説明

ベルト式真空包装機

【課題】搬出シュートを回転ベルトの搬出部の上方に設けて、包装袋をソフトに搬出することが困難であった。
【解決手段】被包装物を充填した包装袋8を回転ベルト1上に載置し、包装袋上から真空チャンバーで真空包装するベルト式真空包装機であって、回転ベルト1の幅方向に、袋口7をシールするためのシール台5を配置し、シール台5に沿って長手方向に、袋口押さえ棒10を回動自在に軸支し、回転ベルト1上の袋口押さえ棒10の端部近傍に跳ね上げレバー17を軸支し、回転ベルト1の搬出部の近傍で、跳ね上げレバー17の移動方向前方に、当接ローラ19Aを設け、シール台5に近接して、滑り台方式の傾斜板9を回転ベルト1上に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を充填した包装袋が間欠回転する回転ベルト上にセットされ、昇降動する真空チャンバーが下降して前記回転ベルトに密着し、チャンバー内の空気が吸引されて被包装物を真空包装するベルト式真空包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来のベルト式真空包装機の部分側面断面図である。この図において、1は回転ベルト、2は回転ベルトを回転駆動する駆動ローラ、3は回転ベルトの上部に配置された真空チャンバー、4は真空チャンバーを昇降動させるクランク機構を示している。
【0003】
包装袋に被包装物を充填して真空パックするために、間欠回転する短い長さの回転ベルト1の上部に、昇降動する真空チャンバー3が配置され、この真空チャンバー3が下降して回転ベルト1に密着し、チャンバー3内の空気を吸引して包装袋を真空包装する。
【0004】
前記回転ベルト1の上面に、角柱状のシール台5がベルト1の回転方向に所定間隔を開けて複数本固定されている。これらのシール台5は、回転ベルト1の幅方向に配置され、このシール台5と対応させて、真空チャンバー3内にも上部シール部6を備えており、前記シール台5と前記上部シール部6により袋口7をシールするシーラを構成している。
【0005】
図8、図12に示すように、シール台5の上流側の側面には、包装袋8の袋口を支える略「く」の字形の傾斜板9がボルトで固定されている。この傾斜板9は、シール台5と同じ長さを有し、シール台5に固定されている側とは反対側の側部は回転ベルト1には固定されておらず、フリーな状態で浮き上がっている。この傾斜板9の上面に下記の袋口押さえ棒10が上から乗りかかり、傾斜板9と袋口押さえ棒10とで包装袋8の袋口シール部の下部位置を挟み込んで固定する。
【0006】
図13に示すように、前記袋口押さえ棒10の両端は、シール台5の両端に近接して設けられた軸片12に回動可能に軸支されている。この袋口押さえ棒10は、包装袋8の袋口7を前記シール台5にセットした後、前記上部シール部6により押さえてシールする前に、袋口7がヒータ面からずれないように、金属製の棒で一時的に押さえておくものである。
【0007】
図12に示すように、前記回転ベルト1の搬出側の下部反転位置に搬出シュート11が傾斜して設けられている。シールされた包装袋8は回転ベルト1の搬出部で落下して、搬出シュート11で受け止められる。
【0008】
前記従来のベルト式真空包装機の搬出シュート11の取り付けは、袋口押さえ棒10が回転ベルト1の搬出部において、回転ベルト1の遠心力により、図13に示すような回転軌跡13を描いて外側に反転する。このため、搬出シュート11は、袋口押さえ棒10が接触しないように回転軌跡13の外側に位置するように取り付ける必要がある。
【0009】
前記搬出シュート11の取り付け位置としては、図13の仮想線で示した位置の方が包装袋8の落下の際の衝撃も少なく好ましい位置であるが、図示するように、回転ベルトと搬出シュートとの隙間に小型の包装袋が殆ど巻き込まれてしまう。このため、包装袋8を安全確実に受け止めるために、やむを得ず、搬出シュート11は実線で示す回転ベルト1の下部に取り付けられていた。
【0010】
