説明

ヘテロアルキル結合ピリミジン誘導体

本発明は、抗増殖剤として有用なピリミジン化合物に関する。より具体的には、本発明は、ヘテロアルキル結合の置換されたピリミジン化合物、それらの調製方法、これらの化合物を含む医薬組成物、及び増殖性疾患の治療でのこれらの化合物の使用に関する。これらの化合物は、腫瘍及び癌をはじめとするいくつかの増殖性疾患と共に、キナーゼと関連する他の病気又は疾患を治療するための薬剤として有用でありうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、抗増殖剤として有用でありうるピリミジン化合物に関する。より具体的には、本発明は、ヘテロアルキル結合の置換されたピリミジン化合物、それらの調製方法、これらの化合物を含む医薬組成物、及び増殖性疾患の治療におけるこれらの化合物の使用に関する。これらの化合物は、腫瘍及び癌をはじめとする多くの増殖性疾患と共に、キナーゼが関連する他の状態又は疾患を治療するための薬剤として有用でありうる。
【0002】
〔発明の背景〕
癌などの増殖性疾患は、体内での細胞の無制御増殖によって特徴付けられる。そのようなものとして、一般的に、増殖性疾患は、腫瘍の形成や最終的に死に至る、細胞増殖及び/又は分裂の制御における異常に関与する。理論によって拘束されることは望まないが、これは、細胞増殖及び分裂を調節する経路が癌細胞で変化することによって生じると考えられる。その変化は、細胞増殖及び分裂の制御に際し、これらの正常な制御機構の作用が損なわれるか、又は無視されるようなものである。
【0003】
制御されていない細胞増殖及び/又は分裂は、結局、患者にとって致死的であることが判明している。細胞の一部での変異の連続的繰り返しによって、その後、通常は、患者体内の正常な健康細胞よりも癌細胞が選択的に優位になり、患者の細胞塊で癌細胞が優勢になるからである。次いで通常は、癌細胞は、転移して、癌細胞起源部分以外の他の身体組織又は部分にコロニーを形成し、最終的に臓器不全を招き患者を死亡させる二次腫瘍に至る。それが、癌細胞の特徴である急速な細胞増殖及び分裂を制御することの難しさであり、有効な化学療法計画を創出することを困難にしている。
【0004】
癌などの増殖性疾患の従来の治療法のいくつかは、それらの高い増殖能、ひいてはDNA損傷に対するそれらの高い感受性を利用することを模索している。利用してきた治療法には、電離放射線(γ線、X線など)と共に、細胞毒性薬、例えば、ブレオマイシン、シス−プラチン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、5’−フルオロウラシル、及びメトトレキサートが挙げられる。これらの治療は全て、DNAに損傷を与え、染色体構造を不安定にし、最終的に癌細胞を死滅させることに依存している。
【0005】
これら手法の多くに伴う問題は、それらが癌細胞選択的ではなく、健康細胞が治療によって悪影響を受ける可能性があること、またしばしば悪影響を受けることである。これらの戦略が標的とする細胞機構は、(通常遅い速度であるが)癌細胞と同様に健康細胞でも生じることを考慮すれば、これはほとんど驚くにあたらず、そしてこれは、健康細胞に回復不能な害を与えることなく、患者において癌治療を首尾よく達成する難しさを強調するのに単に役立つだけである。これら治療の多くに伴うように、万一患者が癌の攻撃に生き残ったとしても、患者の短期的な生活の質を顕著に低下させうるだけでなく、患者の健康状態に長期的な害を与えかねないような甚大な副作用がありうる。
【0006】
先の問題のいくつかは、選択的抗癌剤(タモキシフェンなど)の開発によって実質的に克服されたが、全ての化学療法剤の有効性は、患者の癌細胞による薬剤耐性の発生に左右される。患者の癌細胞で薬剤耐性が発生することは、種類特異的傾向があり、従ってもし患者の癌細胞がある種類の抗癌薬に対して薬剤耐性を生じる場合、その種類内の全化合物は、その患者のそれ以上の治療で通常、効果がなくなる。そのようなものとして、患者の臨床結果の改善において、所定の状況で使用しうる薬剤の蓄積を腫瘍学者に提供し、代替の化学療法剤を同定することが不可欠である。
【0007】
従って、様々な種類の治療剤を開発することが重要である。それは、薬剤耐性の発生の回避に役立ち、併用療法にも使用できるからである。該併用療法は、様々な特性及び細胞標的を備えた抗癌薬の使用を通常含み、それらの使用は続いて任意に選択された化学療法レジームの全体的効果を増大させ、かつ患者に発生する薬剤耐性の可能性を制限する。
【0008】
癌研究の大進歩の一つは、タンパク質キナーゼ活性を阻害する、分子を標的とした薬剤の臨床的確証であった。腫瘍の適応症に対して現在認可されている小分子キナーゼ阻害薬には、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ及びダサチニブ[Baselga J., Science, 2006, 312, 1175-1178]が挙げられる。JAK2、FLT3及びCDK2など、数種のキナーゼは、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、骨髄増殖性疾患、及びケロイドのような非悪性増殖性疾患に、薬理学的に介入するための有望なキナーゼ標的である。Janusキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3及びTyk2からなる細胞質チロシンキナーゼファミリーである。それらは、多数のサイトカイン、ホルモン、及び増殖因子のシグナル伝達経路で中心的役割を果たす[Rawlings JSら, J. Cell Sci., 2004, 117, 1281-1283]。それらの細胞内基質には、シグナル伝達及び転写活性化因子(STAT)と呼ばれるタンパク質ファミリーが含まれる。JAK−STAT経路は、リガンドの適切な作用を通じて、重要な生理過程、例えば、ウイルスに対する免疫応答、赤血球新生、乳分泌、脂質恒常性などを調節する。しかし、無数の要因によって生じる機能障害性シグナル伝達は、病態生理学的状態、例えば、アレルギー、喘息、リューマチ性関節炎、重度複合免疫不全症、血液悪性腫瘍などを引き起こす。特に、JAK2の変異は、骨髄増殖性疾患(真性多血症、本態性血小板血症、及び特発性骨髄線維症を含む)、ならびに広い範囲の白血病及びリンパ腫に付き物であった[Percy MJら, Hematol. Oncol., 2005, 23, 91-93]。重要なことには、骨髄増殖性疾患は、過去数十年にわたって一部の治療様式がアップデートされていない、未だに満たされていない医学的ニーズの領域に属する[Schafer AI, Blood, 2006, 107, 4214-4222]。
【0009】
骨髄増殖性疾患(MPD)は、骨髄で変異した前駆体幹細胞のクローン性増殖から生じる、血液悪性腫瘍のグループに属する。一MPDである慢性骨髄性白血病とフィラデルフィア染色体との関連性は十分に裏付けられている。フィラデルフィア陰性MPDには、本態性血小板血症(ET)、真性多血症(PV)及び慢性特発性骨髄線維症(MF)が挙げられる。現在、利用可能な有効な治療法はない。JAK2中の単一の後天的な体細胞変異が、これらのMPDの特徴の多くを担うと思われるという近年の発見によって、これらの疾患にかかっている患者の診断及び治療は影響を受け、調節不全の細胞増殖及び機能の起源にまで、研究にさらに拍車がかかるものと見込まれる。近年まで、ほとんどのMPDは、希少疾患と考えられてきたが、進行中の研究ではかなり高い有病率が示唆されている。
【0010】
本態性血小板血症は、循環血小板数の増加、深刻な髄巨核球過形成(marrow megakaryocyte hyperplasia)、脾腫、ならびに出血又は血栓の発症、もしくは両発症により中断される臨床経過によって特徴付けられる慢性MPDである。現在の治療選択肢には、低用量アスピリン、又はアナグレライド、インターフェロン、又はヒドロキシ尿素のような血小板減少剤が挙げられる。これらの治療には、患者の生活の質を損なう重度の副作用がある。
【0011】
真性多血症は、ヘマトクリット値の上昇、赤血球量の増大、そして通常、白血球数の上昇、血小板数の上昇、及び脾臓の増大によって特徴付けられる慢性進行性MPDである。罹患及び死亡の最も一般的な原因は、生命に関わる動脈及び静脈血栓を発症しやすいPV患者の素因である。治療選択肢には、低用量アスピリンによる瀉血、あるいはヒドロキシ尿素、インターフェロン、又はアナグレライドのような骨髄抑制的治療選択肢が挙げられる。繰り返すが、これらの治療も重度の副作用のために理想的ではない。
【0012】
慢性特発性骨髄線維症(MF)は、脾臓の増大、様々な程度の貧血、及び血小板数減少、涙滴に似た末梢血の赤血球、血液中での少数の未成熟有核赤血球及び白血球の出現、様々な程度の髄腔線維症(骨髄線維症)、及び髄腔外側に骨髄細胞の存在(髄外造血又は骨髄様化生)によって特徴付けられる慢性悪性血液疾患である。現在の治療は、体質的症状、貧血、及び症候性脾腫の緩和を目指している。治療選択肢には、ヒドロキシ尿素、インターフェロン;プレドニゾンとサリドマイドの併用;及び同種幹細胞移植が含まれる。MFは、フィラデルフィア陰性MPDの中で予後が最悪であり、最大の未だに満たされていない医学的ニーズの領域の代表である。
【0013】
さらに、JAK2は、アンジオテンシンIIシグナル伝達経路におけるその役割のために、うっ血性心不全や肺性高血圧症などの心血管疾患の病因にも関与している[Berk BCら, Circ. Res, 1997, 80, 607-616]。さらに、JAK2の推定される役割は、ケロイドの病原性で実証されており、ケロイドに対処するための新たな手法を構成しうる[Lim CPら, Oncogene, 2006, 25, 5416-5425]。JAK2阻害薬のさらに別の潜在的適用は網膜症の治療にある。JAK2を阻害することが、網膜変性症モデルマウスにおいて光受容器に保護的効果を与えることが判明しているからである[Samardzija Mら, FASEB J., 2006, 10, 1096]。
【0014】
c−Fms、c−Kit、fms−様受容体チロシンキナーゼ3(FLT3)、及び血小板由来増殖因子受容体(PDGFRα及びβ)を含むクラスIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーは、造血及び非造血細胞の維持、増殖、及び発達において重要な役割を担う。これらのRTKの過剰発現及び活性化する変異は、固形起源及び血液起源からの多様なヒト癌の病態生理に関与することが知られている[Hannah AL, Curr. Mol. Med., 2005, 5, 625-642]。FLT3変異は、最初に膜近傍ドメインをコードする配列の遺伝子内縦列重複(FLT3/ITD)として報告され、続いてD835コード配列周囲の点変異、欠失、及び挿入が見い出された[Parcells BWら, Stem Cells, 2006, 24, 1174-1184]。FLT3変異は、急性骨髄性白血病(AML)で報告される最も頻発する遺伝子変化であり、白血病細胞での自律的増殖及び分化阻止のシグナル伝達経路に関与している[Tickenbrock Lら, Expert Opin, Emerging Drugs, 2006, 11, 1-13]。数件の臨床研究では、FLT3/ITDが、予後不良に強く関連することが確認されている。高用量化学療法及び幹細胞移植では、FLT3変異の有害作用を克服できないので、FLT3キナーゼ阻害薬の開発が、白血病治療に対してより有効な治療戦略をもたらすであろう。
【0015】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、胞周期の制御(CDK1、2、4及び6)、転写開始(CDK7及び9)及びニューロンの機能(CDK5)で重要な役割を果たすセリン−トレオニンキナーゼである[Knockaert Mら, Trends Pharmacol. Sci., 2002, 23, 417-425]。細胞周期、CDK、及びそれらのサイクリンパートナー中の異常が、乳房、結腸、肝臓及び脳の腫瘍を含む様々な腫瘍型で観察されている[Shapiro Gl, J. Clin. Oncol., 2006, 24, 177O-1783]。CDK1、2、4、6及び/又は9を薬理学的に阻害することによって、様々な癌患者に新規な治療選択肢が提供されると考えられる。特に、CDK1、2及び9を同時に阻害することによって、一のCDKのみを阻害することと比較した場合、肺癌(H1299)及び骨肉腫細胞(U2OS)のアポトーシスによる死滅が増強されることが近年、示された[Cai Dら, Cancer Res, 2006, 66, 927O-9280]。
【0016】
従って、キナーゼ阻害薬である化合物は、生物学的に一層活性な化合物を提供するためのニーズを満たす可能性があり、この活性化合物は、癌及び他の増殖性疾患など、キナーゼが関連する病気又は疾患の治療において、有用であり改善された医薬特性を有することが期待される。
【0017】
〔発明の概要〕
一態様では、本発明は、式(I):
【化18】


〔式中、
及びRは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、−SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−、及びアシルからなる群からそれぞれ独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく、
各R、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく、
各Rは、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく、
は、結合、O、S、−N(R)−、−N(R)C1−2アルキル−、及び−C1−2アルキルN(R)−からなる群から選択され、
各Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく、
Ar及びArは、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく、
Lは次式:
【化19】


(式中、XはArに結合し、かつXはArに結合し、そして該L基が5〜15原子の直鎖を有するように、X、X、及びYを選択し、
及びXは、それぞれ独立して、場合により置換されているヘテロアルキル基であるが、その結果、X及びXが、双方とも直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基ではなく、
Yは、式:−CR=CR−の基又は場合により置換されているシクロアルキル基であり、
式中、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群からそれぞれ独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよいか、又は
及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になった場合、シクロアルケニル基又はシクロヘテロアルケニル基を形成するように結合してもよい)の基である〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩、N−オキシド、又はプロドラッグを提供する。
【0018】
特定の有用性を有する構造的に関連する任意の化合物群と同様に、式の(I)の化合物の変数の特定の実施態様は、それらの最終使用適用例で特に有用である。
【0019】
ある実施態様では、Zは、結合、−N(R)−、及び−S−からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、Zは−N(R)−である。より一層具体的な実施態様では、Zは−N(H)−である。
【0020】
Ar及びArは、アリール及びヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、単環式、二環式、又は多環式部分でありうる。ある実施態様では、Ar及びArのそれぞれは、単環式又は二環式部分である。ある実施態様では、Ar及びArのそれぞれは単環式部分である。
【0021】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化20】


〔式中、V、V、V及びVは、N及びC(R10)からなる群からそれぞれ独立して選択され;
Wは、O、S及びNR10からなる群から選択され;
及びWは、N及びCR10からなる群からそれぞれ独立して選択され;
式中、各R10は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、−SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
、R、R及びRは、先に定義した通りである〕
からなる群から選択される。
【0022】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化21】


〔式中、V、V、V、V、W、W、W、R、R、R及びRは、先に定義した通りである〕
からなる群から選択される。
【0023】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化22】


〔式中、各R10は、独立して、先に定義した通りであり、
kは、0、1、2、3及び4からなる群から選択される整数であり;かつ
nは、0、1、2及び3からなる群から選択される整数である〕
からなる群から選択される。
【0024】
さらに別の実施態様では、Arは、次式:
【化23】


〔式中、R10は、先に定義した通りである〕
からなる群から選択される。
【0025】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化24】


〔式中、各R10は、独立して、先に定義した通りであり、かつ
qは、0、1及び2からなる群から選択される整数である〕
からなる群から選択される。
【0026】
ある実施態様では、Arは、
【化25】


からなる群から選択される。
【0027】
ある実施態様では、Arは、
【化26】


からなる群から選択される。
【0028】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化27】


〔式中、V、V、V及びVは、N及びC(R11)からなる群からそれぞれ独立して選択され;
式中、各R11は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、−SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−、及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい〕
からなる群から選択される。
【0029】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化28】


〔式中、各R11は、独立して、先に定義した通りであり、
oは、0、1、2、3及び4からなる群から選択される整数であり;かつ
pは、0、1、2及び3からなる群から選択される整数である〕
からなる群から選択される。
【0030】
ある実施態様では、Arは、次式:
【化29】


