説明

ベンゾイミダゾール−2−イルピリミジン誘導体を製造する方法

本発明は、ヒスタミンH受容体モジュレーターとして有用なベンゾイミダゾール−2−イルピリミジン誘導体を製造する方法、及び[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンの結晶性ヘミタートレートを目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒスタミンH4受容体モジュレーターとして有用なベンゾイミダゾール−2−イルピリミジン誘導体、及びこうした化合物を製造する方法を目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、式(I)
【0003】
【化1】

式中、
1、R2、R3及びR4の各々はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、フェニル、−CF3、−OCF3、−CN、ハロ、−NO2、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−S(O)C1〜4アルキル、−SO21〜4アルキル、−C(O)C1〜4アルキル、−C(O)フェニル、−C(O)NRab、−CO21〜4アルキル、−CO2H、−C(O)NRab、及び−NRabからなる群から選択され、ここでRa及びRbはそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、及びC3〜7シクロアルキルからなる群から選択され、
1はC−RCであり、ここでRcはH、メチル、ヒドロキシメチル、ジメチルアミノメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、−CF3、シクロプロピル、及びシクロブチルからなる群から選択され、X2はNであり、
nは1又は2であり、
ZはN、CH及びC(C1〜4アルキル)からなる群から選択され、
6はH、C1〜6アルキル、及び単環式シクロアルキルからなる群から選択され、
8はH及びC1〜4アルキルからなる群から選択され、
9、R10及びR11はそれぞれ独立にH及びC1〜4アルキルからなる群から選択される、
の化合物並びにその製薬上許容し得る塩、製薬上許容し得るプロドラッグ、及び製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【0004】
【化2】

【0005】
溶媒中、約0℃〜約25℃の範囲内の温度にて、式(V)の化合物を還元剤系と反応させて、式(VI)の化合物を生ぜせしめ;そして
【0006】
【化3】

【0007】
好適に選択された酸化剤又は酸化剤系の存在下、水中又は有機溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI)の化合物を式(VII)の化合物と反応させることを含んでなる方法を目的とする。
【0008】
一実施形態において、本発明は、式(I−A)
【0009】
【化4】

の化合物([5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンとしても知られる)、又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【0010】
【化5】

【0011】
溶媒中、約0℃〜約25℃の範囲内の温度にて、式(V−S)の化合物と還元剤系とを反応させて、式(VI−S)の化合物を生ぜせしめ;そして
【0012】
【化6】

【0013】
好適に選択された酸化剤又は酸化剤系の存在下、水中又は有機溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI−S)の化合物を式(VII−A)の化合物と反応させて、式(I−A)の化合物を生ぜせしめることを含んでなる方法を目的とする。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、式(I−B)
【0015】
【化7】

の化合物([5−(5−フルオロ−4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンとしても知られる)、又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【0016】
【化8】

【0017】
溶媒中、約0℃〜約25℃の範囲内の温度にて、式(V−S)の化合物と還元剤系とを反応させて、式(VI−S)の化合物を生ぜせしめ;そして
【0018】
【化9】

【0019】
好適に選択された酸化剤又は酸化剤系の存在下、水中又は有機溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI−S)の化合物を式(VII−B)の化合物と反応させて、式(I−B)の化合物を生ぜせしめることを含んでなる方法を目的とする。
【0020】
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って製造される生成物を目的とする。本発明は更に、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートを目的とする。本発明は更に、式(I−A)の化合物のヘミタートレートを製造する方法を目的とする。本発明は更に、式(I−A)の化合物のヘミタートレートの再結晶方法を目的とする。
【0021】
更に一般的な態様において、本発明は、(a)本明細書に記載の方法に従って製造される式(I)の化合物並びにその製薬上許容し得る塩、製薬上許容し得るプロドラッグ、及び製薬上活性な代謝産物から選択される少なくとも1つの薬剤の有効量と、(b)製薬上許容し得る賦形剤とをそれぞれが含む医薬組成物に関する。
【0022】
別の一般的な態様において、本発明は、ヒスタミンH4受容体活性によって媒介される病気、疾患、又は病状を罹患する又はそれらと診断された対象を治療する方法であって、こうした治療の必要な対象に、式(I)の少なくとも1つの化合物、又はこうした化合物の製薬上許容し得る塩、製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物の有効量を投与することを含んでなる方法を目的とし、ここで式(I)の化合物、製薬上許容し得る塩、プロドラッグ、若しくは代謝産物は、本明細書に記載されるような方法に従って製造される。本発明の方法の特定の実施形態において、病気、疾患、又は病状は炎症である。本明細書における炎症は、少なくとも1種の刺激によって引き起こされるヒスタミンの放出の結果として発生する反応を指す。そのような刺激の例は免疫学的刺激及び非免疫学的刺激である。
【0023】
別の一般的な態様において、本発明は、ヒスタミンH4受容体活性をモジュレートするための方法であって、ヒスタミンH4受容体を、式(I)の化合物及びその製薬上許容し得る塩、プロドラッグ、若しくは代謝産物の少なくとも1つの有効量に曝すことを含んでなる方法を目的とし、ここで式(I)の化合物、その製薬上許容し得る塩、プロドラッグ、若しくは代謝産物は、本明細書に記載されるような方法に従って製造される。
【0024】
以下の詳細な説明及び本発明の実施によって本発明の追加的実施形態、特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートに関する粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は式(I)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0027】
【化10】

式中、R1、R2、R3、R4、X1、X2、R6、R8、Z、n、R9、R10及びR11は本明細書において定義された通りである。本発明の化合物の実施形態は、ヒスタミンH4受容体モジュレーターとして有用である。
【0028】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は、式(I−A)
【0029】
【化11】

の化合物及びその製薬上許容し得る塩、並びに式(I−B)
【0030】
【化12】

の化合物及びその製薬上許容し得る塩からなる群から選択される。
【0031】
式(I)の化合物の一部の実施形態において、R1〜4はそれぞれ独立にH、メチル、tert−ブチル、メトキシ、−CF3、−CN、フルオロ、クロロ、メトキシカルボニル、又はベンゾイルである。一部の実施形態において、X2はNである。他の実施形態において、X1はNである。一部の実施形態において、RcはH、メチル、エチル、CF3、シクロプロピル、又はシクロブチルである。更なる実施形態において、RcはH又はメチルである。一部の実施形態において、nは1である。一部の実施形態において、ZはN又はCHである。更なる実施形態において、ZはCHである。一部の実施形態において、R6はH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、又はシクロブチルである。更なる実施形態において、R6はH又はメチルである。一部の実施形態において、R8はHである。一部の実施形態において、R9及びR10はそれぞれ独立にH又はメチルである。更なる実施形態において、R9及びR10は両方ともHである。一部の実施形態において、R11はH又はメチルである。更なる実施形態において、R11はメチルである。
【0032】
一実施形態において、本発明は、式(I)
【0033】
【化13】

式中、R1、R2、R3、R4、X1、X2、R6、R8、R9、R10、R11及びnは本明細書において定義された通りである、の化合物及びその製薬上許容し得る塩、製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【0034】
【化14】

【0035】
好適に選択された酸化剤又は酸化剤系の存在下、水中又は有機溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI)の化合物を式(VII)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を生ぜせしめることを含んでなる方法を目的とする。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、式(I−A)
【0037】
【化15】

の化合物([5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンとしても知られる)、又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【0038】
【化16】

【0039】
好適に選択された酸化剤又は酸化剤系の存在下、水中又は有機溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI−S)の化合物を式(VII−A)の化合物と反応させて、式(I−A)の化合物を生ぜせしめることを含んでなる方法を目的とする。
【0040】
更に別の実施形態において、本発明は、式(I−B)
【0041】
【化17】

の化合物([5−(5−フルオロ−4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンとしても知られる)、又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【0042】
【化18】

【0043】
好適に選択された酸化剤又は酸化剤系の存在下、水中又は有機溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI−S)の化合物を式(VII−B)の化合物と反応させて、式(I−B)の化合物を生ぜせしめることを含んでなる方法を目的とする。
【0044】
本発明は、以下の用語集及び最終の実施例を含む、以下の「発明を実施するための形態」を参照することによって、より完全に理解されるであろう。簡潔さの目的で、本明細書に示す特許を包含する出版物の開示は引用することによって本明細書に組み入れられる。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語「包含する」、「含有する」及び「含む」を本明細書では幅広い非限定的意味で用いる。
【0046】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素を表す。用語「ハロ」はクロロ、フルオロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0047】
用語「アルキル」は、鎖内に1〜12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、これをまた構造的に記号「/」で表すこともあり得る)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル(tBu)、ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル及び当該技術分野の通常の技術及び本明細書に示す教示に照らしてこの上に示した例のいずれか1つに相当すると見なされるであろう基が挙げられる。
【0048】
用語「アルケニル」は、鎖内に2〜12個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルケニル基を指す。(アルケニル基の二重結合は、2つのsp2混成された炭素原子によって生成する。)例示的なアルケニル基としては、プロパ−2−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、2−メチルプロパ−2−エニル、ヘキサ−2−エニル、及び当該技術分野の通常の技術及び本明細書に示す教示に照らしてこの上に示した例のいずれか1つに相当すると見なされるであろう基が挙げられる。
【0049】
用語「シクロアルキル」は、炭素環当たり3〜12個の環原子を有する飽和若しくは部分飽和の単環式、縮合多環式又はスピロ多環式炭素環を指す。シクロアルキル基の具体例には、適切に結合した部分の形態としての下記の物質が含まれる:
【0050】
【化19】

【0051】
特定の基が「置換された」(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルなど)場合、その基は、置換基のリストから独立して選択される1個又はそれ以上の置換基、例えば1〜5個の置換基、又は1〜3個の置換基、又は1〜2個の置換基を有してもよい。
【0052】
置換基に関して、用語「独立して」は、1より多くのそのような置換基が可能である場合、そのような置換基は互いに同じでも異なってもよいことを意味する。
【0053】
本明細書に示す式はいずれもその構造式で表される構造を有する化合物ばかりでなく特定の変形又は形態も表すことを意図する。特に、本明細書に示すいずれかの式で表される化合物は不斉中心を持つ可能性があり、したがって、いろいろな鏡像異性体形態で存在する可能性がある。一般式で表される化合物の光学異性体及び立体異性体及びこれらの混合物の全部が当該式の範囲内であると見なす。このように、本明細書に示すいかなる式もそのラセミ体、1種以上の鏡像異性体形態、1種以上のジアステレオマー形態、1種以上のアトロプ異性体形態及びこれらの混合物を表すことを意図する。
【0054】
その上、特定の構造物は幾何異性体(即ちシス及びトランス異性体)、互変異性体又はアトロプ異性体として存在し得る。加えて、本明細書に示すいかなる式にも上記化合物の水和物、溶媒和物及び多形体及びこれらの混合物を包含させることを意図する。
【0055】
本明細書で化学物質を言及する場合、これは(a)実際に示す形態の化学物質及び(b)当該化合物を命名する時にそれが存在すると考えられる媒体中で化学物質が取る形態のいずれかの中のいずれか1つを言及することを表す。例えば、本明細書でR−COOHの如き化合物を言及する場合、これは、例えばR−COOH(s)、R−COOH(sol)及びR−COO-(sol)の中のいずれか1つを言及することを包含する。この例において、R−COOH(s)は固体状化合物を指し、これは例えば錠剤又は他のある種の固体状の医薬組成物又は製剤などの中に存在していてもよく、R−COOH(sol)は溶媒中で解離していない形態の当該化合物を指し、そしてR−COO-(sol)は溶媒中で解離している形態の当該化合物、例えばそのような解離形態がR−COOHに由来するか、これの塩に由来するかあるいは媒体中で解離を起こしたと思われる時にR−COO-をもたらす他のいずれかの物質に由来するかに拘らず水性環境中で解離した形態の当該化合物などを指す。別の例として、「ある物質を式R−COOHで表される化合物に曝す」などの如き表現は、そのような曝露を起こさせる媒体中に存在する形態の化合物R−COOHに物質を曝すことを指す。これに関して、そのような物質が例えば水性環境中に存在する場合、化合物R−COOHも同じ媒体中に存在することで物質がR−COOH(aq)及び/又はR−COO-(aq)[ここで、下つき文字「(aq)」は化学及び生化学における通常の意味に従って「水性」を表す]などの如き種に曝すと理解する。このような命名の例としてカルボン酸官能基を選択したが、しかしながら、そのような選択は限定を意図するものでなく、単に例示である。同様な例を他の官能基に関しても示すことができると理解し、そのような官能基には、これらに限定するものでないが、ヒドロキシル、塩基性窒素員、例えばアミンの中の窒素員、及び当該化合物が入っている媒体中で既知様式に従って相互作用又は変換を起こす任意の他の基も含まれる。そのような相互作用及び変換には、これらに限定するものでないが、解離、結合、互変異性、加溶媒分解(加水分解を包含)、溶媒和(水和を包含)、プロトン化及び脱プロトン化が含まれる。別の例では、明確に両性イオンの形態で命名されていなくとも、両性イオンを生成せしめることが知られる化合物への参照により、本明細書にその両性イオン性化合物が包含される。両性イオン及びその同義語の両性イオン性化合物などの用語は、周知であり定義された科学的な名前の標準的な集合の一部分である、IUPACにより承認された標準的な名前である。この観点において、両性イオンという名称は、Chemical Entities of Biological Interest(ChEBI)分子物質辞書により、命名同定CHEBI:27369を割り当てられている(例えば、そのオンライン版http://www.ebi.ac.uk/chebi/init.doを参照のこと)。一般に周知のように、両性イオン又は両性イオン性化合物は正反対の符号の形式的な単位荷電を持つ中性化合物である。場合により、これらの化合物は、用語「分子内塩」と称される。他の情報源は、これらの化合物を「双極イオン(dipolar ions)」と称しているが、この用語は更に他の情報源からは誤称とみなされている。具体例として、アミノエタン酸(アミノ酸であるグリシン)は、式H2NCH2COOHを有し、いくつかの媒体(この場合には中性媒体)中では両性イオンの形態、+3NCH2COO-で存在する。既知の十分に確立した意味における、これらの用語、両性イオン、両性イオン性化合物、分子内塩、及び双極イオンは、本発明の範囲内にあり、いかなる場合においても当技術分野で通常の技能を有する当業者により理解され得る。当業者により理解され得る、それぞれ及び全ての実施形態を指定する必要性は無いため、本発明の化合物に付随する両性イオン性化合物の構造は本明細書には明確には示されない。しかし、それらは、本明細書で言及される化合物が両性イオンを生成せしめ得る場合、本発明の実施形態の一部である。本明細書ではそれに関して更なる例を示さない、と言うのは、所定媒体中で起こるそのような相互作用及び変換は当該技術分野の通常の技術を持ついかなる人にも既知であるからである。
【0056】
また、本明細書に示すいかなる式も当該化合物の非標識形態ばかりでなく同位体標識付き形態も表すことを意図する。同位体標識付き化合物は、1個以上の原子が選択した原子質量若しくは質量数を有する原子に置き換わっている以外は本明細書に示す式で表される構造を有する。本発明の化合物に取り込ませることができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Cl、125Iなどが含まれる。そのような同位体標識付き化合物は代謝検定(例えば14Cを用いた)、反応速度検定(例えば2H又は3Hを用いた)、検出若しくは造影技術[例えば陽電子放出断層撮影(PET)又は単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)](薬物又は基質組織分布検定を包含)又は患者の放射線治療で用いるのに有用である。特に、18F又は11C標識付き化合物がPET又はSPECT検定に特に好適であり得る。更に、重質同位体、例えば重水素(即ち2H)などによる置換を行うと代謝安定性がより高くなる、例えば生体内半減期が長くなるかあるいは必要な投薬量が少なくなるなど、結果として特定の治療的利点が得られる可能性もある。本発明の同位体標識付き化合物及びこれらのプロドラッグの製造は、一般に、容易に入手可能な同位体標識付き試薬を同位体標識が付いていない試薬の代わりに用いて本スキーム又は本実施例に開示する手順を行うことで実施可能である。
【0057】
本明細書に示すいずれかの式を言及する場合、指定変更に可能な種のリストから選択する個々の部分の選択は他のいずれかの場所に現れる変更に関して当該種を同じく選択することを定義することを意図するものでない。言い換えれば、変更が2回以上現れる場合、指定リストから選択する種の選択は、特に明記しない限り、式中の他の場所に位置する同じ変更に関して選択する種の選択から独立している。
【0058】
置換基用語に関する1番目の例として、置換基S1exampleがS1及びS2の中の一方でありかつ置換基S2exampleがS3及びS4の中の一方である場合、そのような割り当てはS1exampleがS1でありかつS2exampleがS3である;S1exampleがS1でありかつS2exampleがS4である;S1exampleがS2でありかつS2exampleがS3である;S1exampleがS2でありかつS2exampleがS4である;の選択及びこのような選択の中の各々に相当する選択に従って示す本発明の実施形態を指す。より短い用語「S1exampleがS1及びS2の中の1つでありかつS2exampleがS3及びS4の中の1つである」を本明細書では相当して簡潔さの目的で用いるが、限定として用いるものでない。この上に一般的表現で記述した置換基用語に関する1番目の例は、本明細書に記述するいろいろな置換基割り当てを例示することを意味する。置換基に関して本明細書の上に示した慣例がR1〜11、X1、X2、及びn、及び本明細書で用いる他のいずれかの一般的置換基記号などの如き員に適用可能な場合、それらにも拡大適用する。
【0059】
その上、いずれかの員又は置換基に関して2つ以上の割り当てを示す場合、本発明の実施形態は、独立して解釈することにより挙げられている割り当て及びこれらの相当物から作られ得るいろいろな組分けを包含する。置換基用語に関する2番目の例として、置換基SexampleがS1、S2及びS3の中の1つであると本明細書で記述する場合、このリストはSexampleがS1である;SexampleがS2である;SexampleがS3である;SexampleがS1及びS2の中の1つである;SexampleがS1及びS3の中の1つである;SexampleがS2及びS3の中の1つである;SexampleがS1、S2及びS3の中の1つである;そしてSexampleがそのような選択の中の各々に相当する選択のいずれかである;本発明の実施形態を指す。より短い用語「SexampleがS1、S2及びS3の中の1つである」を本明細書では相当して簡潔さの目的で用いるが、限定として用いるものでない。この上に一般的表現で記述した置換基用語に関する2番目の例は、本明細書に記述するいろいろな置換基割り当てを例示することを意味する。置換基に関して本明細書の上に示した慣例がR1〜11、X1、X2及びn、及び本明細書で用いる他のいずれかの一般的置換基記号などの如き員に適用可能な場合、それらにも拡大適用する。
【0060】
用語「Ci〜j」(ここで、j>i)を本明細書である種類の置換基に適用する場合、これはiからj(i及びjを包含)までの炭素員数の各々及び全てが独立し実現される本発明の実施形態を指すことを意味する。例として、用語C1〜3は独立して1個の炭素員(C1)を有する実施形態、2個の炭素員(C2)を有する実施形態及び3個の炭素員(C3)を有する実施形態を指す。
【0061】
用語Cn〜mアルキルは、直鎖であるかあるいは分枝しているかに拘わらず、鎖中の炭素員の総数Nがn≦N≦m(ここで、m>n)を満足させる脂肪鎖を指す。
【0062】
本明細書に示すいかなる二置換もいろいろな結合可能性の中の2つ以上が許容される時にそのようないろいろな可能性を包含させることを意味する。例えば二置換−A−B−(ここで、A≠B)の言及は、本明細書では、Aが1番目の置換員と結合しておりかつBが2番目の置換員と結合しているような二置換を指し、かつまた、Aが2番目の置換員と結合しておりかつBが1番目の置換員と結合しているような二置換も指す。
【0063】
この上で行った割り当て及び用語に関する解釈的考慮に従い、本明細書である集合を明確に言及する場合、それが化学的に意味がありかつ特に示さない限り、そのような集合の実施形態を独立して言及しかつ明確に示した集合のサブセットの可能な実施形態の各々及び全てを言及することを意味すると理解する。
【0064】
本開示全体で使用される標準的な命名法の下では、指定される側鎖の末端部が最初に記載され、結合点に向かって隣接する官能基が続く。故に、例えば、「フェニルC1〜C6アルキルアミノカルボニルC1〜C6アルキル」置換基は、式の基を指す
【0065】
【化20】

