説明

ホログラム素子、照明装置、プロジェクタ、及びホログラム素子の製造方法

【課題】複数の波長領域の光に対して確実な光学性能が得られ、かつコンパクトな構成に適したホログラム素子、そのホログラム素子を用いる照明装置、プロジェクタ、及びホログラム素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】入射する光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子12であって、第1波長領域の光を第1領域において回折させることにより照明パターンを形成させ、かつ第1波長領域とは異なる第2波長領域の光を、第1領域と同一の平面上の第2領域において回折させることにより照明パターンを形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム素子、照明装置、プロジェクタ、及びホログラム素子の製造方法、特に、プロジェクタの照明装置に用いられるホログラム素子の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの小型化が進められている。これに伴い、空間光変調装置、例えば液晶表示装置の小型化も行われている。光を透過させる透過型液晶表示装置の場合、小型化に伴い、画素同士の間の遮光部であるブラックマトリクスの割合が増加することとなるため、開口率が低下することになる。これに対して、光を反射させる反射型液晶表示装置の場合、画素ごとの制御ラインが反射電極の下に配置されるため、画素同士の間隔を極めて小さくすることが可能となる。画素同士の間隔を小さくできることで、開口率の低下を低減できる。また、反射型液晶表示装置を用いる場合、反射型液晶表示装置へ入射する光と同一の光路を利用して光を射出させる構成とすることで、光学系の小型化も可能となる。これらのことから、プロジェクタの小型化には、反射型液晶表示装置が適しているといえる。反射型液晶表示装置を用いるプロジェクタの技術は、例えば特許文献1にて提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−84820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プロジェクタの光源として、レーザ光源を用いる技術が提案されている。プロジェクタの光源として従来用いられている超高圧水銀ランプ(UHPランプ)と比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。レーザ光源を用いる照明装置には、ホログラム素子を用いることができる。ホログラム素子は、レーザ光を回折させることにより、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を同時に行うことが可能である。ホログラム素子は、回折させる光の波長に対応させた構成とすることで、照明領域の整形や光量分布の均一化等を正確に行うことが可能となる。複数の色光により画像を表示する場合、確実な光学性能を得るには、色光ごとのホログラム素子を用いることとなる。
【0005】
ホログラム素子と反射型液晶表示装置とを組み合わせる場合、反射型液晶表示装置へ入射する光と同一の光路を利用して光を射出させる構成とすることが難しく、レーザ光源から反射型液晶表示装置までの光路が色光ごとに必要となる。レーザ光源から反射型液晶表示装置までの色光ごとの光路が必要となることで、コンパクトな光学系を実現することが困難となる。以上のように、従来の技術によると、複数の波長領域の光に対する良好な光学性能と、ホログラム素子が組み込まれた構成の小型化とを両立させることが困難であるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数の波長領域の光に対して確実な光学性能が得られ、かつコンパクトな構成に適したホログラム素子、そのホログラム素子を用いる照明装置、プロジェクタ、及びホログラム素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るホログラム素子は、入射する光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子であって、第1波長領域の光を第1領域において回折させることにより照明パターンを形成させ、かつ第1波長領域とは異なる第2波長領域の光を、第1領域と同一の平面上の第2領域において回折させることにより照明パターンを形成させることを特徴とする。
【0007】
同一の平面上の第1領域及び第2領域において第1波長領域の光、第2波長領域の光をそれぞれ回折させることで、波長領域ごとにホログラム素子を配置する場合より照明装置を少ない部品点数にでき、かつ省スペース化を図れる。また、領域ごとに異なる波長領域の光を回折させる構成とすることで、複数の波長領域の光に対して確実な光学性能を得ることが可能となる。これにより、複数の波長領域の光に対して確実な光学性能が得られ、かつコンパクトな構成に適したホログラム素子を得られる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、第1領域及び第2領域に形成された複数の凸部を有し、第1領域に設けられた凸部は、第1波長領域に対応する第1単位長さを単位として、平面に略直交する方向への長さが設定され、第2領域に設けられた凸部は、第2波長領域に対応する第2単位長さを単位として、平面に略直交する方向への長さが設定されることが望ましい。これにより、領域ごとに異なる波長の光を回折させる構成とし、複数の波長の光に対して確実な光学性能が得られる。
【0009】
さらに、本発明に係る照明装置は、コヒーレント光を供給する光源部と、コヒーレント光を回折させる上記のホログラム素子と、を有することを特徴とする。上記のホログラム素子を用いることにより、複数の波長の光に対して確実な光学性能が得られ、かつコンパクトな構成にできる。これにより、高性能かつコンパクトな照明装置を得られる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部は、第1波長領域のコヒーレント光を供給する第1光源部と、第1波長領域とは異なる第2波長領域のコヒーレント光を供給する第2光源部と、を備え、ホログラム素子は、第1波長領域のコヒーレント光を第1領域において回折させることにより照明パターンを形成させ、かつ第2波長領域のコヒーレント光を、第1領域と同一の平面上の第2領域において回折させることにより照明パターンを形成させることが望ましい。これにより、第1波長領域のコヒーレント光及び第2波長領域のコヒーレント光に対して確実な光学性能を持つホログラム素子を得られる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、ホログラム素子からの第1波長領域のコヒーレント光と、第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる光分離部を有することが望ましい。これにより、ホログラム素子からの第1波長領域のコヒーレント光と第2波長領域のコヒーレント光とを異なる方向へ進行させることができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、第1光源部は、第1振動方向を有する第1偏光光であるコヒーレント光を供給し、第2光源部は、第1振動方向に略直交する第2振動方向を有する第2偏光光であるコヒーレント光を供給し、光分離部は、第1偏光光を反射させ第2偏光光を透過させる偏光分離部を備えることが望ましい。