説明

ベルト付クランプ及びワイヤハーネス

【課題】コルゲートチューブに巻き付けられるベルトを有するベルト付クランプにおいて、コルゲートチューブに対するベルトの滑りを防止し、さらに、コルゲートチューブ内のケーブルの歪みを防止すること。
【解決手段】ベルト付クランプ1において、コルゲートチューブに巻き付けられたときに内側面となるベルト30の第一面301には、第一凸部32及び第二凸部33が形成されている。第一凸部32は、第一面301の少なくとも一部の領域を幅方向に二分する帯状の中央領域300に突起して形成され、ベルト30がコルゲートチューブに巻き付けられることによりコルゲートチューブの外周の凹部に嵌り込む。複数の第二凸部33は、第一面301における中央領域300に対して幅方向の両外側に第一凸部32よりも低くかつ細く突起して形成され、コルゲートチューブの外周の凸部に食い込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト付クランプ及びそれを備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動車などの車両における通信システムにおいて、音楽及び映像などに関するデータサイズの大きなデジタルデータの伝送に適した光ファイバが採用されつつある。しかしながら、光ファイバケーブルは、電線に比べ、性能を維持するために許容される歪みの程度が小さい。即ち、光ファイバは、比較的大きな曲率(小さな曲げ半径で)で曲げられた場合、或いは細い突起部もしくは角部によって局所的に押さえられた場合、信号の伝送効率が著しく悪化する。そのため、ワイヤハーネスが備えるケーブル束が光ファイバケーブルを含む場合、光ファイバケーブルの局所的な歪みを防ぐことが重要となる。
【0003】
一方、車両に搭載されるワイヤハーネスにおいて、ケーブルが、振動などにより周囲の部材に接触することが原因で破損しないように、可撓性を有するコルゲートチューブが、ケーブル束に取り付けられる。コルゲートチューブは、いわゆる蛇腹構造を有することによって長手方向における柔軟性を有する筒状の部材である。蛇腹構造は、外周面に周方向に沿う複数の凹み部が長手方向に並んで形成された構造である。
【0004】
コルゲートチューブには、通常、その長手方向全体に渡る一連の切れ目が形成されている。コルゲートチューブは、所定の治具を用いて切れ目の両側へ拡げられることによって長手方向全体に渡る隙間が形成され、ケーブルは、その隙間からコルゲートチューブ内へ挿入される。
【0005】
ワイヤハーネスにおいて、光ファイバがケーブル束に含まれる場合、ケーブル束をコルゲートチューブで保護することが有効である。コルゲートチューブは、ケーブルが局所的に大きな曲率で曲がることを防ぐとともに、ケーブルが周囲の物から局所的に大きな圧力で押さえられることを防ぐ。
【0006】
また、特許文献1に示されるように、ワイヤハーネスは、自動車のボディなどの支持体に固定する作業を容易にするため、ケーブルの部分に取り付けられたベルト付クランプを備えることが多い。ベルト付クランプは、ケーブルに巻き付けられることによってケーブルを支持するベルトと、支持体に設けられた取付孔の縁部に固定されるクランプ部とを備える。なお、特許文献1において、ベルト付クランプは、バンドクランプと称されている。
【0007】
特許文献1に示されるワイヤハーネスにおいて、ベルト付クランプのベルトは、ケーブル束を内包するコルゲートチューブに巻き付けられる。これにより、ケーブルが保護され、ワイヤハーネスを支持体に固定する作業が容易となる。
【0008】
また、特許文献1に示されるベルト付クランプは、コルゲートチューブ内においてケーブルの一部を覆うカバー部を備えている。なお、従来の一般的なベルト付クランプは、特許文献1に示されるようなカバー部は備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−171648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のベルト付クランプは、ベルトがコルゲートチューブの表面に対して滑りやすいため、コルゲートチューブに対する位置がずれやすいという問題点を有している。例えば、従来の一般的なベルト付クランプは、コルゲートチューブに対する長手方向及び周方向における位置ずれが生じやすい。
【0011】
