説明

プログラム、情報記憶媒体及び画像生成システム

【課題】シルエット色のリアルな表現を可能にするプログラム等の提供。
【解決手段】 画像生成システムは、頂点単位で処理を行う頂点シェーダ部と、ピクセル単位で処理を行うピクセルシェーダ部を含む。頂点シェーダ部は、オブジェクトの頂点法線ベクトルを出力する。ピクセルシェーダ部は、頂点シェーダ部から出力された頂点法線ベクトルにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求める。そして求められた色制御パラメータに基づいて、オブジェクトの輪郭に近づくほど色が濃くなりオブジェクトの輪郭から遠ざかるほど色が薄くなるオブジェクトのシルエット色を求め、求められたシルエット色とオブジェクトの色を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体及び画像生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、キャラクタ、車などのオブジェクトが配置設定されるオブジェクト空間内(仮想的な3次元空間)において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像を生成する画像生成システム(ゲームシステム)が知られており、いわゆる仮想現実を体験できるものとして人気が高い。サッカーゲームを楽しめる画像生成システムを例にとれば、プレーヤは、スクリーン上に映し出されたキャラクタを操作し、ドリブルをしたりシュートをしたりしてゲームを楽しむ。
【0003】
このような画像生成システムでは、生成される画像のリアル性への要求が、年々、高まっている。従って、キャラクタの後方にある光源からの光がキャラクタのシルエット(輪郭)を透過して見えるシルエット色についても、リアルに表現できることが望ましい。
【特許文献1】特開2002−42156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シルエット色のリアルな表現を可能にするプログラム、情報記憶媒体及び画像生成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、画像を生成する画像生成システムであって、頂点単位で処理を行う頂点シェーダ部と、ピクセル単位で処理を行うピクセルシェーダ部とを含み、前記頂点シェーダ部は、オブジェクトの頂点法線ベクトルを出力し、前記ピクセルシェーダ部は、前記頂点シェーダ部から出力された前記頂点法線ベクトルにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求め、求められた色制御パラメータに基づいて、オブジェクトの輪郭に近づくほど色が濃くなりオブジェクトの輪郭から遠ざかるほど色が薄くなるオブジェクトのシルエット色を求め、求められたシルエット色とオブジェクトの色を合成する処理を行う画像生成システムに関係する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0006】
本発明によれば、頂点シェーダ部からの頂点法線ベクトルにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づき、色制御パラメータが求められ、色制御パラメータに基づきシルエット色が求められる。このようにすれば、補間された正確な各ピクセルの法線ベクトルに基づき、シルエット色が求められるようになるため、シルエット色の正確なエフェクト処理を実現でき、生成される画像の品質を向上できる。
【0007】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記ピクセルシェーダ部は、各ピクセルの前記法線ベクトルをNとし、前記視線ベクトルをEとし、前記シルエット色の強度パラメータをSとした場合に、1−(N・E)の項(S≧1)を含む前記色制御パラメータを求め、求められた前記色制御パラメータに基づいて前記シルエット色を求めてもよい。
【0008】
このようにすれば、法線ベクトルNと視線ベクトルEの内積を求めるという簡素な処理で、シルエット色の色制御パラメータを求めることが可能になる。
【0009】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記ピクセルシェーダ部は、前記強度パラメータSを可変に設定してもよい。
【0010】
このようにすれば、オブジェクトの輪郭でのシルエット色の影響範囲を可変に制御できるようになり、生成される画像の多様性を増すことができる。
【0011】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記オブジェクトが配置されるオブジェクト空間の設定を行うオブジェクト空間設定部を含み(該オブジェクト空間設定部としてコンピュータを機能させ)、前記ピクセルシェーダ部は、前記オブジェクト空間の設定に応じた値に、前記強度パラメータSを設定してもよい。
【0012】
このようにすれば、オブジェクト空間の設定に応じた最適なシルエット色のエフェクト処理を実現できる。
【0013】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記ピクセルシェーダ部は、前記シルエット色の基準色をCSとした場合に、CS×{1−(N・E)}の演算を行って、シルエット色を求めてもよい。
【0014】
このようにすれば、簡素な処理でシルエット色を求めることが可能になる。
【0015】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記ピクセルシェーダ部は、前記基準色CSを可変に設定してもよい。
【0016】
このようにすれば、オブジェクトのシルエット色を可変に制御できるようになり、生成される画像の多様性を増すことができる。
【0017】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記オブジェクトが配置されるオブジェクト空間の設定を行うオブジェクト空間設定部を含み(該オブジェクト空間設定部としてコンピュータを機能させ)、前記ピクセルシェーダ部は、前記オブジェクト空間の設定に応じた色に、前記基準色CSを設定してもよい。
【0018】
このようにすれば、オブジェクト空間の設定に応じた最適な色のシルエット効果を実現できる。
【0019】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、仮想カメラと前記オブジェクトとの距離が近い場合には、前記ピクセルシェーダ部が、各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求めて、シルエット色を求め、仮想カメラと前記オブジェクトとの距離が遠い場合には、前記頂点シェーダ部が、頂点法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求めて、シルエット色を求めてもよい。
【0020】
このようにすれば、生成される画像の品質の維持と処理の効率化を両立できる。
【0021】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記ピクセルシェーダ部は、照明モデルと光源情報に基づいて、少なくともスペキュラー演算を含むライティング処理を行って、前記オブジェクトの色を求め、前記ライティング処理により得られた前記オブジェクトの色と、前記シルエット色を合成してもよい。
【0022】
このようにすれば、仮想カメラから見てオブジェクトの中心付近では、スペキュラ効果が反映された画像を生成できる一方で、仮想カメラから見てオブジェクトの輪郭付近では、シルエット色の効果が反映された画像を生成できる。
【0023】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、テクスチャを記憶するテクスチャ記憶部を含み(該テクスチャ記憶部としてコンピュータを機能させ)、前記テクスチャ記憶部は、前記オブジェクトの展開図に対応した色パターンを有し、前記オブジェクトの表面の色がテクセルに設定されるカラーマップテクスチャと、前記オブジェクトの展開図に対応した反射情報パターンを有し、反射情報がテクセルに設定される反射マップテクスチャとを記憶し、前記ピクセルシェーダ部は、前記反射マップテクスチャのテクセルに設定された前記反射情報と、照明モデルと、光源情報に基づいて、前記オブジェクトのライティング処理を行ってもよい。
【0024】
このようにすれば、オブジェクトの各部分の画像をカラーマップテクスチャに詳細に描くことが可能になる。従って、同じテクスチャを繰り返しマッピングする手法に比べて、より写実的な画像を生成できる。またオブジェクトの各部分の反射情報の状態を反射マップテクスチャに詳細に描くことも可能になる。従って、オブジェクトの各部分のうちライティング処理領域に対応するテクセルに対して反射情報を描くだけで、オブジェクトの各部分での光沢表現を実現できる。この結果、反射マップテクスチャの反射情報パターンを変えるだけで、種々のパターンの画像表現が可能になる。またカラーマップテクスチャに所与の画像パターンが描かれた場合に、反射マップテクスチャのテクセルに対して、その画像パターンに対応した反射情報を書き込むことも可能になる。
【0025】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記反射マップテクスチャのテクセルのうち、前記ライティング処理が行われるライティング処理領域以外の領域に対応するテクセルでは、前記ライティング処理のスペキュラ演算を無効にする第1の値が設定され、前記ピクセルシェーダ部は、前記反射情報が第1の値に設定されている場合に、前記スペキュラ演算を無効にしてもよい。
【0026】
このようにすれば、反射マップテクスチャの反射情報をマスク情報として活用し、スペキュラ画像が生成されると不自然になる部分等においてスペキュラ演算を無効にできる。
【0027】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記テクスチャ記憶部は、前記オブジェクトの展開図に対応した法線ベクトルパターンを有し、法線ベクトル情報がテクセルに設定される法線マップテクスチャを記憶し、前記ピクセルシェーダ部は、前記法線マップテクスチャに基づいて、前記オブジェクトの表面の凹凸を表すためのバンプ処理を行ってもよい。
【0028】
このようにすれば、ライティング処理によるオブジェクトの表面の光沢表現のみならず、オブジェクトの表面の凹凸表現も実現でき、画像のリアル度を向上できる。
【0029】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、テクスチャを記憶するテクスチャ記憶部を含み(該テクスチャ記憶部としてコンピュータを機能させ)、前記テクスチャ記憶部は、前記オブジェクトの展開図に対応した色パターンを有し、前記オブジェクトの表面の色がテクセルに設定されるカラーマップテクスチャと、前記オブジェクトの展開図に対応した法線ベクトルパターンを有し、法線ベクトルの情報がテクセルに設定される法線マップテクスチャとを記憶し、前記ピクセルシェーダ部は、前記法線マップテクスチャに基づいて、前記オブジェクトの表面の凹凸を表すためのバンプ処理を行ってもよい。
