説明

ベルト加圧装置および画像形成装置

【課題】押圧部材により押圧された無端ベルトの潤滑剤を安定に供給する。
【解決手段】画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1K、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、中間転写ベルト15の摺動抵抗を下げるための潤滑剤を供給する微小液滴吐出装置60、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置70を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト加圧装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、小型化と高速化を実現するため、無端(エンドレス)ベルトを用いた転写装置や定着装置が用いられている。
これらの転写装置や定着装置において、無端ベルトは、複数のロールに張力のかかった状態で架け渡され(張架され)、循環駆動されている。そして、無端ベルトは、転写ロール、パッドまたは加圧ロールなどの押圧部材(加圧部材とも表現する。)を接触させ、圧力をかけて(押圧して)用いられている。このため、これらの押圧部材で押圧された無端ベルトの摺動を円滑に行うために、無端ベルトには潤滑剤が供給されている。
【0003】
特許文献1には、回転体と、前記回転体を加圧する加圧部材と、前記回転体を支持する支持部材とを有し、前記回転体と前記加圧部材との当接によって形成される接触部で被加熱材を狭持搬送して該被加熱材を加圧及び加熱する加熱装置において、前記回転体内部表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を、前記回転体の内部表面に当接させた加熱装置が記載されている。
特許文献2には、回転自在に設けられるベルト状部材と、前記ベルト状部材の内面に液状潤滑剤を供給する液状潤滑剤供給部材を備えたベルト状部材の潤滑装置において、前記液状潤滑剤供給部材は、耐熱性のフェルト部材からなり、当該耐熱性フェルト部材の密度が、550〜750g/mであるベルト状部材の潤滑装置が記載されている。
特許文献3には、シート上のトナー像をその間で加熱するエンドレスベルト及び回転体と、前記ベルトをその内側から走行可能に支持するローラと、前記ベルトの内側から加圧することで前記ベルトを前記回転体に圧接させるパッドと、前記ベルトの内面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、を有する画像加熱装置において、前記潤滑剤供給部材を前記ローラに当接させることで潤滑剤が前記ローラを介して供給されるように構成した画像加熱装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−23534号公報
【特許文献2】特開2004−361580号公報
【特許文献3】特開2009−116141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、潤滑剤供給部材を無端ベルトに接触(当接)させた場合、使用初期には潤滑剤が多く供給されやすく、使用時間の経過とともに潤滑剤の供給が減少することにより、潤滑剤を長期にわたり定量供給することが難しい。
本発明は、押圧部材により押圧された無端ベルトの潤滑剤を安定に供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、複数のロールにより張架されて循環駆動される無端ベルトと、前記無端ベルトに接触するように設けられ、前記複数のロールのいずれか一つのロールに対して当該無端ベルトを挟んで押圧する押圧部材と、前記押圧部材によって押圧された前記無端ベルトの摺動抵抗を下げるための潤滑剤を非接触で供給する潤滑剤供給部材とを備えることを特徴とするベルト加圧装置である。
請求項2に記載の発明は、前記潤滑剤供給部材は、前記潤滑剤を前記無端ベルトの循環駆動される内側の面に供給することを特徴とする請求項1に記載のベルト加圧装置である。
請求項3に記載の発明は、前記潤滑剤供給部材は、前記潤滑剤を前記押圧部材が前記無端ベルトと接触する当該押圧部材の面に供給することを特徴とする請求項1に記載のベルト加圧装置である。
請求項4に記載の発明は、前記無端ベルトの前記潤滑剤が供給される面に接触して設けられたふき取り部材をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベルト加圧装置である。
請求項5に記載の発明は、前記潤滑剤供給部材は、前記潤滑剤を液滴として吐出する吐出装置であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト加圧装置である。
請求項6に記載の発明は、前記吐出装置は、圧電素子が電圧印加により変形することにより、前記潤滑剤を蓄積した液室部から、当該潤滑剤を液滴として当該吐出装置から吐出するものであることを特徴とする請求項5に記載のベルト加圧装置である。
【0007】
請求項7に記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、複数のロールにより張架されて循環駆動される無端ベルトと、当該無端ベルトに接触するように設けられ、当該複数のロールのいずれか一つのロールに対して当該無端ベルトを挟んで押圧する押圧部材と、当該押圧部材によって押圧された当該無端ベルトの摺動抵抗を下げるための潤滑剤を非接触で供給する潤滑剤供給部材とを備え、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体上の画像を加熱加圧して定着する定着手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と、複数のロールにより張架されて循環駆動される無端ベルトと、当該無端ベルトに接触するように設けられ、当該複数のロールのいずれか一つのロールに対して当該無端ベルトを挟んで押圧する押圧部材と、当該押圧部材によって押圧された当該無端ベルトの摺動抵抗を下げるための潤滑剤を非接触で供給する潤滑剤供給部材とを備え、前記被転写体上の画像を加熱加圧して定着する定着手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して潤滑剤を安定に供給できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、無端ベルトの循環駆動される内側の面の全域に潤滑剤が供給できる。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、より摺動抵抗を低減できる。
請求項4の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、余剰の潤滑剤に加え、無端ベルトの循環駆動される内側の面の汚れや磨耗粉を除去できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、潤滑剤の供給量が制御できる。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、潤滑剤の供給量がより精密に制御できる。
