説明

ポリリン酸および架橋性ポリマーの添加による、改良されたビチューメンの製造方法

アスファルト道路舗装に使用する、改良された性質を備えたビチューメン生成物の製造方法を提示する。望ましい実施の形態では、加熱したビチューメンにポリリン酸を加えて一定時間撹拌する。ポリリン酸を加えた後、1つ以上の硫黄架橋性エラストマーと1つ以上の硫黄供与性カップリング剤とを加熱ビチューメンに加えて混合する。また、ポリリン酸と硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤とを別量のビチューメンに加え、使用前にビチューメンを混ぜ合わせて、所望の特性を持つ最終ビチューメン生成物としても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、合衆国法第35巻119条(e)により、その内容を全て本件に引用して援用する、2006年5月31日出願の米国仮出願第60/809,592号、標題“Method for Preparing an Improved Bitumen by Addition of Polyphosphoric Acid and a Cross-Linkable Polymer”に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ビチューメンにポリリン酸(PPA)を加えた後、ポリマーと架橋剤とを加える、改良されたビチューメンバインダの製造方法に関する。本発明は更に、この改良されたビチューメンバインダの、路面処理(すなわち、舗装)、被覆、またはその他の用途への応用に関する。本発明のビチューメンバインダは優れた性質を示す。例えば、本ビチューメンバインダは、添加剤を用いずに、または他の方法で製造したビチューメンに比べて広い可塑性範囲を備えている。
【背景技術】
【0003】
ビチューメンは、道路やその他の表面の舗装に用いられるアスファルトのバインダ材料としてしばしば使用される。本発明の組成物および製造法に用いられるビチューメンの例としては、天然ビチューメン、パイライト瀝青、人工ビチューメンが挙げられる。特に望ましいビチューメンは、アスファルトやマルサなど、車道に用いられるものである。アスファルト舗装材料は、アスファルトバインダと骨材とを混合して作る。
【0004】
ビチューメンを含むアスファルトバインダはしばしば、環境条件が大きく変化する用途、特に舗道に用いられる。従って、高温および低温条件におけるアスファルトバインダの性質は関心を集めるところである。低温において、バインダ材料が脆くなり、熱応力によって長い横裂を生じることがある。高温では、アスファルトバインダが流動的になり(すなわち、粘度が低下し)、路面を通過する車両によって舗道に轍ができてしまう。舗装において、疲労や衝撃に強く、アスファルトバインダと骨材との接着性が良いことは、具体的なバインダの性質であり、また、特定の用途においては考慮されなければならない。例えば、アスファルト舗装混合物を、交通量が多く、荷重の高い場所に用いる場合、アスファルトバインダは相対的に高い弾力性が必要になる。
【0005】
ビチューメンの可塑性を高め、そのビチューメンバインダを用いて製造したアスファルトの摩耗性を改良するため、様々な方法が試みられている。例えば、米国特許第5,618,862号には、ビチューメンに硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤とを混合し、硫黄で加硫処理した反応混合物を生成する方法が述べられている。次に、この加硫反応混合物に酸アジュバントを加えて変性ビチューメン生成物を生成する。この方法では、加硫が終わるまでビチューメンに酸アジュバントを加えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,618,862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アスファルトに使用する変性ビチューメンをより簡単に製造する方法を得ることは望ましいであろう。従って、本発明の目的は特に、改良された弾性を備え、またアスファルト舗装のバインダ材料としての使用に適した性質を持つ、変性ビチューメン材料の製造方法の提示である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、舗道用のアスファルトバインダの製造に使用する、改良されたビチューメン生成物の製造方法を提示する。一つの態様において、本発明の方法は、例えばポリリン酸(PPA)などの酸を、加熱したビチューメンに加える工程を含む。PPAをビチューメンに混合した後、エラストマーとカップリング剤とを加熱ビチューメンに加え、十分な時間混合して変性ビチューメン生成物を生成する。
【0009】
本発明の方法のもう一つの実施の形態では、エラストマーとカップリング剤とを含む、あるいは、PPAなどの酸と、エラストマーまたはカップリング剤のどちらか一方を含む、ビチューメンのマスターバッチを調製する。PPAなどの酸、エラストマー、またはカップリング剤のいずれか1つだけを含む、アスファルト希釈剤を調製する。使用前に、大量のマスターバッチと大量の希釈剤とを混合して、所望の最終濃度のPPAとエラストマーと希釈剤とを含む変性ビチューメン生成物を調製する。
