説明

ボスウェリア・セラータエキスを含む相乗作用性抗炎症組成物

本発明において、ボスウェリア・セラータ由来の3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の治療上有効な組合せを含む相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント抗炎症組成物を開示する。該組成物(1種類または複数種)は、炎症およびいくつかの炎症関連疾患、例えば、喘息、変形性関節症、関節リウマチ、内皮機能障害などを予防、防除および処置するために使用され得る。さらに、本発明において、その発現/生成が炎症性疾患時に改変される炎症促進バイオマーカータンパク質または分子の改善を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(boswellic acid)(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)エキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性の栄養補助用、医薬用およびダイエタリーサプリメント組成物を提供する。該組成物(1種類または複数種)は、炎症および炎症に関連する、または炎症が付随する疾患状態、例えば、喘息、関節炎、内皮機能障害などを予防、コントロールおよび治療するために使用され得る。
【0002】
さらに、本発明は、その発現/生成が炎症性疾患時に改変される炎症促進バイオマーカータンパク質または分子の改善を包含する。
【背景技術】
【0003】
ボスウェリア・セラータ(カンラン科)という植物のゴム樹脂は、以前から、インド系医術のアーユルヴェーダ医術の開業医によって、関節リウマチおよび痛風の処置のために使用されている。種々のゴム樹脂エキスで、実験動物において強力な抗炎症活性および抗動脈硬化活性が示されている[Cuaz−Perolinら,Arterioscler Thromb Vasc Biol Feb 2008]。単離されたボスウェリア化合物の1つである酢酸インセンスオールは、NFκBインヒビターであり、抗炎症化合物として有用であることが示された[Moussaieffら,Mol Pharmacol 72,1657−1664,2007]。以前に、B.セラータのゴム樹脂のエタノール抽出物は、ラットの腹膜好中球においてロイコトリエンB4の形成を抑制することが観察された。ロイコトリエンB4は、炎症反応の重要なメディエータの1つである[Ammon,H.P.T.ら,Planta Medica,57,203(1991)]。ボスウェリアエキスは、強力な抗関節炎因子であり[Kimmatkarら;Phytomedicine.2003 Jan;10(1):3−7]、免疫調節因子である[Pungleら;Indian J Exp Biol.2003 Dec;41(12):1460−1462]ことが見い出された。また、ボスウェリア・セラータのコレステロール低下作用も示された[Zutshi Uら,Indian J Pharmac.18,182−183,1986]。実際、ボスウェリアエキスを用いた、膝に変形性関節症を有する患者群に対する無作為化二重盲検プラセボ対照比較クロスオーバー臨床試験では、痛みの低減、腫脹の減少および膝の屈曲の増大に関して統計学的に有意な平均改善値が示された[Kimmatkar Nら,Phytomedicine 2003;10:3−7]。非盲検非無作為化等価性試験では、慢性大腸炎を有する30例の患者にボスウェリアゴム(300mg 1日3回)またはスルファサラジン(1g 1日3回)のいずれかを投与すると、ボスウェリアによって示された治療効果は、スルファサラジンで示されるものと同等であった[Gupta Iら,Planta Med.2001;67:391−395]。別の等価性試験では、活動期クローン病を有する患者に対する無作為化二重盲検試験において、ボスウェリア標準化エキスにより、メサラジンと同等、またはより充分な治療による改善が示された[Gerhardt Hら,Z Gastroenterol 2001;39:11−17]。また、6週間の二重盲検プラセボ対照比較試験において、ボスウェリアゴム樹脂により、気管支喘息を有する患者において統計学的に有意な改善が示された[Gupta Iら,Eur J Med Res 1998;3:511−51]。
【0004】
また、特許文献にも、ボスウェリアの種々の活性が記載されている。いくつかを以下に引用する。
【0005】
PCT特許公開公報第03074063A1号および付与されたインド特許第205269号は、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸が100%に富化された画分の作製方法に関する。ボスウェリア種のゴム樹脂の有機溶媒抽出物を、まず酸化に供し、次いでアセチル化に供する(またはその逆も同様)。これにより、画分中に存在する低効力のボスウェリア酸がAKBAに変換される。この処理済画分を、さらにクロマトグラフィー分離手法による精製および分離に供し、純度を上げ、夾雑物を除去する。このプロセスにより、AKBAが10〜100%に富化された治療適用のための画分の取得がもたらされる。
【0006】
欧州特許出願第1637153A1号は、特に、炎症過程および線維症過程に対する医薬としてのボスウェリア・セラータエキスと植物性抗線維症剤との併用剤(association)に関する。かかる併用剤において、ボスウェリア・セラータは、乾燥エキスとして5〜50%の量で、植物性抗線維症剤は、乾燥エキスとして50〜95%(重量基準)の量で存在する。
【0007】
米国特許第5629351号は、ボスウェリア酸混合物を含み、抗炎症活性および抗潰瘍発生活性を示す新規な画分に関する。また、抗炎症活性、抗関節炎活性および抗潰瘍発生活性を示す新規なボスウェリア酸化合物が開示されている。また、ボスウェリア酸画分およびその個々のボスウェリア酸の単離方法開示されている。
【0008】
米国特許5720975号は、アルツハイマー病の予防または処置のための医薬の製造のための、インセンス(乳香)、インセンス抽出物、インセンスに含有される物質、その生理学的に許容され得る塩、誘導体および生理学的塩、純粋なボスウェリア酸、その生理学的に許容され得る塩、誘導体、該誘導体の塩の使用に関する。
【0009】
米国特許第5888514号は、骨または関節の炎症を特徴とする病状を有する哺乳動物を処置するための組成物であって、ボスウェリア・セラータエキスが一成分として使用されている組成物に言及している。
【0010】
PCT特許出願第WO08036932A2号は、特異に高値の揮発性油分、ボスウェリア酸および多糖化合物を有するボスウェリア種(フランキンセンスまたは乳香)由来の組成物(特に、ヒト経口送達製剤)および該組成物の作製方法、ならびに例えば、関節炎、炎症性障害、変形性関節症、リウマチ様疾患および腰痛の処置/予防に有用なかかる組成物の使用方法に関する。
【0011】
しかしながら、本発明者らが知る限りにおいて、ボスウェリアエキス、特にAKBA富化エキスをボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)とともに含む、炎症状態の予防、防除および処置のための組成物に関する先行技術はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】PCT特許公開公報WO03074063A1号
【特許文献2】インド特許第205269号
【特許文献3】欧州特許出願第1637153A1号
【特許文献4】米国特許第5629351号
【特許文献5】米国特許第5720975号
【特許文献6】米国特許第5888514号
【特許文献7】PCT特許出願WO08036932A2号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Cuaz−Perolinら,Arterioscler Thromb Vasc Biol Feb 2008
【非特許文献2】Moussaieffら,Mol Pharmacol 72,1657−1664,2007
【非特許文献3】Ammon,H.P.T.ら,Planta Medica,57,203(1991)
【非特許文献4】Kimmatkarら;Phytomedicine.2003 Jan;10(1):3−7
【非特許文献5】Pungleら;Indian J Exp Biol.2003 Dec;41(12):1460−1462
【非特許文献6】Zutshi Uら,Indian J Pharmac.18,182−183,1986
【非特許文献7】Kimmatkar Nら,Phytomedicine 2003;10:3−7
【非特許文献8】Gupta Iら,Planta Med.2001;67:391−395
【非特許文献9】Gerhardt Hら,Z Gastroenterol 2001;39:11−17
【非特許文献10】Gupta Iら,Eur J Med Res 1998;3:511−51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の主目的は、炎症および/または炎症が付随する、もしくは炎症に関連する疾患状態、例えば、喘息、アテローム性動脈硬化、内皮機能障害、変形性関節症、関節リウマチなどの予防、コントロールまたは治療のための、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータのエキスまたは画分とボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の治療上有効な組合せを含む相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物を提供することである。
【0016】
また別の態様において、本発明は、哺乳動物の炎症および付随または関連疾患、例えばこれらに限定されないが、喘息、アテローム性動脈硬化、内皮機能障害、変形性関節症、関節リウマチ、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、多発性硬化症、糖尿病、認知、神経系の障害、コラーゲン合成、アンチエイジング、代謝異常、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、血管形成術後再狭窄、糸球体腎炎、消化管アレルギー、腎炎、結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、職業性喘息、湿疹、気管支炎、花粉症、蕁麻疹、アレルギー性障害の1種類(component)以上の予防、コントロールおよび治療のため、ならびに喘鳴、呼吸困難、乾性咳、胸苦しさ、首の筋肉の緊張、頻脈、胸痛、関節痛などの病状、およびこれらが付随するいくつかの他の病状のための、AKBA富化エキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキスを含む相乗作用性組成物を提供する。
