ベルトクランプ及びその製造方法
【課題】 結束された被結束物がずれにくいベルトクランプ及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】 ベルトクランプ1のベルト部3におけるワイヤハーネス2との接触面にベルト側摩擦部16を一体に設け、同じくバックル部5におけるワイヤハーネス2との接触面にバックル側摩擦部23を一体に設ける。そして、ワイヤハーネス2を結束したときに、その外表面をベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23による大きな摩擦力で押圧することにより、ワイヤハーネス2が長手方向にずれること(横ずれ)を防止する。
【解決手段】 ベルトクランプ1のベルト部3におけるワイヤハーネス2との接触面にベルト側摩擦部16を一体に設け、同じくバックル部5におけるワイヤハーネス2との接触面にバックル側摩擦部23を一体に設ける。そして、ワイヤハーネス2を結束したときに、その外表面をベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23による大きな摩擦力で押圧することにより、ワイヤハーネス2が長手方向にずれること(横ずれ)を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被結束物を結束した状態で、被取付物に取り付けられるベルトクランプ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両において、ワイヤハーネス(電線束)をボディ等に取り付けるために、ベルトクランプが使用されている。ベルトクランプとして、特許文献1に開示される技術が存している。
【0003】
ベルトクランプを使用してワイヤハーネスをボディに固定する場合、予めワイヤハーネスの所定部分をベルトクランプで結束し、これをボディに取り付ける。このとき、作業者がベルトクランプを引っ張ると、結束されたワイヤハーネスがその長さ方向にずれてしまうという不具合(横ずれ)が発生する。すると、作業者はそのずれを修正してベルトクランプをボディに取り付けなければならないため、新たな作業が必要となる。
【0004】
ベルトクランプがワイヤハーネスを結束する力を大きくすると、ベルトクランプのベルト部がワイヤハーネスの被覆を損傷するおそれがある。このため、ワイヤハーネスの被覆部を損傷しないように横ずれを防止する工夫がなされている。例えば、図11に示される従来のベルトクランプ91では、ワイヤハーネス92を押圧する部分に複数の突起部93,94を設け、これらの突起部93,94がワイヤハーネス92を屈曲させるように交互に押圧することでその横ずれを防止している。
【0005】
近時のワイヤハーネスの被覆部は、PVC(ポリ塩化ビニル)よりなるものと、ノンハロ材(ハロゲンを含まない材料)よりなるものがある。ノンハロ材よりなる被覆部は、PVCよりなる被覆部よりも硬く、突起部で押圧しても横ずれを防止することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−28111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑み、結束された被結束物がずれにくいベルトクランプ及びその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための本発明は、
被取付物に設けられた取付穴に入り込んで係止される係止部にバックル部と長尺状のベルト部が一体に形成され、被結束物を巻き付けた前記ベルト部が、前記バックル部に設けられたベルト挿通孔に挿通されて引っ張られることにより、前記被結束物を結束するベルトクランプにおいて、
前記ベルト部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第1摩擦部が一体に設けられ、
前記バックル部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第2摩擦部が一体に設けられ、
前記ベルト部と前記バックル部は、前記第1及び第2の摩擦部を介し、それらが設けられていない状態の接触面よりも大きな摩擦力で前記被結束物を押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明に係るベルトクランプは、上記したように構成され、ベルト部及びバックル部に第1及び第2の摩擦部が設けられている。被結束物がベルト部に結束されたとき、これらの摩擦部が被結束物と接触する。これらの摩擦部により、被結束物の接触面との摩擦力が大きくなるため、結束状態の被結束物がずれることが防止される。このため、被結束物がワイヤハーネスの場合で、かつその外周面がノンハロ材によって被覆されているものであっても、結束状態のワイヤハーネスが長さ方向にずれること(横ずれ)が生じにくくなる。
【0010】
この第1及び第2の摩擦部は、ベルトクランプのベルト部よりも摩擦力が大きくなるものであれば、エラストマ等の樹脂材や、ゴム、ウレタン等の軟質材であってもよい。
【0011】
前記ベルト部は細長い平板状であり、
前記第1摩擦部は、前記ベルト部における前記被結束物との接触面において、前記ベルト部の長手方向と直交する方向の中央部に帯状に設けられ、
前記バックル部のベルト挿通孔には、前記ベルト部の他端部が挿通されたとき、前記ベルト部の接触面において前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接して支持し、かつその支持状態で前記第1摩擦部の表面と、前記ベルト挿通孔において前記第1摩擦部の表面と対向する内面とが接触しないようにする一対の段部が設けられていることが望ましい。
【0012】
また、前記ベルト挿通孔の入口部分で、前記ベルト部の他端部が挿通されるときにその接触面と対向する部分には、前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接させ、かつ前記第1摩擦部の表面を前記入口部分に接触させないようにする一対のガイド部が設けられていることが望ましい。
【0013】
これにより、被結束物を締め込むためにベルト挿通孔に挿通するときに、ベルト部において第1摩擦部が設けられていない部分である両端部が一対の段部又は一対のガイド部に案内される。しかも、このとき、第1摩擦部の表面とベルト挿通孔の内面とが接触しないようになっている。このため、第1摩擦部がベルト挿通孔の内面と引っ掛からなくなり、ベルト部をスムーズにベルト挿通孔に挿通させることができる。
【0014】
前記第1及び/又は第2の摩擦部の表面に、複数の被結束物が結束されるときに、結束状態における前記被結束物どうしの間に形成される間隙に進入し、該間隙を埋めるための複数の突起部を設けてもよい。
【0015】
そして、このベルトクランプを、
固定型と可動型との対向部分に設けられたキャビティに第1樹脂材を射出して、前記係止部と前記バックル部と前記ベルト部とを一体に成形する第1射出工程と、
前記可動型を型開き方向に移動させ、それによって前記ベルト部における前記被結束物との接触面及び前記バックル部における前記被結束物との接触面と前記固定型との間に生じた隙間に第2樹脂材を射出して、第1及び第2の摩擦部を成形する第2射出工程と、
を含む製造方法によって製造することができる。そして、この製造方法以外(例えば二色成形、別体のものを貼り付ける方法)であっても製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施例のベルトクランプ1の側面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく底面図、(d)はベルト部3の拡大断面図である。
