説明

ホワイトニング製品

【課題】より制御された溶解および崩壊特性を提供する歯ホワイトニング製品を提供する。
【解決手段】本発明は、一般に、バリア、ならびに、制御された崩壊特性を有するフィルム、さらに詳細には、制御された水崩壊性フィルムに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
本出願は、2007年2月12日出願の同時係属出願の米国特許出願第11/705,263号の一部継続出願であり、当該米国特許出願第11/705,263号の先願日の利益を主張するものである。本出願および米国特許出願第11/705,263号は、ともに、2005年3月22日出願の同時係属出願の米国特許出願第11/086,517号の一部継続出願であり、米国特許出願第11/086,517号の先願日の利益を主張するものである。当該米国特許出願第11/086,517号は、2005年1月7日出願の同時係属出願の米国特許出願第11/030,846号の一部継続出願であり、米国特許出願第11/030,846号の先願日の利益を主張するものである。当該米国特許出願第11/030,846号は、2004年3月3日出願の同時係属出願の米国特許出願第10/792,362号の一部継続出願であり、当該米国特許出願第10/792,362号の先願日の利益を主張するものである。これらの特許出願は、すべて、参照することによってそのまま本明細書に組み入れられている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、一般に、制御された透過性および崩壊特性を有する崩壊フィルム層(disintegrable film layers)を含むホワイトニング製品または用品(devices)に関するものであり、さらに詳細には、制御された透水性を提供する崩壊フィルムを有する用品に関するものである。
【0003】
〔発明の背景〕
多くの人は、より白い歯と「より輝く(brighter)」笑顔を望む。着色した歯は、さえない(dull)、また、美容上魅力的でないとみなされることが多い。不運なことに、適当な予防措置もしくは改善措置を講じなければ、着色した歯は、歯の素材の吸収性がもたらす必然的結果である。喫煙もしくはたばこ製品の他の口内使用、特定の食品および飲料(特にコーヒー、お茶、赤ワイン)を食べる、噛むもしくは飲むなどの毎日の行為が、歯の表面に望ましくない着色を引き起こす。着色は、歯垢と関連するものを含めて、微生物の活動からも起こる可能性がある。これらの材料中の色素原もしくは発色物質(color causing substances)は、外皮層の一部になり、エナメル層を透過する可能性がある。日常のブラッシングやフロス使用でも、長年の色素原の蓄積が、顕著な歯の変色を起こす場合がある。
【0004】
最近、上記の問題を解決しようと、多数の家庭用の歯ホワイトニング製品が市場に導入されている。
【0005】
最近導入された歯ホワイトニング製品の例は、歯ホワイトニング組成物を詰めたストリップまたはトレーを組み入れた製品を含み、この場合、使用後に当該ストリップ(もしくはストリップ残渣)またはトレーが口内に残り、後の除去を必要とする。
【0006】
ホワイトニング組成物用のストリップまたはキャリア層が、使用中、口内で溶解する他の歯ホワイトニング製品も導入されている。しかし、これらの製品は、典型的には、水溶性ポリマーからストリップまたはキャリア層を形成し、使用中に製品の溶解を達成する。
【0007】
家庭用の歯ホワイトニング製品の便利さの改善に対するこれらの試みにもかかわらず、より制御された溶解および崩壊特性を提供する歯ホワイトニング製品が依然として求められている。
【0008】
これらの短所に対処するに当って、本発明の発明人は、可塑剤、水不溶性微粒子またはそれらの混合物から成る群から選択される崩壊促進剤および選び抜いた水不溶性ポリマーを含む、崩壊フィルム層を含む歯ホワイトニング用品が、保護特性を提供し、同時に、改善された透水性および崩壊制御特性を提供することを発見した。
【0009】
そのため、本発明のある態様は、水性環境で制御された(または、広範囲型もしくは長期の)崩壊および/または溶解特性を有する崩壊フィルム層を含む歯ホワイトニング製品を提供することである。
【0010】
本発明のなおも他のある態様は、取り扱い中に触ると乾燥しているが、歯への貼付後に口腔で浸食される歯ホワイトニング製品または用品を提供することである。
【0011】
本発明のさらになおも他のある態様は、歯ホワイトニング活性剤(teeth whitening actives)を送達する崩壊フィルム製品であって、当該フィルムが、水性環境で、60分以内、任意に45分以内、任意に30分以内、または任意に15分以内で崩壊する崩壊フィルム製品を提供することである。
【0012】
〔発明の概要〕
ある実施の形態では、本発明の歯ホワイトニング用品は、2層フィルムの第一層、即ち、崩壊層を含み、第二層は、歯ホワイトニング活性剤、および、Leungらへの米国特許第6,596,298号およびXuらへの米国特許第6,419,903号に述べられているものなどの水溶性ポリマーフィルム層を含む。両特許は、参照することによって本明細書にそのまま組入れられている。次に、当該2層用品は、歯に貼付され、口内の流体または他の水性媒質の存在下で、経時的に浸食されることができる。
【0013】
別の実施の形態では、本発明は、多層歯ホワイトニング用品において、 i)第一層であって、
a)少なくとも1の水不溶性ポリマー、ならびに、
b)水不溶性微粒子、可塑剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1の崩壊促進剤、
を含む、第一層と、
ii)第二層であって、
a)少なくとも1の歯ホワイトニング活性剤、ならびに、
b)少なくとも1の水溶性ポリマー、
を含む、第二層と、
を含み、
当該用品が水性環境において浸食可能である、多層歯ホワイトニング用品に関するものである。
【0014】
同様に、本発明の崩壊フィルムは、多層フィルムに組み入れられ、上記のとおりに使用され、本発明の利益を達成することができる。
【0015】
上記のフィルム組成物の使用法も開示される。
【0016】
添付図面と併せることによって、詳細な説明がさらに良く理解され、当該図では、同様の参照符号は、同様の構成物を表す。
【0017】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の崩壊フィルム組成物は、本明細書で説明される発明の必須要素および制約、ならびに、本明細書で説明される追加的もしくは任意の成分(ingredient)、構成成分(components)または制約を含む、から成る、あるいは、から基本的に成ることができる。
【0018】
すべてのパーセンテージ、部および比は、他に明記されない限り、本発明の湿潤フィルム層組成物の総重量に基づく。記載された成分(ingredients)に関するかかる重量は、すべて、活性レベルに基づき、そのため、他に明記されない限り、市販材料に含まれることができるキャリアもしくは副産物を含まない。
【0019】
用語「安全で有効な量(safe and effective amount)」は、本明細書で使用される場合、当業者の適切な判断の範囲内で、明確な恩恵、例えば歯のホワイトニングを顕著に誘発するのに十分であるが、重篤な副作用を回避する、即ち、合理的な利益対リスク比を提供するだけの低さの、局所もしくは全身性(system)活性剤などの化合物もしくは組成物量を意味する。
【0020】
用語「乾燥(dry)」は、本明細書で使用される場合、約15%に等しいまたは約15%未満、任意に約10%に等しいまたは約10%未満、任意に約5%に等しいまたは約5%未満の水分を有することを意味する。
【0021】
用語「接着剤(adhesive)」は、本明細書で使用される場合、局所的な貼付部位もしくは投与部位に粘着することができるいずれの材料または組成物も意味し、感圧接着剤(加圧時に接着)、湿潤性接着剤(moistenable adhesives)(水の存在下で接着)、ねばついた(tacky)もしくは粘着性(sticky)型接着剤(表面との即時接触時に接着)を含むが、それらに制約されない。
【0022】
用語「浸食される(erode)」もしくは「浸食可能(erodible)」は、本明細書で使用される場合、溶解(または分散性)過程と崩壊過程との組み合わせの結果としての、歯ホワイトニング用品の「摩滅(wearing away)」を意味する。具体的には、本発明の歯ホワイトニング製品が歯への貼付後に口腔から除去される総合的メカニズムは、崩壊構成成分を含まなければならない。言い換えると、本発明の歯ホワイトニング製品は、当該製品のある部分が口内流体中で崩壊する場合のみ、「浸食される」。例えば、本発明の多層歯ホワイトニング製品は、口腔の流体中で当該多層の少なくとも一層が崩壊し、溶解しない場合にのみ、本明細書での使用では、口腔で「浸食される」と言われる。
【0023】
任意に、本発明のフィルム組成物は、透明である。用語「透明(clear)」は、本明細書の定義によれば、裸眼で観察される場合に透明〜半透明の範囲である。
【0024】
本発明のフィルム組成物は、その必須および任意の構成成分を含めて、本明細書において詳細に後述する。