【0010】
本発明の方法で調製したビチューメンは弾性が向上するため、アスファルト舗道組成物での使用に好ましいものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一つの実施の形態において、本発明の方法は、ビチューメンまたはビチューメン混合物を準備する工程と、このビチューメンを、撹拌しながら100℃から230℃の温度に加熱する工程を含む。望ましくは少なくとも10分間撹拌しながら、ポリリン酸(PPA)を加熱させたビチューメンに加える。ポリリン酸の他に別の酸類を加えても良い。例えば、硫酸または有機硫酸類をPPAと共に加える。ビチューメンに加える酸の総重量は、ビチューメンまたはビチューメン混合物の重量の0.005質量%から5質量%である。
【0012】
酸成分を加えて混合した後、撹拌しながら、望ましくは少なくとも10分間、ビチューメンの温度を100℃から230℃に保ちつつ、硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤とをビチューメンに加える。硫黄架橋性エラストマーは、ビチューメンまたはビチューメン混合物の重量の0.5質量%から20質量%の量とする。硫黄供与性カップリング剤は、硫黄架橋性エラストマーの重量の0.1質量%から20質量%に相当する量の遊離硫黄を生じる量とする。
【0013】
酸添加剤は、望ましくはPPAから成り、あるいは、5質量%から100質量%、より望ましくは20質量%から100質量%の、1つ以上のポリリン酸類と、95質量%から0質量%、より望ましくは80質量%から0%の、硫酸と、一般構造式R−(COO)−SOHで示される酸類とから成る群れより選ばれる少なくとも1つの酸とを含む酸添加剤混合物である。酸添加剤混合物は、望ましくは、20質量%から95質量%、より望ましくは40質量%から90質量%の、1つ以上のポリリン酸類と、80質量%から5質量%、より望ましくは60質量%から10質量%の、硫酸および/またはメタンスルホン酸とから成る混合物である。
【0014】
酸添加剤が複数の酸性化合物から成る、例えばポリリン酸と硫酸との混合物である場合、酸性化合物はビチューメンに混合物として加えても、順次加えても良い。
【0015】
本発明の方法で使用できるポリリン酸類は、実験式P(式中、q、r、sは正の数であって、qは2以上、望ましくは3〜20またはそれ以上であり、5q+r−2s=0)で示される化合物である。
【0016】
特に、このポリリン酸類は、実験式Pq+23q+1で示される鎖状化合物、あるいは、2次元構造、更には3次元構造を持つ生成物でも良い。これらのポリリン酸類は全て、水性メタリン酸の加熱より生成した重縮合生成物であっても良い。
【0017】
構造式R−(COO)−SOHで示される酸類は、構造式R−SOH(t=0の場合)で示されるスルホン酸類、あるいは、構造式R−COO−SOH(t=1の場合)で示される酸類のいずれかである。構造式R−COO−SOHで示される酸類は、モノカルボン酸類R−COOHと、SOとの付加化合物、あるいは、構造式R−COOHで示されるモノカルボン酸類と硫酸との混合無水物と見なすことができる。構造式R−(COO)−SOHで示されるこれらの酸類において、R基は、望ましくはC〜C12、より望ましくはC〜C炭化水素基である。R基としては、直鎖または分枝C〜C12、特にC〜Cアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチルラジカルなど)、C〜C12、望ましくはC〜Cシクロアルキル基、あるいは1価のC〜C12、望ましくはC〜C芳香族基であって、特に、芳香族基としてはフェニルまたはトリル、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル、シクロペンチル、またはシクロヘプチルが挙げられる。本発明の方法で使用可能な、構造式R−SOHで示されるスルホン酸類の例は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸であり、望ましくはメタンスルホン酸およびエタンスルホン酸である。CH−COO−SOHおよびCH−CH−COOSOH(それぞれ、SOと酢酸、SOとプロピオン酸との付加化合物)などの、構造式R−COO−SOHで示される酸類も使用できる。なお、上記「基」は「ラジカル」(radical)ともいう。
【0018】
本発明の方法の実施において使用されるビチューメンまたはビチューメン混合物は、望ましくは、100℃において0.5×10−4〜3×10−2/s、望ましくは1×10−4〜2×10−2/sの動粘度を持つ様々なビチューメンから選ばれる。このようなビチューメンは、直接蒸留または減圧蒸留ビチューメン、ブラウンまたはセミブラウンビチューメン、プロパンまたはペンタン脱瀝残渣、低粘度化(viscosity breaking)残渣、あるいは、ビチューメンおよび減圧蒸留物の石油留分の一部または混合物、もしくは、前述の2つ以上の生成物の混合物である。前述の動粘度範囲を持つことに加え、本発明の方法で使用されるビチューメンまたはビチューメン混合物は、望ましくは、NF規格T66004による定義で、25℃において5〜800、望ましくは10〜400の貫通性を持つものである。
【0019】