【0030】
本発明によれば、オブジェクトの各部分の画像をカラーマップテクスチャに詳細に描くことができるため、より写実的な画像を生成できる。またオブジェクトの各部分の法線ベクトル情報を法線マップテクスチャに詳細に描くことも可能になる。従って、オブジェクトの各部分のうち凹凸を表現したい領域に対して法線ベクトル情報を描くだけで、オブジェクトの各部分での凹凸表現を実現でき、多様な画像を生成できる。またカラーマップテクスチャに所与の画像パターンが描かれた場合に、法線マップテクスチャのテクセルに対して、その画像パターンに対応した法線ベクトル情報を書き込むことも可能になる。
【0031】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記頂点シェーダ部は、第1、第2の従法線ベクトルをワールド座標系に座標変換し、前記ピクセルシェーダ部は、前記法線マップテクスチャにより得られた法線ベクトルを、前記第1、第2の従法線ベクトルに基づきワールド座標系に座標変換し、座標変換後の法線ベクトルに基づいて前記バンプ処理を行ってもよい。
【0032】
このようにワールド座標系に座標変換したベクトルにより演算すれば、演算精度を向上できる。そして第1、第2の従法線ベクトルを用いてバンプ処理用の法線ベクトルをワールド座標系に座標変換すれば、座標変換後の法線ベクトルを用いたバンプ処理を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0034】
1.構成
図1に本実施形態の画像生成システム(ゲームシステム)の機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態の画像生成システムは図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0035】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、或いはタッチパネル型ディスプレイなどにより実現できる。記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(VRAM)などにより実現できる。
【0036】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、ハードディスク、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0037】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などにより実現できる。音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0038】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやゲームのセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードや携帯型ゲーム装置などがある。通信部196は外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0039】
なお本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180(あるいは記憶部170)に配信してもよい。このようなホスト装置(サーバー)による情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含めることができる。
【0040】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、或いは音生成処理などの処理を行う。ここでゲーム処理としては、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、キャラクタやマップなどのオブジェクトを配置する処理、オブジェクトを表示する処理、ゲーム結果を演算する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。この処理部100は記憶部170(主記憶部172)をワーク領域として各種処理を行う。処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0041】
処理部100は、オブジェクト空間設定部110、移動・動作処理部112、仮想カメラ制御部114、パラメータ演算部116、変化処理部118、描画部120、音生成部130を含む。なおこれらの一部を省略する構成としてもよい。
【0042】
オブジェクト空間設定部110は、キャラクタ(人、ロボット等)、スタジアム、建物、樹木、壁、マップ(地形)などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴン、自由曲面又はサブディビジョンサーフェイスなどのプリミティブ面で構成されるオブジェクト)をオブジェクト空間に配置設定する処理を行う。即ちワールド座標系でのオブジェクトの位置や回転角度(向き、方向と同義)を決定し、その位置(X、Y、Z)にその回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)でオブジェクトを配置する。具体的には、記憶部170のモデルデータ記憶部176には、移動体オブジェクト(キャラクタ)、固定物オブジェクト(ビル)、背景オブジェクト(マップ、天球)のモデルデータが記憶されている。そしてオブジェクト空間設定部110は、このモデルデータを用いてオブジェクト空間へのオブジェクトの設定(配置)処理を行う。
【0043】
移動・動作処理部112は、オブジェクト(キャラクタ等)の移動・動作演算(移動・動作シミュレーション)を行う。即ち操作部160によりプレーヤが入力した操作データや、プログラム(移動・動作アルゴリズム)や、各種データ(モーションデータ)などに基づいて、オブジェクト(モデルオブジェクト)をオブジェクト空間内で移動させたり、オブジェクトを動作(モーション、アニメーション)させる処理を行う。具体的には、オブジェクトの移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)や動作情報(パーツオブジェクトの位置、或いは回転角度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求めるシミュレーション処理を行う。なおフレームは、オブジェクトの移動・動作処理(シミュレーション処理)や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0044】
仮想カメラ制御部114は、オブジェクト空間内の所与(任意)の視点から見える画像を生成するための仮想カメラ(視点)の制御処理を行う。具体的には、仮想カメラの位置(X、Y、Z)又は回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)を制御する処理(視点位置、視線方向あるいは画角を制御する処理)を行う。
【0045】
例えば仮想カメラによりオブジェクト(例えばキャラクタ、ボール、車)を後方から撮影する場合には、オブジェクトの位置又は回転の変化に仮想カメラが追従するように、仮想カメラの位置又は回転角度(仮想カメラの向き)を制御する。この場合には、移動・動作処理部112で得られたオブジェクトの位置、回転角度又は速度などの情報に基づいて、仮想カメラを制御できる。或いは、仮想カメラを、予め決められた回転角度で回転させたり、予め決められた移動経路で移動させる制御を行ってもよい。この場合には、仮想カメラの位置(移動経路)又は回転角度を特定するための仮想カメラデータに基づいて仮想カメラを制御する。
【0046】
パラメータ演算部116は、ゲーム処理に用いる各種のパラメータを演算する。例えばパラメータ演算部116は、キャラクタに関するパラメータ(ステータスパラメータ)を演算する。具体的には、キャラクタの体力(スタミナ)パラメータや、運動量(移動量、移動情報)パラメータや、時間経過(運動時間)パラメータを演算する。ここで体力パラメータは、キャラクタの残りの体力を表すパラメータであり、キャラクタの移動・動作の継続や、時間経過に伴って減少する。また運動量パラメータは、キャラクタの運動の度合いを量的に表すパラメータであり、キャラクタが移動・動作することで増加する。また時間経過パラメータは、キャラクタに関する時間の経過を表すパラメータであり、例えばキャラクタが移動・動作(運動)を開始してからの時間経過に伴い増加する。
【0047】
変化処理部118は、パラメータ演算部116で演算されたパラメータに基づいて、反射マップテクスチャを変化させる処理を行う。例えば演算されたパラメータに基づいて、反射マップテクスチャの差し替え(切り替え)を行ったり、反射マップテクスチャの反射情報の書き換えを行う。そしてこのように反射マップテクスチャを変化させることで、ライティング処理領域の面積、形状や、光の反射率や、光沢色を変化させる。具体的には、パラメータ演算部116で演算された体力パラメータが少なくなるほど、或いは運動量パラメータが大きくなるほど、或いは時間経過パラメータが大きくなるほど、ライティング処理領域の面積(キャラクタ表面での占有面積)を大きくする処理を行う。
【0048】
また変化処理部118は、パラメータ演算部116で演算されたパラメータに基づいて、法線マップテクスチャを変化させる処理を行う。例えば演算されたパラメータに基づいて、法線マップテクスチャの差し替え(切り替え)を行ったり、法線マップテクスチャの法線ベクトル情報の書き換えを行う。また変化処理部118は、反射マップテクスチャが変化した場合に、反射マップテクスチャの変化に連動して法線マップテクスチャを変化させる処理を行う。例えば反射マップテクスチャの変化により、ライティング処理領域の面積、形状等が変化した場合には、この面積、形状等の変化に連動して、ライティング処理領域での法線マップテクスチャを変化させる。
【0049】
描画部120は、処理部100で行われる種々の処理(ゲーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、表示部190に出力する。いわゆる3次元ゲーム画像を生成する場合には、まずモデル(オブジェクト)の各頂点の頂点データ(頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)を含むモデルデータが入力され、入力されたモデルデータに含まれる頂点データに基づいて、頂点処理(頂点シェーダによるシェーディング)が行われる。なお頂点処理を行うに際して、必要に応じてポリゴンを再分割するための頂点生成処理(テッセレーション、曲面分割、ポリゴン分割)を行うようにしてもよい。
【0050】
描画部120は、オブジェクトを描画する際にジオメトリ処理、隠面消去処理、αブレンディング等を行う。
【0051】
