路パターンにおけるパターン成形と同時に行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記表面側回路パターンの前記反絶縁層側には前記第1嵌合部が投影される位置に環状に突出する第1突起が形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記裏面側回路パターンの前記反絶縁層側には前記第2嵌合部が投影される位置に環状に突出する第2突起が形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1嵌合部および前記第2嵌合部の少なくともいずれか一方は、他方との嵌合時に加圧方向に塑性変形して嵌合することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1嵌合部および前記第2嵌合部のうち、一方は加圧方向に切断した断面が凹状に形成されるとともに、他方はこの凹部に嵌合するように凸状に形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1嵌合部および前記第2嵌合部のいずれか一方は、他方に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1嵌合部は、前記第1突出部近傍の前記表面側回路パターンに円環状に形成されるとともに、前記第2嵌合部は、前記第2突出部の突出側外縁から円環状に突出して前記第1嵌合部に対して液密的に嵌合可能に形成されることを特徴とする。なお、両嵌合部のうち一方が略平面状であって当該一方に他方が液密的に当接した状態も嵌合した状態に含めるものとする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第2嵌合部は、前記第2突出部近傍の前記裏面側回路パターンに円環状に形成されるとともに、前記第1嵌合部は、前記第1突出部の突出側外縁から円環状に突出して前記第2嵌合部に対して液密的に嵌合可能に形成されることを特徴とする。なお、両嵌合部のうち一方が略平面状であって当該一方に他方が液密的に当接した状態も嵌合した状態に含めるものとする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1突出部および前記第2突出部の底部には1または2以上の貫通穴が形成されることを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、請求項11に記載のプリント配線板の製造方法において、前記第1突出部の底部に形成される前記貫通穴と前記第2突出部の底部に形成される前記貫通穴とが連通することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明では、第1工程により、有底筒状に突出する第1突出部とこの第1突出部の突出側外縁に沿い環状に設けられる第1嵌合部とを有する表面側回路パターンを形成する。そして、第2工程により、有底筒状に突出する第2突出部とこの第2突出部の突出側外縁に沿い環状に設けられて第1嵌合部に対して液密的に嵌合可能な第2嵌合部とを有する裏面側回路パターンを形成する。そして、第3工程により、第1突出部および第2突出部を絶縁層に設けられる挿入穴に対して異なる方向から挿入して対向させるとともに第1嵌合部および第2嵌合部を近接させる。そして、第4工程により、表面側回路パターンの反絶縁層側および裏面側回路パターンの反絶縁層側をプレスにより加圧することで第1嵌合部および第2嵌合部を液密的に嵌合させるとともに第1突出部および第2突出部を接触させた状態で両回路パターンおよび絶縁層を積層する。そして、第5工程により、第1突出部および第2突出部を例えばスポット溶接、抵抗溶接や超音波溶接等で電気的に接続する。
【0022】
これにより、表面側回路パターンおよび裏面側回路パターンは、抵抗値の大きな接続部材を使用することなく、第1突出部および第2突出部を介して電気的に接続されることとなるので、両突出部の板厚等に応じて両回路パターン間に大電流を流すことができる。特に、第1嵌合部および第2嵌合部は第1突出部および第2突出部の接触部を囲うように突出側外縁に沿い環状に形成されているため、プレスにより両回路パターンを介して加圧される絶縁層から樹脂等が流出する場合でも、両嵌合部が液密的に嵌合して両突出部の接触部への樹脂等の流入が抑制されるので、これら両突出部を確実に接続することができる。
したがって、表面側と裏面側とを電気的に接続して両面間に大電流を流し得るプリント配線板を製造することができる。
【0023】
請求項2の発明では、第1工程は、第1突出部および第1嵌合部の成形を表面側回路パターンにおけるパターン成形と同時に行うので、各部位を個別に成形する場合と比較して、製造コストを低減することができる。
【0024】
請求項3の発明では、第2工程は、第2突出部および第2嵌合部の成形を裏面側回路パターンにおけるパターン成形と同時に行うので、各部位を個別に成形する場合と比較して、製造コストを低減することができる。
