説明

ヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法、並びに、インクジェットプリンタ

【課題】 複数列のチャネルを有して小型で効率良く印刷可能であるとともに、配線基板を容易かつ確実に接続することが可能なヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法、並びに、インクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】 ヘッドチップユニット20は、一縁端21a側に設けられて配線基板13が接続される基板接続面28と、インクが供給されるインク室32と、インク室32から他縁端側21bに向かって形成されて開口するチャネル29と、チャネル29の壁面29bから基板接続面28まで延設された電極31とを有するヘッドチップ21を複数備え、複数のヘッドチップ21は、隣り合う他のヘッドチップ21の基板接続面28を一縁端21a側に張り出させて段状になるようにして積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出させて印刷を行うためのヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、該ヘッドチップユニットを備えたインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法、並びに、該インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙などの媒体に文字や画像などを記録する手段として、インクを吐出させて印刷を行うインクジェットプリンタが用いられている。このようなインクジェットプリンタは、インクを吐出させるインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを媒体の搬送方向と略直交する方向に走査させるキャリッジとを備えている。インクジェットヘッドは、壁面に電極が設けられた複数のチャネルを有するヘッドチップを備えていて、このヘッドチップに接続されている配線基板から電極に電圧を印加してインクが供給されるチャネルを体積変化させることで、チャネルからノズルを経由してインクを吐出させ、これにより印刷を可能としている。
【0003】
近年、上記のようなインクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドにおいて、小型化を図るとともに、印刷の効率化を図る提案がなされてきている。より具体的には、チャネルが形成されたベースプレート、ベースプレートからはみ出すはみ出し部を有してベースプレート上に配設されたカバープレートで構成されるヘッドチップを複数積層したヘッドチップユニットと、各ヘッドチップのカバープレートのはみ出し部に接続される配線基板とを備えたインクジェットヘッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、一つのヘッドチップにおいて、両面にチャネルを形成することで、チャネルを 二列有するヘッドチップユニットと、両面に接続された配線基板とを備えたインクジェットヘッドが提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらのインクジェットヘッドのヘッドチップユニットでは、チャネルを複数列に配列して多ノズル化を図り、これにより印刷の効率化を図ることができるとともに、小型化を図ることができるとされている。
【特許文献1】特開平10−146974号公報
【特許文献2】特開2001−315353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によるインクジェットヘッドに搭載されるヘッドチップユニットでは、各ヘッドチップのはみ出し部に配線基板を接続する際に、隣り合うヘッドチップのはみ出し部が支障となってしまう問題があった。すなわち、ヘッドチップのカバープレートのはみ出し部に配線基板を接続する方法としては、異方性導電膜による接着や、ワイヤボンディングによる接続などがある。しかし、いずれ方法においても、配線基板を接続するはみ出し部の上方から、加熱や加圧するための部材、あるいは、ワイヤボンディング用キャピラリーなどを接触させる必要があり、この際に上方に積層されている他のヘッドチップのはみ出し部が支障となってしまう。また、各ヘッドチップについて、はみ出し部に配線基板を接続した後に、ヘッドチップ同士を積層する方法も考えられるが、配線基板を接続した後の工程で、接続された状態の配線基板が支障となってしまう。特に、インクを吐出させる面にノズルプレートを貼り付けるためには、この面を精度良く加工する必要があり、それ故にヘッドチップ積層後に面だし加工をする必要があるが、配線基板が接続された状態ではこの面出し加工を行うことができない。
【0005】
一方、特許文献2のインクジェットヘッドに搭載されるヘッドチップユニットは、一つのヘッドチップのみで構成され、二列のチャネルと対応する配線基板も、それぞれ表裏から接続することで互いに支障となることなく接続可能であるが、この構成ではチャネルは二列までしか形成することができない。