【図2】バックル部5の斜視図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面断面図である。
【図5】ベルト挿通孔4の模式図である。
【図6】(a)は可動型39,41を型閉じする状態の作用説明図、(b)はキャビティ35に第1樹脂材を射出成形する状態の作用説明図である。
【図7】(c)は可動型39,41を後退させる状態の作用説明図、(d)は第2樹脂材をキャビティ42に射出成形する状態の作用説明図である。
【図8】ベルト本体部12をベルト挿通孔4に挿通させた状態の側面断面図である。
【図9】第2実施例のベルトクランプ45のバックル部46の模式図である。
【図10】第3実施例のベルトクランプ52の斜視図である。
【図11】従来のベルトクランプ91の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1の(a)は本発明の実施例のベルトクランプ1の側面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく底面図、(d)はベルト部3の拡大断面図、図2はバックル部5の斜視図、図3は同じく正面図、図4は同じく側面断面図である。
【実施例1】
【0018】
最初に、本実施例のベルトクランプ1の全体構成について説明する。図1に示されるように、ベルトクランプ1は第1樹脂材(例えば、ポリプロピレン)よりなり、被結束物(例えば、図2に示すワイヤハーネス2)の外側面に巻き付けられる長尺状のベルト部3と、ベルト部3の一端部(基端部)を固着し、ベルト部3の他端部(先端部)を挿通させるベルト挿通孔4が設けられたバックル部5と、バックル部5におけるベルト部3と反対の側に設けられ、被取付物(例えば、図3に示す車両のボディパネル6)に設けられた取付穴7に係止される係止部8とを備える。
【0019】
最初に、ベルト部3について説明する。図1に示されるように、ベルトクランプ1は、バックル部5の後端部の上面からその幅(ベルトクランプ1の幅方向をPとする。)とほぼ同一の幅で起立する基端部9と、その途中から幅が連続的に短くなるような傾斜面が両側面部に設けられ、さらに側面視においてバックル部5の後方に向かって湾曲するように形成された傾斜面部11と、傾斜面部11の上端部からバックル部5の上面とほぼ直交する形態で延設された薄い平板よりなる長尺状のベルト本体部12とを備える。このベルト本体部12は、ワイヤハーネス2に巻き付けられた状態で、バックル部5のベルト挿通孔4に挿通される。このため、ベルト本体部12の先端部12aは、ベルト挿通孔4への挿入を容易にするために、正面視において三角形状を呈する先細形状となっている。また、ベルト部3の基端部9、傾斜面部11及びベルト本体部12の先端部12aを除く部分の厚みはほぼ同一であるが、ベルト本体部12の先端部12aの厚みはそれらの厚みよりも薄くなっている。そして、図1の(d)に示されるように、ベルト本体部12の裏面には、ベルト本体部12がバックル部5のベルト挿通孔4に挿通されたときに、ベルト挿通孔4の内部に設けられた係合片13(後述)と係合される多数の係合歯部14が、ベルト本体部12の長手方向に一定の間隔をおいて設けられている。
【0020】
ベルト部3を構成する基端部9、傾斜面部11及びベルト本体部12の表面(接触面)には、ベルト側摩擦部16(第1摩擦部)が一体に設けられている。本実施例のベルト側摩擦部16は、第1樹脂材とは異なる第2樹脂材(例えばエラストマ)よりなり、ベルト部3の接触面の摩擦係数を、接触面が第1樹脂材のみからなる場合の摩擦係数よりも大きくするという機能を有している。このため、ベルト側摩擦部16は、摩擦係数をより大きくするものであれば、ウレタン、ゴム板よりなるものであってもよい。
【0021】
ベルト側摩擦部16は、ベルト部3の基端部9及び傾斜面部11では、それらの接触面のほぼ全面に設けられている。しかし、ベルト部3のベルト本体部12では、傾斜面部11との連結部分から所定長さL1だけその接触面のほぼ全面に設けられ、長さL1の部分の上端から、所定長さL2だけベルト本体部12の接触面における幅方向Pの中央部に帯状に設けられ、その幅方向Pの両端部17,18にはベルト本体部12の第1樹脂材よりなる接触面が露出されている。図3に示されるように、両端部17,18の幅wは等しい。また、ベルト側摩擦部16の幅W1は、両端部17,18の幅wよりも大きい。この両端部17,18は、ベルト本体部12をバックル部5のベルト挿通孔4に進入させ、ベルト本体部12を引っ張ってワイヤハーネス2を締め込むときに、ベルト本体部12をスムーズに滑らせるという機能を有する(後述)。なお、ベルト側摩擦部16のベルト本体部12における長さL1,L2は、ベルトクランプ1が結束可能なワイヤハーネス2の最大外径に基づいて決められる。
【0022】
ベルト側摩擦部16の表面には、ベルト部3における基端部9の部分を除いて多数の突起部19が設けられている。本実施例のベルトクランプ1の場合、幅方向Pに一定間隔をおいて設けられた3つの突起部19が、ベルト側摩擦部16の長さ方向に一定の間隔をおいて並設されている。これらの突起部19は、いずれも同じ円錐台形状となっている。なお、これらの突起部19は、円錐台形状や半球形状のように、頂部の断面積が基部の断面積よりも小さくなった形状や、円柱形状や角柱形状のように、頂部の断面積が基部の断面積と同一となった形状とすることができる。また、被結束物(ワイヤハーネス2)の形状、外径、本数に応じて、それらの大きさ、数、配置等を変更してもよい。
【0023】
次に、バックル部5について説明する。図2及び図3に示されるように、バックル部5は略直方体形状で、正面視におけるそのほぼ中央部に断面略長方形状のベルト挿通孔4が、バックル部5の正面から裏面に貫通する形態で設けられている。バックル部5の上面部(ワイヤハーネス2が支持される面)におけるベルト部3の入口部分の直前の部分には湾曲面21が設けられていて、図3に示されるように、湾曲面21の幅方向Pの長さW2は、ベルト側摩擦部16の幅W1よりも少し大きい。そして、湾曲面21の幅方向Pの両端部には、一対の幅規制部22が湾曲面21よりも前方に突出する形態で設けられている。一対の幅規制部22の前面(正面側)は湾曲している。一対の幅規制部22の外側面は、ベルト挿通孔4の内面と同一面となっている。ベルト挿通孔4の内幅W3は、ベルト本体部12の幅W4(W4=W1+w+w)よりも少し大きい。なお、ベルト摩擦部16の幅W1は、ベルト本体部12の幅W4に対して75〜85%の長さとすることが望ましい。
【0024】
バックル部5における上面部には、ベルト部3に設けられたベルト側摩擦部16と連続するバックル側摩擦部23が一体に設けられている。このバックル側摩擦部23は、バックル部5の上面部のほぼ全面に設けられていて、その表面(上面)には、ベルト側摩擦部16と同様に複数個(本実施例の場合、18個)の突起部24が設けられている。
【0025】