これにより、第1波長領域のコヒーレント光と第2波長領域のコヒーレント光とを分離させることができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部は、第1波長領域及び第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、ホログラム素子は、第1領域及び第2領域と同一の平面上の第3領域において第3波長領域のコヒーレント光を回折させることにより照明パターンを形成させ、光分離部は、第1波長領域のコヒーレント光、第3波長領域のコヒーレント光と、第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる第1光分離部と、第1波長領域のコヒーレント光と第3波長領域のコヒーレント光とを分離させる第2光分離部と、を備えることが望ましい。3つの波長領域の光を供給可能とすることで、画像表示の用途に適した構成にできる。3つの波長領域の光に対して1つのホログラム素子を用いる構成とすることで、複数のホログラム素子を用いる場合と比較して、照明装置を少ない部品点数のコンパクトな構成にできる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、第2光分離部は、第1波長領域のコヒーレント光を透過させ第3波長領域のコヒーレント光を反射させる波長分離部を備えることが望ましい。これにより、第1波長のコヒーレント光と第3波長のコヒーレント光とを分離させることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、光源部は、第1波長領域及び第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、ホログラム素子は、第1波長領域のコヒーレント光及び第2波長領域のコヒーレント光を回折させる第1ホログラム素子を備え、さらに、第3波長領域のコヒーレント光を回折させる第2ホログラム素子を有することが望ましい。3つの波長領域の光を供給可能とすることで、画像表示の用途に適した構成にできる。3つの波長領域の光に対して2つのホログラム素子を用いる構成とすることで、3つのホログラム素子を用いる場合と比較して、照明装置を少ない部品点数のコンパクトな構成にできる。また、1つのホログラム素子で各波長領域の光を回折させる場合と比較して、ホログラム素子の光軸に対する回折光のシフト量を少なくでき、回折効率を高めることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、ホログラム素子は、一次回折光を被照射面に入射させることが望ましい。さらに、ホログラム素子は、一次回折光のみを被照射面に入射させることが望ましい。一次回折光とゼロ次回折光を同時に被照射面に入射させる構成において、一次回折光と比較してゼロ次回折光の光量が大きい場合、ゼロ次回折光と一次回折光が重なって、照明領域の一部のみが明るくなる場合がある。一次回折光のみを入射させる構成とすることで、光量分布を均一化させることが可能となる。これにより、均一化された光量分布の光を供給することができる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、第1光源部及び第2光源部は、平面に沿った特定方向へ並列させた第1波長領域のコヒーレント光及び第2波長領域のコヒーレント光をホログラム素子へ入射させ、ホログラム素子は、特定方向に略直交する平面内においてホログラム素子の光軸からシフトさせた一次回折光を被照射面に入射させることが望ましい。この場合、第1波長領域、第2波長領域の各コヒーレント光についてホログラム素子の光軸からの一次回折光のシフト量を同一にできる。これにより、第1波長領域、第2波長領域の各コヒーレント光について略同一の回折効率とすることができる。
【0018】
さらに、本発明に係るプロジェクタは、上記の照明装置と、照明装置からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることにより、高性能かつコンパクトな構成にできる。これにより、明るく高品質な画像を表示でき、かつコンパクトなプロジェクタを得られる。
【0019】
また、本発明の好ましい態様としては、照明装置は、第1波長領域のコヒーレント光を供給する第1光源部と、第1波長領域とは異なる第2波長領域のコヒーレント光を供給する第2光源部と、第1光源部及び第2光源部からのコヒーレント光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子と、ホログラム素子からの第1波長領域のコヒーレント光と第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる光分離部と、を備え、空間光変調装置は、第1波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置と、第2波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置と、を備え、第1空間光変調装置は、光分離部からの第1波長領域のコヒーレント光を変調して光分離部へ入射させ、第2空間光変調装置は、光分離部からの第2波長領域のコヒーレント光を変調して光分離部へ入射させ、光分離部は、第1空間光変調装置からの第1波長領域のコヒーレント光と、第2空間光変調装置からの第2波長領域のコヒーレント光とを合成させ、被投写面の方向へ進行させることが望ましい。この場合、第1波長領域のコヒーレント光、及び第2波長領域のコヒーレント光について、空間光変調装置へ入射するときと同一の光路を利用して射出させる構成とすることができる。これにより、コンパクトな構成を実現できる。
【0020】
また、本発明の好ましい態様としては、照明装置は、第1波長領域及び第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、ホログラム素子は、第3光源部からのコヒーレント光を回折させることにより照明パターンを形成させ、空間光変調装置は、第3波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置を備え、光分離部は、第1波長領域のコヒーレント光、第3波長領域のコヒーレント光と、第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる第1光分離部と、第1波長領域のコヒーレント光と第3波長領域のコヒーレント光とを分離させる第2光分離部と、を備え、第1空間光変調装置は、第2光分離部からの第1波長領域のコヒーレント光を変調して第2光分離部へ入射させ、第3空間光変調装置は、第2光分離部からの第3波長領域のコヒーレント光を変調して第2光分離部へ入射させ、第2光分離部は、第1空間光変調装置からの第1波長領域のコヒーレント光と、第3空間光変調装置からの第3波長領域のコヒーレント光とを合成させ、第1光分離部の方向へ進行させ、第2空間光変調装置は、第1光分離部からの第2波長領域のコヒーレント光を変調して第1光分離部へ入射させ、第1光分離部は、第2光分離部からの第1波長領域のコヒーレント光、第3波長領域のコヒーレント光と、第2空間光変調装置からの第2波長領域のコヒーレント光を合成させ、被投写面の方向へ進行させることが望ましい。これにより、第1波長領域のコヒーレント光、第2波長領域のコヒーレント光、第3波長領域のコヒーレント光について、空間光変調装置へ入射するときと同一の光路を利用して射出させる構成にできる。
【0021】
