説明

プロジェクタ及びプロジェクタにおける画像表示方法

【課題】データ量を抑えつつ視認性の高い動画像の表示を可能とする。
【解決手段】3つの光変調素子で変調された各色光を合成して第1画像光として射出する
第1画像形成手段100と、3つの光変調素子で変調された各色光を合成して第2画像光
として射出する第2画像形成手段200と、前記第1及び第2画像光を合成する偏光合成
光学系300と、合成された画像光を投射する投射光学系400とを有するプロジェクタ
であって、第1及び第2画像形成手段に設けられる合計6つの光変調素子うち、4つの光
変調素子が緑色光源G1〜G4に対応する光変調素子、2つの光変調素子が赤色光源R及
び青色光源Bに対応する光変調素子であって、前記緑色光に対応する4つの光変調素子で
変調された各色光が前記画像データの各フレーム内において所定時間だけずれて順次射出
されるように光源及び前記緑色光に対応する4つの光変調素子を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロジェクタ及びプロジェクタにおける画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタは大画面画像の表示が容易に行えることからプレゼンテーション用や映画
などの投射装置として広い分野で使用されている。一方、最近では、画像入力機器として
のデジタルカメラなどは、ますます高解像度化され高精細な画像の取得が可能となってい
る。このような高解像度の画像入力機器によって取得された画像を表示する画像出力機器
としてのプロジェクタは、デジタルカメラなどに比べて解像度が低いという課題もある。
【0003】
これを解決するための手段として、2つのプロジェクタを用いて同一画像を1つのスク
リーン(投射面)に、例えば、1/2画素ずつ画素ずらしを行ってスタック投射する方法
が知られている。このようにしてスタック投射された画像光は輝度がほぼ2倍となり、ま
た、解像度も投射画像の縦方向及び横方向においてそれぞれ2倍となるので、明るく高精
細な画像を表示させることができる。
【0004】
しかしながら、上記のようなスタック投射を行う場合、2つのプロジェクタからの投射
画像を画素ずらしした状態で正しく重畳させることは容易ではない。2つのプロジェクタ
からの画像光が正しく重畳されないと、投射画像の画像品質が低下する。
【0005】
このような問題を解決することが可能なプロジェクタとして、2系統の画像形成手段と
1つの投射光学系とを有するプロジェクタが提案されている。2系統の画像形成手段と1
つの投射光学系とを有するプロジェクタは、2系統の画像形成手段(第1画像形成手段及
び第2画像形成手段という)から射出されたそれぞれの画像光を合成する偏光合成光学系
と、偏光合成光学系で合成された画像光を投射面としてのスクリーンに投射する投射光学
系とを有する。
【0006】
このようなプロジェクタにおいて、第1画像形成手段から射出される画像光と第2画像
形成手段から射出される画像光とが1/2画素ずつすれるように、予め設定してその状態
で固定しておけば、高精度な画素ずらしが可能となる。
【0007】
また、光変調素子として液晶を用いたプロジェクタは、液晶の応答速度などにやや問題
があり動画の視認性という点で改善の余地がある。動画の視認性を高めるための技術とし
ては、例えば、表示すべき画像データから中間画像を生成して、高フレームレートで画像
を表示させることにより、動画の視認性を向上させる技術が提案されている(例えば、特
許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−69961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に開示された技術(従来技術という)は、中間画像を生成すること
によって高フレームレートの画像データを生成し、それによって、滑らかな動画像の表示
を可能とする技術である。
【0010】
しかしながら、中間画像を生成する際にRGBそれぞれの画像データに対する中間画像
を生成する場合、RGBそれぞれの画像データについて中間画像の生成を行う必要があり
、中間画像を生成するための演算量がきわめて多く、また、データ量が膨大になるといっ
た問題がある。
【0011】
そこで本発明は、動画像のデータ量を抑えつつ、視認性の高い動画像の表示を可能とす
るプロジェクタ及びプロジェクタにおける画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のプロジェクタは、光源からの色光を画像データに基づいて変調する3つの光変
調素子を有し、当該3つの光変調素子で変調された各色光を合成して第1画像光として射
出する第1画像形成手段と、光源からの色光を画像データに基づいて変調する3つの光変
調素子を有し、当該3つの光変調素子で変調された各色光を合成して第2画像光として射
出する第2画像形成手段と、前記第1画像形成手段及び第2画像形成手段から射出される
前記第1画像光及び第2画像光を合成する偏光合成光学系と、前記偏光合成光学系で合成
された画像光を投射面に投射する投射光学系と、前記第1画像形成手段及び第2画像形成
手段に設けられる合計6つの光変調素子を制御する機能及び前記光源を制御する機能を有
する画像表示制御部とを有するプロジェクタであって、前記6つの光変調素子うち、4つ
の光変調素子が緑色光に対応する光変調素子、残りの2つの光変調素子が赤色光及び青色
光に対応する光変調素子であり、前記画像表示制御部は、前記緑色光に対応する4つの光
変調素子で変調された各色光が前記画像データの各フレーム内において所定時間だけずれ
て順次射出されるように前記光源及び前記緑色光に対応する4つの光変調素子を制御する
ことを特徴とする。
【0013】
本発明のプロジェクタは、2系統の画像形成手段(第1画像形成手段及び第2画像形成
手段)と1つの投射光学系とを有するプロジェクタであって、このような構成を有するプ