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数列のチャネルを有して小型で効率良く印刷可能であるとともに、配線基板を容易かつ確実に接続することが可能なヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法、並びに、インクジェットプリンタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のヘッドチップユニットは、略板状で、一縁端側に設けられて配線基板が接続される基板接続面と、該基板接続面よりも前記一縁端と反対側の他縁端側に設けられてインクが供給されるインク室と、該インク室から前記他縁端側に向かって形成されて該他縁端に開口するチャネルと、該チャネルの壁面から前記基板接続面まで延設された電極とを有するヘッドチップを複数備え、複数の該ヘッドチップは、隣り合う他の前記ヘッドチップの前記基板接続面を前記一縁端側に張り出させて段状になるようにして積層されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明のヘッドチップユニットの製造方法は、略板状のヘッドチップ本体の一縁端側に配線基板を接続する基板接続面を、該基板接続面よりも前記一縁端側と反対側の他縁端側にインクが供給されるインク室を、また、該インク室から前記他縁端側に向かって延びて該他縁端に開口するチャネルを、それぞれ前記ヘッドチップ本体に形成するとともに、該チャネルの壁面から前記基板接続面まで電極を延設してヘッドチップを複数作製するヘッドチップ形成工程と、該ヘッドチップ形成工程で作製された複数の前記ヘッドチップを、他の該ヘッドチップの前記基板接続面を前記一縁端側に張り出して段状になるようにして積層する積層工程とを備えることを特徴としている。
【0009】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、複数のヘッドチップは、ヘッドチップ形成工程においてチャネル、インク室、基板接続面及び電極が形成された後に、積層工程においてそれぞれ一縁端側に基板接続面を張り出させて段状に積層されている。このため、最も一縁端側に基板接続面を張り出しているヘッドチップから順に、基板接続面に配線基板を接続すれば、他のヘッドチップや先に接続した他の配線基板が支障となってしまうことなく、基板接続面に配線基板を接触させた状態で加圧や加熱し接続することができる。そして、接続した配線基板から各ヘッドチップの電極に電圧を印加すれば、各インク室から供給されるインクを、複数のヘッドチップによって構成される複数列のチャネルの他縁端側の開口から吐出させることができる。
【0010】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、各前記ヘッドチップの前記チャネルの断面形状及び長さは、略等しく設定されていることがより好ましいとされている。
また、上記のヘッドチップユニットの製造方法において、前記ヘッドチップ形成工程は、各前記ヘッドチップの前記チャネルの断面形状及び長さが略等しくなるように、前記ヘッドチップ本体に前記チャネルを形成することがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、各ヘッドチップにおいて、チャネルの断面形状及び長さが略等しいことで、一縁端側を段状とし各ヘッドチップの形状を異なるものとしても、複数列のチャネルから同じ吐出性能でインクを吐出させることができる。
【0012】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、各前記ヘッドチップは、略板状で、一面に開口して前記他縁端まで溝状に形成された前記チャネル、及び、前記一面の前記一縁端側に設けられた前記基板接続面を有するアクチュエータ基板と、前記基板接続面を張り出させて前記アクチュエータ基板の前記一面上に積層され、前記インク室を有するカバープレート基板とを備え、各前記ヘッドチップは、前記アクチュエータ基板の一縁端に対して、隣り合う他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板の一縁端が張り出すか、若しくは、略等しい位置となるようにして、他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板上に積層されていることがより好ましいとされている。
【0013】
また、上記のヘッドチップユニットの製造方法において、前記ヘッドチップ本体は、略板状のアクチュエータ基板と、該アクチュエータ基板の一面に積層される略板状のカバープレート基板とを備え、前記ヘッドチップ形成工程は、前記アクチュエータ基板の前記一面に、該一面に開口して前記他縁端側に向かって延びる溝状に前記チャネルを形成するとともに、該チャネルの壁面から前記一面の前記一縁端側に設けられる前記基板接続面まで電極を延設するアクチュエータ基板形成工程と、前記カバープレート基板に前記インク室を形成するカバープレート基板形成工程とを有し、前記積層工程は、各前記ヘッドチップについて前記アクチュエータ基板の前記一面に、前記基板接続面を張り出させて前記カバープレート基板を積層するとともに、前記ヘッドチップの前記アクチュエータ基板を、該アクチュエータ基板の一縁端に対して、隣り合う他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板の一縁端が張り出すか、若しくは、略等しい位置となるように、他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板上に積層することがより好ましいとされている。
【0014】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、各ヘッドチップは、アクチュエータ基板とカバープレート基板とで構成され、積層工程においてアクチュエータ基板の一面上にカバープレート基板を積層することで一体となり、また、インク室とチャネルとが連通した状態となる。さらに、カバープレート基板上に他のヘッドチップのアクチュエータ基板を積層し、これらを繰り返すことで複数のヘッドチップが積層されていくこととなる。この際、アクチュエータ基板の一縁端に対してアクチュエータ基板が積層される他のヘッドチップのカバープレート基板の一縁端が張り出すか、若しくは、略等しい位置であることで、アクチュエータ基板の基板接続面に配線基板を接触させて加圧したとしても、積層されている複数のヘッドチップで確実に支持した状態で基板接続面に配線基板を接続することができる。
【0015】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、各前記ヘッドチップの前記チャネルは、一面に開口して前記他縁端まで溝状に形成され、各前記ヘッドチップの前記インク室は、前記一面側に積層される他の前記ヘッドチップの前記一面と反対側の他面に溝状に形成されていることがより好ましいとされている。