また、本発明の好ましい態様としては、照明装置は、第1波長領域及び第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、ホログラム素子は、第1波長領域のコヒーレント光及び第2波長領域のコヒーレント光を回折させる第1ホログラム素子を備え、さらに、第3波長領域のコヒーレント光を回折させる第2ホログラム素子と、第2ホログラム素子からの第3波長領域のコヒーレント光が入射する位置に設けられた光合成部と、を備え、空間光変調装置は、光合成部からの第3波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置を備え、光分離部は、第1ホログラム素子からの第1波長領域のコヒーレント光と第2波長領域のコヒーレント光とを分離させ、第3空間光変調装置は、光合成部からの第3波長領域のコヒーレント光を変調して光合成部へ入射させ、光合成部は、光分離部からの第1波長領域のコヒーレント光、第2波長領域のコヒーレント光と、第3空間光変調装置からの第3波長領域のコヒーレント光とを合成させ、被投写面の方向へ進行させることが望ましい。これにより、第1波長領域のコヒーレント光、第2波長領域のコヒーレント光、第3波長領域のコヒーレント光について、空間光変調装置へ入射するときと同一の光路を利用して射出させる構成にできる。
【0022】
さらに、本発明に係るホログラム素子の製造方法は、入射する光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子の製造方法であって、第1波長領域に対応する第1単位長さを単位として、第1平面に略直交する方向への長さが設定された複数の凸部が第1平面上に形成された第1の型を形成する第1型形成工程と、第1波長領域とは異なる第2波長領域に対応する第2単位長さを単位として、第2平面に略直交する方向への長さが設定された複数の凸部が第2平面上に形成された第2の型を形成する第2型形成工程と、第1の型及び第2の型を並列させる並列工程と、並列工程において並列させた第1の型及び第2の型の形状を、材料部材へ転写する転写工程と、を含むことを特徴とする。これにより、領域ごとに異なる波長の光を回折可能なホログラム素子を、簡易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係るプロジェクタ10の概略構成を示す。プロジェクタ10は、スクリーン(不図示)に光を供給し、スクリーンで反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ10は、赤色(R)光用光源部11R、緑色(G)光用光源部11G、及び青色(B)光用光源部11Bを有する。R光用光源部11R、G光用光源部11G、B光用光源部11Bは、コヒーレント光であるレーザ光を供給する光源部である。
【0025】
R光用光源部11Rは、第1波長領域のレーザ光であるR光を供給する第1光源部である。G光用光源部11Gは、第1波長領域とは異なる第2波長領域のレーザ光であるG光を供給する第2光源部である。B光用光源部11Bは、第1波長領域及び第2波長領域とは異なる第3波長領域のレーザ光であるB光を供給する第3光源部である。R光用光源部11R、G光用光源部11G、B光用光源部11Bは、半導体レーザを備える。R光用光源部11R及びB光用光源部11Bは、第1振動方向を有する第1偏光光を供給する。第1偏光光は、例えばs偏光光である。G光用光源部11Gは、第2振動方向を有する第2偏光光を供給する。第2偏光光は、例えばp偏光光である。
【0026】
各色光用光源部11R、11G、11Bからのレーザ光は、ホログラム素子12へ入射する。ホログラム素子12は、各色光用光源部11R、11G、11Bからのコヒーレント光を回折させることにより、被照射面上に所定の照明パターンを形成させる。被照射面は、各色光用空間光変調装置20R、20G、20Bの入射面である。ホログラム素子12へ入射するレーザ光は、略円形状のスポットを形成するビーム形状をなしている。また、ホログラム素子12へ入射するレーザ光は、スポットの中心にて光量が最大となり、スポットの中心から離れるに従い光量が低下するような光量分布を示す。これに対して、ホログラム素子12は、被照射面において、矩形形状かつ均一化された光量分布の照明パターンを形成する。ホログラム素子12は、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を行う。
【0027】
ホログラム素子12からのレーザ光は、フィールドレンズ14を経た後、偏光分離部15へ入射する。フィールドレンズ14は、ホログラム素子12からのレーザ光を平行化させる。偏光分離部15は、R光、B光とG光とを分離させる第1光分離部である。偏光分離部15は、2つの直角プリズムを貼り合わせて構成されている。2つの直角プリズムの間には、偏光分離膜16がコーティングされている。偏光分離膜16は、例えば誘電体多層膜である。偏光分離部15は、偏光分離膜16において、第1偏光光であるs偏光光を反射させ、第2偏光光であるp偏光光を透過させる。偏光分離部15は、キューブ型である他、板状であっても良い。
【0028】
波長分離部17は、偏光分離部15に関して投写レンズ21の側とは反対側に設けられている。波長分離部17は、R光とB光とを分離させる第2光分離部である。波長分離部17は、2つの直角プリズムを貼り合わせて構成されている。2つの直角プリズムの間には、波長分離膜18がコーティングされている。波長分離膜18は、例えば誘電体多層膜である。波長分離部17は、波長分離膜18において、第1波長領域のレーザ光であるR光を透過させ、第3波長領域のレーザ光であるB光を反射させる。波長分離部17は、キューブ型である他、板状であっても良い。各色光用光源部11R、11G、11B、ホログラム素子12、フィールドレンズ14、偏光分離部15、波長分離部17及びプリズム19は、照明装置を構成する。
【0029】
R光用空間光変調装置20Rは、波長分離部17のうち偏光分離部15の側とは反対側の面に設けられている。B光用空間光変調装置20Bは、波長分離膜18に関してR光用空間光変調装置20Rと対称な位置に設けられている。R光用空間光変調装置20Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置である。R光用空間光変調装置20Rは、波長分離部17からのR光を変調して波長分離部17へ入射させる。B光用空間光変調装置20Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置である。B光用空間光変調装置20Bは、波長分離部17からのB光を変調して波長分離部17へ入射させる。
【0030】
プリズム19は、偏光分離部15に関してフィールドレンズ14の側とは反対側に設けられている。G光用空間光変調装置20Gは、プリズム19のうち偏光分離部15の側とは反対側の面に設けられている。G光用空間光変調装置20Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置である。G光用空間光変調装置20Gは、プリズム19を経た偏光分離部15からのG光を変調し、プリズム19を経て偏光分離部15へ入射させる。R光用空間光変調装置20R、B光用空間光変調装置20B、G光用空間光変調装置20Gは、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)である。なお、プロジェクタ10は、プリズム19を省略し、プリズム19に相当する部分に空隙を設けることとしても良い。投写レンズ21は、各色光用空間光変調装置20R、20G、20Bにおいて変調された各色光を投写させる。
【0031】
図2は、ホログラム素子12の構成を示す。ホログラム素子12は、支持部13によって支持されている。ホログラム素子12は、第1領域AR1、第2領域AR2及び第3領域AR3を備える。第1領域AR1、第2領域AR2及び第3領域AR3は、同一の平面であるXY面上にある。Z方向は、当該平面に略直交する方向である。R光用光源部11R(図1参照)は、第1領域AR1へR光を入射させる。ホログラム素子12は、第1領域AR1においてR光を回折させる。G光用光源部11G(図1参照)は、第2領域AR2へG光を入射させる。ホログラム素子12は、第2領域AR2においてG光を回折させる。B光用光源部11B(図1参照)は、第3領域AR3へB光を入射させる。ホログラム素子12は、第3領域AR3においてB光を回折させる。