請求項7の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像がより安定な転写ができる。
請求項8の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像がより安定な定着ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態であるベルト加圧装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】微小液滴吐出装置の断面構造および動作の一例を示す図である。
【図3】微小液滴吐出装置と中間転写ベルトとの配置の一例を示す図である。
【図4】微小液滴吐出装置と中間転写ベルトとの配置の他の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態であるベルト加圧装置を定着装置に用いた場合の定着装置の概略構成を示す側断面図である。
【図6】第3の実施の形態であるベルト加圧装置を定着装置に用いた場合の定着装置の概略構成を示す側断面図である。
【図7】第4の実施の形態であるベルト加圧装置を定着装置に用いた場合の定着装置の概略構成を示す側断面図である。
【図8】第5の実施の形態であるベルト加圧装置を定着装置に用いた場合の定着装置の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は第1の実施の形態であるベルト加圧装置を用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1K、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を無端(エンドレス)ベルトの一例としての中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる転写手段の一例としての一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を被転写体の一例である用紙Pに一括転写(二次転写)させる転写手段の一例としての二次転写部20、中間転写ベルト15の摺動抵抗を下げるための潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材の一例としての微小液滴吐出装置(吐出装置)60、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着手段の一例としての定着装置70を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
【0011】
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、矢印A方向に回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電手段の一例としての帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込む露光手段の一例としてのレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す。)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像手段の一例としての現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する押圧部材の一例としての一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、などの電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、直線状に配置されている。
【0012】
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示す矢印B方向に予め定められた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとしては、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34が配設されている。
【0013】
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性体層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置されている。すなわち、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んでロールとして働く感光体ドラム11を押圧する。よって、一次転写部10においては、一次転写ロール16によって中間転写ベルト15が押圧されているため、中間転写ベルト15の円滑な回転が妨げられやすい。
さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上に重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
【0014】
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される押圧部材の一例としての二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。バックアップロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触して配置されている。
【0015】
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性体層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置されている。すなわち、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25を押圧する。よって、二次転写部20においては、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15が押圧されているため、中間転写ベルト15の円滑な回転が妨げられやすい。
さらに、二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
【0016】
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた予め定められたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは画像形成を開始するように構成されている。
【0017】
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙供給手段50、この用紙供給手段50に集積された用紙Pを予め定められたタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む用紙搬送路53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置70へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置70に導く定着入口ガイド56を備えている。