【0016】
また、上記のヘッドチップユニットの製造方法において、前記ヘッドチップ形成工程は、前記ヘッドチップ本体の一面に、該一面に開口して前記他縁端側に向かって延びる溝状に前記チャネルを形成するとともに、前記一面と反対側の他面に溝状に前記インク室を形成することがより好ましいとされている。
【0017】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、ヘッドチップ形成工程で、ヘッドチップ本体の一面にチャネルを、他面にインク室をそれぞれ形成し、積層工程で、ヘッドチップを積層すれば、各ヘッドチップのチャネルは、一面側に積層される他のヘッドチップに形成されたインク室と連通することとなる。このため、インク室を形成するために、チャネルが形成された基板と異なる基板を積層する必要が無く、積層方向に小型化をさらに図ることができる。
【0018】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、複数の前記ヘッドチップは、一の該ヘッドチップから一方側に向かって、それぞれ前記基板接続面を前記一方側に向けて前記一縁端側に張り出させて、段状になるように積層されるとともに、一の前記ヘッドチップから前記一方側と反対側の他方側に向かって、それぞれ前記基板接続面を前記他方側に向けて前記一縁端側に張り出させて、段状になるように積層されていることがより好ましいとされている。
【0019】
また、上記のヘッドチップユニットの製造方法において、前記積層工程は、複数の前記ヘッドチップを、一の該ヘッドチップから一方側に向かって、前記基板接続面を前記一方側に向けて前記一縁端側に張り出させて段状になるようにして順次積層し、さらに、一の前記ヘッドチップから前記一方側と反対側の他方側に向かって、前記基板接続面を前記他方側に向けて前記一縁端側に張り出させて段状になるようにして順次積層することがより好ましいとされている。
【0020】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、積層工程において、一のヘッドチップから積層方向両側のそれぞれに向かって基板接続面を一縁端側に張り出させて段状に積層することで、一方だけに向かって段状に積層するのに比べてヘッドチップの一縁端から他縁端までの供給方向に小型化を図ることができる。この際、一方側に積層されるヘッドチップは、基板接続面を一方側に向けて積層し、他方側に積層されるヘッドチップは、基板接続面を他方側に向けて積層している。このため、一のヘッドチップから順に、一方側へ、また、他方側へ、それぞれ順に配線基板を接続することで、他のヘッドチップや先に接続した他の配線基板が支障となってしまうことなく、基板接続面に配線基板を接触させた状態で加圧や加熱し接続することができる。
【0021】
また、本発明のインクジェットヘッドは、上記のヘッドチップユニットと、該ヘッドチップユニットの各前記ヘッドチップの前記基板接続面にそれぞれに接続された複数の前記配線基板とを備えることを特徴としている。
【0022】
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、上記のヘッドチップユニットの製造方法で製造された前記ヘッドチップユニットの各前記ヘッドチップの前記基板接続面に、該基板接続面を最も前記一縁端側に張り出した前記ヘッドチップから順に前記配線基板を接続する配線基板接続工程を備えることを特徴としている。
【0023】
この発明に係るインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法によれば、配線基板接続工程として、上記のインクジェットヘッドの各ヘッドチップの基板接続面に配線基板を接続することで、容易かつ確実に配線基板を接続することができる。また、上記のヘッドチップユニットを備えることで、小型化を図るとともに、複数列のチャネルからインクを吐出させて効率良く印刷することができる。
【0024】
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記のインクジェットヘッドを備えることを特徴としている。
この発明に係るインクジェットプリンタによれば、上記のインクジェットヘッドを備えることで、小型化を図るとともに、媒体を効率良く印刷することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のヘッドチップユニットによれば、複数のヘッドチップが基板接続面を張り出して段状に積層されていることで、複数列のチャネルを有して小型で効率良く印刷可能であるとともに、配線基板を容易かつ確実に接続することが可能である。
また、本発明のヘッドチップユニットの製造方法によれば、積層工程を備えることで、複数列のチャネルを有して小型で効率良く印刷可能なヘッドチップユニットを製造可能であるとともに、配線基板を容易かつ確実に接続することが可能である。
また、本発明のインクジェットヘッドによれば、上記のヘッドチップユニットを備えることで、配線基板を確実に接続された状態とするとともに、小型で効率良く印刷可能である。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記の方法によって製造されたヘッドチップに配線基板を接続することで、容易かつ確実に配線基板を接続可能であるとともに、小型で効率よく印刷可能なインクジェットヘッドを製造可能である。
また、本発明のインクジェットプリンタによれば、上記のインクジェットヘッドを備えることで、小型で効率良く印刷することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1の実施形態)