【0066】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0067】
【表1】

【0068】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「単離された形態」は、化合物が、別の化合物(一種又は複数)との任意の固体混合物、溶媒系又は生物学的環境から分離された形態で存在することを意味するものとする。本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は単離形態として製造される。本発明の別の実施形態において、式(I−A)の化合物は単離形態として製造される。本発明の別の実施形態において、式(I−B)の化合物は単離形態として製造される。
【0069】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「実質的に純粋な」は、単離した化合物中の不純物のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、例えば約2モルパーセント未満であることを意味するものとする。一実施形態において、不純物のモルパーセントは、約0.5モルパーセント未満、例えば約0.1モルパーセント未満である。本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は、実質的に純粋な化合物として製造される。本発明の別の実施形態において、式(I−A)の化合物は、実質的に純粋な化合物として製造される。本発明の別の実施形態において、式(I−B)の化合物は、実質的に純粋な化合物として製造される。
【0070】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「対応する塩を実質的に含まない」は、式(I)の化合物を説明するために用いるとき、単離した式(I)の塩基中の対応する塩形態のモルパーセントが、約5モルパーセント未満、例えば約2モルパーセント未満であることを意味するものとする。一実施形態において、対応する塩形態のモルパーセントは、約0.5モルパーセント未満、例えば約0.1モルパーセント未満である。本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は、対応する塩を実質的に含まない形態で製造される。本発明の別の実施形態において、式(I−A)の化合物は、対応する塩を実質的に含まない形態で製造される。本発明の別の実施形態において、式(I−B)の化合物は、対応する塩を実質的に含まない形態で製造される。
【0071】
本発明は、また、式(I)により表わされる化合物の製薬上許容し得る塩、例えば上述の化合物及び本明細書に例示する具体的な化合物の製薬上許容し得る塩を包含する。
【0072】
「製薬上許容し得る塩」は、無毒であるか、生物学的に許容し得るかあるいは他の様式で当該対象に投与するのに生物学的に適した式(I)で表される化合物の遊離酸の塩若しくは塩基の塩を意味することを意図する。一般に、S.M.Berge,et al.「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.,1977,66:1〜19、及びHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use,Stahl and Wermuth,Eds.,Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002を参照されたい。製薬学上許容し得る塩の例は、薬理学上効果があり、過度の毒性、刺激又はアレルギー反応を起こすことなく患者の組織に接触するのに適したものである。式(I)の化合物は十分に酸性の基、十分に塩基性の基又は両方の種類の官能基を持つ可能性があり、したがって、多くの無機若しくは有機塩基及び無機及び有機酸と反応して製薬上許容し得る塩を生成せしめ得る。製薬上許容し得る塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタン−スルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩及びマンデル酸塩が挙げられる。
【0073】
式(I)の化合物が塩基性窒素を含有する場合、当該技術分野で利用可能な適切な方法のいずれか、例えば遊離塩基を無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、ホウ酸、リン酸などでかあるいは有機酸、例えば酢酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、イセチオン酸、コハク酸、吉草酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸など、アルファ−ヒドロキシ酸、例えばマンデル酸、クエン酸又は酒石酸など、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸など、芳香族酸、例えば安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、ナフトエ酸又は桂皮酸など、スルホン酸、例えばラウリルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、本明細書に例として示した酸などの如き酸の適合し得る任意混合物及び当該技術分野の技術の通常のレベルに照らして相当物又は許容し得る代替物であると見なされる他の酸及びこれらの混合物のいずれかで処理する方法などで所望の製薬上許容し得る塩を製造することができる。
【0074】
式(I)の化合物が酸、例えばカルボン酸又はスルホン酸などの場合、適切な方法のいずれか、例えば遊離酸を無機又は有機塩基、例えばアミン(第一級、第二級又は第三級)、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、本明細書に例として示した塩基などの如き塩基の適合し得る任意混合物及び当該技術分野の技術の通常のレベルに照らして相当物又は許容し得る代替物であると見なされる他の塩基及びこれらの混合物のいずれかで処理する方法などで所望の製薬上許容し得る塩を製造することができる。適切な塩の具体例には、アミノ酸(例えば、グリシン及びアルギニン等)、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩、第一級、第二級及び第三級アミン及び環状アミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン及びピペラジンなどから生じさせた有機塩、並びにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから生じさせた無機塩が挙げられる。
【0075】
本発明はまた、式(I)の化合物の製薬上許容し得るプロドラッグを使用する治療方法に関する。用語「プロドラッグ」は、対象に投与した後に化学的又は生理学的方法、例えば生体内で起こる加溶媒分解又は酵素による開裂などであるいは生理学的条件下で当該化合物になる(例えばプロドラッグを生理学的pHにもっていくと式(I)の化合物に変化する)指定化合物の前駆体を意味する。「製薬上許容し得るプロドラッグ」は、無毒であるか、生物学的に許容され、あるいは他の様式で当該対象に投与するのに生物学的に適切であるプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造の説明的な操作手順は、例えば、「Design of Prodrugs」H.Bundgaard,Elsevier,1985に説明される。
【0076】
プロドラッグの例には、式(I)で表される化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基とアミド又はエステル結合で共有結合したアミノ酸残基を有する化合物又はアミノ酸残基の数が2以上(例えば2、3又は4)のポリペプチド鎖を有する化合物が含まれる。アミノ酸残基の例には、天然に存在する20種類のアミノ酸(これらは一般に3文字記号で表される)ばかりでなく4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン及びメチオニンスルホンが含まれる。
【0077】
追加的種類のプロドラッグの製造を例えば式(I)の構造物が有する遊離カルボキシル基にアミド又はアルキルエステルとして誘導体化を受けさせることなどで実施することも可能である。アミドの例には、アンモニア、第一級C1〜6アルキルアミン及び第二級ジ(C1〜6アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げられる。第二級アミンには、5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール環部分が挙げられる。アミドの例には、アンモニア、C1〜3アルキル第一級アミン及びジ(C1〜2アルキル)アミンから生じさせたアミドが挙げられる。本発明のエステルの例には、C1〜7アルキル、C5〜7シクロアルキル、フェニル及びフェニル(C1〜6アルキル)エステルが挙げられる。好適なエステルにはメチルエステルが挙げられる。プロドラッグは、Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115などに概略が述べられている操作手順に従い、ヘミコハク酸エステル、リン酸エステル、ジメチルアミノ酢酸及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を用いて遊離ヒドロキシ基を誘導化することによっても製造できる。また、ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメート誘導体もプロドラッグをもたらし得る。また、ヒドロキシ基のカーボネート誘導体、スルホン酸エステル及び硫酸エステルもプロドラッグをもたらし得る。また、ヒドロキシ基に誘導体化を(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテル(このアシル基はアルキルエステルであってもよく、場合により1個以上のエーテル、アミン又はカルボン酸官能で置換されていてもよいか、あるいはアシル基はこの上に記述した如きアミノ酸エステルである)として受けさせることもプロドラッグを生じさせるのに有効である。この種類のプロドラッグは、J.Med.Chem.1996,39,10に記載されているように製造することができる。また、遊離アミンに誘導体化をアミド、スルホンアミド又はホスホンアミドとして受けさせることも可能である。そのようなプロドラッグ部分の全部にエーテル、アミン及びカルボン酸官能を包含する基が組み込まれている可能性がある。
【0078】
製薬上活性な代謝産物も本発明の方法に使用できる。「製薬上活性な代謝産物」は、式(I)の化合物又はその塩が体内で代謝を受けることで生じた薬理学的に活性な生成物を意味する。化合物のプロドラッグ及び活性な代謝産物の測定は当該技術分野で既知又は利用可能な常規技術を用いて実施可能である。例えば、Bertolini,et al.,J.Med.Chem.1997,40,2011〜2016;Shan,et al.,J.Pharm.Sci.1997,86(7),765〜767;Bagshawe,Drug Dev.Res.1995,34,220〜230;Bodor,Adv.Drug Res.1984,13,224〜331;Bundgaard,Design of Prodrugs(Elsevier Press,1985);及びLarsen,Design and Application of Prodrugs,Drug Design and Development(Krogsgaard−Larsen,et al.,eds.,Harwood Academic Publishers,1991)を参照のこと。
【0079】
本発明の式(I)の化合物並びにその製薬上許容し得る塩、製薬上許容し得るプロドラッグ及び製薬上活性な代謝産物(集合的に「薬剤」)はヒスタミンH4受容体モジュレーターとして本発明の方法で用いるのに有用である。本薬剤はヒスタミンH4受容体のモジュレーションが媒介する病状、病気又は疾患、例えば本明細書に記述するものなどを治療又は予防する本発明の方法で使用可能である。したがって、本発明による薬剤は抗炎症薬として使用可能である。症状又は病気の状態を「病状、疾患又は病気」の範囲内に包含させることを意図する。
【0080】
したがって、本発明は、ヒスタミンH4受容体の活性が媒介する病気、疾患又は状態、例えば炎症などであると診断された又はそれらに罹患している対象を治療する目的で本明細書に記述する医薬剤を用いる方法に関する。
【0081】
別の実施形態において、本発明の薬剤は、炎症を治療するために投与される。炎症はいろいろな病気、疾患又は状態、例えば炎症性疾患、アレルギー性疾患、皮膚疾患、自己免疫病、リンパ系疾患及び免疫不全疾患(以下により具体的に示す疾患及び病気を包含)などに関連している可能性がある。炎症の発症及び増悪に関連した炎症性の病気又は炎症が媒介する病気又は状態には、これらに限定するものでないが、急性炎症、アレルギー性炎症及び慢性炎症が挙げられる。
【0082】
本発明に従ってヒスタミンH4受容体をモジュレートする薬剤を用いて治療可能な炎症の例となる種類には、多数の状態、例えばアレルギー、喘息、ドライアイ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患(大腸炎、クローン病及び潰瘍性大腸炎を包含)、乾癬、掻痒、皮膚の痒み、アトピー性皮膚炎、皮膚の掻痒(蕁麻疹)、眼の炎症、結膜炎、鼻ポリープ、アレルギー性鼻炎、鼻の痒み、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、免疫媒介(また1型としても知られる)糖尿病及び狼瘡の中のいずれか1つによる又は関連する炎症が挙げられ、それらは病気のある段階で炎症が過度であるかあるいは長期に渡ることを特徴とする。炎症をもたらす他の自己免疫病には、重症筋無力症、自己免疫性神経障害、例えばギラン・バレー、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、血管炎、例えばヴェーゲナー肉芽腫症、ベーチェット病、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、白斑、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、副腎の自己免疫病、多発性筋炎、皮膚筋炎、脊椎関節症、例えば強直性脊椎炎及びシェーグレン症候群が挙げられる。
【0083】
本発明に従ってヒスタミンH4受容体をモジュレートする薬剤を用いる掻痒には、アレルギー性皮膚疾患(例えばアトピー性皮膚炎及び蕁麻疹)及び他の代謝障害(例えば慢性腎不全、肝胆汁うっ滞及び糖尿病)の症状である掻痒が含まれる。
【0084】
別の実施形態では、本発明の薬剤をアレルギー、喘息、自己免疫病又は掻痒を治療する目的で投与する。
【0085】
本明細書で使用する用語「治療」又は「治療する」は、ヒスタミンH4受容体の活性をモジュレートすることによって治療的又は予防的な利益をもたらす目的で本発明の薬剤又は組成物を対象に投与することを指すことを意図する。治療には、ヒスタミンH4受容体の活性のモジュレーションが媒介する病気、疾患又は状態又はそのような病気、疾患又は状態の1種以上の症状を回復に向かわせること、改善すること、軽減すること、進行を抑制すること又は重症度を和らげること又は予防することが含まれる。用語「対象」は、かかる治療を必要とするヒトなどの哺乳類の患者を指す。「モジュレーター」は、阻害剤及び活性化剤の両方を含み、ここで「阻害剤」はヒスタミンH4受容体発現又は活性を、減少させ、防止し、不活性化し、脱感作し又は下方調節する化合物を指し、「活性化剤」は、ヒスタミンH4受容体発現又は活性を増加させ、活性化し、促進し、感作し又は上方調節する化合物である。
【0086】
本発明による治療方法では、かかる病気、疾患又は状態に罹患しているか、あるいはそうであると診断された患者に本発明による少なくとも1種の医薬剤の有効量を投与する。「有効量」とは、対象の病気、疾患又は状態のかかる治療を必要とする患者において、所望の治療的又は予防的効果を一般的にもたらすのに十分な量又は十分な投与量を意味する。本発明の薬剤の有効量又は投与量は、モデリング、投与量増加試験又は臨床試験などの常規の方法、及び例えば、投与の様式若しくは経路又は薬物送達、薬剤の薬物動態、病気、疾患、又は状態の重症度及び経過、対象の過去若しくは現在進行中の療法、対象の健康状態及び薬物への応答、並びに治療に携わる医師の判断などの常規の因子を考慮に入れることによって確定され得る。用量の例は、単一又は分割投与量単位(例えばBID、TID、QID)において、1日あたり対象の体重1kgに対して約0.01〜約200mgの薬剤の範囲であり、又はその中の任意の範囲、例えば約0.05〜100mg/kg/日又はその中の任意の範囲、又は例えば約1〜35mg/kg/日又はその中の任意の範囲である。70kgのヒトでは、好適な投与量に関する例示的な範囲は約0.05〜約7g/日若しくはその中の任意の範囲、例えば約0.1〜約2.5g/日若しくはその中の任意の範囲;例えば0.2〜約1.0g/日若しくはその中の任意の範囲である。
【0087】
患者の病気、疾患又は状態の改善が生じたならば投与量を防止又は維持治療に適した量に調整してもよい。例えば、投与の量及び頻度又は両方を症状の関数として所望の治療若しくは予防効果が維持される度合にまで少なくしてもよい。勿論、症状が適切な度合にまで軽減したならば治療を止めてもよい。しかしながら、症状がいくらか再発する時には患者に長期を基準にした断続的治療を受けさせる必要がある。
【0088】
加えて、本発明の薬剤を上記状態の治療で追加的活性化合物と組み合わせて用いることも可能である。そのような追加的化合物を式(I)の薬剤とは個別に同時投与してよく、あるいはかかる剤を本発明に従う医薬組成物に追加的活性成分として含有させてもよい。例示的な実施形態において、追加的活性化合物はヒスタミンH4受容体の活性が媒介する状態、疾患又は病気の治療に有効であることが知られているかあるいは確認された化合物、例えば別のヒスタミンH4受容体モジュレーター又は個々の状態、疾患又は病気に関連した別の標的に対して活性を有する化合物などである。このような組み合わせを用いると効力が向上する(例えば本発明による薬剤が示す効力又は効果を高める化合物を組み合わせに含めることなどで)か、1種以上の副作用を低下させるか、又は本発明による薬剤の必要投与量を低下させることができる。
【0089】
標的受容体をモジュレートすることを言及する時の「有効量」はそのような受容体が示す活性に影響を与えるのに十分な量を意味する。標的受容体の活性の測定は常規の分析方法を用いて実施可能である。標的受容体のモジュレーションはいろいろな設定(検定を包含)で用いるのに有用である。
【0090】
本発明の医薬組成物を処方するために、本発明の薬剤は単独、又は1つ以上の他の活性成分との組み合わせにて用いる。本発明の医薬組成物は本発明による少なくとも1種の医薬剤を有効量で含む。製薬上許容し得る賦形剤は本発明による医薬組成物の一部の実施形態の一部分である。
【0091】
「製薬上許容し得る賦形剤」は薬理学的組成物に添加されるか、あるいは他の様式で本発明の医薬剤の投与を容易にするビヒクル、担体、又は希釈剤として用いられ、かつそれらと適合し得る、無毒であるか、生物学的に許容され、あるいは他の様式で、対象に投与するに生物学的に適した物質、例えば不活性な物質などを指す。賦形剤の例には炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、いろいろな糖及びいろいろな種類の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0092】
1投与単位以上の医薬剤を含有する医薬組成物の送達形態物の製造は適切な医薬賦形剤を用いかつ当業者に既知であるか、あるいは利用可能になるであろう配合技術を用いて実施可能である。本発明の方法ではそのような組成物を適切な送達経路、例えば経口、非経口、直腸、局所又は眼経路などでかあるいは吸入によって投与してもよい。
【0093】
そのような製剤の形態は錠剤、カプセル、小袋、糖衣錠、粉末、顆粒、ロゼンジ、再構成用粉末、液状製剤又は座薬であってもよい。例において、本組成物を静脈内輸液、局所投与又は経口投与に適するように処方する。
【0094】
経口投与の場合、本発明の化合物を錠剤又はカプセルの形態で、あるいは溶液、乳液又は懸濁液として提供してもよい。経口組成物を製造するために、薬剤は例えば毎日約0.01〜約200mg/kg若しくはその中の任意の範囲、例えば毎日約0.05〜約100mg/kg若しくはその中の任意の範囲、又は例えば毎日約0.05〜約50mg/kg若しくはその中の任意の範囲、又は例えば約0.05〜約25mg/kg/日若しくはその中の任意の範囲、又は例えば約0.1〜約10mg/kg/日若しくはその中の任意の範囲内の投与量を得るように配合されてもよい。
【0095】
経口錠剤に、本薬剤及びいずれかの他の活性成分を含有させてもよく、それらを適合可能な製薬上許容し得る賦形剤、例えば希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤などと混合してもよい。適切な不活性充填剤には炭酸ナトリウム及びカルシウム、リン酸ナトリウム及びカルシウム、ラクトース、澱粉、糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。経口用液状賦形剤の例としてはエタノール、グリセロール、水などが挙げられる。澱粉、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉グリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース及びアルギン酸が崩壊剤の例である。結合剤には澱粉及びゼラチンが含まれ得る。滑剤を存在させる場合、これはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。必要ならば、錠剤にモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの如き材料を用いた被覆を受けさせることで胃腸管内で起こる吸収を遅らせてもよいか、あるいは腸溶性被膜による被覆を受けさせてもよい。
【0096】
経口投与用カプセルには硬質及び軟質ゼラチン製カプセルが含まれる。硬質ゼラチン製カプセルを製造するために、活性成分を固体状、半固体状又は液状の希釈剤と混合してもよい。軟質ゼラチン製カプセルの製造は、活性成分を水、油、例えば落花生油又はオリーブ油など、液状パラフィン、短鎖脂肪酸のモノとジ−グリセリドの混合物、ポリエチレングリコール400又はプロピレングリコールと混合することで実施可能である。
【0097】
経口投与用の液体は、懸濁液、溶液、乳液又はシロップの形態であってもよいか、あるいは使用前に水又は他の適切なビヒクルでもどす、凍結乾燥品あるいは乾燥製品として提供することも可能である。そのような液状組成物に場合により製薬上許容し得る賦形剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトール、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルなど);非水性ビヒクル、例えば油(例えばアーモンド油又は分別ヤシ油)、プロピレングリコール、エチルアルコール又は水;防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸);湿潤剤、例えばレシチンなど;及び必要ならば香味又は着色剤を含有させてもよい。
【0098】
本発明の活性薬剤をまた非経口経路で投与することも可能である。例えば、組成物を直腸投与の目的で座薬として処方してもよい。静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下経路を包含する非経口用途の場合、本発明の薬剤を適切なpH及び等張性になるように緩衝剤を入れておいた無菌の水溶液若しくは懸濁液又は非経口的に許容される油として提供してもよい。適切な水性ビヒクルには、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウムが挙げられる。そのような形態物を単位投与形態物、例えばアンプル又は使い捨て可能注射デバイス、複数単位投与形態、例えば適切な投与量を取り出すことが可能なバイアル瓶など、又は注射可能製剤を製造する目的で使用可能な固体形態物若しくは予濃縮液の形態で提供してもよい。具体的な輸液投与量は医薬担体と混ざり合っている薬剤が数分から数日の範囲内の期間にわたって約1〜1000μg/kg/分の範囲で輸液される量である。
【0099】
局所投与の場合には本薬剤をビヒクルに対する薬物の濃度が約0.1%〜約10%になるように医薬担体と混合してもよい。本発明の薬剤を投与する別の様式では経皮送達を行う目的でパッチ製剤を利用してもよい。
【0100】
本発明の方法では別法として、薬剤を吸入、経鼻又は経口経路、例えば適切な担体を含有するスプレー製剤などとして投与することも可能である。
【0101】
ここで、本発明の方法に有用な薬剤の例を、以下のその一般的な製造に関する説明となる合成スキーム、並びに下記の具体的な実施例を参照することによって説明する。本明細書に示すいろいろな化合物を得るのに最終的に必要な置換基が適宜保護の有り無しで反応スキーム全体に渡って担持されて所望生成物がもたらされるように出発材料を適切に選択することができることを技術者は理解するであろう。別法として、最終的に必要な置換基の代わりに反応スキーム全体に渡って担持されかつ適宜必要な置換基と置き換わり得る適切な基を用いる必要があるかあるいはその方が好ましい可能性もある。特に断らない限り、変更はこの上で式(I)を言及する時に定義した通りである。
【0102】
記載された本明細書においてより拡大されて与えられる場合、「反応させる」及び「反応した」というような用語は(a)こうした化学物質の実際に記載された形態、及び(b)化合物が名付けられるときに考慮されている媒体中でのこうした化学物質の任意形態、のいずれか1つである化学物質を参照して本明細書で使用される。
【0103】
当業者は特に断らない場合は反応工程は、適切な条件下で、周知の方法に従って行われて、所望の生成物を提供することを認識するであろう。当業者は、更に、本明細書に提示された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、塩基、溶媒など)が方法の1を超える工程に記載されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、同一であっても又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、方法の2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第一工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第二工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。更に、当業者は、本発明の反応工程を、様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができ、この反応工程はまた、適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0104】
説明をより簡潔にする目的で、本明細書に示す量的表現のいくつかには用語「約」による制限を受けさせていない。用語「約」を明確に用いるか否かに拘わらず、本明細書に示す量は全てが実際の所定値を指すことを意味しかつまた当該技術分野の通常の技術を基にして正当に推測されるであろうこのような所定値の近似値(実験及び/又は測定条件によるこのような所定値の相当値及び近似値を包含)も指すことを意味すると理解する。収率をパーセントとして示す時にはいつでも、そのような収率は、個々の化学量論的条件下で得ることが可能な当該物質の最大量を基準にした当該収率が得られた時の当該物質の質量を指す。パーセントとして示す濃度は、異なると示さない限り、質量比を指す。
【0105】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が列挙されている場合は、範囲は、列挙された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲を含むと理解される。
【0106】
好適な溶媒、塩基、反応温度、並びに他の反応パラメータ及び成分の例は、本明細書で以下に詳細に説明される。当業者は、上記例の列挙が、以後の特許請求の範囲に記載される発明を決して限定する意図はなく、そのように解釈すべきではないことを認識する。
【0107】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「非プロトン性溶媒」は、プロトンを生成しない任意の溶媒を意味するものとする。好適な例にはDMF、1,4−ジオキサン、THF、アセトニトリル、ピリジン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、MTBE、トルエン及びアセトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「脱離基」は、置換又は代替反応中に離脱する帯電又は非帯電の原子又は基を意味するものとする。好適な例には、Br、Cl、I、メシラート、トシラート、シアノ及びトリフレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「窒素保護基」は、窒素原子に結合してその窒素原子が反応に参加することから保護することができ、また反応後に容易に除去できる基を意味するものとする。例示的な好適な窒素保護基としては、カルバメート(−C(O)O−R部分を含有する基である(式中、Rは例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH2=CH−CH2−及び2,2,2−トリクロロエチルである);アミド(−C(O)−R’部分を含有する基である(式中、R’は例えばメチル、フェニル、トリフルオロメチル及びt−ブチル(ピバロール)である));N−スルホニル誘導体(−SO2−R”部分を含有する基である(式中、R”は例えばメチル、トリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−イル−及び2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンである))が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な窒素保護基は、教科書、例えばP.G.M.Wut & T.W.Greene Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,2007、及びProtective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973に見出すことができる。
【0110】
当業者は、本発明の反応工程が様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができる場合には、この反応工程はまた適切な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0111】
本発明による化合物を製造する方法が、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、例えば分取クロマトグラフィーなどの従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で製造されてもよく、又は個々のエナンチオマーをエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより製造することができる。化合物は、例えば標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸と共に塩を生ぜせしめることによりジアステレオマー対を生ぜせしめた後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってその成分であるエナンチオマーに分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドを生ぜせしめ、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。代替的に、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてもよい。
【0112】
本発明の化合物を製造する方法のいずれかを行っている間に、関係する分子のいずれかが有する感受性又は反応性基を保護する必要がありそして/又はその方が望ましい可能性がある。これは、従来の保護基、例えばProtective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;及びP.G.M.Wuts & T.W.Greene Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,2007に記載されるものによって達成されてもよい。保護基は、続く都合のよい段階で、当技術分野にて既知の方法を用いて除去され得る。
【0113】
本発明は、以下のスキーム1により詳細に概要されるような、式(I)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0114】
【化21】

