説明

プロジェクタ、プロジェクタの制御方法及び制御プログラム

【課題】プロジェクタに装着された光源の種別、経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制する。
【解決手段】プロジェクタ10は、入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するに際して、装着された光源の種別及び光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行う。前記光源の種別および前記光源の色温度に対応づけて、色補正データを記憶した所定の色補正プロファイルを記憶する記憶部と、前記色補正プロファイルを参照して、色補正を行う色補正部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ、プロジェクタの制御方法及び制御プログラムに係り、特にプロジェクタが内蔵する光源種別、光源の劣化に基づく投影画像の色変化を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像をスクリーンなどに投影して表示するプロジェクタ(投写型画像表示装置)においては、画像を投影するための光源の経時変化に伴い、光量低下などの輝度劣化が生じ、ひいては、画質も低下してしまうと言うことが問題となっていた(例えば、特許文献1参照)。
また、プロジェクタにおいては、光源として、ランプ、LED、白色レーザなどを用いることが提案されているが、いずれの光源であっても、同様の問題が生じ、経時変化などにより劣化が生じ、表現可能な色空間、ひいては、ホワイトバランスが徐々に変化することとなっていた。
【特許文献1】特開2005−241708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、経時変化により劣化が生じた光源は、明るさも低下するため、プロジェクタのユーザは、強制的に明るさを上げる操作を行うこととなり、さらにホワイトバランスが崩れることとなっていた。
さらにプロジェクタにおいて、複数種類の光源に対応しようとすると、光源種別および経時変化の双方を考慮して投射画像の色変化を抑制することが要求される。
そこで、本発明の目的は、プロジェクタに装着された光源の種別、光源の経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制した画像を投射することが可能なプロジェクタ、プロジェクタの制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の第1態様は、入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するプロジェクタであって、装着された光源の種別及び光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、プロジェクタは、装着された光源の種別及び光源の色温度に基づいて、画像信号に対応する画像の色補正を行うので、光源の種別、経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制してより好適な画像を投射することができる。
【0005】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記光源の種別および前記光源の色温度に対応づけて、色補正データを記憶した所定の色補正プロファイルを記憶する記憶部と、前記色補正プロファイルを参照して、色補正を行う色補正部と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、記憶部は、前記光源の種別および前記光源の色温度に対応づけて、色補正データを記憶した所定の色補正プロファイルを記憶する。
これにより色補正部は、記憶部の色補正プロファイルを参照して、色補正を行う。
したがって、容易に、光源の種別、経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制した画像を投射することができる。
【0006】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記光源の色温度を計測する色温度計測部を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、色温度計測部は、光源の色温度を計測するので、確実に実際の光源の色温度に応じた色温度補正を行った画像を投射することができる。
【0007】
本発明の第4の態様は、第1の態様ないし第3の態様のいずれかにおいて、前記装着された光源種別を判別する光源種別判別部を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、光源種別判別部は装着された光源種別を判別するので、ユーザの設定忘れや、設定ミスにより正しい色補正が行えなくなることを防止でき、確実に実際の光源の種別に応じた色温度補正を行った画像を投射することができる。
【0008】