ジオメトリ処理では、オブジェクトに対して、座標変換、クリッピング処理、透視投影変換、或いは光源計算等の処理が行われる。そして、ジオメトリ処理後(透視投影変換後)のモデルデータ(オブジェクトの頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル、或いはα値等)は、記憶部170に保存される。
【0052】
隠面消去処理としては、描画ピクセルのZ値(奥行き情報)が格納されるZバッファ(奥行きバッファ)を用いたZバッファ法(奥行き比較法、Zテスト)による隠面消去処理を行うことができる。すなわちオブジェクトのプリミティブに対応する描画ピクセルを描画する際に、Zバッファに格納されるZ値を参照する。そして参照されたZバッファのZ値と、プリミティブの描画ピクセルでのZ値とを比較し、描画ピクセルでのZ値が、仮想カメラから見て手前側となるZ値(例えば小さなZ値)である場合には、その描画ピクセルの描画処理を行うとともにZバッファのZ値を新たなZ値に更新する。
【0053】
αブレンディング(α合成)は、α値(A値)に基づく半透明合成処理(通常αブレンディング、加算αブレンディング又は減算αブレンディング等)のことである。
【0054】
なお、α値は、各ピクセル(テクセル、ドット)に関連づけて記憶できる情報であり、例えば色情報以外のプラスアルファの情報である。α値は、マスク情報、半透明度(透明度、不透明度と等価)、バンプ情報などとして使用できる。
【0055】
描画部120は、頂点シェーダ部(頂点処理部)122、ピクセルシェーダ部(ピクセル処理部)124を含む。
【0056】
頂点シェーダ部122は、頂点単位の処理(per vertex processing)である頂点処理を行う。この頂点処理では、頂点処理プログラム(頂点シェーダプログラム、第1のシェーダプログラム)に従って、頂点の移動処理、座標変換処理(ワールド座標変換、カメラ座標変換、頂点座標変換)、ライティング処理、或いはデータ出力処理(レジスタ格納処理)等が行われる。そして、その処理結果に基づいて、オブジェクトを構成する頂点群について与えられた頂点データが変更(更新、調整)される。そして、頂点処理後の頂点データに基づいてラスタライズ(走査変換)が行われ、ポリゴン(プリミティブ)の面とピクセルとが対応づけられる。
【0057】
そしてこのラスタライズに続いて、ピクセルシェーダ部124は、ピクセル単位の処理(per pixel processing)であるピクセル処理を行う。このピクセル処理(ピクセルシェーダによるシェーディング、フラグメント処理)では、ピクセル処理プログラム(ピクセルシェーダプログラム、第2のシェーダプログラム)に従って、テクスチャのフェッチ(テクスチャマッピング)、ライティング処理、色データの設定/変更、半透明合成、アンチエイリアス等が行われる。そして画像を構成するピクセルの最終的な描画色を決定し、透視変換されたオブジェクトの描画色を描画バッファ174(ピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。VRAM、レンダリングターゲット)に出力(描画)する。即ち、ピクセル処理では、画像情報(色、法線、輝度、α値等)をピクセル単位で設定あるいは変更するパーピクセル処理を行う。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。
【0058】
なお頂点処理やピクセル処理は、シェーディング言語によって記述されたシェーダプログラムによって、ポリゴン(プリミティブ)の描画処理をプログラム可能にするハードウェア、いわゆるプログラマブルシェーダ(頂点シェーダやピクセルシェーダ)により実現できる。プログラマブルシェーダでは、頂点単位の処理やピクセル単位の処理がプログラム可能になることで描画処理内容の自由度が高く、従来のハードウェアによる固定的な描画処理に比べて表現力を大幅に向上させることができる。
【0059】
そして本実施形態では頂点シェーダ部122が、オブジェクト(キャラクタ)の頂点法線ベクトル(頂点に設定された法線ベクトル)を出力する。具体的には、ローカル座標系の頂点法線ベクトルをワールド座標系や頂点座標系(接ベクトル空間)に座標変換して、出力レジスタに格納し、ピクセルシェーダ部124に渡す。
【0060】
ピクセルシェーダ部124は、頂点シェーダ部122から出力された頂点法線ベクトルにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求める。例えば各ピクセルの法線ベクトルをNとし、視線ベクトルをEとし、シルエット色(輪郭色)の強度パラメータをSとした場合に、1−(N・E)の項(S≧1)を含む色制御パラメータを求める。この場合、1−(N・E)そのものを色制御パラメータとしてもよいし、1−(N・E)に係数を乗算したものや、1−(N・E)を引数とする関数の値を色制御パラメータとしてもよい。またピクセルシェーダ部124は、色制御パラメータの強度パラメータSを可変に設定する。例えばオブジェクト空間毎に強度パラメータSを異なる値に設定する。具体的には、オブジェクト空間の設定(オブジェクト空間の種類、オブジェクト空間での光源の強弱、光源の位置、光源の配置環境等)に応じた値に、強度パラメータSを設定する。
【0061】
そしてピクセルシェーダ部124は、求められた色制御パラメータに基づいてオブジェクトのシルエット色(輪郭色)を求める。具体的には、オブジェクトの輪郭に近づくほど、色が濃くなり、オブジェクトの輪郭から遠ざかるほど(オブジェクトの中心に近づくほど)、色が薄くなるシルエット色を求める。例えばシルエット色の基準色(シルエット色の基準となる色。元の色)をCSとした場合に、CS×{1−(N・E)}の演算を行って、シルエット色を求める。この場合にピクセルシェーダ部124は、基準色CSを可変に設定する。例えばオブジェクト空間毎に基準色CSを異なる色に設定する。具体的には、オブジェクト空間の設定に応じた色(オブジェクト空間の光源色そのもの、光源色に近い色、光源色に1対1に対応づけられた色)に、基準色CSを設定する。
【0062】
そしてピクセルシェーダ部124は、求められたシルエット色とオブジェクトの色を合成して、最終的なカラーを出力する。具体的には、照明モデルと光源情報に基づいて、少なくともスペキュラー演算を含むライティング処理を行って、オブジェクトの色を求める。そしてライティング処理により得られたオブジェクトの色と、シルエット色を合成する。例えばライティング処理により得られたオブジェクトの色とシルエット色を加算合成する。このライティング処理は、光源情報(ライトベクトル、光源色、明るさ、光源タイプ等)、照明モデル、法線ベクトル、オブジェクトのマテリアル・パラメータ(色、材質)などを用いて、ライティング処理部126が行う。また照明モデルとしては、アンビエント光とディフューズ光だけを考慮したランバードの照明モデルや、アンビエント光、ディフューズ光に加えてスペキュラ光も考慮するフォンの照明モデルやブリン・フォンの照明モデルなどがある。
【0063】
また本実施形態では、仮想カメラとオブジェクト(キャラクタ)の距離(直線距離、奥行き距離)が近い場合には(所定距離以下の場合には)、ピクセルシェーダ部124が、頂点シェーダ部122からの頂点法線ベクトルを補間することにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求める。そして色制御パラメータに基づきシルエット色を求める。一方、仮想カメラとオブジェクトの距離が遠い場合には(所定距離よりも大きい場合には)、頂点シェーダ部122が、頂点法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求める。そして色制御パラメータに基づきシルエット色を求め、ピクセルシェーダ部124に出力する。
【0064】
また本実施形態ではライティング処理部126が、テクスチャ記憶部178からフェッチした反射マップテクスチャに基づいてライティング処理を行う。具体的には反射マップテクスチャのテクセルに設定された反射情報と、照明モデル(照明モデルの演算式)と、光源情報(ライトベクトル)に基づいて、オブジェクトのライティング処理を行う。またピクセルシェーダ部124が含むバンプ処理部128が、テクスチャ記憶部178からフェッチした法線マップテクスチャに基づいて、オブジェクトの表面の凹凸を表すためのバンプ処理を行う。具体的には、法線マップテクスチャのテクセルに設定された法線ベクトルの情報に基づいて、ライティング処理領域においてバンプ処理を行い、オブジェクトの表面にあたかも凹凸があるかのように見える、シェーディング処理を施す。なおライティング処理部126やバンプ処理部128をピクセルシェーダ部124に含ませない変形実施も可能である。
【0065】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0066】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて分散処理により生成してもよい。
【0067】
2.本実施形態の手法
2.1 頂点シェーダ、ピクセルシェーダ
図2(A)に頂点シェーダ部122、ピクセルシェーダ部124の詳細な構成例を示す。頂点シェーダ部122(頂点処理部)の機能は、例えばベクトル演算ユニットなどのハードウェアと、図2(B)に示すような頂点シェーダプログラム(頂点処理プログラム)により実現できる。この頂点シェーダプログラムには頂点毎の処理を行うための変数、関数等が記述されている。またピクセルシェーダ部124(ピクセル処理部)の機能も、例えばベクトル演算ユニットなどのハードウェアと、図2(B)に示すようなピクセルシェーダプログラム(ピクセル処理プログラム)により実現できる。このピクセルシェーダプログラムにはピクセル毎の処理を行うための変数、関数等が記述されている。
【0068】
図2(A)では頂点シェーダ部122は、座標変換部10と出力部12を含む。ここで座標変換部10は種々の座標系への座標変換を行う。具体的には例えば、頂点座標、視線ベクトル、ライトベクトル、頂点法線ベクトル、第1、第2の従法線ベクトル(接ベクトル)を、例えばローカル座標系から例えばワールド座標系に座標変換する。なおこれらのベクトル等の一部のみをワールド座標系に座標変換してもよいし、頂点座標系に座標変換してもよい。出力部12は、変換後の頂点座標、視線ベクトル、ライトベクトル、頂点法線ベクトル等を出力レジスタに格納してピクセルシェーダ部124に渡す。
【0069】
ラスタライズ処理部123はラスタライズ(走査線変換)処理を行う。具体的にはラスタライズ処理部123には、頂点シェーダ部122から加工済みの頂点データが入力される。そしてラスタライズ処理部123は、加工済みの頂点データに基づいて、ポリゴンを構成するピクセルの生成処理を行う。この場合に例えば、頂点データに含まれる頂点座標、各種ベクトル(頂点法線ベクトル等)、頂点色、頂点テクスチャ座標等の補間処理(線形補間等)が行われ、ピクセル座標や、ピクセルでの各種ベクトルや、ピクセル色や、ピクセルでのテクスチャ座標等が求められる。
【0070】
ピクセルシェーダ部124はテクスチャフェッチ部20(テクスチャマッピング部)とピクセル加工処理部22を含む。テクスチャフェッチ部20は、テクスチャのフェッチ処理(マッピング、サンプリング処理)を行う。具体的には、ピクセルのテクスチャ座標等を用いてテクスチャ記憶部178からテクスチャのデータを読み出す。
