説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】簡易な構成でシャッタを確実に開きつつ、かつ、シャッタもしくはシャッタ開閉部材の動作範囲をなるべく狭くして、小型化、コストダウンを達成することが可能なプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】感光ドラム1を有し、画像形成装置に設けられる装着ガイド45、46にガイドされつつ画像形成装置に対して着脱自在に構成されるプロセスカートリッジ7において、プロセスカートリッジ7は、シャッタ40と、シャッタ40の開閉を行うシャッタ開閉部材42と、を備え、シャッタ開閉部材42に設けられるシャッタ開閉部材被付勢部42a3が付勢されることで、シャッタ40が開く構成であると共に、プロセスカートリッジ7を装着ガイド45,46に沿って画像形成装置に対して装着する際に、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が装着ガイド45、46から付勢されることで、シャッタ40が開く構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を備えるプロセスカートリッジ、及びプロセスカートリッジを備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用する画像形成装置においては、像担持体としての感光ドラム、及び現像ユニット等を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。
【0003】
プロセスカートリッジ方式によれば、装置本体のメンテナンスをサービスマンに頼らずユーザ自身で行うことも可能になるので、装置本体の操作性を格段に向上させることが可能になる。
【0004】
また、このようなプロセスカートリッジとして、感光ドラムを外部から遮蔽して保護する為に設けられる開閉可能なシャッタと、シャッタを開閉を行うシャッタ開閉部材が備えられるものが知られている。
【0005】
装置本体にプロセスカートリッジを装着して画像形成を行う際は、プロセスカートリッジに隣接して設けられる露光ユニットから射出されるレーザ光を感光ドラムの表面に照射させるため、感光ドラムをプロセスカートリッジから露出させる必要がある。すなわち、シャッタを所定位置まで開く必要がある。
【0006】
一方で、メンテナンス作業等の際にプロセスカートリッジを画像形成装置本体から取り外す場合は、感光ドラムの表面に汚れが付着したり、または表面が傷つくことを防ぐために、感光ドラムを外部から遮蔽して保護することが望ましい。すなわち、シャッタを閉じることが望ましい。
【0007】
よって、画像形成中は感光ドラムを露出させ、それ以外の場合には感光ドラムを外部から遮蔽することが可能な、開閉可能なシャッタを有するプロセスカートリッジが求められる。そこで、このようなシャッタを備えるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置の構成が特許文献1、2に開示されている。
【特許文献1】特開平10−104946号公報
【特許文献2】特開平10−104947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来例に係るプロセスカートリッジ、及び画像形成装置においては、以下に示す問題を生じる。
【0009】
上記従来例に係るプロセスカートリッジ、及び画像形成装置は、プロセスカートリッジにシャッタの開閉を行うシャッタ開閉部材を設け、一方の画像形成装置にシャッタ開閉部材に作用してシャッタの開閉を行うシャッタ開閉案内部材を設ける構成である。さらに、画像形成装置には、プロセスカートリッジの装置本体への装着をガイドする装着ガイドが設けられる。
【0010】
この構成でプロセスカートリッジを画像形成装置に対して装着すると、まず、プロセスカートリッジが装着ガイドにガイドされ、装置本体内の所定の位置に位置決めされる。そ
してこの間に、画像形成装置のシャッタ開閉案内部材がプロセスカートリッジのシャッタ開閉部材に作用してシャッタを所定の位置まで開く構成である。すなわち、装着前には閉じていたシャッタが、画像形成装置本体に装着後には開いた状態になる。
【0011】
しかしながら上記従来例に係るプロセスカートリッジ、及び画像形成装置では、画像形成装置のシャッタ開閉案内部材が、プロセスカートリッジの装着動作をガイドする装着ガイドと別部品として設けられている。
【0012】
