説明

ベルト駆動伝達装置、画像形成装置

【課題】 画像を担持して回転する回転体を回転駆動している際の、ベルトの寄りによるプーリからのベルトの脱落を防止することができるベルト駆動伝達装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成装置のフレーム1に、軸受2を介して感光体ドラム4のドラム軸3が回転自在に軸支されている。ドラム軸3にはドラムプーリ8が取り付けられている。フレーム1にはモータ10が取り付けられている。モータ10の駆動軸10aには、モータプーリ11が圧入されている。モータプーリ11とドラムプーリ8との間には、スチール製のベルト9が掛け渡されている。ドラムプーリ8を磁石体からなる磁石体ドラムプーリ8−1で構成する。ベルト9を、磁性体からなる磁性体ベルト9−1で構成する。これにより、磁性体ベルト9−1が磁力により磁石体ドラムプーリ8−1に吸着され、磁石体ドラムプーリ8−1からの磁性体ベルト9−1の脱落が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置の像担持体である感光体ドラムは、一般的に、減速装置としての歯車駆動伝達装置により、駆動源としてのモータの回転を減速して、所望の線速で回転駆動するように構成されている。しかし、この歯車駆動伝達装置では、歯車の1歯毎の僅かな形状誤差により角速度に変動が起こるという問題がある。この角速度の変動は、駆動対象である回転体の回転ムラ(ジター)の原因となる。このため、このような角速の変動を起こす駆動伝達装置により上記感光体ドラムを駆動した場合には、その回転ムラにより画像ムラが発生して画質低下を招くことがある。また、その改善策として、歯車の加工精度を極力高めて形状誤差を低減したり、剛性や耐摩耗性の高い材料を用いて経時劣化や摩耗などを低減させたりした歯車駆動伝達装置は、コストが高くなるという問題がある。更に、この歯車駆動伝達装置では、回転時における歯車同士の噛み合いによる騒音が大きいという問題がある。
【0002】
このような歯車駆動伝達装置の問題を改善することが可能な減速装置として、上記感光体ドラムの回転軸に従動プーリを設け、駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、従動プーリと駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、駆動軸の回転を感光体ドラムの回転軸に伝達する所謂ベルト駆動伝達装置がある。このベルト駆動伝達装置においては、ベルトが掛け渡されている駆動プーリの駆動軸と従動プーリの回転軸とが常に平行に保たれていれば、ベルトは、蛇行すること無く、安定して回転する。しかし、この駆動プーリの駆動軸と従動プーリの回転軸との平行度が保たれなくなると、ベルトの寄りが起って、プーリからベルトが脱落してしまう。このようなベルトの寄りによるベルトの脱落を防止することができるベルト駆動伝達装置として、例えば、特開平5−157155号公報の「スチールベルト用プーリ」のように、ベルトを張架するプーリの形状をクラウン(太鼓)状に形成したものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ベルトを張架するプーリの形状をクラウン状に形成した従来のベルト駆動伝達装置においては、プーリの形状によりベルトが徐々にクリープ変形して、ベルトの形状が初期状態から変化してしまう。このため、この従来のベルト駆動伝達装置では、その伝達トルクや精度が経時的に変化するという問題がある。
このようなプーリの形状に頼らずにベルトの寄りを防止するようにしたベルト駆動伝達装置として、図19に示すように、ブラケット6に対するモータ10の駆動軸10aの取り付け角度(ベルト寄り調整角度)θを調整することにより、ベルト9の寄りを防止するようにしたものがある。しかし、このベルト駆動伝達装置においても、主として、そのモータ10の駆動軸10aの負荷変動や経時的な摩耗劣化などにより、前述したように、駆動プーリの駆動軸と従動プーリの回転軸との平行度が保てなくなって、ベルトがプーリから脱落してしまうことがあった。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、画像を担持して回転する回転体を回転駆動している際の、ベルトの寄りによるプーリからのベルトの脱落を防止することができるベルト駆動伝達装置を提供することである。
また、本発明の他の目的とするところは、画像を担持する像担持体を安定回転させて、画像ムラのない高品質の画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像を担持して回転する回転体の回転軸に従動プーリを設け、該回転体を駆動する駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、該従動プーリと該駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、該駆動軸の回転を該回転体の回転軸に伝達するベルト駆動伝達装置において、上記駆動プーリ及び上記従動プーリの少なくとも一方と、上記ベルトとの何れか一方を磁性体で構成し、他方を磁石体で構成したことを特徴とするものである。
