説明

ポリマー及びシリコーンゴムを含む組成物

組成物で被覆、包装、含浸、積層、共押出、カレンダー掛け、または塗布させた基材を含むか、あるいはそれから生成された製品であって、基材が、プラスチック、紙、木材、コーティング、布地、金属、皮革、またはその2つ以上の組合せとすることができ、組成物が、有機ポリマー、シリコーンゴム、金属化合物、および場合によっては無機充填剤を含むか、あるいはそれから生成され得る製品を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ポリマー、シリコーンゴム、および金属化合物を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が関する技術分野の状態をより完全に記述するために、いくつかの特許および刊行物が本説明で引用されている。
【0003】
車両、および住居用にせよ商業用にせよ建築物の構築において様々な材料を使用することによって、多くの人的被害および経済的損失が防止されている。歴史的に見ると、新規材料の開発に多大な試みがなされてきた。具体的には、ポリマーは燃焼用の効率的な燃料である炭素質材料であり、またポリマーは多くの望ましい特性を有し、我々を取り巻く構造物および物体に含まれる数および量がますます増える可能性もあるので、ポリマーの耐炎性の改善が重要な目的であった。
【0004】
例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、耐火性のハロゲン化ポリマーの例である。理論上、ハロゲン化ポリマーは、燃焼されるとき、X基(式中、Xはハロゲンである)を生成するからである。X基は、プラズマ相においてHやOHなどのようなより反応性の高い基の反応を中止させる反応により、燃焼を遅くすると思われる。しかし、不利なことには、ハロゲン化ポリマーが燃焼すれば、燃焼生成物には、塩化水素、フッ化水素、ならびにハロゲン化された脂肪族および芳香族化合物などのような毒性および/または腐食性の物質が含まれる。
【0005】
また、例えば、添加剤を含まないシリコーンゴムは、空気中での燃焼に耐え、シリコーンゴムは、通常は燃焼中に滴ることはない。したがって、シリコーンゴムも、耐炎性をポリマーに付与するために使用される。
【0006】
クレーやタルクなどのような無機充填剤をポリマーに添加して、構造補強を行い、コストを削減することができる。充填剤は、通常ポリマーとの化学的相溶性によって選択される。しかし、いくつかの無機充填剤も、諸能力をもっていることで知られている。例えば、炭酸カルシウム(CaCO3)は、ポリマー組成物の成分として使用されている。例えば、欧州特許出願第0 333 514号明細書、同第0 393 959号明細書、および同第1 316 581号明細書を参照のこと。
【0007】
さらに、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、アルミナ三水和物(Al23・3H2O、「ATH」)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2、「MH」)など、いくつかの金属水酸化物および水和金属化合物も、ポリマー材料において難燃剤として使用されていることで知られている。有利なことには、ATHおよびMHの分解生成物は非毒性である。これらの金属化合物は、燃焼されると、吸熱分解して、金属酸化物および水を生じる。こうして生じたヒートシンクは、ポリマー体の温度を下げる。水によって、燃焼ガスは希釈され、したがって火炎に酸素が与えられない。最終的に、金属酸化物の分解生成物はポリマーの表面に絶縁層を形成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要約すれば、火災によって、生命および健康に重大な危険が多数生じ、建築物、車両、および社会基盤にも危害が及ぶ。したがって、効果的で、用途が広く、加工が容易で、経済的に魅力的な組成物が継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
組成物は、有機ポリマー、シリコーンゴム;金属水酸化物もしくは水和金属化合物、または両方である金属化合物、および場合によっては無機充填剤を含む。
【0010】
製品は、上記に開示する組成物をその上にまたはそれで塗布させた基材を含むか、あるいはそれから生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
