説明

ポリヒドロキシアルカノエート樹脂押出発泡体の製造方法および該製造方法により得られる押出発泡体

【課題】 環境適合性に優れ、更には生分解性を有する押出発泡体、およびその安定した製造方法を提供することである。
【解決手段】 微生物から生産される式(1)
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
(ここに、RはC2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下である。)
で示される一種以上の単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称P3HA)と有機過酸化物とを混合してなる樹脂組成物(A)に、揮発性発泡剤を溶融混練して混合物を作製し、該混合物を融点Tm+20℃以下、80℃以上に調整された成形ダイを通じて低圧領域に押し出した直後、連続的に吐出物の表面温度を80℃未満になるように冷媒を使用して急冷することを特徴とするP3HA樹脂押出発泡体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
植物由来で、生分解性を有するポリヒドロキシアルカノエート樹脂押出発泡体の製造方法および該製造方法により得られる押出発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックを使用して、すでに、シート、フィルム、繊維、射出成型品等が国内外で製品化されているが、プラスチック廃棄物の中でも包装容器、緩衝材、クッション材等に多量に用いられている発泡プラスチックは嵩高いために大きな社会問題となっており、その解決が望まれている。このため、生分解性を有するプラスチック発泡体の研究が盛んに行われており、これまで脂肪族ポリエステル系樹脂やデンプンとプラスチックの混合樹脂等の押出発泡体やバッチ式で得られる発泡粒子の検討がなされている。
【0003】
生分解性の押出発泡体に関して、従来検討されている内容としては石油由来の原料から合成して得られた生分解性の脂肪族ポリエステル樹脂を、発泡性を改良するためジイソシアナート反応させ高分子量化し得られる押出発泡体(特許文献1)や、増粘剤などの添加などにより特定の溶融粘度を有することに特徴を有するポリ乳酸系樹脂の押出発泡体(特許文献2〜4)、発泡剤の種類によりポリ乳酸系樹脂や脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂を適正粘度に調整して得られる押出発泡体(特許文献5〜10)がある。また、押出発泡性を向上させる手段として有機過酸化物を使用し、分岐や架橋を高分子に導入し発泡性を向上させる方法はポリオレフィン発泡等古くから知られているが、脂肪族ポリエステルについても同様で、有機過酸化物添加による押出発泡体についても従来検討されている(特許文献11〜15)。
【0004】
微生物から生産されるP3HA樹脂においては、非発泡の樹脂自体に関しては有機過酸化物による改質が研究されており、歪み硬化性の発現等に効果がある(非特許文献1)ことや、押出フィルムの生産性の向上に寄与する(特許文献16)ことが判っている。
【0005】
P3HA押出発泡体については、特許文献17に、P3HA樹脂においても特定の溶融粘度、非ハロゲン系発泡剤の使用により押出発泡体を作成していることが記載されており、P3HAの一種であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、PHBHと称す場合がある)を使用し、発泡剤として炭酸ガス、ジメチルエーテル、炭化水素を使用し、発泡体が得られることが開示されている。しかし、P3HAは一旦溶融すると、遅い結晶化のため、揮発性発泡剤が殆ど発泡に寄与せず(殆ど気泡を形成せず)に気化するため、吐出物は若干気泡の混じった外観不良の低発泡体となったり、気泡形成して発泡したとしても膨らんだ膜が固化せず、収縮し、外観不良の発泡体となってしまう問題があった。
【0006】
更にP3HA樹脂の特徴として、熱分解が挙げられる。融点以上の温度では少なからず熱分解が生じることがあり、押出安定性における問題となっている。このように、発泡体を得るうえで、外観美麗なP3HA押出発泡体を安定的に得る方法が望まれていた。
【0007】
また、発泡性を改良する方法として、ポリエステル押出発泡体についてではあるが、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族を分子中に含む熱可塑性ポリエステルの押出発泡体について従来検討がなされており、例えば特定の粘度範囲を有する発泡体を急冷する押出発泡方法について報告されている(特許文献18)。特許文献18には圧力開放した後に押出発泡したポリエステルを、そのガラス転移温度以下に急冷、結晶化を抑制して構造体を製造する方法が開示されている。
【0008】
また、一方、連続気泡率の高い押出発泡体の開発も用途の多様さから望まれている。例えば、連続気泡率の高い押出発泡体を一定長に切断したものを、通気性を有する又は有さない袋状物(好ましくは生分解性を有する袋)に充填することで、形状を自由に変化させることが可能なバラ緩衝材とできる。バラ緩衝材はクッション材、隙間部分に形状を自由に変えて挿入できる緩衝材、一方では吸音材等で優れた性能を発揮でき、また、徐放性の薬剤を混合するなどして薬剤徐放性制御粒子としたり、細胞を培養するための担体として利用できる可能性もあるためその開発が望まれている。
【特許文献1】特開平10−152572号公報
【特許文献2】特開2000−7815号公報
【特許文献3】特開2000−7816号公報
【特許文献4】特開2003−20355号公報
【特許文献5】特開2003−35924号公報
【特許文献6】特開2003−103595号公報
【特許文献7】特開2003−261704号公報
【特許文献8】特開2003−301066号公報
【特許文献9】特開2004−58352号公報
【特許文献10】特開2004−307662号公報
【特許文献11】特開平10−305471号公報
