説明

ポリイミドフィルムの製造方法及び積層板の製造方法

【課題】プラズマ処理で銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度が優れた銅張積層板の製造方法を提供。
【解決手段】下記一般式(1)




(式中、R1は式(2)で表される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示す。また、R3は独立に、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5を示し、R4はH、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5を示す。)のポリイミドフィルムの表面側の層をプラズマ処理し、その処理面に金属層を設けた金属張積層板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルム又はポリイミド樹脂層の表面処理方法及び金属箔上にポリイミド樹脂層が積層する金属張積層板の製造方法に関し、より詳しくは、プリント配線板用に適したポリイミド樹脂層の表面処理方法及び金属張積層板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の電子回路には、絶縁材と導電材からなる積層板を回路加工したプリント配線板が使用されている。プリント配線板は、絶縁基板の表面(及び内部)に、電気設計に基づく導体パターンを、導電性材料で形成固着したものであり、基材となる絶縁樹脂の種類によって、板状のリジットプリント配線板と、柔軟性に富んだフレキシブルプリント配線板とに大別される。フレキシブルプリント配線板は、可撓性を持つことが特徴であり、常時屈曲を繰り返すような可動部では接続用必需部品となっている。また、フレキシブルプリント配線板は、電子機器内で折り曲げた状態で収納することも可能であるために、省スペース配線材料としても用いられる。フレキシブルプリント配線板の材料となるフレキシブル基板は、基材となる絶縁樹脂にはポリイミドエステルやポリイミド樹脂が多く用いられているが、使用量としては耐熱性のあるポリイミド樹脂が圧倒的に多い。一方、導電材には導電性の点から一般に銅箔が用いられている。
【0003】
フレキシブル基板には、ベースフィルム層(絶縁樹脂層の主層)、接着剤層、銅箔層の3層で構成される積層板と、接着剤を使用せずに、ベースフィルム層、銅箔層の2層で構成される積層板がある。2層フレキシブル基板は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの耐熱性の低い接着剤層を含まないので、信頼性が高く、回路全体の薄膜化が可能でありその使用量が増加している。一方、別の観点からすると、フレキシブル基板のベースフィルム層は、熱膨張係数が低いことがカールの発生を防止するために望まれているが、熱線膨張係数が低いポリイミド樹脂は接着性が劣るため、接着剤を使用せずに全部をポリイミド樹脂とする場合は、良接着性のポリイミド樹脂層を接着面側に接着性付与層として設けることが必要であった。また、両面に銅箔層を有するフレキシブル基板も知られており、片面に銅箔層を有する片面フレキシブル基板を製造したのち、2枚のフレキシブル基板を重ね合わせて積層する方法又は片面フレキシブル基板に銅箔を重ね合わせて積層する方法などが知られている。この場合も、接着剤層を含まないフレキシブル基板が望まれている。
【0004】
近年、電子機器における高性能化、高機能化の要求が高まっており、それに伴って電子デバイスに使用される回路基板材料であるプリント配線版の高密度化が望まれている。プリント配線版を高密度化するためには、回路配線の幅と間隔を小さくする、すなわちファインピッチ化する必要がある。このため、プリント配線板を高密度化、ファインピッチ化するためには、表面粗度の低い銅箔を使用することが望まれてきた。しかしながら、表面粗度の低い銅箔は、アンカー効果、すなわち絶縁樹脂層の銅箔表面の凸凹への食い込みが小さいため、機械的な接着強度が得られず、そのため絶縁樹脂に対する接着力が低くなるという問題があった。そこで、表面粗度の低い銅箔と絶縁樹脂との接着力を高めることが課題となっている。
【0005】
ベースフィルム層はカールの発生防止のため、熱膨張係数の低いポリイミド樹脂層であることが望まれるが、低熱膨張性と接着性との間には相反する関係がある。そこで、接着強度を向上させるため、従来、様々なポリイミドフィルムの表面改質技術が報告されている。その中でも特に、プラズマ処理による表面改質は、生産性、安定性、コストの面だけでなく、環境保全性の面でも有利な技術である。このようなプラズマ処理によるポリイミドフィルムの表面改質技術としては、例えば、特開平5−222219号公報(特許文献1)、特開平11−209488号公報(特許文献2)、特開2004−51712号公報(特許文献3)などで具体例が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−222219号公報
【特許文献2】特開平11−209488号公報
【特許文献3】特開2004−51712号公報
【0007】
特許文献1には、ポリイミドフィルムと銅箔とをポリイミド系接着剤により接着するに当たり、特定のポリイミドフィルムに対してプラズマ処理することを教えているが、この方法は接着剤を必要とする。特許文献2には、無機フィラーが充填された特定のポリイミドフィルムに対してプラズマ処理することを教えているが、無機フィラーを必要とする。特許文献3には、ポリイミドフィルムと銅箔との接着性を向上させ、染色性、水濡れ性に優れたポリイミドフィルムを得るため、特定のポリイミドフィルムに対してプラズマ処理することを教えているが、銅箔との接着性の十分な向上は困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、プラズマ処理によってポリイミドフィルム又はポリイミド樹脂層の表面を改質する方法が種々検討されているが、表面粗度の低い銅箔とポリイミド樹脂層との接着力は満足しうるものではないというのが現状である。本発明は、簡便なプラズマ処理で銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度が優れた銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。また、ベースフィルム層として適する低熱膨張性のポリイミド樹脂層の表面を改質して接着性を向上させ、接着性付与層となる接着性ポリイミド樹脂層又は接着剤層の省略を可能とすることを目的とする。他の目的は、プリント基板のファインピッチ化にも応える十分な接着強度を担保しつつ、絶縁樹脂層の極薄化にも対応できる銅張積層板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者等が検討を行ったところ、特定の構造単位を有するポリイミドフィルム又はポリイミド樹脂層の表面にプラズマ処理を施すことにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ポリイミドフィルム又は基材に積層されたポリイミド樹脂層が、下記一般式(1)
【化1】