本発明の第5の態様は、第1の態様ないし第4の態様のいずれかにおいて、前記色補正は、少なくともホワイトバランス補正を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、光源に対するホワイトバランス調整が行われるので、より光源種別や経時変化の影響を低減して、より実際の色に近い投射画像を得ることができる。
【0009】
本発明の第6の態様は、第1の態様ないし第5の態様のいずれかにおいて、前記プロジェクタはタイマーを有し、所定の稼動時間間隔で前記色補正を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制してより好適な画像を投射することができる。またタイマーを不要とするように、電源オン時や電源オフ時に色補正を行ってもよい。
本発明の第7の態様は、入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するプロジェクタを制御するプロジェクタの制御方法であって、装着された光源の種別及び光源の色温度を判別する判別過程と、判別した前記光源の種別及び前記光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行う色補正過程と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、プロジェクタは、装着された光源の種別及び光源の色温度に基づいて、画像信号に対応する画像の色補正を行うので、光源の種別、経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制してより好適な画像を投射することができる。
【0010】
本発明の第8の態様は、入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するプロジェクタをコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、前記コンピュータに、当該プロジェクタに装着された光源の種別及び光源の色温度を判別させる機能と、判別した前記光源の種別及び前記光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行わせる機能と、を実現させることを特徴としている。
上記構成によれば、プロジェクタは、装着された光源の種別及び光源の色温度に基づいて、画像信号に対応する画像の色補正を行うので、光源の種別、経時変化に伴う投射画像の色変化を抑制してより好適な画像を投射することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光源の種別および光源の経時変化の影響を低減し、これらに伴う投射画像の色変化を抑制してより好適な画像を投影できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用した実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクタシステムの概略構成を示すブロック図である。
プロジェクタシステム1は、画像信号を出力する画像供給装置2と、画像供給装置2から出力された画像信号に基づいて画像を投写するプロジェクタ10とを備えて構成される。プロジェクタシステム1によって投写される画像は、静止画像および動画像のどちらでもよく、以下の説明における画像とは、静止画像と動画像の双方を含むものとする。
プロジェクタ10は、プロジェクタ10の各部を制御する制御部11を備え、この制御部11は、記憶部12に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、プロジェクタ10の各種機能を実現する。
【0013】
ここで、制御部11および記憶部12の構成について説明する。
図2は、制御部および記憶部の概要構成ブロック図である。
制御部11は、当該制御部全体を制御するMPU41と、基本制御プログラムなどの各種データを不揮発的に記憶するROM42と、各種データを一時的に記憶するRAM43と、画像信号処理部21および光源種別センサ30を含む外部回路との間のインタフェース動作を行うインタフェース(I/F)部44と、後述の色温度センサ29からの温度検出信号のアナログ/ディジタル変換を行うA/D変換部45と、を備えている。
さらにプロジェクタ10は、ユーザにより操作されるスイッチやボタン等の操作子を備えた操作パネル13と、操作パネル13における操作に従って操作信号を生成して制御部11に出力する操作信号処理部14とを備えている。また、操作信号処理部14は、ユーザが操作するリモコン3が送信する無線信号を受信して、リモコン3における操作を検出する機能を備え、リモコン3の操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。
【0014】
記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラムを記憶するとともに、プロジェクタ10の動作に関する各種の設定値等を記憶する。さらに記憶部12は、n個(nは、2以上の自然数)の色温度−色補正プロファイル46−1〜46−nを備えた色温度−色補正テーブル記憶部47を有している。
図3は、色温度−色補正プロファイルの概要構成説明図である。
