説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】露光装置をその寿命に応じて容易に交換することを可能とし、画像形成装置の使い勝手を向上させる。
【解決手段】画像形成装置1の本体に、プロセスカートリッジ200は着脱可能に設けられる。プロセスカートリッジ200は、感光体400と感光体を露光する露光装置300とを少なくとも含み、両者はフレーム220を介して一体的に構成されている。また、露光装置300を単独で画像形成装置1の本体から着脱可能に構成することもできる。この場合、露光装置300は、画像形成装置1への取り付け後、感光体400に対する相対的な位置を変更可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を露光して感光上に潜像を形成する露光装置を含むプロセスカートリッジ、及びこのプロセスカートリッジを具備する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予め所定の電位に帯電した感光体(像担持体)を画像情報に応じて露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、顕画化されたトナー像を記録紙などの転写材に転写、加熱定着して画像を得る、いわゆる電子写真プロセスを応用した画像形成装置に用いられる露光装置として、レーザダイオードを光源とした光ビームをポリゴンミラーと呼称される回転多面鏡を介して像担持体上を走査して静電潜像を形成する方式と、発光ダイオード(LED)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)材料を用いて構成した発光素子をライン状に配置した発光素子列を用いて各発光部を個別に点灯(ON/OFF)制御して像担持体上に静電潜像を形成する方式が知られている。
【0003】
上述したような画像形成装置においては、部品交換を容易にする観点から、感光体と、感光体の表面を所定の電位に設定する帯電器と、感光体をクリーニングするクリーナを一体化し、カートリッジとして装置の本体から着脱可能にしたものがある。また、現像器とトナーカートリッジを一体化したカートリッジも存在する。また、感光体と、帯電器と、現像器とトナーカートリッジを一体化したカートリッジも存在する。
【0004】
例えば、特許文献1には、装置本体に対して着脱可能な感光体カートリッジに対して複数の感光体が相互に位置決めされて取り付けられた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、感光体カートリッジに取り付けられた各感光体に対して現像手段が着脱可能に構成されており、かつ、感光体カートリッジの複数の感光体各々に対応する位置それぞれに位置決めされて書き込み手段(露光装置)が取り付けられている。
【特許文献1】特開2003−043776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成の画像形成装置においては、これらの場合、上述したLEDの如き発光素子、あるいはポリゴンミラーを含むLSU(Laser Scanning Unit)を備え、感光体を露光する露光装置について、カートリッジに組みいれる構成は提示されていない。しかしながら、将来的に、このような露光装置も画像形成装置の本体から着脱可能なカートリッジに組み入れることが望まれることも予想される。
【0006】
本発明は、露光装置をも画像形成装置から着脱可能にする、すなわち露光装置をカートリッジ化する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置に着脱可能に設けられるプロセスカートリッジが提供され、当該プロセスカートリッジは、感光体と、当該感光体を露光する露光装置とを少なくとも含み、前記感光体及び前記露光装置、相対位置が調整可能な状態で少なくとも一の部材を介して一体化されているとともに、前記画像形成装置から着脱可能に構成される。
【0008】
この構成により、露光装置を含むプロセスカートリッジを画像形成装置の本体から着脱可能に構成することが可能となる。また、プロセスカートリッジを外した状態、またはプロセスカートリッジを画像形成装置に組み込んだ状態において、感光体と露光装置の相対位置が調整可能である。従って、露光装置の寿命に応じてプロセスカートリッジを柔軟に交換することが可能となり、使い勝手のよい画像形成装置を提供することが可能となる。
【0009】
また、本発明によれば、前記画像形成装置への取り付け時に、前記露光装置が前記感光体の上方に位置するよう構成されるプロセスカートリッジが提供されるものである。
【0010】
この構成により、重力の作用により落下したトナーなどが露光装置に付着することを防止することが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、帯電器と、除電器と、クリーナのうち少なくとも一つを更に含むプロセスカートリッジが提供されるものである。
【0012】
この構成により、露光装置のみならず、印刷エンジン中の他の部材を含むプロセスカートリッジを画像形成装置の本体から着脱可能に構成することが可能となる。従って、使い勝手のよい画像形成装置を提供することができることが可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、露光動作中は、前記露光装置と前記感光体の間の距離が第1の距離に設定され、非印字動作中は、前記露光装置と前記感光体の間の距離が前記第1の距離より長い第2の距離に設定されるプロセスカートリッジが提供されるものである。
【0014】
この構成により、露光装置がトナーの付着などにより汚染されることを防止するとともに、露光装置の発光素子など光源のクリーニングの際におけるクリーニング部材が通過する隙間を確保することが可能となる。
【0015】
また、本発明によれば、露光装置は光学レンズを含まないプロセスカートリッジが提供されるものである。
【0016】
この構成により、光の伝送効率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明によれば、前記露光装置は、前記画像形成装置の本体から給電を受ける電気的接続部を表面に有するプロセスカートリッジが提供されるものである。
【0018】
この構成によれば、露光装置の画像形成装置本体からの給電確保を容易に行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明によれば、前記感光体の両端に支持され、前記露光装置を支持するとともに、前記露光装置を前記感光体から離れる側へ付勢する位置決め部材を更に備えるプロセスカートリッジが提供されるものである。
【0020】