【0018】
さらに、中間転写ベルト15の二次転写部20の上流側には、中間転写ベルト15の摺動抵抗を低減するための潤滑剤を供給する微小液滴吐出装置60が、中間転写ベルト15に対して非接触の状態で設けられている。なお、中間転写ベルト15の幅方向、すなわち図1の奥行き方向には、複数の微小液滴吐出装置60が予め定められた間隔で設置されている(後述する図3参照)。
【0019】
微小液滴吐出装置60は、後述するようにインクジェット方式のものであってよく、潤滑剤を予め定められたタイミングにおいて、予め定められた量を微小液滴として、中間転写ベルト15の回転の内側の面、すなわち中間転写ベルト15が一次転写ロール16、バックアップロール25、駆動ロール31、支持ロール32、テンションロール33と接する面に供給する。なお、以下では、中間転写ベルト15の回転の内側の面を中間転写ベルト15の裏面と呼ぶ。
供給された潤滑剤が中間転写ベルト15の裏面に広がることにより、一次転写部10、二次転写部20における中間転写ベルト15との間の摺動抵抗を下げ、中間転写ベルト15の回転を円滑にする。
なお、微小液滴吐出装置60は、中間転写ベルト15が張架されて回転している動作状態において潤滑剤の微小液滴を供給してもよく、中間転写ベルト15を停止状態にして潤滑剤の微小液滴を供給してもよい。
【0020】
以上説明したように、本実施の形態では、無端ベルトである中間転写ベルト15が駆動ロール31、支持ロール32、テンションロール33、バックアップロール25などの複数のロールで張架され、循環駆動(回転)されている。そして、一次転写部10において、一次転写ロール16が、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11を押圧している。さらに、二次転写部20において、二次転写ロール22が、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25を押圧している。このように、複数のロールにより張架された無端ベルトと無端ベルトを押圧する押圧部材とから構成される装置をベルト加圧装置と呼ぶ。そして、本実施の形態では、ベルト加圧装置は微小液滴吐出装置60を備えた転写装置として構成されている。
【0021】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により予め定められた画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kによって作像作業が実行される。画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の予め定められた画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
【0022】
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの現像器14によって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
【0023】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性と逆極性(プラス極性)の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
【0024】
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙供給手段50から予め定められたサイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、用紙搬送路53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(不図示)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
【0025】
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性と同極性(マイナス極性)の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
【0026】
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置70における搬送速度に合わせて、用紙Pを最適な搬送速度で定着装置70まで搬送する。定着装置70に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置70によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収納部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴って搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
【0027】
図2は、微小液滴吐出装置60の断面構造および動作の一例を示す図である。図2に示す微小液滴吐出装置60は、圧電(ピエゾ)素子66を使用した圧電方式の微小液滴吐出装置60である。図2(a)は、圧電素子66に電圧が与えられていない状態(OFF状態)における微小液滴吐出装置60の断面構造を、図2(b)は、圧電素子66に電圧が与えられた状態(ON状態)における微小液滴吐出装置60の断面構造を示している。
【0028】
微小液滴吐出装置60は、液貯蔵部61と、液貯蔵部61と第1の管路62を介して通じる液室部63と、液室部63に通じる第2の管路64と、第2の管路64の端に設けられ、外部に開いた吐出部(ノズル)65とを備えている。
液貯蔵部61は、後述する液状の潤滑剤が貯蔵されている。第1の管路62、液室部63、第2の管路64は液貯蔵部61と通じているので、潤滑剤は第1の管路62、液室部63、第2の管路64を順に流れて、第1の管路62、液室部63、第2の管路64を満たしている。ここで、第1の管路62および第2の管路64の断面積(潤滑剤が流れる方向に対して直交する面)は、液室部63の断面積(潤滑剤が流れる方向に対して直交する面)より小さく設定されている。
【0029】
そして、微小液滴吐出装置60は、液室部63に対して壁を介して設けられた圧電素子66を備えている。さらに、微小液滴吐出装置60は、圧電素子66に電圧を印加するための駆動回路67と、駆動回路67と圧電素子66との電気的接続を断続するために設けられたスイッチ68とを備えている。
【0030】
ここで、図2(a)および(b)により、本実施の形態における微小液滴吐出装置60の動作を説明する。
まず、図2(a)において、スイッチ68が断(OFF)であって、圧電素子66に電圧が与えられていない状態(OFF状態)を説明する。
微小液滴吐出装置60の液貯蔵部61には、液状の潤滑剤が貯蔵されている。潤滑剤としては、耐熱性と予め定められた粘度を有するものであればよい。例えば、フッ素オイル、変性フッ素オイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイルなどが用いうる。特に、アミン変性シリコーンオイルが温度に対する粘度変化の小さいことからより好ましい。
