説明

ペプチドナノ粒子およびその使用

本発明は、1つまたは複数のペプチドを含むナノ粒子組成物を提供する。本発明は、ペプチドの改変、または皮膚の化学的もしくは機械的な磨耗または崩壊の使用を必要とすることなく、そうしたペプチドの経皮的送達を実現する。本発明は、皮膚(表皮および真皮を含む)、皮下組織(脂肪組織を含む)および隣接筋肉において生物学的活性物質である非改変短鎖ペプチド(2〜30アミノ酸長)を組み込んだナノ粒子について説明する。本発明は、非改変ペプチドを経皮的に送達するためのシステムおよび組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年12月1日に出願された、米国仮特許出願第60/872,206号(「‘206出願」)に対して、米国特許法§119(e)の下、優先権を主張する。この「‘206出願」の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ペプチドは、皮膚に対して有益な化粧効果や治療効果を有することが示されている。実験的モデルでは、短鎖ペプチド(最大で30アミノ酸長)は皮膚の細胞外マトリックスにおけるコラーゲン成長を刺激することが示されており、これは皮膚の外観を改善し、また損傷を受けた皮膚の治癒をさらに改善することができる(非特許文献1;これを参照により本明細書に組み込む)。改変ペプチドは、しわの形成の一因となる皮膚の下の筋肉での筋肉収縮に影響を及ぼす酵素を調節することによって、しわを目立たなくすることも示されている(非特許文献2;これを参照により本明細書に組み込む)。
【0003】
しかし、ヒトにおけるこれらのペプチドの可能な化粧効果および治療効果を具現化する際の主な問題は、外皮障壁(角質層)を横切って生物学的に作用する部位、例えば細胞外マトリックスまたは下にある筋肉にペプチドを経皮的に送達することである(非特許文献3;これを参照により本明細書に組み込む)。ヒトにおけるペプチドの経皮的送達を実現するためには、ペプチドを、これらに限定されないが、アセチルおよび/またはパルミトイル基などの化学的部分を付加することによって化学的に改変しなければならない(Robinsonら、上記)。高価でかつ時間がかかるためそうした化学的改変は不利であり、そのことは、これらのペプチドを含む製品の商業的生産に悪影響を及ぼしている。ペプチドの化学的改変は、生物学的活性の細胞受容体部位で結合するその能力を低下させ(例えば、立体障害によって)、それによって効果を小さくすることにより、ペプチドの生物学的活性を低下させる恐れもある。生物学的に効果の小さいペプチドは、化粧または治療上の目的のためにも効果の小さいものとなる。生物学的に効果の小さいペプチドは、所望の生物学的効果を達成するために(その効果があり得たとして)、比較的、高レベルの投与が必要になり、これは製品の商業的生産のためにはコスト的に不利になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Katayamaら、1993年、J. Biol. Chem.、268:9941頁
【非特許文献2】Lupo、2005年、Dermatol. Surg.、31:832頁
【非特許文献3】Robinsonら、2005年、International J.Cosmetic Science 27:155頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、皮膚(表皮および真皮を含む)、皮下組織(脂肪組織を含む)および隣接筋肉において生物学的活性物質である非改変短鎖ペプチド(2〜30アミノ酸長)を組み込んだナノ粒子について説明する。
【0006】
本発明のナノ粒子は対象の皮膚に塗布することができる。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は組み込まれたペプチドの対象への経皮的送達を実現する。
【0007】
本発明のナノ粒子は、単純な懸濁液または分散液として、または1つもしくは複数の賦形剤と混合して皮膚に塗布することができ、これらに限定されないが、皮膚軟化剤、栄養ローション、クレンジンローション、クレンジングクリーム、乳液、エモリエントローション、マッサージ用クリーム、エモリエントクリーム、メークアップベース、口紅、フェイシャルパックまたはフェイシャルゲル、洗剤配合品(例えば、シャンプー、リンス、ボディクリーナー、ヘアートニックおよびせっけん)および皮膚用組成物(例えば、ローション剤、軟膏、ゲル剤、クリーム剤、パッチおよび噴霧剤)などの処方物として調製することができる。
【0008】
したがって、本発明は、非改変ペプチドを経皮的に送達するためのシステムおよび組成物を提供する。本発明の多くの利点の中には、注入を要せず、さらに、皮膚の機械的もしくは化学的な磨耗または変更を必要とすることなくペプチドを送達できることがある。他の利点には、非改変ペプチドを利用し、それによって本発明の化粧品および/または医薬品の製造を簡略化し、そのコストを低減させ、さらにはペプチドの生物学的活性を保存することができるということが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ペプチドナノ粒子で処理したマウスの組織学的分析である。マッソンのトリクロム染色により染色した皮膚組織を示す顕微鏡写真である。平均の組織学的スコアは、対照グループ(ペンタペプチドを有していないナノ粒子処方物)において、可能な4のうちの2.33であった。平均の組織学的スコアは、治療グループ(ペンタペプチドを有するナノ粒子処方物)において、可能な4のうちの3.67であった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
磨耗:本明細書で用いる「磨耗」という用語は、皮膚の最上層を改変、崩壊、除去または破壊させる任意の手段を指す。いくつかの実施形態では、磨耗は、皮膚の最上層を改変、崩壊、除去または破壊する機械的手段を指す。いくつかの実施形態では、磨耗は、皮膚の最上層を改変、崩壊、除去または破壊する化学的手段を指す。その例を若干示すと、剥離剤(exfoliant)、微粒子(例えば、マグネシウムまたはアルミニウム粒子)、酸(例えば、α−ヒドロキシ酸またはβ−ヒドロキシ酸)、アルコールなどの薬剤は、磨耗を引き起こすことができる。一般に、例えば、Donovan(例えば、米国特許公開番号2004/009180および同2005/175636ならびにPCT特許公開WO04/06954;そのすべてを参照により本明細書に組み込む)およびGraham(例えば、米国特許第6,939,852号および米国特許公開番号2006/093624;その両方を参照により本明細書に組み込む)等に記載されているものなどの浸透促進剤は磨耗を引き起こすことが考えられる。もちろん、当業者は、ある特定の薬剤は、1つの濃度で存在するか、または1つもしくは複数の他の薬剤と共に存在する場合、磨耗を引き起こすことができるが、異なる環境下では磨耗を引き起こすことができないことを理解されよう。したがって、特定の材料が「磨耗剤」であるかないかは状況に依存することになる。当業者は磨耗を容易に評価することができる。例えば、皮膚の赤みまたは炎症の観察、および/または角質層の改変、崩壊、除去または浸食を示す皮膚の組織学的検査によって評価することができる。
【0011】
アミノ酸:本明細書で用いる「アミノ酸」という用語は、その最も広い意味において、ポリペプチド鎖に取り込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸は一般構造式HN−C(H)(R)−COOHを有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は天然由来のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は合成アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はD−アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はL−アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然由来のペプチド中に通常認められる20の標準L−アミノ酸のいずれかを指す。「非標準アミノ酸」は、合成によって調製されるか天然資源から得られるかに関係なく、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。ペプチド中のカルボキシ末端および/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、および/またはその活性に悪影響を及ぼすことなく、ペプチドの循環半減期を変えることができる他の化学基での置き換えによって改変させることができる。しかし、本明細書で述べるように、本発明は、経皮的送達を容易にするかまたは達成するための化学的改変を受けていないペプチドを意味する「非改変ペプチド」を特に対象とする。アミノ酸はジスルフィド結合に関与することができる。「アミノ酸」という用語は「アミノ酸残基」と互換的に用いられ、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指すことができる。それが遊離アミノ酸を指すかまたはペプチドの残基を指すかどうかは、その用語が用いられている文脈から明らかであろう。
【0012】
動物:本明細書で用いる「動物」という用語は動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は任意の発達段階にあるヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」はヒト以外の任意の発達段階の動物を指す。特定の実施形態では、ヒト以外の動物は哺乳動物(例えば、齧歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類および/またはブタ)である。いくつかの実施形態では、動物には、これらに限定されないが、哺乳動物、鳥類、は虫類、両生類、魚類および/または虫が含まれる。いくつかの実施形態では、動物はトランスジェニック動物、遺伝子操作を受けた動物および/またはクローンであってもよい。
【0013】
おおよそ:1つまたは複数の所定の値に適用される、本明細書での「おおよそ」または「約」という用語は、言及された参照値と近似した値を指す。特定の実施形態では、「おおよそ」または「約」は、別段の指定がないか、あるいは文脈から明らかでない限り(そうした数が、可能な値の100%を超える場合を除いて)、両方向に(それより大きいかまたは小さい)、言及された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれより少ない範囲内に包含される範囲の値を指す。
【0014】
生物学的活性物質:本明細書で用いる「生物学的活性物質」という語句は、生物系および/または有機体において活性を有する任意の物質を指す。例えば、有機体に投与した場合、その有機体に対して生物学的作用を有する物質は生物学的に活性であると見なされる。具体的な実施形態では、タンパク質またはポリペプチドが生物学的に活性である場合、タンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を共有する、そのタンパク質またはポリペプチドの一部は一般に、「生物学的に活性な」部分であると称される。
【0015】
ボツリヌス毒素:本明細書で用いる「ボツリヌス毒素」という用語は、ボツリヌス菌(Clostridium botulism)によって生成される任意の神経毒を指す。別段の指定のない限り、この用語は、適切な活性(例えば、筋弛緩作用)を保持するそうした神経毒の断片または部分(例えば、軽鎖および/または重鎖)を包含する。本明細書で用いる「ボツリヌス毒素」という語句は、ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、FおよびGを包含する。本明細書で用いるボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素複合体(すなわち、例えば300、600および900kDの複合体)ならびに精製された(すなわち、例えば単離された)ボツリヌス毒素(すなわち、例えば約150kD)の両方も包含する。「精製されたボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体のタンパク質を含む他のタンパク質から単離されているか、または実質的に単離されているボツリヌス毒素と定義する。精製された毒素は、95%を超える純度、好ましくは99%を超える純度であってよい。当業者は、本発明が、なんらかの特定の供給源のボツリヌス毒素に限定されないことを理解されよう。例えば、本発明で用いるボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌から単離されたものでも、化学的に合成されたものでも、また、組換え技術によって生成された(すなわち、ボツリヌス菌以外の宿主細胞または有機体中で)もの等でもよい。
【0016】
特徴的部分:本明細書で用いる、ある物質の「特徴的部分」という語句は、最も広い意味で、ある程度の配列および/または構造的同一性および/または少なくとも1つの機能的特徴を、対応するもとのままの(intact)物質と共有するものである。例えば、タンパク質またはポリペプチドの「特徴的部分」は、一続きの連続するアミノ酸、または一続きの連続するアミノ酸の集合体を含むものであり、それが合わせてタンパク質またはポリペプチドの特徴である。いくつかの実施形態では、そうしたそれぞれの連続する一続きは一般に、少なくとも2、5、10、15、20個またはそれ以上のアミノ酸を含む。一般に、特徴的部分は、上記に規定した配列同一性に加えて、対応するもとのままのタンパク質と少なくとも1つの機能的特徴を共有するものである。いくつかの実施形態では、特徴的部分は生物学的に活性であってよい。
【0017】
親水性:本明細書で用いる「親水性」物質は極性溶媒に可溶性の物質である。いくつかの実施形態では、親水性物質は一時的に極性溶媒と結合することができる。いくつかの実施形態では、親水性物質は一時的に水素結合で極性溶媒と結合することができる。いくつかの実施形態では、極性溶媒は水である。いくつかの実施形態では、親水性物質はイオン性であってよい。いくつかの実施形態では、親水性物質は非イオン性であってよい。いくつかの実施形態では、親水性物質は、オイル、非極性溶媒または疎水性溶媒より、水、極性溶媒または親水性溶媒に容易に溶解することができる。いくつかの実施形態では、親水性物質は、オイル、非極性溶媒または疎水性溶媒中には、水、極性溶媒または親水性溶媒中ほどは容易には溶解しない。いくつかの実施形態では、それが他の物質より水、極性溶媒または親水性溶媒中により可溶性であるため、ある物質は別の物質と比べて親水性である。いくつかの実施形態では、それが他の物質ほど、オイル、非極性溶媒または疎水性溶媒中に可溶性ではないため、ある物質は別の物質と比べて親水性である。
【0018】
疎水性:本明細書で用いる「疎水性」物質は非極性溶媒中に可溶性の物質である。いくつかの実施形態では、疎水性物質は極性溶媒からはじかれる。いくつかの実施形態では、極性溶媒は水である。いくつかの実施形態では、疎水性物質は非極性である。いくつかの実施形態では、疎水性物質は、水、極性溶媒または親水性溶媒より、オイル、非極性溶媒または疎水性溶媒に容易に溶解することができる。いくつかの実施形態では、疎水性物質は、水、極性溶媒または親水性溶媒中には、オイル、非極性溶媒または疎水性溶媒ほど容易には溶解しない。いくつかの実施形態では、それが他の物質よりオイル、非極性溶媒または疎水性溶媒中により可溶性であるため、ある物質は別の物質と比べて疎水性である。いくつかの実施形態では、それが他の物質ほど水、極性溶媒または親水性溶媒中に可溶性ではないため、ある物質は別の物質と比べて疎水性である。
【0019】
〜と共に(in conjunction with):本明細書で用いる「〜と共に送達する」という語句は、2つ以上の物質または薬剤を同時に送達することを指す。具体的には、本発明によれば、本明細書ではこの語句を、本発明の生物学的活性物質をナノ粒子および/またはナノ粒子組成物と一緒に送達する関連で用いる。物質または薬剤は、その物質または薬剤がナノ粒子および/またはナノ粒子組成物と一緒にされているか;ナノ粒子に封入されているかまたはナノ粒子によって完全に取り囲まれているか;ナノ粒子ミセル膜中に埋め込まれているか;かつ/またはナノ粒子ミセル膜の外表面と会合している場合に、ナノ粒子と共に送達される。ナノ粒子および/またはナノ粒子組成物と共に送達される物質または薬剤は、ナノ粒子および/またはナノ粒子組成物と共有結合的に結合していてもいなくてもよい。本発明のナノ粒子および/またはナノ粒子組成物と共に送達される物質または薬剤は、吸着力でナノ粒子および/またはナノ粒子組成物と結合していてもいなくてもよい。
【0020】
単離された:本明細書で用いる「単離された」という用語は、(1)最初に生成された際(本来的に、かつ/または実験装置で)にそれと一緒になっている成分の少なくとも一部から分離され、かつ/または(2)人の手によって、作製、調製および/または製造された物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、最初にそれと一緒になっている他の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%またはそれ以上から分離することができる。いくつかの実施形態では、単離された物質および/または実体は90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%を超える純度である。
【0021】
マイクロ流動化された:本明細書で用いる「マイクロ流動化された」という用語は、高いせん断力にさらすことを意味する。いくつかの実施形態では、高いせん断力へのそうした曝露は高圧への曝露によって達成される。いくつかの実施形態では、そうした高圧は約15,000〜約26,000psiの範囲内である。いくつかの実施形態では、高いせん断力へのそうした曝露はキャビテーションによって達成される。いくつかの実施形態では、高いせん断力へのそうした曝露は、試料を、例えばMicrofluidizer(登録商標)(Microfluidics Corporation/MFIC Corporation)、または均一なナノ粒子組成物を生成させるのに有用な他の類似の装置などの機器に通すことによって達成される。本発明のいくつかの実施形態では、試料を、約10分間未満の期間、高いせん断力にさらすことによってマイクロ流動化させる。いくつかの実施形態では、その期間は約9、8、7、6、5、4、3、2または1分間未満である。いくつかの実施形態では、その期間は約1〜2分間の範囲内である。いくつかの実施形態では、その期間は約30秒間である。本発明のいくつかの実施形態では、高いせん断力に1回さらすことによって、試料を「マイクロ流動化する」。そうした実施形態は、「1回パス」マイクロ流動化と称される。
【0022】