【0071】
ピクセル加工処理部22は、ピクセルデータに対する種々の加工処理を行う。そしてこの加工処理により、ピクセル(フラグメント)の色が決定される。そして加工処理(ピクセルシェーダ)の後に、例えばシザーテスト、アルファテスティング、深度テスト又はステンシルテストなどを実行して、そのピクセル(フラグメント)が表示されるのか否かを最終的に決定する。なおそのピクセルが表示されることが決まった後に、更にピクセルデータの加工処理(フォグ、半透明合成、アンチエイリアス)が行われて、加工処理後のピクセルデータがフレームバッファに書き込まれることになる。
【0072】
2.2 シルエット色
本実施形態ではオブジェクト(キャラクタ、パーツオブジェクト)のシルエット色(輪郭色)を表現するために、以下のような手法を採用している。
【0073】
例えば図3(A)において、NV1、NV2、NV3は、オブジェクトOBを構成する各頂点に設定される頂点法線ベクトルである。またEは仮想カメラVC(視点VP)の視線ベクトル(eye vector)である。
【0074】
本実施形態では図3(B)に示すように、頂点シェーダ部122が頂点法線ベクトルNV1、NV2、NV3・・・を出力レジスタに格納して、ピクセルシェーダ部124に出力する。そしてピクセルシェーダ部124が、頂点シェーダ部122からの頂点法線ベクトルNV1、NV2、NV3・・・を補間することで得られる各ピクセルの法線ベクトルNと、視線ベクトルEに基づいて、色制御パラメータPCを求める。ここで色制御パラメータは例えばPC=1−(N・E)と表すことができる。即ち各ピクセルの法線ベクトルNと視線ベクトルEの内積のべき乗を演算することで得られる。従って、仮想カメラVC(視点)から見てオブジェクトOBの輪郭での法線ベクトルについて色制御パラメータPCを求めると、法線ベクトルNと視線ベクトルEのなす角度が90度になるため、N・E=0になり、PC=1−(N・E)=1になる。一方、オブジェクトOBの中心付近での法線ベクトルについて色制御パラメータPCを求めると、法線ベクトルNと視線ベクトルEのなす角度が0度になるため、N・E=1になり、PC=1−(N・E)=0になる。
【0075】
ピクセルシェーダ部124は、このようにして求められた色制御パラメータPCに基づきシルエット色SCを求める。この場合、シルエット色の基準色をCSとすると、シルエット色SCは例えばSC=CS×PC=CS×{1−(N・E)}と表すことができる。このようにして求められたシルエット色SCは、オブジェクトOBの輪郭に近づくほど色が濃くなり、オブジェクトOBの輪郭から遠ざかるほど色が薄くなる色になる。即ちオブジェクトOBの輪郭では、PC=1になるため、SC=CSとなり、シルエット色は最も濃い色になる。一方、オブジェクトOBの中心付近では、PC=0になるため、SC=0となり、シルエット色は最も薄い色になる。
【0076】
図4、図5、図6に本実施形態により生成される画像の例を示す。図4、図5、図6はキャラクタの顔(頭)のオブジェクトの画像例である。
【0077】
図4は、シルエット色のエフェクト処理を施していない場合の画像例である。図4ではオブジェクトの輪郭付近(シルエット)の色は、オブジェクトの肌の色と同じになる。また図4ではオブジェクトの輪郭のギザギザが目立っており、ポリゴンで作られたことが一見してわかる人工的な画像になっている。
【0078】
図5、図6はシルエット色のエフェクト処理を施した場合の画像例である。図5は、強度パラメータSが小さい場合の画像例である。図5では、オブジェクトの輪郭の近くの狭い限定された領域において、シルエット色(例えば白、或いは青っぽい白)の影響が大きくなっている。即ち輪郭はそれほどぼけておらず、比較的シャープな輪郭になっている。一方、オブジェクトの中心付近では、シルエット色の影響がほとんど無くなっており、肌の色と同じになっている。
【0079】
図6は強度パラメータSが大きい場合の画像例である。図6では、オブジェクトの輪郭から広い領域にわたって、シルエット色の影響が大きくなっている。即ち、輪郭を含む広い範囲にわたって、オブジェクトの色(肌の色)とシルエット色が合成されて、ぼけた画像になっている。一方、オブジェクトの中心付近では、シルエット色の影響はほとんど無くなっている。
【0080】
例えば図7のゲーム画像では、オブジェクトであるサッカーのキャラクタ(選手)がスタジアムのフィールド(オブジェクト空間)に立っている。そしてキャラクタの背後には、スタジアムの照明30が配置されている。このようなゲーム画像において、リアルなキャラクタ画像を生成するためには、キャラクタの背後に、照明30に対応する光源を配置して、この背後の光源によるシルエット色のエフェクト処理(グレア効果)をキャラクタの輪郭に施すことが望ましい。
【0081】
しかしながら、このような光源をキャラクタの背後に配置すると、光源の数が増えてしまい、処理負荷が重くなる。一方、シルエット色のエフェクト処理を実現するために、擬似的なグレア効果を施す手法もあるが、リアルな画像の生成が難しい。
【0082】
これに対して本実施形態では、オブジェクトの法線ベクトルNと視線ベクトルEに基づき色制御パラメータPCを演算し、色制御パラメータPCに基づきシルエット色を求めてオブジェクトの色に合成している。従って、図5、図6に示すようなリアルなシルエット色効果を実現できる。即ち、キャラクタの背後に光源を配置しなくても、キャラクタの背後の光源からの光が、あたかもキャラクタの手前側に回り込んでいるかのように見えるシルエット効果(グレア表現)を実現できる。この場合、例えば背後の光源(スタジアムの照明)が青白い光源であると想定される場合には、シルエット色の基準色CSを青白い色に設定することで、青白い光源からの光の回り込みを表現できる。同様に背後の光源が赤っぽい光源であると想定される場合には、シルエット色の基準色CSを赤っぽい色に設定することで、赤っぽい光源からの光の回り込みを表現できる。
【0083】
またシルエット色のエフェクト処理が施されていない図4の画像では、オブジェクトの輪郭におけるポリゴンのギザギザが目立ってしまい、いわゆるポリゴン画像と呼ばれる人工的な画像が生成されてしまう。これに対して図5、図6のようにシルエット色のエフェクト処理を施すと、オブジェクトの輪郭がぼけた画像になるため、輪郭のギザギザが目立たなくなり、人工的な画像に見えないリアルで自然な画像を生成できる。
【0084】
また本実施形態の手法によれば、オブジェクトの中心付近の色は、ライティング処理により得られたオブジェクト色になり、シルエット色の影響はほとんど受けなくなる。従って、シルエット色の影響がオブジェクトの中心付近にまで及んで不自然な画像が生成されてしまう事態を防止できる。
【0085】
また本実施形態の比較例となる手法として、シルエット色のエフェクト処理を頂点シェーダ部122により実現する手法も考えられる。例えば頂点シェーダ部122が、頂点法線ベクトルと視線ベクトルに基づき色制御パラメータを求め、色制御パラメータに基づきシルエット色を求める。シルエット色のエフェクト処理では、オブジェクトの頂点法線ベクトルが使用されるため、この意味においては、頂点シェーダ部122がシルエット色を求める手法も合理的に思える。
【0086】
しかしながら、頂点シェーダ部122がシルエット色を求めると、ラスタライズ処理においては、頂点法線ベクトルではなく、頂点シェーダ部122により求められたシルエット色が補間されてしまう。従ってシルエット色の正確なエフェクト処理を実現できない。
【0087】
これに対して本実施形態では、頂点シェーダ部122は、シルエット色ではなく頂点法線ベクトルを出力する。従って、ラスタライズ処理においては、シルエット色ではなく頂点法線ベクトルが補間されて、各ピクセルの法線ベクトルNが求められる。そしてピクセルシェーダ部124は、各ピクセルの法線ベクトルNと、視線ベクトルEに基づき色制御パラメータPC=1−(N・E)を求め、シルエット色SC=CS×{1−(N・E)}を求める。従って、補間された正確な各ピクセルの法線ベクトルに基づきシルエット色が求められるため、正確なシルエット色を得ることができ、生成される画像の品質を向上できる。特にオブジェクトの輪郭付近では、法線ベクトルの方向の変化が激しいため、正確な法線ベクトルに基づきシルエット色を求める本実施形態の手法は有効である。
【0088】
2.3 強度パラメータ、基準色の設定
本実施形態ではシルエット色の強度パラメータSや基準色CSを可変に設定している。即ちピクセルシェーダ部124は、これらの強度パラメータS、基準色CSを可変のパラメータとして取り扱っている。そしてオブジェクトが配置されるオブジェクト空間の設定(光源設定)に応じた値に、強度パラメータSを設定する。またオブジェクト空間の設定に対応した色に、基準色CSを設定する。
【0089】
例えば図8(A)(B)に本実施形態で使用されるテーブルデータの例を示す。図8(A)は、キャラクタ(オブジェクト)が移動するスタジアム及び時間帯と、強度パラメータSとを対応づけるテーブルデータである。図8(A)に示すように本実施形態では、スタジアム毎に、強度パラメータSが異なる値に設定される。また時間帯毎に、強度パラメータSが異なる値に設定される。即ちオブジェクト空間の設定(スタジアムの種類、時間帯等)に応じた値に、強度パラメータSが設定される。例えば明るいスタジアムや明るい時間帯では、強度パラメータSの値を小さくし、暗いスタジアムや暗い時間帯では、強度パラメータSの値を大きくする。このようにすれば、スタジアムが暗くなるほど、或いは暗い時間帯になるほど、オブジェクトの輪郭のシルエット色が目立つようになる演出効果を実現できる。
【0090】
図8(B)は、キャラクタ(オブジェクト)が移動するスタジアムと、シルエット色の基準色CSとを対応づけるテーブルデータである。図8(B)に示すように本実施形態では、スタジアム毎に、基準色CSが異なる色に設定される。即ちオブジェクト空間の設定(スタジアムの種類)に応じた色に、基準色CSが設定される。例えば照明の色が青っぽいスタジアムでは、シルエット色の基準色CSを青白い色に設定する。また照明の色が赤っぽいスタジアムでは、シルエット色の基準色CSを赤っぽい色に設定する。このようにすれば、スタジアムの照明に応じて、オブジェクトのシルエット色が異なる色になり、演出効果を高めることができる。
【0091】
なお、強度パラメータS、基準色CSを設定するパラメータは、スタジアムの種類や時間帯のパラメータに限定されず、例えばキャラクタのステータスパラメータなどの種々のパラメータを採用できる。
【0092】
2.4 距離による処理の振り分け
本実施形態では、仮想カメラとオブジェクトとの距離に応じて、シルエット色のエフェクト処理を頂点シェーダ部122とピクセルシェーダ部124に振り分けている。
【0093】
例えば図9(A)に示すように仮想カメラVCとオブジェクト(キャラクタ)OBの距離が近い場合(距離が所定距離以下の場合)には、ピクセルシェーダ部124が、各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求めて、シルエット色を求める。即ち図9(A)のE1に示すように、ピクセルシェーダ部124の処理を実現するピクセルシェーダプログラムの中に、色制御パラメータPC=1−(N・E)を求める関数を記述する。
