説明

ポリプロピレンおよび/または再生可能な材料から得られるプロピレン・コポリマーを含む組成物と、その使用

【課題】グラフトされたプロピレン・ポリマーの製造方法。
【解決手段】下記(a)〜(e)工程から成る:(a)再生可能な原料を発酵し、アルコールまたはアルコールの混合物を作り、このアルコールまたはアルコールの混合物は少なくともイソプロパノールおよび/またはエタノールと1-ブタノールの少なくとも一つの混合物を含み、(b)得られたアルコールまたはアルコールの混合物を脱水して、少なくとも一つの第1の反応装置中でアルケンまたはアルケン混合物を作り、このアルケンまたはアルケン混合物は少なくともプロピレンを含み、必要に応じてアルケン混合物を精製してプロピレンを作り、(c)少なくとも一つの第2の反応装置中でコモノマの存在下でプロピレンを重合してプロピレンのポリマーを製造し、(d)得られるプロピレンのポリマーを分離し、(e)プロピレンのポリマーをグラフトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能な原料からプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーを製造する方法と、そのポリマーの応用とに関するものである。
本発明は特に、再生可能な原料の発酵で得られる少なくとも一種のアルコールから得られるプロピレンのホモポリマーまたはプロピレンのコポリマーの製造方法に関するものである。再生可能な原料は、植物材料であるのが好ましい。
【背景技術】
【0002】
プロピレンは石油化学工業で最も一般的に製造され、使用されている製品であり、プロピレンをベースにしたポリマーは主として繊維産業、家具、特にガーデン用家具、包装(剛性または可撓性な材料)および自動車、建設の分野で使われる。
【0003】
プロピレンは、ポリプロピレン(ホモポリマー)、一般にエチレンを使用して製造されるポリプロピレンのランダム共重合体のコモノマー、エチレン/プロピレンラバーのポリプロピレンブロック共重合体を含む多くのポリマーの製造で使われている。
【0004】
従来、プロピレンは油留分の触媒クラッキングまたは熱クラッキングで得られる。ポリプロピレンにはポリマー鎖上のメチル基の位置によって互いに異なるアイソタクチック、シンディオタクティックおよびアタクチックの3つの形が存在する。工業的にはアイソタクチックポリマーが所望の形態を構成し、最終製品にアタクチック・ポリプロピレンが得るのを避けることが求められている。
【0005】
アタクチック・ポリプロピレンは遠心分離で除去できるが、アタクチック・ポリプロピレンを含まないポリプロピレンを直接得るための研究が多数行われている。
【0006】
特に有利なポリプロピレンの一つはグラフトされたポリプロピレンで、このポリプロピレンは多くの応用で使用できる。
【0007】
従来のプロピレン-ベースのポリマーの合成方法の問題点の一つは、再生不可能な化石(鉱油)起源の原料から製造される点にある。すなわち、石油資源には限界があり、次第により深く掘る必要があるため鉱油の抽出には常に難しい技術件下で複雑な機器を必要とし、エネルギ的にコストのかかるプロセスを使用し、従って、プロピレンおよびそのホモポリマーおよびコポリマーの製造コストを直接上昇させる結果になっている。
【0008】
オイルの消費を制限するためにリサイクル原料またはポリオレフィンをリサイクリングして材料を製造するプロセスは特許文献1〜3に記載されている。しかし、リサイクリングはポリオレフィンの融解点以上での変換が含まれ、その結果、リサイクル品は劣化する。従って、リサイクリングを何度か繰り返すと、原料が完全に劣化し、その初期性質を失う。さらに、原料は化石起源の原料から作ったものである。
【0009】
特許文献4には再生可能な資源から炭素原子数が2〜4のオレフィンのポリオレフィンを製造する方法が記載されている。ポリオレフィン製造のためのオレフィンの合成階段には特にバイオマスのガス化階段が含まれ。この階段は非常に高い温度(一般に1100℃〜1300℃)で実行され、従って、この階段は高いエネルギー使用量を必要とする。このエネルギを化石燃料から得る場合には温室効果ガス(CO2を含む)の放出に寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】日本特許第JP 09 095567 A号公報
【特許文献2】欧州特許第EP 1 219 675号公報
【特許文献3】韓国特許第KR 20030022426号公報
【特許文献4】国際特許第WO 2008/067627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、再生可能な原料から出発したプロピレン-ベースのポリマーの有利で驚くべき工業的製造方法を見出した。
本発明プロセスでは、化石起源の原料の少なくとも一部を無くして、それを再生可能な原料に代えることができる。
さらに、本発明方法で得られるプロピレン-ベースのポリマーは、最も需要のある用途を含めた、このポリマーを使用する公知の全ての用途で使用可能な品質を有している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの対象は、プロピレンポリマーの炭素の少なくとも一部が再生可能な原料に由来することを特徴とするプロピレンのポリマー、特に下記方法で得ることが可能なプロピレンのポリマーにある。上記の再生可能な原料に由来する炭素の量はASTM規格 D 6866-06で測定する。
【0013】
本発明の一つの対象は、炭素原子の少なくとも一部が再生可能な根源物質のあるグラフトされたグラフトしたプロピレン・ポリマー、特に下記方法で得ることが可能なグラフトしたプロピレンのポリマーにある。上記の再生可能な原料に由来する炭素の量はASTM規格 D 6866-06で測定する。
【0014】
本発明の他の対象は、下記(a)〜(e)工程から成るプロピレン・ポリマーの製造方法にある:
(a)再生可能な原料を発酵し、必要に応じてて精製して、アルコールまたはアルコールの混合物を作り、このアルコールまたはアルコールの混合物は少なくともイソプロパノールおよび/またはエタノールと1-ブタノールの少なくとも一つの混合物を含み、
(b)得られたアルコールまたはアルコールの混合物を脱水して、少なくとも一つの第1の反応装置中でアルケンまたはアルケン混合物を作り、このアルケンまたはアルケン混合物は少なくともプロピレンを含み、必要に応じてアルケン混合物を精製してプロピレンを作り、
(c)少なくとも一つの第2の反応装置中で、コモノマの存在下で、プロピレンを重合してプロピレンのポリマーを製造し、
(d)階段(c)の終わりに得られるプロピレンのポリマーを分離し、
(e)階段(d)の終わりに得られるプロピレンのポリマーをグラフトする。
【0015】
本発明の他の対象は、好ましくはグラフトされたプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含む組成物と、その使用とにある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の(共)重合プロセスを実行することができる流動層装置の図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記以外の対象、観点および特徴は以下の説明から明らかになるであろう。
プロピレンのポリマーを製造する方法の階段(a)では再生可能な原料の発酵して少なくとも一種のアルコールを製造する。製造するアルコールはイソプロパノールである。アルコールの混合物を製造する場合、この混合物は少なくともイソプロパノールおよび/または少なくともエタノールおよび/または1-ブタノールを含む。
【0018】