ナノ粒子:本明細書で用いる「ナノ粒子」という用語は、1000nm(nm)未満の直径を有する任意の粒子を指す。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、米国国立科学財団(National Science Foundation)による定義で300nm未満の直径を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)による定義で100nm未満の直径を有する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、それが、ミセル膜によってバルク溶液から分離されている密封された区画を含むという点でミセルである。「ミセル膜」は、空間または区画を取り囲み密封する(例えば、内腔を画定する)ように凝集した両親媒性実体を含む。
【0023】
ナノ粒子組成物:本明細書で用いる「ナノ粒子組成物」という用語は、少なくとも1つのナノ粒子を含む任意の物質を指す。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物はナノ粒子の均一な集合体である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は分散液またはエマルジョンである。一般に、分散液またはエマルジョンは、少なくとも2つの非混和性材料が混合されたときに形成される。「水中油型」分散液は、その中で油性粒子(または疎水性もしくは非極性)が水性分散媒体中に分散されているものである。「油中水型」分散液は、その中で水性(または親水性もしくは極性)粒子が油性分散媒体中に分散されているものである。分散液は、2つの任意の非混和性媒体から形成させることができ、厳密には水性媒体と油性媒体の組合せに限定されないことを当業者は理解されよう。したがって「分散媒体」という用語は、それが一般に「水性」および「油性」カテゴリーを指すにもかかわらず、任意の分散媒体に広く適用される。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物はナノエマルジョンである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物はミセルを含む。いくつかの特定の実施形態では、ナノ粒子組成物は、2007年11月30日出願のPCT出願番号PCT/US07/ 、表題「AMPHIPHILIC ENTITY NANOPARTICLES」(これを参照により本明細書に組み込む)に記載されている両親媒性実体ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は安定である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、ナノ粒子と共に送達される1種または複数の生物学的活性物質を含む。
【0024】
栄養補給物質:本明細書で用いる「栄養補給物質」という用語は、医学的、健康面での利益または生物学的利益を提供すると考えられる任意の物質を指す。いくつかの実施形態では、栄養補給物質は病気を予防する。いくつかの実施形態では、栄養補給物質は基礎的な栄養価を与えることができる。いくつかの実施形態では、栄養補給物質は食品、または食品の一部である。いくつかの実施形態では、栄養補給物質は、単離された栄養物類、栄養補助食品、ビタミン、ミネラル、ハーブ、強化食品、治療用食品(healing food)、遺伝子組換え食品および加工食品の部類であってよい。栄養補給物質は「ファイトケミカル食品」または「機能性食品」としても知られている。
【0025】
プレミックス:本明細書で用いる「プレミックス」という用語は、その後で本発明によるナノ粒子組成物を生成させるのに使用される成分の任意の組合せである。例えば、プレミックスは、高いせん断力にかけられた場合、本発明によるナノ粒子を生成させる成分の任意の集合体である。いくつかの実施形態では、プレミックスは2つ以上の非混和性溶媒を含む。いくつかの実施形態では、プレミックスは、自己集合してナノ粒子になる成分を含む。いくつかの実施形態では、プレミックスは、自己集合してミセルになる成分を含む。いくつかの実施形態では、プレミックスは、2007年11月30日出願のPCT出願番号PCT/US07/ 、表題「AMPHIPHILIC ENTITY NANOPARTICLES」(これを参照により本明細書に組み込む)に記載されているような1種または複数の両親媒性エンティティを含む。いくつかの実施形態では、プレミックスは1種または複数の非改変ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、プレミックスは少なくとも1つの他の生物学的活性物質を含む。いくつかの実施形態では、プレミックスを、かき混ぜ、混合しかつ/または攪拌する。いくつかの実施形態では、プレミックスを、高いせん断力にかけられる前に、かき混ぜ、混合しかつ/または攪拌する。いくつかの実施形態では、プレミックスは、少なくとも1つの可溶化成分(すなわち、溶液中にある少なくとも1つの成分)を含む。いくつかのそうした実施形態では、そうした可溶化が達成された後に、プレミックスを高いせん断力にさらす。
【0026】
純粋:本明細書で用いるように、ある物質および/または実体が他の成分を実質的に含有しなければ、それは「純粋」である。例えば、特定の物質および/または実体を、約90%を超えて含む調製物は一般に、純粋な調製物であると考えられる。いくつかの実施形態では、物質および/または実体は少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の純度である。
【0027】
せん断力:本明細書で用いる「せん断力」という用語は、材料の面に対して垂直な力に対向する、材料の面に対して平行な力を指す。いくつかの実施形態では、均一なナノ粒子組成物を生成させるために、組成物を高いせん断力にさらす。高いせん断力を発生させるためには、当業界で知られている任意の方法を用いることができる。いくつかの実施形態では、高いせん断力を発生させるためにキャビテーションが用いられる。いくつかの実施形態では、高いせん断力を発生させるために高圧均質化が用いられる。それに代えるかまたはそれに加えて、高圧、例えば約15,000psiにかけて高いせん断力を施すことができる。いくつかの実施形態では、そうした高圧は約18,000〜約26,000psiの範囲内である。いくつかの実施形態では、それは約20,000〜約25,000psiの範囲内である。いくつかの実施形態では、Microfluidizer(登録商標)Processor(Microfluidics Corporation/MFIC Corporation)または同様の他の装置を用いて高いせん断力を発生させる。Microfluidizer(登録商標)処理装置はナノスケール領域まで微細化するために、高圧を提供し、高速(一般に50m/s〜300m/sの範囲)でマイクロチャンネル(一般に75ミクロンのオーダーの大きさを有する)を通して組成物を加速することによって、高いせん断速度をもたらす。流体はマイクロチャンネルを出る際にジェット流を形成し、このジェット流は、対向するマイクロチャンネルからのジェット流と衝突する。チャンネル内においてその流体は、従来技術より高い程度の高いせん断(最大で101/s)を受ける。ジェット流の衝突によってサブミクロンレベルでの混合がもたらされる。したがって、そうした装置においては、高いせん断および/または衝撃によって、粒子の微細化と多相の混合を実現することができる。本発明のいくつかの実施形態では、試料を、約10分間未満の期間高いせん断力にさらす。いくつかの実施形態では、その期間は約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2または約1分間未満である。いくつかの実施形態では、その期間は約1〜約2分間またはそれ以下の範囲内である。いくつかの実施形態では、その期間は約30秒間である。本発明のいくつかの実施形態では、試料は、高いせん断力への1回の曝露によって「マイクロ流動化」される。そうした実施形態を、本明細書では「1回パス」マイクロ流動化と称する。
【0028】
小分子:一般に、「小分子」は当業界では、約5キロダルトン(Kd)未満の大きさの有機分子と理解されている。いくつかの実施形態では、小分子は約3Kd、約2Kdまたは約1Kd未満である。いくつかの実施形態では、小分子は約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200Dまたは約100D未満である。いくつかの実施形態では、小分子は非重合体である。いくつかの実施形態では、小分子はタンパク質、ペプチドまたはアミノ酸ではない。いくつかの実施形態では、小分子は核酸またはヌクレオチドではない。いくつかの実施形態では、小分子は糖類または多糖類ではない。
【0029】
対象:本明細書で用いる「対象」または「患者」という用語は、例えば実験、診断、予防および/または治療の目的で、それに本発明の組成物を投与することができる任意の有機体を指す。典型的な対象には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類およびヒトなどの哺乳動物;昆虫;虫;等)が含まれる。
【0030】
実質的に:本明細書で用いる「実質的に」という用語は、全部かまたはほぼ全部の程度または度合いの所定の特徴または特性を示す定性的状態を指す。生物学的技術分野の技術者は、生物学的および化学的現象は、それが完了にまで至るか、かつ/または完全に進行するか、または絶対的結果に達するかもしくはそれを回避することは、仮にあったとしても、それが極めて稀であることを理解されよう。したがって、「実質的に」という用語は本明細書では、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如をとらえるために用いられる。
【0031】
安定な:「安定な」という用語は、本明細書でナノ粒子組成物に適用する場合、組成物が、ある期間にわたってその物理的構造の1つまたは複数の側面(例えば、粒子の粒径範囲および/または分布)を維持することを意味する。本発明のいくつかの実施形態では、安定なナノ粒子組成物は、平均粒子径、最大粒子径、粒子径の範囲および/または粒子径の分布(すなわち、指定された粒子径を超える粒子および/または指定された粒子径の範囲外にある粒子の割合)をある期間にわたって維持する組成物である。いくつかの実施形態では、その期間は少なくとも約1時間である。いくつかの実施形態では、その期間は約5時間、約10時間、約1日間、約1週間、約2週間、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約8カ月、約10カ月、約12カ月、約24カ月またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、その期間は、約1日〜約24カ月、約2週間〜約12カ月、約2カ月〜約5カ月等の範囲内である。例えば、ナノ粒子組成物を長期保存、温度変化および/またはpH変化にかけ、その集団中のナノ粒子の大部分が示された範囲内の直径(すなわち、例えば、約10nm〜120nm)を維持した場合、そのナノ粒子組成物は安定である。そうしたいくつかの集団について、大部分とは、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%、約99.9%超またはそれ以上のことである。本発明のいくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物が1種または複数の生物学的活性物質(例えば、非改変ペプチド)を含む場合、指定された期間にわたって、かつ指定された一連の条件下で、組成物中の生物学的活性物質の濃度が維持されれば、そのナノ粒子組成物は安定であると考えられる。
【0032】
実質的に含まない:その組成物中の約50%以下の粒子がある範囲外の直径を有する場合、本発明のナノ粒子組成物は、その直径が示された範囲外の粒子を「実質的に含まない」と称される。いくつかの実施形態では、25%以下の粒子はその範囲外である。いくつかの実施形態では、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%以下またはそれ以下の粒子は示された範囲外の直径を有する。
【0033】
患う:疾患、障害または状態(例えば、顔のしわ)を「患う」個体は、疾患、障害もしくは状態の症状を有すると診断されているか、またはそれを示す。
【0034】
治療有効量:本明細書で用いる「治療有効量」という用語は、疾患、障害および/または状態を患うかまたはそれに罹りやすい患者に投与した場合、その疾患、障害および/または状態を治療するのに十分な本発明のナノ粒子組成物の量を意味する。
【0035】
治療薬:本明細書で用いる「治療薬」という語句は、対象に投与した場合、治療効果を有するか、かつ/または所望の生物学的および/または薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。
【0036】
治療:本明細書で用いる「治療(treatment)」(さらには「治療する(treat)」または「治療する(treating)」)という用語は、特定の疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を、部分的にまたは完全に軽減する、改善する、生き返らせる、阻止する、その開始を遅延させる、その重篤度を軽減させる、かつ/またはその発生率を低減させる生物学的活性物質の任意の投与を指す。そうした治療は、関係する疾患、障害および/または状態の兆候を示さない対象の治療であっても、かつ/または疾患、障害および/または状態のごく初期の兆候を示す対象の治療であってもよい。それに代えるかまたはそれに加えて、そうした治療は、関係する疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の確定的な兆候を示す対象の治療であってもよい。
【0037】
有毒性溶媒:本明細書で用いる「有毒性溶媒」という用語は、動物の組織を改変、崩壊、除去または破壊させる恐れのある任意の物質を指す。当業者が理解されるように、動物の組織は、生きた細胞、死んだ細胞、細胞外マトリックス、細胞間結合(cellular junction)、生体分子等を含むことができる。若干例を挙げると、有毒性溶媒には、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトイミド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、テトラメチルホルアミド、アセトン、酢酸エステルおよびアルカリが含まれる。
【0038】
均一な:ナノ粒子組成物に関して本明細書で用いる場合、「均一な」という用語は、個々のナノ粒子が指定された範囲の粒子径サイズを有するナノ粒子組成物を指す。例えば、いくつかの実施形態では、均一なナノ粒子組成物は、最大直径と最小直径との間の差が約600、約550、約500、約450、約400、約350、約300、約250、約200、約150、約100、約90、約80、約70、約60、約50nmまたはそれ以下を超えない組成物である。いくつかの実施形態では、本発明の均一なナノ粒子組成物中の粒子(例えば、非改変ペプチドを含む粒子)は、約600、約550、約500、約450、約400、約350、約300、約250、約200、約150、約130、約120、約115、約110、約100、約90、約80nmより小さいまたはそれ以下の直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明の均一なナノ粒子組成物中の粒子(例えば、非改変ペプチドを含む粒子)は約10〜約600nmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明の均一なナノ粒子組成物中の粒子(例えば、非改変ペプチドを含む粒子)は、約10〜約300、約10〜約200、約10〜約150、約10〜約130、約10〜約120、約10〜約115、約10〜約110、約10〜約100または約10〜約90nmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明のボツリヌスナノ粒子組成物中の粒子(例えば、非改変ペプチドを含む粒子)は、約300、約250、約200、約150、約130、約120、約115、約110、約100または約90nmを下まわる平均粒子径を有する。いくつかの実施形態では、平均粒子径は約10〜約300、約50〜約250、約60〜約200、約65〜約150、約70〜約130nmの範囲内である。いくつかの実施形態では、平均粒子径は約80〜約110nmである。いくつかの実施形態では、平均粒子径は約90〜約100nmである。いくつかの実施形態では、本発明の均一なナノ粒子組成物中の粒子(例えば、非改変ペプチドを含む粒子)の大部分は、指定されたサイズを下まわるかまたは指定された範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、その大部分とは、組成物中に50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%を超えるかまたはそれ以上その粒子があることである。本発明のいくつかの実施形態では、均一なナノ粒子組成物は、試料をマイクロ流動化することによって実現される。本発明のいくつかの実施形態では、均一なナノ粒子組成物は高いせん断力にさらすことによって、例えばマイクロ流動化によって調製される。
【0039】
非改変ペプチド:本明細書で用いる「非改変ペプチド」という用語は、ペプチドの経皮的送達を達成するために他の共有結合した官能基を付加することによる化学的改変を受けていないペプチドを指す。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ペンダントアセチルおよび/またはパルミトイル基を付加する化学的改変を受けていない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、任意の官能性ペンダント基を付加する化学的改変を受けていない。
ナノ粒子
本明細書で論じるように、本発明は、1つまたは複数の非改変ペプチドを含むナノ粒子組成物を提供する。いくつかの実施形態では、そうしたナノ粒子組成物は、非改変ペプチドに加えて、1つまたは複数の生物学的活性物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、例えば医薬品または化粧品の調製において、1種または複数の他の成分と共に処方される。いくつかの実施形態では、そうした医薬品または化粧品調製物は、非改変ペプチド(および/または1つまたは複数の生物学的活性物質)の経皮的送達が実現されるように処方される。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は安定である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は均一である。
【0041】