ロジェクタにおいて、6個の光変調素子うち、4つの光変調素子を緑色光に対応する光変
調素子として用い、残りの2つの光変調素子を赤色光及び青色光に対応する光変調素子と
して用いるものである。そして、4つの光変調素子で変調された各色光が画像データの各
フレーム内において所定時間だけずれて射出されるように前記光源及び前記4つの光変調
素子を制御するようにしている。このような制御を行うことにより、人間の目に敏感な緑
色に対応する画像データのフレームレートを高くすることができ、視認性の高い動画像の
表示を可能とする。
【0014】
また、緑色光に対応する4つの光変調素子のうちの3つの光変調素子に与える画像デー
は、各フレームにおいて、当該フレームの画像データと次のフレームの画像データとから
中間画像をそれぞれ生成して、生成した中間画像を与えることが好ましい。なお、中間画
像の生成は、動きベクトルに基づいて生成するなど、一般的に行われている各種の中間画
像生成技術を採用することができる。また、中間画像を生成する処理は、緑色について行
えばよいので、RGBそれぞれについて中間画像を生成する場合に比べて、演算量を大幅
に削減することができる。
【0015】
本発明のプロジェクタにおいて、前記所定時間は、前記画像データの各フレームに対応
する時間の1/4の時間であることが好ましい。
このように、緑色光に対応する4つの光変調素子で変調された各色光が画像データの各
フレーム内において1/4フレームに対応する時間だけずれるように設定することにより
、緑色光に対応する画像データのフレームレートを赤色光および青色光に対応する画像デ
ータの4倍とすることができる。このように、人間の目に敏感な緑色光に対応する画像デ
ータのフレームレートを高くすることにより、視認性の高い動画像の表示が可能となる。
【0016】
本発明のプロジェクタにおいて、前記光源は、前記赤色光、緑色光及び青色光を発光す
る固体光源であることが好ましい。
光源としてRGBの各色を発光する固体光源(例えばLEDなど)を用いることにより
、光源の点灯及び消灯の切り替え動作を素早く行うことができるので、本発明を容易に実
現することができる。また、ダイクロイックミラーやリレーレンズなどを不要とすること
ができ、光学系の構成を簡素化することができるといった効果も得られる。
【0017】
本発明のプロジェクタにおいて、前記緑色光に対応する4つの光変調素子を第1〜第4
光変調素子としたとき、前記第1画像形成手段は、前記第1〜第4光変調素子のうちの第
1及び第2光変調素子と赤色光に対応する光変調素子で構成され、前記第2画像形成手段
は、第3及び第4光変調素子と青色光に対応する光変調素子で構成されることが好ましい

これは、緑色光に対応する4つの光変調素子を第1画像形成手段及び第2画像形成手段
のそれぞれに2つずつ割り当てるような構成としたものであり、このような構成とするこ
とにより、本発明のプロジェクタを実現することができる。
【0018】
本発明のプロジェクタにおいて、前記緑色光を、青色光に近い側の波長帯域を有する第
1緑色光と黄色光に近い側の波長帯域を有する第2緑色光との2種類の緑色光として使用
し、前記第1画像形成手段の前記第1光変調素子と前記第2画像形成手段の前記第3光変
調素子には前記第1緑色光を与え、前記第1画像形成手段の前記第2光変調素子と前記第
2画像形成手段の前記第4光変調素子には前記第2緑色光を与えることが好ましい。
【0019】
このように、緑色光として波長帯域の異なる2種類の緑色光を使用することにより、合
成光学系として一般的なクロスダイクロイックプリズムを使用することができる。なお、
緑色光の波長帯域は、約500nm〜565nmであって、このような波長帯域のうちの
500nm〜532nmの波長帯域の緑色光を第1緑色光、533nm〜565nmの波
長帯域の緑色光を第2緑色光とすることが一例として挙げられる。
【0020】
本発明のプロジェクタにおいて、前記第1緑色光及び第2緑色光は、前記画像データの
各フレームに対応する時間内において、前記第1緑色光と第2緑色光とが重複する時間を
有して前記第1〜第4光変調素子に時間をずらして順次与えられることが好ましい。
【0021】
このように、第1緑色光を発光する緑色光源と第2緑色光を発光する緑色光源とを同時
に点灯させるのは、人の目に緑色が2種類の緑色として視認されてしまうのを防止するた
めである。すなわち、緑色光を2種類の緑色光として使用することにより、合成光学系と
して一般的なクロスダイクロイックプリズムの使用が可能となる反面、人の目に緑色が2
種類の緑色として視認されてしまう可能性があるので、それを防止するために、第1緑色
光を発光する緑色光源と第2緑色光を発光する緑色光源を同時に点灯させるようにしてい
る。また、この場合、緑色光に対応する2つの光変調素子からの画像が重複して投射され
る時間が存在するので、緑色を明るく表示することができ、明るさを重視する画像に好適
なものとなる。
【0022】
本発明のプロジェクタにおいて、前記画像表示制御部は、前記第1緑色光または第2緑
色光が発光を開始する時間より前に前記第1〜第4光変調素が駆動を開始するように前記
前記第1〜第4光変調素子を制御することが好ましい。
これは、光変調素子が液晶を用いた光変調素子である場合、液晶の安定動作期間に緑色
光を光変調素子に与えることができるようにするためである。このように、緑色光を光変
調素子の安定動作期間に与えることによって、画質を向上させることができる。
【0023】
本発明のプロジェクタにおいて、前記緑色光に対応する4つの光変調素子を第1〜第4
光変調素子としたとき、前記第1画像形成手段は、前記第1〜第4光変調素子のうちの第
1〜第3光変調素子で構成され、第2画像形成手段は、第4光変調素子と、前記赤色光に
対応する光変調素子と、前記青色光に対応する光変調素子とで構成されることもまた好ま
しい。
これは、緑色光に対応する4つの光変調素子のうち3つの光変調素子を第1画像形成手
段に割り当て、残りの1つの光変調素子を第2画像形成手段に割り当てるような構成とし