本発明の方法で使用されるエラストマーは、ポリイソプレン、ポリノルボルネン、ポリブタジエン、ブチルゴム、エチレン/プロピレン(EP)ランダム共重合体、またはエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ランダムターポリマーなど、当業者に公知のエラストマー性ポリマーのいずれか、またはその混合物から成るものである。エラストマーは望ましくは、一部分が(残りの部分は、前述のポリマーまたはその他のポリマーの1つ以上から成る)、あるいはその全てが、スチレンと、共役ジエン(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、カルボキシル化ブタジエン、またはカルボキシル化イソプレンなど)とのランダムまたはブロック共重合体の1つ以上から成るものであり、より詳しくは、スチレンとブタジエンとの、スチレンとイソプレンとの、スチレンとクロロプレンとの、スチレンとカルボキシル化ブタジエンとの、あるいは、スチレンとカルボキシル化イソプレンとの、ランダムヒンジ(hinge)のある、またはない、ブロック共重合体から選ばれる、1つ以上の共重合体から成るものである。スチレンと共役ジエンとの共重合体、特に、前述の共重合体のそれぞれのスチレン含量は、望ましくは5質量%から50質量%である。スチレンと共役ジエンとの共重合体、特に、前述の共重合体の重量平均分子量は、例えば、1万〜60万ドルトン、望ましくは3万〜40万ドルトンとすることができる。スチレンと共役ジエンとの共重合体は、望ましくは、先に示した範囲のスチレン含量と重量平均分子量とを持つ、スチレンとブタジエンとの、スチレンとイソプレンとの、スチレンとカルボキシル化ブタジエンとの、あるいは、スチレンとカルボキシル化イソプレンとのジまたはトリブロック共重合体より選ばれる。
【0020】
本発明のビチューメン/ポリマー組成物の調製に使用される硫黄供与性カップリング剤は、元素硫黄、炭化水素ポリスルフィド類、硫黄供与性加硫促進剤、またはこれらの生成物同士の、および/または硫黄供与性ではない加硫促進剤とこれらとの混合物から成る群れより選ばれる生成物から成る。特に、硫黄供与性カップリング剤は、生成物M(0質量%から100質量%の、1つ以上の硫黄供与性加硫促進剤から成る成分Aと、100質量%から0質量%の、元素硫黄および炭化水素ポリスルフィド類より選ばれる1つ以上の加硫剤から成る成分Bとを含む)および生成物N(硫黄供与性ではない1つ以上の加硫促進剤から成る成分Cと、生成物Mとを、成分Cの生成物Mに対する重量比で、0.01〜1、望ましくは0.05〜0.5の割合で含む)より選ばれる。
【0021】
カップリング剤の一部または全てを構成するために使用できる元素硫黄は、望ましくは粉末状硫黄、より望ましくは、α硫黄の名で知られる斜方晶系結晶状硫黄である。
【0022】
カップリング剤の一部または全てとして使用できる炭化水素ポリスルフィドは、その内容を全て本件に引用して援用する、フランス国特許第A−2,528,439号に挙げられているものから選ぶことができる。これらは、一般構造式R−(S)−(R−(S)−R(式中、RおよびRは、飽和または不飽和C〜C20一価炭化水素ラジカルを示し、あるいは、RとRは互いに結合して、構造式中の他の基の原子と環を成す、飽和または不飽和C〜C20二価炭化水素ラジカルを形成し、Rは、飽和または不飽和C〜C20二価炭化水素ラジカルであり、−(S)−基は、それぞれm個の硫黄原子から成る二価基を示すものであって、mの値は、前記の基の一方と他方とで異なっていても良く、1〜6の整数を示し、mの値の少なくとも1つは2以上であり、xは0〜10の値の整数を示す)で示されるものである。望ましいポリスルフィド類は、構造式R−(S)−R(式中、Rは、C〜C16アルキルラジカル、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、tert−ドデシル、ヘキサデシル、ノニル、またはデシルを示し、−(S)−は、p個の硫黄原子が鎖状に並んでできた二価基を示し、pは2〜5の整数である)で示される。
【0023】
カップリング剤が硫黄供与性加硫促進剤を含んでいる場合、後者は特に、構造式(RNCS(S)CSN(R(式中、Rは、同じまたは異なるものであって、それぞれ、C〜C12、望ましくはC〜C炭化水素ラジカル、特に、アルキル、シクロアルキル、またはアリールラジカルを示し、あるいは、同じ窒素原子に結合した2つのRラジカルは互いに結合して、C〜C二価炭化水素ラジカルを形成し、uは2〜8の数である)で示されるチウラムポリスルフィド類より選ぶことができる。本発明の方法で使用される加硫促進剤の例としては、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、およびテトラメチルチウラムジスルフィドが挙げられる。
【0024】
本発明の方法で用いられるその他の硫黄供与性加硫促進剤の例としては、アルキルフェノールジスルフィド類や、モルホリンジスルフィド、N,N’−カプロラクタムジスルフィドなどのジスルフィド類が挙げられる。
【0025】