このベルト駆動装置においては、上記駆動軸の回転により、上記駆動プーリ及び上記従動プーリの少なくとも一方と上記ベルトとが、磁力により吸着された状態で回転駆動される。
請求項2の発明は、請求項1のベルト駆動伝達装置において、上記駆動プーリ及び上記従動プーリの少なくとも一方を、磁性体もしくは磁石体で構成したプーリ部と、該プーリ部の両側面に設けられて上記ベルトの側面から突出する幅の非磁性体からなるベルト支持部とで構成したことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2のベルト駆動伝達装置において、上記プーリ部及び上記ベルト支持部の上記ベルトとの接触面に、高摩擦部材膜を設けたことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項2のベルト駆動伝達装置において、上記プーリ部の上記ベルトとの接触面に高摩擦部材膜を設け、上記ベルト支持部の該ベルトとの接触面に低摩擦部材膜を設けことを特徴とするものである。
請求項5の発明は、画像を担持して回転する回転体の回転軸に従動プーリを設け、該回転体を駆動する駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、該従動プーリと該駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、該駆動軸の回転を該回転体の回転軸に伝達するベルト駆動伝達装置において、上記ベルトの上記従動プーリ及び上記駆動プーリに掛け渡されていない部分のベルト面に対して接触するように配置した接触部材と、上記ベルトとの何れか一方を磁性体で構成し、他方を磁石体で構成したことを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5のベルト駆動伝達装置において、上記回転体の回転時における上記ベルトの軸方向の位置を検出するベルト位置検出手段と、上記ベルト面に沿って上記接触部材を移動させる接触部材移動手段と、該ベルト位置検出手段で検出したベルト位置に応じて該接触部材移動手段による該接触部材の移動量を制御する移動量制御手段とを有していることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項6のベルト駆動伝達装置において、上記接触部材は、上記接触部材移動手段によって、上記ベルと面に沿って円弧状に移動するように構成されていることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、画像を担持して回転する回転体の回転軸に従動プーリを設け、該回転体を駆動する駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、該従動プーリと該駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、該駆動軸の回転を該回転体の回転軸に伝達するベルト駆動伝達装置において、上記ベルトの上記従動プーリもしくは上記駆動プーリに掛け渡されている部分のベルト外周面に接触配置した接触部材と、該ベルトとの何れか一方を磁性体で構成し、他方を磁石体で構成したことを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項8のベルト駆動伝達装置において、上記回転体の回転時における上記ベルトの軸方向の位置を検出するベルト位置検出手段と、上記ベルト面に沿って上記接触部材を移動させる接触部材移動手段と、該ベルト位置検出手段で検出したベルト位置に応じて該接触部材移動手段による該接触部材の移動量を制御する移動量制御手段とを有していることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、画像を担持して回転する像担持体と、該像担持体上に画像を形成する画像形成手段とを備え、該像担持体を無端状のベルトとプーリとで構成したベルト駆動伝達装置により回転駆動する画像形成装置において、上記ベルト駆動伝達装置として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9のベルト駆動伝達装置を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像を担持して回転する回転体を回転駆動している際の、ベルトの寄りによるプーリからのベルトの脱落を防止することができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明が適用されるベルト駆動伝達装置について説明する。図16及び図17に、後述する各実施形態に共通した構成を有するベルト駆動伝達装置の一例を示す。図16及び図17において、図示しない画像形成装置の本体側板であるフレーム1には、軸受2を介して、感光体ドラム4のドラム軸3が回転自在に軸支されている。このドラム軸3には、ドラムプーリ8が取り付けられている。また、フレーム1には、スタッド5、ブラケット6を介して、モータ10が取り付けられている。モータ10の駆動軸10aには、モータプーリ11が圧入されている。このモータプーリ11と、ドラムプーリ8との間には、スチール製のベルト9が掛け渡されている。モータ10は、このベルト9に所望のテンションがかかるように、モータプーリ11とドラムプーリ8との軸間距離を予め定めた上で、ねじ12によりブラケット6に締結されている。