【特許文献12】特開2003−128901号公報
【特許文献13】特開2004−67894号公報
【特許文献14】特開2004−107615号公報
【特許文献15】特表2005−523354号公報
【特許文献16】米国特許第6201083号公報
【特許文献17】特開2003−327737号公報
【特許文献18】特開平6−145404号公報
【非特許文献1】Macromolecule,32,5229−5325
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は、植物由来の環境適合性に優れた生分解性の樹脂押出発泡体の製造方法において、外観美麗な発泡体で連続気泡率の高い成形体が得られる安定な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、P3HAに有機過酸化物を混合してなる樹脂組成物に、揮発性発泡剤を溶融混練して混合物を作製し、該混合物を成形ダイを通じて低圧領域に押し出した直後、吐出物の表面温度が80℃未満になるように冷媒で冷却することで樹脂組成物の結晶化を促進し、樹脂組成物からのガス抜けを抑制でき、発泡時のセル膜強度の向上も併せて外観美麗な発泡体が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の第一は、微生物から生産される式(1)
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
(ここに、RはC2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下である。)
で示される一種以上の単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称P3HA)と有機過酸化物とを混合してなる樹脂組成物(A)に、揮発性発泡剤を溶融混練して混合物を作製し、該混合物を80℃以上、P3HAの融点+20℃以下に調整された成形ダイを通じて80℃未満の低圧領域に押し出すことを特徴とするP3HA樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
ここで樹脂組成物(A)は式(2)の関係を満たす。
【0012】
η>500Pa・s (2)
η:P3HAの融点+20℃、剪断速度122sec−1での溶融粘度
好ましい実施態様としては、
(1)樹脂組成物(A)が脂肪族アミド系化合物を含んでなる樹脂組成物であることを特徴とする、
(2)P3HAが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)である、
(3)P3HAが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)であり、その共重合成分の組成が、3−ヒドロキシヘキサノエートが1mol%以上20mol%以下であることを特徴とする、
(4)揮発性発泡剤が二酸化炭素、炭素数3以上4以下の脂肪族飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする、
前記記載のP3HA樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
【0013】
本発明の第2は、前記記載の押出発泡体の製造方法により得られることを特徴とするP3HA樹脂押出発泡体に関し、好ましい態様としては、連続気泡率が60%以上であることを特徴とする前記記載のP3HA樹脂押出発泡体に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法により、外観美麗で連続気泡率の高いP3HA樹脂押出発泡体を安定的に得ることが出来る。更には押出発泡用樹脂として、P3HAを採用していることから、耐熱性、耐水性に優れた、植物由来の環境適合性に優れた樹脂押出発泡体を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
【0016】
本発明のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)とは、式(1)で示される一種以上の3−ヒドロキシアルカノエートよりなる単位からなる共重合体である。
【0017】
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
ここで、RはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1以上15以下の整数である。
【0018】
本発明におけるP3HAとしては、3−ヒドロキシアルカノエートのホモポリマー、または2種以上の組み合わせからなる共重合体、つまりジ−コポリマー、トリ−コポリマー、テトラ−コポリマーなど、またはこれらの2種以上のブレンド物が挙げられ、中でもn=1の3−ヒドロキシブチレート、n=2の3−ヒドロキシバリレート、n=3の3−ヒドロキシヘキサノエート、n=5の3−ヒドロキシオクタノエート、n=15の3−ヒドロキシオクタデカノエートのホモポリマー、及びこれら3−ヒドロキシアルカノエート単位2種以上の組み合わせからなるジ−コポリマー、トリ−コポリマー等の共重合体、及びこれらのブレンド物が好ましく使用できる。更には、n=1の3−ヒドロキシブチレートとn=3の3−ヒドロキシヘキサノエートの共重合体であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)が好ましく、その共重合成分の組成としては、3−ヒドロキシヘキサノエートが1mol%以上20mol%以下であるのが特に好ましい。3−ヒドロキシヘキサノエートが当該範囲内にあると高温にせずとも加熱加工ができるため、加熱加工時の熱分解による分子量低下を抑制出来る傾向にある。
【0019】