【0094】
一方、図9(B)に示すように仮想カメラVCとオブジェクトOBの距離が遠い場合(距離が所定距離よりも長い場合)には、頂点シェーダ部122が、頂点法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求めて、シルエット色を求める。即ち図9(B)のE2に示すように、頂点シェーダ部122の処理を実現する頂点シェーダプログラムの中に、色制御パラメータPC=1−(NV・E)を求める関数を記述する。
【0095】
即ち、頂点シェーダ部122が色制御パラメータやシルエット色を求める処理を行うと、頂点シェーダ部122により求められたシルエット色が補間されるようなるため、正確なシルエット色を得ることができない。そして仮想カメラVCとオブジェクトOBの距離が近い場合に、得られるシルエット色が不正確になると、その不正確さが目立ってしまい、高品質な画像をプレーヤに提供できなくなる。
【0096】
そこで、図9(A)では、仮想カメラVCとオブジェクトOBの距離が近い場合には、ピクセルシェーダ部124が色制御パラメータやシルエット色を求める処理を行っている。これにより、高品質な画像をプレーヤに提供できる。
【0097】
一方、ピクセルシェーダ部124が色制御パラメータやシルエット色を求める処理を行うと、ピクセル毎にこれらの処理が行われるようになるため、処理負荷が増加する。また仮想カメラVCとオブジェクトOBの距離が近い場合には、シルエット色が不正確であっても、それほど目立たない。
【0098】
そこで、図9(B)では、仮想カメラVCとオブジェクトOBの距離が遠い場合には、頂点シェーダ部122が色制御パラメータやシルエット色を求める。このようにすれば、色制御パラメータやシルエット色を求める処理は、ピクセル毎ではなく頂点毎に行われるようになるため、全体としての処理負荷を軽減できる。これにより、生成される画像の品質の維持と処理の効率化を両立できる。
【0099】
2.5 展開図方式のテクスチャによるライティング処理
図10(A)に、キャラクタを構成する第1のパーツオブジェクトPOB(広義にはオブジェクト)の例を示す。実際のキャラクタのパーツオブジェクトは、多数のポリゴンにより複雑に形成されているが、図10(A)では説明を簡素化するために、パーツオブジェクトPOBが6角柱である場合の例を示している。
【0100】
本実施形態ではキャラクタは、立体形状の複数のパーツオブジェクト(部位オブジェクト)により構成される。具体的には、キャラクタの右腕、左腕、頭(顔)、右足、左足、武器、又は胴等を表すパーツオブジェクトにより構成される。そしてこれらのパーツオブジェクトに対して、各パーツオブジェクトの展開図に対応したカラーマップテクスチャ、反射マップテクスチャ、法線マップテクスチャが用意されて、各パーツオブジェクトにマッピングされる。
【0101】
例えば図10(B)(C)に、図10(A)の6角柱のパーツオブジェクトPOBにマッピングされる展開図方式のカラーマップテクスチャ、反射マップテクスチャの例を示す。図10(B)のカラーマップテクスチャは、パーツオブジェクトPOB(オブジェクト)の展開図に対応した色パターンを有し、パーツオブジェクトPOBの表面の色がテクセルに設定されるテクスチャである。また図10(C)の反射マップテクスチャは、パーツオブジェクトPOBの展開図に対応した反射情報パターンを有し、パーツオブジェクトPOB(オブジェクト)にマッピングすべき反射情報がテクセルに設定されるテクスチャである。本実施形態ではライティング処理部126が、反射マップテクスチャのテクセルに設定された反射情報と照明モデルと光源情報に基づいて、パーツオブジェクトPOBのライティング処理を行う。
【0102】
例えば本実施形態ではキャラクタ(パーツオブジェクト)の肌(広義には表面)に付着する汗(広義には液体、水分)の画像表現を以下の手法により実現している。なお以下では、本実施形態の手法を、キャラクタの表面に付着する液体の光の反射に適用した場合を例にとり説明するが、本実施形態の手法はこれに限定されず、液体以外の物体による光の反射にも適用できる。例えばキャラクタが着る服による光の反射や、キャラクタが身につける装飾品による光の反射や、キャラクタが所持する武器(例えば剣、銃)の表面での光の反射にも、本実施形態の手法は適用できる。また以下では、キャラクタに付着する液体が汗である場合を例にとり説明するが、本実施形態の液体は汗に限定されない。例えば雨のしずくや、キャラクタの目から流れる涙等であってもよい。或いは海から出現する半漁人等のモンスターの表面に付着する液体等であってもよい。
【0103】
本実施形態ではキャラクタの汗を表現するために、図11(A)に模式的に示される反射マップテクスチャをテクスチャ記憶部178に記憶する。この反射マップテクスチャでは、そのテクセルに、汗の光沢(テカリ)を表現するための反射情報が設定される。この反射情報としては、汗での光の反射率や、汗での反射光の光沢色(光源色)などが考えられる。この反射情報は、液体により光が反射する領域と反射しない領域を区別するためのマスク情報としても機能することができる。
【0104】
例えば図11(A)では、キャラクタの肌(表面)のうち汗(液体)が付着する領域として設定される汗付着領域(広義にはライティング処理領域)に対応する反射マップテクスチャのテクセル(テクセル領域)において、反射率Ksが例えば1.0(最大値)に設定される。これにより、キャラクタの汗付着領域には反射率Ks=1.0の反射マップテクスチャがマッピングされるようになる。一方、汗付着領域(ライティング処理領域)以外の領域に対応するテクセルでは、ライティング処理のスペキュラ演算を無効にする第1の値である例えば0.0(最小値)に、反射率Ksが設定される。これにより、この領域には反射率Ks=0.0の反射マップテクスチャがマッピングされるようになる。そしてこのように反射率Ks(反射情報)が0.0(第1の値)に設定されると、ライティング処理部126によるスペキュラ演算が無効にされて、スペキュラ値が0になる。なお図11(A)では、反射マップテクスチャのテクセルに設定される反射率Ksが0.0と1.0である場合を示しているが、これの中間の値をテクセルに設定してもよい。例えば反射率Ks=1.0である領域からKs=0.0である領域に向かって、反射率Ksが徐々に減少するようなグラディエーション設定を行ってもよい。
【0105】
さて、現実世界での照光現象をシミュレートするための数学的モデルとして、この種の画像生成システムでは種々の照明モデルが用いられている。図11(B)に、光源が平行光である場合の照明モデルの例を示す。このブリン・フォンの照明モデル(鏡面反射モデル)は例えば下式(1)で表すことができる。
【0106】
I=Ks×(N・H)×Is+Kd×(N・L)×Id+Ka×Ia (1)
ここでKs、Kd、Kaは、各々、スペキュラ光、ディフューズ光、アンビエント光についての反射率(反射係数)であり、Is、Id、Iaは、スペキュラ光、ディフューズ光、アンビエント光の強度(輝度、色)である。Nはオブジェクトの法線ベクトルであり、Lは光源LSのライトベクトルであり、Hはハーフベクトルであり、Pは鏡面反射指数(ハイライト特性係数)である。またハーフベクトルHは、H=(E+L)/|E+L|と表すことができる。
【0107】
このブリン・フォンの照明モデルでは、スペキュラ光の強さは法線ベクトルNとハーフベクトルHの内積のべき乗で表される。従って、法線ベクトルNとハーフベクトルHの向きが近くなる場所ほど、スペキュラ光が強くなる。また鏡面反射指数Pが例えば10以下というように小さい場合には、広い範囲にわたって鏡面反射のハイライトが広がり、鏡面反射指数Pが例えば100ぐらいに大きい場合には、ハイライトが小さな点になる。
【0108】
本実施形態の照明モデルは下式(2)で表されるようなフォンの照明モデルであってもよい。
【0109】
I=Ks×(L・R)×Is+Kd×(N・L)×Id+Ka×Ia (2)
ここでRは反射ベクトルであり、R=−E+2(N・E)Nの式により求めることができる。このフォンの照明モデルでは、スペキュラ光の強さはライトベクトルLと反射ベクトルRの内積のべき乗で表される。従って、ライトベクトルLと反射ベクトルRの向きが近くなる場所ほど、スペキュラ光が強くなる。
【0110】
なお本実施形態の照明モデルは上式(1)(2)の照明モデルに限定されない。例えば上式(1)(2)の照明モデルに対して明るさ補正等を行ってもよいし、上式(1)(2)とは異なる式で表される照明モデルを用いてもよい。
【0111】
そして本実施形態ではライティング処理部126が、図11(A)の反射マップテクスチャの反射情報と、図11(B)の照明モデルと、光源情報に基づいて、キャラクタの表面のライティング処理を行っている。具体的には汗付着領域において汗の光の反射を表すためのライティング処理を行っている。
【0112】
例えば比較例の手法として、キャラクタの汗付着領域に汗の色の着色処理を行うことで、汗を表現する手法が考えられる。具体的には汗付着領域に汗のカラーマップテクスチャをマッピングする。
【0113】
しかしながら、この比較例の手法では、視線ベクトル、ライトベクトル、キャラクタの位置・方向関係が変化しても、汗の光沢は変化せず、常に同じような汗の画像が生成されるため、リアル感に乏しい。
【0114】
これに対して本実施形態の手法によれば、視線ベクトル、ライトベクトル、キャラクタの位置・方向関係が変化すると、それに応じて汗での光の反射の具合が変化するようになる。例えば図11(B)において、ハーフベクトルHとキャラクタの法線ベクトルNのなす角度(或いはLとRのなす角度)が0度に近い位置・方向関係になると、汗付着領域において汗の光が強く反射して見える画像が生成される。一方、ハーフベクトルHと法線ベクトルNのなす角度(或いはLとRのなす角度)が大きくなる位置・方向関係になると、汗付着領域における汗の光の反射が弱い画像が生成される。従って、比較例の手法に比べて、生成される画像のリアル度を格段に向上できる。
【0115】
例えば本実施形態をサッカーゲーム等のスポーツゲームに適用した場合を考える。この場合に、キャラクタがスタジアムのフィールド上を移動した時に、キャラクタの肌の法線ベクトルNの方向と、スタジアムに配置された照明からのライトベクトルLの方向と、キャラクタを追う仮想カメラの視線ベクトルEの位置・方向関係に応じて、キャラクタの汗の光具合がリアルタイムに変化する。従って、あたかも本当の人間がサッカーをプレイしているかのような見える仮想現実感をプレーヤに与えることができる。
【0116】
また本実施形態では、反射マップテクスチャの反射情報である反射率Ksが0.0に設定されると、その部分に光があたっても、スペキュラ演算が無効になり、光の鏡面反射が起こらないようになる。従って、鏡面反射が起きると不自然になる部分については、Ks=0.0に設定するだけでスペキュラ演算を無効にできるようになり、キャラクタのデザインを容易化できる。
【0117】
2.6 展開図方式のテクスチャの詳細例
