説明

ヘッドレスト成形用中子

【課題】本発明は、トリムカバーに設けられた開口部の壁部の湾曲部分に皺を寄り難くして、開口部の外観品質を向上させるようにしたヘッドレスト成形用中子を提供する。
【解決手段】ヘッドレスト成形用中子30は、トリムカバー2の開口成形部12A内で、前記開口形成部Aの湾曲部21a,22aに向けて移動可能であると共に、湾曲状の押圧面31a,32aが形成された第1及び第2の駒型部31,32と、前記駒型部31,32を前記開口成形部の湾曲部21a,22aに押圧した状態で保持する保持機構Hと、を備え、この保持機構Hは、前記第1の駒型部31側に立設された係止ピン34aと、前記係止ピン34aに摺接するカム面36bと、前記係止ピン34aに嵌合する係止凹部36aとが設けられ、前記第2の駒型部32側で回転支持される回転カム36と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方視認可能な開口部が設けられたヘッドレストを成形するための中子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
後方視認可能な開口部が設けられたヘッドレストとして、特開平10−146848号公報がある。この公報に記載されたヘッドレストには、後方視認可能な開口部(開窓部)が形成され、この開口部の壁面をなすトリムカバーの開口形成部は、トリムカバーの前部の一部として帯状に形成された第1の開口形成半部と、トリムカバーの後部の一部として帯状に形成された第2の開口形成半部とで2分割されている。そして、ヘッドレストの開口部の壁面では、第1の開口形成半部の端部と第2の開口形成半部の端部とが突き合わされてはいるが、端部間に隙間ができるので、ゴム性のベルトでこの隙間を塞ぎ、この隙間から発泡液が漏れ出すことを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−146848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トリムカバーの開口形成部の壁面を成形時に押圧するために、開口部より僅かに大きな形状をした中子を、トリムカバーの外から開口部内に押し込むようにすると、前述した従来のヘッドレストの開口部の壁面は、湾曲部を有しているので、トリムカバーの開口成形部の湾曲部に皺が寄り易く、その結果、ヘッドレストの開口部の外観品質を劣化させる虞があるといった問題点があった。
【0005】
本発明は、トリムカバーに設けられた開口部の壁部の湾曲部分に皺を寄り難くして、開口部の外観品質を向上させるようにしたヘッドレスト成形用中子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一体発泡成形時に、袋状のトリムカバーに設けられた後方視認可能な開口部内に装填されるヘッドレスト成形用中子において、
前記開口部の壁面をなす前記トリムカバーの開口成形部内で、前記開口形成部の湾曲部に向けて移動可能であると共に、湾曲状の押圧面が形成された駒型部と、
前記駒型部を前記開口成形部の前記湾曲部に押圧した状態で保持する保持機構と、を備えた
ことを特徴とする。
【0007】
このヘッドレスト成形用中子では、トリムカバーの開口形成部内にトリムカバーの外から開口部内に押し込むようにするのではなく、駒形部が、トリムカバーの開口成形部内で、開口形成部の湾曲部に向けて移動可能であるから、トリムカバーの開口成形部の湾曲部に駒型部の押圧面を確実に押し当てることができるので、湾曲部に皺が寄り難く、ヘッドレストの開口部の外観品質を向上させることができる。しかも、駒型部が移動する前の中子は、開口部内に装填し易いので、駒型部で開口形成部の湾曲部を無理に圧迫せずして、開口部内に中子をスムーズに入れることができる。従って、開口形成部の湾曲部の皺寄りを気にすることなく、開口部内に中子を装填する作業を行うことができるので、作業性をも向上させることができるといった優れた効果を有する。
【0008】
また、前記駒型部は、対向して配置された第1の駒型部と第2の駒型部とを有し、
前記保持機構は、前記第1の駒型部側に立設された係止ピンと、前記係止ピンに摺接するカム面と、前記係止ピンに嵌合する係止凹部とが設けられ、前記第2の駒型部側で回転支持される回転カムと、を備えると好適である。
この保持機構の回転カムを回転させると、カム面に沿って係止ピンがスムーズに押されるので、第1の駒型部に対して第2の駒型部が離れる方向にスムーズに移動し、これによって第1の駒型部の押圧面及び第2の駒型部の押圧面が開口形成部の湾曲部に押し当てられる。そして、回転カムの係止凹部内に係止ピンが入り込んで中子がロックされると、第1の駒型部に第2の駒型部が近づく方向の移動が規制されるので、トリムカバー内に発泡液を注入しても、発泡液の圧力によって開口形成部の湾曲部が変形することがない。このような構成の保持機構は、操作や構造が簡単で作業性の向上に寄与している。