図4及び図5に示されるように、一対の幅規制部22は、そのままベルト挿通孔4の内側にまで延設されている。これにより、ベルト挿通孔4の内面部には、その天井面4aから垂下する一対の段部25が設けられている。ベルト挿通孔4の底面4bから一対の段部25の下端面25aまでの高さH1は、ベルト本体部12の厚みt1よりも少し大きい。また、一対の段部25の下端面25aからベルト挿通孔4の天井面4aまでの高さH2は、ベルト側摩擦部16の厚みとその突起部19の高さとの和t2よりも少し大きい。図5に示されるように、ベルト本体部12がベルト挿通孔4に挿通されたとき、ベルト本体部12の接触面の両端部17,18が、対応する一対の段部25の下端面25aに当接する。この状態で、ベルト挿通孔4の底面4bとベルト本体部12の裏面との間には、隙間e1が形成される。また、ベルト挿通孔4の天井面4aと、ベルト側摩擦部16の各突起部19の頂部との間には、隙間e2が形成される。即ち、ベルト挿通孔4に挿通されたベルト本体部12は、摩擦力の比較的小さい接触面の両端部17,18が、対応するベルト挿通孔4の一対の段部25の下端面25aと当接し、摩擦力の大きいベルト側摩擦部16の各突起部19が、ベルト挿通孔4の天井面4aと接触することはない。
【0026】
さらに、図5に示されるように、ベルト挿通孔4の最大内幅W3は、ベルト本体部12の幅W4よりも大きく、一対の段部25の内幅W2は、ベルト側摩擦部16の幅W1よりも大きい。このため、ベルト本体部12及びベルト側摩擦部16のそれぞれの両側面部とベルト挿通孔4との間にもそれぞれ隙間e3,e4が形成される。これにより、ベルト挿通孔4に挿通されて引っ張られたベルト本体部12は、ベルト挿通孔4内で引っ掛かることなく、スムーズに引っ張られる。
【0027】
図4に示されるように、ベルト挿通孔4の底面4bの後端部は切り欠かれていて、この切欠き部26に係合片13が設けられている。係合片13は、ベルト挿通孔4の底面4bの後端部から後方に延設されていて、その基端部を支点にして撓み変形可能である。即ち、係合片13は、その基端部を中心に、矢印27の方向に回動(弾性変形)可能である。図8に示されるように、ベルト本体部12がワイヤハーネス2を結束したとき、係合歯部14に係合片13が係合することにより、ベルト部3の戻り止めが図られる。
【0028】
次に、係止部8について説明する。係止部8は、バックル部5の底面部から傘状に延設される皿ばね部28と、バックル部5の底面部から下方に向かって延設される係止部本体29と、係止部本体29の両側面部に対称形状になるように設けられた一対の爪部31とを備える。係止部本体29の外側面には、軽量化のための複数の抜穴部29aが設けられている。
【0029】
一対の爪部31は、対称に設けられていることを除いて同一形状であるため、本明細書では図3の図面視における右側の爪部31についてのみ説明する。図3に示されるように、爪部31は、係止部本体29の下端部から斜め上方に延設され、その上端部から階段状に張り出す複数(本実施例の場合、3個)の爪係止片32を備える。爪部31は、その基端部(係止部本体29との連結部)を中心に、矢印33の方向に回動(弾性変形)自在である。
【0030】
ベルトクランプ1は、係止部8が図3に示されるボディパネル6の取付穴7に挿入され、一対の爪部31の爪係止片32がその裏側の内周縁と係止されることによってボディパネル6に取り付けられる。係止部8がボディパネル6の取付穴7に挿入されるとき、爪部31の外側面と取付穴7の内面とが当接し、これによって一対の爪部31が互いに接近する方向に回動して弾性変形する。そして、いずれかの段の爪係止片32が取付穴7を通過した状態で一対の爪部31が逆方向に回動(弾性復元)して、爪係止片32が取付穴7の裏側の内周縁と係止される。このとき、皿ばね部28の下端周縁部が、ボディパネル6の表面(上面)に密着するため、ベルトクランプ1の取付け状態が安定する。
【0031】
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施例のベルトクランプ1の製造方法について説明する。このベルトクランプ1は、射出成形によって製造される。なお、以下の図6及び図7においては、ベルト部3、バックル部5及び係止部8を簡略記載する。
【0032】
図6の(a)に示されるように、固定型34には、ベルト部3とバックル部5と係止部8を成形するためのキャビティ35が形成されている。そして、ベルト部3とバックル部5とを成形する第1樹脂材(例えばポリプロピレン)をキャビティ35に射出する第1スプル36と、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部34とを成形するための第2樹脂材(例えばエラストマ)を射出する第2スプル37が、キャビティ35を越えて、パーティングライン38にまで達するように設けられている。また、可動型は、それぞれ個別に移動可能な第1及び第2の可動型39,41が組み合わさって設けられている。第2可動型41は、第1可動型39の移動方向に対して、斜めに移動する。
【0033】
図6の(b)に示されるように、各可動型39,41が前進して固定型34に密着し、型閉じが行われる。そして、キャビティ35に、第1スプル36から第1樹脂材が射出される。射出された第1樹脂材は、キャビティ35の全体に回り込み、ベルト部3とバックル部5と係止部8が成形される。なお、第2スプル37はバルブゲートとなっており、第1樹脂材が射出されているときは閉塞されている。
【0034】
次に、図7の(c)に示されるように、第1可動型39をそのまま型閉じ状態にして、第2可動型41を型開き方向に所定距離だけ移動させる(コアバック)。すると、第1樹脂材で成形されたベルト部3とバックル部5との成形面(パーティングライン38と同一面)と、第2可動型41との間に新たなキャビティ42が形成される。このキャビティ42に、第2スプル37から第2樹脂材が射出される。射出された第2樹脂材は、キャビティ42の全体に回り込み、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23とが一体にして成形される。
【0035】
図7の(d)に示されるように、第1樹脂材と第2樹脂材が固化すると、各可動型39,41が一体となって後退し(型開き)、固定型34に設けられた突出しピン(図示せず)が突き出され、ベルトクランプ1が固定型34から離型して排出される。
【0036】
本実施例のベルトクランプ1の作用について説明する。図2に示されるように、バックル部5のバックル側摩擦部23に、複数本(例えば3本)のワイヤハーネス2を並べて設置する。作業者は、ベルト部3の基端部9を中心として、ベルト本体部12を、各ワイヤハーネス2を覆うように屈曲させ、その先端部12aをバックル部5のベルト挿通孔4に挿入する。ベルト本体部12の先端部12aが先細形状となっていて、かつその厚みも薄くなっているため、ベルト挿通孔4への挿入が容易である。図5に示されるように、ベルト本体部12の両端部17,18は、バックル部5の一対の幅規制部22の外周面及び一対の段部25の下端面25aに当接して案内される。また、この状態で、ベルト本体部12の両側面は、ベルト挿通孔4の内側面に対して僅かな隙間をもって挿入される。このため、ベルト本体部12が傾いたり、こじたりするおそれはない。
【0037】
このとき、ベルト本体部12に取り付けられたベルト側摩擦部16がベルト挿通孔4に挿入されるようになると、図5に示されるように、ベルト側摩擦部16の両側面は、一対の段部25の内側面から隙間e4をもって、またベルト側摩擦部16の表面(各突起部19の頂部)は、ベルト挿通孔4の天井面4aから隙間e2をもって対向配置される。同様に、ベルト本体部12の両側面は、ベルト挿通孔4の内側面から隙間e3をもって、またベルト本体部12の裏面(ベルト側摩擦部16が取り付けられていない面)は、ベルト挿通孔4の底面4bから隙間e1をもって対向配置される。この結果、ベルト側摩擦部16の各突起部19の頂部が、ベルト挿通孔4の天井面4aに接触することはない。また、ベルト本体部12の裏面が、ベルト挿通孔4の底面4bに接触することもない。これにより、ベルト本体部12はスムーズに引っ張られる。
