説明

ボンディング装置及びボンディング装置における回路基板の吸着方法

【課題】ボンディング装置において、湾曲した回路基板の吸着固定と加熱とを同時に行う。
【解決手段】搬送ガイド13の間に、搬送された回路基板12を上面の基板吸着面15に吸着保持し、吸着した回路基板12を加熱するヒートブロック10を設ける。ヒートブロック10の基板吸着面15には孔19が設けられており、真空吸引ベローズ18を含む真空吸引パッド16が取りつけられ、真空吸引パッド16は真空装置に接続されている。真空吸引パッド16内の空気を真空装置に吸引しながらヒートブロック10を回路基板12に向かって上昇させて、真空吸着ベローズ18によって回路基板12を吸引して回路基板12を基板吸着面15に吸着固定すると同時に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイボンダ、ワイヤボンダに用いられるヒートブロックの構造及びヒートブロックでの回路基板の吸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気回路のプリントされた回路基板に半導体ダイを装着するダイボンダや、回路基板上に装着された半導体ダイと回路基板の間をワイヤにて接続するワイヤボンダは、搬送されてくるリートフレームを吸着ステージの上面に真空吸着固定した状態でボンディング工程、あるいはディスペンシング工程を行う。一方、近年の薄型化の要求、高機能要求及び製造効率化の要求から、回路基板の薄板化、大型化が進むと共に、ダイの多層装着、いわゆるスタッキングが多用されるようになってきている。このように薄い回路基板の場合には回路基板に湾曲あるいは反りが生じてしまい、吸着ステージで回路基板を吸着して真空固定することができず、半導体ダイの装着、ディスペンシングあるいはワイヤボンディングができなくなる場合があった。
【0003】
半導体ダイが装着されて湾曲した回路基板を吸着ステージに確実に吸着固定する方法として、図6に示すように、吸着ステージ100の貫通孔64に、上下方向シリンダ70によって上下する支持部材68に取り付けられたベロー型の真空グリッパ62を貫通させて、この真空グリッパ62を上下させる装置がある。特許文献1に記載の従来技術と同様に回路基板12が搬送されてくるまでは、真空グリッパ62を吸着ステージ100の下部に格納し、回路基板12が吸着ステージ100に搬送されてきたら真空グリッパ62を湾曲した回路基板12に当たるまで上下方向シリンダ70で上昇させる。弁66を開けて真空グリッパ62の内部を真空にして大気圧との差圧によって真空グリッパ62のベローを圧縮させて回路基板12を基板吸着面15に引き込むと同時に、弁78を開けて真空になっている基板吸着面15にあけられた複数の真空吸引孔76で回路基板12を真空吸引固定するという方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、図7に示すように、回路基板を吸着する吸着ステージ140と吸着ステージ140を上下動させる上下動手段141とを備え、吸着ステージ140に形成された開口部143に弾性材から成る吸着パッド144をその上面を吸着ステージの上面よりも上方へ突出させて配設し、吸着パッド144を真空吸引する真空吸引手段147設けた回路基板101の吸着ステージ140が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような吸着ステージ140において、搬送されてきた回路基板101を吸着する場合には、吸着パッド144の上面を回路基板101の下面に当接させるまで、シリンダ141のロッド142を突出させて吸着ステージ140を上昇させる。そこで真空吸引手段147を駆動して回路基板101を真空吸着すると、吸着パッド144は自身の弾性により偏平に変形しながら回路基板101を吸着ステージ140の上面に当接させ、回路基板101のそりを矯正し回路基板101を吸着する。そして、回路基板101に対するボンド塗布やチップの搭載が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−203222号公報