【0008】
しかしながら、このような構造のベルト駆動伝達装置では、図18に示すように、その組み立て時に理想位置9’にあったベルト9が、負荷トルク変動や、ベルト9の僅かなクリープ変形等によって、脱落位置9"に片寄りを起こす場合がある。このようなベルト9の寄りによって、ベルト9が脱落したり破損したりすると、モータ10の回転が感光体ドラム4に伝達されなくなる。そこで、この種のベルト駆動伝達装置では、図19に示すように、ブラケット6に対するモータ10の駆動軸10aの取り付け角度(ベルト寄り調整角度)θを調整して、ベルト9の寄りを防止するようにしている。しかし、このように、初期(組み立て時)はベルト寄りを防止できるように調整が施されていたとしても、ベルト9の回転が経時的に安定しているとは限らない。例えば、負荷トルクの変動によるドラム軸3のふらつきや、フレーム1及びブラケット6等の温度変化による内部応力ひずみや、クリープ変形等の影響で、モータプーリ11及びドラムプーリ8とベルト9との均衡状態が崩れて、ベルト9が片寄り脱落する場合がある。
【0009】
このようなベルト9の脱落を防止するために、モータプーリ11及びドラムプーリ8にフランジを設けたものがあるが、薄層のベルトではフランジに接触したときの蛇行による側圧でベルト9がめくれあがって破損することがある。
【0010】
上記問題は、以下に説明する各実施形態に係るベルト駆動伝達装置を用いることにより解決することができる。なお、以下の実施形態に係るベルト駆動伝達装置の各構成要素のうち、図16及び図17に示したベルト駆動伝達装置の各構成要素と同等の構成及び機能を有するものには、このベルト駆動伝達装置の各構成要素に付した符号と同符号を付してその説明を省略する。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1に係るベルト駆動伝達装置は、図16及び図17に示したベルト駆動装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態1に係るベルト駆動伝達装置は、図1に示すように、従動側のドラムプーリ8を、磁石体からなる磁石体ドラムプーリ8−1で構成している。磁石体としては、フェライトや、アルニコ、ネオジウム系希土類、サマリウムコバルト系希土類などの永久磁石を用いることができる。この磁石体は、上記モータ10の電源を利用して給電するように構成した電磁石を用いることもできる(以下の磁石体も同じ)。また、ベルト9を、磁性体(鉄,ニッケル等を含む合金材料)からなる磁性体ベルト9−1で構成している。
【0012】
(実施形態2)
実施形態2に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態1に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態2に係るベルト駆動伝達装置は、図2に示すように、従動側のドラムプーリ8を、磁石体ドラムプーリ部8−2と、ベルト支持部8−3とで構成している。磁石体ドラムプーリ部8−2は、フェライトや、ネオジウムに代表される磁石体で構成されている。ベルト支持部8−3は、この磁石体ドラムプーリ部8−2の両側面に設けられており、ベルト9の側面から突出する幅の非磁性体で構成されている。
【0013】
(実施形態3)
実施形態3に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態2に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態3に係るベルト駆動伝達装置は、図3に示すように、磁石体ドラムプーリ部8−2の両側にベルト支持部8−3を積層した構成の従動側のプーリの外周に、高摩擦部材膜8−4を巻き付けた構成としている。この高摩擦部材膜8−4は、ポリウレタンや、シリコン等の、高摩擦係数の部材を膜状に形成したものである。
【0014】
(実施形態4)
実施形態4に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態2に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態4に係るベルト駆動伝達装置は、図4に示すように、磁石体ドラムプーリ部8−2の外周に高摩擦部材膜8−4を巻き付け、ベルト支持部8−3の外周に低摩擦部材膜8−5を巻き付けた構成にしている。
【0015】
(実施形態5)
実施形態5に係るベルト駆動伝達装置は、図16及び図17に示したベルト駆動装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態5に係るベルト駆動伝達装置は、図5に示すように、上記ドラムプーリ8を、鉄やニッケルなどの合金などで代表される磁性体からなる磁性体ドラムプーリ8−6で構成し、ベルト9を、着磁した材料からなる磁石体ベルト9−2で構造している。
【0016】
(実施形態6)