しかし、図12に示すように、搬出シュート11を回転ベルト1の下部に取り付けると、包装袋8は前転して搬出シュート11上に落下し、落下距離もかなり大きくなる。被包装物が重量物(例えば、ブロイラーの手羽)であったり、硬い物(例えば、冷凍マグロ)であったり、衝撃に弱い物(例えば、おでんの玉子)、ピンホールしやすい物(例えば、ガスパック)等々は、ダメージが大きかった。また、包装物が前転して強く落下するため、排出後の包装袋8の表裏や姿勢がバラバラとなり、次工程の検査作業や箱詰め作業の自動化には難点があった。
【0011】
上記従来の問題点を改善する方法として、作業者の手前側(回転ベルトの上流側)に袋口7が、作業者から遠い側(回転ベルトの下流側)に袋底がくるように包装袋8を逆配置し、袋口7をシール台5上でシールしていた。
【0012】
前記のように、回転ベルト1上に載置する包装袋8の向きを逆配置し、シール台5と上部シール部6で袋口7がシールされた後、回転ベルト1の搬出部で袋底側から滑り落とすと、袋底側は袋口押さえ棒10により押さえられていないので、図13に示すような、包装袋8を隙間に巻き込むことなく、仮想線で示す搬出シュート11上に滑り下ろすことができる。従って、仮想線で示す搬出シュート11の位置でも包装袋8を受け止めることができる。
【0013】
しかも、傾斜板9と袋口押さえ棒10の取り付け位置が逆になり、袋口押さえ棒10の両端を軸支する軸片12の位置がシール台5の上流側になるので、搬出シュート11の位置で図13に示すように袋口押さえ棒10が回転ベルト1の遠心力で外側に開くことがない。このため、袋口押さえ棒10の回転軌跡13も小さくなるので、排出シュート11を回転ベルト1に近づけて取り付けることができる。
【0014】
しかしながら、このような包装袋8の逆配置の真空包装機であると、液状の被包装物の場合、作業者の作業位置において、回転ベルト1を登り勾配で配置することができなくなるため、液状物の被包装物には対応できないという問題点があった。
【0015】
そこで、前記従来の真空包装機を改良するために、特許文献1のようなベルト式真空包装機が提案された。この特許文献1のベルト式真空包装機は、開口部押え部材(袋口押さえ棒10)の一端部に、L字を90度反時計方向に回転したような形状のアームが設けられている。このアームは一端に支持軸が設けられており、この支持軸を介してシール台に回動自在に軸支されている。
【0016】
前記アームの支持軸の下方に水平受け辺部が垂下し、回転ベルトの排出部近傍に回転ベルト側に突出して固定された作動ピンに前記水平受け辺部が衝突し、アームは支持軸を中心に回転する。これによって、開口部押え部材(袋口押さえ棒10)は、真空・封止包装処理後の包装袋から強制的に離されるので、包装袋が開口部押え部材に巻き付いたりせずに、包装袋は円滑に排出される。
【0017】
しかも、この特許文献1の包装機は、回転ベルトの搬出部では、開口部押え部材(袋口押さえ棒)は回転を終えているので、図13のような回転軌跡を描いて回転することはなく、その分、搬出シュートと回転ベルトの搬出間の間隔を狭くすることができ、包装袋が隙間に嵌まり込むことが少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特許第3848631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前記特許文献1のベルト式真空包装機では、回転ベルトの排出部近傍で作動ピンにアームの水平受け辺部が衝突し、アームは支持軸を中心に回転する。しかし、水平受け辺部は支軸から僅かしか垂下していないため、かなり重さのある開口部押え部材(袋口押さえ棒10)を、アームの支持軸を中心に回転させるためにはかなりの力を必要とする。このため、ベルトの移動速度と同じ速度で水平受け辺部が作動ピンに衝突する際に、かなりの衝撃が加わるので、水平受け辺部や作動ピンの消耗が激しい。
【0020】