本発明のP3HAは、微生物から生産されたものが使用される。たとえば、P3HAの1つであるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)は、微生物として、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32を用いて原料、培養条件を適宜調整してJ.Bacteriol., 179, 4821(1997)記載の方法等で得ることが可能である。
【0020】
前記P3HAの重量平均分子量(Mw)の下限は、好ましくは5万である。重量平均分子量が5万未満の場合、加熱加工時の粘度変化が急激であり、また、発泡時に必要な溶融粘度を十分確保できない場合があるため、安定して発泡体が得られない傾向がある。前記重量平均分子量は、クロロホルム溶液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定でのポリスチレン換算分子量分布測定より得られる重量平均分子量(Mw)をいう。有機過酸化物を添加することで多くの場合は未添加物よりもMwが増大する傾向にある。
【0021】
本発明における樹脂組成物(A)は、P3HAに有機過酸化物を混合してなる。
【0022】
本発明で用いられる有機過酸化物は、溶融温度や混練時間などを考慮してジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、パーオキシケタールおよびパーオキシジカーボネートが好ましく使用される。具体的には、ブチルパーオキシネオドデカノエート、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、サクシニックパーオキサイド、ヘキシルパーオキシエチルヘキサノエート、トルオイルパーオキサイドとベンゾイルパーオキサイドとの混合物、ベンゾイルパーオキサイド、ブチルパーオキシイソブチレート、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ブチルパーオキシラウレート、ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジメチルジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)メチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ブチルパーオキシベンゾエート、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。更に、これら有機過酸化物を2種類以上組み合わせたものも使用可能である。本発明においては、使用する有機過酸化物の1分半減期温度が180℃以下のものを使用することが好ましい。使用する有機過酸化物の1分半減期温度が180℃より高いと、P3HAと反応させるために180℃より高温で押出す必要があるが、この様な温度ではP3HAが熱分解し分子量低下を起こすため、押出は不安定となり、得られる組成物、成形体も不均一となる傾向がある。
【0023】
有機過酸化物の添加量は、P3HA100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上1.0重量部以下、さらには0.05重量部以上0.8重量部以下が好ましい。有機過酸化物の添加量が上記範囲にある場合、過度の反応を抑制して効率良く分岐、架橋反応を進行させ、これにより、ゲルなどの不純物が殆ど生じない長鎖分岐/架橋/高分子量化されたP3HA樹脂組成物を得ることができる。
【0024】
本発明におけるP3HAには押出機内部での結晶固化防止、及び発泡後の固化に影響を与えない若しくは促進することから、脂肪酸アミド系化合物を添加することが好ましい。
【0025】
脂肪酸アミド系化合物の分類としては、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸のモノアミド(R−CONH)、その置換アミド(R−CONH−R’)、ビスアミド(R−CONH−・・・−NHCO−R’)、メチロールアミド(R−CONHCHOH)、エステルアミド(R−CONH−・・・−OCO−)、脂肪酸アミドエチレンオキサイド化合物(R−CONH−(CHO)−H)がある。具体的には、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、N−ステアリルエルカアミドなどが挙げられるが、これに限った物ではない。脂肪酸アミド系化合物が押出安定性を向上させたり発泡後の固化を阻害しない、若しくは促進する理由は定かではないが、押出機内部では内外滑剤のような作用、さらには結晶核剤的効果を示すためと考えられる。押出発泡の押出機では、発泡剤添加後に適正粘度および結晶化を促進するための冷却シリンダーやダイス部分があるが、脂肪酸アミド系化合物がここで発生しやすいと考えられる結晶核の押出機への付着を防止すること(外滑剤的作用)で、押出機内部での結晶成長(肥大化)が抑制され、押出安定性は向上していると考えられる。脂肪酸アミド系化合物の添加量については、使用する脂肪酸アミド系化合物の種類にもよるが、通常はP3HA100重量部に対し0.01重量部以上50重量部以下添加することが好ましい。添加量が0.01重量部未満であると押出安定効果が明確でない場合があり、50重量部より多い場合は樹脂への分散不良が起きて均一な押出発泡体が得られない場合がある。
【0026】
本発明におけるP3HAには、有機過酸化物、好ましくは脂肪酸アミド系化合物、の他に、得られる押出発泡体の要求性能を阻害しない範囲において、各種添加剤を加えても良い。ここで添加剤とは、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などの着色剤、可塑剤、滑剤、結晶化核剤、無機充填剤等目的に応じて使用できるが、中でも生分解性を有する配合剤が好ましい。添加剤としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレー、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素等の無機化合物や、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸バリウム等の脂肪酸金属塩、などが挙げられるが、これらに限定された物ではない。また、発泡体の気泡径を調節する必要がある場合は気泡調整剤を添加する。気泡調整剤としては無機造核剤には、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、クレー、重曹、アルミナ、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベントナイト等があり、その使用量は好ましくは0.005〜10重量部である。