いくつかの実施形態では、均一なナノ粒子組成物は、最小直径と最大直径とのその差が約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約400nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nmまたは約100nmを超えない粒子の集団を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は、約1000、約600、約550、約500、約450、約400、約350、約300、約250、約200、約150、約130、約120、約115、約110、約100、約90、約80、約50nmより小さいまたはそれ以下の直径を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は、1nm〜1000nm、1nm〜600nm、1nm〜500nm、1nm〜400nm、1nm〜300nm、1nm〜200nm、1nm〜150nm、1nm〜120nm、1nm〜100nm、1nm〜75nm、1nm〜50nmまたは1nm〜25nmの直径を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は、1nm〜15nm、15nm〜200nm、25nm〜200nm、50nm〜200nmまたは75nm〜200nmの直径を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、全粒子分布は指定された範囲内の粒子径サイズを包含する。いくつかの実施形態では、全粒子分布のうちの50%、25%、10%、5%または1%未満は、粒子径サイズの指定された範囲外にある。いくつかの実施形態では、全粒子分布の1%未満は、粒子径サイズの指定された範囲外にある。特定の実施形態では、ナノ粒子組成物は、300nm、250nm、200nm、150nm、120nm、100nm、75nm、50nmまたは25nmより大きい直径を有する粒子を実質的に含まない。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子は、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約130nm、約120nm、約115nm、約110nm、約100nm、約90nmまたは約50nmを下まわる平均粒子径を有する。いくつかの実施形態では、平均粒子径は約10nm〜約300nm、50nm〜約250nm、60nm〜約200nm、65nm〜約150nmまたは70nm〜約130nmの範囲内である。いくつかの実施形態では、平均粒子径は約80nm〜約110nmである。いくつかの実施形態では、平均粒子径は約90〜約100nmである。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は300nmを超える直径を有する粒子を実質的に含まない。具体的には、いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子の50%未満は300nmを超える直径を有する。いくつかの実施形態では、その粒子の25%未満は300nmを超える直径を有する。いくつかの実施形態では、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満またはそれ以下の粒子は300nmを超える直径を有する。さらに、いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子は10nm〜300nmの範囲内の直径を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は200nmを超える直径を有する粒子を実質的に含まない。具体的には、いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子の50%未満は200nmを超える直径を有する。いくつかの実施形態では、その粒子の25%未満は200nmを超える直径を有する。いくつかの実施形態では、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満またはそれ以下の粒子は、200nmを超える直径を有する。さらに、いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子は10nm〜200nmの範囲内の直径を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は、120nmを超える直径を有する粒子を実質的に含まない。具体的には、いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子の50%未満は120nmを超える直径を有する。いくつかの実施形態では、その粒子の25%未満は120nmを超える直径を有する。いくつかの実施形態では、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満またはそれ以下の粒子は、120nmを超える直径を有する。さらに、いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物中のナノ粒子は10nm〜120nmの範囲内の直径を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物中のナノ粒子の大部分は、指定されたサイズ未満かまたは指定された範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態では、大部分とは、組成物中の粒子の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%を超えるかまたはそれ以上ということである。
【0050】
ゼータ電位はせん断面での電位の大きさである。せん断面は、固体表面(例えば、本発明のナノ粒子の表面)との液境界の薄層を隔て、かつ、正常な粘性挙動を示す液体(例えば、液体分散媒体)による弾性的挙動を示す仮想表面である。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は−50mV〜+50mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は−25mV〜+25mVの範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子は−10mV〜+10mVの範囲のゼータ電位を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物はエマルジョンまたは分散液である。一般に、エマルジョンまたは分散液は少なくとも2つの非混和性材料から形成され、その1つは、粒子(例えば、「分散された媒体」を構成するナノ粒子)がその中に分散される分散媒体(すなわち、液媒体)を構成している。「水中油型」分散液は、油性粒子がその中で水性分散媒体中に分散されているものである。「油中水型」分散液は、水性粒子がその中で油性分散媒体中に分散されているものである。分散液は、2つの任意の非混和性媒体から形成させることができ、水性媒体と油性媒体の組合せに厳密に限定されないことを当業者は理解されよう。したがって、「分散媒体」という用語は、それが一般に「水性」および「油性」のカテゴリーを指すのが一般的であるのにもかかわらず、任意の分散媒体に広く適用される。例えば、エマルジョンまたは分散液は、そうした材料が厳密にいって「水性」であるか「油性」であるかに関係なく、疎水性/親水性材料;極性/非極性材料等からなる一連の非混和性材料から調製することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物はミセル構造(例えば、ナノ粒子はミセルである)を含む。いくつかの実施形態では、そうしたミセル構造は架橋されている。いくつかの実施形態では、そうしたミセル構造は架橋されていない。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は、一緒になった成分集合体から自己集合する。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は、成分の組合せ(すなわち、「プレミックス」)に高いせん断力をさらすことによって調製される。いくつかの実施形態では、高いせん断力は、高圧、キャビテーション、均質化および/またはマイクロ流動化によって施される。いくつかの実施形態では、一緒にしたナノ粒子形成成分を、かき混ぜ、攪拌し、あるいは混合する。いくつかのそうした実施形態では、成分を、混合した後に高いせん断力にさらす。いくつかの特定の実施形態では、混合を、例えば1時間未満、または5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15時間未満の期間かけて行うことができる。いくつかの実施形態では、可溶化が実施される。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物の製造は、例えば、任意の有機溶媒を除去するための成分集合体の透析、および/または組成物を作製するための凍結乾燥を含む。
【0055】
プレミックスを用いる本発明のいくつかの実施形態では、プレミックス成分は、高いせん断力をさらす前に集合して粒子になることを理解されたい。そうした粒子の少なくとも一部は微小粒子であってもナノ粒子であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は、懸濁液またはマイクロエマルジョンを含む群から選択されるプレミックスから調製する。しかし、いくつかの実施形態では、プレミックスにおいて、高いせん断力をさらす前に、粒子構造は形成されない。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、最終ナノ粒子組成物中に存在する成分のすべてがプレミックス中に存在し、高いせん断力にかけられてナノ粒子組成物を形成する。本発明のいくつかの実施形態では、最終ナノ粒子組成物中に存在する成分の1つまたは複数は、プレミックスからなくなるか、または最終ナノ粒子組成物中より少ない量でプレミックス中に存在する。すなわち、本発明のいくつかの実施形態では、プレミックスに高いせん断応力をかけた後に、1種または複数の材料をナノ粒子組成物に加える。
【0057】
本発明の特定の実施形態では、高いせん断力をさらす前に、プレミックスを溶液として調製する。具体的には、少なくとも1つの生物学的活性物質(例えば、非改変ペプチド)を含むナノ粒子組成物のためには、高いせん断応力をさらす前に、生物学的活性物質をプレミックス中に溶解させることがしばしば望ましい。したがって、多くの実施形態では、生物学的活性物質は、媒体の少なくとも1つ(または、プレミックスに用いられる媒体と共に)に可溶性である。本発明のいくつかの実施形態では、そうした溶解には加熱を必要とする。他の実施形態では、それを必要としない。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、1種もしくは複数の水性、極性または親水性の媒体、1種もしくは複数の油性、非極性もしくは疎水性の媒体、1種もしくは複数のミセル成分、1種もしくは複数の界面活性剤または乳化剤、1種もしくは複数の生物学的活性物質および/または1種もしくは放出遅延剤等を含む成分から調製される。
【0059】
当業者は、分散媒体として、または本発明によって分散される媒体として使用できる適切な水性媒体をよく承知しておられよう。代表的なそうした水性媒体には、例えば、水、生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水を含む)、注射用の水、短鎖アルコール、5%デキストロース、リンゲル溶液(乳酸加リンゲル液、乳酸リンゲル液+5%デキストロース注射液、アシル化リンゲル注射液)、Normosol−M、IsolyteE等およびその組合せが含まれる。
【0060】
当業者は、分散媒体として、または本発明によって分散される媒体として使用できる適切な油性媒体もよく承知しておられよう。いくつかの実施形態では、そのオイルは1つもしくは複数の脂肪酸基またはその塩を含むことができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は可消化性の長鎖(例えば、C〜C50)、置換または非置換炭化水素を含むことができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はC10〜C20脂肪酸またはその塩であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はC15〜C20脂肪酸またはその塩であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はC15〜C25脂肪酸またはその塩であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は不飽和であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はモノ不飽和であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はポリ不飽和であってよい。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸基の二重結合はシス構造であってよい。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸基の二重結合はトランス構造であってよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸またはリグノセリン酸の1つまたは複数であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸またはエルカ酸の1つまたは複数であってよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、オイルは液体トリグリセリドである。特定の実施形態では、オイルは中鎖(例えば、6〜12個の炭素)トリグリセリド(例えば、Labrafac WL1349、ココナツ油、パーム核油、クスノキの核果油等)である。特定の実施形態では、オイルは短鎖(例えば、2〜5個の炭素)トリグリセリドである。特定の実施形態では、オイルは長鎖(例えば、12個を超える炭素)トリグリセリド(例えば、大豆油、ひまわり油等)である。
【0063】
本発明で使用するのに適したオイル類には、これらに限定されないが、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロフサスグリの種、ルリヂサ、カデ、カモミール、キャノーラ、キャラウェー、カルナバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナツ、タラの肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、アマニ、ゲラニオール、ヘチマ(gourd)、ブドウの種、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイの実、ラバンディン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカダミアナッツ、アオイ、マンゴーの種、メドウフォームの種、鉱物、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナツ、ケシの実、カボチャの実、菜種、米ぬか、ローズマリー、サフラワー、ビャクダン、サザンカ、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチベル、クルミ、小麦胚芽のオイルおよびその混合物が含まれる。本発明で使用するのに適した合成油には、これらに限定されないが、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、オレイルアルコールおよびその組合せが含まれる。
【0064】
適切なミセル成分は、例えば、1種または複数の両親媒性実体を含むことができる。有用な両親媒性実体には、天然実体、合成実体、および天然成分と合成成分の両方を含む実体が含まれる。いくつかの実施形態では、両親媒性実体は、1種または複数のポリマー、および/またはポリマーの特徴を有する1種または複数の化合物を含むことができる。
【0065】
一般に、両親媒性実体は疎水性と親水性の両方を有するものである。当業者は理解されるように、両親媒性実体は、多くの異なる仕方で構成することができる。いくつかの実施形態では、両親媒性実体は、それ自体両親媒性である1つまたは複数の個別の化合物または物質を含むことができる。若干の例を挙げると、そうした化合物または分子には、ポリエチレングリコール(PEG)、リン脂質、コレステロール、糖脂質脂肪酸、胆汁酸およびサポニンが含まれる。PEGは、米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)によって、食品、化粧品および医薬品で使用するのに概ね安全であると認められている。PEGは水溶性、非毒性、無臭、潤滑性、非揮発性であり、かつ非刺激性である。
【0066】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体は、それ自体は両親媒性ではないが、親水性または疎水性の特徴をいくらか有する1つまたは複数の個別成分を含むことができる。そうした実施形態では、2つ以上のそうした非両親媒性成分は一般に互いに会合しており、その結果、個々の成分の集合体は両親媒性となる。そうした会合は共有結合を含んでも含まなくてもよい。そうした会合は非共有結合(例えば、静電相互作用、アフィニティー相互作用、疎水性相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、イオン相互作用、双極子−双極子相互作用等による)を含むことができる。一般に、そうした会合は、関連する任意の力、結合、または付着の手段を含むことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明で用いる両親媒性実体は、異なる程度の親水性または疎水性を有する2つ以上の個別成分で構成することができる。特定の実施形態では、両親媒性実体は、少なくとも1つの親水性成分と少なくとも1つの疎水性成分を含むことができる。特定の実施形態では、「親水性」および「疎水性」成分は互いに親水性かまたは疎水性である。
【0068】