〔式中、各R11は、先に定義した通りである〕
からなる群から選択される。
【0031】
さらに別の実施態様では、Arは、
【化30】


からなる群から選択される。
【0032】
本発明の一実施態様では、本化合物は式(X):
【化31】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、k及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0033】
本発明の一実施態様では、本化合物は式(XI):
【化32】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0034】
本発明の一実施態様では、本化合物は式(XII):
【化33】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0035】
本発明の一実施態様では、本化合物は、式(XIII):
【化34】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0036】
本発明の一実施態様では、本化合物は、式(XIV):
【化35】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0037】
本発明の一実施態様では、本化合物は、式(XVI):
【化36】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0038】
本発明の一実施態様では、本化合物は、式(XVII):
【化37】


〔式中、R、R、R10、R11、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグである。
【0039】
本発明の化合物では、直鎖の原子が5〜15個になるように、X、X及びYを選択する。本発明の化合物の一実施態様では、直鎖の原子が6〜15個になるように、X、X及びYを選択する。本発明の化合物の具体的な一実施態様では、直鎖の原子が7個になるように、X、X及びYを選択する。本発明の化合物の別の具体的な実施態様では、直鎖の原子が8個になるように、X、X及びYを選択する。本発明の化合物の別の具体的な実施態様では、直鎖の原子が9個になるように、X、X及びYを選択する。本発明の化合物の別の具体的な実施態様では、直鎖の原子が10個になるように、X、X及びYを選択する。
【0040】
本発明の化合物では、X及びXはどちらもヘテロアルキル基である。X及びXが、双方とも直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基ではないように、互いに独立してその2個のヘテロアルキル基を選択する。
【0041】
の好適な値の例には、次式:
(a)−OC1−5アルキル−、
(b)−C1−5アルキルO−、
(c)−C1−5アルキルOC1−5アルキル、
(d)−N(R8a)−、
(e)−N(R8a)C1−5アルキル−、
(f)−C1−5アルキルN(R8a)−、
(g)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(h)−N(R8a)CO−、
(i)−N(R8a)COC1−5アルキル−、
(j)−C1−5アルキルN(R8a)CO−、
(K)−C1−5アルキルN(R8a)COC1−5アルキル−、
(l)−CON(R8a)−、
(m)−C1−5アルキルCON(R8a)−、
(n)−CON(R8a)C1−5アルキル−、及び
(o)−C1−5アルキルCON(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)が含まれる。
【0042】
の好適な値の例には、次式:
(a)−OC1−5アルキル−、
(b)−C1−5アルキルO−、
(c)−C1−5アルキルOC1−5アルキル、
(d)−N(R8b)−、
(e)−N(R8b)C1−5アルキル−、
(f)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(g)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、
(h)−N(R8b)CO−、
(i)−N(R8b)COC1−5アルキル−、
(j)−C1−5アルキルN(R8b)CO−、
(k)−C1−5アルキルN(R8b)COC1−5アルキル−、
(l)−CON(R8b)−、
(m)−C1−5アルキルCON(R8b)−、
(n)−CON(R8b)C1−5アルキル−、及び
(o)−C1−5アルキルCON(R8b)C1−5アルキル−
(式中、R8bは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)が含まれる。
【0043】
本発明の化合物では、X及びXが、双方とも直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基ではない。従って、X及びXのどちらか1個のみがこの型の基であるか、又はX及びXのどちらもこの型の基ではない。
【0044】
一実施態様では、X又はXの1個が、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基である、式(II)の化合物を提供する。
【0045】
式の(II)の化合物の一形態では、Xが、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基である、式(IIa)の化合物を提供する。
【0046】
式(IIa)の化合物の一形態では、Xは、
(a)−OC1−5アルキル−、
(b)−C1−5アルキルO−、及び
(c)−C1−5アルキルOC1−5アルキル
からなる群から選択される。
【0047】
式(IIa)の化合物の一実施態様では、Xは、
(a)−OCHCH−、
(b)−OCH−、
(c)−CHO−、
(d)−CHOCH−、及び
(e)−CHCHOCH
からなる群から選択される。
【0048】
式(IIa)の化合物の具体的な一実施態様では、Xは−OCHCH−である。
【0049】
式(IIa)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−N(R8b)−、
(b)−N(R8b)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8b)C(O)−、
(f)−N(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8b)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)−、
(k)−C(O)N(R8b)C1−5アルキル−、及び
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)C1−5アルキル−
(式中、R8bは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される。
【0050】
式(IIa)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(b)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、及び
(c)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)−
(式中、R8bは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0051】
式(IIa)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−CHN(R8b)−、
(b)−CHN(R8b)CH−、
(c)−CHCHCON(R8b)−、及び
(d)−CHCON(R8b)−
(式中、R8bは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0052】
式の(II)の化合物の別の実施態様では、Xが、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基である、式(IIb)の化合物を提供する。
【0053】
式(IIb)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−N(R8a)−、
(b)−N(R8a)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8a)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8a)C(O)−、
(f)−N(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8a)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)−、
(k)−C(O)N(R8a)C1−5アルキル−、及び
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される。
【0054】
式(IIb)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(b)−N(R8a)C(O)C1−5アルキル−、及び
(c)−C(O)N(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0055】
式(IIb)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−CHN(R8b)CH−、
(b)−CON(R8b)CH−、及び
(c)−N(R8b)COCH
(式中、R8bは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0056】
式(IIb)の化合物の一実施態様では、Xは、
(a)−OC1−5アルキル−、
(b)−C1−5アルキルO−、及び
(c)−C1−5アルキルOC1−5アルキル
からなる群から選択される。
【0057】
式(IIb)の化合物の一実施態様では、Xは、
(a)−OCHCH−、
(b)−OCH
(c)−CHO−、
(d)−CHOCH−、及び
(e)−CHCHOCH
からなる群から選択される。
【0058】
本発明の別の実施態様では、X又はXのどちらも、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基ではない、式(III)の化合物を提供する。
【0059】
式(III)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−N(R8a)−、
(b)−N(R8a)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8a)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8a)C(O)−、
(f)−N(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8a)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)−、
(k)−C(O)N(R8a)C1−5アルキル−、及び
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される。
【0060】
式(III)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、及び
(b)−N(R8a)COC1−5アルキル−
(式中、R8aは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0061】
式(III)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−NHC(O)CH−、
(b)−NHC(O)CHCH−、及び
(c)−CHN(R8a)CH
(式中、R8aは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0062】
式(III)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−N(R8b)−、
(b)−N(R8b)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8b)C(O)−、
(f)−N(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8b)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)−、
(k)−C(O)N(R8b)C1−5アルキル−、
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)C1−5アルキル−
(式中、R8bは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−、及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される。
【0063】
式(III)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(b)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、及び
(c)−C1−5アルキルCON(R8b)−
(式中、R8bは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0064】
式(III)の化合物の一実施態様では、Xは、次式:
(a)−CHN(R8b)−、
(b)−CHN(R8b)CH−、
(c)−CHCHCON(R8b)−、及び
(d)−CHCON(R8b)−
(式中、R8bは、先に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0065】
本発明の化合物の特に有用なサブセットは、次式:
【化38】




〔式中、R、R、R10、R11、k、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグからなる群から選択される。
【0066】
ある実施態様では、Rは、H、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、COOH、COR、COOR、CONHR、NHCOR、NHCOOR、NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0067】
本発明のある実施態様では、Rは、H、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、フェニル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ及びヘキシルアミノからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0068】
ある実施態様では、Rは、H、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ及びヘキシルアミノからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0069】
具体的な実施態様では、RはHである。
【0070】
ある実施態様では、Rは、H、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、COOH、COR、COOR、CONHR、NHCOR、NHCOOR、NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0071】
ある実施態様では、Rは、H、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、フェニル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ及びヘキシルアミノからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0072】
ある実施態様では、Rは、H、クロロ、ブロモ、ヨード、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ及びヘキシルアミノからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0073】
具体的一実施態様では、Rは、H及びアルキルからなる群から選択される。
【0074】
別の具体的実施態様では、Rは、H又はメチルである。
【0075】
ある実施態様では、Rは、H、C−Cアルキル及びアシルからなる群から選択される。別の実施態様では、Rは、H及びC−Cアルキルからなる群から選択される。具体的な実施態様では、RはC−Cアルキルである。
【0076】
ある実施態様では、Rは、H及びC−Cアルキルからなる群から選択される。具体的な実施態様では、RはC−Cアルキルである。
【0077】
ある実施態様では、Rは、C−Cアルキル、ヘテロアルキル及びアシルからなる群から選択される。具体的な実施態様では、RはC−Cアルキルである。
【0078】
ある実施態様では、Rは、結合、C−Cアルキル、ヘテロアルキル及びアシルからなる群から選択される。具体的な実施態様では、RはC−Cアルキル又は結合である。
【0079】
ある実施態様では、Rは、H及びC−Cアルキルからなる群から選択される。具体的な実施態様では、RはHである。
【0080】
本発明のある実施態様では、R8aは、H及びアルキルからなる群から選択される。
【0081】
本発明のある実施態様では、R8aは、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される。
【0082】
本発明のある実施態様では、R8bは、H、アルキル、シクロアルキル、アシル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、−COR、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択される。
【0083】
本発明のある実施態様では、R8bは、H、メチル、シクロプロピルメチル、2−ピリジニル−メチル、2−ヒドロキシ−エチル、シクロプロピル、2−メチル−プロピル、2,2−ジメチル−プロピル、トリフルオロアセチル、−COCHNHCH(CH、及びN−モルホリノ−カルボキシルからなる群から選択される。
【0084】
本発明の化合物のある実施態様では、上記のように、各R10は、H、ハロゲン、アミノ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ及びアルコキシアルキルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0085】
ある実施態様では、各R10は、H、ヒドロキシル、フルオロ、アミノ、メトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル及び2−モルホリノ−エトキシからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0086】
ある実施態様では、各R11は、H、ハロゲン、アルキル、アミノ、NR、アルキルスルホニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールスルホニルオキシ、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ及びアルコキシアルキルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0087】
ある実施態様では、各R11は、H、ヒドロキシル、メトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル及び2−モルホリノ−エトキシからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい。
【0088】
本発明のある実施態様では、各R11は、H、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル及びアリールスルホニルオキシからなる群から独立して選択される。
【0089】
本発明のある実施態様では、kは0又は1である。一実施態様では、kは0である。別の実施態様では、kは1である。
【0090】
本発明のある実施態様では、qは0又は1である。一実施態様では、qは0である。別の実施態様では、qは1である。
【0091】
本発明のある実施態様では、oは0、1又は2である。一実施態様では、oは1である。別の実施態様では、oは1である。別の実施態様では、oは2である。
【0092】
本発明のある実施態様では、各R11は、下記:
【化39】