【化2】

(式中、R1は式(2)で表される有機基から選択される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示す。また、R3は独立に、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5から選択される1価の有機基を示し、R4はH、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5のいずれかである。)で表される構造単位を50モル%以上有するポリイミドフィルム若しくはポリイミド樹脂層を選択する第一の工程と、該ポリイミドフィルム若しくはポリイミド樹脂層の表面側の層をプラズマ処理してプラズマ処理面を形成する第二の工程とを備えたことを特徴とする表面処理されたポリイミドフィルムの製造方法又は表面処理されたポリイミド樹脂層の製造方法である。
【0011】
ここで、一般式(1)中のR2としては、下記式(3)で表される有機基から選択される4価の有機基が好ましいものとして挙げられる。
【化3】

【0012】
また、上記第二の工程において、プラズマ処理したポリイミドフィルム若しくはポリイミド樹脂層の表面に水滴を載せたとき、該表面と水との接触角が10〜50°の範囲であるようにプラズマ処理することが好ましい。
【0013】
更に、本発明は、上記のプラズマ処理したポリイミドフィルム若しくはポリイミド樹脂層の表面に金属薄膜層を形成する第三の工程とを備えたことを特徴とする金属張積層板の製造方法である。
【0014】
更にまた、本発明は、上記のプラズマ処理したポリイミドフィルム若しくはポリイミド樹脂層の表面に金属箔を重ね合わせ、熱圧着する第三の工程とを備えたことを特徴とする金属張積層板の製造方法である。
【0015】
ここで、金属箔が、銅箔、銅合金箔若しくはステンレス箔であること、又は金属箔とプラズマ処理面がシランカップリング剤処理層を介していることのいずれか1以上を満足することはより優れた金属張積層板を与える。
【0016】
以下、本発明のフィルム及び積層板の製造方法について説明し、次に本発明の金属張積層板の製造方法について説明するが、共通する部分は同時に説明する。なお、フィルムは基材に積層されていないポリイミド樹脂層ということもできるので、積層板の説明と共通する部分は積層板の説明で代表し、この場合、ポリイミド樹脂層はポリイミドフィルムの意味と解する。
【0017】
本発明の製造方法において、第一の工程で選択するポリイミドフィルム又はポリイミド樹脂層(以下、これらをポリイミド樹脂層Aともいう)は、上記一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上有するポリイミド樹脂層である。
【0018】
ポリイミド樹脂層Aは1層のフィルム(シート)であってもよく、ポリイミド樹脂層Aを少なくとも一方の表面に有する多層のフィルムであってもよく、基材上に形成されたポリイミド樹脂層であってもよい。具体的には、下記(a)〜(c)に示すようなポリイミド樹脂層が挙げられるが、これに限定されない。但し、下記(a)〜(c)において、ポリイミド樹脂層Aを(A)、その他のポリイミド樹脂層を(C)、金属層を(M)とする。ここで、(C)は単一層であっても、多層であってもよい。(A)についても、上記一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上含む2種以上のポリイミド樹脂層Aからなる多層であってもよい。
(a) (A)
(b) (A)/(C)
(c) (A)/(C)/(M)
【0019】
そして、第二の工程においてプラズマ処理するポリイミド樹脂層の表面は、少なくともポリイミド樹脂層Aの一方の表面であるが、必要により他の表面をプラズマ処理することを妨げない。
【0020】
ポリイミド樹脂層Aは、前記一般式(1)で表される構造単位を50モル%以上有する。この構造単位が50モル%未満である場合は、金属層との十分な接着強度が得られにくい。好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上である。
【0021】
一般式(1)において、R1は式(2)で表される有機基から選択される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示すが、一般にポリイミド樹脂はテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸類とジアミンとの反応によって得られるので、R1はジアミンの残基ということができ、R2はテトラカルボン酸類の残基ということができる。したがって、反応に使用されるテトラカルボン酸類とジアミンを説明することによって、R1及びR2が理解される。
【0022】
好ましいR1を与えるジアミンとしては、次のような芳香族ジアミンが挙げられる。
