説明

プロペラシャフト

【課題】等速自在継手の構造に関わらず軸方向の衝撃荷重を吸収することが可能なプロペラシャフトを提供する。
【解決手段】プロペラシャフト1は、軸部材としての中間シャフト2と、中間シャフト2の端部にトルク伝達可能に連結された摺動式等速自在継手10とを備える。中間シャフト2は、中空軸3と、一端が中空軸3の端部内周にトルク伝達可能に連結され、他端が摺動式等速自在継手10の内側継手部材12とトルク伝達可能に連結されたスタブ軸4とを備える。中空軸3とスタブ軸4との間には、通常使用時における両者の軸方向相対移動を規制する一方、規定値を超える軸方向の衝撃荷重Pが作用すると、中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動の規制状態を解除し、中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動を許容する衝撃吸収部としての止め輪40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械に搭載されるプロペラシャフトに関し、特に、衝突時等に作用する過大な軸方向の衝撃荷重を吸収可能な構造を有するプロペラシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の動力伝達装置の一つに、変速機から減速歯車装置に動力(回転トルク)を伝達するプロペラシャフトがある。プロペラシャフトは、変速機と減速歯車装置の相対位置変化による長さ及び角度変化に対応可能な構造を有しており、例えば軸部材(中間シャフトとも称される)の一端及び他端に、それぞれ、固定式等速自在継手及び摺動式等速自在継手をトルク伝達可能に連結して構成される。この種のプロペラシャフトには、乗員の安全性確保を目的として、例えば以下示す特許文献1,2に記載のように、衝突時等に作用する過大な軸方向の衝撃荷重を吸収・緩和することが可能な構造(衝撃吸収機構)を具備するものがある。
【0003】
詳述すると、特許文献1に開示されたプロペラシャフトは、軸部材に設けたクリップ溝にクリップを装着することにより、等速自在継手の内側継手部材を中間シャフトの軸方向所定位置に位置決め固定してなるものである。そして、過大な軸方向の衝撃荷重が作用すると、クリップ溝からクリップが抜け出すことによって軸部材と内側継手部材の固定状態が解除される。これにより、軸部材と内側継手部材とが軸方向に相対移動可能となり、両者が軸方向に相対移動することによって衝撃荷重が吸収・緩和される。
【0004】
また、特許文献2に開示されたプロペラシャフトは、等速自在継手の外側継手部材を、軸部材に連結された内側継手部材等からなる継手内部部品を収容・保持可能な筒状の保持部と、保持部の一端に接合した管軸部とで構成したものである。そして、過大な軸方向の衝撃荷重が作用すると、軸部材及び継手内部部品が一体となって外側継手部材(保持部及び管軸部)に対して軸方向に相対移動する。かかる軸部材及び継手内部部品と外側継手部材の軸方向相対移動によって衝撃荷重が吸収・緩和される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−295517号公報
【特許文献2】特開2003−146098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されたプロペラシャフトは、軸部材及び継手内部部品が外側継手部材の管軸部内を軸方向に相対移動することによって軸方向の衝撃荷重を吸収する構造となっているため、管軸部を大径化する必要がある。従って、小径の管軸部を使用することができず、プロペラシャフトの大型化を招くおそれがある。一方、特許文献1に開示されたプロペラシャフトでは、この種の問題を考慮せずとも足りる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2のプロペラシャフトに適用した衝撃吸収機能は、何れも、筒状に形成された外側継手部材の使用を前提としたものであり、適用可能な構造が限定的となる。すなわち、近年、強度(剛性)向上やコスト低減等を目的として、外側継手部材(特許文献2でいう保持部)を鍛造等でカップ状に成形する場合があるが、このような外側継手部材を構成要素とした等速自在継手、ひいてはプロペラシャフトにおいては上記の衝撃吸収機能を適用することができない。