この構成によれば、露光装置をさらにプロセスカートリッジから着脱可能に構成することが可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、前記一の部材が、前記露光装置が配置されるとともに前記感光体の回転軸を支えるフレームより構成され、前記画像形成装置の本体に設けられ、当該本体に対して相対的に回転可能に取り付けられた回動部材に対し、前記フレームが係合し、前記画像形成装置に取り付け可能な露光装置が提供されるものである。
【0022】
この構成により、プロセスカートリッジの画像形成装置の本体からの着脱を容易にすることができ、画像形成装置の使い勝手をより向上させることが可能となる。
【0023】
さらに本発明によれば、画像形成装置に着脱可能に設けられ、当該画像形成装置の感光体を露光する露光装置であって、当該露光装置は、前記画像形成装置への取り付けの際、当該露光装置を前記感光体から離れる側へ付勢する付勢部材の付勢力に逆らいつつ、前記感光体に対し相対的に所定の位置に保持されるよう構成された露光装置が提供されるものである。
【0024】
この構成により、露光装置を画像形成装置の本体から容易に着脱可能に構成することが可能となる。従って、露光装置の寿命に応じて露光装置を柔軟に交換することが可能となり、使い勝手のよい画像形成装置を提供することが可能となる。
【0025】
上述した本発明のプロセスカートリッジ、露光装置を使用した画像形成装置は、ユーザにとって使い勝手がよく、サービスマンにとって保守点検が容易なものとなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、露光装置単体、または露光装置を含むプロセスカートリッジを画像形成装置の本体から着脱可能に構成することが可能となる。従って、露光装置の寿命に応じて露光装置又はプロセスカートリッジを柔軟に交換することが可能となり、使い勝手のよい画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0028】
(画像形成装置の作用の概要説明)
まず、図1を用いて、電子写真プロセスを応用した画像形成装置の画像形成プロセスの概要を簡単に説明する。図1は、画像形成装置の画像形成プロセスに関係する主要部分の概念図であり、転写材たる記録紙に所定の画像を形成するものである。尚、画像が形成される転写材には、普通紙、OHPシート、コート紙、再生紙などの記録媒体が含まれる。
【0029】
図1の例では、帯電器を用いて、像担持体(感光体)の表面電位を−650V(帯電電位VO)に設定し、さらに露光ユニット(露光装置)を用いて、画像形成部分に相当する像担持体の一部を露光し、印刷部分に対応する静電潜像を像担持体上に生成する。この部分の電位(露光電位VL)は−50Vに設定される。また、現像ユニットにおいて、潜像を現像させるための現像バイアス電位(現像剤を用いて静電潜像を可視化する際に、像担持体と現像ユニットとの間に発生する電圧)VBを−250Vに設定すると、露光電位VLと現像バイアス電位VBの電位差に基づき、現像ユニットからトナーが移動し、静電潜像を現像し、トナー像を生成する。転写ユニットにより、像担持体のトナー像が用紙カセットから搬送されてきた記録紙に転写され、転写された像が、定着ローラ及び加熱ローラより記録紙に定着され画像を形成する。
【0030】
尚、図1においては、像担持体上の不要な帯電を除くため、除電器が示されている。除電器は帯電器の前に配置され、一般的に画像形成装置で設けられているものである。ただし、除電器は、現像ユニットと転写ユニットの間、転写ユニットとクリーニング部の間に配置することも可能である。
【0031】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の斜視図を示す。画像形成装置1は、筐体10、用紙カセット20、本体フレーム30、外装扉40を備える。
【0032】
筐体10は樹脂などにより形成され、画像形成装置1の外枠を構成し、各部材を収納する。後述するように、筐体10には印刷後排出された記録紙が配置される排紙部50が形成されている。用紙カセット20は通常の画像形成装置に用いられているものであり、ユーザが手で筐体に対し、着脱可能なものである。用紙カセット20は所定のバネによって上方に付勢されたプレート21を含み、プレート21上に記録紙Rが収納される。
【0033】
図3に示すように、転写材たる記録紙Rへの印刷時には、印刷エンジン900の一部をなす給紙ローラ110の作用により、記録紙Rは用紙カセット20から搬出され、レジストローラ120にてその位置が規制され、後述する露光装置300などを含む印刷エンジンメインユニット910を通過する。印刷エンジンメインユニット910通過後、記録紙Rはプレッシャローラ140と加熱ローラ150を通過し、矢印で表された搬送方向Aに沿って搬送され、排紙部50に配置される。
【0034】
その他に画像形成装置1は、外部から種々のデータ(文字コード、描画命令など)を受け取り、描画データを作成したり、印刷エンジン900を制御するためのハードウェア、ソフトウェアを含むコントローラや、液晶表示装置等より構成され、筐体10の一部からユーザに視覚可能に露出しており、各種のステータスなどを表示する表示部を備える。さらに画像形成装置には、トナー(色材)とキャリアを含む現像剤を収納し、後述する現像ユニット500に供給するカートリッジが装着可能である。
【0035】
次に印刷エンジン900を説明する。印刷エンジン900は、実際に印刷を行う機構部分であり、記録紙の給紙から始まって、後述するように感光体への帯電および露光、トナー付着、記録紙へのトナー転写、定着など、物理的な印刷工程そのものを担当する部分である。
【0036】
図4に示すように、印刷エンジン900は、給紙ローラ110、レジストローラ120、印刷エンジンメインユニット910、プレッシャローラ140、加熱ローラ150を含む。給紙ローラ110は、用紙カセット20から記録紙Rを、印刷エンジンメインユニット910に向けて搬出するローラである。
【0037】
印刷エンジンメインユニット910は印刷エンジン900の主要部分をなすものであり、筐体10の内側に本体フレーム30を介して取り付けられている。印刷エンジンメインユニット910は主に画像形成工程のうち、転写材に対する露光、現像、画像転写を担う部分に相当する。本体フレーム30は、内側から筐体10の形状を保持する役割も果たす。
【0038】
印刷エンジンメインユニット910は、露光装置300、感光体400、現像ユニット500、転写ローラ130、帯電器600、除電器700、クリーナ800を含み、像の記録紙Rへの定着以外の作像プロセスを行なう。加熱ローラ150はプレッシャローラ140に従動し、加熱ローラ150による記録紙Rの加熱作用とプレッシャローラ140による圧力により、像が記録紙Rに定着され、形成される。
【0039】
レジストローラ120は、搬送路A(図3)に沿って、記録紙Rを感光体400(図6)における転写位置に搬送する部材である。レジストローラ120は、搬送されてきた記録紙Rをその位置で一時的に停止させ、記録紙Rの斜行を防止するとともに、コントローラによって制御された所定のタイミングで駆動を開始し、記録紙Rを搬送路に沿って搬送する。また、レジストローラ120は搬送位置および搬送速度の精度を高めるために、その一方を金属シャフトにより構成することが好ましく、記録紙Rの搬送方向において、実質的に記録紙Rの位置を規制している。