具体的には、p-ジアミノエチルベンゼン、p-ジアミノトルエン、p-ジアミノエトキシベンゼン、p-ジアミノメトキシベンゼン、4,4'-ジアミノビフェニルのベンゼン環に2個のR3が置換した4,4'-ジアミノビフェニル類、ジアミノナフタレンのナフタレン環に1個のR3及び1個のR4が置換したジアミノナフタレン類、2,2-ビス(アミノフェニル)プロパン等がある。ここで、R3はCH3、C2H5、OCH3又はOC2H5から選択される1価の有機基であり、R4はH、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5のいずれかである。これらのR1又はジアミンは、1種又は2種以上使用することができる。
【0023】
R2は4価の有機基を示すが、好ましくは上記式(3)で表される4価の芳香族基である。好ましいR2を与えるテトラカルボン酸類としては、テトラカルボン酸二無水物で説明すれば、次のようなテトラカルボン酸類が挙げられる。
具体的には、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)-プロパン二無水物等がある。これらのR2又はテトラカルボン酸類は、1種又は2種以上使用することができる。
【0024】
R1を与えるジアミンと共に、他のジアミンを50モル%未満使用することもできる。かかるジアミンとしては、2,2-ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-
ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ
)フェニル]スルホン、ビス[4-(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、
ビス[1-(4-アミノフェノキシ)]ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフ
ェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)]ベンゾフェノン、ビス[4,4'-(4-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、ビス[4,4'-(3-アミノフェノキシ)]ベンズアニリド、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン及び2,2-ビス-[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0025】
更に、4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-キシリジン、4,4'-メチ
レン-2,6-ジエチルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、3,3'-ジアミノジフェニ
ルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジ
アミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジアミノビフェニル、4,4''-ジアミノ-p-テルフェニル、3,3''-ジアミノ-p-テルフェニル等が挙げられる。
【0026】
上記、好ましいR2を与えるテトラカルボン酸類と共に、他のテトラカルボン酸類を使用することもできる。かかる他のテトラカルボン酸類を酸二無水物として例示する。
具体的には、2,2',3,3'-、2,3,3',4'-又は3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3',3,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3'',4,4''-、2,3,3'',4''-又は2,2'',3,3''-p-テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-又は3.4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-又は3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,7,8-、1,2,6,7-又は1,2,9,10-フェナンスレン-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,3,5,6-シクロヘキサン二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,6-又は2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-(又は1,4,5,8-)テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-(又は2,3,6,7-)テトラカルボン酸二無水物、2,3,8,9-、3,4,9,10-、4,5,10,11-又は5,6,11,12-ペリレン-テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、4,4-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