図12、図13、図14に、各々、本実施形態で使用されるカラーマップテクスチャ、反射マップテクスチャ、法線マップテクスチャの詳細例を示す。これらのテクスチャは、キャラクタを構成する複数のパーツオブジェクトのうちの腕のパーツオブジェクトにマッピングされるテクスチャである。
【0118】
例えば図12のカラーマップテクスチャは、腕パーツオブジェクト(第1のパーツオブジェクト)の展開図に対応した色パターン(テクスチャ色のパターン)を有する。そして腕パーツオブジェクトの表面の色がカラーマップテクスチャのテクセルに設定される。即ち閉じた図形である立体形状の腕パーツオブジェクトを、開いた図形である展開図にした場合に、この展開図に対してマッピングされるべき色パターンを有するカラーマップテクスチャを用意する。別の言い方をすれば、腕パーツオブジェクトを包み込むようにマッピングされる1枚のカラーマップテクスチャを用意する。例えば図12のカラーマップテクスチャは、腕(広義には部位)の表の部分と裏の部分は異なる色パターンになっており、腕の下腕部分と上腕部分も異なる色パターンになっている。そしてこのように腕の各部分の色パターンが異なる展開図方式のカラーマップテクスチャを、腕パーツオブジェクトを包み込むようにマッピングする。
【0119】
例えば図17(A)の比較例の手法では、パーツオブジェクトPOBが複数のポリゴンPLにより構成される。そしてこれらの複数の各ポリゴンPLに対して、肌の模様を表すカラーマップテクスチャTEXを繰り返しマッピングすることで腕の画像を生成する。
【0120】
この比較例の手法では、テクスチャの使用記憶容量を節約できるという利点がある。しかしながら、腕の各部分での肌の模様が同じになるため、生成される画像が単調になる。従って、ポリゴンで作った人工的に見えるキャラクタ画像が生成されてしまい、プレーヤの仮想現実感を向上できない。
【0121】
これに対して図12に示すようなカラーマップテクスチャを用いれば、腕の各部分のディテール画像をカラーマップテクスチャに描くことができる。従って、図17(A)の比較例の手法に比べて、生成される腕の画像のリアル度を格段に向上できる。そして本当の人間の肌の色を持つようなリアルなキャラクタ画像を生成でき、プレーヤの仮想現実感を向上できる。
【0122】
そして本実施形態では図13に示すように、図12のカラーマップテクスチャと同様に、反射マップテクスチャについても展開図方式のテクスチャを用いている。この図13の反射マップテクスチャは、腕パーツオブジェクトの展開図に対応した反射情報パターン(マスクパターン)を有する。そして腕パーツオブジェクトの表面にマッピングすべき反射情報が反射マップテクスチャのテクセルに設定される。即ち、閉じた図形である腕パーツオブジェクトの展開図に対してマッピングされるべき反射情報パターンを有する反射マップテクスチャを用意する。別の言い方をすれば、腕パーツオブジェクトを包み込むようにマッピングされる1枚の反射マップテクスチャを用意する。例えば図13の反射マップテクスチャは、腕の表の部分と裏の部分は異なる反射情報パターンになっており、腕の下腕部分と上腕部分も異なる反射情報パターンになっている。そして、このように腕の各部分の反射情報パターンが異なる展開図方式の反射マップテクスチャを、腕パーツオブジェクトを包み込むようにマッピングする。
【0123】
例えば図17(B)の比較例の手法では、円の中心に近づくほど明るくなり、円の中心から遠ざかるほど暗くなる反射マップテクスチャを用意する。そしてハーフベクトルHと法線ベクトルLの方向が一致する場合には、円の中心付近の反射情報(反射率=1.0)がフェッチされてマッピングされる。一方、ハーフベクトルHと法線ベクトルLの方向が一致しない場合には、円の輪郭付近の反射情報(反射率=0.0)がフェッチされてマッピングされる。
【0124】
しかしながらこの比較例の手法では、ハーフベクトルHと法線ベクトルLが一致する場所にハイライトが生成されるというような単調なスペキュラ効果しか実現できない。従って、キャラクタの汗による光のスペキュラ効果を実現するのが困難となる。
【0125】
これに対して本実施形態では、腕パーツオブジェクトの各部分のうちライティング処理領域に対応する反射マップテクスチャのテクセル領域に対して、高い反射率の反射情報を描くだけで、ライティング処理領域での光のスペキュラ効果を実現できる。従って、反射マップテクスチャの反射情報パターンを変えるだけで、種々の反射パターンのスペキュラ効果を表現でき、リアルなキャラクタ画像を生成できる。例えば図12のカラーマップテクスチャにおいて、筋肉の筋を表す画像パターンを描いたとする。この場合には、図13の反射マップテクスチャにおいて、筋肉の筋を表すパターン画像に対応する領域のテクセルに対して、キャラクタの汗を表現するために、高い反射率の反射情報を書き込む。即ちカラーマップテクスチャに所与の画像パターンが描かれた場合に、反射マップテクスチャのテクセル(その画像パターンが描かれた領域に対応するテクセル)に対して、その画像パターンに対応した反射情報を書き込む。このようにすれば、キャラクタの腕の筋肉の筋に沿って例えば汗等が流れているかのように見える画像を生成できる。
【0126】
また本実施形態では図14に示すように、図12のカラーマップテクスチャや図13の反射マップテクスチャと同様に、法線マップテクスチャについても展開図方式のテクスチャを用いている。この図14の法線マップテクスチャは、腕パーツオブジェクトの展開図に対応した法線ベクトルパターン(マスクパターン)を有する。そして腕パーツオブジェクトの表面にマッピングすべき法線ベクトルが法線マップテクスチャのテクセルに設定される。即ち、展開図の図形に対してマッピングされるべき法線ベクトルパターンを有する法線マップテクスチャを用意する。別の言い方をすれば、腕パーツオブジェクトを包み込むようにマッピングされる1枚の法線マップテクスチャを用意する。そしてこのように腕の各部分の法線ベクトルパターンが異なる展開図方式の法線マップテクスチャを、腕パーツオブジェクトを包み込むようにマッピングする。
【0127】
図15に本実施形態により生成されるキャラクタの腕の画像の例を示す。図15では、キャラクタの腕の汗の光沢がリアルに表現されている。そして図11(B)の法線ベクトルNとハーフベクトルH(或いはLとR)の方向が一致すると、汗付着領域(ライティング処理領域)での汗の光沢が増し、これらのベクトルの方向が一致しなくなると、汗付着領域での汗の光沢が減るようになる。また図15では、キャラクタの筋肉の筋等にそって汗の光沢が表現される。また本実施形態では汗の凹凸を法線マップテクスチャを用いて表現しているため、平面的ではなく立体的に見える汗が表現される。
【0128】
図16に本実施形態により生成されるキャラクタの顔(頭)の画像の例を示す。図16では、キャラクタの顔のひたいや、目の下や、唇の上に汗付着領域(ライティング処理領域)が設定される。そして本実施形態では、ライティング処理部126が、これらの汗付着領域において、汗の光沢を表すためのライティング処理を行い、バンプ処理部128が、汗の凹凸を表すためのバンプ処理を、これらの汗付着領域において行う。こうすることで、これらの汗付着領域では、汗の光沢のみならず汗(肌)の凹凸も表現されるようになる。即ち、ライトにより光る汗が、あたかも肌(皮膚)の凹凸に沿って付着しているかのように見える画像を生成でき、本物の肌に汗が付着しているかのような印象をプレーヤに与えることができる。
【0129】
この点、図17(B)の手法では、ライティング処理とバンプ処理を連動させた処理を実現できないため、図16のような画像を生成することは難しい。これに対して本実施形態では、ライティング処理部126、バンプ処理部128がピクセルシェーダ部124に含まれ、これらのライティング処理部126、バンプ処理部128が、反射マップテクスチャと法線マップテクスチャを用いてピクセル単位でのライティング処理とバンプ処理を行う。従ってライティング処理とバンプ処理を連動させた処理を実現でき、図16のような汗の光沢と汗の凹凸の両方が表現された画像を生成できる。
【0130】
また図16において、例えば、目の上の隈の部分や鼻の穴の部分や顎の下の部分において、スペキュラ効果が現れると不自然な画像になる。この点、本実施形態では、これらの部分においては、Ks=0.0に設定することで、スペキュラ演算を無効にできる。従って、光源からの光がこの部分にあたったとしても、この部分では鏡面反射が生じないようになり、より自然でリアルな画像を少ない処理負荷で生成できる。
【0131】
2.7 反射マップテクスチャ
図18は反射マップテクスチャの説明図である。図18ではテクスチャ記憶部178が、反射マップテクスチャのαプレーンに、反射情報として反射率(反射係数)を記憶している。そしてライティング処理部126は、汗付着領域(ライティング処理領域)において、αプレーンの反射率で光が鏡面反射するライティング処理を行う。一方、テクスチャ記憶部178は、反射マップテクスチャの色プレーンに、反射情報として汗等の光沢色(光源色)を記憶する。例えば反射マップテクスチャのR、G、Bプレーンのテクセルに、光沢色のR、G、Bデータが記憶される。そしてライティング処理部126は、汗付着領域において、色プレーンの光沢色で光が鏡面反射するライティング処理を行う。
【0132】
図18の反射マップテクスチャによれば、αプレーンに設定される反射率を用いて、汗付着領域での光の反射の強度を制御できる。一方、R、G、Bの色プレーンに設定される光沢色に基づいて、汗により反射する色を制御できる。例えば黄色の肌を有するキャラクタでは、汗の光沢色を黄色に設定したり、白の肌のキャラクタでは、汗の光沢色を青みがかった色に設定するなどの制御が可能になる。これにより、更にリアルな画像を生成できる。
【0133】
なお図18では、反射マップテクスチャの反射情報として光沢色を設定しているが、これらの光沢色を設定せずに、反射率のみを設定するようにしてもよい。またαプレーンに設定される反射情報は反射率そのものでもあってもよいし、反射率と等価なパラメータ(マスクパラメータ)であってもよい。また反射率をR、G、Bのいずれかの色プレーンに設定する変形実施も可能である。
【0134】
2.8 法線マップテクスチャ
本実施形態ではキャラクタの汗(肌)の凹凸を表すための法線マップテクスチャに基づいて、汗付着領域(ライティング処理領域)においてバンプ処理を行っている。この場合に図19に示すように、反射マップテクスチャでは、汗付着領域において反射率Ksが高い値に設定されると共に、この法線マップテクスチャにおいても、汗付着領域において凹凸を表現する法線ベクトルに設定されている。具体的には法線マップテクスチャでは、バンプ用の法線ベクトルNBのX、Y、Z座標(頂点座標系での座標)が、各々、テクスチャのR、G、Bプレーンに記憶される。従って、法線ベクトルNBが全てZ方向を向いているような平らな面では、法線ベクトルNBのX、Y座標(R、G成分)が0になり、Z座標(B成分)だけが値を持つため、法線マップテクスチャの色は青になる。一方、図19のA1に示すように凹凸がある面では、バンプ用の法線ベクトルNBのX、Y座標が値を有するため、法線マップテクスチャの色は青とは異なる色になる。そして本実施形態では図19のA2に示すように、反射率Ksが高い値に設定されている汗付着領域において、法線ベクトルNBのX、Y座標が値を有しており、青以外の色になっている。そしてこのような法線ベクトルNBを用いてシェーディングを行うことで、A1に示すような汗の形状を疑似表現できる。これにより図15、図16に示すようなリアルな画像を生成できる。