再生可能な原料は天然資源、例えば動物または植物である。この天然資源は人間のスケールでは短期間で再生可能なものである。特に、この天然資源は消費されるのと同程度に速く更新できることが必要である。例えば、植物材料は天然資源を明らかに減らす結果となる消費なしに耕作可能であるという利点がある。
【0019】
化石材料から得られる原料と違って、再生可能な原料は14Cから成る。生物(動物または植物)から取り出した全てのサンプルの炭素は3つのアイソトープの混合物である:12C(約98.892%)、13C(約1.108%)および14C(痕跡量:1.2×10-10%)。生物組織中の14C/12C比は空気のそれと同じである。環境中では14Cは主として2つの形:炭酸ガス(CO2)の形と有機の形すなわち有機分子中に取り入れられた炭素の形で存在する。
【0020】
生体系では炭素が絶えず外部環境と交換されているので、14C/12C比は新陳代謝によって一定に維持される。空気中の14Cの比率は一定であり、生物が生きている限り14Cと12Cを同様に吸収するので、生物中でも14Cの比率は同じである。14C/12C比の平均値は1.2×10-12に等しい。
【0021】
12Cは安定であるので、サンプル中の12C原子の数は時間が経っても一定である。それに対して14Cは放射性であり、サンプル中の14C原子の数は時間(t)の関数で減る。その半減期は5730年である。
【0022】
再生可能な原料を抽出してから本発明のポリプロピレンポリマーの製造するまで、さらにはそのポリマーから製造した物品の使用寿命が終わるまでも、14Cの含有量はほぼ一定である。
【0023】
従って、原料中の14Cの存在量比は、その絶対量とは無関係に、それを構成している分子の起源に関する指数、すなわち、それが再生可能な原料からのものか、化石原料由来のものかの指数になる。
【0024】
原料中の14Cの量はASTM規格 D 6866-06 (Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis)に記載の方法の一つで決定できる。
【0025】
この規格には再生可能な原料に由来する有機性炭素(バイオベース(biobased)の炭素とよばれる)を測定する3つの方法が記載されている。本発明のプロピレンのポリマーの比はマススペクトロメトリ法または液体シンチレーションスペクトロメトリ法、特に、マススペクトロメトリ法に従って測定するのが好ましい。
【0026】
この測定法ではサンプル中の14C/12Cアイソトープ比を評価し、それを100%標準を与える生物由来の原料中の14C/12Cアイソトープの比と比較してサンプル中の有機性炭素の百分比を測定する。
【0027】
本発明のプロピレンのポリマーはポリマー中の炭素の総重量に対して再生可能な原料に由来する炭素の量が20重量%以上、好ましくは50重量%以上であるのが好ましい。
【0028】
換言すれば、ポリマーは14Cを少なくとも0.24×10-10重量%、好ましくは少なくとも0.6 ×10-10重量を含むのが好ましい。
【0029】
再生可能な原料に由来する炭素の量はポリマー中の炭素の総重量に対して75重量%以上、好ましくは100重量%であるのが好ましい。
【0030】
本発明のプロピレンのポリマーは不飽和カルボン酸およびその官能性誘導体、4〜10の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸およびその官能性誘導体、C1〜C8アルキルエステル、不飽和カルボン酸のグリシジルエステル誘導体または不飽和カルボン酸の金属塩の中から選択される少なくとも一種のグラフト・モノマーによってグラフトされるのが好ましく、プロピレンポリマーは再生可能な原料を起源とする炭素の量がプロピレンのポリマーの炭素の総重量に対して20重量%以上、好ましくは50重量%以上であるのが好ましい。
【0031】
グラフト・モノマーの量はポリマーの総重量に対して多くとも10重量%、好ましくは1000ppm〜10重量%までである。
【0032】
植物由来の材料、動物由来の材料または回収材料(原料のリサイクル)由来の植物または動物原料を再生可能な原料として使用することができる。。
【0033】
本発明では、植物起源の原料は少なくとも砂糖および/または多糖を含み、例えば澱粉、セルロースまたはヘミセルロースにすることができる。
【0034】
砂糖を含む植物材料は基本的に砂糖大根および砂糖キビ、カエデ(メープル)、ナツメヤシ、羽ヤシ、モロコシまたはアメリカリュウゼツラン、澱粉含有植物材料、基本的に穀類および豆果、例えばとうもろこし、小麦、オオムギ、モロコシ、ソフト小麦、米、ジャガイモ、カッサバまたはサツマイモまたはアルジーから作ることができる。
【0035】
セルロースまたはヘミセルロースの再生可能な原料は適当な微生物の存在下で砂糖含有原料に変換して使用できる。再生可能な原料には麦藁、木材または紙、好ましくは回収材料から得られる紙が含まれる。
【0036】
植物または砂糖および/または多糖から成る有機性廃棄物の植物材料の回収材料由来の原料を特に挙げることができる。再生可能な原料は植物材料であるのが好ましい。
【0037】
多糖の場合、使用する植物材料は一般に発酵階段前に加水分解した形にする。この予備的な加水解離によって例えば規則の澱粉を糖化してグルコースに変換し、スクロースをグルコースに変換することができる。
しかし、上記のリストに制限されるものではない。
【0038】
再生可能な原料の発酵は一種以上の適当な微生物の存在下で行う。この微生物は必要に応じて自然(一般的な用語では突然変異)または化学的または物理的ストレスによって修正できる。
【0039】
使用する微生物はClostridium beijerinckii(クロストリジウム ベイジャリンキイ)またはその突然変異の一つであるのが有利であり、好ましくはポリマー繊維またはカルシウム・タイプの支持体上に固定する。この発酵でエタノール、イソプロパノールおよび1-ブタノールを含むアルコール混合物を得ることができる。得られたアルコールはパーベーパーレーション膜を使用して連続的に抽出できる。このタイプの膜を使用する利点の一つは微生物を良く保持できる点にある。微生物はあまりに高く濃縮すると破壊される。
【0040】
使用可能な他の微生物はClostridium aurantibutyricum(クロストリジウム オウランティブチリシム)、Clostridium butylicum(クロストリジウム ブチリシム)またはこれの突然変異種である。原料の発酵で基本的にイソプロパノールおよび/またはブタノール誘導体が得られ、アセトンが生じることもある。
【0041】
第1変形例で得られるアルコールは基本的にイソプロパノールである。
【0042】
発酵階段後に精製階段、例えば蒸留を行ってイソプロパノールを他のアルコールから分離するのが好ましい。
【0043】
第1変形例では階段(b)でイソプロパノールの脱水を実行して、最初の反応装置中で少なくともプロピレンまたはプロピレンを含むアルケン誘導体の混合物を製造する。脱水の副産物は水である。
【0044】
一般に、脱水はEUROSUPPORT社から商品名ESM 110(登録商標)で市販の触媒のようなα−アルミナ(残留Na2Oをほとんど含まない(約0.04%)の未ドープ三葉アルミナ)をベースにした触媒を使用して酸素と水の存在下で実行される。
【0045】
脱水操作条件は当業者の一般的知識の一部を形成するが、脱水は約400℃の温度で一般に実行される。
【0046】
本発明方法の一つの利点はエネルギー節約型である点にある。発明方法の発酵脱水階段は500℃以下、好ましくは400℃以下の温度で相対的に低い温度で実行される。これに対してクラッキングでプロピレンにする水蒸気分解階段の温度は約800℃である。