【0031】
微小液滴吐出装置60の液貯蔵部61は、前述したように、第1の管路62を経て液室部63に通じ、さらに第2の管路64を経て吐出部65まで通じている。よって、潤滑剤は、第1の管路62、液室部63、第2の管路64を満たしている。しかし、潤滑剤は、吐出部65において、表面張力により保持され、漏れ出さないようになっている。すなわち、潤滑剤の粘度または吐出部65の形状は、スイッチ68が断(OFF)の状態において、吐出部65から潤滑剤が漏れ出さないように設定されている。
【0032】
さて、図2(b)において、スイッチ68が続(ON)となって、圧電素子66に電圧が与えられた状態(ON状態)を説明する。
スイッチ68が続(ON)となると、微小液滴吐出装置60の圧電素子66が圧電効果によって、液室部63をつぶすように変形する。すると、液室部63と液貯蔵部61とは第1の管路62により、液室部63と吐出部65とは第2の管路64により通じているため、液室部63に蓄えられていた潤滑剤は、液貯蔵部61または吐出部65へと移動しようとする。しかし、第1の管路62および第2の管路64の断面積はともに液室部63より小さく設定されているため、潤滑剤は移動しづらい。このため、圧電素子66の変形により、液室部63の液圧が上昇する。そして、液室部63の液圧の上昇とともに、外部に開放された吐出部65から潤滑剤が液滴69となって、矢印C方向に吐出される。
よって、微小液滴吐出装置60の吐出部65に近接して、潤滑剤を供給する対象である中間転写ベルト15が設置されていれば、中間転写ベルト15の裏面に潤滑剤が供給されることになる。
【0033】
次に、スイッチ68が断(OFF)になって、圧電素子66に電圧が与えられていない状態(OFF状態)に戻ると、圧電素子66が元の形に戻る。すると、液室部63から液滴69となって吐出された量の潤滑剤が、第1の管路62を経て液貯蔵部61から液室部63に供給される。これにより、図2(a)に示した状態になる。これ以降は、上述した動作を繰り返すことになる。
そして、吐出される潤滑剤の量は、圧電素子66の変形量で決められる液滴69の大きさ(サイズ)、吐出する液滴69の単位時間当たりの個数により制御される。
したがって、潤滑剤の液滴69の中間転写ベルト15表面における広がりなど、潤滑剤の中間転写ベルト15に対する潤滑効果を考慮して、供給する潤滑剤の量を設定すればよい。
【0034】
上述したように、微小液滴吐出装置60は、圧電素子66の圧電効果による変形により、液室部63の体積が減少して液圧が上昇することで、潤滑剤を吐出部65から吐出する。よって、液室部63と圧電素子66とを隔てる壁は、圧電素子66によって変形可能に構成されている。
【0035】
微小液滴吐出装置60に用いる圧電素子66としては、水晶、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr、Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、窒化アルミニウム、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを用いうる。
【0036】
図2では、微小液滴吐出装置60の吐出部65が紙面の下方を向くように構成されている。しかし、微小液滴吐出装置60からの潤滑剤の吐出量は、液室部63の体積変化に伴う液圧の上昇によって潤滑剤が吐出されるため、重力の影響を受けにくい。よって、微小液滴吐出装置60の吐出部65の向きは上方または側方であってもよい。例えば、図2に示す微小液滴吐出装置60を上下を反転させて用いてもよく、横にして用いてもよい。また、第2の管路64をL字型に曲げて、横方向から潤滑剤が吐出されるようにしてもよい。
【0037】
また、駆動回路67およびスイッチ68は、微小液滴吐出装置60に含まれるように、液貯蔵部61、液室部63に近接して構成されてもよく、配線によって引き出されて、液貯蔵部61および液室部63から離れた場所に設けられた回路基板などに設けられてもよい。
【0038】
図2では、微小液滴吐出装置60は、圧電素子66を用いた圧電方式として説明した。微小液滴吐出装置60は、圧電方式に限ることなく、液室部63内に気泡を発生させ気泡の圧力で潤滑剤を液滴69として外部に吐出させるものであってもよい。しかし、微小液滴吐出装置60は、後述するように、ベルト加圧装置が定着装置として構成され、定着のために加熱される場合には、加熱の影響を受けにくい圧電素子66を用いることが好ましい。
【0039】
図3は、微小液滴吐出装置60と中間転写ベルト15との配置の一例を示す図である。図3(a)は、複数の微小液滴吐出装置60を中間転写ベルト15の幅方向(図1において紙面に垂直な方向)に並べたものである。図3(b)は、複数の微小液滴吐出装置60を中間転写ベルト15の幅方向に渡って潤滑剤を塗布しうるように、一体形成したものである。なお、図3に示す微小液滴吐出装置60は、図2(a)および(b)に記載した微小液滴吐出装置60を紙面の右側より見た図として示している。
【0040】
図3(a)では、図示しない固定部材により、複数の微小液滴吐出装置60が中間転写ベルト15の幅方向に、中間転写ベルト15の幅全域を覆うように並べられている。そして、同一のタイミングですべての微小液滴吐出装置60を動作させ、潤滑剤の液滴69を中間転写ベルト15裏面に吐出させている。
そして、吐出部65のピッチおよび並べる微小液滴吐出装置60の個数は、中間転写ベルト15の幅および液滴69の中間転写ベルト15上での広がりによって設定される。よって、図3(a)に示す構成では、中間転写ベルト15の幅および液滴69の中間転写ベルト15上での広がりを考慮して、吐出部65のピッチおよび並べる微小液滴吐出装置60の個数を設定すればよい。
【0041】
図3(b)では、複数の微小液滴吐出装置60が中間転写ベルト15の幅方向につなげられ、中間転写ベルト15の幅全域を覆うように一体形成されている。複数の微小液滴吐出装置60が一体形成されているので、取り扱いが容易となる。しかし、吐出部65のピッチおよび個数(中間転写ベルト15の幅に対応)は予め定められていることになる。
なお、複数の微小液滴吐出装置60を一体形成する場合には、液貯蔵部61をいくつかの微小液滴吐出装置60で共通化してもよい。
また、図示しないが、複数の微小液滴吐出装置60を複数のブロックに分けて、ブロック毎に微小液滴吐出装置60を一体形成してもよい。
【0042】
なお、図3(a)および(b)では、すべての微小液滴吐出装置60を同一タイミングで潤滑剤の液滴69を中間転写ベルト15に吐出したが、微小液滴吐出装置60毎に潤滑剤を吐出するタイミングを調整してもよい。
このように、潤滑剤の中間転写ベルト15への供給を微小液滴吐出装置60により行っているので、潤滑剤の吐出量の制御がしやすいことに加え、中間転写ベルト15の幅方向の全域にわたって複数の微小液滴吐出装置60が配置され、必要な位置の微小液滴吐出装置60において潤滑剤を液滴69として吐出することで、必要な位置にのみ潤滑剤を供給しうる。例えば、中間転写ベルト15の端部からの潤滑剤漏れがないように中間転写ベルト15の幅方向の中央部分に多く供給してもよい。画像形成装置の使用開始時やJOB当たりの用紙枚数(中間転写ベルト15の回転数)などの状態に応じて潤滑剤を供給してもよい。さらに、中間転写ベルト15の交換直後に潤滑剤の供給量を多くしてもよい。