このようにシャッタ開閉案内部材を画像形成装置内に単独に設ける場合は、シャッタ開閉案内部材をシャッタ開閉部材に正確に作用させるためにシャッタ開閉案内部材を精度良く画像形成装置内に設ける必要がある。
【0013】
シャッタ開閉案内部材の取り付け位置にバラつきが生じると、シャッタ開閉案内部材をシャッタ開閉部材に安定して作用させることが困難になるので、シャッタを所定の位置まで開くことが難しい。
【0014】
その為、上記従来例に係るプロセスカートリッジ、及び画像形成装置では、シャッタ開閉案内部材の取り付け位置精度がある程度低い場合でも、確実にシャッタ開閉を行う為に、シャッタやシャッタ開閉部材の動作範囲を広く確保する必要があった。
【0015】
その結果、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置が大型化してしまっていた。さらには、シャッタ開閉案内部材を画像形成装置に対して精度良く設ける必要があるので、部品数の増加、製造工程の複雑化等によって製造コストが増加してしまった。
【0016】
本発明は、小型化、及びコストダウンを達成することが可能なプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明にあっては、画像形成装置に設けられる装着ガイドにガイドされつつ、装着部に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、前記プロセスカートリッジは、像担持体と、前記像担持体を遮蔽する遮蔽位置と前記像担持体を露出させる露出位置とを取り得るシャッタと、前記シャッタを前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動させるために付勢される被付勢部と、前記装着ガイドに当接する被ガイド部と、を有し、前記装着部に装着される際に、前記被ガイド部が前記装着ガイドにガイドされると共に、前記被付勢部が前記装着ガイドに付勢され、前記シャッタが前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の画像形成装置は、像担持体、前記像担持体を遮蔽する遮蔽位置と前記像担持体を露出させる露出位置とを取り得るシャッタ、及び前記シャッタを前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動させるために付勢される被付勢部、を有するプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジが装着される装着部と、前記プロセスカートリッジを前記装着部に装着する際に、前記シャッタを前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動させるために前記被付勢部を付勢し、かつ、前記プロセスカートリッジに設けられる前記被ガイド部をガイドする装着ガイドと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、小型化及び、コストダウンを達成したプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
[画像形成装置の全体構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は本実施の形態に係る画像形成装置の断面における概略構成を示すものである。
【0022】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置100は、水平方向に対して傾斜して並設した着脱自在な4個のプロセスカートリッジの装着部99(図8参照)を有する。そして、プロセスカートリッジ7(7a〜7d)には夫々1個の像担持体としての感光ドラム1(1a〜1d)が備えられる。なお、プロセスカートリッジ7の説明については後述する。
【0023】
プロセスカートリッジ7と隣接する位置には、画像情報に基づいて各々の感光ドラム1の表面に対してレーザ光Lを射出するスキャナユニット3(露光手段)が設けられる。
【0024】
スキャナユニット3は、プロセスカートリッジ7の並設方向と略平行に設けられ、内部に4つの光源(不図示)を有する。このように、プロセスカートリッジ7、及びスキャナユニット3を水平方向に対して傾斜させて設けることで、画像形成装置の小型化を達成することが可能になる。
【0025】