【0009】
また、前記第1の駒型部に固定された第1の支持部に立設されると共に、前記回転カムの回転軸をなす軸部と、前記第2の駒型部に固定された第2の支持部に立設された前記係止ピンとを引張りバネで連結すると好適である。
このような構成は、係止ピン及び軸部を利用して引張りバネを取り付けているので構造が簡素化され、しかも、回転カムを回転させて係止ピンから係止凹部が外すだけで、引張りバネの付勢力により第1の駒型部に対し第2の駒型部を、作業者の手を煩わすことなく常に近づけておくことができる。従って、駒型部で開口形成部の湾曲部を無理に圧迫せずして、開口部内に中子をスムーズに入れることができる。更には、一体発泡成形後、回転カムを回転させるだけで中子のロックを解除でき、ヘッドレストの開口部から中子をスムーズに取り外すこともできる。
【0010】
また、前記の開口形成部は、前記トリムカバーの前部の一部として帯状に形成された第1の開口形成半部と、前記トリムカバーの後部の一部として帯状に形成された第2の開口形成半部とで2分割され、重ね合わされる前記第1の開口形成半部の湾曲部と前記第2の開口形成半部の湾曲部との少なくとも一方には、湾曲形状の保形板が逢着され、前記第1の開口形成半部と前記第2の開口形成半部と前記保形板とを重ね合わせて前記開口部の前記壁部が形成されていると好適である。
このような構成のヘッドレストにおいては、第1の開口形成半部と第2の開口形成半部とが重ね合わされているので、第1の開口形成半部の端部と第2の開口形成半部の端部との間に隙間が発生することがなく、開口部の外観品質を向上させることができる。しかしながら、第1の開口形成半部と第2の開口形成半部とを単に重ね合わせて一体発泡成形しただけでは、開口部の壁部の湾曲部分に皺が寄り易い。そこで、本発明では、第1の開口形成半部の湾曲部と第2の開口形成半部の湾曲部との少なくとも一方に湾曲形状の保形板を逢着しておき、開口部の壁部の湾曲部分を予め所望の湾曲形状にしておくことで、一体発泡成形時に開口部の壁部の湾曲部分に皺が寄り難く、これによって、開口部の外観品質を更に向上させることができる。しかも、第1の開口形成半部の端部と第2の開口形成半部の端部との隙間のバラツキを気にすることなく型入れ作業を行うことができるので、作業性をも向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トリムカバーに設けられた開口部の壁部の湾曲部分に皺を寄り難くして、開口部の外観品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ヘッドレストの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたヘッドレストの断面図である。
【図3】開口部の湾曲部分の位置でヘッドレストを切断して示す要部拡大断面図である。
【図4】開口部の直線部分の位置でヘッドレストを切断して示す要部拡大断面図である。
【図5】開口部の直線部分に沿ってヘッドレストを切断して示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明に係るヘッドレスト成形用中子の一実施形態を示す平面図である。
【図7】開口成形部内に中子を入れた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るヘッドレスト成形用中子の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、一体発泡成形品としてのヘッドレストHRは、袋状のトリムカバー2と、このトリムカバー2内に注入された発泡液(例えば発泡性ウレタン)が硬化してなるパッド体3と、パッド体3内のヘッドレストフレーム4に固定されたヘッドレストステー5とからなる。
【0015】
このトリムカバー2は、通気性がない合成皮からなる表皮と、表皮の裏面に固着されて、スラブウレタンフォーム材からなるワディングからなり、2層タイプのものが利用されている。
【0016】
このヘッドレストHRは、格納状態すなわち最下位置の状態でシートバックSBの頂部6に当接する略水平で偏平な上部10と、格納状態でシートバックSBの前面7に重なるように、前面7の傾斜と略同じ傾斜をもって上部10から斜め下方に向かって延在する偏平な前側垂下部11とを有している。
【0017】