図1から図10は、この発明に係る実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、紙などの媒体Mを搬送方向Xに搬送する一対の搬送手段2、3と、インクを媒体Mに吐出するインクジェットヘッド10と、インクジェットヘッド10にインクを供給するインクタンク4と、インクジェットヘッド10を搬送方向Xと略直交する幅方向Yに走査する走査手段5とを備える。一対の搬送手段2、3のそれぞれは、グリッドローラ2a、3aと、ピンチローラ2b、3bとで構成されていて、図示しない駆動モータでグリッドローラ2a、3aを回転させることで、ピンチローラ2b、3bとで挟み込んだ媒体Mを搬送方向Xに搬送することができる。また、走査手段5は、幅方向Yに配設された一対のガイドレール5a、5bと、ガイドレール5a、5b上で幅方向Yに摺動可能で、インクジェットヘッド10が搭載されたキャリッジ6とを備える。また、一対のガイドレール5a、5bの間には、キャリッジ6が固定されたタイミングベルト7が幅方向Yに配設されていて、両端部において一対のプーリ8a、8bに巻回されている。プーリ8aには、キャリッジ駆動モータ9が連結されていて、キャリッジ駆動モータ9を駆動してプーリ8aを回転させることで、タイミングベルト7を幅方向Yに走行させ、これによりキャリッジ6を幅方向Yに進退させることができる。
【0027】
本実施形態では、キャリッジ6には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクを吐出可能に、四基のインクジェットヘッド10が搭載されている。また、インクタンク4も同様に四種類搭載されていて、キャリッジ6の移動に応じて追従可能に可撓性を有する配管4aよってそれぞれ対応するインクジェットヘッド10と接続されている。なお、本実施形態において、各インクタンク4に充填されているインクは、水性であるものとして説明している。
【0028】
図2に示すように、各インクジェットヘッド10は、周囲を覆う外筐11と、外筐11に収容されたヘッドチップユニット20、IC基板12、及び、フレキシブルプリント基板(以下、FPCと称す)13とを備える。ヘッドチップユニット20は、インクタンク4と配管4aで接続されているとともに、吐出面20aを外筐11から露出させている。また、IC基板12は、外部と電気的に接続可能に、その一部を外筐11から露出させていて、キャリッジ6に搭載された状態で図示しない制御部と接続されている。また、FPC13は、配線基板として、ヘッドチップユニット20と、IC基板12とを電気的に接続している。本実施形態では、後述するヘッドチップ21の層数と対応させて四枚のFPC13が接続されている。そして、IC基板12からFPC13を経由して入力される電気信号に基づいて、ヘッドチップユニット20は、インクタンク4から供給されるインクを吐出面20aから吐出させることが可能である。以下に、ヘッドチップユニット20の詳細について説明する。
【0029】
図2に示すように、ヘッドチップユニット20は、複数積層されたヘッドチップ21(21A、21B、21C、21D)と、ヘッドチップ21と配管4aとを接続するヘッドカバー22と、吐出面20aを形成しノズル孔23aを有するノズルプレート23とを備える。図3から図5に示すように、ヘッドチップ21は、一縁端21a側が段状となるとともに、他縁端21b側がノズルプレート23を接合可能に一致させるようにして四層積層されている。各ヘッドチップ21は、アクチュエータ基板25の一面25a上にカバープレート基板26が積層された略板状のヘッドチップ本体27によって構成されている。アクチュエータ基板25は、圧電セラミックスなどで形成された略板状の部材で、一縁端21a側において一面25aにFPC13が接続される基板接続面28が設けられている。また、アクチュエータ基板25において、基板接続面28よりも他縁端21b側には、一面25aに開口する溝状に形成された複数のチャネル29が設けられている。チャネル29は、一縁端21aから他縁端21bに向かう供給方向Pに延びるように形成されていて、他縁端21bで開口部29aを有して開口しているとともに、供給方向Pと略直交する配列方向Qに側壁30を間に有して複数配列している。また、各チャネル29の壁面29bには、基板接続面28まで延びる電極31が設けられている。電極31は、コモン電極31aと駆動電極31bとで構成されている。コモン電極31aは、後述するようにチャンネル29の内、一つおきに設定されるコモン溝29cと対応してそれぞれ形成されている。すなわち、各コモン溝29cの基端側で基板接続面28上に略I形に形成されているとともに、分岐して対応する各コモン溝29cの両壁面29bに形成されている。また、駆動電極31bは、コモン溝29cの間に形成されるアクティブ溝29dと対応してそれぞれ形成されている。すなわち、基板接続面28において、各コモン電極31aを跨いで両側に隣接するアクティブ溝29dへ延びるように、略コの字形に形成されている。そして、アクティブ溝29dへ延びる駆動電極31bは、対応するコモン溝29cと隣接する側の壁面29bまで連続して形成されている。
【0030】
また、カバープレート基板26は、略板状の部材で、セラミックや金属で形成されているが、アクチュエータ基板25と接合した後の変形を考慮すれば熱膨張率が略等しくなるセラミックスで形成されていることがより好ましい。カバープレート基板26は、他縁端21b側をアクチュエータ基板25と略等しい位置となるように、また、一縁端21a側に、アクチュエータ基板25に設けられた基板接続面28を張り出させるようにして、アクチュエータ基板25の一面25aに積層されている。また、カバープレート基板26には、アクチュエータ基板25のチャネル29の一縁端21a側と対応する位置で配列方向Qに形成され、一面26aに開口するインク室32が設けられている。インク室32には、対応するチャネル29と一つおきに連通する複数の貫通孔32aが形成されている。このため、アクチュエータ基板25のチャネル29は、一つおきに、インク室32からインクを供給可能なコモン溝29cとなるとともに、コモン溝29cのそれぞれの間はインクが供給されず体積変化のみを起こすアクティブ溝29dとなっている。なお、複数のヘッドチップ21において、チャネル29の断面形状及び長さは略等しく設定されていて、また、対応するインク室32はヘッドチップ21が積層される積層方向Rに略等しい位置で形成されている。