そしてスキャナユニット3からレーザ光Lが射出され、予め表面が一様に帯電された感光ドラム1に静電潜像が形成されると、プロセスカートリッジ7内において静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナー像として現像される。
【0026】
そして、各々の感光ドラム1と当接して設けられる1次転写ローラ51(51a〜51d)と感光ドラム1とのニップ部において、トナー像が順次中間転写ベルト5上に転写(1次転写)される。
【0027】
なお、本実施の形態においては、感光ドラム1の表面上のトナー像は負電荷に帯電する。よって、1次転写ローラに正極性のバイアスを印加することで、感光ドラム1の表面から中間転写ベルト5上にトナー像を1次転写することが出来る。
【0028】
中間転写ベルト5は駆動ローラ56によって図1中矢印A方向に移動し、1次転写されたトナー像が二次転写ローラ52のニップ部まで搬送される。そして2次転写ローラ52のニップ部において、装置本体下部に配置される給送トレイ17から給送ローラ54、搬送ローラ76、レジストローラ55を経て搬送されてきたシート材(記録媒体)Sにトナー像が転写される(2次転写)。この際、2次転写ローラ52に正極性のバイアスが印加されることで2次転写が行われる。
【0029】
トナー像が転写されたシート材Sは、定着装置106に搬送され、シート材S上のトナー像が定着される。そしてシート材Sは排出ローラ対107から装置本体外部へ排出される。
【0030】
[プロセスカートリッジの構成]
図1、2を参照して、本実施の形態に係るプロセスカートリッジ7の構成について説明を行う。図2は、本実施の形態に係るプロセスカートリッジ7の断面における概略構成を示すものである。なお、本実施の形態においてはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色ごとにプロセスカートリッジ7a〜7dを設ける構成であるが、これらのプロセス
カートリッジは実質的にどれも同一の構成を有する。
【0031】
プロセスカートリッジ7は、帯電ユニット26と、現像ユニット4をカートリッジ化したものである。図2中右側が帯電ユニット26、左側が現像ユニット4で、両者は加圧バネ38によって接続されている。
【0032】
また、プロセスカートリッジ7には、感光ドラム1を保護するためのシャッタ40が設けられる。シャッタ40の構成等については後述する。
【0033】
帯電ユニット26は、回転駆動する感光ドラム1、感光ドラム1の表面に当接する帯電ローラ2、クリーニング部材6、及び枠体としてクリーニング枠体27を備える。
【0034】
感光ドラム1は、不図示の軸受けを介してクリーニング枠体27に回転自在に取り付けられている。また、帯電ローラ軸2jが帯電ローラ軸受け39に取り付けられ、さらに加圧部材46が帯電ローラ軸受け39を付勢することで、帯電ローラ2が図2中矢印D方向に移動可能に構成される。
【0035】
クリーニング部材6は、感光ドラム1の表面に残留したトナーを除去するために設けられるものである。図2に示すように、クリーニング部材6が感光ドラム1の表面と摺擦することで、感光ドラム1上の残トナーを除去トナー室27aに掻き落とすことができる。
【0036】
現像ユニット4は、感光ドラム1に当接して図2中矢印B方向に回転する現像ローラ25、現像ローラ25に当接する供給ローラ34、及びトナー搬送部材36を備え、これらが現像枠体31に一体に収容される。
【0037】
現像ローラ25は、感光ドラム1表面に形成される静電潜像にトナーを付着させるものであって、現像ブレード35と現像ローラ25が摺擦することにより現像ローラ25上のトナーに帯電付与する構成である。
【0038】
また、現像ローラ25に当接して設けられる供給ローラ34は、トナー収容部31aからトナー搬送部材36によって搬送されたトナーを現像ローラ25上に供給するものであって、図2中矢印C方向に回転する。
【0039】
そして、現像枠体31の帯電ユニット26側の側面には軸受け部材32R(32L)が設けられ、軸受け部材32に形成される穴32Rb(32Lb)に軸37R(37L)が支持されることで、現像ユニット4と帯電ユニット26が回転可能に連結する。
【0040】
上記構成によって、画像形成時には軸37R(37L)を中心に現像ユニット4が加圧バネ38に付勢されて回転し、現像ローラ25が感光ドラム1に所定の圧力で当接する位置まで現像ユニット4が回転する。
【0041】
一方で、画像形成を行わない場合には、不図示の加圧手段によって現像ユニット4が回転させられ、現像ローラ25を感光ドラム1から離間させる。
【0042】