【0025】
請求項4の発明では、表面側回路パターンの反絶縁層側には第1嵌合部が投影される位置に環状に突出する第1突起が形成されるため、プレス時には第1突起を基点として第1突出部が加圧方向すなわち裏面側回路パターン方向に確実に押圧されるので、第1嵌合部を第2嵌合部に確実に嵌合することができる。さらに、プレス時には第1突起がプレスの金型等に直接的に押圧されるので、樹脂等が環状の第1突起を超えて第1突出部の内周側に流入することを抑制することができる。
【0026】
請求項5の発明では、裏面側回路パターンの反絶縁層側には第2嵌合部が投影される位置に環状に突出する第2突起が形成されるため、プレス時には第2突起を基点として第2突出部が加圧方向すなわち表面側回路パターン方向に確実に押圧されるので、第2嵌合部を第1嵌合部に確実に嵌合することができる。さらに、プレス時には第2突起がプレスの金型等に直接的に押圧されるので、樹脂等が環状の第2突起を超えて第2突出部の内周側に流入することを抑制することができる。
【0027】
請求項6の発明では、第1嵌合部および第2嵌合部の少なくともいずれか一方は他方との嵌合時に加圧方向に塑性変形して嵌合するため、当該嵌合部がプレスによる加圧に応じて例えば潰れるように塑性変形することで、両嵌合部が隙間なく確実に液密的に嵌合する。さらに、上記嵌合部の塑性変形に応じて両回路パターンにおける両突出部近傍の反絶縁層側とプレスの金型等とが確実に押し付けられるので、プレスによる加圧を両回路パターンに確実に作用させることができる。
【0028】
請求項7の発明では、第1嵌合部および第2嵌合部のうち、一方は加圧方向に切断した断面が凹状に形成されるとともに、他方はこの凹部に嵌合するように凸状に形成されるため、両嵌合部が嵌合しやすくなるだけでなく嵌合時に両嵌合部が互いに接触する面積が広くなる。これにより、両嵌合部間を介する第1突出部と第2突出部との間への樹脂等の流入を確実に抑制することができる。
【0029】
請求項8の発明では、第1嵌合部および第2嵌合部のいずれか一方は、他方に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されるため、プレス時にこの傾斜面に他方が案内されて両嵌合部が嵌合することとなり、両嵌合部を確実に嵌合させることができる。
【0030】
請求項9の発明では、第1嵌合部は、第1突出部近傍の表面側回路パターンに円環状に形成されるとともに、第2嵌合部は、第2突出部の突出側外縁から円環状に突出して第1嵌合部に対して液密的に嵌合可能に形成されている。このように、両嵌合部が両突出部の端面近傍でなく第1突出部近傍の表面側回路パターンにて嵌合することにより、絶縁層からの樹脂等が両突出部の接触部に流出するためには、両嵌合部の嵌合部位間と第1突出部の外周および第2嵌合部の内周間とを通り抜ける必要があるので、確実に両突出部の接触部への樹脂等の流入を抑制することができる。
【0031】
請求項10の発明では、第2嵌合部は、第2突出部近傍の裏面側回路パターンに円環状に形成されるとともに、第1嵌合部は、第1突出部の突出側外縁から円環状に突出して第2嵌合部に対して液密的に嵌合可能に形成されている。このように、両嵌合部が両突出部の端面近傍でなく第2突出部近傍の裏面側回路パターンにて嵌合することにより、絶縁層からの樹脂等が両突出部の接触部に流出するためには、両嵌合部の嵌合部位間と第2突出部の外周および第1嵌合部の内周間とを通り抜ける必要があるので、確実に両突出部の接触部への樹脂等の流入を抑制することができる。
【0032】
請求項11の発明では、第1突出部および第2突出部の底部には1または2以上の貫通穴が形成されるため、当該貫通穴がエアー抜き穴として作用することで、プレス時に第1突出部および第2突出部を接触させる際の両突出部間の空気を確実に放出することができる。
【0033】
請求項12の発明では、第1突出部の底部に形成される貫通穴と第2突出部の底部に形成される貫通穴とが連通するため、仮に樹脂等が両嵌合部間を超えて両突出部間に流入すると貫通穴が塞がれることとなるので、貫通穴が塞がれているか否かを視認するだけで樹脂等が両突出部間に流入していないことを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係るプリント配線板10の正面図であり、図1(B)は、図1(A)の1B−1B線に沿う断面図である。
【図2】第1実施形態に係るプリント配線板10の製造工程の一部を示す工程図である。
【図3】第1実施形態に係るプリント配線板10の製造工程の一部を示す工程図である。
【図4】第2実施形態に係る表面側回路パターン20と裏面側回路パターン40との関係を示す断面図であり、図4(A)はプレス前の状態を示し、図4(B)はプレス後の状態を示す。