【0031】
そして、複数のヘッドチップ21の内、隣り合って積層されるもの同士において、一方側R1のヘッドチップ21のアクチュエータ基板25の一縁端の位置に対して、他方側R2のヘッドチップ21のカバープレート基板26の一縁端の位置が略等しくなるようにして、互いに接合されている。このため、複数のヘッドチップ21は、それぞれアクチュエータ基板25に設けられた基板接続面28を、積層方向Rの一方側R1に向けて一縁端21a側に張り出させて段状になるようにして積層されている。また、これにより他縁端21b側では、複数のチャネル29が積層方向Rに四列に配列することとなる。なお、ノズルプレート23のノズル孔23aは、チャネル29の内、コモン溝29cと対応して積層方向Rに四列に形成されている。また、積層された各ヘッドチップ21には、インク室32のチャネル29と積層方向Rに干渉しない両端部32b、32cにおいて、互いを連通させるインク供給孔34が積層方向Rに貫通して形成されている。このため、最も一方側R1のヘッドチップ21Aに接続されたヘッドカバー22から供給されるインクは、ヘッドチップ21Aのインク室32に供給され、さらに、インク供給孔34を通って、他のヘッドチップ21B、21C、21Dの各インク室32に供給される。そして、各インク室32に供給されたインクは、チャネル29の内、インク室32と連通するコモン溝29cに供給されることとなる。このため、基板接続面28に接続されたFPC13によって、図6に示すような配線で、コモン電極31aを接地させるとともに、各駆動電極31bに独立して所定パターンで電圧を印加させることでチャネル29の内部を連続して体積変化させることができ、これによりコモン溝29cの内部のインクを、開口部29aからノズルプレート23のノズル孔23aを介して外方に吐出させることができる。この際、各ヘッドチップ21のチャネル29の断面形状及び長さを略等しいものとしていることで、四列のチャンネル29から同じ吐出性能でインクを吐出させることができる。
【0032】
次に、ヘッドチップユニット20及びヘッドチップユニット20を備えたインクジェットヘッド10の製造方法について、図7から図10に基づいて説明する。まず、ヘッドチップ形成工程として、各ヘッドチップ21を構成するヘッドチップ本体27に加工を行い、基板接続面28、チャネル29、電極31、及び、インク室32を形成する。すなわち、アクチュエータ基板形成工程として、ヘッドチップ本体27の内、アクチュエータ基板25に、ダイシング加工などによってチャネル29を形成する。そして、アクチュエータ基板25の一面25aにおいて基板接続面28となる範囲からチャネル29の壁面29bまで、蒸着などの方法により所定のパターンで電極31となる金属膜を形成する。また、カバープレート基板形成工程として、カバープレート基板26にも同様に、ダイシング加工などによってインク室32を形成する。なお、上記のように、各層のヘッドチップ21のチャネル29の断面形状及び長さ、並びに、他縁端を基準とするインク室32の位置を、略等しくなるようにして形成するものとする。
【0033】
次に、積層工程として、図7に示すように、各ヘッドチップ21となるアクチュエータ基板25と、カバープレート基板26とを積層していく。まず、最も一縁端21a側に張り出すヘッドチップ21Dを構成するアクチュエータ基板25とカバープレート基板26とを接合させる。この際、互いの他縁端21b側を略等しい位置に合わせて接合させ、これにより一縁端21a側には基板接続面28が張り出した状態となる。次に、隣り合うヘッドチップ21Cのアクチュエータ基板25を、ヘッドチップ21Dのカバープレート基板26の一面26aに接合させる。この際、互いの他縁端21b側を略等しい位置に合わせて接合させることで、一縁端21a側も互いに略等しい位置となって接合される。そして、次にヘッドチップ21Cのカバープレート基板26を、アクチュエータ基板25の一面25a上に接合させる。そして、これを繰り返すことによって、四つのヘッドチップ21A,21B、21C、21Dが、一縁端21a側に各基板接続面28を張り出させて段状に、また、他縁端21bの位置を略等しいものとして、積層されることとなる。この際、ヘッドチップ形成工程で、各ヘッドチップ21においてインク室32の位置を略等しくしているので、各インク室32は積層方向Rに配列した状態となる。
【0034】
次に、図8に示すように、ノズルプレート貼付面処理工程として、ノズルプレート23が貼り付けられるヘッドチップ21の他縁端21b側を切断し、平面を形成する。さらに、インク供給孔形成工程として、インク供給孔34を形成する。すなわち、一方側R1のヘッドチップ21Aのインク室32の所定の位置から最も他方側R2に位置するヘッドチップ21Dのインク室32に到達するまで貫通孔を穿孔していく。これにより各ヘッドチップ21のインク室32が連通した状態となる。次に、図9に示すように、ノズルプレート貼付工程として、ノズルプレート23をインクヘッド21の他縁端21b側に貼り付ける。なお、ヘッドカバー22については省略しているが、同様に取り付けるものとし、これによりヘッドチップユニット20が作製される。
【0035】
