説明

プローブ情報システム

【課題】プローブ情報のリアルタイム性を確保しつつ、プローブ情報の通信料金を低減することが可能なプローブ情報システムを提供する。
【解決手段】プローブ情報Pをプローブカー2からデータセンタ3に送信して集積するプローブ情報システム1において、プローブカー2は、プローブ情報Pを移動体通信網を介して送信する移動体通信手段22と、プローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計値Cを計数する計数手段23と、収集した所定の情報Rにヘッダ部Hとフッタ部Fを付加して作成したプローブ情報Pを移動体通信手段22に送信させる制御手段21とを備え、制御手段21は、所定期間のプローブ情報Pの通信量の基準に基づいて所定期間の当初からの合計目標値Tを設定し、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nを、合計目標値Tから実際の合計値Cを減算した差が小さくなるに従って増加するように決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ情報システムに係り、特に、プローブカーから移動体通信を介して受信したプローブ情報をデータセンタで集積するプローブ情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プローブカーに通信装置を取り付け、プローブカーによって検出された渋滞情報等の各種情報をプローブ情報として、携帯電話等の移動体通信を介してデータセンタに送信し、これらのプローブ情報を収集するプローブ情報システムの開発が進められている。このようなプローブ情報システムでは、通常、データセンタに収集されたプローブ情報を解析して、データセンタで渋滞状況等が予測、推定され、解析した渋滞状況等の情報が車両(プローブカー)に送信されて、ユーザに提供するようになっている。
【0003】
ところで、プローブカーからプローブ情報をデータセンタに送信する際、携帯電話網等の移動体通信網が利用されるケースが少なくなく、プローブ情報を送信するごとに通信料金が発生する。そのため、単に時々刻々とプローブカーからプローブ情報を送信するだけでは、通信料金がかさんでしまう。
【0004】
そこで、必ずしもプローブ情報システムに関するものではないが、例えば、特許文献1では、送信先までの距離、通信料金、過去の通信実績等から基準データ通信量を設定し、今回送信しようとするデータ量が基準データ通信量に達していなければ、今回の送信を中止して、データの量が基準データ通信量に達するまで待つことで、データの伝送効率を向上させ、通信料金を削減する方式が提案されている。
【特許文献1】特開平9−36857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、道路の渋滞状況等は時々刻々変化するため、得られた情報をプローブカーに長い期間保持した後にデータセンタに送信したのでは、プローブ情報を送信したときには既に渋滞が解消されていたり、渋滞が生じていないとされた地点で渋滞を生じていたりして、情報の価値やそれを収集することの意味が失われてしまう。このように、プローブ情報システムにおいては、プローブ情報はできるだけリアルタイムに送信されることが望ましい。
【0006】
この点で、特許文献1に記載の方式をプローブ情報システムに応用した場合、プローブ情報を送信しようとするときに、データ量が基準データ通信量に達していなければ送信が中止されてしまうのでは、プローブ情報のリアルタイム性が損なわれてしまうという問題がある。
【0007】
しかし、一方で、リアルタイム性を重視して、情報が得られるごとにプローブ情報として送信するようにプローブ情報システムを構成すると、前述したように、通信料金がかさんでしまうという問題が生じる。
【0008】
このように、プローブ情報システムでは、プローブ情報のリアルタイム性を損なわないようにしながら、通信料金の低減を図られるように、1個のプローブ情報に盛り込む情報の数が適切に調整されることが望ましい。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、プローブ情報のリアルタイム性を確保しつつ、プローブ情報の通信料金を低減することが可能なプローブ情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の問題を解決するために、第1の発明は、
プローブ情報をプローブカーから移動体通信網を介してデータセンタに送信し、当該データセンタで集積するプローブ情報システムにおいて、
前記プローブカーは、
前記プローブ情報を前記移動体通信網を介して送信する移動体通信手段と、
前記移動体通信手段が送信した前記プローブ情報の通信量の所定期間の当初からの合計値を計数する計数手段と、
所定の情報を収集して前記情報にヘッダ部およびフッタ部を付加して前記プローブ情報を作成し、作成した前記プローブ情報を前記移動体通信手段に送信させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記所定期間の前記プローブ情報の通信量の基準に基づいて前記所定期間の当初からの合計値の目標値として合計目標値を設定し、前記合計目標値から実際の前記合計値を減算した差に基づいて、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を、前記差が小さくなるに従って増加するように決定することを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明のプローブ情報システムにおいて、前記合計目標値は、前記所定期間の当初からの経過時間が増加するに従って増加するように設定されることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第2の発明のプローブ情報システムにおいて、前記合計目標値は、前記所定期間の末に前記基準になるように、前記所定期間の当初からの経過時間に比例して増加するように設定されることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明のプローブ情報システムにおいて、前記制御手段は、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を前記差が小さくなるに従って増加するように決定する際に、その増加の割合を、曜日または時間帯の少なくとも一方によって変更することを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明のプローブ情報システムにおいて、1個の前記プローブ情報で送信する前記情報の数は、前記情報の数をn、前記所定期間の当初からの合計目標値をT、実際の前記合計値をC、1個の前記プローブ情報で送信する前記情報の数の基準値をNr、係数をaとするとき、
n=Nr−a(T−C)
に従って算出されて決定されることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第5の発明のプローブ情報システムにおいて、前記制御手段は、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を決定する際に、前記基準値Nrまたは前記係数aの少なくとも一方を、曜日または時間帯の少なくとも一方によって変更することを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明のプローブ情報システムにおいて、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数に上限が設定されていることを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明のプローブ情報システムにおいて、前記移動体通信網は、携帯電話網であることを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第8の発明のプローブ情報システムにおいて、前記所定期間の前記プローブ情報の通信量の基準は、前記所定期間の定額通信量までの定額の通信料金であることを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、第1から第8のいずれかの発明のプローブ情報システムにおいて、前記所定期間の前記プローブ情報の通信量の基準は、所定期間に消費できる予算であることを特徴とする。
【0020】
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明のプローブ情報システムにおいて、
前記計数手段は、前記移動体通信手段が前記プローブ情報を送信するのに要した当該プローブ情報の通信料金の前記所定期間の当初からの合計値を計数し、
前記制御手段は、前記所定期間の前記プローブ情報の通信料金の基準に基づいて前記所定期間の当初からの通信料金の合計目標値を設定し、前記合計目標値から実際の前記合計値を減算した差に基づいて、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、複数の情報を複数のプローブ情報に分けて送信する場合には、複数のプローブ情報にそれぞれ付加されるヘッダ部やフッタ部が重複する分だけ送信パケット数が多くなり、通信料金が余計にかかることに着目し、所定期間のプローブ情報の通信量の基準(例えば1カ月の定額通信量までの定額通信料金や1カ月間の通信料金の予算等)に基づいて設定したプローブ情報の通信量の所定期間の当初からの合計目標値と、実際の合計値との差に基づいて、1個のプローブ情報で送信する情報の数を、上記の差が大きくなるに従って情報の数を減らし、差が小さくなるに従って情報の数が増加させる。
【0022】
そのため、差が大きく、送信できるプローブ情報の通信量にまだ余裕がある場合には、1個のプローブ情報に盛り込む情報の数を減らし、情報が蓄積される待機時間を低減して早期に情報を送信することでリアルタイム性を確保し、一方、上記の差が小さくなり、或いは差が負になって送信したプローブ情報の通信量の合計目標値を越えてしまっているような場合には、1個のプローブ情報に盛り込む情報の数を増やし、ヘッダ部やフッタ部の重複を回避することで、通信料金の低減を図ることが可能となる。
【0023】
第2および第3の発明によれば、合計目標値を、所定期間の当初からの経過時間が増加するに従って増加するように設定し、或いは所定期間の当初からの経過時間に比例して増加するように設定することで、経過時間に従って均等に増加する合計目標値をいわばペースメーカのようにして1個のプローブ情報に盛り込む情報の数を決定することが可能となる。そのため、所定期間の全般にわたってプローブ情報のリアルタイム性と通話料金の低減とを適切に調整することが可能となり、前記発明の効果がより効果的に発揮される。
【0024】
第4および第6の発明によれば、例えばプローブカーが一般車両か業務用車両かによって頻繁に使用される曜日や時間帯が異なる。また、使用されることが多いと考えられる曜日や時間帯には情報が多数収集される頻度が高くなるため、使用されることが多い曜日や時間帯には情報をある程度蓄積してから送信しても蓄積にはそれほど時間が掛からない。
【0025】
そのため、1個のプローブ情報により多くの情報を盛り込んで送信するように構成しても、情報やプローブ情報のリアルタイム性は損なわれず、しかも通信料金の低減を図ることができる。そこで、例えばプローブカーが一般車両か業務用車両かによって処理のしかたを変えることで、通常の場合より1個のプローブ情報により多くの情報を盛り込むように構成すれば、通信料金の低減を図ることができると同時に、多数の情報をリアルタイム性を損なわずに送信することが可能となる。そのため、前記各発明の効果がより有効に発揮される。