実施形態6に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態5に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態6に係るベルト駆動伝達装置は、図6に示すように、上記ドラムプーリ8を、磁性体ドラムプーリ部8−7と、ベルト支持部8−3とで構成されている。磁性体ドラムプーリ部8−7は、鉄やニッケルなどの合金などで代表される磁性体で構成されている。ベルト支持部8−3は、この磁性体ドラムプーリ部8−7の両側面に設けられており、ベルト9の側面から突出する幅の非磁性体で構成されている。
【0017】
(実施形態7)
実施形態7に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態6に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態7に係るベルト駆動伝達装置は、図7に示すように、磁性体ドラムプーリ部8−7の両側にベルト支持部8−3を積層した構成の従動側のプーリの外周に、高摩擦部材膜8−4を巻き付けた構成としている。この高摩擦部材膜8−4は、ポリウレタンや、シリコン等の、高摩擦係数の部材を膜状に形成したものである。
【0018】
(実施形態8)
実施形態8に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態6に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態8に係るベルト駆動伝達装置は、図8に示すように、磁性体ドラムプーリ部8−7の外周に高摩擦部材膜8−4を巻き付け、ベルト支持部8−3の外周に低摩擦部材膜8−5を巻き付けた構成にしている。
【0019】
(実施形態9)
実施形態9に係るベルト駆動伝達装置は、図16及び図17に示したベルト駆動装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態9に係るベルト駆動伝達装置は、図9に示すように、磁性体材料で構成した磁性体ベルト9−1の、ドラムプーリ8及びモータプーリ11に掛け渡されていない部分に接触するように、接触部材としての磁石体からなる磁石体コロ13が配置されている。この磁石体コロ13は、揺動自在に配設されている従動リンク14に回転自在に軸支されている。また、この磁石体コロ13には、磁性体からなる磁性体コロ15が対向配置されている。これにより、磁性体ベルト9−1は、磁石体コロ13と磁性体コロ15とで挟まれた状態になっている。
【0020】
(実施形態10)
実施形態10に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態9に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態10に係るベルト駆動伝達装置は、図10に示すように、ベルト位置検出手段としての、ベルト位置検出センサ16を有している。このベルト位置検出センサ16は、ドラムプーリ8の回転時における磁性体ベルト9−1の軸方向の位置を、光学的あるいは磁気的に読み取って検出する機能を有している。このベルト位置検出センサ16としては、反射型フォトセンサ、フォトイントラプタ、磁気センサ(ホール素子)などを用いることができる。また、本実施形態10に係るベルト駆動伝達装置は、磁性体ベルト9−1のベルト面に沿って上記磁石体コロ13を接触移動させるための、接触部材移動手段としての磁石体移動手段を有している。この磁石体移動手段は、可動ブラケット17の一部にブラケットラックギア18を設け、それをピニオンギア19を介して、ステッピングモータ20で移動するように構成されている。可動ブラケット17は、磁石体コロ13と磁性体コロ15とを軸線方向に移動できるように構成されている。図10において、ベルト位置検出センサ16によって、磁性体ベルト9−1が所定の位置からずれた(片寄った)場合には、磁性体ベルト9−1を所定位置に戻すように、図示していない演算処理部によりステッピングモータ20がずれ量に応じたステップ数だけ駆動される。
【0021】
(実施形態11)
実施形態11に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態10に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態11に係るベルト駆動伝達装置は、図11に示すように、上記磁石体移動手段により、磁石体コロ13と磁性体コロ15とが、上記磁性体ベルト9−1のベルト面に沿って、円弧状に移動するように構成されている。つまり、磁石体コロ13と磁性体コロ15とは、コロ回転ブラケット21に連結しているブラケットホイール22の回転軸を中心として、ウォームギヤ23を介してステッピングモータ24により回動されるように構成されている。
【0022】
(実施形態12)
実施形態12に係るベルト駆動伝達装置は、図16及び図17に示したベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態12に係るベルト駆動伝達装置は、図12に示すように、上記磁性体ベルト9−1のドラムプーリ8に巻き付いている部分の外周面に、磁石体からなる磁石体コロ25を接触配置させたものである。この磁石体コロ25は、揺動自在に配設された従動リンク26に回転自在に軸支されており、磁性体ベルト9−1の寄りを規制している。