【0115】
スキーム1を参照すると、既知の化合物又は既知の方法によって製造される化合物である式(V)の好適に置換された化合物は、DIBAL−H、RANEY(登録商標)ニッケル(水素供給源、例えばH2(g)、ギ酸、並びにこれらの条件下でH2(g)及びギ酸のように挙動するいずれかの他の水素供給源の存在下)、Red−Al、水素化ホウ素ナトリウム、水素化第二銅又はトリエチル水素化ホウ素リチウムのような好適に選択された還元剤系と反応させて、式(VI)の化合物を生ぜせしめる。一部の実施形態において、DIBAL−H又はRANEY(登録商標)ニッケルを水素供給源の存在下で使用する。還元剤系が単一剤、例えばDIBAL−Hである場合、還元剤系は、約1.0〜約5.0モル当量(式(V)の化合物のモルに対して)の範囲内の量で存在する。一部の実施形態においては、約2.0〜約3.0モル当量の範囲内の量である。他の実施形態においては約2.5モル当量である。別の例において、還元剤系は、水素供給源の存在下でRANEY(登録商標)ニッケルであり、RANEY(登録商標)ニッケルは、約1.0〜約10.0モル当量の範囲内の量、例えば約200重量%で存在する。別の例において、水素供給源はギ酸であり、ギ酸は過剰量で存在し、例えば約40モル当量で存在する。
【0116】
好適な溶媒の例としては次が挙げられる。還元剤系がDIBAL−Hである場合、還元は、有機溶媒、例えばTHF、トルエン、2−Me−THF、DME、又はMTBE中で行うことができる。こうした有機溶媒は、水性有機溶媒、例えばTHF又はトルエンであってもよい。別の例において、還元剤系は、RANEY(登録商標)ニッケルと水素供給源、例えば水中でのギ酸である。反応温度は、約0℃〜約25℃の範囲内である。一部の実施形態において、還元剤系がDIBAL−Hである場合、温度は約5℃〜約10℃である。他の実施形態において、還元剤系がRANEY(登録商標)ニッケルと水素供給源、例えばギ酸である場合、温度は室温程度である。
【0117】
式(VI)の化合物を好適に置換された式(VII)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を生ぜせしめるが、こうした式(VII)の化合物は、既知の化合物又は既知の方法によって製造された化合物の遊離塩基として又はその対応する塩の形態として存在する。式(VII)の化合物は、約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量、例えば約1.0〜約1.1モル当量の範囲内の量、例えば約1.01モル当量で存在する。この反応は、次亜塩素酸ナトリウムと組み合わせて、好適に選択された酸化剤又は酸化剤系、Na2SO3/空気、Na225/空気、NaHSO3/空気、DDQ、OXONE(登録商標)又はTEMPO(登録商標)、例えばNa2SO3/空気又はNa225/空気の存在下で行われる。本明細書において、用語「酸化剤系」は、いずれかのこうした酸化剤又は酸化剤系を一般的に言及するために使用される。こうした酸化剤又は酸化剤系は、約0.90〜約1.5モル当量の範囲内の量、例えば約0.95〜約1.3モル当量の範囲内の量、例えば約1.3モル当量の量、及び更に別の例において約1.0モル当量の量で存在する。この反応媒体は、一部の実施形態においては水であり、又は他の実施形態においては有機溶媒である。こうした有機溶媒の例としては、DMF、NMP、DMA、アセトニトリル及びエタノールが挙げられる。一部の反応媒体は、DMF、及び他の例ではそれらは水である。この反応は、約25℃〜約100℃の範囲内の温度、例えば約55℃〜約65℃の範囲内の温度にて行われる。
【0118】
当業者は、式(VI)の化合物を、有機溶媒中、対応する塩の形態としての式(VII)の化合物と反応させる場合、反応は、好適に選択された有機又は無機塩基、例えばNMM、TEA又はK2CO3、例えばK2CO3の存在下で行われることを認識するであろう。当業者は更に、塩基は、式(VII)の化合物の塩形態を中和し、それによって式(VII)のジアミン化合物を遊離させるために存在することを認識するであろう。当業者は更に、式(VI)の化合物は、別の方法として、好適に選択された酸、例えばHCl、H2SO4、及び本反応条件にてこれらの酸のいずれかのように挙動するいずれかの他の酸の存在下、水中、対応する塩の形態として式(VII)の化合物と反応させてもよい。
【0119】
一実施形態において、本発明は、以下のスキーム2により詳細に概要を述べるように、式(I−A)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0120】
【化22】