【特許文献2】特開平11-17397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回路基板にダイボンダによって半導体ダイを装着する場合には、接着剤を固着させるために回路基板を加熱することが必要であるが、従来はこの加熱工程はボンディング工程と別工程とされ、上記の特許文献1、2に記載された従来技術は、このようにボンディング工程と加熱工程とを別工程とする半導体製造装置に対応するものである。しかし、近年の半導体装置の製造効率化の要求から、ボンディングと加熱を同時に行うことが要求されてきている。ところが、特許文献1、2に示す従来技術の回路基板の吸着機構は、ボンディングと加熱を同時に行うことができず半導体装置の製造を効率的に行うことに対応できないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、湾曲した回路基板の吸着固定と加熱とを同時に行うことを目的とすする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のボンディング装置は、搬送された回路基板を基板吸着面上に真空吸着する真空吸着孔と、真空吸着した前記回路基板を加熱するヒートブロックを備えるボンディング装置において、前記ヒートブロックの基板吸着面から伸縮部の吸引口が突出するよう前記ヒートブロックに取り付けられ、前記ヒートブロック上に搬送された湾曲した前記回路基板の中央部領域を真空吸着すると共に大気圧との圧力差によって前記伸縮部が圧縮されて前記回路基板を前記基板吸着面上に真空吸引する伸縮自在の真空吸引パッドを含む吸引機構と、前記ヒートブロック上に搬送された湾曲した前記回路基板に向かって前記ヒートブロックを進退させるヒートブロック駆動機構と、を有することを特徴とする。また、本発明のボンディング装置において、前記真空吸引パッドの伸縮部は、耐熱性ゴム材料で構成されていること、としても好適であるし、前記耐熱性ゴム材料は、テフロンゴム又はシリコンゴム又はフッ素ゴムであること、としても好適である。
【0009】
本発明の湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法は、吸引口のある伸縮部を有する真空吸引パッドと真空吸引孔とを備えるボンディング装置のヒートブロック上に搬送された湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法であって、前記ヒートブロック上に搬送された湾曲した前記回路基板に向かって前記ヒートブロックを進出させるヒートブロック進出工程と、前記真空吸引パッドの伸縮部内部及び前記真空吸引孔を真空として前記回路基板の中央部領域を真空吸引すると共に前記真空吸引パッドの伸縮部を大気圧との圧力差で圧縮させて前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空吸着する真空吸着工程と、前記真空吸引パッド及び前記真空吸引孔によって前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定する真空固定工程と、前記ヒートブロックによって前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定された前記回路基板を加熱する加熱工程と、を備えることを特徴とする。また、本発明の湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法において、前記真空固定工程は、前記真空吸引パッド及び前記真空吸引孔によって前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定した後、前記真空吸引パッドの真空を開放し、前記真空吸引孔によって前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定保持すること、としても好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、湾曲した回路基板の吸着固定と加熱とを同時に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図1〜5を参照しながら説明する。図1は、ダイボンダのヒートブロックの断面図であり、図2はダイボンダのヒートブロックを示す平面図であり、図3は真空吸引パッドの断面図であり、図4は図1、2に示したダイボンダの真空系統図であり、図5は湾曲した回路基板の吸着工程を示す図である。
【0012】
図1に示すように、ダイボンダは回路基板12の両側を搬送方向にガイドする平行な2本の搬送ガイド13を備えている。搬送ガイド13の間には湾曲した回路基板12が搬送されてくる。回路基板12は前工程において、回路基板12の上面に半導体ダイ14が装着されているため上向きに湾曲している。搬送ガイド13の間には搬送された回路基板12を上面の基板吸着面15に吸着保持し、吸着した回路基板12を加熱するヒートブロック10が設けられている。ヒートブロック10の中には加熱装置42が設けられており、これによってヒートブロック10全体を加熱し、吸着した回路基板12を加熱する。
【0013】