さらに、本件のようなベルト式真空包装機は、長くて大きな包装袋に限らず、薄くて短寸の包装袋に対応しなければならないが、搬出シュートと回転ベルトとの隙間は30mm程度にしなければ、それより広すぎると薄くて短い包装袋は前記隙間に巻き込まれてしまう虞がある。しかし、特許文献1の開口部押え部材(袋口押さえ棒10)の高さを低くして、隙間を狭くするためにアームの水平受け辺部を短くすると、前記のように、作動ピンと水平受け辺部との衝突する衝撃が強すぎて実用に耐えない虞がある。逆に、水平受け辺部を長く垂下してアームの支持軸の位置をベルト表面から高くすると、搬出シュートと回転ベルト搬出の隙間を広くしなければならなくなる。
【0021】
以上のような問題点を解決するために、特許文献1の搬出シュートの取付け位置を少し下方に下げたとしても、開口部押え部材(袋口押さえ棒10)が回転ベルトの搬出部の反転位置に差し掛かった場合には、開口部押え部材(袋口押さえ棒10)が自重によりベルトから離反してぶらつくために、大幅に搬出シュートを下方にずらさないと、開口部押え部材が搬出シュートと接触する虞がある。従って、特許文献1では、搬出シュートを回転ベルトの搬出部の上方に設けて、包装袋をソフトに搬出するという所期の目的は達成されないことになる。
【0022】
本発明は、上記のような課題に鑑み、開口部押え部材(袋口押さえ棒10)が回転ベルトの搬出部にさしかかる直前に、無理なく反転させて、薄い包装袋でも巻き込まれないような最小限の隙間を保持して搬出シュートを配置し、包装袋が前転することなく搬出シュートを滑り落ち、包装袋の落下の衝撃が少なく、少なくとも表裏が反転することなく、整列した状態で搬出することを可能で、低コストのベルト式真空包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、被包装物を充填した包装袋を回転ベルト上に載置し、前記包装袋上から真空チャンバーが回転ベルト上に密着して、チャンバー内を負圧として包装袋を真空包装するベルト式真空包装機において、前記回転ベルトの幅方向に、袋口をシールするためのシール台を配置し、このシール台に沿って長手方向に、袋口押さえ棒を回動自在に軸支し、前記シール台に近接して、滑り台方式の傾斜板を回転ベルト上に固定した、ことを特徴とする。
【0024】
前記構成のように、傾斜板をシール台に固定せず、回転ベルトに固定すると、シール台でシールされた包装袋が回転ベルトの搬出側の円周部に差し掛かった時に、傾斜板の上流側が回転ベルトの表面から浮き上がることがないので、包装袋が傾斜板に引っ掛かることがない。逆に、傾斜板の上流側は回転ベルトに固定されているので、搬出部では、傾斜板は真空包装後の包装袋を滑り台のように搬出シュート側に滑り落ちやすくする。
【0025】
さらに、包装袋が回転ベルトの搬出側の円周部に進むと、シール台と傾斜板の下流側との間に大きな隙間ができ、シールされた袋口がシール台から離反するため、袋口押さえ棒で押さえられていた袋口の押さえがはずれて、搬出部での袋口の袋口押さえ棒への巻き込みが無くなる。
【0026】
さらに本発明は、前記回転ベルトの幅方向に、袋口をシールするためのシール台を配置し、このシール台に沿って長手方向に、袋口押さえ棒を回動自在に軸支し、前記袋口押さえ棒の少なくとも一方の端部近傍に前記袋口押さえ棒を跳ね上げる、跳ね上げレバーを軸支し、回転ベルトの搬出部の近傍で、前記跳ね上げレバーの移動方向前方に、跳ね上げレバーが当接して跳ね上げレバーを回転させて袋口押さえ棒を跳ね上げる当接体を設けた、ことを特徴とする。
【0027】
本発明は上記構成より、跳ね上げレバーの軸の位置をぎりぎりまで下げて回転ベルトに接近させることにより、跳ね上げレバーの高さを押さえて、搬出シュートと回転ベルトとの隙間を狭くすることにより、薄くて小さい包装袋の隙間からの落下を防止できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のベルト式真空包装機は、傾斜板が真空包装後の包装袋を滑り台のように搬出シュート側に滑り落ちやすくする。また、袋口押さえ棒が回転ベルトの搬出部にさしかかる前に無理なく反転して、回転ベルトとの最小限の隙間を保持して搬出シュートを配置し、包装袋をソフトに搬出シュートから滑り落とし、落下の衝撃を少なくして搬出することを可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1のベルト式真空包装機の搬出側の側面図