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、等速自在継手の構造に関わらず、過大な軸方向の衝撃荷重の作用時には、その衝撃荷重を吸収・緩和して乗員の安全性を確保することが可能なプロペラシャフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するためになされた本発明は、軸部材と、軸部材の端部にトルク伝達可能に連結された等速自在継手とを備えたプロペラシャフトにおいて、軸部材は、中空軸と、一端が中空軸の端部内周にトルク伝達可能に連結され、他端が等速自在継手とトルク伝達可能に連結されたスタブ軸とを備えるものであり、中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動を規制すると共に、規定値を超える軸方向の衝撃荷重の作用時には中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動の規制状態を解除し、中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動を許容する衝撃吸収部を中空軸とスタブ軸との間に設けたことを特徴とする。なお、本発明でいうトルクとは、厳密には回転トルクである。
【0010】
上記のように、本発明では、(通常使用時においては)中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動を規制して両者間で安定したトルク伝達を可能とする一方、規定値を超える過大な軸方向の衝撃荷重が作用すると、中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動の規制状態を解除し、中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動を許容する衝撃吸収部が中空軸とスタブ軸との間に設けられる。つまり、本発明に係るプロペラシャフトは、端部に等速自在継手をトルク伝達可能に連結してなる軸部材に衝撃吸収機構が設けられたものとなる。そのため、等速自在継手の構造に関わらず軸方向の衝撃荷重を吸収することが可能であり、等速自在継手、ひいてはプロペラシャフトの設計自由度が向上する。また、等速自在継手自体は衝撃荷重の吸収に特段関与しないので、外側継手部材に一体又は別体に設けられる軸部の大径化、ひいてはプロペラシャフトの大型化を回避することができる。
【0011】
なお、かかる構成において、中空軸とスタブ軸との間の連結強度は、スタブ軸と等速自在継手との間の連結強度よりも小さく設定しておく。軸方向の衝撃荷重の作用時において、中空軸とスタブ軸との連結を優先的に解除するためである。
【0012】
中空軸とスタブ軸とをトルク伝達可能に連結するための手段は、種々の要因を考慮して適宜選択可能であり、例えばスプライン嵌合を採用することができる。なお、ここで言うスプライン嵌合とは、いわゆるセレーション嵌合も含む概念である。スプライン嵌合以外にも、中空軸の内周面に設けたキー溝とスタブ軸の外周面に設けたキー溝を合わせて形成される凹窪部に締結部材を密着嵌合させることにより、中空軸とスタブ軸とをトルク伝達可能に連結することもできる。このような嵌合構造は、キー嵌合とも称される。
【0013】
またあるいは、中空軸とスタブ軸のうち、何れか一方に設けた軸方向に延びる凸部を他方に圧入し、この他方に凸部により凹部を形成することで構成した凸部と凹部の嵌合部位全域が密着する凹凸嵌合構造により、中空軸とスタブ軸とをトルク伝達可能に連結することもできる。この凹凸嵌合構造は、通常のスプライン(セレーション)嵌合に比べ、例えば以下示すような利点がある。まず、この凹凸嵌合構造の構成時には、凹部が形成される側の部材に予めスプラインを形成しておく必要がないことから、生産性を向上することができる。また、圧入時においては、スプラインの歯面の損傷を回避することができるので、安定した嵌合状態を維持することができる。また、この凹凸嵌合構造では、径方向および円周方向でガタが生じる隙間が形成されないので、安定したトルク伝達が可能であると共に異音の発生が防止される。
【0014】
以上の構成において、衝撃吸収部としては種々の態様を採用することができる。例えば、中空軸の内周面に設けた周方向溝とスタブ軸の外周面に設けた周方向溝との間に嵌合した止め輪で構成することができる。この場合、過大な軸方向の衝撃荷重が作用することによって周方向溝から止め輪が抜脱すると、中空軸とスタブ軸とが軸方向に相対移動可能となる。
【0015】
また、上記の衝撃吸収部は、スタブ軸の外周面に設けた第1周方向溝に嵌合され、スタブ軸の抜け方向で中空軸と係合する第1の止め輪と、スタブ軸のうち前記第1周方向溝よりも反軸端側の外周面に設けた第2周方向溝に嵌合され、スタブ軸の押し込み方向で中空軸と係合する第2の止め輪とで構成することができる。かかる構成において、第2の止め輪の内周面に、スタブ軸の押し込み方向後方側に向かって徐々に拡径するテーパ部を設けておけば、プロペラシャフトに軸方向の衝撃荷重が作用した際、第2周方向溝から第2の止め輪が抜け易くなる。さらに、第2周方向溝の溝底に、第2の止め輪のテーパ部と合致するテーパ部を設けておけば、第2の止め輪の抜け易さが一層向上する。すなわち、上記構成を採用すれば、プロペラシャフトに軸方向の衝撃荷重が作用したとき、この衝撃荷重の半径方向外向きの分力が第2の止め輪に作用するため、第2の止め輪が第2周方向溝から抜け易くなる。