【図5】第3実施形態に係る表面側回路パターン20aと裏面側回路パターン40aとの関係を示す断面図であり、図5(A)はプレス前の状態を示し、図5(B)はプレス後の状態を示す。
【図6】第4実施形態に係る両回路パターン20b,40bとプリプレグ30bとの関係を示す断面図であり、図6(A)はプレス前の状態を示し、図6(B)はプレス後の状態を示す。
【図7】第5実施形態に係る表面側回路パターン20cと裏面側回路パターン40cとの関係を示す断面図であり、図7(A)はプレス前の状態を示し、図7(B)はプレス後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法について、図1〜図3を参照して説明する。
図1(A),(B)に示すように、プリント配線板10は、絶縁層30に対して板状の表面側回路パターン20および裏面側回路パターン40が上面側および下面側から積層されて構成されている。
【0036】
表面側回路パターン20および裏面側回路パターン40は、厚さが例えば0.5〜2.0mmの銅板に所定のパターンを打ち抜きプレス加工して構成されている。本第1実施形態では、大電流(例えば50〜180A)に対応可能な両回路パターンとして金属箔では無く所定の板厚の金属板が採用されている。ここで、本第1実施形態で定義する金属板とは打ち抜き加工が可能で、テンション等の外力を加えることなく形状の維持可能な厚みの板状体を意味し、エッチング加工を行う自ら形状を維持し得ない金属箔を除く概念である。
【0037】
表面側回路パターン20には、有底筒状に突出する第1突出部21が形成されており、裏面側回路パターン40には、有底筒状に突出する第2突出部41が形成されている。そして、両突出部21,41が絶縁層30に設けられる挿入穴31に対して異なる方向から挿入して第1突出部21の端面21aと第2突出部41の端面41aとが電気的に接続されることで、両回路パターン20,40の層間導通が取られている。
【0038】
また、両突出部21,41の底部には互いに連通する貫通穴22,42がそれぞれ4個設けられている。各貫通穴22,42は、例えば、両突出部21,41の内周壁の径の5mmに対して直径が0.5mmとなるように設定されており、製造時にエアー抜き穴として機能するとともに、樹脂流入を視認するための穴として機能するものである。
【0039】
絶縁層30は、ガラスクロス等の芯材にエポキシ等の樹脂を含浸させたプリプレグ30aを硬化させて構成されており、その厚さが例えば0.5〜4.0mmに設定されている。
【0040】
次に、本第1実施形態のプリント配線板10の製造工程について、図2および図3を参照して説明する。
まず、素材となる所定の形状の銅板を用意し、図2(A)に示すように、上述した第1突出部21および各貫通穴22と、第1嵌合部23と、第1突起24とを有する表面側回路パターン20を所定のパターンに応じてプレス加工等により形成する。なお、図2(A)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第1工程」の一例に相当する。
【0041】
ここで、第1嵌合部23は、加圧方向に切断した断面が凹状として例えば断面逆V字状になるように第1突出部21の突出側外縁に沿い環状に形成されており、後述する第2嵌合部43との嵌合時に潰れるなどして塑性変形するように構成されている。また、第1突起24は、表面側回路パターン20の反絶縁層側にて第1嵌合部23が投影される位置に環状に突出するように形成されている。なお、第1突起24は、例えば、幅寸法が0.5mm、高さ寸法が0.2mmに設定されている。
【0042】
ここで、図2(A)に示す工程では、上記所定のパターンとともに第1突出部21、各貫通穴22、第1嵌合部23および第1突起24が同時に成形されている。これにより、各部位を個別に成形する場合と比較して、製造コストを低減することができる。
【0043】
次に、素材となる所定の形状の銅板を用意し、図2(B)に示すように、上述した第2突出部41および各貫通穴42と、第2嵌合部43と、第2突起44とを有する裏面側回路パターン40を所定のパターンに応じてプレス加工等により形成する。なお、図2(B)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第2工程」の一例に相当する。
【0044】
ここで、第2嵌合部43は、第1嵌合部23の凹部に嵌合可能な凸状であって第2突出部41の突出側外縁に沿い環状に形成されており、上述した第1嵌合部23との嵌合時に潰れるなどして塑性変形するように構成されている。また、第2突起44は、裏面側回路パターン40の反絶縁層側にて第2嵌合部43が投影される位置に環状に突出するように形成されている。なお、第2突起44は、例えば、幅寸法が0.5mm、高さ寸法が0.2mmに設定されている。
【0045】
ここで、図2(B)に示す工程では、上記所定のパターンとともに第2突出部41、各貫通穴42、第2嵌合部43および第2突起44が同時に成形されている。各部位を個別に成形する場合と比較して、製造コストを低減することができる。