【図2】同搬出側の部分斜視図
【図3】実施例1の跳ね上げレバーと当接ローラの説明図
【図4】他の実施例の跳ね上げレバーと当接ガイド板の説明図
【図5】袋口押さえ棒と跳ね上げレバーの説明図
【図6】当接体の変形例を示す説明図
【図7】他の当接体の変形例を示す説明図
【図8】従来の傾斜板の作用を示す説明図
【図9】本実施例の傾斜板の作用を示す説明図
【図10】従来の回転ベルトをインバータ制御する際のタイムチャート
【図11】本実施例の回転ベルトをインバータ制御する際のタイムチャート
【図12】従来のベルト式真空包装機の部分側面断面図
【図13】従来のベルト式真空包装機の搬出部の作動説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について図面を用いて説明する。なお、従来と同じ構成については、図面の同じ符号を使用する。図1は本発明の実施例1のベルト式真空包装機の搬出側の側面図、図2は同搬出側の部分斜視図である。図2に示すように、回転ベルト1の幅方向に角柱状のシール台5が取り付けられている。図示していないが、従来例で説明したように、真空チャンバー3内の前記シール台5と対応する位置に上部シール部6が設けられている。
【0031】
前記傾斜板9上には、袋口押さえ棒10がシール台5と並行に配置されて両端が軸片12に軸支されている。この袋口押さえ棒10は金属製の棒体であって、包装袋8の袋口7を押さえ付けるだけの重量を有し、図2に示すように、両端部15はL字形に曲げられ、さらに、内側に水平に直角に曲げられて、その先端部16が軸片12に軸支されている。このため、袋口押さえ棒10は、袋口7を押さえる傾斜板9上の位置と、回転ベルト1上に横たわる解放位置との間で回動することが可能である。
【0032】
シール台5の上流側に隣接して、滑り台方式の傾斜板9が回転ベルト1に直接、ネジで固定されており、従来例とは異なりシール台5には全く固定されていない。この滑り台式の傾斜板9の作用については、さらに前記従来例と比較しながら詳細に後述する。
【0033】
前記袋口押さえ棒10を跳ね上げる、跳ね上げレバー17は、傾斜板9の一端近くに設けられた軸受け片(図示せず)に軸支している。この跳ね上げレバー17は、側面視においてL字形をしており、このL字の直角に曲がった外側部分に軸18が溶着され、この軸18が前記軸受け片に軸支している。袋口押さえ棒10が袋口7を押さえているポジションにおいて、前記跳ね上げレバー17の下片17Aは、袋口押さえ棒10の一端部の下に潜り込んで、起立片17Bは回転ベルト1に対して垂直又は多少傾斜して起立している。
【0034】
図3に示すように、前記跳ね上げレバー17は、回転ベルト1と共に水平移動し、後述する当接ローラ19Aに当接して回転し、袋口押さえ棒10のL字形に曲げられた両端部15の一方を上方に跳ね上げて、袋口押さえ棒10を傾斜板9上から回転ベルト1上に回転させて袋口7を押さえることから解放する。なお、他の実施例を含めて包括概念的に「当接体19」という。この当接体は図3、図4に示すようなものに限定されず、特許文献1のような棒状のアームであってもよい。
【0035】
当接体19と跳ね上げレバー17の関係は、特許文献1と異なり、当接体19が跳ね上げレバー17の軸18より上に位置する起立片17Bに当接する構成にすることである。跳ね上げレバー17の構成を前記のように軸18より上に位置する起立片17Bに当接体19が当接する構造にすることにより、特許文献1の欠点を解消できる。即ち、特許文献1が支持軸より水平受け辺部(本発明の起立片17B)が下方にあり、水平受け辺部が短すぎると、作動ピン(本発明の当接体19に相当する)と水平受け辺部との衝突する衝撃が強すぎて実用に耐えない虞があり、逆に、水平受け辺部を長くしてアームの支持軸の位置をベルト表面から高くすると、搬出シュートと回転ベルトの隙間が広くなって、薄くて小さい包装袋は前記隙間から落下する虞が出てくる。
【0036】