【0016】
また、上記の衝撃吸収部は、中空軸とスタブ軸の連結部外側で中空軸とスタブ軸とを溶接した溶接部で構成することもできる。溶接部の形成方法に特段の限定はなく、スポット溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接等、公知の溶接方法を用いて形成することができる。なお、溶接部は、必ずしも全周に亘って形成する必要はなく、周方向で断続的に形成しても良い。溶接部の形成態様は、中空軸とスタブ軸との間に求められる連結強度等を考慮して適宜変更すれば良い。
【0017】
以上の構成において、等速自在継手は、例えば、内周面に軸方向に延びる直線状トラック溝が形成された外側継手部材と、外側継手部材の内周に配置され、外周面に軸方向に延びる直線状トラック溝が形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝の間に転動自在に配設されたトルク伝達部材とを備えるものとすることができる。かかる構成を具備する等速自在継手は、摺動式等速自在継手の一種であり、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)とも称される。
【0018】
また、以上の構成において、等速自在継手は、内周面に軸方向に延びる三本の直線状トラック溝が形成された外側継手部材と、径方向に突出した三本の脚軸を有するトリポード部材と、トリポード部材の脚軸に回転自在に支持されると共に外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたトルク伝達部材とを備えるものとしても良い。かかる構成を具備する等速自在継手は、摺動式等速自在継手の一種であり、トリポード型等速自在継手(TJ)とも称される。
【発明の効果】
【0019】
以上に示すように、本発明に係るプロペラシャフトによれば、等速自在継手の構造に関わらず過大な軸方向の衝撃荷重を吸収することが可能となるので、等速自在継手、ひいてはプロペラシャフトの設計自由度が向上し、要求品質に応じた最適設計を行うことができる。従って、信頼性に富む高品質のプロペラシャフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロペラシャフトの全体構造を示す図である。
【図2】(a)図は図1に示すプロペラシャフトの部分断面図であり、(b)図は(a)図中のA部拡大図である。
【図3】図2(a)に示すプロペラシャフトに軸方向の衝撃荷重が作用した状態を模式的に示す図である。
【図4】(a)図は他の実施形態に係るプロペラシャフトの部分断面図であり、(b)図は(a)図中に示すX1−X1線矢視方向の断面図である。
【図5】図4(a)に示すプロペラシャフトに軸方向の衝撃荷重が作用した状態を模式的に示す図である。
【図6】(a)図は他の実施形態に係るプロペラシャフトの要部拡大断面図であり、(b)図は(a)図中に示すX2−X2線矢視方向の断面図である。
【図7】(a)図は他の実施形態に係るプロペラシャフトの部分断面図であり、(b)図は(a)図中のB部拡大断面図である。
【図8】図7(a)に示すプロペラシャフトに軸方向の衝撃荷重が作用した状態を模式的に示す図である。
【図9】(a)図は他の実施形態に係るプロペラシャフトの要部拡大断面図であり、(b)図はこれに軸方向の衝撃荷重が作用した状態を模式的に示す図である。
【図10】他の実施形態に係るプロペラシャフトの要部拡大断面図である。
【図11】プロペラシャフトの一部を構成する等速自在継手の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、図示しない変速機から減速歯車装置に動力(回転トルク)を伝達するプロペラシャフト、詳細には、本発明の一実施形態に係り、軸方向の衝撃荷重を吸収可能な構造を有するプロペラシャフトの全体構造を示す正面図である。同図に示すプロペラシャフト1は、軸部材としての中間シャフト2と、中間シャフト2の一端にトルク伝達可能に連結された摺動式等速自在継手10と、中間シャフト2の他端にトルク伝達可能に連結された固定式等速自在継手20とを主要部として構成される。
【0023】
図示例の摺動式等速自在継手10は、ダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)とも称されるものであり、一端が開口したカップ状(有底筒状)をなし、円筒状内周面11aに軸方向に延びる複数の直線状トラック溝11bが円周方向等間隔で形成された外側継手部材11と、球面状外周面12aに、外側継手部材11のトラック溝11bに対応した軸方向に延びる複数の直線状トラック溝12bが円周方向等間隔で形成された内側継手部材12と、外側継手部材11のトラック溝11bと内側継手部材12のトラック溝12bの協働で形成されるボールトラックに配されてトルクを伝達する複数のボール13と、外側継手部材11の円筒状内周面11aと内側継手部材12の球面状外周面12aとの間に介在してボール13を保持するケージ14とを備えている。