【0047】
このエネルギー節約で空気に放出するCO2の量も減る。
【0048】
Clostridium beijerinckii(クロストリジウム ベイジャリンキイ)またはその変異株を用いた発酵を実行する本発明の第2変形例では少なくともエタノールと1-ブタノールを含むアルコールの混合物が得られる。
【0049】
発酵階段後に精製階段を行い、例えば蒸留でエタノールおよび1-ブタノールを他のアルコールから分離すのが好ましい。
【0050】
この第2の変形例では階段(b)を下記の一連の反応装置を使用して行う:
(1)第1シリーズの反応装置の第1部(液体の流れ方向で上記シリーズの反応装置の入口に位置した反応装置)でエタノールと1-ブタノールを脱水して少なくともエチレンと1-ブテンとを製造する。この脱水は上記のイソプロパノールの脱水と同じ条件下に実行する。
(2)上記第1シリーズの第2部(上記シリーズの反応装置の中間に位置した反応装置)で1- ブテンをヒドロ異性化して2-ブテンにする。
(3)上記第1シリーズの第3部(液体の流れ方向で上記シリーズの反応装置の出口に位置した反応装置)でエチレンと2-ブテンをメタセシスしてプロピレンを作る。
【0051】
ヒドロ異性化およびメタセシス反応の詳細は下記特許文献5に記載されている。
【特許文献5】フランス特許第FR 2880018号公報
【0052】
1- ブテン物を2-ブテンにするヒドロ異性化反応は一般に第VIII族遷移金属、特にパラジウムまたはニッケルの化合物から成る触媒組成物を使用して実行される。この触媒組成物は反応をクローズドシステムまたは半クローズドシステムまたは連続的に比較的低い温度で実行できるようにするための第四アンモニウムおよび/またはホスホニウム塩を含むことができる。
【0053】
メタセシス反応は反応物を触媒ベッドと接触させて実行され、メタセシスは一般に連続的に実行され、反応相と再生相とを有する。使用する触媒はアルミナまたはアルミナに由来する化合物、例えばシリカアルミナまたは三酸化二硼素-アルミナに担持した酸化レニウムから成る。
【0054】
使用する微生物はClostridium beijerinckii(クロストリジウム ベイジャリンキイ)またはその変異株の一つであるのが好ましい。この微生物は第1変形例およびは第1変形例を実行するために使うことができる。このプロセスはイソプロパノールおよび/またはエタノールと1-ブタノールの組合せを使用して実行できる。
【0055】
任意段階の精製階段(階段(a)で得られるアルコールの精製)(階段(b)で得られるアルケンの精製)は、通常のフィルタ、例えばモレキュラーシーブ、ゼオライト、カーボンブラック、その他での吸収で行うのが好ましい。
【0056】
少なくとも一つの精製階段は重合または共重合を実行するのに充分な純度を有するプロピレンを得るために階段(a)および/または階段(b)に行う。得られるプロピレンの純度は85重量%以上、好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上であるのが好ましい。
【0057】
脱水操作後のプロピレン中に存在する主たる不純物はアセトン、ジイソプロピルエーテル、アセトアルデヒド、1- プロパノールおよび水素である。
【0058】
階段(c)の重合を容易にするために、プロピレンを精製してアセトン、ジイソプロピルエーテル、アセトアルデヒド、1- プロパノールおよび水素を除去のが好ましい。
【0059】
沸点がプロピレンの沸点よりはるかに低い水素はガスを圧縮し、わずかに冷却して分離できる(例えば19バールで-33℃)。
【0060】
プロピレン、アセトン、ジイソプロピルエーテル、アセトアルデヒドおよび1-プロパノールは低温蒸留で分離できる。これらの化合物の大気圧での沸点は以下の通りである:
【0061】
【表1】

【0062】
プロピレン、アセトン、ジイソプロピルエーテル、アセトアルデヒドおよび1-プロパノールを大気圧で約-50℃、好ましくは、-47.7℃に冷却し、次いで蒸留してプロピレンを取り出す。必要に応じてこの蒸留を減圧下で行って高い温度でプロピレンを取り出すことができる。
【0063】
本発明方法の他の利点は不純物にある。アルコールの脱水で得られるプロピレン中に存在する不純物はクラッキングや水蒸気分解で得られるプロピレン中に存在するものとは全く異なる。特に、クラッキングまたは水蒸気分解で得られるプロピレン中に存在する不純物はメチルアセチレンとプロパジエンを含む。
【0064】
本発明方法でもメチルアセチレンとプロパジエンが得られるが、これらの化合物ははるかに少ない量で存在する。この違いによってメチルアセチレンの極めて高い反応性に起因するリスクを減らし、オリゴマー化の副反応を減らすことができる。
【0065】
本発明方法の他の効果は、原料の生産場所に設置した生産設備で実行できる点にある。さらに、本発明方法の生産設備のサイズは石油精製装置のサイズよりはるかに小さい。特に、石油精製装置は一般に原料の製造センターから遠く離れて位置し、パイプラインで供給される大型の設備である。
【0066】
重量の全ての相違点から本発明方法はプロピレンを得るための従来のプロセスに比べてより経済的になる(機器が節約できエネルギが節約でき、空気中に放出されるCO2の量を減らすことができる)。
【0067】
プロピレン・ポリマーを製造するための重合方法には液相、特に懸濁プロセスと、気相プロセスの基本的に2つのタイプがある。これらのプロセスを組み合わせて、例えば1つまたは2つの反応装置中で液相でプロピレンを重合し、その後に1つまたは2つの反応装置中で気相で重合を実行することができる。
【0068】
懸濁重合法の中で「スラリー・プロセス」は溶剤中の重合および液体中でのプロピレンの懸濁重合であり、バルク重合または塊重合である。
【0069】
プロピレンの重合プロセスは特に触媒の改善によって古くから単純化されてきており、現在は第5世代の触媒である。主たる改良点は収率と立体特異性の改善に集中している。また、新しい触媒を用いることでアタクチック・ポリプロピレンおよび触媒残渣を取り出す階段を無くすことができる。
【0070】
現在使用されている触媒は第4および第5世代の触媒(チーグラー‐ナッタ触媒)、更には「メタロセン」触媒である
【0071】
第4世代の触媒はフタレート/シリコンドナーとホモポリマー反応装置中で流体モノマーのために使われる球状担体から成り、第5世代の触媒は例えばジエーテルおよびスクシナートドナー法をベースにしている。
【0072】
「メタロセン」触媒はモノサイト触媒で、基本的にシリカに担持されたZrCl2触媒で、一般に共触媒、例えばメチルアルミノキサン(MAO)と一緒に使われる。この触媒はチーグラー‐ナッタ触媒と組み合わせて使用できる。
【0073】
懸濁重合は一般にアタクチック・ポリプロピレンおよび触媒残渣の除去を可能にする有機炭化水素、一般にヘキサンを使用して行なわれている。反応装置中で製造されたポリマーは炭化水素に不溶であり、懸濁物を形成する。乾燥することでポリマ粉末中に残っている最後の痕跡量の溶剤を除去することができる。温度が50〜100℃程度で、圧力は2、3バールである。
【0074】
液体プロピレン中での懸濁重合(バルク重合)は希釈剤の選択の点で有機炭化水素中での懸濁重合と基本的に異なる。その主たる利点は炭化水素の分離または精製がない点にある。
【0075】
液体プロピレン中での懸濁重合はバブリング撹拌反応器中または円環状のループ反応器で実行できる。バブリング撹拌反応器での反応装置圧力は2.5〜3.5MPaで、これは65℃〜75℃の温度に対応する。円環状ループ反応器の温度は60℃〜80℃で、圧力範囲は3.5〜4MPaである。
【0076】
気相重合は機械的攪拌ベッド(上昇流または水平流)または流動床で実行でき、重合は50〜105℃、3〜5MPaの圧力で行う。