からなる群から独立して選択される。
【0093】
一実施態様では、Yは、下記:
【化40】


からなる群から選択される。
【0094】
具体的実施態様では、Yは、
【化41】


である。
【0095】
別の具体的実施態様では、Yは、
【化42】


である。
【0096】
別の具体的実施態様では、Yがシクロプロピル基である。
【0097】
上述した変数の全てでなくても多くは、場合により置換されていてよい。変数が場合により置換されている場合、ある実施態様では、任意の置換基は、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルオキシ、−アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、−COOH、−COR、−C(O)OR、−SH、−SR、−OR及びアシルからなる群から選択される。
【0098】
ある実施態様では、置換基は、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、フェノキシ、アルコキシアルキル、ベンジルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、−C(O)OR、COOH、SH及びアシルからなる群から選択される。
【0099】
式(I)の化合物に加えて、開示する実施態様はまた、該化合物の薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に許容されるプロドラッグ、及び薬学的に活性な代謝産物、ならびに該代謝産物の薬学的に許容される塩にも関する。
【0100】
本発明はまた、本発明の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物にも関する。
【0101】
別の態様では、一種以上のタンパク質キナーゼを阻害する方法であって、本発明は、本発明の化合物の有効量に、一種以上のタンパク質キナーゼ及び/又はその補助因子を曝露する工程を含む方法を提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)又は(XVII)の化合物である。
【0102】
本明細書に開示した化合物は、キナーゼ分子に直接かつ単独で作用して生物活性を阻害しうる。しかし、本化合物が、リン酸化過程に関与する補助因子に、少なくとも部分的に作用しうることも理解されよう。例えば、キナーゼがサイクリン依存性である場合、サイクリンAなどの補助因子は、ATP(それ自体補助因子とも考えられる)から基質分子へのリン酸移送に関与する。他のキナーゼ補助因子には、イオン種(亜鉛及びカルシウムなど)、脂質(ホスファチジルセリンなど)、及びジアシルグリセロールが含まれる。
【0103】
本方法の一実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである。具体的な実施態様では、該サイクリン依存性キナーゼは、グループI CMCGキナーゼである。一実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDK2又はそれらの機能性同等物である。
【0104】
本方法の別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、タンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである。一実施態様では、該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、TYK2、JAK1、JAK2、及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な実施態様では、該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、JAK2又はそれらの機能性同等物である。本方法の一形態では、JAK2は、反復性特有の後天的クローン変異を含む。この変異は、大半の真性多血症(PV)患者、ならびに本態性血小板血症(ET)及び慢性特発性骨髄線維症(IMF)を含む、他の骨髄増殖性疾患患者のかなりの割合に観察される。本方法の一形態では、該変異は、位置617でのバリンからフェニルアラニンへの置換である(V617F)。PV患者でのこの変異の発生率は、非常に高い(患者のおよそ78%)。
【0105】
JAK2変異は、体細胞性であり、造血幹細胞レベルで生じる。研究によると、変異したJAK2は、骨髄性細胞(myeloid cells)、すなわち骨髄細胞(bone marrow cells)、顆粒球、血小板、及びCD34+細胞由来赤芽球に存在するが、T細胞にはないことが実証された。さらに、変異体JAK2は、造血前駆細胞に由来する造血コロニーに存在した。本出願人は、本明細書に記載したキナーゼ阻害薬が、野生型及び変異体JAK2の活性を阻害できることを実証した。
【0106】
本方法の別の実施態様では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、FLT3又はそれらの機能性同等物である。本方法の別の形態では、FLT3キナーゼは変異を含む。一部の患者では、FLT3変異がAMLの開始又は維持で重要であるという仮説を支持する、多くの、実験的及び臨床的証拠がある。FLT3変異を活性化させると、FLT3チロシンキナーゼ活性が構成的に活性化し、かつ免疫不全マウスで、転換によって見られる因子依存性造血細胞を、因子非依存性腫瘍増殖及び形成に形質転換することができる。さらに、レトロウイルスにより、一次マウス骨髄にAML患者由来FLT3 ITD(遺伝子内縦列重複)cDNAを形質導入すると、致死的骨髄増殖性症候群がもたらされる。さらに、レトロウイルスにより、前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体(PML−RAR)遺伝子導入マウスから得た骨髄に、FLT3 ITDを形質導入すると、該マウスで急性前顆粒球性(progranulocytic)(APL)様白血病の発生が、偽形質導入骨髄の移植を受けたマウスと比較して顕著に増加する。本出願人らは、本明細書に記載したキナーゼ阻害薬が、アミノ酸位置592〜601にアミノ酸VDFREYEYDHの重複があるITDを含む、FLT3を阻害できることを実証した。本方法のより一層具体的な実施態様では、該FLT3は遺伝子内縦列重複を含む。より一層具体的な実施態様では、該遺伝子内縦列重複は、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である。
【0107】
本方法の一実施態様では、本化合物に一種以上のタンパク質キナーゼを曝露する工程は、一種以上のタンパク質キナーゼを含む哺乳動物に、本化合物を投与する工程を含む。
【0108】
別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、CDK2、FLT3及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む。この実施態様の別の形態では、該一種以上のタンパク質キナーゼは、CDK2、FLT3及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む。
【0109】
さらに別の態様では、本発明は、一種以上のタンパク質キナーゼを阻害するための本発明の化合物の使用を提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)又は(XVII)の化合物である。
【0110】
一実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである。具体的な実施態様では、該サイクリン依存性キナーゼは、グループI CMCGキナーゼである。一実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDK2又はそれらの機能性同等物である。
【0111】
別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである。一実施態様では、該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、TYK2、JAK1、JAK2及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、JAK2又はその機能性同等物である。より具体的な実施態様では、該JAK2は、位置617でのVからFへの変異を含む。
【0112】
別の実施態様では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、FLT3又はそれらの機能性同等物である。より一層具体的な実施態様では、FLT3は遺伝子内縦列重複を含む。より一層具体的な実施態様では、該遺伝子内縦列重複は、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である。
【0113】
別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、CDK2、FLT3及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む。この実施態様の別の形態では、該一種以上のタンパク質キナーゼは、CDK2、FLT3、及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む。
【0114】
さらに別の態様では、本発明は、哺乳動物において病気を治療又は予防する方法であって、一種以上のタンパク質キナーゼ及び/又はその補助因子を阻害することによって、病気の病状又は総合的症状を予防し、阻害し、又は改善する方法であり、該方法が、本発明の化合物を治療有効量投与する工程を含む方法を提供する。一実施態様では、本化合物は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)又は(VII)の化合物である。
【0115】
本方法の一実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである。具体的な実施態様では、該サイクリン依存性キナーゼは、グループI CMCGキナーゼである。一実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B及びOsC2R、あるいはそれらの機能性誘導体からなる群から選択される。具体的な実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDK2又はそれらの機能性同等物である。一実施態様では、該病気は、前立腺癌、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、T細胞白血病、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、筋骨格新生物及びアルツハイマー病からなる群から選択される。
【0116】
本方法の別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである。一実施態様では、該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、TYK2、JAK1、JAK2及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な実施態様では、該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、JAK2又はそれらの機能性同等物である。より具体的な実施態様では、該JAK2は、位置617でのVからFへの変異を含む。一実施態様では、該病気は、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、肺性高血圧症、及び網膜変性症からなる群から選択される。
【0117】
本方法の別の実施態様では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、FLT3又はそれらの機能性同等物である。より一層具体的な実施態様では、FLT3は遺伝子内縦列重複を含む。より一層具体的な一実施態様では、該遺伝子内縦列重複は、位置592−601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である。一実施態様では、該病気は、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、骨髄増殖性疾患、及び慢性骨髄単球性白血病からなる群から選択される。
【0118】
別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、CDK2、FLT3及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む。この実施態様の別の形態では、該一種以上のタンパク質キナーゼは、CDK2、FLT3及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む。
【0119】
さらに別の態様では、本発明は、動物の病気を治療するための薬剤の調製における本発明の化合物の使用であって、一種以上のタンパク質キナーゼを阻害することによって、病気の病状又は総合的症状を予防し、阻害し、又は改善することができる使用を提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)又は(XVII)の化合物である。
【0120】
一実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼは、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである。具体的な実施態様では、該サイクリン依存性キナーゼは、グループI CMCGキナーゼである。一実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、該グループI CMCGキナーゼは、CDK2又はそれらの機能性同等物である。一実施態様では、該病気は、前立腺癌、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、T細胞白血病、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、筋骨格新生物及びアルツハイマー病からなる群から選択される。
【0121】
別の実施態様では、一種以上のタンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである。一実施態様では、該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、TYK2、JAK1、JAK2及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な実施態様では、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼは、JAK2又は機能性同等物である。より具体的な実施態様では、該JAK2は、位置617でのVからFへの変異を含む。一実施態様では、該病気は、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、肺性高血圧症、及び網膜変性症からなる群から選択される。
【0122】
別の実施態様では、該タンパク質チロシンキナーゼは、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである。この実施態様の一形態では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される。具体的な一実施態様では、該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼは、FLT3又はそれらの機能性同等物である。より一層具体的な実施態様では、FLT3は遺伝子内縦列重複を含む。より一層具体的な実施態様では、該遺伝子内縦列重複は、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である。一実施態様では、該病気は、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、骨髄増殖性疾患、及び慢性骨髄単球性白血病からなる群から選択される。
【0123】
さらに別の態様では、本発明は、キナーゼ関連疾患を治療又は予防するための薬剤の調製における本発明の化合物の使用を提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)、又は(XVII)の化合物である。
【0124】
一実施態様では、該キナーゼ関連疾患は増殖性疾患である。具体的な実施態様では、該増殖性疾患は、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、急性B細胞白血病、白血球増多症、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、大腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、及び筋骨格新生物からなる群から選択される。
【0125】
一実施態様では、該増殖性疾患は骨髄増殖性疾患である。具体的な実施態様では、該骨髄増殖性疾患は、真性多血症、本態性血小板血症、及び特発性骨髄線維症からなる群から選択される。
【0126】
別の実施態様では、該増殖性疾患は癌である。一実施態様では、該癌は固形腫瘍である。一実施態様では、該固形腫瘍は、乳房、卵巣、結腸、前立腺、子宮内膜、骨、皮膚、肺、肝臓、膵臓、頸部、脳、神経組織、リンパ組織、血管、膀胱、及び筋肉からなる群から選択される器官又は組織中に存在し、又はそれらから転移する腫瘍である。
【0127】
一実施態様では、該癌は血液癌である。具体的な実施態様では、該血液癌は、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、及びB細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0128】
別の実施態様では、該キナーゼ関連疾患は心血管疾患である。一実施態様では、該心血管疾患は、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大及び再狭窄からなる群から選択される。
【0129】
一実施態様では、該キナーゼ関連疾患は神経変性疾患である。具体的な実施態様では、該神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0130】
さらに別の態様では、本発明は、キナーゼ関連疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に、本発明の化合物を治療有効量投与する工程を含む方法を提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)又は(XVII)の化合物である。
【0131】
一実施態様では、該キナーゼ関連疾患は増殖性疾患である。具体的な実施態様では、該増殖性疾患は、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、急性B細胞白血病、白血球増多症、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、及び筋骨格新生物からなる群から選択される。
【0132】
一実施態様では、該増殖性疾患は骨髄増殖性疾患である。具体的な実施態様では、該骨髄増殖性疾患は、真性多血症、本態性血小板血症、及び特発性骨髄線維症からなる群から選択される。
【0133】
別の実施態様では、該増殖性疾患は癌である。一実施態様では、該癌は固形腫瘍である。一実施態様では、該固形腫瘍は、乳房、卵巣、結腸、前立腺、子宮内膜、骨、皮膚、肺、肝臓、膵臓、頸部、脳、神経組織、リンパ組織、血管、膀胱及び筋肉からなる群から選択される器官又は組織中に存在し、又はそれらから転移する腫瘍である。
【0134】
一実施態様では、該癌は血液癌である。具体的な実施態様では、該血液癌は、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、及びB細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0135】
別の実施態様では、該キナーゼ関連疾患は心血管疾患である。一実施態様では、該心血管疾患は、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大及び再狭窄からなる群から選択される。
【0136】
一実施態様では、該キナーゼ関連疾患は神経変性疾患である。具体的な実施態様では、該神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0137】
本発明は、式(I)に記載の化合物の有効量を投与する工程を含む、細胞増殖を阻害する方法も提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)又は(XVII)の化合物である。
【0138】
本発明は、式(I)に記載の化合物の有効量を投与する工程を含む、細胞増殖を阻害する方法も提供する。一実施態様では、本化合物は、式(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)又は(XVII)の化合物である。
【0139】
さらに別の態様では、本発明は式(I)の化合物の合成法を提供するものであって、該方法は以下の工程:
(a)次式:
【化43】


(式中、R、R、R、R、Z、Ar、Ar、X及びXは、先に定義した通りである)の化合物を準備する工程;
(b)該化合物を閉環メタセシスに付す工程;
(c)場合により、そのようにして形成された二重結合を反応させて、シクロアルキル基を形成する工程、
を含む。
【0140】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書では、当業者に周知のいくつかの用語を使用する。とは言っても、明確にすることを目的として、いくつかの用語を定義する。
【0141】
本明細書で使用するように、「置換されていない」という用語は、置換基が存在しない、又は唯一の置換基が水素であることを意味する。
【0142】
本明細書全体にわたって使用する「場合により置換されている」という用語は、基が、一個以上の非水素置換基によって、さらに置換又は縮合(縮合多環系を形成するため)されていても、又はされていなくてもよいことを示す。ある実施態様では、置換基は、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシシクロアルキル、アルコキシヘテロシクロアルキル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロアリール、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、−COOH、−COR、−C(O)OR、CONHR、NHCOR、NHCOOR、NHCONHR、C(=NOH)R−SH、−SR、−OR及びアシルからなる群から独立して選択される一個以上の基である。
【0143】
基又は基の一部として「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖脂肪族炭化水素基をさし、別段の断りが無い限り、C−C14アルキルが好ましく、C−C10アルキルがより好ましく、C−Cが最も好ましい。好適な直鎖及び分枝鎖C−Cアルキル置換基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシルなどが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0144】
明記しなければ、「アルキルアミノ」には、モノ−アルキルアミノ及びジ−アルキルアミノが含まれる。「モノ−アルキルアミノ」は、−NH−アルキル基を意味し、その際、アルキルは先に定義した通りである。「ジ−アルキルアミノ」は、−N(アルキル)基を意味し、その際、各アルキルは、同じでも、又は異なってもよく、かつそれぞれ、アルキルについて本明細書に定義した通りである。アルキル基は、C−Cアルキル基が好ましい。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0145】
明記しなければ、「アリールアミノ」には、モノ−アリールアミノ及びジ−アリールアミノが含まれる。モノ−アリールアミノは、式アリールNH−基を意味し、その際、アリールは本明細書に定義した通りであり、ジ−アリールアミノは、式(アリール)N基を意味し、その際、各アリールは、同じでも、又は異なってもよく、かつそれぞれ、アリールについて本明細書に定義した通りである。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0146】
「アシル」は、アルキル−CO−基を意味し、その際、アルキル基は本明細書に記載した通りであり、アシルの例にはアセチル及びベンゾイルが含まれる。アルキル基は、C−Cアルキル基が好ましい。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0147】
基又は基の一部として「アルケニル」は、少なくとも一個の炭素−炭素間二重結合を有する脂肪族炭化水素基をさし、直鎖に好ましくは2〜14個の炭素原子、より好ましくは2〜12個の炭素原子、最も好ましくは2〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖であってよい。基は、直鎖に複数の二重結合を含んでよく、それぞれの配向は独立してE又はZである。典型的なアルケニル基には、それだけには限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル及びノネニルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0148】
「アルコキシ」は、−O−アルキル基をさし、その際、アルキルは本明細書に定義した通りである。アルコキシは、C−Cアルコキシが好ましい。例には、それだけには限定されないが、メトキシ及びエトキシが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0149】
「アルケニルオキシ」は、−O−アルケニル基をさし、その際、アルケニルは本明細書に定義した通りである。好ましいアルケニルオキシ基は、C−Cアルケニルオキシ基である。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0150】
「アルキニルオキシ」は、−O−アルキニル基をさし、その際、アルキニルは本明細書に定義した通りである。好ましいアルキニルオキシ基は、C−Cアルキニルオキシ基である。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0151】
「アルコキシカルボニル」は、−C(O)−O−アルキル基をさし、その際、アルキルは本明細書に定義した通りである。アルキル基は、C−Cアルキル基が好ましい。例には、それだけには限定されないが、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0152】
「アルキルスルフィニル」は、−S(O)−アルキル基を意味し、その際、アルキルは先に定義した通りである。アルキル基は、C−Cアルキル基が好ましい。典型的なアルキルスルフィニル基には、それだけには限定されないが、メチルスルフィニル及びエチルスルフィニルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0153】
「アルキルスルホニル」は、−S(O)−アルキル基をさし、その際、アルキルは先に定義した通りである。アルキル基は、C−Cアルキル基が好ましい。例には、それだけには限定されないが、メチルスルホニル及びエチルスルホニルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0154】
基又は基の一部として「アルキニル」は、炭素−炭素間三重結合を有する脂肪族炭化水素基を意味し、直鎖に、好ましくは2〜14個の炭素原子、より好ましくは2〜12個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であってよい。典型的な構造には、それだけには限定されないが、エチニル及びプロピニルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0155】
「アルキルアミノカルボニル」は、アルキルアミノが先に定義した通りであるアルキルアミノ−カルボニル基をさす。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0156】
「シクロアルキル」は、飽和又は部分的に飽和している単環式、又は縮合多環式もしくはスピロ多環式をさし、特に明記しない限り、一環当たり3〜9個の炭素を含む炭素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが好ましい。シクロアルキルには、シクロプロピル及びシクロヘキシルなどの単環系、デカリンなどの二環系、ならびにアダマンタンなどの多環系が含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0157】
「シクロアルケニル」は、少なくとも一個の炭素−炭素間二重結合を有し、好ましくは一環当たり5〜10個の炭素原子を有する非芳香族単環式又は複環式環系を意味する。典型的な単環式シクロアルケニル環には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル又はシクロヘプテニルが含まれる。シクロアルケニル基は、一個以上の置換基によって置換されていてよい。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0158】
アルキル及びシクロアルキル置換基についての上記考察は、他の置換基のアルキル部分、例えば、それだけには限定されないが、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルケトン、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルスルホニル、及びアルキルエステル置換基などのアルキル部分にも当てはまる。
【0159】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル及びアルキル部分が先に述べた通りである、シクロアルキル−アルキル基を意味する。典型的なモノシクロアルキルアルキル基には、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル及びシクロヘプチルメチルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0160】
「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素を表す。
【0161】
「ヘテロシクロアルキル」は、窒素、硫黄、酸素から選択した少なくとも一個のヘテロ原子、好ましくは少なくとも一個の環に1〜3個のヘテロ原子を含む、飽和又は部分的に飽和した単環式、二環式、又は多環式環をさす。各環は、3〜10員が好ましく、4〜7員がより好ましい。好適なヘテロシクロアルキル置換基の例には、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルフィリノ、1,3−ジアザパン(diazapane)、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパン(oxazepane)、及び1,4−オキサチアパン(oxathiapane)が含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0162】
「ヘテロシクロアルケニル」は、上記のヘテロシクロアルキルであるが、少なくとも一個の二重結合を含むヘテロシクロアルキルをさす。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0163】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、ヘテロシクロアルキル及びアルキル部分が先に述べた通りである、ヘテロシクロアルキル−アルキル基をさす。典型的なヘテロシクロアルキルアルキル基には、(2−テトラヒドロフリル)メチル、(2−テトラヒドロチオフラニル)メチルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0164】
「ヘテロアルキル」は、鎖中に好ましくは2〜14個の炭素、より好ましくは2〜10個の炭素を有し、その一個以上が、S、O、P及びNから選択されるヘテロ原子で置き換えられている直鎖又は分枝鎖アルキル基をさす。典型的なヘテロアルキルには、アルキルエーテル、二級及び三級アルキルアミン、アミド、アルキルスルフィドなどが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。本明細書で使用するように、架橋基と関連して使用する場合、直鎖についての説明は、架橋基の2個の末端位置を結合させる原子の直接鎖をさす。
【0165】
基又は基の一部として「アリール」は、(i)好ましくは一環当たり5〜12個の原子を有する、場合により置換された単環式、又は縮合した多環式芳香族炭素環(環構造の環原子は全て炭素である)(アリール基の例にはフェニル、ナフチルなどが含まれる)、(ii)フェニル、ならびにC5−7シクロアルキル又はC5−7シクロアルケニル基が一緒に縮合して環構造、例えば、テトラヒドロナフチル、インデニル又はインダニルを形成する、場合により置換された部分的に飽和している二環式芳香族炭素環式部分を示す。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0166】
「アリールアルケニル」は、アリール及びアルケニルが先に述べた通りである、アリール−アルケニル−基を意味する。典型的なアリールアルケニル基には、フェニルアリルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0167】
「アリールアルキル」は、アリール及びアルキル部分が先に述べた通りである、アリール−アルキル−基を意味する。好ましくは、アリールアルキル基はC1−5アルキル部分を含む。典型的なアリールアルキル基には、ベンジル、フェネチル、及びナフテレンメチルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0168】
基単独又は基の一部である「ヘテロアリール」は、芳香環中に環原子として一個以上のヘテロ原子を有し、環原子の残りが炭素原子である芳香環(好ましくは5又は6員芳香環)を含む基をさす。適切なヘテロ原子には、窒素、酸素及び硫黄が含まれる。ヘテロアリールの例には、以下が含まれる:チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ナフト[2,3−b]チオフェン、フラン、イソインドリジン、キサントレン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、シンノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジン、2−、3−又は4−ピリジル、2−、3−、4−、5−又は8−キノリル、1−、3−、4−又は5−イソキノリニル、1−、2−又は3−インドリル、ならびに2−又は3−チエニル。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0169】
「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール及びアルキル部分が先に述べた通りである、ヘテロアリール−アルキル基を意味する。好ましいヘテロアリールアルキル基は、低級アルキル部分を含む。典型的なヘテロアリールアルキル基には、ピリジルメチルが含まれる。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0170】
基として「低級アルキル」は、特に明記しない限り、鎖中に1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素を有する、直鎖又は分枝鎖であってよい脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル(n−プロピル又はイソプロピル)、又はブチル(n−ブチル、イソブチル、又は三級ブチル)を意味する。基は、末端基又は架橋基であってよい。
【0171】
式(I)の化合物ファミリーに含まれるものは、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、互変異性体、及び「E」又は「Z」配置異性体の幾何異性体、又はE異性体とZ異性体の混合物を含む異性体形であることは理解されよう。ジアステレオマー、鏡像異性体、及び幾何異性体など、一部の異性体形は、物理的及び/又は化学的方法によって、そして当業者ならば分離できることも理解されよう。
【0172】
開示した実施態様の本化合物のいくつかは、単一の立体異性体、ラセミ化合物、及び/又は鏡像異性体及び/又はジアステレオマー混合物として存在することができる。該単一立体異性体、ラセミ化合物、及びそれらの混合物は全て、記載し特許請求する対象の範囲内にあるものとする。
【0173】
加えて、式(I)は、適用可能であれば、本化合物の溶媒和形態及び非溶媒和形態を包含することを意図している。すなわち、式Iはそれぞれ、水和形態及び非水和形態含め、提示した構造を有する化合物含む。
【0174】
式(I)化合物に加えて、様々な実施態様の化合物は、該化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、N−オキシド、及び活性代謝産物、ならびに該代謝産物の薬学的に許容される塩を含む。
【0175】
「薬学的に許容される塩」という用語は、先に同定した化合物の所望の生物活性を保持する塩をさし、薬学的に許容される酸付加塩及び塩基付加塩を含む。式(I)の化合物の薬学的に許容される適切な酸付加塩は、無機酸又は有機酸から調製しうる。該無機酸の例は、塩酸、硫酸、及びリン酸である。好適な有機酸は、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式カルボン酸及びスルホン酸クラスから選択することができ、それらの例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸である。式(I)の化合物の薬学的に許容される適切な塩基付加塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び亜鉛から作製された金属塩、ならびに有機塩基、例えば、コリン、ジエタノールアミン、モルホリンから作製された有機塩が含まれる。有機塩の他の例は、アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウム塩などの四級塩;グリシン及びアルギニンとの塩などのアミノ酸付加塩である。薬学的に許容される塩について追加される情報は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第19版, Mack Publishing Co., Easton, PA 1995に見出すことができる。薬剤が固体である場合には、本発明の化合物、薬剤、及び塩は、様々な結晶質又は多形体で存在してよく、それらの全てが、本発明及び明記した式の範囲内にあることを意図していることは当業者ならば理解されよう。
【0176】
「プロドラッグ」は、代謝手段(例えば、加水分解、還元、又は酸化)によって、式(I)の化合物にインビボで転換可能な化合物を意味する。例えば、ヒドロキシル基を含む、式Iの化合物のエステルプロドラッグは、加水分解によってインビボで親分子に転換できるであろう。ヒドロキシル基を含む、式(I)の化合物の適切なエステルは、例えば、以下である:アセタート、シトラート、ラクタート、タルトラート、マロナート、オキサラート、サリチラート、プロピオナート、スクシナート、フマラート、マレアート、メチレン−ビス−β−ヒドロキシナフトアート、ゲスチサート、イセチオナート、ジ−p−トルオイルタルトラート、メタンスルホナート、エタンスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、シクロヘキシルスルファマート、及びキナート。別の例として、カルボキシ基を含む、式Iの化合物のエステルプロドラッグは、インビボで加水分解することによって親分子に転換できるであろう。(エステルプロドラッグの例は、F.J. Leinweber, Drug Metab. Res.,18:379, 1987に記載されているものである)。
【0177】
「治療有効量」また「有効量」という用語は、有益な又は所望の臨床結果を達成するのに十分な量である。有効量は、一回又は複数回投与で投与することができる。通常は、有効量は、疾患状態の進行を和らげ、改善し、安定させ、逆転させ、緩慢にし、又は遅らせるのに十分である。
【0178】
「直鎖」という用語は、結合部分の2端を連結する直接鎖をさす。本発明の化合物に関して、アルコキシアルキル基は、直鎖にヘテロ原子(この場合は酸素原子)を含むヘテロアルキル基である。アミド基も、ヘテロアルキル基であるが、それは直鎖に酸素原子を含まない(直鎖に窒素原子を有する)。
【0179】
「機能性同等物」という用語は、本明細書に記載した具体的タンパク質キナーゼ種の変異体を含むものとする。所与のキナーゼアイソフォームの一次、二次、三次、又は四次構造が原型キナーゼとは異なっても、その分子は、タンパク質キナーゼとして生物活性を維持するので、当然のことながら、キナーゼがアイソフォームを有する可能性がある。アイソフォームは、集団中の正常な対立形質の変形例から発生することもあり、変異、例えば、アミノ酸置換、欠失、付加、切り詰め、又は重複を含みうる。「機能性同等物」という用語に含まれるものはまた、転写レベルで発生する変異体である。多くのキナーゼ(JAK2及びCDK2を含む)は、転写産物変形例から生じたアイソフォームを有する。FLT3が、エクソンの読み飛ばしの結果であるアイソフォームを有することも知られている。他の機能性同等物には、糖鎖形成など、翻訳後修飾が変化されているキナーゼが含まれる。
【0180】
本発明の具体的化合物には、以下のものが含まれる:
【0181】
【化44】



