【0027】
この様にして得られる樹脂組成物(A)は、P3HAの融点+20℃における剪断速度122sec−1での溶融粘度ηが、式(2)を充足する。
η>500Pa・s (2)
ηが当該範囲であれば、発泡時に必要な溶融粘度を確保できる。
【0028】
本発明では、P3HAに対して溶解性を有する揮発性発泡剤を使用することに特徴を有する。中でも、環境適合性を有し、押出時の成形ダイの温度T0において樹脂組成物(A)に溶解している発泡剤が好ましい。具体的に揮発性発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気などの無機ガス、脂肪族飽和炭化水素、その他のハロゲンを含まない発泡剤等が例示できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
一般的には、無機ガスは一般的にはP3HAへの溶解性が低いとされているが、例えば二酸化炭素などを高圧制御できる押出機であれば樹脂への可溶化も可能である。また、気泡サイズ調整剤としての作用もある。
【0030】
脂肪族飽和炭化水素としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンなど炭素数3以上4以下の脂肪族飽和炭化水素、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数5の脂肪族飽和炭化水素が挙げられる。
【0031】
その他のハロゲンを含まない発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類などを用いることができる。中でも、エーテル類はP3HA樹脂に対して強い溶解性、可塑性能と発泡力を有している。アゾ化合物などの化学発泡剤を発泡助剤や気泡サイズ調整剤として使用することも出来る。
【0032】
これらの揮発性発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形性などの点から、二酸化炭素、炭素数3以上4以下の脂肪族飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルが好ましく使用出来、中でもジメチルエーテルが特に好ましい。
【0033】
発泡剤の添加量は使用する揮発性発泡剤の溶解能によって異なるために範囲規定はできないが、概ねP3HA100重量部に対し1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。更に好ましくは1重量部以上30重量部以下の範囲であることが好ましい。1重量部より少ない場合は、急冷しても殆ど発泡しない場合がある。また30重量部より多い場合は、ガスの使用量が過剰であるため経済的でなく、ダイス口からガスが噴出する場合がある。
【0034】
本発明のP3HA樹脂押出発泡体は、樹脂組成物(A)を押出機で加熱溶融させ(加熱溶融温度:T1)、該溶融樹脂に揮発性発泡剤を圧入し、溶融樹脂と揮発性発泡剤を混練し、80℃以上P3HAの融点+20℃以下に温調された成形ダイを通じて80℃未満の低圧領域に押し出す事で得られる。好ましくは、吐出物の表面温度を、吐出物のガラス転移温度より高く80℃未満の温度に急速に冷却する。一般的には、例えば、特開平6−145404号公報記載の方法のように、ガラス転移点以下に急冷することで発泡させる方法が採られるが、本発明においては、ガラス転移点以下にせずとも発泡させることが可能である。
【0035】
本発明の発泡方法は成形ダイスから押し出された吐出物が80℃未満に急冷されることをきっかけに発泡し外観美麗な発泡体が得られる。樹脂組成物(A)は、可塑性の強い揮発性発泡剤を使用して成形ダイス温度を樹脂の結晶化の温度に調整できる場合以外は、溶解している揮発性発泡剤が、樹脂組成物(A)の結晶化が遅いため殆ど発泡に寄与せず(殆ど気泡を形成せず)に気化し、吐出物は若干気泡の混じった外観不良の低発泡体となったり、気泡形成しても固化が遅いため収縮し、形状の不均一な発泡体となる場合がある。一方、吐出物を急冷することで、樹脂組成物の結晶化を促進し、気泡形成性に優れ外観を向上できる点に特徴がある。
【0036】
押出される80℃未満の低圧領域とは、大気圧未満の減圧雰囲気や若干の加圧雰囲気に調整された、気相、液相が選択し得、例えば、温水や冷水による冷却や、冷風による急冷却などが行われる。
【0037】
樹脂組成物(A)は、発泡用の押出機とは別の押出機で予めP3HAと有機過酸化物を混合した樹脂組成物(A)を一旦作成した後、押出発泡用押出機に使用しても良いし、押出発泡用の押出機においてP3HAと有機過酸化物を混合し樹脂組成物(A)として連続的に、揮発性発泡剤を混練、発泡させても良い。樹脂組成物(A)を加熱溶融する際の溶融温度(T1)は、P3HAを示差走査熱量測定することによって得られる融解温度(融点)を基準として、融点+20℃以下である。T1が融点+20℃を越えると、溶融時間が短時間であっても熱分解による低分子量化が促進され、発泡適性を有するような粘度を得ることが困難になる傾向がある。溶融時間は、単位時間当たりの押出量、溶融手段などによって異なるので一概には決定することができないが、P3HA、発泡剤、添加剤が均一に分散混合し、熱分解による低分子量化を著しく受けない範囲の時間が選ばれる。また、溶融手段としては、例えばスクリュー型押出機など、通常の押出発泡の際に用いられる溶融、混練装置を適宜選択すればよく、特に制限するものではない。
【0038】