【0025】
水不溶性ポリマー
本発明の崩壊フィルム組成物は、水不溶性ポリマーを含む。適切な水不溶性ポリマーは、水添ヒマシ油、ポリ塩化ビニル、シェラック、セルロース誘導体(セルロースまたはエチルセルロースなど)、ロウを含むが、それらに制約されない。特定の実施の形態では、水不溶性ポリマーは、いったん乾燥によって溶媒が蒸発除去されると、脆弱である。
【0026】
本明細書において使用に適したロウの例は、パラフィン、カルナバワックス、キャンデリラ蝋、サトウキビワックス、ミツロウ、セチルエステルワックス、モンタンワックス、グリコワックス(glycowax)、硬化ヒマシ油、鯨ロウ、シェラックロウ、ミクロクリスタリンワックス、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0027】
特定の実施の形態では、前記水不溶性ポリマーは、約4.98×10−22g(約300ダルトン)〜約1.16×10−21g(約700ダルトン)、任意に約6.48×10−22g(約390ダルトン)〜約7.97×10−22g(約480ダルトン)の分子量を有する。
【0028】
前記成分のいずれの混合物も使用されることができる。
【0029】
特定の実施の形態では、前記水不溶性ポリマーはシェラックである。適切な販売中のシェラックは、Pharmaceutical Glaze(医薬品用艶出し剤)の名称で販売され、マサチューセッツ州アトルバロのMantrose Haeser Co.によって供給されている。
【0030】
前記水不溶性ポリマーは、乾燥前の崩壊フィルム層の形成に使用される液体組成物の重量の、約5%〜約80%、任意に約10%〜約50%、任意に約15%〜約25%の濃度で存在する。
【0031】
乾燥後、前記水不溶性ポリマーは、乾燥崩壊フィルム層の重量の、約35%〜約90%、任意に約45%〜約80%、任意に約60%〜約70%の濃度で存在する。
【0032】
崩壊促進剤
可塑剤もしくは可塑化剤
本発明の崩壊フィルム組成物は、可塑剤もしくは可塑化剤、水不溶性粒子、またはそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1の崩壊促進剤も含む。
【0033】
適切な可塑剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセロールエステル(グリセロールモノオレエートおよびグリセロールモノステアレートなど)、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、グリコール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール200〜12,000、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。具体的な可塑剤は、ラウリン酸、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン(三酢酸グリセリル)、ポロキサマー、リン酸アルキルアリール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ポリソルベート、Carbwax(登録商標)系列のポリエチレングリコール(Union Carbide Corporation)、およびそれらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0034】
特定の実施の形態では、前記可塑剤は、Atmos 300の名称でミズーリ州カンザスシティのAmerican Ingredientsによって供給されているモノオレエートおよびジオレエートの混合物、Neobee 1053の商品名でイリノイ州シカゴのStepanによって販売されているものなどのカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド(または、カプリル酸カプリン酸トリグリセリド)およびニュージャージー州フェアローンのLonza Inc.によって供給される食用脂肪もしくは油のモノグリセリドおよびジグリセリド、または、テネシー州キングズポートのEastman Chemical Companyによって供給されているEastman Triacetin(食用)を含むことができる。Atmos 300およびNeobee 1053は、剥離剤(releasing agents)としても機能し、当該剥離剤は、乾燥のために前記崩壊層が流延されるキャスティングシート(例、ポリプロピレンシート)からの当該崩壊層の除去に役立つ。
【0035】
前記可塑剤は、前記崩壊フィルム層に組み入れられる場合、乾燥前の当該崩壊フィルム層の形成に使用される液体組成物の重量の、約0.01%〜約10%、好ましくは約0.05%〜約8%、最も好ましくは約0.1%〜約5%の濃度で存在する。
【0036】
上記の状況で、乾燥後、前記可塑剤は、乾燥崩壊フィルム層の重量の、約0.1%〜約25%、好ましくは約0.5%〜約15%、最も好ましくは約0.7%〜約10%の濃度で存在する。
【0037】
水不溶性粒子
前記崩壊促進剤も、水不溶性粒子であることもできる。当該水不溶性粒子として各種の有機粉末および無機粉末が使用されることができる。
【0038】
本発明に有用な無機粉末は、アルミナ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、珪藻土、各種無機酸化物色素、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ(コロイド状もしくはヒュームドシリカ)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、および、それらの混合物の極微小粒子もしくは顆粒を含むが、それらに制約されない。
【0039】
本発明に有用な有機粉末は、例えば、架橋および非架橋ポリマー粉末、有機色素、帯電制御剤、および、ロウを含む。当該架橋および非架橋樹脂粉末は、例えば、スチレンタイプ、アクリルタイプ、メタクリルタイプ、ポリエチレンタイプ、ポリプロピレンタイプ、シリコーンタイプ、ポリエステルタイプ、ポリウレタンタイプ、ポリアミドタイプ、エポキシタイプ、ポリビニルブチラールタイプの各樹脂粉末を含むが、それらに制約されない。上記の有機もしくは無機粉末のいずれの混合物も使用されることができる。本発明で有用なその他の粒子は、米国特許第6,475,500号、米国特許第5,611,885号、米国特許第4,847,199号に記述されており、これらの特許は、それぞれ、参照することによって本明細書にそのまま組入れられている。
【0040】
本発明の水不溶性粒子は、一般に、10ミクロン未満、任意に約0.01ミクロン〜約5ミクロン、任意に約0.1ミクロン〜約1ミクロン、任意に約0.1ミクロン〜約0.5ミクロンの粒子径もしくは凝集粒子径を有する。
【0041】
特定の実施の形態では、前記不溶性粒子は、イリノイ州タスコラのCabotによって供給されているCabosil M-5(ヒュームド未処理シリカ)を含むことができる。
【0042】
前記水不溶性粒子は、前記崩壊フィルム層に組み入れられる場合、乾燥前の当該崩壊フィルム層の形成に使用される液体組成物の重量の、約0.1%〜約20%、任意に約0.5%〜約10%、任意に約1%〜約7%の濃度で存在する。
【0043】
上記の状況で、乾燥後、前記水不溶性粒子は、乾燥崩壊フィルム層の重量の、約0.1%〜約35%、任意に約5%〜約20%、任意に約10%〜約15%の濃度で存在する。
【0044】
前記第一もしくは崩壊フィルム層の厚さは、任意に約1ミクロン〜約20ミクロン、任意に約3ミクロン〜約15ミクロン、任意に約5ミクロン〜約12ミクロンの範囲であることができる。任意の追加層の厚さは、第一もしくは崩壊フィルム層の厚さの範囲、または、約30ミクロン〜約150ミクロン、任意に約45ミクロン〜約130ミクロン、任意に約70ミクロン〜約120ミクロンの範囲に等しいことが可能である。
【0045】
乾燥前に、前記崩壊層の形成に使用される組成物は、水不溶性ポリマーおよび崩壊促進剤用の溶媒を含む。本発明で有用な溶媒は、当業者に容易に既知であり、入手可能である。適切な溶媒は、水、低鎖アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなど、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルエーテル、ヘキサン、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。当該溶媒は、好ましくは、乾燥前、混合される構成成分の溶解に十分な量で、本発明のフィルム層の形成に使用される組成物中に存在する。
【0046】
ホワイトニング組成物層
前記ホワイトニング組成物層は、前記崩壊フィルム組成物の表面上に配置もしくは積層化される。特定の実施の形態では、当該ホワイトニング組成物層は、液体ホワイトニング組成物層を予め形成された崩壊層上に流延した後、当該2層生成物を乾燥することによって、当該崩壊層に固定される。
【0047】