【0026】
第5の発明によれば、前記式に従って1個のプローブ情報で送信する情報の数を算出して決定することで、1個のプローブ情報で送信する情報の数を、プローブ情報の通信量の所定期間の当初からの合計目標値と、実際の合計値との差が大きくなるに従って情報の数を減らし、差が小さくなるに従って情報の数が増加させるように構成することが可能となり、前記各発明の効果が有効に発揮される。
【0027】
第7の発明によれば、1個のプローブ情報で送信する情報の数が非常に大きくなると情報が蓄積されるまでの待機時間が非常に長くなり、情報のリアルタイム性が大きく損なわれてしまうが、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数に上限を設定すれば、待機時間が短縮されるため、情報のリアルタイム性を的確に確保することが可能となり、前記各発明の効果が的確に発揮される。
【0028】
第8および第9の発明によれば、移動体通信網が携帯電話網であり、所定期間のプローブ情報の通信量の基準が所定期間の定額通信量までの定額の通信料金である場合にも、前記各発明を有効に適用することが可能であり、前記各発明の効果が有効に発揮される。
【0029】
第10の発明によれば、前記各発明は、上記のような携帯電話網における所定期間の定額通信量までの定額の通信料金の場合に限らず、プローブ情報の通信料金等を所定期間に消費できる予算内に収めるような場合にも有効に適用することが可能であり、そのような場合にも前記各発明の効果が有効に発揮される。
【0030】
第11の発明によれば、プローブ情報の通信量やその所定期間の当初からの合計値、或いはその合計目標値を、プローブ情報の通信料金単位で計数し、設定することで、例えば、プローブ情報の通信量やその所定期間の当初からの合計目標値までに余裕があるか、或いは既に超過しているか等を明確に把握して、処理を構成することが可能となり、前記各発明の効果が的確に発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係るプローブ情報システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
本実施形態に係るプローブ情報システム1は、図1に示すように、プローブカー2と、データセンタ3とを備えて構成されている。本実施形態では、プローブカー2がプローブ情報を移動体通信網である携帯電話網の基地局Aに送信し、プローブ情報が基地局Aからインターネットを介してデータセンタ3に送信されて集積されるようになっている。
【0033】
プローブカー2は、制御手段21と、移動体通信手段22と、計数手段23とを備えている。
【0034】
本実施形態では、プローブカー2の制御手段21は、計数手段23とともに、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたマイクロコンピュータにより構成されている。
【0035】
制御手段21には、所定期間のプローブ情報の通信量の基準が、予め或いはユーザにより図示しない入力手段を介して入力されるようになっている。ここで、所定期間とは、例えば月頭から月末までの1カ月の期間であり、プローブ情報の通信量の基準とは、例えば1カ月の定額通信量までの定額の通信料金(以下、定額通信料金という。)であったり、或いは、1カ月間の通信料金の予算等である。
【0036】
本実施形態では、所定期間として各月の月頭から月末までの1カ月の期間が設定されており、プローブ情報の通信量の基準として1カ月の定額通信料金が設定されている場合を例にとって説明する。しかし、本発明の適用範囲は、本実施形態の場合に限定されるものではない。なお、定額通信料金すなわち定額通信量までの定額の通信料金とは、一定の通信量(定額通信量)までは定額とされ定額通信量を越えた部分については従量制で課金されると定められた通信の料金体系における定額通信量までの定額の通信料金を表す。
【0037】
制御手段21は、プローブ情報の通信量の基準として1カ月の定額通信料金が入力されると、入力された1カ月の定額通信料金を定額通信量である送信パケット数Mに換算して図示しないメモリに保存するようになっている。以下、このパケット数Mを、基準となるパケット数Mという。
【0038】
また、制御手段21は、自車両の図示しない車内CAN(Controller Area Network)通信網を経由して、例えば、自車両の位置の情報や、車輪速と車体速の情報、ABS(Anti-lock Braking System)やワイパが作動されたという情報、自車両の周囲に存在する他の車両の情報等の予め指定された種類の単数または複数の情報を収集して、それらをまとめて1個の情報Rとするようになっている。
【0039】
制御手段21は、このようにして収集し、1個にまとめた情報Rを図示しないメモリに保存していくようになっている。この情報Rの収集は、収集される情報の種類に応じて、予め設定されたサンプリング周期ごと、或いはその情報に対応する事象が生じるごとに行われるようになっている。
【0040】
また、制御手段21は、図2に示すように、収集した情報Rに、接続要求、受信確認、IPヘッダ、TCPヘッダ等からなるヘッダ部Hと、切断要求等からなるフッタ部Fとを付加して電文であるプローブ情報Pを作成するようになっている。
【0041】
その際、本実施形態では、制御手段21は、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nを決定し、ヘッダ部Hにさらに情報の数nを書き込んで、ヘッダ部Hとフッタ部Fとの間にn個の情報R1〜Rnを並べて1個のプローブ情報Pを作成するようになっている。なお、1個のプローブ情報Pで送信する情報R1〜Rnの数nを決定する手法や、制御手段21がプローブ情報Pを作成するタイミング等については、後で詳しく説明する。
【0042】