コルゲートチューブは、通常、両端部において粘着テープなどによって内側のケーブルに対して固定される。そのため、コルゲートチューブに対するベルト付クランプの位置ずれ、即ち、支持体に固定されたベルト付クランプに対するコルゲートチューブの位置ずれが生じると、コルゲートチューブ内のケーブルに対して無用な引っ張り応力又はねじり応力が加わる。そうすると、コルゲートチューブ内のケーブルに歪みが生じ、ケーブルの性能が悪化する。
【0012】
一方、特許文献1に示されるベルト付クランプは、カバー部とクランプ部との間に存在する柱部を備えており、この柱部は、コルゲートチューブの切れ目の部分に引っ掛かる。そのため、特許文献1に示されるベルト付クランプが採用された場合、コルゲートチューブに対する周方向におけるベルト付クランプの位置ずれの問題は解消されるものの、長手方向における位置ずれの問題、即ち、ケーブルに無用な引っ張り力が加わる問題はやはり解消しない。
【0013】
ところで、従来のベルト付クランプにおいて、複数の細い突起部がベルトの表面に形成されていれば、これら細い突起部は、ベルトがコルゲートチューブに巻き付けられたときにコルゲートチューブに食い込む。この場合、複数の細い突起部が滑り止めとして機能するため、ベルト付クランプの位置ずれの問題は解消される。
【0014】
しかしながら、ベルトがコルゲートチューブに対して強く巻き付けられた場合、ベルトの表面に形成された細い突起部は、コルゲートチューブの切れ目からコルゲートチューブ内に侵入してケーブルに食い込みやすい。細い突起部がコルゲートチューブ内の光ファイバケーブルに食い込むと、光ファイバケーブルは、局所的に歪み、信号伝送効率が悪化する。
【0015】
本発明は、コルゲートチューブに巻き付けられるベルトを有するベルト付クランプにおいて、コルゲートチューブに対するベルトの滑りを防止し、さらに、コルゲートチューブ内のケーブルの歪みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るベルト付クランプは、コルゲートチューブに巻き付けられるベルト、及び支持体に固定されるクランプ部を備え、さらに、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、前記コルゲートチューブに巻き付けられたときに内側面となる前記ベルトの第一の面における、該第一の面の少なくとも一部の領域を幅方向に二分する帯状の中央領域に突起して形成され、前記ベルトが前記コルゲートチューブに巻き付けられることにより前記コルゲートチューブの外周の凹部に嵌り込む1つ又は複数の第一凸部である。
(2)第2の構成要素は、前記ベルトの前記第一の面における、前記中央領域に対して幅方向の両外側に前記第一凸部よりも低くかつ細く突起して形成され、前記ベルトが前記コルゲートチューブに巻き付けられることにより前記コルゲートチューブの外周の凸部に食い込む複数の第二凸部である。
【0017】
また、本発明に係るベルト付クランプが、以下の構成を備えていることが考えられる。即ち、複数の前記第一凸部が、前記ベルトの前記第一の面における前記中央領域において、前記ベルトの長手方向に沿って間隔を空けて配列されている。
【0018】
また、本発明に係るベルト付クランプが、以下の構成を備えていることも考えられる。即ち、1つの前記第一凸部が、前記ベルトの前記第一の面における前記中央領域において、前記ベルトの長手方向に延びて一連に形成されている。
【0019】
また、本発明は、ケーブルの周囲を囲むコルゲートチューブと、以上に示された本発明に係るベルト付クランプとを備えたワイヤハーネスの発明として捉えられてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ベルト付クランプのベルトに形成された第一凸部が、コルゲートチューブの外周の凹部に嵌り込み、コルゲートチューブの長手方向におけるベルト付クランプの位置ずれを防ぐ。
【0021】
また、ベルト付クランプのベルトに形成された第二凸部が、コルゲートチューブの外周の凸部に食い込み、主としてコルゲートチューブの周方向におけるベルト付クランプの位置ずれを防ぐ。即ち、本発明によれば、コルゲートチューブに対するベルトの滑りが防止される。その結果、コルゲートチューブ内のケーブルに対して無用な引っ張り応力又はねじり応力が加わることによるケーブルの歪みは防止される。従って、ケーブルに対する引っ張り応力及びねじり応力に起因するケーブルの性能悪化は防止される。
【0022】
