説明

ホイール・ブレーキモジュール

【課題】 ハブの破損およびハブボルト・ナットの破損と、その結果としての脱輪事故のないホイール・ブレーキモジュールの提供。
【解決手段】(1) ホイール10、ブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22、ハブ30を一体化したホイール・ブレーキモジュール1。
(2) ホイール10、ブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22、ハブ30を一体化した一体物は車軸40に直接取付けられる。
(3) ホイール10にブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22を、嵌め込み溶着し、一体部品とした。
(4) ホイール10にブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22を、一体鋳造し、一体部品とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイール・ブレーキモジュールに関する。ここで、「モジュール」とは、構造上、および車両への組み付け上の、一単位を言う。
【背景技術】
【0002】
従来、ホイールはブレーキとは別モジュールであり、タイヤとホイールがタイヤ付きホイールとして1モジュールとなっている。
タイヤ交換では、タイヤ付きホイールが車両から取り外されて交換される。したがって、「ホイール+タイヤ」は、他の部品、たとえばブレーキ等とは独立した部品となっている。
タイヤ付ホイールは、ハブ(アクスルハブ)に、ハブボルト・ナットにより取り付けられて固定され、ハブは車軸に取り付けられる。ブレーキもハブにハブボルト・ナットで、ホイールと共に、共締めされる。
特開平10−292832号公報は、ディスクブレーキのブレーキディスクをホイールリムに溶接または一体鋳造により一体化したブレーキを開示している。ただし、ハブは、ホイールまたはブレーキに一体化されておらず、ホイール、ブレーキとは別ピースであり、ホイールはハブに従来と同じ構造で(ハブボルト・ナットにより)取り付けられ、ハブが車軸に固定されている。
【特許文献1】特開平10−292832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来構造および特開平10−292832号公報の構造には、つぎの問題がある。
(イ)ホイールをハブに取付け、その取付けにハブボルト・ナットを用いるため、ハブの破損およびハブボルト・ナットの破損と、その結果としての脱輪事故が生じないような構造とされる必要があり、かつ、ハブボルトの締結力が管理される必要である。
(ロ)ホイールとその周辺のハブやブレーキ部品は、互いに別ピース部品のため、構造の単純化、コストダウンを阻害している。
【0004】
本発明の目的は、ハブの破損およびハブボルト・ナットの破損と、その結果としての脱輪事故のないホイール・ブレーキモジュールを提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、ホイールとその周辺のハブやブレーキ部品の、構造の単純化をはかったホイール・ブレーキモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) ホイール、摩擦摺動部と非摩擦摺動部とを有するブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化したホイール・ブレーキモジュール。(本発明の全実施例に共通)
(2) 前記ホイール、ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化した一体物は車軸に直接取付けられる(1)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の全実施例に共通)
(3) 前記ホイールに前記ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部を、嵌め込み溶着し、一体部品とした(1)または(2)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例1、2、3、4に共通)
(4) 前記ブレーキ回転部材がブレーキディスクであり、車軸への取付け部がホイール側に形成されている(3)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例1に特有)
(5) 前記ブレーキ回転部材がブレーキディスクであり、車軸への取付け部がブレーキ側に形成されている(3)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例2に特有)
(6) 前記ブレーキ回転部材がブレーキドラムであり、車軸への取付け部がホイール側に形成されている(3)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例3に特有)
(7) 前記ブレーキ回転部材がブレーキドラムであり、車軸への取付け部がブレーキ側に形成されている(3)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例4に特有)
(8) 前記ホイールに前記ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部を、一体鋳造し、一体部品とした(1)または(2)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例5、6に共通)