【0038】
図8に示されるように、各ワイヤハーネス2は、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23とによって上下方向から押圧される。また、各ワイヤハーネス2どうしの間に形成された間隙に、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23とに設けられた突起部19,24が入り込むため、各ワイヤハーネス2とベルト側摩擦部16及びバックル側摩擦部23との接触面積が増加する。しかも、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23の摩擦力は、それらが設けられていないベルト本体部12の接触面の摩擦力よりも大きい。これにより、各ワイヤハーネス2が周方向にずれること、及び長さ方向にずれること(横ずれ)が効果的に抑止される。
【0039】
本明細書では、固定型34及び可動型39,41によって形成されるキャビティ35に第1樹脂材を射出した後、第1及び第2の可動型39,41を後退させて形成したキャビティ42に第2樹脂材を射出することによってベルトクランプ1を成形する場合を説明した。この成形方法の場合、固定型34が1つで済むという利点がある。しかし、第1樹脂材より成形したベルト部3、バックル部5及び係止部8を別の成形型(図示せず)に移送し、別の成形型で第2樹脂材を射出して、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23を成形してもよい(二色成形)。また、第1樹脂材より成形したベルト部3、バックル部5及び係止部8に、別体のベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23を貼り付ける方法であってもよい。
【実施例2】
【0040】
次に、第2実施例のベルトクランプ45のバックル部46について説明する。第1実施例のベルトクランプ1では、ベルト側摩擦部16は、ベルト本体部12における幅方向Pの中央部に帯状に取り付けられていて、その両端部17,18は、バックル部5の一対の幅規制部22の外周面及び一対の段部25の下端面25aに当接される案内面となっている。これに対して、第2実施例のベルトクランプ45では、図9に示されるように、ベルト本体部12における幅方向Pの両端部に一対のベルト側摩擦部47が設けられ、ベルト本体部12における中央部の露出部分が案内面になっている。そして、バックル部5のベルト挿通孔48における幅方向Pの中央部には、一対のベルト側摩擦部47どうしの間に入り込む突条49が設けられている。
【0041】
この実施例のベルトクランプ45であっても、ベルト側摩擦部47の各突起部51の頂部とベルト挿通孔48の天井面48aとの間に隙間が形成されるため、ベルト本体部12はスムーズに引っ張られる。
【実施例3】
【0042】
上記した第1及び第2の実施例のベルトクランプ1,45では、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23のそれぞれに突起部19,24が設けられている。しかし、図10に示される第3実施例のベルトクランプ52のように、ベルト側摩擦部53とバックル側摩擦部54の表面(ワイヤハーネス2との接触面)がフラットなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のベルトクランプは、ワイヤハーネス等の被結束物を結束した状態で車両のボディパネル等の被取付物に取り付けられる場合に、被結束物がずれにくくする(特に、被結束物の長手方向にずれる横ずれを生じにくくする)ベルトクランプとして利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1,45,52 ベルトクランプ
2 ワイヤハーネス(被結束物)
3 ベルト部
4,48 ベルト挿通孔
4a,48a 天井面(内面)
5 バックル部
6 ボディパネル(被取付物)
7 取付穴
8 係止部
16,47,53 ベルト側摩擦部(第1摩擦部)
19,24,51 突起部
21 湾曲面(入口部分)
22 幅規制部(ガイド部)
23,54 バックル側摩擦部(第2摩擦部)
25 段部
34 固定型
35 キャビティ
39,41 可動型
42 キャビティ(隙間)
49 突条(ガイド部)
P 幅方向(直交する方向)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被結束物を結束した状態で、被取付物に取り付けられるベルトクランプ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両において、ワイヤハーネス(電線束)をボディ等に取り付けるために、ベルトクランプが使用されている。ベルトクランプとして、特許文献1に開示される技術が存している。
【0003】
ベルトクランプを使用してワイヤハーネスをボディに固定する場合、予めワイヤハーネスの所定部分をベルトクランプで結束し、これをボディに取り付ける。このとき、作業者がベルトクランプを引っ張ると、結束されたワイヤハーネスがその長さ方向にずれてしまうという不具合(横ずれ)が発生する。すると、作業者はそのずれを修正してベルトクランプをボディに取り付けなければならないため、新たな作業が必要となる。
【0004】
ベルトクランプがワイヤハーネスを結束する力を大きくすると、ベルトクランプのベルト部がワイヤハーネスの被覆を損傷するおそれがある。このため、ワイヤハーネスの被覆部を損傷しないように横ずれを防止する工夫がなされている。例えば、図11に示される従来のベルトクランプ91では、ワイヤハーネス92を押圧する部分に複数の突起部93,94を設け、これらの突起部93,94がワイヤハーネス92を屈曲させるように交互に押圧することでその横ずれを防止している。
【0005】
近時のワイヤハーネスの被覆部は、PVC(ポリ塩化ビニル)よりなるものと、ノンハロ材(ハロゲンを含まない材料)よりなるものがある。ノンハロ材よりなる被覆部は、PVCよりなる被覆部よりも硬く、突起部で押圧しても横ずれを防止することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−28111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑み、結束された被結束物がずれにくいベルトクランプ及びその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための本発明は、
被取付物に設けられた取付穴に入り込んで係止される係止部にバックル部と長尺状のベルト部が一体に形成され、被結束物を巻き付けた前記ベルト部が、前記バックル部に設けられたベルト挿通孔に挿通されて引っ張られることにより、前記被結束物を結束するベルトクランプにおいて、
前記ベルト部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第1摩擦部が一体に設けられ、
前記バックル部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第2摩擦部が一体に設けられ、