また、制御手段21は、プローブ情報Pを作成すると、移動体通信手段22に送信指示信号を送信して、上記のようにして作成したプローブ情報Pを移動体通信手段22に送信させるようになっている。
【0043】
プローブカー2の移動体通信手段22は、本実施形態では携帯電話機で構成されている。移動体通信手段22は、制御手段21からの送信指示に応じて、プローブ情報Pを移動体通信網である携帯電話網を介して基地局Aに送信するようになっている。
【0044】
また、本実施形態では説明を省略するが、移動体通信手段22は、データセンタ3から基地局Aを経由して送信されてきた解析データを受信して、制御手段21に送信するようになっている。このように、移動体通信手段22は、基地局Aを介してデータセンタ3とプローブ情報Pや解析データを送受信するための通信手段である。
【0045】
プローブカー2の計数手段23は、移動体通信手段22が送信したプローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計値Cを計数するようになっている。すなわち、本実施形態では、計数手段23は、送信したプローブ情報Pの通信量の月頭からの合計値Cを計数するようになっている。また、送信したプローブ情報Pの通信量の合計値Cは、送信パケット数で計数されるようになっている。
【0046】
具体的には、計数手段23は、月が替わるごとにメモリに記憶された合計値Cをクリアするようになっている。そして、計数手段23は、移動体通信手段22がプローブ情報Pを送信するたびに、メモリに記憶された合計値Cを読み出して合計値Cに送信した送信パケット数を加算し、加算した値を新たな合計値Cとしてメモリの合計値Cに上書き保存していく。このようにして、移動体通信手段22が送信したプローブ情報Pの通信量のその月の月頭からの合計値Cを計数するようになっている。
【0047】
データセンタ3では、プローブカー2から基地局Aを介して送信されてきたプローブ情報Pが集積されるようになっている。
【0048】
また、データセンタ3では、送信されてきたプローブ情報Pの情報R(図2参照)から、例えば当該車両の車輪速と車体速の情報を読み出して車輪速と車体速との差を求め、或いはABSの作動情報からABSが作動されたことを認識して、路面が凍結している地点を特定したり、例えばワイパの作動情報から降雨や降雪があった地点を特定したり、或いは、自車両の周囲に存在する他の車両の情報から渋滞している地点を特定するなどして、プローブ情報Pを解析するようになっている。
【0049】
次に、プローブカー2における処理構成を説明する。プローブカー2における処理は、図3に示すフローチャートに従って行われるようになっている。以下、このフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
プローブカー2の制御手段21は、まず、所定期間の当初か否かを判断するようになっている(ステップS1)。制御手段21は、自らを構成するコンピュータに備えられたカレンダー機能等を介して入手される日付や時刻に基づいて、前回ステップS1の判断を行った際の所定期間の次の所定期間に入ったか否かを判断することで所定期間の当初か否かを判断するようになっている。
【0051】
制御手段21は、所定期間の当初であると判断すると(ステップS1;YES)、計数手段23にその旨の情報を送信するようになっており、計数手段23はその情報を受け取ると、メモリに保存されている前の所定期間におけるプローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計値Cをクリアするようになっている(ステップS2)。なお、前の所定期間における合計値Cは以下の処理では不要であるためクリアするが、例えばデータセンタ3に送信した後でクリアするように構成することも可能である。
【0052】
続いて、制御手段21は、上記のカレンダー機能等を介して入手される日付や時刻に基づいて、経過時間t[sec]に、今回の所定期間の当初(t=0)からの経過時間をセット(ステップS3)してタイマをスタートさせると同時に、今回の所定期間における下記の計算に必要となる係数m[パケット/sec]
m=M/(D[day]×24[h/day]×60[min/h]×60[sec/min])…(1)
を計算し(ステップS4)、メモリに保存するようになっている。
【0053】
ここで、Mは、前述したプローブ情報Pの通信量の基準としての1カ月の定額通信料金に相当する基準となるパケット数Mの値を表し、メモリから読み出される。また、Dはその月の日数を表す。また、ステップS1の判断で、所定期間の当初でなければ(ステップS1;NO)、ステップ2〜ステップS4の処理はスキップされる。
【0054】
制御手段21は、続いて、所定期間のプローブ情報Pの通信量の基準である基準となるパケット数Mに基づいて、すなわち上記のように基準となるパケット数Mから算出された係数mに基づいて、下記(2)式に従ってプローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計値Cの目標値として合計目標値T[パケット]を設定するようになっている(ステップS5)。
T=m[パケット/sec]×t[sec] …(2)
【0055】
本実施形態では、このように、合計目標値Tは、図4に示すように、所定期間の当初からの経過時間tが増加するに従ってそれに比例して増加するように設定される。また、上記(1)、(2)式から分かるように、所定期間の当初(月頭)からの経過時間tがその月の日数D[day]に相当するD×24×60×60[sec]になると(月末になると)、合計目標値Tは、1カ月の定額通信料金に相当する基準となるパケット数Mに等しくなるようになっている。
【0056】
すなわち、本実施形態では、プローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計目標値Tは、1カ月の定額通信料金に相当する基準となるパケット数Mを、月頭から一定のペースで消費していくと考えた場合の、所定期間の当初からの経過時間tにおける消費量に相当するものである。