【0032】
図3は、ホログラム素子12の表面構成を模式的に表したものである。図4は、図3のAA断面構成を示す。第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3には、複数の凸部25が形成されている。凸部25は、ホログラム素子12の表面であって、例えば光を射出させる射出面に設けられている。凸部25は、XY面内において矩形形状を有する。図3において、凸部25の着色は、高低差を表している。ここでは、濃い黒色を付した部分ほど高く形成されていること、言い換えると図3の紙面手前側にあることを表している。凸部25は、図4に示す断面において、矩形形状をなしている。ホログラム素子12は、凸部25ごとにレーザ光の初期位相を変化させる。ホログラム素子12は、レーザ光の位相を空間的に変化させることにより、回折光を生じさせる。コヒーレント光であるレーザ光をホログラム素子12へ入射させるため、良好な回折特性を得ることができる。
【0033】
図5は、Z方向についての凸部25の長さの設定について説明するものである。第1領域AR1に設けられた凸部25は、第1単位長さd1を単位として、Z方向への長さが設定される。第1単位長さd1は、第1波長領域に対応している。第2領域AR2に設けられた凸部25は、第2単位長さd2を単位として、Z方向への長さが設定されている。第2単位長さd2は、第2波長領域に対応している。第3領域AR3に設けられた凸部25は、第3単位長さd3を単位として、Z方向への長さが設定されている。第3単位長さd3は、第3波長領域に対応している。ホログラム素子12は、Z方向についての凸部25の長さ、XY面内における凸部25のピッチ及びパターンを含む表面条件を最適化することにより、所望の機能を備える構成にできる。
【0034】
同一の平面上の第1領域AR1、第2領域AR2及び第3領域AR3においてR光、G光、B光をそれぞれ回折させることで、波長領域ごとにホログラム素子を配置する場合より少ない部品点数にでき、かつ省スペース化を図れる。また、領域ごとに異なる波長領域の光を回折させる構成とすることで、複数の波長領域の光に対して確実な光学性能を得ることが可能となる。3つの波長領域の光に対して1つのホログラム素子12を用いる構成とすることで、複数のホログラム素子を用いる場合と比較して、少ない部品点数のコンパクトな構成にできる。また、光学系において必要な偏光分離膜16を1つにできる。
【0035】
図6は、偏光分離部15及び波長分離部17における各色光の分離及び合成について説明するものである。ホログラム素子12からのR光L1、G光L3、B光L5は、偏光分離部15へ入射する。s偏光光であるR光L1は、偏光分離膜16での反射により光路が折り曲げられ、波長分離部17へ入射する。波長分離部17へ入射したR光L1は、波長分離膜18を透過し、R光用空間光変調装置20Rへ入射する。R光用空間光変調装置20Rにおける変調によりs偏光光からp偏光光へ変換されたR光L2は、波長分離部17を透過し、偏光分離部15へ入射する。偏光分離部15へ入射したR光L2は、偏光分離膜16を透過し、投写レンズ21(図1参照)の方向へ進行する。
【0036】
p偏光光であるG光L3は、偏光分離膜16を透過し、プリズム19へ入射する。プリズム19を透過したG光L3は、G光用空間光変調装置20Gへ入射する。G光用空間光変調装置20Gにおける変調によりp偏光光からs偏光光へ変換されたG光L4は、プリズム19を透過し、偏光分離部15へ入射する。プリズム19を設けることで、G光の光路長を、R光、B光の光路長と同等にできる。偏光分離部15へ入射したG光L4は、偏光分離膜16における反射により光路が折り曲げられ、投写レンズ21の方向へ進行する。
【0037】
s偏光光であるB光L5は、偏光分離膜16での反射により光路が折り曲げられ、波長分離部17へ入射する。波長分離部17へ入射したB光L5は、波長分離膜18での反射により光路が折り曲げられ、B光用空間光変調装置20Bへ入射する。B光用空間光変調装置20Bにおける変調によりs偏光光からp偏光光へ変換されたB光L6は、波長分離膜18における反射により光路が折り曲げられ、偏光分離部15へ入射する。波長分離部17は、R光用空間光変調装置20RからのR光L2、及びB光用空間光変調装置20BからのB光L6を合成させ、偏光分離部15の方向へ進行させる。偏光分離部15へ入射したB光L6は、偏光分離膜16を透過し、投写レンズ21の方向へ進行する。偏光分離部15は、R光用空間光変調装置20RからのR光L2、B光用空間光変調装置20BからのB光L6と、G光用空間光変調装置20GからのG光L4とを合成させ、被投写面であるスクリーン(不図示)の方向へ進行させる。
【0038】
上記のホログラム素子12を用いることにより、複数の波長の光に対して確実な光学性能が得られ、かつ照明装置をコンパクトな構成にできる。また、各色光について、空間光変調装置へ入射するときと同一の光路を利用して光を射出させる構成とすることができる。これにより、高性能かつコンパクトな構成により、明るく高品質な画像を表示できるという効果を奏する。
【0039】
プロジェクタ10は、空間光変調装置へ入射するときと同一の光路を利用して光を射出可能な構成であれば良く、本実施例で説明する構成である場合に限られない。例えば、本実施例で説明する構成を基準としてR、G、Bを入れ替えても良い。偏光分離部15は、s偏光光を反射させp偏光光を透過させるものに限られず、プロジェクタ10の構成に応じて偏光特性を任意に設定できる。波長分離部17は、R光を透過させB光を反射させるものに限られず、プロジェクタ10の構成に応じて波長特性を任意に設定できる。
【0040】
各色光用光源部11R、11G、11Bは、半導体レーザからのレーザ光の波長を変換する波長変換素子、例えば、第二高調波発生(Second-Harmonic Generation;SHG)素子を用いる構成としても良い。各色光用光源部11R、11G、11Bは、半導体レーザに代えて、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザや、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザ等を用いても良い。
【0041】
ホログラム素子12は、例えば、型を用いた型転写によって製造することができる。まず、石英基板上にレジストを塗布した後、電子ビーム描画装置によりレジストに電子ビームを照射し、このレジストをパターニングする。次いで、エッチング処理することにより、石英からなるモールド(型)を形成する。そして、合成樹脂製のフィルム状部材など、ホログラム素子12を形成するための基板とモールドとを、基板のガラス転移温度以上にまで加熱する。基板とモールドとを押し付け一定時間保持した後、基板とモールドとを基板のガラス転移温度以下にまで冷却し、基板とモールドとを離す。これにより、基板に所望の形状が転写されたホログラム素子12が形成される。
【0042】
このように、ホログラム素子12は、モールド(型)を形成した後、そのモールドの形状を基板に熱転写させる、いわゆるナノインプリントの手法により形成することができる。なお、ここで説明した製造方法は一例であって、所望の形状を有するホログラム素子12を製造可能であれば、任意の手法を用いることができる。
【実施例2】
【0043】
図7は、本発明の実施例2に係るプロジェクタ30の概略構成を示す。本実施例のプロジェクタ30は、第1ホログラム素子32及び第2ホログラム素子33を有する。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0044】