いくつかの実施形態では、異なる程度の親水性または疎水性の2つ以上の成分は、共有結合により一緒に結合してホモポリマーまたはコポリマーを生成することができる。いくつかの実施形態では、コポリマーはブロックコポリマーであってよい。いくつかの実施形態では、コポリマーはグラフトコポリマーであってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体は、両親媒性ブロックコポリマーを含むかまたはそれからなってよい。いくつかの実施形態では、両親媒性ブロックコポリマーはジブロックコポリマーであってよい。特定の実施形態では、両親媒性ジブロックコポリマーは、鎖末端で共有結合的に連結された第1のポリマーブロックおよび第2のポリマーブロックを含むことができる。特定の実施形態では、第1のポリマーブロックは親水性成分の繰り返し単位を含むことができ、第2のポリマーブロックは疎水性成分の繰り返し単位を含むことができる。特定の実施形態では、第1のポリマーブロックは疎水性成分の繰り返し単位を含むことができ、第2のポリマーブロックは親水性成分の繰り返し単位を含むことができる。いくつかの実施形態では、両親媒性ブロックコポリマーはマルチブロックコポリマーであってよい。特定の実施形態では、両親媒性ブロックコポリマーは、鎖末端で共有結合した2つ以上のポリマーからなる複数の交互ブロックを含むことができる。特定の実施形態では、両親媒性ブロックコポリマーは、鎖末端で共有結合した複数の交互親水性ブロックと疎水性ブロックを含むことができる。特定の実施形態では、交互ブロックの各ブロックは、親水性成分かまたは疎水性成分のいずれかからなる繰り返し単位を含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体は、両親媒性グラフトコポリマーを含むかまたはそれからなってよい。いくつかの実施形態では、両親媒性グラフトコポリマーは、ポリマーの他のブロックの側鎖と共有結合したポリマーのブロックを含むかまたはそれからなってよい。特定の実施形態では、各ポリマーブロックは、親水性成分かまたは疎水性成分の繰り返し単位を含むかまたはそれからなってよい。特定の実施形態では、両親媒性グラフトコポリマーは、第1のポリマーブロックと、その第1のポリマーブロックの側鎖に共有結合した第2のポリマーブロックとを含むかまたはそれからなってよい。特定の実施形態では、第1のポリマーブロックは親水性成分の繰り返し単位を含むかまたはそれからなることができ、第2のブロックは疎水性成分の繰り返し単位を含むことができる。特定の実施形態では、第1のポリマーブロックは疎水性成分の繰り返し単位を含むかまたはそれからなることができ、第2のブロックは親水性成分の繰り返し単位を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーは、多糖の繰り返し単位を含む親水性ポリマーブロックと、ポリエステルまたは多糖の繰り返し単位を含む疎水性ポリマーブロックを含むことができる。それに代えるかまたはそれに加えて、両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーは、多糖の繰り返し単位を含む疎水性ポリマーブロックと、ポリエステルまたは多糖の繰り返し単位を含む親水性ポリマーブロックを含むことができる。そうした親水性ポリマーブロックは、多糖(例えば、プルラン)またはポリアルケンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド)などの任意のタイプの親水性ポリマーの繰り返し単位を含むことができる。疎水性ポリマーブロックは、ポリカプロラクトンまたはポリアミド(例えば、ポリカプロラクタム)などの任意のタイプの疎水性ポリマーの繰り返し単位を含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の親水性部分は非イオン性であってよい。いくつかの実施形態では、両親媒性実体の親水性成分は1種または複数のイオン基を含む。一般に、そうしたイオン基は親水性であり、両親媒性実体に親水特性を付与することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、イオン基はカチオン性であってよい。いくつかの実施形態では、カチオン基は、アンモニウム(NH)、ニトロニウム(NO)、ニトロシル(NO)、ヒドロニウム(H)、第1水銀(Hg2+)、ホスホニウム(PH)、バナジル(VO2+)、またはその塩であってよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、イオン基はアニオン性であってよい。いくつかの実施形態では、アニオン基は、脂肪酸、アーセニド(As3−)、アジド(N)、ブロミド(Br)、クロリド(Cl)、フルオリド(F)、ヒドリド(H)、アイオダイド(I)、ニトリド(N3−)、オキシド(O2−)、ホスフィド(P3−)、セレニド(Se2−)、スルフィド(S2−)、ペルオキシド(O2−)、ヒ酸(AsO3−)、亜ヒ酸(AsO3−)、ホウ酸(BO3−)、過臭素酸(BrO)、臭素酸(BrO)、亜臭素酸(BrO)、次亜臭素酸(BrO)、炭酸(CO2−)、炭酸水素(HCO)、塩素酸(ClO)、過塩素酸(ClO)、亜塩素酸(ClO)、次亜塩素酸(ClO)、クロム酸(CrO2−)、重クロム酸(Cr2−)、過フッ素酸(BrO)、フッ素酸(BrO)、亜フッ素酸(BrO)、次亜フッ素酸(BrO)、過ヨウ素酸(IO)、ヨウ素酸(IO)、亜ヨウ素酸(IO)、次亜ヨウ素酸(IO)、硝酸(NO)、亜硝酸(NO)、リン酸(PO3−)、リン酸水素(HPO2−)、リン酸二水素(HPO)、亜リン酸(PO3−)、ケイ酸(SiO2−)、硫酸(SO2−)、チオ硫酸(S2−)、硫酸水素(HSO)、亜硫酸(SO2−)、亜硫酸水素(HSO)、スルホン酸(−S(−O)−O)、酢酸(C)、ギ酸(HCO)、シュウ酸(C2−)、シュウ酸水素(HC)、クエン酸(C3−)、コハク酸(C2−)、フマル酸(C2−)、リンゴ酸(C2−)、硫化水素(HS)、テルリド(Te2−)、アミド(NH)、シアン酸(OCN)、チオシアン酸(SCN)、シアニド(CN)、ヒドロキシド(OH)、過マンガン酸(MnO)またはその塩であってよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の親水性成分は核酸を含むかまたはそれからなってよい。例えば、核酸ポリマーはDNA、RNAまたはその組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、核酸ポリマーはオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドであってよい。いくつかの実施形態では、核酸ポリマーは、オリゴヌクレオチドおよび/または修飾オリゴヌクレオチド;アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド;cDNA;ゲノムDNA;ウイルスDNAおよび/またはRNA;DNAおよび/またはRNAキメラ;プラスミド;コスミド;遺伝子断片;人工染色体および/または天然染色体(例えば、酵母人工染色体)および/またはその一部、RNA(例えば、mRNA、tRNA、rRNAおよび/またはリボザイム);ペプチド核酸(PNA);修飾されていても修飾されていなくてもよい、核酸の合成類似物を含むポリヌクレオチド;一本鎖DNA、二本鎖DNA、超らせんDNAおよび/または三重らせんDNAを含む様々な構造形態のDNA;Z−DNA;および/またはその組合せであってよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の親水性成分は、炭水化物を含むかまたはそれからなってよい。いくつかの実施形態では、炭水化物は、当業界で知られているような、グリコシド結合で連結された単糖(またはその誘導体)からなる多糖であってよい。そうした糖類には、これらに限定されないが、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、グルコロン酸、ガラクトロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラトサミン、およびノイラミン酸が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、アミノ化、カルボキシル化および硫酸化された多糖類を含む親水性炭水化物であってよい。いくつかの実施形態では、親水性炭水化物は、プルラン、セルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、メチルセルロース、デキストラン、シクロデキストランラン、グリコーゲン、デンプン、ヒドロキシエチルスターチ、カラギーナン、グリコン、アミロース、キトサン、N,O−カルボキシメチルキトサン、アルギンおよびアルギン酸、デンプン、キチン、ヘパリン、コンニャク、グルコマンナン、プスツラン(pustulan)、ヘパリン、ヒアルロン酸、カードランならびにキサンタンの1つまたは複数であってよい。いくつかの実施形態では、親水性多糖類は、多数の側鎖疎水性基を導入することによって、疎水性になるように改変することができる。いくつかの実施形態では、疎水性炭水化物には、セルロースアセテート、プルランアセテート、コンニャクアセテート、アミロースアセテートおよびデキストランアセテートが含まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の親水性成分は、これらに限定されないが、キサンタンゴム、アルギン酸、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、および/またはローカストビーンガムを含むゴムを含むかまたはそれからなってよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の成分はタンパク質を含むかまたはそれからなってよい。いくつかの実施形態では、タンパク質は両親媒性実体の親水性成分である。他の実施形態では、タンパク質は両親媒性実体の疎水性成分である。本発明で使用できるタンパク質の例には、これらに限定されないが、アルブミン、コラーゲンまたはポリ(アミノ酸)(例えば、ポリリシン)が含まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の疎水性成分は、1つもしくは複数の脂肪酸基またはその塩を含むかまたはそれからなってよい。一般に、そうした基は、典型的には疎水性であり、両親媒性実体に疎水特性を付与することができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、可消化性の長鎖(例えば、C〜C50)、置換または非置換炭化水素を含むことができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はC10〜C20脂肪酸またはその塩であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はC15〜C20脂肪酸またはその塩であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はC15〜C25脂肪酸またはその塩であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は不飽和であってもよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はモノ不飽和であってもよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基はポリ不飽和であってもよい。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸基の二重結合はシス構造であってよい。いくつかの実施形態では、不飽和脂肪酸基の二重結合はトランス構造であってよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸またはリグノセリン酸の1つまたは複数であってよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノール酸、γ−リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸またはエルカ酸の1つまたは複数であってよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の疎水性成分は、例えば、ポリカーボネート(例えば、ポリ(1,3−ジオキサン−2オン))、ポリアンヒドリド(例えば、ポリ(セバシン酸アンヒドリド))、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート))、ポリプロピルフメレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド(例えば、ポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリラクチドおよびポリグリコリド)、生分解性ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコールおよび生分解性ポリウレタンを含む1つまたは複数の生体適合性および/または生分解性合成ポリマーを含むかまたはそれからなってよい。例えば、両親媒性実体は、以下の生分解性ポリマー、すなわち、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)およびポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)の1つまたは複数を含むことができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の疎水性成分は、1つまたは複数のアクリルポリマーを含むかまたはそれからなってよい。特定の実施形態では、アクリルポリマーには、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、グリシジルメタクリレートコポリマーおよび上記ポリマーの1つまたは複数を含む組合せが含まれる。アクリルポリマーは、低含量の第四アンモニウム基を有するアクリル酸とメタクリル酸エステルの完全に重合したコポリマーを含むことができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、両親媒性実体の疎水性成分はポリエステルを含むかまたはそれからなってよい。そうしたポリエステルの例には、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリ(グリコリド−co−ラクチド)、PEG化ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(乳酸)、PEG化ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、PEG化ポリ(グリコール酸)、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーおよびその誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、例えば、ポリアンヒドリド、ポリ(オルトエステル)PEG化ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、PEG化ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、PEG化ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、PEG化ポリ(エチレンイミン)およびその誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルは、例えば、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]、およびその誘導体を含むことができる。
【0084】
適切な界面活性剤または乳化剤には、これらに限定されないが、ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレオイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;ジアシルグリセロールスクシネート;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサンデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸などの表面活性脂肪酸;脂肪酸;脂肪酸アミド;トリオレイン酸ソルビタン(Span85)グリココレート;モノラウリン酸ソルビタン(Span20);ポリソルベート20(Tween−20);ポリソルベート60(Tween−60);ポリソルベート65(Tween−65);ポリソルベート80(Tween−80);ポリソルベート85(Tween−85);ポリオキシエチレンモノステアレート;サーファクチン;ポロキサマー;トリオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(セファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;ジセチルホスフェート;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシル−アミン;アセチルパルミテート;グリセロールリシノレエート;ヘキサデシルステアレート;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000−ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400−モノステアレート;およびリン脂質が含まれる。界面活性剤成分は異なる界面活性剤の混合体であってよい。これらの界面活性剤は、天然資源から抽出しそれを精製することができ、また実験室で合成によって調製することもできる。好ましい実施形態では、界面活性剤は市場で入手することができる。
【0085】
本発明の特定の実施形態では、本発明のナノ粒子組成物を調製するのに用いられる成分の相対量は、所望の特徴を有するナノ粒子を生成するように選択または調節される。いくつかの実施形態では、オイルと界面活性剤は0.25〜10の範囲の比で使用する。いくつかの実施形態では、オイルと界面活性剤の比は約0.25:1、約0.5:1、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。いくつかの実施形態では、界面活性剤とオイルの比は約0.5:1、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1または約10:1である。いくつかの実施形態では、オイルと界面活性剤は0.25〜2の範囲の比で使用する。いくつかの実施形態では、オイルと界面活性剤の比は約0.25:1、約0.5:1、約1:1または約2:1である。いくつかの実施形態では、界面活性剤とオイルの比は約0.5:1、約1:1または約2:1である。特定の実施形態では、オイルと界面活性剤の比は約1:1である。
【0086】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子が調製される組成物中(例えば、プレミックス中)のオイルの割合は0%〜30%の範囲である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子が調製される組成物中(例えば、プレミックス中)のオイルの割合は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%または約30%である。いくつかの実施形態では、オイルの割合は約8%である。いくつかの実施形態では、オイルの割合は約5%である。
【0087】
1種または複数の両親媒性実体を用いるいくつかの実施形態では、ナノ粒子が調製される組成物中(例えば、プレミックス中)の両親媒性実体の割合は、40%〜99%、50%〜99%、60%〜99%、70%〜99%、80%〜99%、80%〜90%または90%〜99%の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子がそれから調製される組成物中(例えば、プレミックス中)の両親媒性実体の割合は、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%である。