本発明の発泡剤の押出機への圧入は公知の方法で行うことができる。発泡剤を注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機内に圧入するために押出機の内圧力よりも高い圧力であればよい。
【0039】
この様にして製造したP3HA樹脂押出発泡体は、比較的均一なセルを形成し外観が美麗である。また、連続気泡率が好ましくは60%以上、更には90%以上である。このような発泡倍率となることで、軽量性、経済性の点で好ましく、また連続気泡率が60%以上であることでクッション性、形状自由度が高い等の点で好ましい。
【0040】
なお本発明において、発泡倍率は、23℃のエタノールの入ったメスシリンダーに相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて7日間放置した押出発泡体(重量W(g))を沈め、エタノール水位上昇分より発泡体容積V(cm)とP3HA樹脂密度ρ(g/cm)から次式で与えられるものを言う。
【0041】
発泡倍率=V/(W/ρ)
また、連続気泡率は、ASTM D−2856に準じて、例えば、マルチピクノメーター(ベックマン・ジャパン(株)社製)を用いて得ることが出来る。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。本発明で使用した物質は以下の様に略した。
PHBH:ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)
HH率:PHBH中のヒドロキシヘキサノエートのモル分率(mol%)
なお、実施例において特に断りのない限り「部」は重量基準である。各実施例におけるP3HA樹脂発泡体の物性測定は以下のように行った。
【0043】
<P3HA樹脂の融点(Tm)、ガラス転移温度Tg>
示差走査熱量測定は、JIS K−7121に準じて行った。押出発泡に使用するP3HA樹脂約5mgを精秤し、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、SSC5200)にて10℃/分の昇温速度で−20℃から200℃まで昇温を実施し、DSC曲線を得、吸熱曲線の絶対値が最大のピークトップの温度を融点とし、ベースラインの階段状変化において変化前後のベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線が交わる点の温度をTgとした。
【0044】
<溶融粘度(η)>
キャピログラフ(東洋精機製作所製)を用い、1mmφ×10mmのダイスを使用して上述の方法で測定した融点を元に、融点+20℃、剪断速度122sec−1にて、P3HAを主とした樹脂組成物(A)の溶融粘度ηを測定した。溶融粘度の評価は以下のように判断した。
○:η>500Pa・s
×:η≦500Pa・s
【0045】
<P3HA樹脂組成物の吐出物の表面温度>
非接触温度計(サーモハンターPT-7LD、オプテックス社製)により吐出物表面の温度を測定した。
○:80℃未満
×:80℃以上
<P3HA樹脂押出発泡体の発泡倍率>
23℃のエタノールの入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて7日間放置した押出発泡体(重量W(g))を、金網などを使用して沈め、エタノール水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積V(cm)としたときに、P3HA樹脂密度ρ(g/cm)から次式で与えられる。
発泡倍率=V/(W/ρ)
【0046】
<P3HA樹脂押出発泡体の連続気泡率>
マルチピクノメーター(ベックマン・ジャパン(株)社製)を用い、ASTM D−2856に準じて測定した。
<P3HA樹脂押出発泡体の外観評価>
押出発泡体の任意の部分に関して目視で観察した。
○:未発泡部分が殆ど観察されない
×:未発泡部分が多く確認され、吐出物表面が荒れている
<P3HA樹脂押出発泡体の生分解性>
P3HA樹脂押出発泡体20mm×20mm×1.5mmを、深さ10cmの土中に埋めて6ヶ月後、形状変化を観察し分解性を以下の基準で評価した。
○:かなりの部分が分解されており形状の変化が確認できるほど分解
×:ほとんど形状に変化なく押出発泡体が観察され、分解していない
【0047】
(実施例1)
微生物として、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32(J. Bacteriol., 179, 4821(1997))を用いて原料、培養条件を適宜調整して生産されたPHBH(HH率10mol%、Mw=53万、融点135℃)100重量部と有機過酸化物としてブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.2重量部(日本油脂株式会社製、パーブチルI(1分間半減期分解温度158.8℃))と脂肪酸アミド系化合物としてベヘニン酸アミド3重量部をニーダー付きφ35mm単軸押出成形機でシリンダー温度155℃にて溶融混練し、押出機先端に取り付けられた3mmφの小孔ダイより押し出されたストランドを、ペレタイザーでカットして粒重量5mgのPHBH樹脂組成物(A1)ペレット(Tg=1℃)を作製した。該ペレットについては溶融粘度を測定したところ、式(2)の条件を満たしていた。該ペレットを、口径65mmのものと口径90mmのものを直列に連結した二段押出機へ約40kg/hrの割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した樹脂混合物を、T1=145℃に加熱して溶融混練し、発泡剤を添加、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂温度Toを105℃(≦融点+20)に冷却し、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向1mm、幅方向50mmの長方形断面の口金より連続的に押出、20℃のエアを長方形断面の上下面に約20秒吹き付け吐出物を急冷すると均一に発泡し、厚さ約2.5mm、幅約100mmの板状の押出発泡体を得た。約20秒エアを吹き付けた時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。