【0027】
本発明で使用するポリイミド樹脂層Aは上記のようなテトラカルボン酸類とジアミンとを反応させて得ることができるが、他の原料を使用する反応であっても差し支えない。テトラカルボン酸類とジアミンとを反応させる場合は、ほぼ等モルのテトラカルボン酸類とジアミンとを有機溶媒中で反応させることにより得られる。有利には、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液を得て、これを銅箔、ガラス板、樹脂シート等の基材に塗布し、乾燥し、硬化(イミド化)させる方法が適する。基材から必要によりポリイミド樹脂層Aを剥離すれば、ポリイミド樹脂層Aからなるフィルムが得られる。
【0028】
低接着性であって、低熱膨張性のポリイミド樹脂層であるポリイミド樹脂層Aに対し、本発明の方法は好適である。具体的には、熱線膨張係数が1×10-6〜30×10-6(1/K)、好ましくは15×10-6〜25×10-6(1/K)である低熱膨張性のポリイミド樹脂層Aに適用すると大きな効果が得られる。
【0029】
本発明の第二の工程において、プラズマ処理の方法はグロー放電などの公知の方法が採用される。また、プラズマ処理の条件は任意に選択することが可能であるが、放電出力は3000〜300000W・min/m2が好ましく、より好ましくは20000〜200000W・min/m2、更に好ましくは30000〜100000W・min/m2がよい。プラズマ処理における雰囲気ガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素及びこれらの混合気体から選ばれるガスであることが好ましいが、特に好ましくは、アルゴン、ヘリウム又はこれらの混合気体である。
【0030】
プラズマ処理において、ポリイミド樹脂層Aの表面をプラズマ処理した面の水に対する接触角が10〜50°の範囲であるようにプラズマ処理することが好ましい。より好ましくは15〜45°の範囲であり、更に好ましくは15〜40°である。このような接触角となるようにプラズマ処理することにより、金属薄膜又は金属箔との接着力のばらつきを抑制するのみならず、接着性の向上が図られる。
【0031】
このようにして得られる表面処理されたポリイミド樹脂層Aを有するフィルム又は積層板は、接着性が優れるので、金属箔や樹脂フィルム等との接着用途に適する。
【0032】
本発明の金属張積層板の製造方法においては、プラズマ処理したポリイミド樹脂層Aの表面に金属薄膜層を形成する第三の工程を備える。
【0033】
金属薄膜層を形成する金属としては、ニッケル、クロム、ジルコニウム、シリコン、亜鉛、ベリリウム、銅及びこれらの合金が挙げられる。
【0034】
金属薄膜層を形成するための方法は、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等を使用でき、特に、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法による金属薄膜層の形成条件については、例えば、アルゴンガスをスパッタガスとして使用し、圧力は好ましくは1×10-2〜1Pa、より好ましくは5×10-2〜5×10-1Paであり、スパッタ電力密度は、好ましくは1〜100Wcm-2、より好ましくは1〜50Wcm-2の条件で行う方法がよい。
【0035】
また、金属薄膜層の厚みは0.001〜1.0μmの範囲であることがよく、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.5μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。金属薄膜層を更に厚くする場合には、無電解めっき又は電気めっきによって、厚膜にしてもよい。
【0036】
また、本発明の金属張積層板の製造方法において、別の態様では、プラズマ処理したポリイミド樹脂層Aの表面に金属箔を重ね合わせ、熱圧着する第三の工程を備える。
【0037】
金属箔は、銅箔、銅合金箔又はステンレス箔であることが好ましい。ここでいう銅箔とは、銅又は銅を主成分とする銅合金の箔を言う。好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上の銅箔である。銅箔が含有している金属としては、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等を挙げることができる。また、これらの金属が2種類以上含有される合金箔であっても良い。また、ステンレス箔は、材質に制限はないが、例えばSUS304のようなステンレス箔が好ましい。金属箔の厚みは3〜50μm、好ましくは5〜30μmの範囲とすることがよい。
【0038】