色温度−色補正プロファイル46−X(X:1〜n)は、光源の種別を表す光源種別データ51と、色温度を表す色温度データ52と、光源種別データ51で表される光源において色温度データ52で表される色温度が検出された場合に、画像信号処理部21においてホワイトバランス調整を行うために色補正をおこなうための色補正データ(ガンマ補正データ、カラートーンカーブ補正データなど)を記憶する色補正データ53と、を備えている。
【0015】
また、プロジェクタ10は、図1に示すように、制御部11の制御に従って画像信号を処理する画像信号処理部21、OSD処理部22、および、台形歪補正部23を有する画像処理部を備える。
さらに、プロジェクタ10は、発光体を備えた光源31と、光源31が発した光を変調する光変調手段としての液晶ライトバルブ32と、液晶ライトバルブ32を透過した光を図示しないスクリーンに向けて投写する投射レンズ33と、を有する光学系を備えている。また、プロジェクタ10は、液晶ライトバルブ32を駆動する変調制御手段としての液晶ライトバルブ駆動部24、投射レンズ33を駆動してフォーカス調整を行うフォーカス制御部25、および投射レンズ33を駆動してズーム調整を行うズーム制御手段としてのズーム制御部26を含む光学駆動部を備える。
さらにまた、プロジェクタ10は、プロジェクタ10の設置角度を検出する設置角度検出部27、距離測定部28、光源31の色温度を検出する色温度センサ29および光源31の種別を検出するための光源種別センサ30を含むセンサ部を備えている。
【0016】
画像信号処理部21は、制御部11の制御に従い、画像供給装置2から入力される画像信号のA/D変換処理、画像信号の解像度を液晶ライトバルブ32の解像度に合わせる解像度変換処理、光源31の種類の変更および経時変化に伴う色温度の変化を補正するための色補正等の各種処理を施してディジタルの画像データを生成し、OSD処理部22に出力する。
OSD処理部22は、プロジェクタ10の動作状態を表す文字や記号、或いは、画質調整等を行う際のメニュー画像等のOSD(On Screen Display)画像を、画像信号処理部21から入力される画像データに重畳した合成画像データを生成し、台形歪補正部23に出力する。
【0017】
台形歪補正部23は、図示しないスクリーンに対してプロジェクタ10を傾けた状態で投写(あおり投写)した場合に生じる歪み(以下、台形歪みと呼ぶ)を補正する。具体的には、台形歪補正部23から入力される合成画像データを、台形歪みを補償する形状で液晶ライトバルブ32に表示させるため、合成画像データの表示形状を変形させる。そして、台形歪補正部23は、処理後の合成画像データを液晶ライトバルブ駆動部24に出力する。
液晶ライトバルブ駆動部24は、台形歪補正部23から入力される合成画像データに基づいて、液晶ライトバルブ32の透過型液晶パネル上に画像を表示させる。
【0018】
フォーカス制御部25は、制御部11の制御に従って投射レンズ33のフォーカス機構(図示略)を動作させ、フォーカス調整を行う。具体的には、投射レンズ33を構成するフォーカスレンズを光軸方向に移動させることにより、フォーカス状態を調整する。フォーカス制御部25は、フォーカスの調整量、即ちフォーカスレンズの移動量(フォーカス量)を検出することも可能であり、この場合、検出したフォーカス量を制御部11に出力する。フォーカス量の検出は、フォーカスレンズを光軸方向に移動させる回転カム機構(図示略)の回転量を検出するロータリエンコーダやポテンショメータ等の検出機構を利用することで、実現可能である。或いは、フォーカス機構の駆動源であるステッピングモータのステップ数に基づいてフォーカス量を検出してもよい。
【0019】
また、ズーム制御部26は、制御部11の制御に従って投射レンズ33が備えるズーム機構(図示略)を動作させ、ズームレンズを光軸に沿って移動させることにより、投写時の拡大・縮小倍率(以下、ズーム率と呼ぶ)を変化させ、制御部11により指定されたズーム率で画像を投写させる。また、ズーム制御部26は、焦点距離、即ちズームレンズの移動量(ズーム量)を検出するズーム量検出部としても機能し、検出したズーム量を制御部11に出力する。ズーム量を検出する方法としては、フォーカス量を検出する方法と同様、ズームレンズを光軸方向に移動させるための回転カム機構(図示略)の回転量を検出するロータリエンコーダやポテンショメータ等の検出機構を利用することで、実現可能である。或いは、ズーム機構の駆動源であるステッピングモータのステップ数に基づいてフォーカス量を検出してもよい。
【0020】
本実施形態のプロジェクタ10は、ユーザが操作パネル13やリモコン3に備えた操作子を操作することで、フォーカス量やズーム量を増減させる手動調整機能と、フォーカス量やズーム量の変更を自動的に行うオートフォーカス機能およびオートズーム機能とを備えている。
オートフォーカス機能は、投写画像が最適なフォーカス状態(合焦状態)となるように、図示しないスクリーンまでの距離に応じてフォーカス量を自動的に変更するものである。このオートフォーカス機能の実行時、制御部11は、距離測定部28によって測定された投写距離に基づいてフォーカス制御部25を制御し、フォーカス量を変更する。