また、本発明に係るベルト付クランプにおいて、第一凸部は、コルゲートチューブの凹部に嵌ればよく、コルゲートチューブに食い込む必要はないため、十分に太く形成されている。十分に太く形成された第一凸部は、ベルトがコルゲートチューブに対して強く巻き付けられた場合でも、コルゲートチューブの切れ目からコルゲートチューブ内へ侵入しにくい。また、十分に太い第一凸部は、仮にコルゲートチューブ内に侵入してケーブルに接触したとしても、ケーブルに局所的な歪みを生じさせない。
【0023】
一方、本発明に係るベルト付クランプにおいて、第二凸部は、第一凸部よりも背が低く形成されている。そのため、ベルトがコルゲートチューブに対して強く巻き付けられた場合でも、第一凸部がスペーサとして機能するため、第二凸部はコルゲートチューブ内のケーブルに接触しない。そのため、細い第二凸部の接触によるケーブルの歪みも防止される。その結果、ベルト付クランプのベルトの接触に起因するケーブルの性能悪化も防止される。
【0024】
また、本発明に係るベルト付クランプにおいて、複数の第一凸部がベルトの長手方向に沿って間隔を空けて配列されている場合と、1つの第一凸部がベルトの長手方向に延びて一連に形成されている場合とが考えられる。
【0025】
前者の構成が採用される場合、後者の構成が採用される場合に比べ、第一凸部は、ベルトの長手方向における可撓性を損なう要因になりにくい。そのため、前者の構成は、コルゲートチューブの太さに対する適応範囲が広い点において好適である。もちろん、採用されるコルゲートチューブの太さの範囲が比較的狭い場合、後者の構成が採用されることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係るベルト付クランプ1の正面図である。
【図2】ベルト付クランプ1の側面図である。
【図3】ベルト付クランプ1の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るワイヤハーネス2の側面図である。
【図5】ワイヤハーネス2の主要部の縦断面図である。
【図6】ワイヤハーネス2の主要部の横断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るベルト付クランプの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0028】
<第1実施形態>
まず、図1から図6を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るベルト付クランプ1及びそれを備えた本発明の実施形態に係るワイヤハーネス2の構成について説明する。なお、図5は、図4に示されるワイヤハーネス2のC−C断面の図である。また、図6は、図4に示されるワイヤハーネス2のD−D断面の図である。また、図4及び図6において、ベルト付クランプ1が固定される部位である支持体7が仮想線(二点鎖線)により描かれている。支持体7は、例えば、自動車のボディパネル又はインストルメントパネル内のリンホースなどである。
【0029】
図4に示されるように、ワイヤハーネス2は、電線又は光ファイバケーブルなどのケーブル9と、ケーブル9の周囲を囲むコルゲートチューブ8と、ベルト付クランプ1とを備える。ワイヤハーネス9は、コルゲートチューブ8を貫通する複数のケーブル9を備え、ケーブル9には、絶縁電線及び光ファイバケーブルが含まれる。
【0030】
また、図1から図3に示されるように、ベルト付クランプ1は、クランプ部10と、ベルト保持部20と、ベルト30とを備える。ベルト付クランプ1は、例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリアミド(PA)などの熱可塑性樹脂からなる一体成型部材である。
【0031】
<コルゲートチューブ>
コルゲートチューブ8は、いわゆる蛇腹構造を有することによって長手方向における柔軟性を有する筒状の部材である。より具体的には、図4及び図5に示されるように、コルゲートチューブ8は、外周面に周方向に沿う複数の凹部81と凸部82とが長手方向において交互に並んで形成された構造を有する。コルゲートチューブ8は、例えば、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂などの熱可塑性樹脂からなる一体成形部材である。
【0032】