【0024】
図示例の固定式等速自在継手20は、バーフィールド型等速自在継手(BJ)とも称されるものであり、球面状内周面21aに複数の円弧状トラック溝21bが円周方向等間隔で形成された外側継手部材21と、球面状外周面22aに、外側継手部材21のトラック溝21bに対応した複数の円弧状トラック溝22bが円周方向等間隔で形成された内側継手部材22と、外側継手部材21のトラック溝21bと内側継手部材22のトラック溝22bの協働で形成されるボールトラックに配されてトルクを伝達する複数のボール23と、外側継手部材21の球面状内周面21aと内側継手部材22の球面状外周面22aとの間に介在してボール23を保持するケージ24とを備えている。
【0025】
中間シャフト2は、その両端部外径に、トルク伝達用連結部としてのスプライン2a,2bを有する。そして、図中右側のスプライン2aを摺動式等速自在継手10の内側継手部材12の孔部とスプライン嵌合させることにより、中間シャフト2と摺動式等速自在継手10の内側継手部材12とがトルク伝達可能に連結される。また図中左側のスプライン2bを固定式等速自在継手20の内側継手部材22の孔部とスプライン嵌合させることにより、中間シャフト2と固定式等速自在継手20の内側継手部材22とがトルク伝達可能に連結される。
【0026】
摺動式等速自在継手10の外側継手部材11と中間シャフト2との間、および固定式等速自在継手20の外側継手部材21と中間シャフト2との間には、ブーツ31,32がそれぞれ装着されている。これにより、各等速自在継手10,20の内部に封入されたグリース等の潤滑剤の外部漏洩や、継手外部からの異物侵入が防止される。
【0027】
中間シャフト2は、鋼管等からなる中空軸3と、中空軸3の一端にトルク伝達可能に連結され、反中空軸3側の端部外径にスプライン2aが設けられた段付き軸状のスタブ軸4と、中空軸3の他端にトルク伝達可能に連結され、反中空軸3側の端部外径にスプライン2bが設けられたスタブ軸5とを主要な構成として備える。
【0028】
本実施形態において、中空軸3とスタブ軸5とは摩擦圧接、溶接等の適宜の手段で固定的に連結され、中空軸3とスタブ軸4との間で軸方向の相対移動が許容されることにより、当該プロペラシャフト1に作用する過大な軸方向荷重が吸収・緩和され、乗員の安全性が確保されるようになっている。以下、本発明の要旨である中空軸3とスタブ軸4の連結構造について詳述する。
【0029】
図2(a)に示すように、スタブ軸4の一端部には、中空軸3の端部内周に嵌合されることにより中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結する嵌合部4aが設けられている。図2(b)に示すように、嵌合部4aの外周面には、雄スプライン6と、周方向に延び、雄スプライン6を分断するようにして設けられた一条の周方向溝(環状溝)7とが形成されている。一方、中空軸3のうち、スタブ軸4の嵌合部4aが固定される部分は厚肉に形成されており、この厚肉部3aの内周面には、嵌合部4aの雄スプライン6とスプライン嵌合した雌スプライン8と、周方向に延び、雌スプライン8を分断するようにして設けられた一条の周方向溝(環状溝)9とが形成されている。
【0030】
スタブ軸4の周方向溝7と中空軸3の周方向溝9との間に形成された環状空間には、止め輪40が嵌合されている。この止め輪40は、本発明でいう衝撃吸収部として機能するものである。すなわち、止め輪40は、規定値未満の微小な軸方向の衝撃荷重がプロペラシャフト1に作用した程度では(通常使用時においては)破断・変形等せず、中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動を規制する一方、乗員の安全性に支障を来たすような過大な軸方向の衝撃荷重(規定値を超える軸方向の衝撃荷重)がプロペラシャフト1に作用したときには破断・変形等して周方向溝9(又は7)から抜脱し、中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動を許容する。止め輪40としては、このような機能を奏するものであれば特に限定はなく、例えば、角サークリップ、丸サークリップ、あるいはスナップリング等を使用することができる。本実施形態では丸サークリップを使用している。
【0031】
このような連結構造は、次のようにして形成される。まず、周方向溝7に止め輪40を嵌合した状態でスタブ軸4の嵌合部4aを中空軸3の厚肉部3aに圧入し、雄スプライン6と雌スプライン8を噛み合わせる。中空軸3に対するスタブ軸4の圧入は、スタブ軸4の周方向溝7と中空軸3の周方向溝9の軸方向位置が合わさる位置まで行われ、当該位置までスタブ軸4を圧入すると、止め輪40(の外径側部分)が中空軸3の周方向溝9に嵌合する。これにより、中空軸3に対するスタブ軸4の軸方向の位置決めがなされる(中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動が規制される)と共に、中空軸3とスタブ軸4とがトルク伝達可能に連結される。