【0121】
スキーム2を参照すると、既知の化合物又は既知の方法によって製造される化合物である式(V−S)の好適に置換された化合物を好適に選択された還元剤系と反応させて、式(VI−S)の化合物を生ぜせしめる。還元剤系の例としては、DIBAL−H、RANEY(登録商標)ニッケル(水素供給源、例えばH2(g)、ギ酸及びこれらの条件下で水素ガス及びギ酸のように挙動するいずれかの他の水素供給源の存在下)、Red−Al、水素化ホウ素ナトリウム、水素化第二銅又はトリエチルホウ化水素リチウムが挙げられる。一部の実施形態において、還元剤系は、水素供給源の存在下、DIBAL−H又はRANEY(登録商標)ニッケルである。
【0122】
還元剤系が単一剤、例えばDIBAL−Hである場合、還元剤系が約1.0〜約5.0モル当量(式(V−S)の化合物のモルに対して)の範囲内の量で存在する。他の実施形態において、約2.0〜約3.0モル当量の範囲内の量である。更に他の実施形態において、約2.5モル当量である。
【0123】
他の実施形態において、還元剤系は、水素供給源の存在下でのRANEY(登録商標)ニッケルであり、RANEY(登録商標)ニッケルは、約1.0〜約10.0モル当量の範囲内の量において、例えば約200重量%にて存在する。他の実施形態において、水素供給源はギ酸であり、ギ酸は過剰量、例えば約40モル当量で存在する。
【0124】
この反応のための溶媒の例としては次が挙げられる。還元剤系DIBAL−Hは、有機溶媒、例えばTHF、トルエン、2−Me−THF、DME及びMTBEにおいて使用される。一部の実施形態において、有機溶媒は、例えばTHF又はトルエンのような無水有機溶媒である。還元剤系RANEY(登録商標)ニッケルとギ酸のような水素供給源である場合、溶媒は水である。温度は、約0℃〜約25℃の範囲内である。還元剤系がDIBAL−Hである場合、温度は約5〜約10℃である。別の例において、還元剤系がRANEY(登録商標)ニッケルとギ酸のような水素供給源である場合、反応は室温程度で行われる。
【0125】
式(VI−S)の化合物を式(VII−A)の好適に置換された化合物と反応させて、式(I−A)の化合物を生ぜせしめるが、ここで式(VII−A)の化合物は、既知の化合物又は既知の方法によって製造される化合物である遊離塩基又はその対応する塩の形態として存在してもよい。式(VII−A)の化合物は約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、それは約1.0〜約1.1モル当量の範囲内の量で存在する。更に他の実施形態において、約1.01モル当量である。この反応は、次亜塩素酸ナトリウムと組み合わせて、好適に選択された酸化剤又は酸化剤系、例えばNa2SO3/空気、Na225/空気、NaHSO3/空気、DDQ、OXONE(登録商標)又はTEMPO(登録商標)の存在下で、行われる。一部の実施形態において、この酸化剤系は、Na2SO3/空気又はNa225/空気である。酸化剤又は酸化剤系は、約0.90〜約1.5モル当量の範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、約0.95〜約1.3モル当量の範囲内の量である。他の実施形態において、約1.3モル当量の量であり、更に他の実施形態において、約1.0モル当量の量である。この反応のための媒体は、水、又は有機溶媒、例えばDMF、NMP、DMA、アセトニトリル及びエタノールである。一部の実施形態において、媒体はDMFであり、他の例においては水である。反応温度は、約25℃〜約100℃の範囲内である。一部の実施形態において、温度は約55℃〜約65℃の範囲内である。
【0126】
当業者は、式(VI−S)の化合物を有機溶媒中で対応する塩の形態としての式(VII−A)の化合物と反応させる場合、反応は、好適に選択された有機又は無機塩基、例えばNMM、TEA又はK2CO3、例えばK2CO3の存在下で行われることを認識するであろう。当業者は更に、塩基は、式(VII−A)の化合物の塩形態を中和し、それによって式(VII−A)のジアミン化合物を遊離させるために存在することを理解するであろう。当業者は更に、式(VI−A)の化合物は、別の方法として、好適に選択された酸、例えばHCl、H2SO4、及びこれらの条件にて塩酸及び硫酸のように挙動するいずれかの他の酸の存在下、水中、対応する塩の形態としての式(VII−A)の化合物と反応させてもよいことを認識するであろう。
【0127】
一実施形態において、本発明は、以下のスキーム3により詳細に概要を述べるように、式(I−B)の化合物を製造する方法を目的とする。
【0128】
【化23】

【0129】
スキーム3を参照すると、既知の化合物又は既知の方法によって製造された化合物である式(V−S)の好適に置換された化合物をDibal−H、RANEY(登録商標)ニッケル(H2(g)のような水素供給源及びこれらの条件下で水素ガス及びギ酸のように挙動するいずれかの他の水素供給源の存在下)、Red−Al、水素化ホウ素ナトリウム、水素化第二銅、又はトリエチル水素化ホウ素リチウムのような好適に選択された還元剤系と反応させて、式(VI−S)の化合物を生ぜせしめる。一部の実施形態において、還元剤系は、水素供給源の存在下、Dibal−H又はRANEY(登録商標)ニッケルである。
【0130】
還元剤系が単一剤、例えばDIBAL−Hである一実施形態において、還元剤系は、約1.0〜約5.0モル当量(式(V−S)の化合物のモルに対して)の範囲内の量で存在する。別の実施形態においては、約2.0〜約3.0モル当量の範囲内の量、更に他の実施形態において約2.5モル当量の量である。
【0131】
還元剤系が水素供給源の存在下でのRANEY(登録商標)ニッケルである場合、RANEY(登録商標)ニッケルは、約1.0〜約10.0モル当量の範囲内の量で存在し、例えば約200重量%で存在する。水素供給源がギ酸である場合、それは、過剰量、例えば約40当量のギ酸で存在する。
【0132】
この反応のための溶媒の例は、次の通りであり、還元剤系がDIBAL−Hである場合、溶媒は、有機溶媒、例えばTHF、トルエン、2−Me−THF、DME、及びMTBEである。こうした有機溶媒は、一部の実施形態においては、無水有機溶媒、例えばTHF又はトルエンであってもよい。還元剤系がRANEY(登録商標)ニッケルであり、水素供給源がギ酸である場合、溶媒は通常水である。
【0133】
反応温度は、約0℃〜約25℃の範囲内である。還元剤系がDIBAL−Hである一部の実施形態において、温度は約5℃〜約10℃である。他の実施形態において、還元剤系がギ酸のような水素供給源を伴ったRANEY(登録商標)ニッケルである場合、温度は室温程度である。
【0134】
式(VI−S)の化合物を式(VII−B)の好適に置換された化合物と反応させて、式(I−B)の化合物を生ぜせしめるが、ここで式(VII−B)の化合物は、既知の化合物又は既知の方法によって製造された化合物である遊離塩基又は対応する塩の形態として存在してもよい。式(VII−B)の化合物は、約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する。一部の実施形態においては、約1.0〜約1.1モル当量の範囲内の量である。他の実施形態において、約1.01モル当量の量である。この反応は、好適に選択された酸化剤又は酸化剤系、例えばNa2SO3/空気、Na225/空気、NaHSO3/空気、DDQ、OXONE(登録商標)又はTEMPO(登録商標)の存在下、次亜塩素酸ナトリウムと組み合わせて行われる。一部の実施形態において、Na2SO3/空気又はNa225/空気を使用する。酸化剤又は酸化剤系は、約0.90〜約1.5モル当量の範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、約0.95〜約1.3モル当量の範囲内の量である。他の実施形態において、約1.3モル当量の量であり、更に他の実施形態において約1.0モル当量の量である。この反応は、DMF、NMP、DMA、アセトニトリル又はエタノールのような水中又は有機溶媒中で行われる。一部の実施形態において、反応媒体はDMFによって提供される。反応温度は、約25℃〜約100℃の範囲内である。他の実施形態において、反応温度は、約55〜約65℃の範囲内である。
【0135】
当業者は、式(VI−S)の化合物を有機溶媒中、式(VII−B)の化合物の塩形態と反応させる場合、反応は、好適に選択された有機又は無機塩基、例えばNMM、TEA及びK2CO3の存在下で行われることを認識する。一部の実施形態において、K2CO3をこうした塩基として使用する。当業者は更に、塩基が式(VII−B)の化合物の塩形態を中和するために存在し、それによって式(VII−B)のジアミン化合物を遊離するために存在することを認識するであろう。当業者は更に、式(VI−B)の化合物は、別の方法として好適に選択された酸、例えばHCl、H2SO4、及びこれらの条件下で塩酸及び硫酸のように挙動する他の酸の存在下、水中で対応する塩の形態である式(VII−B)の化合物と反応させてもよいことを認識するであろう。
【0136】
本明細書に列挙された粉末X線回折パターンは、XPERT−PRO回折機系を用いて測定した。サンプルは、従来のX線ホルダーにバックロードし、25℃にて試験した。サンプルを、4.01°2θから40.98°2θまで、ステップサイズ0.0170°2θ、ステップあたりの時間17.44秒で走査した。機器電圧及び電流設定は、45kV及び40mAであった。
【0137】
本発明は更に、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートを目的とする。式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートは、例えばその粉末XRDパターンによって特徴付けることができ、その例を本明細書の図1に示す。
【0138】
一実施形態において、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートを、以下の表1に列挙するようなピークを含むその粉末X線回折パターンによって特徴付けることができる。
【0139】
【表2】

【0140】
本発明の一実施形態において、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートは、以下の表2に列挙されるような約5%以上の相対強度を有するピークを含むその粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0141】
【表3】

【0142】
本発明の一実施形態において、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートは、以下の表3に列挙されるような約10%以上の相対強度を有するピークを含むその粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0143】
【表4】

【0144】
本発明の一実施形態において、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートは、以下の表4に列挙されるような約20%以上の相対強度を有するピークを含むその粉末XRDパターンによって特徴付けられる。
【0145】
【表5】

【0146】
本発明は更に、式(I−A)の化合物のヘミタートレートを製造する方法を目的とする。式(I−A)の化合物のヘミタートレートは、次の方法に従って製造できる。
【0147】
式(I−A)の化合物を変性エタノール、メタノール又はIPAのような有機溶媒中に溶解させる。一部の実施形態において、変性エタノールを使用する。他の実施形態において変性エタノールとイソプロパノールの混合物を使用する。
【0148】
水を場合により式(I−A)の化合物の溶液から除去する。一部の実施形態において、水を共沸的に除去する。例えば、好適に選択された有機溶媒、例えばシクロヘキサンを式(I−A)の化合物の溶液に添加し、得られた混合物を共沸蒸留に供することによってである。
【0149】
そこから水を除去する場合でもしない場合でも、式(I−A)の化合物の溶液を約35℃から還流程度まで、例えば約50℃の範囲内の温度に加熱し、L−酒石酸を加熱された混合物に添加する。L−酒石酸を約0.25〜約1.0モル当量の量で添加する。一部の実施形態においては、約0.5モル当量の量である。
【0150】
添加されたL−酒石酸との混合物を約50℃から還流程度の範囲内の温度に加熱する。一部の実施形態においては、約50℃までの温度である。他の実施形態においては、約70℃〜約75℃の温度までである。得られた混合物を場合により濾過する。濾過を行う場合でも行わない場合でも、酒石酸溶液が得られる。
【0151】
本発明の実施形態は、場合により、式(I−A)のヘミタートレートの固体化合物を得るために次の追加工程のうちの1つ又は2つを含む。
【0152】
タートレート溶液の冷却。一部の実施形態において、こうした冷却は室温未満の温度にて行われる。他の実施形態において、冷却は、約0℃〜約−5℃の温度にて行われる。式(I−A)の化合物のヘミタートレートの沈殿が得られる。加えて、この沈殿を更に単離できる。こうした単離は、沈殿を冷有機溶媒で洗浄し、更に場合により、既知の方法に従って、例えば減圧下及び/又は高温下にて沈殿を乾燥することによって達成される。
【0153】
本発明は更に、式(I−A)の化合物のヘミタートレートの再結晶方法を目的とする。一部の実施形態において、再結晶は次の通り行われる。
【0154】
水及び有機溶媒、例えば変性エタノールの混合物中に式(I−A)の化合物のヘミタートレートを溶解し、場合により、得られた混合物を濾過する。こうした水/有機溶媒混合物の例示的な例は、約1%(体積/体積)水:変性エタノール混合物;水が約1.0重量%〜約1.5重量%で存在する水と変性エタノール混合物;水が約1.4重量%で存在する水と変性エタノール混合物によって与えられる。こうして製造された混合物から水を除去して、約70℃〜約80℃の沸点を有する混合物を得る。一部の実施形態において、こうした沸点は約70℃〜約75℃である。他の実施形態において、こうした沸点は、約78℃〜約80℃である。この水除去は、共沸蒸留によって一部の実施形態にて達成される。得られた混合物は、続いて場合により濾過される。
【0155】
本発明の実施形態は、場合により、式(I−A)のヘミタートレートの再結晶化合物を得るために、次の追加工程のうちの1つ又は2つを含む。混合物を冷却し、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートの沈殿を生ぜせしめる。例えば約0℃の温度に冷却する。続いて沈殿を単離する。例えば、冷有機溶媒を用いて場合により洗浄する濾過による。洗浄された沈殿は、場合により、既知の方法に従って、例えば減圧下及び/又は高温下で乾燥させる。
【0156】
別の態様において、本発明は、以下のような式(I−A)の化合物のヘミタートレートの再結晶方法を目的とする。
【0157】
式(I−A)の化合物のヘミタートレートを有機溶媒の混合物、例えばメタノールと変性エタノールの混合物に溶解させる。場合により、こうした混合物を室温程度を超える温度に加熱する。こうした温度の例としては、還流温度程度、及び約50℃〜約60℃の範囲内の温度が挙げられる。続いて、場合により、得られた混合物を濾過する。
【0158】
こうして製造された混合物を続いて冷却して、式(I−A)の化合物の結晶性ヘミタートレートの沈殿を生ぜせしめる。一部の実施形態において、それを約0℃まで冷却する。一部の実施形態において、こうした冷却はステップ様の様式で行われる。こうして形成された沈殿は、続いて単離される。一部の実施形態において、この単離は、濾過により行われ、単離された沈殿は、場合により、冷有機溶媒で洗浄される。沈殿は、場合により、既知の方法に従って、例えば減圧下及び/又は高温下で乾燥させる。
【0159】
以下の実施例は本発明の理解を助ける目的で説明され、そして以降に続く特許請求の範囲で説明される本発明をどのようにも限定するものを意図するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0160】
以下の実施例において、いくつかの合成生成物は、残留物として単離されたものとして列挙されている。当業者は、用語「残留物」が、生成物が単離された物理的状態を限定するものではなく、例えば、固体、油、発泡体、ゴム又はシロップを含み得ることを理解するであろう。
【0161】
実施例1の工程A〜Dは、表題化合物の合成のための方策/手順を説明する。これら化合物のいくつかのバッチは、以下に記載されるような方策/手順に従って製造した。以下の合成の説明の終わりに列挙される物理的特性(例えば、MS+1H NMRなど)は、製造された化合物の代表的なサンプルのために測定された物理的特性のリストである。
【実施例】
【0162】
実施例1:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0163】
【化24】

