説明

ポリ(ヒドロキシアルカノアート類)の活性酸素バリア組成物類とそれから製造された物品類

好適には、2−ヒドロキシプロピオン酸として公知の乳酸由来のポリマーであるポリ(乳酸)であるポリ(ヒドロキシアルカノアート)および遷移金属に基づく活性酸素バリア組成物類およびそれから製造された物品類。酸素を消費(除去)することが見出されたこの活性バリア組成物は、プレフォームおよびコンテナーのような一体式および多層包装用物品類中で、酸素に対する酸素感受性製品の暴露を制御し従って前記製品の品質と貯蔵期限を高めるために使用できる。隣接ポリ(ヒドロキシアルカノアート)層類を有する多層構造として提供されると、前記パッケージは酸素を消費しかつ生分解性パッケージおよび/またはリサイクルの流れに含ませることができるものを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、食品および飲料のような酸素感受性製品類を含む環境中において酸素を遮断しかつ除去するための組成物類、物品類および方法類に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素が包装壁を通過する際にそれを遮断しかつ除去する手段(本文で、"活性酸素バリア"と称する)を提供するプラスチック包装は、多くの製品の品質と貯蔵期限を高めることができる。このような活性酸素包装は、包装物への酸素浸透を単に阻害するだけの"受動的バリア"よりもより効果的である。対比的に、活性バリアは、包装物内部に最初から存在しおよび/またはそこで発生した酸素を除去でき、ならびに、包装物中への外部酸素の通過を妨害できる。
【0003】
商業的に成功する活性バリア包装に求められる要件は適用により異なるであろうが、通常、下記の1個以上を含む。
a)市販の成形(例 射出、圧縮、押し出し、吹き込み成形)装置で1種以上のポリマー材料を加工する能力;
b)加工時および使用中において十分な層一体性と接着性を有する多層構造を提供する能力;
c)(典型的には)より高価なバリア材料類、すなわち一般的に多層構造となっている材料類のコスト的に効果的な用途;
d)包装された物質の味覚と臭いに悪影響を与えかねないかまたは政府の規制上の問題を起こしかねない有害な反応副産物の産生および/または透過を回避すること;
e)可視光線の少なくとも50%の透過率が望ましい透明性を提供する;および/または
f)リサイクルの流れおよび/または生分解性廃棄物としての包装材料の有効利用が可能であること。
【0004】
従って、製品の品質と貯蔵期限を維持しかつ高めるためにこのような包装された物に含まれる製品の酸素暴露を制御しつつ、さまざまな商業用包装適用に求められる加工性、美観および機械的特性(例 トップロード強度)を満たすことができる組成物類および物品類に対して、今も需要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の下記の面を、それぞれ独立しておよび/またはさまざまに組み合わせて用い、活性酸素バリア組成物、物品および/または方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一面において、活性酸素バリア組成物が提供され、これは、式H−〔O−CHR−(CH2)x−CO〕n−OHを有するポリ(ヒドロキシアルカノアート)("PHA")と遷移金属を含み、式中、RはH(水素)または約13個までの炭素原子(好適には、炭化水素ラジカル)を有する有機ラジカルであり、xは0から3であり、およびnは、10から20,000である(以下、"活性酸素バリア組成物"と称する)。典型的には、"n"は、PHAポリマーが約700から約1,440,000ダルトンの範囲にわたる分子量を有するように選択される。好適な態様において、前記PHAにはポリ(乳酸)("PLA")を含むかあるいは実質的に含み、それは、2−ヒドロキシプロピオン酸としても公知である乳酸から誘導されるポリマーである。さまざまな態様において、前記遷移金属は、例えば有機リガンドを有する金属化合物として供され、遷移金属化合物の金属は、一般的に、PHA中において少なくとも約20ppmの量で存在する。前記遷移金属はコバルトであることができ、特に、前記金属化合物は、ネオデカン酸コバルトであることもできる。前記金属化合物は、前記組成物の約0.01乃至約3重量%を含む;この量は、適用により異なる(例 単層または多層構造、壁厚、製品、所望の貯蔵期限等)。前記遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、マンガンまたは亜鉛から構成される群から選択したものであることができる。
【0007】
製造物品は、例えば、パッケージ、プレフォーム、コンテナー、フィルム、シート、ライナー、コーティングまたはクロージャーの少なくとも一部を含む活性酸素バリア組成物から製造することができる。前記物品は、一体式であることも多層であることもできる。さまざまな態様において、前記活性バリア組成物は、多層飲料容器の1種以上の層として提供される。別の態様において、一体式飲料ボトル(例 水用)が提供される。