前記ベルト部と前記バックル部は、前記第1及び第2の摩擦部を介し、それらが設けられていない状態の接触面よりも大きな摩擦力で前記被結束物を押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明に係るベルトクランプは、上記したように構成され、ベルト部及びバックル部に第1及び第2の摩擦部が設けられている。被結束物がベルト部に結束されたとき、これらの摩擦部が被結束物と接触する。これらの摩擦部により、被結束物の接触面との摩擦力が大きくなるため、結束状態の被結束物がずれることが防止される。このため、被結束物がワイヤハーネスの場合で、かつその外周面がノンハロ材によって被覆されているものであっても、結束状態のワイヤハーネスが長さ方向にずれること(横ずれ)が生じにくくなる。
【0010】
この第1及び第2の摩擦部は、ベルトクランプのベルト部よりも摩擦力が大きくなるものであれば、エラストマ等の樹脂材や、ゴム、ウレタン等の軟質材であってもよい。
【0011】
前記ベルト部は細長い平板状であり、
前記第1摩擦部は、前記ベルト部における前記被結束物との接触面において、前記ベルト部の長手方向と直交する方向の中央部に帯状に設けられ、
前記バックル部のベルト挿通孔には、前記ベルト部の他端部が挿通されたとき、前記ベルト部の接触面において前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接して支持し、かつその支持状態で前記第1摩擦部の表面と、前記ベルト挿通孔において前記第1摩擦部の表面と対向する内面とが接触しないようにする一対の段部が設けられていることが望ましい。
【0012】
また、前記ベルト挿通孔の入口部分で、前記ベルト部の他端部が挿通されるときにその接触面と対向する部分には、前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接させ、かつ前記第1摩擦部の表面を前記入口部分に接触させないようにする一対のガイド部が設けられていることが望ましい。
【0013】
これにより、被結束物を締め込むためにベルト挿通孔に挿通するときに、ベルト部において第1摩擦部が設けられていない部分である両端部が一対の段部又は一対のガイド部に案内される。しかも、このとき、第1摩擦部の表面とベルト挿通孔の内面とが接触しないようになっている。このため、第1摩擦部がベルト挿通孔の内面と引っ掛からなくなり、ベルト部をスムーズにベルト挿通孔に挿通させることができる。
【0014】
前記第1及び/又は第2の摩擦部の表面に、複数の被結束物が結束されるときに、結束状態における前記被結束物どうしの間に形成される間隙に進入し、該間隙を埋めるための複数の突起部を設けてもよい。
【0015】
そして、このベルトクランプを、
固定型と可動型との対向部分に設けられたキャビティに第1樹脂材を射出して、前記係止部と前記バックル部と前記ベルト部とを一体に成形する第1射出工程と、
前記可動型を型開き方向に移動させ、それによって前記ベルト部における前記被結束物との接触面及び前記バックル部における前記被結束物との接触面と前記固定型との間に生じた隙間に第2樹脂材を射出して、第1及び第2の摩擦部を成形する第2射出工程と、
を含む製造方法によって製造することができる。そして、この製造方法以外(例えば二色成形、別体のものを貼り付ける方法)であっても製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の実施例のベルトクランプ1の側面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく底面図、(d)はベルト部3の拡大断面図である。
【図2】バックル部5の斜視図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面断面図である。
【図5】ベルト挿通孔4の模式図である。
【図6】(a)は可動型39,41を型閉じする状態の作用説明図、(b)はキャビティ35に第1樹脂材を射出成形する状態の作用説明図である。
【図7】(c)は可動型39,41を後退させる状態の作用説明図、(d)は第2樹脂材をキャビティ42に射出成形する状態の作用説明図である。
【図8】ベルト本体部12をベルト挿通孔4に挿通させた状態の側面断面図である。
【図9】第2実施例のベルトクランプ45のバックル部46の模式図である。
【図10】第3実施例のベルトクランプ52の斜視図である。
【図11】従来のベルトクランプ91の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1の(a)は本発明の実施例のベルトクランプ1の側面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく底面図、(d)はベルト部3の拡大断面図、図2はバックル部5の斜視図、図3は同じく正面図、図4は同じく側面断面図である。
【実施例1】
【0018】
最初に、本実施例のベルトクランプ1の全体構成について説明する。図1に示されるように、ベルトクランプ1は第1樹脂材(例えば、ポリプロピレン)よりなり、被結束物(例えば、図2に示すワイヤハーネス2)の外側面に巻き付けられる長尺状のベルト部3と、ベルト部3の一端部(基端部)を固着し、ベルト部3の他端部(先端部)を挿通させるベルト挿通孔4が設けられたバックル部5と、バックル部5におけるベルト部3と反対の側に設けられ、被取付物(例えば、図3に示す車両のボディパネル6)に設けられた取付穴7に係止される係止部8とを備える。
【0019】
最初に、ベルト部3について説明する。図1に示されるように、ベルトクランプ1は、バックル部5の後端部の上面からその幅(ベルトクランプ1の幅方向をPとする。)とほぼ同一の幅で起立する基端部9と、その途中から幅が連続的に短くなるような傾斜面が両側面部に設けられ、さらに側面視においてバックル部5の後方に向かって湾曲するように形成された傾斜面部11と、傾斜面部11の上端部からバックル部5の上面とほぼ直交する形態で延設された薄い平板よりなる長尺状のベルト本体部12とを備える。このベルト本体部12は、ワイヤハーネス2に巻き付けられた状態で、バックル部5のベルト挿通孔4に挿通される。このため、ベルト本体部12の先端部12aは、ベルト挿通孔4への挿入を容易にするために、正面視において三角形状を呈する先細形状となっている。また、ベルト部3の基端部9、傾斜面部11及びベルト本体部12の先端部12aを除く部分の厚みはほぼ同一であるが、ベルト本体部12の先端部12aの厚みはそれらの厚みよりも薄くなっている。そして、図1の(d)に示されるように、ベルト本体部12の裏面には、ベルト本体部12がバックル部5のベルト挿通孔4に挿通されたときに、ベルト挿通孔4の内部に設けられた係合片13(後述)と係合される多数の係合歯部14が、ベルト本体部12の長手方向に一定の間隔をおいて設けられている。
【0020】
ベルト部3を構成する基端部9、傾斜面部11及びベルト本体部12の表面(接触面)には、ベルト側摩擦部16(第1摩擦部)が一体に設けられている。本実施例のベルト側摩擦部16は、第1樹脂材とは異なる第2樹脂材(例えばエラストマ)よりなり、ベルト部3の接触面の摩擦係数を、接触面が第1樹脂材のみからなる場合の摩擦係数よりも大きくするという機能を有している。このため、ベルト側摩擦部16は、摩擦係数をより大きくするものであれば、ウレタン、ゴム板よりなるものであってもよい。
【0021】