使用に適切な有機ポリマーには、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリウレタンウレア、およびそのコポリマーを含めて、ポリウレタン;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコールおよびそのコポリマー;ポリプロピレングリコールおよびそのコポリマー;ポリオキシエチレンおよびそのコポリマー;ポリアクリル酸;ポリアクリルアミド;ポリエチレンやポリプロピレンなどのようなポリオレフィン;(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、CO、ビニルシラン、エポキシ含有(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステルからのコモノマーの少なくとも1つを有するエチレンコポリマー;エチレンアイオノマー、ポリテトラフルオロエチレンなどのようなハロゲン化ポリオレフィン;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリビニルアセテート、ポリ(エチレンテレフタレート);ポリエステル;ポリアミド;ポリウレア;ポリスチレン;スチレン−ブロックコポリマー;ポリメチルメタクリレート;アクリル−ブタジエン−スチレンコポリマー;天然および合成ゴム;アクリロニトリルゴム;その2つ以上の混合物のそのコポリマーなどが含まれるが、これらに限定されることがない。
【0012】
好ましい有機ポリマーには、エチレンコポリマーが含まれる。好ましいエチレンコポリマーには、9〜25重量パーセントのアクリル酸またはメタクリル酸、および場合によっては40重量パーセントまでの、アルキル基が1〜8個の炭素原子を有するアルキルアクリレートまたはメタクリレートおよびその対応するアイオノマーを有するエチレン/カルボン酸コポリマー、ならびに(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、CO、エポキシ含有(メタ)アクリレート、ビニルシラン、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステルからからのコモノマーの少なくとも1つを有するエチレンコポリマーなどが含まれる。アクリル酸およびアクリレートがより好ましい。ブチル、エチル、および/またはメチル基を含むアルキル基も、より好ましい。さらにより好ましくは、アルキル基はブチル基を含む。
【0013】
ポリマーまたはコポリマーの調製方法は、当技術分野で周知である。例えば、酸コポリマーは、米国特許第4,351,931号明細書、米国特許第5,028,674号明細書、および米国特許第4,248,990号明細書に開示される方法で調製することができる。
【0014】
本発明での使用に好ましいエチレンコポリマーのいくつかは、市販されている。これらには、Elvaloy(登録商標)AC4170、AC3717、AC3108、AC1125、AC2715、AC3427などのようなElvaloy(登録商標)ACポリマー、Elvaloy(登録商標)AM−L、Elvaloy(登録商標)741、Elvaloy(登録商標)HP551;Elvaloy(登録商標)4051、Elvaloy(登録商標)AS、Elvax(登録商標)3174、Elvax(登録商標)3170、Elvax(登録商標)3180、Nucrel(登録商標)925、Surlyn(登録商標)8527、Surlyn(登録商標)8940、Surlyn(登録商標)8020、Surlyn(登録商標)8120などが含まれ、すべてWilmington, DelawareのE.I.du Pont de Nemours&Co.(DuPont)から入手可能である。
【0015】
好ましくは、組成物は、組成物の重量に対して、約70重量%まで、または0.001〜約70重量%、または約10重量%〜約60重量%、または約20重量%〜約45重量%の有限量の有機ポリマーを含む。
【0016】
シリコーンゴムには、シリコーンゴム(silicone gum rubber)、シリコーン油、シロキサン、およびポリシロキサンなど、ケイ素を含有するエラストマーおよび非エラストマー化合物が含まれ得る。適切なシリコーンゴムは、シリコーン樹脂、ゴム、または流体とすることができ、R3SiO0.5、R2SiO、RSiO1.5、RR1SiO、SiO2、およびその組合せからなる群から選択された、化学的に組み合わせたシロキシ単位を含む有機シロキサン化合物には含まれ得る。RおよびR1は独立的に、1価の飽和もしくは不飽和炭化水素、水素、ヒドロキシル、アルコキシ、アリール、ビニル、またはアリルからなる群から選択された基を表す。
【0017】
例えば、メトキシを末端とするポリアルキルシロキサン、およびヒドロキシを末端とするポリジメチルシロキサンを使用することができる。ポリオルガノシロキサンの例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロゲンシロキサン、ポリシルセスキオキサン、ポリトリメチルシロキサン、ポリジメチルシクロシロキサン、およびその2つ以上の組合せが挙げられる。シリコーン樹脂はそれぞれ、ハライド、アミン、ヒドロキシ、エポキシ、カルビノール、カルボキシラート、アセトキシ、アルコキシ、アクリレート、およびその2つ以上の組合せなどのような官能基も含有することができる。分子量は、約500〜約1,000,000の範囲とすることができる。
【0018】
シリコーンゴムは、ポリマーである場合、例えばエチレン、またはビニル基を含むコモノマーなど、ケイ素を含まない1つまたは複数のコモノマーのコポリマーとすることができる。