【0048】
このとき添加した発泡剤として、樹脂組成物(A1)ペレット100重量部に対してジメチルエーテルを10部、前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。得られた発泡体は、発泡倍率5倍、連続気泡率は79%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0049】
(実施例2)
長方形断面の口金より連続的に押出した吐出物を、水温5℃の水槽に約10秒浸漬した以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。水槽から取り出した時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約6mm、幅約80mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率7倍、連続気泡率は82%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0050】
(実施例3)
長方形断面の口金より連続的に押出した吐出物を、水温30℃の水槽に約10秒浸漬した以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。水槽から取り出した時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約3mm、幅約90mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率6倍、連続気泡率は82%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0051】
(実施例4)
長方形断面の口金より連続的に押出した吐出物を、水温60℃の水槽に約10秒浸漬した以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。水槽から取り出した時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約2.5mm、幅約90mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率4倍、連続気泡率は78%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例5)
ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.6重量部添加してPHBH樹脂組成物(A2)ペレットを作製し、T1=140℃、T0=115℃(≦融点+20)とした以外は、実施例1と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。約20秒エアを吹き付けた時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約2mm、幅約150mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率8倍、連続気泡率は85%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例6)
長方形断面の口金より連続的に押出した吐出物を、水温5℃の水槽に約3秒浸漬した以外は、実施例5と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。水槽から取り出した時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約8mm、幅約100mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率13倍、連続気泡率は87%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例7)
長方形断面の口金より連続的に押出した吐出物を、水温30℃の水槽に約3秒浸漬した以外は、実施例5と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。水槽から取り出した時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約5mm、幅約100mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率10倍、連続気泡率は90%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例8)
発泡剤として、樹脂組成物(A2)ペレット100重量部に対してイソブタンを5部添加した以外は、実施例5と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。約20秒エアを吹き付けた時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約2.5mm、幅約120mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率5倍、連続気泡率は78%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0056】
(実施例9)
長方形断面の口金より連続的に押出した吐出物を、水温30℃の水槽に約3秒浸漬した以外は、実施例8と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。水槽から取り出した時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約2.5mm、幅約120mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率5倍、連続気泡率は80%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の外観および生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例10)