また、コルゲートチューブ8には、その長手方向全体に亘る一連の切れ目が形成されている。なお、切れ目の図示は省略されている。コルゲートチューブ8は、所定の治具を用いて切れ目の両側へ拡げられることによって長手方向全体に渡る隙間が形成され、ケーブル9は、その隙間からコルゲートチューブ8内へ挿入される。これにより、コルゲートチューブ8は、ケーブル9の周囲を覆う。また、コルゲートチューブ8は、両端部において粘着テープ6によって内側のケーブル9に対して固定されている。
【0033】
<クランプ部>
クランプ部10は、支持体7における取付孔7Aが形成された部分に固定される部分である。クランプ部10は、支持体7に形成された取付孔7Aに挿入される挿入部11と、ベルト保持部20が固定されたフランジ部12とを有している。クランプ部10は、挿入部11とフランジ部12とにより、支持体7における取付孔7Aの縁部を把持する。
【0034】
フランジ部12における一方の面にベルト保持部20が固定され、他方の面に挿入部11が立設されている。フランジ部12は、取付孔7Aを塞ぐように、取付孔7Aの面積よりも大きな面積で形成されている。例えば、フランジ部12は、長孔であるの取付孔7Aとほぼ相似な形状で取付孔7Aよりも一回り大きな面を有する皿状に形成されている。
【0035】
挿入部11は、フランジ部12の一方の面に立設された柱部111と、その柱部111の両側に張り出して設けられた2つの張出部112とを備える。2つの張出部112は、可撓性を有し、柱部111の両側に張り出した幅が、取付孔7Aの幅よりも大きな幅で形成されている。
【0036】
挿入部11が取付孔7Aに挿入される際に、2つの張出部112は、取付孔7Aの縁部(支持体7)に接して押圧され、柱部111の両側に張り出す幅が、取付孔の幅まで収縮する。挿入部11が取付孔7Aの内側へさらに押し込められると、2つの張出部112の形状は、取付孔7Aの縁部の裏側において、取付孔7Aの幅よりも大きな幅になるまで復帰する。その結果、2つの張出部112各々の外側に形成された爪部112Aが、取付孔7Aの縁部の裏側に引っ掛かり、爪部112Aとフランジ部12とが、取付孔7Aの縁部を表裏両側から挟み込む。その結果、クランプ部10が支持体7に固定される。
【0037】
<ベルト保持部>
ベルト保持部20は、ベルト30とクランプ部10とを連結する部分である。ベルト保持部20には、ベルト30の一端(固定端)が固定されている。このベルト保持部20は、ベルト30の一部と引っ掛かることによりベルト30とともにコルゲートチューブ8を結束する環状部を形成する部分である。
【0038】
より具体的には、ベルト保持部20は、ベルト30がその自由端から挿入される貫通孔であるベルト通し孔20Aを形成する枠状に形成されている。また、ベルト保持部20におけるベルト通し孔20Aの縁部には、ベルト30がベルト通し孔20Aに通されるときにベルト30に形成された第一凸部32及び第二凸部33が通る溝21Aが形成されている。なお、第一凸部32及び第二凸部33については後述する。
【0039】
また、ベルト保持部20の一部は、ベルト通し孔20Aの周囲の壁の一部を形成し、片持ち梁状に支持された変位部22を構成している。変位部22は、その可撓性により、ベルト通し孔20Aの高さ方向において変位可能である。ベルト通し孔20Aの高さ方向は、ベルト通し孔20Aに通されたベルト30の厚み方向に相当する。
【0040】
図3及び図6に示されるように、変位部22におけるベルト通し孔20A側の面には、ベルト30の凹部31に嵌り込むベルト規制部23が突設されている。ベルト30がその自由端からベルト通し孔20Aに通された場合に、ベルト規制部23は、変位部22の弾性力によってベルト30側へ押圧され、ベルト30の凹部31に嵌り込む。これにより、ベルト規制部23は、ベルト通し孔20Aから抜ける方向へのベルト30の動きを規制する。
【0041】
ベルト規制部23によりベルト30の動きが規制されると、コルゲートチューブ8に巻き付けられたベルト30は、コルゲートチューブ8の外周面に密着する状態で保持される。即ち、変位部22及びベルト規制部23は、コルゲートチューブ8の周囲に巻かれたベルト30の輪の大きさを保持する機能を有する。なお、ベルト規制部23は、ベルト30がベルト通し孔20Aに挿入される方向に移動したときにのみ凹部31から外れやすくなるように、ベルト通し孔20Aにおけるベルト30の入口側の面が傾斜面となっている。
【0042】
<ベルト>