【0088】
プレミックス中の界面活性剤活性を有する物質の割合は、0%〜99%、10%〜99%、25%〜99%、50%〜99%または75%〜99%の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、プレミックス中の界面活性剤活性を有する物質の割合は0%〜75%、0%〜50%、0%〜25%または0%〜10%の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子が調製される組成物中(例えば、プレミックス中)の界面活性剤の割合は0%〜30%の範囲である。いくつかの実施形態では、界面活性剤の割合は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%または約30%である。いくつかの実施形態では、界面活性剤の割合は約8%である。いくつかの実施形態では、界面活性剤の割合は約5%である。
【0089】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は2つ以上のオイルを含まない。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は2つ以上のオイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は2つ以上の界面活性剤を含まない。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は2つ以上の界面活性剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、有毒成分を完全に含まないかまたはそれを実質的に含まない。
【0090】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、水、オイル、界面活性剤および少なくとも1つの生物学的活性物質(例えば、および非改変ペプチド)から本質的になる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、水、オイル、界面活性剤、少なくとも1つの生物学的活性物質、およびナノ粒子組成物を作製および/または保存するのに用いられる少なくとも1つの物質から本質的になる。
【0091】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、水、オイル、界面活性剤および非改変ペプチドから本質的になる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、水、オイル、界面活性剤、非改変ペプチド、およびナノ粒子を作製および/または保存するのに用いられる少なくとも1つの物質から本質的になる。
非改変ペプチド
様々なペプチドのどれも、本発明によるナノ粒子組成物中に組み込むことができる。ほとんどの実施形態では、ペプチドは約100未満の長さのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、ペプチドは約90、約80、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約15、約13、約12、約10、約9、約8、約7、約6または約5未満の長さのアミノ酸である。いくつかの特定の実施形態では、ペプチドはペンタペプチドである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物中に組み込むペプチドは天然由来のアミノ酸だけを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは1種または複数の非天然由来のアミノ酸を含む。
【0092】
本発明により用いる非改変短鎖ペプチドは一般に、皮膚(表皮および真皮を含む)、皮下組織(脂肪組織を含む)および/または隣接筋肉において生物学的活性を有するものである。そうしたペプチドには、これらに限定されないが、細胞外マトリックス生成を促進するペプチド(例えば、KTTKS、配列番号1;EYKTTKSSRL、配列番号2;VIEYKTTK、配列番号3;KTTK、配列番号4;GKTVIEYKTTKS、配列番号5;GKTVIEYKTTKSSRL、配列番号6;WGKTVIEYKTTKSSRLPIID、配列番号7;CTSHTGAWGKTVIEYKTTKS、配列番号8;TTKS、配列番号9)、しわを少なくすることができるペプチド(例えば、EEMQRR、配列番号10)、外傷治癒を改善させるペプチド(例えば、ガストリン放出ペプチド、VGVAPG、配列番号11;YYRADA、配列番号12;GHK、配列番号13、インターフェロン、インターフェロン誘起物質)、ならびに肥大性の傷、ケロイド、および限局性または全身性の硬化症(強皮症)などの状態をもたらす細胞外マトリックスの過剰蓄積を治療するためのペプチド(例えば、P144;TSLDASIIWAMMQN、配列番号14)が含まれる(Katayamaら;上記、Lupo、上記;Robinsonら、上記;Bhartiyaら、1992年、J. Cell. Physiol、150:312頁;およびSantiagoら、2005年、J.Investigative Dermatology、125:450頁;そのすべてを参照により本明細書に組み込む)。ペプチド略称を規定する以下の表1を参照されたい。
【0093】
【表1−1】

【0094】
【表1−2】


【0095】
他の成分
本明細書で示すように、本発明のナノ粒子組成物は、1つまたは複数の成分を含むかまたはそれと一緒にすることができる。そうした他の成分の特定の例をここで論じる。
生物学的活性物質
例えば、治療薬、診断薬、予防薬、栄養剤、化粧品、および/または皮膚用薬を含む任意の生物学的活性物質を本発明により送達することができる。そうした生物学的活性物質は、小分子、有機金属化合物、核酸、タンパク質(多量体タンパク質、タンパク質複合体等を含む)、ペプチド、脂質、炭水化物、ハーブ、ホルモン、金属、放射性元素および化合物、薬物、ワクチン、免疫薬等、および/またはその組合せであってよい。そうした生物学的活性物質は、本発明のナノ粒子のミセル膜中に封入されていても、その表面に吸着されていても、その界面および/またはその中に存在していてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子を調製するのに用いられる組成物中(例えば、プレミックス中)および/またはナノ粒子中の生物学的活性物質の割合は0.1%〜25%の範囲である。いくつかの実施形態では、生物学的活性物質の割合は0.1%〜20%、0.1%〜15%、0.1%〜10%、0.1%〜5%または0.1%〜1%の範囲である。いくつかの実施形態では、生物学的活性物質の割合は1%〜20%、5%〜20%、10%〜20%、15%〜20%または15%〜25%の範囲である。いくつかの実施形態では、生物学的活性物質の割合は0.1%である。いくつかの実施形態では、生物学的活性物質の割合は25%より大きい。いくつかの実施形態では、生物学的活性物質の割合は約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%またはそれ以上である。
【0097】
関係する生物学的活性物質は、とり得る任意の方法またはアプローチによって作製するかまたは得ることができる。生物学的活性物質は、本発明のナノ粒子と一緒にそれを使用または送達するのを容易にするための1つまたは複数の部分を含むか、またはそれを含むように改変することができる。そうした改変によって、その薬剤の生物学的活性が妨害されることがあってはならない。いくつかの実施形態では、任意選択でその改変をインビボで取り除くことができる。例えば、生物学的活性物質に検出できるようなラベルを付けるか、かつ/または、送達後に活性な形態に転換または改変される「プロ(pro)」の形態で提供することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は薬剤活性を有する小分子および/または有機化合物である。いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は臨床上用いられる薬物である。いくつかの実施形態では、その薬物は、抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔剤、抗凝血剤、抗癌剤、酵素の阻害剤、ステロイド剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗原、ワクチン、抗体、充血除去剤、降圧剤、鎮静剤、妊娠調節剤、黄体ホルモン薬、抗コリン作用薬、鎮痛剤、抗うつ剤、抗精神病剤、β−抗アドレナリン作動薬、利尿薬、心血管作用薬、血管作用薬、非ステロイド系抗炎症剤等である。特に興味深いものは、経皮的投与に適した生物学的活性物質である。
【0099】
送達される生物学的活性物質は薬剤として活性な剤の混合物であってよい。例えば、局所麻酔剤はステロイドなどの抗炎症剤と共に送達することができる。局所麻酔剤は、エピネフリンなどの血管作用薬と併用して投与することができる。別の例を挙げると、抗生物質は、抗生物質(例えば、ペニシリンおよびクラブラン酸)を不活性化させるためにバクテリアを用いて通常作製される酵素の阻害剤と一緒にすることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は診断薬である。いくつかの実施形態では、診断薬には、ガス類;陽電子放出型断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CAT)、単一光子放出型コンピュータ断層撮影法、X線、蛍光透視法および磁気共鳴映像法(MRI)において用いられる市販の映像化用薬剤(imaging agent);ならびに造影剤(contrast agent)が含まれる。MRIの造影剤として用いられる適切な材料の例には、ガドリニウムキレートならびに鉄、マグネシウム、マンガン、銅およびクロムが含まれる。CATおよびX線映像法で用いられる材料の例には、ヨウ素をベースとした材料が含まれる。
【0101】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は予防薬である。いくつかの実施形態では、予防薬はワクチン含む。ワクチンは、単離されたタンパク質またはペプチド、不活性化された有機体およびウイルス、死んだ有機体およびウイルス、遺伝子操作された有機体またはウイルスおよび細胞抽出物を含むことができる。予防薬は、インターロイキン、インターフェロン、サイトカインおよびコレラ毒素、ミョウバン、フロイントアジュバント等などのアジュバントと併用することができる。予防薬には、肺炎連鎖球菌(Streptococccus pnuemoniae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulism)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、チフス菌(Salmonella typhi)、ヘモフィルスラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、レジオネラニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ハンセン菌(Mycobacterium leprae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、レプトスピラインテロガンス(Leptospirosis interrogans)、ボレリアブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、カンピロバクタージェジュニ(Camphylobacter jejuni)などの細菌性生物の抗原;天然痘、A型インフルエンザおよびB型インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザ、はしか、HIV、水痘帯状ヘルペス、単純ヘルペ1型および2型、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、おたふく風邪(mumps)、狂犬病、風疹、コクサッキーウイルス、馬脳炎、日本脳炎、黄熱病、リフトバレー熱、肝炎A型、B型、C型、D型およびE型ウイルスなどのウイルスの抗原;クリプトコックスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、カンジダトロピカリス(Candida tropicalis)、ノカルジアアステロイデス(Nocardia asteroides)、リケッチアリケッチイ(Rickettsia ricketsii)、リケッチアチフィ(Rickettsia typhi)、肺炎マイコプラズマ(Myco plasma pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydial psittaci)、クラミジアトラコマチス(Chlamydial trachomatis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、トリパノソーマブルーセイ(Trypanosoma brucei)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gon.dii)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)などの真菌、原生動物および寄生生物の抗原を含むことができる。これらの抗原は、完全な死菌、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物またはその組合せの形態であってもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質はタンパク質であってよい。本明細書で用いる「タンパク質」と「ペプチド」という用語は互換的に用いることができる。特定の実施形態では、ペプチドは、約5〜約40、約10〜約35、約15〜約30または約20〜約25の範囲のサイズのアミノ酸である。ランダムな配列、および/または最大限に多様なペプチドのパネルを一貫してもたらすように変化させた配列を含むペプチドのパネルからのペプチドを用いることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は抗体であってよい。いくつかの実施形態では、抗体には、これらに限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ(すなわち、「ヒト化された」)、一本鎖(組換え型)抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体は、低いエフェクター機能および/または二重特異性分子を有することができる。いくつかの実施形態では、抗体はFab断片、および/またはFab発現ライブラリーによって産生された断片を含むことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は核酸であってよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドはDNA、RNA、混合キメラ、誘導体、特徴的部分および/またはその変形体を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは一本鎖および/または二本鎖であってよい。例えば、分子の安定性、混成等を改善するために、塩基部分、糖部分および/またはリン酸主鎖でオリゴヌクレオチドを改変することができる。
【0105】
特定の実施形態では、核酸は翻訳開始部位、転写開始部位および/またはスプライスジャンクションと結合するアンチセンス分子を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的mRNAと結合するか、かつ/または翻訳を阻止する。それに代えるかまたはそれに加えて、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば調節要素などの標的遺伝子のDNAと結合することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、標的mRNAの転写を触媒的に切断するように設計されたリボザイムを含む核酸を用いて、標的mRNAの翻訳および/または標的の発現を阻止することができる(例えば、PCT特許出願WO90/11364;およびSarverら、1990年、Science 247:1222頁を参照されたい;その両方を参照により本明細書に組み込む)。
【0107】
それに代えるかまたはそれに加えて、内生的標的遺伝子の発現を、標的遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に対して相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化することによって低減させて、体内の標的筋細胞中の標的遺伝子の転写を阻止する三重らせん構造を形成させることができる(概要として、Helene、1991年、Anticancer Drug Des. 6:569頁;Heleneら、1992年、Ann、N.Y. Acad. Sci. 660:27頁;およびMaher、1992年、Bioassays 14:807頁を参照されたい。そのすべてを参照により本明細書に組み込む)。
【0108】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は栄養補給剤である。いくつかの実施形態では、栄養補給剤は基礎的な栄養価を提供する。いくつかの実施形態では、栄養補給剤は、健康面での利益または医学的利益を提供する。いくつかの実施形態では、栄養補給剤は栄養補助食品である。
【0109】
いくつかの実施形態では、栄養補給剤はビタミンである。いくつかの実施形態では、ビタミンは、ビタミンA(レチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピロキシドン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンEまたはビタミンKの1つまたは複数である。
【0110】
いくつかの実施形態では、栄養補給剤はミネラルである。いくつかの実施形態では、そのミネラルはビスマス、ホウ素、カルシウム、塩素、クロム、コバルト、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、ルビジウム、セレン、ケイ素、ナトリウム、ストロンチウム、イオウ、テルル、チタン、タングステン、バナジウムまたは亜鉛の1つまたは複数である。
【0111】
いくつかの実施形態では、栄養補給剤は必須アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はアルギニン、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンまたはバリンの1つまたは複数である。
【0112】