本実施例では、軸18の位置をぎりぎりまで下げて回転ベルト1に接近させることにより、跳ね上げレバー17の高さを押さえて、搬出シュート11と回転ベルト1との隙間を狭くすることにより、薄くて小さい包装袋8の隙間からの落下を防止できる。
【0037】
前記跳ね上げレバー17の軸18には、コイルバネ(図示せず)をセットし、常に、袋口押さえ棒10を跳ね上げる前の正規姿勢(図2のように、跳ね上げレバー17の下片17Aが袋口押さえ棒10の両端部15一方の下に潜り込み、起立片17Bは垂直に又は多少傾斜して起立している姿勢)となるように回転付勢することが好ましい。このように、コイルバネにより、跳ね上げレバー17を回転付勢しなければ、跳ね上げレバー17が回転ベルト1の底側に回り込んだ後、回転ベルト1の作業位置側から上面側に復帰する際に、先に上面へ復帰した袋口押さえ棒10が傾斜板9上に乗り上がり、遅れて復帰する、跳ね上げレバー17が袋口押さえ棒10上に乗り上がるために、跳ね上げレバー17が前記正規姿勢にならなくなるためである。
【0038】
従って、当接ローラ19Aが跳ね上げレバー17の起立片17Bに当接して転倒した後は、コイルバネにより、転倒した跳ね上げレバー17を正規姿勢に戻し、回転ベルト1の搬出部、底側、作業位置において跳ね上げレバー17を正規姿勢に保持した状態とし、自由回転する袋口押さえ棒10の両端部15の一方が作業位置において、常に正規姿勢の跳ね上げレバー17の下片17A上に乗るようにする。
【0039】
前記跳ね上げレバー17が当接する当接ローラ19Aは、ブラケット20を介して、ベルト式真空包装機の本体フレーム21の内側の前記跳ね上げレバー17の起立片17Bが通過する位置に突出して固定されている。この当接ローラ19Aは、自由に回転するようブラケット20の先端に軸支している。当接ローラ19Aが回転するため、当接ローラ19Aが跳ね上げレバー17に当接しても、摺動抵抗が少なく、跳ね上げレバー17が当接ローラ19Aに当接する際の衝撃が緩和される。
【0040】
図2、図3に示す当接ローラ19Aの代わりに、図4に示すような上方に湾曲して形成された当接ガイド板19B(当接体19の一種)を本体フレーム21に取り付けてもよい。このような湾曲する当接ガイド板19Bを用いると、跳ね上げレバー17の起立片17Bに、緩やかに湾曲する板面が当接するので、跳ね上げレバー17が当接ガイド板19Bに当接する際の衝撃が緩和される。
【0041】
図5は跳ね上げレバー17の別の実施例を示している。この図5の跳ね上げレバー17は、袋口押さえ棒10のL字形の両端部15の一方を緩やかにウエブ状に曲げると共に、前記跳ね上げレバー17の下片17Aも対応させて緩やかにウエブ状に曲げられているため、下片17Aによる袋口押さえ棒10を跳ね上げる初期において衝撃を緩和することができる共に、袋口押さえ棒10の反転力を増すことができる。
【0042】
図6は当接体19の他の実施例を示している。この実施例の当接体19は、長方形状のロッド22の上端を本体フレーム21に軸支し、下部に自由回転する当接ローラ19Aを設けている。この当接体19は、ロッド22が振り子のように左右に搖動可能であるが、本体フレーム21に設けたストッパー23により、一方向(回転ベルト1の上流から下流方向)には垂直位置までしか回転することができない。
【0043】
上記構成により、回転ベルト1が上流側から下流側に回転し、跳ね上げレバー17の起立片17Bが当接ローラ19Aに当接すると、ロッド22の垂直位置で、跳ね上げレバー17の通過を妨げて跳ね上げレバー17が軸18を中心にして回転して下片17Aが袋口押さえ棒10を跳ね上げて、袋口押さえ棒10で押さえられていた袋口7を開放する。
【0044】
逆に、前記ロッド22は、他方向(回転ベルトの下流側から上流側)へはストッパー23がロッド22の回転を邪魔しないので、自由に回転できる。このため、回転ベルト1が下流側から上流側に逆回転し、跳ね上げレバー17の起立片17Bが当接ローラ19Aに当接しても、ロッド22は反時計回りに回転するので、図6に示すように、跳ね上げレバー17は軸18を中心にして回転せずに、当接ローラ19Aの下を邪魔されずにそのままの姿勢で通過できる。