【0017】
さらにまた別の態様において、本発明は、関節炎または関節リウマチなどの他の炎症性疾患の1種類以上の予防、コントロールおよび治療のための、AKBA富化ボスウェリア・セラータエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性組成物を提供する。関節炎の非限定的な例としては、リウマチ様(軟部組織リウマチおよび非関節リウマチ、線維筋痛症、結合組織炎、筋肉リウマチ、筋筋膜疼痛、上腕骨上顆炎、有痛性肩拘縮症、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎など)、若年性慢性関節障害、脊椎関節障害(強直性脊椎炎)、変形性関節症、急性痛風、慢性痛風および全身性エリテマトーデスが付随する高尿酸血症および関節炎ならびに変形性関節炎が挙げられる。
【0018】
本発明のさらなる目的は、哺乳動物の炎症および/または炎症、変形性関節症、関節リウマチ、軟骨分解が付随する疾患状態と関連している生体分子またはバイオマーカー、例えば限定されないが、5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)、マクロファージ/脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質−2(aP2/FABP)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、インターロイキン−4(IL−4)、細胞間細胞接着分子(ICAM)−1、血管細胞接着分子(VCAM)−1、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−3、TNF−αおよびIL−1βの発現および/または生成の改善のための相乗作用性組成物を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の主要化合物を表す構造式1〜9を示す。
【図2】ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の植物化学的プロフィールを示すHPLCクロマトグラムを示す。
【図3】ヒト単球THP−1細胞における5−リポキシゲナーゼ(A)およびFLAP(B)の発現のBE30%誘導性阻害を示す代表的なイムノブロットを示す。それぞれの各パネルにおいて、棒グラフは、正規化したデンシトメトリーによる値(自由裁量単位)を示す。バーa、bおよびcは、それぞれ、対照細胞、LPS処理細胞およびLPS+BE30%処理細胞を表す。
【図4】3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス[BE30%]、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)および組成物−2の5−リポキシゲナーゼ阻害活性の比較を示す。バーは、25μg/mL濃度のBE30%、BNREおよび組成物−2で示された5−リポキシゲナーゼ酵素阻害パーセントを表す。
【図5】3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス[BE30%]、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)および組成物−2によるマトリックスメタロプロテアーゼ−3(MMP−3)生成の阻害を示す。バーは、TNFα誘導型SW982ヒト滑膜細胞におけるBE30%、BNREおよび組成物−2での50%阻害濃度(IC50)を表す。バー上部の値は、対応するIC50値を表す。
【図6】3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸を30%に選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%、100mg/kg)ならびにボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)(100mg/kg)、BE30%とBNREをそれぞれ1:1および2:1の比率で含む組成物−1(100mg/kg)および組成物−2(100mg/kg)、ならびにプレドニゾロン(10mg/kg)による、Sprague Dawleyラットにおける完全フロインドアジュバント誘導性足浮腫の体積の抑制パーセントの棒グラフ表示を示す。
【図7】異なる動物群における血清TNFα(A)およびIL−1β(B)の濃度の棒グラフ表示を示す。14日間のFCA抗原刺激後、血清TNFαおよびIL−1βを、酵素免疫測定キット(R&D Systems,USA)によって定量的に測定した。バーa〜fは、それぞれ、対照、プレドニゾロン(10mg/kg)、BE30%(100mg/kg)、BNRE(100mg/kg)、組成物−1(100mg/kg)および組成物−2(100mg/kg)を補給した群のサイトカインレベルを表す。各バーは平均±SDを表す。N=6,* P<0.05および** P<0.005(対照に対して)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
炎症は、体内に侵入した病原体、損傷細胞またはアレルギー性因子などの刺激に対する脈管組織の応答である。これは、有害な病原体または因子を除去し、組織を保護するための生物体による防御機構である。炎症促進性のサイトカイン、例えば、TNFα、IL−1β、IL−6、GM−CSFならびにCD4+、Th2サブセット由来のIL−4、IL−5およびIL−13リンホカインなどは、炎症性疾患の免疫病因の重要な因子であると考えられている[Knight D Aら,J.Allergy Clin.Immunol.2001;108:797−803]。5−リポキシゲナーゼは、炎症プロセスの枢要な工程であるアラキドン酸からのロイコトリエンの合成に重要な酵素である。ロイコトリエンは、炎症性疾患の枢要なメディエータである。
【0021】
5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)の活性化および遺伝子発現は、該疾患状態の原因である。5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)は、18kDaの内在性膜タンパク質であり、アラキドン酸に特異的に結合し、これを該酵素に転移させることにより、5−リポキシゲナーゼを活性化させる[Manciniら,1993]。したがって、FLAPはロイコトリエンの生成を担う。そのため、5−LOXおよびFLAPのブロックまたは下方調節は、炎症状態の治療およびコントロールのための新規な治療アプローチである。
【0022】
また、アテローム性動脈硬化も、内皮細胞機能不全の部位に、数十年の期間にわたって動脈の病変が形成されることを特徴とする炎症性疾患である。炎症は、アテローム硬化斑の発生の多くの段階において重要な役割を果たしている[KK Bergら,Scandinavian Journal of Immunology,69,36−42]。
【0023】
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、亜鉛依存性エンドペプチダーゼであり、あらゆる種類の細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲンなど、通常、組織内の細胞間の隙間に見られる)を分解することができる。MMPは、主に3つの群、コラゲナーゼで形成された線維芽細胞コラゲナーゼ−1(MMP−1)、ゼラチナーゼA(MMP−2)とゼラチナーゼB(MMP−9)を含むゼラチナーゼ、およびストロメリシン−1(MMP−3)とマトリリシン(MMP−7)を含むストロメリシンに大別される。過剰のメタロプロテアーゼは、コラーゲン、プロテオグリカンおよびゼラチンなどの生体分子の分解をもたらし、これにより、表皮に対して致命的影響が及ぼされることがあり得、また、軟骨の疾患、炎症などが発生することもあり得る。
【0024】
AKBAを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%):
ボスウェリア樹脂およびエキスは、以前から、炎症性疾患の処置に使用されている。ボスウェリア酸は、ボスウェリア・セラータに起因する有益な効果を担う活性化合物として同定された。副化合物である3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)は、全ボスウェリア酸のうちで最も強力な5−リポキシゲナーゼインヒビターとして同定された[Sailer ERら,British J Pharmacology.1996、117(4):615−8]。そのため、AKBA含量が富化されたエキスまたは画分は、天然エキスと比べて、より充分な有効性を示すと推定された。本発明者らは、そのPCT特許出願番号PCT/IN05/000074(2005年3月7日付)およびPCT特許公開公報WO03074063A1および付与されたインド特許第205269号において、滴定解析法によるとほぼ85%の全ボスウェリア酸とHPLC解析法によるとほぼ3%のAKBA(BE3%)を含む市販のボスウェリア・セラータエキスから、AKBAを30〜100%に選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスの作製方法を示した。前記の富化ボスウェリアエキスは、通常のボスウェリア・セラータエキス中に一般的に存在している有意な量のトリテルペン成分(AKBAを除く)は含まないが、通常のボスウェリアエキス中の微量成分(3%まで)であるAKBAが該富化エキスの主成分であることを特徴とする特異な組成物である。通常のボスウェリアエキス中に存在している成分は、1)β−ボスウェリア酸、2)3−O−アセチル−β−ボスウェリア酸、3)11−ケト−β−ボスウェリア酸、4)3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸、5)9−エン−β−ボスウェリア酸、6)3α−ヒドロキシウルサ−9,11−ジエン−24−酸、7)2α,3α−ヒドロキシウルサ−12−エン−24−酸である。本発明の組成物に使用する特異なAKBA富化ボスウェリア・セラータエキスの主成分は、1)3−O−アセチル−β−ボスウェリア酸、2)3−O−アセチル−9(11)−デヒドロ−β−ボスウェリア酸、3)3−O−アセチル−11−ケト−β−アミリン、4)3−O−アセチル−11−ケト−α−ボスウェリア酸である。