【0043】
図4は、微小液滴吐出装置60と中間転写ベルト15との配置の他の一例を示す図である。ここでは、1つの微小液滴吐出装置60を図示しない駆動装置によって、中間転写ベルト15の幅方向(矢印D方向または矢印E方向)に移動しながら液滴69を吐出する。
これによっても、適量の潤滑剤の供給を行いうる。
【0044】
これに対し、潤滑剤供給部材を無端ベルトに接触させる従来の場合(接触式)には、使用初期には潤滑剤が多く供給されやすく、使用時間の経過とともに潤滑剤の供給が減少することにより、潤滑剤を長期にわたり定量供給することが難しい。
また、使用初期の潤滑剤の供給量を減らすと、使用時間の経過とともに、潤滑剤の供給が足りなくなる。これにより摺動抵抗が上昇し、記録材である用紙に形成される画像に乱れが生じたり、用紙にしわ(紙しわ)が発生したりしてしまう。
逆に、使用初期の潤滑剤の供給量を増やすと、無端ベルトの端部から潤滑剤が、転写ロール、定着ロール、押圧部材、用紙などへ漏れ出し、転写ロール、定着ロール、押圧部材の形状異常などの発生や、用紙の汚れを生じてしまう。
さらに、長期にわたって潤滑剤供給部材が無端ベルトに接触していると、無端ベルトが磨耗し、磨耗粉を生じたり、無端ベルトの寿命を短くしたりしてしまう。
【0045】
本実施の形態では、上述した潤滑剤供給部材を無端ベルトに接触させる場合(接触式)と異なり、微小液滴吐出装置60によって潤滑剤を中間転写ベルト15に供給するので、過剰に潤滑剤を供給し、潤滑剤除去部材により、過剰の潤滑剤を除去することを要しない。さらに、従来の無端ベルトに潤滑剤供給部材を接触させた場合に見られた、潤滑剤供給部材の使用初期と潤滑剤の供給が窮乏する潤滑剤供給部材の使用終期とで、中間転写ベルト15上に塗布される潤滑剤の量が異なることを抑制できる。
なお、潤滑剤の供給量は、中間転写ベルト15の回転速度、一次転写ロール16や二次転写ロール22などの押圧部材の付与圧力、中間転写ベルト15の裏面粗度、一次転写ロール16や二次転写ロール22などの押圧部材表面の材質、潤滑剤の材料、JOB枚数、温度、中間転写ベルト15の総回転数など、各種使用条件により決定される。予め実験により求められたデータに基づいて設定すればよい。
【0046】
<第2の実施の形態>
図5は、第2の実施の形態である、ベルト加圧装置を定着装置70に用いた場合における定着装置70の概略構成を示す側断面図である。
本実施の形態が適用される定着装置70は、加熱源としてハロゲンヒータ75を内蔵した加熱定着ロール71と、加圧ロール712および2つの支持ロール713、714に張架され加熱定着ロール71に圧接される無端ベルト715と、この無端ベルト715の内側に接触させ、加熱定着ロール71の表面に沿って無端ベルト715を押圧する押圧部材の一例としての圧力付与部材711とで主要部が構成されている。
【0047】
加熱定着ロール71は、内部に円筒状のコア72を有しており、図示しないモータによって、例えば表面速度260mm/secで周方向(矢印F方向)に回転駆動されている。このコア72は、外径62mm、内径55mm、長さ350mmのアルミニウムで形成されている。コア72の表面は、下地層73aとしてデュロメータ硬さ(JIS K6253)がA/45のHTVシリコーンゴムが厚さ2mmで直接被覆され、さらにその上にトップ層73bとして厚さ40μmのPFA(パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂)チューブが被覆されている。下地層73aとトップ層73bとにより被覆層73が形成されており、被覆層73の表面は鏡面に近い状態に仕上げられている。下地層73aのゴムの硬度は、Teclock社製のスプリングタイプのA型硬度計により、荷重1,000gfを付加して計測した結果である。
なお、コア72としてはアルミニウムでなくても熱伝導率の高い金属を使用することができ、被覆層73としては耐熱性の高い弾性を有する材料であれば他の材料を使用しうる。
【0048】
コア72の内部には、加熱源として出力1000Wのハロゲンヒータ75が配置されている。また、加熱定着ロール71の表面と対向する位置には温度センサ710が配置され、加熱定着ロール71の表面の温度を計測する。そして、温度センサ710の計測信号により、図示しない温度コントローラによってハロゲンヒータ75がフィードバック制御されて、加熱定着ロール71の表面が175℃になるように調節されている。
【0049】
圧力付与部材711は、ベースプレート711aの表面に弾性層711bと低摩擦層711cとを積層して形成したものであり、ベースプレート711a側に配置された圧縮コイルスプリング716によって加熱定着ロール71に向けて押圧されている。ベースプレート711aは、幅(無端ベルト715の走行方向)20mm、長さ(紙面に垂直方向)360mm、厚さ5mmのステンレス鋼製の部材である。
【0050】
また、弾性層711bは、ゴム硬度23°のシリコーンスポンジ(シリコーンゴムの発泡体)からなり、幅(無端ベルト715の走行方向)がベースプレート711aよりも徐々に拡大するように構成されている。
なお、ここでゴム硬度は、高分子科学社製のアスカーCタイプのスポンジ用ゴム硬度計により、荷重300gfを付加して計測した結果である。
【0051】
この弾性層711bは、加圧ロール712側の部分が三角形状に張り出し、圧力付与部材711が広く無端ベルト715を加熱定着ロール71側に押圧し、かつ圧力付与部材711と加圧ロール712との間の無端ベルト715も加熱定着ロール71側に押圧するようにしている。したがって、この定着装置70では、圧力付与部材711から加圧ロール712にかけての間に、無端ベルト715と加熱定着ロール71とが圧接する領域であるニップ部Nが形成されている。
【0052】
低摩擦層711cとしては、ポリテトラフルオロエチレンを含浸させたガラス繊維シートである中興化成製の「FGF−400−4」(商品名)やエンボス(凹凸)加工が施された熱硬化性ポリイミドフィルムを円筒状に張り合わせて形成し用いている。ニップ部Nにおける低摩擦層711cの接触面の幅(無端ベルト715の走行方向)は15mmとなっている。
【0053】
ここで弾性層711bが設けられていることにより、低摩擦層711cの無端ベルト715と接触する接触面は、加熱定着ロール71の外周面と整合可能になっている。すなわち、一定以上の荷重によって圧力付与部材711を加熱定着ロール71に向けて押圧すれば、弾性層711bが変形し、低摩擦層711cの表面が加熱定着ロール71の外周面に沿って圧接されるように変形するようになっている。したがって、圧力付与部材711が圧縮コイルスプリング716によって加熱定着ロール71に押圧されると、無端ベルト715は加熱定着ロール71に隙間なく圧接される。ここで無端ベルト715と加熱定着ロール71との接触面の幅は15mmであり、接触面の無端ベルト715の幅方向の幅は320mmである。
【0054】