【0046】
次に、図2(C)に示すように、挿入穴31が形成されたプリプレグ30aを用意し、第1突出部21および第2突出部41を挿入穴31に対してそれぞれ異なる方向から挿入して端面21aおよび端面41aを対向させるとともに第1嵌合部23および第2嵌合部43を互いに近接させる。なお、図2(C)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第3工程」の一例に相当する。
【0047】
次に、図3(D)に示すように、表面側回路パターン20の反絶縁層側および裏面側回路パターン40の反絶縁層側を剥離紙51を介して上型50Uおよび下型50Dを用いてプレス等により加圧・加熱する。これにより、プリプレグ30aを熱硬化して絶縁層30を形成する。また、第1嵌合部23および第2嵌合部43を加圧方向に塑性変形させることで液密的に嵌合させるとともに第1突出部21の端面21aおよび第2突出部41の端面41aを接触させる。このような状態で両回路パターン20,40および絶縁層30が積層されることとなる。このとき、第1突出部21の底部に形成される各貫通穴22と第2突出部41の底部に形成される各貫通穴42とがそれぞれ連通する。なお、図3(D)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第4工程」の一例に相当する。
【0048】
このとき、第1嵌合部23および第2嵌合部43は端面21aおよび端面41aの接触部を囲うように突出側外縁に沿い環状に形成されているため、プレス等により両回路パターン20,40を介して加圧・加熱されるプリプレグ30aから樹脂等が流出する場合でも、両嵌合部23,43が液密的に嵌合して両突出部21,41の接触部への樹脂等の流入が抑制される。
【0049】
また、第1嵌合部23および第2嵌合部43は嵌合時に加圧方向に塑性変形して嵌合するため、両嵌合部23,43がプレス等による加圧に応じて潰れるなどして塑性変形することで、両嵌合部23,43が隙間なく確実に液密的に嵌合する。さらに、両嵌合部23,43の塑性変形に応じて両回路パターン20,40における両突出部21,41近傍の反絶縁層側と上型50Uおよび下型50Dとが確実に押し付けられるので、プレスによる加圧を両回路パターン20,40に確実に作用させることができる。
【0050】
また、第1嵌合部23は加圧方向に切断した断面が凹状に形成されるとともに、第2嵌合部43はこの凹部に嵌合するように凸状に形成されるため、両嵌合部23,43が嵌合しやすくなるだけでなく嵌合時に両嵌合部23,43が互いに接触する面積が広くなる。これにより、両嵌合部間を介する第1突出部21と第2突出部41との間への樹脂等の流入を確実に抑制することができる。
【0051】
また、プレス時には上型50Uおよび下型50Dにより第1突起24および第2突起44をそれぞれ基点として第1突出部21および第2突出部41が加圧方向に確実に押圧されるので、第1嵌合部23および第2嵌合部43を確実に嵌合することができる。さらに、プレス時には第1突起24および第2突起44が上型50Uおよび下型50Dに直接的に押圧されるので、上型50Uおよび下型50D近傍の樹脂等が環状の両突起24,44を超えて第1突出部21および第2突出部41の内周側に流入することを抑制することができる。
【0052】
また、各貫通穴22,42がエアー抜き穴として作用するので、プレス時に第1突出部21および第2突出部41の端面21aおよび端面41aを接触させる際の両突出部間の空気を確実に放出することができる。
【0053】
次に、図3(E)に示すように、第1突出部21および第2突出部41を電極60を用いてスポット溶接等により電気的に接続する。これにより、図1に示すプリント配線板10が完成する。なお、第1突出部21および第2突出部41は、スポット溶接により電気的に接続されることに限らず、例えば、抵抗溶接や超音波溶接等により電気的に接続されてもよい。また、図3(E)に示す工程は、特許請求の範囲に記載の「第5工程」の一例に相当する。
【0054】
ここで、各貫通穴22と各貫通穴42とが連通するため、仮に樹脂等が両嵌合部23,43間を超えて両突出部21,41間に流入すると貫通穴22,42が塞がれることとなるので、各貫通穴22,42が塞がれているか否かを視認するだけで樹脂等が両突出部21,41間に流入していないことを容易に確認することができる。
【0055】