いくつかの実施形態では、栄養補給剤には、脂肪酸および/またはω−3脂肪酸(例えば、DHAまたはARA)、果物および野菜抽出物、ルテイン、ホスファチジルセリン、リポイド酸、メラトニン、グルコサミン、コンドロイチン、アロエ、ググル、緑茶、リコピン、食品全般、食品添加物、ハーブ、ファイトニュートリエント、酸化防止剤、果物のフラボノイド成分、月見草油、アマニ油、魚油および海産動物油(例えば、タラの肝油)および生菌剤(probiotics)が含まれる。いくつかの実施形態では、栄養補給剤は、所望の特性をもつように遺伝子操作を受けたバイオ食品(「ファーマフード」としても知られている)を含むことができる。
【0113】
栄養補給剤および栄養補助食品の例は、例えば、Robertsら(Nutriceuticals: The Complete Encyclopedia of Supplements, Herbs, Vitamins, and Healing Foods、American Nutriceutical Association、2001年;これを参照により本明細書に組み込む)に開示されている。栄養補給剤および栄養補助食品は、Physicians’ Desk Reference for Nutritional Supplements、第1版、2001年およびPhysicians ’ Desk Reference for Herbal Medicines、第1版、2001年(その両方を参照により本明細書に組み込む)にも開示されている。
【0114】
いくつかの実施形態では、栄養補給剤を担持した本発明のナノ粒子を、食品に組み込むことができる。例えば、栄養補給物質を担持したナノ粒子を飲料品などの液体に溶解させることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は化粧品および/または皮膚用薬である。いくつかの実施形態では、化粧品および/または皮膚用薬は、ビタミンおよびその誘導体(例えば、ビタミンEおよびそのエステル、ビタミンCおよびそのエステル、ビタミンB、ビタミンAアルコールまたはレチノールおよびそのエステル)、プロビタミン(例えば、パンテノール、ナイアシンアミドまたはエルゴカルシフェロール)、酸化防止剤、フェノール化合物(例えば、過酸化ベンゾイル)、エッセンシャルオイル、湿潤剤、日焼け防止薬、保湿剤、タンパク質、セラミドおよび疑似セラミドを含むことができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、生物学的活性物質は1種または複数のボツリヌス毒素ペプチドまたはタンパク質複合体であってよい。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素はボツリヌス毒素血清型A、B、C、C、D、E、FまたはGのうちの1つまたは複数であってよい。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、単離されているか、かつ/または精製されたボツリヌス毒素であってよい。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は、部分的に単離されているか、かつ/または部分的に精製されたボツリヌス毒素であってよい。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は天然のボツリヌス複合体であってよい。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は非毒性タンパク質と会合していてもよい。いくつかの実施形態では、ボツリヌス毒素は組換え技術によるボツリヌス毒素であってよい。
【0117】
当業者はこれが、包括的なものではないが、生物学的活性物質の例示的なリストであることを理解されよう。任意の生物学的活性物質を、ナノ粒子中に封入するかまたはその表面に結合させることができる。
放出遅延剤
本発明のいくつかの実施形態では、特に1種または複数の生物学的活性物質(例えば、非改変ペプチド)を含む実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は、その物質の制御放出を可能にする1つまたは複数の放出遅延成分をさらに含むかまたはそれと共に処方される。当業界で知られているどの放出遅延成分も、本発明のナノ粒子の作製に用いるのに適している。いくつかの実施形態では、放出遅延成分は親水性および/または疎水性ポリマーである。放出遅延成分には、例えばセルロースまたはその誘導体、アクリルポリマー、エステルポリマー、ビニルピロリドンをベースとしたポリマー、ゴム類、他の天然高分子および/またはこれらの組合せが含まれる。
【0118】
いくつかの実施形態では、放出遅延成分はセルロースまたはその誘導体である。特定の実施形態では、セルロースまたはその誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースの1つまたは複数を含む。特定の実施形態では、セルロースまたはその誘導体はメチルセルロースまたはその誘導体である。特定の実施形態では、セルロースまたはその誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。当業者は、他のアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーを使用できることを理解されよう。
【0119】
いくつかの実施形態では、放出遅延成分はアクリルポリマーである。特定の実施形態では、アクリルポリマーには、例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、グリシジルメタクリレートコポリマーおよび上記ポリマーの1つまたは複数を含む組合せが含まれる。アクリルポリマーは、低含量の第四アンモニウム基を有するアクリル酸とメタクリル酸エステルの完全に重合したコポリマーを含むことができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、放出遅延成分はポリエステルである。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、ポリアルキレングリコール、ポリ(グリコリド−co−ラクチド)、PEG化ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(乳酸)、PEG化ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、PEG化ポリ(グリコール酸)、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーおよびその誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、例えば、ポリアンヒドリド、ポリ(オルトエステル)PEG化ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、PEG化ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、PEG化ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、PEG化ポリ(エチレンイミン)およびその誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、例えば、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]およびその誘導体が含まれる。
【0121】
いくつかの実施形態では、放出遅延成分はポリ(ビニル−ピロリドン)の架橋ポリマーである。いくつかの実施形態では、そのポリマーはクロスポビドンである。いくつかの実施形態では、ポリマーは非架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)である。いくつかの実施形態では、ポリマーはポビドンである。
【0122】
いくつかの実施形態では、放出遅延成分は天然高分子であってよい。いくつかの実施形態では、天然高分子は、例えば、キサンタンゴム、アルギン酸、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウムおよび/またはローカストビーンガムを含むゴムである。いくつかの実施形態では、天然高分子はタンパク質(例えば、アルブミン)、脂質、核酸または炭水化物であってよく、放出遅延成分はポリエステルである。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、ポリアルキレングリコール、ポリ(グリコリド−co−ラクチド)、PEG化ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(乳酸)、PEG化ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、PEG化ポリ(グリコール酸)、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーおよびその誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、例えば、ポリアンヒドリド、ポリ(オルトエステル)PEG化ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、PEG化ポリ(カプロラクトン)、ポリリシン、PEG化ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、PEG化ポリ(エチレンイミン)およびその誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリエステルには、例えば、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−co−L−リシン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]およびその誘導体が含まれる。
【0123】
いくつかの実施形態では、放出遅延成分はポリ(ビニル−ピロリドン)の架橋ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーはクロスポビドンである。いくつかの実施形態では、ポリマーは非架橋ポリ(ビニルピロリドン)である。いくつかの実施形態では、ポリマーはポビドンである。いくつかの実施形態では、放出遅延成分は天然高分子であってよい。いくつかの実施形態では、天然高分子は、例えば、キサンタンゴム、アルギン酸、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、および/またはローカストビーンガムを含むゴムである。いくつかの実施形態では、天然高分子はタンパク質(例えば、アルブミン)、脂質、核酸または炭水化物であってよい。
処方剤
本発明のナノ粒子組成物を、対象に投与するために処方することができる。特定の実施形態では、対象への経皮的送達を達成するため、皮膚に塗布されるように本発明のナノ粒子組成物を処方する。例えば、本発明のナノ粒子組成物は、局所に塗布する化粧品または他の製剤に処方することができる。
【0124】
ヒトの皮膚は真皮および表皮を含む。表皮は、複数の層の組織、すなわち、角質層、透明層、顆粒層、有棘層および基底層(皮膚の外面から内側に向けて順番に存在する)を有する。角質層は通常、医薬品(恐らく非改変ペプチドの場合特に)の経皮的送達における最も重要な障害物を提供する。角質層は通常約10〜15μmの厚さであり、それは、扁平な複数の層で配列された角化細胞(角質細胞)からなる。角質細胞間の細胞間の空間は、脂質性構造物で満たされており、皮膚を通る物質の浸透において重要な役割を果たすことができる(Bauerovaら、2001年、European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics、26:85頁;これを参照により本明細書に組み込む)。
【0125】
角質層の下にある表皮の残りの部分は約150μmの厚さである。真皮は約1mm〜2mmの厚さであり、表皮の下に位置している。真皮は、様々な毛細血管ならびに神経突起によって神経支配されている。
【0126】
これまでの医薬品を経皮で投与する試みは、角質層の浸透性を増大させることに集中されている。いくつかの試みには、皮膚を通る分子の浸透性を増大させる化学的促進剤を使用することが含まれている。いくつかの試みには、角質層の一部をバイパスするかまたはそれを取り除くための機械的装置を使用することが含まれている。さらに、いくつかの試みには、薬剤が皮膚を通って浸透するのを容易にするために超音波またはイオン導入を使用することが含まれている。ほとんどの場合、目指すものは、一般に、薬剤が真皮中の毛細血管床に送られ、そこで、対象に薬剤が全身的に取り込まれて治療効果を実現できるような皮膚を通る薬剤、一般に小分子であった。
【0127】
本発明は、とりわけ、磨耗剤または崩壊剤(化学的、機械的、電気的、磁気的等のいずれであっても)を使用する必要のない非改変ペプチドを経皮的に投与する方法を提供する。驚くべきことに、本発明者らは、本発明のナノ粒子組成物中に組み込まれたボツリヌス毒素が、角質層を浸透性にするか、またはそれを崩壊させるさらなるステップを必要とすることなく、効果的に経皮送達されることを見出した。本発明のボツリヌスナノ粒子組成物を用いたそうした薬剤またはステップの使用は、本発明のすべての実施形態において必ずしも排除されるものではなく、またそれが必ず必要であるというものでもない。
【0128】
したがって、本発明は、本発明のナノ粒子組成物の局所塗布によって、非改変ペプチドを投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、表皮層を通して吸収させるために、本発明のナノ粒子組成物を皮膚に直接塗布する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物は、化学的もしくは機械的な皮膚浸透促進剤、または磨耗を引き起こす他の薬剤を使用することなく、角質層、皮膚の細孔および/または皮膚腺を含む皮膚の最上層に浸透することができる。
【0129】
当業者は、局所投与のための本発明の組成物が、皮膚軟化剤、栄養ローションタイプのエマルジョン、クレンジンローション、クレンジングクリーム、乳液、エモリエントローション、マッサージ用クリーム、エモリエントクリーム、メークアップベース、口紅、フェイシャルパックもしくはフェイシャルゲル、シャンプー、リンス、ボディクレンザー、ヘアートニックもしくはせっけんなどの洗剤配合品またはローション剤、軟膏、ゲル剤、クリーム剤、パッチもしくは噴霧剤などの皮膚用組成物などの化粧品処方物として調製することができることを理解されよう。
【0130】
本発明のナノ粒子組成物のそうした処方物は一般に、例えば、フィラー、金属イオン封鎖剤、軟化剤、着色物質(例えば、顔料および染料)および香料などの1種または複数の賦形剤との組合せを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明のナノ粒子組成物をクリーム剤として処方する。「クリーム剤」という用語は、皮膚に塗布するように通常処方された、塗り拡げることができる組成物を指す。クリーム剤は一般に、オイルおよび/または脂肪酸をベースとしたマトリックスを含む。本発明によって処方されたクリーム剤はナノ粒子を含むことができ、かつ、局所投与すると皮膚を通した実質的に完全な浸透(例えば、そうしたナノ粒子の)を可能にすることができる。そうしたクリーム剤は、組み込んだ材料のための(例えば、ボツリヌス毒素のための)担体としても作用することができる。
【0132】
当業者は、本発明のナノ粒子組成物を、例えば、パッチなどのデバイスに組み込むことができることを理解されよう。
【0133】
様々な経皮パッチ構造物が当業者に知られており、当業者は、本発明のナノ粒子組成物は、そうした様々な構造物のどれにも容易に組み込むことができることを理解されよう。いくつかの実施形態では、経皮パッチは、皮膚に塗布されるパッチの一方の側から延在する複数の針をさらに含むことができる。その針は、パッチから延出して皮膚の角質層を通して突き出る。いくつかの実施形態では、その針が血管を破ることはない。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態では、ナノ粒子組成物をパッチ中のデポーに入れ、その結果、パッチにかけられた圧力によって非改変ペプチドが、パッチから外に向けられ(任意選択で針を通して)、角質層を通るようにすることができる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態では、経皮パッチは接着剤を含む。接着パッチのいくつかの例はよく知られている(例えば、米国特許(Des.)第296,006号、同第6,010,715号、同第5,591,767号、同第5,008,110号、同第5,683,712号、同第5,948,433号および同第5,965,154号を参照されたい。そのすべてを参照により本明細書に組み込む)。接着パッチは一般に、人の皮膚に張られる接着剤層、薬剤を保持するためのデポーすなわちリザーバ、およびそのデポーから薬剤が漏出するのを防止する外部表面を有することを特徴とする。パッチの外部表面は非接着性である。
【0136】
当業者は、経皮パッチが、本発明のナノ粒子組成物をそれで投与することができるデバイスの一例に過ぎないことを理解されよう。その他の若干の例を挙げると、最初に人の指にその組成物を塗布する(これは望ましくない指の麻痺をもたらす可能性がある)ことなく、その組成物を塗布できるようにするデバイスを用いることができる。適切なデバイスには、スパチュラ、スワブ、針なしシリンジおよび接着パッチが含まれる。スパチュラもしくはスワブまたは同様のものを使用すると、組成物を含む容器中にそうしたデバイスを挿入する必要がある。シリンジの使用は、シリンジに組成物を満たすことによって行うことができる。次いで、組成物を、スパチュラまたはスワブで局所的に広げるか、あるいはシリンジから人の皮膚に押し出すことができる。
【0137】
本発明の多くの実施形態では、非改変ペプチドの送達を、対象とする送達領域だけに限定することが望ましい。いくつかの実施形態では、そうした限定された送達は、その組成物を皮膚の非標的部位領域に塗布することなく、皮膚の標的部位に組成物を塗布できるようにする塗布装置で本発明のナノ粒子組成物を用いることによって実現することができる。明らかに、経皮パッチをこの目的に使用することができる。それに代えるかまたはそれに加えて、改変ペプチドを選ばれた領域だけに局所的に塗布しようとする場合、その他の領域を覆うかまたは前処理するか、あるいは曝露から保護することができる。
例示
以下の実施例は、本発明で考慮する特定の実施形態の例を提供するだけに過ぎない。これらの実施例は限定しようとするものではまったくない。
【実施例】
【0138】
(実施例1)
ペンタペプチドナノ粒子処方物
この実施例は、皮膚の構造に対して生物学的活性を有することが知られているペンタペプチド、KTTKS(配列番号1)(Katayamaら、上記)を含むナノエマルジョンを含むペプチドナノ粒子組成物を提供する。
【0139】
ペンタペプチドナノエマルジョン配合物を以下のようにして調製した。
・800mgの大豆油と800mgのTween80を滅菌したバイアル中で5分間攪拌した。