【0008】
1態様において、前記多層物品は、前記活性酸素バリア組成物の少なくとも1層と、PHAの隣接する少なくとも1層を含み、前記活性バリア組成物および前記隣接する少なくとも1層のPHAは、好適にはポリ(乳酸)である。PLAの隣接層は、例えば、包装内部から酸素分子が移動して前記活性酸素バリア組成物の層に到達できるように酸素感受性製品と活性バリア組成物の間に付与することもでき、それによって、前記製品に最初から存在したかおよび/または使用中に発生した酸素の消費を可能とする。
【0009】
本発明のひとつの特定態様において、多層プレフォームまたはコンテナーは、酸素感受性食品または飲料の包装用に提供される。前記物品には、前記活性酸素バリア組成物の1層以上の交互の層ならびにPHAの1層以上を含み、それらのひとつまたは両者が、ポリ(乳酸)を含むかまたは実質的に含む。最も好適には、前記活性酸素バリア組成物は、層が最終コンテナー製品中の食品または飲料と直接接触しないように連続層中に配置されたかまたは置いた層の内部に含ませる。
【0010】
1態様において、ポリ(乳酸)および遷移金属を含む活性酸素バリア組成物が、提供される。
【0011】
別の態様において、活性酸素バリア組成物は式H−〔O−CHR−(CH2)x−CO〕n−OHを有するポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーと遷移金属を含み、式中、Rは水素または約13個までの炭素原子を有する有機ラジカルであり、xは0から3であり、およびnは、約10から約20,000である。
【0012】
別の態様において、酸素感受性製品を保持するための多層物品を製造する方法が提供され、前記方法は、ポリ(ハイヒドロキシアルカノアート)ポリマーを含む第1層およびポリ(ヒドロキシアルカノアート)を含む第1層に隣接する第2層および遷移金属を有する中間物品を成形すること、およびこの中間物品を膨張させ多層物品を形成させることを含む。
【0013】
別の態様において、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーの多層を含む包装物品に対して酸素除去活性を付与することを含む方法が提供され、前記方法は、前記物品の多層の少なくともひとつに遷移金属を混合することを含む。
【0014】
別の態様において、遷移金属をポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーに混合することを含むポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマー組成物に対して酸素除去活性を付与する方法が提供される。
【0015】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、下記の詳細な説明と図面を見ればよりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
活性酸素バリア組成物が、PHAおよび遷移金属組み合わせから形成できることが見出された。この組成物を、酸素感受性製品類の包装のためさまざまな物品類とともにおよびさまざまな物品中で用いることができる。これらの物品類には、パッケージ、プレフォームまたはコンテナー、前記パッケージ用クロージャー(例 瓶の口金、ふた等)、パッケージまたはクロージャーのための挿入物(例 ライナー、パッキング等)、サシェ(例 パッケージ空間または内部に配置するため)、コーティング、さまざまな支持体上の吸収層等のような成形物品の全体または一部が含まれる。
【0017】
ポリ(乳酸)
ポリ(乳酸)("PLA")は、乳酸単位すなわち乳酸の繰り返し鎖を、50重量%を超えて含むポリマーを称するものとして本文で使用する。前記物質は、光学異性体の右旋性(D)または左旋性(L)エナンチオマーのいずれかであることができるか、または、前記2種のエナンチオマーのラセミ混合物であることができる。それは、好適には非可塑化されているが、残留モノマー、オリゴマー等とともに可塑化された状態でも使用できる。
【0018】
適切なPLAポリマーの1例は、NatureWorks,15305 Minnetonka Blvd.,Minnetonka、Minnesota 55345から入手できるボトル等級のPLAレジンである。例えば、NatureWorks PLA 7000Dは、従来のISBM装置を用いて射出延伸吹き込み成形(ISBM)適用に適している。その物理的性質には、例えば、比重1.25−1.28(ASTM法D792に基づく)、230℃における溶融密度1.08−1.12g/cc(ASTM法D1238)、ガラス遷移温度130−140°F(55−60℃)(ASTM法D3417)、結晶溶融温度(Tm)295−310°F(145−155℃)(ASTM法D3418により測定)、および210℃におけるメルトボリュームフロー速度(MFR)5−15g/10min(ASTM法D1238AおよびB)が挙げられる。前記ポリマーは、プレフォーム温度80−100℃、延伸ロッド速1.2乃至2メータ/秒および吹き込み成形用金型温度70−100°F(21−38℃)において、延伸吹き込み成形できる。
