説明

ポリマーと希釈剤の混合物を調製するための押出機、システム、及び方法

【課題】
本発明は、ポリマーと希釈剤の混合物を製造するための押出機、システム、及び押出し方法に関連する。当該押出機及び押出し方法は、電池セパレーターフィルム等の微多孔フィルムの製造に有益な、ポリマーと希釈剤の混合物の製造に用いられることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ポリマーと希釈剤の混合物を製造するための押出機、システム、及び方法に関連する。当該押出機、システム、及び方法は、電池セパレーターフィルム等の微多孔フィルムの製造に有益な、ポリマーと希釈剤の混合物の製造に用いられることが出来る。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、多様なフィルム、シート、及び成型または形成された部品の製造に有益である。当業者に周知であるように、可塑化は、ポリマー材料が自由に流動し、任意の形状をとる程度にまで軟化することを言う。結晶性のポリマー材料の場合、可塑化は、融解と同義である。無定形のポリマー材料の場合、可塑化はそのガラス転移温度(T)またはその近傍で起こる。
【0003】
ポリマー樹脂及びその他の材料の製造過程において、押出機は、当該材料の可塑化、混合及びポンプ輸送に通常使用される。最も簡潔な形態において押出機は、コンクリートの床にボルトで締められるよう設計されたフレーム、フレームに取り付けられたバレル、また、二軸押出機の場合、バレルの一端からもう一端に、縦方向に伸張する2つの相互に連結した孔を含む。二軸押出機はまた、前記2つの相互に連結した孔内に位置する2つの相互に噛合うスクリューを含み、同方向(共回転)または逆方向(相互逆回転)に前記スクリューを回転させる駆動手段を有する。
【0004】
押出機スクリューは一般に、細長い円筒状の形態をとり、そのまわりをらせん状に位置し、通常フライトとして示される、1以上の隆起部を有する。フライトは、前進、後退または中立ピッチを有することができ、所定の用途に応じてピッチの度合いを変えることが出来る。フライトが隆起する前記スクリューの表面は通常、スクリューの根元として示される。スクリューを横断図で見た場合、スクリューの軸線と平行な線との1つの交点と、前記線とのフライトの次に最も近い交点との間における特定のフライトの進路は、360°の円を通常画定する。前記円形横断面の周辺部に向かい伸張するフライトチップは、スクリューの根元の上方のローブを画定する。スクリューの根元及び任意の2つのフライトの側壁により境界を定められた空間は、スクリューのチャンネルとなる。一般に環状シリンダの孔として述べることの出来るバレルまたはスリープ内で、スクリューはその長手方向軸線のまわりで回転する。
【0005】
スクリューは通常、押出機のバレル内で固形ポリマー材料を前方へ運ぶプロセスを開始する最初の送り区分を有する。ポリマー材料は、バレル内へ流れて空になるホッパーにより押出機内へ供給されるか、または、送りシュートまたは側方フィーダを介して押出機のバレル(シリンダまたは孔とも言う)内へ定量供給されることが出来る。スクリューにより送りポートから離れるように運搬されるときに、バレル内でのポリマー材料の運行方向は下流方向として知られる。ポリマー溶解の押出しの場合、他の介在区分の有無に拘わらず、通常、スクリューの送り区分または注入区分の後に融解区分が続き、この区分において、ポリマー材料の部分的または全体的な可塑化が起こる。
【0006】
他の介在区分の有無に拘わらず、通常、スクリューの融解区分の後に定量供給区分が続き、この区分では、通常、ダイスまたは他の形態の絞りオリフィスを含有する押出機の下流末端部を通して、可塑化した材料を押出物としてポンプ輸送する機能を有する。ダイスに達する前にポリマー材料が移動する押出機及びスクリューの各区分は、ダイスの上流として考える。
【0007】
二軸押出機に関して、一方のスクリューのフライトが他方のスクリューのチャンネル内に位置する場合、2つのスクリューは相互噛合していると言える。このような構造において、各スクリューの軸線間の距離は、軸線からスクリューの最も高いフライトの頂部に向かって測定したときの2つのスクリューのそれぞれの半径の合計より小さい。1対のスクリューにおいて、相互噛合するチャンネル内への嵌合がフライトとチャンネルとの間での押出し可能な材料の通過を実質上許容しないようなフライトの形状及び寸法の場合は、スクリューは共役関係にあると言える。その他の場合は、スクリューは非共役関係にあると言え、非共役関係の場合の相互噛合の度合いは実質的に無制限に変えることが出来る。
【0008】
共回転するスクリューは、共役関係にある場合でさえ、一方のスクリューから他方のスクリューへのポリマー材料の横方向の大きな運動を許容する。混合は、この運動により有利となり、スクリューが共役関係にない場合は、更に高められる。非共役関係のスクリュー上のフライトの形状は、1つのチャンネルから他方のスクリューの2つのチャンネルへのポリマー材料の通過を生じさせるように調整することが出来る。または、スクリューが共役関係または実質的に共役関係にある場合、所定のフライトの形状は、相互噛合領域において互いに拭い合うがバレルの壁は拭わないように設計出来る。
【0009】
溶解物の形状のポリマー樹脂の処理とは対照的に、微多孔ポリマー膜の生産に用いられるようなポリマー−希釈剤混合物の製造は、押出機と工程設計において特殊な要件を提起する。これは大部分において、後続の押出し工程に用いられるポリマー溶剤が調製されるよう、ポリマー材料に多量の溶媒または希釈剤を導入する必要があるためである。微多孔膜は、一次電池及び例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−亜鉛二次電池、銀−亜鉛二次電池等の二次電池のセパレーターとして有益である。微多孔膜が電池セパレーター、特にリチウムイオン電池セパレーターとして使用される場合、膜の性能は、電池の特性、生産性、及び安全性に有意に影響する。従って、微多孔膜は、適当に均衡の取れた透過率、機械的物性、寸法安定性、遮断特性、融解特性等があるべきである。「均衡の取れた(well−balanced)」の語は、これらの特性の1つの最適化が別の特性の深刻な悪化を招かないことを意味する。
【0010】
周知のように、電池の安全性の改良のため、特に運転条件下で高温に暴露される電池において、電池に比較的低い遮断温度と比較的高い融解温度があることが望ましい。フィルムの厚み等の一貫した寸法特性は、高性能フィルムに不可欠である。機械的強度の高いセパレーターは、電池の組立と製造の改良、及び耐久性の改良に望ましい。材料組成、流延及び延伸条件、熱処理条件等の最適化が微多孔ポリオレフィン膜の特性を改良するために提案されてきた。
【0011】
一般に、実質的にポリエチレンから成る微多孔ポリオレフィン膜(すなわち、それらは単にポリエチレンのみを含み、他の種は有意に含まれない)は、比較的低い融解温度である。従って、融解温度を増加させるために、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂、及び、ポリエチレン層とプロピレン層を有する多層、微多孔ポリオレフィン膜から作られた微多孔ポリオレフィン膜を供給する提案がなされてきた。これらの混合樹脂の使用及び異なるポリオレフィンの層を有する多層フィルムの生産は、フィルムの厚み等の一貫した寸法特性を有するフィルムの生産を尚更困難にする。
【0012】
米国特許第5,573,332号は、スクリュー型の押出機に用いられるスクリューエレメントを提示する。前記スクリューエレメントはらせん状であり、多様な方向のピッチを有する。長手方向の混合は、反対方向にねじ込むことで得られる一方、横軸方向の混合は、側面アークの細長いくさびにより達成される。この横方向の流れは、典型的な連続ずれ流動であり、そのずれ流動は主に分散混合操作である。前記流れの様々な部分流への分割、再循環及びオフセットの組み合わせは起こらない。
【0013】
米国特許番号6,062,719は、2つ以上のフライトの第1と第2噛合スクリューを含む、共回転多重スクリュー押出機を提案する。第1スクリューは、第2スクリューの第1及び第2区分とそれぞれ対になった第1及び第2区分を含む。第1スクリューの第1区分において、第1フライトの高さは第2フライトの高さより低く、第2スクリューの第2区分において、第1フライトの高さは第2フライト及び当該押出機に用いられるスクリューの高さより低い。
【0014】
米国公開第2005/0013192号は、樹脂の主流に沿わす方向にらせん角度Eで配置されるフライトチップを備えた複数のディスク要素を有するニーディングディスクを開示する。2つの隣接する各ディスクのフライトチップ間には隙間部が形成される。樹脂は、約3種類の流れ、すなわち、フライトチップに沿って流れる主流、隙間部を通る逆流、フライトチップを乗り上げて流れるチップ乗り上げ流により、樹脂温度の過度の温度上昇を伴うことなく分散、分配されて混練される。当該参考文献は、押出機の「分散」領域で溶融−せん断を改良するため、その領域の連続または「回転」型のスクリュー区分を開示する。分配または「攪拌」が必要とされる場合、らせん軸及びらせん軸と平行に不連続かつらせん状に配置されたフライトチップに沿って配置されたディスク要素を有する不連続であるかまたは「ディスク型」の区分が使用される。フライトチップ間の領域の反流的なポリマーの流れ(例えば、図7参照)は、ポリマー滞留時間を増やし、混合均一性を増加させる。従来のスクリュー区分では、L/D値は小さく、複数の区分が、良い分散を得るために必要とされる。しかしながら、これには問題があり、連接する2つの区分間の接合部分において効果的に生産されるのは、内部ローブの2倍の長さのローブである。これにより、ローブのフライトの「ピッチ」が急に変化する。さらに、区分の接合部分の数により、ローブの総数が減少する。全てのこれらの影響により有益なポリマーの反流量が減少する。
【0015】
特開2008−018687Aは、第1押出機(二軸押出機)の後に第2押出機(単軸押出機)が続き、ポリマー溶解の濾過が各押出機の後に行われ、未溶解のポリマー樹脂が除かれる、ポリマー樹脂を混合する方法及び設備を開示する。ギヤポンプが、二軸押出機とフィルターの間に配置される。溶融での温度差を防ぐため、ダイスの入り口で任意に静的ミキサーが使用されることが出来る。
【0016】
特開第2003−053821号は、ポリオレフィン溶液が二軸押出機を通して押出され、各スクリューが(a)順ねじ切り欠きスクリューエレメント、(B)逆ねじ切り欠きスクリューエレメント、(C)カラー(collar)の少なくとも1を含む、微多孔フィルムの湿式製造方法を開示する。この処置は、異なる種類及び分子量のポリマーの混合に有益であると言われる。
【0017】
特開平07−216118Aは、必須成分としてポリエチレンとポリプロピレンを含み、それぞれ異なったポリエチレン含有量を伴う少なくとも2つの微多孔層を有する多孔性フィルムから形成された電池セパレーターを開示する。1つの微多孔層のポリエチレン含有量は重量で0〜20%、他方の微多孔層のポリエチレン含有量は重量で21〜60%、そして、フィルム全体では重量で2〜40%である。電池セパレーターには、比較的高い遮断開始(shutdown−starting)温度と機械的強度がある。これは「乾式」方法であるため、前記樹脂は、ポリマー溶解として結合され、次に、押出される。
【0018】
国際公開番号WO2005/113657は、従来の遮断特性、融解特性、寸法安定性、及び高温強度を有する微多孔ポリオレフィン膜を開示する。前記膜は、(a)より低い分子量のポリエチレン及びより高い分子量のポリエチレンを含む組成物、及び(b)ポリプロピレンを含むポリオレフィン組成物を使用することで作られる。当該微多孔ポリオレフィン膜は、いわゆる「湿式」により、すなわち、ポリマーと希釈剤の混合物から生産される。ポリマーと希釈剤の混合の改良は、前記生産方法からの微多孔膜の収率の改良及び微多孔膜の特性の改良をもたらすと信じられている。
【0019】
当業者が明らかに認めるように、ポリマー溶解を押出すための押出機スクリューの設計要求事項は、ポリマー−希釈剤混合物に関連するものと大きく異なる。多くの研究がポリマー溶解に関して行われてきたが、当該研究はポリマー−希釈剤混合物の押出しの分野に移行する際に主に失敗している。ポリマー−希釈剤混合物はポリマー溶解と異なるように動くことから、ポリマー溶解の押出しに使用される押出機スクリュー区分の組み合わせがポリマー−希釈剤混合物を押出す場合に十分な性能をもたらすと言う期待がないと、当業者に認識される。よく理解されるように、押出機内での溶媒又希釈剤層の反流は好ましくない(一般的に望ましくない)。ポリマーと比べ希釈剤の粘度が非常に低く、少量の希釈剤でさえポリマーの配合を妨げることから、押出機の注入段階において、有意量の希釈剤がない(好ましくは、全くない)ことが望まれる。
【0020】
当該技術分野におけるこれらの進歩にもかかわらず、ポリマー−希釈剤混合物から高品質の微多孔ポリオレフィン膜及び他のフィルムまたはシートを製造することが可能な優れた押出しシステムの必要性が残る。
【発明の概要】
【0021】
一の側面において、ポリマーと希釈剤の混合物を調製するための押出機が提供される。前記押出機は、注入末端、流出末端及びハウジング内に配置された少なくとも1の交差する孔を有する細長いハウジング、前記少なくとも1の交差する孔内に配置された少なくとも1の細長い押出機シャフト、及び、互いに固定角度の関係で前記少なくとも1の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機の段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機の段階が注入段階及び分散段階を含み、前記複数の押出機スクリュー区分が少なくとも1のフライトチップを有する複数の混練ディスクを含む少なくとも1の第1混練区分を含む分散段階を形成し、各々隣接するフライトチップが進行的に角度θ(0°<θ<90°)でオフセットする、前記複数の押出機スクリュー区分を含む。
【0022】
別の側面において、ポリマーと希釈剤の混合物を調製するための押出機が提供される。前記押出機は、注入末端、流出末端、押出機シャフト長L及びハウジング内に配置された1対の交差する孔を有する細長いハウジング、それぞれの回転軸を有する1対の細長い押出機シャフト、前記1対の交差する孔内に配置され少なくとも1の回転方向で運転可能な1対の細長い押出機シャフト、互いに固定角度の関係で前記1対の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分、複数の押出機の段階を形成するよう選択される前記複数の押出機スクリュー区分、約3%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有する注入段階、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有する分散段階、約5%L≦Lm1≦約45%Lの長さLm1を有する第1混合段階、約0%L≦Lm2≦約50%Lの長さLm2を有する第2混合段階、及び約0%L≦Lo≦約40%Lの長さLoを有する流出段階を含む前記複数の押出機の段階、細長いバレルの注入末端に隣接する材料注入口、及び前記希釈剤の少なくとも一部を導入するための分散段階内に位置する第1流体注入口を含む。
【0023】
さらに別の側面において、ポリマーと希釈剤の混合物を押出す方法を提供する。当該方法は、押出機の注入段階で秒あたりPグラムの速度でポリマーを配合する工程、配合したポリマーを押出機の分散段階に導く工程を含む。希釈剤の全てまたは一部は、S1の速度(例えば、秒あたりのグラム数で測定される)で前記分散段階の配合されたポリマーに導入される。ここで、前記希釈剤はポリマーより低い粘度を有する。前記希釈剤は次に、ポリマー中に分散されて、第1混合段階に導かれる。前記希釈剤の第2部分は、所望であれば、押出機の混合段階で配合されたポリマーに導入されることが出来る。混ぜ合わされたポリマー−希釈剤混合物中の希釈剤の第2部分を分散するために、前記第2部分は、第2流体注入口を通して秒あたりS2グラムの速度で導入される。第2流体注入口の位置は重要でない。例えば、第2混合段階から希釈剤の第2部分を導入出来る。所望であれば、例えば、混合段階に希釈剤の第3部分を加えることが出来る。希釈剤の第3部分を加える場合、秒あたりSaグラムの速度で混ぜ合わされたポリマー−希釈剤混合物に導入でき、ここで、希釈剤の第2部分の導入の速度が秒あたりSbグラムであり、(Sa+Sb)はS2と等しい。第1混合段階において、希釈剤とポリマーは、第3段階の生産物を生産するために配合され、前記第3段階の生産物は、(i)第1相における前記ポリマー−希釈剤混合物、(ii)第1相から分離した第2相における希釈剤の一部、及び(iii)第1及び第2相から分離した第3相でのポリマーの一部を含む。一の形態において、第1混合段階の混合エネルギーは、注入段階または分散段階のいずれかにおける混合エネルギーより大きい。