たものであり、このような構成とすることによっても本発明のプロジェクタを実現するこ
とができる。なお、この場合、各緑色光は、約500nm〜565nmの波長帯域を有す
る単色の緑色光を使用する。
【0024】
本発明のプロジェクタにおいて、前記緑色光は、前記投射すべき画像データの各フレー
ムに対応する時間内において、時間をずらして重複することなく前記第1〜第4光変調素
子に順次与えられることが好ましい。
これは、各緑色光を約500nm〜565nmの波長帯域を有する単色の緑色光とする
ことにより可能となるものである。また、各緑色光に対応する画像が重複しないで表示さ
れるので、高画質な画像を表示させることができる。
【0025】
本発明のプロジェクタにおいて、前記画像表示制御部は、前記緑色光が発光を開始する
時間より前に前記第1〜第4光変調素子が駆動を開始するように前記前記第1〜第4光変
調素子を制御することが好ましい。
これも前述したように、光変調素子が液晶を用いた光変調素子である場合、液晶の安定
動作期間に緑色光を光変調素子に与えることができるようにするためである。このように
、緑色光を光変調素子の安定動作期間に与えることによって、画質を向上させることがで
きる。
【0026】
本発明のプロジェクタにおいて、前記光変調素子は、液晶による光変調素子であること
が好ましい。
本発明のプロジェクタは、液晶を用いた光変調素子(液晶パネル)を用いた場合に、よ
り顕著な効果が得られる。
【0027】
本発明のプロジェクタにおける画像表示方法は、光源からの色光を画像データに基づい
て変調する3つの光変調素子を有し、当該3つの光変調素子で変調された各色光を第1画
像光として射出する第1画像形成手段と、光源からの色光を画像データに基づいて変調す
る3つの光変調素子を有し、当該3つの光変調素子で変調された各色光を第2画像光とし
て射出する第2画像形成手段と、前記第1画像形成手段及び第2画像形成手段から射出さ
れる前記第1画像光及び第2画像光を合成する偏光合成光学系と、前記偏光合成光学系で
合成された画像光を投射面に投射する投射光学系と、前記第1画像形成手段及び第2画像
形成手段に設けられる合計6つの光変調素子を制御する機能及び前記光源を制御する機能
を有する画像表示制御部とを有するプロジェクタにおける画像表示方法であって、前記6
つの光変調素子うち、4つの光変調素子が緑色光に対応する光変調素子、残りの2つの光
変調素子が赤色光及び青色光に対応する光変調素子として用いられ、前記画像表示制御部
は、前記緑色光に対応する4つの光変調素子で変調された各色光が前記画像データの各フ
レーム内において所定時間だけずれて順次射出されるように前記光源及び前記緑色光に対
応する4つの光変調素子を制御することを特徴とする。
【0028】
2系統の画像形成手段(第1画像形成手段及び第2画像形成手段)と1つの投射光学系
とを有するプロジェクタにおいて、本発明のプロジェクタにおける画像表示方法を採用す
ることにより、前記本発明のプロジェクタを実現することができ、本発明のプロジェクタ
において述べた効果を得ることができる。なお、本発明のプロジェクタにおける画像表示
方法においても、前記本発明のプロジェクタと同様の特徴を有することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は実施形態1に係るプロジェクタの光学的な構成を模式的に示す図である。実施形
態1に係るプロジェクタは、2系統の画像形成手段(画像形成ユニットという)と1つの
投射光学系とを有するプロジェクタであって、図1に示すように、2系統の画像形成ユニ
ット100,200(第1画像形成ユニット100、第2画像形成ユニット200という
)と、第1画像形成ユニット100及び第2画像形成ユニット200から射出されたそれ
ぞれの画像光(第1画像光、第2画像光という)を合成する偏光合成光学系としての偏光
合成プリズム300と、偏光合成プリズム300で合成された画像光を投射面としてのス
クリーンSCRに投射する投射光学系400とを有する。
【0030】
第1画像形成ユニット100は、光源装置として第1〜第3光源装置110〜130を
有し、第2画像形成ユニット200は、光源装置として第4〜第6光源装置210〜23
0を有している。第1〜第3光源装置110〜130及び第4〜第6光源装置210〜2
30は、光源として固体光源(LEDとする)が用いられる。
【0031】
第1画像形成ユニット100における第1光源装置110は、赤色光を発光する複数の
赤色LEDで構成される赤色光源Rと、赤色光源Rを構成する複数の赤色LEDに対応し
て設けられる複数の集光レンズ111と、ロッドインテグレータ112と、ロッドインテ
グレータ112の出力側に設けられる集光レンズ113とを有している。
【0032】
また、第2光源装置120は、緑色光を発光する複数の緑色LEDで構成される第1緑
色光源G1と、第1緑色光源G1を構成する複数の緑色LEDに対応して設けられる複数
の集光レンズ121と、ロッドインテグレータ122と、ロッドインテグレータ122の
出力側に設けられる集光レンズ123とを有している。
【0033】
また、第3光源装置130は、緑色光を発光する複数の緑色LEDで構成される第2緑
色光源G2と、第2緑色光源G2を構成する複数の緑色LEDに対応して設けられる複数
の集光レンズ131と、ロッドインテグレータ132と、ロッドインテグレータ132の
出力側に設けられる集光レンズ133とを有している。
【0034】
また、第1画像形成ユニット100は、これら第1〜第3光源装置110〜130に対
応する光変調素子150R,150G1,150G2と、光変調素子150R、150G
1,150G2で変調された各色光を合成する合成光学系160をさらに有している。こ
の合成光学系160は、クロスダイクロイックプリズムが用いられ、光変調素子150R
で変調された赤色光を反射し、光変調素子150G1で変調された緑色光を透過させ、光
変調素子150G2で変調された緑色光を反射させて、これら各色光を合成する機能を有
している。
【0035】