ベルト30は、コルゲートチューブ8に巻き付けられる部材である。以下の説明において、ベルト30の表裏両面のうち、ベルト30がコルゲートチューブ8に巻き付けられたときに内側面となる面を第一面301、外側面となる面を第二面302と称する。ベルト30の第二面302には、複数の凹部31が、ベルト30の長手方向に沿って並んで形成されている。
【0043】
また、ベルト30の第一面301における、その第一面の301の一定の範囲を占める領域を幅方向に二分する帯状の中央領域300には、突起して形成され部分である複数の第一凸部32が形成されている。これら第一凸部32のベルト30の幅方向における寸法は、コルゲートチューブ8の外周面における凹部81の幅よりわずかに小さく形成されている。さらに、これら第一凸部32の高さは、コルゲートチューブ8の外周面における凹部81の深さよりも小さく形成されている。
【0044】
そして、複数の第一凸部32は、ベルト30がコルゲートチューブ8に巻き付けられることによりコルゲートチューブ8の外周の凹部81に嵌り込む。即ち、ワイヤハーネス2において、ベルト30は、コルゲートチューブ8の周囲に巻き付けられており、複数の第一凸部32は、コルゲートチューブ8の外周の凹部81に嵌り込んでいる。
【0045】
第一凸部32は、コルゲートチューブ8の凹部81に嵌ればよく、コルゲートチューブ8に食い込む必要はないため、コルゲートチューブ8の凹部81に嵌め入れ可能な範囲で十分に太く形成されている。
【0046】
また、ベルト30の第一面301における中央領域300に対して幅方向の両外側の部分には、ベルト30の長手方向において並ぶ複数の第二凸部33が形成されている。これら第二凸部33は、第一凸部32よりも低く、かつ、細く突起して形成されたピン状の凸部である。
【0047】
図5に示されるように、複数の第二凸部33は、ごく細く形成されているため、ベルト30がコルゲートチューブ8に巻き付けられることによりコルゲートチューブ8の外周の凸部82に食い込む。
【0048】
<効果>
ワイヤハーネス2において、ベルト付クランプ1のベルト30に形成された第一凸部32が、コルゲートチューブ8の外周の凹部81に嵌り込み、コルゲートチューブ8の長手方向におけるベルト付クランプ1の位置ずれを防ぐ。
【0049】
また、ベルト付クランプ1のベルト30に形成された第二凸部33が、コルゲートチューブ8の外周の凸部82に食い込み、主としてコルゲートチューブ8の周方向におけるベルト付クランプ1の位置ずれを防ぐ。即ち、ワイヤハーネス2において、コルゲートチューブ8に対するベルト30の滑りが防止される。その結果、コルゲートチューブ8内のケーブル9に対して無用な引っ張り応力又はねじり応力が加わることによるケーブル9の歪みは防止される。従って、ケーブル9に対する引っ張り応力及びねじり応力に起因するケーブル9の性能悪化は防止される。
【0050】
また、ベルト付クランプ1において、第一凸部32は、コルゲートチューブ8の凹部81に嵌め入れ可能な範囲で十分に太く形成されている。十分に太く形成された第一凸部32は、ベルト30がコルゲートチューブ8に対して強く巻き付けられた場合でも、コルゲートチューブ8の切れ目からコルゲートチューブ8内へ侵入しにくい。また、十分に太い第一凸部32は、仮にコルゲートチューブ8内に侵入してケーブル9に接触したとしても、ケーブル9に局所的な歪みを生じさせない。
【0051】
また、ベルト付クランプ1において、第二凸部33は、第一凸部32よりも背が低く形成されている。そのため、ベルト30がコルゲートチューブ8に対して強く巻き付けられた場合でも、第一凸部32がスペーサとして機能するため、第二凸部33はコルゲートチューブ8内のケーブル9に接触しない。そのため、細い第二凸部33の接触によるケーブル9の歪みも防止される。その結果、ベルト付クランプ1のベルト30の接触に起因するケーブル9の性能悪化も防止される。
【0052】
また、ベルト付クランプ1において、複数の第一凸部32がベルト30の長手方向に沿って間隔を空けて配列されている。そのため、第一凸部32は、ベルト30の長手方向における可撓性を損なう要因になりにくい。このような構成は、コルゲートチューブ8の太さに対する適応範囲が広い点において好適である。
【0053】
<第2実施形態>