一方、オートズーム機能は、ユーザが指定したサイズで画像を投写するため、ズーム率を変更する機能である。このオートズーム機能の実行時、制御部11は、リモコン3または操作パネル13の操作によって指定されたサイズで画像を投写するために必要なズーム量を算出し、算出したズーム量をズーム制御部26に出力して、投射レンズ33を駆動させる。
【0021】
設置角度検出部27は、例えば、加速度センサやジャイロセンサ等を用い、プロジェクタ10の設置面と重力方向との角度差を検出する方法等により、プロジェクタ10の設置角度、すなわちあおり角を検出する。このあおり角は、プロジェクタ10が投写する光の光軸と、図示しないスクリーンに対して垂直な平面とがなす角の大きさに等しく、このあおり角の大きさから、プロジェクタ10の光の光軸と図示しないスクリーンの投写面とがなす角を求めることができる。換言すれば、設置角度検出部27は、プロジェクタ10の設置角度を検出することで、間接的に、図示しないスクリーンの投写面に対するプロジェクタ10が投写する光の光軸の傾きを検出する。これは、プロジェクタ10が水平面に設置され、かつ、図示しないスクリーンの投写面が鉛直方向に設置された場合に限らない。プロジェクタ10の設置面と図示しないスクリーンの角度が既知であれば、どのような場合も図示しないスクリーンの投写面に対するプロジェクタ10が投写する光の光軸の傾きを検出できる。
【0022】
距離検出手段としての距離測定部28は、プロジェクタ10の基準位置、すなわち投射レンズ33または液晶ライトバルブ32から、図示しないスクリーンの投写面までの距離を測定し、測定した結果を制御部11に出力する。距離測定部28が距離を測定する方法としては、赤外線または超音波を図示しないスクリーンに出射して、反射光または反射音波を検出し、検出強度・反射時間を計測することで距離を測定する赤外線方式または超音波方式を利用することができる。
【0023】
色温度センサ29は、CIE(国際照明委員会)で定義される人間の色に対する感覚とほぼ等価の特性を有するセンサであり、このセンサの出力から制御部11は、CIEのxy色度座標値を算出し、得られたxy色度座標値をさらにuv色度座標値に変換し、uv色度座標値のuv色度グラフにおける黒体温度軌跡上の最短距離の点を求め、この点の絶対温度を光源31の相関色温度(色温度)としている。また、簡易的には、色温度センサ29を赤色領域および青色領域の光強度を検出するセンサとして構成し、これらの光強度比を求めて色温度を算出するようにしてもよい。
光源種別センサ30は、例えば、光源31の種別に応じて予め所定部位に形成したけい状の差(例えば、所定部位に形成する突起あるいは凹部の数、形状など)を検出するマイクロスイッチ(群)などにより構成され、装着された光源31の種別に応じた検出信号を出力する。
【0024】
光源31は、例えば、LED、レーザ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等のランプその他の発光体を備えて構成される。
液晶ライトバルブ32は、複数の画素をマトリクス状に配置した透過型液晶パネルにより構成される。液晶ライトバルブ32は、液晶ライトバルブ駆動部24によって駆動され、マトリクス状に配置された各画素における光の透過率を変化させることにより、画像を構成する。
【0025】
ここで、プロジェクタ10が3LCD式プロジェクタとして構成されている場合、R、G、Bの3色に対応する3枚の液晶ライトバルブ32、光源31の光の分配および集光をするプリズム等が配設される。本実施形態では、理解の便宜を図るため、あくまで一例として、1枚の液晶ライトバルブ32を備えた構成について説明する。
投射レンズ33は、1または複数のレンズからなるレンズ群を組み合わせて構成され、フォーカス制御部25によって駆動されることでフォーカス調整を実行可能な構成を有する。また、投射レンズ33は、ズーム制御部26によって駆動され、液晶ライトバルブ32を透過した光を拡大または縮小可能な構成を有する。
なお、このプロジェクタ10の光学系は、光源31、液晶ライトバルブ32および投射レンズ33の他、配光を調整するレンズアレイ、偏光を調整する偏光調整素子、ミラー、プリズム、防塵ガラス等を含む構成としてもよいが、ここで図示および説明を省略する。
【0026】
図4は、プロジェクタの動作処理フローチャートである。
制御部11のMPU41は、プロジェクタ10の電源がオンされると(ステップS11)、インタフェース(I/F)部44を介して入力された光源種別センサ30の出力データに基づいて、現在光源31として装着されている光源の種別を判別する(ステップS12)。
【0027】
続いて、ステップS12の判別結果に基づいて、MPU41は、装着されている光源31の種類に応じた点灯処理を行って、光源31を点灯する(ステップS13)。この場合において、MPU41は、少なくとも色温度計測が終わるまでは、ユーザによる明るさ(輝度)調整操作を無効にするように設定する。これは、明るさ調整が行われると光源31の色温度が変化してしまうからである。
【0028】
続いてMPU41は、光源31の種類に応じた光源安定時間が経過したか否かを判別する(ステップS14)。これは、光源31の色温度は、光源が安定するまで変化するので、光源31の動作が安定してから色温度を測定する必要があるからである。