硫黄供与性ではなく、また前述の生成物N型のカップリング剤の成分Cとして使用できる加硫促進剤は、特に、メルカプトベンゾチアゾールとその誘導体類、特に、ベンゾチアゾール金属チオラート類およびベンゾチアゾールスルフェンアミド類、構造式[(RNCSY(式中、Rは同じまたは異なっているもので、前述の構造を持ち、Yは金属を示し、vはYの価数を示す)で示されるジチオカルバマート類、構造式(RNCSSCSN(R(式中、Rは先に挙げたとおり)で示されるチウラムモノスルフィド類より選ばれる硫黄化合物である。
【0026】
メルカプトベンゾチアゾール型の加硫促進剤の例としては、メルカプトベンゾチアゾール、金属(亜鉛、ナトリウム、銅など)のベンゾチアゾールチオラート、ベンゾチアジルジスルフィド、2−ベンゾチアゾールペンタメチレンスルフェンアミド、2−ベンゾチアゾールチオスルフェンアミド、2−ベンゾチアゾールジヒドロカルビルスルフェンアミド類(炭化水素(ヒドロカルビル)ラジカルが、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルラジカルである場合)、およびN−オキソ−ジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドが挙げられる。
【0027】
前述のジチオカルバマート型の加硫促進剤としては、例えば、金属(銅、亜鉛、鉛、ビスマス、セレンなど)のジメチルジチオカルバマート類、金属(カドミウム、亜鉛など)のジエチルジチオカルバマート類、金属(カドミウム、亜鉛、鉛など)のジアミルジチオカルバマート類、および鉛または亜鉛のペンタメチレンジチオカルバマートが挙げられる。先に示した構造式を持つチウラムモノスルフィド類の例としては、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、およびテトラブチルチウラムモノスルフィドが挙げられる。
【0028】
硫黄供与型でなく、先に挙げた種類にも属さないその他の加硫促進剤も、本発明の方法に使用できる。このような加硫促進剤としては、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、および酸化亜鉛が挙げられる。酸化亜鉛は、必要に応じてステアリン酸、ラウリン酸、またはエチルカプロン酸型の脂肪酸存在下で用いる。
【0029】
カップリング剤に使用できる硫黄供与性加硫促進剤および非硫黄供与性加硫促進剤の更に詳細は、その内容を全て本件に引用して援用する、EP−A−0,360,656号、EP−A−0,409,683号、FR−A−2,528,439号を参照のこと。
【0030】
先に述べたように、カップリング剤は単一成分型または多成分型であり、カップリング剤が多成分型である場合、成分は、ビチューメンに加える前に混ぜ合わせても、あるいは、成分をその場でビチューメン混合物に加えても良い。カップリング剤は、多成分を予め混合したものでも、単一成分のものでも、あるいは多成分をその場で加えていくものであっても、そのままの状態、例えば溶融状態で、あるいは希釈剤(例えば、炭化水素化合物)と混ぜ合わせて(例えば、溶液または懸濁液として)使用することができる。
【0031】
本発明のビチューメン/ポリマー組成物の製造方法では、まず、ビチューメンまたはビチューメン混合物に、ビチューメンまたはビチューメン混合物の総重量の約0.005質量%から5質量%の量の、PPAまたはPPAと別の酸との混合物などの酸添加剤を加える。酸添加剤/ビチューメン混合物は、撹拌しながら10分〜5時間、望ましくは30分〜4時間、100℃から230℃、望ましくは120℃から190℃の温度に保つ。
【0032】
酸添加剤を加えた後、ビチューメンまたはビチューメン混合物の重量の0.5質量%から20質量%の量の硫黄架橋性エラストマーを、ビチューメンまたはビチューメン混合物に加える。エラストマーは、混合物を、撹拌しながら十分な時間、通常、数十分〜数時間程度、一般に約1時間から8時間、100℃から230℃、望ましくは120℃から190℃の温度に保ちつつ、ビチューメンに加え、均一な混合物とする。硫黄供与性カップリング剤は、硫黄架橋性エラストマーの重量の0.1質量%から20質量%の量の遊離硫黄を生じる量で、混合物に加える。架橋したビチューメン/ポリマー組成物から成る反応生成物が生成するよう、混合物を、少なくとも10分間、一般に10分から5時間、望ましくは30分から180分間、撹拌しながら100℃から230℃、望ましくは120℃から190℃の温度に保つ。
【0033】
本発明の別の実施の形態では、まず、1つ以上の硫黄架橋性エラストマーと1つ以上のカップリング剤とを、前述の濃度と温度条件下で撹拌しながらビチューメンに加えて、マスターバッチを作る。PPAを、前述の濃度と温度で撹拌しながら別量のアスファルトに加え、アスファルト希釈剤を作る。使用の前に、PPAを含むアスファルト希釈剤を用いてマスターバッチを希釈し、所望の特性と、最終混合物中におけるエラストマーとカップリング剤とPPAの濃度を持つアスファルト混合物を得る。マスターバッチ中のエラストマーおよびカップリング剤の濃度と、アスファルト希釈剤中のPPAの濃度は、最終アスファルト混合物中で所望の濃度となるよう調整する。
【0034】