[シャッタの構成、及び動作]
図3〜図7を参照して、本実施の形態におけるシャッタの構成、動作について説明する。図3は本実施の形態に係るプロセスカートリッジを画像形成装置100に対して装着する際の状態を示すものであり、図4〜図7は本実施の形態に係るプロセスカートリッジ7の概略構成を示すものである。
【0043】
本実施の形態におけるシャッタ40は、プロセスカートリッジ7を画像形成装置に対して装着した状態では、プロセスカートリッジ7内の感光ドラム1の表面をスキャナユニット3に対して露出させるように開く(この位置を露出位置という)。また、プロセスカートリッジ7を画像形成装置から取り外した状態では、感光ドラム1を外部から遮蔽するように閉じる構成である(この位置を遮蔽位置という)。即ち、シャッタ40は、露出位置と遮蔽位置とを取り得る。
【0044】
また、シャッタ40の開閉は、プロセスカートリッジ7に設けられるシャッタ開閉部材被付勢部42a3(被付勢部)を、プロセスカートリッジ7の装着をガイドする装着ガイドが付勢することで行われる。また、本実施の形態においては、被付勢部として設けられるシャッタ開閉部材被付勢部42a3を、リンク機構を有するシャッタ開閉部材42に設ける構成とした。
【0045】
このように本実施の形態では、プロセスカートリッジ7の装着をガイドする装着ガイドがシャッタ40の開閉を行う役割をも担うことが特徴である。
【0046】
画像形成装置100に対してプロセスカートリッジ7を装着する際は、画像形成装置100の前カバー101を図3中M方向に開き、装置本体の前側板82に形成される開口部82aから各々のプロセスカートリッジ7を矢印I方向に挿入する。この時点ではシャッタ40は閉まっており、感光ドラム1が外部に露出することはない。
【0047】
なお、本実施の形態においては、開口部82aが設けられている側を装置本体の前側(装着方向上流側)、プロセスカートリッジ7が挿入される方を装置本体の奥側(装着方向下流側)と称して説明を行う。
【0048】
図3に示すように、感光ドラム1の前側には感光ドラム前側軸受け30が設けられ、さらに感光ドラム前側軸受け30には、位置決め穴30aが形成される。これに対して画像形成装置100側には、突き当て部85と、位置決め部材84が設けられる。
【0049】
プロセスカートリッジ7が挿入されると、位置決め穴30aが位置決め部材84に、感光ドラム前側軸受け30が突き当て部85に当接して、画像形成装置に対してプロセスカートリッジ7が位置決めされる。
【0050】
次に図4〜図7を参照して、シャッタ40の開閉動作について説明する。図4、図5は、本実施の形態に係るプロセスカートリッジの斜視図(図4:装着方向下流側から見た図、図5:装着方向上流側から見た図)である。また、図6、図7は、本実施の形態に係るプロセスカートリッジを装着方向下流側の側面から見た場合の概略構成図である。
【0051】
プロセスカートリッジ7は、シャッタ40、シャッタ40に接続して移動可能なシャッタ軸41、及びシャッタ開閉部材42を備える。
【0052】
図6に示すように、プロセスカートリッジ7の装着方向下流側において、シャッタ軸41は一端がシャッタ40のシャッタ軸係合部40bに、他端がクリーニング枠体27に備えられるシャッタ軸支持穴41aに嵌合している。
【0053】
また、図5に示すように、プロセスカートリッジ7の装着方向上流側においても、シャッタ軸41の一端は、クリーニング枠体27に備えられるシャッタ軸支持穴41bに回転可能に嵌合する。
【0054】
この構成によれば、シャッタ軸41はシャッタ軸係合部40bにおいてシャッタ40に
接続して(図6参照)、シャッタ40を移動可能にプロセスカートリッジ7に係止することが可能である。
【0055】
そして、プロセスカートリッジ7の装着方向下流側には、移動可能に構成され、シャッタ40の開閉を行うシャッタ開閉部材42が設けられる。このシャッタ開閉部材42に設けられるシャッタ開閉部材被付勢部42a3(披付勢部)を、外部の付勢手段が付勢することによりシャッタ40が開かれる。シャッタ40の開閉動作については後述する。
【0056】
図6、図7に示すように、シャッタ開閉部材42は、第1リンク42a(アーム)、第2リンク42b(アーム)、から構成されるリンク機構を有し、リンク機構にはシャッタ開閉部材被付勢部42a3(披付勢部)が接続される。
【0057】
第1リンク42aの一方の端部には第1リンク穴42a1が、他方の端部には第1リンク回動軸42a2が形成される。
【0058】