【0023】
(実施形態13)
実施形態13に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態12に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態13に係るベルト駆動伝達装置は、図13に示すように、ベルト位置検出手段としての、ベルト位置検出センサ16を有している。このベルト位置検出センサ16は、実施形態10に係るベルト駆動伝達装置と同様、ドラムプーリ8の回転時における磁性体ベルト9−1の軸方向の位置を、光学的あるいは磁気的に読み取って検出する機能を有している。このベルト位置検出センサ16としては、反射型フォトセンサ、フォトイントラプタ、磁気センサ(ホール素子)などを用いることができる。また、本実施形態10に係るベルト駆動伝達装置は、磁性体ベルト9−1のベルト面に沿って上記磁石体コロ13を移動させる磁石体移動手段を有している。この磁石体移動手段は、可動ブラケット17の一部にブラケットラックギア18を設け、それをピニオンギア19を介して、ステッピングモータ20で移動するように構成されている。可動ブラケット17は、磁石体コロ13と磁性体コロ15とを軸線方向に移動できるように構成されている。図13において、ベルト位置検出センサ16によって、磁性体ベルト9−1が所定の位置からずれた(片寄った)場合には、磁性体ベルト9−1を所定位置に戻すように、図示していない演算処理部によりステッピングモータ20がずれ量に応じたステップ数だけ駆動される。
【0024】
(実施形態14)
実施形態14に係るベルト駆動伝達装置は、図16及び図17に示したベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態14に係るベルト駆動伝達装置は、図14に示すように、磁石体ベルト9−2のドラムプーリ8に巻き付いている部分の外周面に、磁性体からなる磁性体コロ27を接触配置させたものである。この磁性体コロ27は、揺動自在に配設された従動リンク26に回転自在に軸支されており、磁石体ベルト9−2の寄りを規制している。
【0025】
(実施形態15)
実施形態15に係るベルト駆動伝達装置は、実施形態14に係るベルト駆動伝達装置の構成に加えて、以下の特徴を有する。本実施形態15に係るベルト駆動伝達装置は、図14に示すように、ベルト位置検出手段としての、ベルト位置検出センサ16を有している。このベルト位置検出センサ16は、実施形態13に係るベルト駆動伝達装置と同様、ドラムプーリ8の回転時における磁性体ベルト9−1の軸方向の位置を、光学的あるいは磁気的に読み取って検出する機能を有している。このベルト位置検出センサ16としては、反射型フォトセンサ、フォトイントラプタ、磁気センサ(ホール素子)などを用いることができる。また、本実施形態10に係るベルト駆動伝達装置は、磁性体ベルト9−1のベルト面に沿って上記磁石体コロ13を移動させる磁石体移動手段を有している。この磁石体移動手段は、可動ブラケット17の一部にブラケットラックギア18を設け、それをピニオンギア19を介して、ステッピングモータ20で移動するように構成されている。可動ブラケット17は、磁石体コロ13と磁性体コロ15とを軸線方向に移動できるように構成されている。図15において、ベルト位置検出センサ16によって、磁性体ベルト9−1が所定の位置からずれた(片寄った)場合には、磁性体ベルト9−1を所定位置に戻すように、図示していない演算処理部によりステッピングモータ20がずれ量に応じたステップ数だけ駆動される。
【0026】
上述のように、実施形態1又は5に係るベルト駆動伝達装置においては、磁石体ドラムプーリ8−1に磁性体ベルト9−1を巻き付けることにより、磁性体ベルト9−1が磁力により磁石体ドラムプーリ8−1に吸着され、磁石体ドラムプーリ8−1からの磁性体ベルト9−1の脱落が防止される。
特に、実施形態2又は6に係るベルト駆動伝達装置においては、磁性体ベルト9−1に寄りが起った場合に、磁石体ドラムプーリ部8−2の両側面に設けられているベルト支持部8−3により、磁性体ベルト9−1が支持される。これにより、磁性体ベルト9−1に寄りが起っても、磁性体ベルト9−1がすぐに脱落すること無く、磁性体ベルト9−1が再び磁石体ドラムプーリ部8−2に戻るようになる。
また、実施形態3又は7に係るベルト駆動伝達装置においては、高摩擦部材膜8−4により、磁性体ベルト9−1と磁石体ドラムプーリ部8−2及びベルト支持部8−3との滑りを防止できるようになる。
また、実施形態4又は8に係るベルト駆動装置においては、ベルトが摩擦力の高い方へ寄る性質を利用して、ベルト支持部8−3に磁性体ベルト9−1が寄った場合に、ベルト支持部8−3の低摩擦部材膜8−5により、磁性体ベルト9−1が高摩擦部材膜8−4側に移動し易くなる。
また、実施形態9に係るベルト駆動伝達装置においては、磁性体ベルト9−1のドラムプーリ8及びモータプーリ11に掛け渡されていない部分に接触配置した磁石体コロ13により、磁性体ベルト9−1の寄りが規制され、磁石体ドラムプーリ8−1からの磁性体ベルト9−1の脱落が防止される。