【0077】
これら全てのプロセスはポリプロピレン(ホモポリマー、ランダム共重合体またはブロック共重合体)の生産に適している。
【0078】
ポリプロピレンがランダムなブロックコポリマーの場合のコポリマーの総重量に対するプロピレン重量は10%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上にするのが好ましい。
【0079】
ポリプロピレンは140〜190℃の範囲の融解点を有するのが好ましい。
【0080】
ポリプロピレン(ホモポリマーまたはコポリマー)は流動床を使用して気相重合で得るのが好ましい。
【0081】
ポリプロピレンのブロック共重合体は少なくとも2階段で得られ、各階段は特定の触媒で実行される。
【0082】
例としては下記文献が挙げられる:
【特許文献6】米国特許第5,449,738号明細書
【0083】
この文献には下記段階によって気相でエチレン/プロピレン・ブロック共重合体を製造する方法が記載されている:
(1)基本的に下記(A)〜(C)の触媒系を有する一つ以上の反応装置を使用してプロピレンまたはエチレンとプロピレンの混合物の重合を行う第1階段:
(A) マグネシウム、チタンおよびハロゲンを含む固体触媒、
(B) 有機アルミニウム化合物、
(C) 式R12Si(0R32の硅素化合物(R1はC5〜C20の脂環式炭化水素、R2およびR3は互いに独立してC1〜C20の炭化水素ベースの基)
(2)第1階段の終わりに得られる重合生成物の存在下でかつ式R45aSi(OR63-aの第2の硅素化合物(D)の添加してエチレンとプロピレンの混合を重合する第2階段(R4はC6〜C20の芳香族炭化水素、R5はC1〜C20の炭化水素ベースの基またはC5〜C20の芳香族炭化水素、R6はC1〜C20の炭化水素ベースの基であり、aは0、1または2)
【0084】
特許文献7(米国特許第5473021号明細書)には下記(1)と(2)の段階から成る気相または液相、好ましくは不活性溶媒に懸濁した液相で実行するエチレン/プロピレン・ブロック共重合体の製造方法が記載されている。
【特許文献7】米国特許第5473021号明細書
【0085】
(1)特許文献6(米国特許第5,449,738号明細)の第1階段と同じ第1階段、
(2)第1階段の終わりに得られる重合生成物の存在下でかつ特許文献8(米国特許第US 5,449,738号明細書)に記載の化合物(A)(B)(C)および式R4aSi(OR54-aの硅素化合物(・')(R4およびR5は互いに独立してC1〜C20の炭化水素ベースの基を表し、aは0、1、2または3)の存在下でエチレンとプロピレンの混合物を接触させる第2階段:
【特許文献8】米国特許第US 5,449,738号明細書
【0086】
特許文献9(米国特許第US 6 117 946号明細書)には不活性溶媒なしに気相でチーグラー‐ナッタ触媒を使用してプロピレンと1-ブテンと(任意成分としてエチレン)のコポリマーを製造する方法が記載されている。
【特許文献9】米国特許第US 6 117 946号明細書
【0087】
この方法では第1階段でエチレン/プロピレン/l-ブテンコポリマーまたは少なくとも3重量%のエチレンと3〜25重量%の1-ブテンとを含むプロピレン/l-ブテンコポリマーを製造する。第1階段の重合収率は全収率に対して40%〜85%である。第2階段では第1階段で得られた触媒を含むポリマーの存在下でプロピレンと、1-ブテンは任意成分のエチレンとを重合して17重量%のエチレンと、3〜35重量%の1-ブテンとを含むエチレン/プロピレン/l-ブテン・コポリマーまたはプロピレン/1-ブテン・コポリマーを製造する。全収率に対する第2階段の重合収率は15%〜60%である。
【0088】
ブロックポリマーとしてはエチレン/プロピレンゴムを挙げることができる。
【0089】
特許文献10(米国特許第US 5 342 907号明細書)に記載の気相でエチレン/プロピレンゴム(EPR、EPDM)を製造する方法で使用する触媒系は担体上に支持されていてもよいバナジウムトリアセチルアセトネートから成る触媒先駆体と、(i)アルキルアルミニウム・ハロゲン化物と(ii)任意成分のトリアルキルアルミニウムとを基本とする共触媒と、塩素処理されたエステルである活性化因子とから成る。
【特許文献10】米国特許第US 5 342 907号明細書
【0090】
モノマーおよび触媒と一緒に、必要に応じて重合移行剤を導入することができる。重合移行剤の例は水素、アルカン、例えばブタンおよびペンタン、アルデヒド、例えばプロピオンアルデヒドおよびアセトアルデヒド、ケトン、例えばアセトンおよびメチルエチルケトンである。この重合移行剤を加えることで製造されるポリマーの分子量を制限することができる。ポリマーの数平均分子量は一般に1000〜100000 g/モルである。
【0091】
[図1]は本発明の(共)重合プロセスを実行することができる流動層装置の図であるが、本発明方法の重合階段がこれ限定されるものではない。この装置は反応装置Rと、ガスの再循環回路とを有し、ガスの再循環回路はサイクロン・タイプの2つの分離機Cl、C2と、2つの熱交換器換器El、E2と、コンプレッサCpと、ポンプPとを有する。反応装置Rは分配板Dを有し、この分配板Dによってガスおよび液状の取り入れ帯域である下側帯域と、流動床が位置する上側帯域Fとが区画される。
【0092】
分配板Dは孔の開いた板で、この板は反応装置に入るガスの流量を均一にする役目をする。この値打ちではプロピレンとコモノマー(エチレン)との混合物がダクト1を介して導入され、ダクト2を通して反応装置に入り、流動層で重合が実行される。
【0093】
流動床は触媒と予め形成されたランダム共重合した粒子とを収容しており、このベッドは分配板Dから来るガスの上昇流を用いて流動化状態に維持されている。形成されたコポリマー取出しダクト11から抜き出すことによって流動床の容積は一定に維持される。
【0094】
共重合は発熱反応である。反応装置内部の温度はダクト10を介して反応装置に戻されるガス(リサイクルガス)の温度を制御して一定に維持できる。このガスは未反応のプロピレンおよびエチレンの分子と、任意成分の重合移行剤(例えば水素)から成り、反応装置を出て、ダクト3を介してリサイクリング回路に入る。
【0095】
このガスはサイクロンタイプのセパレータClで処理されて、随伴した微粉のポリマーを必要に応じて除去する。処理されたガスはダクト4を介して冷却された第1の熱交換器Elに入る。ガスはダクト6を介して熱交換器Elから出て、コンプレッサCpに入り、流体はダクトを介して出る。
【0096】
流体は第2の熱交換器E2で冷却され、コモノマーが凝縮される。ダクト7は熱交換器E2からサイクロンタイプの分離器C2へ送られる。このサイクロン・タイプの分離器C2ではガスが液体から分離され、サイクロン・タイプの分離器C2からの液体はダクト10を介して反応装置Rへ導入され、サイクロン・タイプの分離器C2からのガスはダクト8を介してポンプPに入り、ダクト9とダクト2を介して反応装置に導入される。
【0097】
このプロピレン/エチレン・コポリマーは本発明方法の階段(a) および(b)を実行して得られたプロピレンから作られる。
【0098】
得られたプロピレンのポリマーは分離された後に押出機へ送られるか、他の反応装置へ送られて他の処理(例えばグラフト)が行われる。分離されたプロピレンのポリマーはグラフトされるのが好ましい。
【0099】
以下で記載するように、ポリプロピレンのグラフト化は不飽和カルボン酸、その官能性誘導体、4〜10の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸およびその官能性誘導体、不飽和カルボン酸のC1〜C8アルキルエステルまたは不飽和カルボン酸のグリシジルエステル誘導体または不飽和カルボン酸の金属塩の中から選択される少なくとも一つのグラフトモノマーで実行される。