特定の実施の形態では、前記ホワイトニング組成物層、または、当該ホワイトニング組成物層(多層ストリップ)の少なくとも1層は、一般に、調合され、歯のホワイトニング活性剤用の乾燥非粘着性キャリア層になる。
【0048】
さらに、特定の実施の形態での水不溶性ポリマーの脆性のために、本発明の崩壊層は、典型的には、構造完全性がない。これらの状況で、当該崩壊層は、支持層(例えばポリプロピレンもしくはポリエチレンライナー)によって、または、本発明のホワイトニング組成物層上で支持されなければならず、その後、崩壊層の剥がれ落ち、もしくは破断を起こさずに取り扱われるか、または、処理されることができる。
【0049】
前記崩壊層の総重量は、約1 mg〜約25 mg、任意に約5 mg〜約15 mg、任意に約12 mgである。当該崩壊層は、取り扱い中、ホワイトナー組成物層と指とを接触させない。水不溶性ポリマーからの当該崩壊層の形成は、当該崩壊層の滞留時間を延長する。具体的には、使用中、当該崩壊層は、前記接着層の水和を鈍化するが妨げず、かつ、唾液または周囲の軟組織が当該ホワイトニング組成物層と接触するのを妨げない。当該崩壊層での水不溶性ポリマーの使用は、水不溶性ポリマーを使って形成されるフィルム層に典型的に伴う口内の唇、舌、他の軟組織へのゴムの感触も与えない。
【0050】
口内での前記ホワイトニング組成物層の水和時、前記崩壊層の透水性が改善される。
【0051】
典型的には、前記崩壊層は、前記ホワイトニング組成物層によって支持される。それは、当該崩壊層が、当該ホワイトニング組成物層または何らかの他の支持体に付着しない限り、取扱いされるのに不十分な構造完全性を有するためである。当該崩壊層は、破断し、かつ崩壊するため、歯への貼付後、元の形状およびサイズに復元されることができない。シェラックに加えて当該崩壊層の構成成分の機能は、当該崩壊層から当該ホワイトニング組成物層内への唾液の通過を促進することである。
【0052】
前記ホワイトニング組成物層に接着される場合、前記崩壊層の透水性は、いったん当該ホワイトニング組成物層が水和されると改善する。理論に制約されることなく、当該崩壊層の透過性の改善は、
・ヒュームドシリカなどの水不溶性粒子の吸上作用と、
・水和ホワイトニング組成物層による毛細管作用と、
・流延された崩壊層表面に沿った実質的断続空洞部(即ち、水不溶性ポリマーなし ―図4参照)の存在と、
の要因のうち1以上に起因すると考えられる。
また、理論に制約されることなく、さらに、水不溶性ポリマーの多くの全体的脆性、当該崩壊層の薄さ、流延プロセス中の崩壊層の巻き込み/展開と合わせられた水不溶性ポリマーの存在のために、崩壊層のひび割れの可能性があると考えられる。このひび割れも、崩壊層の透水性の改善にある程度寄与することができる。
【0053】
なおも理論に制約されないが、上記要因は、唇、舌、および他の軟組織の機械的作用と相まって、前記崩壊層の崩壊特性を改善するとも考えられる。
【0054】
前記ホワイトニング組成物層は、1以上の歯ホワイトニング活性剤を含む。適切な歯ホワイトニング活性剤は、シュウ酸塩、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキソ酸、および、それらの混合物から成る群から選択される。適切な過酸化物化合物は、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルバミド、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、および、それらの混合物を含む。任意に、当該過酸化物は、過酸化水素である。適切な金属亜塩素酸塩は、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸カリウムを含む。別のホワイトニング活性剤は、次亜塩素酸および二酸化塩素であることができる。好ましい亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムである。ホワイトニング活性剤の有効性は、任意に、触媒、即ち2-成分過酸化物触媒系によって増強されることができる。有用なホワイトニング剤触媒または触媒物質は、McLaughlin, Geraldへの米国特許第6,440,396号に認められる。当該特許は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。
【0055】
前記ホワイトニング組成物層は、任意に、過酸化物含有ゲルの形態を取ることができる。適切なゲルは、過酸化水素または有機過酸化物などの過酸化物を含有するグリセロールに基づくことができる。適切なゲルは、米国特許第3,657,413号に開示されているゲル、例えば、The Block Drug Company(米国) (その後、GlaxoSmithKline plcによって買収)によってPROXIGELの商標で販売されているゲルである。他の適切な過酸化物含有ゲルは、例えば、上記の技術文献に開示されている。前記フィルムは、当該フィルム表面に沈着された局所または全身活性剤を有することができる。
【0056】
前記歯ホワイトニング活性剤は、乾燥後の歯ホワイトニング組成物層の重量の、典型的には約0.1%〜約30%、任意に約1%〜約25%、任意に約5%〜約15%の濃度で存在する。
【0057】
過酸化物活性剤を組み入れる場合、本発明のホワイトニング組成物層は、任意に、過酸化物活性剤安定化剤を含有できる。本発明での使用に適した過酸化物活性剤安定化剤は、PEG 40またはPEG 600などのポリエチレングリコール;クエン酸亜鉛などの亜鉛塩;ポリオキシアルキレンブロックポリマー(例、Pluronics);アミノカルボン酸またはその塩;グリセロール;Blue No.1またはGreen No.3などの染料;リン酸、リン酸ナトリウム、または酸性ピロリン酸ナトリウムなどのリン酸塩;塩化第一錫などの第一錫塩;錫酸ナトリウム;クエン酸;エチドロン酸;Carbopol(登録商標)シリーズの化合物などのカルボマーもしくはカルボキシポリエチレン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、および、それらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0058】
前記ホワイトニング層は、さらに、1以上の水溶性ポリマーを含む。特定の実施の形態では、当該水溶性ポリマーは、乾燥時、非粘着性であるが、水和時、例えば歯の上の唾液によって、粘着性になるか、またはねばつく。適切な水溶性ポリマーの例は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、トラガカントゴム、プルラン、デンプンおよびそれらの混合物を含むが、それらに制約されない。また、本発明で有用なのは、Kimらへの米国特許第6780401号に記述されている親水性ガラスポリマーである。当該特許は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。
【0059】
特定の実施の形態では、前記水溶性ポリマーは、光散乱法を使って測定する場合、約4.98×10−21g(約3,000ダルトン)〜約3.32×10−18g(約2,000,000ダルトン)、任意に約1.66×10−20g(約10,000ダルトン)〜約2.66×10−18g(約1,600,000ダルトン)、任意に約1.66×10−19g(約100,000ダルトン)〜約2.49×10−18g(約1,500,000ダルトン)の重量平均分子量を有するPVPである。
【0060】
適切なPVPは、Plasdoneの商品名でISP Companyによって供給されている。特定の実施の形態では、PVP K-90(光散乱法を使って測定する場合、2.16×10−18g(1,300,000ダルトン)の重量平均分子量)が使用される。
【0061】
前記水溶性ポリマーは、本発明のホワイトニング組成物層に組み入れられる場合、乾燥前の当該ホワイトニング組成物層の形成に使用される液体組成物の重量の、約0.1%〜約30%、任意に約1%〜約25%、任意に約5%〜約20%の濃度で存在する。
【0062】
上記の状況下で、乾燥後、前記水溶性ポリマーは、乾燥ホワイトニング組成物層の重量の、約20%〜約80%、任意に約30%〜約60%、任意に約40%〜約50%の濃度で存在する。
【0063】
任意に、歯ホワイトニング用品のホワイトニング組成物層に可塑剤が組み入れられることができる。適切な可塑剤は、前記の可塑剤を含む。当該可塑剤は、湿潤フィルム組成物の重量の、約0.01%〜約3%、任意に約0.1%〜約1%のレベルで組み入れられることができる。
【0064】
特定の実施の形態では、前記ホワイトニング組成物層は、追加の口内ケア活性剤を含む。本発明の口内ケア活性剤のレベルは、一般に、乾燥後のホワイトニング組成物層の重量の、約0.01%〜約40%、任意に約0.1%〜20%であることができる。
【0065】
本発明のホワイトニング組成物層中、または、当該組成物に精油が含まれるか、または精油と共に結合されることができる。本発明での使用に適した精油は、Leungらへの米国特許第6,596,298号に詳細に説明されており、当該特許は、予め、参照することによってそのまま組入れられている。
【0066】
本発明のフィルム組成物には、追加キャリア材も添加されることができる。これらの材料は、前述の特性以外の特性を目的とする追加成分として添加されることができ、保湿剤を含むことができ、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどを含むことができる。前記フィルム組成物は、物質そのものを、1以上の物質増強剤(substance enhancers)、例えば当該物質の放出および/もしくは活性を改質する触媒ならびに/または増強剤(potentiator)と合わせて含むことができる。
【0067】
本発明のホワイトニング組成物層は、さらに、香料、色素など、例えば当該ホワイトニング組成物層の表面(または、歯ホワイトニング用品の片面)上に沈着されるか、あるいは、当該ホワイトニング組成物層(または、歯ホワイトニング用品)のバルク中に含浸されることができる追加物質を含むことができる。
【0068】
前記ゲルの貯蔵安定性を最適化し、口内組織に対して前記物質を安全なものにするために、pH調整剤も添加されることができる。これらのpH調整剤、即ち緩衝剤は、口内ケア物質のpHの調整に適したいずれの材料であることもできる。適切な材料は、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、錫酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウム、および、それらの配合物を含む。当該pH調整剤は、乾燥前のホワイトニング組成物層のpHを適切な数値、例えば約4.5〜約11、好ましくは約5.5〜約8.5、さらに好ましくは約6〜約7まで調整するように十分量で添加される。当該pH調整剤は、一般に、乾燥前のホワイトニング組成物層の形成に使用される組成物の重量の、約0.01%〜約15%、好ましくは約0.05%〜約5%の量で存在する。
【0069】
例えば、歯ホワイトニングゲルは、上記のとおり、一層として、崩壊層表面に直接沈着されることができる。別法として、ゲルは、当該崩壊層内に吸収されるか、あるいは、前記フィルム材料のバルク内に含浸されるか、あるいは、多層化フィルムの層間に沈着されることができる。
【0070】
層表面に別々に、あるいは、一般に上記の歯ホワイトニング用品表面への物質の沈着法は既知であり、例えば、シロスクリーン印刷(silo screen printing)などの印刷、含浸ローラー間の通過、定量注入(dosing)、ポンプとノズル、吹付け、浸漬などである。物質をフィルム材料のバルクに浸漬する方法も既知で、例えば、当該物質を前記ストリップ材料に混入させ、ストリップを形成するか、あるいは、当該物質を当該ストリップに含浸させる条件下で当該ストリップを当該物質に曝露する。別法として、前記フィルム材料の一例は、フォーム材料、特に開放気泡フォーム材料(open-cell foam material)であることができ、当該物質は、当該物質を当該フォームの気泡中に導入することによってストリップ材料に含浸されることができる。
【0071】
別の実施の形態では、本発明の崩壊フィルム層は、二層中第一層を形成し、その上に第二層が乾燥され、第二層は、Leungらへの米国特許第6,596,298号およびXuらへの米国特許第6,419,903号に記述されているものなどの水溶性ポリマーを含むホワイトニング組成物層である。両特許は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。次に、当該ニ層フィルムは、歯に貼付され、唾液もしくは他の水性媒質の存在下で経時的に浸食される。
【0072】
さらに、本発明のフィルム層は、Repkaらへの米国特許第6,375,963 B1号に記述される技術などのホットメルト押出技術を使って製造されることができる。当該特許は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。
【0073】
本発明の用品は、1以上の目に見える印、例えば文字列(text matter)、商標、企業ロゴ、着色領域、または、目に見える線もしくは刻み目などの整列特徴をマークされ、使用者が当該用品を歯の正しく整列させて貼付するのを助けることができる。かかる整列特徴は、例えば、当該用品を歯に貼付する際にどちらを上にすべきか、あるいは、1対の用品のどちらが、上歯用で、どちらが下歯用かを使用者に示す記号を含むことができる。このように、当該用品は、より視覚的に魅力的に、かつ/または、使い易くされることができる。かかる記号は従来の印刷またはエンボス加工プロセス、例えばシルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などによって、吸収剤層が接着する面の反対の、塑性的に変形可能な材料面に適用されることができる。
【0074】
かかる目に見える印がこの面に適用される場合、例えば当該印を保護するために、任意に、当該記号にカバー層が覆うことができる。このカバー層は、透明または半透明で、目に見える記号がこの層を通して見えるようにすることができる。かかるカバー層は、任意に、前記フィルムと接触する当該カバー層の材料をプレス、例えば圧延することによって当該フィルムに適用されることができる。
【0075】
図面を参照すると、例示的なフィルム10、20および50が図1〜図4に図示され、例示的なフィルム製品100、200、300、400、500および600が図5〜図10に図示されている。
【0076】
図1は、本発明の単層フィルムの実施の形態を示す。当該図は、水不溶性ポリマー12と崩壊促進剤14とから構成されるフィルム10を示す。崩壊促進剤14は、水不溶性ポリマー12に完全に組み入れられることができるか、フィルム10の表面16にのみ存在することができるか、あるいは、本実施の形態に示されるように、水不溶性ポリマー12に完全に組み入れられ、かつ、フィルム10の表面16に存在することができる。図1は、水不溶性ポリマー12に均一に分布された崩壊促進剤14を示す。しかし、当然ながら、不溶性ポリマー12中の崩壊促進剤14の分布は、不均一であることができる。多かれ少なかれ、崩壊促進剤14は、フィルム10の表面16または不溶性ポリマー12のバルク中に存在することができる。
【0077】
図2〜図4は、本発明の二層フィルム実施の形態20および50を示す。図2は、第一層30と第二層(即ち、活性組成物層)40とから構成されるフィルム20を示す。第一層30は、水不溶性ポリマー32と崩壊促進剤34とから構成される。崩壊促進剤34は、水不溶性ポリマー32に完全に組み入れられることができるか、第一層30の表面のみに存在することができるか、あるいは、本実施の形態に示されるように、水不溶性ポリマー32に完全に組み入れられ、かつ、第一層30の表面36に存在することもできる。第二層40は、ポリマーから構成されることができる。ある別の実施の形態では、第二層40は、Leungらへの米国特許第6,596,298号およびXuらへの第6,419,903号に記述されるものなど、水溶性ポリマー42フィルム層中の口内ケア活性剤である。これらの両特許は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。次に、当該二層フィルムは、歯に貼付され、唾液または他の水性媒質、ならびに、唇、舌および他の軟組織の機械的作用の存在下で経時的に浸食されることができる。
【0078】
図3および図4は、本発明の別の二層フィルム実施の形態50を示す。図3は、第一層60と第二層70とから構成されるフィルム50を示す。第一層60は、水不溶性ポリマー62と崩壊促進剤64とから構成される。崩壊促進剤64は、水不溶性ポリマー62に完全に組み入れられ、かつ、第一層60の表面66に存在することが認められる。第二層70は、過酸化物活性剤と水溶性ポリマー72とから構成される。図3および図4に示される実施の形態では、第一層60の厚さは、均一ではなく、第一層60の平坦でない表面66を生じている。図3は、第一層60が第二層70を完全に覆い、露出部分を残さない実施の形態を示す。図4は、第一層60が第二層70を完全には覆わず、露出部分もしくは事実上の露出部分74を残した実施の形態を示す。
【0079】
本発明の単層のみの、および、二層のフィルムの実施の形態が示されているが、当然ながら、本発明のフィルムの実施の形態は、多層フィルムの形態であることもでき、本明細書に記述される1以上のフィルムは、他のフィルム、フォームまたはゲルと積層し、フィルム製品を形成する。
【0080】
上記のように、単層および多層フィルムは、様々なフィルム製品で使用されることになる。例示のフィルム製品100、200、300、400、500および600が、それぞれの例示の位置付け特徴部110、210、310、410、510および610とともに図5〜図10に示される。以下の説明では、図5〜図10の実施の形態のものと同様の要素または構成部分(必ずしも同一の特徴を有するものではない)は、図の番号のそれぞれの増加に対応して100ずつ増加する同じ参照符号が示され、冗長な説明は省略されている。当然ながら、フィルム製品は、いずれの所望の形状または形態であることもでき、いずれの所望の材料または組成物からも作られることができる。よって、図5〜図8に示される例示的なフィルム製品100、200、300および400は長方形であるが、当然ながら、本発明の原理は、円形、正方形、三角形、台形、不定形など、他のいずれの所望の形状のフィルム製品にも適用されることができる。例えば、フィルム製品は、図9のフィルム製品500などの曲線を成す側面によって形成されることができる。