【0182】
本発明の化合物は、特定のタンパク質キナーゼの活性を阻害する能力を有する。キナーゼ活性を阻害する能力は、キナーゼ分子に直接かつ単独で作用して、生物活性を阻害する本発明の化合物の結果であろう。しかし、本化合物はまた、リン酸化過程に関与する、対象となるキナーゼの補助因子に少なくとも部分的に作用しうると理解される。例えば、キナーゼがサイクリン依存性の場合、サイクリンAなどの補助因子は、ATP(それ自体補助因子とも考えられる)から基質分子へのリン酸移送に関与する。他のキナーゼ補助因子には、イオン種(亜鉛及びカルシウムなど)、脂質(ホスファチジルセリンなど)、及びジアシルグリセロールが含まれる。
【0183】
本化合物は、広い範囲のタンパク質キナーゼに対して活性を有しうる。タンパク質キナーゼの好適な一ファミリーは、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである。該サイクリン依存性キナーゼの一例は、グループI CMCGキナーゼである。該グループI CMCGキナーゼの例には、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物が含まれる。特に重要なグループI CMCGキナーゼはCDK2である。
【0184】
タンパク質キナーゼの別のファミリーは、タンパク質チロシンキナーゼである。タンパク質チロシンキナーゼの一例は、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである。グループVIIタンパク質チロシンキナーゼの例には、TYK2、JAK1、JAK2及びHOPが含まれる。特に重要なタンパク質キナーゼは、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼのJAK2である。JAK2タンパク質キナーゼは、反復性特有の後天的クローン変異を含むこともある。既に述べたように、この変異は、大半の真性多血症(PV)患者、ならびに本態性血小板血症(ET)及び慢性特発性骨髄線維症(IMF)を含む他の骨髄増殖性疾患患者のかなりの割合に観察される。典型的な変異は、位置617でのバリンからフェニルアラニンへの置換である(V617F)。PV患者でのこの変異の発生率は、非常に高い(患者のおよそ78%)。
【0185】
タンパク質チロシンキナーゼの別の例は、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである。グループXIVタンパク質チロシンキナーゼの例には、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3及びFLT4が含まれる。特に対象となるグループXIVタンパク質チロシンキナーゼはFLT3である。FLT3キナーゼは変異を含みうる。一部の患者では、FLT3変異がAMLの開始又は維持で重要であるという仮説を支持する、多くの実験的及び臨床的証拠がある。FLT3変異を活性化させると、FLT3チロシンキナーゼ活性が構成的に活性化し、かつ免疫不全マウスで、転換によって見られる因子依存性造血細胞を、因子非依存性腫瘍増殖及び形成に形質転換することができる。さらに、レトロウイルスにより、一次マウス骨髄に、AML患者由来FLT3 ITD(遺伝子内縦列重複)cDNAを形質導入すると、致死的骨髄増殖性症候群がもたらされる。さらに、レトロウイルスにより、前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体(PML−RAR)遺伝子導入マウスから得た骨髄に、FLT3 ITDを形質導入すると、該マウスで急性前顆粒球性(APL)様白血病の発生が、偽形質導入骨髄の移植を受けたマウスと比較して顕著に増加する。本出願人らは、本明細書に記載したキナーゼ阻害薬が、アミノ酸位置592〜601にアミノ酸VDFREYEYDHの重複があるITDを含むFLT3を阻害できることを実証した。本方法のより一層具体的な実施態様では、該FLT3は遺伝子内縦列重複を含む。より一層具体的な実施態様では、該遺伝子内縦列重複は、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である。
【0186】
タンパク質キナーゼの阻害は、当技術分野で周知のいくつかの方法のいずれかで実施してもよい。例えば、インビトロでのタンパク質キナーゼの阻害を望む場合、キナーゼを含む溶液に本発明の化合物の適当量を加えてよい。哺乳動物においてキナーゼ活性を阻害することを望む状況では、キナーゼの阻害は、通常、キナーゼを含む哺乳動物に本化合物を投与する工程を含む。
【0187】
従って、本発明の化合物から、上記種類のタンパク質キナーゼを阻害する能力を利用できる、多数の適用例を見出すことができる。例えば、本化合物は、タンパク質キナーゼを阻害するために使用しうる。本化合物は、哺乳動物において病気を治療又は予防する際に使用してもよく、その際、タンパク質キナーゼ及び/又はその補助因子を阻害することによって、病気の病状又は総合的症状を予防し、阻害し、又は改善する。
【0188】
タンパク質キナーゼを阻害することによって治療しうる病気の例には、前立腺癌、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、T細胞白血病、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、筋骨格新生物及びアルツハイマー病が挙げられる。
【0189】
タンパク質キナーゼを阻害することによって治療しうる他の病気には、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、肺性高血圧症、及び網膜変性症のような病気が挙げられる。
【0190】
タンパク質キナーゼを阻害することによって治療しうる他の疾患には、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、骨髄増殖性疾患、及び慢性骨髄単球性白血病が含まれる。
【0191】
本発明の化合物はまた、動物の病気を治療する薬剤の調製に使用してもよく、その際、タンパク質キナーゼを阻害することによって、病気の病状又は総合的症状を予防し、阻害し、又は改善することができる。本発明の化合物はまた、キナーゼ関連疾患を治療又は予防するための薬剤の調製に使用してもよい。
【0192】
キナーゼ関連疾患の一例は増殖性疾患である。具体的な実施態様では、該増殖性疾患は、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、急性B細胞白血病、白血球増多症、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、及び筋骨格新生物からなる群から選択される。
【0193】
増殖性疾患の一例は癌である。その癌は固形腫瘍であってよい。固形腫瘍は、乳房、卵巣、結腸、前立腺、子宮内膜、骨、皮膚、肺、肝臓、膵臓、頸部、脳、神経組織、リンパ組織、血管、膀胱及び筋肉からなる群から選択される器官又は組織中に存在し、又はそれらから転移する腫瘍であってよい。
【0194】
癌の別の例は血液癌である。血液癌の例は、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、及びB細胞リンパ腫が挙げられる。
【0195】
別のキナーゼ関連疾患は心血管疾患である。心血管疾患の例には、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大及び再狭窄が含まれる。
【0196】
別のキナーゼ関連疾患は神経変性疾患である。神経変性疾患は、アルツハイマー病であってよい。
【0197】
開示した本化合物は、増殖性疾患の治療に使用すべき能力を有する。該疾患の一例は癌である。
【0198】
式(I)中の化合物のヒトへ投与は、経口又は直腸投与など、経腸投与に容認されている方式のいずれかによるもの、あるいは非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内経路によるものであってよい。注射は、ボーラス投与、もしくは定常又は間欠注入によるものでありうる。本活性化合物は、通常、薬学的に許容される担体又は希釈剤に含めるが、患者に治療上有効用量を送達するのに十分な量を入れる。様々な実施態様では、本阻害薬化合物は、選択的毒性があり、又は正常細胞よりも急速に増殖する細胞、例えば、癌性腫瘍に毒性が高いであろう。
【0199】
本明細書で使用する「癌」という用語は、細胞の無制御な異常増殖によって特徴付けられる莫大な数の状態を包含することを意図する総称である。
【0200】
本発明の化合物は、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫などを含む骨癌;聴神経腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及び他の脳腫瘍を含む脳及びCNS腫瘍;脊髄腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、進行型結腸直腸腺癌;副腎皮質癌、膵癌、下垂体癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、胸腺癌、多発性内分泌腺腫症を含む内分泌癌;胃癌、食道癌、小腸癌、肝臓癌、肝外胆管癌、消化管カルチノイド腫瘍、胆嚢癌を含む消化管癌;精巣癌、陰茎癌、前立腺癌を含む泌尿生殖器癌;子宮頚癌、卵巣癌、膣癌、子宮/子宮内膜癌、外陰癌、妊娠性絨毛性癌、卵管癌、子宮肉腫を含む婦人科癌;口腔癌、口唇癌、唾液腺癌、喉頭癌、下咽頭癌、中咽頭癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、鼻咽頭癌を含む頭頚部癌;小児白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、急性前骨髄球性白血病、形質細胞白血病、骨髄腫を含む白血病;骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、再生不良性貧血、ファンコニ貧血、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む血液疾患;小細胞肺癌、非小細胞肺癌を含む肺癌;ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫を含むリンパ腫;網膜芽細胞腫、眼内黒色腫を含む眼癌;黒色腫、非黒色腫皮膚癌、メルケル細胞癌を含む皮膚癌;小児軟部肉腫、成人軟部肉腫、カポジ肉腫などの軟部肉腫;腎癌、ウィルムス腫瘍、膀胱癌、尿道癌、及び移行性細胞癌を含む尿路系癌を含むが、それだけには限定されない様々な癌の治療に有用であると期待される。本発明の化合物によって治療できる典型的な癌には、血液癌、例えば、骨髄増殖性疾患(特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病及び非ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、骨髄異形成症候群、形質細胞疾患、有毛細胞白血病、カポジ肉腫、リンパ腫;婦人科癌、例えば、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、膣癌及び外陰癌、子宮内膜過形成;消化管癌、例えば、結腸直腸癌、ポリープ、肝臓癌、胃癌、膵癌、胆嚢癌;尿路癌、例えば、前立腺癌、腎臓、及び腎癌;膀胱癌、尿道癌、陰茎癌;皮膚癌、例えば、黒色腫;脳腫瘍、例えば、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、星状膠細胞腫、上衣細胞腫、脳幹部神経膠腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、星状膠細胞腫、乏突起膠腫;頭頚部癌、例えば、鼻咽頭癌腫、喉頭癌腫;気道癌、例えば、肺癌(NSCLC及びSCLC)、中皮腫;眼疾患、例えば、網膜芽細胞腫;筋骨格疾患、例えば、骨肉腫、筋骨格新生物;扁平上皮癌及び線維腫が挙げられる。
【0201】
本発明の化合物によって治療しうる典型的な癌には、それだけには限定されないが、膀胱癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、結腸癌、胃癌、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、白血病、リンパ腫、前立腺癌及び肺癌が含まれる。
【0202】
本発明の化合物によって治療しうる典型的な癌は、結腸癌、結腸直腸癌、膵癌、及び子宮頚癌である。
【0203】
本発明の化合物によって治療しうるさらにそれ以上の典型的な癌には、それだけには限定されないが、B細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫)、白血病(例えば、急性前骨髄球性白血病、赤白血病)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び末梢T細胞リンパ腫が含まれる。
【0204】
本発明の化合物によって治療しうる、さらにそれ以上の典型的な癌には、固形腫瘍及び造血器腫瘍が含まれる。
【0205】
本発明の化合物はまた、真性多血症、本態性血小板血症及び特発性骨髄線維症を含みうる様々な骨髄増殖性疾患の治療にも、そのJAK2阻害の点で有用であることが期待される。
【0206】
本発明の化合物の使用では、本化合物を生体に利用できるようにする、任意の形態又は方式で化合物を投与することができる。製剤を調製する当業者なら、選択される本化合物の特定の特徴、治療しようとする病気、治療しようとする病気のステージ、及び他の関連する状況に応じて、適切な形態及び投与方式を容易に選択することができる。詳しい情報については、本読者に、Remingtons Pharmaceutical Sciences, 第19版, Mack Publishing Co.(1995)を挙げる。
【0207】
本発明の化合物は、単独で、あるいは薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合せて医薬組成物の形で投与することができる。本発明の化合物は、それ自体で有効ではあるが、通常、それらの薬学的に許容される塩の形に製剤化し投与する。これらの形態が、通常、安定性が高く、結晶化がより容易であり、溶解性も高いからである。
【0208】
しかし、本化合物は、通常、所望の投与方式に応じて製剤化した医薬組成物の形で使用される。そのようなものとして、さらなる実施態様では、本発明は、式(I)の化合物、ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本組成物は、当技術分野で周知の方式で調製される。
【0209】
他の実施態様では、本発明は、本発明の医薬組成物成分の一種以上で満たした、一個以上の容器を含む医薬パック又はキットを提供する。該パック又はキットには、その薬剤の単位投薬量を入れた容器が存在し得る。キットには、使用前にさらに希釈できる濃縮物(凍結乾燥した組成物を含む)として有効な薬剤を含む組成物を入れることができるか、あるいはキットは使用濃度で提供することができ、その際、バイアルには一種以上の投薬量を入れてよい。好都合には、キットには、内科医が直接そのバイアルを使用できるように、一回投薬量を滅菌バイアルで提供することができ、その際、バイアルには所望する量及び濃度の薬剤を入れる。該容器に付随するものは、様々な書類、例えば、使用説明書、もしくは医薬製品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する行政官庁が指定した書式による注意書きであってよく、その注意書きには、ヒト投与に向けた製造、使用又は販売の官庁による承認が反映される。
【0210】
本発明の化合物は、抗癌薬である一種以上の追加の薬剤、及び/又は記載した疾病/疾患を治療するための手順(例えば、手術、放射線療法)と組み合せて使用しても、又は投与してもよい。本成分は、同じ製剤で、又は別個の製剤で投与することができる。別個の製剤で投与する場合、本発明の化合物は、他方の薬剤と共に、順次投与又は同時に投与してもよい。
【0211】
抗癌薬を含む一種以上の追加の薬剤と組み合せて投与できるのに加えて、本発明の化合物は、併用療法にも使用しうる。これを行う場合、通常、本化合物を互いに組み合せて投与する。すなわち、所望の効果を実現するために、本発明の化合物の一種又は複数を(混合調整物として)同時に又は順次投与してもよい。これは、2種の薬剤の併用効果が治療結果を改善するように、各化合物の治療プロフィールが異なる場合に特に望ましい。
【0212】
非経口注射の本発明の医薬組成物には、薬学的に許容される滅菌水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液、又は乳濁液と共に、使用直前に再構成して滅菌注射液又は分散液にするための滅菌粉末が含まれる。適切な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及び適切なそれらの混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなど、注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング物質の使用によって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0213】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含んでもよい。微生物の作用は、様々な抗菌薬及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを封入することによって、確実に防止することができる。等張化剤、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどを入れるのも望ましいかもしれない。注射可能医薬形の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを封入することによって引き延ばすことができる。
【0214】
必要に応じて、そしてより有効な分配には、本化合物は、徐放送達系又は標的化送達系、例えば、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアに組み込むことができる。
【0215】
注射可能製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通すろ過によって、あるいは使用直前に、滅菌水又は他の滅菌注射可能媒体に、溶解又は分散できる滅菌固体組成物の形で滅菌薬剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0216】
経口投与用固形剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、及び顆粒が含まれる。該固形剤形では、活性化合物は、少なくとも一種の不活性で薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、ならびに/もしくはa)充填剤又は増量剤、例えば、澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及びアカシアなど、c)湿潤剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム、e)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、f)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイトクレイ、ならびにi)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合には、剤形に緩衝化剤を含んでもよい。
【0217】
同様の種類の固体組成物はまた、ラクトース又は乳糖のような賦形剤と共に、高分子量ポリエチレングリコールなどを使用し、ソフト及びハード充填ゼラチンカプセルで充填剤としても使用しうる。
【0218】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒の固形剤形は、コーティング及びシェル、例えば、腸溶コーティング及び医薬製剤化業界で周知の他のコーティングを用いて調製することができる。固形剤形には、不透明化剤を場合により含めてよく、そして活性成分のみを放出し、又は優先的に腸管の特定の部分で、場合により遅延方式で、活性成分を放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。
【0219】
必要に応じて、そしてより有効に分配するためには、本化合物は、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアなどの、徐放送達系又は標的化送達系に組み込むことができる。
【0220】
本活性化合物は、適切な場合は、一種以上の上記賦形剤を用いて、マイクロカプセル化形態にすることができる。
【0221】
経口投与用液体剤形には、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれる。本活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で通常使用する不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒など;可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を入れてよい。
【0222】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物には、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味料、及び芳香剤を入れることもできる。
【0223】
本活性化合物に加えて、懸濁液には、懸濁化剤、例えば、エトキシル化したイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、ならびにそれらの混合物などを含めてよい。
【0224】
直腸又は膣投与用組成物は、本発明の化合物と、適切な非刺激性賦形剤又は担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、又は座薬ワックスとを混合することによって調製できる座薬が好ましく、この座薬ワックスは、室温で固体であるが、体温では液体であり、従って直腸又は膣腔で溶融し、本活性化合物を放出する。
【0225】
本発明の化合物の局所投与用剤形には、粉末、パッチ、スプレー、軟膏及び吸入薬が含まれる。本活性化合物と、薬学的に許容される担体、及び任意に必要な防腐剤、緩衝液、又は必要とされる可能性がある噴射剤とを、滅菌条件下で混合する。
【0226】
投与する化合物の量は、該病気を治療し、軽減又は緩和するのが好ましい。治療有効量は、従来技術の使用、及び類似の状況下で得られた結果を観察することによって、担当診断専門医が容易に決定することができる。治療有効量の定量では、動物の種類、その大きさ、年齢、及び全身の健康状態、関与する特定の病気、病気の重症度、治療に対する患者の応答、投与する特定の化合物、投与方式、投与する調製物の生物学的利用能、選択される処方計画、他の薬剤の使用、及び他の関連する状況を含むが、それだけには限定されないいくつかの要因が考慮される。
【0227】
好ましい投薬量は、一日につき体重1キログラムあたり約0.01〜300mgの範囲であろう。より好ましい投薬量は、一日につき体重1キログラムあたり0.1〜100mg、より好ましくは一日につき体重1キログラムあたり0.2〜80mg、さらにいっそう好ましくは一日につき体重1キログラムあたり0.2〜50mgの範囲であろう。適切な用量は、一日当たり複数の副用量で投与することができる。
【0228】
先に述べたように、実施態様の本化合物は、増殖性疾患の治療に有用でありうる。該細胞増殖性疾患又は状態の例には、癌(あらゆる転移を含む)、乾癬、及び再狭窄などの平滑筋細胞増殖性疾患が含まれる。本発明の化合物は、腫瘍、例えば、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、頭部及び/又は頚部癌、又は腎癌、胃癌、膵癌、及び脳癌と共に、血液悪性腫瘍、例えば、リンパ腫及び白血病の治療に特に有用でありうる。さらに、本発明の化合物は、他の抗癌薬での治療に難治性の増殖性疾患の治療に、及び過剰増殖状態、例えば、白血病、乾癬、及び再狭窄の治療に有用でありうる。他の実施態様では、本発明の化合物を使用して、家族性大腸腺腫様ポリープ、結腸腺腫様ポリープ、骨髄異形成症、子宮内膜異形成症、非定型性の子宮内膜過形成、子宮頚部異形成、膣上皮内新生物、良性前立腺肥大症、喉頭乳頭腫、光線性角化症及び日光性角化症、脂漏性角化症及びケラトアカントーマを含む、前癌状態又は過形成を治療することができる。
【0229】
〔ピリミジン大環状分子の合成〕
上述したように、本発明は、式(I)の化合物の合成法を提供するものであって、以下の工程:
(a)次式:
【0230】
【化45】