また、第2画像形成ユニット200における第4光源装置210は、青色光を発光する
複数の青色LEDで構成される青色光源Bと、青色光源Bを構成する複数の青色LEDに
対応して設けられる複数の集光レンズ211と、ロッドインテグレータ212と、ロッド
インテグレータ212の出力側に設けられる集光レンズ213とを有している。
【0036】
また、第5光源装置220は、緑色光を発光する複数の緑色LEDで構成される第3緑
色光源G3と、第3緑色光源G3を構成する複数の緑色LEDに対応して設けられる複数
の集光レンズ221と、ロッドインテグレータ222と、ロッドインテグレータ222の
出力側に設けられる集光レンズ223とを有している。
【0037】
また、第6光源装置230は、緑色光を発光する複数の緑色LEDで構成される第4緑
色光源G4と、第4緑色光源G4を構成する複数の緑色LEDに対応して設けられる複数
の集光レンズ231と、ロッドインテグレータ232と、ロッドインテグレータ232の
出力側に設けられる集光レンズ233とを有している。
【0038】
また、第2画像形成ユニット200は、これら第4〜第6光源装置210〜230に対
応する光変調素子250B,250G3,250G4と、光変調素子250B、250G
3,250G4で変調された各色光を合成する合成光学系260をさらに有している。こ
の合成光学系260は、クロスダイクロイックプリズムが用いられ、光変調素子250B
で変調された青色光を反射し、光変調素子250G3で変調された緑色光を反射させ、光
変調素子250G4で変調された緑色光を透過させて、これら各色光を合成する機能を有
している。
【0039】
なお、図1においては、インテグレータとしてロッドインテグレータを用いた場合を例
示したが、レンズインテグレータであってもよい。また、光変調素子150R,150G
1,150G2及び光変調素子250B,250G3,250G4は、液晶を用いた光変
調素子(液晶パネル)であるとする。
【0040】
ところで、緑色光の波長帯域は、約500nm〜565nmであるが、実施形態1に係
るプロジェクタにおいては、約500nm〜565nmの波長帯域を有する緑色光を、青
色光に近い側の波長帯域(500nm〜532nmの波長帯域)を有する緑色光(第1緑
色光という)と黄色光に近い側の波長帯域(533nm〜565nmの波長帯域)の緑色
光(第2緑色光という)の2種類の緑色光として使用する。
【0041】
このように、緑色光を第1緑色光及び第2緑色光の2種類の緑色光として使用すること
によって、第1画像形成ユニット100の合成光学系160及び第2画像形成ユニット2
00の合成光学系260は、一般的なクロスダイクロイックプリズムを使用することがで
きる。
【0042】
実施形態1に係るプロジェクタにおいては、第1画像形成ユニット100の光変調素子
150G1と第2画像形成ユニット200の光変調素子250G3には、500nm〜5
32nmの波長帯域を有する第1緑色光が与えられ、第1画像形成ユニット100の光変
調素子150G2と第2画像形成ユニット200の光変調素子250G4には、533n
m〜565nmの波長帯域を有する第2緑色光が与えられるように設定されているものと
する。
【0043】
図2は実施形態1に係るプロジェクタの機能を説明するための構成図である。実施形態
1に係るプロジェクタは、図2に示すように、表示すべき画像に対応する画像データを入
力する画像データ入力部610と、ユーザの指示や設定など各種のインタフェース信号(
I/F信号)の入力が可能なI/F信号入力部620と、表示すべき画像データなど投射
処理を行うに必要な各種のデータを記憶するデータ記憶部630と、補正処理などを行う
ための各種パラメータを記憶するパラメータ記憶部640と、各光変調素子に与える画像
データ生成や補正処理を行う機能、さらには、第1画像形成手ユニット100及び第2画
像形成ユニット200に設けられる合計6つの光変調素子を制御する機能及び各光源(赤
色光源R、青色光源B、第1〜第4緑色光源G1〜G4)を制御する機能など全体的な処
理を行うための様々な機能を有する画像表示制御部660と、画像表示制御部660の制
御によって第1画像形成ユニット100の光変調素子150R,150G1,150G2
及び第2画像形成ユニット200の光変調素子250B,250G3,250G4を駆動
する光変調素子駆動部651R,651G1,651G2、651B,651G3,65
1G4と、画像表示制御部660の制御によって各光源(赤色光源R、青色光源B、第1
〜第4緑色光源G1〜G4)を駆動する光源駆動部670とを有している。
【0044】
なお、画像表示制御部660は、緑色光に対応する4つの光変調素子150G1,15
0G2,250G3,250G4の駆動タイミングが所定時間だけずれるように光変調素
子の駆動タイミング制御を行う機能及び中間画像の生成などを行う機能をも有している。
【0045】
図3は実施形態1に係るプロジェクタにおける光源の動作と光変調素子の駆動との関係
を説明する図である。図3(a)は光変調素子150G1に対応する第1緑色光源G1の
動作、図3(b)は光変調素子150G2に対応する第2緑色光源G2の動作、図3(c
)は光変調素子250G3に対応する第3緑色光源G3の動作、図3(d)は光変調素子
250G4に対応する第4緑色光源G4の動作を示すものである。また、図3(e)は光
変調素子150Rに対応する赤色光源Rの動作、図3(f)は光変調素子250Bに対応
する青色光源Bの動作を示すものである。
【0046】
なお、図3(a)〜(f)において、灰色で示す領域は光源が点灯状態、白色で示す領
域は光源が消灯状態であることを示している。また、図3(a)〜(d)において、緑色
光は500nm〜532nmの波長帯域を有する第1緑色光と533〜565nmの波長
帯域を有する第2緑色光とを使用しているので、これらを濃い灰色(第1緑色光)と薄い
灰色(第2緑色光)とに分けて図示している。
【0047】