ヒートブロック10の基板吸着面15には孔19が設けられており、その中に真空吸引パッド16の伸縮部である真空吸引ベローズ18が配設され、真空吸引ベローズ18の下部の固定部17はヒートブロック10に固定されている。真空吸引パッド16の固定部17には真空配管20が接続され、真空配管20はヒートブロック10に固定されたヘッダ21に接続され、ヘッダ21には真空配管22が接続されている。
【0014】
図3に示すように、真空吸引ベローズ18は上端に回路基板12を真空吸引するための吸引口18aを有するジャバラ管構造で下部の固定部17に接続されている。真空吸引ベローズ18はヒートブロック10の加熱に耐えるようにテフロンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムなどの薄い耐熱性ゴムで3〜5段のベローズが形成されているものとなっているが、真空と大気圧との差圧によって圧縮することができるものであれば可撓性の金属材料で構成してもよい。また、回路基板12の湾曲の大きさによって、ベローズの段数を多くしたり少なくしたりすることも好適である。更に、真空吸着ベローズ18は軸方向に圧縮変形することができる形状であればジャバラ管でなく、例えば円錐形状のようなものでも良い。この真空吸引パッド16は調整ネジなどによって高さの微調整を可能として、回路基板12の湾曲の度合いによって真空吸引ベローズ18の基板吸着面15からの突出高さを調整することができるようにしても好適である。このように、真空吸引パッド16は下部の固定部17がヒートブロック10に固定され、上部の伸縮部の真空吸引ベローズ18が伸縮自在となるようになっている。
【0015】
ヒートブロック10の下側には、ヒートブロック10の基板吸着面15を回路基板12に向かって進退させるヒートブロック駆動機構30が設けられている。ヒートブロック駆動機構30はサーボモータによって上下方向の移動とその位置制御を行うように構成してもよいし、通常のモータと位置センサによって上下方向の駆動及び位置制御を行うようにしてもよいし、カムなどによって上下方向に駆動するように構成してもよい。ヒートブロック駆動機構30はシャフト32によってヒートブロック10に接続されてヒートブロック10を駆動できるように構成されている。
【0016】
図2はヒートブロックの平面図であり、湾曲した回路基板12、半導体ダイ14は二点鎖線で示してある。図2に示すように、ヒートブロック10は、回路基板12をその線上に吸着固定して半導体ダイ14のボンディング動作を行うボンディング中心線34の上に、回路基板12との間でキャビティを形成するX型の溝11aを備え、この溝11aの中心には真空吸引孔11が空けられている。真空吸引孔11によって溝11aが真空となると溝11aと回路基板12の間のキャビティが真空となって回路基板12が基板吸着面15に真空固定される。図2において、真空吸引パッド16は搬送中心線36の両側で、ボンディング中心線34から搬送方向に半導体ダイ14の装着ピッチの1/2だけ上流側に配設されている。この位置は回路基板12を真空吸着固定、保持する溝11a、真空吸引孔11と近く、しかも干渉しない位置で、真空吸引パッド16によって吸引した回路基板12をスムースに溝11aと真空吸引孔11によって形成される真空キャビティで吸引することができるような位置である。また、この位置は、回路基板12に配線用の貫通孔があまり配設されていない位置で、真空吸引パッド16によって回路基板12を効果的に吸引することができる位置である。もちろん、上記のように真空吸引パッド16によって効果的に吸引することができる位置であれば、真空吸引パッド16の位置は上記で説明した実施形態の位置に限られない。
【0017】
図4に本実施形態の真空配管系統を示す。図4に示すように真空吸引パッド16の真空吸引ベローズ18、固定部17は真空配管20、22を経由して電磁弁26に接続されている。電磁弁26は真空配管28によって真空装置29に接続されている。一方、ヒートブロック10の真空吸引孔11は真空管路23を介して真空配管25に接続され、別の電磁弁27に接続されている。別の電磁弁27は電磁弁26と同様に真空配管28を介して真空装置29に接続されている。真空装置29は真空ポンプに直接接続されていてもよいし、真空ポンプに接続された真空タンクのようなものでもよい。電磁弁26、27が開となると空気は真空吸引ベローズ18、真空吸引孔11から空気が吸込まれ、これによって回路基板12を吸着する。本実施形態では、真空吸引ベローズ18と真空吸引孔11からの吸引を別々の電磁弁26,27によって開閉することとしたが、同一の電磁弁によって開閉することとしても好適である。
【0018】