【0057】
制御手段21は、続いて、1個のプローブ情報Pで送信する情報R(R1〜Rn)の数n[個]を、下記(3)式に従って算出して決定するようになっている(図3のステップS6)。なお、算出された情報Rの数nが整数でない場合、本実施形態では、小数点以下を四捨五入して整数にして情報Rの数nを決定するようになっている。
n=Nr−a(T−C) …(3)
【0058】
ここで、Nr[個]およびa[個/パケット]は、それぞれ1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nの基準値、および係数を表し、プローブ情報Pとして送信するように指定された情報Rの種類や数、サンプリング周期ごとに収集するか、或いはその情報Rに対応する事象が生じるごとに収集するかのサンプリングタイミングの設定等に基づいて、それぞれ適宜の値に設定されるようになっている。
【0059】
続いて、制御手段21は、情報Rの数nが1より大きければ(ステップS7;NO)、nをそのままの値とし、情報Rの数nが1以下であれば(ステップS7;YES)、nを1とするようになっている(ステップS8)。これは、プローブ情報Pを送信する際には、必ず1個以上の情報Rを送信するようにするためであり、情報Rの数が0個、すなわち情報Rを1個も含まないプローブ情報Pを送信しないようにするためである。
【0060】
そして、制御手段21は、収集して1個にまとめた情報Rがメモリ内にn個蓄積されているか否かを判断し(ステップS9)、n個の情報Rが蓄積されていなければ(ステップS9;NO)、蓄積されるまで待機するようになっている。
【0061】
また、制御手段21は、メモリにn個の情報Rが蓄積されていると(ステップS9;YES)、前述したように、収集した情報R1〜Rnにヘッダ部Hとフッタ部F(図2参照)とを付加し、ヘッダ部Hには情報Rの数nを書き込んで1個のプローブ情報Pを作成して(図3のステップS10)、作成したプローブ情報Pを移動体通信手段22を介してデータセンタ3に送信するようになっている(ステップS11)。
【0062】
計数手段23は、移動体通信手段22が当該プローブ情報Pを送信する際に要した送信パケット数sを移動体通信手段22から入手し、メモリに記憶された合計値Cを読み出して合計値Cに今回の送信パケット数sを加算して、加算した値C+sを新たな合計値Cとしてメモリの合計値Cに上書き保存するようになっている(ステップS12)。
【0063】
制御手段21は、プローブ情報Pを送信し(ステップS11)、合計値Cの更新(ステップS12)が終了すると、ステップS1以降の処理を繰り返すようになっている。
【0064】
次に、本実施形態に係るプローブ情報システム1の作用について説明する。
【0065】
まず、1個のプローブ情報Pで送信する情報R(R1〜Rn)の数nの意味について説明する。例えば、2個の情報Ra、Rbを1個ずつ2個のプローブ情報Pで送信する場合、図5(A)に示すように、情報Ra、Rbにそれぞれヘッダ部Hとフッタ部Fとが付加され、ヘッダ部Hには情報Ra、Rbの数1(n=1)が書き込まれて、それぞれプローブ情報Pa、Pbが作成される。
【0066】
また、2個の情報Ra、Rbを1個のプローブ情報Pで送信する場合、図5(B)に示すように、情報Ra、Rbにヘッダ部Hとフッタ部Fとが付加され、ヘッダ部Hには情報Ra、Rbの数2(n=2)が書き込まれて、1個のプローブ情報Pcが作成される。
【0067】
図5(A)の2個のプローブ情報Pa、Pbと、図5(B)の1個のプローブ情報Pcとを比較すると分かるように、2個の情報Ra、Rbを1個のプローブ情報Pcで送信する場合(図5(B))にはヘッダ部Hとフッタ部Fがそれぞれ1個ずつで済むのに対して、2個のプローブ情報Pa、Pbに分けて送信する場合(図5(A))にはヘッダ部Hとフッタ部Fが2個ずつ必要となる。
【0068】
そのため、ヘッダ部Hやフッタ部Fが重複する分だけ2個のプローブ情報Pa、Pbに分けて送信する場合(図5(A))の方が送信パケット数が多くなり、通信料金が余計にかかる。
【0069】
すなわち、図5(A)の場合には、プローブ情報Paが作成された段階でプローブ情報Paが送信され、その後、プローブ情報Pbが作成された段階でプローブ情報Pbが送信されるが、プローブ情報Pbが送信されて最終的に2個の情報Ra、Rbを送信し終わった段階では、2個の情報Ra、Rbを2個のプローブ情報Pa、Pbで送信するよりも、図5(B)に示したように1個のプローブ情報Pcで送信した方が、通信料金は安くなる。
【0070】
これは、2個の情報Ra、Rbの場合のみならず、複数の情報R1〜Rnを送信する場合にも同様であり、結局、同じ数nの情報R1〜Rnを送信するのであれば、多くの情報Rを盛り込んだ1個のプローブ情報Pを作成し、そのプローブ情報Pで多くの情報Rを送信するようにした方が送信パケット数は少なくなり、通信料金を安くすることができる。
【0071】
しかし、1個のプローブ情報Pに多数の情報R1〜Rnを盛り込むことで1個のプローブ情報Pで送信する情報R1〜Rnの数nを増やすと、情報Rがn個蓄積するまで待機することになり、時間がかかってしまう。実際、本実施形態においても、前述したように、ステップS9の処理でn個の情報Rがメモリに蓄積されているかを判断し、蓄積されていなければ蓄積されるまで待機するようになっている(ステップS9;NO)。
【0072】
このように、単に通信料金を安くするために1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを増やすだけでは、今度は、情報Rのリアルタイム性が失われてしまう。そこで、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを増やすことによる通信料金の低減と、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを減らして待機時間を短縮することによるリアルタイム性の確保とを調整しなければならない。
