説明

ベーンポンプ用ロータの研削方法および研削装置

【課題】ロータに形成するスリットの精度が高く、しかも、生産性の高いベーンポンプ用ロータの研削方法および研削装置を提供する。
【解決手段】NC加工機10でロータRを回転自在に支持する。レーザーデジタル測定機20によりスリットの下溝R1の幅よりも広い帯状のレーザー21を下溝R1に平行に照射する。該下溝R1を通過するレーザー21の通過範囲を測定し、該レーザー21の通過範囲がレーザー21の帯状の中央位置になるよう下溝R1の溝幅の芯を割出す。ロータR全周の各下溝R1の芯を割出した夫々の角度をNCデータとして記憶する。該NCデータに基づいて下溝R1の芯に対して左右同一の削り代でスリットを研削する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用の各種設備や車両のパワーステアリング等に用いられるベーンポンプ用ロータのスリットを研削するのに好適なベーンポンプ用ロータの研削方法および研削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベーンポンプは、略板状のベーンを摺動可能に収納するスリットを放射方向に形成したロータを有するもので、ロータの外側にカムリングを配すると共に、ロータの各スリット内にベーンを装着し、このロータの回転によりポンプ作用を行うものである。すなわち、ロータが回転すると、略板状のベーンは、ロータから半径方向に突出し、この先端がカムリングの内周面を接触しながら摺動する。このとき、カムリングの内周面は、略楕円形状を成しているため、カムリング内周面とロータの外周面とベーンとで囲まれた部屋の容積がロータの回転に伴い拡大、縮小する。そして、この部屋の側面の容積が拡大していく位置に液体の吸込口を設け、容積が縮小していく位置に液体の吐出口を設けることで、ロータの回転によるポンプ作用を行うものである。したがって、ベーンポンプは、車両のパワーステアリング等にとって極めて重要な部品になっている。
【0003】
特許文献1に記載のベーンポンプのロータは次のように製作されている。すなわち、ロータ素材には、ベーンを収納するスリットの下溝や、スリット底部の丸穴および回転軸に嵌合するスプライン穴が同時に成形される。ここでスリット下溝の溝幅寸法は、後に行うスリット研削加工での取りしろを見込んでスリットの最終寸法より小さな寸法に成形される。そして、この下溝を仕上げ寸法幅の砥石により底部丸穴まで突っ切るように研削加工してスリットを最終寸法に仕上げるものである。
【0004】
ところが、特許文献1の製造方法では、仕上げ寸法に極めて近い状態の下溝に砥石を挿入してスリットを成形するため、スリットの精度はこの下溝に依存することになり、下溝の角度が正確でない場合は、スリット精度にも誤差が生じることになる。
【0005】
そこで、当出願人は先に、ロータの中心からの各下溝の角度を画像処理で測定して溝加工する研削方法及び装置を提案している(特許文献2)。この研削方法では、素材の溝幅割付を前工程で画像処理により計測し、その補正値をNCインデックスにフィードバックすると共に、NCインデックス上に移動したロータのスリットを研削加工するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−239871号公報
【特許文献2】特許第4320678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の研削方法及び装置により、従来に比べてスリットの精度を高めることができた。ところが、ロータの下溝を計測した後、補正値をNCインデックスにフィードバックし、計測用の回転台からロータを研削用の固定台までロータを移動する工程が必要になるため、下溝測定から研削加工までに多くの時間を要する不都合があった。
【0008】
しかも、カメラを用いた画像処理では、カメラの解像度や照明の条件などで補正値の精度が影響される。特に、スリットの下溝を計測する際に、レンズに写り込んだ全ての下溝を一度で測定するため、スリットに撮影用の照明を当てたときに、僅か一部にでも乱反射や影等が生じるような場合は、この乱反射した光や影がカメラの測定を妨げる不都合もある。