次に、作製されたヘッドチップユニット20を用いてインクジェットヘッド10を作製する。まず、配線基板接続工程として、ヘッドチップユニット20にFPC13を接続する。より詳しくは、ヘッドチップユニット20を構成するヘッドチップ21の内、最も一縁端21a側に張り出したヘッドチップ21Dから一方側R1に向かって順に、基板接続面28にFPC13を接続していく。すなわち、基板接続面28に、異方性導電膜35を貼り付けし、その上からFPC13の接続部を接触させる。この状態で、一方側R1からヒートチップ40を当接させて、約280℃で加熱しながら、加圧していく。これにより、FPC13は、基板接続面28で電極31と電気的に接続された状態となる。ここで、上記のようにヘッドチップ21は、一縁端21a側に基板接続面28を張り出させて段状に積層されている。このため、最も一縁端21a側に基板接続面28を張り出しているヘッドチップ21Dから順に基板接続面28にFPC13を接続することで、他のヘッドチップ21や先に接続した他のFPC13が支障となってしまうことなく、ヒートチップ40による加圧、加熱を行うことができ、容易かつ確実にFPC13を接続することができる。また、各ヘッドチップ21のアクチュエータ基板25の一縁端に対して隣り合うヘッドチップ21のカバープレート基板26の一縁端を略等しい位置として積層されていることで、加圧の際にヒートチップ40によって作用する力を積層されているヘッドチップ21で確実に支持した状態とすることができ、より確実にFPC13を接続することができる。最後に、ヘッドチップユニット20及びIC基板12を外筐11の内部に収容し、ヘッドチップユニット20に接続されている各FPC13とIC基板12とを接続することで、インクジェットヘッド10が完成する。
【0036】
以上のように、本実施形態のヘッドチップユニット20では、複数のヘッドチップ21が基板接続面28を張り出して段状に積層されていることで、複数列のチャネル29を有して小型で効率良く印刷可能であるとともに、FPC13を容易かつ確実に接続することが可能である。また、インクジェットヘッド10、及び、インクジェットヘッド10を搭載したインクジェットプリンタ1では、このようなヘッドチップユニット20を備えることで、FPC13が確実に接続された状態にするとともに、小型で効率良く印刷することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、積層工程において、各ヘッドチップ21を構成するアクチュエータ基板25とカバープレート基板26とを交互に積層するようにしたが、これに限るものでは無い。ヘッドチップ21毎に、アクチュエータ基板25とカバープレート基板26とを接合させた後に、ヘッドチップ21単位で積層するものとしても良い。また、インク供給孔形成工程は、積層工程後に行うものとしたが、ヘッドチップ形成工程において、各ヘッドチップ21のそれぞれにインク供給孔となる貫通孔を形成した後に、これらが連通するようにヘッドチップ21を積層するものとしても良い。また、インク供給孔34は、インク室32の両端部32b、32cに形成されるものとしたが、これに限るものでは無く一箇所のみとしても各インク室32にインクを供給可能である。また、ヘッドチップ本体27をアクチュエータ基板25とカバープレート基板26とで構成し、一方のヘッドチップ21のアクチュエータ基板25と他方のヘッドチップ21のカバープレート基板26とが、一縁端の位置を略等しくして接合されるものとしたが、これに限るものでは無い。他方のヘッドチップ21のカバープレート基板26を一縁端側に張り出すものとしても、FPC13を基板接続面28に接続する際に作用する力を確実に支持した状態にできる。
【0038】
また、配線基板接続工程において、FPC13は、各ヘッドチップ21の基板接続面28に異方性導電膜35によって接続されるものとしたが、これに限るものでは無く、例えばワイヤボンディングによるものとしても良い。この場合でも、他のヘッドチップ21やFPC13が支障となってしまうことなく、ボンディング用キャピラリーを使用して基板接続面28上に、容易かつ確実にワイヤボンディングすることができる。また、本実施形態では、水性のインクを使用するものとしているが、これに限るもので無く、油性インク、ソルベルト系インク、あるいは、UV系インクなどを使用するものとしても良い。
【0039】
また、本実施形態では、チャネル29について、一つおきにインクを吐出可能なコモン溝29cとし、その間を、インクを吐出しないアクティブ溝29dとしたが、これに限るものでは無い。すなわち、図11及び図12に示すように、各ヘッドチップ21のカバープレート基板26において、貫通孔32aを設けず、インク室32全体を貫通させて、全てのチャネル29と連通させるものとしても良い。なお、この場合、全てのチャネル29からインクを吐出可能となるので、全てのチャネル29と対応させてノズルプレート23にノズル孔23aを形成することとなる。
【0040】
(第2の実施形態)
図13は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
図13に示すように、この実施形態のヘッドチップユニット50は、複数積層されたヘッドチップ51(51A、51B、51C、51D)を備える。ここで、最も一方側R1に位置するヘッドチップ51Aを構成するヘッドチップ本体52は、アクチュエータ基板56と、カバープレート基板26とを備えている。一方、中間に積層されているヘッドチップ51B、51Cは、ヘッドチップ本体53として、アクチュエータ基板56のみを備えている。また、最も他方側R2に位置するヘッドチップ51Dは、ヘッドチップ本体54として、アクチュエータ基板57のみを備えている。ヘッドチップ51A、51B、51C、51Dの各アクチュエータ基板56、57には、一面56a、57aに基板接続面28及びチャネル29が形成されていて、基板接続面28を一縁端51a側に張り出して段状となるようにして積層されている。さらに、ヘッドチップ51A、51B、51Cのアクチュエータ基板56には、一面56aと反対側の他面56bにおいてインク室58が形成されている。インク室58は、他面56b側に接合される他のヘッドチップ51のチャネル29と連通する位置で形成されている。すなわち、ヘッドチップ形成工程で、アクチュエータ基板56の一面56aにチャネル29を、他面56bにインク室58を形成した後に、積層工程でヘッドチップ51を積層することで、チャネル29は、最も一方側R1に位置するヘッドチップ51Aを除いて、一方側R1に隣り合う他のヘッドチップ51のインク室58と連通することとなり、インクを供給することが可能となる。このようなヘッドチップユニット50では、一つのヘッドチップ51Aを除いてカバープレート基板26を省略することができるので、複数列のチャネルからインクを吐出可能としつつ、積層方向Rに小型化をさらに図ることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