(9) 前記ブレーキ回転部材がブレーキディスクである(8)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例5に特有)
(10) 前記ブレーキ回転部材がブレーキドラムである(8)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例5に特有)
(11) 前記ホイールのリム部内側に、ホイール内側に向けたブレーキディスクの少なくとも非摩擦摺動部を、溶接または一体鋳造して取付け、一体部品とした(1)または (2)記載のホイール・ブレーキモジュール。(本発明の実施例7、8に共通)
【発明の効果】
【0006】
上記(1)のホイール・ブレーキモジュールによれば、ホイール、ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化したので、ホイール、ブレーキとは別ピースのハブをなくしたハブレス構造、ハブボルト・ナットをなくしたハブボルト・ナットレス構造とすることができる。ブレーキ回転部材は、ディスクブレーキではブレーキディスクであり、ドラムブレーキではブレーキドラムである。
ハブレス構造、ハブボルト・ナットレス構造のため、ハブの破損およびハブボルト・ナットの破損はなく、ハブの破損およびハブボルト・ナットの破損の結果としての脱輪事故もない。
ホイール、ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化したので、ホイールとその周辺のハブやブレーキ部品の、構造の単純化をはかることができる。
上記(2)のホイール・ブレーキモジュールによれば、ホイール、ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化した一体物は車軸に直接取付けられるので、ホイール、ブレーキ回転部材をハブを介して車軸に取り付けていた従来構造に比べて、ホイールの車軸への取付け構造を単純化することができ、構造上、強度上の信頼性をあげることができ、脱輪事故をなくすことができる。
上記(3)のホイール・ブレーキモジュールによれば、ホイールにブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部を、嵌め込み溶着(溶接)するので、ホイールとブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部の一体化が可能である。従来はホイールはアルミ鋳造、ブレーキドラム、ブレーキディスクは鋳鉄のため、溶接や鋳造による一体化ができないが、本発明では、ブレーキドラム、ブレーキディスクの少なくとも非摩擦摺動部をアルミ鋳造とすることにより、ホイールをアルミ、ブレーキ部品をアルミとすることができ、ホイールとブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部との溶接が可能になり、ホイールとブレーキ回転部材の一体化が可能となる。
上記(4)〜(7)のホイール・ブレーキモジュールは、上記(3)のホイール・ブレーキモジュールの取り得る構造の態様である。
上記(8)のホイール・ブレーキモジュールによれば、ホイールとブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部を一体鋳造するので、ホイールとブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部の一体化が可能である。従来はホイールはアルミ鋳造、ブレーキドラム、ブレーキディスクは鋳鉄のため、溶接や鋳造による一体化ができないが、本発明では、ブレーキドラム、ブレーキディスクの少なくとも非摩擦摺動部をアルミ鋳造とすることにより、ホイールをアルミ、ブレーキ部品をアルミとすることができ、ブレーキドラム、ブレーキディスクの少なくとも非摩擦摺動部との一体鋳造が可能になり、ホイールとブレーキ回転部材の一体化が可能となる。
上記(9)、(10)のホイール・ブレーキモジュールは、上記(8)のホイール・ブレーキモジュールの取り得る構造の態様である。
上記(11)のホイール・ブレーキモジュールによれば、ホイールのリム部内側に、ホイール内側に向けたブレーキディスクの少なくとも非摩擦摺動部を、溶接または一体鋳造して取付け、一体部品としたので、ハブをホイールに一体化することにより、ハブレス構造、ハブボルト・ナットレス構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のホイール・ブレーキモジュールを、図1〜図8を参照して説明する。
図中、図1は本発明の実施例1を示し、図2は本発明の実施例2を示し、図3は本発明の実施例3を示し、図4は本発明の実施例4を示し、図5は本発明の実施例5を示し、図6は本発明の実施例6を示し、図7は本発明の実施例7を示し、図8は本発明の実施例8を示す。
本発明の全実施例にわたって共通するかまたは類似の構造をもつ部分には、本発明の全実施例にわたって同じ符号を付してある。
【0008】
まず、本発明の全実施例にわたって共通するかまたは類似の構造をもつ部分を、図1を参照して、説明する。