図5を参照して、本実施形態の動作について説明する。図5(a)に示すように、搬送ガイド13によって前工程で半導体ダイ14が装着されて湾曲した回路基板12がヒートブロック10の上に搬送されて、半導体ダイ14の中心位置がボンディング中心線34の位置に来て停止している。回路基板の幅はWであり、中央領域の湾曲高さはDとなっている。図5(a)に示すように、吸引口18aは基板吸着面15より高さH1だけ突出した状態で、ヒートブロック10は、基板吸着面15の上に突き出した真空吸着ベローズ18上端の吸引口18aの位置が搬送ガイド13のガイド面の高さよりもH2だけ低くなるようになっている。ここで、基板吸着面15と搬送ガイド13のガイド面との距離AはH1よりも大きく、H2=A−H1となっている。このように吸引口18aの位置を搬送ガイド13のガイド面よりも下に位置させるようにすることによって搬送ガイド13によって搬送される回路基板12の湾曲高さにかかわらず、真空吸着ベローズ18と搬送中の回路基板12とが干渉することを防止することができる。
【0019】
次に、図5(b)に示すように、電磁弁26,27を開として真空吸引ベローズ18と真空吸引孔11の空気を真空装置29に吸引を開始する。当初のヒートブロック10の位置では、吸引口18aと回路基板12との間の距離Lは、L=D+A−H1であり、真空吸着ベローズ18と真空吸引孔11の空気を真空装置29で吸引しても、吸引口18aと回路基板12の間の隙間から吸引口18aに空気が吸引されてしまい、真空吸着ベローズ18は回路基板12を吸着できない距離となっている。真空吸着ベローズ18及び真空吸引孔11から空気を吸引しつつ、ヒートブロック駆動機構30を動作させとヒートブロック10を回路基板12の下面に向かって上昇させていく。ヒートブロック10が回路基板12に向かって上昇していくと共に、ヒートブロック10に取り付けられた真空吸着ベローズ18の吸引口18aは回路基板12の下面に接近してくる。
【0020】
吸引口18aと回路基板12の下面との隙間が少なくなり、吸引口18aに吸い込まれる空気流速が早くなってくると、吸引口18aと回路基板12下面との間の空気圧力が低下してくる。そして、回路基板12の上面にかかっている大気圧力と吸引口18aに対向している回路基板12下面の圧力の差が大きくなると、回路基板12の上面は大気圧によって回路基板12の下面側にあるヒートブロック10の基板吸着面15に向かって押され始める。この圧力差による押し下げ力が湾曲した回路基板12の湾曲の弾性力よりも大きくなると、回路基板12は吸引口18aに向かって下方に移動し始める。回路基板12が吸引口18aに向かって移動を始めると、回路基板12と吸引口18aとの距離は、ヒートブロック10の上昇動作と回路基板12のヒートブロック10に向かう下降による各移動距離の合計分だけ短くなる。これによって、吸引口18aと回路基板12の下面とは急速に接近しだす。そして、この吸引口18aと回路基板12の急接近によって、吸引口18aと回路基板12下面との間の空気流速が急速に上昇、圧力の急低下が発生する。この圧力の急低下によって、回路基板12をヒートブロック10の基板吸着面15に向かって押し下げる押し下げ力が急上昇し、回路基板12は真空吸着ベローズ18の吸引口18aに吸着される。回路基板12が真空吸着ベローズ18に吸着されると、ヒートブロック10の上昇動作は停止される。
【0021】
図5(c)に示すように、ヒートブロック10の上昇と真空吸引ベローズ18の空気の吸い込みによって、回路基板12の下面が真空吸引ベローズ18の吸引口18aに吸着されると、真空吸引ベローズ18内部の圧力は更に低下し、真空装置の吸引真空圧力となる。真空吸引ベローズ18は真空の内部圧力と大気圧との圧力差によって外部から圧縮力を受ける。図3に示したように、真空吸着ベローズ18は直径方向の形状を保ったまま軸方向に圧縮を受けやすい構造となっていることから、この外部の圧縮力によって真空吸引ベローズ18は、軸方向に圧縮されるように変形する。真空吸引ベローズ18の下部は固定部17に接続、固定されていることから、回路基板12を吸着した吸引口18aは圧縮によってヒートブロック10の基板吸着面15に向かって降下してくる。回路基板12が基板吸着面15の近くまで降下して、回路基板12下面と基板吸着面18に設けられた真空吸引孔11及び溝11aとの間の距離が小さくなってくると、真空吸引孔11及び溝11aの回りの圧力が低下してくる。すると、回路基板12は上面に加わる大気圧と真空吸引孔11及び溝11aの周りの圧力差によって基板吸着面15に押し付けられ、真空吸引ベローズ18及び溝11aによって基板吸着面15に吸着固定される。
【0022】
このように、ヒートブロック10の上昇動作と真空吸引ベローズ18及び真空吸引孔11からの空気の吸引によって、湾曲した回路基板12がヒートブロック10の基板吸着面15に吸着固定される。回路基板12の湾曲高さDが大きい場合には、ヒートブロック10をより上昇させて、吸引口18aを回路基板12の下面に近づけることが必要となるので、回路基板12が吸着される際のヒートブロック10の基板吸着面15の高さは搬送ガイド13のガイド面よりも上側となっている。