【0019】
シリコーンゴムは、場合によっては50重量%までの1つまたは複数のシリカ充填剤を含有することができる。シリコーンゴムを独立に、さらには場合によっては、90重量%までの1つまたは複数の担体または結合剤樹脂とブレンドして、ペレットの形で取扱いを容易にすることができる。
【0020】
好ましくは、シリコーンゴムの粘度は、25℃において約600〜約300×105センチポアズである。
【0021】
特に好ましいシリコーンゴムには、市販ベースで広く利用可能なポリジメチルシロキサン、およびエチレンとビニルジメチルシロキサンとのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明での使用に好ましいシリコーンゴムのいくつかは、市販されている。これらには、例えば担体の低密度ポリエチレン中50%のシリコーンゴムを含む、Midland, MIのDow Corning Corporationから入手可能なMB50−002マスターバッチ材料が含まれる。また、これらは、Fairfield, ConnecticutのGeneral Electricからも入手可能である。
【0023】
好ましくは、組成物は、組成物の重量に対して、約60重量%までの有限量のシリコーンゴムを含む。より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の重量に対して、約1から約50%まで、または約40%まで、または約30重量%までのシリコーンゴムを含む。より好ましくは、組成物は、約2重量%〜約25重量%のシリコーンゴムを含む。シリコーンゴムが組成物の全重量に対して4重量%より多いレベルで存在する組成物が有名である。
【0024】
本発明の組成物は、1つまたは複数の金属化合物も含む。適切な金属化合物には、空気、水、本発明の組成物の他の成分;および本発明の組成物を作製するための加工条件に対して安定な任意の金属化合物が含まれるが、これらに限定されることがない。組成物中に2つの金属化合物が存在する場合、2つの金属化合物の一方は無機充填剤とすることができ、2つの金属化合物の他方は、金属水酸化物、または金属酸化物などのような水和金属化合物とすることができる。
【0025】
適切な無機充填剤には、正長石、微斜長石、灰長石、および曹長石を含めて、長石;カオリンを含めて、クレー;タルク;シリカ;アルミナ;石膏;ゼオライトを含めて、アルミノケイ酸塩;金属炭酸塩;金属硫酸塩;セラミック微小球;雲母;霞石閃長岩などの1種またはそれ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
好ましい無機充填剤は、金属炭酸塩からなる群から選択され、例えばマグネシウム、カルシウム、および亜鉛など、2価の金属イオンの炭酸塩がより好ましい。炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムがさらにより好ましい。
【0027】
本明細書では、用語「金属水酸化物または水和金属化合物」は、水和または無水の金属水酸化物、水和または無水の金属オキシヒドリド、および水和金属酸化物を包含する。さらに、「金属水酸化物または水和金属酸化物」は、単独の金属化合物または2つ以上の金属化合物の組合せを示すことができる。適切な金属水酸化物および水和金属酸化物には、周期表の第2族から第15族(両端の族を含む)に含まれる金属の1つまたは複数の水酸化物または水和酸化物が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
好ましい金属化合物には、例えば酸化アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、およびホウ酸など、1つまたは複数の2価または3価の金属イオン、あるいは酸化アルミニウムの水和物が含まれるが、これらに限定されない。より好ましい水和金属酸化物には、アルミナ三水和物が含まれる。
【0029】
上記に記載する市販グレードの無機充填剤および金属水酸化物、または水和金属酸化物は、その粒径分布が組成物の他の成分との加工に適していることを条件として、どれも本発明での使用に適している。
【0030】
市販の好ましい無機充填剤には、Bethlehem, PAのSpecialty Minerals, Inc.から入手可能なAlbaglos(商標)(0.7ミクロン CaCO3)などが含まれる。
【0031】
市販の好ましい金属水酸化物には、Breitenau am Hochlantsch, AustriaのMagnesiaprodukte GmbH & Co. KGから入手可能なMAGNIFIN(商標)H−10、およびRaleigh, NCのMartin Marietta Magnesia Specialtiesから入手可能なMagShield(商標)Sなどが含まれる。
【0032】
本発明の組成物は、組成物の重量に対して、約30重量%〜約80重量%、または約40重量%〜約70重量%、または約45重量%〜約65重量%の金属化合物を含むことができる。