ステップS14の判別において、未だ光源安定時間が経過していない場合には(ステップS14;No)、MPU41は、待機状態となる。
ステップS14の判別において、光源安定時間が経過した場合には(ステップS14;Yes)、MPU41は、A/D変換部45を介して色温度センサ29の出力信号を色温度データとして受信し、色温度を計測することとなる(ステップS15)。
【0029】
続いて、MPU41は、ステップS12で判別した光源種別およびステップS15で計測した色温度に基づいて、記憶部12の色温度−色補正テーブル記憶部を参照し、光源種別および色温度に対応するいずれかの色温度−色補正プロファイル46−X(X:1〜n)を読み出す(ステップS16)。
続いて、MPU41は、読み出した色温度−色補正プロファイル46−Xに含まれる色補正データ53に基づいて、インタフェース部44を介して画像信号処理部21で行うべき色補正設定を行う(ステップS17)。具体的には、ガンマカーブの補正量や、R、G、Bそれぞれのカラートーンカーブ補正量等を設定する。
さらにMPU41は、画像投影処理を制御することとなる(ステップS18)。
【0030】
ここで、画像投影処理について説明する。
続いて、制御部11のMPU41は、設置角度検出部27を制御してプロジェクタ10本体の設置角度、すなわち光軸のあおり角を検出し、距離測定部28を制御してプロジェクタ10からスクリーンの投写面までの距離を測定・検出する。ここで、MPU41は、プロジェクタ10からスクリーンの投写面までの距離に対応するフォーカスの調整値を算出してフォーカス制御部25を制御し、投射レンズ33のフォーカス機構(図示略)を駆動させて、フォーカス調整を行う。
【0031】
次に、制御部11のMPU41は、リモコン3あるいは操作パネル13の操作状態に応じて算出したズーム率をズーム制御部26に出力して設定し、このズーム率に合わせてズーム制御部26によって投射レンズ33を駆動させる。さらにMPU41は、台形歪補正部23によって合成画像データの台形歪補正を行わせる。
【0032】
そして、MPU41は、画像供給装置2から入力された画像信号を画像信号処理部21により処理させる。
画像信号処理部21は、MPU41の制御に従い、画像供給装置2から入力される画像信号のA/D変換処理、解像度変換処理、光源31の種類の変更および経時変化に伴う色温度の変化を補正するための色補正を含む各種処理を施してディジタルの画像データを生成し、OSD処理部22に出力する。
これにより、OSD処理部22は、OSD画像を、画像信号処理部21から入力される画像データに重畳した合成画像データを生成し、台形歪補正部23に出力し、台形歪補正部23は、上述した台形歪補正を行った合成画像データを液晶ライトバルブ駆動部24に出力する。
【0033】
この結果、光源31を出射した光は、液晶ライトバルブ32を透過し、投射レンズ33を介してスクリーン上に画像を投影することとなるが、合成画像データには、上述したように、光源31の種類の変更および経時変化に伴う色温度の変化を補正するための色補正が施されているため、投影される画像は、より正しい色合い(少なくともより正しいホワイトバランス)を有する画像となることとなる。
【0034】
以上の説明のように、本実施形態によれば、光源が変更されたとしても、光源の種別に応じた色補正を行っているため、光源の種別の変更による影響を低減して、常により好適な色合いの画像を投影することが可能となる。
また、光源の経時変化に対しても、経時変化状態に応じた色補正を行っているため、光源の経時変化の影響も低減して、常により好適な色合いの画像を投影することが可能となる。
【0035】
以上の説明においては、電源のオン時(電源投入時)に色補正を行うようにしていたが、プロジェクタにタイマーを設け、所定の稼動時間間隔で色補正を行うように構成することも可能である。この構成によれば、色補正処理の頻度を低減しつつ、色補正を的確なタイミングで行うことができ、プロジェクタの性能維持を確実に行える。
この場合において、さらにこのタイマーに設定する稼働時間間隔を総稼働時間に応じて変更可能に構成することも可能である。この構成によれば、総稼働時間がある時間を超えると急激に色温度が変化するような光源を用いる場合にも容易に対応することが可能となる。
【0036】
また、電源のオフ時(電源遮断時)に、電源遮断に先立って同様の処理を行うように構成することも可能である。この構成によれば、電源のオン時には、直ちにプロジェクタを起動するため、ユーザの使い勝手が向上する。
以上の説明においては、光源31に流す電流あるいは印加する電圧については、あまり考慮していなかったが、色温度−色補正プロファイル46−Xに光源31に流す電流あるいは印加する電圧に関する情報も含め、流す電流あるいは印加電圧を検出して、色補正を行うようにすれば、これらの影響も受けずに常に最適な色合いの画像を投影することができる。
以上の説明においては、光源種別を自動的に判別する場合について説明したが、光源種別をユーザが予め設定するように構成することも可能である。
【0037】