【0025】
30%のAKBAを含有する前記のボスウェリア・セラータエキス(BE30%)を、いくつかのインビトロ アッセイにおいて試験すると、3%のAKBAを含有する市販のボスウェリア・セラータエキス(BE3%)よりも優れていることがわかった[Roy S.Kannaら,DNA and Cell Biology,2005,24(4):244−255]。また、直接比較実験では、前記の富化ボスウェリア・セラータエキス(BE30%)は、Wistarアルビノラットにおいて、アジュバント誘導炎症応答に対し、3%のAKBAを含有する天然のボスウェリアエキスと比べて有意に高い阻害を示した[Roy Sら,Antioxidants & Redox Signaling,8,3 & 4,2006]。AKBAを30%まで選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)を用いて本発明を実証する。
【0026】
ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE):
ボスウェリア・セラータ樹脂は、酸性化合物、非酸性化合物および糖類を含有する。商業規模での生産の実施の際には、通常のボスウェリア・セラータエキス(全ボスウェリア酸85%、BE3%)、主にトリテルペン酸(ボスウェリア酸など)を含有する酸性画分を、樹脂の残余成分から分離する。また、糖類および他の高分子物質も、全ボスウェリア酸の富化の際に水相中に分離する。残りの水不混和性非酸性低極性化合物を、ボスウェリア油状物画分/エキスとして分離する。このような非酸性または中性の低極性化合物は、市販のボスウェリアエキスおよびAKBA富化ボスウェリアエキスのどちらにおいても、存在しないか、または非常に低い濃度で存在するかのいずれかである。このような非酸性成分の存在は、AKBAの富化の増大とともに、さらに少なくなる。
【0027】
前記の非酸性ボスウェリア油状物は、ボスウェリア・セラータゴム樹脂の主要成分であった。しかしながら、その商業的有用性は非常に限定的であり、たいていは廃棄物として廃棄される。この画分の利用の可能性は、以前からの懸案であった。本発明者らは、相乗作用組成物の作製のためのボスウェリア・セラータ油状物の予期しない有用性を見い出した。ボスウェリア・セラータ油状物から揮発性化合物を除去した後に得られる画分であるボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を、本発明において使用した。ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)は、以下のようにして取得した。a)ボスウェリア・セラータゴム樹脂をメチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒中に分散させ、不溶性のゴム状物質を濾過によって分離し、b)MIBK溶液を2%KOH溶液で繰り返し抽出して酸性化合物を除去し、c)次いで、MIBK層を水とブラインで連続的に洗浄し、d)MIBK層を減圧下、60〜70℃でエバポレートし、次いで、揮発性成分を油状残渣から真空下、75〜85℃で除去して粘性油状物を得、これを、本明細書において以下、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキスあるいはBNREという。あるいはまた、BNREは、a)ボスウェリア・セラータ樹脂のアルコール抽出物を調製した後、b)このアルコール抽出物をアルカリ水溶液と水不混和性有機溶媒間に分配し、c)有機溶媒層を分離した後、溶媒のエバポレーションによって非酸性ボスウェリアエキス油状物を得、d)高温高真空下で揮発性化合物を除去してボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を得ることによっても調製され得る。
【0028】
上記のボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)は、予期しない特異な組成を有することがわかった。本発明者らは、カラムクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーの反復を使用し、BNREのさらなる分離を行ない、いくつかのジテルペノイドおよびトリテルペノイド化合物を単離した。これらの化合物の構造を、H NMR、13C NMR、DEPT、HSQCおよびHMBC、質量スペクトルデータを用いて精密にキャラクタライズした。同定された化合物は、ギオール(1)、ネフテノール(2)、セラトール(3)、ジテルペンX(4)、ルペオール(5)、オレアナ−12−エン−3β−オール(6)、オレアナ−12−エン−3α−オール(7)、ラノスタ−8,24−ジエン−3α−オール(8)およびウルサ−12−エン−3α−オール(9)(図1に示す)。このようにして得た純粋な化合物を、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を標準化するための植物化学的マーカーとして使用した。植物化学的分析の結果を表1にまとめ、BNREの植物化学的プロフィールを示すクロマトグラムを図2に示す。
【0029】
ボスウェリアエキスを含む相乗作用性組成物:
本発明者らは、いくつかの細胞系インビトロ抗炎症性試験を、広範なボスウェリアエキスおよびAKBAを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスにおいて実施した。このような試験により、予期せず、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を30%に選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス[BE30%]は、THP−1ヒト−単球−マクロファージ細胞において、インビトロで5−LOXとFLAPのLPS誘導型発現を強力に下方調節すること示された(図3)。
【0030】
AKBAを選択的に富化した前記のB.セラータエキスを、次いで、選択したいくつかの成分と合わせると、より充分な抗炎症活性を有する組成物が得られた。個々のエキスおよびその組成物を、5−リポキシゲナーゼ酵素(5−LOX)を阻害する有効性について試験した。非常に驚くべくことに、AKBAを30%に選択的に富化したボスウェリア・セラータゴム樹脂エキス(BE30%)とボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む組成物は、5−LOXの相乗的阻害を示すことがわかった。BE30%とBNREを2:1の比率で含む該組成物−2は、25μg/mLで37.7%阻害を示したのに対し、同じ濃度のBE30%およびBNREでは、それぞれ、31.8%および20.6%阻害が示された。組成物−2およびその個々の成分によって示された5−リポキシゲナーゼ阻害の比較を図4に示す。
【0031】
次いで、AKBAを30%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)および組成物−2を、マトリックスメタロプロテアーゼ−3(MMP−3)生成の阻害における有効性について、TNFα誘導型SW982ヒト滑膜細胞で試験した。無細胞培養上清み中のMMP−3生成量を、ELISA開発キット(R&D System,Minneapolis,MN,USA)によって推定した。驚くべきことに、組成物−2は、この滑膜細胞において、個々のBE30%およびBNREのいすれで示されるものよりも充分なMMP−3生成の阻害を示し、5−LOXに対して相乗作用効果を示すことが確認された。組成物−2、BE30%およびBNREは、それぞれ、46.78、58.75および119.32μg/mLの50%阻害濃度(IC50)を示した。組成物−2によって示された相乗作用性MMP−3阻害と、その個々の成分BNREおよびBE30%によって示されたものとの比較を図5にまとめる。
【0032】
次いで、組成物−2によってインビトロで示された相乗作用効果を、Sprague Dawleyラットの完全フロインドアジュバント誘導関節炎モデルでのインビボ試験に供した。3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸を30%に選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)とボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)をそれぞれ、1:1および2:1の比率で含む組成物−1および組成物−2の抗炎症有効性を、インビボ試験によって、Sprague Dawleyラットの完全フロインドアジュバント誘導関節炎モデルにおいて評価し、その有効性を、個々の成分BE30% およびBNREで示される有効性と比較した。処置群ラットには、AKBAを30%まで選択的に富化したボスウェリアエキス(BE30%)またはボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)、または組成物−1もしくは組成物−2を14日間、100mg/kg体重で補給した。陽性対照群には、プレドニゾロンを10mg/kg体重で補給した。第14日目、完全フロインドアジュバント(FCA)を、各動物の左後足の足底下(sub−plantar)領域に皮下注射した。実験は28日目に終了した。血液試料を各動物から一定間隔で採取し、足体積をプレチスモグラフィ装置によって、FCA注射の日とFCA接種の13日後に測定した。足浮腫体積の差を炎症応答とみなす。BE3.0%、BNRE、組成物−1、組成物−2およびプレドニゾロンでのインビボ抗炎症応答を、CMC補給対照と比較したときの足浮腫の抑制パーセントを計算することにより推定した。
【0033】
AKBAが30%のボスウェリア・セラータエキス(BE30%)およびボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を補給した処置群では、それぞれ、37%および10%の足浮腫の低減が示された。しかしながら、同じ用量レベルの組成物−1および組成物−2を補給した処置群では、より充分な足浮腫の低減が示され、それぞれ、44%および54%の足体積の縮小が得られた。プレドニゾロンを補給した陽性対照群では、10mg/kgの用量レベルで53%阻害が示された。図6にまとめた結果により、本発明の組成物−1および−2で、相乗作用効果がインビトロで観察されたことが確認される。