以上説明したように、本第1実施形態に係るプリント配線板10の製造方法では、図2(A)に示す工程により、第1突出部21と第1嵌合部23とを有する表面側回路パターン20を形成する。そして、図2(B)に示す工程により、第2突出部41と第2嵌合部43とを有する裏面側回路パターン40を形成する。そして、図2(C)に示す工程により、第1突出部21および第2突出部41をプリプレグ30aの挿入穴31に対して異なる方向から挿入して対向させるとともに第1嵌合部23および第2嵌合部43を近接させる。そして、図3(D)に示す工程により、表面側回路パターン20の反絶縁層側および裏面側回路パターン40の反絶縁層側をプレスにより加圧することで第1嵌合部23および第2嵌合部43を液密的に嵌合させるとともに第1突出部21および第2突出部41を接触させた状態で両回路パターン20,40およびプリプレグ30aを熱硬化した絶縁層30を積層する。そして、図3(E)に示す工程により、第1突出部21および第2突出部41を電気的に接続する。
【0056】
これにより、表面側回路パターン20および裏面側回路パターン40は、抵抗値の大きな接続部材を使用することなく、第1突出部21および第2突出部41を介して電気的に接続されることとなるので、両突出部21,41の板厚等に応じて両回路パターン20,40間に大電流を流すことができる。特に、第1嵌合部23および第2嵌合部43は第1突出部21および第2突出部41の接触部を囲うように突出側外縁に沿い環状に形成されているため、プレスにより両回路パターン20,40を介して加圧されるプリプレグ30aから樹脂等が流出する場合でも、両嵌合部23,43が液密的に嵌合して両突出部21,41の接触部への樹脂等の流入が抑制されるので、これら両突出部21,41を確実に接続することができる。
したがって、表面側と裏面側とを電気的に接続して両面間に大電流を流し得るプリント配線板10を製造することができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るプリント配線板の製造方法について、図4を参照して説明する。
本第2実施形態に係るプリント配線板10aの製造方法では、上述した第1嵌合部23および第2嵌合部43に代えて第1嵌合部25および第2嵌合部45を採用している点が、上記第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法と異なる。したがって、第1実施形態のプリント配線板の製造方法と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図4(A)に示すように、第1嵌合部25は、加圧方向に切断した断面が矩形状に形成されている。そして、第2嵌合部45は、プレス時に第1嵌合部25に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されている。
【0059】
このように、本第2実施形態では、第2嵌合部45は、プレス時に第1嵌合部25に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されているため、プレス時にこの傾斜面に第1嵌合部25が案内されて両嵌合部25,45が嵌合することとなり、両嵌合部25,45を確実に嵌合させることができる(図4(B)参照)。
【0060】
なお、第2嵌合部は、加圧方向に切断した断面が矩形状に形成されるとともに、第1嵌合部は、プレス時に第2嵌合部に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されてもよい。また、第1嵌合部および第2嵌合部のいずれか一方は、他方に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されてもよい。
【0061】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るプリント配線板の製造方法について、図5を参照して説明する。
本第3実施形態に係るプリント配線板10bの製造方法では、上述した表面側回路パターン20および裏面側回路パターン40に代えて表面側回路パターン20aおよび裏面側回路パターン40aを採用している点が、上記第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法と異なる。したがって、第1実施形態のプリント配線板の製造方法と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図5は、本第5実施形態に係る表面側回路パターン20aと裏面側回路パターン40aとの関係を示す断面図であり、図5(A)はプレス前の状態を示し、図5(B)はプレス後の状態を示す。
図5(A)に示すように、表面側回路パターン20aは、上記表面側回路パターン20に対して第1嵌合部23を廃止するように形成されている。また、裏面側回路パターン40aは、上記裏面側回路パターン40に対して第2嵌合部43に代えて第2嵌合部46が設けられている。第2嵌合部46は、第2突出部41の突出側外縁から円環状に突出して第1突出部21近傍の表面側回路パターン20aの下面(絶縁層側)に対して液密的に当接可能に形成されている。
【0063】
このように構成される本第3実施形態では、両回路パターン20a,40aおよびプリプレグ30aを用意した後、図5(A)に示すように、第1突出部21および第2突出部41を挿入穴31に対して異なる方向から挿入して両端面21a,41aをそれぞれ対向させる(図2(A)〜(C)の工程に相当)。