本発明のホイール・ブレーキモジュール1は、自動車用であり、ホイール10、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22を有するブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22、ハブ30が一体化されたものである。ホイール・ブレーキモジュール1のホイール10、ブレーキ回転部材20、ハブ30は、一体化されたホイール・ブレーキモジュール1のうち、ホイール10の部分、ブレーキ回転部材20の部分、ハブ30の部分という意味である。ホイール・ブレーキモジュール1は、ホイール10、ブレーキ回転部材20とは別ピースのハブをもたず、ハブボルト・ナットをもたない。
ホイール10、ブレーキ回転部材20、ハブ30の材料は、アルミ(アルミ合金を含む)であり、ブレーキ回転部材20は部分的に(摩擦摺動部21が)セラミック強化されている。
ホイール10、ブレーキ回転部材20、ハブ30の一体化は、溶接接合によるか、または一体鋳造による。アルミ部品とアルミ部品のため、溶接も可能であるし、一体鋳造も可能である。
【0009】
ホイール10は、タイヤ横装填式のホイールであってもよいし、あるいは、ドロップにタイヤビードを落とし込んでタイヤをリムに装着する一般的なホイールであってもよい。
タイヤ横装填式のホイールの場合は、リムがドロップ部をもたず軸方向に平坦になっており、かつ、リムの両端フランジの少なくとも一端フランジ11がフランジ以外の部分であるリム本体部12に対して着脱可能構造となっている。この着脱可能フランジ11を外してタイヤ13を横方向からリム外周に装填し、タイヤ装填後、フランジ11をリム本体12に装着、固定する。
ホイール10は、リムとディスクを一体に鋳造するワンピース型であってもよいし、あるいはリムとディスクを別々に製造して嵌合、溶接して製造するツーピース型であってもよい。
ホイール10とハブ30とブレーキ回転部材20が一体に製造されるホイール・ブレーキモジュールの場合、摩擦摺動部21の精度出し加工を行い易くするためにツーピース型ホイールが望ましい。
【0010】
ブレーキ回転部材20は、ディスクブレーキではブレーキディスク20Aであり、ドラムブレーキではブレーキドラム20Bである。ブレーキ回転部材20の摩擦摺動部21は、たとえば、多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させる等により、セラミック強化されている。このセラミック強化によって、キャリパー23からパッドが摩擦摺動部21に押しつけられても、摩擦摺動部21は硬さ上、耐熱上、問題を生じることはない。
【0011】
ハブ30はホイール10とブレーキ回転部材20との何れか少なくとも一方に一体鋳造されて一体化されている。ハブ30は一体化されたホイール・ブレーキモジュール1の一部分を構成している。
【0012】
ホイール10、ブレーキ回転部材20、ハブ30を一体化した一体物であるホイール・ブレーキモジュール1は、車軸40に、直接、取付けられる。車軸40はホイール・ブレーキモジュール1のハブ30に形成した孔31を挿通しており、車軸40の先端に形成されたねじに螺子結合されたナット41と、車軸40の途中に設けられた段部42との間にホイール・ブレーキモジュール1のハブ30をはさみ込んで、ホイール・ブレーキモジュール1を軸方向に固定する。ホイール・ブレーキモジュール1のハブ30に直接取り付けられた車軸40は、ベアリングを介して、ナックルおよびサスペンションにより、車体に回転可能に支持される。
【0013】
車軸40とホイール・ブレーキモジュール1とは、回転方向には一体的に回転するように連結されている。この連結は、ホイール・ブレーキモジュール1のハブ30の孔31と車軸40の外周をスプライン連結するか、または圧入固定するか、等により行われる。ホイール・ブレーキモジュール1のハブ30の孔31の補強が必要であれば、ハブ30の孔31に炭素鋼の鍛造品等のスリーブを埋め込んでもよい。車軸40は炭素鋼品である。
また、ホイール・ブレーキモジュール1のハブ30には、曲げモーメントがかかる部位や、断面形状が変化する部位に、ハブ30部位での破損を防止するために、炭素鋼の補強材を埋め込んで鋳造してもよい。
【0014】
つぎに、本発明の全実施例にわたって共通するかまたは類似の構造をもつ部分の作用・効果を説明する。
まず、ホイール10、ブレーキ回転部材20(ブレーキ回転部材20は、ディスクブレーキではブレーキディスク20Aであり、ドラムブレーキではブレーキドラム20B)の少なくとも非摩擦摺動部22、ハブ30を一体化したので、ホイール10、ブレーキ回転部材20とは別ピースであった従来ハブをなくしたハブレス構造、従来ハブボルト・ナットをなくしたハブボルト・ナットレス構造、従来のボルト孔をなくしたボルト孔レス構造とすることができる。
ハブレス構造、ハブボルト・ナットレス構造、ボルト孔レス構造のため、従来構造のようなハブの破損およびハブボルト・ナットの破損はなく、ボルト孔からのホイール、ハブ、ブレーキ回転部材の疲労破損もなく、ハブが破損あるいはハブボルト・ナットが破損した場合に発生していた脱輪事故もない。また、ハブボルト・ナットレス構造によって、ハブボルトの締付け荷重を管理する必要もなく、ハブボルトの緩みやそれによるハブボルトの折損、脱輪事故も防止される。
ホイール10、ブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22、ハブ30を一体化したので、ホイール10とその周辺の部品(ハブ30やブレーキ回転部材20)の、構造の単純化、強度の向上またはハブ部位の厚さの薄肉化をはかることができ、コストダウン、軽量化に寄与できる。
【0015】