【0024】
さらに別の側面において、本発明は、混ぜ合わされたポリマーと希釈剤を含む押出物を生産するシステムを提供する。当該システムの実施態様は、第1押出手段と第1押出手段の下流に位置し、第1押出手段と流体連通する第2押出手段を含む。ポンプ輸送手段は、第2押出手段の下流に位置し、第2押出手段と流体連通する。また、任意に第1ポンプ輸送手段は、ギアポンプである。前記システムの実施態様はまた、第2押出手段の流出物から任意の混ぜ合わされていないポリマーの少なくとも一部を除くための分離手段も含む。当該分離手段は一般に、第2押出手段の下流に位置し、第2押出手段と流体連通する。混合手段は、分離手段の下流に位置し、分離手段と流体連通する。前記システムはまた、混合手段の下流に位置し、混合手段と流体連通する少なくとも1のダイスも含む。前記システムはまた、任意に第1押出手段及び第2押出手段との間に位置する第2ポンプ輸送手段も含む。一の有利な第2ポンプ輸送はギアポンプである。
【0025】
本明細書に開示される例示的な形態において、分散段階の少なくとも1の第1混練区分の混練ディスクの数は10より多く、分散段階を形成する押出機スクリュー区分は全長で約4Dより長い。ここでDは、押出機スクリュー区分の直径である。
【0026】
本明細書に開示される別の例示的な形態において、混練ディスクの数は10より多く、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクのフライトチップと隣接する混練区分の最初の混練ディスクのフライトチップとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される。
【0027】
本明細書に開示される別の例示的な形態において、混練ディスクの数及び少なくとも1の第1混練区分の角度θは、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクのフライトチップと隣接する混練区分の最初の混練ディスクのフライトチップとの間のオフセット角が実質的に約0°と等しくなるように隣接する混練区分を設置することが可能となるよう選択される。
【0028】
本明細書に開示されるさらに別の例示的な形態において、混練ディスクの数は、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクのフライトチップと隣接する混練区分の最初の混練ディスクのフライトチップとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される。
【0029】
本明細書に開示されるさらに別の例示的な形態において、細長い押出機シャフトは、共回転または逆方向に回転をする。
【0030】
本明細書に開示されるさらに別の例示的な形態において、前記方法はさらに、ポリマー溶液の流れを押出す、穴付きのダイス流出口を含む押出ダイスを通してポリマー−希釈剤混合物(例えば、ポリオレフィン溶液)を押出す工程及び冷却押出物を形成する押出物の冷却工程を含む。
【0031】
さらに別の形態において、本発明は、高分子押出物を生産する方法に関する。当該方法の実施態様は、第1押出機でポリマーと希釈剤を混ぜ合わす工程及びその第1押出機から、混ぜ合わされたポリマーと希釈剤を含む流出物を移す工程を含む。第1押出機からの流出物は、第2押出機に導かれ、その流出物は第1ポンプ輸送手段に導かれる。第1ポンプ輸送手段の流出物は、保持液と濾過液に分離される。濾過液は、ポリマー及び希釈剤と混合され、混合濾過液となり、前記混合濾過液は少なくとも1のダイスを通して押出される。
【0032】
任意に、追加のポンプ輸送手段が、第1押出手段の連続した下流及び第2押出手段の上流に位置し、第1と第2押出手段と流体練通することが出来る。例えば、第1押出手段は二軸押出機とすることが出来る。例えば、第2押出手段は単軸押出機とすることが出来る。例えば、第1及び第2ポンプ輸送手段は各々1以上のギアポンプとすることが出来る。例えば、分離手段はフィルターとすることが出来る。例えば、混合手段は静的ミキサーとすることが出来る。
【0033】
開示される押出機及び方法の当該利点及びその他の利点、特徴、及び属性及びその有利な応用及び/または使用は、以下の発明の詳細から、特に本明細書に添付の図面と併せて読まれることで、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明に係る、二軸押出機の長手軸側面図に関する概略図である。
【図2】図2は、図1の線2−2で押出機を通した断面図で、本発明に係る、2つの混練区分の図である。
【図3】図3は、本発明に係る、ポリマー溶液の調製に用いられるスクリュー区分の構成図である。
【図4A】図4Aは、本発明に係る、押出機スクリューの混練区分を示す。
【図4B】図4Bは、本発明に係る、図4Aの混練区分の端面図を示す。
【図5】図5は、本発明に係る、ポリマー溶液の調製に用いられる別のスクリュー区分の構成図である。
【図6】図6は、本発明に係る、ポリマー溶液の調製に用いられるさらに別のスクリュー区分の構成図である。
【図7】図7は、本発明に係る、ポリマー溶液の調製に用いられるまたさらに別のスクリュー区分の構成図である。
【図8】図8は、本発明に係る、ポリマー溶液の調製に用いられる別のスクリュー区分の構成図である。
【図9】また、図9は、本発明に係る、ポリマー溶液の調製に用いられるさらに別のスクリュー区分の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な記載
一の形態において、本発明は、ポリマーと希釈剤を含む混合物から押出物を生産するシステムに関する。この形態において、二軸押出機は、ポリマーと希釈剤を混ぜ合わすための第1押出機として配置される。単軸押出機は、二軸押出機の下流に位置し、そこから前記混ぜ合わされたポリマーと希釈剤を受け取る。単軸押出機より二軸押出機の方がポリマーと希釈剤をさらに完全に混合することが観察されてきたため、第1押出機は一般に、二軸押出機である。第2押出機(単軸押出機)は第1押出機(二軸押出機)の下流に位置する。なぜなら、二軸押出機がポリオレフィン−希釈剤混合物を押出す際と比べ、単軸押出機は押出物質量の流量及び流圧のばらつきがより少なく、従って、より均一な押出生産物のためのより一定したダイスへの流れをポリマー−希釈剤混合物に与えることが観察されるためである。一の実施態様において、例えば、1以上のフィルター等の分離手段は、第1及び/または第2押出機の下流に位置し、ポリマー化触媒微粉、混ぜ合わされていないポリマー及び工程装置から研磨された金属粒子等の少なくとも一部を分離し、取り除く。1以上のギアポンプ等のポンプ輸送手段が、フィルターにより当該システムに引き起こされた圧力降下を克服するために使用される。ポンプ輸送手段(この場合、ギアポンプ)及び分離手段(この場合、フィルター)の組み合わせを第2押出機の下流及びダイスの上流に位置することで混ぜ合わされた希釈剤及びポリマーの相分離をもたらすことが出来ることが観察されている。混合手段(この場合、静的ミキサー)が、押出物をダイスに導入する前に、ポリマーと希釈剤を単相に再び混ぜ合わせるために使用される。
【0036】
本発明は、ポリマーと希釈剤の混合物を生産するために、ポリマーと希釈剤(流体)を押出す場合、混合スクリューまたは押出機(例えば、第1押出機)の注入段階のスクリューが「回転」型の、すなわち、米国公開第2005/0013192号で定義されるポリマーの「分配」または「攪拌」に用いられる連続したフライトを有する、1以上のスクリュー区分を含む(または、前記スクリュー区分から成る)ことが望ましい発見にある程度基づく。また、注入段階の後に分散段階が続き、ここで混合スクリューまたは押出機の分散段階のスクリューがポリマー、希釈剤、及びポリマー溶液の「分散」及びせん断に用いられる「ディスク」型を含む(または、前記「ディスク」型から成る)ことも望ましい。また、ポリマー及び希釈剤の優れた混合のために、希釈剤を押出機に沿った少なくとも2箇所で導入することが有利と成り得ることも発見された。
【0037】
定義
「前進フライトスクリュー区分」は、押出機の注入末端から排出末端への方向に流れを起こすために十分なフライト角度を有する連続した運搬要素を意味する。適した前進フライトスクリュー区分は、東京(日本)の日本製鋼所から入手可能であり、H259、H261、H262及びH265等の区分を含むことができ、それら全ては、例えば、シャフトTEX65等と互換性がある。
【0038】
「前進スクリュー区分」は、前方のスクリュー区分まで材料を運搬するために設計されたフライトピッチを伴うスクリューエレメントを意味する。
【0039】
「ギア混練区分」は、複数のギヤのような混練ディスクを有するスクリュー区分を意味する。適したギア混練区分は、東京(日本)の日本製鋼所から入手可能であり、H726やH727等の中立ギヤ混練区分を含むことが出来る。
【0040】
「混練区分」は、連続または不連続となり得るスクリュー区分を意味する。不連続な混練区分の例は、複数の裂片(ローブ)がある混練ディスクを有する単一及び二重フライト混練区分及び複数のギヤのような混練ディスクを有するギア混練区分を含む。混練ディスクの長さまたは厚みは、混合で必要とされる分散速度に依存し、典型的には2,3ミリメートルから数ミリメートルの範囲であり、例えば、2mmから100mmである。連続した混練区分は、どちらの方向にも流れを全く生じないような90°のフライト角度を伴う連続した運搬要素の形状を有することが出来る。
【0041】
「後退スクリュー区分」は、先行したスクリュー区分へ逆に運搬し、バレル区分を満たすように設計されたピッチを伴うスクリューエレメントを意味する。
【0042】
「スクリューの構成」は、連続したスクリュー区分の幾何学的特性及び/または構成の変化から生じるスクリューの一般的な外形を意味し、その長さに従って異なるよう機能することを確実とする。
【0043】
「区分」または「スクリュー区分」は、打錠されたまたはスプライン結合されたシャフトに沿って位置し、連続した溶液または密集体へと材料を運搬、せん断、加圧、過熱及び/または転換する押出スクリューエレメントを意味する。前記エレメントは運搬型、非運搬型または混練型とすることが出来る。
【0044】
「単一フライト」または「二重フライト混練区分」は、複数の裂片がある混練ディスクを有する混練区分を意味する。適した単一フライトまたは二重フライト混練区分は、東京(日本)の日本製鋼所から入手可能であり、H266やH267等の前進混練区分、H299等の後退混練区分、H294やH306等の中立混練区分を含むことが出来る。
【0045】
「二軸押出機」は、ポリマー溶液等の生産物の混合及び加工に用いられる、2つの孔を有するバレルで並列して稼働する2つの平行するスクリューシャフトを有する機械を意味する。
【0046】
ここで図1−9が参照され、同じ番号は、同じ部分を指定するために使用される。
【0047】
ここで図1を参照すると、二軸押出機10が示される。二軸押出機10は、東京(日本)の日本製鋼所から入手可能であり、商業用途にTEX54、TEX65モデル等または小規模及び実験室用途にTEX30、TEX44等とすることが出来る。当業者が容易に理解するように、他のポリオレフィン押出機が使用され得る。二軸押出機10は、ドライブモーター12、それに注入側で接合されたギア装置14及び注入末端18と流出末端20を有するハウジング16を含む。図2で示されるように、ハウジング16は、ハウジング16内に配置される1対の交差する孔22を含む。再度図1を参照すると、処理される熱可塑性材料の供給のための注入ホッパー24がハウジング16上に提供される。押出機10の前述の部品は、基盤28上に位置し、それに接合される複数の支柱26で支持される。前記注入ホッパー24では、注入ホッパー24への可塑性ペレットまたは他の材料の定量的な添加のため、計量装置(図示なし)を設置することが出来る。ハウジング16の末端において、押出機10で処理された材料の排出のための吐出し口30が注入末端18の下流にあり、流出末端20に隣接する。少なくとも1の希釈剤(例えば、溶媒)を1以上の位置で押出機に導入出来る。例えば、分散段階の第1注入チューブ32、または、その位置及び第2混合段階に位置する第2注入チューブ33で希釈剤を導入出来る。
【0048】
再度図2を参照すると、ハウジング16の交差する孔22は、互いに平行である。各々が回転軸を有する1対の細長い押出機シャフト34は、1対の交差する孔22内に配置され、ギア装置14の動力取出装置側と結合されることにより少なくとも1の回転方向で運転可能である。ここで、ギア装置14はドライブモーター12により運転する。一の形態において、複数のスクリュー区分の前記1対の細長い押出機シャフト34への打錠を可能にするため、前記1対の細長い押出機シャフト34は、四角形、五角形、六角形または八辺形の断面または(例えば、スプライン様周縁部を形成する)複数の波形で形成された周縁部で画定された断面で提供されることが出来る。
【0049】
下記でより詳細に記載されるように、多様なスクリュー区分が、例えば、噛合スクリュー区分及び機能に依存して選択され、前記1対の細長い押出機シャフト34に沿って連続して配置される混練ディスク等のように、前記細長い押出機シャフト34上に回転不可能な固定角度の関係で提供される。
【0050】
ここで図3を参照すると、複数の押出機スクリュー区分が示され、当該複数の押出機スクリュー区分は複数の押出機段階を形成するよう選択される。一の形態において、複数の押出機段階は、注入段階100、分散段階200、第1混合段階300、第2混合段階400、及び流出段階500を含む。また、これらの段階は、図1で押出機10に関して示される。ここで、図3を参照して各段階について説明する。
【0051】
複数の押出機スクリュー区分が注入段階100に含まれる。図1で示すように、注入段階100は、第1末端18近くで始まり、分散段階200で終り、処理のため、注入24から熱可塑性材料を受け取るように位置する。図3で示すように、一の形態において、注入段階100は、第1前進フルフライトスクリュー区分102(forward full flight screw segment 102)、1対の第2前進フルフライトスクリュー区分104、及び6つの第3前進フルフライトスクリュー区分106を含む。一の形態において、第1前進フルフライトスクリュー区分102の長さは、40.5mmである。(54mmの押出機、0.75×押出機スクリュー直径「D」が使用される場合)。第2前進フルフライトスクリュー区分104の長さは1.00Dで、1対の全長は2.00Dである。また、第3前進フルフライトスクリュー区分106の長さは0.75Dで、全長は4.50Dである。一の形態において、第3前進フルフライトスクリュー区分106のピッチは、1対の第2前進フルフライトスクリュー区分104のそれより短い。一の形態において、注入段階100は、約10%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0052】
さらに図3を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により分散段階200が形成される。図1で示すように、分散段階200は、注入段階100に続き、第1混合段階300で終わり、注入段階100で導入された熱可塑性材料との混合のため、第1流体注入口32から液体希釈剤を受け取るように位置する。図3で示すように、一の形態において、分散段階200は、プレ混練区分202、3つの第1混練区分204、及び12個の第2混練区分206を含む。一の形態において、プレ混練区分202が前方に材料を移動させる能力は、第3前進フルフライトスクリュー区分106及び第2混練区分206のそれより低い。一の形態において、プレ混練区分202の長さは、1.00Dである。第1混練区分204の長さは1.50Dであり、3つの第1混練区分204の全長は4.50Dである。第2混練区分206の長さは0.50Dであり、12個の第2混練区分206の全長は6.00Dである。一の形態において、分散段階200は、約15%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0053】