加熱定着ロール71の表面には、耐熱性の無端ベルト715が予め定められたニップ部Nに渡って圧接するように配置されている。この無端ベルト715は、例えば、厚さ75μm、幅340mm、周長214mmのポリイミドフィルムによって形成され、加圧ロール712および2本の支持ロール713、714により、5kgfの張力にて張架されている。加圧ロール712および2本の支持ロール713、714の直径は、例えば、それぞれ23mm、18mm、18mmに設定されている。また、加圧ロール712と支持ロール714は、例えば、ステンレス等によってクラウン形状に形成されているとともに、支持ロール713は、表面にシリコーンゴムコートが施されたステンレス等によって円筒状又は円柱状部材に形成されている。
【0055】
加圧ロール712は、ニップ部Nの出口において、例えば、60kgfの圧力で加熱定着ロール71の表面に圧接するように配置されている。なお、無端ベルト715は、加熱定着ロール71に圧接した加熱定着ロール71の回転に従って回転するように構成されている。このため、加熱定着ロール71の下地層73aは変形し、その表面には歪みが発生し、用紙Pがそれ自身の剛性により剥離可能となっている。
【0056】
さらに、定着装置70は、第1の実施の形態で示したと同様な構成の微小液滴吐出装置60を備えている。微小液滴吐出装置60は、潤滑剤の液滴を無端ベルト715の回転の内側の面(裏面)、すなわち加圧ロール712、支持ロール713、714と接触する面、さらに圧力付与部材711が接触する面に供給する。
なお、微小液滴吐出装置60は、第1の実施の形態における説明において、中間転写ベルト15を無端ベルト715と読みかえればよい。よって、詳細な説明を省略する。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態における定着装置70では、無端ベルト715が加圧ロール712、支持ロール713、714の複数のロールにより張架され、循環駆動(回転)されている。そして、圧力付与部材711が無端ベルト715を挟んで加熱定着ロール71を押圧し、微小液滴吐出装置60を備えたベルト加圧装置を構成する。
【0058】
次に、定着装置70の動作について説明する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20により用紙Pの上にトナー像が転写された用紙Pが、図5の左側より、定着装置70に搬送される。そして、用紙Pは、定着装置70の圧力付与部材711と加熱定着ロール71とが形成するニップ部Nに侵入する。そして、ニップ部Nに作用する圧力とハロゲンヒータ75によって加熱定着ロール71を通じて与えられる熱により、トナー像が用紙Pに定着される。
【0059】
本実施の形態においても、従来の潤滑剤供給部材を無端ベルトに接触させる場合(接触式)と異なり、微小液滴吐出装置60によって潤滑剤を無端ベルト715に供給するので、過剰に潤滑剤を供給し、潤滑剤除去部材により、過剰の潤滑剤を除去することを要しない。さらに、従来の無端ベルトに潤滑剤供給部材を接触させた場合に見られた、潤滑剤供給部材の使用初期と、潤滑剤の供給が窮乏する使用終期とで、無端ベルト715上に塗布される潤滑剤の量が異なるということを抑制できる。
なお、潤滑剤の供給量は、無端ベルト715の回転速度、圧力付与部材711の付与圧力、無端ベルト715の裏面粗度、圧力付与部材711の低摩擦層711cの材質および粗さ、潤滑剤の材料、JOB枚数、定着温度、無端ベルト715の総回転数など、各種使用条件により決定される。予め実験により求められたデータに基づいて設定すればよい。
【0060】
<第3の実施の形態>
図6は、第3の実施の形態である、ベルト加圧装置を定着装置70に用いた場合の定着装置70の概略構成を示す側断面図である。本実施の形態では、図5に示した第2の実施の形態における定着装置70において、微小液滴吐出装置60が潤滑剤を圧力付与部材711の摺動面(低摩擦層711cの表面)に供給するように構成している。
よって、図5で説明したと同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0061】
図6においては、圧力付与部材711を加熱定着ロール71に押圧する圧縮コイルスプリング716および無端ベルト715を加熱定着ロール71に押圧する加圧ロール712に設けられた圧縮コイルスプリング717を緩めている。これにより、無端ベルト715を加熱定着ロール71に接触しない状態および圧力付与部材711の低摩擦層711cの表面が無端ベルト715に接触しない状態にしている。そして、微小液滴吐出装置60から潤滑剤を低摩擦層711cの表面に吐出させている。
【0062】
低摩擦層711cの表面に吐出する潤滑剤としては、粘度1000csのジメチルシリコーンオイル(商品名「KF−96」:信越化学株式会社製)が好ましい。これによって無端ベルト715と圧力付与部材711との間の摩擦係数が小さくなる。
【0063】
なお、微小液滴吐出装置60は、第1の実施の形態における説明において、中間転写ベルト15を無端ベルト715と読みかえればよい。よって、詳細な説明を省略する。
微小液滴吐出装置60の吐出部65から液滴69を吐出する方向は、前述したように、任意に構成しうる。よって、低摩擦層711cの表面への潤滑剤の吐出を容易に行いうるように、微小液滴吐出装置60を構成すればよい。
【0064】
本実施の形態においても、従来の潤滑剤供給部材を無端ベルトに接触させる場合(接触式)と異なり、微小液滴吐出装置60によって潤滑剤を圧力付与部材711の低摩擦層711cの表面に供給するので、過剰に潤滑剤を供給し、潤滑剤除去部材を無端ベルト715の裏面に接触させたときに、過剰の潤滑剤を除去することを要しない。さらに、従来の無端ベルトに潤滑剤供給部材を接触させた場合に見られた、潤滑剤供給部材の使用初期と、潤滑剤の供給が窮乏する使用終期とで、ベルト上に塗布される潤滑剤の量が異なるということを抑制できる。
なお、潤滑剤の供給量は、無端ベルト715の回転速度、圧力付与部材711の付与圧力、無端ベルト715の裏面粗度、圧力付与部材711の低摩擦層711cの材質および粗さ、潤滑剤の材料、JOB枚数、定着温度、無端ベルト715の総回転数など、各種使用条件により決定される。予め実験により求められたデータに基づいて設定すればよい。
【0065】
<第4の実施の形態>
図7は、第4の実施の形態である、ベルト加圧装置を定着装置70に用いた場合の定着装置70の概略構成を示す側断面図である。本実施の形態では、第2の実施の形態として図5に示した定着装置70において、無端ベルト715に接触して設けられたふき取り部材90をさらに備えている。
よって、図5で説明したと同様の構成には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
ふき取り部材90は、無端ベルト715の内面の汚れや磨耗粉や余剰の潤滑剤をふき取るためのものである。ふき取り部材90としては、フェルト等、液体を含有保持し得るものを用いうる。
本実施の形態においても、微小液滴吐出装置60によって潤滑剤をベルトに供給するので、過剰に潤滑剤を供給することを抑制しうる。しかし、ふき取り部材90を設けることにより、余剰の潤滑剤ばかりでなく無端ベルト715の内面の汚れや磨耗粉をふき取ることができるようになり、無端ベルト715の寿命を長くしうる。
【0067】