【0032】
以上のような連結構造を有する中空軸3とスタブ軸4との間の連結強度は、スタブ軸4と摺動式等速自在継手10の内側継手部材12との間の連結強度よりも小さく設定されている。
【0033】
以上の構成から、図3に示すように、規定値を超える軸方向の衝撃荷重Pがプロペラシャフト1に作用すると、スプライン嵌合による中空軸3とスタブ軸4の連結状態、および止め輪40による中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動の規制状態が優先的に解除され、中空軸3とスタブ軸4とが軸方向に相対移動可能となる。そして、両者が軸方向に相対移動する(中空軸3の内周にスタブ軸4が押し込まれる)ことによって衝撃荷重Pが吸収・緩和される。
【0034】
このように、本発明に係るプロペラシャフト1では、中間シャフト2を構成する中空軸3とスタブ軸4との間に衝撃吸収部として機能する止め輪40が設けられる。そのため、等速自在継手10,20の構造に関わらず軸方向の衝撃荷重Pを吸収することが可能であり、等速自在継手10,20、ひいてはプロペラシャフト1の設計自由度が向上する。また、等速自在継手10,20自体は衝撃荷重Pの吸収に特段関与しないので、外側継手部材11に一体又は別体に設けられる軸部(図示せず)の大径化、ひいてはプロペラシャフト1の大型化を回避することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態に係るプロペラシャフト1について説明を行ったが、本発明は上記の実施形態に限定されず、以下説明するような種々の変更を施すことが可能である。なお、以下の説明において、上述した実施形態と実質的に同一の部材・部位には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
【0036】
図4(a)(b)は、スプライン嵌合とは異なる手段で中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結したプロペラシャフト1の部分断面図である。詳述すると、中空軸3の厚肉部3a内周面のうち周方向溝9よりも端部側に、中空軸3の端面に開口したキー溝3bを形成すると共に、スタブ軸4の嵌合部4a外周面のうち周方向溝7よりも押し込み方向後方側(反軸端側)に、嵌合部4aの端面(反中空軸3側の端面)に開口したキー溝4bを形成する。そして、中空軸3の厚肉部3a内周にスタブ軸4の嵌合部4aを嵌入し、両キー溝3b,4bの周方向の位相を合わせて形成される凹窪部51にピン状の締結部材(キー)52を密着嵌合させることにより、中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結している。このような嵌合構造は、キー嵌合とも称される。
【0037】
このような連結構造を採用する場合であっても、上述した実施形態と同様に、中空軸3とスタブ軸4との間の連結強度をスタブ軸4と内側継手部材12との間の連結強度よりも小さく設定する。このようにしておけば、図5に示すように、プロペラシャフト1に規定値を超えるような過大な軸方向の衝撃荷重Pが作用すると、キー嵌合による中空軸3とスタブ軸4の連結状態、および止め輪40による中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動の規制状態が優先的に解除される。これにより、中空軸3とスタブ軸4とが軸方向に相対移動可能となり、両者が軸方向に相対移動することによって衝撃荷重Pが吸収・緩和される。なお、図示例では、周方向の一箇所に凹窪部51を形成し、この一の凹窪部51に締結部材52を密着嵌合させることで中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結しているが、凹窪部51およびこれに嵌合される締結部材52の設置個数は任意であり、求められる連結強度等に応じて適宜設定すれば良い。
【0038】
中空軸3とスタブ軸4とは、以下示すような凹凸嵌合構造60によってもトルク伝達可能に連結することができる。凹凸嵌合構造60は、図6(a)(b)に示すように、スタブ軸4の嵌合部4a外周面に設けた軸方向に延びる凸部61と、中空軸3の厚肉部3a内周面に形成される凹部62とで構成される。凸部61と、凸部61に嵌合する中空軸3の凹部62との嵌合部位全域は密着状態にある。スタブ軸4の嵌合部4a外周面に雄スプライン6を形成することにより、軸方向に延びる複数の凸部61が周方向に沿って所定間隔で配設され、中空軸3の厚肉部3a内周面に、凸部61が嵌合する軸方向の凹部62が周方向に沿って複数形成されている。