【0231】
(式中、R、R、R、R、Z、Ar、Ar、X及びXは、先に定義した通りである)の化合物を準備する工程;
(b)該化合物を閉環メタセシスに付す工程;
(c)場合により、そのようにして形成した二重結合を反応させて、シクロアルキル基を形成する工程、を含む。
【0232】
本発明の方法は、当技術分野で周知の手順を使用するか、又は以下に詳述する手順によって生成できる、上記の式のジエン化合物の環化を含む。環化用ジエンの生成に使用する方法の正確な選択は、選択するジエン次第であり、ジエン合成法は当業者の技術の範囲内にある。本化合物は、通常、最初に適切な酸性塩に転換するが、その遊離形で反応させてもよい。酸性塩では、上述したように塩酸塩が周知であり、トリフルオロ酢酸塩が特に適切であることが判明している。
【0233】
適切な式のジエンが上述したように得られたならば、次いで標準的条件を使用し、それを閉環メタセシスに付す。いくつかのルテニウム系触媒を含め、いくつかの触媒が、閉環メタセシスに適切であることが知られている。適切なルテニウム系触媒には、オレフィンメタセシス反応に使用されている周知のルテニウム系触媒、例えば、グラブス触媒(第一及び第二世代)、ホベイダ(Hoveyda)触媒(第一及び第二世代)、及びノラン(Nolan)触媒が含まれる。それぞれの場合で、環閉鎖を生じさせるために、反応条件を適切に調整しなくてはならないであろう。具体的な一実施態様では、触媒はグラブス第二世代触媒である。
【0234】
上述したように、メタセシス環化ステップに有用なルテニウム系触媒は、周知の合成技術によって得られる周知の触媒全てである。好適なルテニウム系触媒の例については、例えば、以下の文献を参照されたい。
Organometallics, 2002, 21, 671; 1999, 18, 5416; 及び1998, 17, 2758;
J. Arh. Chem. Soc. 2001, 123, 6543; 1999, 121, 791; 1999, 121, 2674; 2002, 124, 4954; 1998, 120, 2484; 1997, 119, 3887; 1996, 118, 100;及び1996, 118, 9606;
J. Org. Chem. 1998, 63, 9904;及び1999, 64, 7202;
Angew. Chem. Int. Ed. Engi. 1998, 37, 2685; 1995, 34, 2038; 2000, 39, 3012及び2002, 41, 4038;
米国特許第5,811,515号、同第6,306,987号B1、及び同第6,608,027号B1。
【0235】
触媒に対するジエンの割合は、当業者には明白であるように広範に変化しうる。とはいえ、適切な比率は、比率が100:1〜1:1というものである。特に適切な比率は、20:1〜2:1である。より具体的比率は20:1〜10:1である。
【0236】
閉環メタセシスステップは、通常、環化させるジエン、反応時間、及び選択した触媒に基づいて選択した温度範囲による広範な温度範囲で実施してよい。一実施態様では、反応は、20〜200℃の温度で実施される。別の実施態様では、温度は30〜120℃である。別の実施態様では、温度は、30〜50℃の範囲である。具体的な一実施態様では、温度は40℃である。
【0237】
閉環ステップは、反応を妨害しない、任意の好適な非干渉溶媒の存在下で実施しうる。当業者なら、反応を妨害しない適切な溶媒を容易に選択できようが、適切な溶媒の例には、アルカン、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン又はn−ヘプタン;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン、塩素化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン又はジクロロエタン;エーテル溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、3−メチル−テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル又はジオキサン、及びメチルアルコールが含まれる。具体的溶媒の例はジクロロメタンである。
【0238】
閉環メタセシスステップは、広い範囲のジエン溶媒希釈液により実施してよく、ジエンと希釈剤の比率は、通常1:4000(重量基準)〜1:25(重量基準)の範囲である。別の実施態様では、その比率は1:200(重量基準)〜1:50(重量基準)である。
【0239】
シクロアルキル化ステップは、当技術分野で周知の任意のシクロアルキル化剤を使用して実施することができる。適切なシクロアルキル化剤の一例は、シクロプロパン化剤である。シクロプロパン化剤の例は、当技術分野で周知であり、ジアゾメタン及びカルベンが含まれる。これらの薬剤の使用法は、周知されており、この種類の反応を実施できることは当業者の範囲内である。
【0240】
シクロアルキル化反応は、通常、非干渉溶媒、例えば、アセトニトリル、酢酸エチル/ヘキサン混合物、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエン、アセトン、四塩化炭素、及びジクロロメタン、ならびにそれらの混合物で実施する。ある範囲の溶媒が、実際、本発明の反応を実施する際の使用に適切であることは、当業者によって評価されるであろう。任意の具体的事例では、最適溶媒は、上記溶媒や他の溶媒を使用して、試行し実験することによって同定できる。
【0241】
容易に入手できる出発物質を使用する当技術分野で利用可能な技術を利用し、以下に記述するような反応経路及び合成スキームを用いて、様々な実施態様の薬剤を調製することができる。実施態様の特定の化合物の調製は、以下の実施例に詳述するが、当業者ならば、記載した化学反応が、様々な実施態様の他の数種の薬剤を調製するのに容易に適合しうることを認識するであろう。例えば、例示しない化合物の合成も、当業者に明白な修正によって、例えば、干渉基を適切に保護すること、当技術分野で公知の他の適切な試薬に変えること、又は反応条件に定型の手直しを行うことによって、首尾よく実施できるであろう。有機合成に適切な保護基のリストは、T.W. Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley & Sons, 1991に掲載されている。あるいは、本明細書に開示し、又は当技術分野で周知の他の反応は、様々な実施態様の他の化合物を調製するのに適用可能であると認識されよう。
【0242】
化合物を合成するのに有用な試薬は、当技術分野で周知の技術に従って入手し、又は調製することができる。
【0243】
下記実施例では、別段の指示がない限り、以下の記述中の全ての温度は摂氏であり、別段の指示がない限り、全ての部及び%は重量基準のものとする。
【0244】
様々な出発物質及び他の試薬は、民間製造業者、例えば、Aldrich Chemical Company又はLancaster Synthesis Ltd.から購入し、別段の指示のない限り、さらに精製することなく使用した。テトラヒドロフラン(THF)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)は、AldrichからSureSealボトルで購入し、受け取り時のまま使用した。別段の指示がない限り、溶媒は全て、当技術分野で標準的方法を用いて精製した。
【0245】
以下に記載した反応を無水溶媒中、(特に明記しない限り)周囲温度で、陽圧の窒素、アルゴン下で、又は乾燥管により実施した。そして反応フラスコに、注射器を通じて基質及び試薬を導入するためのラバーセプタを取り付ける。ガラス器は、オーブン乾燥し、かつ/又は熱乾燥した。分析用薄層クロマトグラフィーをガラス裏引きシリカゲル60F254プレート(E Merck(0.25mm))で実施し、好適な溶媒割合(v/v)で溶離させた。反応をTLCによりアッセイし、出発物質の消費による判断に従って停止させた。
【0246】
UV吸収、又はp−アニスアルデヒドスプレー試薬、又は熱により活性化するリンモリブデン酸試薬(Aldrich Chemical、20wt%エタノール溶液)を用いて、又はヨウ素チャンバー中で染色することによって、TLCプレートを可視化した。通常、反応溶媒又は抽出溶媒によって反応容量を2倍にする工程、次いで(別段の指示が無い限り)抽出容量の25容量%を使用し表示の水溶液で洗浄する工程によって、後処理を行った。生成溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、減圧下ロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させ、溶媒を真空除去したことに留意されたい。E Merck等級フラッシュシリカゲル(47〜61mm)を使用し、フラッシュカラムクロマトグラフィー[Stillら, J. Org. Chem., 43, 2923 (1978)]を実施し、特に明記しない限り、シリカゲル:原料の割合は約20:1〜50:1であった。水素化分解は、表示の圧力又は周囲圧力で行った。
【0247】
HNMRスペクトルは、Bruker機器を400MHzで稼動させて記録し、13C−NMRスペクトルは100MHzで稼動させて記録した。参照標準としてクロロホルム(7.27ppm及び77.00ppm)、又はCDOD(3.4及び4.8ppm及び49.3ppm)、又は適切な場合には内部テトラメチルシラン標準(0.00ppm)を使用し、CDCl溶液としてNMRスペクトルを得る(ppmで報告)。他のNMR溶媒も適宜使用した。ピーク多重度を報告する場合は、以下の略語を使用する。s=一重項、d=二重項、t=三重項、m=多重項、br=広域、dd=二重項の二重項、dt=三重項の二重項。結合定数が示されている場合、ヘルツで報告している。
【0248】
質量スペクトルは、ESI又はAPCIのいずれかにおいてLC/MSを使用して得られた。融点は全て、修正していない。
【0249】
最終生成物の純度は全て90%を超えた(HPLCにて波長220nm及び254nm)。
【0250】
以下の実施例は、開示した実施態様を例示することを意図したものであり、それらに制限を加えるものとは解釈すべきでない。下記の化合物以外のさらなる化合物も、以下に記載した反応スキームを用いて、又はその好適な変形又は変更をして調製してもよい。
【0251】
一般的合成スキーム
スキーム1は、本発明の化合物である一般式(viii)及び(ix)の本発明の化合物の製造手順を概略する一般的合成スキームであり、その際、Xは直鎖にO又はNR8aを含むヘテロアルキル基であり、Xは直鎖にO又はNR8bを含むヘテロアルキル基であり、Ar及びArはフェニレンである。X、X、Ar及びArが異なる値を有する他の本発明の化合物を生成するためには、使用する試薬及び出発物質を適切に変更することによって、この一般手順を変更することができる。当業者ならば、これらの変更を容易に行うことができるであろう。式(viii)の化合物と適切な試薬と反応させて、式(ix)に関連するシクロプロピル類似体を生成することができる。
【0252】
【化46】