【0045】
前記図6の当接体19を使用するのは、搬出シュート11から真空包装後の包装袋8を搬出するのではなく、真空包装後、回転ベルト1の回転を逆回転して作業者側へ真空包装後の包装袋8を搬出して箱詰めするためである。
【0046】
図7は図6の当接体の変形例である。前記実施例の当接ローラ19Aに変えて湾曲した板片24がロッド22の下部に設けられている。この図7の当接体19も跳ね上げレバー17の起立片17Bが当接すると、ストッパー23により、一方向(回転ベルト1の上流から下流方向)へは通過を妨げて軸18を中心にして跳ね上げレバー17が回転して下片17Aが袋口押さえ棒10を跳ね上げるが、他方向(回転ベルト1の下流側から上流側)へは跳ね上げレバー17の通過を可能とする。この湾曲した板片24により衝撃を和らげる点は前記図4の当接体19と同様である。この図7の当接体19の使用目的は前記図6に示す当接体と同じである。
【0047】
なお、前記実施例の当接体19と跳ね上げレバー17は、回転ベルトの片側に設けた例で説明したが、当接体19と跳ね上げレバー17は、両側に設けてよいことは言うまでもない。
【0048】
(実施例2)
前記特許文献1のベルト式真空包装機は、シール台上でシールされた包装袋8がシール台の角部に引っ掛かりやすく安定的な搬出には問題がある。さらに、図12、図13に示す真空包装機でも、図8に示すように、傾斜板9がシール台5に直接ボルトで固定されているため、回転ベルト1の搬出部に差し掛かると傾斜板9の上流側の側辺が回転ベルト1の表面から浮き上がり、包装袋8が傾斜板9に引っ掛かりやすい。さらに、搬出部において、袋口押さえ棒10により長く袋口7が押さえられているため、真空包装後の包装袋8が回転ベルト1から搬出される際に、袋口押さえ棒10に袋口7が巻き付いて搬出シュート11に包装袋8が追突するか、回転ベルト1と搬出シュート11との隙間に落下する虞がある。
【0049】
本実施例2では、図9に示すように、傾斜板9をシール台5に近接する上流側の回転ベルト1に固定している。このように、傾斜板9を回転ベルト1に固定すると、シール台5でシールされた包装袋8が回転ベルト1の搬出側の円周部に差し掛かった時に、傾斜板9の上流側が回転ベルト1の表面から浮き上がることがないので、包装袋8が傾斜板9に引っ掛かることがない。逆に、傾斜板9の上流側は回転ベルト1に固定されているので、搬出部では、傾斜板9は真空包装後の包装袋8を滑り台のように搬出シュート11側に滑り落ちやすくする。
【0050】
前記実施例1では、真空包装後の包装袋8が搬出部に差し掛かる前に、袋口押さえ棒10が袋口7上から跳ね上げられているため、搬出部での袋口7の袋口押さえ棒10への巻き込みが無くなり、傾斜板9によりスムースに搬出シュート11側へ包装袋8を搬出するので、この実施例2と前記実施例1とを組み合わせれば、理想的な状態で包装袋8を搬出シュートに搬出することができる。
【0051】
ただし、実施例1とこの実施例2の組み合わせは必須ではなく、この実施例2の傾斜板9だけでも搬出シュート11から包装袋8をスムースに搬出することができる。即ち、包装袋8が図9の左端のポジションからさらに進むと、シール台5と傾斜板9の下流側との間に大きな隙間ができるため、シールされた袋口7がシール台5から離反するため、袋口押さえ棒10で押さえられていた袋口7の押さえがはずれて、搬出部での袋口7の袋口押さえ棒10への巻き込みが無くなり、傾斜板9によりスムースに搬出シュート11側へ包装袋8を搬出することができる。
【0052】
(実施例1及び2の制御方法)
図10は、図13の従来のベルト式真空包装機の回転ベルトの回転速度をインバータ制御をする際のタイムチャートを示し、図11は本実施例1及び2の回転ベルトの回転速度をインバータ制御をする際のタイムチャートを示している。
【0053】