【0039】
本実施形態において、凸部61は、断面が凸アール状の頂部を有する三角形状を呈し、凹部62との嵌合領域は、図6(b)の拡大図に示す範囲C1である。具体的に述べると、断面における凸部61の円周方向両側の中腹部から頂部61aに至る範囲で各凸部61と各凹部62が嵌合している。周方向で隣り合う凸部61間において、厚肉部3aの内周面よりも内径側に隙間63が形成されている。そのため各凸部61の側面61bは、凹部62と嵌合しない領域C2を有する。
【0040】
上記の凹凸嵌合構造60は、例えば以下示す手順を経て得られる。まず、スタブ軸4の嵌合部4a外周面に、軸方向に延びた多数の歯(凸部61)を有する雄スプライン6を形成する。凸部61の高さ方向の中間部は、凹部62の形成前における中空軸3の厚肉部3a内周面の位置に対応している。具体的には、図6(a)に示すように、厚肉部3aの内径寸法Dを、雄スプライン6の最大外径寸法(凸部61の歯先61aを通る円軌道の直径寸法)D1よりも小さく、雄スプライン6の最小外径寸法(歯底を結ぶ円軌道の直径寸法)D2よりも大きくなるように設定する(D2<D<D1)。次いで、スタブ軸4のうち、少なくとも雄スプライン6の形成領域に熱硬化処理を施して硬化層H(図中クロスハッチングで示す)を形成する。
【0041】
その一方、中空軸3のうち、凹部62が形成される領域、ここでは厚肉部3aは熱硬化処理を行わない未硬化部(未焼き状態)とする。スタブ軸4の硬化層Hと中空軸3の未硬化部との硬度差は、例えばHRCで20ポイント以上とする。但し、この硬度差が確保されるのであれば、「未硬化部」とすべき領域に熱硬化処理を施しても構わない。
【0042】
そして、周方向溝7に止め輪40を嵌合した状態で、スタブ軸4の嵌合部4aを中空軸3の厚肉部3aに対して圧入する。スタブ軸4の圧入は、周方向溝7に嵌合した止め輪40が中空軸3の内周面に設けた周方向溝9に嵌合するまで行う。厚肉部3aの内径寸法Dと、雄スプライン6の最大および最小外径寸法D1,D2とが上記の関係(D2<D<D1)であることから、スタブ軸4の嵌合部4aを中空軸3の厚肉部3aに圧入すると、凸部61が中空軸3の厚肉部3aに食い込み、中空軸3の肉を切り込む。スタブ軸4を押し進めるのに伴って、中空軸3の厚肉部3a内周面が凸部61で切り出され、又は押し出されて、厚肉部3aの内周面に嵌合部4aの凸部61に対応した形状の凹部62が形成される。この際、凸部61の硬度を厚肉部3aの硬度よりも高くしているので、凹部62が容易に形成される。
【0043】
この圧入工程を経ることにより、図6(b)に示すように、スタブ軸4の凸部61に嵌合する凹部62が中空軸3の厚肉部3a内周面に形成される。凸部61が中空軸3の厚肉部3aの内周面に食い込んでいくことによって、厚肉部3aが僅かに拡径した状態となり、凸部61を設けたスタブ軸4の軸方向移動を許容する。その一方で、スタブ軸4の軸方向移動が停止すれば、厚肉部3aは元の径に戻ろうとして縮径する。換言すると、凸部61の圧入時に中空軸3が外径方向に弾性変形し、この弾性変形分の予圧が、凸部61のうち、凹部62と嵌合する部分の表面に付与される。そのため、凹部62は、その軸方向全体に亘って凸部61の表面と密着する。これによって凹凸嵌合構造60が構成される。また、スタブ軸4の圧入に伴って中空軸3に塑性変形が生じるため、凹部62の表面には加工硬化が生じる。そのため、凹部62が形成された中空軸3の内周面が硬化して、回転トルクの伝達性が向上する。
【0044】
このような凹凸嵌合構造60によって中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結した場合、上述したスプライン嵌合によって中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結する場合に比べ、次のようなメリットがある。まず、凹凸嵌合構造60の構成時には、凹部62が形成される側の部材(ここでは中空軸3)に予めスプラインを形成しておく必要がないことから、生産性を向上することができる。また、圧入時においては、スプラインの歯面の損傷を回避することができるので、安定した嵌合状態を維持することができる。また、この凹凸嵌合構造60では、径方向および円周方向でガタが生じる隙間が形成されないので、安定したトルク伝達が可能であると共に異音の発生が防止される。
【0045】
以上で説明した実施形態では、中空軸3の内周面に設けた周方向溝9とスタブ軸4の外周面に設けた周方向溝7との間に嵌合した止め輪40によって、過大な軸方向の衝撃荷重が作用していない状態(通常使用時)における中空軸3とスタブ軸4の軸方向の相対移動を規制するようにしたが、以下示す他の手段でこれを実現することも可能である。
【0046】