【0034】
さらに、バイオマーカーである腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−1β(IL−1β)のレベルを、処置群および対照群の血清中にて評価した。組成物−1および組成物−2を補給した処置群では、図7(AおよびB)に示されるように、個々の成分BE30%およびBNREを補給した処置群によって示されたレベルと比べて有意に充分な血清バイオマーカーTNF−αとIL−1の低減が示された。
【0035】
したがって、前述のデータは、AKBA富化ボスウェリアエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む組成物が、同じ用量レベルの個々の成分で得られる有効性と比べて抗炎症剤としてより強力であり、これらのエキスの併用の予期しない相乗作用性を発揮することを示す。
【0036】
3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)が30%含まれるように選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスを用いて本発明を実証する。しかしながら、AKBA含量を重量基準で10%〜100%に選択的に富化した任意の他のボスウェリア・セラータエキスもまた、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)と組合せて相乗作用性組成物(1種類または複数種)の作製に使用され得る。
【0037】
AKBA含量を10%〜100%に富化したボスウェリア・セラータエキスは、以下のプロセス、例えば限定されないが、(1)市販のボスウェリア・セラータエキス中の他のβ−ボスウェリア酸をAKBAエキス35〜45%に、本発明者らが、PCT特許出願番号PCT/IN05/000074(2005年3月7日付)およびPCT特許公開公報WO03074063A1および付与されたインド特許第205269号にて報告した既報のプロセスを用いて変換し、(2)その後、この変換生成物をAKBAエキス10〜45%に、薬学的または栄養学的に許容され得る担体または希釈剤を用いて希釈するか、あるいは(3)上記の変換生成物をAKBA90〜99%に、例えば限定されないが、カラムクロマトグラフィー、分配、晶出などの工程の組合せを用いて精製し、次いで、純粋なAKBAを所望のAKBA濃度(20〜99%)まで、薬学的もしくは栄養学的に許容され得る担体もしくは希釈剤または市販の低級ボスウェリア・セラータエキスを用いて希釈するか、(4)あるいはまた、ゴム樹脂中に天然に存在するAKBAを、AKBA10〜99%の範囲の所望の濃度まで、例えば限定されないが、抽出、カラムクロマトグラフィー、分配、晶出などの工程の組合せを用いて精製し、次いで、高率パーセント画分を所望の濃度に、薬学的もしくは栄養学的に許容され得る担体もしくは希釈剤または市販の低級ボスウェリア・セラータエキスを用いて希釈すること、の1つ以上を用いて得ることができる。
【0038】
本発明の種々の実施形態の概要を以下に示す。
【0039】
一態様において、本発明は、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリアエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性抗炎症組成物を提供する。該組成物は、炎症および/炎症に関連する、もしくは炎症が付随するまたは1つ以上の疾患状態を予防または治癒または処置するために使用され得る。
【0040】
本発明の別の態様において、AKBAを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスの治療有効量とボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を、ある特定の比率で合わせると相乗作用性の抗炎症効果がみられ、その効果は、該成分を個々に投与した場合に得られるものよりも充分であることがわかり、また、炎症促進性の生体分子/タンパク質マーカーの発現または生成の相乗作用性の改善がみられた。
【0041】
さらなる態様において、本発明は、AKBAエキスを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性組成物であって、炎症に関連する、または炎症が付随する生体分子/バイオマーカー/特定のレドックス感受性炎症促進遺伝子、例えば限定されないが、5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)、マクロファージ/脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP)、IFN−γ、IL−4、ICAM、VCAM、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)(MMP−3およびMMP−1など)、NFκB TNF−αならびにIL−1βの発現または生成の改善を、それを必要とする哺乳動物において行なうための組成物を提供する。
【0042】
また別の態様において、本発明は、AKBAを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性組成物であって、炎症と関連し、炎症が付随する1つ以上の哺乳動物の疾患状態、例えば限定されないが、喘息、アテローム性動脈硬化、内皮機能障害、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、片頭痛、アンギナ、慢性前立腺炎、日焼け、歯周病、多発性硬化症、ブドウ膜炎、血管形成術後再狭窄、糸球体腎炎、消化管アレルギー、腎炎、結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、職業性喘息、湿疹、気管支炎、花粉症、蕁麻疹、アレルギー性障害の予防、コントロールおよび治療のため、ならびに喘鳴、呼吸困難、乾性咳、胸部絞扼感、首の筋肉の緊張、頻脈、胸痛、関節痛、UV照射によるコラーゲン分解、皮膚のしわ発生および皮膚の老化などの病状、ならびにこれらが付随するいくつかの他の病状のための組成物を提供する。
【0043】
さらにまた別の態様において、本発明は、さらに、AKBAエキスを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性組成物であって、炎症、関節炎、認知、神経系の障害、アルツハイマー病、コラーゲン分解、皮膚の老化、コレステロール低下、代謝異常および癌の1種類以上の予防、コントロールおよび治療のための組成物を提供する。関節炎の非限定的な例としては、リウマチ様(軟部組織リウマチおよび非関節リウマチ、線維筋痛症、結合組織炎、筋肉リウマチ、筋筋膜疼痛、上腕骨上顆炎、有痛性肩拘縮症、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱滑膜炎、滑液包炎など)、若年性慢性関節障害、脊椎関節障害(強直性脊椎炎)、変形性関節症、急性痛風、慢性痛風および全身性エリテマトーデスが付随する高尿酸血症および関節炎、ならびに変形性関節炎が挙げられる。
【0044】
他の好ましい実施形態において、本発明は、さらに、ボスウェリア・セラータのゴム樹脂を水不混和性有機溶媒で抽出した後、該有機溶媒抽出物を水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で、続いて水とブラインで洗浄し、次いで、最後に有機層を真空下でエバポレートした後、揮発性化合物を高温高真空下で除去し、BNREを得ることを含む、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の作製方法を提供する。水不混和性有機溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトンもしくは任意の他の水不混和性溶媒、またはその混合物から選択され得る。
【0045】
また、さらなる実施形態において、ボスウェリア・セラータそのままの油状物をBNREの代わりに、相乗作用性組成物の作製に使用してもよい。
【0046】
他の好ましい実施形態において、本発明は、さらに、
(a)ボスウェリア・セラータのゴム樹脂を水不混和性有機溶媒で抽出し、この抽出物を注意深く濾過して不溶解樹脂物質を除去し、次いで、該有機溶媒抽出物を水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で、続いて水とブラインで繰り返し洗浄し、次いで、最後に有機層を真空下、高温でエバポレートして有機溶媒を除去した後、揮発性化合物を油状残渣から高温高真空下で除去し、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を得る工程、
(b)ボスウェリア・セラータゴム樹脂の酸性エキスを選択的に富化し、AKBAを10〜100%に選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE)を得る工程、
(c)ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)とAKBA富化ボスウェリア・セラータエキスを所望の比率(1種類または複数種)で合わせ、本発明の組成物(1種類または複数種)を得る工程、
(d)任意選択で、該組成物を、生物学的または薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤および添加剤から選択される1種類以上の成分と混合する工程
を含む該組成物の作製方法を提供する。
【0047】
上記の方法における水不混和性有機溶媒は、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、tert−ブタノールまたは任意の他の水不混和性溶媒から選択され得る。
【0048】
AKBAの富化に必要とされるボスウェリア・セラータゴム樹脂の酸性エキスは、そのゴム樹脂から既知の手順を用いて調製され得るか、またはボスウェリア酸を標準化した市販のボスウェリア・セラータエキス、好ましくは、全酸のほぼ85%(滴定解析法による)まで標準化したエキスの一群から選択され得る。
【0049】
他の実施形態において、本発明は、さらに、
a)BNREの主要化合物をマーカーとして同定し、該化合物を>98%純度で単離した後、スペクトルデータを用いて充分にキャラクタライズする工程、