そして第1リンク穴42a1がクリーニング枠体27に形成される支持軸27dに嵌合し、第1リンク回動軸42a2が第2リンク42bに形成される第2リンク回動用穴42b2に嵌合する。また、支持軸27dには、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が回転自在に嵌合する。
【0059】
また、第2リンク42bの一方の端部には、上記で説明した第2リンク回動用穴42b2が形成され、さらにはクリーニング枠体27に形成された支持軸27eに第2リンク穴42b1が嵌合し、他方の端部にはシャッタ支持軸42b3が形成される。
【0060】
そしてシャッタ支持軸42b3は、係合部40cにおいてシャッタ40と嵌合する。なお、第2リンク42bは、不図示のバネから付勢力を受け、感光ドラム1に対してシャッタ40が閉じる向きに付勢されている。
【0061】
すなわち、本実施の形態に係るプロセスカートリッジ7では、シャッタ開閉部材被付勢部42a3、第1リンク42a、第2リンク42b、が一連のリンク機構として連結されている。
【0062】
さらに、第2のリンク42bの端部に設けられるシャッタ支持軸42b3が係合部40cにおいてシャッタ40と係合するので、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が付勢されることでシャッタ40の開閉を操作することが可能になる。
【0063】
例えば図6は、シャッタ40が閉じた状態におけるプロセスカートリッジ7の概略構成を示すものであるが、この状態でシャッタ開閉部材被付勢部42a3を矢印F方向に付勢すると、まず第1リンク42aが支持軸27dを中心に矢印G方向へ回転する。
【0064】
第1リンク42aが矢印G方向へ回転すると、第1リンク回動軸42a2から第2リンク回動用穴42b2へ回転運動が伝達され、第2リンク42bが支持軸27eを中心に矢印H方向へ回転する。
【0065】
第2リンク42bが矢印H方向へ回転すると、係合部40cにおいて第2リンク42bと係合するシャッタ40が開いて図7に示す状態になる。
【0066】
逆にシャッタ40を閉じる場合は、第2リンク42bが不図示のバネによって図7中矢印H´方向へ付勢されるので、シャッタ40が閉じると共に、シャッタ40を開く場合とは逆方向に第1リンク42a、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が回転する。
【0067】
具体的には、第2リンク42bが支持軸27eを中心に矢印H´方向へ回転して、第2リンク回動軸用穴42b2から第1リンク回動軸42a2に矢印G´方向へ回転運動が伝達される。
【0068】
そしてシャッタ開閉部材被付勢部42a3が支持軸27dを中心に矢印F´方向へ回転して、図6に示す位置まで移動することにより、シャッタ40を閉じる。
【0069】
[プロセスカートリッジの画像形成装置本体への装着機構]
図8、9を参照して、本実施の形態に係るプロセスカートリッジを画像形成装置に装着する際の装着プロセスについて説明する。なお、図8はプロセスカートリッジを画像形成装置へ装着する際の様子を画像形成装置前側から見て右側面から見た様子を示すものである。図9はプロセスカートリッジを画像形成装置へ装着する際の様子を装着方向下流側から見た様子を示すものである。
【0070】
本実施の形態では、画像形成装置本体に装着ガイド部材(上側ガイド部材45、下側ガイド部材46)を設け、プロセスカートリッジ7を装着ガイド部材に沿って画像形成装置に装着する構成である。
【0071】
さらに、シャッタ開閉部材42に備えられるシャッタ開閉部材被付勢部42a3が上側ガイド部材45に当接する構成とし、装着時には上側ガイド部材45がシャッタ開閉部材被付勢部42a3を付勢可能な構成とした。
【0072】
本実施の形態における装着ガイド部材(上側ガイド部材45、下側ガイド部材46)の構成について説明する。
【0073】
上側ガイド部材45には、プロセスカートリッジの装着方向上流側から順に、第1平坦部45a、第1テーパ部45b、第2テーパ部45c、第2平坦部45dが形成される(図8(a)〜(c))。
【0074】
また、下側ガイド部材46には、プロセスカートリッジの装着方向上流側から順に、第1平坦部46a、第1テーパ部46b、第2平坦部46cが形成される(図8(a)〜(c))。
【0075】