【0073】
本実施形態では、上記(3)式に示したように、プローブ情報Pの通信量の所定期間の当初(月頭)からの合計目標値Tから実際の合計値Cを減算した差T−Cに着目し、その差が正の値である場合すなわち送信できるプローブ情報Pの通信量にまだ余裕がある場合には、通信料金の低減よりもリアルタイム性を重視して、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを減らす。一方、上記の差が負の値である場合すなわち送信したプローブ情報Pの通信量の合計目標値Tを越えてしまっている場合には、リアルタイム性よりも通信料金の低減を重視し、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを増やしてn個の情報Rが蓄積されるまで待つようになっている。
【0074】
以下、具体的に説明すると、まず、プローブ情報Pの通信量の所定期間の当初(月頭)からの実際の合計値Cは、図6に示すように、プローブ情報Pが送信されるごとに経過時間tに対して階段状に増加する。一方、前述したように、本実施形態では、合計目標値Tは経過時間tに比例して増加する。このように、本実施形態では、合計目標値Tと実際の合計値Cとの差T−Cは、直線的に増加する合計目標値Tと、階段状に増加する合計値Cとの差で表され、図6のグラフ中で合計値Cが合計目標値Tより下方にある場合に正となり、上方にある場合に負となる。
【0075】
そして、上記(3)式を見ると、まず、合計目標値Tと実際の合計値Cとの差T−Cが0の場合、すなわち図6ではαで示される部分のように実際のプローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計値Cがちょうど合計目標値T分だけ消費されている場合には、n=Nrとなって、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nは基準値Nrに決定される。そして、Nr個の情報Rが蓄積された段階で1個のプローブ情報Pに盛り込まれて送信される。
【0076】
また、差T−Cが正の値、すなわち図6ではβで示される部分のように送信したプローブ情報Pの通信量の合計値Cが合計目標値Tに達しておらず通信量に余裕がある場合には、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nは基準値Nrより小さくなるように決定され、n個の情報Rが蓄積されるまでの待機時間を短縮して、情報Rをデータセンタ3にリアルタイムに送信する。
【0077】
また、差T−Cが負の値、すなわち図6ではγで示される部分のように送信したプローブ情報Pの通信量の合計値Cが合計目標値Tを越えてしまっている場合には、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nは基準値Nrより大きくなるように決定される。そのため、n個の情報Rが蓄積されるまでの待機時間が長くなるが、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nが増やされて通信料金が低減される。
【0078】
このように、本実施形態では、プローブ情報Pの通信量の所定期間の当初(月頭)からの合計値Cの合計目標値Tから実際の合計値Cを減算した差T−Cに基づいて、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nを、差T−Cが大きくなるに従って数nを減らし、差T−Cが小さくなるに従って数nを増加させるようにして決定することで、通信料金の低減とリアルタイム性の確保との調整を図るようになっている。
【0079】
なお、本実施形態では、前述したように、上記(3)式に従うだけでは算出される数nが0や負の値になる場合があり、情報Rを1個も含まないプローブ情報Pを送信して無駄な通信料金を消費しないように、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nの下限値1を設定した(図3のステップS8参照)。
【0080】
同様に、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nが非常に大きくなると待機時間が非常に長くなり、情報Rのリアルタイム性が大きく損なわれてしまうため、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nに上限値を設定するように構成することも可能である。このように1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nに上限値を設定すれば、情報Rのリアルタイム性が確保される。なお、上限値は、プローブ情報Pとして送信するように指定された情報Rの種類や、サンプリング周期ごとに収集するか或いはその情報Rに対応する事象が生じるごとに収集するかのサンプリングタイミングの設定等に基づいて、適宜の値に設定される。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るプローブ情報システム1によれば、複数の情報Rを複数のプローブ情報Pに分けて送信する場合には、複数のプローブ情報Pにそれぞれ付加されるヘッダ部Hやフッタ部Fが重複する分だけ送信パケット数が多くなり、通信料金が余計にかかることに着目して、所定期間のプローブ情報Pの通信量の基準(例えば1カ月の定額通信量までの定額通信料金や1カ月間の通信料金の予算等)に基づいて設定したプローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計目標値Tと、実際の合計値Cとの差T−Cに基づいて、1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nを、上記の差T−Cが大きくなるに従って情報Rの数nを減らし、差T−Cが小さくなるに従って情報Rの数nが増加させるように構成した。