【0040】
帯電器600は、図1において説明したように、コントローラの制御に従い、感光体400に所定の電位(帯電電位VO)を印加し、感光体400を帯電させる。そして、露光ユニット400がコントローラからの描画データに基づき、感光体400を露光し、この部分の電位を所定の電位(露光電位VL)に設定することにより、印刷部分に対応する静電潜像を感光体400上に生成する。
【0041】
そして、現像ユニット500において、潜像を現像させるための現像バイアス電位(現像剤を用いて静電潜像を可視化する際に、感光体と現像ユニットとの間に発生する電圧)VBを設定すると、露光電位VLと現像バイアス電位VBの電位差に基づき、現像ユニット500からトナーが移動し、静電潜像を現像し、トナー像を生成する。さらに転写ローラ130により、像担持体のトナー像が用紙カセット20から搬送されてきた記録紙Rに転写される。
【0042】
感光体400から記録紙Rに転写された像が、上述した加熱ローラ150による加熱作用とプレッシャローラ140による圧力により、記録紙Rに定着され、この結果、トナー画像が記録紙R上に形成される。
【0043】
クリーナ(クリーニング部)800はブラシクリーニングより構成され、図1のクリーニング部の役割を果たし、感光体400上に付着した不要なトナーを除去する。除電器700は、クリーナ800による感光体400のクリーニング後、感光体400表面に残存した不要な帯電を除く除電光を発光する。
【0044】
図5に示すように、外装扉40は上方に回動可能であり、外装扉40を開けることにより、ユーザは筐体10内部の印刷エンジン900(印刷エンジンユニット910)に触れることができ、修理、部品交換などを容易に行なうことができる。
【0045】
次に、本発明におけるプロセスカートリッジ200を、図6から図12を用いて説明する。図11、図12に示すように、本発明のプロセスカートリッジ200は、画像形成装置1に着脱可能に設けられるプロセスカートリッジである。図6に示すように、プロセスカートリッジ200は、感光体400と、感光体を露光する露光装置300とを少なくとも含むものであり、感光体400と、この感光体400と一対一に対応し、感光体400を露光する露光装置300は単一のフレーム220に支持され一体的に構成されている。
【0046】
すなわち、図6、図7に示すように、感光体400の長手方向両端の回転軸はフレーム220に支えられ、フレーム220の上部、すなわち感光体400の上方に露光装置300が一体的に配置されている。尚、フレーム220は、後述するように、本体フレーム30との係合に使用される係合部材を構成する突起221、係合プレート222等を含む。尚、本実施形態においては、後述するように(図15)、フレーム220に露光装置300、感光体400のみならず、帯電器600、除電器700、クリーナ800も取り付けられており、フレーム220に、露光装置300、感光体400、帯電器600、除電器700、クリーナ800が一体に取り付けられてプロセスカートリッジ200を構成する。ただし、図7に示すように、露光装置300はフレーム220から容易に取り外し可能であり、プロセスカートリッジ200から露光装置300が取り外された残りの部分が、サブプロセスカートリッジ210を構成する。
【0047】
図8は露光装置300の単体を斜視図で示したものであり、図9は露光装置300の側面図を示す。図10は図8のII−II線に沿って露光装置300を切断した状態の斜視図である。
【0048】
露光装置300は、感光体400を露光する光を発する露光ヘッド部310と、外部との電気的接続確保等に使用される機能部330が、共通のガラス基板360、露光装置300の長手方向両端部に設けられたヒンジ部320(図9)を介して一体化されて形成されている。露光ヘッド部310には、露光ヘッド部310の長手方向(主走査方向)に延設した図示せぬ発光素子列が形成されている。当該発光素子列は、複数の発光素子(光源)が、露光ヘッド部310の長手方向に列状に配置して構成され、対峙する感光体400を露光する。発光素子としては、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL;Organic Electroluminescence)等の固体発光素子が挙げられる。
【0049】
尚、本実施形態における露光装置300の露光ヘッド部310には、結像レンズ(例えば複数の俵状のプラスティックレンズを備える、いわゆるレンズアレイによって構成された結像レンズ)のように、発光素子の光に光学的に作用する光学レンズが搭載されていない。光学レンズの光伝送効率は6%程度であり、強い光を感光体に照射するためには発光素子からの発光強度を上げなくはならない。しかしこのような場合、発光素子、特に有機EL素子の発光寿命が極端に短くなるおそれがある。しかしながら、本実施形態では光学レンズを用いていないため、伝送効率を向上させることができ、発光素子の発光強度を抑えることができるため、発光素子の発光寿命が短くなることを防止できる。
【0050】
機能部330には、画像形成装置1の本体における図示せぬ給電部から電力の給電、感光体400を露光する際の点灯情報(即ち画像データ)、および画像データの点灯タイミングを制御する信号線等を受ける電気的接続部を構成する外部端子接続パッド352を複数備えた基板350が、その表面に配置されている。
【0051】
なお、本実施形態においては、上述の発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)はガラス基板360上に形成され、この発光素子の形成面が感光体400に対向している(即ち、発光素子から出射された光が、ガラス基板360を経由せずに空間に出射される、いわゆるトップエミッション構造をとる)。更に発光素子は、その形成面において、発光素子のサイズ(発光素子が円形状であれば直径、方形状であれば辺の長さ)と略同一の厚みを有する酸窒化シリコン(SiON)によって封止されており、発光素子と感光体400表面の間隔を実質的に封止厚みと同等に構成している。このように封止に酸窒化シリコンを用いたのは、次のような重要な意味をもっている。酸窒化シリコンは例えば酸化シリコンと比較して、酸素等のガスや水分に対するバリア性能が大きく、更に形成時のスパッタ雰囲気を調整することで(例えば、導入ガスにおけるガス分圧をO2/(O2+N2)=0.05にする)、成膜された膜の内部応力をゼロにすることが可能である。これによって、有機エレクトロルミネッセンス素子(特にその電極)にガラス基板360と平行な方向への応力が全く作用しなくなり、露光装置の製造歩留まりを劇的に改善する。
【0052】