熱圧着する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。金属箔を張り合わせる方法としては、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等を挙げることができる。金属箔を張り合わせる方法の中でも、十分なプレス圧力が得られ、残存揮発分の除去も容易に行え、更に金属箔の酸化を防止することができるという観点から真空ハイドロプレス、連続式熱ラミネータを用いることが好ましい。
【0039】
また、金属箔を張り合わせる際には、300〜450℃の範囲内の温度に加熱しながら銅箔をプレスすることが好ましく、より好ましくは350〜450℃がよく、更に好ましくは350〜400℃がよい。この温度はポリイミド樹脂層Aのガラス転移温度以上の温度であることが望ましい。また、プレス圧力については、使用するプレス機器の種類にもよるが、通常、1〜50MPa程度が適当である。
【0040】
金属箔は、プラズマ処理面と接する面にシランカップリング剤処理が施されていてもよい。シランカップリング剤は、アミノ基又はメルカプト基等の官能基を有するシランカップリング剤が好ましく、より好ましくはアミノ基を有するシランカップリング剤がよい。具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。この中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン及びN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランから選択される少なくとも1種であることがよい。特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン又は/及び3-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0041】
シランカップリング剤は極性溶媒の溶液として使用する。極性溶媒としては、水又は水を含有する極性有機溶媒が適する。極性有機溶媒としては、水との親和性を有する極性の液体であれば、特に限定されない。このような極性有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。シランカップリング剤溶液は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%濃度の溶液がよい。
【0042】
シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を含む極性溶媒の溶液が接触する方法であれば、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、浸漬法、スプレー法、刷毛塗りあるいは印刷法等を用いることができる。温度は0〜100℃、好ましくは10〜40℃付近の常温でよい。また、浸漬時間は、浸漬法を適用する場合、10秒〜1時間、好ましくは30秒〜15分間処理することが有効である。処理後、乾燥する。乾燥方法は、特に限定されず、自然乾燥、エアガンによる吹きつけ乾燥、あるいはオーブンによる乾燥等を用いることができる。乾燥条件は、極性溶媒の種類にもよるが、10〜150℃で5秒〜60分間、好ましくは25〜150℃で10秒〜30分間、更に好ましくは30〜120℃で1分〜10分間である。
【発明の効果】
【0043】
本発明の製造方法によれば、従来のプラズマ処理による簡便な表面処理では成し得なかった低粗度銅箔との接着力を向上させることができるため、ファインピッチ化にも対応できるフレキシブルプリント基板の製造が可能となり、また、HDD(ハードディスクドライブ)用途にも利用可能であるため、その工業的価値は高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0045】
[接触角の測定]
接触角測定は、超純水を使用し全自動接触角計(協和界面科学社製 CA−W型)で測定し、接触角はθ/2θ法で算出した。
【0046】
[接着強度の測定方法]
銅箔とポリイミド樹脂層との間の接着力は、銅箔上にポリイミド樹脂層を形成した後、プレス機を用いて幅10mmの短冊状に切断し、東洋精機社製STROGRAPH V1を用いて、銅箔を180°方向に引き剥がし測定した。
【0047】
[熱線膨張係数の測定方法]
熱線膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いて255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、更に5℃/分の一定速度で冷却した。冷却時の240℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱線膨張係数)を算出した。
【0048】
作製例1