【0081】
さらに、当然ながら、本発明の原理に従ってフィルム製品に提供すべき位置付け特徴部は、当該フィルム製品の適正な使用および/または適用および/または機能のために、当該フィルム製品の特性または態様を区別または識別する所望の目的を達成する、どの所望の形状または形態であることもできる。例えば、好ましくは、どの表面が使用者に面しているか、また、どの表面が治療部位に面しているかを特定することによるなどして、当該フィルム製品自体の特定の配向を特定するために、当該位置付け特徴部は提供されることができる。別法として、あるいは、追加として、当該位置付け特徴部は、整列のためだけに、治療部位において、かつ/または、治療部位に対して提供されることができる。形状、位置など、当該位置付け特徴部が提供される方法は、図5〜図10の例示の実施の形態に制約される必要はない。代わりに、当然ながら、当該フィルム製品の区別または識別特性または態様としての位置付け特徴部の基礎的な機能は、当該位置付け特徴部の正確な形態を制限することなく達成されることができる。
【0082】
図5〜図10の例示の実施の形態を参照して、本発明の原理に従って形成される位置付け特徴部は、機械的/構造識別子、表面上の視覚的インジケーター、または、表面のテクスチャー特徴を含むが、それらに制約されない様々な方法のいずれによっても形成されることができる。前記フィルム製品は、成形されること、あるいは、形状、切取り、図形、色、ホログラム、マーク、言葉、テクスチャー、または、他の印でマークされることによって位置付け特徴部を備えることができ、これらは、当該フィルム製品の所望の処理および/または配向および/または一般使用を目的とする当該フィルム製品に関する十分な情報を独自に特定することができる。位置付け特徴部のタイプ、ならびに、その位置は、当該位置付け特徴部が機能する特徴の区別および指示機能を決定することができる。
【0083】
本発明の原理に従った位置付け特徴部のある簡易な実施の形態は、図5〜図9の位置付け特徴部110、210、310、410、510などの機械的または構造識別子(以後、便宜上、また、かかる用語を制限することを意図せずに、単に「機械的識別子(mechanical identifier)」とする)である。位置付け特徴部110、210、310、410、510は、前記フィルム製品100、200、300、400、500の構造を機械的に変更することによって形成される。例えば、不定形は、図5および図6のように、当該フィルム製品の縁に沿って形成されることができ、あるいは、切取りは、図7〜図9のように、当該フィルム製品の縁から間隔を置いて当該フィルム製品を貫通して形成することができる。さらに詳細には、当該フィルム製品の縁に沿った不定形は、刻み目110(図5)または角の切落し210(図6)など、どの所望の形状でも形成されることができる。同様に、切取りは、丸い穴310、510(図7および図9)、または、L-字型の穴410(図8)のような非対称形などの別の形の穴など、どの所望の形状でも形成されることができる。
【0084】
機械的識別子の形態の位置付け特徴部は、まさにそれらの特質によって、治療部位に対する前記フィルム製品の配向を定めることができる。しかし、単純な機械的識別子は、必ずしも当該フィルム製品自体の表面の配向を明確に表すことができるというわけではない。これは、機械的識別子などのインジケーターの単独での存在が、当該フィルム製品の少なくとも一定の特徴を識別できるほど十分なデータを使用者に提供できないためである。例えば、フィルム製品が、対称軸に対して対称である場合、かかる対称軸に沿って位置付けられる機械的識別子(特に、それ自体も、かかる対称軸に対称である機械的識別子)は、必ずしも、当該フィルム製品の反対面を互いに識別する働きをすることができない。別の例として、円形フィルム製品の位置付け特徴部として提供される円形の穴は、必ずしも、当該フィルム製品の反対面を識別するのに十分な情報を提供しないと思われる。
【0085】
フィルム製品の表面を機械的識別子の形態の位置付け特徴部により限定的に識別させることを可能にする、ある方法は、当該フィルム製品自体に容易に識別可能な位置に機械的識別子を配置することである。一般に、フィルム製品表面を区別する機械的識別子の能力は、当該フィルム製品の形状への当該機械的識別子の位置の選択に基づくことによって促進される。ある有用な原理は、いずれかの、また、すべての対称軸から外れて当該機械的識別子を配置することである。上記のように、当該機械的識別子が、フィルム製品の対称軸に沿っている場合、当該フィルム製品の反対面を識別するのは、不可能でないにしても困難である。別の有用な原理は、当該機械的識別子の形状が、当該機械的識別子が提供されるフィルム製品の配向の別のインジケーターとして機能することができるというものである。かかる原理は、ここで説明されるように、図5〜図8の例示的実施の形態を参照することによって、より良く理解されることができる。
【0086】
例示的フィルム製品100、200、300および400は、水平な中心軸に対して、また、垂直な中心軸に対しても対称な形状を有する。従って、水平、垂直な両中心軸から外れて、機械的識別子の形態の位置付け特徴部110、210、310、410を位置させるのが望ましく、それによって、当該機械的識別子が、当該フィルム製品の対称側を識別するように働くことができる。この原理の説明には、図5のフィルム製品100を参照する。フィルム製品100は、2対の対向する縁を有する。即ち、対向する縁112および114(それぞれ、図5のフィルム製品100の配向に従った最上縁と底縁)と、対向する縁116および118(それぞれ、図5のフィルム製品100の配向に従った左縁と右縁)である。位置付け特徴部110は、中心垂直軸Vから外れた位置で最上縁112に沿って形成される。言い換えれば、位置付け特徴部110は、最上縁112の全長の中間点に位置しない。さらに、最上縁112は、縁そのものとしての特質によって、中心水平軸Hから外れているので、位置付け特徴部110も、最上縁に沿って提供されると、必ず中心水平軸Hから外れる。従って、位置付け特徴部110がフィルム製品100の最上縁112の右側にあるか否かについてフィルム製品100を調べると、図5に見られる表面120は、その点で使用者に面した表面である、と使用者は確信できる。当該ページの平面内でのフィルム製品100を回転させても、かかる明らかな位置指示能力を変化させない。例えば、位置付け特徴部110が、底縁に見えるものに沿ってその底縁の左側に位置すると、やはり明らかに表面120は使用者に面する。対照的に、位置付け特徴部110が最上縁112の左側に配置されると、表面120と反対の表面が使用者に面することが、使用者にとって明らかになる。
【0087】
対照的に、図9の例示的なフィルム製品500は、ただ1の対称軸(垂直中心軸V)に対して対称なフィルム製品を示す。フィルム製品500の非対称側は、互いに本質的に区別できる。従って、位置付け特徴部510は、対称軸、軸Vから外れて位置付けられる必要があるに過ぎない。凸縁512が「最上」縁であり、凹縁514が「底」縁である場合に、位置付け特徴部510がフィルム製品500の左側に見える限り、図9に見られるフィルム製品500の表面520は、明らかに、同じくその点において使用者に面した表面である。
【0088】
当然、輪状フィルム製品などの完全対称は、円形フィルム製品に位置付け特徴部としての円形の穴を提供することに関して前述したように、配置を複雑にする。図8のフィルム製品400のL-形位置付け特徴部410などの非対称な位置付け特徴部は、非対称な位置付け特徴部の配向が対称な側を互いに区別することを可能にし、よって、対称なフィルム製品の表面の識別を可能にするように、有利に使用されることができる。
【0089】
上記のように、機械的識別子の形態の位置付け特徴部を提供する代わりに、位置付け特徴部は、本発明の原理に従って、フィルム製品の表面を変化させる表面特徴部として形成されることができる。当該位置付け特徴部がフィルム製品表面上に形成される場合、かかる位置付け特徴部は、フィルム製品の反対面を識別する助けになる。一般に、構造的特徴部とは対照的に、表面特徴部は、好ましくは、当該フィルム製品の材料を通り抜けて拡大しない。かかる表面特徴部は、当該フィルム製品の表面を目で見て、または、触って識別できるいずれの所望の形状でもあることができる。例えば、目に見える記号、印刷表示、点刻、陰影、または、着色などの視覚的インジケーターが、かかる視覚的インジケーターを保持する表面の容易な視覚的識別に使用されることができる。かかる視覚的インジケーターは、染み(blotching)、着色、カッティング、エンボス加工、彫刻、マーキング、印刷(インクジェット、ビデオジェットもしくはフレキソ印刷、またはいずれかの他の所望の技術上周知の技術による)、成形、スタンプなどを含むが、それらに制約されないいずれかの所望の技術によって適用されることができる。さらに、あるいは、別法として、非平滑(non-smooth)であるか、滑らかでない(unsmooth)か、または、ざらついた区域(areas)もしくは領域(regions)の形成によるなどして表面の触覚的特徴を変化させる表面テクスチャリング織り(以後、便宜上、制約の意図なく、「テクスチャード(textured)」とする)が、触感によるフィルム製品表面の識別に使用されることができる。