また、本実施形態においては、発光素子を駆動する回路をパッシブマトリクス方式で構成している。パッシブマトリクス方式は、行・列電極に挟まれた領域を発光させるものであり構成が簡易であるが、実質的に時分割駆動を必要とし、発光素子の瞬間的な発光光量は大きなものとなる。しかしながら、結像レンズを持たない本実施形態の構成によれば、発光素子から出射された光の伝送効率は極めて高いため、パッシブマトリクス方式によって発光素子を駆動しても、発光素子には大きな発光光量が要求されない。
【0053】
そして、露光装置300がフレーム220に接続される際には、図7の点線矢印で示すように、機能部330の両端に設けられているタブ状の接続部331が、フレーム220の平板部224上に配置されるとともに、露光ヘッド部310の位置決め穴310aに、位置決め部材370の位置決めシャフト377の先端が挿入される(図16参照)。
【0054】
また、図9に示すように、共通のガラス基板360の下面、すなわち感光体400に対抗する面にはギャップシート365が設けられている。ギャップシート365は一般的に20〜50μmの厚さをもち、テフロン(登録商標)のごとき低摺動シートにより構成されている。
【0055】
露光ヘッド部310の下面においては、ギャップシート365が設けられているものの、ガラス基板360と感光体400の距離が極めて近いため、強い力で露光ヘッド部310を感光体400側に押すと、ガラス基板360が破損する恐れがある。したがって、押圧ばね42から露光ヘッド部310にかかる力(矢印M)は小さく抑える必要がある。
【0056】
一方、機能部330においては、外部との電気的接続を確保するため、基板350の
外部端子接続パッド352に接続するコネクタからの力(矢印N)は大きく確保する必要がある。すなわち露光装置300には、部分ごとにかかる最適な外力の大きさを異ならせることが必要される。
【0057】
このような特性を達成するため、本実施形態では、機能部330にかかる大きな力Nをその接続部331を介してフレーム220の平板部224が受け止める構成を採っている。さらに、このような大きな力Nが露光ヘッド部310側に伝わらないように、接続部331と露光ヘッド部310を接続するヒンジ部320のたわみにより、力Nが発散される。
【0058】
なお、本実施形態では、発光素子を支持する基板としてガラス基板360を用いているが、ガラス基板360が破損する問題がある場合は、発光素子を形成する基板としてプラスティックを用いるとよい。そして、このプラスティック基板を露光装置300の長手方向(図8で示すz方向)に張力を付与して配置すればよい。また、このとき、張力を付与する部材によって感光体400との間隔を規制するように構成してもよい。
【0059】
次に、プロセスカートリッジ200の、画像形成装置1の本体への取り付け方法を、図11、図12を用いて説明する。
【0060】
図2、図11に示すように、画像形成装置1の本体の一部を形成する本体フレーム30には、本体フレーム、ひいては画像形成装置の本体に対して相対的に回転可能に回動部材31が取り付けられている。当該回動部材31は、本体フレーム30の側面を形成する側面フレーム33に、ビス32を介して回転可能に取り付けられている。回動部材31には、接続端子31aが設けられ、プロセスカートリッジの画像形成装置への取り付け時に、露光装置300の外部端子接続パッド352と電気的に接続する。
【0061】
ユーザがプロセスカートリッジ200を矢印Bの方向へ移動させ、回動部材31に接触させた後、さらに矢印Bの方向へ移動させる。すると、回動部材31が矢印Cの方向にビス32を中心として回転する。その後、さらにユーザが、回動部材31の矢印Cの方向への回転動作に追従させながらプロセスカートリッジ200を押し込むと、フレーム220の側面に形成された突起221が、側面フレーム33に形成されたスロット34内に進入する。また、同じくフレーム220の側面に形成された係合プレート222の係合爪222aが、側面フレーム33に形成された側面窓35に係合する。このような手順を経て、図12に示すように、プロセスカートリッジ200が、本体フレーム30、ひいては画像形成装置1の本体に取り付けられる。また、上記手順と逆の手順操作を行うことにより、プロセスカートリッジ200を、本体フレーム30、ひいては画像形成装置1の本体から取り外すことが可能である。従って、プロセスカートリッジ200の画像形成装置1への着脱は容易に達成される。
【0062】
同時に、回動部材31の接続端子31aが、露光装置300の外部端子接続パッド352と電気的に接続されるため、露光装置300への給電確保を容易に行うことが可能となる。
【0063】
図13は、露光装置300を、プロセスカートリッジ200、ひいては画像形成装置1の本体から取り外した状態を示す図である。このように、本実施形態においては、露光装置300が、画像形成装置1に着脱可能に設けられていると把握することもできる。図14は、図13のように露光装置300のみを取り外した後、サブプロセスカートリッジ210を取り外した状態を示す図である。
【0064】
図13に示すように、露光装置300は、それのみで画像形成装置1の本体に対し着脱可能に構成されている。そのような構成について、図15〜図18を用いて説明する。
【0065】
図15は、図6のI―I線に沿ってプロセスカートリッジ200を切断した状態を示す斜視図である。図15に示すように、プロセスカートリッジ200は、フレーム220に、露光装置300、感光体400、帯電器600、クリーナ800が一体に取り付けられて構成される。図15では除電器700が省略されているが、除電器700もフレーム220に取り付け可能である。そして、帯電器600と、除電器600と、クリーナ800のうち少なくとも一つを、プロセスカートリッジ200に盛り込むように構成することが可能である。クリーナ800は、感光体400の表面に当接し、表面に付着したトナーを拭き取るクリーニングブレード810と、拭き取られたトナーを図示せぬ廃トナー収納容器へ搬送する廃トナー搬送部としての廃トナー搬送オーガ820を備える。
【0066】
そして、本実施形態では、感光体400の両端に支持され(図17参照)、露光装置300を支持するとともに、露光装置300を感光体400から離れる側へ付勢する位置決め部材370が設けられている。位置決め部材370は、樹脂ケースより形成された箱体状のハウジング371と、ハウジング371に収納された一対の自転ころ373と、ハウジング371と一体に形成された位置決めシャフト377と、ハウジング371上に取り付けられた付勢部材としての付勢ばね375とを含む。
【0067】
自転ころ373は、ハウジング371に回転可能に収納されており、感光体400に接触しており、感光体400の回転とともに回転する。また、位置決めシャフト377の先端はテーパ状に形成されており、露光装置300の露光ヘッド部310に形成された位置決め穴310aに挿入可能となっている。
【0068】