【0019】
PLAは、空気中から湿分を容易に吸収する吸湿性熱可塑性樹脂である。従って、PLAは、典型的には、溶融加工前に例えば250ppm未満の湿分まで完全に乾燥させ、溶融加工時の分子量低下(およびそれに伴う機械的特性の低下)を避ける。バージンPLAは、乾燥を容易にするため、結晶ペレット(25%結晶度)としてNatureWorksから提供されている。
【0020】
PHAまたはPLAポリマーの分子量は、このようなポリマーから製造された物品の物理特性に影響を及ぼすであろう。例えば、NatureWorks 7000Dボトル等級PLAレジンは、相対粘度(RV)3.9乃至4.1を有する。
【0021】
本発明の活性酸素バリア組成物から製造されたプレフォームは、特定の適用に応じて、平面すなわち面積(アキシアルタイムズフープ)延伸比(SR)8乃至11、アキシアルSR2乃至3、およびフープSR3乃至4を有するように設計することもできる。これらは、例示のためのみに示している;前記の特定の適用が、実際のプレフォームデザインと延伸比を決定するであろう。
【0022】
ボトル業界で広く使用されているポリエステルポリマーであるポリエチレンテレフタレート(PET)に比較して、PHA特にPLAは、水蒸気、二酸化炭素および酸素の高いトランスポート比を示し、PETのそれよりも約8−10倍高い。例えば、PLAは、20℃および相対湿度(RH)0%において水蒸気透過度20(cc−mil単位/1002−日−atm);O2透過度40(同単位)およびCO2透過度172(同単位)を有することができる。本発明により実質的にPLAの酸素透過度を低下させる能力は、従って、PETを用いる現在の適用においてPLAの使用を可能とするので、特に有益である。
【0023】
さらに、PLAは、現在包装に使用されている市販の重要なポリマー類の多くに対比して、生分解生ポリマーである。PLAポリマー7000Dは、シミュレーションしたコンポスティング条件下(58℃(135°F)におけるASTM D5338)において紙に類似の生分解性を示し、提示されている欧州コンポスティング保証基準を満足する。コンポスティングとは、価値ある土壌添加物として使用できる生成物に有機物をリサイクルできるようにする廃棄物処理法である、PLAは、主に、乳酸の繰り返し鎖であるポリ(乳酸)でできており、それは、2段階分解プロセスを経る。最初に、コンポスト堆積物中の水分と熱が、PLAポリマー鎖を攻撃しそれらをばらばらにして小さいポリマー類を生成し、最終的に乳酸を生ずる。コンポスト土壌中の微生物が小さなポリマー断片類および乳酸を栄養物として消費する。乳酸は天然に広く見られるので、多数の生物類が乳酸を代謝する。このプロセスの最終結果が二酸化炭素、水および土壌栄養物である腐植土である。NatureWorks PLAポリマー7000DについてのNatureWorks公開文献(NWPKG0370205Y2)を参照。
【0024】
遷移金属
遷移金属を、金属それ自体の形態で、塩として、または金属化合物として前記PHAに添加できる。好適な態様において、前記活性酸素バリア組成物は、PLAおよび遷移金属を含み、前記金属は、金属化合物として添加される。金属化合物類は、典型的には、2成分類:金属と金属に結合するリガンドを含み、一般的に、前記リガンドの実質的部分は、有機物である。
【0025】
前記金属は、加工条件のような要因に応じて、液体、溶液混合物として、結晶形状で、パスチレとしてまたは粉末として、前記ポリマーに添加できる。典型的には、前記金属は、前記ポリマーと混合され、物理的ブレンドを作製する。しかし、前記活性酸素バリア組成物は、最終的に、前記金属とPHAまたは前記金属化合物のリガンドとPHAの間の化学結合を含むことができ、前記金属化合物とPHAの物理的ブレンド中に化学反応が起こる。すなわち、いったん金属化合物をPHAで処理すると、前記金属化合物は、PHAポリマー中で、同一の最初の金属化合物、新規金属化合物、塩または金属原子として存在できる。リガンドの少なくとも一部がもはや前記金属と化学結合を形成していない新規金属化合物が発生でき、新規リガンドが前記金属に結合する。この新規リガンドは、PHAポリマーまたは水のような他のいかなる成分または別の有機成分であることができる。前記最初の金属化合物が安定形状で入手できること、すなわち、前記金属化合物が、PHAにこの化合物を添加する前、酸素に対して反応性でないことが好適である。
【0026】