b)既知量の各マーカー化合物を個々に、PDA検出器を有するHPLCシステムに載置されたPhenomenex Luna Phenyl−Hexyl分析用カラム(4.6×250mm,5μ)にインジェクトし、各マーカーの保持時間とピーク面積を、210nmおよび248nmでのUV検出を用いて測定する工程、ここで、該カラムは30℃に維持され、0.1%v/vのオルトリン酸を含む水およびアセトニトリルをそれぞれ27%および73%で含む二成分溶媒混合物で、1.5mL/分の流速にて溶出する;次いで、
c)既知量のBNRE試料を同様の条件下で分析し、混合物中のマーカーを、該試料のピークの保持時間と標準のものとの比較に基づいて、任意選択で該試料を各マーカーと同時にインジェクトすることによって同定し、次いで、該試料中の各マーカーのパーセントを、そのピーク面積を既知濃度の標準に対応するピーク面積と比較することにより推定する工程、次いで、
d)全マーカーの総量に対するパーセントで示すことによりBNREの組成を得、次いで、前記組成を他のBNRE試料との比較に使用する工程、該マーカーとしては、限定されないが、ネフテノール、セラトール、ジテルペンX、ルペオール、オレアナ−12−エン−3β−オール、オレアナ−12−エン−3α−オール、ラノスタ−8,24−ジエン−3α−オール、ウルサ−12−エン−3α−オールおよびギオールが挙げられる、
を含む、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の同定方法を提供する。
【0050】
本発明のまた別の態様において、AKBAを選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を含む相乗作用性抗炎症組成物は、任意選択で、1種類以上の薬学的または栄養補強的または栄養学的に許容され得る賦形剤または希釈剤または塩または添加剤を含む。
【0051】
さらに、本発明の他の実施形態は、そのまま、あるいは顆粒剤または粉剤またはペースト剤として粉砕形態および/または非改良形態での前記相乗作用性組成物の使用法を提供する。あるいはまた、活性成分は、慣用的な生物学的または薬学的に許容され得る塩(1種類もしくは複数種)または添加剤(1種類もしくは複数種)または賦形剤(1種類もしくは複数種)を添加することにより、固形、半固形または液状の投薬形態に製剤化される。
【0052】
さらなる実施形態において、本発明は、治療有効量の本発明の新規な組成物が経口、経表面、経皮、非経口などの具体的な投薬形態で、またはキットの形態で、それを必要とする被検体または患者に投与できることを提供する。本発明の組成物の製剤のための具体的な投薬形態としては、限定されないが、経口薬剤、例えば、錠剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、丸剤、顆粒剤、粉剤、注入用液剤、注射用液剤、クリーム剤、ゲル剤、乳剤、軟膏、注腸剤、医薬パック、栄養補助食品、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤、吸入剤、マウススプレーなど;ならびに非経口薬剤、例えば、注射剤、滴剤、坐剤などが挙げられる。
【0053】
本発明の別の実施形態は、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリアエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の組成物(1種類または複数種)を含むキットを提供する。さらに、キットに、該組成物(1種類または複数種)を、炎症および炎症状態(例えば限定されないが、喘息、関節炎、アテローム性動脈硬化)のコントロール、予防および治療に使用するための使用説明書を含めてもよい。
【0054】
本発明のさらなる実施形態において、上記の任意の方法を用いて投与される製剤(1種類または複数種)を形成するため、該組成物に、さらに、有効量の1種類以上の医薬用または栄養補助用または栄養学的に許容され得る薬剤、例えば限定されないが、酸化防止剤(1種類もしくは複数種)、アダプトゲン(1種類もしくは複数種)、抗炎症剤(1種類もしくは複数種)、抗糖尿病剤(1種類もしくは複数種)、抗肥満剤(1種類もしくは複数種)、抗アテローム性動脈硬化剤(1種類もしくは複数種)、バイオプロテクタントおよび/またはバイオアベイラビリティ向上剤(1種類もしくは複数種)ならびに微量金属あるいは賦形剤(1種類もしくは複数種)または薬学的に許容され得る塩(1種類もしくは複数種)または添加剤(1種類もしくは複数種)ならびにその組成物または混合物を含めてもよい。
【0055】
本発明において使用される薬学的に許容され得る抗炎症剤の例としては、限定されないが、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メトトレキサート、スルファサラジン、ナプロキセン、ジクロフェナクおよびイブプロフェンが挙げられる。
【0056】
本発明において使用される生物学的または薬学的に許容され得る担体の例としては、限定されないが、界面活性剤、賦形剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁化剤および薬物送達系が挙げられる。
【0057】
固形の担体または希釈剤または賦形剤の好ましい例としては、限定されないが、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、黄色デキストリン、白色デキストリン、エアロゾル、微晶質セルロース、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、ラクトース、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アカシア、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB群、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸、カルシウム塩、色素、フレーバーおよび保存料が挙げられる。
【0058】
液状担体(希釈剤)の好ましい例としては、蒸留水、生理食塩水、グルコース水溶液、アルコール(例えば、エタノール)、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール;ならびに油性担体、例えば、種々の動物油および植物油、白軟パラフィン、パラフィンおよびワックスが挙げられる。
【0059】
本発明の択一的な態様において、本発明における本発明の組成物は、制御放出ポリマー系コーティングを使用し、ナノテクノロジー、マイクロカプセル封入、コロイド状担体系などの手法、および当該技術分野で知られた他の薬物送達系によって徐放性錠剤の形態で送達される。前記製剤は、1日1回の投与または1日に複数回の投与のために設計され得る。
【0060】
また、本発明によれば、本発明の組成物は、既存または新規な食品および飲料の形態(1種類または複数種)、例えば、固形食品(シリアル、ベビーフード(1種類もしくは複数種)、チョコレートまたは栄養バーなど)、半固形食品(クリームもしくはジャム、またはゲル、清涼飲料、コーヒー、お茶、乳飲料、乳製品、乳酸菌飲料、スープ、ドロップ、キャンディ、チューインガム、チョコレート、グミキャンディ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、水羊羹、ゼリー、クッキー、ベーカリー製品など)などに配合または添加され得る。このような種々の組成物または調製物または食品および飲料は、炎症および/または炎症が付随する、もしくは炎症に関連する1つ以上の疾患状態、例えば限定されないが、喘息、関節炎 炎症性腸疾患、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、難治性関節リウマチ、慢性の非関節リウマチ、骨粗鬆症/骨吸収、冠状動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化、脈管炎、潰瘍性大腸炎、乾癬、成人性呼吸促迫症候群、糖尿病、代謝異常、皮膚障害における遅延型過敏症およびアルツハイマー病の治療および/または予防のための健康食品として有用である。
【0061】
本発明の種々の例示的な実施形態において、ヒトまたは哺乳動物に投与または補給(supplement)される本発明の相乗作用性組成物の量は、均一でなくてもよく、製剤の性質によって異なることを提供するが、ヒトまたは動物に提案される該エキスまたは画分の投薬量は、好ましくは0.1〜750mg/kg体重/日、より好ましくは約0.5〜500mg/kg体重の範囲である。
【0062】
また、本発明の別の実施形態は、上記の種々の製剤、食品および飲料組成物中の本発明の組成物の量が均一でなくてもよく、製剤の性質によって異なることを提供し、ヒトまたは動物に提案される該組成物の投薬量は、例えば約0.001%〜99%、より好ましくは約0.001〜90wt%である。
【0063】
重要な実施形態の一例において、選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス中のAKBAの濃度は、重量基準で10%〜100%の範囲で異なる。
【0064】
別の実施形態において、選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス中のAKBAの濃度は、好ましくは25%〜95%、より好ましくは25%〜45%の範囲で異なる。
【0065】
また別の実施形態において、相乗作用性組成物は、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスを重量基準で10%〜90%、およびボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を重量基準で90%〜10%含むものであり得る。
【0066】
さらに別の実施形態において、相乗作用性組成物は、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスを重量基準で30%〜70%、およびボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を重量基準で70%〜30%含むものであり得る。
【0067】
本発明の別の実施形態は、上記の前記相乗作用性組成物の任意の成分を、組成物の総重量に対して重量基準で0.001%〜80%まで、好ましくは0.001%〜50%を含む保健食品または飲料である。