【0082】
そのため、差T−Cが大きく、送信できるプローブ情報Pの通信量にまだ余裕がある場合には、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを減らし、情報Rが蓄積される待機時間を低減して早期に情報Rを送信することで、リアルタイム性を確保し、一方、上記の差T−Cが小さくなり、或いは差T−Cが負になって送信したプローブ情報Pの通信量の合計値Cが合計目標値Tを越えてしまっているような場合には、1個のプローブ情報Pに盛り込む情報Rの数nを増やし、ヘッダ部Hやフッタ部Fの重複を回避することで、通信料金の低減を図ることが可能となる。
【0083】
また、合計目標値Tを、例えば1カ月の定額通信量までの定額通信料金や1カ月間の通信料金の予算等のそのものの値に設定することも可能である。しかし、その場合、月頭から月末まで一定値とされた合計目標値Tに対して、月頭からその月の前半頃までには、プローブ情報Pがまだあまり送信されておらず、合計目標値Tと通信量の合計値Cとの差T−Cが大きくなるため、盛り込まれた情報Rの数nが少ないプローブ情報Pが多数送信されて通信料金が増加していくが、その月の後半には、通信量の合計値Cが既に合計目標値Tに近接してしまっていて差T−Cが小さいため、多数の情報Rの蓄積を待ってプローブ情報Pが送信されるようになる場合がある。
【0084】
このような場合、その月の前半はプローブ情報Pのリアルタイム性が確保されるが、その月の後半になるとリアルタイム性が失われてしまうということになる。その点、本実施形態のように、合計目標値Tを、所定期間の末に所定期間のプローブ情報Pの通信量の基準の額(例えば1カ月の定額通信量までの定額通信料金や1カ月間の通信料金の予算等)になるように、所定期間の当初からの経過時間tに比例して増加するように設定すれば、図6に示したように、経過時間tに従って均等に増加する合計目標値Tがいわばペースメーカのように働き、前半、後半に関わりなく所定期間の全般にわたってプローブ情報Pのリアルタイム性と通話料金の低減とを適切に調整することが可能となる。
【0085】
なお、この点につき、合計目標値Tを経過時間tに従って増加するように設定する際に、必ずしも両者が比例関係に設定される必要はない。例えば、合計目標値Tが、所定期間の当初において既に一定の値を有するように一次関数的に増加するように設定してもよい。また、経過時間tに対する合計目標値Tの増加の割合を経過時間tごとに変えるように設定することも可能である。
【0086】
また、例えば、プローブ情報システム1のプローブカー2が一般車両であるか業務用車両であるかによって処理のしかたを変えることも可能である。すなわち、例えば、業務用車両は平日の昼間に使用されることが多く、家族等が使用する一般車両は休日に使用されることが多いと考えられ、また、それぞれ使用されることが多いと考えられる曜日や時間帯には情報Rが多数収集され、プローブ情報Pとして送信される頻度が必然的に高くなると考えられる。
【0087】
このような場合、使用されることが多い曜日や時間帯には、情報Rをある程度蓄積してから送信しても蓄積にはそれほど時間が掛からないため、1個のプローブ情報Pにより多くの情報Rを盛り込んで送信するように構成しても、情報Rやプローブ情報Pのリアルタイム性はさほど損なわれず、しかも通信料金の低減を図ることができる。
【0088】
そのため、プローブ情報システム1を利用するユーザのプローブカー2が一般車両であるか業務用車両であるか等によって、曜日や時間帯ごとに、例えば経過時間tに対する合計目標値Tの増加の割合(すなわち上記(1)式における係数m)を変えたり、上記(3)式における基準値Nrや係数aを変えるなどして、通常の場合より1個のプローブ情報Pにより多くの情報Rを盛り込むように構成することが可能である。
【0089】
なお、本実施形態では、送信したプローブ情報Pの通信量の所定期間の当初からの合計値Cやその合計目標値Tを、送信パケット数単位で計数し設定する場合について説明したが、それらを通信料金単位で計数し設定するように構成することも可能である。
【0090】
また、プローブ情報Pを例えば車車間通信で他のプローブカー2との間で送受信するように構成することも可能であり、また、ホットスポットを設けて、プローブカー2からホットスポットにプローブ情報Pを送信してホットスポットからデータセンタ3に送信することができるように構成することも可能である。
【0091】
さらに、本実施形態では、ある時点で1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nを決定した後、n個の情報Rがメモリに蓄積された段階で送信する場合を説明した。しかし、厳密に言えば、決定した時点で1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数がnであっても、n個の情報Rが蓄積される待機時間の間に合計目標値Tが変化するため、実際に送信する時点で仮に上記(3)式に従って算出したとすると送信される情報Rの数nも変化する。
【0092】
従って、例えば、図3のフローチャートに示した処理手順においてn個の情報Rがメモリに蓄積されているか否かを判断するステップS9の処理において、蓄積されていない場合に、本実施形態のように単純に待機する代わりに、図7のフローチャートに示すようにその待機時間中に再度ステップS1〜ステップS8までの処理を行うように構成することも可能である。このように構成すれば、経過時間tに従って変化する合計目標値Tにあわせて1個のプローブ情報Pで送信する情報Rの数nを決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施形態に係るプローブ情報システムの全体構成およびプローブカーの内部構成を示す図である。