【0090】
表面特徴部の形態を取る位置付け特徴部は、一般に、特定の活性剤を当該製品のただ1の表面に保持し、当該活性剤をその表面で、またはその表面のみを経由して送達するフィルム製品に有用である。かかる位置付け特徴部は、面が互いに容易に区別できない場合に特に役立つことができる。容易に区別できない面を有するフィルム製品の例は、粘着性接着表面を保護するための可剥性剥離ストリップもしくはライナーが必要でないように乾式接着剤を利用し、そのため、どちらの面が接着剤を保持しているか、また、どちらの面が治療部位に貼付されなければならないかのインジケーターを提供できない、フィルム製品を含む。
【0091】
位置付け特徴部として表面特徴部を用いた例示的実施の形態が図10に示される。図10のフィルム製品600は、折畳まれて示されており、反対面620および630を示す。理解されうるように、位置付け特徴部610は、フィルム製品600の面の一方だけに提供される表面特徴部である。したがって、位置付け特徴部610を有する面620は、面630と容易に区別できる。
【0092】
よって、当然ながら、本発明は、使用者が本発明の原理に従ったフィルム製品に提供される位置付け特徴部の位置を突き止めるか、もしくは特定する際に、フィルム製品の使用および/または貼付を容易にする。いったん、当該位置付け特徴部の位置が突き止められるか、もしくは特定されると、使用者は、この時点で、当該フィルム製品の少なくとも一方の特徴部を識別または区別できる。かかる情報は、望み通りに当該フィルム製品を使用および/または操作、および/または、配向および/または貼付するために使用者に用いられることができる。本発明の原理に従った位置付け特徴部を組み入れたフィルム製品は、位置付け特徴部の位置を突き止めること、および、位置付け特徴部の位置を突き止める際に入手可能な情報に基づいた当該フィルム製品の所望の特徴部の特定に関する末端消費者向け解説書とともに販売されることができる。当該解説書は、さらに、当該位置付け特徴部の位置の突き止めと合わせた当該フィルム製品の使用に関する手引きを提供することができる。
【0093】
既述のように、当然ながら、フィルム製品100、200、300、400、500は、好ましくは、所望の治療部位で治療効果を提供するように構成されたいずれのタイプのフィルム製品であることもできる。本発明の原理を具体化できるフィルム製品の一例は、治療部位に全身性または局所活性剤を送達するための薬用ストリップである。当該薬用ストリップのさらに具体的な例は、歯をホワイトニングするために歯に貼付されるものである。本発明の位置付け特徴部は、使用者の歯に正しく貼付するために、当該薬用ストリップを配向する場合に使用者を補佐する上で特に有用である。ある例示の歯ホワイトニングストリップは、乾燥湿潤性接着剤を用いるので、可剥性剥離片/ライナーを外す必要や、あるいは、その他、歯ホワイトニングストリップの構造もしくは材料を変更する必要なく、保護パッケージまたはポーチから取り出したら使用者の歯に直接貼付することができる。歯ホワイトニングストリップへの位置付け特徴部の提供は、当該ストリップの配向を容易にし、面の一方だけが当該ホワイトニング剤を送達できる場合に、これは不可欠である。しかし、当然ながら、本発明の原理は、口腔以外で使用するフィルムもしくはストリップ製品に応用されることができる。
【0094】
製造プロセス
本発明のホワイトニングストリップは、前記崩壊層の構成成分を混合し、別個に、ホワイトニング組成物層の構成成分を混合することによって調製される。当該崩壊層は、ポリプロピレン(もしくは類似の)非粘着表面またはシート/ライナー上に流延され、それによって、当該崩壊層が乾燥される。当該崩壊層の透明度は、当該崩壊層の混合された構成成分をホモジェナイザーに通すことによって改善される。
【0095】
前記崩壊層の流延および乾燥後、当該崩壊層を保持するポリプロピレンシート/ライナーは、次に、その後の加工のために巻き上げられる。その後、ホワイトニング組成物層は、当該崩壊層が広げられるにつれ、当該崩壊層の最上部に注がれる。当該ホワイトニング組成物層の乾燥後、前記ポリプロピレンシートもしくはライナーは、包装前に、機械的剥離によって外される。接着層が乾燥し、それによって、構造完全性を達成するまで、当該崩壊層は、前記ポリプロピレンシートもしくはライナーによって支持されなければならない。任意に、刻み目または何らかの他の位置配向記号が追加され、使用者が当該ストリップを位置付けることを補佐するので、前記ホワイトニング組成物層は、使用中、歯に接触する。
【0096】
ホワイトニング活性剤の送達法
本発明は、ホワイトニングまたは漂白活性にホワイトニング活性剤の保持が求められる場合に使用されることができる。一般に、歯ホワイトニング活性剤の送達は、米国特許第5,894,017号、第5,891,453号、第6,045,811号、および第6,419,906号に述べられている方法による、安全な有効量でかかる活性剤を含有する本発明のホワイトニング製品の歯への局所貼付を含む。これらの特許は、参照することによってそのまま本明細書に組入れられている。特定の実施の形態では、歯ホワイトニング用品は、歯にちょうど適合するようにサイズを整えられ、したがって、歯肉線に、または、歯肉線の下に貼付される。好ましくは、前記歯ホワイトニング用品のホワイトニング組成物層は、歯茎に直接貼付されない。貼付回数と使用期間は、必要なもしくは所望の治療レベル、例えば所望の歯ホワイトニング度に応じて大きく異なることになる。
【0097】
実施例
前記歯ホワイトニング製品または用品は、本発明の歯ホワイトニング用品の具体的実施の形態を説明する以下の実施例に説明されるが、それを制約することを意図されるものではない。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者によって他の変更が加えられることができる。液体フィルム層用として指示されている量は、乾燥前の液体フィルム層の形成に使用される組成物に関するものである。
【0098】
例示の全フィルム組成物は、従来の調合および混合技術によって調製されることができる。
【0099】
〔実施例1〕
以下は、本発明の二層の歯ホワイトニング用品の一例である。
【表1】

【表2】

【0100】
適切なビーカー(ビーカーA)中に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムが添加され、当該混合物が均質になるまで混合される。
【0101】
別のビーカー(ビーカーB)中で、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、プルランおよびPlasdone K-90が、乾燥ミックスとして、当該混合物が均質になるまで混合される。ビーカーBの内容物は、急速混合もしくは攪拌下でビーカーAに混入される。合わされた混合物は、当該ゴム類が水和するまで混合される。この合わされた混合物に、過酸化水素が、混合下でゆっくりと添加される。
【0102】
別のビーカー(ビーカーC)中で、香料、ポリソルベート80、グリセリンおよび乳化剤が、溶解し、均一化するまで混合される。次に、ビーカーCの内容物は、ビーカーAに注がれ、当該混合物が均一、かつ均質になるまで混合される。その後、pHが、1.0 N水酸化ナトリウムを使って約5.5に調整される。
【0103】
なおも別の個別ビーカー(ビーカーD)中で、医薬品用艶出し剤、Cabosil、アルコールおよびステアリン酸グリセリルが、均一および均質になるまで混合される。
【0104】
次に、ビーカーDの内容物が、室温で、非粘着シートまたは表面に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの崩壊層を形成する。
【0105】
次に、ビーカーAの内容物が、室温で、前記崩壊層に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの第二層を形成する。
【0106】
〔実施例2〕
以下は、本発明の二層の歯ホワイトニング用品の一例である。
【表3】

【表4】

【0107】
適切なビーカー(ビーカーA)中に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムが添加され、当該混合物が均質になるまで混合される。
【0108】
別のビーカー(ビーカーB)中で、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナンおよびPlasdone K-90が、乾燥ミックスとして、当該混合物が均質になるまで混合される。ビーカーBの内容物は、急速混合もしくは攪拌下でビーカーAに混入される。合わされた混合物は、当該ゴム類が水和するまで混合される。この合わされた混合物に、過酸化水素が、混合下でゆっくりと添加される。