図7(a)(b)は、スタブ軸4の嵌合部4aの外周面に設けた第1周方向溝71に嵌合され、スタブ軸4の抜け方向で中空軸3と係合する第1の止め輪72と、スタブ軸4(嵌合部4a)のうち第1周方向溝71よりも押し込み方向後方側(反軸端側)の外周面に設けた第2周方向溝73に嵌合され、スタブ軸4の押し込み方向で中空軸3と係合する第2の止め輪74とで、中空軸3とスタブ軸4の連結時における軸方向の位置決めを行うと共に、連結後における中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動を規制するようにしたものである。すなわち、この実施形態では、本発明でいう衝撃吸収部が第1および第2の止め輪72,74で構成される。
【0047】
中空軸3の端部に厚肉部3aを設け、この厚肉部3aの内端面(左端面)3cに第1の止め輪72を係合させると共に、厚肉部3aの外端面(右端面)3dに第2の止め輪74を係合させている。なお、図示例においては、図2に示す実施形態と同様に、スプライン嵌合により中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結している。
【0048】
この場合、規定値を超えるような過大な軸方向の衝撃荷重がプロペラシャフト1に作用すると、厚肉部3aの外端面3dに係合している第2の止め輪74が破損・破断して、中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動の規制状態が解除されるように構成する。従って、図8に示すように、過大な衝撃荷重Pがプロペラシャフト1に作用すると、中空軸3とスタブ軸4とが軸方向に相対移動し(中空軸3の内周にスタブ軸4が押し込まれ)、軸方向の衝撃荷重Pが吸収・緩和される。
【0049】
なお、上記構成において、図9(a)に示すように、第2の止め輪74の内周面に、スタブ軸4の押し込み方向後方側に向かって徐々に拡径するテーパ部75を設けるようにしても良い。図示例では、さらに、第2周方向溝73の溝底に、スタブ軸4の押し込み方向後方側に向かって徐々に拡径するテーパ部76を設けている。第2の止め輪74のテーパ部75と第2周方向溝73のテーパ部76とは同一の傾斜角度θに設定している。
【0050】
このような構成を採用すれば、図9(b)に示すような軸方向の衝撃荷重Pがプロペラシャフト1に作用した場合、その衝撃荷重Pが比較的小さくても、衝撃荷重Pの半径方向外向きの分力が第2の止め輪74に作用するため、第2の止め輪74が、第2周方向溝73のテーパ部76に沿って径方向外側に拡径し易くなる。そのため、第2の止め輪74は、図9(a)に示す第2周方向溝73への嵌合状態から図9(b)に示す抜脱状態になり易くなって、中空軸3とスタブ軸4の軸方向相対移動を比較的小さい衝撃荷重Pでも許容することが可能となる。
【0051】
図10は、本発明でいう衝撃吸収部を、中空軸3とスタブ軸4の連結部外側であって、中空軸3の厚肉部3aとスタブ軸4の嵌合部4aとに跨るように形成した溶接部80で構成したものを示している。溶接部80の形成態様は、中空軸3とスタブ軸4との間に求められる連結強度を考慮して決定すれば良く、全周に亘って形成するようにしても良いし、周方向で断続的に形成するようにしても良い。また溶接部80の形成手段も特に問わず、スポット溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接等、公知の溶接方法の中から選択することが可能である。
【0052】
図10は、スプライン嵌合によって中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結したものであるが、図4に示すいわゆるキー嵌合や、図6に示す凹凸嵌合構造60によって中空軸3とスタブ軸4とをトルク伝達可能に連結した場合であっても、本実施形態に示す溶接部80によって、中空軸3とスタブ軸4の相対的な軸方向移動を規制することもできる。また、図示は省略するが、図10に示す構成に加えて、図2(b)に示す構成を採用することも可能である。このようにすれば、中空軸3とスタブ軸4の連結時における両者の軸方向の位置決めを行うことが可能となる。
【0053】
以上で説明したプロペラシャフト1は、摺動式等速自在継手10としてダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)を用いたものであるが、本発明は、摺動式等速自在継手10として、いわゆるトリポードタイプ(TJ)を用いたプロペラシャフト1にも好適に適用可能である。トリポードタイプの摺動指揮型等速自在継手10とは、図11に示すように、内周面91aに軸方向に延びる三本のトラック溝91bが形成された外側継手部材91と、径方向に突出した三本の脚軸92aを有するトリポード部材92と、トリポード部材92の脚軸92aに回転自在に支持されると共に外側継手部材91のトラック溝91bに転動自在に挿入されたトルク伝達部材としてのローラ体93とを備えるものである。
【0054】
