説明

ペットロボット

【課題】
自律動作可能な愛玩・擬似飼育用ペットロボットを、ペットロボットの元来有する機能を活用しつつ最低限の新たな機能付加によって、遠隔地からの独居老人等擬似飼育者に対する安否確認・およびその結果の通報を簡易に且つ正確に行えるようにする。
【解決手段】
ペットロボット側からペットロボット擬似飼育者に対して何らかの動作要求を行い、前記動作要求に対して擬似飼育者が予め定められている応答動作を正しく行うか否かをペットロボット側で検知して擬似飼育者の安否判定を行い、判定結果を付加内蔵した通信機能によって予め定められている通報先に通報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独居老人等の安否確認を定期的に行い、その結果を遠隔地の保護者等に通報するペットロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
独居老人等の孤独を癒す手段の一つとしてペットロボットがある。従来のペットロボットで高度なものは、各種センサ群、各種出力機能およびアクチュエータ群、演算制御用プロセッサ等を有し、自動玩具としての自律動作・擬似成長動作等が可能である。
【特許文献1】特開2001−353679
【特許文献2】特開2002−307354
【特許文献3】特開2002−321180
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ペットロボットを単なる擬似ペットとして機能させるだけでなく、その有する各種センサ群、各種アクチュエータ群を含む出力・駆動機能、および演算制御機能、を有効活用するとともに通信機能を付加し、独居老人等の安否確認およびその結果の遠隔地に住む保護者等への通報を簡易に且つ正確に行えるようにしようとするものである。
【0004】
即ち、ペットロボットの擬似飼育者である独居老人等被観察者の安否確認のため、予め定められている動作要求をペットロボット側から擬似飼育者に対して行い、その動作要求に対して擬似飼育者が予め定められている反応動作を正しく行うか否かをペットロボットに内蔵されている各種センサ群で観察・検知し、正しい反応動作が行われた場合は擬似飼育者は正常に生活していると、また正しい反応動作が行われなかった場合は何らかの異常があると、各々判定してその判定結果を内蔵する通信機能を用いて所定の通報先に自動通報する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マイクロフォン、カメラ、接触センサ等の各種センサ群からなる入力部、音声出力部・表示出力部および各種アクチュエータ群からなる出力・駆動部、および演算制御部等から構成されるペットロボット制御系に、遠隔地との通信用に携帯電話機等の内蔵通信機能を付加する。
【0006】
前記内蔵通信機能に遠隔地から動作要求信号を送る。前記動作要求信号を受けたペットロボットは擬似飼育者に対して動作要求、たとえばペットロボットが犬型ロボットの場合は「吼え声を2度発生する」等の動作、を行う。この動作要求を受けた擬似飼育者は前記動作要求に対応して予め定められているペットロボット側で正確に検知しやすく且つ正常な擬似飼育者であれば簡単に行える動作、例えば「ペットロボットの頭を3度撫でる」動作を行う。この動作をペットロボット頭部に設けられている接触センサで所定時間内に検知したペットロボットは擬似飼育者の反応動作が正常であるとして予め設定されている通報先にその旨を通報する。また擬似飼育者の反応動作が所定時間内に正しく行われなかった場合には予め設定されている通報先に異常である旨の通報を行う。
【0007】
ここで前記動作要求は、必ずしも通信で送られてくる信号によって行う必要はない。ペットロボットに内蔵されている時計が予め設定されている時刻になったとき、あるいは前回の動作要求後一定時間T経過したとき、に動作要求を行うこともできる。
【0008】
また動作要求の形態は必ずしも1種類である必要はなく、例えば「吼え声を2度発生させる」、「頭を3回上下させる」、「尻尾を左右に4回振る」等の3種類の動作要求形態およびそれらの各々の動作要求形態に対応してペットロボット側で観察・検知しやすく且つ正常擬似飼育者であれば容易に行える3種類の応答動作形態例えば「ペットロボットの頭を3度撫でる」、「名前を呼ぶ」、「背中を2回撫でる」等を定めておき、前記3種の動作要求をランダムにあるいは順次にペットロボットから擬似飼育者に行い、その動作要求に対応した反応動作を各種センサ群で観察・検知することによって擬似飼育者の正常/異常即ち安否を判定することも可能である。
【0009】
また上記においては、「装置側から被観察者に対して何らかの動作要求を行い、前記動作要求に対して被観察者が予め定められている応答動作を正しく行うか否かを装置側で検知・判定し、その結果を観察者あるいはその他の予め定められている通報先に通報する」という基本的考え方をペットロボットに適用した場合について説明したが、前記基本的考え方に基づいた安否確認・通報装置であれば、必ずしもロボットの形態・機能を有しなくてもよいことは言うまでもない。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたごとく本発明によりペットロボットは、ペットロボットの従来有する機能を有効に利用しつつ必要最小限のハードウエア、ソフトウエアの追加・修正により、ペットロボット擬似飼育者である被観察者の安否の確認・通報機能を付加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
安否確認のためのペットロボット側から被観察者である擬似飼育者への動作要求はペットロボットが擬似飼育者に対して通常行う動作の一部であって被観察者にとって検知しやすい動作であること、また被観察者の反応動作は通常の擬似飼育者がペットロボットを愛玩する動作の一部であるとともにペットロボット側でその反応動作を容易に正確に検知・判定できるものであることが望ましい。このように設定することによってペットロボットによる擬似飼育者の安否確認が違和感なく自然に且つ正確に行うことができることになる。
【実施例1】
【0012】
以下に本発明の実施例を示す。図1はペットロボット制御系の構成例、図2は図1に示すペットロボット制御系構成例において擬似飼育者への動作要求指示および動作要求指示にたいする擬似飼育者反応動作の観察・検知・判定・通報制御の動作手順即ち安否確認・通報動作手順の概略である。
【0013】
図1において、