【0009】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、ロータに形成するスリットの精度が高く、しかも、下溝の測定からスリットを最終寸法に仕上げるまでの加工時間を短縮することができ、生産性の高いベーンポンプ用ロータの研削方法および研削装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成すべく本発明の第1の手段の研削方法は、ベーンポンプ用ロータRに形成された下溝R1に沿ってベーン収納用のスリットを研削するベーンポンプ用ロータの研削方法であって、NC加工機10に設置されたパルスモータ12を介してロータRを回転自在に支持し、レーザーデジタル測定機20によりスリットの下溝R1の幅よりも広い帯状のレーザー21を下溝R1に平行に照射し、該下溝R1を通過するレーザー21の通過範囲を測定して下溝R1がレーザー21の測定幅の中央に位置するようにパルスモータ12を回転させて下溝R1の割付角度を割出し各下溝R1夫々の割付角度をNCデータとして記憶し、該NCデータに基づいて下溝R1に対して左右同一の削り代でベーン収納用のスリットを研削する研削方法にある。
【0011】
第2の手段は、前記ベーンポンプ用ロータの研削方法において、前記NC加工機10に装着されたコレットチャック装置30に前記ロータRを回転自在に支持するロータ支持工程100と、該ロータRの外周囲に形成された下溝R1に前記レーザーデジタル測定機20のレーザー21を照射すると共に、コレットチャック装置30に連動する前記パルスモータ12の回転操作で下溝R1の割付角度を割出す割出工程200と、ロータR全周の各下溝R1の芯を割出した夫々の割付角度をNCデータとして記憶する角度記憶工程300と、コレットチャック装置30をロータRごと移動して該ロータRの下溝R1を研削位置まで移動する移動工程400と、研削位置でロータRの下溝R1を前記NCデータに基づいて割付角度に調整した後、該ロータRを固定し、前記研削砥石14にて前記スリットを研削加工する研削工程500と、からなる。
【0012】
第3の手段は、ベーンポンプ用のロータRに形成された下溝R1に沿ってベーン収納用のスリットを研削するベーンポンプ用ロータの研削装置であって、NC加工機10の回転盤13上に装着したコレットチャック装置30と、該コレットチャック装置30に回転自在に固定されたロータRの下溝R1にレーザー21を照射し、該下溝R1の割付角度を割出すレーザーデジタル測定機20と、コレットチャック装置30に連動し、コレットチャック装置30に支持したロータRを回転させてロータR全周の下溝R1の割付角度をNCデータとしてフィードバックするパルスモータ12と、ベッド11上に配設され、ロータRをコレットチャック装置30ごと移動して該ロータRを研削位置に設置する回転盤13と、NCデータに基づいて割付角度に調整された下溝R1に対して左右同一の削り代で研削加工する研削砥石14と、を有する研削装置にある。
【0013】
第4の手段において、前記回転盤13はNC加工機10のベッド11に設けられ、該回転盤13に一対のコレットチャック装置30が前後を逆にして平行に装着され、一方のコレットチャック装置30の先端にロータRを着脱せしめるように設置された着脱装置40と、他方のコレットチャック装置30の先端に装着されているロータRを研削する前記研削砥石14とが回転盤13を挟んだ両側に配設され、該回転盤13が回転することでロータRの研削と着脱とを同時に行うように構成されている。
【0014】
第5の手段として、前記研削砥石14はCBN砥石を使用し、該研削砥石14の研削幅を整える幅ドレス装置15と、研削砥石14の外周を整える外周ドレス16とを備えたことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1、3により、ロータRに予め設けられた下溝R1に対して左右同一の削り代でスリットを研削加工するので、極めて正確なスリットを研削することができる。
【0016】
請求項2に記載の各工程により、コレットチャック装置30にロータを装着し、チャック後測定に入るので測定の誤差がない。したがって、NC加工機10を利用した合理的な研削加工が可能になった。
【0017】
請求項4の回転盤13と着脱装置40とにより、回転盤13が回転することでロータRの研削工程と着脱工程とを同時に行うことが可能になり、ロータRの加工能率を高めることができる。
【0018】
請求項5によると、スリットの幅を1.0mm以下に設定した場合でも精度の高い研削加工が可能になった。
【0019】
このように本発明によると、ロータに形成するスリットの精度が高く、しかも、下溝の測定からスリットを最終寸法に仕上げるまでの加工時間を短縮することができ、生産性を高めることができるなどといった有益な種々の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明装置でロータの下溝の位置を計測する状態を示す図である。
【図2】本発明装置で下溝の割付角度を計測する状態を示す図である。
【図3】本発明装置で下溝の割付角度を計測する原理図である。
【図4】本発明装置の研削砥石で下溝を研削する状態を示す図である。