200gのN,N−ジメチルアセトアミドに、14.9gの4,4'−ジアミノ−2,2'−ジメチルビフェニル(0.07モル)及び6.01gの4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(0.03モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、21.4gのピロメリット酸二無水物(0.098モル)を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、溶液粘度が12000ポイズのポリアミド酸樹脂溶液を得た。このポリアミド酸溶液を、基材フィルムに所定厚みに塗布し、130℃で2分間乾燥後、最終温度360℃で3分間加熱硬化して基材フィルム上に積層されたポリイミド樹脂層1を得た。得られたポリイミド樹脂層の厚みは25μmであり、熱線膨張係数は20×10-6(1/K)であった。
【0049】
作製例2
200gのN,N−ジメチルアセトアミドに、21.2gの4,4'−ジアミノ−2,2'−ジメチルビフェニル(0.1モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、17.0gのピロメリット酸二無水物(0.078モル)及び5.88gの3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(0.02モル)を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、溶液粘度が18000ポイズのポリアミド酸樹脂溶液を得た。このポリアミド酸溶液を、基材フィルムに所定厚みに塗布し、130℃で2分間乾燥後、最終温度360℃で3分間加熱硬化して基材フィルム上に積層されたポリイミド樹脂層2を得た。得られたポリイミド樹脂層の厚みは25μmであり、熱線膨張係数は24×10-6(1/K)であった。
【0050】
作製例3
200gのN,N−ジメチルアセトアミドに、18.0gの4,4'−ジアミノ−2'−メトキシベンズアニリド(0.07モル)及び6.01gの4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(0.03モル)を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、21.4gのピロメリット酸二無水物(0.098モル)を加えた。その後、約3時間撹拌を続けて重合反応を行い、溶液粘度が11000ポイズのポリアミック酸樹脂溶液を得た。このポリアミド酸溶液を、基材フィルムに所定厚みに塗布し、130℃で2分間乾燥後、最終温度360℃で3分間加熱硬化して基材フィルム上に積層されたポリイミド樹脂層3を得た。得られたポリイミド樹脂層の厚みは25μmであり、熱線膨張係数は20×10-6(1/K)であった。
【0051】
作製例4
5gの3-アミノプロピルトリメトキシシラン、500gのメタノール及び2.5gの水を混合し、2時間撹拌することで、シランカップリング剤溶液を調製した。予め水洗したステンレス箔1(新日本製鐵株式会社製 SUS304 H−TA、厚み20μm、樹脂層側の表面粗度:十点平均粗さRz0.8μm)をシランカップリング剤溶液(液温約20℃)へ30秒間浸漬した後、一旦大気中に引き上げ、余分な液を落とした。次いで圧縮空気を約15秒間吹き付けて乾燥した。その後、110℃で30分間加熱処理を行い、シランカップリング剤処理のステンレス箔4を得た。
【0052】
作製例5
5gの3−アミノプロピルトリメトキシシラン、500gのメタノール及び2.5gの水を混合し、2時間撹拌することで、シランカップリング剤溶液を調整した。予め水洗した銅箔1(電解銅箔、厚み18μm、樹脂層側の表面粗度:十点平均粗さRz0.8μm)をシランカップリング剤溶液(液温約20℃)へ30秒間浸漬した後、一旦大気中に引き上げ、余分な液を落とした。次いで圧縮空気を約15秒間吹き付けて乾燥した。その後、110℃で30分間加熱処理を行い、シランカップリング剤処理の銅箔5を得た。
【実施例1】
【0053】
作製例1で得られたポリイミド樹脂層1をアルゴンガス95%とヘリウムガス5%の混合気体が注入された部屋に通し、常圧下で、印加圧力が5.0kV、出力500Wの電力を入力してプラズマ放電させ、10分間、表面処理した。このポリイミド樹脂層1をRFマグネトロンスパッタリング装置(ANELVA; SPF-332HS)へセットし、槽内を3×10-4Paまで減圧した後、アルゴンガスを導入し、真空度を2×10-4Paとし、RF電源にてプラズマを発生した。このプラズマにてニッケル:クロムの合金層〔比率8:2、99.9wt%以下ニクロム層(第一スパッタリング層1a)〕が30nm厚となるようにポリイミド樹脂層1のプラズマ処理面へ成膜した。ニクロム層を成膜した後、同一雰囲気にて、このニクロム層上へさらにスパッタリングにより銅(99.99wt%)を200nm成膜して第二スパッタリング層1bを得た。次いで上記スパッタ膜(第二スパッタリング層1b)を電極として電解メッキ浴にて8μm厚の銅メッキ層(メッキ層1c)を形成した。電解メッキ浴としては硫酸銅浴(硫酸銅100g/L、硫酸220g/L、塩素40mg/L、アノードは含りん銅)を使用し、電流密度2.0Adm2にてメッキ膜を形成した。メッキ後には十分に蒸留水で洗浄し、乾燥を行った。このようにしてポリイミドフィルム/ニクロム層1a/銅スパッタ層1b/電解メッキ層1cから構成される積層板Aを得た。ポリイミド樹脂層と金属層との接着力は、0.6kN/mであった。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0054】