前記ポリマー中における金属量は、前記ポリマー/金属組成物中における重量に対して定義される。所望の金属濃度が金属分子量、金属化合物の分子量、およびPHAのポリマータイプまたは分子量のようなさまざまな要因または要因の組み合わせに依存することが理解される。さまざまな態様において、前記金属原子(例 コバルト)は組成物基準で少なくとも約20ppmの量でポリマー/金属組成物中に存在し、さらに好適には、約50ppm乃至約6000ppm、はるかにより好適には約100ppm乃至約5000ppm、および非常により好適には約200ppm乃至約3000ppmの量で存在する。金属濃度の下限は、酸素除去性能(すなわち、不十分な金属濃度は、ある適用で所望の除去性能を達成できないであろう)および/または加工性により決定できる。上限は、コスト、透明性、色、および/または加工性のような要因により、特定適用に応じて決定することもできる。
【0027】
遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、マンガンおよび亜鉛から構成される群から選択できる。好適な態様において、前記金属はコバルトであり、さらに好適には、ネオデカン酸コバルトのようなコバルトカルボン酸塩化合物として添加される。
【0028】
製造物品(例 パッケージ)、貯蔵および貯蔵期限
好適には、前記活性酸素バリア組成物は、いったん形成されると、その後製品を充填しても、空気のような過剰の酸素存在下でもかなりの期間(例 2ヶ月、好適には4ヶ月)、除去性能が実質的に損なわれることなく貯蔵できる物品中に設けられる。好適には、前記物品は、大気条件下で貯蔵可能なパッケージであり、ここで、大気条件とは、酸素(空気)21%および23℃における相対湿度50%の雰囲気を称する。
【0029】
また、好適には、酸素除去が製品を入れたとたんにおよび/またはそれ以降短期間内(例 5日以内、好適には2日以内、さらに好適には充填24時間以内)に開始する物品(活性酸素バリア組成物を含む)が提供される。
【0030】
層適合性
本発明の別の特徴によれば、活性酸素バリア組成物が多層物品の1層以上の層で提供され、ある適用に対して所望の層一体性と層付着性を有する。層接着性および一体性は、一般的に、前記物質の加工性の関数であり、それは、ポリマーについては、典型的には、溶融粘度の関数である。
【0031】
加工性についての従来のパラメータは、メルトインデックスで示唆される溶融粘度である。"メルトインデックス"とは、一般的には、ある定義された時間にわたり特定の温度と圧力で標準ユニットの開口部を介して押し込まれるポリマーのグラム数として定義される。このメルトインデックスは、ASTM法D1238−94Aに従い測定できる。本文で、ポリマー類すなわち物品に使用される活性酸素バリア組成物と他の構造的および/またはバリアポリマー類は、一般的に高分子量ポリマー類であり、少なくとも約20,000ダルトンの分子量を有し、それに対しては溶融粘度が重要なプロセスパラメータである。一般的に、ポリマー分子量が増加するに伴い、溶融粘度および溶融強度の両者ともに増加する。当業者は、多層適用のため、他のポリマータイプの層に隣接して配置される活性酸素バリア組成物の層のための適切な溶融粘度および溶融強度の組み合わせを決定できる。
【0032】
構造層が、接着剤なしで活性酸素バリア組成物の層に隣接して配置される場合、前記2種の層が"適合性"であることが好適である。適合性とは、互いに隣接して配置された少なくとも2層を有する多層物品が物品形成プロセス中および予測された使用中において最終製品において隣接する層によって開始された化学的または他のプロセスが原因となっている層のはがれ、所望の形状からの観察できる変形または他の分解に耐えられる構造的一定性を有していることを意味している。適合性は、当業者が所望の包装特徴を達成できるように溶融粘度、メルトインデックス、および溶解度パラメータ類を選択することによって、増強できる。もしリサイクル可能なボトルを所望するならば、前記ボトルを切断した際に層が容易に分離して、異なる材料を別々に処理できるようにするのが望ましい。
【0033】
活性酸素バリア組成物のメルトインデックスは、例えば、金属(例 コバルト)をポリマーに添加した際に起こるメルトインデックス低下を考慮しなければならない。
【0034】
透明性
本発明の別の面によるひとつの利点は、実質的に透明な、活性酸素バリア組成物含有物品を提供する能力である。実質的に透明とは、包装の少なくとも一部が可視光線の少なくとも50%の透過を可能とすることを意味する。さらに好適には、透明性は、物品壁を介した透過光線の曇り百分率によって決定でき、それは、下記の式によって示される。
HT=〔Yd÷(Yd+Ys)〕×100