・0.0001gのペプチドKTTTS(配列番号1)を含む8.4mlの水を加え、20分間攪拌した。
・試料を1分間均質化した。
・試料を20分間攪拌した。
・試料を23,000psiで1回マイクロ流動化した。
【0140】
得られたペンタペプチドナノエマルジョンを、約0.6nm〜6000nmの粒子を測定できるMalvern Nano S型粒度測定器(particle sizer)を用いて粒子径を評価した。ペンタペプチドナノエマルジョン配合物は2つの粒子径ピークを有しており、106nmの平均粒子径を有していた(表2)。
【0141】
【表2】


【0142】
(実施例2)
生物学的効果を有するペンタペプチドナノ粒子処方物および経皮的浸透
この実施例は、皮膚の構造に対して生物学的活性を有することが知られているペンタペプチド、KTTKS(配列番号1)(Katayamaら、上記;これを参照により本明細書に組み込む)を含むナノエマルジョンを含むペプチドナノ粒子を提供する。この実施例は、ペプチドナノ粒子、この場合KTTKS(配列番号1)を経皮的に塗布することの皮膚に対する生物学的効能を実証している。
材料および方法
ペンタペプチドナノエマルジョン配合物を以下のようにして調製した。
・5.6gのLabrafac WL1349オイルと5.6gのTween80を滅菌したビーカー中で5分間攪拌した。
・別のビーカーに58.8gの試薬グレードの水を入れた。0.010gのペプチドKTTTS(配列番号1)をその水に加え、20分間攪拌した。
・そのビーカーの内容物(すなわち、その水とペプチド)に第1のビーカーの内容物を加え、次いで20分間攪拌した。
・試料全体を23,000psiで1回マイクロ流動化した。
【0143】
得られたペンタペプチドナノエマルジョンを、約0.6nm〜6000nmの粒子を測ることができるMalvern Nano S型粒度測定器を用いて粒子径を評価した。ペンタペプチドナノエマルジョン配合物は114.4nmの平均粒子径を有していた。粒子の約95%は130nm未満のサイズであった。
【0144】
次いでペンタペプチドナノエマルジョンを等容積の皮膚クリーム剤(ベースPCCAバニシングクリームライト)と混合し、ボルラックスで攪拌し均一なクリーム剤にして「治療クリーム剤」を得た。
【0145】
「対照クリーム剤」を、その過程でペプチドを加えなかったことを除いて、治療クリーム剤と同じ方法で調製した。
【0146】
それぞれ体重約20gの10匹のスイスウェブスターマウスを購入した。入荷したら、このすべてのマウスをかごの中で1週間順応させ(以下に規定するように、1かご1グループ当たり5匹のマウスをグループで収容した)、標準的なかご用の寝床(cage bedding)とPurina5001chow食を与えた。1週間後、以下の治療パラダイムを施した。
【0147】
治療パラダイム
グループ1(対照):8週間毎日、5匹の各マウスに75μlの対照クリーム剤を、クリーム剤が認められなくなるまで、手袋をはめた指でその背中に塗布した。最初の処置を施す2日前に、続いて1週間間隔でマウスの背中を電動かみそりで剃った。
【0148】
グループ2(治療):8週間毎日、5匹の各マウスに75μlの治療クリーム剤を、クリーム剤が認められなくなるまで、手袋をはめた指でその背中に塗布した。最初の処置を施す2日前に、続いて1週間間隔でマウスの背中を電動かみそりで剃った。
【0149】
評価
対照クリーム剤かまたは治療クリーム剤で処置した各マウスの背中からの皮膚を保存し、次いでマッソンのトリクロム組織染色で処理した。染色強度を、染色強度のための1〜4の組織学的スケールを用いて400×の倍率で評価した。1=ほとんど染色されておらず、コラーゲンフィブリルは非常に薄い。2=最小限の染色で最小限のコラーゲンフィブリル幅である。3=中程度の染色で中程度のフィブリル幅である。4=強い染色で幅広いフィブリルである。
【0150】
結果
組織学的評価
マッソンのトリクロム染色により染色された皮膚組織の平均の組織学的スコアは対照グループにおいて、可能な4のうちの2.33であった。比較すると、治療グループのマウスの染色された皮膚の平均の組織学的スコアは可能な4のうちの3.67であった。これは、治療グループのコラーゲン−染色強度が、対照グループに対して57%増大していることを示している。例えば、図1の対照および治療グループのそれぞれからの皮膚組織標本の顕微鏡写真を参照されたい。
【0151】
皮膚厚さ効果の評価
薄切りにしてスライドガラ上に置かれた、マウスの背中の皮膚の組織学的横断面の試験にしたがって、皮膚層厚さ検査法により皮膚の厚さを測定して各皮膚層の深さ(mmで)を決定する。
【0152】
細胞外マトリックス生成の評価
コラーゲンは、細胞外マトリックスの内容物の主要成分である。コラーゲン含量を、コラーゲンのための2つの別個の組織染色法(ピクロシリウスレッド(Picro Sirius Red)およびプテロカルプスオスン(Pterocarpus Osun))を用いて、薄切りにしてスライドガラ上に置かれたマウスの背中の皮膚の2つの別個の試験で評価する。
【0153】
マウスの背中の皮膚の均質化配合物のヒドロキシプロリン含量を検出するために、コラーゲン含量を、ウェスタンブロット法を用いて評価する。ヒドロキシプロリン含量は、コラーゲン含量を代表している。
【0154】
結論
結果は、組織学的評価により、平均して、治療グループが、統計的に対照グループより多いコラーゲンを有していることを示している。これらの制御されたデータは、局所用ペンタペプチドナノエマルジョン配合物が、そうしたペンタペプチドを含まない対照クリーム剤に比べて、皮膚に対して測定可能な生物学的効果を有していることを示している。ペプチドは、化学的改変なしでは、もとのままの(intact)皮膚に浸透することはできないことが従来の研究で分かっている(Katayamaら、上記)。したがって、これらのデータは、本発明のナノエマルジョン処方物が、非改変ペプチドの浸透を可能にし、皮膚におけるコラーゲン生成を増大させ、結果として皮膚厚さを増大させることにおいて、ペプチドの既知の生物学的作用と合致する皮膚への効果をもたらすことを示している。
【0155】
結果は、平均して、治療グループが、統計的に対照グループより厚い皮膚を有することを示していると思われる。結果は、平均して、治療グループが、2つの組織染色法およびヒドロキシプロリンのウェスタンブロット法で測定して、統計的に対照グループより多いコラーゲンを有することを示していると思われる。
【0156】
(実施例3)
ペプチドナノ粒子の経皮的塗布による、マウスに対する皮膚の肉厚化(Thickening)および細胞外マトリックス刺激剤としての効果:ナノ粒子中のペプチドの濃度を変えることの効果
この実施例は、ナノ粒子中のペプチドの濃度を変えることによる、ペプチドナノ粒子を経皮的に塗布した皮膚への生物学的効能に対する影響を実証している。
【0157】
材料および方法
治療クリーム剤中のペプチドの濃度を1桁高くするかまたは1桁小さくすること以外は、実施例3で説明した実験を繰り返す。
【0158】
結果および結論
結果は、平均して、ペプチド濃度を1桁高くして治療されたマウスが、高いペプチド濃度で治療されたマウスより統計的に厚い皮膚を有することを示していると思われる。結果は、平均して、ペプチド濃度を1桁高くして治療されたマウスが、2つの組織染色法およびヒドロキシプロリンのウェスタンブロット法で測定して、低いペプチド濃度を有するマウスより統計的に多いコラーゲンを有することを示していると思われる。つまり、これらの制御されたデータは、皮膚に対するペプチドナノエマルジョンの生物学的効果は、組み込まれるペプチドの濃度によって変わること示唆していると思われる。
【0159】
(実施例4)
皮膚の線を減らすためのヒト対象へのペンタペプチドナノ粒子の投与
この実施例は、経皮的にペプチドナノ粒子を塗布したヒトの皮膚に対する生物学的効能を実証している。
【0160】
材料および方法
実施例1または2で調製したペンタペプチドナノエマルジョンを用意し、等容積の皮膚クリーム剤(ベースPCCAバニシングクリームライト)と混合し、次いで均一なクリーム剤中に渦巻き混合させて「治療クリーム剤」を得る。
【0161】
「非ナノ治療クリーム剤」を、実施例1と同量のペンタペプチドを同量の水に混ぜ、次いで、治療クリーム剤を調製するのに用いたのと同量の皮膚クリーム剤と渦巻き混合させて調製する。
【0162】
「対照クリーム剤」を、実施例1または2と同量の水と、治療クリーム剤を調製するのに用いたのと同量の皮膚クリーム剤を渦巻き混合させて調製する。
【0163】
目立った顔のしわの線(光で傷んだ皮膚を有する人に見られるものなど)を有する30人の健康なヒト対象を、左右無作為化法を用いて、二重盲式のプラセボを対照とした顔面分割試験に登録する。すべての対象を、治療状態が見えないようにした観察者によって、5点スケールで格付けする。スケールのスコア0は正常な皮膚であり、スコア5は重度の顔のしわの線およびしわ(主に目の周りまたは「目尻」領域の)である。ほおの肌のきめも、細孔の大きさ(小から大まで)および滑らかさ(滑らかから粗い/つぶつぶ状まで)に関して評価する。初回検査で2.5以上のスコア有している場合のみ、対象を登録する。標準化された視野、距離および照明条件で対象の顔の写真を撮る。
【0164】
治療パラダイム
患者は、12時間間隔で日に2回使用できる対照クリーム剤以外は、顔用のスキンケア製品を3週間まったく使用しないことに同意する。この最初の「洗い落し」期間の後、各チューブについて独自の数字コードをつけた、「右」と「左」と書いた2本のクリーム剤チューブを各患者に与える。彼らには、右側のチューブを顔の右側に、左側のチューブを顔の左側に12時間間隔で日に2回使用するよう指示する。彼らに、「豆粒大の」量のクリーム剤(約0.4g)を顔の両面に塗るように指示する。また、彼らに、他の顔用のスキンケア製品を使用しないことも指示する。対象のうちの10人(対照グループ)については、右側チューブは対照クリーム剤を含み、左側チューブは対照クリーム剤を含む。対象のうちの10人(非ナノ治療グループ)については、右側チューブは対照クリーム剤を含み、左側チューブは非ナノ治療クリーム剤を含む。対象のうちの10人(ナノ治療グループ)については、右側チューブは対照クリーム剤を含み、左側チューブはナノ治療クリーム剤を含む。
【0165】
評価
洗い落し期間に続いて治療プロトコールを開始して4、8および12週間後に対象を観察し、その写真撮影を行う。さらに、対象の治療状態が見えないようにした観察者、ならびにその対象自体が、顔の右側と左側のそれぞれについて上記スケールで、肌のきめを採点する。
【0166】
結果および結論
結果は、平均して、ナノ治療グループが、対照グループおよび非ナノ治療グループについての右側と左側のスコア間で認められた差より統計的に大きい、右側と左側の顔のきめのスコア間の差を有すること(皮膚の外観の向上を示す)を示していると思われる。つまり、これらの制御されたデータは、局所用ペンタペプチドナノエマルジョン配合物が、そうしたペンタペプチドを有していない対照クリーム剤、およびナノ粒子処方物中に存在しなかった同じペンタペプチドを有する単純なクリーム剤(非ナノクリーム剤)と比べた場合、皮膚に対して測定可能な化粧効果を有することを示していると思われる。
【0167】
等価物および範囲
上記に、本発明の特定の非限定的な好ましい実施形態を説明してきた。当業者は、通常の範囲内の実験を用いて、本明細書で述べてきた本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識されるか、またはそれを確認することができよう。当業者は、以下の特許請求の範囲で定義するような本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の説明に様々な変更および修正を加えることができることを理解されよう。
【0168】
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、それとは相いれない指定がないか、あるいは文脈から明らかでない限り、1つまたは1つを超えることを意味する。あるグループの1つもしくは複数のメンバーの間に「または(or)」を含む特許請求の範囲または詳細な説明は、それとは相いれない指定がないか、あるいは文脈から明らかでない限り、そのグループメンバーの1つ、1つ超もしくはすべてが、所与の産物または方法(process)中に存在するか、それに用いられているか、あるいはそれに関連していれば、満たされているものとする。本発明は、そのグループの正確に1つのメンバーが、所与の産物または方法中に存在するか、それに用いられているか、あるいはそれに関連している実施形態を含む。本発明は、そのグループメンバーの1つ超もしくはすべてが、所与の産物または方法中に存在するか、それに用いられているか、あるいはそれに関連している実施形態も含む。さらに、その中で、特許請求の範囲の1つもしくは複数から、またはその説明の関連する部分からの1つもしくは複数の限定、要素、節、記述用語等が別の請求項に導入されているすべての変更形態、組合せ形態および置換形態を包含することを理解されたい。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、その同じ基本請求項に従属する他の任意の請求項中に記載されている1つまたは複数の限定を含むように改変することができる。さらに、特許請求の範囲に、ある組成物が記載されている場合、別段の指定のない限り、あるいは、矛盾または不一致が生じるであろうことが当業者に明白であることがない限り、本明細書で開示する目的のいずれかのためにその組成物を使用する方法が含まれ、かつ本明細書で開示する作製方法、または当業界で知られている他の方法のいずれかによるその組成物の作製方法が含まれることを理解されたい。例えば、本発明の組成物のどれも、複数の場所のいずれかで、かつ/または本明細書で論じられているかまたは当業界で知られている原因のいずれかに起因する付着の形成、進行および/または再発を阻止するために用いることができることを理解されたい。本明細書で開示する組成物の調製方法によって作製された組成物のどれも、複数の場所のいずれかで、かつ/または本明細書で論じられているかまたは当業界で知られている原因のいずれかに起因する付着の形成、進行および/または再発を阻止するために用いることができることも理解されたい。さらに、本発明は、本明細書で開示する組成物の調製方法のいずれかによって作製された組成物を包含する。
【0169】
要素が列挙として、例えば、マーカッシュグループ形式で示されている場合、その要素の各下位グループも開示されており、そのグループから任意の要素を排除することができることを理解されたい。「含む(comprising)」という用語は、非限定的なものとするものであり、追加の要素またはステップを含めることを許容することも留意されたい。一般に、本発明、または本発明の態様が特定の要素、特徴、ステップ等を含むと言及されている場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そうした要素、特徴、ステップ等からなるか、または本質的にそれからなることを理解すべきである。簡潔にするために、そうした実施形態は、本明細書では、この通りの言葉で具体的に示されていない。したがって、1つまたは複数の要素、特徴、ステップ等を含む本発明の各実施形態について、本発明は、そうした要素、特徴、ステップ等からなるか、または本質的にそれからなる実施形態も提供する。
【0170】
範囲が示されている場合、それには端点も含まれる。さらに、別段の指定がないか、または文脈からかつ/または当業者の理解より明らかでない限り、範囲として示された値は、その文脈による明らかな別段の指定のない限り、本発明の異なる実施形態における示された範囲内で、その範囲の下限の単位の10分の1までの具体的な任意の値を想定できることを理解されたい。別段の指定がないか、または文脈からかつ/または当業者の理解より明らかでない限り、範囲として示された値は、所与の範囲内の任意の下位範囲を想定でき、その下位範囲の端点は、その範囲の下限の単位の10分の1と同じ精度で表わされることも理解されたい。
【0171】
さらに、本発明の特定の任意の実施形態は、特許請求の範囲のいずれか1つまたは複数から明らかに排除することができることを理解されたい。本発明の組成物および/または方法の任意の実施形態、要素、特徴、適用または態様(例えば、任意のペプチド、任意のペプチド改変、任意のナノ粒子、任意のナノエマルジョン、任意の界面活性剤、任意のオイル、任意のプレミックス成分、任意のナノエマルジョン調製方法、任意の治療方法等)を、任意の1つまたは複数の請求項から排除することができる。簡潔にするために、1つまたは複数の要素、特徴、目的または態様が排除される実施形態のすべてが本明細書で明確に示されているわけではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、皮膚、皮下組織または隣接筋肉において生物学的活性を有する2〜30アミノ酸長の少なくとも1つの非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項2】
前記粒子の大部分が、約10〜約250nmの範囲の直径を有する請求項1に記載の懸濁液または分散液。
【請求項3】
前記粒子の大部分が、約10〜約200nmの範囲の直径を有する請求項1に記載の懸濁液または分散液。
【請求項4】
前記粒子の大部分が、約10〜約150nmの範囲の直径を有する請求項1に記載の懸濁液または分散液。
【請求項5】
前記粒子の大部分が、約10〜約120nmの範囲の直径を有する請求項1に記載の懸濁液または分散液。
【請求項6】
前記粒子の大部分が、約10〜約100nmの範囲の直径を有する請求項1に記載の懸濁液または分散液。
【請求項7】
前記粒子の大部分が、約10〜約50nmの範囲の直径を有する請求項1に記載の懸濁液または分散液。