【0135】
2.9 バンプ用法線ベクトルの座標変換
本実施形態では図20(A)に示すように、頂点シェーダ部122が、第1、第2の従法線ベクトルT、B等を、ワールド座標系に座標変換する。そしてピクセルシェーダ部124は、法線マップテクスチャにより得られた法線ベクトルNBを、第1、第2の従法線ベクトルT、Bに基づきワールド座標系に座標変換する。具体的にはバンプ用の法線ベクトルNBのX座標、Y座標をNBX、NBYとした場合に、NBX×T+NBY×Bの式で表される座標変換を行う。そしてバンプ処理部128は、座標変換後の法線ベクトルNBに基づいてバンプ処理を行う。
【0136】
例えば図20(B)に頂点座標系(接ベクトル空間)の例を示す。この頂点座標系はオブジェクトOBの頂点毎に計算した従法線ベクトルT、Bを基底ベクトルとした座標系である。この頂点座標系では、全ての頂点において、法線ベクトルはZ軸の正の方向を向く。また従法線ベクトルT(接ベクトル)はX軸に沿った方向を向き、従法線ベクトルBはY軸に沿った方向を向く。
【0137】
法線マップテクスチャを用いたバンプ処理(バンプマップ)を行う場合には、頂点シェーダ部122が、視線ベクトルEやライトベクトルLを頂点座標系(接ベクトル空間)に座標変換するのが一般的である。このようにすれば、法線マップテクスチャの法線ベクトルNBのX、Y座標をそのままテクスチャ座標U、Vとして使用できるからである。
【0138】
この点、本実施形態では頂点シェーダ部122が、視線ベクトルE、ライトベクトルL等を頂点座標系ではなくワールド座標系に座標変換して出力している。このようにワールド座標系を用いることで、これらのベクトルを用いた演算の精度を向上できる。
【0139】
しかしながら、これらのベクトルがワールド座標系のベクトルであると、法線マップテクスチャの法線ベクトルNBのX、Y座標をそのままテクスチャ座標U、Vとして使用できないという問題がある。
【0140】
そこで本実施形態では図20(A)に示すように、頂点シェーダ部122が従法線ベクトルT、Bについてもワールド座標系に変換する。そしてピクセルシェーダ部124が、法線マップテクスチャの法線ベクトルNBを、座標変換後の従法線ベクトルT、Bに基づいて、例えばNBX×T+NBY×Bの式でワールド座標系に座標変換する。このようにすれば、図14に示す法線マップテクスチャを、図12、図13のカラーマップテクスチャ、反射マップテクスチャと同様の座標系で取り扱って、キャラクタの腕パーツオブジェクトにマッピングできるようになり、処理を簡素化できる。
【0141】
2.10 詳細な処理例
次に本実施形態の詳細な処理例を図21のフローチャートを用いて説明する。
【0142】
まずキャラクタの移動・動作処理を行う(ステップS1)。具体的には、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、1フレームごとのキャラクタの位置の変化、方向の変化、動作(モーション)の変化が、リアルタイムに演算される。
【0143】
次にキャラクタと仮想カメラとの距離LCを演算する(ステップS2)。この距離LCは、キャラクタと仮想カメラの直線距離であってもよいし、奥行き距離(Z方向の距離)であってもよい。そして、距離LCが、所定距離LTH以下か否かを判断する(ステップS3)。そして距離LCが所定距離LTH以下と判断された場合には、ステップS4に移行して、頂点シェーダプログラムによる頂点シェーダ処理を開始する。そしてこの頂点シェーダ処理では、頂点法線ベクトル等を出力する(ステップS5)。具体的には例えばローカル座標系からワールド座標系に座標変換して出力レジスタに格納し、ピクセルシェーダ部124に渡す。
【0144】
次に、ピクセルシェーダ処理を開始する(ステップS6)。このピクセルシェーダ処理では、図9(A)で説明したように色制御パラメータPC=1−(N・E)を演算する(ステップS7)。具体的にはステップS5で頂点シェーダ部122が出力した頂点法線ベクトルに基づいて、各ピクセルの法線ベクトルNが求められ、この法線ベクトルNと視線ベクトルEに基づき色制御パラメータPCが求められる。
【0145】
次に、色制御パラメータPCに基づき、シルエット色SCを求める(ステップS8)。即ちシルエット色SCのR、G、B成分が、各々、SC(R)=PC×CS(R)、SC(G)=PC×CS(G)、SC(B)=PC×CS(B)というように求められる。なおCS(R)、CS(G)、CS(B)は、各々、基準色CSのR、G、B成分である。
【0146】
次に、スペキュラ色CSP、ディフューズ色CDF、アンビエント色CABを、照明モデル、光源情報等に基づき求める(ステップS9)。そして、これらのCSP、CDF、CAB、SCを加算合成して、最終的なカラーであるCOUT=CSP+CDF+CAB+SCを求める(ステップS10)。
【0147】
図21のステップS3で、距離LCが所定距離LTHよりも大きいと判断された場合には、ステップS11に移行して、頂点シェーダプログラムによる頂点シェーダ処理を開始する。そしてこの頂点シェーダ処理では、図9(B)で説明したように色制御パラメータPC=1−(NV・E)を演算する(ステップS12)。なおNVは頂点法線ベクトルである。
【0148】
次に、色制御パラメータPCに基づき、シルエット色SCを求める(ステップS13)。即ちSC(R)=PC×CS(R)、SC(G)=PC×CS(G)、SC(B)=PC×CS(B)が求められる。そして求められたシルエット色SCを、出力レジスタに格納し、ピクセルシェーダ部124に渡す。
【0149】
次に、ピクセルシェーダ処理を開始する(ステップS14)。このピクセルシェーダ処理では、スペキュラ色CSP、ディフューズ色CDF、アンビエント色CABを、照明モデル、光源情報等に基づき求める(ステップS15)。そして、求められたCSP、CDF、CABと、頂点シェーダ部122から出力されたSCを加算合成して、最終的なカラーであるCOUT=CSP+CDF+CAB+SCを求める(ステップS16)。
【0150】
3.ハードウェア構成
図22に本実施形態を実現できるハードウェア構成の例を示す。メインプロセッサ900は、DVD982(情報記憶媒体。CDでもよい。)に格納されたプログラム、通信インターフェース990を介してダウンロードされたプログラム、或いはROM950に格納されたプログラムなどに基づき動作し、ゲーム処理、画像処理、音処理などを実行する。コプロセッサ902は、メインプロセッサ900の処理を補助するものであり、マトリクス演算(ベクトル演算)を高速に実行する。例えばオブジェクトを移動させたり動作(モーション)させる物理シミュレーションに、マトリクス演算処理が必要な場合には、メインプロセッサ900上で動作するプログラムが、その処理をコプロセッサ902に指示(依頼)する。
【0151】
ジオメトリプロセッサ904は、メインプロセッサ900上で動作するプログラムからの指示に基づいて、座標変換、透視変換、光源計算、曲面生成などのジオメトリ処理を行うものであり、マトリクス演算を高速に実行する。データ伸張プロセッサ906は、圧縮された画像データや音データのデコード処理を行ったり、メインプロセッサ900のデコード処理をアクセレートする。これにより、オープニング画面やゲーム画面において、MPEG方式等で圧縮された動画像を表示できる。
【0152】
描画プロセッサ910は、ポリゴンや曲面などのプリミティブ面で構成されるオブジェクトの描画(レンダリング)処理を実行する。オブジェクトの描画の際には、メインプロセッサ900は、DMAコントローラ970を利用して、描画データを描画プロセッサ910に渡すと共に、必要であればテクスチャ記憶部924にテクスチャを転送する。すると描画プロセッサ910は、描画データやテクスチャに基づいて、Zバッファなどを利用した隠面消去を行いながら、オブジェクトをフレームバッファ922に描画する。また描画プロセッサ910は、αブレンディング(半透明処理)、デプスキューイング、ミップマッピング、フォグ処理、バイリニア・フィルタリング、トライリニア・フィルタリング、アンチエイリアシング、シェーディング処理なども行う。頂点シェーダやピクセルシェーダなどのプログラマブルシェーダが実装されている場合には、シェーダプログラムに従って、頂点データの作成・変更(更新)やピクセル(あるいはフラグメント)の描画色の決定を行う。1フレーム分の画像がフレームバッファ922に書き込まれるとその画像はディスプレイ912に表示される。
【0153】
サウンドプロセッサ930は、多チャンネルのADPCM音源などを内蔵し、BGM、効果音、音声などのゲーム音を生成し、スピーカ932を介して出力する。ゲームコントローラ942やメモリカード944からのデータはシリアルインターフェース940を介して入力される。
【0154】
ROM950にはシステムプログラムなどが格納される。業務用ゲームシステムの場合にはROM950が情報記憶媒体として機能し、ROM950に各種プログラムが格納される。なおROM950の代わりにハードディスクを利用してもよい。RAM960は各種プロセッサの作業領域となる。DMAコントローラ970は、プロセッサ、メモリ間でのDMA転送を制御する。DVDドライブ980(CDドライブでもよい。)は、プログラム、画像データ、或いは音データなどが格納されるDVD982(CDでもよい。)にアクセスする。通信インターフェース990はネットワーク(通信回線、高速シリアルバス)を介して外部との間でデータ転送を行う。
【0155】
なお本実施形態の各部(各手段)の処理は、その全てをハードウェアのみにより実現してもよいし、情報記憶媒体に格納されるプログラムや通信インターフェースを介して配信されるプログラムにより実現してもよい。或いは、ハードウェアとプログラムの両方により実現してもよい。
【0156】
そして本実施形態の各部の処理をハードウェアとプログラムの両方により実現する場合には、情報記憶媒体には、ハードウェア(コンピュータ)を本実施形態の各部として機能させるためのプログラムが格納される。より具体的には、上記プログラムが、ハードウェアである各プロセッサ902、904、906、910、930に処理を指示すると共に、必要であればデータを渡す。そして、各プロセッサ902、904、906、910、930は、その指示と渡されたデータとに基づいて本発明の各部の処理を実現する。
【0157】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(オブジェクト、ライティング処理領域、液体等)と共に記載された用語(パーツオブジェクト、液体付着領域・汗付着領域、汗等)は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0158】