ホイール10、ブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22、ハブ30を一体化した一体物であるホイール・ブレーキモジュール1は車軸40に直接取付けられるので、ホイール10、ブレーキ回転部材20をホイール、ブレーキ回転部材とは別ピースのハブを介して車軸に取り付けていた従来構造に比べて、ホイールの車軸への取付け構造を単純化する(ハブボルト孔レス、ハブボルト・ナットレスとする)ことができ、構造上、強度上の信頼性をあげることができ、脱輪事故をなくすことができる。
【0016】
従来はホイールはアルミ鋳造、ブレーキディスク、ブレーキドラムは鋳鉄のため、溶接によるホイールとの一体化ができないが、本発明では、ブレーキディスク、ブレーキドラムをアルミ鋳造として、ホイール10とブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22を共にアルミとしたので、ホイール10にブレーキ回転部材20を嵌め込み、溶接することにより、ホイール10とブレーキ回転部材20を一体化することができる。また、ブレーキディスク、ブレーキドラムの摩擦摺動部21をセラミック強化する(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて部分的に強化する)ことにより、ブレーキディスク20A、ブレーキドラム20Bをアルミ鋳造品としても、硬さ上、耐熱上、問題は生じない。
【0017】
同様に、従来はホイールはアルミ鋳造、ブレーキディスク、ブレーキドラムは鋳鉄のため、一体鋳造によるホイールとの一体化ができないが、本発明では、ホイール10とブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22を共にアルミとしたので、ホイール10とブレーキ回転部材20の少なくとも非摩擦摺動部22を一体鋳造することにより一体化することができる。また、ブレーキディスク、ブレーキドラムの摩擦摺動部21をセラミック強化する(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて部分的に強化する)ことにより、ブレーキディスク20A、ブレーキドラム20Bをアルミ鋳造品としても、硬さ上、耐熱上、問題は生じない。
【0018】
ブレーキディスク20A、ブレーキドラム20Bにおいて、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22とは、一体化される。この一体化は、一体形成(鋳ぐるみなど)により、あるいは、別ピースに形成され、溶接により、あるいは一体鋳造により、あるいはボルト・ナットなどによる機械的連結により、行われる。
【0019】
つぎに、本発明の各実施例を説明する。
〔実施例1−−−図1〕
本発明の実施例1では、図1に示すように、ホイール10にハブ30が一体鋳造されている。ブレーキディスク20Aはハブ30部位の外周に嵌められ、セラミック強化された摩擦摺動部21以外の部位(非摩擦摺動部22)で、ハブ30部位に溶接され、ホイール10とハブ30の一体物に一体化されている。その結果、ホイール10、ブレーキディスク20A、ハブ30が、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はホイール10とハブ30の一体物側で車軸40に取付けられる。
ブレーキディスク20Aの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の内周部を非摩擦摺動部22の外周部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例1の作用・効果については、ホイール10とハブ30の一体物と、ブレーキディスク20Aとは、互いに別々に鋳造されるので、鋳造時の型抜きが可能であり、金型設計が容易である。
【0020】
〔実施例2−−−図2〕
本発明の実施例2では、図2に示すように、ブレーキディスク20Aにハブ30が一体鋳造されている。ホイール10はハブ30部位の外周に嵌められ、セラミック強化された摩擦摺動部21以外の部位(非摩擦摺動部22)で、ハブ30部位に溶接され、ブレーキディスク20Aとハブ30の一体物に一体化されている。その結果、ホイール10、ブレーキディスク20A、ハブ30が、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はブレーキディスク20Aとハブ30の一体物側で車軸40に取付けられる。
ブレーキディスク20Aの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の内周部を非摩擦摺動部22の外周部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例2の作用・効果については、ブレーキディスク20Aとハブ30の一体物と、ホイール10とは、別々に鋳造されるので、鋳造時の型抜きが可能であり、金型設計が容易である。
【0021】
〔実施例3−−−図3〕
本発明の実施例3では、図3に示すように、ホイール10にハブ30が一体鋳造されている。ブレーキドラム20Bはハブ30部位の外周に嵌められ、セラミック強化された摩擦摺動部21以外の部位(非摩擦摺動部22)で、ハブ30部位に溶接され、ホイール10とハブ30の一体物に一体化されている。その結果、ホイール10、ブレーキドラム20B、ハブ30が、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はホイール10とハブ30の一体物側で車軸40に取付けられる。