図10のタイムチャートでは、真空チャンバー3で包装袋8を真空包装した後、左下のベルトの移動開始ポイント(P0)から、駆動ローラ2を回転する駆動モータ(図示せず)の回転周波数を65Hzまで上げる。その後、駆動モータの回転数を65Hzで一定時間(P1―P2)定速回転を続けた後、周波数を(P2)から(P3)の間で20Hzまで回転数を下げ、(P3)から(P4)の間は20Hzを維持した後、(P5)で駆動モータを停止する。前記(P0―P5)の間で、図13において包装袋8が真空チャンバーで真空包装された後、搬出部で搬出シュート11に排出され、さらにシール台5と袋口押さえ棒10が回転ベルト1の裏面側に回り込む。
【0054】
このタイムチャートの後半部(P3―P4)において20Hzで短時間回転数を維持するのは、(P2)で65Hzから駆動モータを急に停止すると、ベルト停止位置にバラつきが生じるためである。
【0055】
しかし、袋口押さえ棒10が、回転ベルト1の搬出部にさしかかり、駆動ローラ2の円周部を回り込む際に、自由回転する袋口押さえ棒10に、回転ベルト1の回転する方向とは逆のモーメント(下流側から上流側に戻そうとする力)が働き、袋口押さえ棒10の回転速度が相対的に遅くなる傾向がある。このため、袋口押さえ棒10は、図13の袋口押さえ棒10の回転軌跡13が仮想線で示す搬出シュート11位置では回転軌跡13が外側に大きく膨らみ、袋口押さえ棒10が仮想線で示す搬出シュート11に接触しないようにするためには、両者の隙間を広くとらなければならなくなり、従来例で説明したような問題点がでてくる。
【0056】
このため、本実施例では、袋口押さえ棒10が、確実に反転した後、駆動ローラ2の反転位置を通過するようにするため、駆動ローラ2のインバータ制御において、図11に示すように、跳ね上げレバー17が当接体19に当接する(PL)の間で駆動モータの回転周波数を20Hzまで減速し、袋口押さえ棒10を確実に回転ベルト1の上面に反転接地させる。袋口押さえ棒10が搬出シュート11の位置に差掛った後に、(P2)の時点まで再加速して包装袋8を搬出シュート11から搬出する。その後、周波数を(P2)から(P3)の間で20Hzまで回転数を下げ、(P3)から(P4)の間は20Hzを維持した後、(P5)で駆動モータを間欠停止する。これにより、袋口押さえ棒10の搬出シュート11との接触も回避でき、小さな回転モーメントで無理の少ない確実な搬出シュート位置の通過が可能となる。
【0057】
以上のように、搬出シュート11への包装袋8の落下の際の衝撃を少なくし、包装袋8が前記搬出シュート11と回転ベルト1の間の隙間に落ち込まず、表裏が逆転することなく安定して排出するためには、包装袋8が回転ベルト1の搬出部の初期位置において、袋口押さえ棒10を袋口7から強制的に引き離しておくか、袋口7を袋口押さえ棒10から離反させて包装袋8が傾斜板9から上向きに排出軌道を描いて搬出シュート11上に滑り落ちるようにすることである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、被包装物を充填した包装袋が間欠回転する回転ベルト上にセットされ、真空チャンバーが下降して、チャンバー内の空気が吸引されて被包装物を真空包装するベルト式真空包装機に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 回転ベルト
2 駆動ローラ
3 真空チャンバー
5 シール台
6 上部シール部
7 袋口
8 包装袋
9 傾斜板
10 袋口押さえ棒
11 搬出シュート
13 回転軌跡
15 両端部
17 跳ね上げレバー
17A 下片
17B 起立片
18 軸
19 当接体
19A 当接ローラ
19B 当接ガイド板
21 本体フレーム
22 ロッド
23 ストッパー
24 湾曲した板片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を充填した包装袋を回転ベルト上に載置し、前記包装袋上から真空チャンバーが回転ベルト上に密着して、チャンバー内を負圧として包装袋を真空包装するベルト式真空包装機において、
前記回転ベルトの幅方向に、袋口をシールするためのシール台を配置し、このシール台に沿って長手方向に、袋口押さえ棒を回動自在に軸支し、前記シール台に近接して、滑り台方式の傾斜板を回転ベルト上に固定した、