図14は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
図14に示すように、この実施形態のヘッドチップユニット60は、複数積層されたヘッドチップ61(61A、61B、61C、61D、61E、61F、61G、61H)を備える。各ヘッドチップ61は、基板接続面28及びチャネル29を有するアクチュエータ基板25にインク室32を有するカバープレート基板26が積層されたヘッドチップ本体27によって構成されている。そして、これらのヘッドチップ61は、中央に位置するヘッドチップ61Dから一方側R1に向かって順にヘッドチップ61Aまで、それぞれ基板接続面28を一方側R1に向けて一縁端側61aに張り出させて段状になるように積層されている。さらに、ヘッドチップ61Dと隣り合うヘッドチップ61Eから他方側R2に向かって順にヘッドチップ61Hまで、それぞれ基板接続面28を他方側R2に向けて一縁端側61aに張り出させて段状になるように積層されている。このようなヘッドチップユニット60でも、配線基板接続工程における基板接続面28へのFPC13の接続を、ヘッドチップ61Dから一方側R1に向かって順に行うことで、ヘッドチップ61Aまで他のヘッドチップ61や先に接続した他のFPC13が支障となってしまうことなく接続することができる。さらに、反転させてヘッドチップ61Eから他方側R2に向かって順に行うことで、ヘッドチップ61Hまで同様にFPC13を接続することができる。また、このようなヘッドチップユニット60では、両側R1、R2に向かって基板接続面28を一縁端61a側に張り出させて段状に積層することで、偏って段状に積層するのに比べて一縁端61aから他縁端61bまでの供給方向Pの長さについて小型化を図ることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施形態のインクジェットプリンタの概要を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの概要を示す側面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットを示す分解斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットを示す上面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットを示す断面図である。
【図6】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、電極配線についての概略図である。
【図7】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、積層工程の説明図である。
【図8】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、ノズルプレート貼付面処理工程の説明図である。
【図9】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、ノズルプレート貼付工程の説明図である。
【図10】この発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの製造工程において、配線基板接続工程の説明図である。
【図11】この発明の第1の実施形態の変形例のヘッドチップユニットを示す上面図である。
【図12】この発明の第1の実施形態の変形例のヘッドチップユニットの一部を拡大した断面図である。
【図13】この発明の第2の実施形態のヘッドチップユニットを示す断面図である。
【図14】この発明の第3の実施形態のヘッドチップユニットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 インクジェットプリンタ
10 インクジェットヘッド
13 FPC(配線基板)
20、50、60 ヘッドチップユニット
21、21A、21B、21C、21D、51、51A、51B、51C、51D、61、61A、61B、61C、61D、61E、61F、61G、61H ヘッドチップ
21a、51a、61a 一縁端
21b、61b 他縁端
25、56、67 アクチュエータ基板
25a 一面
26 カバープレート基板
26a 一面
27、52、53、54 ヘッドチップ本体
28 基板接続面
29 チャネル
29b 壁面
32、58 インク室
R 積層方向
R1 一方側
R2 他方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略板状で、一縁端側に設けられて配線基板が接続される基板接続面と、該基板接続面よりも前記一縁端と反対側の他縁端側に設けられてインクが供給されるインク室と、該インク室から前記他縁端側に向かって形成されて該他縁端に開口するチャネルと、該チャネルの壁面から前記基板接続面まで延設された電極とを有するヘッドチップを複数備え、
複数の該ヘッドチップは、隣り合う他の前記ヘッドチップの前記基板接続面を前記一縁端側に張り出させて段状になるようにして積層されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドチップユニットにおいて、
各前記ヘッドチップの前記チャネルの断面形状及び長さは、略等しく設定されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のヘッドチップユニットにおいて、
各前記ヘッドチップは、略板状で、一面に開口して前記他縁端まで溝状に形成された前記チャネル、及び、前記一面の前記一縁端側に設けられた前記基板接続面を有するアクチュエータ基板と、前記基板接続面を張り出させて前記アクチュエータ基板の前記一面上に積層され、前記インク室を有するカバープレート基板とを備え、