本発明の更に別の実施の形態では、まず、1つ以上の硫黄架橋性エラストマーとPPAとを、前述の濃度と温度条件下で撹拌しながらビチューメンに加えて、マスターバッチを作る。1つ以上の硫黄供与性カップリング剤を、前述の濃度と温度で撹拌しながら別量のアスファルトに加え、アスファルト希釈剤を作る。使用の前に、カップリング剤を含むアスファルト希釈剤を用いてマスターバッチを希釈し、所望の特性と、最終混合物中におけるエラストマーとカップリング剤とPPAの濃度を持つアスファルト混合物を得る。マスターバッチ中のエラストマーおよびPPAの濃度と、アスファルト希釈剤中のカップリング剤の濃度は、最終アスファルト混合物中で所望の濃度となるよう調整する。この方法は、カップリング剤とPPAとをマスターバッチに加え、硫黄架橋性エラストマーをアスファルト希釈剤に加えたものを用いても、先と同様に行うことができる。
【0035】
ビチューメンまたはビチューメン混合物と酸添加剤と硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤とから成る反応混合物には更に、ビチューメンの1〜40質量%、望ましくは2質量%から30質量%の溶剤を加えることができる。この溶剤は、具体的には、ASTM規格D86−67による測定で、100℃から600℃、望ましくは150℃から400℃の大気圧蒸留範囲を持つ炭化水素油から成るものである。炭化水素油は、芳香族性の石油留分、ナフテノ(naphtheno)−芳香族性石油留分、ナフテノ−パラフィン性石油留分、パラフィン性石油留分、灯油、あるいは植物油であって、これらは、ビチューメンへの添加時における蒸発を抑える程度に十分に“重く”、同時に、溶剤を用いずに製造したビチューメン/ポリマー組成物を熱展開(hot spreading)した後に示される機械的性質と同様の性質が得られるように、これを含むビチューメン/ポリマー組成物を展開した後に可能な限り除かれるよう、十分に“軽く”なければならない。溶剤は、ビチューメンと酸添加剤と硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤とから成る反応混合物に、反応混合物の調製のどの時点で加えても良く、溶剤の量は、工事現場での最終的な所望の使用法に合わせて、先に挙げた範囲内で選ぶ。
【0036】
また、ビチューメンまたはビチューメン混合物と酸添加剤と硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤と必要に応じて溶剤とから成る反応混合物には、様々な添加剤を、反応混合物の調製のあらゆる時点で加えることが可能である。例えば、EP−A−0409683号に挙げられている、アミンまたはアミド型の窒素系化合物を、最終ビチューメン/ポリマー組成物と鉱物質の表面との接着を促進するものとして加えても良い。望ましくは、窒素系化合物が最終ビチューメン/ポリマー組成物中に存在する架橋したエラストマー上にグラフトするよう、硫黄供与性カップリング剤を反応混合物に加える前に、これらの窒素系化合物を反応混合物に加える。また、ビチューメンまたはビチューメン混合物と酸添加剤と硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤と必要に応じて溶剤とから成る混合物は、ビチューメンまたはビチューメン混合物の重量の0.1%から5%、望ましくは0.2%から3%のゲル化防止添加剤を加えることができる。ゲル化防止添加剤は、望ましくは硫黄供与性カップリング剤を加える前に反応混合物に加える。望ましくは、ゲル化防止添加剤は、構造式R−Xで示されるものであって、式中、Rは、飽和または不飽和のC〜C50、より詳しくはC〜C40の一価炭化水素ラジカル、例えば、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルカジエニル、またはアルカトリエニルラジカル、あるいは、縮合環を含む多環型のラジカルであり、Xは、官能基−COOH、−SOH、または−POHZを示す。このとき、Zは、水素原子またはラジカルRを示している。ゲル化防止添加剤は特に、飽和または不飽和脂肪鎖を含むカルボン酸類、特に、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、またはオレイン酸、環に1つまたは2つの飽和または不飽和脂肪鎖の付いたアルキルアレーンスルホン酸類、特に、ノニルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、またはジドデシルベンゼンスルホン酸、縮合環を含む多環酸類、特に、アビエチン酸およびそれから誘導した樹脂酸類、モノヒドロカルビルリン酸およびジヒドロカルビルリン酸としても知られる、リン酸のモノヒドロカルビルエステルおよびジヒドロカルビルエステル、特に、モノアルキルリン酸類およびジアルキルリン酸類であって、そのアルキルラジカルは、C〜C18アルキルラジカル、例えば、エチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、またはオクタデシル、脂肪鎖を含むカルボン酸類の混合物、および、アビエチン酸または樹脂酸類と、脂肪鎖を含むカルボン酸類との混合物から選ぶことができる。
【0037】
溶剤として先に挙げた炭化水素油を用いた本発明の方法の一つの実施の形態において、硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤は、溶剤を成す炭化水素油にこれらの生成物を加えた母溶液の形でビチューメンまたはビチューメン混合物に加える。