そして、図16、図17に示すように、ユーザが露光装置300をフレーム220(サブプロセスカートリッジ210)、ひいては画像形成装置1の本体に取り付ける際には、露光ヘッド部310の位置決め穴310aに、位置決めシャフト377の先端が入るよう、位置合わせをする。位置合わせをしたまま、露光装置300を、付勢ばね375による反発力に逆らいながらフレーム220側に押しつづけると、露光ヘッド部310の両端が、フレーム220の係合突起223の係合爪223aと係合する。さらに、機能部330の接続部331が、フレーム220の平板部224上に配置される。そして図17に示すように、付勢ばね375による反発力を抑制しながら、露光装置300がフレーム220に取り付けられる。図18は、このようにして露光装置300が取り付けられた画像形成装置1のエンジン900の印刷エンジンメインユニット910付近の断面図を示す。
【0069】
本実施形態においては、露光装置300のみ、または露光装置300を含むプロセスカートリッジ200が、画像形成装置1の本体から容易に着脱可能に構成されている。従って、ユーザは発光光源の寿命に応じて容易に露光装置、または露光装置と他の部品からなるカートリッジを交換することが可能となり、画像形成装置の使い勝手、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態においては、プロセスカートリッジ200において、感光体400と露光装置300は、相対位置が調整可能な状態で、少なくとも一の部材たるフレーム220を介して一体化されている。すなわち、プロセスカートリッジ200自体のフレーム220の係合突起223、位置決め部材370の作用により、感光体400と露光装置300の相対位置が調整可能である。さらには、プロセスカートリッジ200の外部の部材たる外装扉40に取り付けられた押圧ばね42の作用によっても、感光体400と露光装置300の相対位置は調整可能である。従って、露光装置の300寿命に応じてプロセスカートリッジ200を柔軟に交換するとともに、露光装置300と感光体400の相対位置を容易に調整することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態においては、画像形成装置1への取り付け時に、露光装置300は、感光体400の上方に位置するように構成されている。従って、露光装置300がトナーの付着などにより汚染される可能性は低くなり、露光装置300の着脱も容易なものとなる。尚、この構成は、ユーザがプロセスカートリッジにアクセス可能な状態において、最も先にアクセスする位置に露光装置300を配置したものである、と言い換えてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、露光装置300の画像形成装置1への取り付けの際、露光装置300は露光装置自身を感光体400から離れる側へ付勢する付勢ばね375の付勢力に逆らいつつ、感光体400に対し相対的に所定の位置に保持されるよう構成されている。このような保持は、露光装置300の露光ヘッド部310の両端部と、フレーム220における係合突起223の係合爪223aとの係合により達成される。従って、露光装置300の画像形成装置1への着脱も容易に達成される。また、付勢ばね375の作用により、画像形成装置の本体からプロセスカートリッジ200が外れた状態であっても、露光ヘッド部33と感光体400をできるだけ離間させ、感光体400への衝撃等によるスクラッチ傷が発生するのを防止することができる。
【0073】
尚、露光装置300をフレーム220に取り付けた後、外装扉40を閉じると、外装扉40に取り付けられた押圧ばね42が、露光装置300の露光ヘッド部310の両端部を押す。押圧ばね42の加重は付勢ばね375の加重より大きいため、付勢ばね375により感光体400から所定の距離退避した(遠ざかった)露光ヘッド部310、露光装置300は、外装蓋40が閉じられると、露光ヘッド部310の長手方向両端に配置したギャップシート365(図9)を介して感光体400に近づくため、感光体400と露光装置300との間の距離を所定の距離に維持することができる。
【0074】
また、露光装置300による露光動作中は、露光装置300と感光体400の間の距離が第1の距離に設定され、非印字動作中は、露光装置300と感光体400の間の距離が第1の距離より長い第2の距離に設定されるよう、付勢ばね375の圧縮の程度を調整する機構を設けることができる。このような機構により、露光装置300がトナーの付着などにより汚染されることを防止するとともに、露光装置300の発光素子のクリーニングの際におけるクリーニング部材が通過する隙間を確保することが可能となる。
【0075】
(第2の実施形態)
図19は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置1の斜視図を示す。画像形成装置1は、第1実施形態のものとほぼ同等の構成を備えるが、本実施形態においては、外装扉40の内面に、感光体400に対する露光装置、本実施形態では露光ヘッド300Aの相対的な位置を決定する露光ヘッド位置決め装置380が設けられている。
【0076】
図20、図21の側面図に示すように、外装扉40の下面(内面)、すなわち画像形成装置1の本体と露光ヘッド位置決め装置380の主要部分を構成する位置決め装置本体381との間には、付勢部材たるばね382が設けられ、位置決め装置本体381とばね382より露光ヘッド位置決め装置380が構成される。図22に示すように、バネ382は位置決め装置本体381の筐体384の長手方向両端に設けられた突起383に取り付けられ、位置決め装置本体381を感光体400の方向へ付勢する。
【0077】
露光ヘッド300Aは、第1の実施形態における露光装置300に相当するものであり、筐体384の中に保持されている。ばね382の作用により、位置決め装置本体381が感光体400の方向へ付勢されており、露光ヘッド300Aも間接的に感光体400の方向へ付勢される。
【0078】
図22に示すように、位置決め装置本体381の長手方向において、突起383のさらに外側で、かつ位置決め装置本体381の下側には、第1の実施形態の位置決め部材370と同等の構成を有する位置決め部材370が配置されている。図23、図24に示すように、位置決め部材370は、樹脂ケースより形成された箱体状のハウジング371と、ハウジング371に収納された一対の自転ころ373,373と、ハウジング371と一体に形成された位置決めシャフト377とを含む。本実施形態においては、第1の実施形態のものと異なり、付勢ばね375は設けられていない。
【0079】
一対の自転ころ373,373は、感光体400に当接するともに、感光体の回転に伴い、感光体に従動して回転する回転体を構成する。自転ころ373は、その長手方向が、感光体400の長手方向と平行になるように配置され、各自転ころ373は、感光体400の回転方向に配列されている。自転ころ373の回転軸(図示せず)がハウジング371に支持されることにより、自転ころ373はハウジング371に回転可能に保持されている。
【0080】