各前記ヘッドチップは、前記アクチュエータ基板の一縁端に対して、隣り合う他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板の一縁端が張り出すか、若しくは、略等しい位置となるようにして、他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板上に積層されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のヘッドチップユニットにおいて、
各前記ヘッドチップの前記チャネルは、一面に開口して前記他縁端まで溝状に形成され、
各前記ヘッドチップの前記インク室は、前記一面側に積層される他の前記ヘッドチップの前記一面と反対側の他面に溝状に形成されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のヘッドチップユニットにおいて、
複数の前記ヘッドチップは、一の該ヘッドチップから一方側に向かって、それぞれ前記基板接続面を前記一方側に向けて前記一縁端側に張り出させて、段状になるように積層されるとともに、一の前記ヘッドチップから前記一方側と反対側の他方側に向かって、それぞれ前記基板接続面を前記他方側に向けて前記一縁端側に張り出させて、段状になるように積層されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項6】
略板状のヘッドチップ本体の一縁端側に配線基板を接続する基板接続面を、該基板接続面よりも前記一縁端側と反対側の他縁端側にインクが供給されるインク室を、また、該インク室から前記他縁端側に向かって延びて該他縁端に開口するチャネルを、それぞれ前記ヘッドチップ本体に形成するとともに、該チャネルの壁面から前記基板接続面まで電極を延設してヘッドチップを複数作製するヘッドチップ形成工程と、
該ヘッドチップ形成工程で作製された複数の前記ヘッドチップを、他の該ヘッドチップの前記基板接続面を前記一縁端側に張り出して段状になるようにして積層する積層工程とを備えることを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のヘッドチップユニットの製造方法において、
前記ヘッドチップ形成工程は、各前記ヘッドチップの前記チャネルの断面形状及び長さが略等しくなるように、前記ヘッドチップ本体に前記チャネルを形成することを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のヘッドチップユニットの製造方法において、
前記ヘッドチップ本体は、略板状のアクチュエータ基板と、該アクチュエータ基板の一面に積層される略板状のカバープレート基板とを備え、
前記ヘッドチップ形成工程は、前記アクチュエータ基板の前記一面に、該一面に開口して前記他縁端側に向かって延びる溝状に前記チャネルを形成するとともに、該チャネルの壁面から前記一面の前記一縁端側に設けられる前記基板接続面まで電極を延設するアクチュエータ基板形成工程と、前記カバープレート基板に前記インク室を形成するカバープレート基板形成工程とを有し、
前記積層工程は、各前記ヘッドチップについて前記アクチュエータ基板の前記一面に、前記基板接続面を張り出させて前記カバープレート基板を積層するとともに、前記ヘッドチップの前記アクチュエータ基板を、該アクチュエータ基板の一縁端に対して、隣り合う他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板の一縁端が張り出すか、若しくは、略等しい位置となるように、他の前記ヘッドチップの前記カバープレート基板上に積層することを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載のヘッドチップユニットの製造方法において、
前記ヘッドチップ形成工程は、前記ヘッドチップ本体の一面に、該一面に開口して前記他縁端側に向かって延びる溝状に前記チャネルを形成するとともに、前記一面と反対側の他面に溝状に前記インク室を形成することを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載のヘッドチップユニットの製造方法において、
前記積層工程は、複数の前記ヘッドチップを、一の該ヘッドチップから一方側に向かって、前記基板接続面を前記一方側に向けて前記一縁端側に張り出させて段状になるようにして順次積層し、さらに、一の前記ヘッドチップから前記一方側と反対側の他方側に向かって、前記基板接続面を前記他方側に向けて前記一縁端側に張り出させて段状になるようにして順次積層することを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のヘッドチップユニットと、
該ヘッドチップユニットの各前記ヘッドチップの前記基板接続面にそれぞれに接続された複数の前記配線基板とを備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項12】
請求項6から請求項10のいずれかに記載のヘッドチップユニットの製造方法で製造された前記ヘッドチップユニットの各前記ヘッドチップの前記基板接続面に、該基板接続面を最も前記一縁端側に張り出した前記ヘッドチップから順に前記配線基板を接続する配線基板接続工程を備えることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載のインクジェットヘッドを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−207350(P2008−207350A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43647(P2007−43647)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】