また、実施形態10又は11に係るベルト駆動装置においては、ベルト位置検出センサ16により検出された磁性体ベルト9−1に位置に応じて、磁石体移動手段とによって、磁性体ベルト9−1が所定位置に戻される。これにより、磁石体ドラムプーリ8−1からの磁性体ベルト9−1の脱落が防止される。
また、実施形態12又は14に係るベルト駆動伝達装置においては、磁性体ベルト9−1のドラムプーリ8に巻き付いている部分の外周面にに接触配置した磁石体コロ25により、磁性体ベルト9−1の寄りが規制され、磁石体ドラムプーリ8−1からの磁性体ベルト9−1の脱落が防止される。また、ドラムプーリ8の材質を非磁性体とすることができるので、ドラムプーリ8を所望の物性(慣性モーメントや、騒音対策、コスト削減など)の素材で構成でき、その設計の自由度が広がる。
また、実施形態13又は15に係るベルト駆動装置においては、実施形態10に係るベルト駆動装置と同様、ベルト位置検出センサ16により検出された磁性体ベルト9−1に位置に応じて、磁石体移動手段とによって、磁性体ベルト9−1が所定位置に戻される。これにより、磁石体ドラムプーリ8−1からの磁性体ベルト9−1の脱落が防止される。また、実施形態12に係るベルト駆動装置と同様、ドラムプーリ8を所望の物性(慣性モーメントや、騒音対策、コスト削減など)の素材で構成でき、その設計の自由度が広がる。
上述のような各実施形態に係るベルト駆動装置を、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の感光体ドラム4を駆動回転する駆動手段として用いることにより、感光体ドラム4が回転ムラを生じることなく、安定して回転されるようになる。これにより、画像ムラのない画像品質の高い画像形成が行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図2】本発明の実施形態2に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図3】本発明の実施形態3に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図4】本発明の実施形態4に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図5】本発明の実施形態5に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図6】本発明の実施形態6に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図7】本発明の実施形態7に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図8】本発明の実施形態8に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図9】本発明の実施形態9に係るベルト駆動伝達装置の概略正面図。
【図10】本発明の実施形態10に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図11】本発明の実施形態11に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図12】本発明の実施形態12に係るベルト駆動伝達装置の概略正面図。
【図13】本発明の実施形態13に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図14】本発明の実施形態14に係るベルト駆動伝達装置の概略正面図。
【図15】本発明の実施形態15に係るベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図16】本発明の実施形態に共通した構成を有するベルト駆動伝達装置の概略正面図。
【図17】本発明の実施形態に共通した構成を有するベルト駆動伝達装置の概略平面図。
【図18】図17に示したベルト駆動伝達装置におけるベルトの挙動を示すの概略平面図。
【図19】図17に示したベルト駆動伝達装置のベルトの寄りを防止する構成を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0028】
1 フレーム
2 軸受
3 ドラム軸
4 感光体ドラム
5 スタッド
6 ブラケット
7 軸受
8 ドラムプーリ
8−1 磁石体ドラムプーリ
8−2 磁石体ドラムプーリ部
8−3 ベルト支持部
8−4 高摩擦部材層
8−5 低摩擦部材層
8−6 磁性体ドラムプーリ
8−7 磁性体ドラムプーリ部
9 ベルト
9−1 磁性体ベルト
9−2 磁石体ベルト
10 モータ
10a 駆動軸
11 モータプーリ
12 ねじ
13 磁石体コロ
14 従動リンク
15 磁性体コロ
16 ベルト位置検出センサ
17 稼動ブラケット
18 ブラケットラックギア
19 ピニオンギア
20 ステッピングモータ
21 コロ回転ブラケット
22 ブラケットホイール
23 ウォームギヤ
24 ステッピングモータ
25 磁石体コロ
26 従動リンク