式中、HTは、壁を介した透過光線の曇り百分率であり、Ydは、標本厚みにより透過した分散光線であり、Ysは、標本厚みにより透過した反映(スペクトル)光線である。分散および反映光線透過値は、HunterLab社、Reston、Virginia、USAが製造したモデルD25D3Pのようないかなる標準的色差メーターをも用いて、ASTM法D−1003により測定される。選択した態様において、前記パッケージの関連部分、例えば側壁は、30%以下、好適には20%以下さらに好適には10%以下の曇り百分率を有している。
【実施例】
【0035】
実施例: 酸素除去ジュースボトル
図1−4は、透明2物質5層(2M,5L)プレフォームおよびそれから製造したコンテナーを示しており、コンテナーは、本発明の活性酸素バリア組成物の2層を含む。この多層構造は、所望の酸素除去レベルを提供しつつ、活性酸素バリア組成物の実質的に小さい重量百分率例えば総コンテナー重量の約3%の使用を可能とする。
【0036】
射出成形多層プレフォーム30を図1に示した。実質的に円筒状の(垂直中心線32により規定)プレフォームは上部ネック部すなわちフィニッシュ34を含み、それは、プレフォームの開口上端部を規定する上部密封表面31、スレッド33を有する円筒状外表面および下部フランジ35を有する。フランジ下に本体形成部36があり、そのほとんどは、コンテナー40本体形成時に膨張するであろう。前記プレフォームの本体形成部36には、上部円筒状部41、内側にテーパーさせた肩形成部37(上部から下部に向かって外径が減少)、円筒状パネル形成領域38、および内部で中央に向かうナッブ50を有する実質的に半球状の基部形成領域39を含む。
【0037】
プレフォーム30は、ジュースのような冷たい状態で充填され炭酸非含有の液体飲料のための16オンスコンテナー40(図2参照)を製造するために適応させる。パネル形成領域38は、約10の平均平面延伸比を受け、ここで、平面延伸比は、それぞれのプレフォームおよびコンテナー部分の長さ方向に沿った(図2に示したように)コンテナーパネル46の平均厚みに対するプレフォームパネル形成領域38の平均厚みの比である。平均パネルフープ延伸は、好適には、約3乃至4であり、平均パネルアキシアル延伸は、約2乃至3である。これにより、所望の2軸配向と肉眼的な透明性を有するコンテナーパネル46が得られる。この選択した特定パネル厚みおよび延伸比は、ボトルの大きさ、内圧、および加工特性(例えば、使用した特定物質の溶融粘度により決定)に依存するであろう。
【0038】
プレフォーム30と作製したコンテナー40の両者ともに、図3に示した2物質5層(2M,5L)構造を有している。この多層構造は、連続的順序で、PLAの最外部層57、活性酸素バリア組成物の外部中間層59、PLAの中心コア層56、活性酸素バリア組成物の内部中間層58、およびPLAの最内部層55を含む。最外部、コアおよび最内部PLA層類は、210℃において約5−15g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238A,B)を有するいかなる市販のPLAであってもよい。前記本発明のPLA活性酸素バリア組成物の中間2層は、約5−15g/10分のメルトインデックス、約55℃のTgおよび約145℃の融解点を有することができる。前記活性酸素バリア組成物は、ポリマー1g当たりコバルト20−6000マイクログラム(すなわち、コバルト20−6000ppm/PLA重量)を含む;前記コバルトは、ネオデカン酸コバルトとして添加される。最外部、最内部およびコア層の前記中間層に対する重量比は、好適には、約99:1乃至80:20の範囲である。
【0039】
図1に示したプレフォームは、さまざまな公知のプロセスのいかなるものによっても射出成形でき、例えば、Graham PET Technololgies社(以前のContinenntal PET Technologies社)所有米国特許4,550,043、4,781,954、5,049,345および5,582,788に記載の連続測定プロセスを含む連続、同時およびその全ての組み合わせを含んでおり、前記特許類は、その全体を参考によって引用している。このプロセスにおいて、前記物質類のあらかじめ定めた量を、下記のようにプレフォーム金型のゲートに導入する;冷たい外側の金型およびコア壁を移動して上昇するに伴い、部分固化最内部および最外部プレフォーム層を形成するPLAの第1ショット;内側および外側中間体層を形成する活性酸素バリア組成物の第2ショット;および中心コア層を形成する間に活性バリア組成物を側壁に押し上げる(薄い中間層を形成させるため)PLAの第3ショット。金型に充填した後、圧力を高めてプレフォーム収縮に対抗するように前記金型に充填する。充填後、成形圧を部分的に低下させ、プレフォームが冷却される間保持する。
【0040】