自転ころ373は、4フッ化エチレンやポリフェニレンサルファイドのように、低摺動性を有する材料より構成することが好ましい。また、形状維持性、耐久性の観点から金属により構成することもできるが、この場合には、表面に前述した樹脂による皮膜を形成することが好ましい。また、本実施形態では、感光体400に当接する回転体を一対の自転ころ373,373により構成したが、回転体の具体例は一対の自転ころ373,373には限定されず、その大きさ、形状、個数などは任意であり、感光体400との間の摩擦が減少するよう回転可能に構成されたものであればよい。
【0081】
箱体状のハウジング371は樹脂ケースなどより形成され、上述したように回転体たる一対の自転ころ373,373を回転可能な状態で保持する回転体保持部材として機能する。ハウジング371の形状なども特に限定はされない。
【0082】
図25、図26に示すように、位置決め部材370の一部、すなわちハウジング371の上面、位置決めシャフト377は、フレーム220から位置決め装置本体381に対向するように露出している。位置決めシャフト377の先端はテーパ状に形成されており、位置決め装置本体381の筐体384に設けられた図示せぬ位置決め穴(第1の実施形態の露光ヘッド部310に形成された位置決め穴310aに相当)に挿入可能となっている。
【0083】
図27に示すように、正常な状態において、位置決め部材370に対し上方から与えられる付勢力(ばね382による付勢力)Fは、感光体400の中心に向かう。すなわち、ばね382、位置決め装置本体381から与えられる付勢力Fは、最終的に位置決め部材370の一対の自転ころ373,373に到達する。自転ころ373,373は感光体400に接触しており、各自転ころ373に分配された付勢力FA,FBが、ともに感光体400の中心に向かうことにより、位置決め部材370は感光体400上に安定的に配置される。
【0084】
本実施形態では、露光ヘッド位置決め装置380において感光体400に当接する部分がころ373のような回転体により構成され、感光体400の回転に伴い回転する。従って、露光ヘッド位置決め装置380と感光体400との間の摩擦を減らすことが可能となり、露光ヘッド位置決め装置380の寿命を確保するとともに、正確な位置決めも可能となる。
【0085】
次に図28から図31を用いて、位置決め装置本体381の詳細を説明する。位置決め部材本体381の外枠は、各種部材を収納した筐体384より構成される。図22、図28に示すように、筐体384の上面には、付勢部材たるバネ382(図19から図22参照)を保持する突起が設けられ、当該ばね382の作用により、位置決め装置本体381は下方、すなわち感光体400側に常に付勢された状態となっている。
【0086】
一方、筐体384の下面には露光ヘッド300Aが配置され、感光体400に対し対向して配置される。すなわち、筐体384は露光ヘッド300Aを保持する露光ヘッド保持部材としても機能する。通常、露光ヘッド300Aと感光体400の間の隙間の距離は50μm程度に設定される。
【0087】
そして、筐体384は、感光体400と露光ヘッド300Aの間の距離を調整するため、感光体400に対し相対的に露光ヘッド300Aを移動させる位置調整部材を収納している。本実施形態において、当該位置調整部材は、ねじ385と偏芯ギア(ヘリカルギア)386より構成されている。筐体384から位置調整部材の一部、正確には偏芯ギア386の一部がスロット384aを介して露出し、位置決め部材370のハウジング371に当接している(図22参照)。
【0088】
ねじ385に対し、ユーザ、サービスマンは、筐体384の外部からアクセス可能、すなわち、ねじ回しを使用して図29の矢印Dのように回すことが可能であり、容易に位置調整を行うことが可能である。そして筐体384の内部において、ねじ385と偏芯ギア386は噛み合っており、ねじ385を矢印Dの方向に回すことにより、偏芯ギア386を矢印Eの方向に回転、駆動させることが可能である。
【0089】
偏芯ギア386は、ねじ385と噛み合うギア部386bと、ギア部386bと一体的に形成されるとともに、ハウジング371に当接した当接部386cとを備えている。当接部386cはギア部386bの両面に一対設けられ、ハウジング371の上面(図25参照)に安定的に当接する。また当接部386c上には、偏芯ギア386の回転に伴い、筐体384に形成されたスロット384b内で回転する円形の突部386aが設けられている。突部386aをスロット384bにより規制することにより、たとえ回転しても、偏芯ギア386は筐体384内の所定の位置に安定的に保持される。
【0090】
図31に示すように、ギア部386bの回転中心Xは突部386a上にあり、当接部386cの回転中心Yからずれて配置されている。従って、偏芯ギア386が矢印Eの方向(図29)に回転、駆動したとき、当接部386cの外周上の一点の軌跡は矢印Gのようになる。このことは、ねじ385の回転とともに、ギア部386bの回転中心Xとハウジング371に対する当接位置との間の距離が変動することを意味する。そして、位置決め装置本体381は、ばね382の作用により常に下方に付勢されているため、この一連の作用により、位置決め本体381は上下動する。図31の状態から偏芯ギア386がいずれかの方向に回転すると、回転中心Xとハウジング371に対する当接位置との間の距離は短くなり、位置決め装置本体381は下方へ移動する。ひいては、露光ヘッド300Aの感光体400に対する距離が変動し、露光ヘッド300Aの位置決めが実現される。
【0091】
上記の構成により容易に露光ヘッド300Aを感光体400に対し、相対的に最適な位置(露光光のフォーカス位置)に調整することが可能となる。また、本実施形態においては、偏芯ギア386の採用により、20:1程度のギア比を実現し、特許文献1に記載のような偏芯量と偏芯角度が1対1となっている構成に比べ、より細かな微調整が可能となる。また、偏芯ギア386の採用により、焦点位置がずれにくくなる。さらに、偏芯ギア386に駆動用のモータを接続することにより、電動の微調整オートフォーカスをも実現することができる。
【0092】
本実施形態においては、複数の回転体たる自転ころ373,373が、感光体400の回転方向に設けられ、感光体400に当接する。従って、露光ヘッド300Aは、筐体384、位置調整部材、位置決め部材370を介して安定的に感光体400上に配置されることとなる。さらに、位置決め部材370は、露光ヘッド300Aの長手方向両端部に設けられるため、露光ヘッド300Aがより安定的に感光体400上に配置されることとなる。
【0093】
また、本実施形態においては、露光ヘッド保持部材たる筐体384(位置決め装置本体381)が、ハウジング371とは別体に構成されている。この構成では、感光体400に直接当接する位置決め部材370から独立して、筐体384(位置決め装置本体381)の感光体400に対する相対的な位置を変更し、ひいては露光ヘッド300Aと感光体400の間の距離を変更することができる。また、露光ヘッド300Aを保持する筐体384が自転ころ373,373を保持するハウジング371と別体に構成され、位置調整部材を構成するねじ385、偏芯ギア386を容易に筐体内に収納することが可能となる。