また、以上で説明した実施形態は、軸部材としての中間シャフト2のうち、摺動式等速自在継手10の内側継手部材12とトルク伝達可能に連結されるスタブ軸4と中空軸3との間に衝撃吸収部(止め輪40、第1および第2の止め輪72,74、あるいは溶接部80)を設けたものであるが、これに替えて、もしくはこれに加えて、固定式等速自在継手20とトルク伝達可能に連結されるスタブ軸5と中空軸3との間に、上述した何れかの実施形態に係る衝撃吸収部を設けるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 プロペラシャフト
2 中間シャフト(軸部材)
3 中空軸
4,5 スタブ軸
4a 嵌合部
6 雄スプライン
7 周方向溝
8 雌スプライン
9 周方向溝
10 摺動式等速自在継手
20 固定式等速自在継手
40 止め輪(衝撃吸収部)
51 凹窪部
52 締結部材
60 凹凸嵌合構造
71 第1周方向溝
72 第1の止め輪(衝撃吸収部)
73 第2周方向溝
74 第2の止め輪(衝撃吸収部)
75 テーパ部
80 溶接部(衝撃吸収部)
P 軸方向の衝撃荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、軸部材の端部にトルク伝達可能に連結された等速自在継手とを備えたプロペラシャフトにおいて、
前記軸部材は、中空軸と、一端が中空軸の端部内周にトルク伝達可能に連結され、他端が等速自在継手とトルク伝達可能に連結されたスタブ軸とを備えるものであり、
中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動を規制すると共に、規定値を超える軸方向の衝撃荷重の作用時には中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動の規制状態を解除し、中空軸とスタブ軸の軸方向相対移動を許容する衝撃吸収部を中空軸とスタブ軸との間に設けたことを特徴とするプロペラシャフト。
【請求項2】
スプライン嵌合により、中空軸とスタブ軸とがトルク伝達可能に連結された請求項1に記載のプロペラシャフト。
【請求項3】
中空軸の内周面に設けたキー溝とスタブ軸の外周面に設けたキー溝とを合わせて形成される凹窪部に締結部材を密着嵌合させることにより、中空軸とスタブ軸とがトルク伝達可能に連結された請求項1に記載のプロペラシャフト。
【請求項4】
中空軸とスタブ軸のうち、何れか一方に設けた軸方向に延びる凸部を他方に圧入し、該他方に前記凸部により凹部を形成することで構成した前記凸部と前記凹部の嵌合部位全域が密着する凹凸嵌合構造により、中空軸とスタブ軸とがトルク伝達可能に連結された請求項1に記載のプロペラシャフト。
【請求項5】
前記衝撃吸収部を、中空軸の内周面に設けた周方向溝とスタブ軸の外周面に設けた周方向溝との間に嵌合した止め輪で構成した請求項1〜4の何れか一項に記載のプロペラシャフト。
【請求項6】
前記衝撃吸収部を、スタブ軸の外周面に設けた第1周方向溝に嵌合され、スタブ軸の抜け方向で中空軸と係合する第1の止め輪と、スタブ軸のうち前記第1周方向溝よりも反軸端側の外周面に設けた第2周方向溝に嵌合され、スタブ軸の押し込み方向で中空軸と係合する第2の止め輪とで構成した請求項1〜4の何れか一項に記載のプロペラシャフト。
【請求項7】
前記第2の止め輪の内周面に、スタブ軸の押し込み方向後方側に向かって徐々に拡径するテーパ部を設けた請求項6に記載のプロペラシャフト。
【請求項8】
前記衝撃吸収部を、中空軸とスタブ軸の連結部外側で中空軸とスタブ軸とに跨って形成した溶接部で構成した請求項1〜4の何れか一項に記載のプロペラシャフト。
【請求項9】
前記等速自在継手は、内周面に軸方向に延びる直線状トラック溝が形成された外側継手部材と、外側継手部材の内周に配置され、外周面に軸方向に延びる直線状トラック溝が形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝の間に転動自在に配設されたトルク伝達部材とを備えるものである請求項1〜8の何れか一項に記載のプロペラシャフト。
【請求項10】
前記等速自在継手は、内周面に軸方向に延びる三本の直線状トラック溝が形成された外側継手部材と、径方向に突出した三本の脚軸を有するトリポード部材と、トリポード部材の脚軸に回転自在に支持されると共に外側継手部材のトラック溝に転動自在に挿入されたトルク伝達部材とを備えるものである請求項1〜8の何れか一項に記載のプロペラシャフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−105069(P2011−105069A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260058(P2009−260058)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】