作製例1で得られたポリイミド樹脂層1をアルゴンガス95%とヘリウムガス5%の混合気体が注入された部屋に通し、常圧下で、印加圧力が5.0kV、出力500Wの電力を入力してプラズマ放電させ、10分間、表面処理した。これにより得られた処理面とステンレス箔4を重ね合わせ、圧力30MPa、加熱温度400℃で30分間熱圧着し、積層板Bを得た。得られた積層板のステンレス箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.9kN/mであった。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0055】
ステンレス箔4の代わりに、銅箔2(電解銅箔、厚み18μm、樹脂層側の表面粗度:十点平均粗さRz0.8μm)を使用した以外は、実施例2と同様にして、積層板Cを作製した。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.8kN/mであった。結果を表1に示す。
【実施例4】
【0056】
ステンレス箔4の代わりに、銅箔5を使用した以外は、実施例2と同様にして、積層板Dを作製した。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.9kN/mであった。結果を表1に示す。
【実施例5】
【0057】
作製例2で得られたポリイミド樹脂層2をアルゴンガス95%とヘリウムガス5%の混合気体が注入された部屋に通し、常圧下で、印加圧力が5.0kV、出力500Wの電力を入力してプラズマ放電させ、10分間、表面処理した。これにより得られた処理面と銅箔2を重ね合わせ、圧力30MPa、加熱温度400℃で30分間熱圧着し、積層板Eを得た。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.9kN/mであった。結果を表1に示す。
【0058】
比較例1
実施例1において、ポリイミド樹脂層1にプラズマ処理は施さなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム/ニクロム層6a/銅スパッタ層6b/電解メッキ層6cから構成される積層板Fを得た。ポリイミド樹脂層と金属層との接着力は、0.1kN/m未満であった。結果を表1に示す。
【0059】
比較例2
実施例2において、ポリイミド樹脂層1にプラズマ処理を施さなかった以外は、実施例2と同様にして、積層板Gを得た。得られた積層板のステンレス箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.1kN/mであった。結果を表1に示す。
【0060】
比較例3
実施例3において、ポリイミド樹脂層1にプラズマ処理を施さなかった以外は、実施例3と同様にして、積層板Hを得た。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.1kN/mであった。結果を表1に示す。
【0061】
比較例4
実施例4において、ポリイミド樹脂層1にプラズマ処理を施さなかった以外は、実施例3と同様にして、積層板Iを得た。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.1kN/mであった。結果を表1に示す。
【0062】
比較例5
実施例5において、ポリイミド樹脂層2にプラズマ処理を施さなかった以外は、実施例3と同様にして、積層板Jを得た。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.1kN/mであった。結果を表1に示す。
【0063】
比較例6
作製例3で得られたポリイミド樹脂層をアルゴンガス95%とヘリウムガス5%の混合気体が注入された部屋に通し、常圧下で、印加圧力が5.0kV、出力500Wの電力を入力してプラズマ放電させ、10分間、表面処理した。これにより得られた処理面と銅箔(電解銅箔、厚み18μm、樹脂層側の表面粗度:十点平均粗さRz0.8μm)を重ね合わせ、圧力30MPa、加熱温度400℃で30分間熱圧着し、積層板Kを得た。得られた積層板の銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度は、0.3kN/mであった。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