【0100】
ポリマーには不飽和カルボン酸がグラフトできる。この酸の官能性誘導体を使用しても本発明の範囲外ではない。
【0101】
不飽和カルボン酸の例は2〜20の炭素原子を有するもの、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マイレン酸、フマル酸およびイタコン酸でえる。これらの酸の誘導体の例は酸無水物、エステル誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体および不飽和カルボン酸の金属塩で(例えばアルカリ金属塩)である。
【0102】
4〜10の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸および官能性誘導体、特にその酸無水物が特に好ましいグラフトモノマーである。
【0103】
これらのグラフトモノマーは例えばマイレン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリル琥珀酸、シクロヘキシ−4-エン-1,2-ジカルボン酸、4-メチルシクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸またはx-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸またはマイレン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリル琥珀酸、シクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸、4-メチレンシクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸およびx-メチルビシクロ[2.2.1] ヘプト-5-エン-2,2-ジカルボン酸の酸無水物である。
【0104】
他のグラフト・モノマーの例は不飽和カルボン酸のC1〜C8アルキルエステルまたは不飽和カルボン酸のグリシジルエステル誘導体、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、グリシジル・アクリレート、メタクリル酸グリシジル、モノエチル・マレアート、マレイン酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、モノメチル・イタコネートおよびジエチル・イタコネート、不飽和カルボン酸のアミド誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド系、マイレン酸モノアミド、マイレン酸ジアミド、マイレン酸N-モノエチルアミド、マイレン酸N,N-ジエチルアミド、マイレン酸N-モノブチルアミド、マイレン酸N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸N-モノエチルアミド、フマル酸N,N-ジエチルアミド、フマル酸N-モノブチルアミドおよびフマル酸N,N-ジブチルアミド、不飽和カルボン酸のイミド誘導体、例えばマレイミド、N-ブチルマレイミドおよびN-フェニルマレイミド、不飽和カルボン酸の金属塩、例えばアクリル酸ナトリウム、ナトリウムメタクリレート、カリウムアクリレートおよびカリウムメタクリレートである。メタクリル酸グリシジルが好ましく、さらに無水マレイン酸が好ましい。
【0105】
本発明の一つの特定変形例では、再生可能な炭素原子から成る無水マレイン酸を使用することができる。
【0106】
この無水マレイン酸は本出願人の下記(a)〜(c)の段階から成る特許文献11(フランス特許第FR0854896号公報)に記載の方法で得ることができる。:
【特許文献11】フランス特許第FR 0854896号公報
【0107】
(a) 再生可能な原料の発酵し、必要に応じて精製して、少なくともブタノールを含む混合物を製造し、
(b) バナジウムおよび/またはモリブデンの酸化物をベースにした触媒を使用して、一般に300〜600℃の温度でブタノールを酸化して無水マレイン酸とし、
(c) 階段(b)で得られた無水マレイン酸を分離する。
【0108】
公知の各種の方法を使ってポリプロピレンにグラフト・モノマーをグラフトすることができる。混合物にはポリオレフィンの加工中に10ppm〜5%の含有量で一般に使われる添加剤、抗酸化剤例えば置換フェノール分子ベースにしたもの等、UV-保護剤、加工助剤、例えば脂肪酸質アミド、ステアリン酸およびその塩、フルオロポリマ)(押出欠陥を防ぐための薬剤)、アミンベースの防曇剤、ブロック防止剤、例えばシリカまたはタルク、染料を含むマスターバッチ、核剤等を入れることができる
【0109】
この添加は約100℃〜約300℃の高温で溶剤の存在下または不存在下で、ラジカル発生剤と一緒にまたは無しに、ポリマーを加熱することで実行できる。
【0110】
この反応で使用するのに適した溶剤またはその混合物はベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クメン、その他である。この形式のプロセスでは液体および/または超臨界状態の二酸化炭素も溶剤または助溶剤と見なすことができる。
【0111】
使用に適したラジカル発生剤はパーオキサイド、好ましくはペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはペルオキシケタールである。これらのパーオキサイドはアルケマ(Arkema)社からルペロックス(Luperox、登録商標)で市販されている。ペルオキシエステルの例としてはt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Luperox 26)、t-ブチル・ペルオキシアセタート(Luperox 7)、t-アミル・ペルオキシアセタート(Luperox 555)、t- ブチルペルベンゾエート(Luperox P)、t-アミル・ペルベンゾエート(Luperox TAP)、OO-t-ブチル1-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート(Luperox TBEC)が挙げられる。ジアルキルペルオキシドとしては2,5-ジメチル-25- ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(Luperox 101)、ジクミルパーオキサイド(LuperoxDC)、α, α‘-ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(Luperox F40)、ジ(t-ブチル)パーオキサイド(Luperox DI)、ジ(t-アミル)パーオキサイド(Luperox DTA)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキス-3-イン(Luperox 130)がある。ヒドロペルオキシドの例はt-ブチル・ヒドロペルオキシド(Luperox TBH70)である。ペルオキシケタールとしては例えば1,1-ジ(t- ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(Luperox 231)、エチル3,3- ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチラート(Luperox 233)またはエチル3,3- ジ(t-アミルペルオキシ)ブチラート(Luperox 533)が使用できる。
【0112】