【0064】
そして、表面側回路パターン20aの反絶縁層側および裏面側回路パターン40aの反絶縁層側を剥離紙51を介して上型50Uおよび下型50Dを用いてプレス等により加圧・加熱する。これにより、プリプレグ30aを熱硬化して絶縁層30を形成するとともに、第2嵌合部46の先端部が第1突出部21近傍の表面側回路パターン20aの下面に対して円環状であって液密的に当接する。このような状態で両回路パターン20a,40aおよび絶縁層30が積層されることとなる(図5(B)参照)。そして、第1突出部21と第2突出部41とを抵抗溶接等により電気的に接続する。
【0065】
本第3実施形態では、第2嵌合部46の先端部が第1突出部21近傍の表面側回路パターン20aの下面に対して円環状であって液密的に当接するので、プリプレグ30aからの樹脂等が両突出部21,41の接触部に流出するためには、第2嵌合部46の先端部および表面側回路パターン20aの下面間と第1突出部21の外周および第2嵌合部45の内周間とを通り抜ける必要があるので、確実に両突出部21,41の接触部への樹脂等の流入を抑制することができる。
【0066】
なお、第2嵌合部46の先端部が当接する表面側回路パターン20aに円環状の嵌合部を設けてこの嵌合部と第2嵌合部とを液密的に嵌合可能に形成してもよい。
【0067】
また、第2嵌合部46を廃止するとともに、第1突出部21の突出側外縁から円環状に突出して第2突出部41近傍の裏面側回路パターン40aの上面(絶縁層側)に円環状に液密的に当接可能な第1嵌合部を表面側回路パターン20aに設けてもよい。このとき、第1嵌合部の先端部が当接する裏面側回路パターン40aの上面に円環状の嵌合部を設けてこの嵌合部と第1嵌合部とを液密的に嵌合可能に形成してもよい。
【0068】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るプリント配線板の製造方法について、図6を参照して説明する。
本第4実施形態に係るプリント配線板10cの製造方法では、上述した表面側回路パターン20、裏面側回路パターン40およびプリプレグ30aに代えて表面側回路パターン20b、裏面側回路パターン40bおよびプリプレグ30bを採用している点が、上記第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法と異なる。したがって、第1実施形態のプリント配線板の製造方法と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図6は、本第3実施形態に係る両回路パターン20b,40bとプリプレグ30bとの関係を示す断面図であり、図6(A)はプレス前の状態を示し、図6(B)はプレス後の状態を示す。
図6(A)に示すように、表面側回路パターン20bは、上記表面側回路パターン20に対して第1嵌合部23および各貫通穴22を廃止するとともに第1突出部21の端面21aの中央から突起21bが突出するように形成されている。また、裏面側回路パターン40bは、上記裏面側回路パターン40に対して第2嵌合部43および各貫通穴42を廃止するとともに第2突出部41の端面41aの中央から突起41bが突出するように形成されている。ここで、突起21bおよび突起41bは、例えば、直径2mmの円柱状に突出するように形成されている。
【0070】
また、プリプレグ30bは、プリプレグ30aに対して挿入穴31よりも内径が大きな挿入穴31aが設けられるように構成されている。この挿入穴31aの内径は、プレス時に内周面から流出する樹脂等が両突出部21,41の端面間に流入しにくくなるように設定されている。
【0071】
このように構成される本第4実施形態では、両回路パターン20b,40bおよびプリプレグ30bを用意した後、図6(A)に示すように、第1突出部21および第2突出部41を挿入穴31aに対して異なる方向から挿入して両端面21a,41aおよび両突起21b,41bをそれぞれ対向させる(図2(A)〜(C)の工程に相当)。
【0072】
そして、表面側回路パターン20bの反絶縁層側および裏面側回路パターン40bの反絶縁層側を剥離紙51を介して上型50Uおよび下型50Dを用いてプレス等により加圧・加熱する。これにより、プリプレグ30bを熱硬化して絶縁層30を形成するとともに、突起21bおよび突起41bを接触させる。このような状態で両回路パターン20b,40bおよび絶縁層30が積層されることとなる(図6(B)参照)。
【0073】
本第4実施形態では、プリプレグ30bの挿入穴31aの内径は、上述した挿入穴31の内径よりも大きく設定されているので、プレス時に当該挿入穴31aの内周面から流出する樹脂等が両突出部21,41の端面間に流入しにくくなる。特に端面中央部の両突起21b,41bが接触して電気的に接続されることとなるので、両突出部21,41を確実に接続することができる。