図2は、図1のプレフォームから製造した16オンスの冷充填非炭酸ジュースボトルを示している。ボトル40には、透明2軸配向コンテナー本体50が含まれる。上部スレッドフィニッシュ34は膨張されていない(プレフォーム30のそれと同じ)が、十分な厚みまたは物質構造で、クロージャー(例 ねじつき瓶の口金)適応のために必要な強度を提供する。膨張させたコンテナー本体50には、上部肩領域43、ぎざぎざをつけた輪状リブ44、ドーム部45および複数の輪状リブ42を有する円筒状パネル領域46を含む。前記パネル領域46は、好適には、平均平面延伸比10で延伸されている。本体にはまた、リブ49により分離された複数の脚部48を有する脚部付基部47を含む。
【0041】
図3は、5層コンテナーパネル壁46の拡大断面図である。壁46は、相対的に厚い3層のPLA:最内部層55、コア層56および最外部層57と活性酸素バリア組成物の相対的に薄い2種の層:内側および外側中間層58,59を含む。
【0042】
図4は、プレフォーム30からコンテナー40を製造するための延伸吹き込み成形装置70を示している。さらに詳細には、実質的に非晶質で透明のプレフォーム本体形成領域38を、最内部/最外部/コアPLA層類の配向温度範囲の温度に再加熱し、加熱したプレフォームを次に、吹き込み成形用金型71に配置する。延伸ロッド72アキシアルは、吹き込み成形用金型内部でプレフォーム30を伸展(延伸)させ、プレフォームの正確に中心的でかつ完全な軸延伸を確実にする。吹き込みガス(矢印73で示した)を導入し、プレフォームを放射状に膨張させ、吹き込み成形用金型の内部成形表面74の構造に適合させる。形成されたコンテナー40は、実質的に透明のままであるが、典型的には、ひずみ誘発二軸配向を受け、強度増強を呈する。
【0043】
実施例: 組成物の調製と酸素除去性能
下記の実施例は、ポリ(乳酸)中への有効な遷移金属取り込みを示しており、本発明の1態様による活性酸素バリア組成物を提供する。
【0044】
PLAレジンは、NatureWorks、7000D等級から得られた。ネオデカン酸コバルトは、Shephard Chemicals,4900 Beech Street,Norwood、Ohio,USAから入手した。
【0045】
活性バリア組成物は、ネオデカン酸コバルトのパスチルを100メッシュ未満の粉末に粉砕することによって、調製した。次に、この粉末を適当量のPLAペレットと密封コンテナー中でタンブルブレンドした。前記ポリマー/コバルトブレンドを、次に、射出成形装置に投入した。
【0046】
上記バリア組成物中に含ませたネオデカン酸コバルトの量を変化させ、酸素除去に及ぼす効果を調べた。プラークサンプルを、下記の表1に示したように、各濃度(組成物に対するネオデカン酸コバルトの重量百分率)について調製した。
【0047】
長さ6.25インチ(158.75mm)および幅1.75インチ(44.45mm)の大きさと厚さを有しかつ段階的に0.04インチ(1mm)、0.07(1.78mm)、0.10インチ(2.54mm)、0.13インチ(3.3mm)、0.16インチ(4.06mm)と厚みを大きくした5個の等しい領域を有する射出成形プラークを形成させた。プラーク7個は32オンスのガラス瓶に入れ、大気中(23℃で酸素21%)で1オンスの水を添加した。プラークは、瓶中水の上のプラットホームに静止した。瓶にゴム製隔壁を有する標準的缶詰用瓶ふたで栓をした。シリンジを隔壁に挿入しガスサンプルを瓶からはずした。ガスサンプルを次に、モコン(Mocon)モデルパックチェック(PacCheck)450ヘッドスペースアナライザー(Head Space Analyzer)中に射出させ、酸素含量を測定した(Mocon Modern Controls,7500 Boone Avenue North、Minneapolis,Minnesota55428、USAから入手可能)。最初の酸素含量が約21.0%であることを測定した後、次に数日間にわたり(例 第1日、第4日、第14日、、、)測定を行った。結果を下記の表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示したように、ネオデカン酸コバルト(CoNeo)を含む全ての組成物が、瓶中の酸素濃度を20%以下に少なくとも第91日までに低下させた。金属含量増加とともに、高除去比率が達成された。
【0050】
図5は、表1に示したデータのグラフである。最初の酸素レベル21%から出発し、第0日から第119日までの酸素含量百分率変化を、4種のプラークタイプ(PLA単独;0.1%CoNeoを有するPLA;0.2%CoNeoを有するPLA;0.3%CoNeoを有するPLA)のそれぞれについて示した。遷移金属を有していないPLAでは、酸素含量変化がほとんどなかった。酸素レベルは、遷移金属が存在するサンプルのそれぞれで低下し続け、酸素濃度低下速度は、遷移金属含量濃度とともに増加した。
【0051】
図6は、最初の14日間にわたり広範囲の遷移金属含量(0.1%から1.0%まで)を比較した同様のグラフである。これらのプラークサンプルは、100°F(図5のプラークサンプルについて室温と比較した)で保存し、それは、酸素減少速度を高めた。再度、遷移金属が存在するそれぞれの場合において、14日間にわたり酸素含量低下が大きくなり、一般的に、減少量は、遷移金属含量増加とともに増加した。