図4Aで示すように、一の形態において、第1混練区分204は、複数の混練ディスク208を含む。図4Bを参照して見られるように、混練ディスク208の各隣接するフライトチップは、進行的に角度θでオフセットされる。ここで、0°<θ<90°であるか、角度θは約45°と等しくなり得る。別の形態において、混練ディスクの数は10より多く、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスク208のフライトチップと隣接する混練区分の最初の混練ディスクのフライトチップとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される。さらに別の形態において、混練ディスク208の数及び角度θは、前記少なくとも1の第1混練区分204の最後の混練ディスク208のフライトチップと隣接する混練区分の最初の混練ディスクのフライトチップとの間のオフセット角が実質的に前記角度θと等しくなるように隣接する混練区分204を設置することが可能となるように選択される。
【0054】
一の形態において、1対の細長い押出機シャフト34は六角形の断面を有し、オフセット角θは40°≦θ≦50°と定義される。別の形態において、角度θは約45°と等しい。さらに別の形態において、第1混練区分204の混練ディスク208の数は、15より多い。さらに別の形態において、第1混練区分204の混練ディスク208の数は、17であり、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の二重フライト混練ディスク208のフライトチップと隣接する混練区分の最初の混練ディスク208のフライトチップとの間のオフセット角が約0°と等しい。理解されるように、第1混練区分204の混練ディスク208の数が多いほど、分散はより効率的である。また、ディスクの厚さも薄いほど、分散はより効率的である。
【0055】
伝統的に、混練区分は、オフセット角/ディスクの数/ディスクの長さ/区分の長さで特定される。一の形態において、第1混練区分204は、45/17/0.09D/1.5Dの前進混練区分であり、第2混練区分206は45/5/0.10D/0.50Dの前進混練区分である。理解されるように、これらの混練ディスクは、比較的狭く、ポリマー溶液がフライトチップの周りを流れることを可能にし、何度も流れを分割、再結合させる。60°のオフセット角θよりも、40°≦θ≦50°のオフセット角を伴うことで、より前進運搬能力が上がり、より後退運搬能力が低くなる。
【0056】
ポリマー及び希釈剤の混合物を調製するよう設計された、本明細書に開示される分散段階の場合、上述の不連続な混練区分により、分配及び攪拌の有用性よりもむしろ分散の有用性が提供される点は興味深い。これは、連続フライト混練区分が分散に利用され、不連続混練区分が分配及び攪拌に利用される、溶融混合されたポリマーを調製するよう設計されたシステムで用いられる場合のそれらの有用性とは正反対である。重要なことに、上述の不連続混練区分は、ポリマーまたはポリマー−希釈剤混合物の逆流を可能にするが、分散段階で導入された溶媒または希釈剤の逆流は許容しない。
【0057】
再び図3を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第1混合段階300が形成される。図1で示すように、第1混合段階300は、分散段階200に続き、第2混合段階400で終わる。図3で示すように、一の形態において、第1混合段階300は、複数のギア混練区分302を含む。別の形態において、第1混合段階300は、各々1.50Dの長さ、全長で10.50Dの7つのギア混練区分302を含む。一の形態において、第1混合段階300は、約15%L≦Lm1≦約35%Lの長さLm1を有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0058】
一の形態において、各ギア混練区分302は、複数のマルチ歯ディスクを含み、各マルチ歯ディスクは、12個のギア歯を含む。別の形態において、各ギア混練区分302は、5つのマルチ歯ディスクを含む。
【0059】
さらに図3を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第2混合段階400が形成される。図1で示すように、第2混合段階400は、第1混合段階300に続き、流出段階500で終わり、さらに、分散段階200及び第1混合段階300内で形成されたポリマー溶液と混合するよう、第2流体注入口33からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図3で示すように、一の形態において、第2混合段階400は、複数のプレ混練区分402を含む。一の形態において、各々1.00Dの長さ、全長で4.00Dの4つのプレ混練区分402が使用される。また、第2混合段階400は、複数のギア混練区分404及び複数の中立混練区分406(neutral kneading segments 406)も含む。一の形態において、第2混合段階400は、各々1.50Dの長さ、全長で4.50Dの3つのギア混練区分404を含む。また、一の形態において、第2混合段階400は、各々0.50Dの長さ、全長で1.00Dの2つの中立混練区分406も含む。一の形態において、第2混合段階400は、約0%L≦Lm2≦約30%Lの長さLm2を有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0060】
一の形態において、各ギヤ混練区分404は、複数のマルチ歯ディスクを含み、各マルチ歯ディスクは、12個のギア歯を含む。別の形態において、各ギア混練区分404は、6つのマルチ歯ディスクを含む。一の形態において、各中立混練区分406は、複数の二重フライト混練ディスクを含む。従来の通り、各二重フライト混練ディスクは、90°の角度で進行的にオフセットされる。
【0061】
再び図3を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により流出段階500が形成される。図1で示すように、流出段階500は、第2混合段階400に続き、流出末端20で終わり、さらに、少なくとも1の流出口36からの排出を可能にするよう位置する。任意に、再利用されたフラフがフラフ供給注入口38で導入されることが出来る。図3で示すように、一の形態において、流出段階500は、1対の第1前進フルフライトスクリュー区分502及び第2前進フルフライトスクリュー区分504を含む。一の形態において、各第1前進フルフライトスクリュー区分502の長さは1.5D、全長で3.00Dである。第2前進フルフライトスクリュー区分504の長さは、1.00Dである。
【0062】
一の形態において、再利用されたフラフが導入された場合、流出段階500はさらに、第2混練段階520を含む。第2混練段階520は、各々1.00Dの長さ、全長で2.00Dの1対の前進混練区分506及び長さ1.00Dの中立混練段階508を含むことが出来る。第2混練段階520はまた、長さ0.50Dの逆混練区分510も含む。逆混練区分508は、複数の混練ディスクを含む。前記複数の混練ディスクの各隣接するフライトチップは、角度θで進行的にオフセットされる。ここで、0°<θ<−90°または角度θは約−45°と等しいことが出来る。再利用されたフラフが全く使用されない場合、複数の前進フルフライトスクリュー区分(図示なし)が第2混練段階520の代わりに用いられることが出来る。ここで、複数の前進フルフライトスクリュー区分は、全長3.50Dである。
【0063】
図3で示すように、第2混練段階520に続く、または複数の前進フルフライトスクリュー区分(図示なし)に続く、流出段階500は、1対の第3前進フルフライトスクリュー区分512及び第4前進フルフライトスクリュー区分514を含む。一の形態において、各第3前進フルフライトスクリュー区分512は、第1前進フルフライトスクリュー区分502と同等であり、長さ1.5D、全長で3.00Dである。同様に、第4前進フルフライトスクリュー区分514は、第2前進フルフライトスクリュー区分504と同等であり、長さ1.00Dである。最後に、流出段階500は、各々0.75Dの長さ、全長で2.25Dの複数の第5前進フルフライトスクリュー区分516で終わることが出来る。一の形態において、流出段階500は、約0%L≦Lo≦約40%Lの長さLoを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0064】
別の形態において、複数の押出機スクリュー区分が図5に示される。複数の押出機段階を形成するよう、前記複数の押出機スクリュー区分が選択される。一の形態において、複数の押出機段階は、注入段階1100、分散段階1200、混合段階1300、及び流出段階1400を含む。各段階は、ここで図5を参照に説明される。
【0065】
複数の押出機スクリュー区分により注入段階1100が形成される。概して図1を参照すると、注入段階1100は、第1末端18近くで始まり、分散段階1200で終わり、処理のために注入口24から熱可塑性材料を受け取るように位置する。図5で示すように、一の形態において、注入段階1100は、1つの第1前進フルフライトスクリュー区分1102、1つの第2前進フルフライトスクリュー区分1104、及び6つの第3前進フルフライトスクリュー区分1106を含む。一の形態において、第1前進フルフライトスクリュー区分1102の長さは、40.5mmである(54mmの押出機、0.75×押出機スクリュー直径「D」が使用される場合)。第2前進フルフライトスクリュー区分1104の長さは、1.00Dである。第3前進フルフライトスクリュー区分1106の長さは0.75Dであり、全長で4.50Dである。一の形態において、第3前進フルフライトスクリュー区分1106は、ピッチが1対の第2前進フルフライトスクリュー区分1104より短い。一の形態において、注入段階1100は、約10%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0066】
さらに図5を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により分散段階1200が形成される。図1で概して示すように、分散段階1200は、注入段階1100に続き、第1混合段階1300で終わり、さらに、注入段階1100内で導入された熱可塑性材料と混合するよう、第1流体注入口32からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図5で示すように、一の形態において、分散段階1200は、1対のプレ混練区分1202、11個の第1前進混練区分1204、及び2つの第2中立混練区分1206を含む。一の形態において、材料を前進させるプレ混練区分1202の能力は、第3前進フルフライトスクリュー区分1106及び第1混練区分1204よりも低い。一の形態において、プレ混練区分1202の長さは0.75D、全長で1.5Dである。第1前進混練区分1204の長さは0.50Dであり、11個の第1前進混練区分1204の全長は5.50Dである。第2中立混練区分1206の長さは0.50Dであり、2つの第2中立混練区分1206の全長は1.00Dである。一の形態において、分散段階1200は、約15%L≦Ld≦約20%Lの長さLdを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0067】
上述のように、混練区分は、オフセット角/ディスクの数/ディスクの長さ/区分の長さで特定される。一の形態において、第1前進混練区分1204は、45/5/0.10D/0.50Dの前進混練区分である。理解されるように、これらの混練ディスクは、比較的狭く、ポリマー溶液がフライトの周りを流れることを可能にし、何度も流れを分割、再結合させる。60°のオフセット角θよりも、40°≦θ≦50°のオフセット角を伴うことで、より前進運搬能力が上がり、より後退運搬能力が低くなる。
【0068】
さらに図5を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により混合段階1300が形成される。混合段階1300は、分散段階1200に続き、流出段階1400で終わり、さらに、分散段階1200で形成されたポリマー溶液と混合するよう、第2流体注入口(第2流体注入口が用いられている場合)からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図5で示すように、一の形態において、第1混合段階1300は、長さ0.75Dの1つのフルフライトスクリュー区分1302、長さ0.50D、全長で1.00Dの1対の中立混練区分1304、及び長さ0.50Dの1つの逆混練区分1306を含む。逆混練区分1306に続くのは、複数のギア混練区分1308である。逆混練区分1306に続くのは、各々1.50Dの長さ、全長で10.50Dの7つのギア混練区分1308である。一の形態において、各ギヤ混練区分1308は、複数のマルチ歯ディスクを含み、各マルチ歯ディスクは、12個のギア歯を含む。別の形態において、各ギア混練区分1308は、5つのマルチ歯ディスクを含む。ギヤ混練区分1308に続くのは、複数の前進混練区分1310である。一の形態において、各々0.5Dの長さ、全長で4.00Dの8つの混練区分1310が使用される。一の形態において、混合段階1300は、約30%L≦Lm≦約45%Lの長さLmを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0069】
図5で示すように、複数の押出機スクリュー区分により流出段階1400が形成される。流出段階1400は、混合段階1300に続き、流出末端20(図1参照)で終わり、さらに、少なくとも1の流出口36からの排出を可能にするよう位置する。図5で示すように、一の形態において、流出段階1400は、5つの第1前進フルフライトスクリュー区分1402、1つの第2前進フルフライトスクリュー区分1404、及び1対の第3前進フルフライトスクリュー区分1406を含む。一の形態において、各第1前進フルフライトスクリュー区分1402の長さは1.5D、全長で7.50Dである。第2前進フルフライトスクリュー区分1404の長さは、1.00Dである。各第3前進フルフライトスクリュー区分の長さは0.50D、全長で1.50Dである。一の形態において、流出段階1400は、約0%L≦Lo≦約30%Lの長さLoを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0070】
さらに別の形態において、複数の押出機スクリュー区分が図6に示される。複数の押出機段階を形成するよう、前記複数の押出機スクリュー区分が選択される。一の形態において、複数の押出機段階は、注入段階2100、分散段階2200、第1混合段階2300、第2混合段階2400、及び流出段階2500を含む。各段階は、ここで図6を参照に説明される。
【0071】
複数の押出機スクリュー区分により注入段階2100が形成される。概して図1も参照すると、注入段階2100は、第1末端18近くで始まり、分散段階2200で終わり、処理のために注入口24から熱可塑性材料を受け取るように位置する。図6で示すように、一の形態において、注入段階2100は、1つの第1前進フルフライトスクリュー区分2102及び4つの第2前進フルフライトスクリュー区分2104を含む。一の形態において、第1前進フルフライトスクリュー区分2102の長さは、40.5mmである(54mmの押出機、0.75×押出機スクリュー直径「D」が使用される場合)。第2前進フルフライトスクリュー区分2104の各々の長さは0.75Dであり、全長は3.00Dである。一の形態において、注入段階2100は、約5%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0072】