【0164】
工程A:
100Lのグラスライニング反応器に、2−メチル−4−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ベンゾニトリル(5.41kg、19.8モル)及びトルエン(47.13kg)を充填した。得られた懸濁液を撹拌し、約0℃〜−5℃に冷却した。次に、内部反応温度<2℃を維持しながら、トルエン(40.55kg、47.33モル)中の1.0Mの水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)を窒素圧力により添加する。添加完了後、得られた反応溶液を約5〜10℃に加温し、反応をHPLCによって完了に関してモニターした。冷酢酸エチル(4.89kg)を次いで30分にわたって添加し、得られた混合物を15〜20分間撹拌した。得られた混合物(2−メチル−4−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ベンズアルデヒドを含有)を100Lのガラス受容器に移し、トルエン(1.00kg)ですすいだ。
【0165】
工程B:
水/硫酸(27.05kg/2.26kg)の冷溶液を、それぞれ100Lのハステロイ反応器及び100Lのグラスライニング反応器に添加した。得られた酸水溶液を撹拌し、約2〜5℃に冷却した。温度を常時<30℃に維持し、上記工程Aにて製造された50%(体積)の混合物を各硫酸水溶液に添加した。得られた懸濁液をpHに関してチェックし(目標pH 4〜5)、約20〜25℃にて約1.5〜2時間撹拌する。次いで、懸濁液を約10〜15℃に冷却し、20分間にわたって6Nの水酸化ナトリウム(16.12kg、81.42モル)を添加することによって、懸濁液のpHをpH約11〜12に調節した。次いで得られた混合物を、更に15〜20分間撹拌し、次いで撹拌を停止し、相を分離させた。
【0166】
有機相を減圧により各反応器の上部から除去し、合わせた。次いで水相及び中間油相を各反応器の底部バルブから排出し、廃棄した。合わせた有機相を約40℃で濃縮し、固体を生ぜせしめる。この固体を乾燥トレイに移し、一晩乾燥させ(8.0kPa(60Torr)、30〜35℃)、固体の2−メチル−4−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ベンズアルデヒドを生じせしめた。
【0167】
工程C:
100Lのグラスライニング反応器において、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na225)(1.96kg、9.79モル)を精製水(54.63kg)に溶解させ、続いて3,5−ジメチル−1,2−ベンゼンジアミン−2HCl(2.07kg,9.86モル)を添加し、得られた混合物を約20〜25℃にて撹拌し、溶液を得た。次に、濃塩酸(1.65kg、16.79モル)を添加し、続いて上記工程Bにあるように製造された2−メチル−4−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ベンズアルデヒド(2.74kg、9.79モル)を添加し、得られた混合物を約23〜27℃に撹拌し、溶液を得た。得られた混合物を約57〜62℃に加熱し、HPLCによって完了に関してモニターした。
【0168】
反応混合物を約20〜25℃に冷却し、次いで体積の半分(約30L)を計量ポンプにより精製水(15kg)に溶解した炭酸カリウム(3.9kg、28.2モル)の溶液を含有する撹拌50Lガラス反応器システムに添加し、沈殿を生成せしめた。沈殿した生成物を、約1時間撹拌し、次いで沈降させた。透明な上清(約20L)を50Lの反応器システムの上部から除去し、精製水(約20kg)を添加した。得られた混合物を10分間撹拌し、濾過し、水(13kg)で洗浄し、35〜40℃にて、減圧下で乾燥させて、固体[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンを生ぜせしめた。
MS:[M=H]+=393
【0169】
1H NMR(600MHz,メタノール−d6)δpp,1.38〜1.43(m,2H),1.43〜1.52(m,2H),1.53〜1.61(br,1H),1.64〜1.71(m,2H),1.90〜1.96(br,m,2H),2.42(s,3H),2.53(s,3H),2.54(s,3H),2.74(s,3H),2.78〜2.86(br,m,2H),3.15〜3.36(m,2H),3.36〜3.47(m,2H),4.35(s,1H),6.90(s,1H),7.20(s,1H),8.44(br,s,1H)
【0170】
工程D:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレートの製造
100Lのハステロイ反応器に、上記工程Cにおけるように製造された[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン(6.58kg、15.56モル)を変性エタノール(31.00kg、95/5エタノール/2−プロパノール)中に約48〜52℃で溶解させた。15分間撹拌した後、得られたかすんだ溶液を約25〜30℃に冷却した。硫酸マグネシウム(0.60kg)を添加し、得られた混合物を更に30分間撹拌した。硫酸マグネシウムをCELITE(登録商標)(0.30kg)により濾過し、得られた透明溶液(KF=0.22%)を清浄なグラスライニングを施された100Lのグラスライニング反応器に移し、約48〜52℃に加熱した。変性エタノール(10.0kg)中のL−酒石酸(1.16kg、7.73モル)溶液を20分間にわたって反応器に充填した。得られた混合物を約70〜75℃に加熱し、次いで1時間置いた。得られた黄色のスラリーを2時間にわたって約0〜5℃に冷却し、次いで20分間置いた。生成物(沈殿として)を濾過し、冷変性エタノール(5.20kg)で洗浄し、次いで約75〜80℃にて減圧下で乾燥して、対応するヘミタートレートの固体塩として[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンを生じせしめた。
【0171】
工程E:再結晶
100Lのハステロイ反応器に、上記工程Dにあるように製造された[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン(5.19kg、11.10モル)を変性エタノール(32.40kg、95/5エタノール/2−プロパノール)と水(2.62kg)の混合物中に約75〜78℃にて溶解させた。得られた溶液を約50〜55℃に冷却し、清浄な100Lのグラスライニング反応器にてポリッシュ濾過し(いずれかの外来粒子を除去するために)、続いて変性エタノール(4.15kg)ですすいだ。変性エタノール(25.62kg)を添加し、得られた溶液を撹拌し、約78〜80℃に加熱して、51Lの溶媒を大気圧蒸留した。得られた溶液を約55〜60℃に冷却し、追加の変性エタノール(27.63kg)を添加し、続いて約78〜80℃に加熱し、27Lの溶媒を大気圧蒸留した。次いで得られた溶液を約50〜55℃に冷却し、種結晶を添加して(2.0g、4.3ミリモル)、次いで更に約18〜22℃に冷却して、次いで1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過し、変性エタノール(5.00kg)で洗浄し、約75〜80℃にて減圧下で乾燥させて、固体の[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレートを生ぜせしめた。
【0172】
融点179℃
[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレートのサンプルの1H NMRは次の通りであった:
1H NMR(300MHz,メタノール−d4)δppm1.34〜1.75(m,o,7 H),1.88〜1.99(br,m,2 H),2.42(s,3 H),2.53(s,3 H),2.54(s,3 H),2.75(s,3 H),2.76〜2.89(o,m,2 H),3.35〜3.48(m,4 H),4.35(s,1 H),6.90(s,1 H),7.20(s,1 H),8.44(br,s,1 H)
【0173】
実施例2:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0174】
【化25】

【0175】
4mLのバイアル瓶に、3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2−ジアミン・2HCl(69mg、0.33ミリモル)、4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド(92mg、0.33ミリモル)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(75mg、0.33ミリモル)及びDMF(2mL)を添加した。トリエチルアミン(0.09mL、0.66ミリモル)の添加後、得られた混合物を室温で5時間撹拌した。次いで得られた混合物を1NのNaOH(7.5mL)及びジクロロメタン(7.5mL)で希釈した。有機層を濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物を生ぜせしめた。
MS:[M=H]+=393
【0176】
1H NMR(600MHz,メタノール−d6)δpp,1.38〜1.43(m,2H),1.43〜1.52(m,2H),1.53〜1.61(br,1H),1.64〜1.71(m,2H),1.90〜1.96(br,m,2H),2.42(s,3H),2.53(s,3H),2.54(s,3H),2.74(s,3H),2.78〜2.86(br,m,2H),3.15〜3.36(m,2H),3.36〜3.47(m,2H)4.35(s,1H),6.90(s,1H),7.20(s,1H),8.44(br,s,1H)
【0177】
実施例3:4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド
【0178】
【化26】

【0179】
オーバーヘッド機械的撹拌器、窒素入口、熱電対プローブ、及びJ−Kemシリンジポンプを備えた5Lのジャケット付き反応器に、THF(1.6L)中の4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルボニトリル(160.0g、585ミリモル)を添加した。得られた混合物を5℃に冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)(トルエン中1M、1.755L、1.755モル)を、<8℃の内部反応温度を維持しながら、2.33時間にわたってシリンジポンプによって添加した。添加完了後、得られた混合物を40分にわたって20℃に加温し、次いで室温にて更に3時間維持した。次いで反応を水性H2SO4(水中の110mLの硫酸、2L総体積)でクエンチした。クエンチを1時間にわたって、0℃のジャケット温度、20〜30℃の内部温度にて行い、高度に発熱性であることが観察された。(ロッシェル塩クエンチも検証した。)この手法は成功したが、2つの透明層を生ぜせしめるために長い撹拌時間を要した(クエンチの後)。HClクエンチも使用し、硫酸クエンチと同様の結果を得た。次いで得られた混合物45分間撹拌し、水層及び懸濁固体を得た。水層のpHを50% NaOH(336mL)を用いてpH約10.6に調節した。水層(2×2Lのジクロロメタン)を抽出し、合わせた水層を濃縮して油を生じせしめ、それを更に精製することなく、次の工程にて使用した。
MS(エレクトロスプレー):C15235に関して計算した正確な質量276.20;m/z実測値277.1[M+H]+。
【0180】
実施例4:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0181】
【化27】