R光用光源部31Rは、第1波長領域のレーザ光であるR光を供給する第1光源部である。B光用光源部31Bは、第1波長領域とは異なる第2波長領域のレーザ光であるB光を供給する第2光源部である。G光用光源部31Gは、第1波長領域及び第2波長領域とは異なる第3波長領域のレーザ光であるG光を供給する第3光源部である。R光用光源部31R、B光用光源部31B、G光用光源部31Gは、半導体レーザを備える。R光用光源部31Rは、第1振動方向を有する第1偏光光を供給する。第1偏光光は、例えばs偏光光である。B光用光源部31B及びG光用光源部31Gは、第2振動方向を有する第2偏光光を供給する。第2偏光光は、例えばp偏光光である。
【0045】
R光用光源部31RからのR光及びB光用光源部31BからのB光は、第1ホログラム素子32へ入射する。第1ホログラム素子32は、R光用光源部31RからのR光及びB光用光源部31BからのB光を回折させることにより、被照射面上に所定の照明パターンを形成させる。第1ホログラム素子32は、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を行う。第1ホログラム素子32は、第1領域においてR光を回折させる。また、第1ホログラム素子32は、第1領域と同一の平面上の第2領域においてB光を回折させる。第1ホログラム素子32からのR光及びB光は、フィールドレンズ14を経た後、偏光分離部34へ入射する。偏光分離部34は、フィールドレンズ14を経た第1ホログラム素子32からのR光及びB光が入射する位置に設けられている。
【0046】
G光用光源部31GからのG光は、第2ホログラム素子33へ入射する。第2ホログラム素子33は、照明領域の整形、拡大、及び照明領域における光量分布の均一化を行う。第2ホログラム素子33は、G光を回折させる。第2ホログラム素子33からのG光は、フィールドレンズ14を経た後、光合成部37へ入射する。光合成部37は、フィールドレンズ14を経た第2ホログラム素子33からのG光が入射する位置に設けられている。
【0047】
偏光分離部34は、第1ホログラム素子32からのR光とB光とを分離させる光分離部である。偏光分離部34は、2つの直角プリズムを貼り合わせて構成されている。2つの直角プリズムの間には、偏光分離膜35がコーティングされている。偏光分離膜35は、例えば誘電体多層膜である。偏光分離部34は、偏光分離膜35において、第1偏光光であるs偏光光を反射させ、第2偏光光であるp偏光光を透過させる。光合成部37は、R光、B光とG光とを合成させる。光合成部37は、2つの直角プリズムを貼り合わせて構成されている。2つの直角プリズムの間には、偏光分離膜38がコーティングされている。偏光分離膜38は、例えば誘電体多層膜である。光合成部37は、偏光分離膜38において、第1偏光光であるs偏光光を反射させ、第2偏光光であるp偏光光を透過させる。偏光分離部34、光合成部37は、キューブ型である他、板状であっても良い。
【0048】
偏光分離部34及び光合成部37の間には、波長選択偏光変換部36が設けられている。波長選択偏光変換部36は、s偏光光であるB光をp偏光光に変換させ、p偏光光であるR光をそのまま通過させる。波長選択偏光変換部36としては、例えば、カラーリンク社(米国)のカラーセレクトを用いることができる。各色光用光源部31R、31B、31G、第1ホログラム素子32、第2ホログラム素子33、2つのフィールドレンズ14、偏光分離部34、波長選択偏光変換部36、光合成部37及びプリズム19は、照明装置を構成する。
【0049】
R光用空間光変調装置20Rは、偏光分離部34のうち波長選択偏光変換部36の側とは反対側に設けられている。R光用空間光変調装置20Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置である。R光用空間光変調装置20Rは、偏光分離部34からのR光を変調して偏光分離部34へ入射させる。B光用空間光変調装置20Bは、偏光分離膜35に関してR光用空間光変調装置20Rと対称な位置に設けられている。B光用空間光変調装置20Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置である。B光用空間光変調装置20Bは、偏光分離部34からのB光を変調して偏光分離部34へ入射させる。
【0050】
プリズム19は、光合成部37に関してフィールドレンズ14の側とは反対側に設けられている。G光用空間光変調装置20Gは、プリズム19のうち光合成部37の側とは反対側の面に設けられている。G光用空間光変調装置20Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置である。G光用空間光変調装置20Gは、プリズム19を経た光合成部37からのG光を変調し、プリズム19を経て光合成部37へ入射させる。
【0051】
3つの波長領域の光に対して2つのホログラム素子32、33を用いる構成とすることで、3つのホログラム素子を用いる場合と比較して、少ない部品点数のコンパクトな構成にできる。また、第1ホログラム素子32は、1つのホログラム素子で3つの波長領域の光を回折させる場合と比較して、第1ホログラム素子32の光軸AX1に対する回折光のシフト量を少なくでき、回折効率を高めることができる。
【0052】
図8は、偏光分離部34及び光合成部37における各色光の分離及び合成について説明するものである。第1ホログラム素子32からのR光L11、B光L13は、偏光分離部34へ入射する。s偏光光であるR光L11は、偏光分離膜35での反射により光路が折り曲げられ、R光用空間光変調装置20Rへ入射する。R光用空間光変調装置20Rにおける変調によりs偏光光からp偏光光に変換されたR光L12は、偏光分離膜35を透過する。偏光分離部34から射出されたR光L12は、波長選択偏光変換部36を透過し、光合成部37へ入射する。光合成部37へ入射したR光L12は、偏光分離膜38を透過し、投写レンズ21(図7参照)の方向へ進行する。
【0053】
p偏光光であるB光L13は、偏光分離膜35を透過し、B光用空間光変調装置20Bへ入射する。B光用空間光変調装置20Bにおける変調によりp偏光光からs偏光光へ変換されたB光L14は、偏光分離膜35における反射により光路が折り曲げられ、波長選択偏光変換部36へ入射する。波長選択偏光変換部36へ入射したB光L14は、s偏光光からp偏光光へ変換される。p偏光光へ変換されたB光L14は、偏光分離膜38を透過し、投写レンズ21の方向へ進行する。偏光分離部34は、R光用空間光変調装置20RからのR光L12、及びB光用空間光変調装置20BからのB光L14を合成させ、光合成部37の方向へ進行させる。
【0054】
第2ホログラム素子33からのG光L15は、光合成部37へ入射する。p偏光光であるG光L15は、偏光分離膜38を透過し、プリズム19へ入射する。プリズム19を透過したG光L15は、G光用空間光変調装置20Gへ入射する。G光用空間光変調装置20Gにおける変調によりp偏光光からs偏光光へ変換されたG光L16は、プリズム19を透過し、光合成部37へ入射する。光合成部37へ入射したG光L16は、偏光分離膜38における反射により光路が折り曲げられ、投写レンズ21の方向へ進行する。光合成部37は、R光用空間光変調装置20RからのR光L12、B光用空間光変調装置20BからのB光L14と、G光用空間光変調装置20GからのG光L16とを合成させ、被投写面であるスクリーン(不図示)の方向へ進行させる。
【0055】
上記のホログラム素子32、33を用いることにより、複数の波長の光に対して確実な光学性能が得られ、かつ照明装置をコンパクトな構成にできる。また、各色光について、空間光変調装置へ入射するときと同一の光路を利用して光を射出させる構成とすることができる。本実施例の場合も、高性能かつコンパクトな構成により、明るく高品質な画像を表示できる。本実施例の場合も、例えば、本実施例で説明する構成を基準としてR、G、Bを入れ替えても良い。偏光分離部34及び光合成部37は、s偏光光を反射させp偏光光を透過させるものに限られず、プロジェクタ30の構成に応じて偏光特性を任意に設定できる。波長選択偏光変換部36は、R光及びB光のうちB光のみを偏光変換させるものに限られず、プロジェクタ30の構成に応じて波長特性及び偏光特性を任意に設定できる。