さらに図6を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により分散段階2200が形成される。分散段階2200は、注入段階2100に続き、第1混合段階2300で終わり、さらに、注入段階2100内で導入された熱可塑性材料と混合するよう、第1流体注入口32からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図6で示すように、一の形態において、分散段階2200は、1つのカラー区分2202、11個の第1前進混練区分2204、1つのギア混練区分2206、及び2つの第2中立混練区分2208を含む。一の形態において、カラー区分2202の長さは、0.75Dである。第1前進混練区分2204の長さは0.50Dであり、11個の第1前進混練区分2204の全長は5.50Dである。ギア混練区分2206の長さは、1.50Dである。第2中立混練区分2206の長さは0.50Dであり、2つの第2中立混練区分2206の全長は1.00Dである。一の形態において、分散段階2200は、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0073】
上述のように、混練区分は、オフセット角/ディスクの数/ディスクの長さ/区分の長さで特定される。一の形態において、第1前進混練区分2204は、45/5/0.10D/0.50Dの前進混練区分である。理解されるように、これらの混練ディスクは、比較的狭く、ポリマー溶液がフライトの周りを流れることを可能にし、何度も流れを分割、再結合させる。60°のオフセット角θよりも、40°≦θ≦50°のオフセット角を伴うことで、より前進運搬能力が上がり、より後退運搬能力が低くなる。
【0074】
さらに図6を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第1混合段階2300が形成される。第1混合段階2300は、分散段階2200に続き、第2混合段階2400で終わり、さらに、分散段階2200で形成されたポリマー溶液と混合するよう、第2流体注入口(第2流体注入口が用いられている場合)からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図6で示すように、一の形態において、第1混合段階2300は、長さ0.75Dの1つのフルフライトスクリュー区分2302、長さ0.50Dの1つの前進混練区分2304、及び複数のギア混練区分2306を含む。別の形態において、第1混合段階2300は、各々1.50Dの長さ、全長で9.00Dの6つのギア混練区分2306を含む。一の形態において、第1混合段階2300は、約15%L≦Lm1≦約35%Lの長さLm1を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。一の形態において、各ギヤ混練区分2306は、複数のマルチ歯ディスクを含み、各マルチ歯ディスクは、12個のギア歯を含む。別の形態において、各ギア混練区分2306は、5つのマルチ歯ディスクを含む。
【0075】
さらに図6を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第2混合段階2400が形成される。第2混合段階2400は、第1混合段階2300に続き、流出段階2500で終わる。図6で示すように、一の形態において、第2混合段階2400は、複数の中立ギア混練区分2402を含む。一の形態において、各々1.5Dの長さ、全長で10.50Dの7つの中立ギア混練区分2402が使用される。複数の中立ギア混練区分2402に続くのは、各々0.50Dの長さ、全長で1.50Dの3つの中立混練区分2404である。前記中立混練区分2404に続くのは、長さ0.50Dの1つの逆混練区分2406である。一の形態において、第2混合段階2400は、約0%L≦Lm2≦約35%Lの長さLm2を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0076】
図6で示すように、複数の押出機スクリュー区分により流出段階2500が形成される。図1で概して示すように、流出段階2500は、第2混合段階2400に続き、流出末端20で終わり、さらに、少なくとも1の流出口36からの排出を可能にするよう位置する。図6で示すように、一の形態において、流出段階2500は、3つの第1前進フルフライトスクリュー区分2502、1つの第2前進フルフライトスクリュー区分2504、及び1つの第3前進フルフライトスクリュー区分2506を含む。一の形態において、各第1前進フルフライトスクリュー区分2502の長さは1.5D、全長で4.50Dである。第2前進フルフライトスクリュー区分2504の長さは1.00Dであり、第3前進フルフライトスクリュー区分2506の長さは0.75Dである。一の形態において、流出段階2500は、約0%L≦Lo≦約20%Lの長さLoを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0077】
さらに別の形態において、複数の押出機スクリュー区分が図7に示される。複数の押出機段階を形成するよう、前記複数の押出機スクリュー区分が選択される。一の形態において、複数の押出機段階は、注入段階3100、分散段階3200、第1混合段階3300、第2混合段階3400、及び流出段階3500を含む。各段階は、ここで図7を参照して説明する。
【0078】
複数の押出機スクリュー区分により注入段階3100が形成される。概して図1も参照すると、注入段階3100は、第1末端18近くで始まり、分散段階3200で終わり、処理のために注入口24から熱可塑性材料を受け取るように位置する。図7で示すように、一の形態において、注入段階3100は、1つの第1前進フルフライトスクリュー区分3102及び3つの第2前進フルフライトスクリュー区分3104を含む。一の形態において、第1前進フルフライトスクリュー区分3102の長さは、40.5mmである(54mmの押出機、0.75×押出機スクリュー直径「D」が使用される場合)。第2前進フルフライトスクリュー区分3104の各々の長さは0.75Dであり、全長は2.25Dである。一の形態において、注入段階3100は、約3%L≦Li≦約25%Lの長さLiを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0079】
さらに図7を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により分散段階3200が形成される。分散段階3200は、注入段階3100に続き、第1混合段階3300で終わり、さらに、注入段階3100内で導入された熱可塑性材料と混合するよう、第1流体注入口32からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図7で示すように、一の形態において、分散段階3200は、3つのギア混練区分3202、6つの第1前進混練区分3204、及び1つの中立ギア混練区分3206を含む。一の形態において、各ギア混練区分3202の長さは1.50Dであり、全長で4.50Dである。各第1前進混練区分3204の長さは0.50Dであり、6つの第1前進混練区分3204の全長は3.00Dである。中立ギア混練区分3206の長さは、1.50Dである。一の形態において、分散段階3200は、約15%L≦Ld≦約30%Lの長さLdを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0080】
上述のように、混練区分は、オフセット角/ディスクの数/ディスクの長さ/区分の長さで特定される。一の形態において、第1前進混練区分3204は、45/5/0.10D/0.50Dの前進混練区分である。理解されるように、これらの混練ディスクは、比較的狭く、ポリマー溶液がフライトの周りを流れることを可能にし、何度も流れを分割、再結合させる。60°のオフセット角θよりも、40°≦θ≦50°のオフセット角を伴うことで、より前進運搬能力が上がり、より後退運搬能力が低くなる。
【0081】
さらに図7を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第1混合段階3300が形成される。第1混合段階3300は、分散段階3200に続き、第2混合段階3400で終わり、さらに、分散段階3200で形成されたポリマー溶液と混合するよう、第2流体注入口33(第2流体注入口が用いられている場合)からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図7で示すように、一の形態において、第1混合段階3300は、長さ0.75Dの1つのフルフライトスクリュー区分3302、1つの中立ギア混練区分3304、複数の前進ギア混練区分3306、及び複数の中立ギア混練区分3308を含む。別の形態において、第1混合段階3300は、各々1.50Dの長さ、全長で6.00Dの4つの前進ギア混練区分3306及び各々1.50Dの長さ、全長で7.50Dの5つの中立ギア混練区分3308を含む。一の形態において、第1混合段階3300は、約25%L≦Lm1≦約45%Lの長さLm1を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0082】
さらに図7を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第2混合段階3400が形成される。第2混合段階3400は、第1混合段階3300に続き、流出段階3500で終わる。図7で示すように、一の形態において、第2混合段階3400は、各々0.50Dの長さ、全長で5.50Dの11個の中立混練区分3402を含む。中立混練区分3402に続くのは、各々0.50Dの長さ、全長で2.50Dの5つの逆混練区分3404である。一の形態において、第2混合段階3400は、約0%L≦Lm2≦約25%Lの長さLm2を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0083】
図7で示すように、複数の押出機スクリュー区分により流出段階3500が形成される。図1で概して示すように、流出段階3500は、第2混合段階3400に続き、流出末端20で終わり、さらに、少なくとも1の流出口36からの排出を可能にするよう位置する。図7で示すように、一の形態において、流出段階3500は、3つの第1前進フルフライトスクリュー区分3502、1つの第2前進フルフライトスクリュー区分3504、及び1つの第3前進フルフライトスクリュー区分3506を含む。一の形態において、各第1前進フルフライトスクリュー区分3502の長さは1.5D、全長で4.50Dである。第2前進フルフライトスクリュー区分3504の長さは1.00Dであり、第3前進フルフライトスクリュー区分3506の長さは0.75Dである。一の形態において、流出段階3500は、約0%L≦Lo≦約20%Lの長さLoを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0084】
さらに別の形態において、複数の押出機スクリュー区分が図8に示される。複数の押出機段階を形成するよう、前記複数の押出機スクリュー区分が選択される。一の形態において、複数の押出機段階は、注入段階4100、分散段階4200、第1混合段階4300、第2混合段階4400、及び流出段階4500を含む。各段階は、ここで図8を参照して説明する。
【0085】
複数の押出機スクリュー区分により注入段階4100が形成される。概して図1も参照すると、注入段階4100は、第1末端18近くで始まり、分散段階4200で終わり、さらに、処理のために注入口24から熱可塑性材料を受け取るように位置する。図8で示すように、一の形態において、注入段階4100は、1つの第1前進フルフライトスクリュー区分4102及び4つの第2前進フルフライトスクリュー区分4104を含む。一の形態において、第1前進フルフライトスクリュー区分4102の長さは、40.5mmである(54mmの押出機、0.75×押出機スクリュー直径「D」が使用される場合)。第2前進フルフライトスクリュー区分4104の各々の長さは0.75Dであり、全長は3.00Dである。一の形態において、注入段階4100は、約5%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0086】
さらに図8を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により分散段階4200が形成される。分散段階4200は、注入段階4100に続き、第1混合段階4300で終わり、さらに、注入段階4100内で導入された熱可塑性材料と混合するよう、第1流体注入口32からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図8で示すように、一の形態において、分散段階4200は、1つのカラー区分4202及び12個の第1前進混練区分4204を含む。一の形態において、カラー区分4202の長さは、0.75Dである。各第1前進混練区分4204の長さは0.50Dであり、12個の第1前進混練区分4204の全長は6.00Dである。一の形態において、分散段階4200は、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0087】
上述のように、混練区分は、オフセット角/ディスクの数/ディスクの長さ/区分の長さで特定される。一の形態において、第1前進混練区分4204は、45/5/0.10D/0.50Dの前進混練区分である。理解されるように、これらの混練ディスクは、比較的狭く、ポリマー溶液がフライトの周りを流れることを可能にし、何度も流れを分割、再結合させる。60°のオフセット角θよりも、40°≦θ≦50°のオフセット角を伴うことで、より前進運搬能力が上がり、より後退運搬能力が低くなる。
【0088】
さらに図8を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第1混合段階4300が形成される。第1混合段階4300は、分散段階4200に続き、第2混合段階4400で終わる。図8で示すように、一の形態において、第1混合段階4300は、複数の前進ギア混練区分4302を含む。別の形態において、第1混合段階4300は、各々1.50Dの長さ、全長で6.00Dの4つの前進ギア混練区分4302を含む。一の形態において、第1混合段階4300は、約5%L≦Lm1≦約35%Lの長さLm1を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0089】
さらに図8を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第2混合段階4400が形成される。第2混合段階4400は、第1混合段階4300に続き、流出段階4500で終わり、さらに、ポリマー溶液と混合するよう、第2流体注入口33(第2流体注入口が用いられている場合)からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図8で示すように、一の形態において、第2混合段階4400は、1つのフルフライトスクリュー区分4402、長さ1.50Dの1つの中立ギア混練区分4404、各々1.50Dの長さ、全長で4.50Dの3つの前進ギア混練区分4406、各々1.50Dの長さ、全長で9.00Dの6つの中立ギア混練区分4408、及び各々0.50Dの長さ、全長で3.50Dの7つの中立混練区分4410を含む。一の形態において、第2混合段階4400は、約0%L≦Lm2≦約50%Lの長さLm2を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0090】
図8で示すように、複数の押出機スクリュー区分により流出段階4500が形成される。図1で概して示すように、流出段階4500は、第2混合段階4400に続き、流出末端20で終わり、さらに、少なくとも1の流出口36からの排出を可能にするよう位置する。図8で示すように、一の形態において、流出段階4500は、3つの第1前進フルフライトスクリュー区分4502、1つの第2前進フルフライトスクリュー区分4504、及び1つの第3前進フルフライトスクリュー区分4506を含む。一の形態において、各第1前進フルフライトスクリュー区分4502の長さは1.5D、全長で4.50Dである。第2前進フルフライトスクリュー区分4504の長さは1.00Dであり、第3前進フルフライトスクリュー区分4506の長さは0.75Dである。一の形態において、流出段階4500は、約0%L≦Lo≦約20%Lの長さLoを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0091】
別の形態において、複数の押出機スクリュー区分が図9に示される。複数の押出機段階を形成するよう、前記複数の押出機スクリュー区分が選択される。一の形態において、複数の押出機段階は、注入段階5100、分散段階5200、第1混合段階5300、第2混合段階5400、及び流出段階5500を含む。各段階は、ここで図9を参照して説明する。