【0182】
2Lの三角フラスコにDMF(725mL)中、3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2−ジアミン・2HCl(54.85g、262.3ミリモル)及びNa225(64.82g,341.0ミリモル)、並びに4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド(上記実施例3にあるように製造された)(72.5g、262.3ミリモル)を添加した。トリエチルアミン(73.1mL、524.6ミリモル)を添加後、得られた混合物を撹拌しながらホットプレート上で90℃に加温し、この温度を2時間維持した。次いで得られた混合物をほぼ乾燥するまで濃縮し、ジクロロメタン(0.7L)と1NのNaOH(1L)とに分けた。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで濾過して、生成した多量の固体を単離した。固体を乾燥し、次いでクロロホルム(700mL)と飽和水性NaHCO3(700mL)とに分けた。層を分離し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、残渣まで濃縮した。残渣を初期の熱濾過(約1gの油状残渣が除去される)とヘプタン/酢酸エチル(3:1、250mL総体積)での最終フィルターケークの洗浄を伴って熱ヘプタン/酢酸エチル(1.8:1、840mL総体積)中で再結晶させ、結晶性固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0183】
1H−NMR:(400MHz,CD3OD)δ,8.43(s,1H),7.20(s,1H),6.89(s,1H),3.42(t,J=7.0,2H),2.89〜2.82(m,2H),2.54(s,3H),2.53(s,3H),2.42(s,3H),2.24(s,3H),2.03〜1.94(m,2H),1.77〜1.70(m,2H),1.69〜1.61(m,2H),1.38〜1.18(m,5H)。
【0184】
MS(エレクトロスプレー):C23326に関して計算された正確な質量392.27;m/z実測値,393.2[M+H]+
【0185】
23326・0.25H2Oに関しての元素分析:計算値:C,69.58;H,8.25;N,21.17;測定値C,69.45;H,8.06:N,21.30。
【0186】
実施例5:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレート
オーバーヘッド機械的撹拌器、液体添加漏斗、還流冷却器、内部温度プローブ及びダイナミック窒素入口を備えた50mLの反応器に、[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン(1.01g、2.58ミリモル)及びEtOH(15mL、200 proof)を添加した。得られた不均質溶液を50℃に加熱し、この温度にて混合物は均質溶液になるのが観察された。50℃にて、EtOH(5.0mL、200 proof)に溶解させたL−酒石酸(0.193g,1.29ミリモル)溶液を2.0分にわたって滴下した。添加部位にてわずかな沈殿が観察された;しかし、沈殿は持続しなかった。添加完了後、得られた均質溶液を50℃で30分間置いた。次いで得られた溶液を約20℃に冷却し、このとき、約30分間の経年後に核形成が観察された。得られたスラリーを約20℃で4.5時間置いた。固体を吸引濾過によって回収し、減圧オーブン(室内減圧)にて50℃で2.5日間乾燥させた。完全に溶媒を除去した後、表題化合物を結晶性固体として得た。
【0187】
実施例6:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレートの再結晶
上記実施例5にて記載されたように製造された式(I−A)の化合物のヘミタートレートの代表的なサンプルを次のように再結晶させた。オーバーヘッド機械的撹拌器、還流冷却器及び内部温度プローブを備えた500mLの丸底フラスコに、[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレート(8.03g、17.2ミリモル)及びEtOH(160mL、200 proof)を添加した。得られた均質混合物を還流温度(77.3℃)まで加温した。還流時、H2Oをシリンジにより滴下し(1.6mL)、均質溶液を得た。得られた溶液を還流しながら30分間置き、約21.3℃まで90分かけて冷却した。この温度に到達したら、核形成が約30分後に観察された。得られたスラリーをこの温度で更に4時間置いた。固体を吸引濾過により回収し、室温にて、室内減圧下で20時間乾燥させた。ケークを更に50℃にて減圧オーブン中で20時間乾燥させて、結晶性固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0188】
実施例8:[5−(5−フルオロ−4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0189】
【化28】

【0190】
2Lの三角フラスコに、DMF(725mL)中、4−フルオロ−3−メチル−ベンゼン−1,2−ジアミン・HCl(46.32g、262.3ミリモル)、Na225(64.82g、341.0ミリモル)及び4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド(72.5g、262.3ミリモル)を添加した。次いで得られた混合物にトリエチルアミン(36.6mL、262.3ミリモル)を添加し、ホットプレート上にて撹拌しながら反応を90℃に加温し、この温度を2時間維持した。次いで得られた混合物をほぼ乾燥するまで濃縮し、ジクロロメタン(1L)と1NのNaOH(1L)とに分けた。層を分離後、水層をジクロロメタン(1L)で2度目の抽出をした。次いで合わせた有機層を飽和水性NaHCO3(1.6L)で洗浄した。次いで有機物を1Mのモノ/二塩基性のリン酸塩緩衝剤(pH 5.62、1.23L)で抽出した。次いで水層を50% NaOH(80mL)でpH 10.8まで塩基性にした。次いで得られた均質層をジクロロメタン(1.5L及び500mL)で抽出し、合わせた有機物を濃縮して表題化合物を生ぜせしめた。
【0191】
表題化合物を初期の熱濾過とヘプタン/酢酸エチル(3:1、250mL総体積)での最終フィルターケークの洗浄を伴って熱ヘプタン/酢酸エチル(2:1、1.15L総体積)中で再結晶させ、結晶性固体として表題化合物を生じせしめた。
【0192】
1H−NMR:(400MHz,CD3OD)δ,8.45(s,1H),7.37(dd,J=8.8,4.4Hz,1H),6.99(dd,J=10.3,8.81H),3.42(t,J=7.0,2H),2.89〜2.82(m,2H),2.54(s,3H),2.49(d,J=1.6Hz,3H),2.24(s,3H),2.03〜1.94(m,2H),1.77〜1.70(m,2H),1.69〜1.61(m,2H),1.38〜1.18(m,5H)。
【0193】
MS(エレクトロスプレー):C2229FN6に関して計算された正確な質量396.2;m/z実測値397.2[M+H]+
【0194】
2229FN6についての元素分析:計算値C,66.64;H,7.37;N,21.19測定値:C,66.31;H,7.61;N,21.19。
【0195】
実施例9:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0196】
【化29】

【0197】
工程A:
4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルボニトリル(10.0g、36.6ミリモル)を窒素雰囲気下、乾燥トルエン(80.7g)中にてスラリー化した。3〜10℃にて、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)(トルエン中20%)(62.6g、88.0ミリモル)を80分間にわたって添加した。得られた混合物を10〜20℃にて65分間維持し、次いで酢酸エチル(9.0g、102.1ミリモル)を15分間にわたって添加した。室温で30分間撹拌した後、得られた黄色溶液を水(70.0g)中の37%の水性塩酸(16.0g、162.4ミリモル)溶液に約20℃にて60分間にわたって滴下した(発熱反応、気体形成)。得られた二塩基性混合物を室温で一晩撹拌し、次いで水酸化ナトリウム(水中30%)(34.1g、255.8ミリモル)を20分間にわたって添加し、薄層の形成(オレンジ油)を生じた。混合物を35〜40℃にて30分間撹拌し、次いで層を分離させ、水層及びオレンジ色の中間層を除去した。次いでトルエン層を37%の水性塩酸(3.60g、36.5ミリモル)と水(60.4g)の混合物を用いて室温にて抽出した。水層(4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒドを含有)を更に精製も生成物単離も行うことなく、次の工程を使用した。
【0198】
工程B:
清浄な反応器において、メタ重硫酸ナトリウム(4.87g、25.6ミリモル)及び3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2−ジアミン・1.5HCl(4.87g、25.6ミリモル)を水(64.9g)中でスラリー化させた。37%の水性塩酸(3.61g、36.5ミリモル)を添加した。次いで得られた混合物に上記工程Aにて製造された水層溶液を室温で9分間にわたって添加した(わずかに発熱)。次いで得られた混合物を55〜65℃に加熱し、この温度で2〜3時間維持した(開放反応器、空気からのO2)。反応完了時(HPLCにより決定される)、得られた混合物を室温まで冷却し、濾過して、沈殿した不溶性の塩を除去した。
【0199】
工程C
炭酸カリウム(25.3g、183.0ミリモル)を水(100.0g)中に室温にて溶解させ、2−メチルテトラヒドロフラン(9.0g)を添加し、次いで工程Bにて製造された濾液を60分間にわたって滴下し、所望の生成物の沈殿を生じた。得られた懸濁液を室温にて一晩撹拌し、沈殿物を濾過により単離し、水(60.5g)で洗浄し、黄色固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0200】
実施例10:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0201】
【化30】

【0202】
工程A:
4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド(4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルボニトリルからRaneyニッケルを用いる還元により製造)(20.0g、72.4ミリモル)を水(60.0g)中で室温にて懸濁させた。塩酸(水中37%)を固体が完全に溶解するまで滴下した(10.0g、101.5ミリモル)。
【0203】
工程B:
次いで1Lの反応器に亜硫酸ナトリウム(9.15g、72.6ミリモル)及び3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2−ジアミン・2HCl(15.2g、72.7ミリモル)を充填した。固体を水(120.0g)中にて室温でスラリー化し、塩酸(水中37%、4.25g、43.1ミリモル)を添加し、続いて水(20.0g)を添加した。得られた混合物を約5分間撹拌し、次いで45〜50℃に加熱した。工程Aにて製造された溶液を2回で40分かけて添加し、得られた混合物を55〜62℃にて2時間20分間撹拌した(開放反応器、空気からのO2)。次いで得られた混合物を45℃に冷却し、水酸化ナトリウム(水中30%)(11.5g、86.3ミリモル)、続いて2−メチルテトラヒドロフラン(200.0g)を添加した。pHを水酸化ナトリウム(水中30%)(27.3g、204.8ミリモル)で調節した後、得られた二相の混合物を45〜52℃にて25分間撹拌した。得られた相を分離させ、水層を除去した。有機層に水(100.0g)を添加し、得られた混合物を45〜52℃にて20分間撹拌した。得られた相を再び分離させ、水層を除去した。有機層にシクロヘキサン(122.0g)を50℃にて約60分間にわたって滴下した添加完了後、得られた混合物を徐々に室温まで冷却し、その間に自発的に結晶化が進んだ。得られた混合物を0℃にて2時間維持し、固体を濾過により単離し、シクロヘキサン(61.0g)で洗浄し、65℃にて減圧下で乾燥させて、淡黄色固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0204】
実施例11:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン
【0205】
【化31】