なお、ふき取り部材90を無端ベルト715へ接触させ続けると、無端ベルト715の回転の抵抗になり、無端ベルト715の回転速度が遅くなってしまう。これにより、形成された画像の乱れや無端ベルト715表面の磨耗が促進されてしまう。よって、定着装置70の定着動作中はふき取り部材90を無端ベルト715の表面から離すことが好ましい。
【0068】
また、定着装置70の回転停止中に、ふき取り部材90を無端ベルト715の面に圧力をかけないで接触させていると、無端ベルト715に変形(変形癖)が生じやすい。特に、無端ベルト715に耐熱性樹脂基材を用いると、変形癖が生じやすい。変形癖が生じると、定着動作時(特に定着動作の開始直後)に無端ベルト715に変形が残っているため、用紙Pのニップ部Nへの導入において、用紙Pの先端がバタついて、用紙Pの先端に折れ(紙折れ)やしわ(紙しわ)、または用紙P上のトナー像がニップ部N手前で加熱定着ロール71などに触れてしまうことによって画像が乱れるスマッジと呼ばれる現象が生じやすい。
【0069】
さらに、ふき取り部材90に含浸した余剰の潤滑剤が、ふき取り部材90と接触した無端ベルト715の部分にとどまると、無端ベルト715のその部分で潤滑剤が過剰になる。このため、次の定着動作の際、過剰な潤滑剤が無端ベルト715の側面からはみ出し、加熱定着ロール71の膨潤や用紙Pへの潤滑剤の付着を招くおそれがある。
よって、無端ベルト715が回転停止中に、たとえ加圧しない状態(非加圧)であっても無端ベルト715にふき取り部材90を接触させないことが好ましい。
【0070】
<第5の実施の形態>
図8は、第5の実施の形態である、ベルト加圧装置を定着装置70に用いた場合の定着装置70の概略構成を示す側断面図である。
この定着装置70は定着ベルトモジュール81と、定着ベルトモジュール81に対して圧接して配置された押圧部材の一例としての加圧ロール82とで主要部が構成されている。
【0071】
定着ベルトモジュール81は、無端ベルトの一例としての定着ベルト810、定着ベルト810を張架しながら回転する定着ロール811、内側から定着ベルト810を張架する張架ロール812、外側から定着ベルト810を張架する張架ロール813、定着ロール811と張架ロール812との間で定着ベルト810の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール814、定着ベルトモジュール81と加圧ロール82とが圧接する領域であるニップ部N内の下流側領域であって、定着ロール811に近接して配置された剥離パッド84、ニップ部Nの下流側において定着ベルト810を張架する張架ロール815を備えている。
【0072】
定着ベルト810は、周長314mm、幅340mmのフレキシブルな無端ベルトであって、厚さ80μmのポリイミド樹脂で形成されたベース層と、ベース層の表面(回転する外側の面)側に積層された厚さ200μmのシリコーンゴムからなる弾性体層と、さらに弾性体層の上に被覆された厚さ40μmのテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂からなる離型層とで構成されている。
【0073】
定着ロール811は、外径65mm、長さ360mm、厚さ10mmのアルミニウム合金からなる円筒状コア、コア表面に保護層として、厚さ200μmのフッ素樹脂皮膜が形成されている。ただし、定着ロール811は、この構成に限るものではなく、加圧ロール82からの押圧力に対して、変形しなければよい。定着ロール811は図示しない駆動モータからの駆動力で、350mm/sの表面速度で矢印G方向に回転する。これに伴ない、定着ベルト810は矢印H方向に回転する。
また、定着ロール811の内部には、加熱源として定格900Wのハロゲンヒータ816aが配置され、定着ロール811の表面に接触するように配置された温度センサ817aの計測値に基づき、画像形成装置の制御部40(図1参照)によって、定着ロール811の表面温度が予め定められた値(例えば、155℃)に制御されている。
【0074】
張架ロール812は、外径30mm、肉厚2mm、長さ360mmのアルミニウム合金で形成された円筒状ロールである。そして、張架ロール812の内部には加熱源として定格1000Wのハロゲンヒータ816bが配設されており、温度センサ817bと制御部40(図1参照)とによって、張架ロール812の表面温度が予め定められた値(例えば、190℃)に制御されている。
【0075】
張架ロール813は、外径25mm、肉厚2mm、長さ360mmのアルミニウム合金で形成された円筒状ロールである。張架ロール813の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂層が形成されている。
張架ロール813の内部には、加熱源としての定格1000Wのハロゲンヒータ816cが配設されており、温度センサ817cと制御部40(図1参照)とによって表面温度が予め定められた値(例えば、190℃)に制御されている。
したがって、本実施の形態では、定着ロール811と張架ロール812および張架ロール813とによって、定着ベルト810が加熱される構成となっている。
【0076】
姿勢矯正ロール814は、外径15mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円柱状ロールである。姿勢矯正ロール814に近接して、定着ベルト810のエッジ位置を検知するベルトエッジ位置検知機構(不図示)が配置されている。そして、姿勢矯正ロール814は、ベルトエッジ位置検知機構の検知結果に応じて定着ベルト810の姿勢矯正ロール814の軸方向における定着ベルト810の接触位置を変位させることにより、定着ベルト810の蛇行(ベルトウォーク)を抑制するように構成されている。
【0077】
剥離パッド84は、加圧ロール82側に押圧されることにより、定着ベルト810を加圧ロール82側に均一に押圧できるようにする。このため、剥離パッド84の加圧ロール82に対向する面は、加圧ロール82の円周面に倣った形状となっている。
剥離パッド84の外周面(加圧ロール82に対向する面を除く、定着ベルト810と接する面)は、張架ロール815と定着ロール811とが協働して定着ベルト810を導き、定着ベルト810の進行方向を変化させることで、定着ベルト810から用紙Pを剥離する。
よって、定着ベルト810と剥離パッド84の外周面とは、低摩擦状態が維持される必要がある。
【0078】
また、張架ロール815は、外径12mm、長さ360mmのアルミニウム合金で形成された円柱状ロールである。そして、剥離パッド84を通過した定着ベルト810が定着ロール811に向けて円滑に回転するように、剥離パッド84の定着ベルト810進行方向下流側に配置されている。
【0079】
次に、加圧ロール82は、直径45mm、長さ360mmのアルミニウム合金からなる円柱状ロール821を基体として、基体側から順に、デュロメータ硬さA/30のシリコーンゴムからなる厚さ10mmの弾性層822と、膜厚100μmのPFAチューブからなる離型層823とが積層されて構成されている。そして、加圧ロール82は、定着ベルトモジュール81に押圧されるように設置され、定着ベルトモジュール81の定着ロール811が矢印G方向へ回転するのに伴い、定着ロール811に従動して矢印I方向に回転する。その進行速度は、定着ロール811の表面速度と同じ350mm/sである。