【0092】
複数の押出機スクリュー区分により注入段階5100が形成される。概して図1も参照すると、注入段階5100は、第1末端18近くで始まり、分散段階5200で終わり、さらに、処理のために注入口24から熱可塑性材料を受け取るように位置する。図9で示すように、一の形態において、注入段階5100は、1つの第1前進フルフライトスクリュー区分5102及び4つの第2前進フルフライトスクリュー区分5104を含む。一の形態において、第1前進フルフライトスクリュー区分5102の長さは、40.5mmである(54mmの押出機、0.75×押出機スクリュー直径「D」が使用される場合)。第2前進フルフライトスクリュー区分5104の各々の長さは0.75Dであり、全長は2.25Dである。一の形態において、注入段階5100は、約5%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0093】
さらに図9を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により分散段階5200が形成される。分散段階5200は、注入段階5100に続き、第1混合段階5300で終わり、さらに、注入段階5100内で導入された熱可塑性材料と混合するよう、第1流体注入口32からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図9で示すように、一の形態において、分散段階5200は、1つのカラー区分5202及び12個の第1前進混練区分5204を含む。一の形態において、カラー区分5202の長さは、0.75Dである。各第1前進混練区分5204の長さは0.50Dであり、12個の第1前進混練区分5204の全長は6.00Dである。一の形態において、分散段階5200は、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0094】
上述のように、混練区分は、オフセット角/ディスクの数/ディスクの長さ/区分の長さで特定される。一の形態において、第1前進混練区分5204は、45/5/0.10D/0.50Dの前進混練区分である。理解されるように、これらの混練ディスクは、比較的狭く、ポリマー溶液がフライトの周りを流れることを可能にし、何度も流れを分割、再結合させる。60°のオフセット角θよりも、40°≦θ≦50°のオフセット角を伴うことで、より前進運搬能力が上がり、より後退運搬能力が低くなる。
【0095】
さらに図9を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第1混合段階5300が形成される。第1混合段階5300は、分散段階5200に続き、第2混合段階5400で終わる。図9で示すように、一の形態において、第1混合段階5300は、複数の前進ギア混練区分5302を含む。別の形態において、第1混合段階5300は、各々1.50Dの長さ、全長で9.00Dの6つの前進ギア混練区分5302を含む。一の形態において、第1混合段階5300は、約10%L≦Lm1≦約35%Lの長さLm1を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0096】
さらに図9を参照すると、複数の押出機スクリュー区分により第2混合段階5400が形成される。第2混合段階5400は、第1混合段階5300に続き、流出段階5500で終わり、さらに、ポリマー溶液と混合するよう、第2流体注入口33(第2流体注入口が用いられている場合)からの液体希釈剤を受け取るように位置する。図9で示すように、一の形態において、第2混合段階5400は、1つのフルフライトスクリュー区分5402、長さ1.50Dの1つの中立ギア混練区分5404、長さ1.50Dの1つの前進ギア混練区分5406、及び各々1.50Dの長さ、全長で9.00Dの6つの中立ギア混練区分5408を含む。一の形態において、第2混合段階5400は、約0%L≦Lm2≦約35%Lの長さLm2を有し、ここでLは、押出機シャフトの全長である。
【0097】
図9で示すように、複数の押出機スクリュー区分により流出段階5500が形成される。図1で概して示すように、流出段階5500は、第2混合段階5400に続き、流出末端20で終わり、さらに、少なくとも1の流出口36からの排出を可能にするよう位置する。図9で示すように、一の形態において、流出段階5500は、各々0.50Dの長さ、全長で3.50Dの7つの中立混練区分5502、3つの第1前進フルフライトスクリュー区分5504、1つの第2前進フルフライトスクリュー区分5506、及び1つの第3前進フルフライトスクリュー区分5508を含む。一の形態において、各第1前進フルフライトスクリュー区分5504の長さは1.5D、全長で4.50Dである。第2前進フルフライトスクリュー区分5506の長さは1.00Dであり、第3前進フルフライトスクリュー区分5508の長さは0.75Dである。一の形態において、流出段階5500は、約0%L≦Lo≦約30%Lの長さLoを有し、ここでLは、押出機シャフト34の全長である。
【0098】
別の形態において、ポリマーと希釈剤の混合物を押出すための方法が提供される。前記方法は、押出機(例えば、二軸押出機等)の注入段階100で、Pの速度(例えば、秒あたりのグラム数等として、測定される。)でポリマーを配合する工程及び配合したポリマーを押出機の分散段階200に導く工程を含む。ポリマーより粘度が低い希釈剤を用いて、少なくとも1の希釈剤が、S1の速度(例えば、秒あたりのグラム数等として、測定される。)で、分散段階200で配合されたポリマーに導入される。次に、希釈剤は、ポリマー中で分散され、第1混合段階300に導かれる。一の形態において、希釈剤は、配合されたポリマーにS2の速度で分散段階の下流、例えば、第1混合段階300及び/または第2混合段階400等の位置に導入される。第1混合段階300において、第3段階の生産物を生産するために、希釈剤及びポリマーは配合される。第3段階の生産物は、(i)第1相のポリマー−希釈剤の混合物、(ii)第1相から分離した第2相の希釈剤の一部、及び(iii)第1及び第2相から分離した第3相のポリマーの一部を含む。一の形態において、第1混合段階300の混合エネルギーは、注入段階100及び/または分散段階200の混合エネルギーより大きい。
【0099】
一の形態において、第1相は、約0.9×(P+S)かまたはそれ以上のRの速度(例えば、秒あたりのグラム数等として、測定される。)で生産される。ここで、SはS1+S2と等しく、第2相は0.05×S1を超えない速度で生産され、さらに、第3相は0.05×Pを超えない速度で生産される。別の形態において、分散段階から注入段階100への希釈剤の反流の速度は、0.1×S1を超えない。押出機でのポリマーの劣化を防ぐよう、そして、希釈剤の反流(下流から上流)を防ぐよう、S、S1、及びS2の相対量が選択される。一の形態において、S1/S2の値は、S1+S2の総重量に基づき、約51重量%/49重量%から約99重量%/1重量%の範囲、好ましくは、約55重量%/45重量%から約95重量%/5重量%の範囲、より好ましくは、約60重量%/40重量%から約90重量%/10重量%の範囲である。一の形態において、希釈剤S1は、分散段階で第1流体注入口から押出機に注入され、第1流体注入口の位置は、分散段階の初めから約50%Ldの長さの範囲内、好ましくは、約30%Ldの長さの範囲内に位置する。一の形態において、希釈剤S2は、混合段階で第2流体注入口から押出機に注入され、第2流体注入口の位置は、第1混合段階及び/または第2混合段階、好ましくは、第2混合段階に位置する。混合段階の2つの箇所で前記希釈剤を注入する場合、第1混合段階と第2混合段階のそれぞれで希釈剤を導入出来る。本明細書で記載される、S、S1、及びS2の相対値の制御及び希釈剤の注入位置の適切な選択により、押出機からの収率はより高く、出力質量流速はより安定する。一の形態において、前記押出機は、1kg/時間以上の速度、例えば、約1kg/時間から100kg/時間または20kg/時間から75kg/時間の範囲のような、20kg/時間以上または50kg/時間以上または100kg/時間以上等の速度でポリマー−希釈剤混合物を生産する。
【0100】
別の形態において、ポリマーの大部分は、1.0×10から9×10の範囲の分子量を有する第1ポリエチレン及び9.0×10から5.0×10の範囲の分子量を有する第2ポリエチレンである。さらに別の形態において、ポリマーはさらに、3.0×10から3.0×10の範囲の分子量を有するポリプロピレンを含む。一の形態において、第1ポリエチレンは0から100%の範囲の量のポリマーで存在し、第2ポリエチレンは0から100%の範囲の量のポリマーで存在し、さらに、ポリプロピレンは0から70%の範囲の量のポリマーで存在する。別の形態において、希釈剤は流動パラフィンであり、Pは3から20、Sは5から50である。
【0101】
一の形態において、注入段階100及び分散段階200の混合エネルギーは第1混合段階300より低い。注入段階100の工程条件は、150℃の温度、P=10、5kg/cm未満の圧力、及び約18秒の滞留時間により特徴付けられ、分散段階200は、200℃の温度、S=23、5kg/cm未満の圧力、及び約14秒の滞留時間により特徴付けられる。別の形態において、混合エネルギーは、注入段階100と分散段階200とを通るポリマー流動の向きに連続して延伸する少なくとも1の区分された混合スクリューから得られる。
【0102】
本明細書で記載される押出機、システム、及び方法の形態は、微多孔フィルム及び微多孔シートの押出し及び生産で利用される。単層及び多層の微多孔フィルム及び微多孔シートは、本発明の範囲内である。これらの微多孔フィルム及び微多孔シートは特に、電池セパレーターの臨界磁場で利用される。本明細書で後述される多層フィルム及び多層シートは、単層フィルムまたは単層シートの生産に、共押出ダイスまたは単層ダイスのいずれかを用い、さらに従来の方法で追加の層をそれらに積層することで生産されることが出来る。
【0103】
一の形態において、多層、微多孔ポリオレフィン膜は、2つの層を含む。第1層(例えば、皮膚、膜の最上層または上層)は、第1微多孔層の材料を含み、第2層(例えば、膜の最下層または下層またはコア層)は、第2微多孔層の材料を含む。例えば、膜の横軸及び縦軸(流れ)方向とおよそ垂直の軸上から見た場合、前記膜は平面の最上層を有することができ、ここで、最下平面層は最上層により視野から隠れる。
【0104】
別の形態において、多層、微多孔ポリオレフィン膜は、3以上の層を含む。ここで、外層(「表面」または「スキン」層とも呼ばれる)は、第1微多孔層の材料を含み、少なくとも1のコア層または中間層は、第2微多孔層の材料を含む。関連する形態において、多層、微多孔ポリオレフィン膜が2つの層を含む場合、第1層は第1微多孔層の材料から基本的に成り、第2層は第2微多孔層の材料から基本的に成る。関連する形態において、多層、微多孔ポリオレフィン膜が3以上の層を含む場合、外層は第1微多孔層の材料から基本的に成り、少なくとも1の中間層は第2微多孔層の材料から基本的に成る(または、前記材料から成る)。一の実施態様において、前記方法で生産された微多孔膜は、約3から約200μm、または約5から約50μm、または約7から約35μmの厚さである。本発明に係る前記方法で生産された微多孔膜は、一次電池及び二次電池、特に例えば、リチウムイオン二次電池、リチウム−ポリマー二次電池、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池、ニッケル−亜鉛二次電池、銀−亜鉛二次電池、特にリチウムイオン二次電池等の電池セパレーターとして使用されることが出来る。
【0105】
前述のフィルム及びシートの生産で利用される出発物質がここで記載される。当業者に理解されるように、出発物質の選択は重要ではない。ポリオレフィン及びポリオレフィンの混合物のように、ポリマー及びポリマーの混合物が使用されることが出来る。全体として本明細書に参照により援用される、国際特許公開番号WO2008/016174、米国特許公開番号US2008/0057388及びUS2008/0057389で記載される、ポリマー、方法、及び工程条件が本発明に適する。一の形態において、第1及び第2微多孔層の材料は、ポリエチレンを含む。一の形態において、第1微多孔層の材料は、約1×10未満のMw値を有する第1ポリエチレン(「PE−1」)または少なくとも約1×10のMw値を有する第2ポリエチレン(「UHMWPE−1」)を含む。一の形態において、第1微多孔層の材料は、第1ポリプロピレン(「PP−1」)を含むことが出来る。一の形態において、第1微多孔層の材料は、(i)ポリエチレン及び/またはポリプロピレン等のポリオレフィン、(ii)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、(iii)PE−1及びPP−1、または(iv)PE−1、UHMWPE−1、及びPP−1のいずれかを含む。
【0106】
上記(ii)及び(iv)の一の形態において、好ましいUHMWPE−1は、約1×10から約15×10または約1×10から約5×10または約1×10から約3×10の範囲のMwを有し、さらに好ましくは、後の項で定義される混成構造を有する微多孔層を得るため、PE−1及びUHMWPE−1の総量に基づき、約1重量%より多く、または、約15重量%から40重量%を含み、さらに少なくとも1のホモポリマーまたはコポリマーとすることが出来る。上記(iii)及び(iv)の一の形態において、PP−1は、少なくとも1のホモポリマーまたはコポリマーとすることが出来るか、または、好ましくは、第1層の微多孔材料の総量に基づいて、約25重量%以下を含むことが出来る。一の形態において、第1微多孔層の材料におけるポリオレフィンのMwは、後の項で定義される混成構造を有する微多孔層を得るため、約1×10以下または約1×10から約1×10または約2×10から約1×10の範囲で有することが出来る。一の形態において、好ましいPE−1は、約1×10から約9×10または約2×10から約8×10の範囲のMwを有することができ、さらに、1以上の高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、または直鎖低密度ポリエチレンとすることができ、さらに、少なくとも1のホモポリマーまたはコポリマーとすることが出来る。
【0107】
一の形態において、第1微多孔層の材料(2層のうちの第1層、微多孔ポリオレフィン膜及び3層の微多孔ポリオレフィン膜の第1及び第3層)は、0.01μmから0.08μmの範囲で主要ピークを有する比較的高密度のドメイン及び0.08μmより多く1.5μmまでの範囲の少なくとも1のサブピークまたは細孔径分布カーブが少ないことを示す比較的低密度のドメインを示す細孔径分布で特徴付けられる混成構造である。(主要ピークから計算された)高密度ドメインの細孔容積対(サブピークから計算された)低密度ドメインの細孔容積の比率は重要ではなく、例えば、約0.5から約49の範囲を取ることが出来る。
【0108】
一の形態において、第2微多孔層の材料は、例えば、ポリエチレン及び/またはポリプロピレン等の第1微多孔層の材料の生産に使用されたものと同じ材料を、任意に異なる相対量で含む。例えば、第2微多孔層の材料は、(i)少なくとも約1×10のMw値を有する第4ポリエチレン(「UHMWPE−2」)、(ii)1×10より少ないMw値を有する第3ポリエチレン及びUHMWPE−2及び第4ポリエチレン(例えば、第3及び第4ポリエチレンを混ぜ合わせた質量に基づいて、質量で少なくとも約8%の量で、第4ポリエチレンが存在する)、(iii)UHMWPE−2及びPP−2、または(iv)PE−2、UHMWPE−2、及びPP−2のいずれかを含むことが出来る。上記(ii)、(iii)及び(iv)の一の形態において、UHMWPE−2は、比較的強い、多層、微多孔ポリオレフィン膜を生産するため、UHMWPE−2、PE−2、及びPP−2の総量に基づき、少なくとも約8重量%、または少なくとも約20重量%、または少なくとも約25重量%を含むことが出来る。上記(iii)及び(iv)の一の形態において、PP−2は、少なくとも1のホモポリマーまたはコポリマーとすることができ、第2微多孔層の材料の総量に基づいて、50重量%以下、または35重量%以下、または25重量%以下、または約2%から約50%、または約2%から約15%、または約3%から約10%の範囲で含むことが出来る。一の形態において、好ましいPE−2はPE−1と同じにすることが出来るが、無関係に選択されることも出来る。一の形態において、好ましいUHMWPE−2はUHMWPE−1と同じにすることが出来るが、無関係に選択されることも出来る。