【図5】本発明装置を示す概略平面図である。
【図6】本発明装置を示す概略正面図である。
【図7】本発明装置を示す概略側面図である。
【図8】本発明方法を示す工程図である。
【図9】本発明方法における作業順序を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によると、レーザーデジタル測定機20によりスリットの下溝R1の幅よりも広い帯状のレーザー21を下溝R1に平行に照射し、該下溝R1を通過するレーザー21の通過範囲を測定すると共に、該レーザー21の通過範囲がレーザー21の帯状の中央位置になるようにロータRを回転させることで下溝R1の割付角度を割出すと共に、この下溝R1に対して左右同一の削り代でスリットを研削加工することで、スリットの精度が極めて高いロータRを提供することを可能にしたものである。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を図示例に基づいて説明する。本発明研削装置の基本構成は、NC加工機10、レーザーデジタル測定機20、コレットチャック装置30、着脱装置40によって構成される。
【0023】
NC加工機10は、そのベッド11上にコレットチャック装置30を装着すると共に、パルスモータ12、回転盤13、研削砥石14などを備えた装置である(図6参照)。このNC加工機10では、コレットチャック装置30にて支持したロータRの下溝R1の割付角度を、レーザーデジタル測定機20とパルスモータ12とにより測定してNCデータとし、このNCデータをパルスモータ12にフィードバックして研削砥石14にてロータRを研削する。
【0024】
コレットチャック装置30は、ロータRの軸孔R2にコレット31を挿入して拡開させることでロータRを着脱自在に支持する装置である(図1参照)。このコレット31はパルスモータ12に連動するもので、支持したロータRをパルスモータ12で回転さる。
【0025】
レーザーデジタル測定機20は、投光機22から受光機23に帯状のレーザー21を照射するもので、コレットチャック装置30に回転自在に固定されたロータRの下溝R1にこのレーザー21を照射して下溝R1の割付角度を割出す測定機である(図2参照)。このレーザー21は、スリットの下溝R1の幅よりも広い幅を有し、下溝R1に平行に照射する(図3参照)。そして、下溝R1を通過するレーザー21の通過範囲を測定して下溝R1がレーザー21の測定幅の中央に位置するようにパルスモータ12を回転させることで、下溝R1の割付角度を割出すものである(図2参照)。このようにレーザーデジタル測定機20で測定した各下溝R1の夫々の割付角度をNCデータとして記憶し、研削工程時にパルスモータ12にフィードバックする。レーザーデジタル測定機20として、例えばGreenLEDとテレセントリックレンズを使用した市販のデジタル寸法測定器などが適当であるが、他のレーザーデジタル測定機20の使用も可能である。
【0026】
下溝R1の研削時には、ベッド11の回転盤13を回転させることで、下溝R1の割付角度測定位置にあるコレットチャック装置30を、ロータRごと移動して該ロータRを研削位置に設置する(図5参照)。この回転盤13は、NC加工機10のベッド11上に設けられており、この回転盤13に一対のコレットチャック装置30が前後を逆にして平行に装着している。そして、一方のコレットチャック装置30に支持したロータRの近傍には、レーザーデジタル測定機20と、コレット31にロータRを着脱せしめる着脱装置40とが配置されている。図示例の着脱装置40は、研削済みのロータRをコレット31から取り外して研削済トレイ41に収納すると共に、未研削トレイ42からロータRを拾い出してコレット31に装着するように構成されている。
【0027】
また、他方のコレットチャック装置30のコレット31に装着されているロータRを研削する位置に研削砥石14が配置されている(図5参照)。これらの着脱装置40と研削砥石14とは、回転盤13を挟んだ両側に配設されている。そして、該回転盤13が回転すると、研削前のロータRが研削位置に移動して研削され、既にスリットが研削されたロータRは着脱装置40がわに移動してコレット31からロータRが外されて未研削のロータRに交換されるものである。
【0028】