【実施例3】
【0056】
図9は、本発明の実施例3に係るプロジェクタ40の概略構成を示す。本実施例のプロジェクタ40は、ホログラム素子41、42により一次回折光を被照射面に入射させることを特徴とする。上記実施例2と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0057】
図10は、B光用光源部31BからB光用空間光変調装置20Bまでの光路中の各要素のYZ平面構成を示す。R光用光源部31Rは、B光用光源部31Bの紙面奥側(マイナスX側)にある。R光用空間光変調装置20Rは、偏光分離部34の紙面奥側(マイナスX側)にある。R光用光源部31R及びB光用光源部31Bは、X方向へ並列させたR光及びB光を第1ホログラム素子41へ入射させる。X方向は、平面であるXY面に沿った特定方向である。
【0058】
YZ面内において、B光用光源部31B及びR光用光源部31Rは、第1ホログラム素子41の光軸AX1上に配置されている。B光用光源部31B、R光用光源部31R及び第1ホログラム素子41は、偏光分離部34から光軸AX1をシフトさせて配置されている。第1ホログラム素子41は、YZ面内において光軸AX1からシフトさせた一次回折光のみを被照射面に入射させる。YZ平面は、特定方向であるX方向に略直交する平面である。
【0059】
図11は、G光用光源部31GからG光用空間光変調装置20Gまでの光路中の各要素のYZ平面構成を示す。YZ面内において、G光用光源部31Gは、第2ホログラム素子42の光軸AX2上に配置されている。G光用光源部31G及び第2ホログラム素子42は、光合成部37から光軸AX2をシフトさせて配置されている。第2ホログラム素子42は、YZ面内において光軸AX2からシフトさせた一次回折光のみを被照射面に入射させる。一次回折光とゼロ次回折光を同時に被照射面に入射させる構成において、一次回折光と比較してゼロ次回折光の光量が大きい場合、ゼロ次回折光と一次回折光が重なって、照明領域の一部のみが明るくなる場合がある。一次回折光のみを入射させる構成とすることで、光量分布を均一化させることが可能となる。これにより、均一化された光量分布の光を供給することができる。
【0060】
図12は、本実施例の比較例であって、透過型の空間光変調装置52を用いる場合の構成例を示す。ホログラム素子51からの一次回折光は、フィールドレンズ14を経て空間光変調装置52へ入射する。空間光変調装置52で変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム53でR光、B光と合成され、投写レンズ21へ進行する。この場合、R光、G光、B光を並列させるXZ面内において光軸から一次回折光をシフトさせる構成にできる。
【0061】
これに対して、図9に示す本実施例のプロジェクタ40の場合、XZ面内において光軸AX1、AX2から一次回折光をシフトさせる構成とすると、光軸AX1、AX2からの一次回折光のシフト量が色光ごとに異なることとなる。一次回折光のシフト量が色光ごとに異なる場合、各色光について同等の回折効率を得ることが困難となる。本実施例のように、YZ平面内において光軸AX1、AX2から一次回折光をシフトさせる構成とすることで、光軸AX1、AX2からの一次回折光のシフト量を同一にできる。これにより、各色光について略同一の回折効率とすることができる。
【0062】
上記各実施例のプロジェクタにおいて、レーザ光源に代えてUHPランプ等のランプを用いる場合、色光ごとに偏光方向を揃えるための波長選択偏光変換部(カラーセレクト)が必要となる。波長選択偏光変換部は、偏光分離部の手前に設けることとなる。例えば図1の構成の場合、波長選択偏光変換部は、フィールドレンズ14と偏光分離部15の間に設けることができる。図7の構成の場合、波長選択偏光変換部は、フィールドレンズ14と偏光分離部34の間、及び必要に応じてフィールドレンズ14と光合成部37の間に設けることができる。レーザ光源を用いる場合、色光ごとに所定の偏光光を供給することが可能であるから、かかる波長選択偏光変換部を不要にできるという利点がある。
【0063】
上記各実施例のプロジェクタは、各色光用光源部とホログラム素子との間に、プリ偏光板を設けても良い。プリ偏光板は、第1偏光光を射出させる光源部に対しては第1偏光光を透過させる構成、第2偏光光を射出させる光源部に対しては第2偏光光を透過させる構成とし、それぞれの波長領域に対応させたものを用いることができる。プリ偏光板を用いることで、さらにコントラストを高めることが可能となる。
【0064】
上記各実施例のプロジェクタは、空間光変調装置として反射型液晶表示装置の他、DMD(Digital Micromirror Device)等を用いる構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置へ入射する光と同一の光路を利用して光を射出させる構成であれば良く、反射型の空間光変調装置以外のものを用いる構成であっても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる構成の他、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から出射される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
【0065】
本発明に係る照明装置は、プロジェクタに適用する場合に限られない。例えば、投写光学系を用いず空間光変調装置の画像を直接観察する直視型の画像表示装置に適用しても良い。また、本発明に係る照明装置は、レーザ光による露光のための露光装置や、レーザ光により照明された像をモニタするモニタ装置に適用しても良い。本発明の照明装置は、3つの色光を供給するものに限られず、互いに異なる波長領域の複数のレーザ光を供給する構成であれば良い。本発明に係るホログラム素子は、照明領域の整形及び光量分布の均一化を行うものに限られない。照明領域の整形及び光量分布の均一化の少なくとも一方を行うものであれば良い。さらに、ホログラム素子は、照明領域の整形及び光量分布の均一化の少なくとも一方を行うものである場合に限られず、例えば、レーザ光の分岐や偏向等を行うものであっても良い。本発明に係るホログラム素子は、レーザ加工機の光学系、光ディスク再生装置における光ピックアップ用の光学系等、表面レリーフ型ホログラム素子が用いられるあらゆる分野にて適用可能である。
【実施例4】
【0066】
図13及び図14は、本発明の実施例4に係るホログラム素子の製造方法により、ホログラム素子66を製造する手順を説明するものである。図13に示す工程aは、第1の型である第1モールド61を形成する第1型形成工程である。第1モールド61は、第1平面S1上に形成された複数の凸部62を有する。第1平面S1は、第1モールド61のうち凸部62が形成された面とは反対側の面であるとする。凸部62は、第1単位長さd1を単位として、第1平面S1に略直交する方向への長さが設定されている。第1単位長さd1は、第1波長領域に対応している。
【0067】
第1モールド61は、例えば、露光及びエッチングを経て形成することができる。例えば、石英基板上にレジストを塗布した後、電子ビーム描画装置によりレジストに電子ビームを照射し、レジストをパターニングする。次いで、エッチング処理を施すことにより、石英からなる第1モールド61を得ることができる。
【0068】
工程bは、第2の型である第2モールド63を形成する第2型形成工程である。第2モールド63は、第2平面S2上に形成された複数の凸部64を有する。第2平面S2は、第2モールド63のうち凸部64が形成された面とは反対側の面であるとする。凸部64は、第2単位長さd2を単位として、第2平面S2に略直交する方向への長さが設定されている。第2単位長さd2は、第2波長領域に対応している。第2モールド63は、第1モールド61と同様にして形成することができる。第1モールド61及び第2モールド63は、互いに独立した工程により形成される。