発泡剤として、樹脂組成物(A2)ペレット100重量部に対して炭酸ガスを10部添加し、T1=135℃、T0=135℃(≦融点+20)とした以外は、実施例5と同様の方法で発泡体を作成した。急冷により均一に発泡した。約20秒エアを吹き付けた時の吐出物の表面温度は80℃未満であった。発泡体は、厚さ約2.5mm、幅約100mmの板状の押出発泡体であった。得られた発泡体は、発泡倍率5倍、連続気泡率は65%であった。また、運転中押出機の状態は安定していた。また、得られた発泡体の比較的外観は良好で、生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
エアによる強制冷却をしなかった以外は実施例1と同様の方法で、長方形断面の口金より大気中へ押し出した。ダイスから出てから約20秒後の吐出物の表面温度は80℃以上であった。吐出物は発泡にムラがあり、発泡、未発泡部分が発生し、厚さ約2mm、幅約77mmの板状のまだらな発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率3倍、連続気泡率は58%で、不均一な形態で外観不良であった。
【0059】
(比較例2)
エアによる強制冷却をしなかった以外は実施例5と同様の方法で、長方形断面の口金より大気中へ押し出した。ダイスから出てから約20秒後の吐出物の表面温度は80℃以上であった。吐出物は発泡にムラがあり、発泡、未発泡部分が発生し、厚さ約2mm、幅約88mmの板状のまだらな発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率5倍、連続気泡率は80%で、不均一な形態で外観不良であった。
【0060】
(比較例3)
エアによる強制冷却をしなかった以外は実施例8と同様の方法で、長方形断面の口金より大気中へ押し出した。ダイスから出てから約20秒後の吐出物の表面温度は80℃以上であった。吐出物は発泡にムラがあり、発泡、未発泡部分が発生し、厚さ約2mm、幅約76mmの板状のまだらな発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率3倍、連続気泡率は58%で、不均一な形態で外観不良であった。
【0061】
(比較例4)
エアによる強制冷却をしなかった以外は実施例10と同様の方法で、長方形断面の口金より大気中へ押し出した。ダイスから出てから約20秒後の吐出物の表面温度は80℃以上であった。吐出物は発泡にムラがあり、発泡、未発泡部分が発生し、厚さ約2mm、幅約70mmの板状のまだらな発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率2倍、連続気泡率は55%で、不均一な形態で外観不良であった。
【0062】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物から生産される式(1)
[−O−CHR−CH−CO−] (1)
(ここに、RはC2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下である。)
で示される一種以上の単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称P3HA)と有機過酸化物とを混合してなる樹脂組成物(A)に、揮発性発泡剤を溶融混練して混合物を作製し、該混合物を80℃以上、P3HAの融点+20℃以下に調整された成形ダイを通じて80℃未満の低圧領域に押し出すことを特徴とするP3HA樹脂押出発泡体の製造方法。
ここで樹脂組成物(A)は式(2)の関係を満たす。
η>500Pa・s (2)
η:P3HAの融点+20℃、剪断速度122sec−1での溶融粘度
【請求項2】
樹脂組成物(A)が脂肪族アミド系化合物を含んでなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1項記載のP3HA樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項3】
P3HAが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)である、請求項1または2記載のP3HA樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項4】
P3HAが、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)であり、その共重合成分の組成が、3−ヒドロキシヘキサノエートが1mol%以上20mol%以下であることを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載のP3HA押出発泡体の製造方法。
【請求項5】
揮発性発泡剤が二酸化炭素、炭素数3以上4以下の脂肪族飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載のP3HA樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の押出発泡体の製造方法により得られることを特徴とするP3HA樹脂押出発泡体。
【請求項7】
連続気泡率が60%以上であることを特徴とする請求項6記載のP3HA樹脂押出発泡体。

【公開番号】特開2007−130763(P2007−130763A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322977(P2005−322977)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】