【0038】
母溶液は、それを構成する成分、すなわち、溶媒として作用する炭化水素油とエラストマーとカップリング剤とを、撹拌しながら10℃から170℃、より詳細には40℃から120℃の温度で十分な時間、例えば約30分〜約90分間接触させ、エラストマーとカップリング剤とを炭化水素油に完全に溶解させて調製する。
【0039】
母溶液中のエラストマーとカップリング剤のそれぞれの濃度は、特に、エラストマーとカップリング剤との溶解に用いる炭化水素油の性質に応じて非常に大きく変えることができる。つまり、エラストマーおよびカップリング剤のそれぞれの量は、炭化水素油の重量の5質量%から40質量%および0.02質量%から15質量%と示すことができる。望ましい母溶液は、溶媒として用いる炭化水素油の重量に対して10質量%から35質量%のエラストマーと0.1質量%から5質量%のカップリング剤とを含むものである。
【0040】
本発明に従い、母溶液法によって母溶液を調製した後に前述のように酸添加剤を加えてビチューメン/ポリマー組成物を調製するには、エラストマーとカップリング剤と溶剤とから成る母溶液を、ビチューメンまたはビチューメン混合物および酸添加剤と混合する。混合は、100℃から230℃の温度で撹拌して行う。これは、例えば、100℃から230℃の温度に保って撹拌しながら、母溶液をビチューメンまたはビチューメン混合物に加えることにより行う。次に、架橋したビチューメン/ポリマー組成物から成る反応生成物を生成するため、得られた混合物を、100℃から230℃の温度、例えば、母溶液とビチューメンまたはビチューメン混合物とを混合する際に用いた温度で、撹拌しながら少なくとも10分間、一般に10分〜90分間保つ。ビチューメンまたはビチューメン混合物と混合する母溶液の量は、エラストマーとカップリング剤が、ビチューメンまたはビチューメン混合物に対して好ましい量となるように選び、この量は、先に挙げた範囲内である。
【0041】
母溶液法による調製に特に好ましい一つの実施の形態は、80質量%から95質量%のビチューメンまたはビチューメン混合物および酸添加剤を、100℃から230℃の温度で撹拌しながら、20質量%から5質量%の母溶液と接触させる工程を含む。後者は、溶媒として働く炭化水素油の重量に対して、10%から35%のエラストマーと0.1%から5%のカップリング剤とを含んでいる。こうして得られた混合物を、撹拌しながら、100℃から230℃の温度、望ましくは、ビチューメンまたはビチューメン混合物を母溶液と接触させる際に用いた温度で、少なくとも10分間、望ましくは10分間から60分間保つ。
【0042】
本発明の方法で得られた、強化されたマルチグレードの性質を備えた、すなわち、可塑性の範囲が広がったビチューメン/ポリマー組成物は、元のビチューメン/ポリマー組成物中の架橋エラストマーの含量に等しい(希釈していない組成物)または含量より低い(希釈した組成物)所定の架橋エラストマー含量を持つビチューメン/ポリマーバインダを作るため、そのままで、あるいは、ビチューメンまたはビチューメン混合物を用いて、もしくは、本発明による様々な特性を持つ組成物を用いて、様々な割合で希釈して使用する。ビチューメンまたはビチューメン混合物を用いた、あるいは本発明による様々な特性の組成物を用いた、本発明のビチューメン/ポリマー組成物の希釈は、得られたビチューメン/ポリマーバインダをすぐ実際に使用する場合には、前記組成物の調製直後に、あるいは、得られたビチューメン/ポリマーバインダを後で使用することが予想される場合には、ビチューメン/ポリマー組成物を多少長い期間貯蔵した後に行う。本発明のビチューメン/ポリマー組成物の希釈に用いるビチューメンまたはビチューメン混合物は、ビチューメン/ポリマー組成物の調製に適するとして先に挙げたビチューメン類から選ぶことができる。適当ならば、希釈に用いるビチューメンまたはビチューメン混合物自体を、本発明に従って酸性アジュバントで予め処理しておいても良い。
【0043】
希釈されるビチューメン/ポリマー組成物よりも低い、所望の架橋エラストマー含量のビチューメン/ポリマーバインダを生成するための、ビチューメンまたはビチューメン混合物を用いた、または本発明による架橋エラストマーの含量の低い第2の組成物を用いた、本発明のビチューメン/ポリマー組成物の希釈は、通常、撹拌しながら100℃から230℃、望ましくは120℃から190℃の温度で、希釈すべきビチューメン/ポリマー組成物と、ビチューメンまたはビチューメン混合物あるいは本発明による第2のビチューメン/ポリマー組成物とを、適当な割合で接触させることにより行う。例えば、希釈に用いるビチューメンまたはビチューメン混合物あるいは第2のビチューメン/ポリマー組成物の量は、希釈により得られるビチューメン/ポリマーバインダが、ビチューメンの重量の0.5質量%から5質量%、より望ましくは0.7質量%から3質量%の架橋したエラストマーを含むよう、また希釈される本発明のビチューメン/ポリマー組成物中での架橋エラストマーの含量よりも低くなるよう選ぶことができる。
【0044】