【0109】
第1、第2、第3、第4ポリエチレン及び第1及び第2ポリプロピレンに加え、第1及び第2層の材料の各々は任意に、第7のポリオレフィンとして特定され、例えば、1以上のポリブテン−1、ポリペンテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン及びエチレンα−オレフィンコポリマー(エチレン−プロピレンコポリマーを除く)等とすることができ、約1×10から約4×10の範囲のMwを有することが出来る、1以上の追加のポリオレフィンを含むことが出来る。第7のポリオレフィンに加えて、または、第7のポリオレフィンの他に、第1及び第2微多孔層の材料はさらに、ポリエチレン・ワックス、例えば、約1×10から約1×10の範囲のMwを有するものを含むことが出来る。
【0110】
一の形態において、2層の微多孔膜の生産方法が提供される。別の形態において、微多孔ポリオレフィン膜は、少なくとも3つの層を有する。簡潔にするため、微多孔膜の生産について、主に2層及び3層の膜に関して説明する。
【0111】
一の形態において、3層の微多孔ポリオレフィン膜は、微多孔ポリオレフィン膜の外層を構成する第1と第3微多孔層及び第1と第3層の間に(及び任意に平面に接触して)位置する第2(コア)層を含む。別の形態において、第1及び第3層はポリマーと希釈剤の第1混合物から生産され、第2(コア)層はポリマーと希釈剤の第2混合物から生産される。
【0112】
一の形態において、多層、微多孔ポリオレフィン膜の生産方法が提供される。前記方法は、(1)第1ポリマーまたはポリマーの混合物(例えば、ポリオレフィン組成物等)と、少なくとも1の(ポリマーの溶媒とすることが出来る)希釈剤とを(例えば、配合する等により)混ぜ合わせ、本明細書で記載される型の押出機で第1混合物を調製する工程、(2)第2ポリマーまたはポリマーの混合物(例えば、第2ポリオレフィン組成物等)と、少なくとも1の(第2ポリマーの溶媒とすることができ、第1希釈剤と通常相溶性のある)第2希釈剤とを混ぜ合わせ、本明細書で記載される型の押出機で混合物を調製する工程、(3)例えば、第1ダイスを通して第1混合物を、また、第2ダイスを通して第2混合物を押出し、次に、押出された混合物を積層するか、または、共押出ダイスを通して第1及び第2混合物を共押出しする等により多重層押出物を生産する工程、(4)任意に、多重層押出物を冷却し、多層、ゲル状シート(冷却された押出物)を形成する工程、(5)前記押出物または冷却された押出物から第1及び第2希釈剤の少なくとも一部を除去し、多層、微多孔膜を生産する工程を含む。任意に、前記膜を以下の任意の工程の対象とすることが出来る。すなわちそれらの工程は、(6)前記膜を乾燥する工程、前記膜または乾燥された膜を延伸する工程(7)、及び/または、工程(4)と(5)との間で行われる、任意の高温溶剤処理(hot solvent treatment)の工程(8)である。工程(6)の後、多層、微多孔膜を延伸する任意の工程(9)、任意の熱処理工程(10)、任意の電離放射線を用いた架橋工程(11)、及び任意の親水処理工程(12)等が行われることが出来る。このような膜及び膜の生産方法は、PCT公報のWO2008/016174、US2008/0057388、及びUS2008/0057389に記載される。
【0113】
一の形態において、第1及び第2ポリマーは、第1及び第2混合物を生産するため、例えば、乾式混合または第1及び第2希釈剤のそれぞれと配合する等により混ぜ合わされる上述のポリオレフィン樹脂を含む、ポリオレフィン組成物からそれぞれ生産される。任意に、第1及び第2混合物は、1以上の提供される酸化防止剤、シリカ微粉末(増孔剤)等の多様な添加物を含むことが出来る。これらの添加物は、多層、微多孔ポリオレフィン膜の所望される特性を有意に低下させない範囲の濃度で使用される。
【0114】
第1及び第2希釈剤(同じ希釈剤とすることも出来る)は、好ましくは、第1及び/または第2ポリマーに用いられる溶媒であり、室温で液体である。どのような理論やモデルによりも縛られることを願うわけではないが、第1及び第2混合物を形成するための液体溶媒の使用は、比較的高い延伸倍率(stretching magnification)でゲル状シートの延伸の実施を可能にすると信じられている。一の形態において、第1希釈剤は、少なくとも1の、ノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等のような脂肪族、脂環式、または芳香族の炭化水素、それらの炭化水素の沸点に匹敵する沸点がある鉱油蒸留液、及びフタル酸ジブチル、ジオクチルフタレート等のような室温で液体であるフタル酸等とすることが出来る。一の形態において、安定した液体希釈剤含有量を有する多重層押出物を得ることが望まれる場合、流動パラフィン等の非揮発性の液体溶媒が希釈剤として、単独でまたは他の溶媒との組み合わせで、使用されることが出来る。任意に、ポリエチレンと配合された状態で混和性であるが、室温では固体の希釈剤が、単独でまたは他の液体希釈剤との組み合わせで、使用されることが出来る。このような固体希釈剤は、例えば、ステアリルアルコール、セリルアルコール、パラフィンワックス等を含むことが出来る。
【0115】
第1及び第2希釈剤の粘度は、重要なパラメータでない。例えば、希釈剤の粘度は、25℃で、約30cStから約500cSt、または約30cStから約200cStの範囲とすることが出来る。重要なパラメータではないが、前記25℃での粘度が約30cStより低い場合、混合物の泡立ちを防ぐことがより難しくなり、それにより配合が難しくなる場合がある。一方で、粘度が約500cStより高い場合、多層、微多孔ポリオレフィン膜から希釈剤を除去することがより困難になる場合がある。
【0116】
一の形態において、第1ポリオレフィン組成物の生産に使用される樹脂等は、例えば、二軸スクリュー押出機または混合機等内で配合される。例えば、二軸スクリュー押出機等の従来の押出機(または、混合機または混合機−押出機)が、第1及び第2ポリマーまたはポリマーの混合物を形成するための樹脂等の混ぜ合わせに使用されることが出来る。前記希釈剤は、押出機に関連して記載したような方法で、ポリマー(または、代わりにポリマーまたはポリマーの混合物を生産するのに使用される樹脂)に規定点で加えられることが出来る。例えば、一の形態において、ポリオレフィン組成物及び希釈剤が混ぜ合わされる場合、(i)混合の開始前、(ii)ポリマー−希釈剤の混合中、または(iii)混合後のいずれかで、例えば、配合された、または、部分的に配合されたポリオレフィン組成物に希釈剤を第2押出機内またはポリオレフィン組成物の配合で使用される押出機区画の下流に位置する押出機区画内で供給することにより、希釈剤の一部がポリオレフィン組成物(またはその化合物)に加えられる。
【0117】
本明細書で開示される型の押出機が使用される場合、二軸スクリュー押出機のスクリューの長さL対スクリューの直径DのL/D率で前記スクリューを特徴付けることが出来る。前記L/D率は、例えば、約20から約200または約25から約100等の範囲とすること出来る。当該パラメータは重要ではないが、L/Dが約20未満である場合、配合はより困難になる可能性がある。また、L/Dが約100より高い場合、望ましくない分子量の低下を起こし得る、二軸スクリュー押出機でのポリマー−希釈剤混合物の過度の滞留時間を防ぐため、より速い押出機速度が必要とされる場合がある。重要なパラメータではないが、二軸スクリュー押出機のシリンダ(または孔)は、例えば、約30mmから約100mmの範囲の内径を有することが出来る。
【0118】
第1混合物中の第1ポリマー組成物の量は、重要でない。一の形態において、第1混合物中の第1ポリマーの量は、1重量%以上、例えば、前記混合物の重量に基づき、約1重量%から約75重量%、例えば、約20重量%から約40重量%の範囲である。
【0119】
第1混合物の調製に使用されるのと同じ方法で第2混合物は調製されることが出来る。例えば、第2希釈剤と第2ポリマーとの配合により、第2混合物は調製されることが出来る。
【0120】
第2混合物中の第2ポリマー組成物の量は、重要でない。一の形態において、第2混合物中の第2ポリマーの量は、前記混合物の重量に基づき、1重量%以上、例えば、約1重量%から約75重量%、例えば、約20重量%から約40重量%の範囲である。
【0121】
一の実施態様において、2つの押出機が連続して、単軸押出機の上流に位置する二軸スクリュー押出機と共に使用される。フィルターは、各押出機の下流に位置し、例えば、触媒微粉、未混合ポリマー、金属粒子等のような微粒子を除去することが出来る。(密接する押出機の内部表面からすり減ったもの等の)金属粒子は特に、フィルムで回路ショートを引き起こし得るため、電池セパレーターフィルムにとって問題となる。微細フィルター、例えば、100μm以下、または40μm以下、または20μm以下、20μmから50μmの範囲のような孔サイズを有するもの等が、前記粒子の除去に用いられることが出来る。このようなフィルターの導入、特に第2押出機の下流への導入は、ポリマー−希釈剤混合物の相分離を引き起こす可能性があることが観察されている。フィルターの圧力降下を解消するため、ギアポンプのようなポンプ輸送手段が使用される場合、この問題は悪化する可能性がある。これらの場合において、このような相分離がダイスの上流において静的ミキサーのような混合手段の挿入により治癒する可能性があることが発見されている。ダイスの上流で混合手段を使用することは、ポリマー−希釈剤混合物の温度の均一性を向上させ、ポリマー−希釈剤の相分離の量を軽減する。また、このような混合手段の使用は、ポリマー−希釈剤混合物中のポリマー及び希釈剤の濃度のより均一性を引き起こすことが信じられる。均一性の増加は、ポリマー−希釈剤の相分離の量を軽減すると信じられている。どのような理論やモデルによりも縛られることを願うわけではないが、ポリマー−希釈剤の相分離の発生は、ポリマー−希釈剤混合物の温度及び混合物中のポリマーの量に非常に敏感であると信じられている。(例えば、ポリマーの一部がフィルターの微細なメッシュにより混合物から分離する場合等に)起こるポリマー濃度の変動は、望まれない希釈剤の高濃度相を生成するポリマー−希釈剤の相分離をもたらす可能性がある。前記希釈剤の高濃度相は、ダイスを通して押出される時に、不要な厚さ均一性及び/または組成不均一性を有する押出物を作る。
【0122】
一の実施態様において、ポリマー及び希釈剤の型及び量、処理温度及び流量、ダイスセクションのような工程条件は、PCT公報WO2008/016174、US2008/0057388及びUS2008/0057389に開示されるものの中から選択される。
【0123】
単層押出ダイスは、積層出来る押出物の形成に、使用されることが出来る。一の形態において、隣接または接続出来る押出ダイスは、押出物を形成するために使用される。第1押出機が第1混合物を含み、第2押出機が第2混合物を含む場合、第1及び第2シートダイスはそれぞれ、第1及び第2押出機に接続される。重要ではないが、押出された第1及び第2混合物が依然としてほぼ押出温度にある場合、積層は一般に、より容易に達成しやすい。一の形態において、冷却する前に、押出物の積層が行われる。別の形態において、冷却した後に、押出物の積層が行われる。さらに別の形態において、第1及び第2希釈剤の少なくとも一部が除去された後に、積層が行われる。すなわち、この形態において、押出物ではなく、膜が積層される。さらに別の形態において、積層することなく、多重層押出物を生産するため、共押出しが使用される。
【0124】
例えば、一の形態において、第1及び第3ダイスが第1混合物を含み、第2ダイスが第2混合物を含む場合、第1、第2及び第3ダイスが、本明細書に記載される型の第1、第2及び第3押出機に接続される。この形態において、押出された第1混合物を含む外層及び押出された第2混合物を含む1の中間体を構成し、積層された押出物が形成される。
【0125】
さらに別の形態において、第2ダイスが第1混合物を含み、第1及び第3ダイスが第2混合物を含む場合、第1、第2及び第3ダイスが、本明細書に記載される型の第1、第2及び第3押出機に接続される。この形態において、押出された第2混合物を含む外層及び押出された第1混合物を含む1の中間体を構成し、積層された押出物が形成される。
【0126】
ダイギャップは一般に、重要ではない。たとえば、押出しダイスは、約0.1mmから約5mmのダイギャップがあること出来る。また、ダイス温度及び押出速度は、重要なパラメーターではない。たとえば、ダイスは、押出しの間、約140℃から約250℃の範囲のダイス温度で加熱されることが出来る。たとえば、押出し速度は、約0.2m/分から約15m/分の範囲とすることが出来る。層状押出物の層の厚みは、独立して選択されることが出来る。たとえば、合成シートは、層状押出物の中間層の厚さと比べ比較的厚いスキンまたは表面層を有することが出来る。
【0127】
冷却された押出物、例えば、多層、ゲル様シート等は、例えば、冷却等により得ることが出来る。冷却速度及び冷却温度は、特に重要ではない。たとえば、多層、ゲル様シートは、少なくとも約50℃/分の冷却速度で、多層、ゲル様シートの温度(冷却温度)が多層、ゲル様シートのゼラチン温度とほぼ等しく(またはそれ以下に)なるまで冷却されることが出来る。一の形態において、多層ゲル様シートを形成するため、前記押出物は約25℃以下の温度にまで冷却される。
【0128】
一の形態において、希釈剤が除去されたゲル様シートを形成するため、第1及び第2希釈剤が多層ゲル様シートから除去(または置換)される。第1及び第2希釈剤を除去する(洗い流す、または置換する)ため、置換(または洗浄)溶剤が使用されることが出来る。第1及び/または第2希釈剤の少なくとも一部を溶解または置換することが可能なものである限り、洗浄溶剤の選択は重要ではない。。たとえば、適切な洗浄溶剤は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素、メチレンクロリド、四塩化炭素等の塩素系炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル、メチルエチルケトン等のケトン類、トリフルオロエタン、C14、C16等の線形フルオロカーボン、C等の環状ハイドロフルオロカーボン、COCH、COC等のハイドロフルオロエーテル、COCF、COC等のペルフルオロエーテルのような1以上の揮発性溶剤を含む。
【0129】
希釈剤除去方法は重要ではなく、従来の溶媒除去方法を含む、有意量の希釈剤を除去することが出来るいかなる方法も使用することが出来る。たとえば、多層、ゲル様シートは、洗浄溶剤中にシートを浸す、及び/または、洗浄溶剤でシートを濯ぐことにより洗浄されることが出来る。使用される洗浄溶剤の量は重要ではなく、一般に希釈剤除去に選択される方法に依存する。一の形態において、ゲル様シートの重量に基づき、多層ゲル様シート中の希釈剤の残量が1重量%未満になるまで、希釈剤はゲル様シートから(例えば、洗浄等により)除去される。
【0130】
一の形態において、希釈剤を除去して得られた、希釈剤除去多層、ゲル様シート(diluent−removed multi−layer,gel−like sheet)は、洗浄溶剤を除去するために乾燥される。加熱乾燥、風乾燥(動空気)等の従来の方法を含む、洗浄溶剤を除去出来るいかなる方法も使用されることが出来る。乾燥中のゲル様シートの温度(すなわち、乾燥温度)は重要ではない。たとえば、乾燥温度は、結晶分散温度Tcdと等しいか、または、結晶分散温度Tcdより低くすることが出来る。Tcdは、第1樹脂中のポリエチレンの結晶分散温度Tcdと第2樹脂中のポリエチレンの結晶分散温度Tcdのうち低い方の温度である。たとえば、乾燥温度は、結晶分散温度Tcdより少なくとも5℃低くすることが出来る。第1及び第2樹脂中のポリエチレンの結晶分散温度は、ASTM D4065によるポリエチレンの動的粘弾性の温度特性を測定し、決定することが出来る。一の形態において、第1または第2樹脂の少なくとも1におけるポリエチレンは、約90℃から約100℃の範囲で結晶分散温度がある。
【0131】
重要ではないが、乾量基準で、すなわち、乾燥した多層、微多孔ポリオレフィン膜の重量に基づいて、洗浄溶剤の残量が約5重量%以下になるまで、乾燥は行われることが出来る。別の形態において、乾量基準で、洗浄溶剤の残量が約3重量%以下になるまで、乾燥は行われることが出来る。
【0132】