【化2】

(式中、R1は式(2)で表される有機基から選択される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示す。また、R3は独立に、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5から選択される1価の有機基を示し、R4はH、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5のいずれかである。)で表される構造単位を50モル%以上有するポリイミドフィルムを選択する第一の工程と、該ポリイミドフィルムの表面側の層をプラズマ処理してプラズマ処理面を形成する第二の工程とを備えたことを特徴とする表面処理されたポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項2】
基材に積層されたポリイミド樹脂層が、下記一般式(1)
【化3】

【化4】

(式中、R1は式(2)で表される有機基から選択される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示す。また、R3は独立に、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5から選択される1価の有機基を示し、R4はH、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5のいずれかである。)で表される構造単位を50モル%以上有するポリイミド樹脂層であって、該ポリイミド樹脂層を選択する第一の工程と、該ポリイミド樹脂層の表面側の層をプラズマ処理してプラズマ処理面を形成する第二の工程とを備えたことを特徴とする表面処理されたポリイミド樹脂層を有する積層板の製造方法。
【請求項3】
一般式(1)中のR2が、下記式(3)
【化5】

で表される有機基から選択される4価の有機基であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項4】
一般式(1)中のR2が、下記式(3)
【化6】

で表される有機基から選択される4価の有機基であることを特徴とする請求項2記載の積層板の製造方法。
【請求項5】
第二の工程において、プラズマ処理したポリイミドフィルムの表面に水滴を載せたとき、該表面と水との接触角が10〜50°の範囲であるようにプラズマ処理することを特徴とする請求項1又は3記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項6】
第二の工程において、プラズマ処理したポリイミド樹脂層の表面に水滴を載せたとき、
該表面と水との接触角が10〜50°の範囲であるようにプラズマ処理することを特徴とする請求項2又は4記載の積層板の製造方法。
【請求項7】
下記一般式(1)
【化7】

【化8】

(式中、R1は式(2)で表される有機基から選択される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示す。また、R3は独立に、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5から選択される1価の有機基を示し、R4はH、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5のいずれかである。)で表される構造単位を50モル%以上有するポリイミド樹脂層を選択する第一の工程と、該ポリイミド樹脂層の表面側の層をプラズマ処理してプラズマ処理面を形成する第二の工程と、該プラズマ処理面の表面に金属薄膜層を形成する第三の工程とを備えたことを特徴とする金属張積層板の製造方法。
【請求項8】
一般式(1)中のR2が、下記式(3)
【化9】

で表される有機基から選択される4価の有機基であることを特徴とする請求項7記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項9】
第二の工程において、プラズマ処理したポリイミド樹脂層の表面に水滴を載せたとき、該表面と水との接触角が10〜50°の範囲であるようにプラズマ処理することを特徴とする請求項7又は8記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項10】
下記一般式(1)
【化10】

【化11】

(式中、R1は式(2)で表される有機基から選択される2価の有機基を示し、R2は4価の有機基を示す。また、R3は独立に、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5から選択される1価の有機基を示し、R4は、H、CH3、C2H5、OCH3又はOC2H5のいずれかである。)で表される構造単位を50モル%以上有するポリイミド樹脂層を選択する第一の工程と、該ポリイミド樹脂層の表面側の層をプラズマ処理してプラズマ処理面を形成する第二の工程と、該プラズマ処理面の表面に金属箔を重ね合わせ、熱圧着する第三の工程とを備えたことを特徴とする金属張積層板の製造方法。
【請求項11】
一般式(1)中のR2が、下記式(3)
【化12】

で表される有機基から選択される4価の有機基であることを特徴とする請求項10記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項12】
第二の工程において、プラズマ処理したポリイミド樹脂層の表面に水滴を載せたとき、該表面と水との接触角が10〜50°の範囲であるようにプラズマ処理することを特徴とする請求項10又は11記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項13】
金属箔が、銅箔、銅合金箔又はステンレス箔であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の金属張積層板の製造方法。
【請求項14】
金属箔とプラズマ処理面がシランカップリング剤処理層を介して積層していることを特徴とする請求項13記載の金属張積層板の製造方法。

【公開番号】特開2008−31448(P2008−31448A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167728(P2007−167728)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】