ベルト側摩擦部16は、ベルト部3の基端部9及び傾斜面部11では、それらの接触面のほぼ全面に設けられている。しかし、ベルト部3のベルト本体部12では、傾斜面部11との連結部分から所定長さL1だけその接触面のほぼ全面に設けられ、長さL1の部分の上端から、所定長さL2だけベルト本体部12の接触面における幅方向Pの中央部に帯状に設けられ、その幅方向Pの両端部17,18にはベルト本体部12の第1樹脂材よりなる接触面が露出されている。図3に示されるように、両端部17,18の幅wは等しい。また、ベルト側摩擦部16の幅W1は、両端部17,18の幅wよりも大きい。この両端部17,18は、ベルト本体部12をバックル部5のベルト挿通孔4に進入させ、ベルト本体部12を引っ張ってワイヤハーネス2を締め込むときに、ベルト本体部12をスムーズに滑らせるという機能を有する(後述)。なお、ベルト側摩擦部16のベルト本体部12における長さL1,L2は、ベルトクランプ1が結束可能なワイヤハーネス2の最大外径に基づいて決められる。
【0022】
ベルト側摩擦部16の表面には、ベルト部3における基端部9の部分を除いて多数の突起部19が設けられている。本実施例のベルトクランプ1の場合、幅方向Pに一定間隔をおいて設けられた3つの突起部19が、ベルト側摩擦部16の長さ方向に一定の間隔をおいて並設されている。これらの突起部19は、いずれも同じ円錐台形状となっている。なお、これらの突起部19は、円錐台形状や半球形状のように、頂部の断面積が基部の断面積よりも小さくなった形状や、円柱形状や角柱形状のように、頂部の断面積が基部の断面積と同一となった形状とすることができる。また、被結束物(ワイヤハーネス2)の形状、外径、本数に応じて、それらの大きさ、数、配置等を変更してもよい。
【0023】
次に、バックル部5について説明する。図2及び図3に示されるように、バックル部5は略直方体形状で、正面視におけるそのほぼ中央部に断面略長方形状のベルト挿通孔4が、バックル部5の正面から裏面に貫通する形態で設けられている。バックル部5の上面部(ワイヤハーネス2が支持される面)におけるベルト部3の入口部分の直前の部分には湾曲面21が設けられていて、図3に示されるように、湾曲面21の幅方向Pの長さW2は、ベルト側摩擦部16の幅W1よりも少し大きい。そして、湾曲面21の幅方向Pの両端部には、一対の幅規制部22が湾曲面21よりも前方に突出する形態で設けられている。一対の幅規制部22の前面(正面側)は湾曲している。一対の幅規制部22の外側面は、ベルト挿通孔4の内面と同一面となっている。ベルト挿通孔4の内幅W3は、ベルト本体部12の幅W4(W4=W1+w+w)よりも少し大きい。なお、ベルト摩擦部16の幅W1は、ベルト本体部12の幅W4に対して75〜85%の長さとすることが望ましい。
【0024】
バックル部5における上面部には、ベルト部3に設けられたベルト側摩擦部16と連続するバックル側摩擦部23が一体に設けられている。このバックル側摩擦部23は、バックル部5の上面部のほぼ全面に設けられていて、その表面(上面)には、ベルト側摩擦部16と同様に複数個(本実施例の場合、18個)の突起部24が設けられている。
【0025】
図4及び図5に示されるように、一対の幅規制部22は、そのままベルト挿通孔4の内側にまで延設されている。これにより、ベルト挿通孔4の内面部には、その天井面4aから垂下する一対の段部25が設けられている。ベルト挿通孔4の底面4bから一対の段部25の下端面25aまでの高さH1は、ベルト本体部12の厚みt1よりも少し大きい。また、一対の段部25の下端面25aからベルト挿通孔4の天井面4aまでの高さH2は、ベルト側摩擦部16の厚みとその突起部19の高さとの和t2よりも少し大きい。図5に示されるように、ベルト本体部12がベルト挿通孔4に挿通されたとき、ベルト本体部12の接触面の両端部17,18が、対応する一対の段部25の下端面25aに当接する。この状態で、ベルト挿通孔4の底面4bとベルト本体部12の裏面との間には、隙間e1が形成される。また、ベルト挿通孔4の天井面4aと、ベルト側摩擦部16の各突起部19の頂部との間には、隙間e2が形成される。即ち、ベルト挿通孔4に挿通されたベルト本体部12は、摩擦力の比較的小さい接触面の両端部17,18が、対応するベルト挿通孔4の一対の段部25の下端面25aと当接し、摩擦力の大きいベルト側摩擦部16の各突起部19が、ベルト挿通孔4の天井面4aと接触することはない。
【0026】
さらに、図5に示されるように、ベルト挿通孔4の最大内幅W3は、ベルト本体部12の幅W4よりも大きく、一対の段部25の内幅W2は、ベルト側摩擦部16の幅W1よりも大きい。このため、ベルト本体部12及びベルト側摩擦部16のそれぞれの両側面部とベルト挿通孔4との間にもそれぞれ隙間e3,e4が形成される。これにより、ベルト挿通孔4に挿通されて引っ張られたベルト本体部12は、ベルト挿通孔4内で引っ掛かることなく、スムーズに引っ張られる。
【0027】
図4に示されるように、ベルト挿通孔4の底面4bの後端部は切り欠かれていて、この切欠き部26に係合片13が設けられている。係合片13は、ベルト挿通孔4の底面4bの後端部から後方に延設されていて、その基端部を支点にして撓み変形可能である。即ち、係合片13は、その基端部を中心に、矢印27の方向に回動(弾性変形)可能である。図8に示されるように、ベルト本体部12がワイヤハーネス2を結束したとき、係合歯部14に係合片13が係合することにより、ベルト部3の戻り止めが図られる。
【0028】
次に、係止部8について説明する。係止部8は、バックル部5の底面部から傘状に延設される皿ばね部28と、バックル部5の底面部から下方に向かって延設される係止部本体29と、係止部本体29の両側面部に対称形状になるように設けられた一対の爪部31とを備える。係止部本体29の外側面には、軽量化のための複数の抜穴部29aが設けられている。
【0029】
一対の爪部31は、対称に設けられていることを除いて同一形状であるため、本明細書では図3の図面視における右側の爪部31についてのみ説明する。図3に示されるように、爪部31は、係止部本体29の下端部から斜め上方に延設され、その上端部から階段状に張り出す複数(本実施例の場合、3個)の爪係止片32を備える。爪部31は、その基端部(係止部本体29との連結部)を中心に、矢印33の方向に回動(弾性変形)自在である。
【0030】
ベルトクランプ1は、係止部8が図3に示されるボディパネル6の取付穴7に挿入され、一対の爪部31の爪係止片32がその裏側の内周縁と係止されることによってボディパネル6に取り付けられる。係止部8がボディパネル6の取付穴7に挿入されるとき、爪部31の外側面と取付穴7の内面とが当接し、これによって一対の爪部31が互いに接近する方向に回動して弾性変形する。そして、いずれかの段の爪係止片32が取付穴7を通過した状態で一対の爪部31が逆方向に回動(弾性復元)して、爪係止片32が取付穴7の裏側の内周縁と係止される。このとき、皿ばね部28の下端周縁部が、ボディパネル6の表面(上面)に密着するため、ベルトクランプ1の取付け状態が安定する。
【0031】
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施例のベルトクランプ1の製造方法について説明する。このベルトクランプ1は、射出成形によって製造される。なお、以下の図6及び図7においては、ベルト部3、バックル部5及び係止部8を簡略記載する。
【0032】
図6の(a)に示されるように、固定型34には、ベルト部3とバックル部5と係止部8を成形するためのキャビティ35が形成されている。そして、ベルト部3とバックル部5とを成形する第1樹脂材(例えばポリプロピレン)をキャビティ35に射出する第1スプル36と、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部34とを成形するための第2樹脂材(例えばエラストマ)を射出する第2スプル37が、キャビティ35を越えて、パーティングライン38にまで達するように設けられている。また、可動型は、それぞれ個別に移動可能な第1及び第2の可動型39,41が組み合わさって設けられている。第2可動型41は、第1可動型39の移動方向に対して、斜めに移動する。