また、以上の説明においては、プロジェクタ10の機能を実現するための制御プログラムが記憶部12に記憶されている場合について述べたが、この制御プログラムをRAM、ROM等の半導体記録媒体、FD、HD等の磁気記憶型記録媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記録媒体、MO等の磁気記録型/光学的読取方式記録媒体に記録することが可能であり、この記録媒体は、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であれば、どのような記録媒体であってもよい。
【0038】
そして、これらの記録媒体に記録された制御プログラムを制御部11によって読み取って実行することにより、さらに、プロジェクタ10において、通信インタフェースとしてのネットワークインタフェースを設け、このネットワークインタフェースからネットワークを介して制御プログラムをダウンロードして実行することにより、上述した機能を実現する構成としてもよい。また、画像供給装置2にネットワークインタフェースを設け、このこのネットワークインタフェースからネットワークを介して画像データをダウンロードしてプロジェクタ10に出力する構成としてもよく、その他の具体的な構成についても、本発明の主旨を損なうことのない範囲において任意に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係るプロジェクタシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】制御部および記憶部の概要構成ブロック図である。
【図3】色温度−色補正プロファイルの概要構成説明図である。
【図4】プロジェクタの動作処理フローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1…プロジェクタシステム、2…画像供給装置、3…リモコン、10…プロジェクタ、11…制御部、12…記憶部、13…操作パネル、14…操作信号処理部、21…画像信号処理部、22…OSD処理部、23…台形歪補正部、24…液晶ライトバルブ駆動部、25…フォーカス制御部、26…ズーム制御部、27…設置角度検出部、28…距離測定部、29…色温度センサ、30…光源種別センサ、31…光源、32…液晶ライトバルブ、33…投射レンズ、41…MPU、46−1〜46−n…色温度−色補正プロファイル、47…色温度−色補正テーブル記憶部、51…光源種別データ、52…色温度データ、53…色補正データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するプロジェクタであって、
装着された光源の種別及び光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行うことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1記載のプロジェクタにおいて、
前記光源の種別および前記光源の色温度に対応づけて、色補正データを記憶した所定の色補正プロファイルを記憶する記憶部と、
前記色補正プロファイルを参照して、色補正を行う色補正部と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のプロジェクタにおいて、
前記光源の色温度を計測する色温度計測部を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記装着された光源種別を判別する光源種別判別部を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記色補正は、少なくともホワイトバランス補正を含むことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記プロジェクタはタイマーを有し、所定の稼動時間間隔で前記色補正を行うことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するプロジェクタを制御するプロジェクタの制御方法であって、
装着された光源の種別及び光源の色温度を判別する判別過程と、
判別した前記光源の種別及び前記光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行う色補正過程と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタの制御方法。
【請求項8】
入力された画像信号に基づく画像を投射して表示するプロジェクタをコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
当該プロジェクタに装着された光源の種別及び光源の色温度を判別させる機能と、
判別した前記光源の種別及び前記光源の色温度に基づいて、前記画像信号に対応する画像の色補正を行わせる機能と、
を実現させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−39047(P2010−39047A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199623(P2008−199623)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】