本発明のビチューメン/ポリマー組成物から成る、あるいは、前記組成物を、ビチューメンまたはビチューメン混合物を用いて、あるいは本発明の別のビチューメン/ポリマー組成物を用いて希釈して得たビチューメン/ポリマーバインダは、前記バインダ中の架橋エラストマーが好ましい量であるならば、直接、または水性エマルションに変えた後に、表面被覆型の道路舗装の製造に、高温または寒冷な場所に置かれるアスファルト混合物の製造に、あるいは、防水表面の製造に用いることができる。
【0045】
本件に記載の方法に従って製造したビチューメンの特性は、例えば、貫通性、リングアンドボール(ring-and-ball)軟化温度、引張特性用標準試験などの標準的な方法または手法を用いて求めることができる。
【0046】
前述の組成物や方法は、本発明の範囲から外れることなく様々に変えられることは当業者には理解されよう。従って、ここに述べた望ましい実施の形態は、制限しようとするのではなく、説明のためのものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約100℃から約230℃の温度に加熱したビチューメンまたはビチューメン混合物を準備する工程と、
(b)前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に、前記ビチューメンの重量の約0.005質量%から5質量%の量のポリリン酸を加え、得られた混合物を、撹拌しながら少なくとも約10分間、約100℃から約230℃の温度に保つ工程と、
(c)ポリリン酸を加えた後、撹拌しながら少なくとも約10分間、前記ビチューメンの温度を100℃から230℃に保ちつつ、前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に、前記ビチューメンの重量の0.5質量%から20質量%の量の、少なくとも1つの硫黄架橋性エラストマーと、前記硫黄架橋性エラストマーの重量の0.1質量%から20質量%に相当する量の遊離硫黄を生じる量の、少なくとも1つの硫黄供与性カップリング剤とを加える工程と、
を含むことを特徴とする、改良されたビチューメンの製造方法。
【請求項2】
ポリリン酸の他に1つ以上の酸類を前記加熱ビチューメンに加えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
硫酸、または、式R−(COO)−SOHで示され、式中、tは0または1であり、RはC〜C12炭化水素(hydrocarbyl)ラジカルである、有機硫酸(organosulfuric acid)の少なくとも1つを、前記加熱ビチューメンに加えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機硫酸は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸から成る群れより選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酸添加剤は、5質量%から100質量%のポリリン酸と、約95質量%から0質量%の、少なくとも1つの硫酸または有機硫酸とから成ることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋性エラストマーは、ポリイソプレン、ポリノルボルネン、ポリブタジエン、ブチルゴム、エチレン/プロピレン(EP)ランダム共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ランダムターポリマー、スチレンと共役ジエンとのランダムまたはブロック共重合体、およびこれらの混合物から成る群れより選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記硫黄供与性カップリング剤は、硫黄元素、炭化水素ポリスルフィド類、硫黄供与性加硫促進剤、およびこれらの混合物から成る群れより選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記硫黄元素は、粉末状または斜方晶系結晶状のいずれかであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素ポリスルフィドは、R−(S)−(R−(S)−Rの構造式で示され、式中、RおよびRは、飽和または不飽和C〜C20一価炭化水素ラジカルを示し、あるいは、互いに結合して、前記構造式中の他の基の原子と環を成す、飽和または不飽和C〜C20二価炭化水素ラジカルを形成し、Rは、飽和または不飽和C〜C20二価炭化水素ラジカルであり、−(S)−基は、それぞれm個の硫黄原子から成る二価基を示すものであって、mの値は同じまたは異なり、1から6までであって、mの値の少なくとも1つは2以上であり、xは0〜10の整数を示すことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硫黄供与性加硫促進剤は、構造式(RNCS(S)CSN(Rで示されるチウラムポリスルフィドであって、式中、Rは同じまたは異なるもので良く、それぞれ、C〜C12、望ましくはC〜C炭化水素ラジカルを示し、uは2〜8の数であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)において、硫黄供与性ではない加硫促進剤を前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に加えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