【0080】
さらに、定着装置70は、第1の実施の形態で示したと同様な微小液滴吐出装置60を備えている。微小液滴吐出装置60は、潤滑剤の液滴69を定着ベルト810の回転の内側の面(裏面)、すなわち定着ロール811、張架ロール812、姿勢矯正ロール814、張架ロール815および剥離パッド84が接触する面に供給する。
微小液滴吐出装置60は、第1の実施の形態における説明において、中間転写ベルト15を定着ベルト810と読みかえればよい。よって、詳細な説明を省略する。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態における定着装置70では、無端ベルトである定着ベルト810が定着ロール811、張架ロール812、813、815、姿勢矯正ロール814の複数のロールにより張架され、循環駆動(回転)されている。そして、加圧ロール82が定着ベルト810を挟んで定着ロール811を押圧し、微小液滴吐出装置60を備えたベルト加圧装置を構成する。
【0082】
次に、定着装置70の動作について説明する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20により用紙Pの上にトナー像が転写された用紙Pが、図8の左側より、定着入口ガイド56に沿って、定着装置70に搬送される。そして、用紙Pは、定着装置70のニップ部Nに侵入する。そして、ニップ部Nに作用する圧力と加熱された定着ベルト810を通じて与えられる熱により、トナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着された用紙Pは、排紙ガイド85に沿って搬送され、排紙ロール86によって、画像形成装置から排出される。
【0083】
本実施の形態においても、従来の潤滑剤供給部材を無端ベルトに接触させる場合(接触式)と異なり、微小液滴吐出装置60によって潤滑剤を定着ベルト810に供給するので、過剰に潤滑剤を供給し、潤滑剤除去部材により、過剰の潤滑剤を除去することを要しない。さらに、従来の無端ベルトに潤滑剤供給部材を接触させた場合に見られた、潤滑剤供給部材の使用初期と、潤滑剤の供給が窮乏する使用終期とで、定着ベルト810上に塗布される潤滑剤の量が異なるということを抑制できる。
なお、潤滑剤の供給量は、定着ベルト810の回転速度、加圧ロール82の付与圧力、定着ベルト810裏面粗度、加圧ロール82の離型層823の材質および粗さ、潤滑剤の材料、JOB枚数、定着温度、定着ベルト810の総回転数など、各種使用条件により決定される。予め実験により求められたデータに基づいて設定すればよい。
【0084】
以上説明したように、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態において、ベルト加圧装置として転写装置および定着装置を説明した。しかし、本願発明のベルト加圧装置は、これらの転写装置および定着装置に限定されるものではなく、複数のローラにより張架されて循環駆動(回転)する無端ベルトと無端ベルトを押圧する押圧部材を備えたベルト加圧装置に適用できる。
また、画像形成装置の転写装置および定着装置の両方に適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…一次転写部、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、20…二次転写部、22…二次転写ロール、25…バックアップロール、40…制御部、60…微小液滴吐出装置、61…液貯蔵部、63…液室部、65…吐出部、66…圧電素子、67…駆動回路、68…スイッチ、70…定着装置、71…加熱定着ロール、711…圧力付与部材、712…加圧ロール、715…無端ベルト、75…ハロゲンヒータ、81…定着ベルトモジュール、810…定着ベルト、811…定着ロール、82…加圧ロール、84…剥離パッド、85…排紙ガイド、86…排紙ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロールにより張架されて循環駆動される無端ベルトと、
前記無端ベルトに接触するように設けられ、前記複数のロールのいずれか一つのロールに対して当該無端ベルトを挟んで押圧する押圧部材と、
前記押圧部材によって押圧された前記無端ベルトの摺動抵抗を下げるための潤滑剤を非接触で供給する潤滑剤供給部材と
を備えることを特徴とするベルト加圧装置。
【請求項2】
前記潤滑剤供給部材は、前記潤滑剤を前記無端ベルトの循環駆動される内側の面に供給することを特徴とする請求項1に記載のベルト加圧装置。
【請求項3】
前記潤滑剤供給部材は、前記潤滑剤を前記押圧部材が前記無端ベルトと接触する当該押圧部材の面に供給することを特徴とする請求項1に記載のベルト加圧装置。
【請求項4】
前記無端ベルトの前記潤滑剤が供給される面に接触して設けられたふき取り部材をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のベルト加圧装置。
【請求項5】
前記潤滑剤供給部材は、前記潤滑剤を液滴として吐出する吐出装置であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト加圧装置。
【請求項6】
前記吐出装置は、圧電素子が電圧印加により変形することにより、前記潤滑剤を蓄積した液室部から、当該潤滑剤を液滴として当該吐出装置から吐出するものであることを特徴とする請求項5に記載のベルト加圧装置。
【請求項7】
像保持体を帯電する帯電手段と、
前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
複数のロールにより張架されて循環駆動される無端ベルトと、当該無端ベルトに接触するように設けられ、当該複数のロールのいずれか一つのロールに対して当該無端ベルトを挟んで押圧する押圧部材と、当該押圧部材によって押圧された当該無端ベルトの摺動抵抗を下げるための潤滑剤を非接触で供給する潤滑剤供給部材とを備え、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と、
前記被転写体上の画像を加熱加圧して定着する定着手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
像保持体を帯電する帯電手段と、
前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と、
複数のロールにより張架されて循環駆動される無端ベルトと、当該無端ベルトに接触するように設けられ、当該複数のロールのいずれか一つのロールに対して当該無端ベルトを挟んで押圧する押圧部材と、当該押圧部材によって押圧された当該無端ベルトの摺動抵抗を下げるための潤滑剤を非接触で供給する潤滑剤供給部材とを備え、前記被転写体上の画像を加熱加圧して定着する定着手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170204(P2011−170204A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35343(P2010−35343)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】