【0033】
金属化合物の一方が無機充填剤であり、金属化合物の他方が金属水酸化物または水和金属酸化物である場合、有限量(または「有限値」、0でない量)の無機充填剤が存在することが好ましい。
【0034】
無機充填剤の重量と金属水酸化物または水和金属酸化物の重量の比が、90:10;80:20;70:30;60:40;50:50;40:60;30:70;20:80;10:90;および5:95未満で与えられた順序で好適さが高まる本発明の組成物が特に有名である。
【0035】
無機充填剤と金属化合物の重量比を約0.001:1〜約1:1の範囲とすることができる。あるいは、比を約5:95もしくは0.05:1〜約1:1、または約0.1;1〜約1:1、または約0.1:1〜約1:2の範囲とすることができる。
【0036】
あるいは、無機充填剤と金属化合物の総合重量に対して、無機充填剤は、30重量%まで、あるいは5〜30重量%の有限量で存在することができ、金属化合物は、70重量%〜100重量%、あるいは70〜95重量%の量で存在することができる。
【0037】
場合によっては、組成物は、無水物でも水和物でもよい、1つまたは複数の追加の金属酸化物も含む。適切な追加の金属酸化物には、元素周期表の第2族から第15族から選択された任意の元素の酸化物が含まれるが、これらに限定されない(CRC Handbook of Chemistry and Physics,第67版、1986, CRC Press, Boca Raton, Florida)。ただし、追加の金属酸化物が、空気、水、本発明の組成物の他の成分;および本発明の組成物を作製するための加工条件に対して安定であることを条件とする。追加の1つまたは複数の金属酸化物の好ましい例としては、酸化鉄(Fe23など)および二酸化チタン(TiO2)が挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくは、追加の1つまたは複数の金属酸化物は、二酸化チタンを含む。
【0038】
市販グレードの追加の1つまたは複数の金属酸化物はどれも、使用に適しており、その粒径分布が組成物の他の成分との加工に適していることが好ましい。好ましくは、組成物は、追加の1つまたは複数の金属酸化物を組成物の重量に対して約10重量%未満しか含まない。より好ましくは、組成物は、追加の1つまたは複数の金属酸化物を組成物の重量に対して約5重量%未満しか含まない。さらにより好ましくは、組成物は、追加の1つまたは複数の金属酸化物を組成物の重量に対して約3重量%未満しか含まない。
【0039】
組成物は、少量(例えば、0.001重量%以上)の金属ステアリン酸塩、好ましくはステアリン酸マグネシウムも含むことができる。好ましくは、本発明の組成物は、金属ステアリン酸塩を組成物の重量に対して約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満しか含まない。
【0040】
組成物は、材料で一般的に使用されるような添加剤も含むことができる。これらの添加剤には、可塑剤、処理助剤、カップリング剤、相容化剤、顔料、着色剤、チョップトファイバー、カラークランキーなどが含まれる。これらの添加剤適切なレベル、およびこれらの添加剤をポリマー組成物に組み込む方法は、当業者に周知である。例えば、「Modern Plastics Encyclopedia」、McGraw−Hill, New York, NY 1995を参照のこと。
【0041】
組成物は、限界酸素指数(LOI)値が約21超、好ましくは35超、または40超である。LOIは、試験材料の燃焼を支援する酸素および窒素の流動混合物中の酸素の最小百分率の尺度である。
【0042】
組成物を形成するために、個々の成分は、当技術分野で周知の任意の適切な手段でブレンドすることができる。ブレンドするプロセスは、バッチプロセスでも連続プロセスでもよい。例えば、個々の材料をお互いと、押出機中で溶融混合することによってなど、溶融した形のポリマー中で混合することができる。あるいは、個々の材料をお互いと、2本ロールミルやバンバリーミキサーなどの高せん断混合装置でブレンドすることができる。
【0043】
また、本願明細書に開示する組成物をその上にまたはそれで被覆、包装、含浸、積層、共押出、カレンダー掛け、塗布させた基材を含むか、あるいはそれから生成された製品も提供される。基材は、発泡体、プラスチック、金属(具体的には、アルミニウム)、布地、紙、タイル、木材、コーティング、ファイバー、皮革、またはその2つ以上の組合せとすることができる。これらの基材を使用して、広範囲の製品または材料を作製することができ、床材、天井材、壁パネル、建築パネル、構築物、コーティング、家具(座席設備、机、キャビネット、玩具、ならびに装飾体、マットおよびカーペットなどを含めて、建築物の調度品)、指物細工、容器、および装飾品が含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