研削砥石14は、コレット31に固定したロータRの下溝R1に対して左右同一の削り代でスリットを研削加工する。そのため、NCデータに基づき、パルスモータ12にてコレット31に支持されたロータRを回転させ、ロータRの下溝R1を割付角度にセットする。このとき、コレット31に支持したロータRは、そのままでは研削時にブレが生じるおそれがある。そこで、コレット31に支持されたロータRを強力に固定するために、ロータRの側面をコレットチャック装置30方向に圧着するクランプ装置50を設けている(図1、図5参照)。図1のクランプ装置50は、便宜上、レーザーデジタル測定機20と併記しているが、実際は、図5に示す如く、研削砥石14の研削位置に配置されている。このクランプ装置50は、下溝R1の割付角度を検出する場合はロータRから離れた位置にあり、研削砥石14でロータRを研削する場合にロータRを圧着するものである。
【0029】
この研削砥石14にCBN製のロータリー砥石を使用することで、スリットの溝幅を1.00mm以下に加工することが可能である。図示の研削砥石14は、NC加工機10のベッド11上に研削砥石14を配置し、研削砥石14を回転させてロータR方向に上下にスライド移動せしめる(図6参照)。そして、下溝R1に対して左右同一の削り代でベーン収納用のスリットを研削する(図4参照)。
【0030】
この研削砥石14の近傍には、該研削砥石14の研削幅を整える幅ドレス装置15が設置されており、NCテーブル装置43にスライド自在に装着している(図5参照)。この幅ドレス装置15は、特にCBN砥石の研削精度を上げるもので、新しい研削砥石14をセットした際に、この幅ドレス装置15が研削砥石14の幅をスリットの研削幅に整えるものである。したがって、この幅ドレス装置15は、研削砥石14を交換するたびに使用するものである。
【0031】
また、研削砥石14の上方には、研削砥石14の外周を整える外周ドレス16を備えている(図6参照)。この外周ドレス16は、研削砥石14の外周精度を高めるもので、前記幅ドレス装置15と組み合わせることで、常に正確なスリットを研削加工することができる(図7参照)。
【0032】
次に、本発明装置を使用した研削方法を説明する。本発明研削方法は次の五つの工程からなるものである。すなわち、支持工程100、割出工程200、角度記憶工程300、移動工程400、研削工程500である(図8参照)。
【0033】
支持工程100は、NC加工機10に装着されたコレットチャック装置30に前記ロータRを回転自在に支持する工程である。この工程では、着脱装置40を使用してコレットチャック装置30のコレット31に未研削のロータRを装着する(図5参照)。
【0034】
割出工程200は、ロータRの外周囲に形成された下溝R1に前記レーザーデジタル測定機20のレーザー21を照射し、コレットチャック装置30に連動する前記パルスモータ12の回転操作で下溝R1の割付角度を割出すものである(図1参照)。このとき、パルスモータ12を介してロータRを回転自在に支持し、レーザーデジタル測定機20によりスリットの下溝R1の幅よりも広い帯状のレーザー21を下溝R1に平行に照射する。そして、下溝R1を通過するレーザー21の通過範囲を測定して下溝R1がレーザー21の測定幅の中央に位置するようにパルスモータ12を回転させることで、下溝R1の割付角度を割出すものである(図2参照)。
【0035】
角度記憶工程300は、ロータR全周の各下溝R1の芯を割出した夫々の割付角度をNCデータとしてNC加工機10が記憶する。
【0036】
移動工程400は、コレットチャック装置30をロータRごと移動して該ロータRの下溝R1を研削位置まで移動する工程である。この場合、ベッド11に設けた回転盤13を使用することで、パルスモータ12を備えたコレットチャック装置30をロータRごと移動するものである(図5、図7参照)。
【0037】
研削工程500は、研削位置でロータRの下溝R1を前記NCデータに基づいて割付角度に調整した後、該ロータRを固定し、前記研削砥石14にて前記スリットを研削加工する工程である。すなわち、コレットチャック装置30ごとロータRのスリット加工部分を研削砥石14側に向けてセットし、この状態でスリットを研削加工する(図5参照)。このとき、NCデータに基づいて下溝R1に対して左右同一の削り代でベーン収納用のスリットを研削するものである。
【0038】
このように、本発明における研削方法は、NC加工機10に設置されたパルスモータ12を介してロータRを回転自在に支持し、レーザーデジタル測定機20によりスリットの下溝R1の幅よりも広い帯状のレーザー21を下溝R1に平行に照射し、該下溝R1を通過するレーザー21の通過範囲を測定して下溝R1がレーザー21の測定幅の中央に位置するようにパルスモータ12を回転させて下溝R1の割付角度を割出し、各下溝R1夫々の割付角度をNCデータとして記憶し、該NCデータに基づいて下溝R1に対して左右同一の削り代でベーン収納用のスリットを研削することにある(図9参照)。
【0039】