【0253】
スキーム1から分かるように、タイプ(ii)の適切に官能化されたボロン酸により、適切に置換された2,4−ジクロロピリミジン(ia)を鈴木カップリング条件下で処理すると、タイプ(iii)のビアリール化合物が得られ、それをCsCOなどの塩基の存在下で、臭化アルケニル(iv)により処理すると、タイプ(v)の化合物が得られる。式(III)の化合物及び式(iv)の化合物は、それぞれ、適切なL及びL基により官能化され、反応後所望のX基が生成される。基L及びLの独自性の多様さによって、本発明により企図される広範な異なるX基に容易に到達できるようになる。標準的条件下での適切に官能化されたアニリン(vi)による置換は、閉環メタセシス(RCM)用の重要な中間体である、末端アルケン(vii)を与える。適切に置換されたアニリン(vi)を再度選択することによって、本発明が企図する広い範囲の潜在的X基に到達できるようになる。第2世代グラブス触媒を使用すると、RCMから、クロマトグラフィーによって分離可能なトランス異性体及びシス異性体混合物として、(viii)が得られる。タイプ(ix)の化合物は、標準的条件下でシクロプロパン化することによって得ることができる。
【0254】
【化47】

【0255】
出発物質の独自性を変えることによって、ArとArのいくつかの異なった置換形を想定し生成することができるように、XとXのいくつかの異なる組合せを想定し生成することができる。提示のスキームでは、ArとArはフェニル部分として示されているが、しかしスキーム1に示すように、同様の化学反応を用いることによって、他のアリールを入手することができる。式(viii)の化合物のいくつかの類似体を合成するための合成手順を以下に詳述する。
【0256】
タイプ(v)の化合物の合成のための代表的な手順
スキーム2は、式(v)の化合物を調製するために用いられる一般的な手順を説明する。鈴木カップリング条件下における市販の2,4−ジクロロピリミジン(ia)と、タイプ(ii)のボロン酸とのカップリングにより、タイプ(iii)のビアリール化合物が与えられ、それは、CsCOなどの塩基の存在下、臭化アルケニル(iv)による処理によって、タイプ(v)の不飽和エーテルを与える。
【0257】
【化48】

【0258】
示されたスキームにおいて、Ar及びArの両方は、フェニル部分として示されるが、他のアリールは、スキーム2に詳述されたのと同様の化学反応を用いることによって、入手することができる。タイプ(v)の化合物の範囲は、(iA),(ii)及び(iv)の選択によりおそらく調製される。
【0259】
(vA)の合成
3−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フェノール(iiiA)
【0260】
【化49】

【0261】
(iA)(1.0g、6.71mmol)及び(iiA)(1.1g、8.05mmol)の1,2−ジメトキシエタン(10mL)の脱ガス化溶液に、水性NaCO(1.06g、10.06mmol)及びPd(PPh(0.387g、0.335mmol)を連続して加えた。得られた混合物を、80−85℃で4時間撹拌し、0℃に冷却し、NHCl飽和水溶液でクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。粗混合物をカラム精製(EtOAc/ヘキサン)して、(iiiA)0.450gを得た。
【0262】
【表1】

【0263】
4−(3−ブタ−3−エニルオキシ−フェニル)−2−クロロ−ピリミジン(vA)
【0264】
【化50】

【0265】
(iiiA)(2.0g、9.68mmol)及び(ivA)(7.8g、5.80mmol)の乾燥DMF(10mL)混合物に、炭酸セシウム(14.19g、43.55mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を40℃で6時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、HOでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をHOで洗浄し、次いでブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物を、カラム(EtOAc/ヘキサン)により精製して、(vA)1.61gを得た。
【0266】
【表2】

【0267】
(vB)の合成
3−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−安息香酸(iiiB)
【0268】
【化51】

【0269】
(iA)(0.54、3.62mmol)及び(iiB)(0.5、3.01mmol)の1,2−ジメトキシエタン(15mL)の脱ガス化溶液に、水性NaCO(0.63g、6.02mmol)及びPd(PPh(0.174g、0.151mmol)を連続して加えた。得られた混合物を、80−85℃で4時間撹拌し、0℃に冷却し、NHCl飽和溶液でクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。粗混合物をカラム精製(EtOAc/ヘキサン)して、(iiiB)0.570gを得た。MS(m/z):235[MH]
【0270】
N−アリル−3−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−ベンズアミド(vB)
【0271】
【化52】

【0272】
(iiiB)(0.32g、1.36mmol)のジクロロメタン(6mL)の脱ガス化溶液に、アリルアミン(0.11mL、1.50mmol)、HOBt(0.23g、1.70mmol)及びEDC(0.326g、1.70mmol)を連続して加えた。得られた混合物を、2時間撹拌し、HOでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。粗混合物をカラム精製(EtOAc/ヘキサン)して、(vB)0.400gを得た。MS(m/z):274[MH]
【0273】
(vC)の合成
5−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−2−メトキシ−ベンズアルデヒド(iiiC)
【0274】
【化53】

【0275】
(vC)を、実施例(iiiA)に記載した典型的な鈴木手順によって得た。標題の化合物を70%の収率で得た。
【0276】
[5−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−2−メトキシ−フェニル]−メタノール(vC1)
【0277】
【化54】

【0278】
(iiiC)(33.1mmol)のMeOH(25mL)溶液に、NaBH(1.25g、33.1mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を30分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をHOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、化合物(vC1)を精製することなく得た。
【0279】
4−(3−アリルオキシメチル−4−メトキシ−フェニル)−2−クロロ−ピリミジン(vC)
【0280】
【化55】

【0281】
(vC1)(32.6mmol)及び臭化アリル(ivC)(11.3ml、130.4mmol)の混合物に、KOH(3.65g、65.2mmol)及びTBAI(602mg、1.63mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を40℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、HOでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、HOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物をカラム(EtOAc/ヘキサン:9/1)により精製して、(vC)を得た。
【0282】
(vD)の合成
2−クロロ−4−(3−ニトロ−フェニル)−ピリミジン(vD)
【0283】
【化56】

【0284】
(vD)を、実施例(iiiA)に記載した典型的な鈴木手順によって得た。標題の化合物を淡黄色固体として得た。
【0285】
【表3】

【0286】
(vE)の合成
アリル−[5−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−2−メトキシ−ベンジル]−メチル−アミン(vE)
【0287】
【化57】

【0288】
(iiiC)(0.7g、2.82mmol)のCHCl(15mL)溶液に、N−メチルアリルアミン(ivE)(0.30g、4.22mmol)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。次いで、Na(OAc)BH(1.19g、5.64mmol)を5分間かけて少量ずつ加えた。得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌し、次いで、飽和NHClでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。粗混合物をカラム精製(EtOAc/ヘキサン)して、(vE)0.6gを得た。MS(m/z):304[MH]
【0289】
(vF)の合成
5−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フラン−2−カルバルデヒド(iiiF)
【0290】
【化58】

【0291】
2,4−ジクロロピリミジン(iA)を1,4−ジオキサンに溶かし、その溶液を排気し、Nでパージした。次いで、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)触媒を加え、その系を排気し、Nで再びパージした。(iiE1)及び飽和重炭酸溶液を連続して加え、その溶液を85℃でN下1時間撹拌した。溶液を冷却し、セライトによりろ過し、CHClで3回洗浄した。そのCHCl層を水で洗浄した。水層をCHClで抽出し、合わせたCHCl層をNaSOで乾燥した。溶媒を、減圧下除去した。粗生成物を、ヘキサン中の40%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色固体(iiiF)を60%の収率で得た。MS(m/z)209[M+H]
【0292】
[5−(2−クロロ−ピリミジン−4−イル)−フラン−2−イル]−メタノール(vF1)
【0293】
【化59】

【0294】
化合物(vF1)を、化合物(vC1)について記載した同じ手順を用いて、約70%の収率で得た。MS(m/z)211[M+H]
【0295】
4−(5−アリルオキシメチル−フラン−2−イル)−2−クロロ−ピリミジン(vF)
【0296】
【化60】

【0297】
化合物(vF)を、化合物(vC)について記載した同じ手順を用いて、80%の収率で得た。MS(m/z)251[M+H]
【0298】
(vG)の合成
2−クロロ−4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−ピリミジン(iiiG)
【0299】
【化61】

【0300】
化合物(iiiG)を、化合物(iiiA)について記載した同じ手順を用いて得た。MS(m/z)210[M+H]
【0301】
タイプ(vi)の化合物の合成のための代表的な手順
(viA)の合成
アリル−メチル−(3−ニトロ−ベンジル)−アミン(xA)
【0302】
【化62】

【0303】
3−ニトロベンズアルデヒド(1.5g、9.92mmol)のCHCl(60mL)溶液に、N−メチルアリルアミン(1.19g、12.40mmol)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。次いで、Na(OAc)BH(4.2g、19.85mmol)を5分間かけて少量ずつ加えた。得られた混合物を、周囲温度で一晩撹拌し、次いで、飽和NHClでクエンチした。生成物を、CHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。粗混合物をカラム精製(EtOAc/ヘキサン)して、(xA)1.1gを得た。
【0304】
【表4】

【0305】
3−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニルアミン(viA)
【0306】
【化63】

【0307】
(xA)(0.250g、1.21mmol)のMeOH/CHCl(1:1,10mL)溶液に、SnCl2HO(0.820g、3.6mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、飽和NaCOでクエンチした。生成物を、CHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、HOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(viA)0.153gを得た。
【0308】
【表5】

【0309】
(viB)の合成
(3−ニトロ−フェニル)−メタノール(xB)
【0310】
【化64】

【0311】
3−ニトロベンズアルデヒド(5g、33.1mmol)のMeOH(25mL)溶液に、NaBH(1.25g、33.1mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を30分間撹拌した。反応混合物を、水でクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をHOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、化合物(xB)5gを精製することなく得た。
【0312】
【表6】

【0313】
1−アリルオキシメチル−3−ニトロ−ベンゼン(viB1)
【0314】
【化65】

【0315】
(xB)(5g、32.6mmol)及び臭化アリル(11.3ml、130.4mmol)の混合物に、KOH(3.65g、65.2mmol)及びTBAI(602mg、1.63mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を40℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、HOでクエンチした。生成物を、CHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をHOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物をカラム(EtOAc/ヘキサン:9/1)によって精製して、(viB1)6.3gを得た。
【0316】
【表7】

【0317】
3−アリルオキシメチル−フェニルアミン(viB)
【0318】
【化66】

【0319】
化合物(viB)を、化合物(viA)について記載した同じ手順を用いて得た。
【0320】
【表8】

【0321】
(viC)の合成
ペンタ−4−エン酸(3−ニトロ−フェニル)−アミド(viC1)
【0322】
【化67】

【0323】
CHCl(4mL)中の3−ニトロアニリン(0.433mmol)及びペンタ−4−エン酸(1.30mmol)の混合物に、HOBt(0.234g、1.73mmol)及びEDC(0.332g、1.73mmol)を周囲温度で加えた。得られた混合物を4時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、HOでクエンチした。水性層をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、飽和NaHCOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、(viC1)を得た。
【0324】
ペンタ−4−エン酸(3−アミノ−フェニル)−アミド(viC)
【0325】
【化68】

【0326】
(viC)を、実施例(viA)に記載した還元手順によって得た。標題の化合物を黄色固体として得た。MS(m/z):191[MH]
【0327】
(viD)の合成
2−(2−クロロ−エトキシ)−5−ニトロ−ベンズアルデヒド xxiii
【0328】
【化69】

【0329】
乾燥DMF(15mL)中の(xxi)(1.0g、5.98mmol)及び(xxii)(996μL、11.96mmol)の混合物に、炭酸カリウム(1.64g、11.96mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を、60℃で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、HOでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をHOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、黄色固体(xxiii)1.29gを94%の収率で得た。
【0330】
【表9】

【0331】
アリル−[2−(2−クロロ−エトキシ)−5−ニトロ−ベンジル]−メチル−アミン(xxiv)
【0332】
【化70】

【0333】
中間体(xxiv)を、(xA)についての同じ手順を用いて、(xxiii)から調製した。
【0334】
【表10】

【0335】
アリル−[2−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−5−ニトロ−ベンジル]−メチル−アミン(xxv)
【0336】
【化71】

【0337】
(xxiv)(1g、3.68mmol)のDMA(10mL)溶液に、ジエチルアミン(7.36mmol)を加え、得られた混合物を、60℃で一晩撹拌した。反応混合物を水でクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物をHOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、化合物(xxv)750mgを70%の収率で精製することなく得た。MS(m/z)332[M+H]
【0338】
3−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル−アミン(viD)
【0339】
【化72】

【0340】
中間体(viD)を、(viA)についての同じ手順を用いて、(xxv)から調製した。MS(m/z)292[M+H]
【0341】
化合物タイプ(viii)及び(ix)の合成のための代表的な手順
本発明によって請求された環式化合物(viii)を、スキーム3に説明されたような2工程手順で、タイプ(v)の化合物とタイプ(vi)の化合物との組み合わせにより調製する。タイプ(ix)の化合物は、標準条件下におけるシクロプロパン化によって得ることができる。
【0342】
【化73】

【0343】
示されたスキームにおいて、Ar及びArの両方は、フェニル部分として示されるが、他のアリールは、同様の化学反応を用いることによって入手することができる。以下の実施例は、タイプ(viii)の広範囲の類似体に一般的に適用可能な手順を説明するのに役立つ。
【0344】
化合物1及び化合物20の合成
{3−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニル}−[4−(3−ブタ−3−エニルオキシ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(viiA)
【0345】
【化74】