次に、図7を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るベルト付クランプ1Aについて説明する。このベルト付クランプ1Aは、図1〜図3に示されたベルト付クランプ1の構成に対し、複数の第一凸部32が1つの第一凸部32Aの置き換えられた構成を有している。図7において、図1〜図3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、ベルト付クランプ1Aにおけるベルト付クランプ1と異なる点についてのみ説明する。
【0054】
ベルト付クランプ1Aにおいては、1つの第一凸部32Aが、ベルト30の第一面301における中央領域300において、ベルト30の長手方向に延びて一連に形成されている。
【0055】
なお、ベルト付クランプ1の場合と同様に、第一凸部32Aは、ベルト30がコルゲートチューブ8に巻き付けられることによりコルゲートチューブ8の外周の凹部81に嵌り込む。また、複数の第二凸部33は、中央領域300に対して幅方向の両外側において第一凸部32Aよりも背が低く、かつ、細く突起して形成されている。
【0056】
ベルト付クランプ1Aの第一凸部32Aは、ベルト付クランプ1の第一凸部32に比べ、ベルト30の長手方向における可撓性を損なう要因になりやすい。しかしながら、採用されるコルゲートチューブ8の太さの範囲が比較的狭い場合、ベルト付クランプ1Aが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A ベルト付クランプ
2 ワイヤハーネス
6 粘着テープ
7 支持体
7A 取付孔
8 コルゲートチューブ
9 ケーブル
10 クランプ部
11 挿入部
12 フランジ部
20 ベルト保持部
20A ベルト通し孔
21A 溝
22 変位部
23 ベルト規制部
30 ベルト
31 ベルトの凹部
32,32A 第一凸部
33 第二凸部
81 コルゲートチューブの凹部
82 コルゲートチューブの凸部
111 柱部
112 張出部
112A 爪部
300 中央領域
301 ベルトの第一面
302 ベルトの第二面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルゲートチューブに巻き付けられるベルト、及び支持体に固定されるクランプ部を備えたベルト付クランプであって、
前記コルゲートチューブに巻き付けられたときに内側面となる前記ベルトの第一の面における、該第一の面の少なくとも一部の領域を幅方向に二分する帯状の中央領域に突起して形成され、前記ベルトが前記コルゲートチューブに巻き付けられることにより前記コルゲートチューブの外周の凹部に嵌り込む1つ又は複数の第一凸部と、
前記ベルトの前記第一の面における、前記中央領域に対して幅方向の両外側に前記第一凸部よりも低くかつ細く突起して形成され、前記ベルトが前記コルゲートチューブに巻き付けられることにより前記コルゲートチューブの外周の凸部に食い込む複数の第二凸部と、を備えることを特徴とするベルト付クランプ。
【請求項2】
複数の前記第一凸部が、前記ベルトの前記第一の面における前記中央領域において、前記ベルトの長手方向に沿って間隔を空けて配列されている、請求項1に記載のベルト付クランプ。
【請求項3】
1つの前記第一凸部が、前記ベルトの前記第一の面における前記中央領域において、前記ベルトの長手方向に延びて一連に形成されている、請求項1に記載のベルト付クランプ。
【請求項4】
ケーブルの周囲を囲むコルゲートチューブと、
前記コルゲートチューブに巻き付けられたベルト、及び支持体に固定されるクランプ部を備えたベルト付クランプと、を備えたワイヤハーネスであって、
前記ベルト付クランプの前記ベルトは、
前記ベルトの内側面における、該該内側面の少なくとも一部の領域を幅方向に二分する帯状の中央領域に突起して形成され、前記コルゲートチューブの外周の凹部に嵌り込む1つ又は複数の第一凸部と、
前記ベルトの内側面における、前記中央領域に対して幅方向の両外側に前記第一凸部よりも低くかつ細く突起して形成され、前記コルゲートチューブの外周の凸部に食い込む複数の第二凸部と、を備えることを特徴とするワイヤハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46505(P2013−46505A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183288(P2011−183288)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】