【0074】
なお、本第4実施形態に係る両回路パターン20b,40bの両突出部21,41に上述した第1嵌合部23および第2嵌合部43をそれぞれ設けることで、両突出部21,41の端面間への樹脂等の流入を確実に抑制することができる。
【0075】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るプリント配線板の製造方法について、図7を参照して説明する。
本第5実施形態に係るプリント配線板10dの製造方法では、上述した表面側回路パターン20および裏面側回路パターン40に代えて表面側回路パターン20cおよび裏面側回路パターン40cを採用している点が、上記第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法と異なる。したがって、第1実施形態のプリント配線板の製造方法と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図7は、本第5実施形態に係る表面側回路パターン20cと裏面側回路パターン40cとの関係を示す断面図であり、図7(A)はプレス前の状態を示し、図7(B)はプレス後の状態を示す。
図7(A)に示すように、表面側回路パターン20cは、上記表面側回路パターン20に対して第1嵌合部23および各貫通穴22を廃止するとともに第1突出部21の端面21aから4個の凸部21cがそれぞれ突出するように形成されている。また、裏面側回路パターン40cは、上記裏面側回路パターン40に対して第2嵌合部43および各貫通穴42を廃止するように形成されている。
【0077】
本第5実施形態では、各凸部21cはそれぞれ円柱状に形成されているが、例えば、端面21aの中央を中心に円環状に複数形成されてもよい。また、凸部21cは、4個に限らず、2または3個でもよいし、5個以上でもよい。さらに、各凸部21cは、第1突出部21の端面21aに設けられることに限らず、第2突出部41の端面41aに設けられてもよい。
【0078】
このように構成される本第5実施形態では、両回路パターン20c,40cおよびプリプレグ30aを用意した後、図7(A)に示すように、第1突出部21および第2突出部41を挿入穴31に対して異なる方向から挿入して両端面21a,41aをそれぞれ対向させる(図2(A)〜(C)の工程に相当)。
【0079】
そして、表面側回路パターン20cの反絶縁層側および裏面側回路パターン40cの反絶縁層側を剥離紙51を介して上型50Uおよび下型50Dを用いてプレス等により加圧・加熱する。これにより、プリプレグ30aを熱硬化して絶縁層30を形成するとともに、第1突出部21の各凸部21cと第2突出部41の端面41aとを接触させる。このような状態で両回路パターン20c,40cおよび絶縁層30が積層されることとなる(図7(B)参照)。そして、第1突出部21の各凸部21cと第2突出部41とを抵抗溶接等により電気的に接続する。
【0080】
本第5実施形態では、各凸部21cと第2突出部41との間に抵抗溶接時の電流が集中するので、両突出部21,41の端面21a,41a同士を接続する場合と比較して、確実に溶接することができる。さらに、プレスによる加圧力が各凸部21cと第2突出部41との接触部位に集中するので、両部間の密着力が向上し樹脂等の流入を確実に抑制することができる。
【0081】
なお、本第5実施形態に係る両回路パターン20c,40cの両突出部21,41に上述した第1嵌合部23および第2嵌合部43をそれぞれ設けることで、両突出部21,41の端面間への樹脂等の流入を確実に抑制することができる。
【0082】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)上記第1実施形態において、第1嵌合部23および第2嵌合部43は双方ともに嵌合時に潰れるなどして塑性変形するように形成されることに限らず、どちらか一方のみが嵌合時に潰れるなどして塑性変形するように形成されてもよい。上記第2実施形態の第1嵌合部25および第2嵌合部45においても同様の作用効果を奏する。
【0083】
(2)上記第1実施形態において、第1嵌合部23は加圧方向に切断した断面が凹状に形成されるとともに第2嵌合部43はこの凹部に嵌合するように凸状に形成されることに限らず、第2嵌合部43は加圧方向に切断した断面が凹状に形成されるとともに第1嵌合部23はこの凹部に嵌合するように凸状に形成されてもよい。
【0084】
(3)第1突出部21の各貫通穴22と第2突出部41の各貫通穴42とは全てが連通することに限らず、一部のみが連通するように形成されてもよいし、樹脂等の両突出部間への流入を視認する必要がなければ全てが連通しないように形成されてもよい。また、貫通穴22および貫通穴42は、それぞれ4個に限らず1〜3個でもよいし5個以上でもよい。
【符号の説明】
【0085】
10,10a,10b,10c,10d…プリント配線板