110は、ROM112に記憶されているプログラム、およびRAM113に記憶されているデータ、によってペットロボット全体動作のための演算制御を行うCPU111、で構成される演算制御部、
120は、周辺の音声をピックアップするマイクロフォン121、周辺の画像を取り込むカメラ122、ペットロボットへの接触を検知する接触センサ123、およびその他のセンサ群即ちセンサA124、センサB125、・・・から構成される入力部、
【0014】
130は、前記演算制御部110の制御により外部に向けて音声を出力する音声出力部131、表示出力する表示出力部132、およびペットロボットの各部を駆動するアクチュエータ群即ちアクチュエータA133、アクチュエータB134、アクチュエータC135,・・・から構成される出力・駆動部、
【0015】
140は、内蔵携帯電話機141で構成され、前記演算制御部110の制御によって外部との通信を行う通信部、
150は、時刻を知るための時計151、リスタートしてからの経過時間を知るためのタイマ152で構成される時計部、
である。
【0016】
ペットロボットの制御系は前記演算制御部110、入力部120、出力・駆動部130、通信部140、および時計部150で構成される。
また161は、前記内蔵携帯電話機141との通信を行う外部携帯電話機である。
【0017】
図2において、
201は、図1に示すペットロボット制御系において擬似飼育者の安否確認機能の処理手順開始点、
202は、外部携帯電話機161から内蔵携帯電話機141に対しての動作要求指示の有無を判定する動作要求指示有無判定処理であり、動作要求指示があれば次の処理として処理204に、動作要求指示が無い場合は処理203に移る。
【0018】
203は、外部からの通信による動作要求がない場合でも現在時刻が動作要求を行うべき時刻か否かを図1中の時計151の時刻から判定する時刻判定処理であり、動作要求を行うべき所定の時刻である場合は次の処理として処理204に、所定時刻でない場合は処理202に移る、
204は、擬似飼育者に対して動作要求を行うのに先立って何種類かある動作要求中どの動作要求を行うかを選択して後動作要求を行う動作要求選択・出力処理、
【0019】
205は、動作要求した後の時間経過を知るための図1中のタイマ152をリスタートさせるタイマリスタート処理、
206は、ペットロボットが出力した動作要求に対して擬似飼育者のペットロボットへの反応動作を観察・検知する擬似飼育者反応動作検知処理、
【0020】
207は、検知した反応動作が予め定められている正常動作か否かを判定する反応動作正常判定処理であり、正常動作の場合は、処理209で正常判定処理をおこなう。また正常動作でない場合は処理208に移る。
208は、図1中のタイマ152で計数中の時間が予め設定されている許容時間Tを超えたか否かを判定する経過時間判定処理であり、時間T以内である場合は未だ正常動作途中である可能性があるとして処理206に戻る。また時間Tを超えた場合には、処理211に移り異常判定処理を行う。
【0021】
210は、正常判定処理209を経て図1中の内蔵携帯電話141から予め定められている外部の通報先へ被観察者は正常である旨を通報する正常通報処理であり、この処理後処理202に戻る。
212は、異常判定処理211の後図1中の内蔵携帯電話141から予め定められている外部の通報先へ被観察者が異常である恐れがある旨を通報する異常通報処理であり、この処理後処理202に戻る。
【0022】
以上の如くペットロボットを構成・動作させることにより、ペットロボットから擬似飼育者への動作要求に擬似飼育者が正常に反応動作するか否かによってペットロボット擬似飼育者である独居老人等被観察者の安否を簡易にまた正確に確認・通報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるペットロボット制御系の一構成例
【図2】図1のペットロボット制御系構成例における安否確認・通報処理手順例
【符号の説明】
【0024】
図1において、
110:演算制御部
111:CPU
112:ROM
113:RAM
120:入力部
121:マイクロフォン
122:カメラ
123:接触センサ
124:センサA
125:センサB
130:出力・駆動部
131:音声出力部
132:表示出力部
133:アクチュエータA
134:アクチュエータB
135:アクチュエータC
140:通信部
141:内蔵携帯電話機
150:時計部
151:時計
152:タイマ
161:外部携帯電話機
【0025】
図2において、
201:処理手順開始点
202:動作要求指示有無判定処理
203:時刻判定処理
204:動作要求選択・出力処理
205:タイマリスタート処理
206:擬似飼育者反応動作検知処理
207:反応動作正常判定処理
208:経過時間判定処理
209:正常判定処理
210:正常通報処理
211:異常判定処理
212:異常通報処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観察者である擬似飼育者に対して何らかの動作要求を行い、前記動作要求に対して擬似飼育者が予め定められている応答動作を正しく行うか否かを検知・判定し、その結果を予め定められている通報先に通報することを特徴とする安否確認・通報機能を持ったペットロボット。
【請求項2】
動作要求は複数種類有り、その各々の動作要求に対応して擬似飼育者に要求される応答動作が各々個別に定められていることを特徴とする請求項1記載のペットロボット。
【請求項3】
擬似飼育者に対する動作要求は外部からの通信による指示によって、あるいは予め定められた時刻に、行われることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のペットロボット。
【請求項4】
装置側から被観察者に対して何らかの動作要求を行い、前記動作要求に対して被観察者が予め定められている応答動作を正しく行うか否かを装置側で検知・判定し、その結果を観察者あるいはその他の予め定められている通報先に通報することを特徴とする安否確認・通報装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−61916(P2007−61916A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246910(P2005−246910)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(301001199)
【Fターム(参考)】