このような断面略逆L字状のヘッドレストHRでは、格納状態で、略水平なシートバックSBの頂部6に偏平な上部10が密着する。これによって、ヘッドレストHRの格納状態でシートバックSBの頂部6から上部10が突出する量を少なくできるので、運転者の後方視界の邪魔になり難く、しかも、シートバックSBの前倒状態において、シートクッションの先端からヘッドレストHRの上部10が大きく飛び出さないようにでき、ヘッドレストHRが邪魔になり難い。
【0018】
また、断面略逆L字状のヘッドレストHRでは、傾斜したシートバックSBの前面7に偏平な前側垂下部11が密着する。これにより、ヘッドレストHRの格納状態にあっては、シートバックSBの前面7から前側垂下部11が突出する量を少なくできるので、シートバックSBの前倒状態において、シートバックSBを略フラットな状態にし易い。
【0019】
さらに、前側垂下部11には、後方視認可能で且つ上下で並設された略同一形状の開口部12が2個設けられている。そして、各開口部12は、横長形状をなし、上下で対向する直線的で且つ平行なフラット面12a,12bと、左右対称な湾曲面12c,12dとからなる。このように、開口部12が横長で且つ上下で並設されることで、運転者の後方視界の確保がより良好なものになる。なお、上方の開口部12と下方の開口部12との間の変形を防止するために、この部分に、ヘッドレストフレーム4の横ビーム4aが配置されている。
【0020】
そして、この開口部12の壁部は、トリムカバー2の一部をなす開口形成部12Aによって形成され、この開口形成部12Aは、トリムカバー2の前部2aの一部として無端帯状に形成された第1の開口形成半部21と、トリムカバー2の後部2bの一部として無端帯状に形成された第2の開口形成半部22とで2分割されている。
【0021】
そして、二点鎖線で示されるように、外側に露出している第1の開口形成半部21及び第2の開口形成半部22を内側に折り返すようにして、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22とは、開口部12内で重ね合わされている。
【0022】
なお、第1の開口形成半部21の端部は、開口部12内に露出するので、折り返して縫合され、第2の開口形成半部22の端部は、開口部12内に露出しないので、折り返されていない。
【0023】
図3及び図5に示すように、第1及び第2の開口形成半部21,22のうちで開口部12の湾曲面12c,12dを作り出す湾曲部21a,22aには、湾曲(半円)形状の保形板23,24が逢着され、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22と保形板23,24とを重ね合わせて開口部12の壁部(開口形成部)12Aが形成されている。
【0024】
そして、湾曲部21a,22aにおいて、第1の開口形成半部21の端部は、開口部12内に露出するので、保形板24を包み込むように折り返して縫合され、第2の開口形成半部22の端部は、開口部12内に露出しないので、折り返されることなく保形板24が逢着されている。ここで利用される保形板23,24は、ポリプロピレンなどの熱変形し難い材質が好ましい。
【0025】
これに対して、図4及び図5に示すように、第1及び第2の開口形成半部21,22のうちで開口部12のフラット面12a,12bを作り出す直線部21b,22bには、直線形状の保形板が逢着されておらず、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22とを重ね合わせて開口部12の壁部(開口形成部)12Aが形成されている。また、この直線部21b,22bにおいて、第1の開口形成半部21の端部は、開口部12内に露出するので、単に折り返して縫合され、第2の開口形成半部22の端部は、開口部12内に露出しないので、折り返されていない。
【0026】
そして、第1の開口形成半部20と第2の開口形成半部21とを重ね合わせた状態で、図6に示すような中子30が開口部12内に装填され、この状態でトリムカバー2を金型内に装填し、発泡液注入口29(図2参照)から発泡液を注入して、ヘッドレストHRを一体発泡成形する。このとき、発泡液の熱により、湾曲部21a,22aにおいて、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22と保形板23,24とが熱融着されて固着され、直線部21b,22bにおいて、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22とが熱融着されて固着される。
【0027】
次に、このような一体発泡成形に利用される中子30について説明する。
【0028】