【0052】
図7は、図6におけるものと同一のプラークの性能を示した同様のグラフであるが、40日まで延長した。再度、遷移金属を有するサンプル全ての酸素レベル含量が、40日の期間にわたって低下し続け、遷移金属含量増加に伴い、減少が大きくなった。
【0053】
本文では、"酸素スカベンジャー"等とは、ある環境由来の酸素を消費するか、欠損させるかまたは酸素と反応する組成物、物品等を意味するものとして使用する。
【0054】
"ポリマー"等とは、本文で、ホモポリマーだけでなくそのコポリマーも意味し、ランダムポリマー類、ブロックポリマー類、グラフトコポリマー類を含む。
【0055】
本文では、製造物品とは、剛性、半剛性または可とう性物品類を含むものとして使用する。
【0056】
本発明のいくつかの態様を示し説明してきたが、当業者には、さまざまな変化および修飾が付属の請求の範囲に記載される本発明の範囲を逸脱することなくできることがわかるであろう。
【0057】
本発明は図面を参照すれば、さらによく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の1態様による活性酸素バリア組成物の2層を取り入れた多層プレフォームの側立面図である;
【図2】図2は、図1のプレフォームから製造された透明多層側壁を有する多層コンテナーの側立面図である。
【図3】図3は、図2の線3−3に沿った水平断面図であり、前記コンテナーの多層側壁を示している。
【図4】図4は、(図1の)前記プレフォームから(図2の)コンテナーを製造するための吹き込み成形装置の垂直断面図である。
【図5】図5は、変動するコバルト濃度の本発明組成物類から製造されたPLAプラーク類シリーズによって達成された酸素減少量を比較した時間(日)に対する閉コンテナー中酸素%のグラフである。
【図6】図6は、変動するコバルト濃度の本発明組成物類から製造されたPLAプラーク類シリーズによって達成された酸素減少量を比較した時間(日)に対する閉コンテナー中酸素%のグラフである。
【図7】図7は、変動するコバルト濃度の本発明組成物類から製造されたPLAプラーク類シリーズによって達成された酸素減少量を比較した時間(日)に対する閉コンテナー中酸素%のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(乳酸)および遷移金属を含む活性酸素バリア組成物。
【請求項2】
前記遷移金属が前記ポリ(乳酸)中に少なくとも約20ppmの量で存在する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記遷移金属がコバルトである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記遷移金属がネオデカン酸コバルトを含む金属化合物として提供される請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記ネオデカン酸コバルトが、前記組成物の約0.01乃至約3重量%を含む請求項4記載の組成物。
【請求項6】
パッケージ、プレフォーム、コンテナー、フィルム、シート、ライナー、コーティングまたはクロージャーの少なくとも一部を含む請求項1記載の組成物から作製された製造物品。
【請求項7】
前記物品が一体式物品である請求項6記載の物品。
【請求項8】
前記物品が多層物品である請求項6記載の物品。
【請求項9】
前記多層物品が、前記組成物の少なくとも1層およびポリ(乳酸)の少なくとも1層を含む請求項8記載の物品。
【請求項10】
前記多層物品が、ポリ(乳酸)の最内部、コアおよび最外部層、および前記組成物の前記最内部および最外部層の間にかつコア層の向かい側に中間2層を含む請求項9記載の物品。
【請求項11】
前記多層物品が、前記組成物のコア層の向かい側にポリ(乳酸)の最内部および最外部層を含む請求項9記載の物品。
【請求項12】
前記多層物品がプレフォームまたはコンテナーである請求項9記載の物品。
【請求項13】
前記物品が、酸素感受性食品または飲料用のパッケージである請求項6記載の物品。
【請求項14】
式H−〔O−CHR−(CH2)x−CO〕n−OHのポリ(ヒドロキシアルカノアート)と遷移金属を含み、式中、Rは水素または約13個までの炭素原子を有する有機ラジカルであり、xは0から3であり、およびnは、約10から約20,000である活性酸素バリア組成物。
【請求項15】
Rが炭化水素ラジカルである請求項14記載の組成物。
【請求項16】
xが0である請求項14記載の組成物。
【請求項17】
nが1乃至3である請求項14記載の組成物。
【請求項18】