【図2】プローブ情報の構成を示す図である。
【図3】本実施形態のプローブカーにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図4】経過時間に比例して増加する合計目標値を示すグラフである。
【図5】(A)2個の情報を1個ずつ含む2個のプローブ情報を表す図であり、(B)2個の情報を含む1個のプローブ情報を表す図である。
【図6】経過時間に対して直線的に増加する合計目標値と階段状に増加する合計値とを表す図である。
【図7】図3のフローチャートの変形例を表す図である。
【符号の説明】
【0094】
1 プローブ情報システム
2 プローブカー
3 データセンタ
21 制御手段
22 移動体通信手段
23 計数手段
a 係数
C プローブ情報の通信量の所定期間の当初からの合計値
F フッタ部
H ヘッダ部
M 定額通信量
n 1個のプローブ情報で送信する情報の数
Nr 1個の前記プローブ情報で送信する前記情報の数の基準値
P プローブ情報
R 情報
T プローブ情報の通信量の所定期間の当初からの合計目標値
t 所定期間の当初からの経過時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ情報をプローブカーから移動体通信網を介してデータセンタに送信し、当該データセンタで集積するプローブ情報システムにおいて、
前記プローブカーは、
前記プローブ情報を前記移動体通信網を介して送信する移動体通信手段と、
前記移動体通信手段が送信した前記プローブ情報の通信量の所定期間の当初からの合計値を計数する計数手段と、
所定の情報を収集して前記情報にヘッダ部およびフッタ部を付加して前記プローブ情報を作成し、作成した前記プローブ情報を前記移動体通信手段に送信させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記所定期間の前記プローブ情報の通信量の基準に基づいて前記所定期間の当初からの合計値の目標値として合計目標値を設定し、前記合計目標値から実際の前記合計値を減算した差に基づいて、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を、前記差が小さくなるに従って増加するように決定することを特徴とするプローブ情報システム。
【請求項2】
前記合計目標値は、前記所定期間の当初からの経過時間が増加するに従って増加するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のプローブ情報システム。
【請求項3】
前記合計目標値は、前記所定期間の末に前記基準になるように、前記所定期間の当初からの経過時間に比例して増加するように設定されることを特徴とする請求項2に記載のプローブ情報システム。
【請求項4】
前記制御手段は、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を前記差が小さくなるに従って増加するように決定する際に、その増加の割合を、曜日または時間帯の少なくとも一方によって変更することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項5】
1個の前記プローブ情報で送信する前記情報の数は、前記情報の数をn、前記所定期間の当初からの合計目標値をT、実際の前記合計値をC、1個の前記プローブ情報で送信する前記情報の数の基準値をNr、係数をaとするとき、
n=Nr−a(T−C)
に従って算出されて決定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項6】
前記制御手段は、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を決定する際に、前記基準値Nrまたは前記係数aの少なくとも一方を、曜日または時間帯の少なくとも一方によって変更することを特徴とする請求項5に記載のプローブ情報システム。
【請求項7】
1個の前記プローブ情報で送信する情報の数に上限が設定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項8】
前記移動体通信網は、携帯電話網であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項9】
前記所定期間の前記プローブ情報の通信量の基準は、前記所定期間の定額通信量までの定額の通信料金であることを特徴とする請求項8に記載のプローブ情報システム。
【請求項10】
前記所定期間の前記プローブ情報の通信量の基準は、所定期間に消費できる予算であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。
【請求項11】
前記計数手段は、前記移動体通信手段が前記プローブ情報を送信するのに要した当該プローブ情報の通信料金の前記所定期間の当初からの合計値を計数し、
前記制御手段は、前記所定期間の前記プローブ情報の通信料金の基準に基づいて前記所定期間の当初からの通信料金の合計目標値を設定し、前記合計目標値から実際の前記合計値を減算した差に基づいて、1個の前記プローブ情報で送信する情報の数を決定することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のプローブ情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−181547(P2009−181547A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22763(P2008−22763)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】