【0033】
図6の(b)に示されるように、各可動型39,41が前進して固定型34に密着し、型閉じが行われる。そして、キャビティ35に、第1スプル36から第1樹脂材が射出される。射出された第1樹脂材は、キャビティ35の全体に回り込み、ベルト部3とバックル部5と係止部8が成形される。なお、第2スプル37はバルブゲートとなっており、第1樹脂材が射出されているときは閉塞されている。
【0034】
次に、図7の(c)に示されるように、第1可動型39をそのまま型閉じ状態にして、第2可動型41を型開き方向に所定距離だけ移動させる(コアバック)。すると、第1樹脂材で成形されたベルト部3とバックル部5との成形面(パーティングライン38と同一面)と、第2可動型41との間に新たなキャビティ42が形成される。このキャビティ42に、第2スプル37から第2樹脂材が射出される。射出された第2樹脂材は、キャビティ42の全体に回り込み、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23とが一体にして成形される。
【0035】
図7の(d)に示されるように、第1樹脂材と第2樹脂材が固化すると、各可動型39,41が一体となって後退し(型開き)、固定型34に設けられた突出しピン(図示せず)が突き出され、ベルトクランプ1が固定型34から離型して排出される。
【0036】
本実施例のベルトクランプ1の作用について説明する。図2に示されるように、バックル部5のバックル側摩擦部23に、複数本(例えば3本)のワイヤハーネス2を並べて設置する。作業者は、ベルト部3の基端部9を中心として、ベルト本体部12を、各ワイヤハーネス2を覆うように屈曲させ、その先端部12aをバックル部5のベルト挿通孔4に挿入する。ベルト本体部12の先端部12aが先細形状となっていて、かつその厚みも薄くなっているため、ベルト挿通孔4への挿入が容易である。図5に示されるように、ベルト本体部12の両端部17,18は、バックル部5の一対の幅規制部22の外周面及び一対の段部25の下端面25aに当接して案内される。また、この状態で、ベルト本体部12の両側面は、ベルト挿通孔4の内側面に対して僅かな隙間をもって挿入される。このため、ベルト本体部12が傾いたり、こじたりするおそれはない。
【0037】
このとき、ベルト本体部12に取り付けられたベルト側摩擦部16がベルト挿通孔4に挿入されるようになると、図5に示されるように、ベルト側摩擦部16の両側面は、一対の段部25の内側面から隙間e4をもって、またベルト側摩擦部16の表面(各突起部19の頂部)は、ベルト挿通孔4の天井面4aから隙間e2をもって対向配置される。同様に、ベルト本体部12の両側面は、ベルト挿通孔4の内側面から隙間e3をもって、またベルト本体部12の裏面(ベルト側摩擦部16が取り付けられていない面)は、ベルト挿通孔4の底面4bから隙間e1をもって対向配置される。この結果、ベルト側摩擦部16の各突起部19の頂部が、ベルト挿通孔4の天井面4aに接触することはない。また、ベルト本体部12の裏面が、ベルト挿通孔4の底面4bに接触することもない。これにより、ベルト本体部12はスムーズに引っ張られる。
【0038】
図8に示されるように、各ワイヤハーネス2は、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23とによって上下方向から押圧される。また、各ワイヤハーネス2どうしの間に形成された間隙に、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23とに設けられた突起部19,24が入り込むため、各ワイヤハーネス2とベルト側摩擦部16及びバックル側摩擦部23との接触面積が増加する。しかも、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23の摩擦力は、それらが設けられていないベルト本体部12の接触面の摩擦力よりも大きい。これにより、各ワイヤハーネス2が周方向にずれること、及び長さ方向にずれること(横ずれ)が効果的に抑止される。
【0039】
本明細書では、固定型34及び可動型39,41によって形成されるキャビティ35に第1樹脂材を射出した後、第1及び第2の可動型39,41を後退させて形成したキャビティ42に第2樹脂材を射出することによってベルトクランプ1を成形する場合を説明した。この成形方法の場合、固定型34が1つで済むという利点がある。しかし、第1樹脂材より成形したベルト部3、バックル部5及び係止部8を別の成形型(図示せず)に移送し、別の成形型で第2樹脂材を射出して、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23を成形してもよい(二色成形)。また、第1樹脂材より成形したベルト部3、バックル部5及び係止部8に、別体のベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23を貼り付ける方法であってもよい。
【実施例2】
【0040】
次に、第2実施例のベルトクランプ45のバックル部46について説明する。第1実施例のベルトクランプ1では、ベルト側摩擦部16は、ベルト本体部12における幅方向Pの中央部に帯状に取り付けられていて、その両端部17,18は、バックル部5の一対の幅規制部22の外周面及び一対の段部25の下端面25aに当接される案内面となっている。これに対して、第2実施例のベルトクランプ45では、図9に示されるように、ベルト本体部12における幅方向Pの両端部に一対のベルト側摩擦部47が設けられ、ベルト本体部12における中央部の露出部分が案内面になっている。そして、バックル部5のベルト挿通孔48における幅方向Pの中央部には、一対のベルト側摩擦部47どうしの間に入り込む突条49が設けられている。
【0041】
この実施例のベルトクランプ45であっても、ベルト側摩擦部47の各突起部51の頂部とベルト挿通孔48の天井面48aとの間に隙間が形成されるため、ベルト本体部12はスムーズに引っ張られる。
【実施例3】
【0042】
上記した第1及び第2の実施例のベルトクランプ1,45では、ベルト側摩擦部16とバックル側摩擦部23のそれぞれに突起部19,24が設けられている。しかし、図10に示される第3実施例のベルトクランプ52のように、ベルト側摩擦部53とバックル側摩擦部54の表面(ワイヤハーネス2との接触面)がフラットなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のベルトクランプは、ワイヤハーネス等の被結束物を結束した状態で車両のボディパネル等の被取付物に取り付けられる場合に、被結束物がずれにくくする(特に、被結束物の長手方向にずれる横ずれを生じにくくする)ベルトクランプとして利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1,45,52 ベルトクランプ
2 ワイヤハーネス(被結束物)
3 ベルト部
4,48 ベルト挿通孔
4a,48a 天井面(内面)
5 バックル部
6 ボディパネル(被取付物)
7 取付穴
8 係止部
16,47,53 ベルト側摩擦部(第1摩擦部)
19,24,51 突起部
21 湾曲面(入口部分)
22 幅規制部(ガイド部)
23,54 バックル側摩擦部(第2摩擦部)
25 段部
34 固定型
35 キャビティ
39,41 可動型
42 キャビティ(隙間)
49 突条(ガイド部)