【請求項8】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がKTTKSを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項9】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がEYKTTKSSRLを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項10】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がVIEYKTTKを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項11】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がKTTKを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項12】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がGKTVIEYKTTKSを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項13】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がGKTVIEYKTTKSSRLを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項14】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がWGKTVIEYKTTKSSRLPIIDを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項15】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がCTSHTGAWGKTVIEYKTTKSを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項16】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がTTKSを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項17】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がEEMQRRを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項18】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がガストリン放出ペプチドを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項19】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がVGVAPGを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項20】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がYYRADAを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項21】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がGHKを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項22】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がTTKSを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項23】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がインターフェロンを含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項24】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がインターフェロン誘起物質を含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項25】
粒子の集団を含むナノ粒子の懸濁液または分散液であって、前記粒子の大部分が約10〜約300nmの直径を有し、前記ナノ粒子が、そのアミノ酸配列がP144を含む非改変ペプチドを含む懸濁液または分散液。
【請求項26】
前記ナノ粒子がナノエマルジョンである請求項1〜18のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項27】
前記ナノエマルジョンが、少なくとも1種のオイル、少なくとも1種の界面活性剤、水および非改変ペプチドを含む請求項26に記載の懸濁液または分散液。
【請求項28】
前記ナノエマルジョンが、単一のオイル、単一の界面活性剤、水および非改変ペプチドを含む請求項26に記載の懸濁液または分散液。
【請求項29】
前記ナノエマルジョンが、単一のオイル、単一の界面活性剤、水および非改変ペプチドを含む請求項26に記載の懸濁液または分散液。
【請求項30】
前記オイルが、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロフサスグリの種、ルリヂサ、カデ、カモミール、キャノーラ、キャラウェー、カルナバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナツ、タラの肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、アマニ、ゲラニオール、ヘチマ、ブドウの種、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ホホバ、ククイの実、ラバンディン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカダミアナッツ、アオイ、マンゴーの種、メドウフォームの種、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナツ、ケシの実、カボチャの実、菜種、米ぬか、ローズマリー、サフラワー、ビャクダン、サザンカ、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチベル、クルミおよび小麦胚種のオイル;ステアリン酸ブチル;カプリル酸トリグリセリド;カプリン酸トリグリセリド;シクロメチコン;セバシン酸ジエチル;ジメチコン360;ミリスチン酸イソプロピル;鉱油;オクチルドデカノール;オレイルアルコール;シリコーン油;短鎖トリグリセリド;中鎖トリグリセリド;Labrafac WL1349;長鎖トリグリセリド;その飽和油;およびその不飽和油からなる群から選択される請求項27〜29のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項31】
前記オイルが大豆油である請求項27〜29のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項32】
前記オイルが中鎖トリグリセリドである請求項27〜29のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項33】
前記オイルがLabrafac WL1349である請求項27〜29のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項34】
前記界面活性剤が、ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレオイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;ジアシルグリセロールスクシネート;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサンデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸などの表面活性脂肪酸;脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;脂肪酸ジノグリセリド;脂肪酸アミド;トリオレイン酸ソルビタン(Span85)グリココレート;モノラウリン酸ソルビタン(Span20);ポリソルベート20(Tween−20);ポリソルベート60(Tween−60);ポリソルベート65(Tween−65);ポリソルベート80(Tween−80);ポリソルベート85(Tween−85);ポリオキシエチレンモノステアレート;サーファクチン;ポロキサマー;トリオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(セファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;ジセチルホスフェート;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシル−アミン;アセチルパルミテート;グリセロールリシノレエート;ヘキサデシルステアレート;ミリスチン酸イソプロピル;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000−ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400−モノステアレート;リン脂質;高い界面活性剤特性を有する合成および/または天然洗剤;デオキシコレート;シクロデキストリン;カオトロピック塩;およびイオン対形成剤からなる群から選択される請求項27〜29のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項35】
前記界面活性剤がTweenである請求項27〜29のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項36】
界面活性剤とオイルの重量比が0.5:1〜約2:1の範囲である請求項27〜35のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項37】
界面活性剤とオイルの重量比が約0.25:1である請求項27〜35のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項38】
界面活性剤とオイルの重量比が約0:5:1である請求項27〜35のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項39】
界面活性剤とオイルの重量比が約1:1である請求項27〜35のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項40】
界面活性剤とオイルの重量比が約2:1である請求項27〜35のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項41】
界面活性剤とオイルの重量比が約3:1である請求項27〜35のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項42】
前記ナノ粒子がナノミセルである請求項1〜18のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項43】
懸濁液または分散液と共に、クリーム剤、オイル、軟膏、ゲル剤、噴霧剤、口紅または日焼け止め剤を生成する少なくとも1つの追加の成分をさらに含む請求項1〜42のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液。
【請求項44】
対象を提供するステップと、
化粧または治療上の有用性が得られるような量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を前記対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項45】
対象を提供するステップと、
対象の皮膚または皮下組織を厚くするのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を前記対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項46】
微細な皮膚の線の少なくとも1つの症状を患うか、それに罹りやすいかまたはそれを示す対象を提供するステップと、
前記微細な皮膚の線を治療する、軽減する、改善する、緩和する、その発生を遅延させる、その進行を阻止する、その重篤度を軽減する、またはその発生率を低減するのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項47】
顔のしわの少なくとも1つの症状を患うか、それに罹りやすいかまたはそれを示す対象を提供するステップと、
顔のしわを治療する、軽減する、改善する、緩和する、その発生を遅延させる、その進行を阻止する、その重篤度を軽減する、その発生率を低減するのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項48】
対象を提供するステップと、
前記対象の皮膚の外観を改善するのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項49】
対象を提供するステップと、
前記対象の皮膚の外観を維持するのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項50】
外傷を患う対象を提供するステップと、
前記外傷を治療する、軽減する、改善する、緩和する、その進行を阻止する、またはその重篤度を軽減するのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項51】
肥厚性瘢痕、ケロイド、限局性硬化症、全身性硬化症または細胞外マトリックスの過剰蓄積を特徴とする他の状態の少なくとも1つの症状を患うか、それに罹りやすいかまたはそれを示す対象を提供するステップと、
肥厚性瘢痕、ケロイド、限局性硬化症、全身性硬化症、または細胞外マトリックスの過剰蓄積を特徴とする他の状態に付随する少なくとも1つの症状を治療する、軽減する、改善する、緩和する、その発生を遅延させる、その進行を阻止する、その重篤度を軽減する、またはその発生率を低減するのに有効な量の請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液を対象の皮膚に投与するステップと
を含む方法。
【請求項52】
前記投与ステップを手で実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記投与ステップを、手袋をはめた指で実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記投与ステップを保護していない手で実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記投与ステップをデバイスで実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記投与ステップを接着性パッチで実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記投与ステップをスパチュラで実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記投与ステップをスワブで実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記投与ステップを、針なしシリンジで実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記投与ステップを、前記懸濁液または分散液を皮膚の非標的部位に塗布することなく、皮膚上の標的部位に塗布できるようにするデバイスを用いて実施する請求項44〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記非改変ペプチドのすべてが皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記非改変ペプチドの少なくとも99%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記非改変ペプチドの少なくとも95%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記非改変ペプチドの少なくとも90%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記非改変ペプチドの少なくとも75%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記非改変ペプチドの少なくとも50%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記非改変ペプチドの少なくとも25%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記非改変ペプチドの少なくとも10%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記非改変ペプチドの少なくとも1%が皮膚に浸透する請求項44〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
オイル、界面活性剤、水および非改変ペプチドを含むプレミックスを提供するステップと、
請求項1〜43のいずれか一項に記載の懸濁液または分散液が得られる期間および条件下で、前記プレミックスを、高いせん断力または高圧均質化にかけるステップと
を含む方法。
【請求項71】
前記プレミックスを高いせん断力または高圧均質化にかけるステップが、マイクロ流動化によって実施される請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記プレミックス中のオイルと界面活性剤の重量比が約0.5:1〜約2:1の範囲である請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記プレミックス中のオイルと界面活性剤の重量比が約0.25:1である請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記プレミックス中のオイルと界面活性剤の重量比が約0:5:1である請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記プレミックス中のオイルと界面活性剤の重量比が約1:1である請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記プレミックス中のオイルと界面活性剤の重量比が約2:1である請求項70に記載の方法。
【請求項77】
前記プレミックス中のオイルと界面活性剤の重量比が約3:1である請求項70に記載の方法。
【請求項78】
少なくとも1つの皮膚のサンプル;および
少なくとも1つの非改変ペプチドを含む少なくとも1つの懸濁液または分散液
を提供するステップと、
前記懸濁液または分散液を皮膚のサンプルに投与するステップと、
対照物質の効果に対する、皮膚のサンプルの外観への前記懸濁液または分散液の効果をモニターするステップと
を含む、皮膚の外観を改善する非改変ペプチドを特定する方法。
【請求項79】
前記対照物質が、皮膚のサンプルの外観を改善する物質である請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記対照物質が、皮膚のサンプルの外観を改善しない物質である請求項78に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−502952(P2011−502952A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539506(P2009−539506)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/086040
【国際公開番号】WO2008/140594
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509151120)アンテリオス, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】