【0346】
n−ブタノール(15mL)中の(vA)(1.2g、4.49mmol)及び(viA)(1.2g、6.75mmol)の混合物に、1NのHCl(5.0mL)を周囲温度で加え、得られた混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、HOでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を飽和NaHCOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物を、カラム(EtOAc/ヘキサン)により精製して、(viiA)1.20gを得た。
【0347】
【表11】

【0348】
マクロ環実施例1(化合物1)
【0349】
【化75】

【0350】
(viiA)(1.2g、2.99mmol)及びTFA(0.85g、7.49mmol)のCHCl(1000mL)の脱ガス化溶液に、第2世代グラブス触媒(0.254g、0.299mmol)を周囲温度で加えた。得られた混合物を、50℃で一晩撹拌した。反応混合物を冷却し、減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物を分取HPLCにより精製して、(1)0.420gを得た。
【0351】
【表12】

【0352】
マクロ環実施例2(化合物20)
【0353】
【化76】

【0354】
(1)(0.02g)のCHCl(2mL)ジオキサン混合物(1mL)溶液に、5mole%のPd(OAc)を0℃で加えた。次いで、新たに調製したCHのエーテル性溶液をゆっくり加えた。得られた混合物を0℃で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下濃縮して、油状物を得た。その油状物を分取HPLCにより精製して、(20)0.005gを得た。
【0355】
【表13】

【0356】
化合物17の合成
N−アリル−3−[2−(3−アリルオキシメチル−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ベンズアミド(viiB)
【0357】
【化77】

【0358】
化合物(viiB)を、(viiA)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。
【0359】
マクロ環実施例3(化合物17)
【0360】
【化78】

【0361】
化合物(17)を、化合物(1)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。
【0362】
【表14】

【0363】
化合物47の合成
[3−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−[4−(3−アリルオキシメチル−4−メトキシ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(viiC)
【0364】
【化79】

【0365】
化合物(viiC)を、(viiA)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。
【0366】
マクロ環実施例4(化合物47)
【0367】
【化80】

【0368】
化合物(47)を、化合物(1)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。
【0369】
【表15】

【0370】
化合物5の合成
(3−ニトロ−フェニル)−[4−(3−ニトロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(xxvii)
【0371】
【化81】

【0372】
MeOH(15mL)中の(vD)(1.0g、4.24mmol)及びニトロアニリン(0.762g、5.52mmol)の混合物に、1NのHCl(3.0mL)を周囲温度で加え、得られた混合物を75℃で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、HOでクエンチした。生成物をCHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を飽和NaHCOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。粗生成物を沈殿させ、ろ過し、MeOHを用いて洗浄して、白色固体(xxvii)1.15gを得た。MS[m/z]:338(MH)
【0373】
N−[4−(3−アミノ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−ベンゼン−1,3−ジアミン(xxviii)
【0374】
【化82】

【0375】
(xxviii)を、実施例(viA)に記載した手順によって得た。標題の化合物を黄色油状物として76%の収率で得た。MS(m/z):278(MH)
【0376】
ブタ−3−エン酸{3−[2−(3−ブタ−3−エノイルアミノ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−フェニル}−アミド(viiD)
【0377】
【化83】

【0378】
CHCl(4mL)中の(xxviii)(0.12g、0.433mmol)及び(xxix)(110μL、1.30mmol)の混合物に、HOBt(0.234g、1.73mmol)及びEDC(0.332g、1.73mmol)を周囲温度で加えた。得られた混合物を4時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、HOでクエンチした。水層を、CHClで3回抽出し、合わせた有機抽出物を飽和NaHCOで洗浄し、次いで、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下濃縮した。それを、分取HPLCによって精製して、(viiD)72mgを得た。
MS(m/z):414[MH]
【0379】
マクロ環実施例5(化合物5)
【0380】
【化84】

【0381】
化合物(5)を、化合物(1)について記載した閉環メタセシス手順によって得た。標題の化合物を、黄色固体として34%の収率で得た。
【0382】
【表16】

【0383】
化合物8の合成
ペンタ−4−エン酸[(3−(4−{3−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−4−メトキシ−フェニル}−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−アミド(viiE)
【0384】
【化85】

【0385】
(vE)(0.12、0.395mmol)のn−BuOH(3mL)溶液に、(viC)(0.113g、0.593mmol)を周囲温度で加え、得られた混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。粗生成物を、分取HPLCによって精製した。所望の生成物(viiE)を、黄色固体(90mg)として得た。MS(m/z):458[MH]
【0386】
マクロ環実施例6(化合物8)
【0387】
【化86】

【0388】
(8)を、化合物(1)について記載した閉環メタセシス手順によって得た。標題の化合物を、精製後、固体として20%の収率で得た。
【0389】
【表17】

【0390】
化合物62の合成
{3−[(3−アリル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニル}−[4−(5−アリルオキシメチル−フラン−2−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(viiF)
【0391】
【化87】

【0392】
化合物(viiF)を、(viiA)に用いたのと同一の手順を用いて調製して、そのTFA塩を90%の収率で得た。
【0393】
マクロ環実施例7(化合物62)
【0394】
【化88】

【0395】
化合物(62)を、化合物(1)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。化合物(62)を、精製後、TFA塩として50%の収率で単離した。
【0396】
【表18】

【0397】
化合物89の合成
{3−[(3−アリル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニル}−[4−(2−フルオロ−ピリジン−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(viiG1)
【0398】
【化89】

【0399】
化合物(viiG1)を、(viiA)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。
【0400】
{3−[(アリル−メチル−アミノ)−メチル]−フェニル}−[4−(2−ブタ−3−エニルオキシ−ピリジン−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(viiG)
【0401】
【化90】

【0402】
ブタ−3−エン−1−オール(1当量)の無水THF溶液に、鉱油中の60%水素化ナトリウム(1.8当量)を0℃で加えた。その溶液を、0℃で0.5時間撹拌し、次いで、ゆっくり室温まで暖めた。このブタ−3−エン−1−オールのナトリウム塩溶液に、(viiG1)の無水THF溶液を加えた。反応混合物を、還流下12時間加熱し、水でクエンチし、CHClで抽出した。合わせた有機層を、NaSOで乾燥した。蒸発及び分取HPLCによる精製によって、標題の化合物を40%の収率で得た。
【0403】
マクロ環実施例8(化合物89)
【0404】
【化91】

【0405】
化合物(89)を、化合物(1)に用いたのと同一の手順を用いて調製した。
【0406】
【表19】

【0407】
表1に示された化合物を、上述した手順にしたがって合成した。
【0408】
【表20】























































【0409】
類似の手順にしたがい、かつ出発物質を変化させることによって、表2に示された化合物も調製することができる。
【0410】
【表21】











【0411】
生物学的試験
1.インビトロでのキナーゼ活性アッセイ
【0412】
組換え酵素(CDK2/サイクリンA、FLT3、JAK2、及びJAK2 V617F)をInvitrogenから購入した(それぞれ、Cat # PV3267、3182、4210、及び4347)。アッセイは全て、Cambrex(East rutherford, New Jersey)製PKLightアッセイシステムを使用し、384ウェル白色マイクロタイタープレートで実施した。このアッセイプラットフォームは、本質的に、ルシフェラーゼ結合反応を使用する反応で、ATPを検出する発光測定アッセイである。CDK2/サイクリンAアッセイについて、反応混合物は、25μLアッセイ緩衝液(50mM Hepes pH7.5、10mM MgCl、5mM MnCl、5mM BGP、1mM DTT、0.1mM オルトバナジン酸ナトリウム)中、以下の成分:1.4μg/ml CDK2/サイクリンA複合体、0.5μM RbING基質(Invitrogen、Cat # PV2939)、及び0.5μM ATPから構成された。本化合物は、10μMから出発し4倍段階希釈して調製した8濃度で試験した。反応を室温で2時間インキュベートした。PKLight ATP検出試薬13μLを加え、反応を10分間インキュベートし、多標識プレートリーダー(Victor2 V 1420, Perkin-Elmer)で発光シグナルを検出した。他のキナーゼアッセイも、試薬に以下の差異があった以外は同一であった。FLT3アッセイでは、反応は2.0μg/mL FLT3酵素、5μM ポリ(Glu,Tyr)基質(Sigma、Cat # P0275)、及び4μM ATPを含んだ。JAK2アッセイでは、反応は0.6μg/ml JAK2酵素、2μM ポリ(Glu,Ala,Tyr)基質(Sigma、Cat # P3899)、及び0.2μM ATPを含んだ。JAK2 V617F変異体アッセイでは、反応は8.0μg/ml JAK2変異体酵素、2μM ポリ(Glu,Ala,Tyr)基質(Sigma、Cat # P3899)、及び0.2μM ATPを含んだ。分析用ソフトウェアであるPrism 4.0(GraphPad Software Pte Ltd)を使用して、データからIC50値を求めた。IC50は、キナーゼ酵素活性を50%阻害するのに必要な化合物の濃度として定義される。IC50値を下表3に示す。
【0413】
【表22】

【0414】
2.細胞系
本研究で使用した細胞系を下表4に要約する。
【0415】
【表23】

【0416】
3.GI50値を決定する細胞ベース増殖アッセイ
本発明の生物学的効力を以下のアッセイによって実証した。ヒト癌細胞系HL60(急性骨髄性白血病細胞系)、Colo205(結腸腺癌細胞系)、HEL92.1.7(赤白血病細胞系)、MV4−11(急性骨髄性白血病細胞系)及びDU145(転移性前立腺癌細胞系)をATCCから入手した。ATCC作業指示書に従って、それらを培地で培養した。96ウェルプレートに、Colo205及びDU145細胞を、それぞれ、一ウェル当たり5000細胞及び一ウェル当たり1000細胞播種した。96ウェルプレートで、HEL92.1.7及びMV4−11細胞については一ウェル当たり6000細胞播種し、他方HL60細胞については一ウェル当たり8000細胞播種した。プレートを37℃、5%COで24時間インキュベートした。細胞を96時間様々な濃度の化合物で処理した。次いで、Promega (Madison Wisconsin)製Celltiter96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assayを使用し、細胞増殖をモニターした。XL-fit(ID Business Solution, Emeryville, CA)を使用し、用量応答曲線をプロットして化合物のGI50値を決定した。GI50は、細胞増殖を50%阻害するのに必要な化合物の濃度として定義される。本発明の化合物は、下表5に示す通り細胞増殖を阻害した。本発明の化合物は、腫瘍細胞増殖の阻害で活性であることがデータから示唆された。
【0417】
【表24】

【0418】
インビボでの抗新生物(又は抗腫瘍)効果
次いで、インビボ動物異種移植研究を使用して、本発明の化合物の効力を測定することができる。動物異種移植モデルは、インビボ癌モデルで最も一般的に使用されているモデルの一つである。
【0419】
これらの研究で、12〜14週齡の雌の胸腺欠損ヌードマウス(Harlan)には、5×10細胞のMV4−11ヒト二重表現型B骨髄単球性白血病細胞を含むMatrigel(BD Biosciences、1:1)が側腹部皮下に移植されるであろう。腫瘍が100mm3の大きさに達したら、異種移植ヌードマウスを様々な治療群に対にして適合される。選択したキナーゼ阻害薬は、好適なビヒクルに溶解し、21日間毎日、異種移植ヌードマウスの腹腔内に又は経口的に投与されるであろう。投薬量は、0.01ml/g体重である。腫瘍容量は、式:容量(mm3)=(w×l)/2、[式中、MV4−11腫瘍のw=幅及びl=長さ(mm)]を使用し、注射後2日毎に又は週2回計算する。試験する本発明の化合物は、ビヒクルのみで処理した対照と比べて、腫瘍容量で有意な減少を示すはずである。従って、結果は、本発明の化合物が、癌などの増殖性疾患の治療で有効であることを示唆するものである。
【0420】
本発明に記載した具体的実施態様の詳細は、限定するものとしては解釈すべきではない。本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、様々な同等物及び変更をなすことが可能であり、該同等の実施態様も本発明の一部であることは理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


〔式中、
及びRは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、−SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−、及びアシルからなる群からそれぞれ独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
各R、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
各Rは、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
は、結合、O、S、−N(R)−、−N(R)C1−2アルキル−、及び−C1−2アルキルN(R)−からなる群から選択され;
各Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
Ar及びArは、アリール及びヘテロアリールからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
Lは次式:
【化2】


(式中、XはArに結合し、かつXはArに結合し、そして該L基が5〜15原子の直鎖を有するように、X、X、及びYを選択し、
及びXは、それぞれ独立して、場合により置換されているヘテロアルキル基であるが、X及びXが、双方とも直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基ではなく、
Yは、式:−CR=CR−の基又は場合により置換されているシクロアルキル基であり、
式中、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル及びアシルからなる群からそれぞれ独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよいか、又は
及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になった場合、シクロアルケニル基又はシクロヘテロアルケニル基を形成するように結合してもよい)の基である〕
の化合物あるいは薬学的に許容されるその塩、N−オキシド、又はプロドラッグ。
【請求項2】
が、結合、−N(R)−、及び−S−からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−N(R)−である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が−N(H)−である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Arが、次式:
【化3】


〔式中、
、V、V及びVは、N及びC(R10)からなる群からそれぞれ独立して選択され;
Wは、O、S及びN(R10)からなる群から選択され;
及びWは、N及びC(R10)からなる群からそれぞれ独立して選択され;
式中、各R10は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、−SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよく;
、R、R及びRは、請求項1に定義した通りである〕
からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、次式:
【化4】


〔式中、V、V、V、V、W、W及びWは、請求項5に定義した通りであり、かつR、R、R及びRは、請求項1に定義した通りである〕
からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、次式:
【化5】


〔式中、
10は、請求項5に定義した通りであり、
kは、0、1、2、3及び4からなる群から選択される整数であり;
nは、0、1、2及び3からなる群から選択される整数であり;かつ
qは、0、1及び2からなる群から選択される整数である〕
からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Arが、次式:
【化6】


〔式中、R10は、請求項5に定義した通りである〕
からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Arが、次式:
【化7】


〔式中、
、V、V及びVは、N及びC(R11)からなる群からそれぞれ独立して選択され、
式中、各R11は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、−SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい〕
からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、次式:
【化8】


〔式中、
11は、請求項9に定義した通りであり;
oは、0、1、2、3及び4からなる群から選択される整数であり;かつ
pは、0、1、2及び3からなる群から選択される整数である〕
からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、次式:
【化9】


〔式中、各R11は、請求項9に定義した通りである〕
からなる群から選択される基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
該化合物が、次式:
【化10】