ことを特徴とするベルト式真空包装機。
【請求項2】
被包装物を充填した包装袋を回転ベルト上に載置し、前記包装袋上から真空チャンバーが回転ベルト上に密着して、チャンバー内を負圧として包装袋を真空包装するベルト式真空包装機において、
前記回転ベルトの幅方向に、袋口をシールするためのシール台を配置し、このシール台に沿って長手方向に、袋口押さえ棒を回動自在に軸支し、
前記袋口押さえ棒の少なくとも一方の端部近傍に前記袋口押さえ棒を跳ね上げる、跳ね上げレバーを軸支し、
回転ベルトの搬出部の近傍で、前記跳ね上げレバーの移動方向前方に、跳ね上げレバーが当接して跳ね上げレバーを回転させて袋口押さえ棒を跳ね上げる当接体を設けた、
ことを特徴とするベルト式真空包装機。
【請求項3】
被包装物を充填した包装袋を回転ベルト上に載置し、前記包装袋上から真空チャンバーが回転ベルト上に密着して、チャンバー内を負圧として包装袋を真空包装するベルト式真空包装機において、
前記回転ベルトの幅方向に、袋口をシールするためのシール台を配置し、このシール台に沿って長手方向に、袋口押さえ棒を回動自在に軸支し、
回転ベルト上の袋口押さえ棒の端部近傍に前記袋口押さえ棒を跳ね上げる、跳ね上げレバーを軸支し、
回転ベルトの搬出部の近傍で、前記跳ね上げレバーの移動方向前方に、跳ね上げレバーが当接して跳ね上げレバーを回転させて袋口押さえ棒を跳ね上げる当接体を設けた、
前記シール台に近接して、滑り台方式の傾斜板を回転ベルト上に固定した、
ことを特徴とするベルト式真空包装機。
【請求項4】
本体フレームに設けられた当接体が、自由回転する回転ローラか上方に湾曲した板片の何れかであることを特徴する請求項2又は3に記載のベルト式真空包装機。
【請求項5】
袋口押さえ棒の両端部の少なくとも一方を緩やかにウエブ状に曲げると共に、跳ね上げレバーの下片も対応させて緩やかにウエブ状に曲げられている、
ことを特徴する請求項2又は3に記載のベルト式真空包装機。
【請求項6】
跳ね上げレバーの軸にコイルバネを設けている、
ことを特徴する請求項2又は3に記載のベルト式真空包装機。
【請求項7】
本体フレームに設けられた当接体が振り子状に搖動可能で、跳ね上げレバーが下流側から上流側へ逆方向への移動を可能にした、
ことを特徴する請求項2又は3に記載のベルト式真空包装機。
【請求項8】
回転ベルトを間欠駆動する駆動モータのワンサイクルにおけるインバータ制御において、
真空チャンバーにて真空包装が完了した後、回転ベルトが回転を開始する初期段階で駆動モータが高速のスピードで回転し、
跳ね上げレバーが当接体に当接する際に、駆動モータを減速して袋口押さえ棒を回転ベルト面に反転接地する請求項2又は3に記載のベルト式真空包装機。
【請求項9】
回転ベルトを間欠駆動する駆動モータのワンサイクルにおけるインバータ制御において、
真空チャンバーにて真空包装が完了した後、回転ベルトが回転を開始する初期段階で駆動モータが高速のスピードで回転し、
跳ね上げレバーが当接体に当接する際に、駆動モータを減速して袋口押え棒を回転ベルト面に反転接地させ、
袋口押さえ棒が回転ベルトの搬出部にさしかかると駆動モータを高速のスピードに再加速して包装袋を搬出シュートから搬出し、
終期段階において減速してその減速状態を維持した後、停止する請求項2又は3に記載のベルト式真空包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−121615(P2012−121615A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275439(P2010−275439)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 〔博覧会名〕 2010東京国際包装展 〔主催者名〕 社団法人日本包装技術協会 〔開催日〕 平成22年10月5日(火)〜8日(金) 4日間
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】