そして上側ガイド部材45に対しては、プロセスカートリッジ7の上側被ガイド部43が当接する(即ち、上側ガイド部材45が上側被ガイド部43をガイドする)。更に、上側ガイド部材45に対してシャッタ開閉部材被付勢部42a3も当接する。また、下側ガイド部材46に対しては、プロセスカートリッジ7の下側被ガイド部44が当接する(即ち、下側ガイド部材46が下側被ガイド部44をガイドする)。このようにしてプロセスカートリッジ7が装着部99に装着される。
【0076】
プロセスカートリッジ7を画像形成装置に対して装着する場合は、まず上側ガイド部材45の第1平坦部45a、下側ガイド部材の第1平坦部46aがプロセスカートリッジ7に当接して、プロセスカートリッジ7を図8(a)中I方向にガイドする。
【0077】
プロセスカートリッジ7が上側ガイド部材45の第1平坦部45a、下側ガイド部材46の第1平坦部46aにガイドされる間は、シャッタ40は閉じた状態を保つ。
【0078】
すなわち、図9(a)に示すように、シャッタ開閉部材被付勢部42a3は上側ガイド部材45の第1平坦部45aに略当接している状態ではあるものの、シャッタ開閉部材被
付勢部42a3が下方へ付勢されるまでに至っていないのでシャッタ40は開かない。
【0079】
さらにプロセスカートリッジ7を装着方向下流側へ挿入すると、シャッタ開閉部材被付勢部42a3に対して、上側ガイド部材45の第1テーパ部45bが当接する(図8(b))。
【0080】
図8に示すように、上側ガイド部材45の第1テーパ部45bは、上側ガイド部材45と下側ガイド部材46の間隔が狭まる向きのテーパ面を有する。すなわちこの区間では、上側ガイド部材45と下側ガイド部材46の間隔が狭まっている。
【0081】
よって、シャッタ開閉部材被付勢部42a3は上側ガイド部材45の第1テーパ部45bに押し込まれて付勢され、下方へ回転する。図9(b)に、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が上側ガイド部材45の第1テーパ部45bに付勢されてF方向に回転する際の状態を示す。
【0082】
このようにプロセスカートリッジ7が上側ガイド部材45の第1テーパ部45bを装着方向に沿って進むにつれ、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が下方へ回転してシャッタ40が所定の位置まで開き始める。
【0083】
さらにプロセスカートリッジ7を装着方向下流側へ挿入すると、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が上側ガイド部材45の第2テーパ部45cに、下側被ガイド部44が下側ガイド部材46の第1テーパ部46bに当接する。この状態を図8(b)に示す。
【0084】
この状態では、シャッタ40が所望の位置まで開いた状態であり、さらに上側ガイド部材45の第2テーパ部45cと、下側ガイド部材46の第1テーパ部46bの間隔が変化しないので、シャッタ開閉部材被付勢部42a3は下方に付勢された状態を維持する。すなわちシャッタ40が所望の位置まで開いた状態であり続ける(図9(c))。
【0085】
さらにプロセスカートリッジ7を装着方向下流側へ挿入すると、シャッタ開閉部材被付勢部42a3が上側ガイド部材45の第2平坦部45dに、下側被ガイド部44が下側ガイド部材46の第2平坦部46cに当接する。この状態を図8(c)に示す。
【0086】
この状態ではシャッタ40が開いた状態を維持している。その際、クリーニング枠体27に装着された感光ドラム奥側軸受29の位置決め部29aは、後側板83の位置決め用穴83aに入り、突き当て部29bが後側板83に当接して、プロセスカートリッジ7の装着方向の位置決めが行われる。
【0087】
また、クリーニング枠体27に装着された回転止め軸27bが下側ガイド部材46の回転止め溝46gと嵌合してプロセスカートリッジ7の画像形成装置に対する回転止めを行う。
【0088】
その後、プロセスカートリッジ7の奥側では、感光ドラム奥側軸受29の位置決め部29aが不図示の押圧部材により矢印N方向へ押圧されて後側板83の位置決め突き当て部83bに当接されて、プロセスカートリッジ7は画像形成装置本体に位置決めされる。
【0089】
また、プロセスカートリッジ7の前側では、プロセスカートリッジ7の装着方向の位置決めが行われる際に、感光ドラム前側軸受30の位置決め穴30aが前側板に装着された位置決め部材84と嵌合して不図示の押圧部材により矢印N方向へ押圧される。
【0090】
そして、感光ドラム前側軸受30が前側板の位置決め突き当て部85に当接され、プロ
セスカートリッジ7は画像形成装置本体に位置決めされる。
【0091】