図6に示すように、中子30は、一対の第1及び第2の駒型部31,32を有し、各駒型部31,32は、開口形成部12Aの湾曲部21a,22aに向けて移動可能である。そして、第1及び第2の駒型部31,32には、開口部12の湾曲部分の形状に合致する湾曲(半円)形状の第1及び第2の押圧面31a,32aが形成され、第1の押圧面31aと第2の押圧面32aとは、鏡面対称関係になっている。
【0029】
第1の駒型部31の端部には、パイプ状の第1の支持部33の一端部が固定され、第2の駒型部32の端部には、パイプ状の第2の支持部34の一端部が固定され、第1の支持部33の他端側から第2の支持部34が挿入され、第1の支持部33と第2の支持部34とは一直線上に配置されている。
【0030】
さらに、中子30には、第1及び第2の駒型部31,32の第1及び第2の押圧面31a,32aを開口形成部12Aの湾曲部21a,22aに押圧した状態で保持するための保持機構Hが設けられている。
【0031】
この保持機構Hは、第1の支持部33の略中央には立設された軸部33aを中心に回転する回転カム36と、第2の支持部34の遊端に立設された係止ピン34aとで構成されている。そして、この係止ピン34aは、第1の支持部33に形成された長穴33bから外部に露出され、軸部33aと係止ピン34aとは、互いに対向して配置されている。
【0032】
更に、回転軸をなす軸部33aには、回転カム36が回転自在に取り付けられ、この回転カム36の頂部には、円弧状の係止凹部36aが形成されている。そして、引張りバネ37の一端が軸部33aに固定され、引張りバネ37の他端が係止ピン34aに固定されているので、係止ピン34aを、回転カム36の回転半径内に常に位置させることができ、回転カム36の回転時に、カム面36bを係止ピン34aに摺接させることができる。
【0033】
このような構成の中子30では、トリムカバー2の開口形成部12A内にトリムカバー2の外から開口部12内に押し込むようにするのではなく、第1及び第2の駒型部31,32が、トリムカバー2の開口成形部12A内で、開口形成部12Aの湾曲部21a,22aに向けて移動可能であるから、トリムカバー2の開口成形部12Aの湾曲部21a,22aに駒型部31,32の押圧面31a,32aを確実に押し当てることができるので、湾曲部21a,22aに皺が寄り難く、ヘッドレスト1の開口部12の外観品質を向上させることができる。
【0034】
しかも、図7(a)に示すように、第1及び第2の駒型部31,32が移動する前の中子30は、回転カム36の係止凹部36a内に係止ピン34aが入り込んでいないロック解除状態なので、引張りバネ37により第1の駒型部31に対し第2の駒型部32が、常時近づいており、第1及び第2の駒型部31,32で開口形成部12Aの湾曲部21a,22aを無理に圧迫せずして、開口部12内に中子30をスムーズに入れることができる。よって、開口形成部12Aの湾曲部21a,22aの皺寄りを気にすることなく、開口部12内に中子30を装填する作業を行うことができるので、作業性を向上させることができるといった優れた効果を有する。
【0035】
また、図7(b)に示すように、前述した保持機構Hの回転カムを回転させると、カム面36bに沿って係止ピン34aがスムーズに押されるので、第1の駒型部31に対して第2の駒型部32が離れる方向にスムーズに移動し、これによって第1の駒型部31の押圧面31a及び第2の駒型部32の押圧面32aが開口形成部12Aの湾曲部21a,22aに押し当てられる。
【0036】
そして、回転カム36の係止凹部36a内に係止ピン34aが入り込んだロック状態では、第1の駒型部31に第2の駒型部32が近づく方向の移動が規制されるので、トリムカバー2内に発泡液を注入しても、発泡液の圧力によって開口形成部12Aの湾曲部21a,22aが変形することがない。このような構成の保持機構Hは、操作や構造が簡単で作業性の向上に寄与している。
【0037】
また、係止ピン34a及び軸部33aを利用して引張りバネ37を取り付けているので構造が簡素化される。しかも、回転カム36を回転させて係止ピン34aから係止凹部36aを外すだけで、引張りバネ37の付勢力により第1の駒型部31に対し第2の駒型部32が、作業者の手を煩わすことなく自動的に近づくので、一体発泡成形後、ヘッドレスト1の開口部12から中子30をスムーズに取り外すことができる。
【0038】
このようなヘッドレストHRにおいては、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22とが重ね合わされているので、第1の開口形成半部21の端部と第2の開口形成半部22の端部との間に隙間が発生することがなく、開口部12の外観品質を向上させることができる。