グラフト反応は溶融混合装置中でバッチ溶液法でまたは連続法で実行できる。
【0113】
バッチ溶液グラフト方法の場合、上記の適当な溶剤に溶したポリプロピレンをモノマーおよびラジカル発生剤の存在下で反応温度にする。反応温度および時間はラジカル発生剤の分解運動力学に応じて選択される。ラジカル発生剤を連続的に導入することもできる。50〜200℃の温度を使用するのが好ましい。溶液グラフト法ではラジカル発生剤としてパーオキシエステル群を使用するのが好ましい。グラフトされたポリプロピレンの処理は非溶媒から沈殿で行う。
【0114】
「非溶媒」という用語はグラフトされたポリマーの10%以上を溶解させない有機または無機の溶剤または有機と無機の溶剤の混合物を意味する。例えば水、ケトン、アルコール、エステルおよびこれらの混合物が挙げられる。沈殿後にグラフトされたポリプロピレンは濾過および乾燥によって粉末または集塊の形で得られる。グラフトされたポリプロピレンには必要に応じてそれと上記非溶媒との間の固体/液体抽出による追加の「洗浄」段階を行うことができる。
【0115】
連続グラフト法の場合には当業者に公知の溶融したプラスチックを押出す装置を使用できる。例としてはインターナルミキサ、オープンミル、一軸スクリュー、逆回転または共回転する二軸押出機、連続共混練機が挙げられる。このグラフト化装置は上記装置にするか、その組合せ、例えばテークアップ一軸スクリューと共混練機とを組み合わせるか、共回転する二軸押出機とギヤポンプとを組み合わせることができる。押出しの場合、押出機はポリマーの溶融帯域、ブレンディングおよび反応帯域、揮発分を除去するための減圧/脱気帯域を有する。これらの各帯域は押出機のスクリュー形状、規制帯域またはカップリングを押出機と一緒に使用することで具体化できる。押出機は一般に濾過システムおよび/またはストランドまたはアンダーウオータ造粒機を備えている。
【0116】
ポリプロピレンを導入する装置本体の温度を調整し、ラジカル発生剤が分解する熱力学温度となるように選択する。連続グラフトの場合のラジカル発生剤としてはジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはパーオキシケタールのファミリーを使用するのが好ましい。使用温度は100〜300℃、好ましくは200〜280℃である。
【0117】
ポリプロピレン、グラフトモノマーおよびラジカル発生剤は押出装置に同時または別々に導入できる。特に、モノマーおよびラジカル発生剤は主供給物であるポリマーと一緒に同時に導入するか、液体噴射装置を用いて押出装置へ他の材料と同時または別々に導入できる。
【0118】
この噴射段階でモノマーおよび/またはラジカル発生剤に例えば上記の溶剤成分を組合せることができる。この溶剤成分を加える目的は反応物間の混合を容易にし、脱気時の揮発分の除去を容易にすることにある。減圧/脱気段階で脱揮発に適した揮発分およびポリプロピレンに加えられる減圧は数ミリバールから数百バールの範囲にすることができる。
【0119】
最後にグラフトされたポリプロピレンは押出機の出口で造粒装置を用いて顆粒にして回収される。
【0120】
上記の方法で得られるグラフト変性ポリマーでのグラフトモノマーの量は適宜選択できるが、グラフトされたポリマーに対して000ppm〜10%、好ましくは6000ppm〜50000 ppmにすることができる。
【0121】
本発明の一つの形態では、本発明のグラフトされてないポリプロピレンと他のポリマー(共グラフトポリマーという)との混合物に対してグラフトが実行される。この混合物をグラフトモノマーおよびラジカル発生剤と一緒に押出装置に導入する。共グラフトポリマーは本発明のポリプロピレンとは異なる物で、同じ特数を有しないものである。
【0122】
特に、共グラフトポリマーはポリプロピレンにすることができる。このポリプロピレンと本発明のポリプロピレンとは融点および/または14Cが異なるものである。
【0123】
しかし、共グラフトポリマーとしては任意タイプのポリマーが使用でき、その例としてはポリスチレン・タイプのエラストマ、ホモポリマーおよびコポリマー、スチレン-ベースのコポリマー、例えばSBR(スチレン/ブタジエンゴム)、スチレン/ブタジエン/スチレン・ブロック共重合体(SBS)、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン・ブロック共重合体(SEBS)およびスチレン/イソプレン/スチレン・ブロック共重合体(SIS)がある。さらに、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、例えばエチレン/カルボン酸ビニル・エステル・コポリマー、エチレン/ビニルアセタートコポリマー、エチレン/不飽和(メタ)アクリル酸エステル・コポリマーまたはエチレン/不飽和(メタ)アクリル酸コポリマーも挙げられる。好ましい共グラフトポリマーはポリスチレンタイプまたはポリオレフィンタイプである。
【0124】
グラフトモノマーの量はFTIR分光学によってコハク酸官能基を分析して決定できる。グラフトされたポリマーのMFI(メルトフローインデックス)は0.1〜50g/10分(190℃、2.16kg、ASTM D 1238)、好ましくは1.5〜20g/10分である。
【0125】
本発明は、再生可能な原料から得られるグラフトされてないポリプロピレンを含む組成物、再生可能な材料から得られるグラフトされたポリプロピレンを含む組成物、そして、再生可能な材料から得られるプロピレンを少なくとも一つ含むコポリマーを含む組成物にある。
【0126】
これらの組成物は最終原料の性質を改良するための少なくとも一種の添加剤をふちに含むことができる。
そうした添加剤には抗酸化剤、UV-保護剤、加工助剤、最終ポリマーの外観を改良するための「加工剤」、例えば脂肪酸アミド、ステアリン酸およびその塩、エチレンビス(ヒテアラミド)またはフルオロポリマー、防曇剤、ブロッキング防止剤、例えば炭酸カルシウム、充填剤、例えばナノフィラー、例えばシリカ、タルク、クレー、カップリング剤、例えばシラン誘導体、架橋剤、例えばパーオキサイド、静電防止剤、核剤、顔料、染料等がある。これらの添加剤は最終コポリマーの重量に対して一般に10ppm〜100000 ppmの含有量で使用される。本発明組成物は可塑剤、流動化剤および難燃剤、例えば酸化アルミニウム三水和物または水酸化マグネシウムの中から選択される添加剤をさらに含むことができる(後者の添加剤は100000 ppm以上の高い量にすることができる)。これらの添加剤のいくつかはマスターバッチの形で組成物に入れることができる。
【0127】
本発明が特に目的とするターゲットは結合剤または接着剤として使用可能な組成物、特に、特に多層構造共押出時の結合剤または接着剤またはカップリング剤としての組成物である。
【実施例】
【0128】
以下、本発明の組成物のいくつかの実施例を記載する。
最初のタイプの組成物は下記を含む:
(1)ポリプロピレン、プロピレンを含むコポリマーまたはこれらポリマーの混合物の中から選択されるポリマー(プロピレンの少なくとも一部は再生可能な材料に由来する原料から得ら、このポリマーは上記のグラフトモノマーの少なくとも一つでグラフトされ、このポリマーはグラフトモノマーを5重量%以上は含まないのが好ましい)
(2)任意成分としてのポリプロピレン、プロピレンを含むコポリマーまたは混合物の中から選択されるグラフトされてないポリマープロピレン(これらのポリマーで使用されるポリプロピレンの少なくとも一部は再生可能な原料から得られたものでもよい)。
【0129】
第2のタイプの組成物は以下を含む:
(A) 1〜35重量%の、少なくとも一部が再生可能な原料から得られてポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンとのコポリマー、これらのポリマーの混合物の中から選択されるポリマーであって、上記の少なくとも一つのグラフトモノマーがグラフトされているポリマー、
(B) 15〜99重量%の、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンとのコポリマーまたはこれらのポリマーの混合物の中から選択されるグラフトされていないポリマー、
(C) 0〜50重量%の、ポリエチレン、ボリ(1-ブテン)、ポリスチレン、エチレンとα−オレフィン、不飽和カルボン酸またはその誘導体、例えば不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体、不飽和カルボキシル酸のエステル、飽和カルボン酸のビニルエステルまたはエラストマー特性を有するポリマーの中から選択される少なくとも一つのモノマーとのコポリマーの中から選択される少なくとも一種のモディファイア。
【0130】
上記プロピレンのコポリマーの合成で使用されるα−オレフィンはエチレンまたはブテン、特にイソブテンまたは1-ブテンであり、上記コポリマーで使用されるにα−オレフィンは密度が0.86〜0.960であるC3〜C30α−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、ヘキセンおよびオクテンの中から選択される。
【0131】
第3のタイプの組成物は下記を含む:
(A) 50〜98重量%の、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンとのコポリマーまたはこれらポリマーの混合物の中から選択され、これらポリマーで使用されるプロピレンの2〜50重量%の少なくとも一部は再生可能な原料から得られるブレンド、例えば、密度が0.86〜0.960のポリエチレンと、ポリスチレン、このブレンドは上記グラフト・モノマーの少なくとも一種で共グラフトされる、
(B) 任意成分の、ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンのコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィンまたは1-ブテンのコポリマー、ボリ(1-ブテン)または1-ブテンとα−オレフィンのコポリマー、ポリスチレンまたはこれらポリマーの混合物の中から選択される少なくとも一種のポリマー、
(C) 任意成分の、エチレンと不飽和カルボン酸のエステルまたは飽和カルボキシル酸のビニルエステルの中から選択されるモノマーとのコポリマーまたはエラストマー特性を有するポリマーの中から選択される少なくとも一つのモディファイア。
【0132】
上記組成物は下記の特徴を有することができる。
【0133】
グラフトされてないポリマーで使用されるプロピレンの少なくとも一部は再生可能な材料から得たものにすることができる。
【0134】
本発明組成物中のグラフトされたプロピレン・ポリマーはグラフトモノマーを5重量%以上含まないのが好ましい。
【0135】
エラレンと、少なくとも一つの不飽和カルボン酸のエステルまたは少なくとも一つの飽和カルボキシル酸のビニルエステルとのコポリマーは下記にすることができる:
(1)不飽和カルボン酸のエステルは、アルキル(メタ)アクリレート(アルキルは1〜24の炭素原子を含む)、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n-アクリル酸ブチル、イソブチル・アクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレートの中から選択される
(2)飽和カルボン酸のビニルエステルは酢酸ビニールおよびビニルプロピオナートの中から選択される。これらのコポリマーの中では特にアクリレートまたはエチレン/アクリレート/無水マレイン酸コポリマー、エチレン/酢酸ビニールコポリマーおよびエチレン/酢酸ビニール/無水マレイン酸コポリマーが挙げられる。
【0136】
「エラストマーの特性を有するポリマー」はASTM規格 D412に定義されているものを意味する。すなわち、外界温度で2倍に引伸ばし、そのまま5分間維持し、開放後にその長さが初期長の10%以内に戻ることができる材料をいう。この「エラストマーの特性を有するポリマー」は必ずしも上記特数を有するポリマーではなくても、引張った時にその初期長に戻ることができる材料を意味する。
【0137】
エラストマーの特性を有するポリマーの例としては下記が挙げられる:
(1)EPR(エチレン/プロピレンゴム)
(2)EPMおよびEPDM(エチレン/プロピレンジエン)、
(3)スチレン・エラストマ、例えばSBR(スチレン/ブタジエンゴム)、スチレン/ブタジエン/スチレン・ブロック共重合体(SBS)、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン・ブロック共重合体(SEBS)およびスチレン/イソプレン/スチレン・ブロック共重合体(SIS)。
【0138】
上記組成物で無水マレイン酸を使用する場合には、再生可能な物質を起源とする炭素原子を含む無水マレイン酸を使用することができる。
【0139】
この無水マレイン酸は本出願人の特許文献12(フランス特許第FR 0854896号公報)に記載の下記工程から成るプロセスで得ることができる:
【特許文献12】フランス特許第FR 0854896号公報
【0140】
(a) 再生可能な原料を発酵し、必要に応じて精製して少なくともブタノールを含む混合物を製造し、
(b) ブタノールをバナジウムおよび/またはモリブデンの酸化ものをベーすにする触媒を用いて一般に300〜600℃の温度で酸化して無水マレイン酸とし、
(c) 段階(b)で得られた無水マレイン酸を分離する。
【0141】
上記組成物でビニルエステルを使用する場合には、再生可能な物質を起源とする炭素原子から成るビニル・エステルを使用できる。このビニルエステルは本出願人の特許文献13(フランス特許第FR 0854976号公報)に記載の下記工程から成るプロセスで得ることができる:
【特許文献13】フランス特許第FR 0854976号公報
【0142】
本発明の他の対象はポリプロピレンの使用、特にグラフトしたポリプロピレンおよび本発明の少なくとも一つのポリプロピレンを含む組成物の使用にある。
【0143】
本発明のグラフトしたポリプロピレンの使用のターゲットは本発明のグラフトしたポリプロピレンの接着剤としての使用と、本発明のグラフトしたポリプロピレンを含む組成物の接着剤としての使用、特に押出被覆または押出し積層での共押出し用接着剤としての使用にある。これらの接着剤は多くの支持体、例えば金属、例えばアルミニウムまたはポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、水、ガス、炭化水素に対するバリヤーとなるポリマー、例えばエチレンと鹸化された酢酸ビニール(EVOH)とのポリマーに対して接着性がある。
【0144】
本発明組成物の使用のさらに他のターゲットは多層構造ものでの接着剤として使用と、それによって得られる多層構造にある。
【0145】
本発明で好ましい2つの支持体間の少なくとも一つの粘着剤組成物を有する多層構造には下記タイプがある:
(1)ポリプロピレン/接着剤組成物/EVOH、
(2)ポリプロピレン/接着剤組成物/アルミニウム、
(3)ポリプロピレン/接着剤組成物/EVOH/接着剤組成物/ポリプロピレン、
(4)ポリプロピレン/接着剤組成物/PA、
(5)ポリプロピレン/接着剤組成物/PA/接着剤組成物/ポリプロピレン、
【0146】