【0068】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の相乗作用性組成物(1種類または複数種)の量が、製剤の総重量の重量基準で1%〜100%の範囲で異なることを提供する。
【0069】
別の実施形態において、さらに、本発明は、炎症ならびに炎症が付随または関連するいくつかの疾患、例えば、喘息、アテローム性動脈硬化および関節炎などを治癒、予防または治療する目的で、本発明の組成物を、動物の餌に使用されている種々の成分と混合することを含む。
【0070】
動物の餌に添加される組成物または製剤の形態は特に限定されず、そのまま、または組成物(1種類もしくは複数種)として種々の調理済食品製品および加工食品製品に添加され得る。その量は、食品製品の場合に使用される量と同じであり得る。また、同様に、その成分は動物の餌の調製中に添加してもよく、調製後に添加してもよい。
【0071】
以下の実施例は、好ましい実施形態を含むものであり、本発明の実施を説明るために提供する。示した具体的詳細事項は、本発明の好ましい実施形態の一例であって、その例示的論考の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定するものでないことは理解されよう。
【実施例1】
【0072】
ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の調製:
ボスウェリア・セラータゴム樹脂(100g)を、600mLのメチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒中に分散させ、室温で60分間攪拌した。不溶性のゴム状物質を濾過によって分離した。MIBK溶液を2%KOH溶液(3×200mL)で繰り返し抽出し、酸性化合物を除去した。次いで、MIBK層を、水(400mL)とブライン(200mL)で連続的に洗浄した。MIBK層を減圧下、60〜70℃でエバポレートし、揮発性成分を油状残渣から、真空下、75〜85℃で除去し、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス、すなわちBNREを粘性油状物(12g)として得た。
【0073】
択一的に、ボスウェリア・セラータから収集したゴム樹脂(250g)をメタノール(300mL×3)で抽出し、合わせたメタノール抽出物を濃縮した。残渣(50g)を酢酸エチル(400mL)に溶解させ、2N KOH(3×100mL)で3回抽出した。有機層を水(2×200mL)とブライン(200mL)で洗浄し、エバポレートし、ボスウェリア油状物を得た。揮発性化合物をこの油状物から、真空下、75〜85℃でエバポレートし、22gのボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を得た。
【0074】
BNREを、通常のシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーに供した。TLCに基づいて同一の画分を合わせ、合わせた画分を、個々に、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルまたはヘキサン/アセトンの混合物を用いたシリカゲルでの反復カラムに供し、純粋な化合物を得た。一部の純粋でない画分を、さらに、逆相C18シリカカラムを用いた分取用HPLCに供し、純粋な化合物を得た。構造は、H NMR、13C NMR、DEPT、HSQCおよびHMBCまたは質量スペクトルデータを解析し、次いで、データを既知化合物のものと比較することにより確証した。主要化合物のうち9種類は、図1に示したように、ギオール(guiol)(1)、ネフテノール(2)、セラトール(serratol)(3)、ジテルペンX(4)、ルペオール(5)、オレアナ−12−エン−3β−オール(6)、オレアナ−12−エン−3α−オール(7)、ラノスタ−8,24−ジエン−3α−オール(8)およびウルサ−12−エン−3α−オール(9)と同定されている。次いで、この純粋な化合物を使用し、HPLC法を用いて、ボスウェリア・セラータの非酸性エキス(BNRE)を標準化した。この新規なBNRE組成物を、分析用HPLC法に基づいて評価し、保持時間(R)を表1にまとめる。HPLCクロマトグラムを図2に示した。
【0075】
ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の解析のためのHPLC法
【表1】

【実施例2】
【0076】
ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の同定方法: BNREの同定方法は、以下のHPLC法を用いた、BNREの主要化合物を含む組成の推定を伴う。溶媒の勾配を、表2にまとめる。既知量の各マーカー化合物を個々に分析した。各標準化合物の保持時間とピーク面積を記録する:次いで、既知量のBNRE試料を同様の条件下で分析し、各マーカーを、該試料のピークの保持時間と標準のものとの比較に基づいて、およびさらに、該試料を各マーカーと同時にインジェクトすることにより同定した。試料中の各マーカーのパーセントを、以下に示すとおりに、そのピーク面積を既知濃度の標準化合物に対応するピーク面積と比較することにより推定した。BNREの組成物を表3にまとめる。
【0077】
HPLC条件:
カラム:Phenoraenex Luna Phenyl−Hexyl,(4.6×250mm)5μ
波長:248 & 210nm
流速:1.50mL/分
インジェクション容量:20μl
温度:30℃
系:勾配
移動相:ポンプA:0.1%v/vのオルトリン酸を含む水
ポンプB:アセトニトリル
【0078】
ここで、0.1%v/vのオルトリン酸は、1mLのオルトリン酸を水で1000mlに希釈することにより調製する。
【0079】
標準:BNREの主要化合物をマーカーとして選択し、該化合物を、単離手法の組合せを用いて>98%純度で単離した。このようにして得たこれらの純粋な標準は、スペクトルデータの組合せを使用し、ギオール(1)、ネフテノール(2)、セラトール(3)、ジテルペンX(4)、ルペオール(5)、オレアナ−12−エン−3β−オール(6)、オレアナ−12−エン−3α−オール(7)、ラノスタ−8,24−ジエン−3α−オール(8)およびウルサ−12−エン−3α−オール(9)であることが充分にキャラクタライズされた。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
標準の調製:
約10.0mgの研究所内参照試料を50ml容の容量フラスコ内に精秤し、メタノールで溶解させ、規定の容積にする。
【0083】
試料の調製:
約250.0mgの試料を50ml容の容量フラスコに精秤し、メタノールで溶解させ、規定の容積にする。
【0084】
手順:
標準および試料溶液を、ともに0.45μ膜フィルターに通して濾過し、インジェクションする。
【0085】
計算:
=(試料のピーク面積×標準の濃度×標準の純度)/(標準のピーク面積×試料の濃度)=%
【実施例3】
【0086】
AKBAを10〜100%に富化したボスウェリア・セラータエキスの調製:
滴定法によって全ボスウェリア酸85%に標準化し、3%の3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を含む市販のボスウェリア・セラータエキスを、10〜100%までのAKBAの選択的富化プロセスに使用した。この混合物は、HPLC分析法により、45〜50%の範囲の全β−ボスウェリア酸[3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸、β−ボスウェリア酸、3−O−アセチル−β−ボスウェリア酸、11−ケト−β−ボスウェリア酸、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸]を含む。この混合物を、35〜45%のAKBAを含むように、PCT出願番号PCT/IN02/00034(2002年3月5日出願)およびPCT/IN05/000074(2005年3月7日出願)に記載の手順の一方を用いて選択的に富化した。富化プロセスにクロマトグラフィー工程もしくは晶出または両方を追加することにより、AKBAをさらに45〜100%に富化した。35〜100%の範囲のAKBAを有する富化エキスを賦形剤で、好ましくは白色デキストリンで希釈することにより、10〜35%の3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を含む富化エキスを調製した。AKBAを30%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)を、本発明において使用する。
【実施例4】
【0087】
組成物−1:組成物−1は、単位用量の以下の成分:AKBAを30%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)1部(1g)と、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)1部(1g)を混合することにより調製した。
【実施例5】
【0088】
組成物−2:組成物−2は、単位用量の以下の成分:AKBAを30%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)2部(2g)と、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)1部(1g)を混合することにより調製した。
【実施例6】
【0089】
組成物−3:組成物−3は、単位用量の以下の成分:AKBAを30%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)1部(1g)と、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)2部(2g)を混合することにより調製した。
【実施例7】
【0090】
組成物−4:組成物−4は、単位用量の以下の成分:AKBA 40%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE40%)3部(3g)と、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)2部(2g)と、白色デキストリン1部(1g)を混合することにより調製した。
【実施例8】
【0091】