尚、本発明装置において、NC加工機10、レーザーデジタル測定機20、コレットチャック装置30、着脱装置40、クランプ装置50等の設計変更は自由であり、各装置の仕様や装着位置等は本発明の要旨を変更しない範囲で任意に変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の実施例は、産業用の各種設備や車両のパワーステアリング等に用いられるベーンポンプ用のロータRとして説明しているが、他のロータや部品のスリットを研削する方法や装置としても利用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
R ロータ
R1 下溝
10 NC加工機
11 ベッド
12 パルスモータ
13 回転盤
14 研削砥石
15 幅ドレス装置
16 外周ドレス
20 レーザーデジタル測定機
21 レーザー
22 投光機
23 受光機
30 コレットチャック装置
31 コレット
40 着脱装置
41 研削済トレイ
42 未研削トレイ
43 NCテーブル装置
50 クランプ装置
100 支持工程
200 割出工程
300 角度記憶工程
400 移動工程
500 研削工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーンポンプ用ロータに形成された下溝に沿ってベーン収納用のスリットを研削するベーンポンプ用ロータの研削方法であって、
NC加工機に設置されたパルスモータを介してロータを回転自在に支持し、
レーザーデジタル測定機によりスリットの下溝の幅よりも広い帯状のレーザーを下溝に平行に照射し、
該下溝を通過するレーザーの通過範囲を測定して下溝がレーザーの測定幅の中央に位置するようにパルスモータを回転させて下溝の割付角度を割出し各下溝夫々の割付角度をNCデータとして記憶し、
該NCデータに基づいて下溝に対して左右同一の削り代でベーン収納用のスリットを研削することを特徴とするベーンポンプ用ロータの研削方法。
【請求項2】
前記ベーンポンプ用ロータの研削方法において、
前記NC加工機に装着されたコレットチャック装置に前記ロータを回転自在に支持するロータ支持工程と、
該ロータの外周囲に形成された下溝に前記レーザーデジタル測定機のレーザーを照射すると共に、コレットチャック装置に連動する前記パルスモータの回転操作で下溝の割付角度を割出す割出工程と、
ロータ全周の各下溝の芯を割出した夫々の割付角度をNCデータとして記憶する角度記憶工程と、
コレットチャック装置をロータごと移動して該ロータの下溝を研削位置まで移動する移動工程と、
研削位置でロータの下溝を前記NCデータに基づいて割付角度に調整した後、該ロータを固定し、前記研削砥石にて前記スリットを研削加工する研削工程と、からなる請求項1記載のベーンポンプ用ロータの研削方法。
【請求項3】
ベーンポンプ用のロータに形成された下溝に沿ってベーン収納用のスリットを研削するベーンポンプ用ロータの研削装置であって、
NC加工機の回転盤上に装着したコレットチャック装置と、
該コレットチャック装置に回転自在に固定されたロータの下溝にレーザーを照射し、該下溝の割付角度を割出すレーザーデジタル測定機と、
コレットチャック装置に連動し、コレットチャック装置に支持したロータを回転させてロータ全周の下溝の割付角度をNCデータとしてフィードバックするパルスモータと、
ベッド上に配設され、ロータをコレットチャック装置ごと移動して該ロータを研削位置に設置する回転盤と、
NCデータに基づいて割付角度に調整された下溝に対して左右同一の削り代で研削加工する研削砥石と、を有することを特徴とするベーンポンプ用ロータの研削装置。
【請求項4】
前記回転盤はNC加工機のベッドに設けられ、該回転盤に一対のコレットチャック装置が前後を逆にして平行に装着され、一方のコレットチャック装置の先端にロータを着脱せしめるように設置された着脱装置と、他方のコレットチャック装置の先端に装着されているロータを研削する前記研削砥石とが回転盤を挟んだ両側に配設され、該回転盤が回転することでロータの研削と着脱とを同時に行うように構成された請求項3記載のベーンポンプ用ロータの研削装置。
【請求項5】
前記研削砥石はCBN砥石を使用し、該研削砥石の研削幅を整える幅ドレス装置と、研削砥石の外周を整える外周ドレスとを備えた請求項3記載のベーンポンプ用ロータの研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−212830(P2011−212830A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86121(P2010−86121)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(597167243)エフメック有限会社 (2)
【Fターム(参考)】