また頂点シェーダ処理、ピクセルシェーダ処理、ライティング処理、バンプ処理等も本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な処理、手法も本発明の範囲に含まれる。また本発明は種々のゲームに適用できる。また本発明は、業務用ゲームシステム、家庭用ゲームシステム、多数のプレイヤが参加する大型アトラクションシステム、シミュレータ、マルチメディア端末、ゲーム画像を生成するシステムボード、携帯電話等の種々の画像生成システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本実施形態の画像生成システムの機能ブロック図の例。
【図2】図2(A)(B)は頂点シェーダ部、ピクセルシェーダ部の説明図。
【図3】図3(A)(B)は本実施形態のシルエット色のエフェクト処理の説明図。
【図4】シルエット色のエフェクト処理を施さない画像の例。
【図5】シルエット色のエフェクト処理を施した画像の例。
【図6】シルエット色のエフェクト処理を施した画像の例。
【図7】シルエット色の説明図。
【図8】図8(A)(B)はテーブルデータの例。
【図9】図9(A)(B)は仮想カメラとの距離に応じて処理を振り分ける手法の説明図。
【図10】図10(A)(B)(C)は展開図方式のテクスチャを用いる本実施形態の手法の説明図。
【図11】図11(A)(B)は本実施形態のライティング処理の説明図。
【図12】カラーマップテクスチャの例。
【図13】反射マップテクスチャの例。
【図14】法線マップテクスチャの例。
【図15】本実施形態により生成されたキャラクタの腕の画像の例。
【図16】本実施形態により生成されたキャラクタの顔の画像の例。
【図17】図17(A)(B)は比較例の手法の説明図。
【図18】反射マップテクスチャの説明図。
【図19】法線マップテクスチャの説明図。
【図20】図20(A)(B)はワールド座標系への座標変換処理の説明図。
【図21】本実施形態の処理の詳細例。
【図22】ハードウェア構成例。
【符号の説明】
【0160】
10 座標変換部、12 出力部、20 テクスチャフェッチ部、
22 ピクセル加工処理部、100 処理部、110 オブジェクト空間設定部、
112 移動・動作処理部、114 仮想カメラ制御部、116 パラメータ演算部、
118 変化処理部、120 描画部、
122 頂点シェーダ部、123 ラスタライズ処理部、124 ピクセルシェーダ部、
126 ライティング処理部、128 バンプ処理部、130 音生成部、
160 操作部、170 記憶部、172 主記憶部、174 描画バッファ、
176 モデルデータ記憶部、178 テクスチャ記憶部、
180 情報記憶媒体、190 表示部、192 音出力部、
194 携帯型情報記憶装置、196 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を生成するためのプログラムであって、
頂点単位で処理を行う頂点シェーダ部と、
ピクセル単位で処理を行うピクセルシェーダ部として、
コンピュータを機能させ、
前記頂点シェーダ部は、
オブジェクトの頂点法線ベクトルを出力し、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記頂点シェーダ部から出力された前記頂点法線ベクトルにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求め、求められた色制御パラメータに基づいて、オブジェクトの輪郭に近づくほど色が濃くなりオブジェクトの輪郭から遠ざかるほど色が薄くなるオブジェクトのシルエット色を求め、求められたシルエット色とオブジェクトの色を合成する処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記ピクセルシェーダ部は、
各ピクセルの前記法線ベクトルをNとし、前記視線ベクトルをEとし、前記シルエット色の強度パラメータをSとした場合に、1−(N・E)の項(S≧1)を含む前記色制御パラメータを求め、求められた前記色制御パラメータに基づいて前記シルエット色を求めることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項2において、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記強度パラメータSを可変に設定することを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項3において、
前記オブジェクトが配置されるオブジェクト空間の設定を行うオブジェクト空間設定部として、
コンピュータを機能させ、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記オブジェクト空間の設定に応じた値に、前記強度パラメータSを設定することを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記シルエット色の基準色をCSとした場合に、CS×{1−(N・E)}の演算を行って、シルエット色を求めることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項5において、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記基準色CSを可変に設定することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6において、
前記オブジェクトが配置されるオブジェクト空間の設定を行うオブジェクト空間設定部として、
コンピュータを機能させ、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記オブジェクト空間の設定に応じた色に、前記基準色CSを設定することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
仮想カメラと前記オブジェクトとの距離が近い場合には、
前記ピクセルシェーダ部が、
各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求めて、シルエット色を求め、
仮想カメラと前記オブジェクトとの距離が遠い場合には、
前記頂点シェーダ部が、
頂点法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求めて、シルエット色を求めることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記ピクセルシェーダ部は、
照明モデルと光源情報に基づいて、少なくともスペキュラー演算を含むライティング処理を行って、前記オブジェクトの色を求め、前記ライティング処理により得られた前記オブジェクトの色と、前記シルエット色を合成することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
テクスチャを記憶するテクスチャ記憶部として、
コンピュータを機能させ、
前記テクスチャ記憶部は、
前記オブジェクトの展開図に対応した色パターンを有し、前記オブジェクトの表面の色がテクセルに設定されるカラーマップテクスチャと、前記オブジェクトの展開図に対応した反射情報パターンを有し、反射情報がテクセルに設定される反射マップテクスチャとを記憶し、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記反射マップテクスチャのテクセルに設定された前記反射情報と、照明モデルと、光源情報に基づいて、前記オブジェクトのライティング処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10において、
前記反射マップテクスチャのテクセルのうち、前記ライティング処理が行われるライティング処理領域以外の領域に対応するテクセルでは、前記ライティング処理のスペキュラ演算を無効にする第1の値が設定され、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記反射情報が第1の値に設定されている場合に、前記スペキュラ演算を無効にすることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項10又は11において、
前記テクスチャ記憶部は、
前記オブジェクトの展開図に対応した法線ベクトルパターンを有し、法線ベクトル情報がテクセルに設定される法線マップテクスチャを記憶し、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記法線マップテクスチャに基づいて、前記オブジェクトの表面の凹凸を表すためのバンプ処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
テクスチャを記憶するテクスチャ記憶部として、
コンピュータを機能させ、
前記テクスチャ記憶部は、
前記オブジェクトの展開図に対応した色パターンを有し、前記オブジェクトの表面の色がテクセルに設定されるカラーマップテクスチャと、前記オブジェクトの展開図に対応した法線ベクトルパターンを有し、法線ベクトルの情報がテクセルに設定される法線マップテクスチャとを記憶し、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記法線マップテクスチャに基づいて、前記オブジェクトの表面の凹凸を表すためのバンプ処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項12又は13において、
前記頂点シェーダ部は、
第1、第2の従法線ベクトルをワールド座標系に座標変換し、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記法線マップテクスチャにより得られた法線ベクトルを、前記第1、第2の従法線ベクトルに基づきワールド座標系に座標変換し、座標変換後の法線ベクトルに基づいて前記バンプ処理を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項1乃至14のいずれかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項16】
画像を生成する画像生成システムであって、
頂点単位で処理を行う頂点シェーダ部と、
ピクセル単位で処理を行うピクセルシェーダ部とを含み、
前記頂点シェーダ部は、
オブジェクトの頂点法線ベクトルを出力し、
前記ピクセルシェーダ部は、
前記頂点シェーダ部から出力された前記頂点法線ベクトルにより得られた各ピクセルの法線ベクトルと、視線ベクトルとに基づいて、色制御パラメータを求め、求められた色制御パラメータに基づいて、オブジェクトの輪郭に近づくほど色が濃くなりオブジェクトの輪郭から遠ざかるほど色が薄くなるオブジェクトのシルエット色を求め、求められたシルエット色とオブジェクトの色を合成する処理を行うことを特徴とする画像生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−226576(P2007−226576A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47512(P2006−47512)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】