これらの多層構造の支持体として使用される「ポリプロピレン」はグラフトされてないポリプロピレンであり、各多層構造ものは再生可能な原料を起源とする炭素原子から成る本発明のグラフトされたポリプロピレンを含む少なくとも一種の接着剤組成物を含む。
【0147】
上記構造ものは包装材料、例えばトレー、瓶またはフィルムの製造で好ましくは使用できる。
【0148】
本発明組成物はさらに、流体、例えば鉱油またはガスを移送するためのパイプを製造するための多層構造物(すなわちポリプロピレン/接着剤組成物/エポキシ樹脂/金属の多層構造物)でグラフトされてないポリプロピレンの層とエポキシ樹脂/金属層との間で使用できる。
【0149】
本発明のグラフトされたポリプロピレンはさらにポリマーマトリックス、特にポリプロピレン・マトリックスでカップリング剤(すなわち上記化合物のポリマー中での分散を改良するための化合物)として使用できる。この化合物は天然繊維、ガラス繊維、機械的強化用充填剤、例えばクレー、珪酸塩、炭酸塩、チタン酸塩、顔料または抗酸化剤にすることができる。また、可塑剤または流動化剤、難燃剤、例えば金属水酸化物、燐酸塩、ポリリン酸塩またはホスホン酸塩のような他の化合物を加えることもできる。
【0150】
本発明のコポリマーのさらに他の用途は上記化合物またはその他任意タイプの化合物を使用したマスターバッチの製造での添加剤での使用である。
【0151】
さらに、本発明のグラフトされたポリプロピレンはブレンド、例えばポリプロピレン/ポリアミド(PP/PA)、ポリプロピレンとEVOHとのブレンドまたはポリプロピレン/澱粉のブレンドの製造でのポリマー相溶化剤として使用することもできる。
【0152】
本発明のグラフトされたポリプロピレンの他の用途は電気ケーブルの製造での用途である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和カルボン酸またはその官能性誘導体、4〜10の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸およびそれ官能性誘導体、不飽和カルボン酸のC1〜C8アルキルエステルまたは不飽和カルボン酸のグリシジルエステル誘導体または不飽和カルボン酸の金属塩の中から選択される少なくとも一つのグラフトモノマーがグラフトされたプロピレンのポリマーにおいて、
再生可能な原料に由来する炭素の量(この再生可能な原料に由来する炭素の量はASTM規格 D 6866-06で測定する)がプロピレンポリマーの炭素の総重量に対して20重量%以上、好ましくは50重量%以上であることを特徴とするグラフトしたプロピレンのポリマー。
【請求項2】
グラフト・モノマーの量がポリマーの総重量に対して最大で10重量%である請求項1に記載のグラフトプロピレンのポリマー。
【請求項3】
不飽和カルボン酸またはこの酸の官能性誘導体がグラフトした請求項1または2に記載のグラフトしたプロピレンのポリマー。
【請求項4】
好ましくは再生可能な原料に由来する炭素原子から成る無水マレイン酸がグラフトされた請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラフトしたプロピレン・ポリマー。
【請求項5】
下記(a)〜(e)工程から成る請求項1〜4のいずれか一項に記載のグラフトされたプロピレン・ポリマーの製造方法:
(a)再生可能な原料を発酵し、必要に応じてて精製して、アルコールまたはアルコールの混合物を作り、このアルコールまたはアルコールの混合物は少なくともイソプロパノールおよび/またはエタノールと1-ブタノールの少なくとも一つの混合物を含み、
(b)得られたアルコールまたはアルコールの混合物を脱水して、少なくとも一つの第1の反応装置中でアルケンまたはアルケン混合物を作り、このアルケンまたはアルケン混合物は少なくともプロピレンを含み、必要に応じてアルケン混合物を精製してプロピレンを作り、
(c)少なくとも一つの第2の反応装置中で、コモノマの存在下で、プロピレンを重合してプロピレンのポリマーを製造し、
(d)段階(c)の終わりに得られるプロピレンのポリマーを分離し、
(e)段階(d)の終わりに得られるプロピレンのポリマーをグラフトする。
【請求項6】
再生可能な原料が、砂糖大根および砂糖キビ、カエデ、ヤツメナシ、羽ヤシ、モロコシ、アメリカリュウゼツラン、とうもろこし、小麦、オオムギ、ソフト小麦、米、ジャガイモ、カッサバ、サツマイモ、セルロースまたはヘミセルロースから成る原料、例えば木材、麦藁または紙から選択される植物材料である請求項5に記載のプロピレン・ポリマーの製造方法。
【請求項7】
段階(a)または段階(b)で精製段階を実行する請求項5または6に記載のプロピレン・ポリマーの製造方法。
【請求項8】
段階(a)をClostridium beijerinckii(クロストリジウム ベイジャリンキイ)、Clostridium aurantibutyricum(クロストリジウム オウランティブチリシム)、Clostridium butylicum(クロストリジウム ブチリシム)またはこれの突然変異種から選択される微生物を使用して実行する請求項5〜7のいずれか一項に記載のプロピレンのポリマーの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のグラフトされたプロピレン・ポリマーまたは請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法で得られるグラフトされたプロピレン・ポリマーを含む組成物。
【請求項10】
グラフトされたプロピレンのポリマーがグラフトされたプロピレン・ホモポリマー、プロピレン含むグラフトされたコポリマーまたはこれらの混合物の中から選択され、組成物がポリプロピレンまたはプロピレンを含むコポリマーまたはこれらの混合物の中から選択されるグラフトされてないポリマーをさらに含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項9または10に記載の組成物の、粘着剤組成物、特に、共押出し、共押出し被覆、または共押出し積層とうしての使用。
【請求項12】
請求項9または10に記載の組成物の、金属、例えばアルミニウムまたはポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、特にグラフトされてないポリプロピレンおよびエチレンのコポリマーおよび鹸化された酢酸ビニールの中から選択される支持体上での接着剤組成物物としての使用。
【請求項13】
グラフトされてないポリプロピレンの層と、エチレンのコポリマー、鹸化された酢酸ビニール、アルミニウム、ポリアミドおよびエポキシ樹脂から選択される材料から成る層との間に請求項9または10に記載の組成物の層を有する多層構造。
【請求項14】
請求項13に記載の多層構造の、包装材料、例えばトレー、瓶またはフィルムの製造での使用、高分子、特にポリプロピレンのマトリックスの化合物用カップリング剤としての使用、マスターバッチ製造での使用、ポリマー混合物製造での相溶化剤として使用および電気ケーブルの製造での使用。
【請求項15】
流体、例えば鉱油またはガスを輸送するためのパイプの製造での、グラフトされてないポリプロピレンと、エポキシ樹脂/金属層との間の接着剤組成物物の層を有する請求項13に記載の多層構造の使用。

【公表番号】特表2013−512969(P2013−512969A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539079(P2011−539079)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052365
【国際公開番号】WO2010/063947
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】