当技術分野で周知である方法に従って、製品を耐炎性または難燃性にすることができる。例えば、組成物の成分を押出機で混合した後、組成物は、射出成形、流延、溶融押出、フラットダイ押出、積層、カレンダー掛け、プロトルージョン、または所望の形状を作り出す他の任意の技法で造形することができる溶融物である。押出、冷延伸など、当技術分野で周知の方法で、組成物をファイバーおよびフィラメントに形成することもできる。例えば、米国特許第2,418,492号明細書を参照のこと。固化した場合には、グラインディング、ミリング、カービングなどで組成物を造形することができる。本明細書に開示する製品はすべて、本発明の組成物を、1つまたは複数のブレンドされた材料、分散された材料、コーティング、層、固定された製品、または固定された製品の要素として含むことができる。
【0045】
用語「難燃性」は、「耐燃焼性」および「耐火性」と同義であり、空気中での発火または燃焼に抵抗する特性を指す。従来の材料に比べた場合に材料の引火性が低下するものはどれも、「難燃性」の定義に包含される。
【0046】
組成物は、単独で使用することができ、または他の材料と組み合わせて、耐炎性製品を形成することができる。該組成物で、従来の製品の引火性材料の一部分を置換さえすると、製品の耐炎性を向上させるものと予想される。
【0047】
組合せは、他の材料と組み合わせる場合、ポリマーブレンドなどの均一な混合物、または分散液などの不均一な混合物とすることができる。例えば、組成物を粒子に形成し、その完全性を維持する粒子として別のポリマー材料に組み込むことができる。本発明による組合せは、積層された構造物またはオーバーモールドされた構造物を含むことができる。組合せは、2つ以上の物体を永久にまたは可逆に固定することによって形成することもでき、その物体の少なくとも1つは本願明細書に開示する組成物を含むものである。
【0048】
好ましくは、組成物を発泡体に含めることができる。発泡体を画成する空隙を生成する方法の一例では、本発明の組成物を発泡剤と組み合わせ、次いで加熱して、発泡剤を分解または揮発させることができる。
【0049】
組成物が含まれる発泡体を、いくつかの製品で使用するのに適切な剛性を発現するために必要な程度に架橋できることが好ましい。架橋は、例えば有機ポリマーと過酸化物などの架橋剤、シラン含有ポリマーとの反応、照射処理などによって実施することができる。
【0050】
発泡体は、有用な形態をもたらし、耐炎性製品の多くは、組成物を発泡体として含むことができる。絶縁材、家具用の緩衝材、および床材用の緩衝材層などが有名である。
【0051】
本明細書に開示する組成物を使用して、構築物材料、またはワイヤーおよびケーブル応用例を作製することができる。ワイヤーおよびケーブルは、金属、ガラス、半導体、ポリマーなどであるがこれらに限定されない任意のタイプの導体を介した音声、データ、画像、または約1ミリボルトから約数百キロボルトの電力の伝送を可能にし、または改善するポリマー製品の任意の使用または適用を指す。本願明細書に開示する製品および方法は、構築物材料として、ワイヤーおよびケーブル応用例で、または異なる文脈で使用されようと、本発明の範囲内である。構築物材料は、住居用にせよ商業用にせよ建築物;自動車、バス、トラック、航空機、電車、および船舶などの車両;ならびに道路、トンネル、および橋梁などの社会基盤の構造物に含まれる任意の物体または材料を指す。
【0052】
本明細書に開示する組成物から少なくとも部分的に製造することによって耐炎性を増大することができる適切な構築物材料の例としては、床材、屋根材、天井材、壁および建築パネル、断絶体、導管;取付け具、梁、および窓枠などの木製品、パイプなどのプラスチック製品、ならびに装飾要素または層が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
適切なワイヤーおよびケーブル応用例としては、例えば絶縁材、遮蔽材、下地材、外被材、鎧装材、または任意のタイプのコーティング、およびチューブ、溝付き鉄心、緩衝剤、テープ、導管、コネクタ、およびハウジングなど、特有のケーブル構造要素が挙げられる。ワイヤーおよびケーブル応用例は、固定または移動、硬質または軟質、空中、地上または地下、海中を含めて水中、屋内または屋外の設備の一部分、および任意のタイプの車両、例えば地上または地下、航空、宇宙、水上、または海中を含めて水中の輸送機関の一部分とすることができる。
【0054】
パイプ、ファンカバー、および床マットなどのプラスチック製品は、組成物から作製することができ、プラスチック製品を形成するための当技術分野で周知の手段で形成することができる。
【0055】
合板およびパーティクルボードを含めて、木製品を、本発明の組成物で被覆、包装、積層、または含浸することによって耐炎性にすることができる。あるいは、例えば合板の1層または複数の層、または木材チップの一部分、および/またはパーティクルボードの結合剤など、木製品の1つまたは複数の要素を、本発明の組成物で置換することができる。
【0056】
組成物は、壁に含めて使用することができる。通常、壁は、木材もしくは金属支持構造物を用いて、合板、パーティクルボード、乾式壁、または建築パネルから構築される。本明細書に開示する組成物および方法を使用して、合板およびパーティクルボードの耐炎性を向上することができる。