延伸した多層、ゲル様シートを得るため、希釈剤を除去する工程の前に、多層、ゲル様シートは、延伸されることが出来る。
【0133】
延伸方法の選択も延伸倍率の程度も、特に重要ではない。一の形態において、延伸は、1以上のテンター延伸法、ローラー延伸法または(例えば、エア等を用いた)インフレーション延伸法で達成することが出来る。選択は重要ではないが、延伸は、単軸的に(すなわち、流れ方向か横断方向のどちらかの一方で)、あるいは二軸的に(流れ方向と横断方向の両方で)、行われることが出来る。二軸的な延伸(二軸延伸とも呼ばれる)の場合、延伸は、同時二軸的延伸、順次平面軸とその他の軸に沿って延伸する(例えば、始めに横断方向で次に流れ方向等の)逐次延伸、または多段延伸(たとえば、同時二軸的延伸と逐次延伸の組み合わせ等)とすることが出来る。
【0134】
延伸倍率は重要ではない。単軸的な延伸が使用される形態において、線形延伸倍率は、例えば、約2倍以上、あるいは約3から約30倍等であることが出来る。二軸的な延伸が使用される形態において、線形延伸倍率は、例えば、任意の側方向で約3倍以上等であることが出来る。別の形態において、延伸により生じる線形倍率は、面積倍率で、少なくとも約9倍、または少なくとも約16倍、または少なくとも約25倍である。
【0135】
延伸の間の多層、ゲル様シートの温度(すなわち、延伸温度)は、重要ではない。一の形態において、延伸の間のゲル様シートの温度は、約(Tm+10℃)以下、または任意にTcdより高く、Tmより低い範囲とすることが出来る。ここで、Tmは、第1樹脂中のポリエチレンの溶融点Tmと第2樹脂中のポリエチレンの溶融点Tmのうち低い方の温度である。
【0136】
一般に使用される延伸は、比較的大きい孔サイズを有する、比較的高い機械的強度の多層、微多孔ポリオレフィン膜の生産をより容易にする。このような多層、微多孔膜は、特に電池セパレーターとしての使用に適すると信じられている。
【0137】
日本国特許第3,347,854号B2に記載されるように、延伸は任意に、厚さ方向(すなわち、多層、微多孔ポリオレフィン膜の平面にほぼ垂直な方向)に温度勾配がある状態で行われることが出来る。この場合において、延伸は、優れた機械的強度を有する多層、微多孔ポリオレフィン膜の生産をより容易にする。
【0138】
必要とはされないが、多層、ゲル様シートは、熱溶剤処理出来る。使用された場合、熱溶剤処理は、比較的厚い葉脈のような構造を有する(多層ゲル様シートの延伸により形成されるもののような)繊維を供給すると信じられている。この方法の詳細は、国際特許公開番号WO2000/20493に記載される。
【0139】
一の形態において、乾燥された多層、微多孔膜は、少なくとも単軸的に延伸されることが出来る。延伸方法の選択は重要ではなく、テンター法等のような、従来の延伸方法が使用されることが出来る。上述のように、多層ゲル様シートが延伸される場合、乾燥した多層、微多孔ポリオレフィン膜の延伸は、乾燥延伸(dry−stretching)、再延伸(re−stretching)、または乾燥延伸(dry−orientation)と呼ばれる。
【0140】
延伸の間の乾燥多層、微多孔膜の温度(「乾燥延伸温度」)は、重要ではない。一の形態において、乾燥延伸温度は、溶融点Tmと等しいかまたはそれ以下、例えば、およそ結晶分散温度Tcdからおよそ溶融点Tmの範囲である。一の形態において、乾燥延伸温度は、約90℃から約135℃または約95℃から約130℃の範囲である。
【0141】
乾燥延伸が使用される場合、延伸倍率は重要ではない。たとえば、多層、微多孔膜の延伸倍率は、少なくとも1の側(平面)方向で約1.1倍から約2.5倍または約1.1倍から約2.0倍の範囲とすることが出来る。
【0142】
一の形態において、乾燥された多層、微多孔膜は、熱溶剤処理出来る。一の形態において、熱処理は、熱固定及び/またはアニーリングを含む。熱固定が使用される場合、テンター法及び/またはローラー法のような従来の方法を用いて行われることが出来る。重要ではないが、熱固定の間の乾燥された多層、微多孔ポリオレフィン膜の温度(すなわち、「熱固定温度」)は、Tcdから約Tmの範囲とすることが出来る。
【0143】
多層、微多孔ポリオレフィン膜に加えられる負荷が無い加熱処理であるという点で、アニーリングは、熱固定と異なる。アニーリング法の選択は重要ではなく、たとえば、ベルトコンベアのある加熱チャンバーまたは空気浮上型加熱チャンバーを用いて行われることが出来る。あるいは、熱固定の後に、アニーリングはテンタークリップを緩めて行われることが出来る。アニーリングの間の多層、微多孔ポリオレフィン膜の温度は、およそ溶融点Tmかまたはそれ以下、約60℃から(Tm−10℃)の範囲、または約60℃から(Tm−5℃)の範囲とすることが出来る。
【0144】
一の形態において、多層、微多孔ポリオレフィン膜は、(例えば、a−線(3−線、7−線、電子ビーム等)のような電離放射線により)架橋結合されるか、または、親水性処理(すなわち、多層、微多孔ポリオレフィン膜をより親水性にする処理(例えば、モノマー・グラフト処理、界面活性剤処理、コロナ放電処理等))の対象とすることが出来る。
【0145】
2層及び3層の押出物の生産に関しての押出しが記載されてきたが、押出し工程は、それらに限られない。例えば、複数のダイス及び/または金型が、本明細書に開示される押出ダイス及び押出し方法の原則を用いた4層以上ある多重層押出物の生産に使用されることが出来る。
【0146】
優先権書類を含め本明細書中で引用した全ての特許、試験手順及びその他の文献は、その開示が本発明と矛盾しない程度において、かつ、その援用が許される全ての管轄区域について、全面的に参照により援用される。
【0147】
本願発明に係る具体的な実施態様が詳細に開示される一方、多様な他の修飾が当業者に明らかであり、それらは本願発明の趣旨及び範囲からそれることなく、当業者に容易に作られ得ることが理解される。従って、実施例及び本明細書で説明される記載により、付記される特許請求の範囲が制限されることを意図されず、むしろ、本特許請求の範囲は、本開示が属する分野における当業者に均等なものとして取り扱われるすべての特徴を含め、本明細書に備わる特許可能な新規なすべての特徴を包含すると解釈される。
【0148】
本明細書中に数値的下限及び数値的上限が列挙されている場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が企図される。
【実施例】
【0149】
本発明の実施態様の複数側面が、次の実施例に記載される。本発明は、例示された実施態様に限定されない。
【0150】
実施例1
ポリオレフィン樹脂を、以下のように乾燥混合した。すなわち、(i)1.9x10の重量平均分子量(Mw)及び5.09の分子量分布(Mw/Mnとして定義される「MWD」)を有し、質量で20%の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む、質量で99.625部のポリオレフィン(PO)組成物、(ii)7.5x10のMwと11.85のMWDを有し、質量で80%の高密度ポリエチレン(HDPE)、及び(iii)質量で0.375部の抗酸化剤としてのテトラキス(メチレン−3−(3,5−ジテルチアリ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸)メタンの乾燥混合である。
【0151】
40℃で50cStの粘度がある液体パラフィン溶媒の質量で30部を、押出機に導入した。液体パラフィンの総量に基づき、70重量%の液体パラフィンを、分散段階の第1流体注入口32で導入し、液体パラフィンの総量に基づき、30重量%の液体パラフィンを、第2混合段階の第2流体注入口33で導入した。押出機の各段階の温度は、すべて150℃から200℃の範囲であった。
【0152】
示差屈折率検出器(DRI)を装備した、高温分子サイズ排除クロマトグラフ(High Temperature Size Exclusion Chromatograph)、または「SEC」(GPC PL 220、ポリマー・ラボラトリーズ(Polymer Laboratories))を使用し、ポリエチレンのMw、Mn及びMWDを測定した。3つのPLgel Mixed−Bカラム(ポリマー・ラボラトリーズから入手可能)を使用した。公称流速は0.5cm/分であり、公称注入量は300μLであった。移送ライン、カラム、及び前記DRI検出器は、145℃に保たれるオーブンに入れた。「Macromolecules、Vol.34、No.19、6812−6820ページ(2001年)」で開示される手順に従って測定した。
【0153】
使用したGPC溶媒は、約1000ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む、ろ過されたアルドリッチ試薬グレードの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)である。TCBは、SECへの導入前に直結の脱気剤で脱気した。ポリマー溶液を、ガラス容器に乾燥ポリマーを置き、所望の量の上記TCB溶媒を加え、次に、160℃で混合物を約2時間連続攪拌しながら加熱し、調製した。UHMWPE溶液の濃度は、0.25から0.75mg/mlであった。GPCに注入する前に、モデルSP260 Sample Prep Station(ポリマー・ラボラトリーズから入手可能)を用いた2μmフィルターで試料液を個別にろ過した。
【0154】
カラムセットの分離効率は、検量線の生成に使用される、Mpで約580から約1000万の範囲の17の個々のポリスチレン標準を使用して生成された検量線で測定した。ポリスチレン標準は、ポリマー・ラボラトリーズ(アマースト、マサチューセッツ州)から入手した。検量線(logMp対保持容量)は、各PS標準で用いられるDRI信号のピークで保持容量を記録し、2段階多項式に当該データセットを合わせることにより生成した。ウェーブ・メトリックス・インク(Wave Metrics,Inc)から入手可能な、IGOR Proを使用し、試料を分析した。
【0155】
図3で示すようなスクリュー構成を有する共回転、二軸スクリュー押出機の注入口ホッパー24に質量で30部のポリエチレン組成物を入れ、組成物を押出し、ポリエチレン溶液を作成した。押出機は、東京(日本)の日本製鋼所から得られるModel TEX54二軸スクリュー押出機である。
【0156】
実施例2
図9の押出機が使用され、液体パラフィンの総量に基づき、55重量%の液体パラフィンを、分散段階の第1流体注入口で導入し、液体パラフィンの総量に基づき、45重量%の液体パラフィンを、第2混合段階の第2流体注入口で導入した以外、ポリエチレン溶液を、実施例1と同じ方法で生産した。
【0157】
実施例3
液体パラフィンの総量に基づき、90重量%の液体パラフィンを、分散段階の第1流体注入口で導入し、液体パラフィンの総量に基づき、10重量%の液体パラフィンを、第2混合段階の第2流体注入口で導入した以外、ポリエチレン溶液を、実施例1と同じ方法で生産した。
【0158】
比較例1
すべての液体パラフィンを、分散段階の第1流体注入口で導入した以外、ポリエチレン溶液を、実施例1と同じ方法で生産した。
【0159】
特性
実施例1−3及び比較例1のポリエチレン溶液の特性は、次の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0160】
(1)ポリエチレン溶液の押出速度(kg/h)
ポリエチレン溶液の押出速度は、二軸押出機から押出される時間あたりのポリエチレン溶液の量である。36秒につき押出されたポリエチレン溶液の重量を、5度測定し、平均化した。計量器は、Sartorius Corporationで製造された電子天秤である。
【0161】
(2)メルトインデックス(g/10分)
ASTM D1238に従い、ポリエチレン溶液のメルトインデックスを測定した。ポリマー及び溶媒が均質的に混合されないか、または、二軸スクリュー押出機内でのせん断応力のため、ポリマーが劣化している場合、メルトインデックスがより高い値になる可能性がある。
【表1】

【0162】
本発明の実施例は、安定したメルトインデックス及び均一な外観のあるポリエチレン溶液を提供しながら、高い押出速度を可能にしていることを表1は示している。一方で、比較例のポリエチレン溶液は、ポリエチレン溶液の押出速度が実施例1、2、及び3のものより低いにもかかわらず、上手く押出すことは出来なかった。
【0163】
多量の液体に分散した少量のポリマーを含む組成物を、均一に混合し、押出すことは非常に難しい。一般に、より均一な混合は、より低い押出速度を必要とする。本発明は、ある面においては、上記実施例1から3で例示して記載したような押出機が、希釈剤が押出機の分散相及び混合相にそれぞれ部分的にある場合に、望ましく高い押出速度で望ましく均一な混合を提供することが出来る発見に基づく。
【0164】
上述の方法で希釈剤を提供可能なこのような押出機を使用することで、より優れた膜特性、より安定性の高い製造作業、及びより高い生産性を提供することが出来る。
【0165】
開示される本発明は、以下の実施態様によりさらに例示されるが、限定はされない。
【0166】
1.ポリマー及び希釈剤を混ぜ合わせるための押出機であって、
(a)注入末端、流出末端、及びハウジング内に配置された少なくとも1の孔を有する細長いハウジング、
(b)前記少なくとも1の孔内に配置され、回転軸がある少なくとも1の細長い押出機シャフト、及び
(c)互いに固定角の関係で前記少なくとも1の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機段階が注入段階及び分散段階を含み、前記複数の押出機スクリュー区分が少なくとも1のフライトチップを有する複数の混練ディスクを含む少なくとも1の第1混練区分を含む前記分散段階を形成し、各々隣接するフライトチップが0°<θ<90°の角度θで進行的にオフセットする、前記複数の押出機スクリュー区分
を含む、前記押出機。
【0167】
2.前記混練ディスクの数が10より多く、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクと隣接する混練区分の最初の混練ディスクとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される、実施態様1の押出機。
【0168】
3.前記複数の押出機段階がさらに、第1混合段階、第2混合段階、及び流出段階を含む、実施態様1または2の押出機。
【0169】
4.前記少なくとも1の細長い押出機シャフトが、四角形、五角形、六角形または八辺形の断面または複数の波形で形成された周縁部で画定された断面を有する、実施態様1から3のいずれかの押出機。
【0170】
5.40°≦θ≦50°である、実施態様1から4のいずれかの押出機。
【0171】
6.前記少なくとも1の第1混練区分の前記混練ディスクの数が15より多い、実施態様1から5のいずれかの押出機。
【0172】
7.前記分散段階がさらに少なくとも1の第2混練区分を含み、前記少なくとも1の第2混練区分が5つの混練ディスクを含み、各々隣接するフライトチップが40°から50°の範囲の角度θで進行的にオフセットする、実施態様1から6のいずれかの押出機。
【0173】
8.前記分散段階がさらに少なくとも1の第2混練区分を含み、前記少なくとも1の第2混練区分が5つの混練ディスクを含み、各々隣接するフライトチップが約45°と等しい角度θで進行的にオフセットする、実施態様1から7のいずれかの押出機。
【0174】
9.ポリマー及び希釈剤を混ぜ合わせるための二軸押出機であって、
(a)注入末端、流出末端、押出機シャフト長L、及びハウジング内に配置された1対の交差する孔を有する細長いハウジング、
(b)各々に回転軸がある1対の細長い押出機シャフトであって、前記1対の交差する孔内に配置され、少なくとも1の回転方向で運転可能である、前記1対の細長い押出機シャフト、
(c)互いに固定角の関係で前記1対の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機段階が約3%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有する注入段階、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有する分散段階、約5%L≦Lm1≦約45%Lの長さLm1を有する第1混合段階、約0%L≦Lm2≦約50%Lの長さLm2を有する第2混合段階、及び約0%L≦Lo≦約40%Lの長さLoを有する流出段階を含む、前記複数の押出機スクリュー区分、