ブレーキドラム20Bの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の一端部を非摩擦摺動部22の端部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例3の作用・効果については、ホイール10とハブ30の一体物と、ブレーキドラム20Bとは、互いに別々に鋳造されるので、鋳造時の型抜きが可能であり、金型設計が容易である。
【0022】
〔実施例4−−−図4〕
本発明の実施例4では、図4に示すように、ブレーキドラム20Bの少なくとも非摩擦摺動部22にハブ30が一体鋳造されている。ホイール10はハブ30部位の外周に嵌められ、セラミック強化された摩擦摺動部21以外の部位(非摩擦摺動部22)で、ハブ30部位に溶接され、ブレーキドラム20Bとハブ30の一体物に一体化されている。その結果、ホイール10、ブレーキドラム20B、ハブ30が、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はブレーキドラム20Bとハブ30の一体物側で車軸40に取付けられる。
ブレーキドラム20Bの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の一端部を非摩擦摺動部22の端部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例4の作用・効果については、ブレーキドラム20Bとハブ30の一体物と、ホイール10とは、別々に鋳造されるので、鋳造時の型抜きが可能であり、金型設計が容易である。
【0023】
〔実施例5−−−図5〕
本発明の実施例5では、図5に示すように、ホイール10とブレーキディスク20Aの少なくとも非摩擦摺動部22とハブ30とが、一体鋳造されている。ブレーキディスク20Aには、セラミック強化された摩擦摺動部21が設けられている。ホイール10、ブレーキディスク20A、ハブ30は、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はハブ30部位で車軸40に取付けられる。
ブレーキディスク20Aの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の内周部を非摩擦摺動部22の外周部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例5の作用・効果については、ホイール10とブレーキディスク20Aとハブ30の一体物は、同時に鋳造されるので、軸方向にホイール10とブレーキディスク20Aとの間の型部分に中子を配置することが必要であり、金型設計が複雑になるが、ホイール10とブレーキディスク20Aとハブ30間に切れ目がないので、構造の信頼性が高い。
【0024】
〔実施例6−−−図6〕
本発明の実施例6では、図6に示すように、ホイール10とブレーキドラム20Bの少なくとも非摩擦摺動部22とハブ30とが、一体鋳造されている。ブレーキドラム20Bには、セラミック強化された摩擦摺動部21が設けられている。ホイール10、ブレーキドラム20B、ハブ30は、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はハブ30部位で車軸40に取付けられる。
ブレーキドラム20Bの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の一端部を非摩擦摺動部22の端部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例6の作用・効果については、ホイール10とブレーキドラム20Bとハブ30の一体物は、同時に鋳造されるので、軸方向にホイール10とブレーキドラム20Bとの間の型部分に中子を配置することが必要であり、金型設計が複雑になるが、ホイール10とブレーキドラム20Bとハブ30間に切れ目がないので、構造の信頼性が高い。
【0025】
〔実施例7−−−図7〕
本発明の実施例7では、図7に示すように、ホイール10にハブ30が一体鋳造されている。ブレーキディスク20Aはホイール10のリム本体部12の内周側にホイール内側に向けて取付けられ、セラミック強化部21以外の部位(非摩擦摺動部22)で、リム本体部12に溶接され、ホイール10とハブ30の一体物に一体化されている。その結果、ホイール10、ブレーキディスク20A、ハブ30が、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はホイール10とハブ30の一体物側で車軸40に取付けられる。
ブレーキディスク20Aの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の外周部を非摩擦摺動部22の内周部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例7の作用・効果については、ホイール10とハブ30の一体物と、ブレーキディスク20Aとは、互いに別々に鋳造されるので、鋳造時の型抜きが可能であり、金型設計が容易である。
【0026】
〔実施例8−−−図8〕
本発明の実施例8では、図8に示すように、ホイール10にハブ30が一体鋳造されている。ブレーキディスク20Aはホイール10のリム本体部12の内周側にホイール内側に向かって延びており、リム本体部12に一体鋳造され、ホイール10とハブ30の一体物に一体化されている。その結果、ホイール10、ブレーキディスク20A、ハブ30が、ホイール・ブレーキモジュール1を構成している。ホイール・ブレーキモジュール1はホイール10とハブ30の一体物側で車軸40に取付けられる。