前記遷移金属が前記ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマー中に少なくとも約20ppmの量で存在する請求項14記載の組成物。
【請求項19】
前記遷移金属がコバルトである請求項14記載の組成物。
【請求項20】
前記遷移金属がネオデカン酸コバルトを含む金属化合物として供される請求項19記載の組成物。
【請求項21】
前記ネオデカン酸コバルトが前記組成物の約0.01乃至約3重量%を含む請求項20記載の組成物。
【請求項22】
パッケージ、プレフォーム、コンテナー、フィルム、シート、ライナー、コーティングまたはクロージャーの少なくとも一部を含む請求項14記載の組成物から製造された製造物品。
【請求項23】
前記物品が一体式物品である請求項22記載の物品。
【請求項24】
前記物品が多層物品である請求項22記載の物品。
【請求項25】
前記多層物品が、前記組成物の少なくとも1層およびポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーの少なくとも1層を含む請求項24記載の物品。
【請求項26】
前記多層物品が、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーの最内部、コアおよび最外部層、および前記組成物の最内部および最外部層の間にかつコア層の向かい側に中間2層を含む請求項25記載の物品。
【請求項27】
前記多層物品が、前記組成物のコア層の向かい側に層状としたポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーの最内部および最外部層を含む請求項24記載の物品。
【請求項28】
前記多層物品がプレフォームまたはコンテナーである請求項25記載の物品。
【請求項29】
前記物品が、酸素感受性食品または飲料用のパッケージである請求項22記載の物品。
【請求項30】
酸素感受性製品を保持するための多層物品を製造する方法で、
ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーから構成された第1層およびポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーから構成された第1層に隣接する第2層および遷移金属を有する中間物品を成形すること、および前記中間物品を膨張させ多層物品を形成すること、
を含むことを特徴とする。
【請求項31】
ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーの多層から構成される包装用物品に対して酸素除去活性を付与する方法で、前記物品の多層の少なくともひとつに遷移金属を混合することを含むことを特徴とする。
【請求項32】
ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマー組成物に対して酸素除去活性を付与する方法で、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーを遷移金属に混合することを含むことを特徴とする。
【請求項33】
前記遷移金属がポリ(ヒドロキシアルカノアート)に少なくとも20ppmの量で添加される請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記遷移金属が前記組成物の約0.01乃至約3重量%の量でネオデカン酸コバルトとして添加される請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、前記組成物からパッケージ、プレフォーム、コンテナー、フィルム、シート、ライナー、コーティングまたはクロージャーの少なくとも一部を形成することを含み、および、前記一部が基本的に前記組成物から構成されることを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記ポリ(ヒドロキシアルカノアート)ポリマーがポリ(乳酸)であり、前記遷移金属が前記組成物の約0.01乃至約3%の量でネオデカン酸コバルトとして添加され、前記方法が前記組成物から基本的に構成される包装用物品を形成することを含む請求項32記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−530475(P2009−530475A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501488(P2009−501488)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/006788
【国際公開番号】WO2007/109222
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(502326130)グラハム パッケージング カンパニー,エル ピー (15)
【Fターム(参考)】