【0057】
乾式壁は、通常紙またはボール紙の2つの外層でカバーされる、漆喰または石膏のコア層を含む。乾式壁のコアと外層の1つまたは複数との間に接着剤層を配置することができる。
【0058】
商業用および住居用建築物における一般的なエクステリア用およびインテリア用の装飾構築物材料である建築パネルは、一般にコア層が板金、通常はアルミニウムの2つの外層でカバーされて構築される。建築パネルは、経済的に有利な製造コスト、曲がった構造物へのパネルの組込みを可能にする柔軟性、ならびに金属外層で実現することができる様々な望ましい着色および仕上げ効果を含めて、多くの利点を設計者および建築家にもたらす。建築パネルのコアと外層の1つまたは複数との間に接着剤層を配置することができる。
【0059】
組成物を乾式壁または建築パネルのコアまたはコアシートに含めることができる。好ましくは、組成物は発泡体として存在する。乾式壁シートまたは建築パネルに、組成物を1つまたは複数のブレンドされた材料、分散された材料、コーティング、層、固定された製品、または固定された製品の要素として含めることもできる。
【0060】
組成物を、天井タイルを含めて天井材に含めることができる。天井材は、合板、パーティクルボード、乾式壁、または建築パネルで作製することができる。本明細書に開示する組成物および方法を使用して、乾式壁、合板、パーティクルボード、および建築パネルの耐炎性を向上することができる。天井タイルは、通常は結合剤で接着された圧縮ファイバーで作製され、タイル全体に積層または被覆された化粧表面層も含むことができる。組成物は、天井タイルで使用される場合、コーティングとして、またはファイバー、結合剤、およびコーティングの1つもしくは複数の組合せで、ファイバーの少なくとも一部分、結合剤の少なくとも一部分に含め、あるいはその代わりに使用することができる。
【0061】
シートやこけら板などの屋根材料は、本発明の組成物を含むことができる。組成物をタール、アスファルト、または屋根材料を防水処理するために通常使用される別の材料に含め、あるいはその代わりに使用することができる。本発明の組成物を、屋根材料に装飾顆粒を接着させるために使用される材料に含め、またはその代わりに使用することもできる。装飾顆粒は、本発明の組成物を含むこともできる。
【0062】
本発明の組成物を、絶縁材料には通常の形態である発泡体またはファイバーに造形することができる。あるいは、本発明の組成物を、別の絶縁材料と混合し、または別の絶縁材料の代わりに部分的に使用して、その耐炎性を向上させることができる。
【0063】
床材は、軟質なシートの形にせよ、より硬質なタイルの形にせよ、単層であり、あるいは接着剤層、床材完全性を促進するコア層、緩衝層、および好ましくは歩行者交通による磨耗に耐えるようにし、装飾的な特徴も有することができる表面層など、複数の層を積層または共押出することによって作製される。好ましくは、耐炎性床材は、床タイルの裏層など、本発明の組成物を含む少なくとも1層を含む。耐炎性層を床材の追加の層として含むことができる。あるいは、例えば発泡体緩衝層など、従来の床材層の1つが本発明の組成物を含むようにすることによって、耐炎性層を得ることができる。
【0064】
開示する製品は、例えば床材、壁パネル、または建築パネルを含めて、本願明細書に開示する用途で使用することができる。製品は、木材、プラスチック、接着剤、金属、布地(例えば、ガラス、織物、不織布)、印刷用紙、透明表面シート、またはフィルムを含むか、あるいはそれから生成された1層または複数の層を含むことができる。1層または複数の層は、本願明細書に開示する組成物を場合によっては含む。
【0065】
組成物を含むコーティングを、溶融物として、または組成物のポリマーおよび/もしくはシリコーンゴム成分を溶解する溶媒中の懸濁液として塗布することができる。あるいは、コーティングは、粉体コーティング、または例えばスチール構造物への塗布に適した他の工業用コーティングとすることができる。
【0066】
あるいは、水系塗料およびコーティングと類似している溶媒および/または可塑剤の混合物に、組成物を分散することができる。通常は、水系塗料またはコーティングは、フィルム形成性ラテックスポリマー、比較的低温で沸騰する溶媒(例えば、水)、および比較的高温で沸騰する少なくとも1つの溶媒(例えば、ブチルカルビトール)を含み、溶媒および/または可塑剤として働き、ラテックスポリマーの離散粒子から被膜の形成を促進する。
【0067】
組成物を、例えばグラインディングなど、当技術分野で周知の任意の手段で、水系塗料またはコーティングでの使用に適した小粒径にすることができる。小粒子を、水、および第2の、例えばより高い沸点の溶媒、および/またはフタル酸ジオクチル、脂肪酸、または脂肪酸塩などの可塑剤の混合物中で懸濁して、耐炎性コーティングを生成させることができる。あるいは、従来の水系または溶媒系のコーティング中のフィルム形成性ポリマーの一部または全部を、本発明の組成物で置換し、耐炎性コーティングを得ることもできる。