に、前記ビチューメンまたはビチューメン混合物の重量の1質量%から40質量%に等しい量の溶剤を加える工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶剤は、ASTM規格D86−67に従って求めた大気圧蒸留範囲が、100℃から600℃の炭化水素油であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に、少なくとも1つのアミンまたはアミドを、硫黄供与性カップリング剤の前に加える工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に、硫黄供与性カップリング剤の前に、前記ビチューメンまたはビチューメン混合物の重量の0.1質量%から5質量%のゲル化防止添加剤を加える工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ビチューメンまたはビチューメン混合物に加える前に、前記硫黄架橋性エラストマーと前記硫黄供与性カップリング剤を溶剤と混合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(a)約100℃から約230℃の温度に加熱した第1量のビチューメンまたはビチューメン混合物を準備する工程と、
(b)前記第1量のビチューメンまたはビチューメン混合物にポリリン酸を加え、得られた混合物を、撹拌しながら少なくとも約10分間、約100℃から約230℃の温度に保つ工程と、
(c)約100℃から約230℃の温度に加熱した第2量のビチューメンまたはビチューメン混合物を準備する工程と、
(d)撹拌しながら少なくとも約10分間、前記ビチューメンの温度を100℃から230℃に保ちつつ、前記第2量のビチューメンまたはビチューメン混合物に、少なくとも1つの硫黄架橋性エラストマーと、前記硫黄架橋性エラストマーの重量の0.1質量%から20質量%に相当する量の遊離硫黄を生じる量の、少なくとも1つの硫黄供与性カップリング剤とを加える工程と、
(e)十分な量の前記第1量のビチューメンと、十分な量の前記第2量のビチューメンとを合わせて、最終ビチューメン生成物の重量の約0.005質量%から5質量%の量のポリリン酸と、最終ビチューメン生成物の重量の0.5質量%から20質量%の量の少なくとも1つの硫黄架橋性エラストマーとを含む、最終ビチューメン生成物を得る工程と、
を含み、
前記第1量のビチューメンに加えられるポリリン酸の量と、前記第2量のビチューメンに加えられる少なくとも1つの硫黄架橋性エラストマーの量とを、最終ビチューメン生成物中におけるポリリン酸および硫黄架橋性エラストマーが所望の濃度となるように選ぶことを特徴とする、改良されたビチューメンの製造方法。
【請求項18】
(a)約100℃から約230℃の温度に加熱した第1量のビチューメンまたはビチューメン混合物を準備する工程と、
(b)前記第1量のビチューメンまたはビチューメン混合物に、ポリリン酸と少なくとも1つの硫黄架橋性エラストマーとを加え、得られた混合物を、撹拌しながら少なくとも約10分間、約100℃から約230℃の温度に保つ工程と、
(c)約100℃から約230℃の温度に加熱した第2量のビチューメンまたはビチューメン混合物を準備する工程と、
(d)撹拌しながら少なくとも約10分間、前記ビチューメンの温度を100℃から230℃に保ちつつ、前記第2量のビチューメンまたはビチューメン混合物に、前記硫黄架橋性エラストマーの重量の0.1質量%から20質量%に相当する量の遊離硫黄を生じる量の、少なくとも1つの硫黄供与性カップリング剤を加える工程と、
(e)十分な量の前記第1量のビチューメンと、十分な量の前記第2量のビチューメンとを合わせて、最終ビチューメン生成物の重量の約0.005質量%から5質量%のポリリン酸と、最終ビチューメン生成物の重量の0.5質量%から20質量%の量の少なくとも1つの硫黄架橋性エラストマーと、前記硫黄架橋性エラストマーの重量の0.1質量%から20質量%に相当する量の遊離硫黄を生じる量の、少なくとも1つの硫黄供与性カップリング剤とを含む、最終的なビチューメン生成物を得る工程と、
を含み、
前記第1量のビチューメンに加えられるポリリン酸および硫黄架橋性エラストマーの量と、前記第2量のビチューメンに加えられる少なくとも1つの硫黄供与性カップリング剤の量とを、最終ビチューメン生成物中におけるポリリン酸と硫黄架橋性エラストマーと硫黄供与性カップリング剤が所望の濃度となるように選ぶことを特徴とする、改良されたビチューメンの製造方法。

【公表番号】特表2009−538970(P2009−538970A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513270(P2009−513270)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/012818
【国際公開番号】WO2007/143016
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(505084756)イノフォス インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】