(d)細長いバレルの前記注入末端に隣接する材料注入口、及び
(e)溶媒を導入するための前記分散段階内に位置する第1流体注入口
を含む、前記二軸押出機。
【0175】
10.前記分散段階を形成する前記複数の押出機スクリュー区分が、少なくとも1のフライトチップを有する複数の混練ディスクを含む少なくとも1の第1混練区分を含み、各々隣接するフライトチップが0°<θ<90°の角度θで進行的にオフセットする、
実施態様9の二軸押出機。
【0176】
11.前記少なくとも1の第1混練区分の前記混練ディスクの数が10より多く、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクと隣接する混練区分の最初の混練ディスクとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される、実施態様9または10の二軸押出機。
【0177】
12.混練ディスクの数及び少なくとも1の第1混練区分の前記角度θは、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクと前記隣接する混練区分の最初の混練ディスクとの間のオフセット角が実質的に前記角度θと等しくなるように隣接する混練区分を設置することが可能となるように選択される、実施態様9から11のいずれかの二軸押出機。
【0178】
13.希釈剤の一部を導入するために前記第2混合段階内に位置する第2流体注入口をさらに含む、実施態様9から12のいずれかの二軸押出機。
【0179】
14.前記第2混合段階内に位置する第3流体注入口をさらに含む、実施態様13の二軸押出機。
【0180】
15.前記第3流体注入口が前記第2流体注入口の下流に位置する、実施態様14の二軸押出機。
【0181】
16.回転軸が実質的に平行であり、前記細長い押出機シャフトが、共回転または相互逆回転である、実施態様11から15のいずれかの二軸押出機。
【0182】
17.ポリマー及び希釈剤の混合物を押出す方法であって、
(a)注入段階においてポリマーを速度Pで配合し、配合したポリマーを押出機の分散段階に導く工程
(b)希釈剤の少なくとも一部を前記分散段階の配合されたポリマーに速度S1で添加し、ポリマー中に希釈剤を分散し、さらに分散された希釈剤を第1混合段階に導く工程であって、ポリマーよりも前記希釈剤の粘度が低い、前記工程、及び
(c)第1混合段階において、分散された前記希釈剤と配合された前記ポリマーを配合し、第3段階の生産物を生産する工程であって、前記第3段階の生産物は、(i)第1相における前記混合物、(ii)第1相から分離した第2相における前記希釈剤の一部、及び(iii)第1及び第2相から分離した第3相における前記ポリマーの一部を含む、前記工程、
を含み、
第1混合段階の混合エネルギーは、注入段階または分散段階のいずれかにおける混合エネルギーより大きい、前記方法。
【0183】
18.前記第1相がRの速度で生産され、Rは約0.9x(P+S1)かまたはそれ以上である、実施態様17の方法。
【0184】
19.前記希釈剤の少なくとも第2部分を第1混合段階及び/または第2混合段階の配合された前記ポリマーにS2の速度で添加し、希釈剤の前記第2部分を前記ポリマー中に分散する工程をさらに含み、S1/S2の重量比は、約51重量%/49重量%から約99重量%/1重量%の範囲である、実施態様17または18の方法。
【0185】
20.前記第2相が0.05xS1を超えない速度で生産される、実施態様17から19のいずれかの方法。
【0186】
21.前記第3相が0.05xPを超えない速度で生産される、実施態様17から20のいずれかの方法。
【0187】
22.第2領域から第1領域への希釈剤の反流の速度が、0.1xS1を超えない、実施態様17から21のいずれかの方法。
【0188】
23.(e)押出ダイスを通して混合物を押出す工程であって、前記押出ダイスが、ポリマー溶液の流れが押出される、穴付きダイスの流出口を含む、前記工程、及び
(f)押出物を冷却し、冷却押出物を形成する工程
をさらに含む、実施態様17から22のいずれかの方法。
【0189】
24.(g)冷却された押出物から希釈剤を除去し、希釈剤が除去された冷却押出物を形成する工程、
(h)前記希釈剤が除去された冷却押出物を乾燥し、微多孔膜を形成する工程、及び
(i)前記冷却押出物及び/または微多孔膜を延伸する工程
をさらに含む、実施態様17から23のいずれかの方法。
【0190】
25.前記押出機が、
(a)注入末端、流出末端、押出機シャフト長L、及びハウジング内に配置された1対の交差する孔を有する細長いハウジング、
(b)各々に回転軸がある1対の細長い押出機シャフトであって、前記1対の交差する孔内に配置され、少なくとも1の回転方向で運転可能である、前記1対の細長い押出機シャフト、
(c)互いに固定角の関係で前記1対の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機段階が約3%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有する注入段階、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有する分散段階、約5%L≦Lm1≦約45%Lの長さLm1を有する第1混合段階、約0%L≦Lm2≦約50%Lの長さLm2を有する第2混合段階、及び約0%L≦Lo≦約40%Lの長さLoを有する流出段階を含む、前記複数の押出機スクリュー区分、
(d)細長いバレルの前記注入末端に隣接する材料注入口、及び
(e)希釈剤の第1部分を導入するための前記分散段階内に位置する第1流体注入口であって、前記分散段階の注入口の初めから約50%Ldの長さの範囲内に位置する、前記第1流体注入口、及び
(f)希釈剤の第2部分を導入するための前記第2混合段階内に位置する第2流体注入口
を含む、二軸押出機である、実施態様17から24のいずれかの方法。
【0191】
26.実施態様17から25のいずれかの生産物。
【0192】
27.実施態様17から26のいずれかの方法で生産されたリチウムイオン電池のための電池セパレーターフィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混ぜ合わされたポリマーと希釈剤を含む押出物を生産するシステムであって、
第1押出手段、
第1押出手段の下流に位置し、第1押出手段と流体連通する第2押出手段、
第2押出手段の下流に位置し、第2押出手段と流体連通するポンプ輸送手段、
第2押出手段の流出物から任意の混ぜ合わされていないポリマーの少なくとも一部を除くための分離手段であって、第2押出手段の下流に位置し、第2押出手段と流体連通する前記分離手段、
分離手段の下流に位置し、分離手段と流体連通する混合手段、及び
混合手段の下流に位置し、混合手段と流体連通する少なくとも1のダイス
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記第2押出手段が、
(a)注入末端、流出末端、及びハウジング内に配置された少なくとも1の孔を有する細長いハウジング、
(b)前記少なくとも1の孔内に配置され、回転軸がある少なくとも1の細長い押出機シャフト、及び
(c)互いに固定角の関係で前記少なくとも1の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機段階が注入段階及び分散段階を含み、前記複数の押出機スクリュー区分が少なくとも1のフライトチップを有する複数の混練ディスクを含む少なくとも1の第1混練区分を含む前記分散段階を形成し、各々隣接するフライトチップが0°<θ<90°の角度θで進行的にオフセットする、前記複数の押出機スクリュー区分
を含む、第2押出機である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2押出機の前記混練ディスクの数が10より多く、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクと隣接する混練区分の最初の混練ディスクとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2押出機の前記複数の押出機段階が、第1混合段階、第2混合段階、及び流出段階をさらに含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2押出機の前記少なくとも1の細長い押出機シャフトが、四角形、五角形、六角形または八辺形の断面または複数の波形で形成された周縁部で画定された断面を有する、請求項2から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
第1押出手段が第1押出機であって、前記押出機が、
(a)注入末端、流出末端、押出機シャフト長L、及びハウジング内に配置された1対の交差する孔を有する細長いハウジング、
(b)各々に回転軸がある1対の細長い押出機シャフトであって、前記1対の交差する孔内に配置され、少なくとも1の回転方向で運転可能である、前記1対の細長い押出機シャフト、
(c)互いに固定角の関係で前記1対の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機段階が約3%L≦Li≦約30%Lの長さLiを有する注入段階、約10%L≦Ld≦約35%Lの長さLdを有する分散段階、約5%L≦Lm1≦約45%Lの長さLm1を有する第1混合段階、約0%L≦Lm2≦約50%Lの長さLm2を有する第2混合段階、及び約0%L≦Lo≦約40%Lの長さLoを有する流出段階を含む、前記複数の押出機スクリュー区分、
(d)細長いバレルの前記注入末端に隣接する材料注入口、及び
(e)希釈剤の一部を導入するための前記分散段階内に位置する第1流体注入口
を含む、請求項2から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
第1押出機において、前記分散段階を形成する前記複数の押出機スクリュー区分が、少なくとも1のフライトチップを有する複数の混練ディスクを含む少なくとも1の第1混練区分を含み、各々隣接するフライトチップが0°<θ<90°の角度θで進行的にオフセットする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第1押出機において、前記少なくとも1の第1混練区分の前記混練ディスクの数が10より多く、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクと隣接する混練区分の最初の混練ディスクとの間のオフセット角が約0°と等しくなるように選択される、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
第1押出機において、混練ディスクの数及び少なくとも1の第1混練区分の前記角度θは、前記少なくとも1の第1混練区分の最後の混練ディスクと前記隣接する混練区分の最初の混練ディスクとの間のオフセット角が実質的に前記角度θと等しくなるように隣接する混練区分を設置することが可能となるように選択される、請求項6から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
第1押出機が希釈剤を導入するために前記第2混合段階内に位置する第2流体注入口をさらに含み、第1押出機において、(i)回転軸が実質的に平行であり、(ii)前記細長い押出機シャフトが、共回転または相互逆回転である、請求項6から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
第1押出手段及び第2押出手段との間に第2ポンプ輸送手段をさらに含む、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
ポリマー押出物を生産する方法であって、
(a)第1押出機でポリマーと希釈剤を混ぜ合わせ、そこから混ぜ合わされたポリマーと希釈剤を含む流出物を移す工程
(b)第1押出機の流出物を、第2押出機に導く工程、
(c)第2押出機の流出物を、第1ポンプ輸送手段に導く工程、
(d)第1ポンプ輸送手段の流出物を、保持液と濾過液に分離する工程、
(e)濾過液にポリマー及び希釈剤を混合し、混合濾過液を提供する工程、及び
(f)前記混合濾過液を、少なくとも1のダイスを通して押出す工程、
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記保持液を前記工程から除く、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1押出機が二軸押出機であり、第2押出機が単軸押出機である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
第1ポンプ輸送手段の流出物を濾過し、第1ギアポンプから第2押出機に流出物を導き、濾過液を前記工程から除く工程をさらに含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記押出物が、20kg/時間以上の速度で生産される、請求項12から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
第1押出機及び第2押出機で混ぜ合わされたポリマー及び希釈剤が、150℃から250℃の範囲の温度に暴露される、請求項12から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーが1以上のポリオレフィンである、請求項12から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記希釈剤が液体パラフィンを含み、第1押出機の前記混ぜ合わされたポリマー及び希釈剤中の前記液体パラフィンの量が、ポリオレフィン及び液体パラフィンの重量に基づき、40重量%から90重量%の範囲である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1押出機からの流出物を第2ポンプ輸送手段に導き、第2ポンプ輸送手段の流出物を第2押出機に導く工程をさらに含む、請求項12から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第1ポンプ輸送手段が、ギアポンプである、請求項12から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
第2ポンプ輸送手段が、ギアポンプである、請求項12から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
請求項12から21のいずれかに記載の方法で生産された、微多孔フィルム。
【請求項24】
請求項12から21のいずれかに記載の方法で生産された、リチウムイオン電池のための電池セパレーターフィルム。
【請求項25】
ポリマー及び希釈剤を混ぜ合わせるための押出機であって、
(a)注入末端、流出末端、及びハウジング内に配置された少なくとも1の孔を有する細長いハウジング、
(b)前記少なくとも1の孔内に配置され、回転軸がある少なくとも1の細長い押出機シャフト、及び
(c)互いに固定角の関係で前記少なくとも1の細長い押出機シャフトに沿って位置する複数の押出機スクリュー区分であって、前記複数の押出機スクリュー区分が複数の押出機段階を形成するよう選択され、前記複数の押出機段階が注入段階及び分散段階を含み、前記複数の押出機スクリュー区分が少なくとも1のフライトチップを有する複数の混練ディスクを含む少なくとも1の第1混練区分を含む前記分散段階を形成し、各々隣接するフライトチップが0°<θ<90°の角度θで進行的にオフセットする、前記複数の押出機スクリュー区分
を含む、前記押出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−500368(P2011−500368A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529574(P2010−529574)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/JP2008/069382
【国際公開番号】WO2009/051278
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000221627)東燃化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】