【0023】
このヒートブロック10の基板吸着面15のガイド面からの上昇量は、吸着によって真空吸着ベローズ18の内面が真空となった状態を検出してヒートブロック10の上昇動作を停止させることによって決まる量としてよいし、予めヒートブロック10の上に搬送された湾曲した回路基板12の湾曲高さDを測定し、その湾曲高さに対応した所定量だけ上昇させるようにしてもよい。例えば、湾曲高さDの1/2だけガイド面から基板吸着面15が上側となるようにヒートブロック10を上昇させるようにしても好適である。ヒートブロック10の基板吸着面15をガイド面から上側に上昇させて回路基板12を吸着させた場合には、回路基板12を吸着固定した状態で、回路基板12は両側面にある搬送ガイド13のガイド面から上側に浮き上がった状態となっている。
【0024】
また、回路基板12の湾曲高さDが吸引口18aの基板吸着面15からの突出長さH1よりも小さい場合には、ヒートブロック10の基板吸着面15が搬送ガイド13のガイド面よりも低い位置において吸引口18aが回路基板12を吸着することができるので、ヒートブロック10の基板吸着面15の高さは搬送ガイド13のガイド面よりも下側となっている。
【0025】
このようにヒートブロック10の基板吸着面15の高さと搬送ガイド13のガイド面の高さとの間に差異が生じても、ボンディングはヒートブロック10上で行われることから特に問題が生じることは無い。従って、ヒートブロック10の上昇による基板吸着面15の高さは、搬送ガイド13のガイド面から少し上に突出した位置でも良いし、搬送ガイド13のガイド面と略同一面となっていても良いし、ガイド面よりも下がった位置となっていても良い。
【0026】
一旦、基板吸着面15に回路基板12が吸着固定されると、真空吸引ベローズ18の中の圧力を大気圧に開放しても回路基板12は真空吸引孔11及び溝11aによってヒートブロック10に吸着固定されるので、電磁弁26を閉として真空吸着ベローズ18の真空を開放するようにしても良い。
【0027】
回路基板12がヒートブロック10に吸着固定されると回路基板12はヒートブロック10によって加熱される。ヒートブロック10は、ボンディング装置の動作の開始と共に加熱が開始されているので、基板吸着面15に回路基板12が吸着されると同時に温度の上昇しているヒートブロック10の基板吸着面15によって回路基板12の加熱が開始される。回路基板12は通常数10ミクロンと非常に薄いので、ヒートブロック10の熱容量によって極短時間に所定の温度までの加熱ができ、すぐにボンディング工程が開始される。
【0028】
ボンディング中心線34にある回路基板12の各半導体ダイ14装着位置への半導体ダイ14の装着が終了すると、真空吸着ベローズ18、真空吸引孔11、溝11aの圧力を大気圧に開放し、ヒートブロック10を当初の位置まで降下させる。すると、回路基板12は図5(a)に示す湾曲状態に戻り、真空吸引ベローズ18の吸引口18aも基板吸着面15から上に突出した状態となる。回路基板12は真空吸引ベローズ上端の吸引口18aとクリアランスを持っているので、回路基板12を真空吸引ベローズ18と干渉させずに搬送することができる。そして、次の列の半導体ダイ14の中心がボンディング中心線34に来るまで回路基板12を図示しない搬送機構によって搬送する。これでダイボンダによる湾曲した回路基板12への半導体ダイ14の装着の1サイクルが終了する。
【0029】
このように、本実施形態のダイボンダにおいては、真空吸引ベローズ18が取り付けられたヒートブロック10を回路基板18に向かって上昇させるので、様々な湾曲高さを持つ回路基板12を吸引、吸着固定することができる。そして、回路基板12をヒートブロック10に吸着固定することから、回路基板12を吸着固定と同時に加熱することができ、ダイボンダのボンディング工程と加熱工程とを同時に行うことができ、半導体装置の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上、本発明の実施形態は、半導体ダイ14が装着されて湾曲している回路基板12を吸着固定する場合について説明したが、薄く、大型で当初から湾曲のある回路基板12を吸着固定することにも用いることができる。また、上記の実施形態はダイボンダの半導体ダイ14を装着するボンディング工程においての回路基板12の真空吸着について説明したが、本発明は、ダイボンダのディスペンサ工程において回路基板12を吸着固定する場合にも適用できるし、ワイヤボンダのワイヤボンディング工程において回路基板12を真空吸着する場合にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態であるダイボンダのヒートブロックの断面図である。