【0069】
次に、並列工程である工程cにおいて、第1モールド61及び第2モールド63を並列させる。第1モールド61及び第2モールド63は、略同一の平面上に凸部62、64が並列するように配置される。本実施例では、第1モールド61及び第2モールド63は、第1平面S1及び第2平面S2が略同一の平面上に並列するように配置されている。第1モールド61及び第2モールド63は、例えば、共通の支持部材を用いて支持することとしても良い。
【0070】
工程cにおいて並列させた第1モールド61及び第2モールド63の形状を、転写工程である工程dにおいて、材料部材65へ転写する。工程dでは、例えば、熱転写によるナノインプリントの手法を用いることができる。材料部材65は、例えば、熱可塑性樹脂部材である。第1モールド61、第2モールド63、材料部材65は、材料部材65のガラス転移温度以上にまで加熱される。加熱により軟化した材料部材65に第1モールド61及び第2モールド63を押し付け、一定時間保持する。第1モールド61、第2モールド63、材料部材65が、材料部材65のガラス転移温度以下にまで冷却された後、第1モールド61及び第2モールド63と材料部材65とを離す。これにより、工程eに示すように、第1モールド61及び第2モールド63の形状が転写されたホログラム素子66が完成する。
【0071】
互いに独立した工程で形成される第1モールド61及び第2モールド63は、複数の単位長さを単位とする凸部を備える型(モールド)を一括して形成する場合に比較して、簡易に製造することができる。転写工程において用いる型が簡易に製造可能であることにより、複数の単位長さを単位とする凸部25を備えるホログラム素子66を簡易に製造することが可能となる。これにより、領域ごとに異なる波長の光を回折可能なホログラム素子を簡易に製造できるという効果を奏する。領域ごとに異なる波長の光を回折させる上記各実施例のホログラム素子は、本実施例で説明する製造方法を用いることにより、簡易に製造することができる。
【0072】
なお、転写工程では、熱転写以外の手法を用いても良い。転写工程では、例えば、光転写によるナノインプリントの手法を用いることとしても良い。光転写の場合、材料部材65としては、例えば光硬化性樹脂を用いる。第1モールド61及び第2モールド63が押し付けられた材料部材65を紫外線の照射により硬化させることで、第1モールド61及び第2モールド63の形状を転写することができる。さらに、転写工程では、射出成形の手法により、第1モールド61及び第2モールド63の形状を転写することとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明に係るホログラム素子及び照明装置は、プロジェクタに用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【図2】ホログラム素子の構成を示す図。
【図3】ホログラム素子の表面構成を模式的に表した図。
【図4】図3のAA断面構成を示す図。
【図5】Z方向についての凸部の長さの設定について説明する図。
【図6】各色光の分離及び合成について説明する図。
【図7】本発明の実施例2に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【図8】各色光の分離及び合成について説明する図。
【図9】本発明の実施例3に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【図10】B光に関する各要素のYZ平面構成を示す図。
【図11】G光に関する各要素のYZ平図構成を示す図。
【図12】実施例3の比較例を示す図。
【図13】本発明の実施例4によりホログラム素子を製造する手順を説明する図。
【図14】本発明の実施例4によりホログラム素子を製造する手順を説明する図。
【符号の説明】
【0075】
10 プロジェクタ、11R R光用光源部、11G G光用光源部、11B B光用光源部、12 ホログラム素子、13 支持部、14 フィールドレンズ、15 偏光分離部、16 偏光分離膜、17 波長分離部、18 波長分離膜、19 プリズム、20R R光用空間光変調装置、20G G光用空間光変調装置、20B B光用空間光変調装置、21 投写レンズ、AR1 第1領域、AR2 第2領域、AR3 第3領域、25 凸部、30 プロジェクタ、31R R光用光源部、31B B光用光源部、31G
G光用光源部、32 第1ホログラム素子、33 第2ホログラム素子、34 偏光分離部、35 偏光分離膜、36 波長選択偏光変換部、37 光合成部、38 偏光分離膜、40 プロジェクタ、41 第1ホログラム素子、42 第2ホログラム素子、AX1、AX2 光軸、51 ホログラム素子、52 空間光変調装置、53 クロスダイクロイックプリズム、61 第1モールド、62 凸部、S1 第1平面、63 第2モールド、64 凸部、S2 第2平面、65 材料部材、66 ホログラム素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子であって、
第1波長領域の光を第1領域において回折させることにより前記照明パターンを形成させ、かつ前記第1波長領域とは異なる第2波長領域の光を、前記第1領域と同一の平面上の第2領域において回折させることにより前記照明パターンを形成させることを特徴とするホログラム素子。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域に形成された複数の凸部を有し、
前記第1領域に設けられた前記凸部は、前記第1波長領域に対応する第1単位長さを単位として、前記平面に略直交する方向への長さが設定され、
前記第2領域に設けられた前記凸部は、前記第2波長領域に対応する第2単位長さを単位として、前記平面に略直交する方向への長さが設定されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム素子。
【請求項3】
コヒーレント光を供給する光源部と、
前記コヒーレント光を回折させる請求項1又は2に記載のホログラム素子と、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
前記光源部は、第1波長領域のコヒーレント光を供給する第1光源部と、前記第1波長領域とは異なる第2波長領域のコヒーレント光を供給する第2光源部と、を備え、
前記ホログラム素子は、前記第1波長領域のコヒーレント光を第1領域において回折させることにより前記照明パターンを形成させ、かつ前記第2波長領域のコヒーレント光を、前記第1領域と同一の平面上の第2領域において回折させることにより前記照明パターンを形成させることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ホログラム素子からの前記第1波長領域のコヒーレント光と、前記第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる光分離部を有することを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1光源部は、第1振動方向を有する第1偏光光であるコヒーレント光を供給し、前記第2光源部は、前記第1振動方向に略直交する第2振動方向を有する第2偏光光であるコヒーレント光を供給し、
前記光分離部は、前記第1偏光光を反射させ前記第2偏光光を透過させる偏光分離部を備えることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光源部は、前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、