【0094】
ただし、本発明の構成はこのような実施形態には限定されない。例えば、一対の自転ころ373,373を保持するハウジング371(回転体保持部材)と露光ヘッド300Aを保持する筐体384(露光ヘッド保持部材)を一体の部材により構成し、露光ヘッド300Aをそのような部材から独立して動くように構成し、露光ヘッド300Aと感光体400の間の距離を変えてもよい。このような構成も本発明に含まれる。
【0095】
図32から図34は、位置決め部材370の他の例370Aを示す図である。この例では、ハウジング371の偏芯ギア386の当接部386c、すなわち位置調整部材と当接する面371aは、一対の自転ころ373,373によって定義される面P−Pに対し傾斜した傾斜面371aより構成される。面P−Pは、自転ころ373,373が感光体400に当接する部分を含む面により定義される。
【0096】
図33は、本例の位置決め部材370Aを採用した場合における、感光体400、位置決め部材370A、位置決め装置本体381の配置状態を示す図である。この図に示すように、ハウジング371の傾斜面371a(図32)の作用により、位置決め装置本体381は感光体400の中心に向かって配置されるのではなく、その配置の方向は中心からずれる。
【0097】
本例では図34に示すように、正常な状態において、位置決め部材370Aに対し上方から、すなわち外部から与えられる押圧力(ばね382による押圧力)Fは、図27の例とは異なり感光体400の中心に向かわない。すなわち、ばね382、位置決め装置本体381から与えられる押圧力Fは、各自転ころ373に分配された付勢力FA,FBの合力であり、感光体400の中心に向かうF1と、傾斜面371aに沿ったF2の二つの分力に分解されることになる。このような、押圧力Fに対する二つの分力への分解作用は、ハウジング371の傾斜面371aによりなされる。
【0098】
分力F2は感光体400のいずれか一方の周方向を向いた付勢力であり、位置決め部材370Aには常に一方向への力がかかることとなる。図27の例ではこのような力がないため、部材の公差上の僅かなずれ等によって、ときには位置決め部材370は感光体400上で不安定となることもあるが、本例ではより安定的に位置決め部材370Aを感光体400上に配置することができる。すなわち、感光体400の両端に配置された位置決め部材370が、感光体400に対して常に同じ方向(F2)に付勢されるので、位置決め部材370に対してF2方向に、例えばフレーム220(図25)にストッパ等を配置することで、感光体400の回転軸に対し、図27の例に比べてより平行に露光ヘッド300Aを配置することができる。すなわち、感光体400に平行に給紙される記録媒体に対して直角に像を形成することができることとなる。
【0099】
なお、上述のようにハウジング371の傾斜面371aを押圧することで付勢力F1を発生させてもよいが、例えば自転ころ373の一方の直径を他方と異ならせて傾斜面371を構成しても、同様の効果が得られる。
【0100】
また、付勢力F1の方向は、感光体400の回転方向と一致させることが望ましい。自転ころ373はハウジング371に対して回転自在に設けられるとはいえ、回転する際には必ず摩擦力が生じるため、感光体400の回転によって、位置決め部材370Aには感光体400の回転方向に変位させようとする力Fx(図示せず)が作用する。ここで、もし付勢力F1が感光体400の回転方向とは逆に作用すると、結果的にFxと付勢力F1が拮抗するような事態(例えば自転ころ373の回転がスムーズでなくなったような事態)が起こった場合に、位置決め部材370Aの位置が不安定になるからである。
【0101】
図35、図36は、位置決め部材370の他の例370Bを示す図である。この例では、ハウジング371に潤滑剤(シリコン、フッ素分散液など)を含浸した潤滑材含浸部材たるフェルト(またはスポンジ)377と、潤滑材をふき取るブレード376が取り付けられている。ブレード376は、ウレタン、EPDM(ethylene propylene diene monomer)、シリコンなどより形成されている。この位置決め部材370Bでは、一対の自転ころ373,373に潤滑材が常に供給されることとなり、感光体400に対する低摩擦を維持することができる。
【0102】
図37は、位置決め装置本体381において、露光ヘッド300Aの位置を変更した際における、MTF(Modulation Transfer Function)の変化を観測する状態を示す図である。位置決め装置本体381は基台1000に設けられた凹部1200にはめ込まれるが、凹部1200内には付勢ばね1100が設けられており、当該付勢ばね1100の作用により、位置決め装置本体381は当該ばねと反対側の壁1210(図38)に押し付けられる。
【0103】
観測者がねじ385を矢印Hの方向に回すと、図29で示したように偏芯ギア386が従動して回転し、壁1210と付勢ばね1100の作用により位置決め装置本体381は矢印Iの方向に移動する。移動した任意での位置におけるMTFを基台1000上に設けられたカメラ1300を用いて測定した結果を図39、図40に示す。このように、位置決め装置本体381における位置調整部材としてのねじ385と偏芯ギア386を用いることにより、最適な露光ヘッド300Aの位置を決定することが可能となる。
【0104】
本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、画像形成装置の本体から着脱可能な露光装置単体、または露光装置を含むプロセスカートリッジが提供されるため、画像形成装置の使用性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】画像形成装置の作用を示す概念図
【図2】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の斜視図
【図3】本発明の第1の実施形態の画像形成装置において記録紙が搬送される状態を示す側面図
【図4】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の側面図
【図5】本発明の第1の実施形態の画像形成装置において外装扉を開いた状態における側面図
【図6】本発明の第1の実施形態のプロセスカートリッジの斜視図
【図7】本発明の第1の実施形態のプロセスカートリッジを露光装置とサブプロセスカートリッジに分解した際の状態の斜視図
【図8】本発明の第1の実施形態の露光装置の斜視図
【図9】本発明の第1の実施形態の露光装置の側面図
【図10】図8のII−II線に沿って露光装置を切断した状態の斜視図
【図11】プロセスカートリッジを画像形成装置の本体への取り付ける際の動作を示す側面図