【0068】
塗料およびコーティングで通常使用される添加剤も、本発明のコーティングに有用である場合がある。これらの添加剤の適切なレベル、および添加剤をポリマー組成物に組み込む方法は、当業者に周知である。例えば、「Paint Flow and Pigment Dispersion」Temple C. Patton著(第2版、John Wiley & Sons, 1979)を参照のこと。
【0069】
本発明のコーティングで少なくとも部分被覆することによって、耐炎性にすることができる製品には、任意の引火性材料で作製された製品が含まれる。引火性材料の例としては、木材、プラスチック、布地、皮革、紙、ボール紙などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
組成物を含み、実質的にそれからなり、それからなり、またはそれから生成された床タイルまたはシートも開示する。組成物は、上記に開示するものと同じものとすることができる。
【0071】
下記の実施例は、本発明をさらに詳述するためのものである。これらの実施例は、本発明を実施するのに現在考えられている好ましい態様を記述しており、本発明を例示するためのものであって、限定するものではない。
【実施例】
【0072】
本願明細書に報告するメルトインデックス(MI)値は、別段の注記のない限り、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従って測定した。水平垂直燃焼試験のため、本願明細書で従うUL−94プロトコルは、別段の注記のない限り、Underwriters’ Laboratories, Inc., of Northbrook, ILから入手可能である。本願明細書のLOI値は、ASTM D2863に従って測定した。
【0073】
下記の表1に列挙する各組成物において、ポリマーは、重量比83/17のエチレンとブチルアクリレートのコポリマーである。シリコーンゴムは、Dow Corningから入手可能なMB50−002マスターバッチ材料であり、低密度ポリエチレンの担体中50%のシリコーンゴムが含まれる。炭酸カルシウムは、Bethlehem, PAのSpecialty Minerals, Inc.から入手可能なAlbaglos(商標)(0.7ミクロン)である。水酸化マグネシウムは、Breitenau am Hochlantsch, AustriaのMagnesiaprodukte GmbH & Co. KGから入手可能なMAGNIFIN(商標)H−10、または, available from Raleigh, NCのMartin Marietta Magnesia Specialtiesから入手可能なMagShield(商標)Sである。
【0074】
30mmの二軸押出機に、材料を計量して加えた。個々の材料のそれぞれのフィード速度は、化合物中のその材料の最終濃度に比例した。次いで、化合物を試験片に成形して、上記に記載する標準的手順に従って各組成物の限界酸素指数を測定した。下記の表1に、結果をまとめる。
【0075】
表1−組成物および試験結果*

*ポリマー、シリコーンマスターバッチ、CaCO3、およびMg(OH)2について示す値は、重量%である。N/Aは、「取得不可」を意味する。
【0076】
実施例1〜9の組成物から得られた結果から、水酸化マグネシウムを含む組成物は、炭酸カルシウムを含むが、水酸化マグネシウムを含まない組成物の比較例C1のLOI値より有意に高いLOI値を示すことが実証される。さらに、実施例C1、1および2の比較から、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとを含む組成物は、炭酸カルシウムかまたは水酸化マグネシウムを単独で含む組成物により得られるものより高いLOIを示すが実証される。
【0077】
さらに試験した際、実施例4の組成物は、UL−94プロトコルに従って、V−1〜V−0の評価を獲得した。大部分はおそらく水平燃焼試験をパスする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を被覆、包装、含浸、積層、共押出、カレンダー掛け、または塗布させた基材を含むか、あるいはそれから生成される製品であって、
基材が、プラスチック、金属、布地、紙、木材、皮革、またはその2つ以上の組合せであり、
組成物が、有機ポリマー、シリコーンゴム、金属化合物、および無機充填剤を含み、
金属化合物が、金属水酸化物もしくは水和金属化合物、または両方であり、
有機ポリマーが、好ましくはエチレンコポリマーまたはそのアイオノマーを含む、製品。
【請求項2】
エチレンコポリマーまたはそのアイオノマーが、9〜25重量パーセントのアクリル酸またはメタクリル酸、および場合によっては40重量パーセントまでのC1-8アルキルアクリレートまたはメタクリレートを有するエチレン/カルボン酸コポリマーまたはそのアイオノマーを含み、