【0206】
工程A:
4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド(4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルボニトリルからRaneyニッケルによる還元により製造)(22.5g、81.4ミリモル)を水(67.7g)中で室温にて懸濁させた。塩酸(水中37%)(9.67g、98.1ミリモル)を固体が完全に溶解するまで滴下した。
【0207】
工程B:
500mLの反応器に亜硫酸ナトリウム(10.30g、81.8ミリモル)及び3,5−ジメチル−ベンゼン−1,2−ジアミン・2HCl(17.10g、81.7ミリモル)を充填した。固体を水(135.6g)中にて室温でスラリー化し、水(21.6g)中の塩酸(水中37%)(6.40g、64.9ミリモル)を添加した。得られた混合物を45〜50℃に20分加熱した。次いで得られた混合物に工程Aにて製造された溶液を30分間にわたって滴下した。次いで得られた混合物を60℃に2.5時間加熱した(開放反応器、空気からのO2)。反応完了時(HPLCによりモニターした)、得られた混合物を濾過して、沈殿した不溶性の塩を除去した。
【0208】
工程C:
清浄な500mL反応器にて、炭酸カリウム(56.27g、407.2ミリモル)を水(202.5g)中に溶解させ、次いで2−メチルテトラヒドロフラン(20.3g)を室温で添加した。上記工程Bにあるように製造された濾液を次いで2時間にわたって滴下した。得られた黄色がかった懸濁液を室温で一晩撹拌し、得られた沈殿を濾過により単離し、水で洗浄した。
【0209】
次いで反応器に湿った生成物/沈殿(49.26g)及び2−メチルテトラヒドロフラン(200.0g)を充填し、得られた混合物を50℃に加熱し、固体を溶解させた。得られた溶液を水(それぞれ40.0g、40.5g)中、水酸化ナトリウム(水中30%)(それぞれ7.58g、60.6ミリモル、及び、7.56、60.8ミリモル)混合物で45〜55℃にて2回、及び水(40.1g)で1回洗浄した。水層を除去した後、シクロヘキサン(135.0g)を50℃にて50分かけて滴下し、その間に、自発的な結晶化が観察された。次いで得られた混合物を徐々に冷却し、次いで0℃にて1時間維持した。沈殿を濾過により単離し、シクロヘキサン(60.0g)で洗浄し、65℃で減圧乾燥して、淡黄色固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0210】
実施例12:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレート
2Lの反応器に[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン(200.0g、486ミリモル)を窒素雰囲気下で充填した。変性エタノール(770.0g)、続いてイソプロパノール(230g)を添加し、得られた混合物を45℃に加熱し、透明黄色溶液を生ぜせしめた。この溶液に変性エタノール(294.0g)中のL−(+)酒石酸(36.5g、243ミリモル)溶液を40〜50℃にて70分間かけて添加した。得られた溶液を40〜50℃にて75分間維持し、その間結晶化が生じているのが観察された。得られた懸濁液を15℃まで徐々に冷却し、この温度を一晩維持し、次いで0℃まで更に冷却した。0℃にて3時間15分後、沈殿としての表題化合物を濾過により単離し、冷変性エタノール(400g)で洗浄し、45℃にて減圧乾燥して、わずかに黄色の結晶性固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0211】
実施例13:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレート
[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミン(4.6g、10.8ミリモル)を40〜50℃にて変性エタノール(24.3g)中に溶解した。シクロヘキサン(15.6g)を添加し、得られた混合物を常圧にて還流温度に加熱し、溶媒を蒸留させた。共沸蒸留を還流温度が75℃に到達するまで継続した。蒸留後、変性エタノール(12.5g)を添加し、得られた溶液を40〜50℃にて撹拌した。変性エタノール(6.7g)中のL−(+)酒石酸(0.80g、5.4ミリモル)溶液を45分かけて添加し、得られた混合物を40〜50℃にて40分間維持し、次いで所望のヘミタートレートの結晶を種結晶として添加した。得られた低濃度懸濁液を40〜50℃にて4時間維持し、次いで徐々に室温まで冷却し、室温にて一晩維持した。次いで得られた混合物を0℃まで30〜60分間冷却し、得られた沈殿を濾過し、冷変性エタノール(10.0g)で2回に分けて洗浄し、40〜50℃にて減圧乾燥することにより、白色の結晶性固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0212】
実施例14:[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンのヘミタートレートの再結晶
500mLの反応器に[5−(4,6−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−4−メチル−ピリミジン−2−イル]−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピル]−アミンヘミタートレート(24.0g、25.7ミリモル)及びメタノール(63.0g)を充填した。得られた混合物を全ての固体が溶解するのが観察されるまで50℃まで15分間加温した。次いで変性エタノール(105.0g)を添加し、得られた溶液を濾過し(50℃にて)、残存粒子を除去した。濾液を還流温度まで一時的に加熱し、次いで約60℃まで冷却した後、所望のヘミタートレートの結晶を種結晶として添加した。得られた混合物を結晶化のために次の温度プロファイルに供した:60℃で1時間、40℃まで2時間にわたって冷却、50℃まで1時間にわたって加熱、30℃まで2時間にわたって冷却、40℃まで1時間にわたって加熱、20℃まで2時間にわたって冷却、30℃まで1時間にわたって加熱、10℃まで2時間にわたって冷却、20℃まで1時間にわたって加熱、次いで0℃まで2時間にわたって冷却。得られた懸濁液を0℃にて7時間維持し、次いで得られた固体沈殿を吸引濾過により単離し、変性エタノール(3×30.0g)で洗浄し、40℃で減圧乾燥して、白色の結晶性固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0213】
実施例15:4−メチル−2−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−プロピルアミノ]−ピリミジン−5−カルバルデヒド
【0214】
【化32】

【0215】
次の手順は、表題化合物の製造の方策を表す。表題化合物を以下に詳述される方策に従って数回製造した。
【0216】
室温にて容器にギ酸(800mL)及び4−メチル−2−(3−(1−メチルピペリジン−4−イル)プロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(100g)を充填し、得られた混合物を撹拌して、透明の溶液を生ぜせしめ、次いで10〜15℃に冷却した。水(200mL)を添加し、得られた混合物を−2℃〜0℃に冷却した。得られた混合物に、次いでRANEY(登録商標)ニッケル(160g)を添加し、−2℃〜0℃の温度を維持し、次いでこの温度で2〜3時間撹拌した。得られた混合物を、次いで濾過し、RANEY(登録商標)ニッケルを除去し、濾過ケークを水(100mL)で洗浄した。濾液を0〜5℃に冷却し、次いで水(3.0L)中50%の炭酸ナトリウム溶液で徐々に処理して、溶液のpHをpH約10に調節した。トルエン(400mL)を添加し、得られた混合物を室温で約30分間撹拌し、次いで約1時間沈降させた。得られた相を分離し、水層をトルエン(400mL×2)で洗浄した。合わせ、洗浄したトルエン層を55〜60℃にて蒸留し、トルエンを除去して、表題化合物を油状残渣として生ぜせしめた。
【0217】
残渣にヘキサン(100mL)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌し、次いで減圧下で蒸留して残渣を生ぜせしめた。この残渣にヘキサン(200mL)を添加し、得られた混合物を10〜15℃に冷却し、次いでこの温度で1時間撹拌し、沈殿の生成を得た。得られた混合物を濾過し、濾過ケークをヘキサン(50mL)で洗浄し、次いで減圧下でまず乾燥させ、次いでエアオーブンにて30〜35℃にて乾燥させ、白色から淡黄色の固体として表題化合物を生ぜせしめた。
【0218】
実施例16−経口製剤
経口組成物の特定の実施形態として、実施例1で製造した化合物100mgを十分な微粉乳糖と共に処方し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセル剤を満たした。
【0219】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

式中、
1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、フェニル、−CF3、−OCF3,−CN、ハロ、−NO2、−OC1〜4アルキル、−SC1〜4アルキル、−S(O)C1〜4アルキル、−SO21〜4アルキル、−C(O)C1〜4アルキル、−C(O)フェニル、−C(O)NRab、−CO21〜4アルキル、−CO2H、−C(O)NRab、及び−NRabからなる群から選択され、ここでRa及びRbはそれぞれ独立にH、C1〜4アルキル、及びC3〜7シクロアルキルからなる群から選択され、
1はC−RCであり、ここでRcはH、メチル、ヒドロキシメチル、ジメチルアミノメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、−CF3、シクロプロピル、及びシクロブチルからなる群から選択され、
2はNであり、
nは1又は2であり、
ZはN、CH、及びC(C1〜4アルキル)からなる群から選択され、
6はH、C1〜6アルキル、及び単環式シクロアルキルからなる群から選択され、
8はH及びC1〜4アルキルからなる群から選択され、
9、R10及びR11はそれぞれ独立にH及びC1〜4アルキルからなる群から選択される、
の化合物又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【化2】

溶媒中、約0℃〜約25℃の範囲内の温度にて、式(V)の化合物を還元剤系と反応させて、式(VI)の化合物を生ぜしめ;そして
【化3】

酸化剤系の存在下、溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI)の化合物を式(VII)の化合物と反応させることを含んでなる方法。
【請求項2】
式(I−A)
【化4】

の化合物、又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【化5】

溶媒中、約0℃〜約25℃の範囲内の温度にて、式(V−S)の化合物を還元剤系と反応させて、式(VI−S)の化合物を生ぜしめ;そして
【化6】

酸化剤系の存在下、溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI−S)の化合物を式(VII−A)の化合物と反応させて、式(I−A)の化合物を生ぜしめることを含んでなる方法。
【請求項3】
前記還元剤系がDiabl−H、及びRANEY(登録商標)ニッケルと水素供給源からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元剤系がDIBAL−Hであり、ここで前記DIBAL−Hが約1.0〜約5.0モル当量の範囲内の量で存在し、式(V−S)の化合物の前記反応の際の前記溶媒が無水トルエン及び無水THFからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記DIBAL−Hが約2.5モル当量の量で存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記還元剤系がRANEY(登録商標)ニッケルと水素供給源であり、ここで前記水素供給源がギ酸であり、式(V−S)の化合物の前記反応の際の前記溶媒が水である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記RANEY(登録商標)ニッケルが約200重量%の量で存在し、前記ギ酸が過剰量で存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(V−S)の化合物を約5〜約25℃の温度で前記還元剤系と反応させる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
式(VII−A)の化合物がその対応する遊離塩基として存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
式(VII−A)の化合物が約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
式(VII−A)の化合物が約1.0〜約1.1モル当量の範囲内の量で存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化剤系がNa225/空気及びNa2SO3/空気からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化剤又は酸化剤系が約0.90〜約1.5モル当量の範囲内の量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化剤系が約1.0モル当量の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式(VI−S)の化合物を式(VII−A)の化合物と水中で反応させる、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
式(VI−S)の化合物を、約55℃〜約65℃の範囲の温度にて、式(VII−A)の化合物と反応させる、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
式(I−B)
【化7】

の化合物、又はその製薬上許容し得る塩、若しくは製薬上許容し得るプロドラッグ、若しくは製薬上活性な代謝産物を製造する方法であって、
【化8】

溶媒中、約0℃〜約25℃の範囲内の温度にて、式(V−S)の化合物を還元剤系と反応させて、式(VI−S)の化合物を生ぜしめ;そして
【化9】

酸化剤系の存在下、溶媒中、約25℃〜約100℃の範囲内の温度にて、式(VI−S)の化合物を式(VII−B)の化合物と反応させて、式(I−B)の化合物を生ぜしめることを含んでなる方法。
【請求項18】
前記還元剤系がDIBAL−H、及びRANEY(登録商標)ニッケルと水素供給源からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記還元剤系がDIBAL−Hであり、ここで前記DIBAL−Hが約1.0〜約5.0モル当量の範囲内の量で存在し、式(V−S)の化合物の前記反応の際の前記溶媒が無水THF及び無水トルエンからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記DIBAL−Hが約2.5モル当量の量で存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
還元剤系がRANEY(登録商標)ニッケルと水素供給源であり、ここで前記水素供給源がギ酸であり、式(V−S)の化合物の前記反応の際の前記溶媒が水である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記RANEY(登録商標)ニッケルが約20重量%の量で存在し、前記ギ酸が過剰量で存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式(V−S)の化合物を約5℃〜約25℃の温度で前記還元剤系と反応させる、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
式(VII−B)の化合物がその対応する遊離塩基として存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
式(VII−B)の化合物が約1.0〜約1.25モル当量の範囲内の量で存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
式(VII−B)の化合物が約1.0〜約1.1モル当量の範囲内の量で存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記酸化剤系がNa225/空気及びNa2SO3/空気からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記酸化剤系が約0.90〜約1.5モル当量の範囲内の量で存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記酸化剤系が約1.0モル当量の量で存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
式(VI−S)の化合物を式(VII−B)の化合物と水中で反応させる、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
式(VI−S)の化合物を、約55℃〜約65℃の範囲内の温度にて、式(VII−B)の化合物と反応させる、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
式(I−A)
【化10】

の化合物の結晶性ヘミタートレート。
【請求項33】
式(I−A)
【化11】

の化合物の結晶性ヘミタートレートであって、
その粉末X線回折スペクトルが次の粉末X線回折ピーク:
【表1】

を含んでなるヘミタートレート。
【請求項34】
式(I−A)
【化12】

の化合物のヘミタートレートを製造する方法であって、
式(I−A)の化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を生成せしめ;
前記溶液を約35℃〜約還流温度の範囲内の第1の温度に加熱し;
L−酒石酸を添加してタートレート溶液を生成せしめ;そして
前記タートレート溶液を約50℃〜約還流温度の範囲内の第2の温度に加熱して、加熱された混合物を生成せしめる、
ことを含んでなる方法。
【請求項35】
前記第1の温度への前記加熱が約50℃である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記L−酒石酸を約0.5モル当量の量で添加する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の温度が約70℃〜約75℃の温度である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記加熱された混合物を約0℃〜約−5℃の範囲内の温度に冷却することを更に含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
式(I−A)
【化13】

の化合物のヘミタートレートの再結晶方法であって、
式(I−A)の化合物の前記ヘミタートレートを水及び有機溶媒の混合物中、又は有機溶媒の混合物中に溶解させ、そして
十分な量の水を除去して、沸点が約78℃〜約80℃の混合物を得る
ことを含んでなる方法。
【請求項40】
式(I−A)の化合物の前記ヘミタートレートを、次の混合物:水と変性エタノールの混合物、及びメタノールと変性エタノールの混合物のうちの1つに溶解する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式(I−A)の化合物の前記ヘミタートレートを水及び変性エタノールの混合物に溶解し、前記混合物中の前記水が約1重量%〜約1.5重量%の量で存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記水が約1.4重量%の量で存在する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記溶解を水と有機溶媒の混合物中で行い、前記水と有機溶媒の混合物中の式(I−A)の化合物の前記ヘミタートレートを加熱して、水を共沸的に除去することを更に含んでなる、請求項39に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−526911(P2011−526911A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516759(P2011−516759)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/049033
【国際公開番号】WO2010/002777
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】