【図12】プロセスカートリッジを画像形成装置の本体への取り付けた際の側面図
【図13】露光装置を画像形成装置の本体から取り外した状態を示す図
【図14】図13のように露光装置のみを取り外した後、サブプロセスカートリッジを取り外した状態を示す図
【図15】図6のI―I線に沿ってプロセスカートリッジを切断した状態の斜視図
【図16】露光装置の位置決め部材付近を示す斜視図
【図17】プロセスカートリッジの正面図
【図18】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の印刷エンジン付近の側面図
【図19】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の斜視図
【図20】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の側面図
【図21】本発明の第2の実施形態の画像形成装置の印刷エンジン付近の側面図
【図22】露光ヘッド位置決め装置付近の正面図
【図23】位置決め部材を下方から見た斜視図
【図24】位置決め部材を上方から見た斜視図
【図25】感光体のフレームから位置決め部材の一部が露出した状態を示す斜視図
【図26】位置決め部材が感光体に当接した状態を示す側面図
【図27】位置決め部材の付勢力が感光体に作用する状態を示す模式図
【図28】位置決め装置本体の端部付近を示す斜視図
【図29】位置決め装置本体の端部付近の内部を示す斜視図
【図30】偏芯ギアの斜視図
【図31】偏芯ギアの動きを示す側面図
【図32】位置決め部材の他の例を示す側面図
【図33】他の例の位置決め部材と位置決め装置本体及び感光体との関係を示す図
【図34】他の例の位置決め部材の付勢力が感光体に作用する状態を示す模式図
【図35】さらに他の例の位置決め部材が感光体上に配置された状態を示す斜視図
【図36】さらに他の例の位置決め部材が感光体上に配置された状態を示す側面図
【図37】位置決め装置本体のフォーカス位置調整を行う際の状態を示す図
【図38】位置決め装置本体のフォーカス位置調整を行う際の状態を示す図
【図39】露光ヘッドと感光体間の距離に対する画像解像度を示す図
【図40】露光ヘッドと感光体間の距離とMTFの関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
10 筐体
20 用紙カセット
21 プレート
30 本体フレーム
40 外装扉
50 排紙部
200 プロセスカートリッジ
210 サブプロセスカートリッジ
220 フレーム
300 露光装置
300A 露光ヘッド
360 ガラス基板
370 位置決め部材
380 露光ヘッド位置決め装置
400 感光体
500 現像ユニット
600 帯電器
700 除電器
800 クリーナ
900 印刷エンジン
910 印刷エンジンメインユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に着脱可能に設けられるプロセスカートリッジであって、当該プロセスカートリッジは、感光体と、当該感光体を露光する露光装置とを少なくとも含み、
前記感光体及び前記露光装置は、相対位置が調整可能な状態で少なくとも一の部材を介して一体化されているとともに、前記画像形成装置から着脱可能に構成されるプロセスカートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載のプロセスカートリッジであって、
前記画像形成装置への取り付け時に、前記露光装置が前記感光体の上方に位置するよう構成されるプロセスカートリッジ。
【請求項3】
請求項1または2記載のプロセスカートリッジであって、
帯電器と、除電器と、クリーナのうち少なくとも一つを更に含むプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のプロセスカートリッジであって、
露光動作中は、前記露光装置と前記感光体の間の距離が第1の距離に設定され、非印字動作中は、前記露光装置と前記感光体の間の距離が前記第1の距離より長い第2の距離に設定されるプロセスカートリッジ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のプロセスカートリッジであって、
前記露光装置は光学レンズを含まないプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のプロセスカートリッジであって、
前記露光装置は、前記画像形成装置の本体から給電を受ける電気的接続部を表面に有するプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のプロセスカートリッジであって、
前記感光体の両端に支持され、前記露光装置を支持するとともに、前記露光装置を前記感光体から離れる側へ付勢する位置決め部材を更に備えるプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載のプロセスカートリッジであって、
前記一の部材が、前記露光装置が配置されるとともに前記感光体の回転軸を支えるフレームより構成され、
前記画像形成装置の本体に設けられ、当該本体に対して相対的に回転可能に取り付けられた回動部材に対し、前記フレームが係合し、前記画像形成装置に取り付け可能な露光装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載のプロセスカートリッジを含む画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置に着脱可能に設けられ、当該画像形成装置の感光体を露光する露光装置であって、当該露光装置は、前記画像形成装置への取り付けの際、当該露光装置を前記感光体から離れる側へ付勢する付勢部材の付勢力に逆らいつつ、前記感光体に対し相対的に所定の位置に保持されるよう構成された露光装置。
【請求項11】
請求項10記載の露光装置であって、
前記付勢部材が前記画像形成装置の本体に設けられた露光装置。
【請求項12】
請求項10または11記載の露光装置であって、
前記露光装置は光学レンズを含まない露光装置。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項記載の露光装置であって、
前記露光装置は、前記画像形成装置の本体から給電を受ける電気的接続部を表面に有する露光装置。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項記載の露光装置を含む画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2008−268449(P2008−268449A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109756(P2007−109756)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】