AKBAを30%に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)による5−LOXおよびFLAPの阻害:重要な中間(intermediary)タンパク質であるアラキドン酸媒介性の炎症経路に対するBE30%の効果を、LPS誘導型THP−1ヒト−単球−マクロファージ細胞において、インビトロで評価した。簡単には、THP−1ヒト単球−マクロファージ細胞を10μg/mlのBE30%で1時間前処理した後、該細胞をLPSで2時間初回刺激し、炎症応答を誘導した。細胞内タンパク質を細胞溶解バッファーによって抽出し、イムノウエスタンブロットに供し、5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)およびFLAPの発現のモジュレーションを検出した。図3にまとめたように、LPS誘導型THP−1ヒト−単球−マクロファージ細胞において、BE30%により5−LOXとFLAPの発現が有意に阻害された。
【実施例9】
【0092】
AKBAが30%のボスウェリアエキス(BE30%)、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス CBNRE)および組成物−2の5−リポキシゲナーゼ阻害活性:
5−リポキシゲナーゼ酵素阻害活性を、Scheweらの方法(Adv Enzymol,Vol 58,191−272,1986)にReddannaら(Methods of Enzymology,Vol 187,268−277,1990)による改良を加えて使用し、測定した。アッセイ混合物は、80μMのリノール酸と充分量のイモ5−リポキシゲナーゼ(50mMのリン酸バッファー(pH6.3)中)を含むものとした。混合酵素バッファーをリノール酸に添加することにより反応を開始し、酵素活性を、234nmにおける吸光度の増大としてモニタリングした。反応を120秒間モニタリングし、試験物質BE30%、BNREおよび組成物−2の阻害可能性を、種々の濃度の試験物質を2分間インキュベートした後、リノール酸を添加することにより測定した。アッセイはすべて、3回行なった。阻害パーセントは、試験物質で得られた曲線の傾きを、対照のものと比較することにより計算した。BE30%、BNREおよび組成物−1の阻害パーセントを表4にまとめ、図4に示す。
【0093】
【表4】

【実施例10】
【0094】
AKBAが30%のボスウェリア・セラータエキス(BE30%)、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス TBNRE)および組成物−2によるマトリックスメタロプロテアーゼ−3(MMP−3)生成の阻害:
MMP−3を、TNFα誘導型SW982ヒト滑膜細胞において評価した。簡単には、SW982細胞を、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシンおよび10%のウシ胎仔血清(Hyclone,Logan,UT)を有するDMEM中で培養した。ウェル1つあたり5000個の細胞を、96ウェル細胞培養プレート(Corning,USA)に、実験の1日前に播種した。培養培地を、1%のウシ胎仔血清を含有する新鮮DMEMと交換した。AKBAが30%のボスウェリアエキス(BE30%)、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)および組成物−2を、培地中で5〜100ng/mlの範囲で連続希釈し、細胞とともに5%COで37℃にて2時間プレインキュベートし、次いで、10ng/mlのヒト組換えTNFα(R&D System,Minneapolis,MN)で24時間刺激した。培養上清みを回収し、ELISA開発キット(R&D System,Minneapolis,MN,USA)によるMMP−3生成の測定に使用した。無細胞培養上清み中のMMP−3濃度は、既知濃度のMMP−3で作成した標準曲線に光学濃度を補間することにより定量的に推定した。濃度に対して阻害パーセントプロットすることにより作成したプロットから、MMP−3の50%阻害の阻害濃度(IC50)を計算した。BE30%、BNREおよび組成物−2では、それぞれ、58.75、119.32および46.78μg/mLのIC50値が示された。これらの阻害の比較を図5に示す。
【実施例11】
【0095】
3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)が30%まで選択的に富化したボスウェリアエキス、すなわちBE30%とボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)をそれぞれ1:1および2:1の比率で含む組成物−1および組成物−2のインビボでの相乗作用性抗炎症活性:
3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸が30%まで選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(5−Loxin)とボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)をそれぞれ1:1および2:1の比率で含む組成物−1および組成物−2の抗炎症有効性を、Sprague Dawleyラットの完全フロインドアジュバント誘導関節炎モデルでのインビボ試験によって評価した。いずれかの性のラットを無作為に選択し、各群に5匹の動物を含む5つの群に分けた。処置群ラットには、AKBAを30%まで選択的に富化したボスウェリアエキス(BE30%)またはボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)、またはBE30%とBNREをそれぞれ1:1および2:1で含む組成物−1もしくは組成物−2を14日間、100mg/kg体重で補給した。陽性対照群には、プレドニゾロンを10mg/kg体重で補給した。供給物はすべて、投与用に10mLの1%CMCで希釈した。対照群の動物には、同じ容量の1%CMCを与えた。第14日目、完全フロインドアジュバント(FCA)を、各動物の左後足の足底下領域に皮下注射した。実験終了時、動物を致死させ、肝臓組織試料を切り取り、アリコートに分けて−80℃で保存した。血液試料を各動物から一定間隔で採取し、足体積をプレチスモグラフィ装置によって、FCA注射の日とFCA接種の13日後に測定した。FCA注射の日と誘導後13日目での浮腫の体積の差を炎症応答とみなす。BE3.0%、BNRE、組成物−1、組成物−2およびプレドニゾロンでのインビボ抗炎症応答を、CMC補給対照と比較したときの足浮腫の抑制パーセントを計算することにより推定した。
【0096】
AKBAを30%まで選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス(BE30%)およびボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を補給した処置群では、図6に示されるように、それぞれ、37%および10%の足浮腫の低減が得られたのに対し、プレドニゾロンを補給した処置群では53%の抑制が示された。しかしながら、同じ用量レベルの組成物−1および組成物−2を補給した処置群では、図6に示されるように、それぞれ、44%および54%の足体積の縮小が示された。この相乗作用有効性は、バイオマーカーである腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−1β(IL−1β)の評価によって、さらに実証された。組成物−1および組成物−2を補給した処置群では、図7に示されるように、個々の成分BE30%およびBNREを補給した処置群によって示されたレベルと比べて有意に充分な血清バイオマーカーTNF−αとIL−1の低減が示された。
【0097】
当業者には、上記の実施形態に対して、その広い発明概念から逸脱することなく変更がなされ得ることが認識されよう。したがって、本発明は、開示した具体的な実施形態または実施例に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の目的および範囲に含まれる変形例を包含することが意図されることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症および/または炎症に関連する、もしくは炎症が付随する1つ以上の疾患状態(例えば限定されないが、喘息、変形性関節症、関節リウマチ、内皮機能障害)などのコントロール、予防および治療のための、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスとボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の治療上有効な組合せを含む、相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物。
【請求項2】
選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス中のAKBAの濃度が、重量基準で10%〜100%の範囲にある、請求項1に記載の相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物。
【請求項3】
選択的に富化したボスウェリア・セラータエキス中のAKBAの濃度が、好ましくは25%〜95%、より好ましくは25%〜45%の範囲にある、請求項1に記載の相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物。
【請求項4】
ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)が、酸性化合物を選択的に除去した後に得られる低極性中性ボスウェリア・セラータゴム樹脂エキスである、請求項1に記載の相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物。
【請求項5】
作製方法が、
(a)ボスウェリア・セラータのゴム樹脂を水不混和性有機溶媒で抽出し、この抽出物を注意深く濾過して不溶解樹脂物質を除去し、次いで、該有機溶媒抽出物を水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で繰り返し洗浄した後、有機層を水とブラインで洗浄し、次いで、最後に有機層を真空下、高温でエバポレートして有機溶媒を除去した後、揮発性化合物を油状残渣から高温高真空下で除去し、ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を得ること、
(b)ボスウェリア・セラータゴム樹脂の酸性エキスを、10〜100%のAKBAを含むボスウェリア・セラータエキス(BE)に選択的に富化すること、