ブレーキドラム20Bの摩擦摺動部21(多孔質セラミックにアルミ溶湯を含浸させて作製する場合の摩擦摺動部21)は、非摩擦摺動部22と予め別ピースで作製され、その後摩擦摺動部21の外周部を非摩擦摺動部22の内周部に、鋳ぐるみ、あるいは、ボルト・ナット等の機械的連結により、一体化してもよい。これにより、摩擦摺動部21と非摩擦摺動部22の製造速度の差を調整できる。ただし、摩擦摺動部21のアルミ溶湯の含浸と非摩擦摺動部22の鋳造を同じ工程で製造してもよい。
実施例8の作用・効果については、ホイール10とブレーキディスク20Aとハブ30の一体物は、同時に鋳造されるので、軸方向にホイール10とブレーキディスク20Aとの間の型部分に中子を配置することが必要であり、金型設計が複雑になるが、ホイール10とブレーキディスク20Aとハブ30間に切れ目がないので、構造の信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図2】本発明の実施例2のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図3】本発明の実施例3のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図4】本発明の実施例4のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図5】本発明の実施例5のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図6】本発明の実施例6のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図7】本発明の実施例7のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【図8】本発明の実施例8のホイール・ブレーキモジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ホイール・ブレーキモジュール
10 ホイール
11 フランジ
12 リム本体部
13 タイヤ
20 ブレーキ回転部材
20A ブレーキディスク
20B ブレーキドラム
21 摩擦摺動部
22 非摩擦摺動部
23 キャリパー
30 ハブ
31 孔
40 車軸
41 ナット
42 段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール、摩擦摺動部と非摩擦摺動部を有するブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化したホイール・ブレーキモジュール。
【請求項2】
前記ホイール、ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部、ハブを一体化した一体物は車軸に直接取付けられる請求項1記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項3】
前記ホイールに前記ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部を、嵌め込み溶着し、一体部品とした請求項1または請求項2記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項4】
前記ブレーキ回転部材がブレーキディスクであり、車軸への取付け部がホイール側に形成されている請求項3記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項5】
前記ブレーキ回転部材がブレーキディスクであり、車軸への取付け部がブレーキ側に形成されている請求項3記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項6】
前記ブレーキ回転部材がブレーキドラムであり、車軸への取付け部がホイール側に形成されている請求項3記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項7】
前記ブレーキ回転部材がブレーキドラムであり、車軸への取付け部がブレーキ側に形成されている請求項3記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項8】
前記ホイールに前記ブレーキ回転部材の少なくとも非摩擦摺動部を、一体鋳造し、一体部品とした請求項1または請求項2記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項9】
前記ブレーキ回転部材がブレーキディスクである請求項8記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項10】
前記ブレーキ回転部材がブレーキドラムである請求項8記載のホイール・ブレーキモジュール。
【請求項11】
前記ホイールのリム部内側に、ホイール内側に向けたブレーキディスクの少なくとも非摩擦摺動部を、溶接または一体鋳造して取付け、一体部品とした請求項1または請求項2記載のホイール・ブレーキモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−21688(P2006−21688A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202694(P2004−202694)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】