27 磁性体コロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持して回転する回転体の回転軸に従動プーリを設け、該回転体を駆動する駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、該従動プーリと該駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、該駆動軸の回転を該回転体の回転軸に伝達するベルト駆動伝達装置において、
上記駆動プーリ及び上記従動プーリの少なくとも一方と、上記ベルトとの何れか一方を磁性体で構成し、他方を磁石体で構成したことを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項2】
請求項1のベルト駆動伝達装置において、
上記駆動プーリ及び上記従動プーリの少なくとも一方を、磁性体もしくは磁石体で構成したプーリ部と、該プーリ部の両側面に設けられて上記ベルトの側面から突出する幅の非磁性体からなるベルト支持部とで構成したことを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項3】
請求項2のベルト駆動伝達装置において、
上記プーリ部及び上記ベルト支持部の上記ベルトとの接触面に、高摩擦部材膜を設けたことを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項4】
請求項2のベルト駆動伝達装置において、
上記プーリ部の上記ベルトとの接触面に高摩擦部材膜を設け、上記ベルト支持部の該ベルトとの接触面に低摩擦部材膜を設けことを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項5】
画像を担持して回転する回転体の回転軸に従動プーリを設け、該回転体を駆動する駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、該従動プーリと該駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、該駆動軸の回転を該回転体の回転軸に伝達するベルト駆動伝達装置において、
上記ベルトの上記従動プーリ及び上記駆動プーリに掛け渡されていない部分のベルト面に対して接触するように配置した接触部材と、上記ベルトとの何れか一方を磁性体で構成し、他方を磁石体で構成したことを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項6】
請求項5のベルト駆動伝達装置において、
上記回転体の回転時における上記ベルトの軸方向の位置を検出するベルト位置検出手段と、上記ベルト面に沿って上記接触部材を移動させる接触部材移動手段と、該ベルト位置検出手段で検出したベルト位置に応じて該接触部材移動手段による該接触部材の移動量を制御する移動量制御手段とを有していることを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項7】
請求項6のベルト駆動伝達装置において、
上記接触部材は、上記接触部材移動手段によって、上記ベルト面に沿って円弧状に移動するように構成されていることを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項8】
画像を担持して回転する回転体の回転軸に従動プーリを設け、該回転体を駆動する駆動系の駆動軸に駆動プーリを設け、該従動プーリと該駆動プーリとに無端状のベルトを掛け渡して、該駆動軸の回転を該回転体の回転軸に伝達するベルト駆動伝達装置において、
上記ベルトの上記従動プーリもしくは上記駆動プーリに掛け渡されている部分のベルト外周面に接触するように配置した接触部材と、該ベルトとの何れか一方を磁性体で構成し、他方を磁石体で構成したことを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項9】
請求項8のベルト駆動伝達装置において、
上記回転体の回転時における上記ベルトの軸方向の位置を検出するベルト位置検出手段と、上記ベルト面に沿って上記接触部材を移動させる接触部材移動手段と、該ベルト位置検出手段で検出したベルト位置に応じて該接触部材移動手段による該接触部材の移動量を制御する移動量制御手段とを有していることを特徴とするベルト駆動伝達装置。
【請求項10】
画像を担持して回転する像担持体と、該像担持体上に画像を形成する画像形成手段とを備え、
該像担持体を無端状のベルトとプーリとで構成したベルト駆動伝達装置により回転駆動する画像形成装置において、
上記ベルト駆動伝達装置として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9のベルト駆動伝達装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−2685(P2008−2685A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207693(P2007−207693)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【分割の表示】特願2002−57752(P2002−57752)の分割
【原出願日】平成14年3月4日(2002.3.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】