P 幅方向(直交する方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付物に設けられた取付穴に入り込んで係止される係止部にバックル部と長尺状のベルト部が一体に形成され、被結束物を巻き付けた前記ベルト部が、前記バックル部に設けられたベルト挿通孔に挿通されて引っ張られることにより、前記被結束物を結束するベルトクランプにおいて、
前記ベルト部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第1摩擦部が一体に設けられ、
前記バックル部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第2摩擦部が一体に設けられ、
前記ベルト部と前記バックル部は、前記第1及び第2の摩擦部を介し、それらが設けられていない状態の接触面よりも大きな摩擦力で前記被結束物を押圧することを特徴とするベルトクランプ。
【請求項2】
前記ベルト部は細長い平板状であり、
前記第1摩擦部は、前記ベルト部における前記被結束物との接触面において、前記ベルト部の長手方向と直交する方向の中央部に帯状に設けられ、
前記バックル部のベルト挿通孔には、前記ベルト部の他端部が挿通されたとき、前記ベルト部の接触面において前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接して支持し、かつその支持状態で前記第1摩擦部の表面と、前記ベルト挿通孔において前記第1摩擦部の表面と対向する内面とが接触しないようにする一対の段部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベルトクランプ。
【請求項3】
前記ベルト挿通孔の入口部分で、前記ベルト部の他端部が挿通されるときにその接触面と対向する部分には、前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接させ、かつ前記第1摩擦部の表面を前記入口部分に接触させないようにする一対のガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のベルトクランプ。
【請求項4】
前記一対のガイド部は前記一対の段部と連続して設けられていることを特徴とする請求項3に記載のベルトクランプ。
【請求項5】
前記第1摩擦部と前記第2摩擦部とは、一体に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルトクランプ。
【請求項6】
前記第1及び/又は第2の摩擦部の表面には、複数の被結束物が結束されるときに、結束状態における前記被結束物どうしの間に形成される間隙に進入し、該間隙を埋めるための複数の突起部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のベルトクランプ。
【請求項7】
請求項1に記載のベルトクランプの製造方法であって、
固定型と可動型との対向部分に設けられたキャビティに第1樹脂材を射出して、前記係止部と前記バックル部と前記ベルト部とを一体に成形する第1射出工程と、
前記可動型を型開き方向に移動させ、それによって前記ベルト部における前記被結束物との接触面及び前記バックル部における前記被結束物との接触面と前記固定型との間に生じた隙間に第2樹脂材を射出して、第1及び第2の摩擦部を成形する第2射出工程と、
を含むことを特徴とするベルトクランプの製造方法。
【請求項1】
被取付物に設けられた取付穴に入り込んで係止される係止部にバックル部と長尺状のベルト部が一体に形成され、被結束物を巻き付けた前記ベルト部が、前記バックル部に設けられたベルト挿通孔に挿通されて引っ張られることにより、前記被結束物を結束するベルトクランプにおいて、
前記ベルト部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第1摩擦部が一体に設けられ、
前記バックル部における前記被結束物と接触する接触面には、ゴム又は軟質の樹脂材料からなる第2摩擦部が一体に設けられ、
前記ベルト部と前記バックル部は、前記第1及び第2の摩擦部を介し、それらが設けられていない状態の接触面よりも大きな摩擦力で前記被結束物を押圧することを特徴とするベルトクランプ。
【請求項2】
前記ベルト部は細長い平板状であり、
前記第1摩擦部は、前記ベルト部における前記被結束物との接触面において、前記ベルト部の長手方向と直交する方向の中央部に帯状に設けられ、
前記バックル部のベルト挿通孔には、前記ベルト部の他端部が挿通されたとき、前記ベルト部の接触面において前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接して支持し、かつその支持状態で前記第1摩擦部の表面と、前記ベルト挿通孔において前記第1摩擦部の表面と対向する内面とが接触しないようにする一対の段部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベルトクランプ。
【請求項3】
前記ベルト挿通孔の入口部分で、前記ベルト部の他端部が挿通されるときにその接触面と対向する部分には、前記第1摩擦部が設けられていない部分である両端部を当接させ、かつ前記第1摩擦部の表面を前記入口部分に接触させないようにする一対のガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のベルトクランプ。
【請求項4】
前記一対のガイド部は前記一対の段部と連続して設けられていることを特徴とする請求項3に記載のベルトクランプ。
【請求項5】
前記第1摩擦部と前記第2摩擦部とは、一体に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルトクランプ。
【請求項6】
前記第1及び/又は第2の摩擦部の表面には、複数の被結束物が結束されるときに、結束状態における前記被結束物どうしの間に形成される間隙に進入し、該間隙を埋めるための複数の突起部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のベルトクランプ。
【請求項7】
請求項1に記載のベルトクランプの製造方法であって、
固定型と可動型との対向部分に設けられたキャビティに第1樹脂材を射出して、前記係止部と前記バックル部と前記ベルト部とを一体に成形する第1射出工程と、
前記可動型を型開き方向に移動させ、それによって前記ベルト部における前記被結束物との接触面及び前記バックル部における前記被結束物との接触面と前記固定型との間に生じた隙間に第2樹脂材を射出して、第1及び第2の摩擦部を成形する第2射出工程と、
を含むことを特徴とするベルトクランプの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【公開番号】特開2012−137165(P2012−137165A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291430(P2010−291430)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(308011351)大和化成工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(308011351)大和化成工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
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