【0039】
しかしながら、第1の開口形成半部21と第2の開口形成半部22とを単に重ね合わせて一体発泡成形しただけでは、開口部12の壁部の湾曲部分に皺が寄り易い。そこで、第1の開口形成半部21の湾曲部21aと第2の開口形成半部22の湾曲部22aとのいずれにも湾曲形状の保形板23,24を逢着しておき、開口部12の壁部の湾曲部分を予め所望の湾曲形状にしておくことで、一体発泡成形時に開口部12の壁部の湾曲部分に皺が寄り難く、これによって、開口部12の外観品質を更に向上させることができる。
【0040】
しかも、第1の開口形成半部21の端部と第2の開口形成半部22の端部との隙間のバラツキを気にすることなく型入れ作業を行うことができるので、作業性をも向上させることができる。
【0041】
また、保形板23,24を薄くした場合、発泡圧によって保形板23,24が変形する虞があるので、中子30によってその変形を効果的に抑制することができる。
【0042】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、上型を被せると、自動的に第1及び第2の駒型部31,32の第1及び第2の押圧面31a,32aが開口形成部12Aの湾曲部21a,22aに向けて移動するように構成してもよい。
【0043】
また、保形板は、第1及び第2の開口形成半部21,22のうちの少なくともいずれか一方に逢着されていればよい。
【0044】
また、前述した開口部12は、単数又は複数のいずれでも良く、その形状は、楕円、丸など曲線を含む形状であればよい。
【0045】
また、表皮とワディングとワディングの裏面に接着した非通気性フィルム(ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルムなど)とからなる3層タイプのトリムカバーの適用も可能である。
【符号の説明】
【0046】
HR…ヘッドレスト、H…保持機構、2…トリムカバー、2a…トリムカバーの前部、2b…トリムカバーの後部、12…開口部、12A…開口形成部、21…第1の開口形成半部、21a,22a…湾曲部、22…第2の開口形成半部、23,24…保形板、30…中子、31…第1の駒型部、32…第2の駒形部、31a,32a…押圧面、33…第1の支持部、33a…軸部、34…第2の支持部、34a…係止ピン、36…回転カム、36a…係止凹部、36b…カム面、37…引張りバネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体発泡成形時に、袋状のトリムカバーに設けられた後方視認可能な開口部内に装填されるヘッドレスト成形用中子において、
前記開口部の壁面をなす前記トリムカバーの開口成形部内で、前記開口形成部の湾曲部に向けて移動可能であると共に、湾曲状の押圧面が形成された駒型部と、
前記駒型部を前記開口成形部の前記湾曲部に押圧した状態で保持する保持機構と、を備えた
ことを特徴とするヘッドレスト成形用中子。
【請求項2】
前記駒型部は、対向して配置された第1の駒型部と第2の駒型部とを有し、
前記保持機構は、
前記第1の駒型部側に立設された係止ピンと、
前記係止ピンに摺接するカム面と、前記係止ピンに嵌合する係止凹部とが設けられ、前記第2の駒型部側で回転支持される回転カムと、を備えたことを特徴とする請求項1記載のヘッドレスト成形用中子。
【請求項3】
前記第1の駒型部に固定された第1の支持部に立設されると共に、前記回転カムの回転軸をなす軸部と、前記第2の駒型部に固定された第2の支持部に立設された前記係止ピンとを引張りバネで連結したことを特徴とする請求項2記載のヘッドレスト成形用中子。
【請求項4】
前記の開口形成部は、前記トリムカバーの前部の一部として帯状に形成された第1の開口形成半部と、前記トリムカバーの後部の一部として帯状に形成された第2の開口形成半部とで2分割され、
重ね合わされる前記第1の開口形成半部の湾曲部と前記第2の開口形成半部の湾曲部との少なくとも一方には、湾曲形状の保形板が逢着され、前記第1の開口形成半部と前記第2の開口形成半部と前記保形板とを重ね合わせて前記開口部の前記壁部が形成されていることを特徴とする請求項4記載のヘッドレスト成形用中子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−116017(P2011−116017A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275070(P2009−275070)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】