図3(a)〜(d)に示すように、実施形態1に係るプロジェクタにおいては、第1画
像形成ユニット100の第1緑色光源G1及び第2緑色光源G2、第2画像形成ユニット
200の第3緑色光源G3及び第4緑色光源G4は、それぞれ画像データの1フレームを
4分割した1/4フレームに対応する時間(これをΔt時間とする)経過ごとに順次点灯
し、その点灯状態が2/4フレームに対応する時間(2Δt時間)だけ継続する。したが
って、第1緑色光源G1、第2緑色光源G2、第3緑色光源G3及び第4緑色光源G4は
、2Δt時間の点灯状態において、第1緑色光を発光する緑色光源(第1緑色光源G1及
び第3緑色光源G3)と、第2緑色光を発光する緑色光源(第2緑色光源G2及び第4緑
色光源G4)とがΔt時間だけ重複して点灯する。
【0048】
例えば、第2フレームF2についてみると、当該第2フレームF2を4等分した第1番
目の1/4フレームに対応する時間(Δt1時間とする)においては、第1緑色光源G1
と第4緑色光源G4とが同時に点灯し、第2番目の1/4フレームに対応する時間(Δt
2時間とする)においては、第1緑色光源G1と第2緑色光源G2とが同時に点灯する。
また、第3番目の1/4フレームに対応するΔt時間(Δt3時間とする)においては、
第2緑色光源G2と第3緑色光源G3とが同時に点灯し、第4番目の1/4フレームに対
応するΔt時間(Δt4時間とする)においては、第3緑色光源G3と第4緑色光源G4
とが同時に点灯する。
【0049】
このように、第1緑色光を発光する緑色光源と第2緑色光を発光する緑色光源を同時に
点灯させるのは、人の目に緑色が2種類の緑色として視認されてしまうのを防止するため
である。すなわち、緑色光を2種類の緑色(第1緑色光と第2緑色光)とすることにより
、合成光学系として一般的なクロスダイクロイックプリズムの使用が可能となる反面、人
の目に緑色が2種類の緑色として視認されてしまう可能性があるので、それを防止するた
めに、第1緑色光を発光する緑色光源と第2緑色光を発光する緑色光源を同時に点灯させ
るようにしている。
【0050】
また、図3(e),(f)は、赤色光源R及び青色光源Bの動作を示すもので、赤色光
源R及び青色光源Bは連続点灯を行う。なお、図3(a)〜(f)に示すような光源の点
灯/消灯制御は画像表示制御部660が行う。すなわち、画像表示制御部660には各光
源に対する点灯/消灯のタイミングが設定されていて、その設定内容に基づいて光源駆動
部670が所定の光源を点灯または消灯させる。
【0051】
また、図3(g)〜(l)は、各光変調素子の駆動時間を示すものであり、図3(g)
は光変調素子150G1の駆動時間、図3(h)は光変調素子150G2の駆動時間、図
3(i)は光変調素子250G3の駆動時間、図3(j)は光変調素子250G4の駆動
時間、図3(k)は光変調素子150Rの駆動時間、図3(l)は光変調素子250Bの
駆動時間を示すものであり、灰色で示した部分は各光変調素子が駆動されている時間を示
している。図3(g)〜(l)に示すような各光変調素子に対する駆動タイミング制御は
、画像表示制御部660によって行われる。すなわち、画像表示制御部660には各光変
調素子を駆動するため駆動タイミングが設定されていて、その設定内容に基づいて光変調
素子駆動部651R,651B、651G1〜651G4がそれぞれ対応する光変調素子
を駆動する。
【0052】
図3(g)〜(l)に示すように、緑色光に対応する光変調素子150G1,150G
2及び光変調素子250G3,250G4は、第1〜第4緑色光源G1〜G4の点灯に対
応するように駆動される。このとき、第1〜第4緑色光源G1〜G4の点灯時間(2Δt
時間)の前後Δt時間をも含めた時間を駆動時間としている。このため、緑色光に対応す
る光変調素子150G1,150G2及び光変調素子250G3,250G4の駆動時間
は、この場合、4Δt時間(1フレームに対応する時間)であるが、これら各光変調素子
150G1,150G2及び光変調素子250G3,250G4で変調された各色光はそ
れぞれ2Δt時間だけ射出される。
【0053】
このように、第1〜第4緑色光源G1〜G4の点灯時間(2Δt時間)の前後Δt時間
をも含めた時間を各光変調素子の駆動時間とするのは、光変調素子が液晶を用いた光変調
素子である場合、液晶の安定動作期間に光源を発光させるようにするためである。このよ
うな制御は、画像表示制御部660によって行われる。すなわち、画像表示制御部660
には、第1〜第4緑色光源G1〜G4がそれぞれ発光を開始する時間より前に、光変調素
子150G1,150G2及び光変調素子250G3,250G4が駆動を開始するよう
な設定がなされており、その設定内容に基づいて光変調素子駆動部651G1〜651G
4がそれぞれ対応する光変調素子150G1,150G2,250G3,250G4を制
御する。
【0054】
実施形態1に係るプロジェクタを図1及び図2に示すような構成とし、かつ、光源と光
変調素子の駆動を図3に示すように行うことにより、緑色光に対応する画像データのフレ
ームレートを赤色光及び青色光に対応する画像データに対して4倍とすることができる。
【0055】
なお、緑色光に対応する光変調素子150G1,150G2,250G3,250G4
のうち、光変調素子150G1に対しては画像データが元々有するフレームのうちの当該
フレーム(n番目のフレームとする)を与えるものとすれば、他の光変調素子150G2
,250G3,250G4には、例えば、当該画像データのn番目のフレームとn+1番
目のフレームとから生成された3つの中間画像を与えることが好ましい。この中間画像の
生成は、動きベクトルに基づいた中間画像の生成技術など、一般的に行われている各種の
中間画像生成技術を採用することができる。このような中間画像の生成処理は、画像表示
制御部660により行う。
【0056】
以上、説明したように、実施形態1に係るプロジェクタによれば、緑色光に対応する画
像データのフレームレートを赤色光及び青色光に対応する画像データに対して4倍とする