前記ホログラム素子は、前記第1領域及び前記第2領域と同一の平面上の第3領域において前記第3波長領域のコヒーレント光を回折させることにより前記照明パターンを形成させ、
前記光分離部は、前記第1波長領域のコヒーレント光、前記第3波長領域のコヒーレント光と、前記第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる第1光分離部と、前記第1波長領域のコヒーレント光と前記第3波長領域のコヒーレント光とを分離させる第2光分離部と、を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第2光分離部は、前記第1波長領域のコヒーレント光を透過させ前記第3波長領域のコヒーレント光を反射させる波長分離部を備えることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源部は、前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、
前記ホログラム素子は、前記第1波長領域のコヒーレント光及び前記第2波長領域のコヒーレント光を回折させる第1ホログラム素子を備え、
さらに、前記第3波長領域のコヒーレント光を回折させる第2ホログラム素子を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記ホログラム素子は、一次回折光を被照射面に入射させることを特徴とする請求項3〜9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1光源部及び前記第2光源部は、前記平面に沿った特定方向へ並列させた前記第1波長領域のコヒーレント光及び前記第2波長領域のコヒーレント光を前記ホログラム素子へ入射させ、
前記ホログラム素子は、前記特定方向に略直交する平面内において前記ホログラム素子の光軸からシフトさせた前記一次回折光を前記被照射面に入射させることを特徴とする請求項10に記載の照明装置。
【請求項12】
請求項3〜11のいずれか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項13】
前記照明装置は、
第1波長領域のコヒーレント光を供給する第1光源部と、
前記第1波長領域とは異なる第2波長領域のコヒーレント光を供給する第2光源部と、前記第1光源部及び前記第2光源部からの前記コヒーレント光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子と、
前記ホログラム素子からの前記第1波長領域のコヒーレント光と前記第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる光分離部と、を備え、
前記空間光変調装置は、
前記第1波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第1空間光変調装置と、
前記第2波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第2空間光変調装置と、を備え、
前記第1空間光変調装置は、前記光分離部からの前記第1波長領域のコヒーレント光を変調して前記光分離部へ入射させ、
前記第2空間光変調装置は、前記光分離部からの前記第2波長領域のコヒーレント光を変調して前記光分離部へ入射させ、
前記光分離部は、前記第1空間光変調装置からの前記第1波長領域のコヒーレント光と、前記第2空間光変調装置からの前記第2波長領域のコヒーレント光とを合成させ、被投写面の方向へ進行させることを特徴とする請求項12に記載のプロジェクタ。
【請求項14】
前記照明装置は、前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、
前記ホログラム素子は、前記第3光源部からの前記コヒーレント光を回折させることにより前記照明パターンを形成させ、
前記空間光変調装置は、前記第3波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置を備え、
前記光分離部は、前記第1波長領域のコヒーレント光、前記第3波長領域のコヒーレント光と、前記第2波長領域のコヒーレント光とを分離させる第1光分離部と、前記第1波長領域のコヒーレント光と前記第3波長領域のコヒーレント光とを分離させる第2光分離部と、を備え、
前記第1空間光変調装置は、前記第2光分離部からの前記第1波長領域のコヒーレント光を変調して前記第2光分離部へ入射させ、
前記第3空間光変調装置は、前記第2光分離部からの前記第3波長領域のコヒーレント光を変調して前記第2光分離部へ入射させ、
前記第2光分離部は、前記第1空間光変調装置からの前記第1波長領域のコヒーレント光と、前記第3空間光変調装置からの前記第3波長領域のコヒーレント光とを合成させ、前記第1光分離部の方向へ進行させ、
前記第2空間光変調装置は、前記第1光分離部からの前記第2波長領域のコヒーレント光を変調して前記第1光分離部へ入射させ、
前記第1光分離部は、前記第2光分離部からの前記第1波長領域のコヒーレント光、前記第3波長領域のコヒーレント光と、前記第2空間光変調装置からの前記第2波長領域のコヒーレント光とを合成させ、前記被投写面の方向へ進行させることを特徴とする請求項13に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
前記照明装置は、前記第1波長領域及び前記第2波長領域とは異なる第3波長領域のコヒーレント光を供給する第3光源部を備え、
前記ホログラム素子は、前記第1波長領域のコヒーレント光及び前記第2波長領域のコヒーレント光を回折させる第1ホログラム素子を備え、
さらに、前記第3波長領域のコヒーレント光を回折させる第2ホログラム素子と、
前記第2ホログラム素子からの前記第3波長領域のコヒーレント光が入射する位置に設けられた光合成部と、を備え、
前記空間光変調装置は、前記光合成部からの前記第3波長領域のコヒーレント光を画像信号に応じて変調する第3空間光変調装置を備え、
前記光分離部は、前記第1ホログラム素子からの前記第1波長領域のコヒーレント光と前記第2波長領域のコヒーレント光とを分離させ、
前記第3空間光変調装置は、前記光合成部からの前記第3波長領域のコヒーレント光を変調して前記光合成部へ入射させ、
前記光合成部は、前記光分離部からの前記第1波長領域のコヒーレント光、前記第2波長領域のコヒーレント光と、前記第3空間光変調装置からの前記第3波長領域のコヒーレント光とを合成させ、前記被投写面の方向へ進行させることを特徴とする請求項13に記載のプロジェクタ。
【請求項16】
入射する光を回折させることにより被照射面上に所定の照明パターンを形成させるホログラム素子の製造方法であって、
第1波長領域に対応する第1単位長さを単位として、第1平面に略直交する方向への長さが設定された複数の凸部が前記第1平面上に形成された第1の型を形成する第1型形成工程と、
前記第1波長領域とは異なる第2波長領域に対応する第2単位長さを単位として、第2平面に略直交する方向への長さが設定された複数の凸部が前記第2平面上に形成された第2の型を形成する第2型形成工程と、
前記第1の型及び前記第2の型を並列させる並列工程と、
前記並列工程において並列させた前記第1の型及び前記第2の型の形状を、材料部材へ転写する転写工程と、を含むことを特徴とするホログラム素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−268878(P2008−268878A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15876(P2008−15876)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】