エチレンコポリマーまたはそのアイオノマーが、好ましくは(1)エチレン、および(2)(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、一酸化炭素、エポキシ含有(メタ)アクリレート、ビニルシラン、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、またはその2つ以上の組合せを含むか、あるいはそれに由来する、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
エチレンコポリマーまたはそのアイオノマーが、アクリル酸、またはそのエステルもしくは塩、メタクリル酸、またはそのエステルもしくは塩、またはその2つ以上の組合せを含むか、あるいはそれに由来し、
無機充填剤が、少なくとも1つの長石、クレー、タルク、シリカ、アルミナ、石膏、アルミノケイ酸塩、金属炭酸塩、金属硫酸塩、セラミック微小球、雲母、または霞石閃長岩を含む、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
無機充填剤が、少なくとも1つの金属炭酸塩、好ましくは炭酸カルシウムを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
金属化合物が、2価および3価の金属イオンの1つまたは複数の水酸化物、オキシ水酸化物、および水和酸化物、好ましくは水酸化アルミニウム、水和アルミナ、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、ホウ酸、またはその2つ以上の組合せである、請求項1、2、3、または4に記載の組成物。
【請求項6】
金属化合物が、水酸化マグネシウムまたはアルミナ三水和物を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
エチレンコポリマーまたはそのアイオノマーが、エチレン、およびアクリル酸、またはそのエステルもしくは塩、メタクリル酸、またはそのエステルもしくは塩、あるいはその2つ以上の組合せを含むか、あるいはそれに由来し、
金属化合物が、水酸化マグネシウムまたはアルミナ三水和物を含み、
無機充填剤と金属化合物の重量比が約5:95〜約1:1の範囲であり、
無機充填剤が、好ましくは炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項8】
基材が、木材、紙、または金属であり、
製品が、床材、天井材、屋根材、壁パネル、建築パネル、絶縁材、導管、取付け具、梁、フレーム、または装飾要素を含めた用途で使用され、
金属が、好ましくはアルミニウムである、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の製品。
【請求項9】
基材がプラスチックであり、
製品が、床材、天井材、屋根材、壁パネル、建築パネル、絶縁材、導管、取付け具、梁、フレーム、ファイバー、または装飾要素を含めた用途、好ましくは床材、壁パネル、または建築パネルを含めた用途で使用され、木材、プラスチック、接着剤、布地、またはフィルムを含む1層または複数の層を場合によっては含み、
層が、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の組成物を場合によっては含む、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の製品。
【請求項10】
基材が木材であり、
製品が、床材、壁パネル、または建築パネルを含めた用途で使用され、木材、プラスチック、接着剤、布地、またはフィルムを含む1層または複数の層を場合によっては含み、
層が、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の組成物を場合によっては含む、請求項8に記載の製品。
【請求項11】
基材がアルミニウムであり、
製品が、壁パネルまたは建築パネルを含めた用途で使用され、接着剤、フィルム、またはアルミニウムの1層または複数の層を場合によっては含み、
層が、請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の組成物を場合によっては含む、請求項8に記載の製品。
【請求項12】
プラスチックが床材用途で使用され、
製品が1層または複数の層を含む、請求項9に記載の製品。
【請求項13】
床タイルまたはシートであって、
請求項1、2、3、4、5、6、または7に記載の組成物を含むか、あるいはそれから生成される、床タイルまたはシート。

【公表番号】特表2008−517144(P2008−517144A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537968(P2007−537968)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/037396
【国際公開番号】WO2006/044873
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】