以上の動作により、プロセスカートリッジ7の装着が完了し、プロセスカートリッジ7が画像形成装置に位置決めされた状態になる。即ち、この状態が、プロセスカートリッジ7が装着部99に装着された状態である。
【0092】
なお、この状態ではシャッタ40は開いてはいるものの、感光ドラム1は中間転写ベルト5とは当接していない。両者の当接は、プロセスカートリッジ7が画像形成装置に位置決めされた後に、画像形成装置に備えられる不図示の制御手段が中間転写ベルト5を制御することで行われる。
【0093】
以上説明したように、本実施の形態では、プロセスカートリッジ7を装着する過程で、装着ガイド7がシャッタ開閉部材被付勢部42a3を付勢してシャッタ40を開く構成とした。
【0094】
なお、本実施の形態では、上側ガイド部材45がシャッタ開閉被付勢部42a3を付勢する構成としたが、下側ガイド部材46をシャッタ開閉被付勢部42a3に付勢させてシャッタを開く構成であっても良い。
【0095】
本実施の形態の構成によれば、シャッタ開閉部材被付勢部42a3に付勢する部材(シャッタ開閉案内部材)を別途設ける必要がないので、精度よくシャッタ開閉部材被付勢部42a3を付勢することができ、確実にシャッタを開閉することが可能になる。
【0096】
また、シャッタ開閉部材42を複数のアームから形成されるリンク機構とすることで、シャッタ開閉部材被付勢部42a3の回転範囲を小さなストロークに保ちつつ、シャッタ40を十分量開閉することが可能になる。
【0097】
また、本実施の形態に係るプロセスカートリッジ7は、感光ドラム1の軸線方向(長手方向)とプロセスカートリッジ7の装着方向が同一であって、シャッタ40がプロセスカートリッジ7の装着方向に直交する方向に開閉可能な構成である。
【0098】
この構成によれば、シャッタ40を感光ドラム1の周方向に所定量開くだけで、感光ドラム1の表面を長手方向全域にわたって露出させることが可能である。すなわち、シャッタ40の開閉範囲を小さな範囲に抑えることができる。
【0099】
これらの結果、従来のようにシャッタ開閉部材の動作範囲を大きく確保する必要がないので、シャッタ開閉部材の大きさを小型化することができ、プロセスカートリッジの周囲の空間を小さくすることができる。
【0100】
また、本実施の形態に係る画像形成装置においても、シャッタ開閉案内部材を別途設けることなく、装着ガイドにシャッタ開閉機能をもたせることで、部品点数削減によるコストダウンが図れる。
【0101】
すなわち、上側ガイド部材45と下側ガイド部材46によってプロセスカートリッジ7を装着方向にガイドしつつ、両ガイド部材の間隔が狭まる区間を設けることで、上側ガイド部材45がシャッタ開閉部材被付勢部42a3を付勢可能な構成とした。よって、シャッタ開閉部材被付勢部42a3を付勢する部材を別途設ける必要がない。
【0102】
また本実施の形態では、シャッタ40が図6における矢印H方向に開く構成としたが、シャッタ40の開く方向はこれに限定されるものではない。すなわち、図6における矢印
H方向と逆方向に開く構成であってもよい。
【0103】
以上のように、本実施の形態に係るプロセスカートリッジ、または画像形成装置においては、簡易な構成でシャッタを確実に開くことが可能になる。さらに、シャッタもしくはシャッタ開閉部材の動作範囲をなるべく狭くして、小型化、コストダウンを達成することが可能なプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図
【図2】本実施の形態に係るプロセスカートリッジの概略構成図
【図3】本実施の形態に係るプロセスカートリッジの装着方法を示す図
【図4】本実施の形態に係るプロセスカートリッジの斜視図
【図5】本実施の形態に係るプロセスカートリッジの斜視図
【図6】本実施の形態に係るプロセスカートリッジを側面から見た場合の概略構成図
【図7】本実施の形態に係るプロセスカートリッジを側面から見た場合の概略構成図
【図8】本実施の形態に係るプロセスカートリッジの装着プロセスを示す図
【図9】本実施の形態におけるシャッタの開閉動作を示す図
【符号の説明】
【0105】
1 感光ドラム
7 プロセスカートリッジ
27 クリーニング枠体
29 感光ドラム奥側軸受け
29a 位置決め部
29b 突き当て部
40 シャッタ
41 シャッタ軸
42 シャッタ開閉部材
42a3 シャッタ開閉部材被付勢部
43 上側被ガイド部
45 上側ガイド部材
45a 第1平坦部
45b 第1テーパ部
45c 第2テーパ部
45d 第2平坦部
46 下側ガイド部材
46a 第1平坦部
46b 第1テーパ部