【図2】本発明の実施形態であるダイボンダのヒートブロックを示す平面図である。
【図3】真空吸引パッドの断面図である。
【図4】本発明の実施形態であるダイボンダの真空系統図である。
【図5】湾曲した回路基板の吸着工程を示す説明図である。
【図6】従来技術によるベロー型真空グリッパを上下させる吸着固定装置を示す断面図である。
【図7】従来技術による吸着ステージを上下させる吸着固定装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 ヒートブロック、11 真空吸引孔、11a 溝、12,101 回路基板、13 搬送ガイド、14 半導体ダイ、15 基板吸着面、16 真空吸引パッド、17 固定部、18 真空吸引ベローズ、18a 吸引口、19 孔、20,22,24,25,28 真空配管、21 フレーム、23 真空管路、26,27 電磁弁、29 真空装置、30 ヒートブロック駆動機構、32 シャフト、34 ボンディング中心線、36 搬送中心線、42 加熱装置、50 吸着筒、52 真空吸引孔、62 真空グリッパ、64 貫通孔、66 弁、68 支持部材、70 上下方向シリンダ、76 真空吸引孔、78 弁、100,140 吸着ステージ、141 シリンダ、141 上下動手段、142 ロッド、143、開口部、144 吸着パッド、147 真空吸引手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された回路基板を基板吸着面上に真空吸着する真空吸着孔と、真空吸着した前記回路基板を加熱するヒートブロックを備えるボンディング装置において、
前記ヒートブロックの基板吸着面から伸縮部の吸引口が突出するよう前記ヒートブロックに取り付けられ、前記ヒートブロック上に搬送された湾曲した前記回路基板の中央部領域を真空吸着すると共に大気圧との圧力差によって前記伸縮部が圧縮されて前記回路基板を前記基板吸着面上に真空吸引する伸縮自在の真空吸引パッドを含む吸引機構と、
前記ヒートブロック上に搬送された湾曲した前記回路基板に向かって前記ヒートブロックを進退させるヒートブロック駆動機構と、
を有することを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボンディング装置において、
前記真空吸引パッドの伸縮部は、耐熱性ゴム材料で構成されていること、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のボンディング装置において、
前記耐熱性ゴム材料は、テフロンゴム又はシリコンゴム又はフッ素ゴムであること、
を特徴とするボンディング装置。
【請求項4】
吸引口のある伸縮部を有する真空吸引パッドと真空吸引孔とを備えるボンディング装置のヒートブロック上に搬送された湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法であって、
前記ヒートブロック上に搬送された湾曲した前記回路基板に向かって前記ヒートブロックを進出させるヒートブロック進出工程と、
前記真空吸引パッドの伸縮部内部及び前記真空吸引孔を真空として前記回路基板の中央部領域を真空吸引すると共に前記真空吸引パッドの伸縮部を大気圧との圧力差で圧縮させて前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空吸着する真空吸着工程と、
前記真空吸引パッド及び前記真空吸引孔によって前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定する真空固定工程と、
前記ヒートブロックによって前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定された前記回路基板を加熱する加熱工程と、
を備えることを特徴とする湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法であって、
前記真空固定工程は、前記真空吸引パッド及び前記真空吸引孔によって前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定した後、前記真空吸引パッドの真空を開放し、前記真空吸引孔によって前記回路基板を前記ヒートブロックの基板吸着面上に真空固定保持すること、
を特徴とする湾曲した回路基板を真空吸着固定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−159644(P2008−159644A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343696(P2006−343696)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】