ことができる。また、中間画像を生成する場合、中間画像の生成処理は、緑色について行
えばよいので、RGBの各色について行う場合に比べて、演算量を大幅に削減することが
できる。しかも、人間の目に最も敏感な緑色光に対応する画像データのフレームレートが
高くなることによって、動画の視認性の向上の効果をより高めることができる。
【0057】
また、実施形態1に係るプロジェクタにおいては、緑色光を波長帯域の異なる2種類の
緑色光(第1緑色光、第2緑色光)としているので、合成光学系として一般的なクロスダ
イクロイックプリズムを使用することができる。なお、緑色光源を点灯させる際、第1緑
色光と第2緑色光とを同時に点灯させるようにしているので、人の目に緑色が2種類の緑
色として視認されてしまうのを防止することができる。
【0058】
[実施形態2]
図4は実施形態2に係るプロジェクタの光学的な構成を模式的に示す図である。実施形
態2に係るプロジェクタも実施形態1に係るプロジェクタと同様、2系統の画像形成ユニ
ットと1つの投射光学系とを有するプロジェクタであるが、実施形態1に係るプロジェク
タの場合は、第1画像形成ユニット100側の光源はすべて緑色光源(第1緑色光源G1
、第2緑色光源G2、第3緑色光源G3)とし、第2画像形成ユニット200側の光源は
、通常のプロジェクタと同様、赤色光源R、緑色光源(第4緑色光源G4)、青色光源B
としている点が異なる。なお、実施形態2に係るプロジェクタにおいても光源はLEDな
どの個体光源が好ましい。また、実施形態2に係るプロジェクタにおいては、各緑色光源
が発光する緑色光は約500nm〜565nmの波長帯域を有する単色の緑色光である。
【0059】
このように、実施形態2に係るプロジェクタにおいては、第1画像形成ユニット100
はすべて緑色光源であるので、第1画像形成ユニット100に設けられる各光変調素子を
光変調素子150G1,150G2,150G3とする。また、第2画像形成ユニット2
00は、赤色光源R、第4緑色光源G4、青色光源Bであるので、第2画像形成ユニット
200に設けられる各光変調素子を光変調素子250R,250G4,250Bとする。
【0060】
また、実施形態2に係るプロジェクタは、第1画像形成ユニット100側では、合成光
学系として、2枚のハーフミラー170a,170bをX字状に組み合わせた構成を有す
る合成光学系(合成光学系170とする)を用いる。これにより、第1画像形成ユニット
100における第1緑色光源G1、第2緑色光源G2、第3緑色光源G3で変調されたそ
れぞれの色光は、ハーフミラー170a,170bで透過または反射されて射出される。
なお、各々のハーフミラーの透過率を50%とすれば、第1緑色光源G1、第2緑色光源
G2、第3緑色光源G3から射出されるそれぞれの色光は、ハーフミラー170aとハー
フミラー170bとを通過することとなるため、それぞれの光源の光量に対して25%の
光量となる。
【0061】
一方、第2画像形成ユニット200側においては、光源から発せられる色光は、赤色光
、緑色光及び青色光であるので、合成光学系260としては、一般的なクロスダイクロイ
ックプリズムを用いることができる。
【0062】
図5は実施形態2に係るプロジェクタの機能を説明するための構成図である。なお、図
5において、図2と同一部分には同一符号が付されている。実施形態2に係るプロジェク
タにおいては、第1画像形成ユニット100における光変調素子は、緑色光に対応する光
変調素子150G1,150G2,150G3であり、第2画像形成ユニット200にお
ける光変調素子は、赤色光、緑色光及び青色光に対応する光変調素子250R,250G
4,250Bである。また、光変調素子駆動部としては、図5に示すように、第1画像形
成ユニット100においては光変調素子駆動部651G1,651G2,651G3が設
けられ、第2画像形成ユニット200においては、光変調素子駆動部651R,651G
4,651Bが設けられている。
【0063】
図6は実施形態2に係るプロジェクタにおける光源の動作と光変調素子の駆動との関係
を説明する図である。図6(a)は光変調素子150G1に対応する第1緑色光源G1の
動作、図6(b)は光変調素子150G2に対応する第2緑色光源G2の動作、図6(c
)は光変調素子150G3に対応する第3緑色光源G3の動作、図6(d)は光変調素子
250G4に対応する第4緑色光源G4の動作、図6(e)は光変調素子250Rに対応
する赤色光源Rの動作、図6(f)は光変調素子250Bに対応する青色光源Bの動作を
示すものである。なお、図6(a)〜(f)において、灰色で示す領域は光源が点灯状態
、白色で示す領域は光源が消灯状態であることを示している。
【0064】
実施形態2に係るプロジェクタにおいては、第1画像形成ユニット100の緑色光源G
1,G2,G3及び第2画像形成ユニット200の緑色光源G4は、1/4フレームに対
応する時間(Δt時間)経過ごとに順次点灯し、その点灯状態はΔt時間だけ保持される
。このように、実施形態2に係るプロジェクタにおいては、緑色光は1種類であるので、
第1〜第4緑色光源G1〜G4は、Δt時間ごとにΔt時間だけ点灯状態を保持する動作
を順次繰り返すこととなる。
【0065】
なお、図6(a)〜(f)に示すような光源の点灯/消灯制御は、実施形態に係るプロ
ジェクタと同様、画像表示制御部660が光源駆動部670に対して行う。
【0066】
また、図6(g)は光変調素子150G1の駆動時間、図6(h)は光変調素子150
G2の駆動時間、図6(i)は光変調素子150G3の駆動時間、図6(j)は光変調素
子250G4の駆動時間、図6(k)は光変調素子250Rの駆動時間、図6(l)は光
変調素子250Bの駆動時間を示すものであり、灰色で示した部分は各光変調素子が駆動
されている時間を示している。
【0067】
図6(g)〜(l)においても図3(g)〜(l)と同様に、緑色光源G1,G2,G
3,G4の点灯時間(この場合はΔt時間)の前後Δt時間をも含めた時間を駆動時間と