【0109】
別のビーカー(ビーカーC)中で、香料、ポリソルベート80、グリセリンおよび乳化剤が、溶解し、均一化するまで混合される。次に、ビーカーCの内容物は、ビーカーAに注がれ、当該混合物が均一、かつ均質になるまで混合される。その後、pHは、1.0 N水酸化ナトリウムを使って約5.5に調整される。
【0110】
なおも別の個別ビーカー(ビーカーD)中で、医薬品用艶出し剤、Cabosil、アルコールおよびステアリン酸グリセリルが、均一および均質になるまで混合される。
【0111】
次に、ビーカーDの内容物が、室温で、非粘着シートまたは表面に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの崩壊層を形成する。
【0112】
次に、ビーカーAの内容物が、室温で、前記崩壊層上に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの第二層を形成する。
【0113】
〔実施例3〕
以下は、本発明の二層の歯ホワイトニング用品の一例である。
【表5】

【表6】

【0114】
適切なビーカー(ビーカーA)中に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムが添加され、当該混合物が均質になるまで混合される。
【0115】
別のビーカー(ビーカーB)中で、キサンタンガム、ローカストビーンガムおよびプルランおよびPlasdone K-90が、乾燥ミックスとして、当該混合物が均質化されるまで混合される。ビーカーBの内容物は、急速混合もしくは攪拌下でビーカーAに混入される。合わされた混合物は、当該ゴム類が水和するまで混合される。この合わされた混合物に、過酸化水素が、混合下でゆっくりと添加される。
【0116】
別のビーカー(ビーカーC)中で、香料、ポリソルベート80、グリセリンおよび乳化剤が、溶解し、均一化するまで混合される。次に、ビーカーCの内容物は、ビーカーAに注がれ、当該混合物が均一、かつ均質になるまで混合される。その後、pHは、1.0 N水酸化ナトリウムを使って約5.5に調整される。
【0117】
なおも別の個別ビーカー(ビーカーD)中で、医薬品用艶出し剤、Cabosil、アルコールおよびステアリン酸グリセリルが、均一および均質になるまで混合される。
【0118】
次に、ビーカーDの内容物が、室温で、非粘着シートまたは表面に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの崩壊層を形成する。
【0119】
次に、ビーカーAの内容物が、室温で、前記崩壊層上に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの第二層を形成する。
【0120】
〔実施例4〕
以下は、本発明の二層の歯ホワイトニング用品の一例である。
【表7】

【表8】

【0121】
適切なビーカー(ビーカーA)中に、水、スクラロース、リン酸二水素カリウムが添加され、当該混合物が均質になるまで攪拌される。
【0122】
別のビーカー(ビーカーB)中で、スターチガム、アラビアゴムおよびPlasdone K-90が、乾燥ミックスとして、当該混合物が均質になるまで混合される。ビーカーBの内容物は、急速混合もしくは攪拌下でビーカーAに混入される。合わされた混合物は、当該ゴム類が水和するまで混合される。この合わされた混合物に、過酸化水素が、混合下でゆっくりと添加される。
【0123】
別のビーカー(ビーカーC)中で、香料、ポリソルベート80、グリセリンおよび乳化剤が、溶解し、均一化するまで混合される。次に、ビーカーCの内容物は、ビーカーAに注がれ、当該混合物が均一、かつ均質になるまで混合される。その後、pHは、1.0 N水酸化ナトリウムを使って約5.5に調整される。
【0124】
なおも別の個別ビーカー(ビーカーD)中で、医薬品用艶出し剤、Cabosil、アルコールおよびステアリン酸グリセリルが、均一および均質になるまで混合される。
【0125】
次に、ビーカーDの内容物が、室温で、非粘着シートまたは表面に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの崩壊層を形成する。
【0126】
次に、ビーカーAの内容物が、室温で、前記崩壊層に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの第二層を形成する。
【0127】
〔実施例5〕
以下は、本発明の二層の歯ホワイトニング用品の一例である。
【表9】

【表10】

【0128】
適切な容器(容器A)中に、水、サッカリンナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウムおよびPEG 3350が添加され、当該混合物が均質になるまで30分間混合される。
【0129】
次に、容器Aに過酸化水素が、攪拌下でゆっくりと添加される。
【0130】
別の容器(容器B)中で、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、プルランおよびPlasdone K-90が、乾燥ミックスとして、当該混合物が均質になるまで混合される。容器Bの内容物は、急速混合もしくは攪拌下で容器Aに混入される。合わされた混合物は、当該ゴム類が水和するまで2時間混合される。
【0131】
別の容器(容器C)では、香料、ポリソルベート80、グリセリンおよび乳化剤が、溶解し、均一化するまで混合される。次に、容器Cの内容物は、容器Aに注がれ、当該混合物が均一、均質になるまで混合される。その後、pHは、必要に応じて1.0 N水酸化ナトリウムを使って、必要に応じて約5.7に調整される。
【0132】
次に、容器A中の混合物は、Lee Industries(ペンシルベニア州フィラデルフィア)の定速5ガロン-5D12Tケトルなどのホモジェナイザーを使って約10分間均質化される(均質化に使用される時間と設備は、当然、バッチサイズに応じて変動することになる。例えば、800 kgのバッチサイズは、Symex CML 2000均質化容器を使って、約800〜1300 rpmの速度で、約60〜約75分間の均質化を要する)。次に、当該混合物は、引き続き攪拌容器に移される。
【0133】
なおも別の個別容器(容器D)では、医薬品用艶出し剤、シリカ、アルコール、トリアセチン、Atmos 300およびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 1053が、均一および均質になるまで混合される。
【0134】
次に、容器Dの内容物は、室温で非粘着ポリプロピレンシート上に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの崩壊層を形成する。
【0135】
次に、容器Aの内容物が、室温で前記崩壊層上に所望の厚さで流延され、温風乾燥され、二層の歯ホワイトニングフィルムの第二層を形成する。
【0136】
〔実施の態様〕
(1) 歯をホワイトニングするための多層用品において、
i)第一層であって、
a)少なくとも1の水不溶性ポリマー、ならびに、
b)水不溶性微粒子、可塑剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1の崩壊促進剤、
を含む、第一層と、
ii)第二層であって、
a)少なくとも1の歯ホワイトニング活性剤、ならびに、
b)少なくとも1の水溶性ポリマー、
を含む、第二層と、
を含み、
前記用品が、水性環境で浸食可能である、用品。
(2) 実施態様1に記載の用品において、
前記水不溶性ポリマーが、水添ヒマシ油、ポリ塩化ビニル、シェラック、セルロース誘導体、ロウ、または、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
(3) 実施態様2に記載の用品において、
前記水不溶性ポリマーが、シェラックである、用品。
(4) 実施態様3に記載の用品において、
前記シェラックが、約4.98×10−22g(約300ダルトン)〜約1.16×10−21g(約700ダルトン)の分子量を有する、用品。
(5) 実施態様1に記載の用品において、
前記可塑剤が、クエン酸アルキルエステル、グリセロールエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、グリコール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、ポロキサマー、リン酸アルキルアリール、および、ポリエチレングリコール200〜12,000、および、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
(6) 実施態様5に記載の用品において、
前記可塑剤が、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドである、用品。
(7) 実施態様1に記載の用品において、