20,20a,20b,20c…表面側回路パターン
21…第1突出部
21c…凸部
22…貫通穴
23,25…第1嵌合部
24…第1突起
30…絶縁層
30a,30b…プリプレグ
31,31a…挿入穴
40,40a,40b,40c…裏面側回路パターン
41…第2突出部
42…貫通穴
43,45,46…第2嵌合部
44…第2突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側回路パターンおよび裏面側回路パターンを樹脂が含浸された絶縁層を介在させて製造されるプリント配線板の製造方法であって、
有底筒状に突出する第1突出部とこの第1突出部の突出側外縁に沿い環状に設けられる第1嵌合部とを有する前記表面側回路パターンを形成する第1工程と、
有底筒状に突出する第2突出部とこの第2突出部の突出側外縁に沿い環状に設けられて前記第1嵌合部に対して液密的に嵌合可能な第2嵌合部とを有する前記裏面側回路パターンを形成する第2工程と、
前記第1突出部および前記第2突出部を前記絶縁層に設けられる挿入穴に対して異なる方向から挿入して対向させるとともに前記第1嵌合部および前記第2嵌合部を近接させる第3工程と、
前記表面側回路パターンの反絶縁層側および前記裏面側回路パターンの反絶縁層側をプレスにより加圧することで前記第1嵌合部および前記第2嵌合部を液密的に嵌合させるとともに前記第1突出部および前記第2突出部を接触させた状態で前記両回路パターンおよび前記絶縁層を積層する第4工程と、
前記第1突出部および前記第2突出部を電気的に接続する第5工程と、
を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程は、前記第1突出部および前記第1嵌合部の成形を前記表面側回路パターンにおけるパターン成形と同時に行うことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程は、前記第2突出部および前記第2嵌合部の成形を前記裏面側回路パターンにおけるパターン成形と同時に行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記表面側回路パターンの前記反絶縁層側には前記第1嵌合部が投影される位置に環状に突出する第1突起が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記裏面側回路パターンの前記反絶縁層側には前記第2嵌合部が投影される位置に環状に突出する第2突起が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記第1嵌合部および前記第2嵌合部の少なくともいずれか一方は、他方との嵌合時に加圧方向に塑性変形して嵌合することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記第1嵌合部および前記第2嵌合部のうち、一方は加圧方向に切断した断面が凹状に形成されるとともに、他方はこの凹部に嵌合するように凸状に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記第1嵌合部および前記第2嵌合部のいずれか一方は、他方に接触する面が加圧方向に対して傾斜するように形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記第1嵌合部は、前記第1突出部近傍の前記表面側回路パターンに円環状に形成されるとともに、前記第2嵌合部は、前記第2突出部の突出側外縁から円環状に突出して前記第1嵌合部に対して液密的に嵌合可能に形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記第2嵌合部は、前記第2突出部近傍の前記裏面側回路パターンに円環状に形成されるとともに、前記第1嵌合部は、前記第1突出部の突出側外縁から円環状に突出して前記第2嵌合部に対して液密的に嵌合可能に形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記第1突出部および前記第2突出部の底部には1または2以上の貫通穴が形成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
前記第1突出部の底部に形成される前記貫通穴と前記第2突出部の底部に形成される前記貫通穴とが連通することを特徴とする請求項11に記載のプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−29448(P2011−29448A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174507(P2009−174507)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(399090569)株式会社ティーアイビーシー (11)
【Fターム(参考)】