している。このため、緑色光に対応する光変調素子150G1,150G2,150G3
及び光変調素子250G4の駆動時間は、この場合、3Δt時間となるが、光変調素子1
50G1,150G2,150G3及び光変調素子250G4で変調された各色光はそれ
ぞれΔt時間だけ射出される。図6(g)〜(l)に示すような各光変調素子の駆動のタ
イミング制御は、実施形態に係るプロジェクタと同様、画像表示制御部660の設定内容
に基づいて、各光変調素子駆動部651R,651B,651G1〜651G4がそれぞ
れ対応する光変調素子を駆動することによって行われる。
【0068】
実施形態2に係るプロジェクタを図4及び図5に示すような構成とし、かつ、光源と光
変調素子の駆動を図6に示すように行うことにより、緑色光に対応する画像データのフレ
ームレートを赤色光及び青色光に対応する画像データに対して4倍とすることができる。
【0069】
なお、実施形態1に係るプロジェクタと同様、緑色光に対応する光変調素子150G1
,150G2,150G3、250G4のうち、光変調素子150G1に対しては画像デ
ータが元々有するn番目のフレームを与えるものとすれば、他の光変調素子150G2,
150G3、250G4には、当該画像データのn番目のフレームとn+1番目のフレー
ムとから生成された3つの中間画像を与えることが好ましい。
【0070】
以上、説明したように、実施形態2に係るプロジェクタにおいても実施形態1に係るプ
ロジェクタと同様、緑色光に対応する画像データのフレームレートを赤色光及び青色光に
対応する画像データの4倍のフレームレートとすることができ、これによって、動画像の
視認性を高くすることができる。また、中間画像を生成する処理は、緑色について行えば
よいので、RGBの各色について行う場合に比べて、演算量を大幅に削減することができ
る。しかも、人間の目に最も敏感な緑色に対応する画像データのフレームレートが高くな
ることにより、動画の視認性向上の効果をより高くすることができる。
【0071】
また、実施形態2に係るプロジェクタの場合、図6からもわかるように、緑色光につい
ては、黒画像挿入と同様の効果が得られ、より滑らかな動きの画像表示を実現できるとい
った効果も期待できる。
【0072】
なお、実施形態2に係るプロジェクタにおいては、第1画像形成ユニット100におけ
る3つの光変調素子150G1〜150G3で変調された各色光を2つのハーフミラー1
70a,170bを有する合成光学系170によって射出する場合を例示したが、実施形
態1に係るプロジェクタと同様に、緑色光を複数の波長帯域(実施形態2に係るプロジェ
クタにおいては3つの波長帯域)に分けた3種類の緑色光として、クロスダイクロイック
プリズムによって合成することも可能である。この場合、3種類の緑色光が生成されるの
で、人間の目に3種類の緑色として視認されるのを防ぐために、3種類の緑色光が同時に
光変調素子に与えられるようにすることが好ましい。
【0073】
本発明は前述の各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で
種々変形実施可能となるものである。たとえば、前述の各実施形態では、光源としてLE
Dを使用した例を示したが、レーザ(半導体レーザ)などであってもよい。また、白色光
源から分光して得られたRGBの各色光を、それぞれ対応する光変調素子に与えるように
してもよい。
【0074】
また、前述の各実施形態では、液晶の安定動作期間に光源を発光させることが好ましい
という観点から、各光源の発光時間を含むその前後に1/4フレームに対応する時間分だ
け光変調素子の駆動時間を設定するようにしたが、前後ではなく各光源の発光開始の前側
のみに1/4フレームに対応する時間を設定するようにしてもよい。また、さらに余裕を
もたせるために、1/4フレームに対応する時間よりも長い時間を設定するようにしても
よい。
【0075】
また、前述の各実施形態では、光変調素子として透過型の液晶パネルを用いた例を示し
たが、LCOSなどの反射型の液晶パネルを用いることもできる。また、光変調素子は、
液晶を用いた光変調素子だけではなく、マイクロミラー型の光変調素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態1に係るプロジェクタの光学的な構成を模式的に示す図。
【図2】実施形態1に係るプロジェクタの機能を説明するための構成図。
【図3】実施形態1に係るプロジェクタにおける光源の動作と光変調素子の駆動との関係を説明する図。
【図4】実施形態2に係るプロジェクタの光学的な構成を模式的に示す図。
【図5】実施形態2に係るプロジェクタの機能を説明するための構成図。
【図6】実施形態2に係るプロジェクタにおける光源の動作と光変調素子の駆動との関係を説明する図。
【符号の説明】
【0077】
100・・・第1画像形成ユニット、110〜130・・・第1〜第3光源装置、15
0R,150G1,150G2,150G3・・・光変調素子、160,260・・・合
成光学系(クロスダイクロイックプリズム)、170・・・合成光学系(ハーフミラーを
用いた合成光学系)、250R,250B,250G3,250G4・・・光変調素子、
200・・・第2画像形成ユニット、210〜230・・・第4〜第6光源装置、300
・・・偏光合成プリズム、400・・・投射光学系、660・・・画像表示制御部、65
1R,651B,651G1〜651G4・・・光変調素子駆動部、670・・・光源駆
動部、G1〜G4・・・第1〜第4緑色光源、R・・・赤色光源、B・・・青色光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの色光を画像データに基づいて変調する3つの光変調素子を有し、当該3つの
光変調素子で変調された各色光を合成して第1画像光として射出する第1画像形成手段と

光源からの色光を画像データに基づいて変調する3つの光変調素子を有し、当該3つの
光変調素子で変調された各色光を合成して第2画像光として射出する第2画像形成手段と