前記水不溶性微粒子が、アルミナ、タルク、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、珪藻土、各種無機酸化物色素、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、ヒュームドシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、および、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
(8) 実施態様7に記載の用品において、
前記水不溶性ポリマーが、ヒュームドシリカである、用品。
(9) 実施態様8に記載の用品において、
前記ヒュームドシリカが、湿潤第一層組成物の重量の約0.1〜約20%の濃度で存在する、用品。
(10) 実施態様1に記載の用品において、
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、トラガカントゴム、プルラン、デンプンおよびそれらの混合物から成る群から選択される、用品。
(11) 実施態様10に記載の用品において、
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルピロリドンである、用品。
(12) 実施態様11に記載の用品において、
前記ポリビニルピロリドンが、前記湿潤水溶層の重量の約0.1%〜約30%の濃度で存在する、用品。
(13) 実施態様12に記載の用品において、
前記ポリビニルピロリドンが、約4.98×10−21g(約3,000ダルトン)〜約3.32×10−18g(約2,000,000ダルトン)の平均分子量を有する、用品。
(14) 実施態様1に記載の用品において、
前記歯ホワイトニング活性剤が、シュウ酸塩、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキソ酸、および、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
(15) 実施態様14に記載の用品において、
前記歯ホワイトニング活性剤が、過酸化物である、用品。
(16) 実施態様15に記載の用品において、
前記過酸化物が、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルバミド、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、および、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
(17) 実施態様16に記載の用品において、
前記過酸化物が、過酸化水素である、用品。
(18) 実施態様1に記載の用品において、
前記第一層の透水性が、前記第二層の水和時に増加する、用品。
(19) 実施態様1に記載の用品において、
前記第一層が、水性環境で崩壊可能であり、
前記第二層が、前記水性環境で溶解可能、もしくは分散可能である、用品。
(20) 多層の歯ホワイトニング用品において、
i)第一層であって、
a)少なくとも1の水不溶性ポリマー、ならびに、
b)水不溶性微粒子、可塑剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1の崩壊促進剤、
を含む、第一層と、
ii)第二層であって、
a)少なくとも1の水溶性ポリマー、ならびに、
b)少なくとも1の歯ホワイトニング活性剤、
を含む、第二層と、
を含み、
前記第一層の透水性が、前記第二層の水和時に増加する、用品。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、本発明の1つの例示的崩壊フィルム製品の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の別の例示的崩壊フィルム製品の斜視図で、本発明の崩壊フィルムは、二層フィルムの第一層すなわち崩壊層を形成する。
【図3】図3は、図2の崩壊フィルム製品と同様の崩壊フィルム製品の斜視図であるが、この場合、当該本発明の崩壊フィルムは、厚さが均一でない。
【図4】図4は、図3の崩壊フィルム製品と同様の崩壊フィルム製品の斜視図であるが、この場合、当該本発明の崩壊フィルムは、二層フィルムの第二層を完全に覆っていない。
【図5】図5は、本発明の原理に従った例示的な位置付け特徴部を有する例示的フィルム製品の平面図である。
【図6】図6は、図5の例示的フィルム製品と同様であるが、異なる例示的な位置付け特徴部を備えるフィルム製品の平面図である。
【図7】図7は、図5の例示的フィルム製品と同様であるが、異なる例示的な位置付け特徴部を備えるフィルム製品の平面図である。
【図8】図8は、図5の例示的フィルム製品と同様であるが、異なる例示的な位置付け特徴部を備えるフィルム製品の平面図である。
【図9】図9は、図7のフィルム製品と同様の例示的な位置付け特徴部を有する別の例示的フィルム製品の平面図である。
【図10】図10は、別種の例示的な位置付け特徴部を有するなおも別の例示的フィルム製品の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯をホワイトニングするための多層用品において、
i)第一層であって、
a)少なくとも1の水不溶性ポリマー、ならびに、
b)水不溶性微粒子、可塑剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1の崩壊促進剤、
を含む、第一層と、
ii)第二層であって、
a)少なくとも1の歯ホワイトニング活性剤、ならびに、
b)少なくとも1の水溶性ポリマー、
を含む、第二層と、
を含み、
前記用品が、水性環境で浸食可能である、用品。
【請求項2】
請求項1に記載の用品において、
前記水不溶性ポリマーが、水添ヒマシ油、ポリ塩化ビニル、シェラック、セルロース誘導体、ロウ、または、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
【請求項3】
請求項2に記載の用品において、
前記水不溶性ポリマーが、シェラックである、用品。
【請求項4】
請求項3に記載の用品において、
前記シェラックが、約4.98×10−22g(約300ダルトン)〜約1.16×10−21g(約700ダルトン)の分子量を有する、用品。
【請求項5】
請求項1に記載の用品において、
前記可塑剤が、クエン酸アルキルエステル、グリセロールエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、グリコール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、ポロキサマー、リン酸アルキルアリール、および、ポリエチレングリコール200〜12,000、および、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
【請求項6】
請求項5に記載の用品において、
前記可塑剤が、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドである、用品。
【請求項7】
請求項1に記載の用品において、
前記水不溶性微粒子が、アルミナ、タルク、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、珪藻土、各種無機酸化物色素、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、ヒュームドシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、および、それらの混合物から成る群から選択される、用品。
【請求項8】
請求項7に記載の用品において、
前記水不溶性ポリマーが、ヒュームドシリカである、用品。
【請求項9】
請求項8に記載の用品において、
前記ヒュームドシリカが、湿潤第一層組成物の重量の約0.1〜約20%の濃度で存在する、用品。
【請求項10】
請求項1に記載の用品において、
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、トラガカントゴム、プルラン、デンプン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、用品。
【請求項11】
多層の歯ホワイトニング用品において、
i)第一層であって、
a)少なくとも1の水不溶性ポリマー、ならびに、
b)水不溶性微粒子、可塑剤、およびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1の崩壊促進剤、
を含む、第一層と、
ii)第二層であって、
a)少なくとも1の水溶性ポリマー、ならびに、
b)少なくとも1の歯ホワイトニング活性剤、
を含む、第二層と、
を含み、
前記第一層の透水性が、前記第二層の水和時に増加する、用品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−1571(P2009−1571A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−160103(P2008−160103)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【Fターム(参考)】