46c 第2平坦部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に設けられる装着ガイドにガイドされつつ、装着部に対して着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、
前記プロセスカートリッジは、
像担持体と、
前記像担持体を遮蔽する遮蔽位置と前記像担持体を露出させる露出位置とを取り得るシャッタと、
前記シャッタを前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動させるために付勢される被付勢部と、
前記装着ガイドに当接する被ガイド部と、
を有し、
前記装着部に装着される際に、前記被ガイド部が前記装着ガイドにガイドされると共に、前記被付勢部が前記装着ガイドに付勢され、前記シャッタが前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記像担持体の軸線方向と前記プロセスカートリッジの装着方向が同一であって、
前記シャッタは、
前記プロセスカートリッジの装着方向に対して直交する方向に開閉可能であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記被付勢部は、
前記プロセスカートリッジの装着方向下流側に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記プロセスカートリッジは、
移動可能に連結される複数のアームから形成されるリンク機構を有するシャッタ開閉部材を備え、
前記被付勢部が前記シャッタ開閉部材に設けられると共に、
前記被付勢部と前記シャッタとを該リンク機構を介して連結することで、前記シャッタの開閉を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
像担持体、前記像担持体を遮蔽する遮蔽位置と前記像担持体を露出させる露出位置とを取り得るシャッタ、及び前記シャッタを前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動させるために付勢される被付勢部、を有するプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジが装着される装着部と、
前記プロセスカートリッジを前記装着部に装着する際に、前記シャッタを前記遮蔽位置から前記露出位置へ移動させるために前記被付勢部を付勢し、かつ、前記プロセスカートリッジに設けられる前記被ガイド部をガイドする装着ガイドと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記装着ガイドは、
前記プロセスカートリッジの上側をガイドする上側ガイド部と、
前記プロセスカートリッジの下側をガイドする下側ガイド部と、
を備え、
画像形成装置には、
前記プロセスカートリッジの装着方向に沿って上側ガイドと下側ガイドの間隔が狭まる区間が設けられ、
該区間において、装着方向をガイドされつつ上側ガイドもしくは下側ガイドのどちらか一方に、前記被付勢部が付勢されることで、前記シャッタが開かれる構成であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体の軸線方向と前記プロセスカートリッジの装着方向が同一であって、
前記シャッタは、
前記プロセスカートリッジの装着方向に対して直交する方向に開閉可能であることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記被付勢部は、
前記プロセスカートリッジの装着方向下流側に設けられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセスカートリッジは、
移動可能に連結される複数のアームから形成されるリンク機構を有するシャッタ開閉部材を備え、
前記被付勢部が前記シャッタ開閉部材に設けられると共に、
前記被付勢部と前記シャッタとを該リンク機構を介して連結することで、前記シャッタの開閉を行うことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−47770(P2009−47770A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211673(P2007−211673)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】