前記第1画像形成手段及び第2画像形成手段から射出される前記第1画像光及び第2画
像光を合成する偏光合成光学系と、
前記偏光合成光学系で合成された画像光を投射面に投射する投射光学系と、
前記第1画像形成手段及び第2画像形成手段に設けられる合計6つの光変調素子を制御
する機能及び前記光源を制御する機能を有する画像表示制御部と、
を有するプロジェクタであって、
前記6つの光変調素子うち、4つの光変調素子が緑色光に対応する光変調素子、残りの
2つの光変調素子が赤色光及び青色光に対応する光変調素子であり、
前記画像表示制御部は、
前記緑色光に対応する4つの光変調素子で変調された各色光が前記画像データの各フレ
ーム内において所定時間だけずれて順次射出されるように前記光源及び前記緑色光に対応
する4つの光変調素子を制御することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記所定時間は、前記画像データの各フレームに対応する時間の1/4の時間であるこ
とを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロジェクタにおいて、
前記光源は、前記赤色光、緑色光及び青色光を発光する固体光源であることを特徴とす
るプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記緑色光に対応する4つの光変調素子を第1〜第4光変調素子としたとき、前記第1
画像形成手段は、前記第1〜第4光変調素子のうちの第1及び第2光変調素子と赤色光に
対応する光変調素子で構成され、前記第2画像形成手段は、第3及び第4光変調素子と青
色光に対応する光変調素子で構成されることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
前記緑色光を、青色光に近い側の波長帯域を有する第1緑色光と黄色光に近い側の波長
帯域を有する第2緑色光との2種類の緑色光として使用し、前記第1画像形成手段の前記
第1光変調素子と前記第2画像形成手段の前記第3光変調素子には前記第1緑色光を与え
、前記第1画像形成手段の前記第2光変調素子と前記第2画像形成手段の前記第4光変調
素子には前記第2緑色光を与えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクタにおいて、
前記第1緑色光及び第2緑色光は、前記画像データの各フレームに対応する時間内にお
いて、前記第1緑色光と第2緑色光とが重複する時間を有して前記第1〜第4光変調素子
に時間をずらして順次与えられることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
請求項5または6に記載のプロジェクタにおいて、
前記画像表示制御部は、前記第1緑色光または第2緑色光が発光を開始する時間より前
に前記第1〜第4光変調素が駆動を開始するように前記前記第1〜第4光変調素子を制御
することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記緑色光に対応する4つの光変調素子を第1〜第4光変調素子としたとき、前記第1
画像形成手段は、前記第1〜第4光変調素子のうちの第1〜第3光変調素子で構成され、
第2画像形成手段は、第4光変調素子と、前記赤色光に対応する光変調素子と、前記青色
光に対応する光変調素子とで構成されることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクタにおいて、
前記緑色光は、前記投射すべき画像データの各フレームに対応する時間内において、時
間をずらして重複することなく前記第1〜第4光変調素子に順次与えられることを特徴と
するプロジェクタ。
【請求項10】
請求項8または9に記載のプロジェクタにおいて、
前記画像表示制御部は、前記緑色光が発光を開始する時間より前に前記第1〜第4光変
調素子が駆動を開始するように前記前記第1〜第4光変調素子を制御することを特徴とす
るプロジェクタ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記光変調素子は、液晶を用いた光変調素子であることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項12】
光源からの色光を画像データに基づいて変調する3つの光変調素子を有し、当該3つの
光変調素子で変調された各色光を第1画像光として射出する第1画像形成手段と、光源か
らの色光を画像データに基づいて変調する3つの光変調素子を有し、当該3つの光変調素
子で変調された各色光を第2画像光として射出する第2画像形成手段と、前記第1画像形
成手段及び第2画像形成手段から射出される前記第1画像光及び第2画像光を合成する偏
光合成光学系と、前記偏光合成光学系で合成された画像光を投射面に投射する投射光学系
と、前記第1画像形成手段及び第2画像形成手段に設けられる合計6つの光変調素子を制
御する機能及び前記光源を制御する機能を有する画像表示制御部とを有するプロジェクタ
における画像表示方法であって、
前記6つの光変調素子うち、4つの光変調素子が緑色光に対応する光変調素子、残りの
2つの光変調素子が赤色光及び青色光に対応する光変調素子として用いられ、
前記画像表示制御部は、
前記緑色光に対応する4つの光変調素子で変調された各色光が前記画像データの各フレ
ーム内において所定時間だけずれて順次射出されるように前記光源及び前記緑色光に対応
する4つの光変調素子を制御することを特徴とするプロジェクタにおける画像表示方法。

【図2】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−162988(P2009−162988A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−380(P2008−380)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】