(c)ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)とAKBA富化ボスウェリア・セラータエキス(BE)を所望の比率で合わせ、請求項1に記載の組成物を得ること、
(d)任意選択で、該組成物を、賦形剤、希釈剤および添加剤から選択される1種類以上の成分と混合すること
を含む、請求項1に記載の相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物。
【請求項6】
3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスを重量基準で10%〜90%、およびボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を重量基準で90%〜10%含む、請求項1に記載の相乗作用性組成物。
【請求項7】
好ましくは、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(AKBA)を選択的に富化したボスウェリア・セラータエキスを重量基準で30%〜70%、およびボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)を重量基準で70%〜30%含む、請求項1に記載の相乗作用性組成物。
【請求項8】
任意選択で、1種類以上の栄養補強的または薬学的または栄養学的に許容され得る賦形剤または希釈剤または添加剤を含むものであり得る、請求項1に記載の相乗作用性組成物。
【請求項9】
栄養補強的または薬学的または栄養学的に許容され得る賦形剤または希釈剤または添加剤として、限定されないが、蒸留水、生理食塩水、グルコース水溶液、アルコール(例えば、エタノール)、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール;ならびに種々の動物油および植物油などの油性担体、白軟パラフィン、パラフィン、ワックス、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、黄色デキストリン、白色デキストリン、エアロゾル、微晶質セルロース、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、ラクトース、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アカシア、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB群、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸、カルシウム塩、色素、フレーバーおよび保存料が挙げられる、請求項8に記載の相乗作用性組成物。
【請求項10】
さらに、任意選択で、1種類以上の既知の薬理学的に許容され得る酸化防止剤、アダプトゲン、抗炎症剤、抗糖尿病剤、抗肥満剤または抗アテローム性動脈硬化剤と混合したものであり得る、請求項1および8に記載の相乗作用性組成物。
【請求項11】
炎症に関連する、もしくは炎症が付随する炎症性疾患が、限定されないが、炎症性腸疾患、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、難治性関節リウマチ、慢性の非リウマチ性関節炎、骨粗鬆症/骨吸収、冠状動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、脈管炎、潰瘍性大腸炎、乾癬、成人性呼吸窮迫症候群、糖尿病、皮膚疾患における遅延型過敏症、喘息、内皮機能不全、UV照射によるコラーゲン分解、皮膚のしわ発生および皮膚の老化が挙げられる、請求項1に記載の相乗作用性組成物。
【請求項12】
組成物は、炎症性障害の治療を必要とする被検体に、経口、局所的もしくは非経口または吸入によって投与され、投与形態は、輸液、注射液、錠剤、カプセル剤、クリーム剤、ゲル剤、顆粒剤、軟膏、注腸剤、医薬パックまたは栄養補助食品である、請求項1、8および10に記載の相乗作用性組成物。
【請求項13】
錠剤、カプセル剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、丸剤、顆粒剤、粉剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤などの経口薬剤;ならびに注射液、滴剤、坐剤などの非経口薬剤;ならびに貼付剤、経表面クリーム剤およびゲル剤などの経皮薬剤、ならびに食品成分または飲料として配合され得る、請求項1、8および10に記載の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物。
【請求項14】
i.ボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の主要化合物をマーカーとして同定し、該化合物を98%より高い純度で単離した後、スペクトルデータを用いて充分にキャラクタライズし、
ii.既知量の各マーカー化合物を個々に、PDA検出器を有するHPLCシステムに載置されたPhenomenex Luna Phenyl−Hexyl分析用カラム(4.6×250mm,5μ)に注入し(ここで、該カラムは30℃に維持され、0.1%v/vのオルトリン酸を含む水並びにアセトニトリルをそれぞれ27%および73%で含むバイナリー溶媒混合物で、1.5mL/分の流速にて溶出する)、各マーカーの保持時間とピーク面積を、210nmおよび248nmでのUV検出を用いて測定し、;次いで、
iii.既知量のBNRE試料を同様の条件下で分析し、混合物中のマーカーを、該試料のピークの保持時間と標準のものとの比較に基づいて、任意選択で該試料を各マーカーと同時にインジェクトすることによって同定し、次いで、該試料中の各マーカーのパーセントを、そのピーク面積を既知濃度の標準に対応するピーク面積と比較することにより推定し、次いで、
iv.全マーカーの総量に対するパーセントで示すことによりBNREの組成を得(該マーカーとしては、限定されないが、ネフテノール、セラトール、ジテルペンX、ルペオール、オレアナ−12−エン−3β−オール、オレアナ−12−エン−3α−オール、ラノスタ−8,24−ジエン−3α−オール、ウルサ−12−エン−3α−オールおよびギオールが挙げられる)、次いで、前記組成を他のBNRE試料との比較に使用する、
工程を含む、請求項1に記載の相乗作用性組成物の作製のために使用されるボスウェリア・セラータの非酸性樹脂エキス(BNRE)の同定方法。
【請求項15】
治療を必要とする被検体に、治療有効量の請求項1、8および10に記載の組成物を投与することを含む、炎症性障害の治療方法。
【請求項16】
治療を必要とする被検体に、治療有効量の請求項1、8および10に記載の組成物(1種類または複数種)を投与することを含む、炎症が付随する疾患、認知障害、神経障害、アルツハイマー病、コラーゲン合成低下、アンチエイジング低下、コレステロール低下および他の代謝異常の予防および処置のための方法。
【請求項17】
処置を必要とする被検体に、治療有効量の請求項1、8および10に記載の組成物(1種類または複数種)を投与することを含む、炎症ならびに炎症に関連する、または炎症が付随する1つ以上の症状の治療法であって、該症状としては、限定されないが、炎症性腸疾患、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、難治性関節リウマチ、慢性の非リウマチ性関節炎、骨粗鬆症/骨吸収、冠状動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化、内皮機能障害、脈管炎、潰瘍性大腸炎、乾癬、成人性呼吸窮迫症候群、糖尿病、皮膚疾患における遅延型過敏症、喘息および内皮機能障害が挙げられる、方法。
【請求項18】
炎症マーカーの改善のために使用される前記組成物が、限定されないが、5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)、マクロファージ/脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2)、IFN−γ、IL−4、ICAM、VCAM、MMP、TNFαおよびIL−1βである、請求項1、8および10に記載の相乗作用性組成物。
【請求項19】
前記組成物が、日投薬量において粉砕形態および/または非改良形態であり、例えば、粉剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、沈澱型薬剤、抽出液剤、乾燥エキス剤および/または浸出液剤などの任意の形態で投与され得る、請求項1、8および10に記載の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物の使用方法。
【請求項20】
被検体に有効量の請求項1、8および10に記載の組成物を投与する工程を含む、活性化肥満細胞および脱顆粒肥満細胞からの生体分子の分泌に起因する炎症性疾患に苦しむ被検体の治療方法であって、前記炎症性疾患が、変形性関節症、癌、線維筋痛症、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、片頭痛、アンギナ、慢性前立腺炎、湿疹、関節炎、多発性硬化症、乾癬、日焼け、および歯周病からなる群より選択される、方法。
【請求項21】
被検体に、有効量の請求項1、8および10に記載の相乗作用性の栄養補助用または医薬用またはダイエタリーサプリメント組成物を投与する工程を含む、被検体の炎症の特定の生体分子/バイオマーカー、特に、5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)、マクロファージ/脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2)、IFN−γ、IL−4、ICAM、VCAM、MMP、TNFαおよびIL−1βの活性の改善方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−502901(P2012−502901A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526635(P2011−526635)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000505
【国際公開番号】WO2010/029578
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(510067980)
【Fターム(参考)】