〔式中、R、R、R10、R11、k、X、X、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕
である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
又はXの1個が、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、
(a)−OC1−5アルキル−、
(b)−C1−5アルキルO−、及び
(c)−C1−5アルキルOC1−5アルキル
からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、
(a)−OCHCH−、
(b)−OCH−、
(c)−CHO−、
(d)−CHOCH−、及び
(e)−CHCHOCH
からなる群から選択される、請求項14又は15に記載の化合物。
【請求項17】
が、−OCHCH−である、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
が、次式:
(a)−N(R8b)−、
(b)−N(R8b)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8b)C(O)−、
(f)−N(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8b)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)−、
(k)−C(O)N(R8b)C1−5アルキル−、及び
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)C1−5アルキル−
(式中、R8bは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されてよい)からなる群から選択される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(b)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、及び
(c)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)−
(式中、R8bは、請求項18に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項14〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
が、次式:
(a)−CHN(R8b)−、
(b)−CHN(R8b)CH−、
(c)−CHCHCON(R8b)−、及び
(d)−CHCON(R8b)−
(式中、R8bは、請求項18に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項14〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
が、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項22】
が、次式:
(a)−N(R8a)−、
(b)−N(R8a)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8a)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8a)C(O)−、
(f)−N(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8a)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)−、
(k)−C(O)N(R8a)C1−5アルキル−、及び
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
が、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(b)−N(R8a)C(O)C1−5アルキル−、及び
(c)−C(O)N(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、請求項22に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項21又は22に記載の化合物。
【請求項24】
が、次式:
(a)−CHN(R8a)CH−、
(b)−CON(R8a)CH−、及び
(c)−N(R8a)COCH
(式中、R8aは、請求項22に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項21〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
が、
(a)−OC1−5アルキル−、
(b)−C1−5アルキルO−、及び
(c)−C1−5アルキルOC1−5アルキル
からなる群から選択される、請求項21〜24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
が、
(a)−OCHCH−、
(b)−OCH−、
(c)−CHO−、
(d)−CHOCH−、及び
(e)−CHCHOCH
からなる群から選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
も、又はXも、直鎖に少なくとも一個の酸素原子を含むヘテロアルキル基ではない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
が、次式:
(a)−N(R8a)−、
(b)−N(R8a)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8a)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8a)C(O)−、
(f)−N(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8a)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8a)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)−、
(k)−C(O)N(R8a)C1−5アルキル−、及び
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
が、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8a)C1−5アルキル−、
(b)−N(R8a)COC1−5アルキル−、及び
(c)−CON(R8a)C1−5アルキル−
(式中、R8aは、請求項28に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
が、次式:
(a)−NHC(O)CH−、
(b)−NHC(O)CHCH−、及び
(c)−CHN(R8a)CH
(式中、R8aは、請求項26に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項28又は29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
が、次式:
(a)−N(R8b)−、
(b)−N(R8b)C1−5アルキル−、
(c)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(d)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、
(e)−N(R8b)C(O)−、
(f)−N(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(g)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)−、
(h)−C1−5アルキルN(R8b)C(O)C1−5アルキル−、
(i)−C(O)N(R8b)−、
(j)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)−、
(k)−C(O)N(R8b)C1−5アルキル−、
(l)−C1−5アルキルC(O)N(R8b)C1−5アルキル−、
(式中、R8bは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、アシルアミノ、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、−COOH、−COR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、−NHCOOR、−NHCONHR、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、スルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アミノスルホニル、SR、RS(O)R−、RS(O)−、RC(O)N(R)R−、RSON(R)R−、RN(R)C(O)R−、RN(R)SO−、RN(R)C(O)N(R)R−及びアシルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい)からなる群から選択される、請求項28〜30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
が、次式:
(a)−C1−5アルキルN(R8b)−、
(b)−C1−5アルキルN(R8b)C1−5アルキル−、及び
(c)−C1−5アルキルCON(R8b)−
(式中、R8bは、請求項31に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
が、次式:
(a)−CHN(R8b)−、
(b)−CHN(R8b)CH−、
(c)−CHCHCON(R8b)−、
(d)−CHCON(R8b)−
(式中、R8bは、請求項31に定義した通りである)からなる群から選択される、請求項31又は32に記載の化合物。
【請求項34】
次式:
【化11】




〔式中、R、R、R10、R11、k、Y、q及びoは、先に定義した通りである〕からなる群から選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項35】
がHである、請求項1〜34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
が、H及びアルキルからなる群から選択される、請求項1〜35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
がHである、請求項1〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
10が、H、ハロゲン、アミノ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ及びアルコキシアルキルからなる群から選択され、その各々は場合により置換されてもよい、請求項5〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
10が、H、ヒドロキシル、メトキシ、フルオロ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル及び2−モルホリノ−エトキシからなる群から選択され、その各々は場合により置換されていてよい、請求項5〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
各R11が、H、アルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル及びアリールスルホニルオキシからなる群から独立して選択され、その各々は場合により置換されていてよい、請求項9〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
各R11が、下記:
【化12】


からなる群から独立して選択される、請求項9〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
8aが、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルからなる群から選択される、請求項22、23、24、28、29又は30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
8bが、H、アルキル、シクロアルキル、アシル、シクロアルキルアルキル、−COR、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択される、請求項18、19、20、31、32、33及び34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
8bが、H、メチル、シクロプロピルメチル、2−ピリジニル−メチル、シクロプロピル、2−メチル−プロピル、2,2−ジメチル−プロピル、トリフルオロアセチル、−COCHNHCH(CH、及びN−モルホリノ−カルボキシルからなる群から選択される、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
Yが、下記:
【化13】


からなる群から選択される、請求項1〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
Yが、
【化14】


である、請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
Yが、
【化15】


である、請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
Yが、シクロプロピル基である、請求項1〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項49】
任意の置換基が、ハロゲン、=O、=S、−CN、−NO、−CF、−OCF、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロアリール、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキルオキシ、−アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、−COOH、−COR、−C(O)OR、−SH、−SR、−OR、及びアシルからなる群から選択される、請求項1〜48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
次式:
【化16】




















からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、あるいは薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグ。
【請求項51】
請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物、ならびに薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体を含む医薬組成物。
【請求項52】
一種以上のタンパク質キナーゼを阻害する方法であって、請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物の有効量に、一種以上のタンパク質キナーゼ及び/又はその補助因子を曝露する工程を含む方法。
【請求項53】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
該サイクリン依存性キナーゼが、グループI CMCGキナーゼである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
該グループI CMCGキナーゼが、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
該グループI CMCGキナーゼが、CDK2又はそれらの機能性同等物である、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、TYK2、JAK1、JAK2、及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、JAK2又はそれらの機能性同等物である、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
該JAK2が、位置617でのVからFへの変異を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3、及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、FLT3又はそれらの機能性同等物である、請求項63又は63に記載の方法。
【請求項65】
該FLT3が、遺伝子内縦列重複を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
該遺伝子内縦列重複が、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
本化合物に一種以上のタンパク質キナーゼを曝露する工程が、一種以上のタンパク質キナーゼを含む哺乳動物に、本化合物を投与する工程を含む、請求項52〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項69】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
該一種以上のタンパク質キナーゼを阻害するための請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項71】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである、請それぞれ求項70に記載の使用。
【請求項72】
該サイクリン依存性キナーゼが、グループI CMCGキナーゼである、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
該グループI CMCGキナーゼが、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
該グループI CMCGキナーゼが、CDK2又はそれらの機能性同等物である、請求項72又は73に記載の使用。
【請求項75】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである、請求項70に記載の使用。
【請求項76】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、TYK2、JAK1、JAK2、及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項76に記載の使用。
【請求項78】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、JAK2又はそれらの機能性同等物である、請求項76又は77に記載の使用。
【請求項79】
該JAK2が、位置617でのVからFへの変異を含む、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである、請求項75に記載の使用。
【請求項81】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3、及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項80に記載の使用。
【請求項82】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、FLT3又はそれらの機能性同等物である、請求項81に記載の使用。
【請求項83】
該FLT3が、遺伝子内縦列重複を含む、請求項82に記載の使用。
【請求項84】
該遺伝子内縦列重複が、位置592−601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である、請求項83に記載の使用。
【請求項85】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む、請求項70に記載の使用。
【請求項86】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む、請求項85に記載の使用。
【請求項87】
哺乳動物における病気を治療し、又は予防する方法であって、一種以上のタンパク質キナーゼ及び/又はその補助因子を阻害することによって、該病気の病状又は総合的症状を予防し、阻害し、又は改善する方法であり、該方法が、請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物を治療有効量投与する工程を含む方法。
【請求項88】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
該サイクリン依存性キナーゼが、グループI CMCGキナーゼである、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
該グループI CMCGキナーゼが、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
該グループI CMCGキナーゼが、CDK2又はそれらの機能性同等物である、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
該病気が、前立腺癌、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、T細胞白血病、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、筋骨格新生物及びアルツハイマー病からなる群から選択される、請求項88〜91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである、請求項87に記載の方法。
【請求項94】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、TYK2、JAK1、JAK2、及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼがJAK2である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
該JAK2が、位置617でのVからFへの変異を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
該病気が、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、肺性高血圧症、及び網膜変性症からなる群から選択される、請求項93〜97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3、及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、FLT3又はそれらの機能性同等物である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
該FLT3が、遺伝子内縦列重複を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
該遺伝子内縦列重複が、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
該病気が、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、骨髄増殖性疾患、及び慢性骨髄単球性白血病からなる群から選択される、請求項99〜103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項106】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
動物の病状を治療するための薬剤の調製における請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、一種以上のタンパク質キナーゼを阻害することによって、該病気の病状又は総合的症状を予防し、阻害し、又は改善することができる使用。
【請求項108】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、サイクリン依存性タンパク質キナーゼである、請求項107に記載の使用。
【請求項109】
該サイクリン依存性キナーゼが、グループI CMCGキナーゼである、請求項108に記載の使用。
【請求項110】
該グループI CMCGキナーゼが、CDC2Hs、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK9、PCTAIRE1、PCTAIRE2、PCTAIRE3、CAK/MO15、Dm2、Dm2c、Ddcdc2、DdPRK、LmmCRK1、PfC2R、EhC2R、CfCdc2R、cdc2+、CDC28、PHO85、KIN28、FpCdc2、MsCdc2B、及びOsC2R、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項109に記載の使用。
【請求項111】
該グループI CMCGキナーゼが、CDK2又はそれらの機能性同等物である、請求項109又は110に記載の使用。
【請求項112】
該病気が、前立腺癌、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、T細胞白血病、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、筋骨格新生物及びアルツハイマー病からなる群から選択される、請求項108〜111のいずれか一項に記載の使用。
【請求項113】
該タンパク質キナーゼが、タンパク質チロシンキナーゼである、請求項107に記載の使用。
【請求項114】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループVIIタンパク質チロシンキナーゼである、請求項113に記載の使用。
【請求項115】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、TYK2、JAK1、JAK2、及びHOP、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項114に記載の使用。
【請求項116】
該グループVIIタンパク質チロシンキナーゼが、JAK2又はそれらの機能性同等物である、請求項115に記載の使用。
【請求項117】
該JAK2が、位置617でのVからFへの変異を含む、請求項116に記載の使用。
【請求項118】
該病気が、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、肺性高血圧症、及び網膜変性症からなる群から選択される、請求項114〜117のいずれか一項に記載の使用。
【請求項119】
該タンパク質チロシンキナーゼが、グループXIVタンパク質チロシンキナーゼである、請求項113に記載の使用。
【請求項120】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、PDGFR−b、PDGFR−a、CSF1R、c−kit、Flk2、FLT1、FLT2、FLT3、及びFLT4、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される、請求項119に記載の使用。
【請求項121】
該グループXIVタンパク質チロシンキナーゼが、FLT3又はそれらの機能性同等物である、請求項120に記載の使用。
【請求項122】
該FLT3が、遺伝子内縦列重複を含む、請求項121に記載の使用。
【請求項123】
該遺伝子内縦列重複が、位置592〜601のアミノ酸VDFREYEYDHの重複である、請求項122に記載の使用。
【請求項124】
該病気が、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、骨髄増殖性疾患、及び慢性骨髄単球性白血病からなる群から選択される、請求項119〜123のいずれか一項に記載の使用。
【請求項125】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2、あるいはそれらの機能性同等物からなる群から選択される少なくとも2種のキナーゼを含む、請求項107に記載の使用。
【請求項126】
該一種以上のタンパク質キナーゼが、CDK2、FLT3、及びJAK2の全3種、あるいはそれらの機能性同等物を含む、請求項125に記載の使用。
【請求項127】
キナーゼ関連疾患を治療又は予防するための薬剤の調製における、請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項128】
該キナーゼ関連疾患が増殖性疾患である、請求項127に記載の使用。
【請求項129】
該増殖性疾患が、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、急性B細胞白血病、白血球増多症、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、及び筋骨格新生物からなる群から選択される、請求項128に記載の使用。
【請求項130】
該増殖性疾患が骨髄増殖性疾患である、請求項128に記載の使用。
【請求項131】
該骨髄増殖性疾患が、真性多血症、本態性血小板血症、及び特発性骨髄線維症からなる群から選択される、請求項130に記載の使用。
【請求項132】
該増殖性疾患が癌である、請求項128に記載の使用。
【請求項133】
該癌が固形腫瘍である、請求項132に記載の使用。
【請求項134】
該固形腫瘍が、乳房、卵巣、結腸、前立腺、子宮内膜、骨、皮膚、肺、肝臓、膵臓、頸部、脳、神経組織、リンパ組織、血管、膀胱、及び筋肉からなる群から選択される器官又は組織中に存在し、又はそれらから転移する腫瘍である、請求項133に記載の使用。
【請求項135】
該癌が血液癌である、請求項132に記載の使用。
【請求項136】
該血液癌が、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、及びB細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項135に記載の使用。
【請求項137】
該キナーゼ関連疾患が心血管疾患である、請求項127に記載の使用。
【請求項138】
該心血管疾患が、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、及び再狭窄からなる群から選択される、請求項137に記載の使用。
【請求項139】
該キナーゼ関連疾患が、神経変性疾患である、請求項137に記載の使用。
【請求項140】
該神経変性疾患が、アルツハイマー病である、請求項139に記載の使用。
【請求項141】
キナーゼ関連疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1〜50のいずれか一項に記載の化合物を治療有効量投与する工程を含む方法。
【請求項142】
該キナーゼ関連疾患が増殖性疾患である、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
該増殖性疾患が、骨髄増殖性疾患(慢性特発性骨髄線維症、真性多血症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性赤芽球性白血病、急性B細胞白血病、白血球増多症、ホジキン病、B細胞リンパ腫、急性T細胞白血病、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫、骨髄異形成症候群、ケロイド、網膜芽細胞腫、乳房悪性新生物、結腸悪性腫瘍、子宮内膜過形成、骨肉腫、扁平上皮癌、非小細胞肺癌、黒色腫、肝細胞癌、膵臓悪性新生物、骨髄性白血病、子宮頚癌、線維腫、結腸腺癌、神経膠腫、神経膠芽腫、乏突起膠腫、リンパ腫、卵巣癌、再狭窄、星状膠細胞腫、膀胱新生物、及び筋骨格新生物からなる群から選択される、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
該増殖性疾患が骨髄増殖性疾患である、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
該骨髄増殖性疾患が、真性多血症、本態性血小板血症、及び特発性骨髄線維症からなる群から選択される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
該増殖性疾患が癌である、請求項142に記載の方法。
【請求項147】
該癌が固形腫瘍である、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
該固形腫瘍が、乳房、卵巣、結腸、前立腺、子宮内膜、骨、皮膚、肺、肝臓、膵臓、頸部、脳、神経組織、リンパ組織、血管、膀胱、及び筋肉からなる群から選択される器官又は組織中に存在し、又はそれらから転移する腫瘍である、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
該癌が血液癌である、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
該血液癌が、急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、白血球増多症、若年性骨髄単球性白血病、急性B細胞白血病、慢性骨髄性白血病、急性T細胞白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄様化生、慢性骨髄単球性白血病、急性赤芽球性白血病、ホジキン病、及びB細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
該キナーゼ関連疾患が心血管疾患である、請求項141に記載の方法。
【請求項152】
該心血管疾患が、鬱血性心不全、虚血、血栓症、心肥大、及び再狭窄からなる群から選択される、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
該キナーゼ関連疾患が、神経変性疾患である、請求項141に記載の方法。
【請求項154】
該神経変性疾患が、アルツハイマー病である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
請求項1に定義した式Iの化合物の合成法であって、以下の工程:
(a)次式:
【化17】


(式中、R、R、R、R、Z、Ar、Ar、X及びXは、請求項1に定義した通りである)の化合物を準備する工程;
(b)該化合物を閉環メタセシスに付す工程;
(c)場合により、そのようにして形成された二重結合を反応させて、シクロアルキル基を形成する工程
を含む方法。
【請求項156】
工程(b)が、40℃、ジクロロメタン中で、5〜10モル%第2世代グラブス触媒により、該化合物のトリフルオロ酢酸(TFA)塩又は塩酸(HCl)塩を処理する工程を含む、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
工程(c)が、0℃、ジクロロメタン/ジオキサン中で、ジアゾメタン(CH)の新たに調製したエーテル溶液により、該メタセシス生成物を処理する工程を含む、請求項155又は156に記載の方法。

【公表番号】特表2009−517344(P2009−517344A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541129(P2008−541129)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000353
【国際公開番号】WO2007/058628
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(506096349)エス*バイオ プライベート リミティッド (10)
【Fターム(参考)】